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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106834
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】タービン発電システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 3/18 20060101AFI20240801BHJP
   F01K 3/02 20060101ALI20240801BHJP
   F01K 27/00 20060101ALI20240801BHJP
   F02C 1/04 20060101ALI20240801BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
F01K3/18
F01K3/02 C
F01K27/00 Z
F02C1/04
H02J15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011300
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】後藤 功一
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB08
3G081BC21
3G081BC30
(57)【要約】
【課題】シンプルな構成で発電効率および発電量を向上させることが可能なタービン発電システムを提供する。
【解決手段】一実施形態に係るタービン発電システムは、蓄熱運転と放熱運転とを行うタービン発電システムである。このタービン発電システムは、蓄熱運転時に発熱する電気ヒータと、蓄熱運転時に電気ヒータで発生した熱を蓄熱する蓄熱槽と、放熱運転時に、気体を圧縮した高圧気体を生成する圧縮機と、圧縮機と機械的に接続され、放熱運転時に、蓄熱槽に蓄熱された熱を用いて加熱された高圧気体が流入することによって回転駆動する膨張機と、膨張機の回転駆動によって発電する発電機と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄熱運転と放熱運転とを行うタービン発電システムであって、
前記蓄熱運転時に発熱する電気ヒータと、
前記蓄熱運転時に前記電気ヒータで発生した熱を蓄熱する蓄熱槽と、
前記放熱運転時に、気体を圧縮した高圧気体を生成する圧縮機と、
前記圧縮機と機械的に接続され、前記放熱運転時に、前記蓄熱槽に蓄熱された熱を用いて加熱された前記高圧気体が流入することによって回転駆動する膨張機と、
前記膨張機の回転駆動によって発電する発電機と、
を備える、タービン発電システム。
【請求項2】
前記高圧気体は、前記蓄熱槽を流通することによって加熱される、請求項1に記載のタービン発電システム。
【請求項3】
前記電気ヒータの発熱時に、第1熱媒体が前記電気ヒータと前記蓄熱槽との間で循環する、請求項1に記載のタービン発電システム。
【請求項4】
前記電気ヒータの発熱停止時に、前記蓄熱槽との間で第2熱媒体を循環させる熱交換器をさらに備え、
前記高圧気体は、前記熱交換器を流通することによって加熱される、請求項3に記載のタービン発電システム。
【請求項5】
前記第1熱媒体は、前記気体と同じ物質である、請求項4に記載のタービン発電システム。
【請求項6】
前記電気ヒータが前記蓄熱槽に内蔵されている、請求項1に記載のタービン発電システム。
【請求項7】
前記高圧気体を、前記膨張機から排出された排気で加熱して前記蓄熱槽または前記熱交換器に流入させる再生器をさらに備える、請求項4または5に記載のタービン発電システム。
【請求項8】
前記気体が大気であり、前記膨張機から流出した前記気体が前記圧縮機に流入しない、前記気体の開サイクルを備える、請求項1に記載のタービン発電システム。
【請求項9】
前記膨張機から流出した前記気体が前記圧縮機に流入する、前記気体の閉サイクルを備える、請求項1に記載のタービン発電システム。
【請求項10】
前記再生器を流通した前記排気の熱を大気に放熱する放熱器をさらに備え、
前記気体が、前記放熱器で放熱された前記排気である、請求項7に記載のタービン発電システム。
【請求項11】
前記電気ヒータは、自然エネルギにより発電した電力のみを用いて発熱する、請求項1に記載のタービン発電システム。
【請求項12】
前記電気ヒータは、電力余剰時の余剰電力で発熱する、請求項1に記載のタービン発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タービン発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギによる発電が増加しており、季節や時間帯によっては、発電量が電力需要より大きくなる地域が発生している。また、季節や時間帯によっては電力需要が大きくなり、発電量が電力需要より小さく電力不足となる時もある。そこで、蓄熱を用いて電力調整を実施するタービン発電システムが提案されている。
【0003】
図7(a)は、従来のタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図である。一方、図7(b)は、従来のタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。図7(a)および図7(b)に示すように、従来のタービン発電システム201は、蓄熱槽1、電気ヒータ2、第1送風機3、第2送風機4、復水ポンプ8、ボイラ9、蒸気タービン10、復水器11、弁12~弁15、および発電機33を備える。
【0004】
タービン発電システム201では、電力余剰時、図7(a)に示すように、復水ポンプ8、蒸気タービン10、および第2送風機4は停止する。また、弁12および弁13は開状態となる一方で弁14および弁15は閉状態となる。また、余剰電力を用いて電気ヒータ2および第1送風機3が稼働する。第1送風機3の稼働によって、空気5が電気ヒータ2と蓄熱槽1の間を循環する。空気5は、電気ヒータ2の発熱によって加熱される。加熱された空気5は、蓄熱槽1まで輸送され、蓄熱槽1内の蓄熱物質を加熱する。これにより蓄熱される。このように蓄熱運転が実施される。
【0005】
一方、電力余剰でない時には、図7(b)に示すように、電気ヒータ2の発熱および第1送風機3の稼働は停止する。また、弁12および弁13は閉状態となる一方で弁14および弁15は開状態となる。さらに、復水ポンプ8および第2送風機4が稼働する。第2送風機4の稼働によって空気5が蓄熱槽1とボイラ9の間を循環する。
【0006】
空気5は、放熱運転時に蓄熱槽1の蓄熱物質によって加熱される。加熱された空気5は、第2送風機4によって蓄熱槽1からボイラ9まで輸送される。ボイラ9では、復水ポンプ8により搬入された水6を、空気5からの熱により加熱し蒸気7を製造する。これにより空気5は温度低下してボイラ9から流出する。このように放熱運転が実施される。
【0007】
蒸気7が、蒸気タービン10内を低温低圧になりながら流通することによって、蒸気タービン10の羽根車が回転駆動する。これにより、蒸気タービン10に機械的に接続された発電機33が発電する。蒸気タービン10から排出された蒸気7は、復水器11にて冷却水、例えば海水により冷却されて水6に変化する。水6は、復水ポンプ8によって、ボイラ9まで搬送される。このようにして、蓄熱槽1内の蓄熱物質に蓄熱されていた空気5の熱によって、蒸気7が発生して蒸気を用いた発電が実施される。
【0008】
上記のように、タービン発電システム201は電力余剰である時には電力を使い、電力余剰でない時には発電することによって、電力を調整することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2016/050368号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したタービン発電システム201では、蒸気タービン10を用いて発電するため、復水ポンプ8、ボイラ9、および復水器11といった機器も必要になる。その結果、システムが数多くの機器を必要とする複雑な構成となってしまう。復水器11に用いる冷却水が必要であるし、ボイラ9向けの水質管理が必要である。また、蒸気タービン10には、高温化の制限があるため、発電効率および発電量にも制限が生じる。
【0011】
本発明が解決しようする課題は、シンプルな構成で発電効率および発電量を向上させることが可能なタービン発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態に係るタービン発電システムは、蓄熱運転と放熱運転とを行うタービン発電システムである。このタービン発電システムは、蓄熱運転時に発熱する電気ヒータと、蓄熱運転時に電気ヒータで発生した熱を蓄熱する蓄熱槽と、放熱運転時に、気体を圧縮した高圧気体を生成する圧縮機と、圧縮機と機械的に接続され、放熱運転時に、蓄熱槽に蓄熱された熱を用いて加熱された高圧気体が流入することによって回転駆動する膨張機と、膨張機の回転駆動によって発電する発電機と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本実施形態によれば、シンプルな構成で発電効率および発電量を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、第1実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図であり、(b)は第1実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。
図2】(a)は、第2実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図であり、(b)は第2実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。
図3】(a)は、第3実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図であり、(b)は第3実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。
図4】(a)は、第4実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図であり、(b)は第4実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。
図5】(a)は、第5実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図であり、(b)は第5実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。
図6】(a)は、第6実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図であり、(b)は第6実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。
図7】(a)は従来のタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図であり、(b)は従来のタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0016】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図である。ここで、電力余剰時とは、例えば電力グリッドにおいて電力需要の小さい夜間である。ただし、電力余剰時には、昼間でも太陽光発電の発電量が大きい時なども該当する。
【0017】
図1(b)は、第1実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。図1(a)および図1(b)では、図7に示すタービン発電システム201と同様の構成要素には同じ符号を付す。
【0018】
図1(a)および図1(b)に示すように、本実施形態に係るタービン発電システム101は、蓄熱槽1、電気ヒータ2、第1送風機3、弁12~弁15、圧縮機17、膨張機18、および発電機33を備える。
【0019】
なお、弁12~弁15については、各実施形態を説明する図面において、開状態を白抜きで図示するとともに、閉状態を黒塗りで図示する。また、各弁は、タービン発電システム101の運転制御装置(不図示)から入力される制御信号に応じて開閉する。
【0020】
蓄熱槽1内には、蓄熱材が収容されている。この蓄熱材は、例えば岩石のような固定顕熱蓄熱材である。蓄熱槽1は、弁13を介して電気ヒータ2と連通しているとともに、弁12を介して第1送風機3と連通している。電気ヒータ2と第1送風機3も互いに連通している。さらに、蓄熱槽1は、弁14を介して圧縮機17に連通しているとともに、弁15を介して膨張機18と連通している。
【0021】
まず、図1(a)を参照して、電力余剰時のタービン発電システム101の運転状態を説明する。
【0022】
電力余剰時には、ガスタービンを構成する圧縮機17および膨張機18にそれぞれ設けられた羽根車は、稼働しない。また、弁12および弁13は開状態となる一方で、弁14および弁15は閉状態となる。さらに、電気ヒータ2には商用電力が通電され、第1送風機3は稼働する。第1送風機3の稼働によって、空気5が電気ヒータ2と蓄熱槽1の間を循環する。
【0023】
空気5は、電気ヒータ2の発熱によって加熱される。加熱された空気5は、蓄熱槽1まで輸送されて、蓄熱槽1内に設けられた蓄熱材を加熱する。このようにして蓄熱運転が実施される。
【0024】
次に、図1(b)を参照して、電力余剰でない時のタービン発電システム101の運転状態を説明する。
【0025】
電力余剰でない時には、電気ヒータ2の発熱および第1送風機3の稼働は停止する。また、弁12および弁13が閉状態となる一方で、弁14および弁15は開状態となる。また、大気16が、圧縮機17によって圧縮されて高圧気体19となり、蓄熱槽1に流入する。
【0026】
高圧気体19は、蓄熱槽1内の蓄熱物質に加熱されることによって、高温高圧気体20となる。蓄熱槽1から流出した高温高圧気体20は、膨張機18に流入する。高温高圧気体20が膨張機18内を低温低圧になりながら流通することによって、膨張機18が回転駆動する。これにより、膨張機18に機械的に接続された圧縮機17も回転駆動する。さらに、膨張機18に機械的に接続された発電機33が発電する。
【0027】
膨張機18から排出された排気21は、外界である大気に放出される。このようにして、本実施形態に係るタービン発電システム101では、蓄熱槽1に蓄熱された熱を用いて加熱した大気16、すなわち空気を作動流体にしたガスタービンによる発電が実施される。
【0028】
なお、本実施形態に係るタービン発電システム101では、蓄熱運転時に電気ヒータ2から蓄熱槽1に熱を搬送する物質は空気5である。また、放熱運転時に蓄熱槽1から熱を受ける高圧気体19は、空気5と同じ物質である。
【0029】
蓄熱運転時および放熱運転時のそれぞれにて流通する流体が同じ物質でない場合には、両流体のうち片方は、蓄熱槽1内部に隔壁流路を設けて流通させる必要がある。この場合、伝熱性能が悪化するし、蓄熱槽の構造がよりシンプルでなくなる。よって、本実施形態のように、蓄熱運転時に流通する流体と、放熱運転時に流通する流体は、同じ物質であることが望ましい。
【0030】
以上説明した本実施形態では、従来のタービン発電システム201と同様に、電力余剰である時には電力を使い、電力余剰でない時には発電することによって、電力調整が実施される。その一方で、従来のタービン発電システム201では、蒸気タービン10を稼働させる蒸気7(水6)と、蓄熱と放熱のための空気5という2種類の熱媒体が必要であるが、本実施形態に係るタービン発電システム101では、熱媒体が空気5の1種類のみとなる。これにより、蓄熱槽1の構造をよりシンプルすることが可能となる。
【0031】
また、従来のタービン発電システム201では、復水器11の冷却水が必要であるが、本実施形態に係るタービン発電システム101では、復水器11の冷却水が不要になる。さらに、従来のタービン発電システム201では、ボイラ9の水質管理が必要であるが、本実施形態に係るタービン発電システム101では、ボイラ9の水質管理行為も不要になる。
【0032】
よって、本実施形態によれば、システム構成をよりシンプルにすることが可能となる。
【0033】
さらに、従来のタービン発電システム201では、蒸気7および水6を用いた蒸気タービン10には高温化の制約があるが、本実施形態に係るタービン発電システム101では、大気16、すなわち空気を用いたガスタービンが用いられている。そのため、より高温化を図ることができる。よって、発電効率が向上し、発電量が増えるという効果を得ることも可能となる。
【0034】
なお、集光して得た太陽熱により空気を加熱し、空気を作動流体としたガスタービンを駆動させ発電するシステムに、蓄熱を組合せるという既存技術が知られている。しかし、この既存技術は、空気加熱向け太陽熱が余剰である時に太陽熱を蓄熱し、空気加熱向け太陽熱が無いまたは不足している時に放熱させる。それに対して、本実施形態では、蓄熱槽1に蓄熱する熱は、電力グリッドにおいて電力余剰である時に電力を受け取り、それを用いて電気ヒータ2により発熱させた熱である。また、得られる効果は電力グリッドの電力調整であるので、前記既存技術と異なるシステムである。
【0035】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。ここでは、従来技術や第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第1実施形態では、放熱運転時に高圧気体19が蓄熱槽1を流通する際、例えば固体顕熱蓄熱材同士の隙間を流通するため、圧力損失が大きくなり得る。この圧力損失が大きいと、ガスタービン出力が小さくなって発電量が小さくなることが懸念される。そこで、本実施形態では圧力損失を改善する。
【0036】
図2(a)は、第2実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図である。一方、図2(b)は、第2実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。図2(a)および図2(b)でも、第1実施形態と同様に、図7に示すタービン発電システム201と同様の構成要素には同じ符号を付す。
【0037】
図2(a)および図2(b)に示すように、本実施形態に係るタービン発電システム102は、蓄熱槽1、電気ヒータ2、弁12~弁15、圧縮機17、膨張機18、熱交換器28、第1搬送機32、第2搬送機29、および発電機33を備える。第1実施形態に係るタービン発電システム101と比較すると、タービン発電システム102には、第1搬送機32が第1送風機3の代わりに設けられているとともに、熱交換器28および第2搬送機29が新たに設けられている。
【0038】
まず、図2(a)を参照して、電力余剰時のタービン発電システム102の運転状態を説明する。
【0039】
電力余剰時には、圧縮機17および膨張機18は、第1実施形態と同様に稼働しない。また、弁12および弁13は開状態となる一方で、弁14および弁15は閉状態となる。さらに、電気ヒータ2には商用電力が通電され、第1搬送機32は稼働する。第1搬送機32の稼働によって、第1熱媒体30が電気ヒータ2と蓄熱槽1の間を循環する。第1熱媒体30は、気体であっても液体であってもよく、さらに温度変化に伴って気液相変化するものであってもよい。
【0040】
第1熱媒体30が気体である場合、第1搬送機32は送風機である。また、第1熱媒体30が液体である場合、第1搬送機32はポンプである。第1熱媒体30は、電気ヒータ2の発熱によって加熱される。加熱された第1熱媒体30は、蓄熱槽1まで輸送され、蓄熱槽1内の蓄熱物質を加熱する。このようにして蓄熱運転が実施される。
【0041】
次に、図2(b)を参照して、電力余剰でない時のタービン発電システム102の運転状態を説明する。
【0042】
電力余剰でない時には、電気ヒータ2の発熱および第1搬送機32の搬送は停止する。また、弁12および弁13は閉じる一方で弁14、15は開く。さらに、第2搬送機29は稼働する。第2搬送機29の稼働によって、第2熱媒体31が、蓄熱槽1と熱交換器28との間を循環する。第2熱媒体31は、気体であっても液体であってもよく、さらに温度変化に伴って気液相変化するものであってもよい。
【0043】
第2熱媒体31が気体である場合、第2搬送機29は送風機である。また、第2熱媒体31が液体である場合、第2搬送機29はポンプである。第2熱媒体31は、蓄熱槽1から放熱された熱によって加熱される。加熱された第2熱媒体31は、熱交換器28まで輸送される。
【0044】
また、電力余剰でない時には、大気16が、圧縮機17により圧縮されて高圧気体19となり、熱交換器28に流入する。高圧気体19は、熱交換器28にて、第2熱媒体31からの熱により加熱され高温高圧気体20となる。
【0045】
熱交換器28を流出した第2熱媒体31は、蓄熱槽1に戻り、蓄熱槽1と熱交換器28との間で循環する。熱交換器28から流出した高温高圧気体20は、膨張機18に流入する。高温高圧気体20が膨張機18内を低温低圧になりながら流通することによって、膨張機18が回転駆動する。これにより、膨張機18に機械的に接続された圧縮機17も回転駆動する。さらに、膨張機18に機械的に接続された発電機33が発電する。
【0046】
膨張機18から排出された排気21は、外界である大気に放出される。このようにして、本実施形態でも第1実施形態と同様に、蓄熱槽1に蓄熱された熱を用いて加熱した大気16、すなわち空気を作動流体にしたガスタービンによる発電が実施される。
【0047】
以上説明した本実施形態では、第1実施形態と同様に、電力余剰である時には電力を使い、電力余剰でない時には発電することによって、電力調整が実施される。
【0048】
また、本実施形態では、第1熱媒体30および第2熱媒体31が、高温高圧気体20と同じ空気であれば、3つの熱媒体が空気の1種類のみとなる。これにより、第1実施形態と同様に、蓄熱槽1の構造をよりシンプルすることが可能となる。また、冷却水やボイラ水質管理行為が不要となる。
【0049】
また、本実施形態でも、第1実施形態同様に、復水器11およびボイラ9が不要になるため、システム構成をよりシンプルにすることが可能となる。
【0050】
また、本実施形態でも、第1実施形態同様に、圧縮機17および膨張機18で構成されたガスタービンが用いられている。そのため、より高温化を図ることができ、これにより発電効率の向上および発電量の増加を実現することが可能となる。
【0051】
さらに、放熱運転時の高圧気体19は、第1実施形態では蓄熱槽1を流通するのに対して、本実施形態では熱交換器28を流通する。熱交換器28は、蓄熱の機能を必要としないため、蓄熱槽1よりも圧力損失の小さい構造にできる。これにより、本実施形態によれば、放熱運転時の高圧気体19の圧力低下が、より小さくなるため、ガスタービン出力をより大きくして発電量をより増加することができる。
【0052】
なお、本実施形態では、蓄熱運転時に蓄熱槽1を流通する流体である第1熱媒体30が、放熱運転時に蓄熱槽1を流通する流体である高圧気体19と異なる物質であってもよい。例えば、第1熱媒体30は液体であってもよい。また、第2熱媒体31は、高圧気体19や第1熱媒体30と異なる物質であってもよいし、気体でも液体であってもよい。これにより、第1熱媒体30および第2熱媒体31について、共に、伝熱、流動、コストなどに関して好適な物質を選択することができる。
【0053】
ただし、本実施形態では、放熱運転終了後、弁14および弁15は全閉状態となるので、蓄熱運転時の蓄熱槽1の内部には、蓄熱材と高圧気体が存在する。蓄熱運転終了後、放熱運転開始までの間、蓄熱状態を保つため、弁12、弁13、弁14、および弁15は、全閉状態となるので、蓄熱槽1の内部には高温の蓄熱材と高圧気体が存在し、蓄熱槽1は高温高圧気体タンクの機能を有する。放熱運転開始時にガスタービン(圧縮機17および膨張機18)を駆動開始するが、第1実施形態では弁14および弁15を開く際に高温高圧気体が膨張機18へ流入していくので、ガスタービンの起動がより容易になっている。また、第1実施形態に係るタービン発電システム101は、第2実施形態に係るタービン発電システム101よりもシンプルな構成であるため、サイズがより小さくなりコストはより低くなる。
【0054】
したがって、第1実施形態と第2実施形態とを比較すると、放熱運転時の蓄熱槽1の圧力損失を低減することを優先する場合には、第2実施形態に係るタービン発電システム102を適用することが好ましい。一方、ガスタービンの起動しやすさ、サイズ、およびコストを優先する場合には、第1実施形態に係るタービン発電システム101を適用することが好ましい。
【0055】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。ここでも、従来技術や第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0056】
図3(a)は、第3実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図である。一方、図3(b)は、第3実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。図3(a)および図3(b)でも、第1実施形態と同様に、図7に示すタービン発電システム201と同様の構成要素には同じ符号を付す。
【0057】
図3(a)および図3(b)に示すように、本実施形態に係るタービン発電システム103は、第1実施形態に係るタービン発電システム101の構成要素に加えて、再生器22をさらに備える。再生器22は、圧縮機17から流出した空気5を、膨張機18の排気21により加熱する。
【0058】
本実施形態では、電力余剰時のタービン発電システム103の運転状態は、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。以下、図3(b)を参照して、電力余剰でない時のタービン発電システム103の運転状態を説明する。
【0059】
電力余剰でない時には、電気ヒータ2の発熱および第1送風機3の稼働は停止する。また、弁12および弁13が閉状態となる一方で弁14および15は開状態となる。また、圧縮機17は、大気16を圧縮して高圧気体19を生成する。高圧気体19は再生器22に流入する。
【0060】
再生器22には、膨張機18から排出された排気21も流通している。そのため、高圧気体19は、より高温である排気21により加熱される。再生器22を通過した高圧気体19は、弁14を介して蓄熱槽1に流入する。流入した高圧気体19は、蓄熱槽1内の蓄熱物質から加熱されて高温高圧気体20となる。
【0061】
蓄熱槽1から流出した高温高圧気体20は、膨張機18に流入する。高温高圧気体20が膨張機18内を低温低圧になりながら流通することによって、膨張機18が回転駆動する。これにより、圧縮機17も回転駆動する。さらに、発電機33が発電する。
【0062】
膨張機18から排出された排気21は、再生器22に流入し、高圧気体19を加熱した後、外界の大気へ流出される。
【0063】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同じ効果が得られるだけでなく、再生器22によって排気21の一部が発電に利用されるため、外界へ排出される熱量を第1実施形態と比較して低減できるという効果も得ることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、第1実施形態のタービン発電システム101に再生器22を設けるという構成を適用しているが、この構成を第2実施形態に係るタービン発電システム102に適用してもよい。この場合も、外界へ排出される熱量を低減する効果を得ることができる。
【0065】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。ここでは、従来技術や第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0066】
図4(a)は、第4実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図である。一方、図4(b)は、第4実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。図4(a)および図4(b)でも、第1実施形態と同様に、図7に示すタービン発電システム201と同様の構成要素には同じ符号を付す。
【0067】
図4(a)および図4(b)に示すように、本実施形態に係るタービン発電システム104では、第3実施形態のように大気16が圧縮機17に流入するのではなく、気体27が圧縮機17に流入する。気体27は、膨張機18から排出された排気21を再生器22から流通させた熱媒体である。この熱媒体5、20、21、27は同じ物質であるが、空気であってもよいし、空気でない気体物質でもよい。
【0068】
本実施形態では、電力余剰時のタービン発電システム104の運転状態は、第3実施形態と同じであるため説明を省略する。以下、図4(b)を参照して、電力余剰でない時のタービン発電システム104の運転状態を説明する。
【0069】
電力余剰でない時には、電気ヒータ2の発熱および第1送風機3の稼働は停止する。また、弁12および弁13が閉状態となる一方で弁14および弁15は開状態となる。また、圧縮機17は、再生器22から流出した気体27を圧縮して高圧気体19を生成する。高圧気体19は再生器22に流入する。
【0070】
再生器22には、膨張機18から流出直後の排気21も流通している。高圧気体19は、より高温である排気21により加熱される。再生器22を通過した高圧気体19は、蓄熱槽1に流入する。流入した高圧気体19は、蓄熱槽1内の蓄熱物質から加熱されて高温高圧気体20となる。
【0071】
蓄熱槽1から流出した高温高圧気体20は、膨張機18に流入する。高温高圧気体20が膨張機18内を低温低圧になりながら流通することによって、膨張機18が回転駆動する。これにより、圧縮機17も回転駆動する。さらに、発電機33が発電する。
【0072】
膨張機18から排出された排気21は、再生器22に流入して気体27となる。気体27は、圧縮機17から流出した高圧気体19を加熱した後、圧縮機17に流入する。すなわち、本実施形態に係るタービン発電システム104には、気体27が圧縮機17と膨張機18との間で循環する閉サイクルが形成される。一方、上述した第1実施形態から第3実施形態では、圧縮機17に流入する気体が大気16であり、圧縮機17と膨張機18を経由して大気へ開放されて開サイクルが形成される。なお、本実施形態では再生器22が設けられているが、タービン発電システム104が再生器22を備えていない構成であっても差し支えない。
【0073】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態および第3実施形態と同じ効果が得られる。加えて、本実施形態では、再生器22を流通した気体27を圧縮機17に流入するため、流通する熱媒体は外界と流通しない。そのため、気体27は、大気、すなわち空気でなくてもよく、蓄熱温度に好適な熱媒体を使用できるという効果も得られる。
【0074】
さらに、第1実施形態および第3実施形態では、熱媒体が外界に排出されているのに対して、本実施形態では、熱媒体は、外界に排出されることなく圧縮機17に流入している。そのため、発電効率および発電量を向上させることが可能となる。
【0075】
なお、本実施形態では、第3実施形態に係るタービン発電システム103に熱媒体の閉サイクルを設けるという構成を適用しているが、この構成を第2実施形態に係るタービン発電システム102に適用してもよい。この場合も、蓄熱温度に好適な熱媒体を使用でき、発電効率および発電量を向上させるという効果を得ることができる。
【0076】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。ここでは、従来技術や第4実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0077】
図5(a)は、第5実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図である。一方、図5(b)は、第5実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。図5(a)および図5(b)でも、第1実施形態と同様に、図7に示すタービン発電システム201と同様の構成要素には同じ符号を付す。
【0078】
上述した第4実施形態に係るタービン発電システム104では、再生器22を流出した気体27が、圧縮機17に流入する気体としては高温すぎる場合がある。この場合、タービン発電システム104を実現できなくなる。これは、圧縮機17の出口温度がある程度高温であること、圧縮機17が吸込み体積流量に制約があること、および再生器22を現実的な大きさに収めること等によって、温度低下不足になるためである。
【0079】
そこで、本実施形態に係るタービン発電システム105では、図5(a)および図5(b)に示すように、第4実施形態に係るタービン発電システム104の構成要素に加えて、放熱器23および第3送風機24を新たに備える。放熱器23は、再生器22を通過した排気21の熱を大気へ放熱する。一方、第3送風機24は、冷却用大気25を放熱器23へ送出する。
【0080】
本実施形態では、電力余剰時のタービン発電システム105の運転状態は、第4実施形態と同じであるため説明を省略する。以下、図5(b)を参照して、電力余剰でない時のタービン発電システム105の運転状態を説明する。
【0081】
電力余剰でない時には、電気ヒータ2の発熱および第1送風機3の稼働は停止する。また、弁12および弁13は閉状態となる一方で弁14および15は開状態となる。また、圧縮機17は、放熱器23から流出した気体27を圧縮して高圧気体19を生成する。高圧気体19は、再生器22に流入する。
【0082】
再生器22には、膨張機18から流出直後の排気21も流通している。高圧気体19は、より高温である排気21により加熱される。再生器22を通過した高圧気体19は、蓄熱槽1に流入する。流入した高圧気体19は、蓄熱槽1内の蓄熱物質から加熱されて高温高圧気体20となる。
【0083】
蓄熱槽1から流出した高温高圧気体20は、膨張機18に流入する。高温高圧気体20が膨張機18内を低温低圧になりながら流通することによって、膨張機18が回転駆動する。これにより、圧縮機17も回転駆動する。さらに、発電機33が発電する。
【0084】
膨張機18から排出された排気21は、再生器22に流入する。再生器22では、排気21は、圧縮機17から流出した高圧気体19を加熱した後、放熱器23に流入する。放熱器23では、排気21は、第3送風機24によって流通している冷却用大気25へ放熱される。その結果、排気21よりも温度が低下した気体27が生成される。生成された気体27は、圧縮機17に流入する。
【0085】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態、第3実施形態、および第4実施形態と同じ効果が得られる。加えて、本実施形態では、放熱器23によって排気21の熱を外界へ放熱した気体27が圧縮機17に流入する。そのため、再生器22を流出した時点で排気21の温度が高温であっても、放熱器23で排気21を放熱した気体27は、圧縮機17に流入する気体として適切な温度になっている。よって、本実施形態に係るタービン発電システム105は、より実現性の高いシステムとなる。
【0086】
なお、本実施形態では、第4実施形態に係るタービン発電システム104に放熱器23および第3送風機24を設けるという構成を適用しているが、この構成を第2実施形態に係るタービン発電システム102に適用してもよい。この場合も、圧縮機17には、適切な温度に調整された気体が流入するため、実現性の高いシステムを提供することが可能となる。
【0087】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。ここでは、従来技術や第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0088】
図6(a)は、第6実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰時の運転状態を示す模式図である。一方、図6(b)は、第6実施形態に係るタービン発電システムの電力余剰でない時の運転状態を示す模式図である。図6(a)および図6(b)でも、第1実施形態と同様に、図7に示すタービン発電システム201と同様の構成要素には同じ符号を付す。
【0089】
本実施形態に係るタービン発電システム106では、図6(a)および図6(b)に示すように、内蔵電気ヒータ26が、電気ヒータ2の代わりに設けられている。内蔵電気ヒータ26は、蓄熱槽1内部に内蔵されている。
【0090】
ここで、図6(a)を参照して、電力余剰時のタービン発電システム106の運転状態を説明する。電力余剰時には、圧縮機17および膨張機18は稼働しない。また、弁14および弁15は閉状態となる。さらに、内蔵電気ヒータ26には商用電力が通電される。これにより、蓄熱槽1内の蓄熱物質が内蔵電気ヒータ26によって加熱される。このようにして蓄熱運転が実施される。
次に、図6(b)を参照して、電力余剰でない時のタービン発電システム106の運転状態を説明する。電力余剰でない時には、内蔵電気ヒータ26の発熱は停止する。また、弁14および15は開状態となる。また、圧縮機17は、大気16を圧縮して高圧気体19を生成する。高圧気体19は再生器22に流入する。
【0091】
再生器22には、膨張機18から排出された排気21も流通している。そのため、高圧気体19は、より高温である排気21により加熱される。再生器22を通過した高圧気体19は、弁14を介して蓄熱槽1に流入する。流入した高圧気体19は、蓄熱槽1内の蓄熱物質から加熱されて高温高圧気体20となる。
【0092】
蓄熱槽1から流出した高温高圧気体20は、膨張機18に流入する。高温高圧気体20が膨張機18内を低温低圧になりながら流通することによって、膨張機18が回転駆動する。これにより、圧縮機17も回転駆動する。さらに、発電機33が発電する。
【0093】
膨張機18から排出された排気21は、再生器22に流入し、高圧気体19を加熱した後、外界の大気へ流出される。
【0094】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態、および第3実施形態~第5実施形態と同じ効果が得られる。加えて、本実施形態では、内蔵電気ヒータ26が設けられているため、第1送風機3、弁12、および弁13が不要になる。そのため、システム構成をよりシンプルにすることが可能となる。
【0095】
また、本実施形態では、空気5を蓄熱槽1に搬送する必要がないため、この搬送に必要な電力が不要になる。その結果、システムの消費電力を低減する効果も得ることが可能となる。ただし、本実施形態では、蓄熱槽1の蓄熱に関して、内蔵電気ヒータ26自体の許容温度を考慮した運転が求められるため、蓄熱温度が制限される場合がある。そのため、高温の蓄熱温度が求められる場合には、第1実施形態~第5実施形態でそれぞれ説明したタービン発電システムを適用することが望ましい。なお、第1実施形態~第5実施形態の蓄熱槽1内部に内蔵電気ヒータ26を追加設置した構成にしても支障はない。
【0096】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。ここでは、従来技術や第1実施形態~第6実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0097】
第1実施形態~第5実施形態で説明した電気ヒータ2および第6実施形態で説明した内蔵電気ヒータ26は、電力余剰時の商用電力を使用する。一方、本実施形態では、電気ヒータ2および内蔵電気ヒータ26は、電力需給状況と無関係に自然エネルギにより発電した電力のみで発熱する。
【0098】
夜間や曇天では太陽光発電できないように、太陽光発電や風力発電のような自然エネルギによる発電は、自然状態に左右されて発電量が変動し、確実かつ安定的に発電することが困難である。
【0099】
そこで、本実施形態では、自然エネルギで発電した電気を電気ヒータ2または内蔵電気ヒータ26に通電する。電気ヒータ2または内蔵電気ヒータ26では、電気エネルギが熱エネルギに変換されて蓄熱槽1に貯蔵される。そして、電力が不足している時などに、蓄熱槽1に蓄積された熱を放出すると、ガスタービン、すなわち圧縮機17および膨張機18が回転駆動する。これにより、膨張機18に機械的に接続された発電機33が、発電する。
【0100】
以上説明した本実施形態によれば、自然エネルギを用いながら確実かつ安定的に発電することが可能となる。
【0101】
以上、実施形態を幾つか説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規なシステムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したシステムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0102】
1:蓄熱槽
2:電気ヒータ
3:第1送風機
4:第2送風機
5:空気
6:水
7:蒸気
8:復水ポンプ
9:ボイラ
10:蒸気タービン
11:復水器
12:弁
13:弁
14:弁
15:弁
16:大気
17:圧縮機
18:膨張機
19:高圧気体
20:高温高圧気体
21:排気
22:再生器
23:放熱器
24:第3送風機
25:冷却用大気
26:内蔵電気ヒータ
27:気体
28:熱交換器
29:第2搬送機
30:第1熱媒体
31:第2熱媒体
32:第1搬送機
33:発電機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7