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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106809
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】除草システムおよび除草装置
(51)【国際特許分類】
   A01B 39/18 20060101AFI20240801BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A01B39/18 Z
A01B69/00 303M
A01B69/00 303C
A01B69/00 303F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011261
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】521407474
【氏名又は名称】田頭 雅史
(71)【出願人】
【識別番号】521407463
【氏名又は名称】日笠 克己
(71)【出願人】
【識別番号】522371787
【氏名又は名称】株式会社ゆまな
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田頭 雅史
(72)【発明者】
【氏名】日笠 克己
【テーマコード(参考)】
2B034
2B043
【Fターム(参考)】
2B034AA07
2B034BA01
2B034BA06
2B034BA07
2B034BB01
2B034BC10
2B034BG01
2B034BG02
2B034BG05
2B034HA11
2B034HA30
2B034HB02
2B034HB11
2B034HB50
2B043AA04
2B043AB11
2B043AB19
2B043BA09
2B043BB07
2B043DA15
2B043EA08
2B043EA11
2B043EA18
2B043EA31
2B043EB05
2B043EB09
2B043EB11
2B043EB29
2B043EC02
2B043EC11
(57)【要約】
【課題】自律移動機能を有する複数の除草装置を用いて、水田における除草作業効率の向上を図りうるシステム等を提供する
【解決手段】複数の除草装置1のそれぞれが第1指定領域R1において移動しながら除草作業を実行する。この際、複数の除草装置1が相互に連携することにより、相互に連携せずに個別に除草作業を実行する場合と比較して、除草効率の向上が図られる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動機能を有する複数の除草装置を備え、
第1指定領域において除草必要性がある場合、前記複数の除草装置のそれぞれが相互に連携して、前記第1指定領域において移動しながら除草作業を実行する除草システム。
【請求項2】
請求項1に記載の除草システムにおいて、
前記複数の除草装置のうち一の除草装置が前記第1指定領域を構成する一の担当領域において除草必要性があることを認識した場合、他の除草装置に対して第1指定通知を送信し、かつ、前記除草作業を実行し、
前記他の除草装置が前記第1指定通知を受信した場合、前記第1指定領域を構成する他の担当領域において前記除草作業を実行する
除草システム。
【請求項3】
請求項2に記載の除草システムにおいて、
前記一の除草装置が移動しながら前記一の担当領域において除草必要性が高い第2指定領域を認識し、当該第2指定領域を表わす第2指定通知を送信し、
前記他の除草装置が前記第2指定通知を受信したことを要件として、当該第2指定通知により表わされる前記第2指定領域に移動したうえで前記除草作業を実行する
除草システム。
【請求項4】
請求項3に記載の除草システムにおいて、
前記他の除草装置が、前記第2指定領域における前記除草作業の実行可否の判定結果が肯定的であることをさらなる要件として、前記第2指定通知により表わされる前記第2指定領域に移動したうえで前記除草作業を実行する
除草システム。
【請求項5】
水上移動機能または水上移動機能および陸上移動機能を有する除草装置であって、
指定領域における除草必要性の有無または高低の判定結果を認識する機能と、
他の除草装置と連携する機能と、
移動しながら地表温度調整を伴う除草作業を実行する機能と、を備えている
除草装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水田における除草技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行機能を有する除草機が提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5773607号公報
【特許文献2】特許第6877709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水田が大規模になるほど除草機の台数の増加が必要になるが、それらの除草機が個別に除草作業を実行するだけでは、除草作業効率の低下を招来する可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、自律移動機能を有する複数の除草装置を用いて、水田における除草作業効率の向上を図りうるシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の除草システムは、
自律移動機能を有する複数の除草装置を備え、
第1指定領域において除草必要性がある場合、前記複数の除草装置のそれぞれが相互に連携して、前記第1指定領域において移動しながら除草作業を実行する。
【0007】
当該構成の除草システムによれば、複数の除草装置のそれぞれが第1指定領域において自律移動しながら除草作業を実行する。「除草」は、「防草」を概念的に包含する用語として用いられている。この際、複数の除草装置が相互に連携することにより、複数の水田所粗相装置が相互に連携しないで個別に除草作業を実行する場合と比較して除草作業効率の向上が図られる。
【0008】
本発明の除草システムにおいて、
前記複数の除草装置のうち一の除草装置が前記第1指定領域を構成する一の担当領域において除草必要性があることを認識した場合、他の除草装置に対して第1指定通知を送信し、かつ、前記除草作業を実行し、
前記他の除草装置が前記第1指定通知を受信した場合、前記第1指定領域を構成する他の担当領域において前記除草作業を実行する
ことが好ましい。
【0009】
当該構成の除草システムによれば、一の除草装置により除草必要性があることが判定された場合、当該一の除草装置のみならず他の除草装置により第1指定領域を構成する各担当領域において除草作業が実行される。これにより、当該他の除草装置により除草必要性があると判定されていない場合でも、除草作業を実行する主体としての除草装置の幅の迅速な拡張、ひいては除草作業効率の向上が図られる。
【0010】
本発明の除草システムにおいて、
前記一の除草装置が移動しながら前記一の担当領域において除草必要性が高い第2指定領域を認識し、当該第2指定領域を表わす第2指定通知を送信し、
前記他の除草装置が前記第2指定通知を受信したことを要件として、当該第2指定通知により表わされる前記第2指定領域に移動したうえで前記除草作業を実行する
ことが好ましい。
【0011】
当該構成の除草システムによれば、第1指定領域または一の除草装置1の担当領域において除草必要性が高いと判定された領域である第2指定領域において、複数の除草装置による除草作業が実行されうる。これにより、第2指定領域における除草必要性を迅速に低下させ、ひいては当該第2指定領域を含む第1指定領域における除草作業効率が図られる。
【0012】
本発明の除草システムにおいて、
前記他の除草装置が、前記第2指定領域における前記除草作業の実行可否の判定結果が肯定的であることをさらなる要件として、前記第2指定通知により表わされる前記第2指定領域に移動したうえで前記除草作業を実行する
ことが好ましい。
【0013】
当該構成の除草システムによれば、他の除草装置に第2指定領域よりもその担当領域における除草作業の実行を優先させることができ、このような優先順位が好ましい場合において第1指定領域の除草作業効率の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態としての除草装置の構成説明図。
図2】本発明の第1実施形態としての除草システムの機能説明図。
図3】本発明の第1実施形態としての除草システムの機能説明図。
図4】本発明の第2実施形態としての除草システムの機能説明図。
図5】本発明の第2実施形態としての除草システムの機能説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態(構成))
図1に示されている本発明の一実施形態としての除草装置1は、基体10と、移動機構11と、除草機構12と、制御装置120と、状態センサ121と、第1駆動機構122と、第2駆動機構124と、を備えている。図1では、基体10の左右に一対の移動機構11が配置されているが、移動機構11の個数は1または3以上の複数(例えば4)であってもよく、その配置態様は基体10の左右に二対ずつなどさまざまに変更されてもよい。図1では、基体10の左右に一対の除草機構12が配置されているが、除草機構12の個数は1または3以上の複数(例えば4)であってもよく、その配置態様は基体10の下部に1つ、または、左右に二対ずつなどさまざまに変更されてもよい。
【0016】
基体10は、第1指定領域R1(水田)においてあらかじめ定められている通路(稲と稲との間隙および畔など)にしたがって、農作物(稲)との不要な干渉を回避しながら水田を移動できるようにその形状およびサイズが設計されている。
【0017】
除草装置1は、水上移動機能を有している。具体的には、移動機構11は、水を掻くことおよび/または水流を発生することで得られる推進力により基体10を水上で移動させるように構成されている。この場合、移動機構11は、例えば、第1駆動機構122により回転駆動される回転部材と、当該回転部材に取り付けられている羽根部材(爪部材)と、を備えていてもよい。羽根部材の枚数、形状、サイズおよび配置態様は、水を掻いて推進力を得る観点から様々な形態で適当に設計されていてもよい。当該羽根部材により水を掻くまたは水流を発生させることができる。さらに、基体10を含む除草装置1は、水に浮くことができるような密度を有するように設計される。
【0018】
除草装置1は、陸上移動機能を有していてもよい。具体的には、移動機構11は、地面(水面下の地面を含む。)に対して力を作用させることで地面から受ける反力を推進力として基体10を並進させるように構成されている。移動機構11は、例えば、水上移動機能を実現するための前記のような回転体および爪部材のほか、これに加えてまたは代えて、複数(例えば4つ)のタイヤ、ボールまたはロールなどの転動体、複数(例えば一対)のクローラおよび複数(例えば4つ)の脚体(一または複巣の関節機構を有する)のうち少なくとも一部により構成されている。
【0019】
除草機構12は、移動機構11と同様に、例えば、第2駆動機構124により回転駆動される回転部材と、当該回転部材に取り付けられている羽根部材(爪部材)と、を備えている。羽根部材の枚数、形状、サイズおよび配置態様は、雑草を除去する観点から様々な形態で適当に設計されていてもよい。除草機構12が、移動機構11を構成する少なくとも1組の回転部材および羽根部材により構成されていてもよい。
【0020】
除草機構12が、水流を発生させるためのポンプ機構を備えていてもよい。除草機構12は、農作物に影響を与えないまたは影響が少ない除草資材を散布する除草資材散布装置を備えていてもよい。
【0021】
制御装置120は、演算処理装置(CPU、プロセッサまたはプロセッサコア)、記憶装置(ROM、RAMなど)および入出力回路などにより構成されているコンピュータにより構成されている。制御装置120は、演算処理装置が記憶装置から必要なソフトウェア(プログラム)およびデータを読み取り、当該ソフトウェアにしたがって当該データを対象に演算処理を実行することにより、第1駆動機構122および第2駆動機構124のそれぞれの動作制御など、指定されたタスクを実行するように構成されている。制御装置120は、無線通信機器(図示略)を通じて、自機と他の除草装置1(他機)とが連携または協働するために必要な信号を送受信するように構成されている。
【0022】
状態センサ121には、除草装置1の周囲における雑草の有無または雑草の繁茂状態を認識するための第1撮像装置(第1イメージセンサ)が含まれている。状態センサ121には、農作物(稲)などの物体の空間占有態様など、除草装置1がその担当領域を当該物体との干渉を回避しながら移動するために必要な状態変数を測定するための第2撮像装置(第2イメージセンサ)のほか、測距装置および/または測位センサが含まれている。第1撮像装置および第2撮像装置は別個の撮像装置であってもよく、共通の撮像装置であってもよい。第1撮像装置は水中(または水中および水上)を撮像するように構成されていてもよい。稲が存在する領域が、実空間座標系における座標値(緯度、経度)の集合によりあらかじめ定義されている場合、第2撮像装置は省略されていてもよい。
【0023】
第1駆動機構122は、例えば、基体10に搭載されているバッテリ(図示略)から電力供給されることで動作するモータと、当該モータの動力を移動機構11に伝達する動力伝達機構と、により構成されている。同様に、第2駆動機構124は、例えば、基体10に搭載されているバッテリ(図示略)から電力供給されることで動作するモータと、当該モータの動力を除草機構12に伝達する動力伝達機構と、により構成されている。
【0024】
第1駆動機構122および第2駆動機構124のそれぞれに対して、共通のバッテリから電力が供給されてもよく、別個のバッテリのそれぞれから電力が供給されてもよい。
【0025】
(第1実施形態(機能))
前記構成の除草装置1の機能、および、無線通信により相互に連携または協働する複数の除草装置1により構成されている本発明の第1実施形態としての除草システムの機能について説明する。
【0026】
まず、第1指定領域R1に配置されている複数の除草装置1のうち、静止状態または移動状態にある一の除草装置1(第1除草装置)において、制御装置120により除草必要性の有無(または高低)が判定される(図2/STEP111)。具体的には、制御装置120により状態センサ121を構成する第1撮像装置を通じて撮像された除草装置1の周囲の様子を示す画像が解析されることにより、雑草が存在しているか否か、あるいは、雑草繁茂度が閾値以上であるか否かが判定される。
【0027】
稲存在領域を表わすマップ(実空間座標系における座標値の集合)が参照され、撮像画像に映り込んでいる実空間領域から当該稲存在領域が除外された領域において、パターンマッチングおよび/または画素値の解析(雑草の色に応じた画素の数が第1指定値以上であるか否か)により雑草が映り込んでいるか否かが判定されてもよい。撮像画像に映り込んでいる実空間領域から当該稲存在領域が除外された領域において、画像解析(雑草の色に応じた画素値を有する画素の数が第2指定値(第1指定値<第2指定値)以上であるか否か)により撮像画像または実空間における雑草繁茂度が閾値を超えているか否かが判定されてもよい。
【0028】
除草必要性があると判定された場合(図2/STEP111‥YES)、一の除草装置1から、その制御装置120により通信機器を通じて、他の除草装置1(第2除草装置)に対して第1指定通知が送信される(図2/STEP112)。「第1指定通知」は、除草必要性があることを表わす通知である。第1指定通知には、一の除草装置1の位置および/または識別子のほか、その担当領域の延在態様(例えば、担当領域またはその輪郭を構成する点集合の実空間座標値(緯度、経度)により定義される。)および/または識別子が含まれていてもよい。
【0029】
さらに、制御装置120により、第1駆動機構122、ひいては移動機構11の動作が制御され、当該一の除草装置1がその担当領域を移動する。複数の除草装置1のそれぞれの移動経路が記憶装置に記憶され、測位機能により測定される自機位置軌道(自機位置の時系列)が当該移動経路にしたがうように移動機構11の動作が制御されてもよい。この際、除草装置1が、水田に張られている水の上を稲と稲との間隙を縫うように移動するだけではなく、水位が低い場合には水の下の地面を蹴りながら稲と稲との間隙を縫うように移動してもよい。除草装置1が、畔に沿ってまたは一の水田から畔を通って他の水田に移動してもよい。
【0030】
除草装置1の移動が断続的(例えば、一定の移動距離ごとに)または周期的に停止され、当該停止箇所において除草必要性の有無または高低が判定され、除草必要性があるまたは高いことが確認されてから除草装置1の移動が再開されてもよい。除草必要性、ひいてはこれを表わす指標値(雑草繁茂度)が高くなるほど、除草装置1の移動速度が低くなるように制御されてもよい。
【0031】
そして、一の除草装置1において制御装置120により、第2駆動機構124,ひいては除草機構12の動作が制御されることにより、その担当領域において当該一の除草装置1による除草作業が実行される(図2/STEP114)。除草機構12を構成する回転部材が回転され、当該回転部材に取り付けられた羽根部材(爪部材)により雑草がなぎ倒され、むしり取られ、引きちぎられる。さらに、移動機構11を構成する回転部材が回転され、当該回転部材に取り付けられた羽根部材(爪部材)により雑草がなぎ倒され、むしり取られ、引きちぎられうる。この際、水田に張られた水が攪拌されうる。除草装置1が、その担当領域に含まれている畔を陸上移動しながら除草作業を実行してもよい。
【0032】
複数の除草装置1の制御装置120のそれぞれにより担当領域の除草作業が十分に実行された(除草必要性がなくなったまたは低くなった)と判定された場合、当該除草装置1は当該担当領域における除草作業の実行を停止する。この場合、除草作業の実行を完全に停止してもよいが、元の担当領域とは異なる別の領域における除草作業の実行を継続してもよい。除草作業が十分に実行されたか否かの判定処理は、雑草が存在していないか否か、あるいは、雑草繁茂度の測定結果が閾値以下であるか否かが判定されることにより実行される。
【0033】
他の除草装置1において、制御装置120により通信機器を通じて第1指定通知が受信される(図2/STEP121、STEP131)。これに応じて、当該他の除草装置1がその担当領域を移動しながら除草作業を実行する(図2/STEP122、STEP132)。複数の除草装置1のそれぞれの担当領域は相互に重複していてもよく、重複していなくてもよい。第1指定通知が、短距離の通信方式にしたがって送受信される場合、一の除草装置1→他の除草装置1→さらに他の除草装置1→‥のようにリレー方式で伝搬されてもよい。
【0034】
さらに、一の除草装置1の制御装置120により、除草必要性が比較的高い領域が第2指定領域R2として認識される(図3/STEP115)。例えば、当該一の除草装置1が移動する過程で雑草繁茂度が測定され、当該測定結果に基づいて除草必要性が比較的高い箇所を覆う領域が第2指定領域R2として定義される。当該一の除草装置1に搭載されているバッテリの残量が低く、除草機構12による除草能力が低下した場合、その時点以降に予定されている担当領域の一部が第2指定領域R2として定義されてもよい。この際、当該一の除草装置1の自機位置測定機能(測位機能)が利用され、当該箇所の緯度および経度が累積的に記憶保持される。
【0035】
続いて、一の除草装置1から、その制御装置120により通信機器を通じて、他の除草装置1に対して第2指定通知が送信される(図3/STEP116)。「第2指定通知」は、第2指定領域R2、より具体的にはその延在態様(例えば、第2指定領域R2またはその輪郭を構成する点集合の実空間位置(緯度、経度)により定義される。)を表わす通知である。第2指定通知には、一の除草装置1の位置および/または識別子のほか、当該第2指定領域R2での除草必要性の高低を表わす指標値が含まれていてもよい。
【0036】
他の除草装置1の制御装置120により通信機器を通じて第2指定通知が受信される(図3/STEP123、STEP133)。これに応じて、当該他の除草装置1において制御装置120により除草支援作業の実行可否が判定される(図3/STEP124、STEP134)。「除草支援作業」は、他の除草装置1が第2指定通知により表わされる第2指定領域R2に移動し、そこで実行する除草作業を意味する。例えば、第2指定領域R2での除草必要性の高低を表わす指標値(雑草繁茂度)が、当該他の除草装置1の担当領域における指標値よりも閾値以上大きいか否かが判定される。当該閾値は、他の除草装置1が第2指定領域R2に移動するための所要コスト(移動距離および/または移動のための消費エネルギー)が高いほど大きく設定されてもよい。
【0037】
当該判定結果が肯定的である場合(図3/STEP124‥YES)、該当する他の除草装置1が第2指定領域R2に移動したうえで、当該第2指定領域R2において移動しながら除草作業を実行する(図3/STEP125)。前記のように、他の除草装置1が、その担当領域に含まれる一の水田から畔を通って第2指定領域R2に含まれている他の水田に移動してもよい。他の除草装置1が、第2指定領域R2に含まれている畔を陸上移動しながら除草作業を実行してもよい。この場合、一の除草装置1も第2指定領域R2において移動しながら除草作業を実行する(図3/STEP114参照)。
【0038】
その一方、当該判定結果が否定的である場合(図3/STEP134‥NO)、該当する他の除草装置1がその担当領域における除草作業を継続的に実行する。他の除草装置1において除草支援作業の実行可否の判定処理が省略され、第2指定通知に応じてただちに除草支援作業が実行されてもよい。第2指定通知が、短距離の通信方式にしたがって送受信される場合、一の除草装置1→他の除草装置1→さらに他の除草装置1→‥のようにリレー方式で伝搬されてもよい。
【0039】
一または他の除草装置1の制御装置120により第2指定領域R2の除草作業が十分に実行されたと判定された場合、当該他の除草装置1は元の担当領域に戻って除草作業を再開する。除草作業が十分に実行されたか否かの判定処理は、雑草が存在していないか否か、あるいは、雑草繁茂度の測定結果が閾値以下であるか否かが判定されることにより実行される。当該判定処理が、第2指定領域R2での除草必要性の高低を表わす指標値(雑草繁茂度)が、当該他の除草装置1の担当領域における指標値よりも閾値以上の値以下になったか否かに応じて判定されることにより実行されてもよい。
【0040】
(第1実施形態(作用効果))
当該構成の除草システムによれば、複数の除草装置1のそれぞれが第1指定領域R1において移動しながら地表温度調整を伴う除草作業を実行する。この際、複数の除草装置1が相互に連携することにより、相互に連携しない場合と比較して、除草作業効率の向上が図られる。
【0041】
(第2実施形態(構成))
本発明の第2実施形態としての除草システムが、除草装置1に加えて補助除草装置2により構成されていてもよい。補助除草装置2は、除草装置1(主除草装置)と同様の構成を有しているので、詳細な説明を省略する。補助除草装置2を構成する状態センサ121には、雑草繁茂状態を認識するためのセンサ(第1撮像装置)は含まれていなくてもよい。
【0042】
(第2実施形態(機能))
前記構成の補助除草装置2の機能、および、無線通信により相互に連携または協働する複数の除草装置1および補助除草装置2により構成されている本発明の第2実施形態としての除草システムの機能について説明する。
【0043】
一の除草装置1から、その制御装置120により通信機器を通じて、他の除草装置1のみならず補助除草装置2に対して第1指定通知が送信される(図4/STEP112)。第1実施形態と同様に、他の除草装置1において、制御装置120により通信機器を通じて第1指定通知が受信され(図4/STEP121、STEP131)、これに応じて、当該一の除草装置1がその担当領域を移動しながら除草作業を実行する(図4/STEP122、STEP132)。
【0044】
第2実施形態では、これに加えて、補助除草装置2において、第2制御装置220により通信機器を通じて第1指定通知が受信され(図4/STEP211)、これに応じて、当該補助除草装置2がその担当領域に移動したうえで除草作業を実行する(図4/STEP212)。補助除草装置2の担当領域は、一または複数の除草装置1の担当領域と重複していてもよい。複数の補助除草装置2のそれぞれの担当領域は相互に重複していてもよく、重複していなくてもよい。
【0045】
さらに、一の除草装置1から、その制御装置120により通信機器を通じて、他の除草装置1のみならず補助除草装置2に対して第2指定通知が送信される(図5/STEP116)。
【0046】
補助除草装置2の第2制御装置220により通信機器を通じて第2指定通知が受信される(図5/STEP223)。これに応じて、補助除草装置2が第2指定領域R2に移動したうえで、当該第2指定領域R2において移動しながら除草支援作業を実行する(図5/STEP225)。除草装置1とは異なり、補助除草装置2において除草支援作業の実行可否の判定処理は実行されない(図3/STEP124、STEP134参照)。補助除草装置2において当該判定処理が実行され、当該判定結果が肯定的である場合にのみ除草支援作業が実行されてもよい。
【0047】
(第2実施形態(作用効果))
当該構成の除草システムによれば、複数の除草装置1および補助除草装置2のそれぞれが第1指定領域R1において移動しながら除草作業を実行する。この際、複数の除草装置1および補助除草装置2が相互に連携することにより、相互に連携しない場合と比較して、除草作業効率の向上が図られる。
【0048】
(本発明の他の実施形態)
本発明の他の実施形態としての除草システムを構成する他の除草装置1および/または補助除草装置2において、雑草状態変数の測定機能および除草必要性の判定機能が省略されていてもよい。この場合、一の除草装置1(マスター除草装置)の当該判定結果に応じて、他の除草装置1および/または補助除草装置2(スレーブ除草装置)の除草作業の実行要否が定められる。
【0049】
除草システムが、除草管理サーバと、複数の除草装置1または除草装置1および補助除草装置2と、により構成されていてもよい。この場合、除草管理サーバが、マスター除草装置(一の除草装置1)の機能を担う。
【0050】
具体的には、除草装置1から状態センサ121を構成する第1撮像装置を通じて取得された撮像画像(一もしくは複数の静止画または動画)が除草管理サーバに送信される。この際、除草装置1の識別子および位置も併せて除草管理サーバに対して送信されてもよい。除草管理サーバにおいて、当該撮像画像に基づいて除草必要性の有無または高低が判定される(図2/STEP111参照)。当該判定結果が肯定的である場合、すべての除草装置1(および補助除草装置2)に対して第1指定通知が送信される(図2図4/STEP112参照)。これに応じて、複数の除草装置1(および補助除草装置2)のそれぞれにより個々の担当領域において除草作業が実行される(図2/STEP124、STEP134、図4/STEP224参照)。
【0051】
さらに、除草管理サーバにおいて、一または複数の除草装置1(および補助除草装置2)から受信された撮像画像に基づき、第2指定領域R2が認識または定められる(図3/STEP115参照)。すべての除草装置1に対して第2指定通知が送信される(図3図5/STEP116参照)。これに応じて、複数の除草装置1(および補助除草装置2)のそれぞれにより第2指定領域R2において除草作業が実行される(図3/STEP125および図5/STEP225参照)。
【0052】
除草装置1の制御装置120により、状態センサ121を用いて、基体10に搭載されているバッテリの残量が測定され、当該バッテリの残量が基準値以下になった場合、当該除草装置1を充電ステーションに移動させて当該バッテリの充電処理を実行させてもよい。この場合、除草装置1から充電要請通知(自機位置または識別子が含まれている。)が送信され、当該充電要請通知を受信した補助除草装置2が当該除草装置1のそばまで移動したうえで、自機に搭載されているバッテリを用いて、当該除草装置1(他機)に搭載されているバッテリの充電処理を実行してもよい。同様に、一の除草装置1から充電要請通知を受信した他の除草装置1が当該一の除草装置1のそばまで移動したうえで、自機に搭載されているバッテリを用いて、当該一の除草装置1(他機)に搭載されているバッテリの充電処理を実行してもよい。
【0053】
補助除草装置2の制御装置120により、状態センサ121を用いて、基体10に搭載されているバッテリの残量が測定され、当該バッテリの残量が基準値以下になった場合、当該補助除草装置2を充電ステーションに移動させて当該バッテリの充電処理を実行させてもよい。この場合、補助除草装置2から充電要請通知(自機位置または識別子が含まれている。)が送信され、当該充電要請通知を受信した複数の除草装置1のうち自機に搭載されているバッテリの残量が所定値以上であることが確認された場合、当該補助除草装置2に対して、充電要請受諾通知(自機位置または識別子が含まれている。)が送信されてもよい。当該充電要請受諾通知を受信した補助除草装置2が当該除草装置1のそばまで移動したうえで、当該除草装置1(他機)に搭載されているバッテリを用いて、自機に搭載されているバッテリの充電処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1‥除草装置
10‥基体
11‥移動機構
12‥除草機構
120‥制御装置
121‥状態センサ
122‥第1駆動機構
124‥第2駆動機構
2‥補助除草装置
R1‥第1指定領域
R2‥第2指定領域。
図1
図2
図3
図4
図5