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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106824
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 21/28 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
G01G21/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011282
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】外宮 大樹
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性を向上させることができる計量装置を提供する。
【解決手段】被計量物の荷重を受ける上フレーム20と、上フレーム20が受けた荷重を検出する荷重検出部30と、荷重検出部30が設けられると共に、上フレーム20により上方から覆われる下フレーム10と、上フレーム20及び/又は下フレーム10に、水平方向に向けて開口するように設けられ、荷重検出部30の少なくとも一部を視認可能に形成された切欠部(切欠部12及び切欠部22)と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物の荷重を受ける上フレームと、
前記上フレームが受けた荷重を検出する荷重検出部と、
前記荷重検出部が設けられると共に、前記上フレームにより上方から覆われる下フレームと、
前記上フレーム及び/又は前記下フレームに、水平方向に向けて開口するように設けられ、前記荷重検出部の少なくとも一部を視認可能に形成された切欠部と、
を具備する計量装置。
【請求項2】
前記上フレームと前記下フレームとの間に設けられ、前記下フレームに対して前記上フレームを昇降可能な昇降手段を具備する、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記上フレームには、
上下方向に貫通する開口部が形成され、
前記荷重検出部は、
平面視において、前記開口部を介して一部が露出するように配置されている、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項4】
前記荷重検出部は、
前記下フレームに対して着脱可能に固定される固定部を具備し、平面視において、前記開口部を介して前記固定部が露出するように配置される、
請求項3に記載の計量装置。
【請求項5】
前記昇降手段は、
前記下フレームに設けられ、上方に向けて開口するねじ穴を有する雌ねじ部材と、
前記ねじ穴に係合すると共に、前記上フレームを下方から支持可能な雄ねじ部材と、
を具備し、
前記上フレームには、前記雄ねじ部材を回転させる冶具を挿入可能な挿入孔が形成されている、
請求項2に記載の計量装置。
【請求項6】
前記上フレームは、
四方枠形状の外枠材と、前記外枠材の内側を前後方向及び左右方向に区画することで前記開口部を形成する区画材と、により格子状に形成されている、
請求項3に記載の計量装置。
【請求項7】
前記荷重検出部の上部に設けられた係合部と、
前記上フレームの下部に設けられ、前記係合部に対して係合される被係合部と、
を具備し、
前記昇降手段は、
前記下フレームに対して前記上フレームを昇降させることで、前記係合部に対して前記被係合部を係合させる係合状態と、前記係合状態における係合を解除する係合解除状態と、を切り替え可能であり、
前記切欠部は、
前記係合解除状態において、前記係合部を視認可能に形成されている、
請求項2に記載の計量装置。
【請求項8】
前記荷重検出部を覆うカバー部を備える、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項9】
前記下フレームは、
四方枠形状の枠部の四隅に前記切欠部が形成されており、
前記枠部は、
角筒形状の部材により形成されている、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物の重量を計量する計量装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被計量物の重量を計量する計量装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、被計量物を荷重検出ユニットで支えて計量する台秤が記載されている。上記台秤は、載架台を支える上側フレームと、上側フレームの下方に配置される下側フレームと、の間に荷重検出ユニットが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2011/001875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような台秤では、上側フレームにより荷重検出ユニットが覆われることから、メンテナンスを行う際に荷重検出ユニットを視認し難い。このため、メンテナンス性の点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、メンテナンス性を向上させることができる計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る計量装置は、被計量物の荷重を受ける上フレームと、前記上フレームが受けた荷重を検出する荷重検出部と、前記荷重検出部が設けられると共に、前記上フレームにより上方から覆われる下フレームと、前記上フレーム及び/又は前記下フレームに、水平方向に向けて開口するように設けられ、前記荷重検出部の少なくとも一部を視認可能に形成された切欠部と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、メンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る計量装置を示した平面図。
図2】下フレーム及び荷重検出部を示した平面図。
図3】計量装置を示した拡大斜視図。
図4】計量装置を示した拡大分解斜視図。
図5】カバー部の着脱の様子を示した拡大斜視図。
図6】(a)係合状態の計量装置を示した側面断面図。(b)係合解除状態の計量装置を示した側面断面図。
図7】(a)上フレーム及び下フレームを示す側面断面図。(b)従来の計量装置の上フレーム及び下フレームを示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図中に示した矢印に従って、前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ定義する。
【0011】
まず、本発明の一実施形態に係る計量装置1の構成について説明する。
【0012】
計量装置1は、載置された被計量物の重量を計量するものである。計量装置1は、比較的大型の被計量物を計量可能な台秤を構成する。図1に示すように、計量装置1は、平面視略矩形状(略正方形状)に形成される。計量装置1の一辺の長さは、例えば1~2m程度に形成される。計量装置1は、下フレーム10、上フレーム20、荷重検出部30及びカバー部40を具備する。
【0013】
図2及び図4に示す下フレーム10は、計量装置1の下側部分を構成するものである。下フレーム10は、下枠部11、底部13及び昇降手段14を具備する。
【0014】
図2に示す下枠部11は、下フレーム10の主たる構造体である。下枠部11は、複数の金属製の材料を適宜組み合わせた枠形状に形成される。具体的には、下枠部11は、前後に一対、左右に一対配置された長尺な枠材11aにより、平面視において略四方枠形状に形成される。
【0015】
枠材11aは、断面視略矩形状の中空の部材(角鋼管)により形成された中空部11b(図7(a)を参照)と、中空部11bの長手方向両端部に形成された端部11cと、を有する。端部11cは、上記中空の部材のうち、下枠部11の外側(平面視反中心側)の側部と、底部と、を残して他の部分を除去した形状に形成される(図2及び図4を参照)。複数の枠材11aのうち、隣り合う枠材11aの端部11c同士は溶接等により固定される。下枠部11は、切欠部12を有する。
【0016】
図2及び図4に示す切欠部12は、下枠部11の四隅の切り欠いたような部分である。切欠部12は、隣り合う枠材11aの端部11c同士を突き合わせることで形成される。図4に示すように、切欠部12は、下枠部11の入隅部分において、下枠部11の内側(平面視中心側)に向けて開口するように形成される。また、切欠部12は、下枠部11の四隅において上方にも開口するように形成される。
【0017】
底部13は、下フレーム10の四隅において、隣り合う枠材11aが固定される部分である。枠材11aは、厚さ方向を上下方向に向けた金属製の板材により形成される。底部13には、枠材11aの下面が溶接等により固定される。
【0018】
図2図4及び図6に示す昇降手段14は、下フレーム10に対して後述する上フレーム20を昇降させるものである。昇降手段14は、下フレーム10と上フレーム20との間に位置するように配置される。昇降手段14は、下枠部11のうち、切欠部12が形成された部分にそれぞれ設けられる。すなわち、昇降手段14は、下枠部11の四隅にそれぞれ設けられる。昇降手段14は、ナット14a及びボルト14bを具備する。
【0019】
ナット14aは、上方に向けて開口するねじ穴(雌ねじ部)を有する部材である。ナット14aは、枠材11aのうち切欠部12が形成された部分に、溶接等により固定される。なお、上記態様に代えて、底部13にナット14aを固定してもよい。
【0020】
ボルト14bは、ナット14aのねじ穴に対して係合する雄ねじ部を有する部材である。ボルト14bは、上部において拡径する頭部14cを有する。頭部14cの上面には、ねじ回しを行う冶具2(例えば六角レンチ等)と係合する穴部が形成されている。本実施形態では、ボルト14bとして、六角レンチと係合可能な穴部を有する六角穴付きボルトを採用している。図6に示すように、ボルト14bは、冶具2を用いた回転操作が行われることで、ナット14aに対して上下に移動する。
【0021】
図1図3及び図4に示す上フレーム20は、計量装置1の上側部分を構成するものである。上フレーム20は、被計量物の荷重を受ける。上フレーム20は、下フレーム10(下枠部11)を上方から覆うように配置される。上フレーム20は、上枠部21、開口部24及び支持部25を具備する。
【0022】
図1に示す上枠部21は、上フレーム20の主たる構造体である。上枠部21は、複数の金属製の材料を適宜組み合わせた格子状の枠形状に形成される。具体的には、上枠部21は、前後に一対、左右に一対配置された長尺な外枠材21aにより、平面視において略四方枠形状の外枠が形成されている。また、上枠部21には、前後の外枠材21a同士、及び左右の外枠材21a同士に架け渡されるように配置される複数の補強材21dが設けられている。上枠部21は、外枠材21a及び補強材21dにより、平面視において略正方形状の枡目が複数(図例では9つ)形成された格子状の枠を構成する。外枠材21a及び補強材21dは、上記格子状の枠を構成するように、溶接等により固定される。
【0023】
図1及び図4に示す外枠材21aは、下方に向けて開口する断面視略U字形状の溝型の部材(チャンネル鋼)により形成された溝部21b(図7(a)を参照)と、溝部21bの長手方向両端部に形成された端部21cと、を有する。端部21cは、上記溝型の部材のうち、上枠部21の外側(平面視反中心側)の側部と、上部と、を残して他の部分を除去した形状に形成される(図4を参照)。なお補強材21dも、溝部21bと概ね同様な断面形状に形成されている。外枠材21aは、平面視において、下枠部11と重複するように配置される。また、溝部21bの開口の幅寸法は、下枠部11の中空部11bの幅寸法よりも大きく形成されている。外枠材21aは、上枠部21(溝部21b)の内部に下枠部11(中空部11b)の上部を位置させることで、下枠部11を上方から覆うことができる(図7(a)を参照)。上枠部21は、切欠部22及び操作孔23を具備する。
【0024】
図3及び図4に示す切欠部22は、外枠材21aの四隅の切り欠いたような部分である。切欠部22は、隣り合う枠材11aの端部21c同士を突き合わせることで形成される。図4に示すように、切欠部22は、外枠材21aの入隅部分において、外枠材21aの内側(平面視中心側)に向けて開口するように形成される。切欠部22は、下フレーム10の切欠部12に対応する位置に形成される。
【0025】
操作孔23は、上フレーム20の上方から、昇降手段14の操作を行うことができる部分である。操作孔23は、外枠材21a(端部21c)を上下に貫通するように形成される。操作孔23は、平面視において、昇降手段14と重複する位置に形成される。操作孔23の内径は、ボルト14bの頭部14cの外径よりも小さく形成される。また、操作孔23の内径は、冶具2を挿入可能な寸法に形成される。
【0026】
図1及び図3に示す開口部24は、上フレーム20を上下方向に貫通する部分である。開口部24は、平面視において、後述する荷重検出部30を視認可能に形成される。開口部24は、下フレーム10の四隅に対応する位置に形成される。本実施形態では、上枠部21に形成された格子状の枡目の部分(四隅に位置する枡目の部分)により、開口部24を形成している。
【0027】
図4及び図6に示す支持部25は、後述する荷重検出部30に対して当接すると共に、上フレーム20を支持する部分である。図4に示すように、支持部25は、軸線を上下方向に向けた略円柱形状に形成される。支持部25は、上枠部21の四隅にそれぞれ位置するように、外枠材21aの下面に設けられる。支持部25は、例えばボルト等の止具を用いて外枠材21aに固定される。支持部25の下面における中央部(底面視中心部)には、上方に凹む凹部25aが形成されている。凹部25aは、底面視略円形状に形成される。
【0028】
図3及び図4に示す取付部26は、上枠部21(本実施形態では補強材21d)から水平方向に延出するように形成される部分である。取付部26には、上下方向に貫通する孔部が形成されている。なお、図3及び図4を除く図面では、取付部26の図示を省略している。図4に示すように、下フレーム10(底部13)に固定されたナット27に係合するボルト28が、取付部26の孔部に挿入される。なお、取付部26は、後述する荷重検出部30の検出結果に影響を及ぼすことを回避する(浮き上がりストッパーとしての役目を果たす)ために、下フレーム10に対する上フレーム20の上下方向の移動が許容されるように、上記ナット27及びボルト28に対して取り付けられる。上記取付部26にボルト28が挿入された状態では、ボルト28により、取付部26の上方への移動が規制される。これにより、例えば被計量物が上フレーム20の片側(端側)に載置された際に、被計量物が載置されていない側が浮き上がるようなことを防止することができる。
【0029】
図2から図4までに示す荷重検出部30は、上フレーム20が受けた被計量物の荷重を検出するものである。荷重検出部30は、下フレーム10と上フレーム20との間に位置するように配置される。荷重検出部30は、下フレーム10の切欠部12に対応するように、底部13にそれぞれ設けられる。すなわち、荷重検出部30は、下フレーム10の四隅にそれぞれ設けられる。
【0030】
荷重検出部30は、水平方向に長尺な略直方体形状に形成される。図2に示すように、荷重検出部30は、平面視における下フレーム10の対角線方向に、長手方向を向けて配置される。換言すれば、荷重検出部30は、平面視において、前後方向又は左右方向に対して45度程度傾くように配置されている。図3に示すように、荷重検出部30は、切欠部12及び切欠部22により形成された開口を通過するように配置される。荷重検出部30は、ロードセル31、固定部32及びロッカーピン33を具備する。
【0031】
ロードセル31は、荷重を検出するセンサである。ロードセル31は、外力によってひずみを発生させる起歪体や、起歪体のひずみを検出するための歪ゲージ(不図示)を有する。ロードセル31は、ケーブル31aを介して検出結果の信号を、外部の機器(例えば制御装置や表示装置等)に出力する(図5を参照)。本実施形態では、角鋼管により形成された枠材11aの内部を、ケーブル31aの配線のための空間に利用している。また、上記ケーブル31aのうち、切欠部12において露出している部分については、坊鼠対策用の保護カバーを設けるようにしてもよい。
【0032】
固定部32は、荷重検出部30を底部13に固定する部分である。固定部32は、荷重検出部30のうち、下フレーム10の対角線方向中心側の端部に設けられる。本実施形態では、固定部32として、荷重検出部30を上下に貫通する止具(例えばボルト等)を採用している。図例では、1つの荷重検出部30に対して、2つの固定部32を設けた例を示している。固定部32を用いることで、下フレーム10に対して荷重検出部30を着脱可能に固定することができる。図1に示すように、固定部32は、平面視において、上フレーム20の開口部24と重複するように(開口部24を介して露出するように)配置されている。これにより、開口部24を介して固定部32の着脱作業を行うことができる。
【0033】
図4及び図6に示すロッカーピン33は、支持部25の凹部25aに対して係合する部分である。ロッカーピン33は、荷重検出部30の上部から上方に向けて突出する略円柱形状に形成される。ロッカーピン33は、荷重検出部30のうち、下フレーム10の対角線方向反中心側の端部に設けられる。ロッカーピン33は、平面視において、支持部25の凹部25aと重複するように配置される。
【0034】
図6(a)に示すように、ロッカーピン33を支持部25の凹部25aに係合させた状態では、荷重検出部30に対する上フレーム20の位置決めが行われる。また、この状態では、上フレームが受けた荷重が、ロッカーピン33を介してロードセル31側に伝達される。ロードセル31は、ロッカーピン33を介して伝達された荷重の検出を行う。
【0035】
図1及び図5に示すカバー部40は、荷重検出部30を覆うものである。カバー部40は、下フレーム10の対角線方向反中心側、及び下方に開口した略箱形状に形成されている。図5に示すように、カバー部40の上面における対角線方向反中心側の端部には、支持部25との干渉を回避するように形成された凹部41が形成されている。なお、図5では、上フレーム20の上枠部21を省略した図を示している。カバー部40は、ロッカーピン33の周囲の部分(支持部25が位置する部分)を除いて、荷重検出部30を覆うように形成される。
【0036】
カバー部40は、例えばシリコン材等の可撓性及び防水性を有する材料で形成される。カバー部40は、下フレーム10の切欠部12に差し込まれるように配置される。カバー部40は、ボルト等の止具を用いて、底部13に対して着脱可能に取り付けられる。カバー部40を取り付けることで、荷重検出部30に対する水や粉塵等の異物の侵入や、塩害を抑制することができる。
【0037】
以上、計量装置1の構成について説明した。本実施形態に係る計量装置1は、昇降手段14によって上フレーム20を上昇させることで、荷重検出部30のメンテナンスを容易に行うことができる。以下では、荷重検出部30のメンテナンスの様子について説明する。
【0038】
計量装置1は、昇降手段14の操作により、図6(a)に示すロッカーピン33を支持部25の凹部25aに係合させた状態(以下では「係合状態」と称する)と、図6(b)に示すロッカーピン33と凹部25aとの係合を解除した状態(以下では「係合解除状態」と称する)と、に切り替え可能に形成されている。
【0039】
図6(a)に示す係合状態の計量装置1では、上フレーム20に載置された被計量物の荷重を、ロッカーピン33を介してロードセル31に伝達させることで、荷重の検出を行うことができる。なお、係合状態においては、昇降手段14の上端部(ボルト14b)と、上フレーム20と、が接触して検出結果に影響を及ぼすことを回避するために、昇降手段14と上フレーム20との間に隙間を設けるようにする。
【0040】
荷重検出部30のメンテナンスを行う際に、作業者は、上フレーム20の取付部26に挿入されたボルト28をナット27から取り外して、下フレーム10に対する上フレーム20の取り付けを解除する(図4を参照)。
【0041】
次に作業者は、図6(b)に示すように、上フレーム20の操作孔23に冶具2を挿入し、ナット14aに対して緩める方向にボルト14bを回転させる操作を行う。上記操作に伴いボルト14bが上昇し、ボルト14bの頭部14cが上フレーム20に当接する。この状態で、更にボルト14bを回転させることで、下フレーム10に対して上フレーム20を上昇させることができる。作業者は、四隅の昇降手段14に対して上記操作を行うことで、上フレーム20を持ち上げることができる。
【0042】
上フレーム20が所定の高さまで(例えば10~20mm程度)上昇することで、計量装置1は係合解除状態になる。係合解除状態において、作業者は、カバー部40を取り外すことができる(図5を参照)。作業者は、この状態で開口部24、切欠部12及び切欠部22を介して覗き込むことで、計量装置1の外部から荷重検出部30の略全体を視認することができる。また、本実施形態では、係合解除状態において、ロッカーピン33を外部から視認可能に形成している。このように上フレーム20を上昇させた状態で、作業者は、目視による荷重検出部30の点検等を行うことができる。
【0043】
また、係合解除状態においては、上フレーム20に対するロッカーピン33の係合が解除されるため、荷重検出部30の取り外しが可能となる。このため作業者は、上フレーム20の開口部24を介して固定部32を取り外す作業を行うことで、下フレーム10に対する荷重検出部30の固定を解除することができる。この状態で、切欠部12及び切欠部22を介して荷重検出部30を引き抜くことで、荷重検出部30を取り外すことができる。これによれば、荷重検出部30の点検や交換等のメンテナンスの作業を容易に行うことができる。
【0044】
また、作業者は、荷重検出部30及びカバー部40を下フレーム10に取り付けた状態で、上述した説明と逆の操作を行うことで、計量装置1を係合状態に戻すことができる。具体的には、作業者は、上フレーム20の操作孔23に冶具2を挿入し、ナット14aに対して締める方向にボルト14bを回転させる。これにより、ボルト14bの下降に伴い、下フレーム10に対して上フレーム20を下降させることで、計量装置1を係合状態に変位させることができる。
【0045】
この際、作業者は、切欠部12及び切欠部22を介して、ロッカーピン33を視認しながら位置決めの作業を行うことができる。これにより、作業者は、ロッカーピン33と、支持部25の凹部25aと、の位置関係を目視により確認しながら上フレーム20を下降させることができる。上記構成によれば、ロッカーピン33と支持部25との芯ずれが生じないように上フレーム20を下降させる際の作業性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、カバー部40に凹部41を形成しているので、カバー部40が上記位置決めの作業の邪魔になるようなことを抑制することができる。なお、カバー部40の着脱は、係合状態で行ってもよく、係合解除状態で行ってもよい。
【0046】
計量装置1を係合状態に戻した状態で、作業者は、上フレーム20の取付部26にボルト28を挿入すると共に、ボルト28をナット27に対して締結することで、下フレーム10に対する上フレーム20の取り付けを行う。これにより、荷重検出部30のメンテナンス作業が完了する。
【0047】
以下では、図7(b)に示す従来の計量装置と比較した計量装置1の効果について説明する。図7(b)に示す従来の計量装置は、下フレーム110の下枠部111に、チャンネル鋼により形成された溝部111bが設けられている。また、図7(b)に示す従来例では、切欠部12及び切欠部22は形成されていない。また、上記従来例では、荷重検出部30の長手方向を溝部111bの長手方向(前後方向及び左右方向)に向けて配置すると共に、荷重検出部30を、下フレーム110の溝部111b及び上フレーム20の溝部21bにより閉塞された空間に設けている。上記構成では、荷重検出部30を外部から視認することができない。このため、上記従来例においては、荷重検出部30のメンテナンスを行う際には、例えばクレーン等の重機を用いて、下フレーム110に対して上フレーム20を完全に持ち上げる必要がある。このため、メンテナンス作業が大がかりとなり、比較的多くの人員を要することや、作業の負担が大きくなることが想定される。
【0048】
一方、本実施形態に係る計量装置1によれば、四隅の昇降手段14を用いた操作を行うことで、単身、かつ短時間で上フレーム20の昇降を行うことができる。また、本実施形態では、最小の(最低限の)持ち上げ量(例えば10~20mm程度)で上フレーム20を上昇させた状態で、切欠部12及び切欠部22を介して、計量装置1の外部から荷重検出部30を視認することができる。これによれば、図7(b)に示す例のように枠材11a及び外枠材21aにより荷重検出部30が覆われるものとは異なり、メンテナンスの際にクレーン等の重機を用いて上フレーム20を吊り上げる必要がなく、メンテナンス性を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、図7(a)に示すように、下フレーム10の枠材11aをパイプ形状の角鋼管により形成している。これにより、図7(b)に示す従来例に比べて、下フレーム10の強度を向上させることができる。特に、本実施形態のように下フレーム10に切欠部12を形成した場合でも、強度を確保することができる。また、本実施形態では、パイプ形状の枠材11aの内部をケーブル31aの配線のための空間に利用している。これによれば、図7(b)に示す例とは異なり、枠材11aの上方の開口から出たケーブル31aが配線ルートからずれることを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、荷重検出部30を、下フレーム10の対角線方向に長手方向を向けて配置している。これにより、図7(b)に示す例とは異なり、切欠部12及び切欠部22を通過させるように荷重検出部30を配置することができ、荷重検出部30の交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0051】
以上の如く、本実施形態に係る計量装置1は、
被計量物の荷重を受ける上フレーム20と、
前記上フレーム20が受けた荷重を検出する荷重検出部30と、
前記荷重検出部30が設けられると共に、前記上フレーム20により上方から覆われる下フレーム10と、
前記上フレーム20及び/又は前記下フレーム10に、水平方向(平面視中心側)に向けて開口するように設けられ、前記荷重検出部30の少なくとも一部を視認可能に形成された切欠部(切欠部12及び切欠部22)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、メンテナンス性を向上させることができる。すなわち、切欠部を介して荷重検出部30を視認することができ、荷重検出部30のメンテナンス性を向上させることができる。
【0052】
また、本実施形態に係る計量装置1は、
前記上フレーム20と前記下フレーム10との間に設けられ、前記下フレーム10に対して前記上フレーム20を昇降可能な昇降手段14を具備するものである。
このように構成することにより、メンテナンス性をより向上させることができる。すなわち、昇降手段14により上フレーム20を上昇させることで、荷重検出部30のうち上フレーム20に覆われる部分を視認することができ、荷重検出部30のメンテナンス性をより向上させることができる。
【0053】
また、前記上フレーム20には、
上下方向に貫通する開口部24が形成され、
前記荷重検出部30は、
平面視において、前記開口部24を介して一部が露出するように配置されているものである。
このように構成することにより、メンテナンス性をより向上させることができる。すなわち、開口部24を介して荷重検出部30を視認することができ、荷重検出部30のメンテナンス性を向上させることができる。
【0054】
また、前記荷重検出部30は、
前記下フレーム10に対して着脱可能に固定される固定部32を具備し、平面視において、前記開口部24を介して前記固定部32が露出するように配置されるものである。
このように構成することにより、開口部24を介して荷重検出部30の着脱の作業を行うことができる。
【0055】
また、前記昇降手段14は、
前記下フレーム10に設けられ、上方に向けて開口するねじ穴を有する雌ねじ部材(ナット14a)と、
前記ねじ穴に係合すると共に、前記上フレーム20を下方から支持可能な雄ねじ部材(ボルト14b)と、
を具備し、
前記上フレーム20には、前記ボルト14bを回転させる冶具を挿入可能な挿入孔(操作孔23)が形成されているものである。
このように構成することにより、下フレーム10に対する上フレーム20の昇降作業を容易に行うことができる。例えば、上フレーム20を吊り上げる重機等を用いることなく、冶具2を用いた操作で上フレーム20の昇降を行うことができる。また、上記構成によれば、一人で上フレーム20の昇降を行うことができる。
【0056】
また、前記上フレーム20は、
四方枠形状の外枠材21aと、前記外枠材21aの内側を前後方向及び左右方向に区画することで前記開口部24を形成する区画材(補強材21d)と、により格子状に形成されているものである。
このように構成することにより、容易に荷重検出部30を視認することができる共に、上フレーム20全体の軽量化を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る計量装置1は、
前記荷重検出部30の上部に設けられた係合部(ロッカーピン33)と、
前記上フレーム20の下部に設けられ、前記ロッカーピン33に対して係合される被係合部(凹部25a)と、
を具備し、
前記昇降手段14は、
前記下フレーム10に対して前記上フレーム20を昇降させることで、前記ロッカーピン33に対して前記凹部25aを係合させる係合状態と、前記係合状態における係合を解除する係合解除状態と、を切り替え可能であり、
前記切欠部(切欠部12及び切欠部22)は、
前記係合解除状態において、前記ロッカーピン33を視認可能に形成されているものである。
このように構成することにより、メンテナンス性をより向上させることができる。すなわち、切欠部(切欠部12及び切欠部22)を介してロッカーピン33を視認しながら位置決めの作業を行うことができる。これにより、荷重検出部30に対する上フレーム20の芯すれ等を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態に係る計量装置1は、
前記荷重検出部30を覆うカバー部40を備えるものである。
このように構成することにより、荷重検出部30への異物の侵入を抑制することができる。
【0059】
また、前記下フレーム10は、
四方枠形状の枠部(枠材11a)の四隅に前記切欠部12が形成されており、
前記枠部(枠材11a)は、
角筒形状の部材(中空部11b)により形成されている、ものである。
このように構成することにより、下フレーム10の強度を向上させることができる。また、角筒形状の部材(中空部11b)の内部の空間を、荷重検出部30に接続されたケーブルの配線に利用することができる。
【0060】
なお、本実施形態に係る切欠部12及び切欠部22は、本発明に係る切欠部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る枠材11aは、本発明に係る枠部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るナット14aは、本発明に係る雌ねじ部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るボルト14bは、本発明に係る雄ねじ部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る補強材21dは、本発明に係る区画材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る操作孔23は、本発明に係る挿入孔の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るロッカーピン33は、本発明に係る係合部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る凹部25aは、本発明に係る被係合部の実施の一形態である。
【0061】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態において説明した各部材(下フレーム10や上フレーム20等)の形状等は一例であり、上述した形状等に限定されない。上記各部材の形状等は、任意の形状に変更可能である。具体的には、下フレーム10の昇降手段14や上フレーム20の操作孔23の位置は、任意の位置に変更可能である。また、切欠部12及び切欠部22の形状は、任意の形状に変更可能である。
【0063】
また、本実施形態では、下フレーム10及び上フレーム20の両方に、荷重検出部30を視認可能な切欠部(切欠部12及び切欠部22)を設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではない。切欠部を形成する箇所は、下フレーム10及び上フレーム20の形状に応じて適宜設定可能であり、例えば、下フレーム10又は上フレーム20のいずれか一方に切欠部を設けるようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、下フレーム10の枠材11aを角筒形状の部材により形成した例を示したが、枠材11aの形状としては角筒形状に限定されず、例えば円筒形状等のパイプ形状に形成してもよい。また、枠材11aとしては、パイプ形状の部材に限定されず、チャンネル鋼等の溝型の部材を採用可能である。
【0065】
また、本実施形態では、カバー部40を設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、カバー部40を設けず、荷重検出部30を露出させるようにしてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、荷重検出部30を、平面視において、前後方向又は左右方向に対して45度程度傾くように配置した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。荷重検出部30の向きは、メンテナンス性の観点から適宜設定可能である。
【0067】
また、本実施形態では、昇降手段14の雄ねじ部材(ボルト14b)として、六角穴付きボルトを採用した例を示したが、本発明はこれに限るものではない。雄ねじ部材としては、雄ねじ部を有し、冶具2を用いて操作可能な種々の部材を採用可能である。また、昇降手段14としては、雄ねじ部材及び雌ねじ部材により形成されるものに限定されず、例えば油圧ジャッキ等を採用可能である。
【0068】
また、本実施形態では、荷重検出部30における検出手段をロードセル31としたが、本発明はこれに限るものではない。荷重検出部30の検出手段としては、荷重を検出可能なものであればよく、例えばフォースバランス等の種々の検出手段を採用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 計量装置
10 下フレーム
20 上フレーム
14 昇降手段
30 荷重検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7