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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106799
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】歪みセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
G01B7/00 103R
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011243
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 聖
(72)【発明者】
【氏名】中井 孝洋
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063CA34
2F063EC03
2F063EC20
2F063EC27
(57)【要約】
【課題】感度に優れながら、小型である歪みセンサを提供すること。
【解決手段】歪みセンサ1は、基材フィルム2と、歪みゲージ線部3と、接続線部4とを備える。歪みゲージ線部3は、厚み方向における基材フィルム2の一方面に配置される。歪みゲージ線部3は、第1線部31Aおよび第2線部32Aを有する。第1線部31Aおよび第2線部32Aは、互いに間隔が隔てられるように並んで延びる。接続線部4は、厚み方向における基材フィルムの一方面に配置される。接続線部4は、第1線部31Aおよび第2線部32Aを接続する。接続線部4の表面抵抗率Rcは、歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsより低い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、
厚み方向における前記基材フィルムの一方面に配置される歪みゲージ線部であって、互いに間隔が隔てられるように並んで延びる第1線部および第2線部を有する歪みゲージ線部と、
厚み方向における前記基材フィルムの一方面に配置される接続線部であって、前記第1線部および前記第2線部を接続する接続線部と、を備え、
前記接続線部の表面抵抗率Rcは、前記歪みゲージ線部の表面抵抗率Rsより低い、歪みセンサ。
【請求項2】
前記第1線部および前記第2線部のそれぞれにおいて前記第1線部および前記第2線部のそれぞれが延びる方向に直交する方向の長さLLに対する、前記接続線部において前記接続線部が延びる方向に直交する方向の長さLCの比(LC/LL)は、2.0以下、0.5以上である、請求項1に記載の歪みセンサ。
【請求項3】
前記接続線部は、前記第1線部および前記第2線部が延びる方向に交差する方向に延びる、請求項1または2に記載の歪みセンサ。
【請求項4】
前記接続線部は、前記第1線部および前記第2線部が延びる方向に直交する方向に延びる、請求項3に記載の歪みセンサ。
【請求項5】
前記接続線部の材料は、前記歪みゲージ線部の材料と異なる、請求項1または請求項2に記載の歪みセンサ。
【請求項6】
前記接続線部のゲージ率は、前記歪みゲージ線部のゲージ率より低い、請求項1または請求項2に記載の歪みセンサ。
【請求項7】
前記歪みゲージ線部の表面抵抗率Rsに対する前記接続線部の表面抵抗率Rcの比(Rc/Rs)は、0.10以下である、請求項1または請求項2に記載の歪みセンサ。
【請求項8】
前記第1線部および前記第2線部のそれぞれの電気抵抗に対する前記接続線部の電気抵抗の比は、0.005以下である、請求項1または請求項2に記載の歪みセンサ。
【請求項9】
前記歪みゲージ線部の材料は、窒化クロムを含む、請求項1または請求項2に記載の歪みセンサ。
【請求項10】
前記接続線部の材料は、銅、および/または、ニッケルを含む、請求項1または請求項2に記載の歪みセンサ。
【請求項11】
前記歪みゲージ線部の厚みが、10nm以上、150nm以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の歪みセンサ。
【請求項12】
前記接続線部は、第1層と第2層とを厚み方向に向かって順に備える、請求項1または請求項2に記載の歪みセンサ。
【請求項13】
前記第1層は、前記歪みゲージ線部と連続し、
前記第1層の材料は、前記歪みゲージ線部の材料と同一である、請求項12に記載の歪みセンサ。
【請求項14】
前記第1層は、厚み方向における前記基材フィルムの一方面に配置されている、請求項13に記載の歪みセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歪みセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
基材フィルムと、歪みゲージ線部と、接続線部と、を備える歪みセンサが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の歪みセンサでは、歪みゲージ線部は、厚み方向における基材フィルムの一方面に配置される。歪みゲージ線部は、第1線部および第2線部を有する。第1線部および第2線部は、互いに間隔が隔てられるように並んで延びる。また、接続線部は、厚み方向における基材フィルムの一方面に配置される。接続線部は、第1線部および第2線部を接続する。
【0003】
基材フィルムがセンサ対象に取り付けられて、センサ対象が伸縮すると、これに連動して、第1線部および第2線部は、伸縮する。すると、歪みゲージ線部の抵抗が変動する。歪みセンサでは、歪みゲージ線部の抵抗の変動と、歪みゲージ線部のゲージ率とから、歪みゲージ線部の伸縮量が求められるとともに、センサ対象の伸縮量、すなわち、センサ対象の歪み量が求められる。以上より、歪みゲージ線部のゲージ率が高いと、歪みセンサの感度が高くなる。
【0004】
一方、接続線部のゲージ率は、センタ対象の伸縮のセンシングに実質的に寄与しない。接続線部の電気抵抗は、低いことが求められる。そこで、接続線部の幅を、歪みゲージ線部の幅より広くすることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2022/092204号
【特許文献2】特開平1-219601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歪みセンサには、用途および目的に応じて、小型であることが求められる。
【0007】
しかし、特許文献2では、接続線部の幅が歪みゲージ線部の幅より広いため、歪みセンサは、小型にできないという不具合がある。
【0008】
本発明は、感度に優れながら、小型である歪みセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明[1]は、基材フィルムと、厚み方向における前記基材フィルムの一方面に配置される歪みゲージ線部であって、互いに間隔が隔てられるように並んで延びる第1線部および第2線部を有する歪みゲージ線部と、厚み方向における前記基材フィルムの一方面に配置される接続線部であって、前記第1線部および前記第2線部を接続する接続線部と、を備え、前記接続線部の表面抵抗率Rcは、前記歪みゲージ線部の表面抵抗率Rsより低い、歪みセンサを含む。
【0010】
この歪みセンサでは、接続線部の表面抵抗率Rcが歪みゲージ線部の表面抵抗率Rsより低い。そのため、接続線部の幅を拡げることなく、接続線部の電気抵抗を歪みゲージ線部の電気抵抗より低くできる。そのため、歪みセンサは、感度に優れながら、小型にできる。
【0011】
本発明[2]は、前記第1線部および前記第2線部のそれぞれにおいて前記第1線部および前記第2線部のそれぞれが延びる方向に直交する方向の長さLLに対する、前記接続線部において前記接続線部が延びる方向に直交する方向の長さLCの比(LC/LL)は、2.0以下、0.5以上である、[1]に記載の歪みセンサを含む。
【0012】
この歪みセンサでは、第1線部および第2線部のそれぞれにおいて第1線部および第2線部のそれぞれが延びる方向に直交する方向の長さLLに対する、接続線部において接続線部が延びる方向に直交する方向の長さLCの比(LC/LL)は、2.0以下であるので、歪みセンサを小型にできる。
【0013】
比(LC/LL)が0.5以上であるので、接続線部が延びる方向に直交する方向の長さLCを比較的長くでき、そのため、接続線部おける断線の発生を抑制でき、歪みセンサは、優れた耐久性を発揮できる。
【0014】
本発明[3]は、前記接続線部は、前記第1線部および前記第2線部が延びる方向に交差する方向に延びる、[1]または2に記載の歪みセンサを含む。
【0015】
本発明[4]は、前記接続線部は、前記第1線部および前記第2線部が延びる方向に直交する方向に延びる、[3]に記載の歪みセンサを含む。
【0016】
本発明[5]は、前記接続線部の材料は、前記歪みゲージ線部の材料と異なる、[1]または[2]に記載の歪みセンサを含む。
【0017】
本発明[6]は、前記接続線部のゲージ率は、前記歪みゲージ線部のゲージ率より低い、[1]または[2]に記載の歪みセンサを含む。
【0018】
本発明[7]は、前記歪みゲージ線部の表面抵抗率Rsに対する前記接続線部の表面抵抗率Rcの比(Rc/Rs)は、0.10以下である、[1]または[2]に記載の歪みセンサを含む。
【0019】
この歪みセンサでは、歪みゲージ線部の表面抵抗率Rsに対する接続線部の表面抵抗率Rcの比(Rc/Rs)が0.10以下であるので、感度を向上できる。
【0020】
本発明[8]は、前記第1線部および前記第2線部のそれぞれの電気抵抗に対する前記接続線部の電気抵抗の比は、0.005以下である、[1]または[2]に記載の歪みセンサを含む。
【0021】
この歪みセンサでは、歪みゲージ線部の電気抵抗に対する接続線部の電気抵抗の比が0.005以下であるので、感度を向上できる。
【0022】
本発明[9]は、前記歪みゲージ線部の材料は、窒化クロムを含む、[1]または[2]に記載の歪みセンサを含む。
【0023】
本発明[10]は、前記接続線部の材料は、銅、および/または、ニッケルを含む、[1]または[2]に記載の歪みセンサを含む。
【0024】
本発明[11]は、前記歪みゲージ線部の厚みが、10nm以上、150nm以下であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の歪みセンサを含む。
【0025】
この歪みセンサでは、歪みゲージ線部の厚みが、10nm以上、150nm以下であるので、センシングの信頼性に優れながら、薄くできる。
【0026】
本発明[12]は、前記接続線部は、第1層と第2層とを厚み方向に向かって順に備える、[1]または[2]に記載の歪みセンサを含む。
【0027】
この歪みセンサでは、接続線部は、第1層と第2層とを厚み方向に向かって順に備えるので、接続線部の表面抵抗率Rcを低減できる。そのため、接続線部を小型にしながら、感度を向上できる。
【0028】
本発明[13]は、前記第1層は、前記歪みゲージ線部と連続し、前記第1層の材料は、前記歪みゲージ線部の材料と同一である、[12]に記載の歪みセンサを含む。
【0029】
この歪みセンサでは、第1層は、歪みゲージ線部と連続し、第1層の材料は、歪みゲージ線部の材料と同一であるので、歪みゲージ線部と接続線部との界面における損傷を抑制できる。
【0030】
本発明[14]は、前記第1層は、厚み方向における前記基材フィルムの一方面に配置されている、[13]に記載の歪みセンサを含む。
【発明の効果】
【0031】
本発明の歪みセンサは、感度に優れながら、小型にできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の歪みセンサの一実施形態の平面図である。
図2図1におけるX-X線に沿う断面図である。
図3図3A図3Dは、図2に示す歪みセンサの製造工程図である。図3Aは、抵抗層を形成する工程である。図3Bは、抵抗層から歪みゲージ線部を形成する工程である。図3Cは、導電層を形成する工程である。図3Dは、導電層から接続線部を形成する工程である。
図4】第1変形例の拡大平面図である。
図5図5Aから図5Dは、第2変形例の歪みセンサの製造工程図である。図5Aは、抵抗層を形成する工程である。図5Bは、抵抗層から歪みゲージ線部および第1層を形成する工程である。図5Cは、導電層を形成する工程である。図5Dは、導電層から第2層を形成する工程である。
図6図6Aから図6Dは、第2変形例の歪みセンサの製造工程図である。図6Aは、導電層を形成する工程である。図6Bは、導電層から第2層を形成する工程である。図6Cは、抵抗層を形成する工程である。図6Dは、抵抗層から第1層および歪みゲージ線部を形成する工程である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1. 一実施形態
図1および図2を参照して、本発明の歪みセンサの一実施形態を説明する。なお、図1において、後述する接続線部4および端子線部5は、ハッチングで描画している。
【0034】
歪みセンサ1は、センサ対象に取り付けられ、センサ対象の歪み量を測定するデバイスである。図1および図2に示すように、歪みセンサ1は、厚みを有する。歪みセンサ1は、面方向に延びる。面方向は、厚み方向に直交する。歪みセンサ1は、平面視において、略矩形状を有する。歪みセンサ1は、第1方向に長く、第2方向に短い。第1方向は、面方向に含まれる。第2方向は、面方向に含まれる。第2方向は、第1方向に交差する。好ましくは、第2方向は、第1方向に直交する。
【0035】
歪みセンサ1は、基材フィルム2と、歪みゲージ線部3と、接続線部4と、端子線部5と、を備える。
【0036】
1.1 基材フィルム2
基材フィルム2は、厚み方向における歪みセンサ1の他端部に配置される。基材フィルム2は、歪みセンサ1の外形形状をなす。基材フィルム2は、例えば、可撓性である。基材フィルム2の材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、および、ノルボルネン樹脂が挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。樹脂としては、好ましくは、ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0037】
基材フィルム2の厚みは、例えば、2μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下、より好ましくは、200μm以下である。
【0038】
1.2 歪みゲージ線部3
歪みゲージ線部3は、厚み方向における基材フィルム2の一方面に配置される。歪みゲージ線部3は、厚み方向における歪みセンサ1の一端部に配置される。歪みセンサ1がセンサ対象に取り付けられ、センサ対象が歪むときに、歪みゲージ線部3は、伸縮する。歪みゲージ線部3は、第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dを有する。
【0039】
第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dは、第2方向において、互いに間隔が隔てられる。第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dのそれぞれは、第1方向に延びる。第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dは、第2方向に並ぶ。換言すれば、第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dは、互いに間隔が隔てられるように並んで延びる。
【0040】
本実施形態では、第1線部31A,第2線部32A,第1線部31B,第2線部32B,第1線部31C,第2線部32C,第1線部31D,および、第2線部32Dが、第2方向において、順に並ぶ。
【0041】
本実施形態では、第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dのそれぞれは、直線形状を有する。本実施形態では、第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dは、互いに平行する。本実施形態では、第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dは、第2方向に投影したときに、互いに重複する。
【0042】
第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dの第1方向長さは、例えば、互いに同一である。第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dの第2方向長さLLは、例えば、互いに同一である。
【0043】
歪みゲージ線部3の材料としては、例えば、窒化クロム、ニッケルクロム合金、および、銅ニッケル合金が挙げられる。歪みゲージ線部3の材料として、好ましくは、窒化クロムを含む。窒化クロムの窒化度は、限定されない。歪みゲージ線部3の材料は、好ましくは、窒化クロムを主成分として含み、より好ましくは、窒化クロムである。歪みゲージ線部3の材料が窒化クロムを含む場合には、歪みゲージ線部3のゲージ率を高くして、歪みセンサ1の感度を向上できる。
【0044】
歪みゲージ線部3のゲージ率は、例えば、10以上、好ましくは、11以上であり、また、例えば、25以下である。
【0045】
歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsは、後述する比が後述する範囲となるよう設定される。歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsは、例えば、1Ω/□以上、好ましくは、5Ω/□以上であり、また、例えば、100Ω/□以下、好ましくは、30Ω/□以下、より好ましくは、15Ω/□以下である。
【0046】
歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsを求めるには、まず、四端子法で歪みゲージ線部3の抵抗Rを測定する。歪みゲージ線部3の抵抗Rに歪みゲージ線部3の幅(第2方向長さLL)を乗じた積を歪みゲージ線部3の長さで除する。
【0047】
つまり、歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsは、下記式で求められる。
歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rs=歪みゲージ線部3の抵抗R×歪みゲージ線部3の幅LL/歪みゲージ線部3の長さ
【0048】
第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dのそれぞれの電気抵抗は、後述する比が後述する範囲となるように設定される。第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dのそれぞれの電気抵抗は、例えば、100Ω以上、好ましくは、1,000Ω以上、より好ましくは、3,000Ω以上であり、また、例えば、10,000Ω以下、好ましくは、8,000Ω以下、より好ましくは、6,000Ω以下である。
【0049】
第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dのそれぞれの幅LLは、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。上記した幅LLは、後述する幅LCとの比が所定範囲となるように設定される。本実施形態では、第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれの幅LLは、第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれにおいて第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれが延びる方向に直交する方向の長さLLに相当する。
【0050】
歪みゲージ線部3の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、30nm以上であり、また、例えば、150nm以下、好ましくは、100nm以下、より好ましくは、75nm以下である。歪みゲージ線部3の厚みが上記した範囲にあれば、歪みセンサ1のセンシングの信頼性に優れながら、薄くできる。
【0051】
1.3 接続線部4
接続線部4は、厚み方向における基材フィルム2の一方面に配置される。接続線部4は、厚み方向における歪みセンサ1の一端部に配置される。本実施形態では、接続線部4は、第1接続線部41A,41B,41C,41Dと、第2接続線部42A,42B,42Cと、を備える。
【0052】
1.3.1 第1接続線部41A
第1接続線部41Aは、第1線部31Aおよび第2線部32Aを接続する。第1接続線部41Aは、第1方向において歪みゲージ線部3の一端部に配置される。具体的には、第1接続線部41Aは、第1方向における第1線部31Aの一端部31A1と、第1方向における第2線部32Aの一端部32A1とを接続する。詳しくは、第1接続線部41Aは、第2方向における一端部31A1の他側面から延び、第2方向における一端部32A1の一側面に至る。第1接続線部41Aは、第2方向に投影したときに、一端部31A1および一端部32A1と重複する。
【0053】
第1接続線部41Aは、第1線部31Aおよび第2線部32Aが延びる方向に交差する方向に延びる。好ましくは、第1接続線部41Aは、第1線部31Aおよび第2線部32Aが延びる方向に直交する方向に延びる。第1接続線部41Aは、第2方向に延びる。
【0054】
第1接続線部41Aの幅LCは、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、10μm以上、さらに好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、250μm以下である。本実施形態では、第1接続線部41Aの幅LCは、第1接続線部41Aにおいて第1接続線部41Aが延びる方向に直交する方向の長さLCに相当する。第1接続線部41Aの幅LCが上記した下限以上であれば、第1接続線部41Aにおける断線の発生を抑制でき、歪みセンサ1は、優れた耐久性を発揮できる。
【0055】
第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれの幅LLに対する、第1接続線部41Aの幅LCの比(LC/LL)は、例えば、2.0以下、好ましくは、1.5以下であり、また、例えば、0.5以上である。換言すれば、第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれにおいて第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれが延びる方向に直交する方向の長さLLに対する、第1接続線部41Aにおいて第1接続線部41Aが延びる方向に直交する方向の長さLCの比(LC/LL)は、例えば、2.0以下、好ましくは、1.5以下であり、また、例えば、0.5以上である。
【0056】
比(LC/LL)が上記した上限以下であれば、第1接続線部41Aを小型にでき、ひいては、歪みセンサ1を小型にできる。
【0057】
比(LC/LL)が上記した下限以上であれば、第1接続線部41Aの接続信頼性を確保して、歪みセンサ1の感度を向上できる。
【0058】
1.3.2 第1接続線部41Aの物性
第1接続線部41Aの表面抵抗率Rcは、歪みゲージ線部3(第1線部31Aおよび第2線部32A)の表面抵抗率Rsより低い。
【0059】
対して、第1接続線部41Aの表面抵抗率Rcが歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsより高いまたは同一であれば、第1接続線部41Aの電気抵抗を低くして、歪みセンサ1における一定の感度を確保するために、第1接続線部41Aの幅LCを広くせざるを得ない。そのため、第1接続線部41Aを小型にできず、ひいては、歪みセンサ1を小型にできない。
【0060】
具体的には、歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsに対する接続線部4の表面抵抗率Rcの比(Rc/Rs)は、例えば、0.9以下、好ましくは、0.5以下、より好ましくは、0.25以下、とりわけ好ましくは、0.10以下、最も好ましくは、0.05以下である。歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsに対する接続線部4の表面抵抗率Rcの比(Rc/Rs)が上記した上限以下であれば、歪みセンサ1の感度を向上させながら、接続線部4の電気抵抗を低減させて、接続線部4を小型にでき、ひいては、歪みセンサ1を小型にできる。
【0061】
歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsに対する接続線部4の表面抵抗率Rcの比(Rc/Rs)の下限は、例えば、0.001、好ましくは、0.01である。
【0062】
第1接続線部41Aの表面抵抗率Rcは、例えば、50Ω/□以下、好ましくは、20Ω/□以下、より好ましくは、10Ω/□以下である。第1接続線部41Aの表面抵抗率Rcは、歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsと同様の方法に基づいて求められる。
【0063】
第1線部31Aおよび第2線部32Aの電気抵抗に対する第1接続線部41Aの電気抵抗の比は、例えば、0.005以下、好ましくは、0.002以下、より好ましくは、0.001以下であり、また、例えば、0.0001以上、好ましくは、0.0005以上である。第1線部31Aおよび第2線部32Aの電気抵抗に対する第1接続線部41Aの電気抵抗の比が上記した上限以下であれば、第1接続線部41Aを小型にでき、ひいては、歪みセンサ1を小型にできる。
【0064】
第1接続線部41Aの電気抵抗は、例えば、100Ω以下、好ましくは、10Ω以下、より好ましくは、5Ω以下であり、また、例えば、0.1Ω以上、また、1Ω以上である。第1接続線部41Aの電気抵抗は、四端子法により求められる。
【0065】
第1接続線部41B,41C,41Dのそれぞれは、第1接続線部41Aと同様の構成を有する。
【0066】
1.3.3 第2接続線部42A
第2接続線部42Aは、第2線部32Aおよび第1線部31Bを接続する。第2接続線部42Aは、第1方向において歪みゲージ線部3の他端部に配置される。具体的には、第2接続線部42Aは、第1方向における第2線部32Aの他端部32A2と、第1方向における第1線部31Bの他端部31B2とを接続する。詳しくは、第2接続線部42は、第2方向における他端部32A2の他側面から延び、第2方向における他端部31B2の一側面に至る。第2接続線部42Aは、第2方向に投影したときに、他端部32A2および他端部31B2と重複する。
【0067】
第2接続線部42Aは、第2線部32Aおよび第1線部31Bが交差する方向に延びる。好ましくは、第2接続線部42Aは、第2線部32Aおよび第1線部31Bが延びる方向に直交する方向に延びる。第2接続線部42Aは、第1接続線部41Aと平行する。第2接続線部42Aは、第2方向に延びる。
【0068】
第2接続線部42Aの材料、サイズ、表面抵抗率Rcおよび電気抵抗は、第1接続線部41Aのそれぞれと同一である。
【0069】
第2接続線部42B,42Cのそれぞれは、第2接続線部42Aと同様の構成を有する。
【0070】
接続線部4の厚みは、例えば、歪みゲージ線部3より厚く、または、歪みゲージ線部3の厚みと同一である。接続線部4の厚みは、例えば、10nm以上、好ましくは、30nm以上、より好ましくは、75nm以上であり、また、例えば、200nm以下、好ましくは、150nm以下である。
【0071】
1.3.4 接続線部4の材料
本実施形態では、接続線部4の材料は、ゲージ線部3の材料と異なる。本実施形態では、接続線部4の材料としては、好ましくは、ゲージ線部3よりもゲージ率が低い材料が挙げられる。換言すれば、接続線部4のゲージ率は、好ましくは、歪みゲージ線部3のゲージ率より低い。具体的には、接続線部4の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、銀、および、ニッケルが挙げられる。接続線部4の材料は、歪みゲージ線部3の材料を一部含んでもよい。これらは、単独使用または併用される。接続線部4の材料として、好ましくは、銅、および、ニッケルが挙げられる。接続線部4の材料が銅またはニッケルであれば、第1接続線部4Aの表面抵抗率Rcを第1線部31Aおよび第2線部32Bより確実に低くできる。
【0072】
1.4 端子線部5
端子線部5は、厚み方向における基材フィルム2の一方面に配置される。端子線部5は、厚み方向における歪みセンサ1の一端部に配置される。端子線部5は、第1方向における基材フィルム2の他端部に配置される。端子線部5は、端子51A,51Bと、接続配線52A,52Bと、を備える。
【0073】
端子51A,51Bのそれぞれは、第2方向における基材フィルム2の両端部のそれぞれに配置される。端子51A,51Bは、第2方向において、互いに間隔が隔てられる。端子51A,51Bのそれぞれは、平面視略矩形のランド形状を有する。端子51A,51Bには、図示しない接続ラインを介して演算装置と電気的に接続される。
【0074】
接続配線52Aは、第1線部31Aと端子51Aとを接続する。詳しくは、接続配線52Aは、第1方向における第1線部31Aの他端部31A2から端子51Aに向かって延びる。接続配線52Aは、直線形状を有する。
【0075】
接続配線52Bは、第2線部32Dと端子51Bとを接続する。詳しくは、接続配線52Bは、第1方向における第2線部32Dの他端部32D2から端子51Bに向かって延びる。接続配線52Bは、直線形状を有する。
【0076】
端子線部5の材料、厚み、表面抵抗率および電気抵抗のそれぞれは、接続線部4の材料、厚み、表面抵抗率および電気抵抗のそれぞれと同一である。
【0077】
歪みゲージ線部3と、接続線部4と、端子線部5とは、平面視において、葛折り形状を形成する。
【0078】
1.5 歪みセンサ1の製造方法
図3Aから図3Dを参照して、歪みセンサ1の製造方法を説明する。
【0079】
図3Bに示すように、この製造方法では、まず、歪みゲージ線部3を、厚み方向における基材フィルム2の一方面に形成する。
【0080】
具体的には、図3Aに示すように、まず、抵抗層30を、厚み方向における基材フィルム2の一方面の全てに形成する。抵抗層30は、歪みゲージ線部3を形成するための層である。抵抗層30の材料は、歪みゲージ線部3の材料と同一である。抵抗層30は、パターンをまだ有していない。厚み方向における抵抗層30の他方面の全ては、基材フィルム2の一方面と接触する。
【0081】
抵抗層30を、ドライ法またはウエット法を用いて形成する。抵抗層30を、好ましくは、ドライ法を用いて、より好ましくは、スパッタリングを用いて形成する。スパッタリングでは、スパッタリングターゲットの材料は、歪みゲージ線部3の材料を含む。また、スパッタリングにおけるスパッタリングガスとしては、不活性ガス、または、混合ガスが挙げられる。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンが挙げられる。スパッタリングガスとして、好ましくは、混合ガスが挙げられる。混合ガスは、例えば、不活性ガスと、歪みゲージ線部3の材料の一部と、を含む。具体的には、歪みゲージ線部3の材料が窒化クロムであれば、スパッタリングターゲットの材料は、クロムであり、スパッタリングガスは、アルゴンおよび窒素を含む混合ガスである。
【0082】
次いで、図3Bに示すように、その後、エッチングによって、抵抗層30から歪みゲージ線部3を形成する。つまり、抵抗層30をパターンニングして、第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dを形成する。
【0083】
次いで、この製造方法では、図3Dに示すように、接続線部4と、端子線部5と、を形成する。具体的には、まず、図3Cに示すように、導電層40を、厚み方向における歪みゲージ線部3の一方面と、歪みゲージ線部3の周囲における基材フィルム2の一方面と、に形成する。導電層40は、接続線部4と端子線部5とを形成するための層である。導電層40は、パターンをまだ有していない。導電層40の形成方法は、抵抗層30の形成方法と同様である。ただし、スパッタリングターゲットの材料は、接続線部4の材料と同一である。スパッタリングガスは、不活性ガスである。
【0084】
続いて、図3Dに示すように、この製造方法では、エッチングによって、導電層40から接続線部4と端子線部5とを同時に形成する。つまり、第1接続線部41A,41B,41C,41Dと、第2接続線部42A,42B,42C(図2参照)と、端子51A,51Bと、接続配線52A,52Bと、を同時に形成する。
【0085】
2. 一実施形態の作用効果
この歪みセンサ1では、接続線部4の表面抵抗率Rcが、歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsより低い。そのため、接続線部4の幅(第1線部31A,31B,31C,31D、および、第2線部32A,32B,32C,32Dのそれぞれの幅)を拡げることなく、接続線部4の電気抵抗を歪みゲージ線部3の電気抵抗より低くできる。そのため、歪みセンサ1は、感度に優れながら、小型にできる。
【0086】
第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれにおいて第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれが延びる方向に直交する方向の長さLLに対する、第1接続線部41Aにおいて第1接続線部41Aが延びる方向に直交する方向の長さLCの比(LC/LL)は、2.0以下であれば、第1接続線部41Aを小型にでき、ひいては、歪みセンサ1を小型にできる。
【0087】
比(LC/LL)が0.5以上であれば、第1接続線部41Aにおける断線の発生を抑制でき、歪みセンサ1は、優れた耐久性を発揮できる。
【0088】
歪みゲージ線部3の電気抵抗に対する接続線部4の電気抵抗の比が0.005以下であれば、歪みセンサ1の感度を向上できる。
【0089】
歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsに対する接続線部4の表面抵抗率Rcの比(Rc/Rs)が0.10以下であれば、歪みセンサ1の感度を向上できる。
【0090】
歪みゲージ線部3の厚みが、10nm以上、150nm以下であれば、歪みセンサ1のセンシングの信頼性に優れながら、薄くできる。
【0091】
3. 変形例
以下の各変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0092】
3.1 第1変形例
図4に示すように、第1変形例では、第1接続線部41Aは、第2方向における一端部31A1の一側面31A3と、第2方向における一端部32A1の一側面321A3とを接続する。第1変形例では、第1接続線部41Aは、第2方向に投影したときに、一端部31A1および一端部32A1と重複しない。
【0093】
3.2 第2変形例
図2に示すように、一実施形態では、接続線部4は、一層である。
【0094】
対して、図5Dに示すように、第2変形例では、接続線部4は、第1層45と第2層46とを厚み方向の一方側に向かって順に備える。第1層45と第2層46とのそれぞれは、上記した接続線部4の外形形状を有する。第1層45と第2層46とは、互いに同一のパターンを有する。
【0095】
第2変形例では、第1層45は、厚み方向における基材フィルム2の一方面に配置されている。第1層45は、歪みゲージ線部3と連続する。第2変形例では、第1層45のゲージ率は、歪みゲージ線部3のゲージ率と同一である。具体的には、第1層45の材料は、歪みゲージ線部3の材料と同一である。
【0096】
第2変形例では、第1層45のゲージ率は、第2層46のゲージ率より高い。具体的には、第1層45の材料としては、一実施形態で例示した歪みゲージ線部3の材料が挙げられる。第2層46の材料としては、一実施形態で例示した接続線部4の材料が挙げられる。
【0097】
なお、第2変形例では、端子線部5も、第1層45および第2層46を備える。
【0098】
第2変形例の歪みセンサ1を製造するには、図5Aに示すように、まず、抵抗層30を、厚み方向における基材フィルム2の一方面の全てに形成する。
【0099】
図5Bに示すように、次いで、エッチングによって、抵抗層30から、歪みゲージ線部3と、第1層45と、同時に形成する。
【0100】
図5Cに示すように、導電層40を、厚み方向における歪みゲージ線部3の一方面と、厚み方向における第1層45の一方面と、歪みゲージ線部3および第1層45の周囲における基材フィルム2の一方面と、に形成する。
【0101】
図5Dに示すように、その後、エッチングによって、導電層40から第2層46を形成する。
【0102】
3.3 第2変形例の作用効果
第2変形例では、接続線部4は、第1層45と第2層46とを厚み方向に向かって順に備えるので、接続線部4の表面抵抗率Rcを低減できる。そのため、接続線部4を小型にしながら、感度を向上できる。
【0103】
さらに、第1層45は、歪みゲージ線部3と連続し、第1層45の材料は、歪みゲージ線部3の材料と同一である。そのため、歪みゲージ線部3と接続線部4との界面における損傷を抑制できる。損傷は、クラックを含む。換言すれば、第2変形例の歪みセンサ1は、耐クラック性に優れる。
【0104】
3.4 第3変形例
図6Dに示すように、第2変形例では、接続線部4は、第2層46と第1層45とを厚み方向の一方側に向かって順に備える。
【0105】
第3変形例の歪みセンサ1を製造するには、図6Aに示すように、まず、導電層40を、厚み方向における基材フィルム2の一方面の全てに形成する。
【0106】
図6Bに示すように、次いで、エッチングによって、導電層40から、第2層46を形成する。
【0107】
図6Cに示すように、次いで、抵抗層30を、厚み方向における第2層46の一方面と、第2層46の周囲における基材フィルム2の一方面と、に形成する。
【0108】
図6Dに示すように、その後、エッチングによって、抵抗層30から、第1層45と、歪みゲージ線部3と、を同時に形成する。
【0109】
3.5 第4変形例
第4変形例では、接続線部4のゲージ率は、歪みゲージ線部3のゲージ率と同一であってもよい。その場合には、図示しないが、接続線部4の厚みは、歪みゲージ線部3の厚みより厚い。これによって、接続線部4の表面抵抗率Rcは、歪みゲージ線部3の表面抵抗率Rsより低い。
【0110】
3.6 第5変形例
図示しないが、第2変形例および第3変形例において、第1層45は、歪みゲージ線部3と連続してなくてもよい。つまり、第1層45は、歪みゲージ線部3と不連続である。
【0111】
第5変形例では、接続線部4は、第1層45と第2層46とを厚み方向に向かって順に備えるので、接続線部4の表面抵抗率Rcを低減できる。そのため、接続線部4を小型にしながら、感度を向上できる。
【実施例0112】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0113】
実施例1
図3Aに示すように、ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム2を準備した。
【0114】
続いて、窒化クロム(ゲージ率12)からなる抵抗層30を、厚み方向における基材フィルム2の一方面の全てに、スパッタリングを用いて形成した。スパッタリングガスは、アルゴンおよび窒素の混合ガスであった。スパッタリングターゲットは、クロムであった。抵抗層30の厚みは、50nmであった。
【0115】
図3Bに示すように、次いで、エッチングによって、抵抗層30から歪みゲージ線部3を形成した。第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれの幅LLは、100μmであった。
【0116】
図3Cに示すように、次いで、銅(ゲージ率2)からなる導電層40を、厚み方向における歪みゲージ線部3の一方面と、歪みゲージ線部3の周囲における基材フィルム2の一方面とに、スパッタリングを用いて形成した。スパッタリングガスは、アルゴンであった。スパッタリングターゲットは、銅であった。導電層40の厚みは、50nmであった。
【0117】
図3Dに示すように、その後、エッチングによって、導電層40から接続線部4と端子線部5とを同時に形成した。第1接続線部41Aの幅LCは、100μmであった。
【0118】
これにより、図2に示す歪みセンサ1を製造した。
【0119】
実施例3、実施例4、および、実施例6
実施例1と同様にして、歪みセンサ1を製造した。但し、表1の通りに、導電層40(接続線部4および端子線部5)の材料および厚みを変更した。なお、実施例3および実施例4のニッケルのゲージ率は、2である。
【0120】
比較例1
ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム2を準備した。
【0121】
続いて、窒化クロム(ゲージ率12)からなる抵抗層30を、厚み方向における基材フィルム2の一方面の全てに、スパッタリングを用いて形成した。スパッタリングガスは、アルゴンおよび窒素の混合ガスであった。スパッタリングターゲットは、クロムであった。抵抗層30の厚みは、50nmであった。
【0122】
次いで、エッチングによって、抵抗層30から、歪みゲージ線部3と、接続線部4と、端子線部5とを同時に形成した。第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれの幅LLは、100μmであった。第1接続線部41Aの幅LCは、100μmであった。
【0123】
これにより、歪みセンサ1を製造した。歪みゲージ線部3と、接続線部4と、端子線部5とのそれぞれの材料は、いずれも、窒化クロムである。
【0124】
実施例2
図5Aに示すように、ポリエチレンテレフタレートからなる基材フィルム2を準備した。続いて、窒化クロムからなる抵抗層30を、厚み方向における基材フィルム2の一方面の全てに、スパッタリングを用いて形成した。スパッタリングガスは、アルゴンおよび窒素の混合ガスであった。スパッタリングターゲットは、クロムであった。抵抗層30の厚みは、50nmであった。
【0125】
図5Bに示すように、次いで、エッチングによって、抵抗層30から歪みゲージ線部3と、第1層45と、同時に形成した。
【0126】
図5Cに示すように、次いで、銅からなる導電層40を、厚み方向における歪みゲージ線部3の一方面と、厚み方向における第1層45の一方面と、歪みゲージ線部3および第1層45の周囲における基材フィルム2の一方面とに、スパッタリングを用いて形成した。スパッタリングガスは、アルゴンであった。スパッタリングターゲットは、銅であった。導電層40の厚みは、50nmであった。
【0127】
図5Dに示すように、その後、エッチングによって、導電層40から第2層46を形成して、接続線部4と端子線部5とを同時に形成した。第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれの幅LLは、100μmであった。第1接続線部41Aの幅LCは、100μmであった。
【0128】
これにより、歪みセンサ1を製造した。
【0129】
実施例5
実施例2と同様にして、歪みセンサ1を製造した。但し、表1の通りに、第2層46の材料を変更した。
【0130】
1. 評価
各実施例および各比較例の歪みセンサ1について、下記の事項を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0131】
1.1 表面抵抗率の比
四端子法で第1線部31Aの抵抗Rを測定した。第1線部31Aの抵抗Rに第1線部31Aの幅LCを乗じた積を第1線部31Aの長さで除した。これにより、第1線部31Aの表面抵抗率Rsを求めた。つまり、第1線部31Aの表面抵抗率Rsを、下記式により求めた。
第1線部31Aの表面抵抗率Rs=第1線部31Aの抵抗R×第1線部31Aの幅LC/第1線部31Aの長さ
【0132】
上記と同様にして、第2線部32Aの表面抵抗率Rsを求めた。第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれの表面抵抗率Rsは、同一であった。
【0133】
上記と同様にして、第1接続線部41Aの表面抵抗率Rcを求めた。
【0134】
そして、歪みゲージ線部3の第1線部31Aの表面抵抗率Rsに対する接続線部4の第1接続線部41Aの表面抵抗率Rcの比(Rc/Rs)を求めた。
【0135】
1.2 電気抵抗の比
第1線部31Aおよび第2線部32Aのそれぞれの電気抵抗を四端子法によって求めた。両者は、同一であった。
【0136】
第1接続線部41Aの電気抵抗を、四端子法によって求めた。
【0137】
そして、歪みゲージ線部3の第1線部31Aの電気抵抗に対する接続線部4の第1接続線部41Aの電気抵抗の比を求めた。
【0138】
1.3 耐クラック性
歪みゲージ線部3における第1線部31Aと、接続線部4における第1接続線部41Aとの界面における耐クラック性は、以下の通り、評価した。すなわち、第1線部31Aおよび第1接続線部41Aに、曲げ荷重を加えた。この際、上記した界面のクラックの有無により耐クラック性を評価した。クラックが確認されなかった歪みセンサ1を○と評価した。また、クラックが確認された歪みセンサ1を△と評価した。
【0139】
【表1】
【符号の説明】
【0140】
1 歪みセンサ
2 基材フィルム
3 ゲージ線部
31A,31B,31C,31D 第1線部
32A,32B,32C,32D 第2線部
4 接続線部
45 第1層
46 第2層
Rc 接続線部の表面抵抗率
Rs 歪みゲージ線部の表面抵抗率
LL 第1線部および第2線部の幅
LC 第1接続線部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6