(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106771
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240801BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01L21/306 J
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
H01L21/306 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011204
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】火口 友美
(72)【発明者】
【氏名】鰍場 真樹
(72)【発明者】
【氏名】ホー リンダ
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043AA31
5F043BB22
5F043DD30
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE36
5F043GG10
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB45
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BB23
5F157BB45
5F157CB13
5F157CB15
5F157CE23
5F157CF22
5F157DB02
5F157DB41
(57)【要約】
【課題】処理液の消費量を低減できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板保持部7と、処理液吐出部6と、接触部材保持部4と、接触部材移動部5と、圧力緩和機構AKとを備える。基板保持部7は、基板Wを保持する。処理液吐出部6は、基板保持部7に保持された基板Wの上面に処理液を吐出して、基板Wに処理液を供給する。接触部材保持部4は、基板W上の処理液に接触して処理液を覆う接触部材3を保持する。接触部材移動部5は、接触部材保持部4を移動させて、基板W上の処理液に接触部材3を接触させる。圧力緩和機構AKは、接触部材3が処理液に接触する際に処理液に付与される圧力を緩和する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の上面に処理液を吐出して、前記基板に前記処理液を供給する処理液吐出部と、
前記基板上の前記処理液に接触して前記処理液を覆う接触部材を保持する接触部材保持部と、
前記接触部材保持部を移動させて、前記基板上の前記処理液に前記接触部材を接触させる接触部材移動部と、
前記接触部材が前記処理液に接触する際に前記処理液に付与される圧力を緩和する圧力緩和機構と
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
前記処理液吐出部及び前記接触部材移動部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記処理液吐出部から前記処理液を吐出させた後に、前記接触部材を前記処理液に接触させる、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液吐出部は、前記処理液を一定量吐出する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記接触部材を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記圧力緩和機構は、前記接触部材保持部に設けられ、
前記圧力緩和機構は、前記接触部材を上下動自在に支持する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記接触部材は、前記接触部材保持部に支持される被支持部を含み、
前記接触部材保持部は、前記被支持部を支持する支持部を含み、
前記圧力緩和機構は、前記被支持部と前記支持部との間に気体を供給する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記接触部材の下限位置を規制する規制部材を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記圧力緩和機構は、弾性部材を含む、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記圧力緩和機構は、
前記接触部材を下方から支持する昇降支持部材と、
前記昇降支持部材を昇降させる昇降部と、
前記接触部材移動部及び前記昇降部を制御する制御部と
を含み、
前記制御部は、前記接触部材に対して下方から前記昇降支持部材を接触させた状態を維持しつつ、前記接触部材を前記基板上の前記処理液へ向けて移動させて前記処理液に接触させる、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記圧力緩和機構は、前記接触部材移動部と、前記接触部材移動部を制御する制御部とを含み、
前記制御部は、前記接触部材が前記処理液に接触する際に前記処理液に付与される圧力が緩和されるように前記接触部材を移動させる、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記接触部材保持部は、前記接触部材が前記処理液に接触した後に、前記接触部材を保持しない非保持状態となる、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記接触部材保持部は、前記接触部材が前記処理液に接触した後も前記接触部材を保持する、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記基板保持部を回転させて、前記基板保持部に保持されている前記基板を回転させる基板回転部と、
前記基板回転部を制御する制御部と
を更に備え、
前記制御部は、前記接触部材が前記処理液に接触している状態で前記基板を回転させる、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記基板保持部を回転させて、前記基板保持部に保持されている前記基板を回転させる基板回転部と、
前記基板回転部を制御する制御部と
を更に備え、
前記制御部は、前記接触部材が前記処理液に接触している状態で前記基板の回転を停止させる、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記接触部材は、疎水材又は超撥水材を含む、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記基板保持部は、前記接触部材と係合する係合部を含む、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1枚ずつ基板を処理する枚葉式の基板処理装置が知られている。この種の基板処理装置には、例えば、基板をエッチングする基板処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の基板処理装置は、エッチング処理時に、処理対象の基板に向けてノズルからエッチング液を吐出し続ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、処理対象の基板に向けて処理液を吐出し続けて基板を処理する構成では、処理液の消費量が多くなる。処理液の消費量を考慮すれば、更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理液の消費量を低減できる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板を処理する。当該基板処理装置は、基板保持部と、処理液吐出部と、接触部材保持部と、接触部材移動部と、圧力緩和機構とを備える。前記基板保持部は、前記基板を保持する。前記処理液吐出部は、前記基板保持部に保持された前記基板の上面に処理液を吐出して、前記基板に前記処理液を供給する。前記接触部材保持部は、前記基板上の前記処理液に接触して前記処理液を覆う接触部材を保持する。前記接触部材移動部は、前記接触部材保持部を移動させて、前記基板上の前記処理液に前記接触部材を接触させる。前記圧力緩和機構は、前記接触部材が前記処理液に接触する際に前記処理液に付与される圧力を緩和する。
【0007】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、前記処理液吐出部及び前記接触部材移動部を制御する制御部を更に備える。前記制御部は、前記処理液吐出部から前記処理液を吐出させた後に、前記接触部材を前記処理液に接触させる。
【0008】
ある実施形態において、前記処理液吐出部は、前記処理液を一定量吐出する。
【0009】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、前記接触部材を更に備える。
【0010】
ある実施形態において、前記圧力緩和機構は、前記接触部材保持部に設けられる。前記圧力緩和機構は、前記接触部材を上下動自在に支持する。
【0011】
ある実施形態において、前記接触部材は、前記接触部材保持部に支持される被支持部を含む。前記接触部材保持部は、前記被支持部を支持する支持部を含む。前記圧力緩和機構は、前記被支持部と前記支持部との間に気体を供給する。
【0012】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、前記接触部材の下限位置を規制する規制部材を更に備える。
【0013】
ある実施形態において、前記圧力緩和機構は、弾性部材を含む。
【0014】
ある実施形態において、前記圧力緩和機構は、昇降支持部材と、昇降部と、制御部とを含む。前記昇降支持部材は、前記接触部材を下方から支持する。前記昇降部は、前記昇降支持部材を昇降させる。前記制御部は、前記接触部材移動部及び前記昇降部を制御する。前記制御部は、前記接触部材に対して下方から前記昇降支持部材を接触させた状態を維持しつつ、前記接触部材を前記基板上の前記処理液へ向けて移動させて前記処理液に接触させる。
【0015】
ある実施形態において、前記圧力緩和機構は、前記接触部材移動部と、前記接触部材移動部を制御する制御部とを含む。前記制御部は、前記接触部材が前記処理液に接触する際に前記処理液に付与される圧力が緩和されるように前記接触部材を移動させる。
【0016】
ある実施形態において、前記接触部材保持部は、前記接触部材が前記処理液に接触した後に、前記接触部材を保持しない非保持状態となる。
【0017】
ある実施形態において、前記接触部材保持部は、前記接触部材が前記処理液に接触した後も前記接触部材を保持する。
【0018】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、基板回転部と、制御部とを更に備える。前記基板回転部は、前記基板保持部を回転させて、前記基板保持部に保持されている前記基板を回転させる。前記制御部は、前記基板回転部を制御する。前記制御部は、前記接触部材が前記処理液に接触している状態で前記基板を回転させる。
【0019】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、基板回転部と、制御部とを更に備える。前記基板回転部は、前記基板保持部を回転させて、前記基板保持部に保持されている前記基板を回転させる。前記制御部は、前記基板回転部を制御する。前記制御部は、前記接触部材が前記処理液に接触している状態で前記基板の回転を停止させる。
【0020】
ある実施形態において、前記接触部材は、疎水材又は超撥水材を含む。
【0021】
ある実施形態において、前記基板保持部は、前記接触部材と係合する係合部を含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る基板処理装置によれば、処理液の消費量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の模式的な平面図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】(a)は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置の動作を示すフローチャートである。(b)は、基板処理時の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】薬液吐出時の基板処理部を模式的に示す図である。
【
図5】接触部材を液面に接触させる際の基板処理部を模式的に示す図である。
【
図6】リンス処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
【
図7】(a)は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置の変形例1を模式的に示す図である。(b)は、本発明の実施形態1に係る基板処理装置の変形例2を模式的に示す図である。
【
図8】基板処理時の処理の流れの他例を示すフローチャートである。
【
図9】(a)は、本発明の実施形態2に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の一部を模式的に示す図である。(b)は、係合ピンの他例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態3に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の一部を模式的に示す図である。
【
図11】本発明の実施形態4に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【
図12】(a)は、本発明の実施形態4に係る基板処理装置に含まれる第3ノズル、リンス液供給部、及び第3気体供給部を示す図である。(b)は、第3ノズルの側面図である。(c)は、第3ノズルの底面図である。
【
図13】(a)は、接触部材を液面に接触させる際の基板処理部を模式的に示す図である。(b)は、リンス処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
【
図14】本発明の実施形態5に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の一部を模式的に示す図である。
【
図15】(a)は、本発明の実施形態6に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の一部を模式的に示す図である。(b)は、接触部材及び接触部材保持部の一部を拡大して模式的に示す断面図である。
【
図16】(a)~(c)は、第1ノズルから基板の上面に薬液が吐出された後の基板処理部の動作を模式的に示す図である。
【
図17】(a)及び(b)は、第1ノズルから基板の上面に薬液が吐出された後の基板処理部の動作を模式的に示す図である。
【
図18】本発明の実施形態7に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の一部を模式的に示す図である。
【
図19】(a)~(c)は、第1ノズルから基板の上面に薬液が吐出された後の基板処理部の動作を模式的に示す図である。
【
図20】(a)~(c)は、第1ノズルから基板の上面に薬液が吐出された後の基板処理部の動作を模式的に示す図である。
【
図21】(a)は、本発明の実施形態8に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の一部を模式的に示す図である。(b)は、接触部材の底面図である。
【
図22】本発明の実施形態9に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の一部を模式的に示す図である。
【
図23】(a)~(c)は、第1ノズルから基板の上面に薬液が吐出された後の基板処理部の動作を模式的に示す図である。
【
図24】(a)~(c)は、第1ノズルから基板の上面に薬液が吐出された後の基板処理部の動作を模式的に示す図である。
【
図25】本発明の実施形態10に係る基板処理装置に含まれる基板処理部の構成を模式的に示す断面図である。
【
図26】接触部材保持部の構成を示す断面図である。
【
図27】(a)は、基板の上面に吐出された薬液に接触部材が接触した後の基板処理部を模式的に示す図である。(b)は、リンス処理時の基板処理部を模式的に示す図である。(c)は、乾燥処理時の基板処理部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面(
図1~
図27)を参照して本発明の基板処理装置に係る実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0025】
本発明に係る基板処理装置において、基板処理の対象となる「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種の基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを基板処理の対象とする場合を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置は、上記した半導体ウエハ以外の各種の基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理装置は、各種の形状の基板に対して適用可能である。
【0026】
[実施形態1]
図1~
図8を参照して、本発明の実施形態1を説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式的な平面図である。基板処理装置100は、基板Wを処理する。より具体的には、基板処理装置100は、枚葉式の装置であり、処理液により1枚ずつ基板Wを処理する。
【0027】
本実施形態において、基板処理装置100は、洗浄装置である。但し、基板処理装置100は、処理液により1枚ずつ基板Wを処理する装置である限り、特に限定されない。例えば、基板処理装置100は、エッチング装置であってもよい。
【0028】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の基板処理部2と、流体キャビネット10Aと、複数の流体ボックス10Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0029】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理部2との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
【0030】
複数の基板処理部2は、複数のタワーTW(
図1では4つのタワーTW)を形成している。複数のタワーTWは、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理部2(
図1では3つの基板処理部2)を含む。
【0031】
流体キャビネット10Aは、処理液を収容する。流体ボックス10Bはそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体キャビネット10A内の処理液は、いずれかの流体ボックス10Bを介して、流体ボックス10Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理部2に供給される。
【0032】
処理液は、薬液と、リンス液とを含む。薬液は、例えば、希フッ酸(DHF)である。但し、薬液は、希フッ酸に限定されない。薬液は、例えば、フッ酸(HF)、フッ硝酸(フッ酸と硝酸(HNO3)との混合液)、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、燐酸(H3PO4)、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(例えば、クエン酸、シュウ酸)、有機アルカリ(例えば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)、硫酸過酸化水素水混合液(SPM)、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)、イソプロピルアルコール(IPA)、界面活性剤、又は、腐食防止剤であってもよい。リンス液は、例えば、純水(例えば、脱イオン水)である。但し、リンス液は、純水に限定されない。リンス液は、例えば、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、又は、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水であってもよい。
【0033】
流体キャビネット10Aは、気体を更に収容してもよい。流体キャビネット10A内の気体は、いずれかの流体ボックス10Bを介して、流体ボックス10Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理部2に供給される。気体は、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。
【0034】
基板処理部2の各々は、処理液を基板Wの上面に供給する。この結果、基板Wが処理される。例えば、基板処理部2は、基板Wの上面に希フッ酸を供給して、基板Wに形成されている自然酸化膜を除去する。つまり、基板処理部2は、自然酸化膜をエッチングする。
【0035】
制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及び基板処理部2を制御する。制御装置101は、制御部102と、記憶部103とを含む。
【0036】
制御部102は、記憶部103に記憶されている各種情報に基づいて基板処理装置100の各部の動作を制御する。制御部102は、例えば、プロセッサを有する。制御部102は、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有してもよい。あるいは、制御部102は、汎用演算機又は専用演算器を有してもよい。
【0037】
記憶部103は、基板処理装置100の動作を制御するための各種情報を記憶する。例えば、記憶部103は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、種々のレシピデータを含む。レシピデータは、例えば、プロセスレシピを含む。プロセスレシピは、基板処理の手順を規定するデータである。具体的には、プロセスレシピは、基板処理に含まる一連の処理の実行順序、各処理の内容、及び各処理の条件(パラメータの設定値)を規定する。
【0038】
記憶部103は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部103は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部103はリムーバブルメディアを含んでもよい。
【0039】
続いて、
図1及び
図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図2は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す断面図である。
【0040】
図2に示すように、基板処理部2は、処理室2aと、接触部材3と、接触部材保持部4と、接触部材移動部5と、第1ノズル6と、薬液ノズル移動部62と、基板保持部7と、基板回転部8と、第2ノズル9と、カップ部11と、カップ昇降部111とを有する。また、基板処理装置100は、薬液供給部61と、リンス液供給部91とを更に備える。
【0041】
基板Wは、処理室2a内に搬入されて、処理室2a内で処理される。処理室2aは、略箱形状を有する。処理室2aは、接触部材3と、接触部材保持部4と、接触部材移動部5と、第1ノズル6と、薬液ノズル移動部62と、基板保持部7と、基板回転部8と、第2ノズル9と、カップ部11と、カップ昇降部111と、薬液供給部61の一部と、リンス液供給部91の一部とを収容する。処理室2aは、例えば、チャンバーである。
【0042】
基板保持部7は、基板Wを保持する。基板保持部7の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。より具体的には、基板保持部7は、基板Wを水平な姿勢で保持する。基板保持部7は、例えば、スピンチャックである。本実施形態において、基板保持部7は、複数のチャック部材71と、スピンベース72と、複数の係合ピン73とを有する。
【0043】
スピンベース72は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材71を支持する。本実施形態において、スピンベース72は、複数の係合ピン73を更に支持する。
【0044】
複数のチャック部材71は、スピンベース72の周縁部に配置される。複数のチャック部材71は、基板Wの周縁部を挟持する。複数のチャック部材71により、基板Wが水平な姿勢で保持される。複数のチャック部材71の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。複数のチャック部材71は、基板Wの中心がスピンベース72の中心と一致するように配置されている。
【0045】
複数の係合ピン73は、スピンベース72の周縁部に配置される。例えば、複数の係合ピン73は、複数のチャック部材71の外側に配置される。あるいは、複数の係合ピン73は、複数のチャック部材71の間に配置されてもよい。係合ピン73は、棒状の部材である。本実施形態において、係合ピン73は、円柱状である。複数の係合ピン73は、スピンベース72から上方に向かって突出する。複数の係合ピン73は、基板W上の薬液に接触部材3が接触する際に接触部材3に係合する。係合ピン73は、「係合部」の一例である。
【0046】
基板回転部8は、基板保持部7を回転させることにより、基板保持部7に保持されている基板Wを回転させる。具体的には、基板回転部8は、鉛直方向に延びる第1回転軸線AX1を中心として、基板Wと基板保持部7とを一体に回転させる。基板回転部8の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0047】
詳しくは、第1回転軸線AX1は、スピンベース72の中心を通る。したがって、スピンベース72は、スピンベース72の中心を回転中心として回転する。また、既に説明したように、基板保持部7は、基板Wの中心がスピンベース72の中心と一致するように基板Wを保持する。したがって、基板Wは、基板Wの中心を回転中心として回転する。
【0048】
基板回転部8は、例えば、モータ本体82と、シャフト81とを有する。シャフト81はスピンベース72に結合される。モータ本体82は、シャフト81を回転させる。その結果、スピンベース72が回転する。モータ本体82の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。モータ本体82は、例えば、電動モータである。
【0049】
第1ノズル6は、基板保持部7に保持された基板Wの上面に向けて薬液を吐出して、基板Wに薬液を供給する。第1ノズル6は、例えば、希フッ酸を吐出する。第1ノズル6は、「処理液吐出部」の一例である。本実施形態において、第1ノズル6は、一定量の薬液を吐出する。ここで、一定量は、第1ノズル6から基板Wに供給された薬液が基板Wから零れ落ちない量である。換言すると、一定量は、薬液が表面張力によって基板Wの上面に保持される量である。あるいは、一定量は、回転する基板Wから薬液が零れ落ちない量であってもよい。換言すると、一定量は、回転する基板Wの上面に薬液が表面張力によって保持される量あってもよい。第1ノズル6から一定量の薬液が吐出される際の基板Wの回転数は、例えば、5rpm以上10rpm以下である。
【0050】
薬液供給部61は、第1ノズル6に薬液を供給する。例えば、薬液供給部61は、第1ノズル6に希フッ酸を供給する。本実施形態において、薬液供給部61は、薬液配管611と、第1開閉弁612と含む。処理室2aは、薬液配管611の一部を収容する。第1開閉弁612は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0051】
薬液配管611は、管状の部材であり、薬液を第1ノズル6まで流通させる。第1開閉弁612は、薬液配管611に介装される。第1開閉弁612は、薬液配管611を介した第1ノズル6への薬液の供給、及び第1ノズル6への薬液の供給停止を制御する。具体的には、第1開閉弁612の状態は、開状態と閉状態との間で切り替え可能である。第1開閉弁612が開状態になると、薬液が薬液配管611を介して第1ノズル6まで流通する。第1開閉弁612が閉状態になると、薬液配管611を介した薬液の流通が停止する。第1開閉弁612は、制御装置101(制御部102)によって制御される。第1開閉弁612のアクチュエータは、は、例えば、空圧アクチュエータ、又は電動アクチュエータである。
【0052】
薬液ノズル移動部62は、第1ノズル6を第1退避位置と処理位置との間で移動させる。薬液ノズル移動部62は、制御装置101(制御部102)によって制御される。第1退避位置は、平面視において基板保持部7の外側の位置である。本実施形態において、第1退避位置は、平面視においてカップ部11の外側の位置である。処理位置は、基板保持部7に保持されている基板Wの中心に対向する位置である。
【0053】
詳しくは、薬液ノズル移動部62は、鉛直方向及び水平方向に第1ノズル6を移動させる。具体的には、薬液ノズル移動部62は、薬液アーム621と、第1基台622と、薬液ノズル移動機構623とを有する。
【0054】
薬液アーム621は水平方向に沿って延びる。薬液アーム621の先端部に第1ノズル6が配置される。薬液アーム621は第1基台622に結合される。第1基台622は、鉛直方向に沿って延びる。
【0055】
薬液ノズル移動機構623は、鉛直方向及び水平方向に薬液アーム621を移動させる。この結果、第1ノズル6が鉛直方向及び水平方向に移動する。薬液ノズル移動機構623は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0056】
具体的には、薬液ノズル移動機構623は、鉛直方向に延びる第2回転軸線AX2を中心として第1基台622を揺動させて、薬液アーム621を水平面に沿って揺動させる。この結果、第1ノズル6が水平面に沿って移動する。また、薬液ノズル移動機構623は、第1基台622を鉛直方向に沿って昇降させて、薬液アーム621を昇降させる。この結果、第1ノズル6が鉛直方向に沿って移動する。薬液ノズル移動機構623は、例えば、ボールねじ機構と、正逆回転可能な電動モータとを含む。電動モータは、ボールねじ機構を駆動する。
【0057】
接触部材3は、基板W上の薬液に接触して、基板W上の薬液を覆う。本実施形態において、接触部材3は、接触部31と、筒状部32と、被支持部33とを含む。
【0058】
接触部31は、円盤状であり、接触部31の直径は、基板Wの直径よりも大きい。接触部31の下面は液接触面31aであり、液接触面31aが基板W上の薬液に接触する。
【0059】
接触部材3は、疎水材又は超撥水材を含んでもよい。この場合、少なくとも液接触面31aが疎水材又は超撥水材で構成される。なお、接触部材3の全部分が疎水材又は超撥水材で構成されてもよいし、接触部31のみが疎水材又は超撥水材で構成されてもよい。液接触面31aが疎水材で構成されことにより、液接触面31aに薬液が付着し難くなり、液接触面31aのリンス及び乾燥が容易になる。液接触面31aが超撥水材で構成された場合、液接触面31aのリンス及び乾燥は省略されてもよい。
【0060】
本実施形態において、接触部31は、複数の係合穴31bを含む。係合穴31bはそれぞれ鉛直方向に延びて、接触部31を貫通する。複数の係合穴31bは、複数の係合ピン73に対向する位置に配置される。基板W上の薬液に接触部材3が接触する際に、複数の係合ピン73はそれぞれ対応する係合穴31bに係合する。具体的には、係合ピン73は、対応する係合穴31bに挿通される。
【0061】
筒状部32は、筒状であり、接触部31から上方に突出する。具体的には、筒状部32は、第1回転軸線AX1を中心とする周方向に延在する。被支持部33は、鍔状又は環状であり、筒状部32から外方に突出する。具体的には、被支持部33は、第1回転軸線AX1を中心とする径方向に突出する。
【0062】
接触部材保持部4は、接触部材3を保持する。本実施形態では、接触部材保持部4は、接触部材3の被支持部33を支持する。具体的には、接触部材保持部4は、支持部41を含む。支持部41は、環状であり、第1回転軸線AX1を中心とする周方向に延在する。支持部41は、被支持部33の下方に位置して、被支持部33に対向する。被支持部33が支持部41に係合することにより、接触部材3が接触部材保持部4によって支持される。
【0063】
詳しくは、接触部材保持部4は、筒状部を含む。筒状部は、第1回転軸線AX1を中心とする周方向に延在する。支持部41は、筒状部の下部に設けられて、筒状部から内側に突出する。接触部材保持部4の下面の中央は開口しており、接触部材3の筒状部32の一部が、接触部材保持部4の下面から接触部材保持部4の内部空間に収容される。接触部材3の被支持部33は、接触部材保持部4の内部空間に配置されて、接触部材保持部4の支持部41と対向する。
【0064】
接触部材保持部4は、圧力緩和機構AKを構成する。換言すると、圧力緩和機構AKは、接触部材保持部4に設けられる。圧力緩和機構AKは、接触部材3が基板W上の薬液に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和する。この結果、基板W上の薬液に接触部材3が接触した衝撃で薬液が基板Wから零れ落ち難くなる。つまり、接触部材3が基板W上の薬液に接触しても、薬液が基板W上で保持される。
【0065】
具体的には、接触部材保持部4は、接触部材3が薬液に接触した後に、接触部材3を保持しない非保持状態となる。この結果、薬液に作用する負荷が接触部材3の自重のみとなるため、薬液に付与される圧力を緩和することができる。
【0066】
詳しくは、接触部材保持部4は、接触部材3を上下動自在に保持する。より具体的には、接触部材保持部4は、自由に上下動できるように接触部材3を保持する。この結果、基板W上の薬液に接触部材3が接触する際に、薬液に作用する負荷が接触部材3の自重のみとなるため、薬液に付与される圧力を緩和することができる。
【0067】
接触部材移動部5は、接触部材保持部4を移動させて、基板W上の薬液に接触部材3を接触させる。詳しくは、接触部材移動部5は、第2退避位置と接触位置との間で接触部材3を移動させる。ここで、接触位置は、接触部材3の液接触面31aが基板W上の薬液に接触する位置である。本実施形態において、第2退避位置は、接触位置よりも上方の位置である。つまり、接触部材移動部5は、接触部材3及び接触部材保持部4を昇降させる。接触部材移動部5の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0068】
本実施形態では、圧力緩和機構AKに、接触部材移動部5と制御装置101とが更に含まれる。詳しくは、制御装置101(制御部102)が、基板W上の薬液に接触部材3が接触する際に薬液に付与される圧力が緩和されるように接触部材3を移動させる。例えば、制御装置101(制御部102)は、接触部材3を低速度で接触位置に移動させる。接触部材3の移動速度は、基板W上の薬液に接触部材3が接触しても、その接触時の衝撃では薬液が基板Wから零れ落ちない速度に設定される。この結果、基板W上の薬液に接触部材3が接触しても、薬液が基板Wから零れ落ち難くなる。
【0069】
具体的には、接触部材移動部5は、支持アーム51と、第2基台52と、接触部材移動機構53とを有する。支持アーム51は水平方向に沿って延びる。支持アーム51は接触部材保持部4を支持する。支持アーム51は第2基台52に結合される。第2基台52は、鉛直方向に沿って延びる。接触部材移動機構53は、鉛直方向に支持アーム51を移動させる。この結果、接触部材3が鉛直方向に移動する。接触部材移動機構53は、制御装置101(制御部102)によって制御される。
【0070】
詳しくは、接触部材移動機構53は、第2基台52を鉛直方向に沿って昇降させて、支持アーム51を昇降させる。この結果、接触部材3が鉛直方向に沿って移動する。接触部材移動機構53は、エアシリンダ等のアクチュエータを含む。
【0071】
なお、本実施形態において、接触部材移動部5は、鉛直方向に接触部材3を移動させるが、接触部材移動部5は、薬液ノズル移動部62と同様に、鉛直方向及び水平方向に接触部材3を移動させてもよい。
【0072】
第2ノズル9は、基板Wにリンス液を供給する。詳しくは、第2ノズル9は、回転中の基板Wに向けてリンス液を吐出する。第2ノズル9は、固定ノズルである。なお、本実施形態において、第2ノズル9は固定ノズルであるが、第2ノズル9はスキャンノズルであってもよい。
【0073】
リンス液供給部91は、第2ノズル9にリンス液を供給する。具体的には、リンス液供給部91は、リンス液配管911と、第2開閉弁912とを含む。処理室2aは、リンス液配管911の一部を収容する。第2開閉弁912は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0074】
リンス液配管911は、リンス液を第2ノズル9まで流通させる。リンス液配管911及び第2開閉弁912の構成は、薬液配管611及び第1開閉弁612と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0075】
カップ部11は、基板保持部7及び基板回転部8の外方に配置される。カップ部11は、略筒形状を有する。換言すると、カップ部11は、基板保持部7及び基板回転部8を取り囲んでいる。カップ部11は、回転する基板Wから飛散する処理液を受け止める。
【0076】
カップ昇降部111は、カップ部11を昇降させる。カップ昇降部111は、制御装置101(制御部102)によって制御される。カップ昇降部111は、例えば、ボールねじ機構と、正逆回転可能な電動モータとを含む。電動モータは、ボールねじ機構を駆動する。
【0077】
具体的には、カップ昇降部111は、カップ部11を液受け位置と第3退避位置との間で昇降させる。液受け位置は、第3退避位置よりも上方の位置である。詳しくは、センターロボットCR(
図1)により基板Wが処理室2a内部に搬入される際、あるいは、センターロボットCR(
図1)により基板Wが処理室2a内部から搬出される際に、カップ部11は第3退避位置に退避している。カップ部11は、処理液を受け止める際に、液受け位置に配置される。
【0078】
続いて、
図1、
図2、及び
図3(a)を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図3(a)は、本実施形態の基板処理装置100の動作を示すフローチャートである。詳しくは、
図3(a)は、制御装置101(制御部102)が実行する処理の流れを示す。
【0079】
図3(a)に示す処理は、センターロボットCRがインデクサーロボットIRから基板Wを受け取った後に開始する。
図3(a)に示すように、センターロボットCRがインデクサーロボットIRから基板Wを受け取ると、制御装置101(制御部102)は、センターロボットCRを制御して、基板Wを処理室2a内に搬入させる(ステップS1)。そして、制御装置101(制御部102)は、基板保持部7を制御して、センターロボットCRが搬入した基板Wを保持させる。この結果、基板保持部7により、処理室2a内で基板Wが保持される。制御装置101(制御部102)は、基板Wが保持されると、基板処理部2に基板処理を実行させる(ステップS2)。
【0080】
基板処理が終了すると、制御装置101(制御部102)は、基板処理部2に乾燥処理を実行させる(ステップS3)。乾燥処理は、基板処理後の基板Wを乾燥させる処理である。具体的には、制御装置101(制御部102)は、基板回転部8を制御して、基板Wを高速回転させる。例えば、乾燥処理時の基板Wの回転速度は、1500rpmである。基板Wを高速回転させることにより、基板Wに付着している処理液が振り切られて基板Wが乾燥される。
【0081】
制御装置101(制御部102)は、基板Wの高速回転を開始してから、予め規定された時間が経過した後、基板回転部8を制御して、基板Wの回転を停止させる。基板Wの回転が停止すると、制御装置101(制御部102)は、基板保持部7を制御して、基板Wの保持を解除させる。基板保持部7による基板Wの保持が解除されると、制御装置101(制御部102)は、センターロボットCRを制御して、基板Wを処理室2aから搬出させる(ステップS4)。この結果、
図3(a)に示す処理が終了する。
【0082】
続いて、
図1、
図2、
図3(b)、及び
図4~
図6を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図3(b)は、基板処理時(
図3(a)のステップS2)の処理の流れを示すフローチャートである。
図3(b)に示すように、基板処理は、薬液吐出処理(ステップS22)と、接触部材3を液面に接触させる処理(ステップS24)と、リンス処理(ステップS26)とを含む。
図4は、薬液吐出時(
図3(b)のステップS22)の基板処理部2を模式的に示す図である。
図5は、接触部材3を液面に接触させる際(
図3(b)のステップS24)の基板処理部2を模式的に示す図である。
図6は、リンス処理時(
図3(b)のステップS26)の基板処理部2を模式的に示す図である。
【0083】
図3(b)に示すように、制御装置101(制御部102)は、基板処理(
図3(a)のステップS2)を開始すると、薬液ノズル移動部62を制御して第1ノズル6を処理位置へ移動させ、薬液供給部61を制御して第1ノズル6から薬液を一定量だけ吐出させる(ステップS22)。
【0084】
詳しくは、
図4に示すように、制御装置101(制御部102)は、基板回転部8を制御して、基板Wを第1回転速度で回転させる。第1回転速度は、例えば、5rpm以上10rpm以下である。つまり、基板回転部8は、基板Wを低速回転させる。この結果、一定量の薬液が基板Wから零れ落ちることなく、基板W上に保持される。例えば、
図4に示すように、基板Wの上面に薬液の液膜LM1が形成されてもよい。
【0085】
図3(b)に示すように、制御装置101(制御部102)は、薬液の吐出後、接触部材移動部5を制御して、接触部材3を第2退避位置から接触位置へ移動させて、接触部材3を薬液の液面に接触させる(ステップS24)。
【0086】
詳しくは、
図5に示すように、制御装置101(制御部102)は、薬液ノズル移動部62を制御して第1ノズル6を第1退避位置へ移動させる。また、制御装置101(制御部102)は、基板保持部7及び基板Wの回転を停止させる。制御装置101(制御部102)は、基板保持部7及び基板Wの回転が停止した後に、接触部材3を接触位置へ移動させる。この結果、薬液の液膜LM1に接触部材3が接触する。また、係合ピン73が接触部材3の係合穴31bに係合する。
【0087】
本実施形態によれば、薬液の液膜LM1に接触部材3が接触することで、基板Wの上面で保持されている薬液が基板Wと接触部材3とによって挟まれた状態となる。その結果、基板Wの縁まで薬液が拡がり易くなる。つまり、基板Wの縁まで薬液で覆われた状態となり易くなる。よって、例えば、希フッ酸(DHF)によるエッチング量の面内均一性が向上する。
【0088】
詳しくは、本実施形態では、薬液の液膜LM1に接触部材3が接触した後、接触部材保持部4が更に下降する。この結果、接触部材3が薬液の液膜LM1上に浮く状態となり、接触部材保持部4と接触部材3との係合状態が解除される。本実施形態では、係合ピン73は円柱状であり、鉛直方向に延びる。そして、係合穴31bも鉛直方向に延びる。よって、接触部材3は、自由に上下動可能となる。その結果、接触部材3の自重により薬液の液膜LM1が押されるため、薬液が基板Wの縁まで拡がり易くなる。
【0089】
制御装置101(制御部102)は、接触部材3を接触位置へ移動させて、係合ピン73が接触部材3の係合穴31bに係合すると、基板回転部8を制御して基板Wを第1回転速度で回転させる。基板Wの回転を開始してから一定時間が経過すると、制御装置101(制御部102)は、基板回転部8を制御して、基板Wの回転速度を第1回転速度から第2回転速度まで増加させる。例えば、第2回転速度は、200rpmである。なお、このとき、接触部材保持部4と接触部材3との係合状態が解除されており、係合ピン73が接触部材3の係合穴31bに係合しているため、基板Wと共に接触部材3も回転する。
【0090】
本実施形態によれば、基板Wの上面で保持されている薬液を基板Wと接触部材3とで挟んだ状態で基板Wを回転させる。この結果、基板W上で薬液の液流が発生する。したがって、薬液が基板Wの縁まで、より拡がり易くなる。
【0091】
制御装置101(制御部102)は、基板Wの回転速度を第1回転速度から第2回転速度まで増加させてから一定時間が経過すると、基板回転部8を制御して、基板W、基板保持部7及び接触部材3の回転を停止させる。制御装置101(制御部102)は、基板W、基板保持部7及び接触部材3の回転が停止すると、接触部材移動部5を制御して、接触部材保持部4を上昇させる。この結果、接触部材3が接触部材保持部4に支持されて、接触部材保持部4と共に上昇し、第2退避位置まで移動する。
【0092】
制御装置101(制御部102)は、接触部材3が第2退避位置まで移動すると、
図3(b)及び
図6に示すように、リンス液供給部91を制御して、第2ノズル9からリンス液を吐出させる(ステップS26)。
【0093】
詳しくは、制御装置101(制御部102)は、第2ノズル9からリンス液を吐出させる前に、基板回転部8を制御して、基板Wを第3回転速度で回転させる。第3回転速度は、例えば、800rpm以上1200rpm以下である。基板Wの回転速度が第3回転速度に達すると、制御装置101(制御部102)は、第2ノズル9からリンス液を吐出させる。その結果、
図6に示すように、基板W上にリンス液の液膜LM2が形成される。換言すると、基板W上の液膜が薬液の液膜LM1からリンス液の液膜LM2に置換される。リンス液の吐出開始から一定時間が経過すると、処理は乾燥処理(
図3(a)のステップS3)へ移る。
【0094】
以上、
図1~
図6を参照して、本発明の実施形態1を説明した。本実施形態によれば、一定量の薬液を基板Wに吐出すればよいため、処理対象の基板Wに向けて薬液を吐出し続けて基板Wを処理する構成と比べて、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。
【0095】
なお、
図1~
図6を参照して説明した実施形態では、制御装置101(制御部102)は、接触部材3が薬液の液膜LM1に接触している状態で基板Wを回転させたが、接触部材3が薬液の液膜LM1に接触している間、基板Wの回転を停止させもよい。
【0096】
また、
図1~
図6を参照して説明した実施形態では、回転している基板Wに向けて薬液が吐出されたが、停止している基板Wに薬液を吐出してもよい。以下、
図7(a)及び
図7(b)を参照して、本実施形態の基板処理装置100の変形例を説明する。
【0097】
図7(a)は、本実施形態の基板処理装置100の変形例1を模式的に示す図である。
図7(b)は、本実施形態の基板処理装置100の変形例2を模式的に示す図である。詳しくは、
図7(a)及び
図7(b)は、薬液吐出時(
図3(b)のステップS22)の基板処理部2を模式的に示す。
【0098】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、制御装置101(制御部102)は、基板Wを回転させていない状態で、第1ノズル6から一定量の薬液を吐出させてもよい。
図7(a)に示す例では、一定量の薬液は、基板Wの縁まで拡がらず、基板Wの中央部に留まっている。本実施形態では、接触部材3の自重によって薬液が押されるため、薬液の吐出時に基板Wの中央部に薬液が留まっても、基板Wの縁まで薬液が拡がり易い。
【0099】
あるいは、
図7(b)に示すように、第1ノズル6から吐出させる薬液の量(一定量)は、回転していない基板Wにおいて、基板Wの上面全体を覆う量であってもよい。
図7(b)に示す例によれば、接触部材3が薬液に接触する前に基板Wの上面全体が薬液で覆われるため、基板Wの中央部と縁部との間で薬液との接触時間に差が生じ難くなる。その結果、例えば、希フッ酸(DHF)によるエッチング量の面内均一性が向上する。
【0100】
続いて、
図8を参照して、本実施形態の基板処理装置100の変形例3を説明する。
図8は、基板処理時(
図3(a)のステップS2)の処理の流れの他例を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、
図3(b)に示す処理と比べて、ステップS28が追加されている。
【0101】
具体的には、制御装置101(制御部102)は、リンス液の吐出開始から一定時間が経過すると、ステップS22、ステップS24、及びステップS26の処理をN回繰り返したか否か判定する(ステップS28)。ステップS22、ステップS24、及びステップS26の処理をN回繰り返していないと制御装置101(制御部102)が判定すると(ステップS28のNo)、処理はステップS22に戻る。一方、ステップS22、ステップS24、及びステップS26の処理をN回繰り返したと制御装置101(制御部102)が判定すると(ステップS28のYes)、処理は乾燥処理(
図3(a)のステップS3)へ移る。
【0102】
図8に示す例によれば、ステップS22において使用する薬液の種類を変更することにより、複数種類の薬液を用いる基板処理が可能となる。したがって、例えば、RCA洗浄処理が可能となる。
【0103】
[実施形態2]
続いて
図1~
図9を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、接触部材3及び接触部材保持部4の構成が実施形態1と異なる。
【0104】
図9(a)は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の一部を模式的に示す図である。詳しくは、
図9(a)は、接触部材3を液面に接触させる際(
図3(b)のステップS24)の基板処理部2を模式的に示す。
【0105】
図9(a)に示すように、本実施形態の基板処理装置100は、気体供給部42を備える。また、接触部材3は、第1ラビリンス構造LA1を有する。接触部材保持部4は、第2ラビリンス構造LA2と、気体流入穴4aとを有する。
【0106】
第1ラビリンス構造LA1は、接触部材3の被支持部33に形成される。第1ラビリンス構造LA1は、凹凸形状を示す。具体的には、第1ラビリンス構造LA1は、複数の突条を含む。複数の突条は互いに平行である。よって、隣り合う2つの突条の間に溝が形成される。突条はそれぞれ環状であり、円周方向に沿って延びる。
【0107】
第2ラビリンス構造LA2は、接触部材保持部4の支持部41に形成される。第2ラビリンス構造LA2は、第1ラビリンス構造LA1に対向する。第2ラビリンス構造LA2は、第1ラビリンス構造LA1と同様の形状を有する。
【0108】
第1ラビリンス構造LA1の複数の突条は、第2ラビリンス構造LA2の複数の突条に対して径方向にずれた位置に配置される。具体的には、第1ラビリンス構造LA1の複数の突条は、第2ラビリンス構造LA2の複数の溝内に位置し、第2ラビリンス構造LA2の複数の突条は、第1ラビリンス構造LA1の複数の溝内に位置する。
【0109】
気体流入穴4aは、接触部材保持部4の内部と外部とを連通させる。気体供給部42は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、気体流入穴4aに気体を供給する。この結果、接触部材保持部4の内部に気体が流入する。
【0110】
具体的には、気体供給部42は、気体供給配管421と、第3開閉弁422とを含む。
図2を参照して説明した処理室2aは、気体供給配管421の一部を収容する。第3開閉弁422は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0111】
気体供給配管421は、気体を気体流入穴4aまで流通させる。気体は、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。あるいは、気体は、清浄な空気であってもよい。第3開閉弁422は、制御装置101(制御部102)によって制御される。気体供給配管421及び第3開閉弁422の構成は、
図2を参照して説明した薬液配管611及び第1開閉弁612と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0112】
本実施形態において、圧力緩和機構AKは、制御装置101(制御部102)と、気体供給部42とを含む。具体的には、制御装置101(制御部102)が気体供給部42を制御して、支持部41と被支持部33との間に気体を供給する。
【0113】
詳しくは、
図9(a)に示すように、制御装置101(制御部102)は、気体供給部42を制御して、接触部材保持部4の内部に気体を流入させる。接触部材3が薬液の液膜LM1に接触した後、接触部材保持部4が更に降下すると、第1ラビリンス構造LA1と第2ラビリンス構造LA2との間に隙間が発生する。その結果、第1ラビリンス構造LA1と第2ラビリンス構造LA2との間の隙間に気流が発生して、接触部材3を下方から上方へ押し上げる圧力が発生する。よって、接触部材3と接触部材保持部4との係合状態が解除される際に薬液の液膜LM1に付与される圧力が緩和される。
【0114】
続いて、
図9(a)及び
図9(b)を参照して、本実施形態の基板処理装置100を更に説明する。
図9(a)に示すように、基板保持部7は、複数の係合ピン73Aを有してもよい。係合ピン73Aと、
図2に示す係合ピン73とは、形状が異なる。具体的には、係合ピン73Aの形状は、円錐状である。詳しくは、係合ピン73Aの最上部の直径は、接触部材3の係合穴31bの直径より小さく、係合ピン73Aの最下部の直径は、接触部材3の係合穴31bの直径より大きい。その結果、接触部材3は、係合ピン73Aの途中までしか下降できない。つまり、係合ピン73Aは、接触部材3の下限位置を規制する。係合ピン73Aは、「規制部材」の一例である。本実施形態によれば、接触部材3の下限位置を規制できるので、例えば、接触部材3を接触位置に移動させる際の位置決めが容易になる。
【0115】
また、本実施形態によれば、接触部材3の被支持部33に第1ラビリンス構造LA1が含まれ、接触部材保持部4の支持部41に第2ラビリンス構造LA2が含まれるため、接触部材3が第1回転軸線AX1(
図2参照)に対して水平方向へずれ難い。その結果、係合ピン73Aを係合穴31bに、より確実に係合させることができる。
【0116】
なお、
図9(a)に示す例では、係合ピン73Aは円錐状であったが、接触部材3の下限位置を規制する形状は、円錐状に限定されない。
図9(b)は、係合ピン73Aの他例を示す図である。
図9(b)に示すように、係合ピン73Aは、例えば、段差を有する形状であってもよい。この場合、段差の位置で、接触部材3の下限位置が規制される。
【0117】
以上、
図1~
図9を参照して、本発明の実施形態2を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3が基板W上の薬液(処理液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。
【0118】
なお、本実施形態では、基板保持部7が係合ピン73Aを有したが、実施形態1と同様に、基板保持部7は係合ピン73(円錐状の係合ピン)を有してもよい。
【0119】
[実施形態3]
続いて
図10を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、圧力緩和機構AKの構成が実施形態1、2と異なる。
【0120】
図10は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の一部を模式的に示す図である。詳しくは、
図10は、接触部材3を液面に接触させる際(
図3(b)のステップS24)の基板処理部2を模式的に示す。
【0121】
図10に示すように、本実施形態の基板処理装置100は、気体供給部43を更に備える。また、接触部材保持部4は、気体流入流路4bを更に有する。以下、気体供給部42を、「第1気体供給部42」と記載する場合がある。同様に、気体供給部43を、「第2気体供給部43」と記載する場合がある。
【0122】
気体流入流路4bは、接触部材保持部4の内部と外部とを連通させる。気体流入流路4bの一端(吐出口)は、第2ラビリンス構造LA2内に位置する。第2気体供給部43は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、気体流入流路4bに気体を供給する。この結果、第2ラビリンス構造LA2から上方へ向けて気体が吐出される。換言すると、第2ラビリンス構造LA2から第1ラビリンス構造LA1へ向けて気体が吐出される。
【0123】
具体的には、第2気体供給部43は、気体供給配管431と、第4開閉弁432とを含む。以下、気体供給配管431を、「第2気体供給配管431」と記載する場合がある、
図2を参照して説明した処理室2aは、第2気体供給配管431の一部を収容する。第4開閉弁432は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0124】
第2気体供給配管431は、気体を気体流入流路4bまで流通させる。気体は、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。あるいは、気体は、清浄な空気であってもよい。第4開閉弁432は、制御装置101(制御部102)によって制御される。第2気体供給部43の構成は、第1気体供給部42と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0125】
本実施形態において、圧力緩和機構AKは、第2気体供給部43を更に含む。具体的には、
図10に示すように、制御装置101(制御部102)は、第2気体供給部43を制御して、支持部41と被支持部33との間に気体を供給する。この結果、接触部材3を下方から上方へ押し上げる圧力が発生する。よって、接触部材3が基板W上の薬液に接触する際に薬液に付与される圧力を更に緩和することができる。
【0126】
詳しくは、制御装置101(制御部102)は、第2気体供給部43を制御して、第2ラビリンス構造LA2から第1ラビリンス構造LA1へ向けて気体を吐出させる。つまり、支持部41から被支持部33へ向けて気体が吐出される。したがって、下方から上方へ押す圧力が被支持部33に付与されるため、接触部材3が基板W上の薬液に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和することができる。
【0127】
以上、
図10を参照して、本発明の実施形態3を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3が基板W上の薬液(処理液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。
【0128】
なお、本実施形態の基板処理装置100は、第1気体供給部42と、第2気体供給部43とを備えたが、基板処理装置100は、第1気体供給部42と、第2気体供給部43とのうち、第2気体供給部43のみを備えてもよい。
【0129】
[実施形態4]
続いて
図11~
図13を参照して本発明の実施形態4について説明する。但し、実施形態1~3と異なる事項を説明し、実施形態1~3と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態4は、基板処理部2の構成が実施形態1~3と異なる。
【0130】
図11は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す断面図である。
図11に示すように、本実施形態の基板処理装置100には、
図2を参照して説明した第2ノズル9及びリンス液供給部91が含まれない。本実施形態の基板処理装置100は、第2ノズル9に替えて、第3ノズル44を備える。また、接触部材3は、吐出孔31cを更に有する。
【0131】
第3ノズル44は、接触部材保持部4の内部空間に配置される。第3ノズル44は、接触部材保持部4から、接触部材3の筒状部32内部まで延びる。吐出孔31cは、接触部31に形成される。吐出孔31cは、接触部31を貫通する。吐出孔31cは、第3ノズル44の先端に対向する位置に設けられる。
【0132】
図12(a)は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる第3ノズル44、リンス液供給部45、及び第3気体供給部46を示す図である。
図12(a)に示すように、本実施形態の基板処理装置100は、
図2を参照して説明したリンス液供給部91に替えて、リンス液供給部45を備える。また、本実施形態の基板処理装置100は、第3気体供給部46を更に備える。
【0133】
図12(a)に示すように、第3ノズル44は、処理液流路44aと、気体流路44bとを含む。リンス液供給部45は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、処理液流路44aにリンス液を供給する。また、第3気体供給部46は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、気体流路44bに気体を供給する。
【0134】
具体的には、リンス液供給部45は、リンス液配管451と、第5開閉弁452とを含む。処理室2aは、リンス液配管451の一部を収容する。第5開閉弁452は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。リンス液配管451は、リンス液を第3ノズル44まで流通させる。リンス液供給部45の構成は、
図2を参照して説明したリンス液供給部91と略同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0135】
第3気体供給部46は、気体供給配管461と、第6開閉弁462とを含む。以下、気体供給配管461を、「第3気体供給配管461」と記載する場合がある。
図2を参照して説明した処理室2aは、第3気体供給配管461の一部を収容する。第6開閉弁462は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0136】
第3気体供給配管461は、気体を第3ノズル44まで流通させる。気体は、窒素ガス等の不活性ガスであってもよい。あるいは、気体は、清浄な空気であってもよい。第6開閉弁462は、制御装置101(制御部102)によって制御される。第3気体供給部46の構成は、
図9(a)を参照して説明した第1気体供給部42と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0137】
続いて、
図12(a)~
図12(c)を参照して、第3ノズル44を説明する。
図12(b)は、第3ノズル44の側面図である。
図12(c)は、第3ノズル44の底面図である。
【0138】
図12(a)に示すように、処理液流路44aは、第3ノズル44の先端まで延びる。
図12(c)に示すように、第3ノズル44は、処理液吐出口44cを有する。処理液吐出口44cは、第3ノズル44の先端に設けられる。処理液流路44aの一端は、処理液吐出口44cに連通する。リンス液供給部45から処理液流路44aに流入したリンス液は、処理液吐出口44c(第3ノズル44の先端)から吐出される。
【0139】
図12(a)に示すように、気体流路44bは、第3ノズル44の側面に向かって延びる。
図12(b)に示すように、第3ノズル44は、気体吐出口44dを有する。気体吐出口44dは、第3ノズル44の側面に設けられる。気体流路44bの一端は、気体吐出口44dに連通する。第3気体供給部46から気体流路44bに流入した気体は、気体吐出口44d(第3ノズル44の側面)から吐出される。
【0140】
図13(a)は、接触部材3を液面に接触させる際(
図3(b)のステップS24)の基板処理部2を模式的に示す図である。実施形態1と同様に、制御装置101(制御部102)は、基板保持部7及び基板Wの回転が停止した後に、接触部材3を接触位置へ移動させる。この結果、薬液の液膜LM1に接触部材3が接触する。更に、制御装置101(制御部102)は、薬液の液膜LM1に接触部材3が接触した後、接触部材保持部4を更に下降させる。この結果、接触部材3が薬液の液膜LM1上に浮く状態となり、接触部材保持部4と接触部材3との係合状態が解除される。よって、実施形態1と同様に、薬液が基板Wの縁まで拡がり易くなる。
【0141】
なお、
図9(a)を参照して説明したように、接触部材3の被支持部33及び接触部材保持部4の支持部41にラビリンス構造(第1ラビリンス構造LA1及び第2ラビリンス構造LA2)が形成されている場合、第3ノズル44の側面から吐出された気体により、接触部材3の被支持部33と接触部材保持部4の支持部41との間に気流が発生する。したがって、実施形態2と同様に、接触部材3と接触部材保持部4との係合状態が解除される際に薬液の液膜LM1に付与される圧力を緩和することができる。
【0142】
図13(b)は、リンス処理時(
図3(b)のステップS26)の基板処理部2を模式的に示す図である。
図13(b)に示すように、本実施形態において、接触部材3は、リンス処理時に処理位置に位置する。処理位置は、接触位置よりも上方の位置である。
【0143】
リンス処理時に、制御装置101(制御部102)は、リンス液供給部45を制御して、第3ノズル44からリンス液を吐出させる。吐出孔31cは、筒状部32の内側空間と外部とを連通しており、第3ノズル44から吐出されたリンス液は、接触部材3の筒状部32の内側に溜まりつつ、吐出孔31cから基板Wへ向けて吐出される。
【0144】
以上、
図11~
図13を参照して、本発明の実施形態4を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3が基板W上の薬液(処理液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。
【0145】
なお、本実施形態では、リンス処理時に接触部材3は処理位置に位置したが、接触部材3は、リンス処理時に接触位置に位置してもよい。
【0146】
[実施形態5]
続いて
図14を参照して本発明の実施形態5について説明する。但し、実施形態1~4と異なる事項を説明し、実施形態1~4と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態5は、基板処理部2の構成が実施形態1~4と異なる。
【0147】
図14は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の一部を模式的に示す図である。詳しくは、
図14は、接触部材3Aを液面に接触させる際(
図3(b)のステップS24)の基板処理部2を模式的に示す。
図14に示すように、本実施形態において、基板処理部2は、接触部材3Aを有する。
【0148】
接触部材3Aは、接触部31Aと、支持ベース部411と、筒状部32と、被支持部33とを含む。接触部31Aは、基板W上の薬液に接触して、基板W上の薬液を覆う。本実施形態において、接触部31Aは、円盤状である。接触部31Aの直径は、基板Wの直径と略同じである。接触部31Aの下面は、
図2を参照して説明した接触部31と同様に、液接触面31aである。接触部31Aは、
図11を参照して説明した接触部31と同様に、吐出孔31cを有する。
【0149】
支持ベース部411は、円盤状であり、支持ベース部411の直径は、基板Wの直径よりも大きい。支持ベース部411は、接触部31Aを支持する。例えば、接触部31Aは、支持ベース部411に結合されてもよい。支持ベース部411は、複数の係合穴411aと、連通孔411bとを有する。複数の係合穴411aは、
図2を参照して説明した係合穴31bに相当する。連通孔411bは、支持ベース部411を貫通する。連通孔411bは、第3ノズル44の先端に対向する位置に設けられる。連通孔411bは、吐出孔31cに連通する。
【0150】
以上、
図14を参照して、本発明の実施形態5を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3が基板W上の薬液(処理液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。
【0151】
[実施形態6]
続いて
図15~
図17を参照して本発明の実施形態6について説明する。但し、実施形態1~5と異なる事項を説明し、実施形態1~5と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態6は、基板処理部2の構成が実施形態1~5と異なる。
【0152】
図15(a)は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の一部を模式的に示す図である。
図15(b)は、接触部材3B及び接触部材保持部4の一部を拡大して模式的に示す断面図である。
【0153】
図15(a)に示すように、基板処理部2は、接触部材3Bと、基板保持部7Aとを有する。また、基板処理装置100は、第4気体供給部47と、吸引部48とを備える。なお、図示しないが、基板処理部2は、
図2を参照して説明した基板処理部2と同様に、処理室2aと、第1ノズル6と、薬液ノズル移動部62と、第2ノズル9と、カップ昇降部111とを更に有する。また、基板処理装置100は、薬液供給部61と、リンス液供給部91とを更に備える。
【0154】
接触部材3Bは、
図2を参照して説明した接触部材3と同様に、接触部31と、筒状部32と、被支持部33とを含む。接触部材3Bは、
図2を参照して説明した接触部材3と異なり、係合穴31bを含まない。接触部材3Bの接触部31は、
図2を参照して説明した接触部材3と異なり、基板Wと略同じ直径を有する。
【0155】
基板保持部7Aは、
図2を参照して説明した基板保持部7と同様に、複数のチャック部材71と、スピンベース72とを有する。基板保持部7Aは、
図2を参照して説明した基板保持部7と異なり、係合ピン73を含まない。
【0156】
図15(b)に示すように、接触部材保持部4は、気体流入流路41aと、吸引流路41bとを有する。気体流入流路41aの吐出口は、支持部41に設けられる。詳しくは、気体流入流路41aの吐出口は、接触部材3Bの被支持部33に対向する位置に配置される。同様に、吸引流路41bの吸引口は、支持部41に設けられる。詳しくは、吸引流路41bの吸引口は、接触部材3Bの被支持部33に対向する位置に配置される。
【0157】
第4気体供給部47は、気体流入流路41aに気体を流入させる。この結果、気体流入流路41aの吐出口から気体が吐出される。気体流入流路41aの吐出口から吐出された気体は、接触部材3Bの被支持部33に向けて噴出する。この結果、下方から上方へ押し上げる圧力が接触部材3Bの被支持部33に付与されて、被支持部33が支持部41から切り離される(パージされる)。
【0158】
具体的には、第4気体供給部47は、気体供給配管471と、第7開閉弁472とを有する。
図2を参照して説明した処理室2aは、気体供給配管471の一部を収容する。第7開閉弁472は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。気体供給配管471は、気体を気体流入流路41aまで流通させる。第4気体供給部47の構成は、
図9(a)を参照して説明した第1気体供給部42と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0159】
本実施形態において、圧力緩和機構AKは、制御装置101(制御部102)と、第4気体供給部47とを含む。具体的には、接触部材3Bが薬液に接触する際に、制御装置101(制御部102)が第4気体供給部47を制御して、気体流入流路41aの吐出口から気体を噴出させて、支持部41と被支持部33との間に気体を供給する。この結果、接触部材3を下方から上方へ押し上げる圧力が発生する。よって、接触部材3が基板W上の薬液に接触する際に薬液に付与される圧力を更に緩和することができる。
【0160】
詳しくは、支持部41から被支持部33へ向けて気体が吐出される。したがって、下方から上方へ押す圧力が被支持部33に付与されるため、接触部材3が基板W上の薬液に接触する際に薬液に付与される圧力を更に緩和することができる。
【0161】
吸引部48は、吸引流路41bから気体を吸引する。この結果、支持部41に被支持部33が吸着される。具体的には、吸引部48は、吸引配管481と、第8開閉弁482と、吸引機構483とを有する。
図2を参照して説明した処理室2aは、吸引配管481の一部を収容する。第8開閉弁482及び吸引機構483は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。
【0162】
吸引配管481は気体が流通する管状の部材である。吸引配管481は、吸引流路41bに連通する。第8開閉弁482は、吸引配管481に介装される。第8開閉弁482は、吸引配管481を介した気体の流通、及び流通の停止を制御する。第8開閉弁482の構成は、
図2を参照して説明した第1開閉弁612と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0163】
吸引機構483は、吸引配管481に接続する。吸引機構483の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。吸引機構483が駆動すると、吸引流路41bから吸引配管481内へ気体が吸引される。吸引機構483は、例えば、真空ポンプを含む。
【0164】
続いて、
図15~
図17を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図16及び
図17は、第1ノズル6から基板Wの上面に薬液が吐出された後の基板処理部2の動作を模式的に示す図である。
【0165】
図16(a)に示すように、接触部材3Bが第2退避位置に位置する際に、制御装置101(制御部102)は、吸引部48を制御して、支持部41に被支持部33を吸着させる。
【0166】
図16(b)に示すように、第1ノズル6から基板Wの上面に薬液が吐出されると、制御装置101(制御部102)は、吸引機構483を停止させる。この結果、被支持部33の吸着が解除される。また、制御装置101(制御部102)は、第4気体供給部47を制御して、気体流入流路41aの吐出口から気体を噴出させる。この結果、被支持部33が支持部41から切り離される(パージされる)。制御装置101(制御部102)は、接触部材移動部5を制御して、接触部材3Bを第2退避位置から接触位置へ移動させる。その結果、
図16(c)に示すように、接触部材3Bの液接触面31aが薬液の液膜LM1に接触する。
【0167】
本実施形態では、接触部材3Bの液接触面31aが薬液の液膜LM1に接触する際に、支持部41から被支持部33へ向けて気体が吐出されている。したがって、下方から上方へ押す圧力が被支持部33に付与されるため、接触部材3が基板W上の薬液に接触する際に薬液に付与される圧力を更に緩和することができる。
【0168】
図17(a)及び
図17(b)に示すように、接触部材3Bが接触位置から第2退避位置まで移動する間、制御装置101(制御部102)は、気体流入流路41aの吐出口からの気体の噴出を継続させる。
【0169】
図17(b)に示すように、接触部材3Bが第2退避位置まで移動した後、制御装置101(制御部102)は、第4気体供給部47を制御して、気体流入流路41aの吐出口からの気体の噴出を停止させる。そして、制御装置101(制御部102)は、吸引機構483を駆動させて、支持部41に被支持部33を吸着させる。
【0170】
以上、
図15~
図17を参照して、本発明の実施形態6を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3が基板W上の薬液(処理液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。
【0171】
[実施形態7]
続いて
図18~
図20を参照して本発明の実施形態7について説明する。但し、実施形態1~6と異なる事項を説明し、実施形態1~6と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態7は、基板処理部2の構成が実施形態1~6と異なる。
【0172】
図18は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の一部を模式的に示す図である。
図18に示すように、基板処理部2は、接触部材3Aと、接触部材保持部4と、基板保持部7Bと、ピン昇降部75とを有する。また、基板処理装置100は、第4気体供給部47と、吸引部48と、吸引部76とを備える。なお、図示しないが、基板処理部2は、
図2を参照して説明した基板処理部2と同様に、処理室2aと、第1ノズル6と、薬液ノズル移動部62と、第2ノズル9と、カップ昇降部111とを更に有する。また、基板処理装置100は、薬液供給部61と、リンス液供給部91とを更に備える。以下、吸引部48を、「第1吸引部48」と記載する場合がある。また、吸引部76を、「第2吸引部76」と記載する場合がある。
【0173】
本実施形態において、接触部材3Aは、
図14に示す吐出孔31c、係合穴411a及び連通孔411bを含まない。基板保持部7Bは、複数のチャック部材71Aと、スピンベース72Bとを有する。チャック部材71Aはそれぞれ、吸引流路71aを有する。スピンベース72Bは、複数の吸引流路72aと、複数の収容部72bと、複数の昇降ピン74とを有する。昇降ピン74は、「昇降支持部材」の一例である。
【0174】
吸引流路71aはそれぞれ、鉛直方向に延びる。吸引流路71aの各々の上端は、気体の吸引口を形成する。吸引流路71aの各々の下端は、対応するスピンベース72の吸引流路72aと連通する。
【0175】
吸引流路72aはそれぞれ、鉛直方向に延びる。吸引流路72aの各々の上端は、対応する吸引流路71aの下端と連通する。収容部72bはそれぞれ、昇降ピン74を収容する。詳しくは、収容部72bは、鉛直方向に延びる。収容部72bの上端は開口している。昇降ピン74は、鉛直方向に延びる。昇降ピン74は、収容部72bに昇降自在に収容される。
【0176】
第2吸引部76は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、吸引流路72aから気体を吸引する。この結果、吸引流路71aから気体が吸引される。本実施形態では、接触部材3Aが薬液に接触している際に、支持ベース部411の下面が複数のチャック部材71Aの上面に接触する。チャック部材71Aの上面には吸引流路71aの吸引口が形成されている。したがって、第2吸引部76が気体を吸引すると、複数のチャック部材71Aの上面に支持ベース部411が吸着される。つまり、複数のチャック部材71Aに接触部材3Aが吸着される。
【0177】
具体的には、第2吸引部76は、吸引配管761と、第9開閉弁762と、第2吸引機構763とを有する。
図2を参照して説明した処理室2aは、吸引配管761の一部を収容する。第9開閉弁762及び第2吸引機構763は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。吸引配管761は、吸引流路72aに連通する。第2吸引部76の構成は、第1吸引部48と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0178】
ピン昇降部75は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、複数の昇降ピン74を昇降させる。ピン昇降部75は、エアシリンダ等のアクチュエータを含んでもよい。
【0179】
本実施形態において、圧力緩和機構AKには、昇降ピン74と、ピン昇降部75と、制御装置101(制御部102)とが含まれる。具体的には、制御装置101(制御部102)が、接触部材3Aに対して下方から複数の昇降ピン74を接触させた状態を維持しつつ、接触部材3Aを基板W上の薬液へ向けて移動させて薬液に接触させる。この結果、複数の昇降ピン74によって下方から接触部材3Aが支持された状態で、接触部材3Aを薬液に接触させることができる。したがって、接触部材3が基板W上の薬液に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和することができる。
【0180】
続いて、
図18~
図20を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図19及び
図20は、第1ノズル6から基板Wの上面に薬液が吐出された後の基板処理部2の動作を模式的に示す図である。
【0181】
図19(a)に示すように、接触部材3Aが第2退避位置に位置する際に、制御装置101(制御部102)は、第1吸引部48を制御して、支持部41に被支持部33を吸着させる。
【0182】
図19(b)に示すように、第1ノズル6から基板Wの上面に薬液が吐出されると、制御装置101(制御部102)は、第1吸引機構483を停止させる。この結果、被支持部33の吸着が解除される。また、制御装置101(制御部102)は、第4気体供給部47を制御して、気体流入流路41aの吐出口から気体を噴出させる。この結果、被支持部33が支持部41から切り離される(パージされる)。制御装置101(制御部102)は、ピン昇降部75を制御して、複数の昇降ピン74を上昇させる。詳しくは、制御装置101(制御部102)は、各昇降ピン74の上端が支持ベース部411に接触する位置まで、各昇降ピン74を上昇させる。この結果、複数の昇降ピン74によって、接触部材3Aが下方から支持される。
【0183】
制御装置101(制御部102)は、各昇降ピン74の上端が支持ベース部411に接触すると、接触部材移動部5を制御して、接触部材3Aを第2退避位置から接触位置へ移動させる。更に、制御装置101(制御部102)は、ピン昇降部75を制御して、複数の昇降ピン74を下降させる。このとき、制御装置101(制御部102)は、接触部材3A及び昇降ピン74の移動速度が等しくなるように、接触部材移動機構53(
図2参照)及びピン昇降部75を制御する。
【0184】
図19(c)に示すように、接触部材3Bが接触位置まで移動すると、制御装置101(制御部102)は、第2吸引部76を制御して、接触部材保持部4を複数のチャック部材71Aに吸着させる。
図19(c)及び
図20(a)に示すように、制御装置101(制御部102)は、接触部材3Bが接触位置まで移動した後も、複数の昇降ピン74を下降させる。この結果、複数の昇降ピン74から複数のチャック部材71Aに接触部材3Aが引き渡される。
【0185】
図20(b)に示すように、接触部材3Aを接触位置から上昇させる前に、制御装置101(制御部102)は、ピン昇降部75を制御して、昇降ピン74を上昇させる。そして、制御装置101(制御部102)は、昇降ピン74の上端が支持ベース部411に接触すると同時に、第2吸引機構763を停止させる。この結果、接触部材3Aの吸着が解除される。
【0186】
図20(b)及び
図20(c)に示すように、制御装置101(制御部102)は、接触部材3Aの吸着が解除されると、ピン昇降部75を制御して、複数の昇降ピン74を上昇させる。また、制御装置101(制御部102)は、接触部材移動部5を制御して、接触部材3Aを接触位置から第2退避位置へ移動させる。このとき、制御装置101(制御部102)は、接触部材3A及び昇降ピン74の移動速度が等しくなるように、接触部材移動機構53(
図2参照)及びピン昇降部75を制御する。
【0187】
図20(b)及び
図20(c)に示すように、制御装置101(制御部102)は、接触部材3Aが接触位置から第2退避位置まで移動する間、気体流入流路41aの吐出口からの気体の噴出を継続させる。
【0188】
図20(c)に示すように、接触部材3Aが第2退避位置まで移動した後、制御装置101(制御部102)は、第4気体供給部47を制御して、気体流入流路41aの吐出口からの気体の噴出を停止させる。そして、制御装置101(制御部102)は、第1吸引機構483を駆動させて、支持部41に被支持部33を吸着させる。また、接触部材3Aが第2退避位置まで移動した後、制御装置101(制御部102)は、ピン昇降部75を制御して、複数の昇降ピン74を下降させる。この結果、複数の昇降ピン74から接触部材保持部4に接触部材3Aが引き渡される。
【0189】
以上、
図18~
図19を参照して、本発明の実施形態7を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3が基板W上の薬液(処理液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。
【0190】
[実施形態8]
続いて
図21を参照して本発明の実施形態8について説明する。但し、実施形態1~7と異なる事項を説明し、実施形態1~7と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態8は、基板処理部2の構成が実施形態1~7と異なる。
【0191】
図21(a)は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の一部を模式的に示す図である。
図21(b)は、接触部材3Cの底面図である。
図21(a)に示すように、基板処理部2は、接触部材3Cと、接触部材保持部4Aと、接触部材移動部5と、基板保持部7Aと、基板回転部8と、カップ部11とを有する。また、本実施形態の基板処理装置100は、リンス液供給部45と、第3気体供給部46とを備える。また、
図21(b)に示すように、本実施形態の基板処理装置100は、第3ノズル44Aを備える。
【0192】
なお、図示しないが、基板処理部2は、
図2を参照して説明した基板処理部2と同様に、処理室2aと、第1ノズル6と、薬液ノズル移動部62と、カップ昇降部111とを更に有する。また、基板処理装置100は、薬液供給部61を更に備える。また、本実施形態の基板処理装置100には、
図2を参照して説明した第2ノズル9及びリンス液供給部91が含まれない。本実施形態の基板処理装置100は、実施形態4と同様に、第2ノズル9及びリンス液供給部91に替えて、第3ノズル44A及びリンス液供給部45を備える。
【0193】
本実施形態では、基板処理装置100が、圧力緩和機構AKとして、複数の弾性部材12を備える。複数の弾性部材12は、接触部材3Cと接触部材保持部4Aとの間に配置されて、接触部材3が基板W上の薬液に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和する。弾性部材12は、例えば、引張バネ、又は空気バネを含む。
【0194】
接触部材3Cは、基板W上の薬液に接触して、基板W上の薬液を覆う。本実施形態において、接触部材3Cは、円盤状である。接触部材3Cの直径は、基板Wの直径と略同じである。接触部材3Cの下面は、
図2を参照して説明した接触部31と同様に、液接触面31aである。
【0195】
本実施形態において、第3ノズル44Aは、接触部材3C、接触部材保持部4A、及び支持アーム51を貫通する。第3ノズル44Aの底面には、処理液吐出口44cと、気体吐出口44dとが設けられる。
【0196】
処理液流路44aは、第3ノズル44の先端まで延びて、処理液吐出口44cに連通する。リンス液供給部45から処理液流路44aに流入したリンス液は、処理液吐出口44c(第3ノズル44の先端)から吐出される。
【0197】
同様に、気体流路44bは、第3ノズル44の先端まで延びて、気体吐出口44dに連通する。第3気体供給部46から気体流路44bに流入した気体は、気体吐出口44d(第3ノズル44の先端)から吐出される。
【0198】
続いて、
図21を参照して、本実施形態の基板処理装置100を更に説明する。
図21に示すように、本実施形態において、接触部材移動部5は、支持アーム51と、第2基台52と、接触部材移動機構53aとを有する。
【0199】
接触部材移動機構53aは、支持アーム51を昇降させる昇降機構に加えて、接触部材3Cを回転させる回転機構を有する。例えば、接触部材移動機構53aは、接触部材保持部4Aを回転させることにより、接触部材3Cを回転させてもよい。制御装置101(制御部102)は、接触部材3Cが薬液に接触している際に、基板Wを回転させるとともに、接触部材3Cを回転させる。接触部材移動機構53aの回転機構は、例えば、電動モータと、ボールねじ機構とを含む。
【0200】
具体的には、接触部材移動機構53aは、鉛直方向に延びる第3回転軸線AX3を中心として、接触部材3Cを回転させる。第3回転軸線AX3は、接触部材3Cの中心を通る軸線である。接触部材3Cの中心は、基板Wの中心に対向する。
【0201】
以上、
図21を参照して、本発明の実施形態8を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3Cが基板W上の薬液(処理液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。また、接触部材3Cが薬液に接触している際に、基板Wを回転させるとともに、接触部材3Cを回転させることができるので、基板W上で薬液の液流を効率よく発生させることができる。したがって、薬液が基板Wの縁まで、より拡がり易くなる。
【0202】
[実施形態9]
続いて
図22~
図24を参照して本発明の実施形態9について説明する。但し、実施形態1~8と異なる事項を説明し、実施形態1~8と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態9は、基板処理部2の構成が実施形態1~8と異なる。
【0203】
図22は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の一部を模式的に示す図である。
図22に示すように、基板処理部2は、接触部材3Dと、接触部材保持部4B、接触部材移動部5と、基板保持部7Aと、基板回転部8と、カップ部11とを有する。また、基板処理装置100は、吸引部13を備える。
【0204】
なお、図示しないが、基板処理部2は、
図2を参照して説明した基板処理部2と同様に、処理室2aと、第1ノズル6と、薬液ノズル移動部62と、第2ノズル9と、カップ昇降部111とを有する。また、基板処理装置100は、薬液供給部61と、リンス液供給部91とを更に備える。
【0205】
本実施形態において、接触部材3Dは、円盤状である。接触部材3Dの直径は、基板Wの直径と略同じである。接触部材3Dの下面は、
図2を参照して説明した接触部31と同様に、液接触面31aである。
【0206】
接触部材保持部4Bは、吸引流路41cを有する。吸引流路41cの吸引口は、接触部材保持部4Bの下面に開口する。支持アーム51は、吸引流路51aを有する。吸引流路51aは、吸引流路41cに連通する。
【0207】
吸引部13は、吸引流路41cの吸引口から気体を吸引する。本実施形態では、吸引部13は、吸引流路51aから気体を吸引する。この結果、吸引流路51a及び吸引流路41cを介して、吸引流路41cの吸引口から気体が吸引される。
【0208】
吸引部13は、制御装置101(制御部102)によって制御される。制御装置101(制御部102)は、接触部材保持部4Bに接触部材3Dを保持させる際に吸引部13を駆動する。この結果、吸引口からの吸引力によって、接触部材保持部4Bの下面に接触部材3Dが吸着される。
【0209】
具体的には、吸引部13は、吸引配管131と、第10開閉弁132と、吸引機構133とを有する。
図2を参照して説明した処理室2aは、吸引配管131の一部を収容する。第10開閉弁132及び吸引機構133は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。吸引配管131は、吸引流路51aに連通する。吸引部13の構成は、
図15(a)を参照して説明した吸引部48と同様であるため、その説明は割愛する。
【0210】
なお、圧力緩和機構AKは、実施形態1と同様に、接触部材移動部5と制御装置101とによって構成される。
【0211】
続いて、
図22~
図24を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図23及び
図24は、第1ノズル6から基板Wの上面に薬液が吐出された後の基板処理部2の動作を模式的に示す図である。
【0212】
図23(a)に示すように、接触部材3Dが第2退避位置に位置する際に、制御装置101(制御部102)は、吸引部13を制御して、接触部材保持部4Bに接触部材3Dを吸着させる。
【0213】
図23(b)に示すように、制御装置101(制御部102)は、接触部材移動部5を制御して、接触部材3Dを第2退避位置から接触位置へ移動させる。制御装置101(制御部102)は、接触部材3Dが接触位置へ移動すると、吸引部13を制御して、接触部材3Dの吸着を解除する。具体的には、制御装置101(制御部102)は、吸引機構133を停止させる。
【0214】
図23(c)に示すように、制御装置101(制御部102)は、接触部材3Dの吸着を解除した後、接触部材移動部5を制御して、接触部材保持部4Bを上昇させる。このように、本実施形態では、接触部材3Dを用いて基板Wを処理する際に、接触部材保持部4Bは接触部材3Dを保持しない。本実施形態では、接触部材3Dを用いて基板Wを処理する際に、接触部材3Dが薬液の液膜LM1上に浮いた状態となる。
【0215】
図24(a)に示すように、接触部材3Dを接触位置へ移動させてから一定時間が経過すると、制御装置101(制御部102)は、接触部材移動部5を制御して、接触部材保持部4Bを下降させる。具体的には、制御装置101(制御部102)は、接触部材保持部4Bの下面が接触部材3Dの上面に接触する位置へ接触部材保持部4Bを移動させる。
【0216】
図24(b)に示すように、接触部材保持部4Bが接触部材3Dに接触すると、制御装置101(制御部102)は、吸引部13を制御して、接触部材保持部4Bに接触部材3Dを吸着させる。
【0217】
図24(c)に示すように、接触部材保持部4Bに接触部材3Dを吸着させた後に、制御装置101(制御部102)は、接触部材移動部5を制御して、接触部材3Dを第2退避位置まで移動させる。
【0218】
以上、
図22~
図24を参照して、本発明の実施形態9を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3Dが基板W上の薬液(処理液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。
【0219】
なお、接触部材3Dを薬液に接触させて基板Wを処理している際に、制御装置101(制御部102)は、基板Wを回転させてもよいし、基板Wを回転させなくてもよい。基板Wを回転させる場合、制御装置101(制御部102)は、接触部材3Dが基板W上で保持される回転速度で基板Wを回転させる。例えば、制御装置101(制御部102)は、基板Wの回転速度が200rpmとなるように基板回転部8を制御する。
【0220】
接触部材3Dは、センターロボットCRによって処理室2a内に搬入されて使用されてもよい。例えば、接触部材3Dは、基板処理装置100の外部から内部へインデクサーロボットIRによって搬入されてもよいし、基板処理装置100の内部に保持されてもよい。
【0221】
[実施形態10]
続いて
図25~
図27を参照して本発明の実施形態10について説明する。但し、実施形態1~9と異なる事項を説明し、実施形態1~9と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態10は、基板処理部2の構成が実施形態1~9と異なる。
【0222】
図25は、本実施形態の基板処理装置100に含まれる基板処理部2の構成を模式的に示す断面図である。
図25に示すように、基板処理部2は、処理室2aと、接触部材3Dと、接触部材保持部4Cと、接触部材移動部5と、第1ノズル6と、薬液ノズル移動部62と、基板保持部7Aと、基板回転部8と、第2ノズル9Aと、リンスノズル移動部14と、乾燥ノズル15と、乾燥ノズル移動部16と、カップ部11と、カップ昇降部111とを有する。また、基板処理装置100は、吸引部13と、気体供給部17と、薬液供給部61と、リンス液供給部91Aとを更に備える。
【0223】
処理室2aは、接触部材3Dと、接触部材保持部4Cと、接触部材移動部5と、第1ノズル6と、薬液ノズル移動部62と、基板保持部7Aと、基板回転部8と、第2ノズル9Aと、リンスノズル移動部14と、乾燥ノズル15と、乾燥ノズル移動部16と、カップ部11と、カップ昇降部111と、吸引部13の一部と、気体供給部17の一部と、薬液供給部61の一部と、リンス液供給部91Aの一部とを収容する。
【0224】
リンス液供給部91Aは、制御装置101(制御部102)によって制御されて、第2ノズル9Aにリンス液を供給する。具体的には、リンス液供給部91Aは、リンス液配管911Aと、第2開閉弁912Aとを含む。リンス液供給部91Aの構成は、リンス液供給部91と同様であるため、その説明は割愛する。
【0225】
第2ノズル9Aは、水平方向にリンス液を吐出する。リンスノズル移動部14は、第2ノズル9Aを昇降させる。具体的には、リンスノズル移動部14は、第2ノズル9Aを第2処理位置と第4退避位置との間で移動させる。第2処理位置は、カップ部11の内部の位置である。第4退避位置は、第2処理位置よりも上方の位置である。具体的には、第4退避位置は、カップ部11の外部の位置である。
【0226】
リンスノズル移動部14は、リンスアーム141と、第3基台142と、リンスノズル移動機構143とを有する。リンスノズル移動機構143は、制御装置101(制御部102)によって制御される。リンスノズル移動部14の構成は、接触部材移動部5と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0227】
気体供給部17は、制御装置101(制御部102)によって制御されて、乾燥ノズル15に気体を供給する。具体的には、気体供給部17は、気体供給配管171と、第11開閉弁172とを含む。
図2を参照して説明した処理室2aは、気体供給配管171の一部を収容する。第11開閉弁172は、
図1を参照して説明した流体ボックス10Bに収容されてもよい。気体供給配管171は、乾燥ノズル15まで気体を流通させる。気体供給部17の構成は、
図9(a)を参照して説明した第1気体供給部42と同様であるため、詳しい説明は割愛する。
【0228】
乾燥ノズル15は、第1吐出口151と、第2吐出口152とを有する。第1吐出口151は、上方へ向けて気体を吐出する。第2吐出口152は、下方へ向けて気体を吐出する。
【0229】
乾燥ノズル移動部16は、乾燥ノズル15を第5退避位置と第3処理位置との間で移動させる。乾燥ノズル移動部16は、制御装置101(制御部102)によって制御される。第5退避位置は、平面視において基板保持部7Aの外側の位置である。本実施形態において、第5退避位置は、平面視においてカップ部11の外側の位置である。第3処理位置は、接触部材3Dと、基板保持部7Aに保持されている基板Wとの間の位置である。乾燥ノズル15が第3処理位置に移動すると、第1吐出口151が接触部材3Dの液接触面31aに対向し、第2吐出口152が基板Wの上面に対向する。
【0230】
詳しくは、乾燥ノズル移動部16は、鉛直方向及び水平方向に乾燥ノズル15を移動させる。具体的には、乾燥ノズル移動部16は、アーム161と、第4基台162と、乾燥ノズル移動機構163とを有する。乾燥ノズル移動部16の構成は、薬液ノズル移動部62と同様であるため、その説明は割愛する。
【0231】
続いて、
図26を参照して、接触部材保持部4Cを説明する。
図26は、接触部材保持部4Cの構成を示す断面図である。
図26に示すように、接触部材保持部4Cは、吸着保持部491と、回転軸部492と、回転駆動部493と、吸引流路492aとを有する。
【0232】
回転軸部492は鉛直方向に延びる。回転軸部492の下端部は、吸着保持部491に結合する。吸着保持部491の下面は、吸着面491aを構成する。吸引流路492aは、鉛直方向に延びる。吸引流路492aは、回転軸部492から吸着保持部491にわたって形成される。吸引流路492aの下端は、吸着面491aにおいて開口する。吸引流路492aの下端は、吸着口を構成する。
【0233】
吸引配管131は、吸引流路492aに連通する。吸引機構133が駆動すると、吸着面491aの吸着口から気体が吸引される。吸着面491aに接触部材3Dが接触している際に吸引機構133が駆動すると、吸着面491aに接触部材3Dが吸着される。
【0234】
回転駆動部493は、鉛直方向に延びる第4回転軸線AX4を中心として、回転軸部492を回転させる。この結果、吸着保持部491が回転する。回転駆動部493は、例えば、電動モータを含む。回転駆動部493の動作は、制御装置101(制御部102)によって制御される。制御装置101(制御部102)は、接触部材保持部4Cに接触部材3Dが保持されている際に、回転駆動部493を駆動させる。この結果、第4回転軸線AX4を中心として接触部材3Dが回転する。第4回転軸線AX4は、第1回転軸線AX1と一致する。
【0235】
なお、圧力緩和機構AKは、実施形態1と同様に、接触部材移動部5と制御装置101とによって構成される。
【0236】
続いて、
図25~
図27を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。
図27(a)は、基板Wの上面に吐出された薬液に接触部材3Dが接触した後の基板処理部2を模式的に示す図である。換言すると、
図27(a)は、接触部材3Dを用いて基板Wを処理する際の基板処理部2を示す。
図27(b)は、リンス処理時(
図3(b)のステップS26)の基板処理部2を模式的に示す図である。
図27(c)は、乾燥処理時(
図3(a)のステップS3)の基板処理部2を模式的に示す図である。
【0237】
図27(a)に示すように、制御装置101(制御部102)は、接触部材3Dを用いて基板Wを処理する際に、基板回転部8を制御して基板Wを回転させるとともに、回転駆動部493を制御して、基板W上の薬液の液膜LM4に接触している接触部材3Dを回転させる。
【0238】
図27(b)に示すように、制御装置101(制御部102)は、リンス処理時に、リンスノズル移動部14を制御して、第2ノズル9Aを第2処理位置へ移動させる。具体的には、第2ノズル9Aは、接触部材3Dと基板Wとの間に挟まれた薬液の液膜LM4の側方へ移動する。
【0239】
制御装置101(制御部102)は、第2ノズル9Aが第2処理位置へ移動すると、リンス液供給部91Aを制御して、第2ノズル9Aからリンス液を吐出させる。この結果、薬液の液膜LM4がリンス液の液膜LM5に置換される。また、制御装置101(制御部102)は、リンス処理時に、基板回転部8を制御して基板Wを回転させるとともに、回転駆動部493を制御して、接触部材3Dを回転させる。
【0240】
図27(c)に示すように、乾燥処理時に、制御装置101(制御部102)は、接触部材移動部5を制御して、接触部材3Dを上方へ移動させる。その後、制御装置101(制御部102)は、乾燥ノズル移動部16を制御して、接触部材3Dと基板Wとの間の隙間に乾燥ノズル15を移動させる。そして、制御装置101(制御部102)は、気体供給部17を制御して、乾燥ノズル15の第1吐出口151及び第2吐出口152から気体を吐出させる。また、制御装置101(制御部102)は、乾燥処理時に、基板回転部8を制御して基板Wを高速回転させるとともに、回転駆動部493を制御して、接触部材3Dを高速回転させる。
【0241】
以上、
図25~
図27を参照して、本発明の実施形態10を説明した。本実施形態によれば、薬液(処理液)の消費量を低減することができる。また、接触部材3Dが基板W上の薬液(薬液)に接触する際に薬液に付与される圧力を緩和できる。
【0242】
なお、本実施形態では、接触部材3Dを用いて基板Wを処理する際に接触部材3Dを回転させたが、接触部材3Dを用いて基板Wを処理する際に接触部材3Dを回転させなくてもよい。また、本実施形態では、接触部材保持部4Cに接触部材3Dが保持された状態で基板処理が行われるが、基板処理時に接触部材保持部4Cは接触部材3Dを保持しなくてもよい。具体的には、接触部材保持部4Cは、基板処理時に接触部材3Dから離れて上方へ退避してもよい。
【0243】
以上、図面(
図1~
図27)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0244】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0245】
例えば、
図1~
図27を参照して説明した実施形態において、基板保持部7、7A、及び7Bは、複数のチャック部材71、71Aを基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックであったが、基板Wを保持する方式は、基板Wを水平に保持できる限り、特に限定されない。例えば、基板保持部7、7A、及び7Bは、バキューム式のチャックであってもよいし、ベルヌーイ式のチャックであってもよい。
【0246】
また、
図1~
図27を参照して説明した実施形態では、基板処理時に、接触部材3、3A~3Dを接触させた状態で基板Wを回転させたが、基板処理時に、接触部材3、3A~3Dを接触させた状態で基板Wを回転させなくてもよい。具体的には、基板W上の処理液に接触部材3、3A~3Dを接触させた状態を一定時間維持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0247】
本発明は、基板を処理する装置、及び基板を処理する方法に有用である。
【符号の説明】
【0248】
2 :基板処理部
3、3A~3D :接触部材
4、4A~4C :接触部材保持部
5 :接触部材移動部
7、7A、7B :基板保持部
8 :基板回転部
12 :弾性部材
42 :気体供給部
43 :気体供給部
46 :第3気体供給部
47 :第4気体供給部
53、53a :接触部材移動機構
73、73A :係合ピン
74 :昇降ピン
75 :ピン昇降部
100 :基板処理装置
101 :制御装置
102 :制御部
103 :記憶部
AK :圧力緩和機構
W :基板