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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106806
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】鉄柱の研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/00 20060101AFI20240801BHJP
   B24B 29/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B24B27/00 L
B24B29/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011254
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078950
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 忠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】吉田 匡志
(72)【発明者】
【氏名】京野 真也
(72)【発明者】
【氏名】新貝 昌大
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA06
3C158AA12
3C158AA14
3C158AA16
3C158AA18
3C158AB04
3C158CA01
3C158CA02
3C158CB03
3C158DA15
(57)【要約】
【課題】四角柱状の鉄柱の一面を構成する主材と斜材を同時に、鉄柱上を自走しながら研磨することができる装置を提供する。
【解決手段】研磨装置1は、搬送機構2と研磨機構3とを具備する。搬送機構2は、モータM1駆動の磁石車輪4を主材402の一側面402aに吸着させながら、鉄柱401上を延長方向に自走する。研磨機構3は、搬送機構2に結合され主材402及び斜材403の一側面402a,403aをモータM2駆動のロールブラシ5,6,7で研磨する。搬送機構2は、フレーム8から延出する一対の支持脚11にそれぞれ支持されるクランプローラ12を具備する。クランプローラ12は、一対の主材402の他方の山側面402bの外側縁に噛み合って転動することにより磁石車輪4との間で鉄柱401を抱持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四隅を平行に延びる山形鋼材からなる4本の主材と、平行に隣接する前記主材の一対間に斜めに掛け渡されボルトで当該主材に結合される複数の斜材とを備えた四角柱状の鉄柱の一外側面を構成する当該主材及び斜材の一側面を当該鉄柱の延長方向に沿って自走しながら研磨する装置であって、
推進用モータ駆動の磁石車輪を前記主材の一側面に吸着させながら前記鉄柱上を延長方向に移動する搬送機構と、当該搬送機構に結合され前記主材及び斜材の一側面を研磨用モータ駆動のロールブラシで研磨する研磨機構とを具備し、
前記搬送機構は、前記平行一対の主材にまたがるフレームと、当該フレームに支持され当該一対の主材の一側面である一方の山側面にそれぞれ磁気吸着しながら当該主材の延長方向に沿って転動するモータ駆動の少なくとも一対の磁石車輪とを具備し、
前記研磨機構は、前記主材の延長方向に直交する回転軸に枢支されたブラケットに軸支され前記一対の主材の前記一方の山側面にばね力で圧接されて当該山形面をそれぞれ研磨する少なくとも一対の主材用ロールブラシと、前記回転軸に枢支されたブラケットに軸支され前記一対の主材間の前記斜材の一側面にばね力で圧接されて当該一側面を研磨する少なくとも一つの斜材用ロールブラシとを具備することを特徴とする鉄柱の研磨装置。
【請求項2】
前記フレームにおける前記鉄柱の延長直交方向の両側から相対向して延出する一対の支持脚にそれぞれ支持され、前記一対の主材の他方の山側面の外側縁に噛み合って当該主材の延長方向に沿って転動することにより前記磁石車輪との間で前記鉄柱を抱持するクランプローラをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の鉄柱の研磨装置。
【請求項3】
前記フレームにおける前記鉄柱の延長直交方向の両側から相対向して延出する一対の支持脚にそれぞれ支持され、前記鉄柱の前記一外側面と反対側の側面を構成する一対の主材に係合して当該主材の延長方向に沿って転動することにより前記磁石車輪との間で前記鉄柱を抱持するクランプローラをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の鉄柱の研磨装置。
【請求項4】
前記磁石車輪と同軸上に固着され、当該磁石車輪の前記主材に対する磁気吸着力で当該主材に圧接されるサイドローラをさらに具備することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鉄柱の研磨装置。
【請求項5】
前記研磨機構は、前記主材用ロールブラシを軸支し当該主材用ロールブラシを前記主材に圧接させる研磨位置と当該主材から離間した退避位置との間で上下動させるように上方の退避位置と下方の研磨位置との間で上下方向に揺動自在に前記フレームに枢支されるブラケットと、前記搬送機構の移動時に前記主材用ロールブラシが前記主材から突出した前記ボルトを通過する間当該主材用ロールブラシを退避位置に保持するように前記ブラケットの揺動を制御するボルト回避機構とをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の鉄柱の研磨装置。
【請求項6】
前記ボルト回避機構は、前記主材用ロールブラシにおける前記搬送機構の進行方向前方に配置され当該搬送機構の進行に伴って前記ボルトに押されて回動するように前記フレームに軸支され当該回動により前記ブラケットを研磨位置から退避位置へ押し上げる押し上げ回動部材と、退避位置へ押し上げられた前記ブラケットに係合して当該ブラケットを退避位置に保持する保持位置と離脱して当該ブラケットを解放する離脱位置との間を変位するように設けられる保持部材と、前記主材用ロールブラシにおける前記搬送機構の進行方向後方に配置され当該搬送機構の進行に伴い前記押し上げ回動部材に遅れて前記ボルトに押されて回動するように前記フレームに軸支され当該回動により保持位置にある前記保持部材を離脱位置へ変位させそれにより前記ブラケットを研磨位置へ復帰させる復帰回動部材とを具備することを特徴とする請求項5に記載の鉄柱の研磨装置。
【請求項7】
前記保持部材は、前記ブラケットの側面に固着され当該ブラケットの揺動軸心周りに回動する係止歯車と、前記フレームに軸支され前記係止歯車に対する係合位置と離脱位置との間で回動自在のラチェット爪とを含み、
前記ラチェット爪は、前記押し上げ回動部材及び前記復帰回動部材にリンク機構を介して連結され、前記押し上げ回動部材の前記回動に連動して離脱位置から係合位置へ回動し係合位置において前記係止歯車に係合して前記ブラケットを退避位置に保持し、前記復帰回動部材の回動に連動して係合位置から離脱位置へ回動し離脱位置において前記係止歯車から離脱して前記ブラケットを研磨位置へ復帰させるように設けられることを特徴とする請求項6に記載の鉄柱の研磨装置。
【請求項8】
前記搬送機構は前記鉄柱上を延長方向の一方方向及び他方向へ移動可能に設けられ、
前記搬送機構の一方向への移動時における前記復帰回動部材が、他方向への移動時における前記押し上げ回動部材となり、一方向への移動時における前記押し上げ回動部材が、他方向への移動時における前記復帰回動部材となるように設けられることを特徴とする請求項6又は7に記載の鉄柱の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山形鋼材からなる四隅の主材と、隣接する主材間に斜めに掛け渡されて両端でボルトにて主材に結合される複数の斜材とを備えた四角柱状の鉄柱の外側面を一側面ずつ鉄柱の延長方向に沿って自走しながら研磨する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗装前のケレン等の目的で、山形鋼材の山側面をその長手方向に移動しながら研磨する装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。この装置は、走行体と、これに支持される本体とを具備する。走行体は、山形鋼材の山側面にそれぞれ吸着する磁石車輪を具備し、これを転動させて山側面を長手方向に移動自在である。本体は、走行体に結合される支持枠と、山側面にそれぞれ接するように、揺動部材を介して支持枠に支持される左右各一対の研磨ブラシと、支持枠に支持される駆動装置と、この駆動装置の回転を研磨ブラシに伝える伝動機構とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-11789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の研磨装置は、単一の山形鋼材を研磨する装置であり、4本の山形鋼材からなる主材と主材間を結合する複数の斜材との組み合わせからなる四角柱状の鉄柱の研磨に適用する場合には、4本の主材を個別に研磨しなければならず、また斜材を研磨することができないから、別の研磨装置で斜材を別途研磨しなければならない。
したがって、本発明は、上記のような四角柱状の鉄柱の一面を構成する主材と斜材を同時に、鉄柱上を自走しながら研磨することができる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の説明において添付図面の符号を参照するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、本発明の鉄柱の研磨装置1は、四隅を平行に延びる山形鋼材からなる4本の主材402と、平行に隣接する一対の主材402間に斜めに掛け渡されてボルト404で主材402に結合される複数の斜材403とを備えた四角柱状の鉄柱401の一外側面を構成する主材402及び斜材403の一側面402a,403aを鉄柱401の延長方向に沿って自走しながら研磨する装置である。この研磨装置1は、モータM1駆動の磁石車輪4を主材402の一側面402aに吸着させながら、鉄柱401上をそれの延長方向に移動する搬送機構2と、搬送機構2に結合され主材402及び斜材403の一側面402a,403aをモータM2駆動のロールブラシ5,6,7で研磨する研磨機構3とを具備する。搬送機構2は、平行一対の主材402間にまたがるフレーム8と、フレーム8に支持され、一対の主材402の一側面402aである一方の山側面にそれぞれ磁気吸着しながら主材402の延長方向に沿って転動するモータ駆動M1の少なくとも一対の磁石車輪4とを具備する。研磨機構3は、主材402の延長方向に直交する回転軸17に枢支されたブラケット20に軸支され、一対の主材402の一方の山側面402aにばね力で圧接されて山形面402aをそれぞれ研磨する少なくとも一対の主材用ロールブラシ5,6と、主材402の延長方向に直交する回転軸17に枢支されたブラケット22に軸支され一対の主材402間の斜材403の一側面403aにばね力で圧接されて一側面403aを研磨する少なくとも一つの斜材用ロールブラシ7とを具備する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、四角柱状の鉄柱401の一面を構成する主材402と斜材403を同時に、自走しながら研磨することができ、人力によらずに、安全かつ効率的に研磨工事を遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】研磨する鉄柱に装着した状態の本発明の研磨装置の一部切欠斜視図である。
図2図1の研磨装置の正面図である。
図3図1の研磨装置の背面図である。
図4図1の研磨装置の平面図である。
図5図1の研磨装置の底面図である。
図6図1の研磨装置の右側面図である。
図7図1の研磨装置の左側面図である。
図8図1の研磨装置におけるボルト回避機構部の拡大平面図である。
図9(a)】図において右方向へ移動(前進)する研磨装置のボルト通過時の動作を時間を追って示す説明図である。
図9(b)】図において右方向へ移動(前進)する研磨装置のボルト通過時の動作を時間を追って示す説明図である。
図9(c)】図において右方向へ移動(前進)する研磨装置のボルト通過時の動作を時間を追って示す説明図である。
図9(d)】図において右方向へ移動(前進)する研磨装置のボルト通過時の動作を時間を追って示す説明図である。
図10(a)】図において左方向へ移動(後退)する研磨装置のボルト通過時の動作を時間を追って示す説明図である。
図10(b)】図において左方向へ移動(後退)する研磨装置のボルト通過時の動作を時間を追って示す説明図である。
図10(c)】図において左方向へ移動(後退)する研磨装置のボルト通過時の動作を時間を追って示す説明図である。
図10(d)】図におい左方向へ移動(後退)する研磨装置のボルト通過時の動作を時間を追って示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
≪研磨装置の全体構成≫
図1において、研磨装置1は、四隅を平行に延びる山形鋼材からなる4本の主材402と、平行に隣接する一対の主材402間に斜めに掛け渡されて主材402にボルト404で結合される複数の斜材403とを備えた四角柱状の鉄柱401の一外側面を構成する主材402及び斜材403の一側面402a,403aを鉄柱401の延長方向(前後方向)に沿って自走しながら研磨する装置である。なお、研磨装置1は、図1に示すように、垂直に立設されている鉄柱401を昇降移動しながら研磨することを前提として構成されているが、研磨対象はそのような鉄柱に限定されない。以下、便宜上、鉄柱401の延長方向、すなわち研磨装置1の移動方向を「前後」、移動方向に直交する方向を「左右」、研磨装置1に対して鉄柱401側を「下」、その反対側を「上」として説明する。
【0009】
この研磨装置1は、搬送機構2と、搬送機構2と一体に結合される研磨機構3とを具備する。以下では、搬送機構2が研磨機構3を牽引して進行する方向を特に「前方」として説明する。搬送機構2は、モータM1駆動の磁石車輪4を主材402の一側面402aに吸着させながら、鉄柱401上を延長方向に移動する。研磨機構3は、搬送機構2に結合され、主材402及び斜材403の一側面402a,403aをモータM2駆動の3つのロールブラシ5,6,7で研磨する。
【0010】
≪搬送機構の構成≫
搬送機構2は、研磨対象である鉄柱401の平行一対の主材402にまたがる概略矩形枠状のフレーム8を具備する。フレーム8は、主材402に沿うように平行に相対向する2つの縦フレーム81と、縦フレーム81間に相互間隔を置いて左右方向に架設される3つの横フレーム82,83,84を具備する。図示の実施形態において、縦フレーム81は、側板811と、磁石車輪4の支持部材812とを含んでおり、この支持部材812と側板811とは一体に結合されている。
【0011】
モータM1は、横フレーム82,83間に直交方向に固定された支持板85に固定される。
【0012】
4つの駆動用の磁石車輪4は、図4,5によく示すように、相対向する支持部材812間に前後に相互間隔を置いて架設された2つの回転軸41の左右両端部上にそれぞれ固着される。なお、磁石車輪の4の磁力は、支持部材812の下の磁石ケース43から延びて支持部材812上に突出するスイッチノブ42の回転により入り切りが制御される。
【0013】
モータM1の回転は、ベルト9を介して回転軸41に伝えられる。一方の回転軸41には、各磁石車輪4の内側で、主材402に乗る位置に、主材402に対する摩擦抵抗が大きいサイドローラ10が固着される。この実施形態において、サイドローラ10は、ウレタン樹脂製で、主材402に圧接されると弾性的に撓んで主材402の表面に高い摩擦力をもって接し、研磨装置1が、垂直の鉄柱401をスリップなく昇降する大きな推進力を得ることができる。
【0014】
支持部材812から相対向して下方へ延出する一対の支持脚11に、それぞれクランプローラ12が軸支されている。図6によく示すように、クランプローラ12は、一対の主材402の他方の山側面402bの外側縁に噛み合って、主材402の延長方向に沿って転動することにより、磁石車輪4との間で鉄柱401を抱持するように設けられる。
図示の実施形態において、クランプローラ12の支持脚11は、支持部材812に固着された磁石ケース43の下方に位置してボルト・ナット813にばね座金を介在させるなどして、所定の遊びをもって結合される。したがって、磁力の入り切りに伴い、支持脚11の上部が磁石ケース43に吸着、離間する。装置を鉄柱401上にセットして磁石のスイッチをオンすると、磁石車輪4が磁化されると同時に、支持脚11の上部が磁石ケース43に吸着されることで、クランプローラ12が山側面402bの外側縁に噛み合うように引き寄せられる。これにより、装置が鉄柱401を強固に抱持する。クランプローラ12の支持脚11を磁石ケース43に吸着させることによりクランプローラ12を引き寄せる具体的構成は種々変更可能である。
また、図示の実施形態において、クランプローラ12は、一対の主材402の他方の山側面402bの外側縁に噛み合う構成であるが、支持脚11を長く伸ばして、鉄柱401の反対側面(研磨装置1が乗っている面と反対側の側面)を構成する主材402の山部に噛み合う構成(図示せず)とすることができる。
【0015】
図4,5によく示すように、フレーム8の後部の左右隅部には、主材402の一側面402a上を磁気吸着して転動する従動磁石車輪13と、主材402の他側面402b上を転動するガイドローラ14が設けられ、これにより搬送機構2の後部が主材402から脱落することなく移動するようにガイドされる。
【0016】
≪研磨機構の構成≫
研磨機構3は、搬送機構2の側板811間に支持される。研磨機構3は、主材402を研磨するための左右一対の主材用ロールブラシ5,6と、主材402間の斜材403を研磨するための斜材用ロールブラシ7を具備する。ブラシ駆動用のモータM2は、側板811間に架設されたモータ支持部材15上に固定される。モータM2の回転は、ベルト16、回転軸17、ベルト18を順次介して主材用ロールブラシ5,6に伝えられる。
【0017】
主材用ロールブラシ5,6は、図4,5によく示すように、基端側が回転軸17に枢支されたブラケット20の先端側に軸支される。したがって、主材用ロールブラシ5,6は、回転軸17を中心にブラケット20の先端側と共に、回避位置と研磨位置の間を上下に揺動可能である。主材用ロールブラシ5,6は、上位の回避位置(図9(b)、図10(b))においてボルト404との接触を回避し、下位の研磨位置(図9(a)、図10(a))において主材402に圧接される。図中の符号21は、ブラケット20と一体のブラシカバーである。図2,3によく示すように、ブラシカバー21は、外側面に前後一対の係合突起21a,21bを具備する。ブラシカバー21の上部にコンスタントばね23のドラムを支持するブラケット24が固着されている。コンスタントばね23の先端は、横フレーム83に係止されている。したがって、主材用ロールブラシ5,6は、ブラシカバー21と共に常時定荷重で下方、すなわち主材402に圧接される研磨位置側に付勢されている。
【0018】
図5によく示すように、斜材用ロールブラシ7は、ベルトカバーを兼ねたブラケット22により、回転軸17に揺動自在に枢支される。回転軸17の回転は、ブラケット22内のベルト19を介して斜材用ロールブラシ7に伝えられる。
【0019】
図中の符号25は、ブラケット22と一体のブラシカバーである。ブラシカバー25の上部にコンスタントばね26のドラムを支持するブラケット24が固着されている。コンスタントばね26の先端は、横フレーム84に係止されている。したがって、斜材用ロールブラシ7は、ブラシカバー25と共に常時定荷重で下方に付勢され、斜材403に圧接される。
【0020】
≪ボルト回避機構の構成≫
図1,9,10に示すように、主材402上には、ボルト404が突出している。主材用ロールブラシ5,6は、常時は、コンスタントばね23で主材402に圧接される研磨位置(図9(a)、図10(a))にあるので、ボルト404を通過する時には、これを回避する上位の回避位置(図9(b)、図10(b))に移動する必要がある。ボルト回避機構27は、主材用ロールブラシ5,6がボルト404を通過する間、主材用ロールブラシ5,6を退避位置に保持するようにブラケット20の揺動を制御する。
【0021】
図9,10によく示すように、ボルト回避機構27は、押し上げ回動部材28と、保持部材29と、復帰回動部材30とを具備する。
【0022】
図8,9,10によく示すように、押し上げ回動部材28は、主材用ロールブラシ5,6の進行方向前方に配置され、支軸281と、支軸281から下方へ延出した接触片282と、支軸281からブラシカバー21の側面に沿うように延出した押し上げレバー283とを具備する。押し上げ回動部材28は、常時は接触片282が垂下する位置に付勢されている。進行に伴って接触片282がボルト404に押されると、支軸281と共に押し上げレバー283が回動する。押し上げレバー283は、ブラシカバー21の係合突起21aに係合してこれを押し上げる。これによりブラケット20が上方へ揺動し、主材用ロールブラシ5,6が回避位置に上昇するようになっている。
【0023】
図8,9,10によく示すように、保持部材29は、退避位置へ押し上げられたブラケット20に係合して、当該ブラケット20を退避位置に保持する保持位置と、ブラケット20から離脱して当該ブラケット20を解放し、研磨位置に復帰させる離脱位置との間を変位するように設けられる。図示の実施形態において、保持部材29は、ブラケット20と一体に回動するラチェットギア291と、軸292aでフレーム側板811に枢支されたラチェット爪292と、ラチェット爪292と押し上げレバー283とを連結するリンク板293とを具備する。押し上げレバー283がブラケット20を押し上げるとラチェットギア291がブラケット20に連動して回動するが、ブラケット20が回避位置に到達するまで、ラチェット爪292は、ラチェットギア291に係合しない。ブラケット20が回避位置に到達すると、押し上げレバー283に連動するリンク板293を介してラチェット爪292が回動してラチェットギア291に係合し、ブラケット20を回避位置に保持するようになっている。
【0024】
復帰回動部材30は、主材用ロールブラシ5,6の進行方向後方に配置され、支軸301と、接触片302と、リンク片303と、後退時押し上げレバー304と、リンク板305とを具備する。
【0025】
接触片302は、支軸301から下方へ延出する。リンク片303及び後退時押し上げレバー304は、支軸301からブラシカバー21の側面に沿うように延出する。リンク板305は、ラチェット爪292とリンク片303とを連結する。リンク片303とリンク板305とは、リンク片303の円弧孔303aを介して連結される。復帰回動部材30は、常時は接触片302が垂下する位置に付勢されている。進行に伴って接触片302がボルト404に押されると、支軸301と共にリンク片303、後退時押し上げレバー304が回動する。リンク片303が、円弧孔303aに対応する所定角度回動すると、リンク板305が引き下げられ、これによりラチェット爪292が非係合位置へ回動し、ラチェットギア291と共にブラケット20を解放する。ブラケット20はロールブラシ5,6を伴って研磨位置へ復帰し、主材402の研磨が再開される。なお、後退時押し上げレバー304は、ブラシカバー21の係合突起21bから離れる方向に回動する。
【0026】
≪前進時のボルト回避機構の動作≫
研磨装置1の研磨機構3が、搬送機構2に牽引されて主材402上を進行する前進時のボルト回避機構27の動作を図9を参照して説明する。
図9(a)において、研磨装置1は、主材用ロールブラシ5(6)により主材402の表面402aを研磨しながら右方向へ前進しボルト404に接近している。
【0027】
図9(b)において、進行に伴って接触片282がボルト404に押されると、支軸281と共に押し上げレバー283が時計方向へ回動する。押し上げレバー283は、ブラシカバー21の係合突起21aに係合してこれを押し上げる。これによりブラケット20が、回転軸17を中心に反時計方向上方へ揺動し、主材用ロールブラシ5,6が回避位置に上昇し、ボルト404を回避する。この間、ブラケット20と一体にラチェットギア291が、ラチェット爪292を噛ませることなく、図9(b)の位置まで反時計方向へ回動する。この状態からさらに進むと、接触片282がボルト404から離脱して、原位置へ戻り、係合突起21aから離れるが、レバー板293に押されているラチェット爪292がラチェットギア291に噛み込んでいるため、ブラケット20は、図9(c)に示す位置まで、すなわち、ロールブラシ5,6がボルト404を通過するまで、回避位置を維持する。
【0028】
図9(c)において、主材用ロールブラシ5,6はボルト404を通過しており、接触片302がボルト404に押されると、支軸301と共にリンク片303、後退時押し上げレバー304が時計方向へ回動する。リンク片303が、円弧孔303aに対応する所定角度回動すると、リンク板305が引き下げられ、ラチェット爪292が非係合位置へ回動して、ラチェットギア291から外れ、ブラケット20を解放する。
【0029】
図9(d)において、ラチェット爪292とラチェットギア291との噛み合いが外れると、ブラケット20が解放される。ブラケット20は、コンスタントばね23の付勢力で回転軸17を中心に時計方向へ回動し、主材用ロールブラシ5,6を伴って研磨位置へ復帰し、主材402の研磨が再開される。さらに進行すると、図9(a)の状態に戻って主材402の研磨を継続する。
【0030】
≪後退時のボルト回避機構の動作≫
研磨装置1の研磨機構3が、搬送機構2に押されて主材402上を進行する後退時のボルト回避機構の動作を図10を参照して説明する。
図10(a)において、研磨装置1は、主材用ロールブラシ5(6)により主材402の表面402aを研磨しながら左方矢線方向へ後退し、ボルト404に接近している。
【0031】
図10(b)において、進行に伴って接触片302がボルト404に押されると、支軸301と共に後退時押し上げレバー304が反時計方向へ回動する。押し上げレバー304は、ブラシカバー21の係合突起21bに係合してこれを押し上げる。これにより、ブラケット20が、回転軸17を中心に反時計方向上方へ揺動し、主材用ロールブラシ5,6が回避位置に上昇し、ボルト404を回避する。この間、ブラケット20と一体にラチェットギア291が、ラチェット爪292を噛ませることなく、図10(b)の位置まで反時計方向へ回動する。この状態からさらに進むと、接触片302がボルト404から離脱して、原位置へ戻り、係合突起21aから離れるが、リンク板293に押されているラチェット爪292がラチェットギア291に噛み込んでいるため、ブラケット20は、図10(c)に示す位置まで、すなわち、主材用ロールブラシ5,6がボルト404を通過する位置まで、回避位置を維持する。
【0032】
図10(c)において、主材用ロールブラシ5,6は、ボルト404を通過しており、接触片282がボルト404に押されると、支軸281と共に押し上げレバー283が時計方向へ回動する。押し上げレバー283に引かれてリンク板293が引き下げられ、ラチェット爪292が非係合位置へ回動して、ラチェットギア291から外れ、ブラケット20を解放する。
【0033】
図10(d)において、ラチェット爪292とラチェットギア291との噛み合いが外れると、ブラケット20が解放される。ブラケット20は、コンスタントばね23の付勢力で時計方向へ回動し、主材用ロールブラシ5,6を伴って研磨位置へ復帰し、主材402の研磨が再開される。さらに進行すると、図10(a)の状態に戻って主材402の研磨を継続する。したがって、研磨装置1は、往復の両方向で主材401と斜材403の研磨ができる。
【符号の説明】
【0034】
1 研磨装置
2 搬送機構
3 研磨機構
4 磁石車輪
41 回転軸
42 スイッチノブ
43 磁石ケース
5 主材用ロールブラシ
6 主材用ロールブラシ
7 斜材用ロールブラシ
8 フレーム
81 縦フレーム
811 側板
812 支持部材
813 ボルト・ナット
82 横フレーム
83 横フレーム
84 横フレーム
85 支持板
9 ベルト
10 サイドローラ
11 支持脚
12 クランプローラ
13 従動磁石車輪
14 ガイドローラ
15 モータ支持部材
16 ベルト
17 回転軸
18 ベルト
19 ベルト
20 ブラケット
21 ブラシカバー
21a 係合突起
21b 係合突起
22 ブラケット
23 コンスタントばね
24 ブラケット
25 ブラシカバー
26 コンスタントばね
27 ボルト回避機構
28 押し上げ回動部材
281 支軸
282 接触片
283 押し上げレバー
29 保持部材
291 ラチェットギア
292 ラチェット爪
292a 軸
293 リンク板
30 復帰回動部材
301 支軸
302 接触片
303 リンク片
303a 円弧孔
304 押し上げレバー
305 リンク板
401 鉄柱
402 主材
402a 一側面
402b 山側面
403 斜材
403a 一側面
404 ボルト
M1 モータ
M2 モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図9(d)】
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)】
図10(d)】