(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106796
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0587 20100101AFI20240801BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240801BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240801BHJP
H01M 10/6553 20140101ALI20240801BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240801BHJP
H01M 50/609 20210101ALI20240801BHJP
H01M 50/112 20210101ALI20240801BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20240801BHJP
H01M 50/166 20210101ALI20240801BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20240801BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6553
H01M10/04 W
H01M50/609
H01M50/112
H01M50/516
H01M50/166
H01M50/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011237
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】片山 雄司
【テーマコード(参考)】
5H011
5H023
5H028
5H029
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB03
5H011FF02
5H023AA03
5H023BB05
5H023BB10
5H028AA07
5H028BB01
5H028BB03
5H028BB17
5H028CC05
5H028CC12
5H029AJ14
5H029AM01
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ05
5H029CJ30
5H031AA00
5H031AA09
5H031KK01
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA05
(57)【要約】
【課題】二次電池の製造方法において電極体に速やかに電解液を含浸すること。
【解決手段】複数の電極体10を二次電池の複数の電槽に収容して、バスバーで接続する前に、電極体10を製造するSTEP1と、電極体10を真空容器15に収容する収容工程と、電極体10を収容した真空容器15内を真空にする真空工程とを含むSTEP2と、真空になった真空容器15内に非水電解液14を注液する注液工程と、非水電解液14を電極体10に浸透させる浸透工程を含むSTEP3と、非水電解液14が浸透した電極体10を真空容器15から出す取出し工程であるSTEP4とを備えた電解液含浸工程を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極が相互に積層された電極体と、
前記電極体を収容するケースを備えた二次電池の製造方法であって、
前記電極体を真空容器に収容する収容工程と、
前記電極体を収容した前記真空容器内を真空にする真空工程と、
真空になった前記真空容器内に電解液を注液する注液工程と、
前記電解液を前記電極体に浸透させる浸透工程と、
前記電解液が浸透した前記電極体を前記真空容器から取り出す取出し工程とを備えた電解液含浸工程と、
前記電解液含浸工程後に前記電極体を前記ケースに収容する工程と
を備えたことを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記電極体は正極集電体と負極集電体とを備え、前記正極集電体と前記負極集電体とは、前記電解液含浸工程後に集箔することを特徴とする請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記真空容器は、気密で前記電極体に密着可能な柔軟な袋により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池の製造方法。
【請求項4】
正極と負極が交互に積層され、水平方向のそれぞれの端部に正極バスバー接続部と負極バスバー接続部を備えた複数の扁平な電極体と、
上方が開口し、前記複数の扁平な電極体を厚さ方向に前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部とが交互に配列されるように整列し、個別に収容する複数の電槽を備えたケースと、
隣接する前記電槽に収容された前記電極体の前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部とをそれぞれ接続する複数のバスバーと
前記ケースの前記電槽を密閉する蓋体と
を備え、
前記バスバーは、前記ケースに配置されて前記電槽の一部として前記電槽を気密に構成するとともに、その一部が放熱面として前記電槽の外部に放熱可能に構成された二次電池の製造方法であって、
前記電極体を真空容器に収容する収容工程と、前記電極体を収容した前記真空容器内を真空にする真空工程と、前記真空になった前記真空容器内に電解液を注液する注液工程と、前記電解液を前記電極体に浸透させる浸透工程と、前記電解液が浸透した前記電極体を前記真空容器から取り出す取出し工程とを備えた電解液含浸工程と、
前記電解液含浸工程において前記電解液が浸透した前記電極体を前記電槽に収容する電極体収容工程と、
前記電極体の前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部とを前記バスバーに接続する接続工程とを備えたことを特徴とする二次電池の製造方法。
【請求項5】
前記電解液含浸工程後の前記電極体の前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部とを、前記接続工程前に集箔することを特徴とする請求項4に記載の二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記電槽は側部に開口部を備えるとともに、当該開口部を封止する側板を備え、
前記接続工程は、前記開口部を介して前記電極体の前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部を前記バスバーに溶接し、
前記接続工程の完了後に前記側板で前記開口部を封止する封止工程を備えたことを特徴とする請求項4に記載の二次電池の製造方法。
【請求項7】
前記二次電池が、非水電解液二次電池であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法。
【請求項8】
前記電極体は、積層体を捲回した捲回型電極体であることを特徴とする請求項7に記載の二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の製造方法に係り、より詳しくは、電極体に速やかに電解液を含浸する工程を備えた二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池、例えばリチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池や、ニッケル水素蓄電池のようなアルカリ二次電池は、エネルギー密度が大きく、電気自動車やハイブリッド車などの動力源や、家庭や工場の定置用の電源などに幅広く利用されている。
【0003】
このような二次電池では、従来一つの電池ケースに、一つの電極体の捲回体を収容した電池セルを多数直列に接続し、目的に合った電圧を得る組電池を構成するのが一般的であった。
【0004】
また、特許文献1には、内部が多数の電槽に区切られた1つのケースに、複数の鉛電池セルを含む鉛バッテリと、複数の蓄電素子を含む補助バッテリと、鉛バッテリ及び補助バッテリを収納する複合的な電池が開示されている。
【0005】
一般的なセル電池をスタックして多数組み合わせる構成や、特許文献1に記載された電池のような多数の電槽を有した組電池では、コンパクトな構成で多数の単電池を組み合わせて高い電圧が得られる。
【0006】
このような二次電池では、電槽に正極板と負極板とセパレータを積層した電極体を電池セルごとに収容して水分を乾燥させ、電池ケースを蓋体で密封した電槽に注液口から電解液を注液し注液口を封止していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の電極体は、蓋体の外部に設けられた外部接続端子と接続するため、両端部の集電箔を集箔して金属製の集電端子と溶接して、この集電端子により蓋体を介して外部接続端子と接続するような構造となっていた。このような電極体と蓋体とともに電池ケースに収容したあと、電解液を注液していた。
【0009】
しかしながら、従来技術のような方法では、積層されたセパレータに電解液を含浸させようとしても、セパレータに含まれる空気などにより、気泡が残存するという問題があった。
【0010】
また、このような溶接した後の構造では、電極体の端部から電解液が含浸しにくく、含浸に時間を要するという問題もあった。
本発明の二次電池の製造方法では、電極体に速やかに電解液を含浸することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の二次電池の製造方法では、正極と負極が相互に積層された電極体と、前記電極体を収容するケースを備えた二次電池の製造方法であって、前記電極体を前記真空容器に収容する収容工程と、前記電極体を収容した真空容器内を真空にする真空工程と、真空になった前記真空容器内に電解液を注液する注液工程と、前記電解液を前記電極体に浸透させる浸透工程と、前記電解液が浸透した前記電極体を前記真空容器から取り出す取出し工程とを備えた電解液含浸工程と、前記電解液含浸工程後に前記電極体を前記ケースに収容する工程とを備えたことを特徴とする。
【0012】
前記電極体は正極集電体と負極集電体とを備え、前記正極集電体と前記負極集電体とは、前記電解液含浸工程後に集箔することができる。
前記真空容器は、気密で前記電極体に密着可能な柔軟な袋により構成することができる。
【0013】
また、本発明の二次電池の製造方法では、正極と負極が交互に積層され、水平方向のそれぞれの端部に正極バスバー接続部と負極バスバー接続部を備えた複数の扁平な電極体と、上方が開口し、前記複数の扁平な電極体を厚さ方向に前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部とが交互に配列されるように整列し、個別に収容する複数の電槽を備えたケースと、隣接する前記電槽に収容された前記電極体の前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部とをそれぞれ接続する複数のバスバーと前記ケースの前記電槽を密閉する蓋体とを備え、前記バスバーは、前記ケースに配置されて前記電槽の一部として前記電槽を気密に構成するとともに、その一部が放熱面として前記電槽の外部に放熱可能に構成された二次電池の製造方法であって、前記電極体を真空容器に収容する収容工程と、前記電極体を収容した前記真空容器内を真空にする真空工程と、前記真空になった前記真空容器内に電解液を注液する注液工程と、前記電解液を前記電極体に浸透させる浸透工程と、前記電解液が浸透した前記電極体を前記真空容器から取り出す取出し工程とを備えた電解液含浸工程と、前記電解液含浸工程において前記電解液が浸透した前記電極体を前記電槽に収容する電極体収容工程と、前記電極体の前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部とを前記バスバーに接続する接続工程とを備えることができる。
【0014】
前記電解液含浸工程後の前記電極体の前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部とを、前記接続工程前に集箔することができる。
前記電槽は側部に開口部を備えるとともに、当該開口部を封止する側板を備え、前記接続工程は、前記開口部を介して前記電極体の前記正極バスバー接続部と前記負極バスバー接続部を前記バスバーに溶接し、前記接続工程の完了後に前記側板で前記開口部を封止する封止工程を備えることができる。
【0015】
前記二次電池が、非水電解液二次電池である場合に好適に実施することができる。この場合、前記電極体は、積層体を捲回した捲回型電極体の場合に特に好適に実施することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の二次電池の製造方法によれば、電極体に速やかに電解液を含浸することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】蓋体を外した二次電池の外観の斜視図である。
【
図4】蓋体を外した二次電池の外観の平面図である。
【
図15】電極体10の構成を示す一部展開図である。
【
図16】電極体10に非水電解液を含浸する工程を示す模式図である。
【
図21】バスバーと、ケースにバスバーをインサートする位置を示す斜視図である。
【
図22】本実施形態のバスバーの素材の構成の一例を示す模式図である。
図22(a)は平面視した図、
図22(b)は、外側から見た図である。
【
図23】本実施形態のバスバーの素材の構成の別例を示す模式図である。
【
図25】ケースに配置されるバスバーと、ここに配置された温度/電圧検出部と、これらを接続するフレキシブル基板の斜視図である。
【
図26】
図17に示すケースの斜視図の一部を拡大した図である。
【
図27】
図26において正面板及び蓋体を溶着する部分を示す図である。
【
図28】電極体とバスバーとの接続を示す
図25の一部を拡大した斜視図である。
【
図29】
図25に示すバスバーに電極体を装着した状態の斜視図である。
【
図30】電槽に収容された電極体の正極集箔部中央部をクリップにより、バスバーの正極接続面に押し付けてレーザ溶接をする状態を示す図である。
【
図31】
図25に示すバスバーに電極体を装着した状態の平面図である。
【
図33】
図5の32-32部分の一部の拡大図である。
【
図40】本実施形態のクリップの変形例であるクリップを用いて電極体をバスバーに溶接する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の二次電池を、一実施形態のリチウムイオン二次電池の組電池からなる二次電池1により
図1~
図40を参照して説明する。
(本実施形態の構成)
<二次電池1の外観>
図1は、二次電池1の外観の斜視図である。
図3は、二次電池1の外観の平面図である。
図5は、二次電池1の外観の正面図である。
図6は、二次電池1の外観の背面図である。
図7は、二次電池1の外観の左側面図である。
図8は、二次電池1の外観の右側面図である。
図9は、二次電池1の外観の底面図である。
【0019】
本実施形態の二次電池1は、複数(本実施形態では、28個)の電池セルを備えた組電池として構成されている。
二次電池1の外観は、
図1に示すように全体が概ね直方体で、長さ方向Lに沿った長さに対して、長さ方向Lと水平に直交する幅方向Wの幅が長さの概ね30%、高さH方向の高さが長さのおよそ23%である。
図1において、左手前を「正面」、右手前を「右」、上方を「上」として説明する。
【0020】
図10は、二次電池1の分解斜視図である。
図1、
図8に示すように、二次電池1の右側面は、ケース2の長方形の右エンドプレート21Rが覆っている。また、
図7に示すように、二次電池1の左側面は、ケース2の長方形の左エンドプレート21Lが覆っている。ケース2は、
図10に示すように全体が概ね直方体の二次電池1の骨組みとなる部分である。
【0021】
図1、
図3、
図10に示すようにケース2の頂部2Uを覆うように長方形の蓋体5が配置される。
図1、
図5、
図10に示すように、ケース2の正面部2Fを覆うように側板7を構成する長方形の正面板7Fが配置される。
図6、
図10に示すようにケース2の背面部2Bを覆うように側板7を構成する長方形の背面板7Bが配置される。
図9に示すようにケース2の底部2Dを覆うように長方形の底板6が配置される。
【0022】
<二次電池1の組立ての概略>
次に、
図10を参照して、二次電池1の組立ての概略を説明する。
図21は、バスバー8と、ケース2にバスバー8をインサートする位置を示す斜視図である。
図25は、
図17に示すケース2にインサートされて配置されるバスバー8と、ここに配置された温度/電圧検出部91と、これらを接続するフレキシブル基板9の斜視図である。まず、ケース2には、
図21、
図25に示すように、ケース2の成型時にバスバー8が所定位置にインサートされて成型されている。このように配置されたバスバー8には、温度/電圧検出部91が配設される。そしてこれらの温度/電圧検出部91は、これらを接続するフレキシブル基板9がケース2の周囲に配置される。
【0023】
図2は、蓋体5を外した二次電池1の外観の斜視図である。
図4は、蓋体5を外した二次電池1の外観の平面図である。このケース2の電槽23には、
図4に示すように28個の電極体10が挿入される。電槽23に挿入され電極体10は、バスバー8に溶接され、電気的に接続される。
【0024】
その後、
図10に示すケース2の正面部2Fには、側板7を構成する正面板7Fがケース2に溶着される。また、ケース2の背面部2Bには、側板7を構成する背面板7Bがケース2に溶着される。ケース2の底部2Dには、底板6が溶着される。
【0025】
そして、電極体10を収容したケース2の頂部2Uには、蓋体5が溶着される。ケース2に、側板7と蓋体5が溶着されることで、気密な電槽23が形成される。
次に、それぞれの二次電池1の構成要素について、詳細に説明する。
【0026】
<電極体10>
図11は、電極体10の斜視図、
図12は、電極体10の平面図、
図13は、電極体10の正面図、
図14は、電極体10の背面図である。
【0027】
図11に示すように、電極体10は、概ね板状の部材である。
図13に示す正面図、
図14の背面図に示すように長手方向である幅方向Wと直交する断面形状は、縦長の競技トラックのような形状となっている。
【0028】
ここで、
図15は、電極体10の構成を示す一部展開図である。電極体10は、長尺の正極板12と、負極板13とが、セパレータ11を介して積層される。正極板12は、基板となるAlなどの金属箔に正極活物質などを有した正極合材層が設けられるとともに、その右端部は、Al箔が露出した正極集箔部12aを備える。この正極集箔部12aは、
図15の右側に突出する。この正極集箔部12aが、本発明の「正極バスバー接続部」の一例である。一方、負極板13は、基板となるCuなどの金属箔に負極活物質などを有した負極合材層が設けられるとともに、その左端部は、Cu箔が露出した負極集箔部13aを備える。この負極集箔部13aは、
図15の左側に突出する。この負極集箔部13aが、本発明の「負極バスバー接続部」の一例である。このように積層された正極板12と負極板13とセパレータ11は、セパレータ11が最外周となるように捲回され、扁平にプレスされる。そうすると、
図15の上部に示すように、長手方向である幅方向Wと直交する断面形状は、縦長の競技トラックのような形状の積層部10aとなる。
【0029】
このとき、正極集箔部12aのうち、高さ方向Hの中央部のやや上寄りの正極集箔部中央部12cは、電極体10の厚さ方向に薄くプレスされる。このため、高さ方向Hの上部の正極集箔部上部12bと、高さ方向Hの下部の正極集箔部下部12dは、正極集箔部中央部12cより厚くなっている。
【0030】
同様に、負極集箔部13aのうち、高さ方向Hの中央部のやや上寄りの負極集箔部中央部13cは、電極体10の厚さ方向に薄くプレスされる。このため、高さ方向Hの上部の負極集箔部上部13bと、高さ方向Hの下部の負極集箔部下部13dは、負極集箔部中央部13cより厚くなっている。
【0031】
このように製造された電極体10は、
図13に示すように、高さ方向Hの上部の正極集箔部上部12bと、高さ方向Hの下部の正極集箔部下部12dは、正極集箔部中央部12cより厚くなっている。また、
図14に示すように高さ方向Hの上部の負極集箔部上部13bと、高さ方向Hの下部の負極集箔部下部13dは、負極集箔部中央部13cより厚くなっている。
【0032】
<電極体10の非水電解液の含侵>
図16は、電極体10に非水電解液14を含浸する工程を示す模式図である。本実施形態では、電極体10は、予め非水電解液14が含浸されてから電槽23に収容される。従来一般的には、電極体10は、集電部材が溶接されて、蓋体を介して外部電極に接続されていた。このようにして組み立てられた電極体10は、電極体10が電池ケースに収容され蓋体により密封される。そして密封された電槽に注液口から非水電解液14が注液されていた。
【0033】
しかしながら、従来の方法で非水電解液14を電極体10に含浸するには長時間必要であり、かつ積層された多孔質のセパレータの目に入り込んだ空気などを完全に追い出すのは困難であった。また、従来の二次電池では、電槽に集電部材に溶接された電極体を収容し、蓋体により密閉した状態で電解液を注液していた。
【0034】
一方、本実施形態の二次電池では、予め電極体10を真空下で非水電解液14を含浸させた状態で電槽23に収容する。この状態では、電極体10の正極集箔部12a及び負極集箔部13aは、集箔されて溶接をされていない状態である。そのため、集箔後の状態よりも、電極体10の端部から非水電解液14が浸透し易い状態となっている。また、このような予め非水電解液14を含浸させた電極体10であれば、接続孔28が開放された電槽23に電極体10を収容し、完全に密閉する前に自ら非水電解液14を含んだ電極体10を接続孔28を介してバスバー8に溶接する。その後、電槽23を密封する。このような工程で非水電解液14を電極体10に含浸させる。このため、従来のように正極集箔部12aや負極集箔部13aを集電部材に溶接した後に非水電解液14を電極体10に浸透させるより、はるかに効率よく非水電解液14を電極体10に浸透させることができる。
【0035】
以下、電極体10の非水電解液14の含侵の手順を説明する。
<STEP1>
まず、上述の方法で、電極体10を製造する。この段階では、正極集箔部12aや負極集箔部13aは溶接されておらず、端部から非水電解液14がセパレータ11に浸透し易くなっている。
【0036】
<STEP2>
次に、電極体10を、真空容器15に収容する。真空容器15は、気密な構造を持っている。真空容器15の材質は問わず、大型のSUS素材のような硬質のタンクなどで大量に処理するようにしてもよいが、電極体10を個別に収容する柔軟な袋から構成してもよい。このような袋で構成することで、少量の非水電解液14で、電極体10を浸漬することができる。袋の素材は、例えば、樹脂とAl箔などを積層したラミネート材などを用いることができる。電極体10を内部に収容したら真空容器15を密閉する。真空容器15を密閉したら、真空容器15の脱気弁から真空容器15内の空気を真空ポンプ16で吸引する。この工程で、電極体10の正極板12と負極板13との間の多孔性のセパレータ11の組織に存在する空気や水蒸気も排出される。このとき、加熱することで、電極体10内の残存水分を気化して排出するようにしてもよい。
【0037】
<STEP3>
真空容器15内が真空になったら、真空状態を維持したまま非水電解液14を注液口から注入する。このとき、電極体10の正極板12と負極板13との間の多孔性のセパレータ11の組織に空気がないため、非水電解液14は、急速に電極体10の正極板12と負極板13との間の多孔性のセパレータ11の組織の隅々に隙間なく浸透する。
【0038】
<STEP4>
電極体10に非水電解液14が十分に浸透したら、真空状態を解いて真空容器15を開放して電極体10を真空容器15から取り出す。この状態は、電極体10の正極板12と負極板13との間の多孔性のセパレータ11の組織に非水電解液14が保持されている。電極体10の外部の非水電解液14を必要があれば乾燥や拭き取りなどで除去する。
【0039】
このとき、内部の非水電解液14が減少しないようにすることが好ましい。例えば、この段階で正極集箔部12aや負極集箔部13aを集箔して溶接したり、接続用の金属板や金属箔を装着して端部を密着させてもよい。
【0040】
その後、非水電解液14が浸透した電極体10を電槽23に収容する電極体収容工程と、電極体10の正極及び負極をバスバー8に接続する接続工程とが行われる。このような工程により、非水電解液14を浸漬した電極体10は、ケース2の個別の電槽23に収容されて、接続孔28を介してバスバー8にレーザ溶接により接続される。なお、電極体10をバスバー8に溶接後、正面板7Fと背面板7Bの溶着後、蓋体5の溶着前に非水電解液14を電槽23内に予備的に補充してもよい。
【0041】
<ケース2>
図17は、ケース2の斜視図である。
図18は、ケース2の平面図である。
図19は、ケース2の平面図の一部拡大図である。
図20は、ケース2の底面図である。
【0042】
次に、
図17~
図20を参照して、ケース2の説明をする。本実施形態のケース2は、二次電池1の骨格となる部材で、複雑で多機能の構成を樹脂成型で一体に製造する点に特徴がある。ケース2には、以下のような機能がある。
【0043】
また、ケース2は、まず二次電池1の形状の骨格となる機能がある。また、ケース2は、複数の電槽23を構成する。そして、蓋体5とともに、各電槽23に収容された電極体10を強固に保持するという機能がある。
【0044】
一方、各電極体10は、上下から挟持されて保持されるため、電極体10の厚み方向(長さ方向L)は拘束しなくてもよく、電極体10が膨張した場合でも、ケース2の隔壁25が撓み応力を吸収する機能がある。
【0045】
また、バスバー8をケース2へインサートして一体に樹脂成型することでバスバー8を気密な電槽23の壁の一部として利用する。このように構成することで、電槽23の気密性を維持しながら、バスバー8は、電極体10の熱を電槽23の外に効率よく放熱させる放熱板としての機能を有する。
【0046】
さらに、電槽23から放熱された熱は、ケース2によって形成された鉛直通気路27により、効率的にケース2から大気に放熱する放熱機能がある。
加えて、ケース2は、底板6とともに、底部通気路24を構成して、吸気開口24aから十分な冷気を鉛直通気路27に送り込むとともに、底部通気路24自体が、電槽23に収容された電極体10を底部から冷却するという機能がある。
【0047】
そして、図示を省略するが、電池パックなどに収容しないでも、
図17に示す脚部26により直接車両のメンバなどの構造部材などに二次電池1を取り付けることができる機能もある。
【0048】
<ケース2の全体構成>
図17に示すようにケース2は、幅方向Wの両端の下部には、長さ方向Lに棒状に延びる正面部2Fの下部フレーム2Faと、背面部2Bの下部フレーム2Baとを備える。それぞれの両端の上部は、厚みのある板状の右エンドプレート21Rと左エンドプレート21Lに一体に接続されている。これらの部分が二次電池1全体の強度を維持する構造部材としての機能を有する。
【0049】
<脚部26>
図7、
図8に示すように正面部2Fの下部フレーム2Faの下面と、背面部2Bの下部フレーム2Baの下面は、底板6と面一に形成された平面である。
【0050】
図18に示すように、板状の脚部26が、正面部2F及び背面部2Bから幅方向Wに突出するように底部2Dと面一に設けられる。脚部26は、正面側の下部フレーム2Faの右端部と左端部と略中央に幅方向Wに突出する部分と、背面側の下部フレーム2Baの右端部と左端部と略中央に幅方向Wに突出する部分の6か所から構成される。正面側の脚部26と背面側の脚部26とは、二次電池1を幅方向Wで整列した場合に、相互に干渉しないように背面側の脚部26は、両端の脚部26が長さ方向Lの内側にオフセットされており、中央の脚部26は右側にオフセットされている。
【0051】
図26は、
図17に示すケース2の斜視図の一部を拡大した図である。
図26に示すように、脚部26は、下部フレーム2Fa、2Baから直角に突出する平行な端部を有する基部26aと、基部26aから連続する円弧上の輪郭を有する先端部26bと、円弧の中心と同心円のねじ止め用のねじ穴26cとを備える。
【0052】
このねじ穴26cには、ゴムブッシュ26dが嵌め込まれる。このため、脚部26により二次電池1を設置場所に設置した場合に、設置場所からの振動やねじり応力を、このゴムブッシュ26dが吸収し、二次電池1の変形を抑制する。
【0053】
<エンドプレート>
図8に示すように、右エンドプレート21Rは、二次電池1の右側面を覆う板状の部分で、下部は、底部通気路24の吸気開口24aが開口されている。なお、この吸気開口24aの下端部は、底板6が溶着されて、底部通気路24が形成される。右エンドプレート21Rの上部の概ね2/3の部分は複数の電池セルを挟み込むエンドプレートとして機能する。このため電池セルの膨張に対して、その応力を受けるための厚さが確保されている。なお、右エンドプレート21Rには、その中心を中心として水平方向、垂直方向、2つの対角線方向の強度を高めるためのリブ21Rbが形成される。これとともに、その他の部分は凹部21Raとして軽量化されている。また、上部背面側には、負極外部端子31が設けられる。
【0054】
図7に示すように、左エンドプレート21Lは、二次電池1の左側面を覆う板状の部分で、下部は、平坦な板状の部分として形成されている。左エンドプレート21Lの下部の背面側には、フレキシブル基板9により取得された温度データ及び電圧データを外部に取り出すためのフレキシブル基板外部コネクタ32が設けられる。ここから二次電池1の外部に、温度データ及び電圧データを取りだすことができる。
【0055】
左エンドプレート21Lの上部の概ね2/3程度は、右エンドプレート21Rと同様な構成で、電池セルの膨張に対して、その応力を受けるためのエンドプレートとして、その厚さが確保されている。また、左エンドプレート21Lも、その中心を中心として水平方向、垂直方向、2つの対角線方向の強度を高めるためのリブ21Lbが形成される。これとともに、その他の部分は凹部21Laとして軽量化されている。また、上部背面側には、負極外部端子31が設けられる。
【0056】
<電槽23>
図18に示すように、ケース2の内部には、28か所の電槽23が形成されている。各電槽23は、各電極体10を過不足なく収容する空間を形成している。
図4に示すように、電槽23に収容された電極体10は、電槽23の隔壁25を介して厚み方向(長さ方向L)に積層されるように整列される。電極体10は、正極集箔部12aと負極集箔部13aが互い違いとなるように配列される。
【0057】
図20に示すように、電槽23の下端は、電槽23を全体に水平に封止する電槽底部隔壁23aにより隔離されている。なお、電槽底部隔壁23aには、各鉛直通気路27に連通するための吸気口27Dが開口されている。
【0058】
図39は、
図3の39-39部分の断面図である。
図39に示すように電槽底部隔壁23aの長さ方向Lに沿った断面図からわかるように、電槽底部隔壁23aの上面は、電槽23に収容された各電極体10の下端を保持する下部保持部23bを備える。下部保持部23bは、収容された電極体10の下部の形状に沿った凹部を備えている。このため、電槽23に収容された電極体10の下部は、下部保持部23bに嵌合され、隔壁25とともに下部保持部23bにより長さ方向L(積層方向)の移動が規制される。
【0059】
隔壁25の下端は、電槽底部隔壁23aとつながって気密に構成されている。また、隔壁25は隣接する電槽23と気密に隔離する。
また、
図18、
図26に示すように隔壁25には、比較的薄い壁部25aと、概ね等間隔で5か所に壁部25aと比較して厚みの厚いリブ状の支持部25bが両面に設けられる。壁部25aは、収容された電極体10とは間隙を有し、支持部25bが電極体10に接触して電極体10を厚み方向で支持する。このため、電極体10は、積層方向で拘束される。但し、電極体10と支持部25bとは、若干の間隙を有しても良く、また、隔壁25は、弾力を有する樹脂製であるので、壁部25aの部分が撓むため、電極体10の膨張などに起因する長さ方向L(積層方向)における変位を許容する。
【0060】
隔壁25の一方の端部は、ケース2の幅方向Wの端部まで延設され、この部分は電極体集箔部挿入部25dとなる。電極体集箔部挿入部25dの一方の面が正極集箔部12aが挿入され、他方の面が負極集箔部13aが挿入される部分となる。また、電極体集箔部挿入部25dの基端部には、隔壁25の厚さ方向に突出するリブ状の固定リブ25cが壁部25aの両面に設けられる。固定リブ25cは、電極体10を挿入したときに、
図12に示す正極の段差部12e若しくは負極の段差部13eに当接することで、電極体10の幅方向Wにおける移動を規制して位置決めをするものである。
【0061】
隔壁25の他方の端部は、ケース2の幅方向Wの端部に設けられた鉛直通気路27の内側部27Iに突き当たるような形状で一体構成で連続して気密となっている。電槽23に電極体10を挿入したときに、
図12に示す正極の段差部12e若しくは負極の段差部13eが、鉛直通気路27の内側部27I(
図26)に当接することで、固定リブ25cとともに電極体10の幅方向Wにおける移動を規制して位置決めをする。
【0062】
<鉛直通気路27>
図18に示すように鉛直通気路27は、ケース2の正面側の幅方向Wの端部に長さ方向Lに沿って略等間隔に15か所開口している。一つおきの隔壁25の端部の位置に鉛直通気路27は配置されている。一方、ケース2の背面側には、長さ方向Lに沿って略等間隔に16か所配置されている。このとき、正面側の鉛直通気路27と、背面側の鉛直通気路27とは、互い違いの隔壁25の位置に配置されている。また、背面側の長さ方向Lの右端部の鉛直通気路27は、隔壁25ではなく右エンドプレート21Rの内側面の位置に配置される。また、背面側の長さ方向Lの左端部の鉛直通気路27は、隔壁25ではなく左エンドプレート21Lの内側面の位置に配置される。
【0063】
各鉛直通気路27の上端面は、ケース2の頂部2Uにおいて、排気口27Uが形成されている。また、各鉛直通気路27の下端面は、ケース2の電槽底部隔壁23aにおいて、吸気口27D(
図20)が形成されている。これらの吸気口27Dと排気口27Uは鉛直通気路27により連通されている。
【0064】
図19に示すように、各鉛直通気路27は、全体に平面視で、断面長方形のパイプ状の部分である。各鉛直通気路27は、ケース2の内側に配置される内側部27Iと、ケース2の外側に配置される外側部27Oと、これらの左右両側に配置され、これらの端部を接続する直交する一対の対向する側部27S、27Sとの4枚の平面の板状部分から構成される。
【0065】
図26に示すように、ケース2の内側に配置される内側部27Iは、その中央部で隔壁25と接続している。ケース2の外側に配置される外側部27Oは、その下部に垂直方向の概ね40%、水平方向の概ね80%に相当する寸法の長方形の切欠部である検出孔29が切り欠かれている。検出孔29は、バスバー8の温度及び電圧の測定に用いられる。また、内側部27Iと外側部27Oのそれぞれの垂直方向の端部を接続する直交する一対の対向する側部27S、27Sを有する。側部27Sには、その上部の外側寄りの部分に垂直方向の概ね85%、水平方向の概ね55%に相当する寸法の長方形の窓部である接続孔28がそれぞれ開口している。接続孔28は、バスバー8と電極体10との溶接を行うのに用いられる開口部である。
【0066】
<バスバー8の構成>
図21に示すバスバー8は、水平断面が、直角に接続された3つの平面からなるU字状の部材である。バスバー8は、電極体10の正極集箔部12aと負極集箔部13aとを電気的に接続する機能を有する。また、本実施形態の二次電池1では、
図21に示すようにケース2の所定位置にインサート成型されて、気密な電槽23の壁の一部として一体化されている。さらに、電極体10の正極集箔部12aと負極集箔部13aからの熱を、内周の放熱面8dから二次電池1の外部に放熱する機能を担っている。
【0067】
図21に示すように、バスバー8のケース2の外側は、縦長長方形の連結部8cを備え、その水平方向の両端部からは、ケース2の内側に向けて直角に集箔部溶接面8aと集箔部溶接面8bとが対向するように設けられる。連結部8cの上部は、ケース2の鉛直通気路27の外側部27Oの内面に密着する接着面8fとなる。また、連結部8cの下部は、温度/電圧検出部91が貼着される区域である検出面8eとなる。
【0068】
また、バスバー8は、鉛直通気路27の内周面に沿って配置されている。そのため、バスバー8の内側の面は、バスバー8の熱を鉛直通気路27に放熱する放熱面8dとなる。
<バスバー8の材質>
バスバー8は、電極体10の正極集箔部12aと負極集箔部13aとを電気的に接続する機能を有する。電気的に簡易かつ確実に接合するためには、溶接が望ましい。本実施形態で例示するリチウムイオン二次電池では、正極集電体としてAl箔が用いられる。また負極集電体としては、Cu箔が用いられる。熱伝導率および融点が高いCuと、それとは逆の性質を持つAlでは溶接による接合を行うと、接合面が脆弱になったり、その電位差から接触腐食が生じたりする場合がある。
【0069】
バスバー8は、このようなCu及びAlのいずれにも電気的及び機械的に確実に接合する必要がある。そこで、本実施形態のバスバー8では、以下のような構成としている。
図22は、本実施形態のバスバー8の素材の構成の一例を示す模式図である。
図22(a)は平面視した図、
図22(b)は、外側から見た図である。
図22(a)、(b)に示すように、集箔部溶接面8aはAlからなり、集箔部溶接面8bはCuからなる。ここでは、同じ厚さのアルミニウム板と銅板の端部同士を接続するようにしている。但し、連結部8cの下部中央の検出面8eは、Alの素材で構成される。これは、検出面8eが、AlとCuの異種金属とした場合は、検出面8eに貼着された温度/電圧検出部91の温度センサや電圧センサの測定が不安定となる可能性があるからである。
【0070】
なお、連結部8cの下部中央の検出面8eを、Cu素材で構成するようにしてもよい。
図23は、本実施形態のバスバー8の素材の構成の別例を示す模式図である。
図22に示すバスバー8では、同じ厚さのアルミニウム板と銅板を端部で接続しているが、この別例に示すバスバー8では、連結部8cにおいて、アルミニウム板と銅板を面で接続している。このように構成することで、接合面を大きくすることができる。なお、この場合も、Alが外側、Cuが内側でなく、Alを内側、Cuを外側に配置するような構成でもよい。
【0071】
<バスバー8の製造方法>
図22に示したようなバスバー8は、例えば、以下のような接合をすることができる。前述のとおり、AlとCuとは、通常の溶接では問題があった。そこで、本実施形態のバスバー8の製造方法は、異種金属を接合して形成するバスバー形成工程を備える。
【0072】
まず、アルミニウム板及び銅板を所定の形状に切り出すとともに、必要な曲げ工程を含む「構成部品形成工程」を備える。
次に、AlとCuとは、固相拡散接合を行うが、Alは、極めて酸化しやすく、かつその酸化膜は強固である。そのため、その前段階として例えば超音波振動によりAlとCuとを摩擦して酸化膜を破壊する「前処理工程」を備える。
【0073】
そして、AlとCuの固相拡散接合を行う「固相拡散接合工程」を備える。
ここで、「固相拡散接合」とは、接合させたい材料同士を直接接合する方法である。接合対象材を、加熱・加圧することで接合界面での原子の移動を促し接合する。材料を溶かさず、固体のまま、接合することによって共晶接合させて、接合面をなくす。このため、電気抵抗を極めて低くすることができる。また、接合部分は本体部分と同等の極めて強い強度を有する。
【0074】
その手順は、例えば接合面を圧接した状態で母材融点の30~50%の低温を維持して原子を拡散させて接合し、金属間化合物の生成を抑制しながら原子を共有する接合をする。
【0075】
<ケース2の製造方法>
ケース2は、全体を例えば溶融したPP(ポリプロピレン)で、金型を用いた射出成型により製造する。ケース2は、全体を1つの金型で一体成型するが、そのとき、
図21に示す位置にバスバー8をインサート成形する。バスバー8をインサート成形することで、バスバー8を所定の位置に気密に一体化する。このため、ケース2を構成する電槽23、右エンドプレート21R、左エンドプレート21L、鉛直通気路27などは、一体に不可分に形成される。
【0076】
<蓋体5の構成>
図36は蓋体5を下方から見た斜視図である。
図37は蓋体5の正面図である。
図38は
図36の一部を拡大した斜視図である。
【0077】
図27は、
図26において正面部2F及び蓋体5を溶着する部分を示す図である。
図1、
図10に示すように、蓋体5は、ケース2の頂部2Uに装着され、二次電池1の上部を封止する。蓋体5は、ケース2と同じ材質で形成された板状部材で、ケース2の頂部2Uに溶着される。詳細には、
図27に示すように、右エンドプレート21R、左エンドプレート21L、鉛直通気路27、隔壁25の頂部に設けられた水平な同一平面上に設けられた頂部溶着部20Uに溶着される。
【0078】
<上部保持部52>
図36~
図38に示すように、蓋体5の下側の内面5bには、上部保持部52を備える。上部保持部52は、電槽23に収容された電極体10の上部の位置に対応した位置に設けられる。上部保持部52は、蓋体5の内面5bから下方に突出したリブ状の基部52aの下端に、電極体10の上部の形状に沿った凹部52bを備える。また、基部52aの幅方向両端の側部52cには、水平方向に突出し、高さ方向Hに延びるリブ52dを備える。蓋体5をケース2の頂部2Uに被せたとき、側部52cのリブ52dは、隔壁25の壁部25aに対応した位置で対向する。また、側部52cのリブ52dのない部分は、隔壁25の支持部25bに対応した位置で対向する。すなわち、蓋体5の上部保持部52の間には、隔壁25が挿入されるとともに、その凹凸形状が、相互に入れ子になって、大きな隙間ができない構成となっている。また、蓋体5の幅方向Wの移動も抑制する。
【0079】
<排気部51>
図3に示すように、蓋体5の幅方向Wの両端部には、平面視が概ね正方形の排気部51が設けられる。正面側の端部には14か所の排気部51が等間隔で設けられる。また、背面側の端部には15か所の排気部51が等間隔で設けられる。排気部51は、
図18に示すように鉛直通気路27の排気口27Uの位置と対応する位置に配置されている。すなわち、鉛直通気路27の排気口27Uから排出された空気を排気部51から蓋体5を介して大気に放出する。
【0080】
図1に示すように、排気部51は蓋体5の外面5aにおいて上方に突出した凸部51aを備え、
図38に示すようにその内部は空洞である。そして、
図1に示すように各排気部51は、幅方向Wの外側に向けて開口する排気孔51bを有する。この排気孔51bは、鉛直通気路27の排気口27Uと連通している。このため鉛直通気路27からバスバー8からの放熱により加熱された空気が軽くなって上昇し、この排気孔51bから大気に排出される。すなわち煙突効果により対流を生じ、効率的に二次電池1内の熱を放出する。
【0081】
<底板6の構成>
図34は、
図4の蓋体5を省略した二次電池1の平面図の34-34部分の断面図である。
図35は、
図4の35-35部分の断面図である。
【0082】
図1、
図10に示すように、底板6は、ケース2と同じ素材から形成された長方形の板状の部材で、ケース2の底部2Dを覆うように、
図18に示す底部溶着部20Dに嵌め込まれるように溶着される。そうすると、
図39、
図34、
図35に示すように、ケース2の正面部2Fの下部と、背面部2Bの下部と、電槽底部隔壁23aと、底板6とにより、底部通気路24が形成される。また、
図6に示すように底板6と、下部フレーム2Fa、2Ba、脚部26の底面は面一となる。
【0083】
図8に示すように、底部通気路24は、右エンドプレート21Rに開口された吸気開口24aから外気を導入することができる。
図34、
図35に示すように、鉛直通気路27の吸気口27Dは、底部通気路24と連通している。前述のとおりバスバー8からの放熱により鉛直通気路27には上昇気流が生じ、煙突効果が発揮される。このため、底部通気路24から、鉛直通気路27への空気の流れが生じる。すなわち、吸気開口24aから入った空気は、バスバー8から放熱された熱とともに鉛直通気路27を経て、蓋体5の排気孔51bから効率的に排出される。
【0084】
<側板7の構成>
図10に示すように、側板7は、正面板7Fと背面板7Bとから構成される。側板7は、ケース2と同じ素材で形成された板状部材で、下部には、強度を高めるため水平方向に延びる膨出部71が外側に張り出している。また、
図34に示すように、この膨出部71は、ケース2のフレキシブル基板配線溝33に配線されるフレキシブル基板9の配線の空間を形成している。
【0085】
側板7は、ケース2の側面(正面部2F及び背面部2B)を覆うように溶着される。詳細には、例えば正面部2Fでは、
図27に示すケース2の正面部2Fの正面側端部に設けられた垂直で平坦な面一の面として形成された正面溶着部20Fに溶着される。側板7がケース2に溶着されることで、ケース2の電槽23の側面の開放部分が、封止される。すなわち、側板7は、電槽23の一部を構成する部分である。この側板7の溶着前は、電槽23内での電極体10とバスバー8との溶接のための開口部を露出させ、側板7をケース2に溶着することで電槽23を気密に封止する。
【0086】
<温度/電圧検出部91とフレキシブル基板9>
図24は、フレキシブル基板9の斜視図である。
図25は、ケース2に配置されるバスバー8と、ここに配置された温度/電圧検出部91と、これらを接続するフレキシブル基板9の斜視図である。
図24に示すフレキシブル基板9は、
図25に示すように、29か所の温度/電圧検出部91にそれぞれ接続される。
【0087】
温度/電圧検出部91は、内部に例えば熱電対からなる温度センサと、電位を測定する端子を内蔵している。温度/電圧検出部91は、それぞれのバスバー8に密着するように検出孔29において貼り付けられる。基板により、温度/電圧検出部91で検出されたバスバー8の温度[°C]と、電極体10を挟む一対の温度/電圧検出部91の電位[V]の差から算出された電池電圧[V]が、電気信号に変換されて出力される。変換された電気信号は、フレキシブル基板9に内蔵された回路で処理されて送出される。送出された電気信号は、フレキシブル基板9を介してケース2のフレキシブル基板外部コネクタ32で、外部に設けられた制御装置(図示略)に接続されて、制御装置より、電池温度[°C]と各セル電圧[V]が監視される。電池温度[°C]は、各バスバー8から検出するため、それぞれのセル電池ではなく、バスバー8に接続された一対のセル電池の平均温度が検出される。従来のように特定の二次電池1の冷却効果をセル内に配設された温度センサで電槽内を測定するのではなく、本実施形態では電槽23外で電極体10の温度をバスバー8を測定することで略直接的に測定することが目的である。このためフレキシブル基板9による配線が容易になっている。
【0088】
フレキシブル基板9は、いわゆる「フレキシブル基板(FPC・Flexible Printed Circuits)」により構成される。ここでいうフレキシブル基板は、耐熱性が高く、機械強度・絶縁性が大きい材料(例えばポリイミドフィルムなど)と、ここに緻密にプリントされた銅箔などを使い、曲げることができる構造のプリント基板である。本実施形態では、詳細な構造の説明は省略するが、電子部品を配設することで
図25に示すようにバスバー8に配置されたセンサである温度/電圧検出部91からの信号を処理するリジッド基板と同等の基板の機能を有する。また、フレキシブル基板9は、正面部9a、背面部9b、左面部9dによりケース2を取り巻くように配置される。そして、その薄さを活かして29か所の温度/電圧検出部91からの複数のデータ(ここでは、29の温度データと29の電圧データ)を、それぞれ個別にフレキシブル基板外部コネクタ32まで並行して搬送するケーブルの機能を有する。
【0089】
なお、信号処理は、フレキシブル基板9ではなく、温度/電圧検出部91内部で行っても良いし、フレキシブル基板外部コネクタ32近傍にリジッド基板を設けて行ってもよい。
【0090】
<二次電池1の組立>
次に、上記のような構成を備えた二次電池1の組立について説明する。
<電極体10の組立>
電極体10は、
図15に示すようにAl箔からなる正極集電体(正極基板)の所定範囲に正極合材層を形成して正極集箔部12a(正極バスバー接続部)を備えた正極板12を形成する。また、Cu箔からなる負極集電体(負極基板)の所定範囲に負極合材層を形成して負極集箔部13a(負極バスバー接続部)を備えた負極板13を形成する。そしてセパレータ11を介してこれらを積層する。この積層体を捲回して捲回体とし、さらに所定の厚みまでプレス成型して扁平な電極体10とする。この電極体10の水平方向のそれぞれの端部には正極バスバー接続部となる正極集箔部12aと負極バスバー接続部となる負極集箔部13aとが形成されている。このとき、電極体10の積層部10aの厚みは、電槽23の厚さ方向(長さ方向L)の内寸よりわずかに小さくなっている。
【0091】
<非水電解液14の電極体10への含浸>
完成した電極体10は、乾燥工程で乾燥させて水分などを除去した状態で、
図16に示す手順により、非水電解液14が電極体10に真空雰囲気下で含浸される。
【0092】
<ケース2の成型>
図21に示すように、バスバー8を所定位置にインサートして、ケース2を一体成型する。原材料となる溶融したPPを金型のキャビティーに射出してケース2の全体を一体に形成し、バスバー8は、ケース2と一体となり気密な電槽23の一部を構成する。
【0093】
<電極体10のケース2への収容>
ケース2の電槽23に、
図31に示すように電極体10を厚さ方向(長さ方向L)に正極集箔部12aと負極集箔部13aとが交互に配列されるように整列させ、
図4に示すように個別に収容する。
【0094】
<電極体10とバスバー8の溶接>
図28は、電極体10とバスバー8との接続を示す
図25の一部を拡大した斜視図である。
図28では、電極体10とバスバー8との接続の関係がわかるように、ケース2の樹脂の部分を省略した状態を示す。
図13に示すように、電槽23に収容された電極体10の正極集箔部中央部12cは、プレスされて薄く整形されている。電極体10の正極集箔部中央部12cは、正面側のバスバー8の長さ方向Lの左側外面の集箔部溶接面8aに密着されている。また、
図14に示すように、電槽23に収容された電極体10の負極集箔部中央部13cは、プレスされて薄く整形されている。電極体10の負極集箔部中央部13cは、背面側のバスバー8の長さ方向Lの右側外面の集箔部溶接面8bに密着されている。
【0095】
図30は、電槽23に収容された電極体10の正極集箔部中央部12cをクリップ100により、バスバー8の集箔部溶接面8aに押し付けてレーザ溶接をする状態を示す図である。
【0096】
図28に示すように、負極集箔部中央部13cをバスバー8の右側に面した集箔部溶接面8aに密着させ、負極集箔部中央部13cをバスバー8の右側外面の集箔部溶接面8bに密着させて溶接する必要がある。同様に正極集箔部中央部12cもバスバー8の左側に面した集箔部溶接面8bに密着させ、正極集箔部中央部12cをバスバー8の左側外面の集箔部溶接面8aに密着させて溶接する必要がある。そのためには、電極体10を電槽23に挿入するだけではそれぞれ密着させることはできない。そこで、
図30に示すように、治具であるクリップ100を用いて溶接する。ここでクリップ100は、上部100aが連結した二股のピンセット状の弾性を有する金属(例えばSUS)で、高さ方向Hの中央部の押圧部100bが相互に離反するように湾曲している。クリップ100の押圧部100bの幅は、隣接するバスバー8、8の間の間隔より広くなっている。
図30に示すように、長さ方向Lに隣接するように電槽23に収容された一対の電極体10は、正極集箔部中央部12cと負極集箔部中央部13cが、それぞれ電極体集箔部挿入部25dまで挿入される。ここまで挿入された正極集箔部中央部12cと負極集箔部中央部13cとの間にクリップ100を幅(長さ方向L)を縮めながら挿入する。ここに挿入されたクリップ100の押圧部100bを幅方向(長さ方向L)に縮める力が解除されると長さ方向Lに拡がり、クリップ100の押圧部100b、100bが、正極集箔部中央部12cと負極集箔部中央部13cとの間を押し広げるように押圧する。このため、正極集箔部中央部12cはバスバー8の長さ方向Lの左側外面の集箔部溶接面8aに密着する。また、負極集箔部中央部13cは右側外面の集箔部溶接面8bに密着する。
【0097】
このような状態で、ケース2の外側から正極集箔部中央部12cにレーザ光線を照射して、正極集箔部中央部12cを集箔部溶接面8aに溶接する。同様にケース2の外側から負極集箔部中央部13cにレーザ光線を照射して、負極集箔部中央部13cを集箔部溶接面8bに溶接する。もちろん治具の形状は例示したものには限らない。
【0098】
図32は、
図5の32-32部分の斜視図である。
図33は、
図32の一部の拡大図である。
図32に示すように二次電池1を略中央の高さの水平断面とする。
図33に示すように、電極体10の正極集箔部中央部12cは、バスバー8に密着するように溶接されている。また、電極体10の負極集箔部中央部13cも、バスバー8に密着するように溶接されている。
【0099】
鉛直通気路27は、バスバー8とともに、電槽23と隔離された空間を形成していることがわかる。また、外気からも隔離された空間を形成していることもわかる。
図29は、
図25に示すバスバー8に電極体10を装着し、温度/電圧検出部91、フレキシブル基板9を装着した状態の斜視図である。
図31は、
図25に示すバスバー8に電極体10を装着した状態の平面図である。この図においても、ケース2の樹脂の部分を省略している。
図29に示すように、複数の扁平な電極体10を厚さ方向に正極集箔部12aと負極集箔部13aとが交互に配列されるように整列する。ケース2に配置されたバスバー8は、ケース2の隣接する電槽23に収容された電極体10の正極集箔部12aと負極集箔部13aとをそれぞれ接続する。したがって、28個の電極体10はすべて直列に接続される。
【0100】
なお、
図25、
図29に示すように、背面側に配置されたバスバー8の内、右端部に配置されるバスバーは、平面視右側に延びるL字形に形成され、電極体10の負極集箔部13aのみと接続される負極端子バスバー81として構成される。負極端子バスバー81は、
図1、
図8に示す負極外部端子31に接続されて、組電池である二次電池1の負極外部端子となる。
【0101】
また、背面側に配置されたバスバー8の内、左端部に配置されるバスバーは、平面視左側の延びるL字形に形成され、電極体10の正極集箔部12aのみと接続される正極端子バスバー82として構成される。正極端子バスバー82は、
図7に示す正極外部端子30に接続されて、組電池である二次電池1の正極外部端子となる。
【0102】
<温度/電圧検出部91とフレキシブル基板9の装着>
電極体10とバスバー8の溶接が完了したら、各バスバー8の検出面8eに検出孔29から温度/電圧検出部91を貼着する。貼着は、例えば、熱導電性の高いシリコン含有の接着剤などで接着する。各バスバー8の検出面8eに温度/電圧検出部91を貼着したら、
図25に示すように温度/電圧検出部91にフレキシブル基板9のリード部9cと、温度/電圧検出部91の接続端子と接続していく。これとともに、
図17、
図34に示すケース2の正面部2Fの下部に形成されたフレキシブル基板配線溝33と膨出部71とにより形成された空間に、フレキシブル基板9の正面部9aを配置する。また、ケース2の左エンドプレート21Lの内側下部に形成されたフレキシブル基板配線溝(図示略)に、フレキシブル基板9の左面部9dを配置する。ケース2の背面部2Bの下部に形成されたフレキシブル基板配線溝33と膨出部71とにより形成された空間に、フレキシブル基板9の背面部9bを配置する。
図24に示すようにフレキシブル基板9の左面部9dに設けられた接続部9eがあり、接続部9eはケース2の左エンドプレート21Lに設けられたフレキシブル基板外部コネクタ32と接続される。
【0103】
<側板7の溶着>
電極体10の溶接が完了したら、側板7である正面板7Fと背面板7Bをケース2の側面に溶着する。
図10に示すように、ケース2の正面部2Fに正面板7Fを溶着する。
図27に示すように、ケース2の正面部2Fに設けられた同一平面上となる水平な平坦部である正面溶着部20Fに溶着される。また、詳細な図示は省略するが、正面側と同様に、ケース2の背面部2Bに背面板7Bを溶着する。ケース2の背面部2Bに設けられた同一平面上となる水平な平坦部である背面溶着部に溶着される。正面板7Fを溶着する前は、電槽23の開口部から接続孔28を介して、バスバー8の集箔部溶接面8a、8bに、正極集箔部中央部12c、負極集箔部中央部13cをそれぞれ溶接することができた。ケース2の正面部2Fに正面板7Fを溶着することで、電槽23の側面の開口部が封止されて気密に密閉される。同様に、ケース2の背面部2Bに背面板7Bを溶着することで、電槽23の側面の開口部が封止されて気密に密閉される。
【0104】
<蓋体5の溶着>
図10に示すように、ケース2の頂部2Uに蓋体5を溶着する。
図27に示すように、蓋体5は、右エンドプレート21R、左エンドプレート21L、鉛直通気路27、隔壁25の頂部に設けられた同一平面上となる水平な平坦部である頂部溶着部20Uに溶着される。このとき、蓋体5の排気部51の周囲と、ケース2の鉛直通気路27の排気口27Uとが気密に溶着され、蓋体5の排気部51とケース2の鉛直通気路27とが連通する。
【0105】
また、蓋体5の上部保持部52の周囲と、ケース2の隔壁25の頂部とが気密に溶着される。また、蓋体5の正面側端部と、側板7である正面板7Fの上端部も気密に溶着される。
【0106】
さらに、蓋体5の長さ方向Lの両端部も右エンドプレート21Rと左エンドプレート21Lの頂面と気密に溶着される。
その結果、電槽23は、完全に気密な状態となり、非水電解液14の流出は阻止される。
【0107】
また、ケース2の正面部2Fと背面部2Bが連結されることで、二次電池1の強度を高める。
<底板6の溶着>
図10に示すように、底板6をケース2の底部2Dに溶着する。
図20に示すように、ケース2の底部2Dに設けられた底部溶着部20Dに溶着される。底部溶着部20Dは、ケース2の底部2Dにおいて、幅方向W及び長さ方向Lの内側にオフセットされた位置に、段差上の設けられた部分である。底板6は、この段差と等しい厚さに形成されている。このため、この底部溶着部20Dに底板6を溶着することで、ケース2の底部2Dは、面一の平面となる。そして、底部通気路24の底部を構成し、底部通気路24は、吸気開口24aと連通口を除き、気密な構成となる。
【0108】
また、ケース2の正面部2Fと背面部2Bが連結されることで、二次電池1の強度を高める。
(本実施形態の作用)
本実施形態の二次電池1は、以上のような構成を備えるため、以下のような作用を奏する。
【0109】
<二次電池1の骨格構造の作用>
二次電池1の構造は、高い機械強度により振動やねじり応力に対して、高い耐久性を示すという作用を有する。ケース2は、厚板の右エンドプレート21Rと左エンドプレート21Lとを、太い棒状の正面部2Fの下部フレーム2Faと、背面部2Bの下部フレーム2Baとからなる樹脂の一体成形の構造部材で連結しており、高い強度を有している。このため、これらの構造部材に囲まれた電槽23に収容された電極体10の膨張に対してもケース2は、高い機械強度を備えるとともに、その弾性で破壊されない強い構造となる。
【0110】
さらに、蓋体5、底板6、側板7、を溶着することで、さらに強度を高めている。
脚部26は、太い棒状の正面部2Fの下部フレーム2Faと、背面部2Bの下部フレーム2Baと一体に設けられる。脚部26は、二次電池1の設置場所に二次電池1を強固に固定する。脚部26のねじ穴26cに配設されたゴムブッシュ26dにより設置場所からの振動やねじり応力を吸収し、二次電池1の変形を抑制する。
【0111】
<電極体10の支持構造の作用>
二次電池1では、電極体10を振動などがあっても安定した状態で支持するという作用がある。ケース2のそれぞれの電槽23は、複数の電極体10のそれぞれの下端を保持する下部保持部23bを備える。蓋体5は、ケース2の電槽23に挿入された複数の電極体10のそれぞれの上部を保持する上部保持部52を備える。下部保持部23bと上部保持部52でそれぞれの電極体10を上下で挟持する。
【0112】
下部保持部23bの電極体10の下部形状に沿った凹部と、上部保持部52の電極体10の上部形状に沿った凹部52bとで挟持するため、電極体10の長さ方向Lの移動が規制される。
【0113】
また、電槽23の隔壁25には、固定リブ25cが設けられる。この固定リブ25cにより電極体10の段差部13eを固定して電極体10の幅方向Wの移動を規制する。
さらに、電極体10は、その両端部の正極集箔部12a(正極バスバー接続部)、負極集箔部13a(負極バスバー接続部)が、ケース2に一体に組み込まれたバスバー8に溶接されて支持されている。
【0114】
以上の構造により電極体10は、高さ方向H、長さ方向L、幅方向Wへのいずれの移動も規制されて、外部からの振動などによっても安定した保持がなされる。
なお、電極体10の上下部分と両端部を除けば、電極体10は厚さ方向(長さ方向L)に拘束されていない。そのため電極体10が膨張した場合でも寸法的に余裕があり、樹脂製の隔壁25も撓むことができるため、電極体10の膨張による電槽23への応力が緩和される。
【0115】
<電槽23の構造の作用>
本実施形態の二次電池1の電槽23では、電極体10を安定した状態で支持し、気密に保持する作用を有する。電槽23は、電極体10を非水電解液14とともに密閉し、バスバー8により電極体10から電気が取り出される。本実施形態の電槽23は、それぞれ個別の部材ではなく、1つのケース2内を隔壁25で区切って形成している。従来技術では、個別の金属ケースを備えたセル電池を多数スタックして、拘束部材で拘束した組電池を、さらに樹脂製のケースに収容した電池パックとしていた。このような従来技術と比較して、二次電池1の部品点数を減少させ、その製造工程も簡易なものとすることができる。そして、二次電池1の著しいコンパクト化や軽量化ができる。
【0116】
電槽23は、ケース2の電槽底部隔壁23aと隔壁25とケース2にインサート成形されたバスバー8と、側板7を構成する正面板7Fと背面板7Bと、蓋体5とが、気密に溶着されることで、密閉した空間が形成される。これらはいずれも非水電解液14や水素を透過させない樹脂(例えばPP)と、金属(Al、Cu)からなるため、非水電解液14や水素の減少による二次電池1の劣化を抑制することができる。
【0117】
バスバー8は、ケース2にインサート成形により一体化されており、その継ぎ目は気密に密着している。電極体10の正極集箔部12a(正極バスバー接続部)と隣接する電極体10の負極集箔部13a(負極バスバー接続部)とは、一つのバスバー8の集箔部溶接面8aと、ここに対向する集箔部溶接面8bにそれぞれ溶接されて電気的に接続されている。このように各電極体10は、幅方向Wの両端がバスバー8に溶接されるため、車両などに設置されて、激しい振動を受けても電極体10はバスバー8との間で安定して保持される。
【0118】
<放熱構造の作用>
本実施形態では、電極体10で発生した熱を効率的に二次電池1の外部に放熱することができる作用を有する。電極体10で発生した熱は、高い熱の伝導性を有する正極板12のAl箔や、負極板13のCu箔に伝導する。従来は、絶縁体(例えばPPなど)で包まれた電極体10の熱を、このような絶縁体を介して、金属製の電池ケースの表面から放熱していた。これに対し、本実施形態では、正極板12のAl箔や、負極板13のCu箔に伝導した電極体10の熱を、ここから最短距離で直接バスバー8に伝導し、バスバー8を介して放熱する。
【0119】
正極集箔部12a(正極バスバー接続部)と負極集箔部13a(負極バスバー接続部)とに溶接されたバスバー8は、高い熱伝導性で電極体10の熱を伝導させる。
バスバー8は、鉛直通気路27に面している。鉛直通気路27は、下端が外部に開放した吸気開口24aを備えた底部通気路24と連通している。また、鉛直通気路27は、上端が蓋体5の外部に開放した排気孔51bを備えた排気部51と連通している。バスバー8は、電極体10からの熱を鉛直通気路27に放熱する。このため、この熱で温められた空気は密度が低下して軽くなり、鉛直通気路27を上昇して蓋体5の排気孔51bから廃棄される。一方、鉛直通気路27には、底部通気路24からの温度の低い空気が補充される。すなわち、煙突効果により熱の対流が生じ、バスバー8からの放熱が促進される。このため、電動ファンなどを設けることなく、効率的にバスバー8から放熱することができる。
【0120】
また、鉛直通気路27は、底部通気路24や蓋体5の排気部51と連通して、外気を導入して、排気する。この場合、空気の流れは電槽23内とは完全に隔離されている。このため、外気に塵埃や化学物質などが含まれている場合でも、バスバー8の集箔部溶接面8a、8bには、決して塵埃や化学物質などが触れることがない。このため、大気中の塵埃や化学物質に起因する、バスバー8の電気的な接続の劣化等は決して生じ得ない。
【0121】
<二次電池1の電気的構造の作用>
図31に示すように、28個の電極体10は、バスバー8によりそれぞれ隣接する電極体10の正極集箔部(正極バスバー接続部)12aと負極集箔部(負極バスバー接続部)とが電気的に接続され、全体が直列に接続される。バスバー8によりそれぞれ隣接する電極体10の正極集箔部(正極バスバー接続部)12aと負極集箔部(負極バスバー接続部)とを溶接で直接的に電気的に接続するため、断線することなく、かつ低い電気抵抗で接続するという作用を有する。
【0122】
左端部の正極端子バスバー82は、二次電池1全体の正極外部端子30に接続される。また、右端部の負極端子バスバー81は、二次電池1全体の負極外部端子31に接続される。したがって、外部から正極外部端子30と負極外部端子31に接続することで、二次電池1を一つの電池として扱うことができる。このような二次電池1は、必要に応じて直列又は並列に接続して要求される電圧[V]と電池容量[Wh]とを得ることができるという作用を有する。
【0123】
<二次電池1の制御構造の作用>
本実施形態の二次電池1の製造方法は、電極体10に速やかに非水電解液14を含浸することができるという作用がある。このような非水電解液を含浸させた電極体10を用いることで、下記のような二次電池を効率よく製造することができるという作用を奏する。
【0124】
本実施形態の二次電池1では、温度/電圧検出部91により正確に各電極体の温度及び電圧を正確に測定することができるという作用がある。また、測定したデータは、フレキシブル基板9のフレキシブルケーブルで、28個のバスバー8のデータを個別に測定や通信等を行い、これらのデータに基づいて適切な制御やメンテナンスができるという作用がある。
【0125】
バスバー8には、温度センサを有した温度/電圧検出部91を備えるため、隣接する2つの電極体10の発熱が良く反映されたバスバー8の温度を直接測定することができる。バスバー8は、電槽23内で電極体10からの熱を伝導する。温度/電圧検出部91は、このバスバー8の温度を電槽23の外部から直接測定できる。このため、温度/電圧検出部91で測定した温度は、電槽23外部のフレキシブル基板9により電気信号として、二次電池1の外部から、フレキシブル基板外部コネクタ32により取り出すことができる。この電気信号は、図示しない外部の制御装置により信号処理をすることができる。制御装置では、例えば温度に応じたアナログの電圧をAD変換してディジタル信号にし、時刻とともに記憶する。このデータから正確な二次電池1の温度履歴がわかるため劣化状態を推定することができる。また、特定のバスバー8の温度を個別に比較器などで閾値と比較して、異常検出を行うこともできる。
【0126】
また、バスバー8に配置された温度/電圧検出部91は電圧センサを備えている。このため、二次電池1に収容された28個のすべての電極体10の電池電圧[V]を個別に測定することができる。これらの電池電圧[V]を測定することで、各電池セルの過充電や過放電の状態を把握することができる。このデータに基づいて、二次電池1全体の入出力を適切に制御することで、電池の劣化を抑制することができる。
【0127】
(実施形態の効果)
(1)本実施形態の二次電池1の製造方法によれば、電極体10に速やかに非水電解液14を含浸することができるという効果がある。
【0128】
(2)本実施形態の二次電池1の製造方法では、複数の扁平な電極体10が、正極と負極が相互に積層され、水平方向のそれぞれの端部に正極集箔部12a(正極バスバー接続部)と負極集箔部13a(負極バスバー接続部)とを備える。ケース2は、複数の電槽23を備え複数の電極体10を電槽23にそれぞれ収容する。バスバー8は、ケース2に配置され、正極集箔部12aと負極集箔部13aとを接続する。電解液含浸工程は、以下の手順で行われる。まず、電極体10を真空容器15に収容する収容工程を行う。次に、電極体10を収容した真空容器15内を真空にする真空工程を行う。続いて、真空になった真空容器15内に非水電解液14を注液する注液工程を行う。そして、非水電解液14を電極体10に浸透させる浸透工程を行う。最後に非水電解液14が浸透した電極体10を真空容器15から出す取出し工程を備える。
【0129】
電極体10の正極板12と負極板13との間の多孔性のセパレータ11の組織に空気がない。このため、非水電解液14は、急速に電極体10の正極板12と負極板13との間の多孔性のセパレータ11の組織の隅々に隙間なく浸透するという効果がある。
【0130】
(3)正極集箔部12a(正極バスバー接続部)と負極集箔部13a(負極バスバー接続部)は、電解液含浸工程後に集箔することができる。
このため、従来のように正極集箔部12aや負極集箔部13aを集電部材に溶接した後に非水電解液14を電極体10に浸透させるより、はるかに効率よく非水電解液14を電極体10に浸透させることができるという効果がある。
【0131】
(4)真空容器15は、気密で電極体10に密着可能な柔軟な袋により構成することができる。このため、少量の非水電解液14で、電極体10を浸漬することができるという効果がある。
【0132】
(5)また、本発明の二次電池1では、正極と負極が交互に積層され、水平方向のそれぞれの端部に正極集箔部12aと負極集箔部13aを備えた複数の扁平な電極体10を備える。また、上方が開口し、複数の扁平な電極体10を厚さ方向に正極集箔部12aと負極集箔部13aとが交互に配列されるように整列し、個別に収容する複数の電槽23を備えたケース2を備える。また、隣接する電槽23に収容された電極体10の正極集箔部12aと負極集箔部13aとをそれぞれ接続する複数のバスバー8を備える。そして、ケース2の電槽23を密閉する蓋体5を備える。本実施形態の二次電池1の製造方法は、バスバー8は、ケース2に配置されて電槽23の一部として電槽23を気密に構成する。これとともに、その一部が放熱面として電槽23の外部に放熱可能に構成される。電解液含浸工程は、最初に電極体10を電槽23に電極体10を真空容器15に収容する収容工程を備える。続いて、電極体10を収容した真空容器15内を真空にする真空工程を備える。続いて、真空になった真空容器15内に非水電解液14を注液する注液工程を備える。続いて、非水電解液14を電極体10に浸透させる浸透工程を備える。最後に、電解液が浸透した電極体10を真空容器から出す取出し工程を備える。その後に電解液含浸工程において非水電解液14が浸透した電極体10を電槽23に収容する電極体収容工程を備える。電極体10の正極集箔部(正極バスバー接続部)12aと負極集箔部(負極バスバー接続部)13aとをバスバー8に接続する接続工程を備えることができる。
【0133】
このため、このような工程により、非水電解液14を浸漬した電極体10は、ケース2の個別の電槽23に収容されて、接続孔28を介してバスバー8にレーザ溶接により接続させることができるという効果がある。
【0134】
(6)電解液含浸工程後の電極体10の正極集箔部12aと負極集箔部13aとを、接続工程前に集箔することができる。
このため、従来のように正極集箔部12aや負極集箔部13aを集電部材に溶接した後に非水電解液14を電極体10に浸透させるより、はるかに効率よく非水電解液14を電極体10に浸透させることができるという効果がある。
【0135】
(7)電槽23は側部に開口部である接続孔28を備えるとともに、接続孔28を封止する側板7を備える。
接続工程は、開口部である接続孔28を介して電極体10の正極バスバー接続部である正極集箔部12aと負極バスバー接続部である負極集箔部13aをバスバー8に溶接し、接続工程の完了後に側板7で開口部を封止する封止工程を備えることができる。
【0136】
このため、このような工程により、非水電解液14を浸漬した電極体10は、ケース2の個別の電槽23に収容されて、接続孔28を介してバスバー8にレーザ溶接により接続させることができるという効果がある。
【0137】
(8)二次電池1が、非水電解液二次電池である場合に好適に実施することができる。この場合、電極体10は、積層体を捲回した捲回型電極体の場合に特に好適に実施することができるという効果がある。
【0138】
(別例)
本発明は、上記実施形態に限定されず、以下のように実施することもできる。
○本実施形態は、本発明の実施の一例であり、記載された数値や数値範囲は、一例でありこれらに限定されるものではない。
【0139】
○本実施形態では、複数の電極体10を複数の電槽23に収容する組電池を構成する二次電池1の例により、本発明の二次電池の製造方法を説明している。しかしながら、本発明は、このような実施形態には限定されない。従来技術で述べたように従来の電極体は、蓋体の外部に設けられた外部接続端子と接続するため、両端部の集電箔を集箔して金属製の集電端子と溶接して、この集電端子により蓋体を介して外部接続端子と接続するような構造となっていた。このような電極体と蓋体とともに電池ケースに収容したあと、電解液を注液していた。
【0140】
図41は、本実施形態の別例の二次電池1´を示す斜視図である。
図41を参照して別例の二次電池1´を説明する。本発明は、予め電極体110に非水電解液114を含浸させて、その後電池ケース102に収容するため、1つの電極体110を1つの電槽123に収容するセル電池において適用したものである。
【0141】
すなわち、別例の二次電池1´の製造方法では、二次電池1´は、正極板112と負極板113が相互に積層された一つの電極体110と、電極体110を収容する一つの電槽123を有するケース102を備える。
【0142】
電極体110をケース102に収容する工程の前に、本実施形態と同様の電解液含浸工程を行う。電解液含浸工程は、
図16のSTEP2~STEP4に示すように、収容工程と真空工程と注液工程と浸透工程と取出し工程とを備える。収容工程は、電極体を真空容器に収容する。真空工程は、電極体を収容した真空容器内を真空にする。注液工程は、真空になった真空容器内に電解液を注液する。浸透工程では、電解液を電極体に浸透させる。取出し工程では、電解液が浸透した電極体を真空容器から取り出す。
【0143】
このようにして予め非水電解液114を含浸させた電極体110を電槽123に収容する。電極体110の電極は、例えば、予め蓋体105に設けられた外部電極130、131の取付ステー130a、131aに溶接してから、電槽123に収容するようにしてもよい。
【0144】
この別例では、
図15に示す本実施形態の電極体10と同様に、例えば電極体110の長手方向の両端には、正極板112の基板となる正極集電体112aが露出した部分と、負極板113の基板となる負極集電体113aが露出した部分がある。この電極体110の正極集電体112aと負極集電体113aは、集箔されて外部電極の取付ステー130a、131aに接続される。本別例では、集箔される前に非水電解液114が含浸されるため、従来のように集箔後に非水電解液14を注液するよりも、非水電解液114が効率よく電極体110に浸透させることができる。すなわち予め非水電解液114を完全に含侵した電極体110を組み付けることができるので、二次電池1´の組付け工程において、待ち時間なしに、直ちに次の検査工程などに移行することができる。
【0145】
〇本実施形態は、対象とする二次電池1の例としてリチウムイオン二次電池を例に説明したが、電池の種類は他の非水電解液二次電池においても適用できる。また、ニッケル水素蓄電池などのアルカリ蓄電池においても適用することができる。
【0146】
○本実施形態の電極体10は、扁平な捲回型電極体のものを例示したが、本発明は例えば、扁平に成型しない円柱形の電極体にも適用できる。さらに、多数の分離したシート状の正極板と負極板とをセパレータを介して平面的に積層したような二次電池においても適用できる。
【0147】
○本実施形態では、電極体10と隔壁25の間に若干の間隙を有する態様を例示したが、必ずしも間隙は必要ではない。逆に、電極体10と隔壁25を接触させた状態で、右エンドプレート21Rと左エンドプレート21Lとを引き寄せるような拘束部材(例えば、金属薄板によるベルト)などで拘束してもよい。
【0148】
○本実施形態のケース2、蓋体5、底板6、側板7は、溶融した樹脂(PP)を金型に射出して成型したが、素材はPPに限らず、PE(ポリエチレン)など他の樹脂でも実施できる。
【0149】
○また、ケース2を2つ以上のブロックに分割して成型し、成型後一体にしてもよい。
○また、下部フレーム2Fa、2Ba、右エンドプレート21R、左エンドプレート21Lなどの補強のための芯材として、強度の高い金属をインサート成型することもできる。
【0150】
○また、電槽底部隔壁23aを金属など熱伝導性の高い材料としたり、インサートすることで、底部通気路24からの放熱も促進することができる。
○ケース2、蓋体5、底板6、側板7は、相互に溶着されているが、例えば、接着剤による接着や、ねじ止めなどでもよい。
【0151】
○さらに、本実施形態のケース2、蓋体5、底板6、側板7の全部または一部をAlなどの金属製とすることもできる。但し、この場合は、バスバー8の絶縁などの対応が必要となる。
【0152】
○本実施形態では、電槽23全体の下部を底部通気路24としているが、各鉛直通気路27毎に外気を導入する吸気口を設けても良い。
○鉛直通気路27では、バスバー8にヒートシンクを設けて放熱効果を高めるようにしてもよい。
【0153】
○バスバー8は、水平断面が直角に接続されたU字形状としたが、鉛直通気路27の内面に沿った水平断面が長方形の筒状としてもよい。
○本実施形態では、バスバー8と正極集箔部12aや負極集箔部13aとの溶接をレーザ溶接により行っているが、スポット溶接などでも行うことができる。
【0154】
○本実施形態では、電極体10の正極集箔部12a及び負極集箔部13aをバスバー8に溶接するときに、
図30に示すように行っていた。すなわち、クリップ100の押圧部100bの外側に対して押圧する力で、隣接する一対のバスバー8に正極集箔部12a及び負極集箔部13aをそれぞれ押し付けるようにして固定していた。
【0155】
図40は、クリップ100の変形例であるクリップ101を用いて電極体10をバスバー8に溶接する状態を示す斜視図である。変形例のクリップ101では、1つのバスバーを両側から挟み込むように正極集箔部12a及び負極集箔部13aをそれぞれ押し付けるようにして固定する。
【0156】
ここでクリップ101は、
図40に示すように、上部101aが連結した二股のピンセット状の弾性を有する金属で、高さ方向Hの中央部の押圧部101bが相互に接近するように湾曲している。クリップ101の押圧部101bの幅は、1つのバスバー8の幅より狭くなっている。
図40に示すように、長さ方向Lに隣接するように電槽23に収容された一対の電極体10は、正極集箔部中央部12cと負極集箔部中央部13cが、それぞれ電極体集箔部挿入部25dまで挿入される。ここまで挿入された正極集箔部中央部12cと負極集箔部中央部13cとの間にクリップ101を幅(長さ方向L)に拡げながら挿入する。ここに挿入されたクリップ101の押圧部101bを幅方向(長さ方向L)に拡げる力が解除されると長さ方向Lに接近し、クリップ101の押圧部101b、101bが、正極集箔部中央部12cと負極集箔部中央部13cとを間に挟み込むように押圧する。このため、正極集箔部中央部12cはバスバー8の長さ方向Lの左側外面の集箔部溶接面8aに密着する。また、負極集箔部中央部13cは右側外面の集箔部溶接面8bに密着する。
【0157】
○本発明では、本質的に電極体10の正極集箔部12a及び負極集箔部13aをバスバー8の適正な位置に固定して溶接できればよく、金属製のクリップ100、101に替えて、弾性があれば樹脂製などでもよい。さらに個別の図示を省略するが、ねじやラチェット機構などで固定するものでもよく、ロボットなどモータなどの動力で動的に押し付けるような構成でもよい。
【0158】
○温度/電圧検出部91の温度センサは、熱電対を例示したが、側縁抵抗体やサーミスタなどその種類は問わない。
○また、温度/電圧検出部91からの電気信号は、その形式は問わず、結果的に、フレキシブル基板外部コネクタ32から外部の制御装置にデータとして出力できればよい。
【0159】
○そのための信号処理(例えば、アナログデータをディジタルデータとするなど。)は、温度/電圧検出部91自体で行われても良い。またはフレキシブル基板9内のフレキシブル基板9のリード部9cの近傍や、若しくはフレキシブル基板外部コネクタ32の近傍などに、データ処理をするための電子回路を有した基板を設けてもよい。さらに、フレキシブル基板外部コネクタ32にそのような信号処理のための基板を設けてもよい。
【0160】
○底部通気路24の吸気開口24aに吸気ファンなどを設けることもできる。
○本実施形態では、フレキシブル基板9はケース2の側面に設けられたフレキシブル基板配線溝33において配線されているが、配線をする場所は限定されない。
【0161】
○二次電池1の組立の順番は、実施形態に例示された順序に限定されない。
○本発明は、上記実施形態により限定して解釈されることはなく、当業者であれば、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、その構成を付加し、削除し、若しくは置換して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0162】
L…長さ方向
W…幅方向
H…高さ方向
1…二次電池
10…電極体
10a…積層部
11…セパレータ
12…正極板
12a…正極集箔部(正極バスバー接続部)
12b…正極集箔部上部
12c…正極集箔部中央部
12d…正極集箔部下部
12e…段差部
13…負極板
13a…負極集箔部(負極バスバー接続部)
13b…負極集箔部上部
13c…負極集箔部中央部
13d…負極集箔部下部
13e…段差部
14…非水電解液
15…真空容器
16…真空ポンプ
2…ケース
2F…正面部
2Fa…下部フレーム
2B…背面部
2Ba…下部フレーム
2U…頂部
2D…底部
20F…正面溶着部
20B…背面溶着部
20U…頂部溶着部
20D…底部溶着部
21R…右エンドプレート
21Ra…凹部
21Rb…リブ
21L…左エンドプレート
23…電槽(セル)
23a…電槽底部隔壁
23b…下部保持部
24…底部通気路
24a…吸気開口
25…隔壁
25a…壁部
25b…支持部
25c…固定リブ
25d…電極体集箔部挿入部
26…脚部
26a…基部
26b…先端部
26c…ねじ穴
26d…ゴムブッシュ
27…鉛直通気路
27S…側部
27I…内側部
27O…外側部
27D…吸気口
27U…排気口
28…接続孔
29…検出孔
30…正極外部端子
31…負極外部端子
32…フレキシブル基板外部コネクタ
33…フレキシブル基板配線溝
5…蓋体
5a…外面
5b…内面
51…排気部
51a…凸部
51b…排気孔
52…上部保持部
52a…基部
52b…凹部
52c…側部
52d…リブ
6…底板
7…側板
7F…正面板(側板)
7B…背面板(側板)
71…膨出部
72…溶着部
8…バスバー
8a…集箔部溶接面
8b…集箔部溶接面
8c…連結部
8d…放熱面
8e…検出面
8f…接着面
81…負極端子バスバー
82…正極端子バスバー
9…フレキシブル基板
9a…正面部
9b…背面部
9c…リード部
9d…左面部
9e…接続部
91…温度/電圧検出部
100、101…クリップ