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特開2024-106773商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステム、及び、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法
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  • 特開-商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステム、及び、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106773
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステム、及び、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240801BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011206
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】501133096
【氏名又は名称】株式会社フェイス
(71)【出願人】
【識別番号】512070779
【氏名又は名称】株式会社ウイルエー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】安井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】小鴨 芳人
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】商品の出荷先及び生産ロットをスムーズに調べることができる、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステムを提供する。
【解決手段】商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステムであって、RFIDが内蔵された化粧箱、RFIDを読み取るリーダー、及び、RFIDのデータを保存し処理するためのプログラムが内蔵されたパソコンを備え、RFIDには商品のJANコード及び番号がエンコードされ、リーダーは、商品を出荷する際に出荷先毎に化粧箱のRFIDを読み取るため、及び、ピッキングリストに貼り付けられた出荷管理用RFIDを読み取るために使用され、パソコンのプログラムによって、商品の化粧箱のRFIDを前記リーダーで読み取って得られたデータをパソコンに保存されているデータと照会すると商品に関するデータを調べることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステムであって、
前記商品を梱包するための化粧箱であって、データとして前記商品のJANコード及び番号がエンコードされるRFIDが内蔵された、化粧箱、
前記化粧箱のRFIDを読み取るためのリーダー、及び、
前記リーダーで読み取った前記RFIDのデータを保存し、処理するプログラムを内蔵したパソコンを備え、
前記RFIDに、前記商品のJANコード及び番号をエンコードし、前記RFIDを前記商品の生産ロット単位で管理し、
前記リーダーは、前記化粧箱に前記商品を入れて梱包した後、前記商品を出荷する際に、出荷先毎に前記化粧箱のRFIDを読み取るために使用され、さらに、前記リーダーは、出荷する商品の化粧箱のRFIDの番号が記載されたピッキングリスト、及び、出荷する商品の化粧箱のRFIDの番号が記載された出荷管理用RFIDが作成されると、前記ピッキングリストに貼り付けられた前記出荷管理用RFIDを読み取るためにも使用され、
前記パソコンには、前記リーダーによって読み取られた前記RFIDのデータ、及び、前記出荷管理用RFIDのデータが転送されて保存され、前記パソコンに保存されたデータは、出荷日時と共に商品の出荷先毎に保存されており、
前記パソコンのプログラムによって、前記商品の化粧箱のRFIDを前記リーダーで読み取って得られたデータを、前記パソコンに保存されているデータと照会すると、前記商品に関するデータを調べることができることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記リーダーによって読み取った前記化粧箱の前記RFIDのデータを、前記パソコンに転送するためのスマートフォンを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムを用いて、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法であって、
販売された前記商品の化粧箱のRFIDのデータを前記リーダーによって読み取り、読み取った前記RFIDのデータを基に、前記パソコンのプログラムによって、前記パソコンに保存されているデータと照合し、前記商品の出荷先、及び、出荷日時を特定することを特徴とする方法。
【請求項4】
販売された前記商品の化粧箱のRFIDのデータを前記リーダーによって読み取り、読み取った前記RFIDのデータを基に、前記パソコンのプログラムによって、前記パソコンに保存されているデータと照合し、前記RFIDのデータの中から生産ロットに関するデータを参照することで、前記リーダーによって読み取ったRFIDに該当する商品と、同一の生産ロットの商品の出荷先、及び、日時を特定することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステム、及び、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットを用いたフリマ等の普及により、様々な商品が様々なルートで販売されており、場合によっては正規ルート以外で手に入れた商品が、一般価格より安く、或いは、プレミアを付けた値段で販売されている。このような正規ルート以外での商品の販売を防止するために、製造会社は正規ルート以外で販売された商品の販売ルートを調査する必要に迫られている。また、正規ルート以外で入手した商品が説明なく使用されてトラブルが発生した場合に販売ルートを調査することができれば、消費者及びメーカーを守ることができる。
【0003】
このような商品の販売ルートを調査するためには、商品を識別する必要があり、商品にマーキング等を施して商品を識別する方法が用いられている。例えば、引用文献1には、商品及び商品を梱包する容器に固有識別子をマーキングし、機械又は人がマーキングを読み取る方法が記載されている。特許文献2には、物品に強磁性体を取り付けておき、強磁性体の磁気特性を検出することで商物品を検査する方法が記載されている。特許文献3には、製品にセキュリティコードを印刷し、セキュリティコードをホストに送信することで、製品を確認する方法が記載されている。
【0004】
特許文献1~3のような従来の横流し品を防止するための方法は、いずれも商品自体に、マーキング等を施す必要があり、商品の種類によってはマーキング等を実施することができない場合があった。また、マーキングン等が施されていることが外観から確認できる場合、マーキング等を除去する、あるいは、マーキングを認識できないように対策を施される可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2018-517632号公報
【特許文献2】特開2006- 72488号公報
【特許文献3】特表2008-545282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、商品自体にマーキング等を施すことなく、また、外観上は横流し対策のマーキング等が行われていることを認識できないようにし、商品の横流しを発見した際には、スムーズに商品の出荷先を特定することができる、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステムは、前記商品を梱包するための化粧箱であって、データとして前記商品のJANコード及び番号がエンコードされるRFIDが内蔵された、化粧箱、前記化粧箱のRFIDを読み取るためのリーダー、及び、前記リーダーで読み取った前記RFIDのデータを保存し、処理するプログラムを内蔵したパソコンを備え、前記RFIDに、前記商品のJANコード及び番号をエンコードし、前記RFIDを前記商品の生産ロット単位で管理し、前記リーダーは、前記化粧箱に前記商品を入れて梱包した後、前記商品を出荷する際に、出荷先毎に前記化粧箱のRFIDを読み取るために使用され、さらに、前記リーダーは、出荷する商品の化粧箱のRFIDの番号が記載されたピッキングリスト、及び、出荷する商品の化粧箱のRFIDの番号が記載された出荷管理用RFIDが作成されると、前記ピッキングリストに貼り付けられた前記出荷管理用RFIDを読み取るためにも使用され、前記パソコンには、前記リーダーによって読み取られた前記RFIDのデータ、及び、前記出荷管理用RFIDのデータが転送されて保存され、前記パソコンに保存されたデータは、出荷日時と共に商品の出荷先毎に保存されており、前記パソコンのプログラムによって、前記商品の化粧箱のRFIDを前記リーダーで読み取って得られたデータを、前記パソコンに保存されているデータと照会すると、前記商品に関するデータを調べることができることを特徴とする。
【0008】
本発明のシステムは、前記リーダーによって読み取った前記化粧箱の前記RFIDのデータを、前記パソコンに転送するためのスマートフォンを備える。
【0009】
本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法は、前記システムを用いて、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法であって、販売された前記商品の化粧箱のRFIDのデータを前記リーダーによって読み取り、読み取った前記RFIDのデータを基に、前記パソコンのプログラムによって、前記パソコンに保存されているデータと照合し、前記商品の出荷先、及び、出荷日時を特定することを特徴とする。
【0010】
本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法は、販売された前記商品の化粧箱のRFIDのデータを前記リーダーによって読み取り、読み取った前記RFIDのデータを基に、前記パソコンのプログラムによって、前記パソコンに保存されているデータと照合し、前記RFIDのデータの中から生産ロットに関するデータを参照することで、前記リーダーによって読み取ったRFIDに該当する商品と、同一の生産ロットの商品の出荷先、及び、日時を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステムは、前記商品を梱包するための化粧箱であって、データとして前記商品のJANコード及び番号がエンコードされるRFIDが内蔵された、化粧箱、前記化粧箱のRFIDを読み取るためのリーダー、及び、前記リーダーで読み取った前記RFIDのデータを保存し、処理するプログラムを内蔵したパソコンを備え、前記RFIDに、前記商品のJANコード及び番号をエンコードし、前記RFIDを前記商品の生産ロット単位で管理し、前記リーダーは、前記化粧箱に前記商品を入れて梱包した後、前記商品を出荷する際に、出荷先毎に前記化粧箱のRFIDを読み取るために使用され、さらに、前記リーダーは、出荷する商品の化粧箱のRFIDの番号が記載されたピッキングリスト、及び、出荷する商品の化粧箱のRFIDの番号が記載された出荷管理用RFIDが作成されると、前記ピッキングリストに貼り付けられた前記出荷管理用RFIDを読み取るためにも使用され、前記パソコンには、前記リーダーによって読み取られた前記RFIDのデータ、及び、前記出荷管理用RFIDのデータが転送されて保存され、前記パソコンに保存されたデータは、出荷日時と共に商品の出荷先毎に保存されており、前記パソコンのプログラムによって、前記商品の化粧箱のRFIDを前記リーダーで読み取って得られたデータを、前記パソコンに保存されているデータと照会すると、前記商品に関するデータを調べることができることにより、化粧箱にRFIDが内蔵されていることで、外部からは商品の横流し対策が行われていることを認識できないようにすることができ、さらに、商品が正規ルート以外で販売された場合、出荷先の特定が容易になり、さらに、商品に不具合が生じた場合、同じ生産ロットの商品の出荷先等を特定し易くなる。
【0012】
本発明のシステムは、前記リーダーによって読み取った前記化粧箱の前記RFIDのデータを、前記パソコンに転送するためのスマートフォンを備えることにより、RFIDのデータの転送が容易になる。
【0013】
本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法は、前記システムを用いて、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法であって、販売された前記商品の化粧箱のRFIDのデータを前記リーダーによって読み取り、読み取った前記RFIDのデータを基に、前記パソコンのプログラムによって、前記パソコンに保存されているデータと照合し、前記商品の出荷先、及び、出荷日時を特定することにより、外部からは商品の横流し対策が行われていることを認識できないようにすることができ、さらに、商品を正規ルート以外で販売された場合に、化粧箱があれば確実に商品の出荷先を特定することができるようになる。
【0014】
本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法は、販売された前記商品の化粧箱のRFIDのデータを前記リーダーによって読み取り、読み取った前記RFIDのデータを基に、前記パソコンのプログラムによって、前記パソコンに保存されているデータと照合し、前記RFIDのデータの中から生産ロットに関するデータを参照することで、前記リーダーによって読み取ったRFIDに該当する商品と、同一の生産ロットの商品の出荷先、及び、日時を特定することにより、同一の生産ロットの商品の有無、出荷先を容易に特定できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステムシステムの概略図である。
図2】ピッキングリスト及び出荷管理用RFIDの概略図であり、(a)がピッキングリスト、(b)が出荷管理用RFID、(c)がピッキングリストに出荷管理用RFIDを貼り付けた状態を示す図である。
図3】商品の横流しを追跡する方法を示す概略図である。
図4】商品の生産ロットを検索する方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステム1について、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。図1に示すのが、本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステム1を用いた商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法の概略図である。
【0017】
本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのシステム1は、図1,2に示すように、RFID10が内蔵された、商品6を梱包するための化粧箱2、化粧箱2のRFID10を読み取るためのリーダー3A、3B、3C、リーダー3A、3B、3Cから送信された前記RFID10のデータを保存及び処理するプログラムを内蔵したパソコン4A、4B、4Cを備える。
【0018】
前記化粧箱2に内蔵されたRFID10は、外部から視認できないように内蔵されており、RFID10にはデータとして商品のJANコード及び連番である番号をエンコードする。これにより、リーダー3Cによって化粧箱2に内蔵されたRFID10を読み取ることで、化粧箱2に収容された商品を識別することができるようになる。
【0019】
化粧箱2にRFID10を内蔵し、化粧箱2に商品を入れて梱包し、商品を出荷するまでの流れに沿って、図1~4を用いて本発明の商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するシステム1及び商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索する方法について説明する。
【0020】
化粧箱2に内蔵するRFID10にデータをエンコードする必要があることから、RFID10を作成し、化粧箱2への内蔵を行う会社Aは、予め商品のJANコードデータを商品の製造会社Bから提供してもらう必要がある。そして、会社Aでは、提供してもらった商品のJANコード及び番号をRFID10にエンコードし、化粧箱2にRFID10を内蔵する。例えば、RFID10のチップ合計容量が96ビットの場合、固定:14ビット、JANコード44ビット、シリアルNo38ビット(年月8ビット、番号30ビット)とすることができる。このようにして、RFID10が内蔵された化粧箱2が完成したら、図1に示すように、製造会社Bに化粧箱2を出荷する(矢印A)。この時、会社Aでは、製造会社Bに出荷した化粧箱2のRFID10のデータを、リーダー3Aで読み取って、スマートフォン5A等を介してパソコン4Aに転送し、化粧箱2の出荷先の製造会社Bの会社名と共にパソコン4A等に保存する。商品の生産ロット検索を行うために、化粧箱2のRFID10は商品の生産ロット単位で管理する。
【0021】
商品の製造会社Bは、商品の生産ロット毎に化粧箱2に商品を入れて梱包し、在庫として倉庫等で保管する。この時、商品の梱包が完了して化粧箱2が余った場合は会社Aに化粧箱2を返品する。化粧箱2が会社Aに返品されると、会社Aは、返品された化粧箱2のRFID10をリーダー3Aで読みとり、返品された化粧箱2を識別し、製造会社Bに出荷した化粧箱2のRFID10のデータを確定させる。そして、会社Aは、製造会社Bに出荷した化粧箱2のRFID10のデータ(番号、商品のJANコード)をメール等で送信する。これにより、製造会社Bに出荷した化粧箱2のRFID10の番号が商品の生産ロット毎に確定する。製造会社Bでは、商品の生産ロット毎にRFID10のデータを管理することで、商品の生産ロット検索を行うことができる。製造会社Bに出荷した化粧箱2に破損等の不具合が合った場合も会社Aに返品し、新たな化粧箱2を出荷してもらうが、この場合も、会社Aでは返品された化粧箱2のRFID10及び新たに出荷した化粧箱2のRFID10を読み取って、製造会社Bに出荷した化粧箱2のRFID10のデータを更新し、製造会社Bに更新したRFID10に関するデータをメール等で送信し、製造会社Bに出荷した化粧箱2のRFID10のデータを確定させる。
【0022】
製造会社Bでは、化粧箱2に商品6を入れて梱包し、在庫として倉庫等で保管する。商品を保管するのは製造会社Bとは限らず、別の会社で保管する場合もあり、その際には商品6のピッキング作業は別の会社が行うことになる。商品の出荷先が決定すると、出荷先の会社毎に商品6のピッキングを行う。そして商品6のピッキングが完了したら、出荷先の会社毎に商品6が収容された化粧箱2のRFID10をリーダー3Bによって読み取り、読み取ったRFID10のデータをパソコン4Bに保存する。例えば、図1に示す場合、商品6を同じ日に2か所の出荷先D,Eに出荷している。
【0023】
化粧箱2のRFID10をリーダー3Bで読み取ってパソコン4Bにデータを保存する際に、ピッキングリスト7の出荷管理用RFID11もスキャンして、後で商品の出荷先を確認できるようにする。また、パソコン4BにRFID10のデータを保存する際に、出荷先の会社名等に加えて、出荷日時、ピッキングリストの番号等も同時にデータとして入力する。この時、データを保存するファイル名として、出荷先の会社名等を記入することも可能である。
【0024】
そして、読み取って保存したRFID10のデータを基に、出荷する商品の化粧箱2のRFID10の番号が記載されたピッキングリスト7を作成し、さらに、前記番号が記載された出荷管理用RFID11を作成し、ピッキングリスト7に貼り付けて、出荷管理用RFID11についてもリーダー3Bによって読み取り、パソコン4Bに出荷管理用RFID11のデータも保存する。
【0025】
パソコン4Bには、このようにして保存したデータを基に様々なリストを作成し、データを検索するためのプログラムが内蔵されている。例えば、出荷先の会社毎に、出荷日時、ピッキングリスト7の番号等をリストとして表示することができる。また、パソコン4Bには、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのプログラムも内蔵されている。
【0026】
次に、商品の横流しを追跡する方法について図3を用いて説明する。商品の横流しを追跡するのは、商品を出荷した部署とは異なる部署、あるいは、異なる会社で行うことが可能である。ここでは、製造会社Bで使用したリーダー3B及パソコン4Bとは異なるリーダー3C及びパソコン4Cを用いて別の部署あるいは会社商品の横流しを追跡する方法について説明する。この場合、図3に示すように、パソコン4Cはインターネットを介してパソコン4Bとデータを共有しており、パソコン4Cには、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するためのプログラムも内蔵されている。また、パソコン4Cはインターネットを介して会社Aのパソコン4Aともデータを共有することも可能である。
【0027】
インターネット等で商品6が正規ルート以外で販売されているのを確認した場合、実際に商品6を購入し、図3に示すように、商品6の化粧箱2のRFID10をリーダー3Cによって読み取る。この時、化粧箱2にRFID10が内蔵されていなければ、その商品は正規品ではなくコピー品等である可能性が高いと判断することができる。化粧箱2のRFID10を読み取ることができた場合、パソコン4Cのプログラムのメニューから転売追跡を選択すると、読み取ったRFID10の番号を基に商品の検索が行われ、図3に示すように、検索結果として、商品ファイル名、商品名、出荷日時、ピッキングリスト7の番号等が表示される。ピッキングリスト7の番号を基に、ピッキングリスト7を確認すると、その商品が出荷された会社名を確定することができる。このようにして、正規ルート以外で販売された商品の出荷先を確定することで、正規のルート以外にどのようなルートでその商品が販売されたのかを調査し易くなる。
【0028】
次に、商品6にリコール、不具合等が生じた場合に、商品の生産ロットを検索する方法について、図4を用いて説明する。商品6にリコール、不具合等が生じた場合に、図4に示すように、該当する商品6の化粧箱2のRFID10をリーダー3Cで読み取る。そして、パソコン4Cのプログラムから生産ロット検索のメニューを選択すると、同一商品6の出荷リストが検索結果として表示される。図4に示すように、検索結果には、出荷日時、ピッキングリストの番号、そして、同一日時別ロット出荷有無を表示する。同一日時別ロット出荷有無については、例えば、同一日時に読み取ったRFID10の商品と同一の生産ロットの商品だけを出荷している場合は、何も表示せず、1つの出荷で異なる生産ロットを含む場合は、図4に示すように、リストの同一日時別ロット出荷有無の欄に★印等の表示を行い、同一日時別ロット出荷が有ることを分かるようにする。
【0029】
従って、出荷リストを見て、リストの同一日時別ロット出荷有無の欄に表示が無い出荷については全ての商品が、リコール、不具合等が生じた商品と同じ生産ロットであると判断することができる。そして、リストの同一日時別ロット出荷有無の欄に表示(★)が有る出荷については、一部の商品が同じ生産ロットである可能性があることから、ピッキングリスト7を参照して、商品の生産ロットを確認する。このように、商品の生産ロットを確認する作業を省力化することができる。
【0030】
RFID10等のデータの読み取り、転送について説明する。商品6の出荷時にリーダー3BによってRFIDのデータを読み取るが、読み取ったデータについては、リーダー3Bと無線で接続されたスマートフォン5B等を介して、パソコン4Bに転送することができる。スマートフォン5Bからパソコン4Bへのデータの転送は有線又は無線で行うことが可能であり、RFID10のデータを読み取った場所から、無線でパソコン4Bへデータを転送する、又は、スマートフォン5Bをパソコン4Bのある場所へ持って行きパソコン4Bに有線で、読み取ったRFID10のデータを転送することが可能である。
【0031】
パソコン4Bに保存されているデータについては、別途サーバ等を設けて、サーバにデータを保存して、データを共有できるようにすることも可能である。この場合、サーバに会社Aが出荷した化粧箱2のデータを保存し、製造会社Bで読み取ったRFID10のデータ及び商品出荷時のデータもサーバに保存することができるようになる。また、商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索するために使用するパソコン4Cもサーバに接続し、サーバに保存されたデータを使用して商品の横流しを追跡し、商品の生産ロットを検索することも可能である。このようなサーバを用いる場合にはセキュリティ対策としてパスワード等を用いてサーバへのアクセスを制限する必要がある。サーバを用いない場合でも、パソコン4A,4B,4Cへのアクセスはパスワード等を用いてセキュリティ対策を行う必要がある。
【0032】
別途サーバを設ける場合、パソコン4A,4B,4Cとサーバはインターネットを介して接続する。そして、リーダー3A,3B,3Cによって読み取ったRFID10のデータをスマートフォン5B,5C等を介して、直接、サーバに転送することも可能である。
【0033】
本発明は、RFID10が内蔵された化粧箱2を用いていることから、正規ルート以外で商品を販売する際に、商品の横流し対策が行われていることが外部からは分からなくなっていることから、従来のような横流し品の販売の際にマーキングを取り外す等の対策を防止することができる。そして、商品が正規ルート以外で販売された場合、商品を入手し、商品の化粧箱2のRFID10をリーダー3Cで読み取るだけで、出荷先を簡単に特定することができる。また、正規ルート以外で販売された商品の化粧箱2をリーダー3Cで読み取った際に、RFID10を認識することができなければ、その商品は、正規品ではなく偽物、コピー品の可能性が高いと簡単に判断することができる。そして、化粧箱2にRFID10が内蔵されていることを知らなければ、偽物、コピー品を作成する際に、化粧箱2にRFID10を内蔵させることは不可能であることから、確実に、偽物、コピー品を判別することができる。
【0034】
さらに、本発明は、商品に不具合、リコール等が発生した場合、該当商品の化粧箱2のRFID10をリーダーで読み取ると、同じ生産ロットの商品の出荷データを簡単に調べることができる。そして、該当商品と同じ生産ロットの商品の出荷先についても特定することができることから、商品の回収作業等もスムーズに行うことができる。
【0035】
このように、本発明は、従来のような商品へのマーキングを施すことなく、化粧箱2にRFID10を内蔵させて商品を出荷することにより、商品の横流しの追跡、及び、商品の生産ロットの検索を、より確実に、簡単に行うことができ、さらに、コピー品等対策にも役立つという従来には無い優れた効果を奏する。
【符号の説明】
【0036】
1 システム
2 化粧箱
3A,3B,3C リーダー
4A,4B,4C パソコン
5A,5B,5C スマートフォン
6 商品
7 ピッキングリスト
10 RFID
11 出荷管理用RFID
図1
図2
図3
図4