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特開2024-106829ピストン装置、粉砕機及びピストン装置の運用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106829
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ピストン装置、粉砕機及びピストン装置の運用方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
B02C15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011289
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山口 聡太朗
【テーマコード(参考)】
4D063
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE12
4D063EE26
4D063GA08
4D063GC40
4D063GD19
(57)【要約】
【課題】ピストン装置の長さを適切な長さに容易に調整することを目的とする。
【解決手段】ピストン装置62は、圧縮性ガスG及び油Oが封入される油タンク室S1が内部に形成され、所定方向の一端が荷重負荷装置と対向する内筒81と、内筒81の所定方向の他端に内筒81と所定方向の相対移動が可能に設けられ、ジャーナルヘッドと対向する外筒82と、内筒81と外筒82との間に形成される高圧室S2と油タンク室S1とを接続し油Oが流通する供給流路86bが形成される流路部86と、供給流路86bに設けられ、高圧室S2の圧力の増大に応じて供給流路86bを閉鎖するチェックバルブ89と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕機に設けられ、粉砕テーブルとの間に原料を挟み込むことで前記原料を粉砕する粉砕ローラを揺動自在に支持するローラ支持部と、前記粉砕ローラに荷重を付与する荷重付与部と、の間に設けられ、前記荷重付与部からの荷重を前記ローラ支持部に伝達するピストン装置であって、
圧縮性流体及び非圧縮性流体が封入される第1空間が内部に形成され、所定方向の一端が前記ローラ支持部または前記荷重付与部の一方と対向する本体部と、
前記本体部の前記所定方向の他端に前記本体部と前記所定方向の相対移動が可能に設けられ、前記ローラ支持部または前記荷重付与部の他方と対向する移動部と、
前記本体部と前記移動部との間に形成される第2空間と前記第1空間とを接続し前記非圧縮性流体が流通する接続流路が形成される流路部と、
前記接続流路に設けられ、前記第2空間の圧力の増大に応じて前記接続流路を閉鎖する弁部と、を備えるピストン装置。
【請求項2】
前記第1空間に設けられ、前記圧縮性流体が封入される圧縮性流体空間と前記非圧縮性流体が封入される非圧縮性流体空間とを隔てる隔離部を備え、
前記隔離部は、前記圧縮性流体の体積の変化に応じて前記非圧縮性流体空間の容積を変化させる請求項1に記載のピストン装置。
【請求項3】
粉砕機に設けられ、粉砕テーブルとの間に原料を挟み込むことで前記原料を粉砕する粉砕ローラを揺動自在に支持するローラ支持部と、前記粉砕ローラに荷重を付与する荷重付与部と、の間に設けられ、前記荷重付与部からの荷重を前記ローラ支持部に伝達するピストン装置であって、
非圧縮性流体が収容される第1空間が内部に形成され、所定方向の一端が前記ローラ支持部または前記荷重付与部の一方と対向する本体部と、
前記本体部の前記所定方向の他端に前記本体部と前記所定方向の相対移動が可能に設けられ、前記ローラ支持部または前記荷重付与部の他方と対向する移動部と、を備え、
前記本体部と前記移動部との間に形成される第2空間と前記第1空間とを接続し前記非圧縮性流体が流通する接続流路が形成される流路部と、
前記接続流路に設けられ、前記第2空間の圧力の増大に応じて前記接続流路を閉鎖する弁部と、
前記本体部と前記移動部とを前記所定方向に相対移動させるように付勢する付勢部と、を備え、
前記本体部には、前記第1空間と前記本体部の外部の空間とを接続する外部接続部が形成されているピストン装置。
【請求項4】
前記第2空間から漏洩した前記非圧縮性流体を前記第1空間へ導く回収流路を備える請求項1または請求項3に記載のピストン装置。
【請求項5】
前記第2空間と接続する第3空間に設けられ、内部に圧縮性流体が充填される弾性体を備える請求項1または請求項3に記載のピストン装置。
【請求項6】
前記第1空間と接続する第1分割空間と、前記第1分割空間と並んで配置され前記第2空間と接続する第2分割空間とを隔てる隔壁部を備え、
前記隔壁部は前記第1分割空間と前記第2分割空間とが並ぶ方向に沿って移動可能とされている請求項1または請求項3に記載のピストン装置。
【請求項7】
前記接続流路には、定量ずつ前記非圧縮性流体を前記第1空間から前記第2空間へ導く定量弁が設けられている請求項1または請求項3に記載のピストン装置。
【請求項8】
粉砕テーブルと、
前記粉砕テーブルとの間に原料を挟み込むことで前記原料を粉砕する粉砕ローラと、
前記粉砕ローラを揺動自在に支持するローラ支持部と、
前記粉砕ローラに荷重を付与する荷重付与部と、
前記ローラ支持部と前記荷重付与部との間に設けられ、前記荷重付与部からの荷重を前記ローラ支持部に伝達する請求項1または請求項3に記載のピストン装置と、を備える粉砕機。
【請求項9】
粉砕機に設けられ、粉砕テーブルとの間に原料を挟み込むことで前記原料を粉砕する粉砕ローラを揺動自在に支持するローラ支持部と、前記粉砕ローラに荷重を付与する荷重付与部と、の間に設けられ、前記荷重付与部からの荷重を前記ローラ支持部に伝達するピストン装置の運用方法であって、
前記ピストン装置は、
圧縮性流体及び非圧縮性流体が封入される第1空間が内部に形成され、所定方向の一端が前記ローラ支持部または前記荷重付与部の一方と対向する本体部と、
前記本体部の前記所定方向の他端に前記本体部と前記所定方向の相対移動が可能に設けられ、前記ローラ支持部または前記荷重付与部の他方と対向する移動部と、
前記本体部と前記移動部との間に形成される第2空間と前記第1空間とを接続し前記非圧縮性流体が流通する接続流路が形成される流路部と、
前記接続流路に設けられ、前記第2空間の圧力の増大に応じて前記接続流路を閉鎖する弁部と、を備え、
前記第1空間に封入した前記圧縮性流体の圧力によって前記非圧縮性流体を前記第1空間から前記第2空間へ流通させる工程を備えるピストン装置の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ピストン装置、粉砕機及びピストン装置の運用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バイオマス燃料や石炭等の固体燃料は、粉砕機(ミル)で所定粒径範囲内の微粉状に粉砕して、燃焼装置へ供給される。ミルは、粉砕テーブルへ投入された固体燃料を、粉砕テーブルと粉砕ローラの間に挟み込んで粉砕し、粉砕されて微粉状となった固体燃料のうち、所定粒径範囲内の微粉燃料を分級機で選別し、粉砕テーブルの外周から供給される搬送用ガス(一次空気)によって、ボイラへ搬送して燃焼装置で燃焼させている。火力発電プラントでは、ボイラで微粉燃料を燃焼して生成された燃焼ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、該蒸気により蒸気タービンを回転駆動して、蒸気タービンに接続した発電機を回転駆動することで発電が行なわれる。
【0003】
ミルは、動力により回転する粉砕テーブルに、回転自由に支持された粉砕ローラを押し付けることで固体燃料を粉砕する。粉砕ローラは、軸受を介して回転自由にジャーナルヘッドに支持されている。ジャーナルヘッドは、偏心軸を介して上下方向に揺動可能に設置されている。ミルは、粉砕ローラに対して、粉砕テーブル方向への荷重を与える荷重装置と、荷重装置とジャーナルヘッドとの間に設けられるピストン装置と、を備えている。ミルは、荷重装置からの荷重を、ピストン装置を介してジャーナルヘッドに伝達することで、粉砕ローラを粉砕テーブルに向かって押し付け、粉砕テーブルと粉砕ローラとの間に固体燃料を挟み込むことで固体燃料を粉砕する。このような、粉砕ローラを粉砕テーブルへ押し付けることで固体燃料を粉砕するミルとして、例えば特許文献1に記載のミルが知られている。
【0004】
特許文献1には、油圧シリンダに押されて粉砕ローラのL字状のアーム部を押すピストン装置を備える装置が記載されている。この装置では、ピストン装置に押圧されたアーム部がその回転軸で回転することによって粉砕ローラが下方に移動し、粉砕輪に押し付けられている。石炭の量が増して粉砕ローラが浮き上がっても、油圧によってピストン装置が粉砕ローラを押し付けているため、粉砕機能が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-274025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなミルは、固体燃料が供給されていない状態(すなわち、粉砕テーブル上に固体燃料が存在しない状態)において、粉砕ローラが粉砕テーブルに直接接触しないように、ギャップボルトでジャーナルヘッドを支持する場合がある。これは粉砕テーブルと粉砕ローラとが直接メタルタッチすることによって騒音と振動が発生する事態を抑制するためである。
【0007】
粉砕テーブル上に固体燃料が供給されると、粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に固体燃料が挟み込まれる。これにより、粉砕ローラが固体燃料に乗り上がりジャーナルヘッドがギャップボルトから離れ、粉砕ローラの自重と荷重装置(例えば、油圧シリンダ)からの荷重が固体燃料に付与され、固体燃料が粉砕される。このとき、粉砕ローラと粉砕テーブルとの間の固体燃料がクッションの役目を果たすことから、粉砕テーブルと粉砕ローラとの接触による騒音と振動が抑制される。以下では、荷重装置として油圧シリンダを適用した場合について一例として説明する。
【0008】
油圧シリンダとジャーナルヘッドのアーム部との間に設けられるピストン装置は、固体燃料が供給されていない状態において、ピストン装置の隙間(ピストン装置と油圧シリンダとの間の隙間及び/又はピストン装置とアーム部との間の隙間)が所定の値となるような長さに調整されている。
粉砕ローラは固体燃料を粉砕することによって摩耗するので、粉砕ローラと粉砕テーブルとの間の隙間は経時的に大きくなる。そのため、粉砕ローラと粉砕テーブルとの間の隙間を適切に保つために、ミルの運転中にギャップボルトの位置を調節することがある。また、ギャップボルトの調節にともないピストン装置の隙間も当然変化することになるが、これについては考慮されていないのが現状である。仮に、ピストン装置の隙間の調節を伴う点検のために粉砕機の運転を停止する場合、プラントへの燃料供給が減少することによる出力ダウンや補助燃料の使用によるコストアップが懸念される。
【0009】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、粉砕機の運転を停止することなくピストン装置の隙間を自動的に調節することができるピストン装置、粉砕機及び粉砕機の運用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示のピストン装置、粉砕機及びピストン装置の運用方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るピストン装置は、粉砕機に設けられ、粉砕テーブルとの間に原料を挟み込むことで原料を粉砕する粉砕ローラを揺動自在に支持するローラ支持部と、前記粉砕ローラに荷重を付与する荷重付与部と、の間に設けられ、前記荷重付与部からの荷重を前記ローラ支持部に伝達するピストン装置であって、圧縮性流体及び非圧縮性流体が封入される第1空間が内部に形成され、所定方向の一端が前記ローラ支持部または前記荷重付与部の一方と対向する本体部と、前記本体部の前記所定方向の他端に前記本体部と前記所定方向の相対移動が可能に設けられ、前記ローラ支持部または前記荷重付与部の他方と対向する移動部と、前記本体部と前記移動部との間に形成される第2空間と前記第1空間とを接続し前記非圧縮性流体が流通する接続流路が形成される流路部と、前記接続流路に設けられ、前記第2空間の圧力の増大に応じて前記接続流路を閉鎖する弁部と、を備える。
【0011】
本開示の一態様に係るピストン装置の運用方法は、粉砕機に設けられ、粉砕テーブルとの間に原料を挟み込むことで原料を粉砕する粉砕ローラを揺動自在に支持するローラ支持部と、前記粉砕ローラに荷重を付与する荷重付与部と、の間に設けられ、前記荷重付与部からの荷重を前記ローラ支持部に伝達するピストン装置の運用方法であって、前記ピストン装置は、圧縮性流体及び非圧縮性流体が封入される第1空間が内部に形成され、所定方向の一端が前記ローラ支持部または前記荷重付与部の一方と対向する本体部と、前記本体部の前記所定方向の他端に前記本体部と前記所定方向の相対移動が可能に設けられ、前記ローラ支持部または前記荷重付与部の他方と対向する移動部と、前記本体部と前記移動部との間に形成される第2空間と前記第1空間とを接続し前記非圧縮性流体が流通する接続流路が形成される流路部と、前記接続流路に設けられ、前記第2空間の圧力の増大に応じて前記接続流路を閉鎖する弁部と、を備え、前記第1空間に前記圧縮性流体及び前記非圧縮性流体を封入する工程を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、粉砕機の運転を停止することなく中間ピストンと油圧シリンダとの間の隙間を自動的に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態に係る固体燃料粉砕装置およびボイラを示す構成図である。
図2】本開示の実施形態に係るミルの縦断面図である。
図3】本開示の第1実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図4】本開示の第1実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図5】本開示の第1実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図6】本開示の第1実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図7】本開示の第2実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図8】本開示の第3実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図9】本開示の第3実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図10】本開示の第4実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図11】本開示の第5実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
図12】本開示の第5実施形態に係るピストン装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態に係るピストン装置、粉砕機及びピストン装置の運用方法について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、発電プラント1は、固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
以降の説明では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの「上」とは鉛直上側の部分を示している。また同様に「下」とは鉛直下側の部分を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0016】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、一例としてバイオマス燃料や石炭等の固体燃料を粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ(燃焼装置)220へ供給する装置である。
図1に示す固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを含む発電プラント1は、1台の固体燃料粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ220のそれぞれに対応する複数台の固体燃料粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
【0017】
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、ミル(粉砕機)10と、バンカ(貯蔵部)21と、給炭機(燃料供給機)25と、送風部(搬送用ガス供給部)30と、状態検出部40と、制御部50とを備えている。
【0018】
ボイラ200に供給する石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、微粉状の固体燃料である微粉燃料へと粉砕するミル10は、石炭のみを粉砕する形式であっても良いし、バイオマス燃料のみを粉砕する形式であっても良いし、石炭とともにバイオマス燃料を粉砕する形式であってもよい。
ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃木材、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
【0019】
ミル10は、ハウジング11と、粉砕テーブル12と、粉砕ローラ13と、減速機(駆動伝達部)14と、減速機14に接続され粉砕テーブル12を回転駆動させるミルモータ(駆動部)15と、回転式分級機(分級部)16と、給炭管(燃料供給部)17と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
【0020】
ハウジング11は、上下方向に延びた軸線Chを中心軸線する筒状の筐体であり、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13と回転式分級機16と、給炭管17とを収容している。
【0021】
図2に示すように、ハウジング11の周壁には開口部11aが形成されており、開口部11aの近傍に粉砕ローラ13や粉砕ローラ13を支持するジャーナルヘッド45が設置されている。
粉砕ローラ13等が設置された状態において、開口部11aは、ハウジング11と共にミル10の外壁をなすローラカバー70によって覆われている。
【0022】
図1に示すように、ハウジング11の天井部42の中央部には、給炭管17が取り付けられている。この給炭管17は、バンカ21から給炭機25を介して導かれた固体燃料をハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。
【0023】
ハウジング11の底面部41付近には減速機14が設置され、この減速機14に接続されたミルモータ15から伝達される駆動力により軸線Chの周りに回転する粉砕テーブル12が回転自在に配置されている。
粉砕テーブル12は、平面視円形の部材であり、給炭管17の下端部が対向するように配置されている。粉砕テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。給炭管17は、固体燃料(本実施形態では例えば石炭やバイオマス燃料)を上方から下方の粉砕テーブル12に向けて供給し、粉砕テーブル12は供給された固体燃料を粉砕ローラ13との間に挟み込んで粉砕する。
【0024】
固体燃料が給炭管17から粉砕テーブル12の中央部へ向けて投入されると、粉砕テーブル12の回転による遠心力によって、固体燃料は粉砕テーブル12の外周側へと導かれ、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕された固体燃料は、搬送用ガス流路(以降は、一次空気流路と記載する)110から導かれ、搬送用ガス吹出口(吹出口)12bから吹き出された搬送用ガス(以下、「一次空気」という。)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。
【0025】
図2に示すように、粉砕テーブル12の外周面とハウジング11の内周面との間には、一次空気流路110から流入する一次空気をハウジング11内の粉砕テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口12bが設けられている。
吹出口12bの出口に位置する粉砕テーブル12の外周側には旋回羽根12aが設置されており、吹出口12bから上方に向かって吹き出した一次空気に旋回力を与える。旋回羽根12aにより旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、粉砕テーブル12上で粉砕された固体燃料を、ハウジング11内の上方にある回転式分級機16へと搬送する。なお、粉砕された固体燃料のうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく落下して、粉砕テーブル12上に戻されて、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13との間で再度粉砕される。
【0026】
図1及び図2に示すように、粉砕ローラ13は、給炭管17から粉砕テーブル12上に供給された固体燃料を粉砕する回転体である。粉砕ローラ13は、粉砕テーブル12の上面に押圧されて粉砕テーブル12と協働して固体燃料を粉砕する。
図1では、粉砕ローラ13が代表して1つのみ示されているが、粉砕テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数の粉砕ローラ13が配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つの粉砕ローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つの粉砕ローラ13が粉砕テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、粉砕テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。また、3つの開口部11aが周方向に均等な間隔でハウジング11に形成される。
【0027】
粉砕ローラ13は、支持アーム47(アーム部)及び支持軸48を有するジャーナルヘッド45によって支持されている。
ジャーナルヘッド45に支持された粉砕ローラ13は、水平方向に延びた支持軸48を中心にジャーナルヘッド45が回動することで、上下に揺動・変位可能となっており、粉砕テーブル12の上面に対して接近離間することができる。
粉砕ローラ13は、外周面が粉砕テーブル12の上面の固体燃料に接触した状態で、粉砕テーブル12が回転すると、粉砕テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。
給炭管17から固体燃料が供給されると、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間で固体燃料が押圧されて粉砕される。この押圧する力を、粉砕荷重と言う。
【0028】
ジャーナルヘッド45の支持アーム47の上端部(少なくとも支持軸48よりも上方の部分)には、荷重負荷装置60のピストン装置62が接触している。
荷重負荷装置60は、粉砕ローラ13を粉砕テーブル12に押し付けるように、支持アーム47に荷重(粉砕荷重)を付与する装置であり、ローラカバー70に固定されている。粉砕荷重は、例えば、荷重負荷装置60の油圧シリンダ61によって与えられる。
荷重負荷装置60の詳細については後述する。
【0029】
ジャーナルヘッド45の支持アーム47の下端部(少なくとも支持軸48よりも下方の部分)には、ギャップボルト80が接触している。
ギャップボルト80は、粉砕テーブル12の上面に固体燃料がない状態において粉砕ローラ13が粉砕テーブル12と接触しないように、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間に隙間を与える装置であり、ローラカバー70に固定されている。隙間の寸法は、ギャップボルト80の突出量によって決定される。
【0030】
減速機14は、ミルモータ15に接続されており、ミルモータ15の駆動力を粉砕テーブル12に伝達し、粉砕テーブル12を中心軸回りに回転させる。
【0031】
回転式分級機(分級部)16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の逆円錐状の外形を有している。
回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード16aを備えている。各ブレード16aは、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。
回転式分級機16は、粉砕テーブル12と粉砕ローラ13により粉砕された固体燃料(以降、粉砕された固体燃料を「粉砕燃料」という。)を、所定粒径(例えば、石炭では70~100μm)より大きいもの(以降、所定粒径を超える粉砕燃料を「粗粉燃料」という。)と、所定粒径以下のもの(以降、所定粒径以下の粉砕燃料を「微粉燃料」という。)に分級する装置である。
回転式分級機16は、制御部50によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸(図示省略)を中心に給炭管17の周りを回転する。
なお、分級部としては、固定された中空状の逆円錐形状のケーシングと、そのケーシングの外周位置にブレード16aに替わって複数の固定旋回羽根とを備えた固定式分級機を用いてもよい。
【0032】
回転式分級機16に到達した粉砕燃料は、ブレード16aの回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード16aによって叩き落とされ、粉砕テーブル12へと戻されて再粉砕され、微粉燃料はハウジング11の天井部42にある出口ポート19に導かれる。回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、一次空気とともに出口ポート19から微粉燃料供給流路(微粉燃料供給管)120へ排出され、ボイラ200のバーナ220へ供給される。
【0033】
給炭管17は、ハウジング11の天井部42を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、給炭管17の上部から投入される固体燃料を粉砕テーブル12の中央部に供給する。給炭管17の上端には、給炭機25が接続されており、固体燃料が供給される。
【0034】
給炭機25は、バンカ21の下端部から上下方向に延在する管であるダウンスパウト部22によって、バンカ21と接続されている。ダウンスパウト部22の途中には、バンカ21からの固体燃料の排出状態を切り替える弁(コールゲート、図示省略)を設けてもよい。
給炭機25は、搬送部26と、給炭機モータ27とを備える。搬送部26は、例えばベルトコンベアであり、ダウンスパウト部22の下端部から排出される固体燃料を、給炭機モータ27の駆動力によって給炭管17の上部に搬送し、内部へ投入する。ミル10へ供給される固体燃料の供給量は、制御部50からの信号によって、例えば、搬送部26のベルトコンベアの移動速度を調整して制御される。
【0035】
通常、ミル10の内部には、微粉燃料をバーナ220へ搬送するための一次空気が供給されており、給炭機25やバンカ21よりも圧力が高くなっている。
バンカ21と給炭機25を接続するダウンスパウト部22の内部は、燃料が積層状態となっている。この固体燃料層により、ミル10からバンカ21に向けて、一次空気と微粉燃料が逆流を抑制するためのシール性(マテリアルシール)を確保している。
【0036】
送風部30は、粉砕燃料を乾燥させるとともに、回転式分級機16へ搬送するための一次空気を、ハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11の内部へ送風される一次空気の流量と温度を適切に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
【0037】
熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を、空気予熱器(熱交換器)34を通過して加熱された熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aには、熱ガスダンパ30cが設けられている。
熱ガスダンパ30cの開度は、制御部50によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定される。
【0038】
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bには、冷ガスダンパ30dが設けられている。
冷ガスダンパ30dの開度は、制御部50によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって、冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定される。
【0039】
一次空気の流量は、本実施形態では、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、制御部50によって制御される。
また、熱ガス流路30aから供給する熱ガスに、例えば、ガス再循環通風機(図示省略)によってボイラ200から排出された燃焼ガスの一部を導き、混合することで、一次空気流路110からハウジング11の内部へ送風する一次空気中の酸素濃度を調整してもよい。一次空気中の酸素濃度を調整することによって、例えば、着火性の高い(着火しやすい)固体燃料を使用する場合、ミル10からバーナ220に至るまでの経路において、固体燃料が着火することを抑制することができる。
【0040】
ミル10の状態検出部40により計測または検出したデータは、制御部50に送信される。
状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、一次空気流路110からハウジング11の内部へ一次空気が流入する部分における圧力と、ハウジング11の内部から微粉燃料供給管120へ一次空気と微粉燃料が排出される出口ポート19における圧力との差圧を、ミル10の差圧として計測する。このミル10の差圧の増減は、回転式分級機16の分級効果によってハウジング11内部の回転式分級機16付近と粉砕テーブル12付近の間を循環している粉砕燃料の循環量の増減に対応する。すなわち、このミル10の差圧に応じて回転式分級機16の回転数を調整することで、出口ポート19から排出される微粉燃料の量と粒径範囲を調整することができるので、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、ボイラ200に設けられたバーナ220に安定して供給することができる。
また、状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の温度(ミル入口一次空気温度)や、出口ポート19における一次空気と微粉燃料との混合気体の温度(ミル出口一次空気温度)を検出して、それぞれの上限温度を超えないように送風部30を制御する。各上限温度は、固体燃料の性状に応じた着火の可能性等を考慮して決定される。なお、一次空気は、ハウジング11の内部において、粉砕燃料を乾燥しながら搬送することによって冷却されるため、ミル入口の一次空気温度は、例えば常温から約300度程度、ミル出口の一次空気温度は、例えば常温から約90度程度となる。
【0041】
制御部50は、固体燃料粉砕装置100の各部を制御する装置である。
制御部50は、例えば、ミルモータ15に駆動指示を伝達して粉砕テーブル12の回転速度を制御してもよい。
制御部50は、例えば、分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転式分級機16の回転速度を制御して分級性能を調整し、微粉燃料の粒径をバーナ220における固体燃料の燃焼性に影響しない範囲に維持しつつ、ミル10への固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料を、バーナ220へ安定して供給することができる。
また、制御部50は、例えば給炭機モータ27へ駆動指示を伝達することにより、ミル10へ供給する固体燃料の供給量(給炭量)を調整することができる。
また、制御部50は、送風部30へ開度指示を伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を調整することができる。具体的には、制御部50は、ハウジング11の内部へ供給される一次空気の流量と、出口ポート19における一次空気の温度(ミル出口一次空気温度)が、固体燃料の種別毎に、給炭量に対応して設定された所定値となるように、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御する。なお、一次空気の温度の制御は、ミル入口における温度(ミル入口一次空気温度)に対して行ってもよい。
【0042】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDDはソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
【0043】
次に、固体燃料粉砕装置100から供給される微粉燃料の燃焼によって蒸気を発生させるボイラ200について説明する。ボイラ200は、火炉210とバーナ220とを備えている。
【0044】
バーナ220は、微粉燃料供給管120から供給される微粉燃料と一次空気との混合気と、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32から送出される空気(外気)を空気予熱器34で加熱して供給される二次空気とを用いて、微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器、過熱器、節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
【0045】
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置、集塵装置、脱硫装置などで図示省略)で所定の処理を行うとともに、空気予熱器34で一次空気や二次空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。空気予熱器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の過熱蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、発電プラント1を構成する。
【0046】
図2に示すように、荷重負荷装置60は、ジャーナルヘッド45の支持アーム47に対して軸線Cfに沿った粉砕荷重を付与する装置である。
荷重負荷装置60は、油圧シリンダ61、ピストン装置62及びピストンハウジング63を有しており、油圧シリンダ61で発生した作動力が、ピストンハウジング63に収容されるとともに軸線Cfの方向に沿ってスライド可能なピストン装置62を介して、油圧シリンダ61のロッド61aから支持アーム47に伝達されるように構成されている。
【0047】
ピストンハウジング63は、ピストン装置62を内部に収容する筒状の部品であり、フランジ64と共にローラカバー70の取付壁体71を挟み込んでボルト64aで締結されることで、ローラカバー70に取り付けられている。なお、フランジ64は、ローラカバー70と一体となっていてもよい(例えば、溶接による接合)。
油圧シリンダ61は、ピストンハウジング63の端部に取り付けられており、ロッド61aがピストンハウジング63の内部でピストン装置62の端部と向かい合うように配置されている。また、ピストン装置62は、他方の端部が支持アーム47の上端部に設けられた当接部47aと向かい合うように配置されている。
【0048】
以上のように構成された荷重負荷装置60は、ピストンハウジング63に収容されたピストン装置62を介して、油圧シリンダ61で発生した荷重がロッド61aから支持アーム47の当接部47aに伝達するように構成されている。
【0049】
次に、ピストン装置62について図2から図6を用いて説明する。
本実施形態に係るピストン装置62は、図2に示すように、ジャーナルヘッド(ローラ支持部)45と、粉砕ローラ13に荷重を付与する荷重負荷装置(荷重付与部)60との間に設けられている。詳細には、図2及び図4等に示すように、ピストン装置62は、ジャーナルヘッド45の支持アーム47の上端部に設けられた当接部47aと、荷重負荷装置60のロッド61aとの間に設けられている。ピストン装置62は、荷重負荷装置60からの荷重をジャーナルヘッド45に伝達する。
【0050】
ピストン装置62は、固体燃料が供給されていない状態において、ピストン装置62の隙間(ピストン装置62と油圧シリンダ61との間の隙間、及び/またはピストン装置62とジャーナルヘッド45との間の隙間)が所定の値となるような長さに調整されている。このとき、油圧シリンダ61はフルストローク状態、すなわちロッド61aが出切った状態となっているが、ロッド61aがピストン装置62に接触しておらず、油圧シリンダ61からの荷重はピストン装置62には伝達されない。これは固体燃料を供給しない状態では、ジャーナルヘッド45がギャップボルト80に支持されているため、ピストン装置62とロッド61aとの間に隙間が設けられていないと、ジャーナルヘッド45のレバー比によって増大された油圧シリンダ61からの荷重が全てギャップボルト80に伝わり、ギャップボルト80が損傷してしまう可能性があるためである。ロッド61aとピストン装置62との間に隙間が設けられていれば、油圧シリンダ61からの荷重がジャーナルヘッド45に伝達されることはないため、ギャップボルト80の損傷を抑制することができる。
【0051】
粉砕テーブル12上に固体燃料が供給され粉砕ローラ13が固体燃料に乗り上がると、ジャーナルヘッド45が揺動してピストン装置62を押し上げる。ピストン装置62が押し上がると、ピストン装置62が油圧シリンダ61のロッド61aに接触する。ピストン装置62とロッド61aとが接触すると、そこで初めて油圧シリンダ61からの荷重が粉砕ローラ13に伝達される。このように、ピストン装置62は、ミル10の運転中、常時油圧シリンダ61とジャーナルヘッド45とに挟まれた状態で、両者間の荷重伝達の役割を担っている。
【0052】
図3に示すように、ピストン装置62は、所定方向(軸線Cfに沿う方向)に延在している。また、ピストン装置62は、ジャーナルヘッド45側の端部が荷重負荷装置60側の端部よりも下方に位置するように設けられている。
【0053】
ピストン装置62は、所定方向の一端部(荷重負荷装置60側の端部)が荷重負荷装置60と対向する内筒(本体部)81と、内筒81の他端部(ジャーナルヘッド45側の端部)に設けられる外筒(移動部)82と、を有する。
なお、軸線Cfに沿う方向は、ジャーナルヘッド45の当接部47aと荷重負荷装置60のロッド61aとが対向する方向である。
【0054】
内筒81は、内部にガス(圧縮性流体)G及び作動油(非圧縮性流体)Oが封入される油タンク室(第1空間)S1が形成されるタンク部85と、タンク部85のジャーナルヘッド45側に設けられる流路部86と、タンク部85の荷重負荷装置60側の端部に設けられるキャップ部87と、を有する。
【0055】
タンク部85は、例えば円筒状の部材であって内部に空間(油タンク室S1)が形成されている。タンク部85は、所定方向の一端部に閉鎖部85dが設けられている。閉鎖部85dによって、内部に形成された空間の一端が閉鎖されている。タンク部85の所定方向の他端は開口が形成されている。この開口は、流路部86によって閉鎖されている。
【0056】
タンク部85の他端部の外周面には周方向の全域に亘って回収溝(回収流路)85aが形成されている。回収溝85aには、半径方向に直線状に延在する回収孔(回収流路)85bが接続されている。回収孔85bは、回収溝85aの底面と油タンク室S1とを接続している。回収溝85aの所定方向の長さ(幅)は、回収孔85bの直径よりも大きくてもよい。
【0057】
タンク部85の一端部の外周面には、キャップ部87が螺合する雄ネジ部85eが形成されている。雄ネジ部85eは、外周面の周方向の全域に亘って設けられている。
【0058】
タンク部85の外周面には、半径方向に延びる凹部である内筒ピン穴85cが形成されている。内筒ピン穴85cの直径は、後述する外筒ピン穴82cの直径と同じ長さとされている。内筒ピン穴85cは、図4に示すように、後述する高圧室(第2空間)S2の容積が所定の大きさ(例えば、ゼロ)となる状態において、外筒ピン穴82cと中心軸線が重なるように配置されている。内筒ピン穴85cには、外筒ピン穴82cと中心軸線が重なった状態で、固定ピン84が挿入される。
【0059】
タンク部85には、油タンク室S1よりも半径方向外側に所定方向に貫通する貫通孔85fが形成されている。貫通孔85fにはロッド83が挿通している。貫通孔85fの一端部の内周面には、ロッド83の一端部の外周面に形成されたロッドネジ部83bと螺合するネジ部が形成されている。貫通孔85fの内周面とロッド83の外周面との間には、周方向の全域に亘ってシール部材83c(例えば、Oリング)が設けられている。シール部材83cは、所定方向に並んで複数(本実施形態では、2つ)設けられている。
【0060】
油タンク室S1は、容積が変化しない空間である。油タンク室S1は、半径方向及び所定方向の一端がタンク部85によって規定されている。また、油タンク室S1は、所定方向の他端が流路部86によって規定されている。油タンク室S1は、他端部が一端部よりも下方に位置するように形成されている。油タンク室S1は、他端側に非圧縮性流体である作動油Oが封入されている。また、油タンク室S1は、一端側に圧縮性流体であるガスG(例えば、空気や窒素)が封入されている。
【0061】
流路部86は、所定方向に沿って中心軸線が延在する円柱状の部材である。流路部86とタンク部85とは外周面同士が面一となるように配置されている。流路部86とタンク部85とは所定方向に沿って並んで配置されている。流路部86のタンク部85側の端面と、タンク部85の流路部86側の端面とは面接触している。流路部86のタンク部85側の端面とタンク部85の流路部86側の端面と間には、貫通孔よりも外周部において、シール部材86a(例えば、Oリング)が設けられている。
【0062】
流路部86の内部には、油タンク室S1と後述する高圧室S2とを接続する供給流路(接続流路)86b及び戻し流路86cが形成されている。また、流路部86のアーム当接部82aと対向する面には、チェックバルブ89を収容する第1凹部86dが形成されている。また、流路部86のタンク部85と対向する面には、ストップバルブ83aを収容する第2凹部86eが形成されている。
【0063】
供給流路86bは、上流端が油タンク室S1に接続されている。供給流路86bの上流端は、油タンク室S1の半径方向の略中央領域に接続されている。供給流路86bは、上流端から所定方向に直線状に延びる上流部と、上流部の下流端から略直角に曲折して半径方向外側に延びる中間部と、中間部の下流端から略直角に曲折して所定方向に延びる下流部と、を有している。また、下流部の下流端は、高圧室S2に接続されている。
供給流路86bの途中位置(詳細には、上流部と中間部との接続部分)には、第1凹部86dが接続されている。
【0064】
第1凹部86dには、チェックバルブ(弁部)89が設けられている。チェックバルブ89は、第1凹部86dの内周面に沿ってスライド移動するスライド部89aと、スライド部89aと弾性体を介して接続される弁体89bとを有している。高圧室S2の圧力によってスライド部89aが油タンク室S1側に移動することで、弁体89bが供給流路86bの途中位置を閉鎖する。
【0065】
戻し流路86cは、上流端が高圧室S2に接続されている。戻し流路86cは、上流端から所定方向に直線状に延びる上流部と、上流部の下流端から略直角に曲折して半径方向内側に延びる中間部と、中間部の下流端から略直角に曲折して所定方向に延びる下流部と、を有している。また、下流部の下流端は、油タンク室S1に接続されている。
戻し流路86cの途中位置(詳細には、上流部と中間部との接続部分)には、第2凹部86eが接続されている。
【0066】
第2凹部86eは、タンク部85に形成された貫通孔と接続されている。第2凹部86eには、ロッド83及びロッド83の先端に設けられたストップバルブ83aが設けられている。ロッドネジ部83bを締める又は緩めることで、ロッド83を所定方向に移動させることができる。ロッド83を移動させることで、ストップバルブ83aが戻し流路86cの途中位置を閉鎖又は開放する。
【0067】
キャップ部87は、荷重負荷装置60のロッド61aの先端と対向するロッド当接部87aと、ロッド当接部87aの外周部の全域から外筒82側に延びる円筒部87bと、を一体的に有している。
キャップ部87は、タンク部85の一端部を一側から覆っている。円筒部87bの内周面の全域には、タンク部85の雄ネジ部85eと螺合する雌ネジ部87cが形成されている。ロッド当接部87aの一面は、ロッド61aと対向又は当接する。また、ロッド当接部87aの他面は、タンク部85の一端側の端面と対向している。ロッド当接部87aの他面とタンク部85の一端側の端面とは離間している。
【0068】
外筒(移動部)82は、支持アーム47の当接部47aと対向するアーム当接部82aと、アーム当接部82aの外周部の全域からキャップ部87側に延びる円筒部82bと、を一体的に有している。
【0069】
外筒82は、内筒81の他端部を他側から覆っている。詳細には、外筒82は、流路部86及びタンク部85の支持アーム47側の全域を覆っている。
外筒82の内周面は、内筒81(タンク部85及び流路部86)の外周面と当接している。外筒82は、内筒81と相対移動可能に設けられている。具体的には、外筒82は、内筒81に対して、所定方向にスライド移動可能に設けられている。
【0070】
外筒82の内周面とタンク部85の外周面との間には、複数のシール部材88(例えば、Oリング)が設けられている。シール部材88は、回収溝85aよりも流路部86側と比べて、回収溝85aよりもキャップ部87側の方が多く設けられている。詳細には、本実施形態では、シール部材88は、回収溝85aよりも流路部86側に2つ設けられている。また、シール部材88は、回収溝85aよりもキャップ部87側に4つ設けられている。
【0071】
外筒82の円筒部82bには、外筒ピン穴82cが形成されている。外筒ピン穴82cは、半径方向に貫通している。外筒ピン穴82cには、内筒ピン穴85cと中心軸線が重なった状態で、固定ピン84が挿入される(図4参照)。
【0072】
外筒82のアーム当接部82aと内筒81の流路部86との間には、高圧室S2が形成されている。なお、外筒82がスライド移動し、アーム当接部82aと流路部86とが当接している状態(図4で示す状態)では、高圧室S2は形成されない。高圧室S2は、外筒82と内筒81との相対移動に応じて容積が変化する。
【0073】
高圧室S2は、容積が変化する空間である。高圧室S2の容積の変化に応じて、ピストン装置62の所定方向の長さが変化する。また、ピストン装置62の所定方向の長さに応じて、ピストン装置62とジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との間に形成される隙間の大きさも変化する。高圧室S2は、半径方向及び所定方向の他端が外筒82によって規定されている。また、高圧室S2は、所定方向の一端が流路部86によって規定されている。高圧室S2には、作動油Oが充填されている。
【0074】
次に、本実施形態のピストン装置の挙動について図4から図6を用いて説明する。
ピストン装置62を支持アーム47の当接部47aと油圧シリンダ61のロッド61aとの間に設置する前に、図4に示すように、ピストン装置62の高圧室S2の容積をゼロにする。具体的には、まず、キャップ部87をタンク部85から取り外す。次に、ロッド83のロッドネジ部83bを緩めることで、ロッド83を所定方向の一端側(図4の右側)に移動させる。これにより、ストップバルブ83aも移動するので、ストップバルブ83aが戻し流路86cを閉鎖する状態から開放する状態に切り替える。この状態で、外筒82と内筒81とを所定方向の両端から押圧することで、高圧室S2の容積を減少させる。このとき、ピストン装置62の所定方向の長さが短くなる。高圧室S2の容積の減少に伴って、高圧室S2内の作動油Oが戻し流路86cを介して、油タンク室S1に移動する。これによって、油タンク室S1内のガスGが圧縮される。外筒82のアーム当接部82aと、内筒81の流路部86とが当接するまで(すなわち、高圧室S2の容積がゼロになるまで)外筒82と内筒81とを所定方向の両端から押圧すると、その状態で外筒ピン穴82c及び内筒ピン穴85cに固定ピン84を挿入する。これにより、内筒81と外筒82との相対移動が固定ピン84によって規制される。次に、ロッド83のロッドネジ部83bを締めることで、ロッド83を所定方向の他端側(図4の左側)に移動させる。これにより、ストップバルブ83aが戻し流路86cを開放する状態から閉鎖する状態に切り替える。次に、キャップ部87をタンク部85に螺合する。キャップ部87をタンク部85に取り付けると、ピストン装置62を支持アーム47の当接部47aと油圧シリンダ61のロッド61aとの間に設置する。次に、キャップ部87の締め具合いによって、ピストン装置62の初期の所定方向の長さを調整し、ピストン装置62を、支持アーム47の当接部47aと油圧シリンダ61のロッド61aとの間に設置する。
【0075】
次に、固定ピン84を引き抜く。これにより、図5に示すように、内筒81と外筒82との相対移動が許容され、ガスGが膨張する。ガスGが膨張すると、その圧力によって作動油Oがチェックバルブ89の弁体89bを押圧する。これにより、チェックバルブ89が供給流路86bを閉鎖する状態から解放する状態に切り替わり、供給流路86bを介して油タンク室S1の作動油Oが高圧室S2に流入する。油タンク室S1の作動油Oが高圧室S2に流入すると、作動油Oが高圧室S2の容積を拡張する。すなわち、作動油Oの圧力によって、内筒81と外筒82とが所定方向に相対移動する。よって、ピストン装置62の所定方向の長さが伸張する。
【0076】
ピストン装置62が伸張すると、図6に示すように、ピストン装置62と、支持アーム47の当接部47a及び/又は油圧シリンダ61のロッド61aとの間に形成される隙間がなくなる。すなわち、ピストン装置62と、支持アーム47の当接部47a及び油圧シリンダ61のロッド61aとが当接する。これにより、ピストン装置62の伸長が停止する。また、ピストン装置62の両端が支持アーム47の当接部47a及び油圧シリンダ61のロッド61aと当接することで、ピストン装置62を介して荷重負荷装置60からの荷重をジャーナルヘッド45に伝達することができる。このとき、ピストン装置62に荷重が作用することで、高圧室S2の圧力が増大する。これに応じてチェックバルブ89のスライド部89aが油タンク室S1側へスライド移動する。これにより、弁体89bが供給流路86bを閉鎖するので、油タンク室S1と高圧室S2との間における作動油Oの移動がなくなる。この時、高圧室S2に充填されている作動油Oは圧縮しないので、高圧室S2は縮小しない。このようにして、ピストン装置62の長さが適切な長さで維持される。
【0077】
なお、供給流路86bはチェックバルブ89で閉鎖されているものの、高圧室S2が高圧となることで、高圧室S2から作動油Oが僅かに漏洩していく。具体的には、矢印Lで示すように、内筒81の外周面と外筒82の内周面との間を通過して漏洩する。漏洩した作動油Oは、タンク部85の外周面に形成された回収溝85a及び回収孔85bを介して油タンク室S1に戻される。
【0078】
例えば、ミル10を一定時間運転して粉砕ローラ13と粉砕テーブル12の摩耗が進行した場合、粉砕ローラ13と粉砕テーブル12との間の隙間を所定値に調節するために、図2に示すギャップボルト80をハウジング11(ローラカバー70)の外側に移動させる。これによって、粉砕ローラ13は調節前よりも粉砕テーブル12に近づき、支持アーム47はよりミル10の中心(軸線Ch)に移動する。この状態でローラリフトが小さくなり、油圧シリンダ61が伸びきった状態となると、ピストン装置62とジャーナルヘッド45の支持アーム47の当接部47a及び/又は油圧シリンダ61のロッド61aとの間に隙間が形成される。
また、上述のように、ごく少量ずつ高圧室S2から作動油Oが漏洩することで、ピストン装置62と、支持アーム47の当接部47a及び/又は油圧シリンダ61のロッド61aとの間に隙間が形成される。
【0079】
ピストン装置62と支持アーム47の当接部47a及び/又は油圧シリンダ61のロッド61aとの間に隙間が生じ、ピストン装置62が伝達する粉砕荷重がガスGの反力以下となると、図5のように、再度、ガスGのスプリング作用で油タンク室S1から供給流路86bを介して高圧室S2に作動油Oが流入し、ピストン装置62を伸長させる。このようにして、ピストン装置62の長さを適切な長さで維持することができる。
【0080】
このように、本実施形態に係るピストン装置62は、作動油Oが油タンク室S1と高圧室S2との間を往来している。すなわち、外部からの作動油Oの供給を必要としない、独立系のシステムとなっている。
【0081】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0082】
ピストン装置62は、ロッド61a等との間の隙間の大きさを調整するために、長さが調整可能とされていることが望ましい。ピストン装置62の長さを調整可能とするために、例えば、内部にネジ部を内蔵することが考えられる。
ピストン装置62とロッド61a等との間の隙間がなければ(すなわち、ピストン装置62の長さが長すぎると)油圧シリンダ61の荷重がギャップボルト80に作用してギャップボルト80が損傷する可能性があった。一方で、隙間が大きすぎると(すなわち、ピストン装置62の長さが短すぎると)、粉砕テーブル12上の固体燃料の層が薄い状態(例えば、粉砕を開始した直後等)で、ピストン装置62がロッド61aに接触する状態と接触しない状態とを繰り返すことで断続的に打音が生じる可能性があった。このように、ピストン装置62は長すぎても短すぎても不具合が発生する可能性があるため、ピストン装置62の長さを適切な長さに調整する作業は精密さが求められる。このため、内部にネジ部を内蔵する構造では、長さの調整が難しかった。
【0083】
また、ピストン装置62とロッド61a等と間の隙間の大きさの調整は、概ね定期的なメンテナンス毎に実施する。近年、電力逼迫に伴い、メンテナンスのためのミル10の停止に伴う発電プラント1への燃料供給量の減少による出力ダウンや、高価な補助燃料の使用によるコストアップを避けるために、ピストン装置62のメンテナンス間隔を長くしたいとのニーズがある。

本実施形態では、油タンク室S1と高圧室S2とを接続し、作動油Oが流通する供給流路86bが形成される流路部86を備えている。油タンク室S1のガスGが膨張すると、作動油Oが供給流路86bを介して高圧室S2へ押し出される。高圧室S2に作動油Oが流入し、高圧室S2を拡張する。高圧室S2は内筒81と外筒82との間に形成されているので、高圧室S2が拡張することで内筒81と外筒82とが所定方向に相対移動する。内筒81と外筒82とが所定方向に相対移動すると、ピストン装置62が所定方向に伸張する。このように、自動的にピストン装置62を伸長させることができる。
また、ピストン装置62が伸張すると、ピストン装置62の両端がジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60と当接する。これにより、ピストン装置62の伸長が停止する。また、ピストン装置62の両端がジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60と当接することで、ピストン装置62を介して荷重負荷装置60からの荷重をジャーナルヘッド45に伝達することができる。このとき、ピストン装置62に荷重が作用することで、高圧室S2の圧力が増大する。これに応じてチェックバルブ89が供給流路86bを閉鎖するので、油タンク室S1と高圧室S2との間における作動油Oの移動がなくなる。また、高圧室S2に充填されている作動油Oは圧縮しないので、高圧室S2は縮小しない。このようにして、ピストン装置62の長さが適切な長さで維持される。換言すれば、ピストン装置62と、支持アーム47の当接部47a及び/又は油圧シリンダ61のロッド61aとの間に隙間を自動的になくすことができる。
このように、ピストン装置62の長さが自動で適切な長さとなるので、ピストン装置62を適切な長さに容易に調整することができる。
【0084】
また、ピストン装置62の長さを自動的に適切な長さとすることができるので、荷重負荷装置60からの荷重が、ギャップボルト80に過剰に作用してギャップボルト80が損傷する事態を発生し難くすることができる。また、ピストン装置62がロッド61aに接触する状態と接触しない状態とを繰り返すことによる断続的な打音の発生を抑制することができる。
【0085】
また、供給流路86bはチェックバルブ89で閉鎖されているものの、粉砕荷重による圧縮力を受けて高圧室S2が高圧となることで、高圧室S2から作動油Oが僅かに漏洩していく。これにより、高圧室S2の圧力が低減するとともに、僅かにピストン装置62も収縮する。これによって、ピストン装置62とジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との間に僅かに隙間が形成されることになるが、隙間が形成されると高圧室S2の圧力が低減しチェックバルブ89の閉鎖が解除されることから、再び供給流路86bを介して油タンク室S1から高圧室S2へ作動油Oが流入する。これにより、再度ピストン装置62が伸張し、ピストン装置62とジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60とが当接することとなる。
このように、ピストン装置62が僅かな収縮及び伸長を繰り返すことで、荷重負荷装置60からジャーナルヘッド45へ荷重を伝達しつつ、荷重負荷装置60からジャーナルヘッド45へ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。
【0086】
また、粉砕ローラ13及び粉砕テーブル12の摩耗に伴って、ギャップボルト80を調整するとピストン装置62とジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との相対位置が変化し、ピストン装置62とジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との間に隙間が形成される場合がある。このような場合には、ピストン装置62の長さを調整する必要が生じる。このため、ピストン装置62の長さを手動で調整する場合には、固体燃料粉砕装置100(図1参照)を停止させてピストン装置62の長さの調整を行っていた。
一方で、本実施形態では、ピストン装置62の長さを自動で適切な長さとすることができる。これにより、ピストン装置62とジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との相対位置が変化し、ピストン装置62とジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との間に隙間が形成される場合であっても、固体燃料粉砕装置100(図1参照)の運転中に自動的にピストン装置62の長さが適切な長さまで伸長する。したがって、ピストン装置62に対して、長さを調整するために固体燃料粉砕装置100を停止する必要がない。
【0087】
本実施形態では、高圧室S2から漏洩した作動油Oを油タンク室S1へ導く回収溝85a及び回収孔85bを備えている。これにより、高圧室S2から漏洩した作動油Oを、回収溝85a及び回収孔85bを介して油タンク室S1へ回収することができる。したがって、油タンク室S1と高圧室S2との間で作動油Oを循環させることができる。よって、作動油Oを補充する頻度を低減することができるので、ピストン装置62のメンテナンス頻度を低減することができる。よって、ピストン装置62のメンテナンスのために固体燃料粉砕装置100を停止する頻度を低減することができる。
【0088】
また、ピストン装置62は、外部動力が不要であるため、既設のミルにも容易に適用することができる。
【0089】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について、図7を用いて説明する。以下では、第1実施形態と相違する構成について説明する。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0090】
本実施形態に係るピストン装置62Aは、油タンク室S1と内筒81の外部空間とを接続する第1外部接続流路(外部接続部)85g及び第2外部接続流路(外部接続部)87dを備えている。第1外部接続流路85gは、タンク部85の閉鎖部85dを貫通するように形成されている。第1外部接続流路85gは、タンク部85とキャップ部87との間に形成された空間と、油タンク室S1とを接続している。第1外部接続流路85gは、閉鎖部85dの半径方向の略中央に形成されている。
第2外部接続流路87dは、キャップ部87のロッド当接部87aを貫通するように形成されている。第2外部接続流路87dは、タンク部85とキャップ部87との間に形成された空間と、内筒81の外部の空間とを接続している。
【0091】
ピストン装置62Aは、内筒81の流路部86と外筒82のアーム当接部82aとの間にバネ(付勢部)90が設けられている。バネ90は、内筒81と外筒82とを所定方向に相対移動させるように、内筒81及び外筒82を付勢している。
また、内筒81の流路部86と外筒82のアーム当接部82aとの間に箱状の高圧室形成部91が設けられている。本実施形態の高圧室S2は、高圧室形成部91の内部に形成されている。高圧室S2には、供給流路86b及び戻し流路86cが接続されている。
【0092】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、油タンク室S1と高圧室S2とを接続し、作動油Oが流通する供給流路86bが形成される流路部86を備えている。高圧室S2内のバネ90の付勢力によって内筒81と外筒82とが所定方向に相対移動すると高圧室S2が拡張する。高圧室S2が拡張すると高圧室S2の圧力が低下するので、供給流路86bを介して油タンク室S1から高圧室S2へ作動油Oが流入し、高圧室S2が作動油Oで満たされる。一方で、油タンク室S1には、第1外部接続流路85g及び第2外部接続流路87dを介して空気が流入する。このように、ピストン装置62が自動的に伸長する。
また、ピストン装置62Aが伸張すると、ピストン装置62の両端がジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60と当接する。これにより、ピストン装置62の伸長が停止する。また、ピストン装置62Aの両端がジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60と当接することで、ピストン装置62Aを介して荷重負荷装置60からの荷重をジャーナルヘッド45に伝達することができる。このとき、ピストン装置62Aに荷重が作用することで、高圧室S2の圧力が増大する。これに応じてチェックバルブ89が供給流路86bを閉鎖するので、油タンク室S1と高圧室S2との間における作動油Oの移動がなくなる。また、高圧室S2に充填されている作動油Oは圧縮しないので、高圧室S2は縮小しない。このようにして、ピストン装置62Aの長さが適切な長さで維持される。
このように、ピストン装置62の長さが自動で適切な長さとなるので、ピストン装置62を適切な長さに容易に調整することができる。
【0093】
また、第1実施形態と同様に、ピストン装置62Aが僅かな収縮及び伸長を繰り返すことで、荷重負荷装置60からジャーナルヘッド45へ荷重を伝達しつつ、荷重負荷装置60からジャーナルヘッド45へ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。
また、第1実施形態と同様に、ミル10の運転中に自動的にピストン装置62Aの長さが適切な長さまで伸長する。したがって、ピストン装置62Aに対して、長さを調整するために固体燃料粉砕装置100を停止する必要がない。
【0094】
また、油タンク室S1と外部空間とを接続する流路(第1外部接続流路85g及び第2外部接続流路87d)が設けられているので、油タンク室S1に容易に作動油Oを補充することができる。
【0095】
また、第1外部接続流路85gが、閉鎖部85dの半径方向の略中央に形成されている。これにより、ピストン装置62が軸線Cf(図2参照)を中心として回転した場合であっても、空気を吸い込み易くすることができるとともに、作動油Oを吹き出し難くすることができる。
【0096】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について、図8及び図9を用いて説明する。以下では、第1実施形態と相違する構成について説明する。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。なお、図8及び図9では、図示の関係上、ロッド83や戻し流路86c等を省略して図示している。
【0097】
本実施形態に係るピストン装置62Bは、図8に示すように、流路部86の内部に高圧室S2と接続する弾性体空間S3が形成されている。弾性体空間S3の内部には圧縮性流体が充填されている弾性体92が設けられている。弾性体空間S3は、容積が変化しない空間である。
【0098】
ピストン装置62Bは、流路部86の内部にチャンバーCが形成されている。チャンバーはC、内部に設けられた隔壁部93によって、第1分割空間S4(図8参照)と第2分割空間S5(図9参照)とに分割されている。第1分割空間S4と第2分割空間S5とは、隔壁部93を介して、所定方向に並んで配置されている。第1分割空間S4は、油タンク室S1と接続されている。第2分割空間S5は、高圧室S2と接続されている。隔壁部93は、チャンバーC内を所定方向にスライド移動可能に設けられている。
【0099】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、高圧室S2に接続する弾性体空間S3の内部に圧縮性流体が充填される弾性体92が設けられている。これにより、ピストン装置62Bの両端がジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60と当接し、高圧室S2の圧力が増大すると、高圧室S2に接続する弾性体空間S3の圧力も増大する。弾性体空間S3の圧力の増大に伴って、弾性体空間S3に設けられている弾性体92が収縮する(図9参照)。高圧室S2と弾性体空間S3とは接続しているので、弾性体92が収縮した分だけ僅かに高圧室S2が縮小する。これにより、ピストン装置62Bも収縮する。これによって、ピストン装置62Bはジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60間で伸び得る最大の長さ、即ちジャーナルヘッド45がギャップボルト80に接触した状態かつ、荷重負荷装置60が伸びきった状態における両者間の長さから、弾性体92が収縮した分だけ短い長さで保持されることで、荷重負荷装置60からの荷重が、ギャップボルト80に過剰に作用してギャップボルト80が損傷する事態を発生し難くすることができる。また、粉砕ローラ13及び粉砕テーブル12の摩耗に伴って、ギャップボルト80を調整するとピストン装置62とジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との相対位置が変化し、ピストン装置62Bとジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との間に僅かに隙間が形成されることになるが、隙間が形成されると高圧室S2の圧力が低減しチェックバルブ89の閉鎖が解除されて、再び供給流路86bを介して油タンク室S1から高圧室S2へ作動油Oが流入する。これにより、再度ピストン装置62Bが伸張し、ピストン装置62Bとジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60とが当接することとなる。
このように、より好適にピストン装置62Bが僅かな収縮及び伸長を繰り返すことができる。よって、より好適に、荷重負荷装置60からジャーナルヘッド45へ荷重を伝達しつつ、荷重負荷装置60からジャーナルヘッド45へ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。
【0100】
また、本実施形態では、隔壁部93は第1分割空間S4と第2分割空間S5とが並ぶ方向に沿って移動可能とされている。油タンク室S1から高圧室S2へ作動油Oが移動する際に、第1分割空間S4へも作動油Oが流入する。これに伴って、隔壁部93は、第1分割空間S4の容積を拡張するとともに第2分割空間S5の容積を縮小するように移動する(図8参照)。
一方で、ピストン装置62Bの両端がジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60と当接し、高圧室S2の圧力が増大すると、作動油Oが第2分割空間S5へ流入する。このとき、作動油Oが隔壁部93を押圧することで、隔壁部93は、第2分割空間S5の容積を拡張するとともに第1分割空間S4の容積を縮小するように移動する(図9参照)。
これにより、ピストン装置62Bはジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60間で伸び得る最大の長さ、即ちジャーナルヘッド45がギャップボルト80に接触した状態かつ、荷重負荷装置60が伸びきった状態における両者間の長さから、第2分割空間S5へ作動油Oが流入した分だけ短い長さで保持されることで、荷重負荷装置60からの荷重が、ギャップボルト80に過剰に作用してギャップボルト80が損傷する事態を発生し難くすることができる。また、粉砕ローラ13及び粉砕テーブル12の摩耗に伴って、ギャップボルト80を調整するとピストン装置62とジャーナルヘッド45及び/又は荷重負荷装置60との相対位置が変化し、隙間が形成されると高圧室S2の圧力が低減しチェックバルブ89の閉鎖が解除されることから、再び供給流路86bを介して油タンク室S1から高圧室S2へ作動油Oが流入する。これにより、再度ピストン装置62が伸張し、ピストン装置62とジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60とが当接することとなる。
このように、より好適にピストン装置62Bが僅かな収縮及び伸長を繰り返すことができる。よって、より好適に、荷重負荷装置60からジャーナルヘッド45へ荷重を伝達しつつ、荷重負荷装置60からジャーナルヘッド45へ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。
【0101】
なお、本実施形態では、弾性体空間S3と弾性体92とを含む構造及びチャンバーと隔壁部93とを含む構造の両方を設ける例について説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、弾性体空間S3と弾性体92とを含む構造又はチャンバーと隔壁部93とを含む構造のいずれか一方のみを設けてもよい。
【0102】
[第4実施形態]
次に、本開示の第4実施形態について、図10を用いて説明する。以下では、第1実施形態と相違する構成について説明する。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0103】
本実施形態に係る油タンク室S1は、隔壁部(隔離部)94によって、ガス空間(圧縮性流体空間)S6と油空間(非圧縮性流体空間)S7に分割されている。
本実施形態に係るピストン装置62Cは、図10に示すように、油タンク室S1に設けられ、ガスGが封入されるガス空間S6と作動油Oが封入される油空間S7とを隔てる隔壁部94を備えている。
ガス空間S6と油空間S7とは、隔壁部94を介して、所定方向に並んで配置されている。油空間S7は、供給流路86b及び戻し流路86cを介して高圧室S2と接続されている。隔壁部94は、油タンク室S1を所定方向にスライド移動可能に設けられている。
【0104】
隔壁部94は、ガス空間S6内の圧縮性流体の体積の変化に応じて、油空間S7の容積を変化させる。詳細には、ガス空間S6内の圧縮性流体の体積の変化に応じて、油タンク室S1を所定方向にスライド移動する。
【0105】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、ガスGが封入されるガス空間S6と作動油Oが封入される油空間S7とを隔てる隔壁部94を備えている。これにより、ガスGと作動油Oとの混合を抑制することができる。したがって、ピストン装置62Cの姿勢を所望の姿勢とすることができる。よって、図10に示すように、ピストン装置62Cを水平方向に延在するように設けることもできる。
【0106】
なお、本実施形態では、隔壁部94によってガス空間S6と油空間S7とを隔てる例について説明したが他の部材で隔ててもよい。例えば、ブラダや、ダイヤフラムで隔ててもよい。
【0107】
[第5実施形態]
次に、本開示の第5実施形態について、図11及び図12を用いて説明する。以下では、第1実施形態と相違する構成について説明する。その他の構成は、第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0108】
本実施形態に係るピストン装置62Dは、図11に示すように、供給流路86bに、チェックバルブ89の代わりに、定量弁95が設けられている。定量弁95は、定量ずつ、作動油Oを油タンク室S1の油空間S7から高圧室S2へ導く。
定量弁95は、いわゆるスプール弁である。定量弁95は、油空間S7と接続される第1流路95aと、高圧室S2と接続される第2流路95bと、プランジャポンプ95cと、プランジャポンプ95cを第1流路95aに接続させるか第2流路95bに接続させるかを切り替えるスプール95dと、を有する。
プランジャポンプ95cは、流路部86に形成された空間内にピストン95eが設けられている。ピストン95eは、空間内を所定方向に移動可能とされている。
【0109】
図11に示すように、ジャーナルヘッド45及び荷重負荷装置60との間にピストン装置62Dが挟み込まれることにより、高圧室S2の圧力が増大すると、高圧室S2の圧力によってスプール95dが油空間S7側に移動する。スプール95dが油空間S7側に移動すると、第1流路95aとプランジャポンプ95cとが接続される。これにより、油空間S7の作動油Oが、第1流路95aを介してプランジャポンプ95c内に流入する。これにより、ピストン95eも油空間S7側に移動する。これによって、ピストン95eに押圧された作動油Oは、プランジャポンプ95cと戻し流路95fを介して油空間S7に戻される。
【0110】
図12に示すように、高圧室S2の圧力が低減すると、油空間S7の圧力によってスプール95dが高圧室S2側に移動する。スプール95dが高圧室S2側に移動すると、第2流路95bとプランジャポンプ95cとが接続される。また、このとき、油空間S7の圧力によって、ピストン95eが高圧室S2側に移動する。これにより、プランジャポンプ95cの作動油Oが、第2流路95bを介して高圧室S2に流入する。
【0111】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、定量ずつ作動油Oを油空間S7から高圧室S2へ導く定量弁95が供給流路86bに設けられている。これにより、油空間S7から高圧室S2へと定量ずつ作動油Oを導くことができる。したがって、ピストン装置62Dを少しずつ伸長させることができる。よって、ピストン装置62Dが高速かつ、過剰に伸張しすぎる事態を抑制することができる。
【0112】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
使用する固体燃料は、本開示に限定されず、石炭、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)などを用いることができる。さらに、それらの固体燃料を組み合わせて使用してもよい。
【0113】
また、例えば、油タンク室S1に、ガスGを補充するための供給口と弁を設置してもよい。ガスGは、作動油Oに混入するなどして時間経過と共に圧力が低下する。このため、ガスGを補充することにより性能を長期間維持することができる。
【0114】
また、例えば、供給流路86bにストレーナを設けてもよい。ストレーナを設けることで、油タンク室S1に異物が混入した場合であっても、ストレーナで異物を除去することができるので、チェックバルブ89へ異物が混入することによる故障を抑制することができる。
【0115】
また、例えば、高圧室S2に、リリーフバルブ(逃がし弁)を設けてもよい。リリーフバルブを設けることで、高圧室S2の圧力が過剰に高まった場合に、作動油Oをリリーフバルブから排出し、高圧室S2の圧力を低減することができる。したがって、ピストン装置62の損傷を抑制することができる。
【0116】
また、例えば、内筒81の摺動面(外周面)及び/又は外筒82の摺動面(内周面)に摺動に適したクロムメッキ等を被覆してもよい。
【0117】
また、粉砕ローラ13のリフト量を計測するリフト計を内筒81又は外筒82の粉砕ローラ13側に設置してもよい。
【0118】
また、上記第1実施形態から第5実施形態を各々組み合わせてもよい。
【0119】
以上説明した実施形態に記載のピストン装置及び粉砕機並びにピストン装置の運用方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るピストン装置は、粉砕機(10)に設けられ、粉砕テーブル(12)との間に固体燃料を挟み込むことで固体燃料を粉砕する粉砕ローラ(13)を揺動自在に支持するローラ支持部(45)と、前記粉砕ローラ(13)に荷重を付与する荷重付与部(60)と、の間に設けられ、前記荷重付与部(60)からの荷重を前記ローラ支持部(45)に伝達するピストン装置(62)であって、圧縮性流体(G)及び非圧縮性流体(O)が封入される第1空間(S1)が内部に形成され、所定方向の一端が前記ローラ支持部(45)または前記荷重付与部(60)の一方と対向する本体部(81)と、前記本体部(81)の前記所定方向の他端に前記本体部(81)と前記所定方向の相対移動が可能に設けられ、前記ローラ支持部(45)または前記荷重付与部(60)の他方と対向する移動部(82)と、前記本体部(81)と前記移動部(82)との間に形成される第2空間(S2)と前記第1空間(S1)とを接続し前記非圧縮性流体(O)が流通する接続流路(86b)が形成される流路部と、前記接続流路(86b)に設けられ、前記第2空間(S2)の圧力の増大に応じて前記接続流路(86b)を閉鎖する弁部(89)と、を備える。
【0120】
上記構成では、第1空間と第2空間とを接続し、非圧縮性流体が流通する接続流路が形成される流路部を備えている。第1空間の圧縮性流体が膨張すると、非圧縮性流体が接続流路を介して第2空間へ押し出される。第2空間に非圧縮性流体が流入すると、非圧縮性流体が第2空間を拡張する。第2空間は本体部と移動部との間に形成されているので、第2空間が拡張することで本体部と移動部とが所定方向に相対移動する。本体部と移動部とが所定方向に相対移動すると、ピストン装置が所定方向に伸張する。このように、自動的にピストン装置を伸長させることができる。
また、ピストン装置が伸張すると、ピストン装置の両端がローラ支持部及び荷重付与部と当接する。これにより、ピストン装置の伸長が停止する。また、ピストン装置の両端がローラ支持部及び荷重付与部と当接することで、ピストン装置を介して荷重付与部からの荷重をローラ支持部に伝達することができる。このとき、ピストン装置に荷重が作用することで、第2空間の圧力が増大する。これに応じて弁部が接続流路を閉鎖するので、第1空間と第2空間との間における非圧縮性流体の移動がなくなる。また、第2空間に充填されている非圧縮性流体は圧縮しないので、第2空間は縮小しない。このようにして、ピストン装置の長さが適切な長さで維持される。
このように、ピストン装置の長さが自動で適切な長さとなるので、ピストン装置を適切な長さに容易に調整することができる。
【0121】
また、接続流路は弁部で閉鎖されているものの、第2空間が高圧となることで、第2空間から非圧縮性流体が僅かに漏洩していく。これにより、第2空間の圧力が低減するとともに、僅かにピストン装置も収縮する。これによって、ピストン装置とローラ支持部又は荷重付与部との間に僅かに隙間が形成されることになるが、隙間が形成されると第2空間の圧力が低減し弁部の閉鎖が解除されることから、再び接続流路を介して第1空間から第2空間へ非圧縮性流体が流入する。これにより、再度ピストン装置が伸張し、ピストン装置とローラ支持部及び荷重付与部とが当接することとなる。
このように、ピストン装置が僅かな収縮及び伸長を繰り返すことで、荷重付与部からローラ支持部へ荷重を伝達しつつ、荷重付与部からローラ支持部へ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。
【0122】
また、粉砕ローラ及び粉砕テーブルの摩耗に伴って、ピストン装置とローラ支持部及び/又は荷重付与部との相対位置が変化し、ピストン装置とローラ支持部及び/又は荷重付与部との間に隙間が形成される場合がある。このような場合には、ピストン装置の長さを調整する必要が生じる。このため、ピストン装置の長さを手動で調整する場合には、粉砕機を停止させるタイミングでピストン装置の長さの調整を行っていた。
一方で、上記構成では、ピストン装置の長さを自動で適切な長さとすることができる。これにより、ピストン装置とローラ支持部及び/又は荷重付与部との相対位置が変化し、ピストン装置とローラ支持部及び/又は荷重付与部との間に隙間が形成される場合であっても、粉砕機の運転中に自動的にピストン装置の長さが適切な長さまで伸長する。よって、粉砕機の運転を停止することなく中間ピストンの隙間を自動的に調節することができるしたがって、ピストン装置に対して、長さを調整するためのメンテナンスを行う必要がない。よって、ピストン装置のメンテナンスの回数を低減することができるので、ピストン装置のメンテナンス間隔を長くすることができる。
【0123】
また、本開示の第2態様に係るピストン装置は、上記第1態様において、前記第1空間(S1)に設けられ、前記圧縮性流体(G)が封入される圧縮性流体(G)空間と前記非圧縮性流体(O)が封入される非圧縮性流体(O)空間とを隔てる隔離部(94)を備え、前記隔離部(94)は、前記圧縮性流体(G)の体積の変化に応じて前記非圧縮性流体(O)空間の容積を変化させる。
【0124】
上記構成では、圧縮性流体が封入される圧縮性流体空間と非圧縮性流体が封入される非圧縮性流体空間とを隔てる隔離部を備えている。これにより、圧縮性流体と非圧縮性流体との混合を抑制することができる。したがって、ピストン装置の姿勢を所望の姿勢とすることができる。
【0125】
また、本開示の第3態様に係るピストン装置は、粉砕機(10)に設けられ、粉砕テーブル(12)との間に原料を挟み込むことで原料を粉砕する粉砕ローラ(13)を揺動自在に支持するローラ支持部(45)と、前記粉砕ローラ(13)に荷重を付与する荷重付与部(60)と、の間に設けられ、前記荷重付与部(60)からの荷重を前記ローラ支持部(45)に伝達するピストン装置(62)であって、非圧縮性流体(O)が収容される第1空間(S1)が内部に形成され、所定方向の一端が前記ローラ支持部(45)または前記荷重付与部(60)の一方と対向する本体部(81)と、前記本体部(81)の前記所定方向の他端に前記本体部(81)と前記所定方向の相対移動が可能に設けられ、前記ローラ支持部(45)または前記荷重付与部(60)の他方と対向する移動部(82)と、を備え、前記本体部(81)と前記移動部(82)との間に形成される第2空間(S2)と前記第1空間(S1)とを接続し前記非圧縮性流体(O)が流通する接続流路(86b)が形成される流路部と、前記接続流路(86b)に設けられ、前記第2空間(S2)の圧力の増大に応じて前記接続流路(86b)を閉鎖する弁部(89)と、前記本体部(81)と前記移動部(82)とを前記所定方向に相対移動させるように付勢する付勢部と、を備え、前記本体部(81)には、前記第1空間(S1)と前記本体部(81)の外部の空間とを接続する外部接続部(87d,85g)が形成されている。
【0126】
上記構成では、第1空間と第2空間とを接続し、非圧縮性流体が流通する接続流路が形成される流路部を備えている。第2空間内の付勢部の付勢力によって本体部と移動部とが所定方向に相対移動すると第2空間が拡張する。第2空間が拡張すると第2空間の圧力が低下するので、接続流路を介して第1空間から第2空間へ非圧縮性流体が流入し、第2空間が非圧縮性流体で満たされる。このように、自動的にピストン装置を伸長する。
また、ピストン装置が伸張すると、ピストン装置の両端がローラ支持部及び荷重付与部と当接する。これにより、ピストン装置の伸長が停止する。また、ピストン装置の両端がローラ支持部及び荷重付与部と当接することで、ピストンを介して荷重付与部からの荷重をローラ支持部に伝達することができる。このとき、ピストン装置に荷重が作用することで、第2空間の圧力が増大する。これに応じて弁部が接続流路を閉鎖するので、第1空間と第2空間との間における非圧縮性流体の移動がなくなる。また、第2空間に充填されている非圧縮性流体は圧縮しないので、第2空間は縮小しない。このようにして、ピストン装置の長さが適切な長さで維持される。
このように、ピストン装置の長さが自動で適切な長さとなるので、ピストン装置を適切な長さに容易に調整することができる。
【0127】
また、上記第1態様と同様に、ピストン装置が僅かな収縮及び伸長を繰り返すことで、荷重付与部からローラ支持部へ荷重を伝達しつつ、荷重付与部からローラ支持部へ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。
また、上記第1態様と同様に、粉砕機の運転中に自動的にピストン装置の長さが適切な長さまで伸長する。したがって、ピストン装置に対して、長さを調整するためのメンテナンスを行う必要がない。よって、ピストン装置のメンテナンスの回数を低減することができるので、ピストン装置のメンテナンス間隔を長くすることができる。
【0128】
また、本開示の第4態様に係るピストン装置は、上記第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記第2空間(S2)から漏洩した前記非圧縮性流体(O)を前記第1空間(S1)へ導く回収流路(85a,85b)を備える。
【0129】
上記構成では、第2空間から漏洩した非圧縮性流体を第1空間へ導く回収流路を備えている。これにより、第2空間から漏洩した非圧縮性流体を、回収流路を介して第1空間へ回収することができる。したがって、第1空間と第2空間との間で非圧縮性流体を循環させることができる。よって、非圧縮性流体を補充する頻度を低減することができるので、利便性を向上させることができる。
【0130】
また、本開示の第5態様に係るピストン装置は、上記第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記第2空間(S2)と接続する第3空間(S3)に設けられ、内部に圧縮性流体(G)が充填される弾性体(92)を備える。
【0131】
上記構成では、第2空間に接続する第3空間の内部に圧縮性流体が充填される弾性体が設けられている。これにより、ピストン装置の両端がローラ支持部及び荷重付与部と当接し、第2空間の圧力が増大すると、第2空間に接続する第3空間の圧力も増大する。第3空間の圧力の増大に伴って、第3空間に設けられている弾性体が収縮する。第3空間と第2空間とは接続しているので、弾性体が収縮した分だけ僅かに第2空間が縮小する。これにより、ピストン装置も収縮する。ピストン装置が伸び得る最大の長さから僅かに縮んだ長さで保持されることで、荷重付与部からギャップボルトへ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。また、ギャップボルトの調整等により、ピストン装置とローラ支持部及び/又は荷重付与部との間に隙間が形成されると第2空間の圧力が低減し弁部の閉鎖が解除されることから、再び接続流路を介して第1空間から第2空間へ非圧縮性流体が流入する。これにより、再度ピストン装置が伸張し、ピストン装置とローラ支持部及び荷重付与部とが当接することとなる。
このように、より好適にピストン装置が僅かな収縮及び伸長を繰り返すことができる。よって、より好適に、荷重付与部からローラ支持部へ荷重を伝達しつつ、荷重付与部からローラ支持部へ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。
【0132】
また、本開示の第6態様に係るピストン装置は、上記第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記第1空間(S1)と接続する第1分割空間(S4)と、前記第1分割空間(S4)と並んで配置され前記第2空間(S2)と接続する第2分割空間(S5)とを隔てる隔壁部(95)を備え、前記隔壁部(95)は前記第1分割空間(S4)と前記第2分割空間(S5)とが並ぶ方向に沿って移動可能とされている。
【0133】
上記構成では、隔壁部は第1分割空間と第2分割空間とが並ぶ方向に沿って移動可能とされている。第1空間から第2空間へ非圧縮性流体が移動する際に、第1分割空間へも非圧縮性流体が流入する。これに伴って、隔壁部は、第1分割空間の容積を拡張するとともに第2分割空間の容積を縮小するように移動する。
一方で、ピストン装置の両端がローラ支持部及び荷重付与部と当接し、第2空間の圧力が増大すると、非圧縮性流体が第2分割空間へ流入する。このとき、非圧縮性流体が隔壁部を押圧することで、隔壁部は、第2分割空間の容積を拡張するとともに第1分割空間の容積を縮小するように移動する。
これにより、第2分割空間へ非圧縮性流体が流入した分だけ僅かにピストン装置も収縮する。これによって、ピストン装置が伸び得る最大の長さから僅かに縮んだ長さで保持されることで、荷重付与部からギャップボルトへ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。また、ギャップボルトの調整等により、ピストン装置とローラ支持部及び/又は荷重付与部との間に隙間が形成されると第2空間の圧力が低減し弁部の閉鎖が解除されることから、再び接続流路を介して第1空間から第2空間へ非圧縮性流体が流入する。これにより、再度ピストン装置が伸張し、ピストン装置とローラ支持部及び荷重付与部とが当接することとなる。
このように、より好適にピストン装置が僅かな収縮及び伸長を繰り返すことができる。よって、より好適に、荷重付与部からローラ支持部へ荷重を伝達しつつ、荷重付与部からローラ支持部へ過剰に荷重が伝達される事態を発生し難くすることができる。
【0134】
また、本開示の第7態様に係るピストン装置は、上記第1態様から第6態様のいずれかにおいて、前記接続流路(86b)には、定量ずつ前記非圧縮性流体(O)を前記第1空間(S1)から前記第2空間(S2)へ導く定量弁(95)が設けられている。
【0135】
上記構成では、定量ずつ非圧縮性流体を第1空間から第2空間へ導く定量弁が接続流路に設けられている。これにより、第1空間から第2空間へと定量ずつ非圧縮性流体を導くことができる。したがって、ピストン装置を少しずつ伸長させることができる。よって、ピストン装置が高速かつ過剰に伸張しすぎる事態を抑制することができる。
【0136】
本開示の第1態様に係る粉砕機は、粉砕テーブル(12)と、前記粉砕テーブル(12)との間に原料を挟み込むことで原料を粉砕する粉砕ローラ(13)と、前記粉砕ローラ(13)を揺動自在に支持するローラ支持部(45)と、前記粉砕ローラ(13)に荷重を付与する荷重付与部(60)と、前記ローラ支持部(45)と前記荷重付与部(60)との間に設けられ、前記荷重付与部(60)からの荷重を前記ローラ支持部(45)に伝達する上記第1態様から第7態様のいずれかに記載のピストン装置(62)と、を備える。
【0137】
本開示の第1態様に係るピストン装置の運用方法は、粉砕機(10)に設けられ、粉砕テーブル(12)との間に原料を挟み込むことで原料を粉砕する粉砕ローラ(13)を揺動自在に支持するローラ支持部(45)と、前記粉砕ローラ(13)に荷重を付与する荷重付与部(60)と、の間に設けられ、前記荷重付与部(60)からの荷重を前記ローラ支持部(45)に伝達するピストン装置(62)の運用方法であって、前記ピストン装置(62)は、圧縮性流体(G)及び非圧縮性流体(O)が封入される第1空間(S1)が内部に形成され、所定方向の一端が前記ローラ支持部(45)または前記荷重付与部(60)の一方と対向する本体部(81)と、前記本体部(81)の前記所定方向の他端に前記本体部(81)と前記所定方向の相対移動が可能に設けられ、前記ローラ支持部(45)または前記荷重付与部(60)の他方と対向する移動部(82)と、前記本体部(81)と前記移動部(82)との間に形成される第2空間(S2)と前記第1空間(S1)とを接続し前記非圧縮性流体(O)が流通する接続流路(86b)が形成される流路部と、前記接続流路(86b)に設けられ、前記第2空間(S2)の圧力の増大に応じて前記接続流路(86b)を閉鎖する弁部(89)と、を備え、前記第1空間(S1)に封入した前記圧縮性流体(G)の圧力によって前記非圧縮性流体(O)を前記第1空間(S1)から前記第2空間(S2)へ流通させる工程を備える。
【符号の説明】
【0138】
1 :発電プラント
10 :ミル
11 :ハウジング
11a :開口部
12 :粉砕テーブル
12a :旋回羽根
12b :吹出口
13 :粉砕ローラ
14 :減速機
15 :ミルモータ
16 :回転式分級機
16a :ブレード
17 :給炭管
18 :分級機モータ
19 :出口ポート
21 :バンカ
22 :ダウンスパウト部
25 :給炭機
26 :搬送部
27 :給炭機モータ
30 :送風部
30a :熱ガス流路
30b :冷ガス流路
30c :熱ガスダンパ
30d :冷ガスダンパ
31 :一次空気通風機
34 :空気予熱器
40 :状態検出部
41 :底面部
42 :天井部
45 :ジャーナルヘッド
47 :支持アーム
47a :当接部
48 :支持軸
50 :制御部
60 :荷重負荷装置
61 :油圧シリンダ
61a :ロッド
62 :ピストン装置
62A :ピストン装置
62B :ピストン装置
62C :ピストン装置
62D :ピストン装置
63 :ピストンハウジング
64 :フランジ
64a :ボルト
70 :ローラカバー
71 :取付壁体
80 :ギャップボルト
81 :内筒(本体部)
82 :外筒(移動部)
82a :アーム当接部
82b :円筒部
82c :外筒ピン穴
83 :ロッド
83a :ストップバルブ
83b :ロッドネジ部
83c :シール部材
84 :固定ピン
85 :タンク部
85a :回収溝(回収流路)
85b :回収孔(回収流路)
85c :内筒ピン穴
85d :閉鎖部
85e :雄ネジ部
85f :貫通孔
85g :第1外部接続流路
86 :流路部
86a :シール部材
86b :供給流路(接続流路)
86c :戻し流路
87 :キャップ部
87a :ロッド当接部
87b :円筒部
87c :雌ネジ部
87d :第2外部接続流路
88 :シール部材
89 :チェックバルブ(弁部)
89a :スライド部
89b :弁体
90 :バネ
91 :高圧室形成部
92 :弾性体
93 :隔壁部
94 :隔壁部(隔離部)
95 :定量弁
95a :第1流路
95b :第2流路
95c :プランジャポンプ
95d :スプール
95e :ピストン
95f :戻し流路
100 :固体燃料粉砕装置
110 :一次空気流路
120 :微粉燃料供給管
200 :ボイラ
210 :火炉
220 :バーナ
Cf :軸線
Ch :軸線
G :圧縮性ガス
L :矢印
O :油
S1 :油タンク室(第1空間)
S2 :高圧室(第2空間)
S3 :弾性体空間(第3空間)
S4 :第1分割空間
S5 :第2分割空間
S6 :ガス空間(圧縮性流体空間)
S7 :油空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12