IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧 ▶ タイファス コーポレーションの特許一覧 ▶ 株式会社イノファスの特許一覧 ▶ タカヤマ金属工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図1
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図2
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図3
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図4
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図5
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図6
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図7
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図8
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図9
  • 特開-筒状部材の製造方法および筒状部材 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106839
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】筒状部材の製造方法および筒状部材
(51)【国際特許分類】
   B21H 3/04 20060101AFI20240801BHJP
   B21D 39/04 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B21H3/04
B21D39/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011305
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519360051
【氏名又は名称】タイファス コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】523031666
【氏名又は名称】株式会社イノファス
(71)【出願人】
【識別番号】000108638
【氏名又は名称】タカヤマ金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】東 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】峯 永治
(72)【発明者】
【氏名】陳 義忠
(72)【発明者】
【氏名】青山 善之
(72)【発明者】
【氏名】玉岡 富彦
(57)【要約】
【課題】内周面に段差を有し、外周面に外ねじを有する筒状部材を効率よく製造可能な筒状部材の製造方法を提供する。
【解決手段】筒状部材の製造方法は、所定の軸方向に延びるとともに、軸方向において一定の内径および外径を有する第1の筒体を準備する工程と、第1の筒体の内周面との間に間隙を形成した状態で第1の筒体内に挿入可能な受け型を準備する工程と、軸方向に延び、受け型と前記第1の筒体との間の間隙に挿入可能な第2の筒体を準備する工程と、第1の筒体内に受け型が挿入され、かつ、第1の筒体と受け型との間の間隙に第2の筒体が挿入された状態で、第1の筒体と第2の筒体とが重なる領域に対して第1の筒体の外側から転造工具を押し当てることにより第1の筒体の外周面に外ねじ部を転造するとともに第1の筒体に対して第2の筒体を結合させる工程と、を含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に形成された外ねじ部と、前記外ねじ部の形成領域の内径が前記外ねじ部の形成領域以外の内径よりも小さくなるように形成された段差部と、を有する筒状部材を製造するための前記筒状部材の製造方法であって、
所定の軸方向に延びるとともに、前記軸方向において一定の内径および外径を有する第1の筒体を準備する工程と、
前記第1の筒体の内周面との間に間隙を形成した状態で前記第1の筒体内に挿入可能な受け型を準備する工程と、
前記軸方向に延び、前記受け型と前記第1の筒体との間の間隙に挿入可能な第2の筒体を準備する工程と、
前記第1の筒体内に前記受け型が挿入され、かつ、前記第1の筒体と前記受け型との間の間隙に前記第2の筒体が挿入された状態で、前記第1の筒体と前記第2の筒体とが重なる領域に対して前記第1の筒体の外側から転造工具を押し当てることにより前記第1の筒体の外周面に前記外ねじ部を転造するとともに前記第1の筒体に対して前記第2の筒体を結合させる工程と、を含む、筒状部材の製造方法。
【請求項2】
前記第1の筒体の内周面と前記第2の筒体の外周面とは、前記外ねじ部に沿った凹凸形状を有する凹凸部が形成されることにより結合される、請求項1に記載の筒状部材の製造方法。
【請求項3】
前記受け型は、前記間隙が前記軸方向に一定の大きさとなるように前記軸方向において一定の外径を有する円柱面を有し、
前記第2の筒体は、前記軸方向において一定の内径および外径を備えた円筒形状を有する、請求項1または請求項2に記載の筒状部材の製造方法。
【請求項4】
前記第1の筒体の前記軸方向の一方の端面と、前記第2の筒体の前記軸方向の一方の端面は前記軸方向に同じ位置にあり、前記第1の筒体と前記第2の筒体とが重なる領域は、前記第1の筒体および前記第2の筒体の前記軸方向の一方の端面から前記第1の筒体の前記軸方向の他方の端面の手前の位置まで延びている、請求項1または請求項2に記載の筒状部材の製造方法。
【請求項5】
筒状部材であって、
外周面に外ねじ部が形成された第1の筒体と、
前記外ねじ部の形成領域の内径が前記外ねじ部の形成領域以外の内径よりも小さくなるような段差部を形成するために前記第1の筒体の内周面に結合された第2の筒体と、を有し、
前記外ねじ部は、前記第1の筒体の外周面の、前記第1の筒体と前記第2の筒体とが重なる領域に形成され、
前記第1の筒体の内周面と前記第2の筒体の外周面とは、互いに圧着された状態で結合された圧着面を形成する、筒状部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状部材の製造方法、および筒状部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅等の建築物において、土間コンクリート等の基盤面上に設置され、床下地パネルを支持するための床束が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の床束は、表面に外ねじが形成され、鉛直方向に延びる棒状の第1支柱部と、第1支柱部の上部を受け入れるパイプ(筒状部)と当該パイプの下端に設けられた係合部材(外ネジ形成部材)とを有し第1支柱部に対して軸方向に沿って移動自在な第2支柱部と、第2支柱部の係合部材に係合され且つ第1支柱部の外ねじに螺合する調整ナット(操作部)と、係合部材に設けられた外ねじに螺合可能な内ねじを有し、調整ナットを所定の位置に固定するための固定ナット(締付部材)と、を備えている。
【0004】
このような構成の床束では、調整ナットを回転させることにより第1支柱部に対する第2支柱部の位置を調整することによって、床下地パネルの高さを所望の高さに調整することができる。また、固定ナットを係合部材の外ねじに螺合させて調整ナットを固定することによって、床下地パネルを所望の高さに保持することができる。
【0005】
特許文献1に記載の床束の係合部材は円筒形状の部材である。係合部材の内周面には、調整ナットの外周面に設けられた被係合部と係合可能な段差が形成されている。また、上述のように係合部材の外周面には、調整ナットを螺合させるための外ねじが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-110125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の床束において、係合部材をパイプとは別の部材として準備する場合、切削加工や押出加工によって筒体の内周面に段差を形成し、転造加工によって筒体の外周面に外ねじを形成することが考えられる。
【0008】
ここで、係合部材とパイプとを別の部材として準備する場合、互いに別々に準備されたパイプと係合部材とを取り付けるための工程が必要であった。このような工程を省略するため、外周面に外ねじ部を有し、内周面に段差を有する部分と、この部分から延びる筒状の部分とを有する筒状部材を効率よく製造することが求められている。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、内周面に段差部を有し、外周面に外ねじを有する筒状部材を効率よく製造可能な筒状部材の製造方法、およびこのような筒状部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、種々検討した結果、上記目的は、以下の発明により達成されることを見出した。
【0011】
上記課題を解決するために、第一の発明は、外周面に形成された外ねじ部と、前記外ねじ部の形成領域の内径が前記外ねじ部の形成領域以外の内径よりも小さくなるように形成された段差部と、を有する筒状部材を製造するための前記筒状部材の製造方法であって、所定の軸方向に延びるとともに、前記軸方向において一定の内径および外径を有する第1の筒体を準備する工程と、前記第1の筒体の内周面との間に間隙を形成した状態で前記第1の筒体内に挿入可能な受け型を準備する工程と、前記軸方向に延び、前記受け型と前記第1の筒体との間の間隙に挿入可能な第2の筒体を準備する工程と、前記第1の筒体内に前記受け型が挿入され、かつ、前記第1の筒体と前記受け型との間の間隙に前記第2の筒体が挿入された状態で、前記第1の筒体と前記第2の筒体とが重なる領域に対して前記第1の筒体の外側から転造工具を押し当てることにより前記第1の筒体の外周面に前記外ねじ部を転造するとともに前記第1の筒体に対して前記第2の筒体を結合させる工程と、を含む、筒状部材の製造方法である。
【0012】
第一の発明に係る製造方法によれば、転造により第1の筒体の外周面に外ねじが形成される。このとき、第1の筒体の周壁が内側に押圧され、第2の筒体が第1の筒体と受け型との間で挟圧される。これにより、第1の筒体の内周面と第2の筒体の外周面とが互いに圧着され、これにより両筒体を結合することができ、第1の筒体の内周面に段差部を形成することができる。したがって、第一の発明に係る製造方法によれば、周面に段差部を有し、外周面に外ねじを有する筒状部材を効率よく製造することができる。
【0013】
第二の発明は、第一の発明において、前記第1の筒体の内周面と前記第2の筒体の外周面とは、前記外ねじ部に沿った凹凸形状を有する凹凸部が形成されることにより結合されることが好ましい。
【0014】
第二の発明によれば、第1の筒体の内周面および第2の筒体の外周面に互いに噛み合う凹凸形状が形成され、第1の筒体に対して第2の筒体が軸方向に移動する抵抗力を高めることができ、より強固に第1の筒体と第2の筒体とを結合することができる。
【0015】
第三の発明は、第一の発明または第二の発明において、前記受け型は、前記間隙が前記軸方向に一定の大きさとなるように前記軸方向において一定の外径を有する円柱面を有し、前記第2の筒体は、前記軸方向において一定の内径および外径を備えた円筒形状を有することが好ましい。
【0016】
第三の発明によれば、第1の筒体の内径が一定であり、第2の筒体の外径も一定であるため、第1の筒体と第2の筒体とを確実に結合させることができる。さらに、第2の筒体の内径が一定であることから、段差部の高さも周方向で一定とすることができる。
【0017】
第四の発明は、第一の発明から第三の発明のいずれか一つの発明において、前記第1の筒体の前記軸方向の一方の端面と、前記第2の筒体の前記軸方向の一方の端面は前記軸方向に同じ位置にあり、前記第1の筒体と前記第2の筒体とが重なる領域は、前記第1の筒体および前記第2の筒体の前記軸方向の一方の端面から前記第1の筒体の前記軸方向の他方の端面の手前の位置まで延びていることが好ましい。
【0018】
第四の発明によれば、第1の筒体と第2の筒体とが重なる領域が第1の筒体の軸方向の一方の端面から延びているため、外ねじ部を第1の筒体の端面から所定範囲に亘って形成することができる。
【0019】
第五の発明は、外周面に外ねじ部が形成された第1の筒体と、前記外ねじ部の形成領域の内径が前記外ねじ部の形成領域以外の内径よりも小さくなるような段差部を形成するために前記第1の筒体の内周面に結合された第2の筒体と、を有し、前記外ねじ部は、前記第1の筒体の外周面の、前記第1の筒体と前記第2の筒体とが重なる領域に形成され、前記第1の筒体の内周面と前記第2の筒体の外周面とは、互いに圧着された状態で結合された圧着面を形成する、筒状部材である。
【0020】
第五の発明によれば、第1筒体と第2の筒体とが圧着されることにより結合されている。そのため、外周面に形成された外ねじ部と、外ねじ部の形成領域の内径が外ねじ部の形成領域以外の内径よりも小さくなるように形成された段差部とを有する筒状部材を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、内周面に段差部を有し、外周面に外ねじを有する筒状部材を容易に製造可能な筒状部材の製造方法、およびこのような筒状部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る床束が適用された床構造の正面から見た部分断面図である。
図2図2は、床束の第1支柱部と第2支柱部との接続部の断面斜視図である。
図3図3は、床束の第1支柱部と第2支柱部との接続部の分解斜視図である。
図4図4は、第2支柱部の筒状部の下端部の正面断面図である。
図5図5は、筒状部の製造方法を示す断面図であり、第1の筒体に支持体および第2の筒体を挿入する前の第1の筒体と支持体と第2の筒体の状態を示す図である。
図6図6は、筒状部の製造方法を示す断面図であり、第1の筒体に支持体の受け型および第2の筒体を挿入した状態を示す図である。
図7図7は、筒状部の製造方法を示す断面図であり、転造工具によって外ねじ部を転造している状態を示す図である。
図8図8は、床束に備えられた調整機構の構成要素である操作部材を示す図であって、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
図9図9は、調整機構の構成要素である連結部材を示す図であって、(A)は斜視図であり、(B)は上から見た平面図である。
図10図10は、調整機構の構成要素である締付部材を示す図であって、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る筒状部材およびこの筒状部材を備える床束が適用された床構造について図面に基づいて説明する。本実施形態に係る床構造は、図1に示すように、床下地パネル10と、建築物の基盤面9上に設置され、床下地パネル10を支持するための鋼製の床束1と、を備えている。なお、基盤面9とは、例えば土間コンクリート、基礎スラブ、束石の上面等を含み、床束を設置する基盤となる面をいい、水平方向に延びる。
【0024】
図1は、本実施形態に係る床束が適用された床構造の正面から見た部分断面図である。図2は、床束の第1支柱部と第2支柱部との接続部の断面斜視図である。図3は、床束の第1支柱部と第2支柱部との接続部の分解斜視図である。図4は、第2支柱部の筒状部の下端部の正面断面図である。
【0025】
床束1は、基盤面9に設置されるベース2と、ベース2から上方に延びる第1支柱3と、第1支柱3から上方に延びて床下地パネル10を保持する第2支柱4と、床束1の全長を調整するための調整機構5と、を備えている。
【0026】
床束1において、第1支柱3と第2支柱4とは、それぞれの中心軸が同一の軸線上に位置するように設けられる。前記軸線に沿った軸方向は上下方向に一致し、当該軸方向と直交する第1支柱3および第2支柱4の径方向は基盤面9と平行である。
【0027】
ベース2は、基盤面9に沿った姿勢で基盤面9に固定されている。具体的に、ベース2は、基盤面9に対してコンクリートピン91が打ち込まれることによって、基盤面9に固定されている。
【0028】
第1支柱3はベース2の上面から上に延びている。具体的に、第1支柱3は、上下方向に延びる円柱状に形成された中実軸である。第1支柱3は、その外周面に形成された雄ねじ部31を有する。
【0029】
第2支柱4は、第1支柱3の上部を受け入れるために円筒状に形成された筒状部41(筒状部材)と、筒状部41の上部に取り付けられ、床下地パネル10を保持するための保持部42と、を有している。
【0030】
図1~3に示すように、筒状部41の下端部の外周面には外ねじ部41aが形成され、筒状部41の下端部の内周面には第1被係合部41b(段差部)が形成されている。より詳しくは、図4に示すように、筒状部41は、外周面に外ねじ部41aが形成された第1の筒体411と、第1の筒体411の内周面において第1の筒体411に結合され、外ねじ部41aの形成領域の内径D1が外ねじ部41aの形成領域R以外の内径D2よりも小さくなるように第1被係合部41bを形成する第2の筒体412と、を有する。
【0031】
外ねじ部41aは、第1の筒体411の外周面の、第1の筒体411と第2の筒体412とが重なる領域Rに形成される。外ねじ部41aは、第1の筒体411と第2の筒体412とが重なる領域Rの一部にのみ形成してもよい。
【0032】
第1の筒体411の内周面と第2の筒体412の外周面とは、互いに圧着された状態で結合された圧着面41cを形成する。本実施形態では、圧着面41cは、外ねじ部41aの内側において外ねじ部41aに沿った凹凸形状を有する凹凸部を有する。
【0033】
図5~7は、筒状部41の製造方法を示す断面図である。図5は、結合させる前の第1の筒体411と受け型21と第2の筒体412の位置関係を示す図である。図6は、第1の筒体411と受け型21の被挿入部21bと第2の筒体412とを結合させた状態を示す図である。図7は、転造工具25によって外ねじ部41aを転造する状態を示す図である。以下、図5~7を参照して本実施形態に係る筒状部41の製造方法を説明する。
【0034】
筒状部41の製造方法は、所定の軸方向に延びるとともに、軸方向において一定の内径および外径を有する第1の筒体411を準備する第1の筒体準備工程と、第1の筒体411の内周面との間に間隙を形成した状態で第1の筒体411内に挿入可能な受け型21を準備する受け型準備工程と、軸方向に延び、受け型21と第1の筒体411との間の間隙G(図6参照)に挿入可能な第2の筒体412を準備する第2の筒体準備工程と、第1の筒体411内に受け型21が挿入され、かつ、第1の筒体411と受け型21との間の間隙Gに第2の筒体412が挿入された状態で、第1の筒体411と第2の筒体412とが重なる領域Rに対して第1の筒体411の外側から転造工具25を押し当てることにより第1の筒体411の外周面に外ねじ部41aを転造するとともに第1の筒体411に対して第2の筒体412を結合させる転造工程と、を含む。
【0035】
より具体的には、第1の筒体準備工程では、図5に示すように、第1の筒体411を準備する。本実施形態では、第1の筒体411は、一定の内径および外径を有する。
【0036】
受け型準備工程では、受け型21を準備する。受け型21は、基部21aと、基部21aから軸方向に突出し、第1の筒体411の内周面との間に間隙を形成した状態で第1の筒体411内に挿入可能な被挿入部21bと、を有する。基部21aの外径は、少なくとも第2の筒体412の端面を位置決めするとともに第2の筒体412を抜け止めするように、被挿入部21bの外径よりも大きい。そのため、第2の筒体412を被挿入部21bに挿入し、基部21aに当接させた状態とすることにより、転造工程において、被挿入部21bとともに第1の筒体411の所定の位置に挿入された第2の筒体412が、軸方向において、第1の筒体411に対して受け型21側に変位するのを抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態では、基部21aの外径は、第1の筒体411の内径よりも大きい。これにより、例えば、第2の筒体412を被挿入部21bに挿入し、基部21aに当接させた状態で、基部21aに第1の筒体411が当接するまで第2の筒体412を第1の筒体411に挿入することで、第1の筒体411の軸方向の一方の端面と第2の筒体412の軸方向の一方の端面を容易に揃えることができる。また、転造工程において、転造工具25に押圧された第1の筒体411が軸方向の一方側に変型するのを基部21aによって抑制することができるため、第1の筒体411を径方向の内側、すなわち第2の筒体412に強く押し付けることができる。
【0038】
被挿入部21bは、間隙Gが軸方向に一定の大きさとなるように軸方向において一定の外径を有する円柱面を有する。そのため、第1の筒体411に一方の端部から受け型21の被挿入部21bを挿入することにより、図6に示すように、被挿入部21bの外周面と第1の筒体411の内周面との間に間隙Gが形成される。
【0039】
第2の筒体準備工程では、第2の筒体412を準備する。第2の筒体412は、受け型21と第1の筒体411との間の間隙Gに挿入可能な筒状の部材である。具体的に、第2の筒体412の外径は第1の筒体411の内径以下であり、第2の筒体412の内径は受け型21の被挿入部21bの外径以上である。本実施形態では、第2の筒体412は、軸方向において一定の内径および外径を備えた円筒形状を有する。以下では、第2の筒体412が第1の筒体411の全体に挿入された場合について説明するが、第2の筒体412の一部が第1の筒体411から受け型21側に露出していてもよい。
【0040】
第1の筒体411、受け型21および第2の筒体412を準備した後、転造工程では、図6に示すように、第1の筒体411内に受け型21の被挿入部21bが挿入され、かつ、第1の筒体411と被挿入部21bとの間の間隙Gに第2の筒体412が挿入された状態とする。本実施形態では、第1の筒体411と第2の筒体412とが重なる領域Rは、第1の筒体411の軸方向の一方の端面から軸方向の他方の端面の手前の位置まで延びている。具体的に、第1の筒体411内に受け型21の被挿入部21bおよび第2の筒体412を挿入する際に、被挿入部21bに第2の筒体412を基部21aに突き当たるまで挿入してから、被挿入部21bおよび第2の筒体412を第1の筒体411内に挿入することが好ましい。これにより、被挿入部21bおよび第2の筒体412の挿入時において、被挿入部21bに対する第2の筒体412の移動が基部21aによって規制される。さらに、被挿入部21bおよび第2の筒体412を、基部21aの被挿入部21b側の端面が第1の筒体411軸方向の一方の端面と軸方向に同じ位置となるように挿入することにより、第1の筒体411と第2の筒体412とが重なる領域Rの一方の端部を、第1の筒体411の軸方向の一方の端面に容易に合わせることができる。
【0041】
そして、転造工程では、上記のように第1の筒体411と被挿入部21bとの間の間隙Gに第2の筒体412が挿入された状態で、第1の筒体411と第2の筒体412とが重なる領域Rに対して第1の筒体411の外側から転造工具25を押し当てる。これにより、図7に示すように、転造工具25と受け型21の被挿入部21bとによって第1の筒体411および第2の筒体412が加圧され、第1の筒体411の外周面の領域Rに外ねじ部41aが転造される。なお、外ねじ部41aを転造する際に、第1の筒体411の領域Rの上方向側に、内径が内径D2よりも小さく内径D1よりも大きい内径D3となる部分が生じてもよい。
【0042】
また、転造工程では、転造工具25によって、第1の筒体411の外周面に外ねじ部41aが転造されるだけでなく、第1の筒体411の周壁が内側に押圧され、第2の筒体412が第1の筒体411と被挿入部21bとの間で狭圧されることにより、第1の筒体411が径方向の内側に変型して第1の筒体411の内周面と第2の筒体412の外周面とが互いに圧着され、圧着面41cが形成される。これにより、第1の筒体411に対して第2の筒体412を結合させることができ、筒状部41が完成する。
【0043】
転造工程において、第1の筒体411と受け型21の被挿入部21bとの間に第2の筒体412を配置せずに第1の筒体411の内径に見合った外径の被挿入部21bを有する受け型21を用いて転造を行う場合、例えば、第1の筒体411の外ねじ部41aが転造される領域の肉厚が、外ねじ部41aのねじ山の高さ(山と谷の高さの差)よりも小さい場合だけでなく、同じかそれよりも大きい場合であっても第1の筒体411に破断等が生じるおそれがある。
【0044】
しかし、本実施形態のように、被挿入部21bの外周面と第1の筒体411の内周面との間に間隙Gを設け、この間隙Gに、第2の筒体412を挿入した場合、第1の筒体411の肉厚と外ねじ部41aのねじ山の高さの関係が、上記のように第1の筒体411に破断等が生じるおそれがある関係であっても、第1の筒体411および第2の筒体412の合計の肉厚として転造に必要な肉厚を確保することによって、外ねじ部41aを転造することができる。第1の筒体411および第2の筒体412の合計肉厚は、外ねじ部41aのねじ山の高さより大きいことが望ましい。合計肉厚を外ねじ部41aのねじ山の高さより大きくすることにより、転造工程において第1の筒体411および第2の筒体412に破断等が生じるのを抑制することができる。また、この場合において、第1の筒体411の肉厚を外ねじ部41aのねじ山の高さより大きくすることがより望ましい。第1の筒体411の肉厚を外ねじ部41aのねじ山の高さより大きくすることにより、転造工程において第1の筒体411および第2の筒体412に破断等が生じるのをより抑制することができる。
【0045】
上記のように第1の筒体411および第2の筒体412の合計の肉厚として転造に必要な肉厚を確保した状態において、第1の筒体411の外ねじ部41aが転造される領域の肉厚が、外ねじ部41aのねじ山の高さに対して比較的小さい場合、第1の筒体411と第2の筒体412とを圧着する圧着面41cとして、外ねじ部41aに沿った凹凸形状を有する凹凸部が形成されることがある。これにより、第1の筒体411と第2の筒体412とを強固に結合することができる。
【0046】
一方、上記のように第1の筒体411および第2の筒体412の合計の肉厚として転造に必要な肉厚を確保した状態において、第1の筒体411の外ねじ部41aが転造される領域の肉厚が、外ねじ部41aのねじ山の高さに対して比較的大きい場合、圧着面41cに凹凸部は形成されにくいものの、転造工具25によって第1の筒体411を径方向の内側に押し付けることにより、第1の筒体411と第2の筒体412とを圧着することができる。
【0047】
ここで、転造工程においては、以下のように第1の筒体411の軸方向への変型を抑えるための処理を施すことにより、より有効に第1の筒体411と第2の筒体412とを圧着することができる。具体的に転造工程において、第1の筒体411の内径よりも大きな外径を有する基部21aを第1の筒体411の軸方向の一方の端面に密着させた状態で転造工具25を押し当てることにより、転造工具25に押圧された第1の筒体411が軸方向の一方側に変型するのを基部21aによって抑制することができるため、第1の筒体411を径方向の内側、すなわち第2の筒体412に強く押し付けることができる。第1の筒体411と第2の筒体412と被挿入部21bは、互いに隙間なく挿入されることが好ましい。
【0048】
なお、第1の筒体411の肉厚が、外ねじ部41aのねじ山の高さに対して比較的に余裕がある場合には、第1の筒体411と第2の筒体412とが重なる領域Rを超えて、外ねじ部41aを転造することができる。
【0049】
このようにして製造された筒状部41を備える第2支柱4は、図1に示されるように、筒状部41に第1支柱3の上部が挿入された状態において、第1支柱3に対して軸方向(上下方向)に沿って移動自在に設けられる。
【0050】
保持部42は、第2支柱4の上端部に設けられ、平板状の板体によって構成される。保持部42は、その上面において床下地パネル10を下方から保持する。保持部42は、床下地パネル10に対してビス101が打ち込まれることで、床下地パネル10に固定される。
【0051】
本実施形態に係る床束1では、基盤面9に設置されたベース2から上方に延びる第1支柱3に対し、第2支柱4を軸方向(上下方向)に沿って移動させることにより、保持部42に保持された床下地パネル10の高さ調整を行うことができる。
【0052】
床束1において、床下地パネル10の高さ調整を行う、すなわち、第2支柱4の第1支柱3に対する軸方向(上下方向)の位置調整を行うための部分が、調整機構5である。調整機構5は、図1~3に示すように、操作部材6(調整ナット)と、連結部材7と、を有する。
【0053】
操作部材6は、第1支柱3に対して軸方向(上下方向)に移動自在に外挿され、床下地パネル10の高さ調整を行う際に操作される。図8に示されるように、操作部材6は、操作部61と、挿入部62とを有している。
【0054】
操作部61は、操作部材6の軸方向(上下方向)に沿った移動のための操作力が付与される部分である。操作部61は、第1支柱3と対向する内周面に雄ねじ部31と螺合する雌ねじ部6Aを有し、外周面が例えば六角形状に形成されたナット部である。操作部61は、操作部材6の軸方向(上下方向)に沿った移動のために、第1支柱3回りに回転操作される。
【0055】
挿入部62は、操作部61の上方に設けられた円筒状の部分であり、第1支柱3の雄ねじ部31に操作部61の雌ねじ部6Aが螺合した状態で、第2支柱4の筒状部41内に下方から挿入される。挿入部62は、操作部61と同様に、第1支柱3と対向する内周面に雄ねじ部31と螺合する雌ねじ部6Aを有している。更に、挿入部62は、その外周面に形成された第2被係合部621を有している。第2被係合部621は、挿入部62の外周面において周方向の全体に亘って径方向の内方側に凹んだ円環状の凹部である。
【0056】
連結部材7は、第1支柱3の雄ねじ部31に操作部61の雌ねじ部6Aが螺合された状態の操作部材6とは別個独立の部材であって、当該操作部材6と第2支柱4とを連結する。図9に示されるように、連結部材7は、例えば、矩形平板状の鋼板を円筒形状となるように湾曲させることにより作製される。連結部材7は、連結本体部71と、第1係合部72と、第2係合部73と、連結フランジ部74と、を有している。
【0057】
連結本体部71は、円筒形状を有して連結部材7の本体部分を構成し、第2支柱4における筒状部41の下部に内挿されるとともに第1支柱3に対して外挿される。連結フランジ部74は、連結本体部71の下端から径方向の外方に突出したフランジ部である。連結フランジ部74は、連結本体部71が第2支柱4における筒状部41に内挿された状態で、当該筒状部41の下端に下方から当接する。筒状部41の下端に対する連結フランジ部74の当接によって、筒状部41に内挿される連結本体部71の軸方向(上下方向)に関する位置が位置決めされる。連結部材7は、連結フランジ部74が筒状部41の下端に下方から当接した状態において、第2支柱4及び操作部材6に対して軸方向(上下方向)の移動が規制される。
【0058】
第1係合部72は、連結本体部71に設けられ、第2支柱4における筒状部41の内周面に形成された第1被係合部41bに係合する。第1係合部72は、連結フランジ部74が筒状部41の下端に下方から当接した状態で、操作部材6における操作部61の筒状部41に対する軸方向(上下方向)の移動を規制するとともに回転を許容するように、第1被係合部41bに係合する。第2係合部73は、連結本体部71に設けられ、操作部材6における挿入部62の外周面に形成された第2被係合部621に係合する。第2係合部73は、連結フランジ部74が筒状部41の下端に下方から当接した状態で、操作部材6における操作部61の連結本体部71に対する軸方向(上下方向)の移動を規制するとともに回転を許容するように、第2被係合部621に係合する。
【0059】
第1係合部72が第1被係合部41bに係合するとともに第2係合部73が第2被係合部621に係合し、且つ、連結フランジ部74が筒状部41の下端に下方から当接した状態において、操作部材6は、操作部61の回転に応じて第1支柱3に対して軸方向(上下方向)に移動可能である一方、第2支柱4及び連結部材7に対しては軸方向の移動が規制される。
【0060】
図9に示されるように、連結部材7において、第1係合部72は、連結本体部71の周方向に等間隔に配置された複数の第1係合片721によって構成されてもよい。同様に、第2係合部73は、連結本体部71の周方向に等間隔に配置された複数の第2係合片731によって構成されてもよい。複数の第1係合片721は、連結本体部71における軸方向の中央よりも上方の領域に、周方向に等間隔に配置される。一方、複数の第2係合片731は、連結本体部71における軸方向の中央よりも下方の領域に、周方向に等間隔に配置される。この場合、連結本体部71の周方向において、第1係合片721と第2係合片731とが交互に配置される。なお、複数の第1係合片721と複数の第2係合片731とは、連結本体部71において、軸方向に同一の位置で、周方向に交互に配置されてもよい。
【0061】
複数の第1係合片721はそれぞれ、連結本体部71の所定位置から径方向の外方に向かって下方に延びる片部である。一方、複数の第2係合片731はそれぞれ、連結本体部71の所定位置から径方向の内方に向かって上方に延びる片部である。
【0062】
連結部材7は、第1係合部72の複数の第1係合片721が第2支柱4の第1被係合部41bに係合するとともに、第2係合部73の複数の第2係合片731が操作部材6の第2被係合部621に係合し、且つ、連結フランジ部74が筒状部41の下端に下方から当接することにより、操作部材6と第2支柱4とを連結する。
【0063】
連結部材7では、第1係合部72の複数の第1係合片721が第1被係合部41bに係合するとともに第2係合部73の複数の第2係合片731が第2被係合部621に係合し、且つ、連結フランジ部74が筒状部41の下端に下方から当接した状態において、連結本体部71は、軸方向(上下方向)と交差する方向の力の作用に応じて変形可能である。
【0064】
床束1においては、基盤面9に設置されたベース2から上方に延びる第1支柱3に操作部材6が外挿された状態で、操作部材6の操作部61の雌ねじ部6Aが第1支柱3の雄ねじ部31と螺合するとともに操作部材6の挿入部62が第2支柱4の筒状部41内に挿入され、操作部材6と第2支柱4とが連結部材7によって連結される。連結部材7は、連結本体部71に設けられた第1係合部72が第2支柱4における筒状部41の第1被係合部41bに係合するとともに、連結本体部71に設けられた第2係合部73が操作部材6における挿入部62の第2被係合部621に係合し、且つ、連結フランジ部74が筒状部41の下端に下方から当接することにより、操作部材6と第2支柱4とを連結する。
【0065】
このような構成の床束1では、スパナ等の工具を用いて操作部61を第1支柱3回りに回転させるという操作部61の回転操作によって、操作部61の雌ねじ部6Aが第1支柱3の雄ねじ部31に螺合した状態で、第1支柱3に沿って軸方向(上下方向)に操作部材6が移動する。この操作部材6の移動に応じて、連結部材7によって操作部材6に連結された第2支柱4を第1支柱3に対して軸方向(上下方向)に移動させることができる。これにより、第2支柱4の保持部42に保持された床下地パネル10の高さ調整が可能となる。
【0066】
本実施形態に係る床束1では、図1図3に示されるように、調整機構5は、上記の操作部材6及び連結部材7に加えて、締付部材8を更に含む。そして、操作部材6は、上記の操作部61及び挿入部62に加えて、弾性部63を更に有している。
【0067】
操作部材6において、弾性部63は、操作部61の下方に設けられ、軸方向(上下方向)と交差する所定方向の押圧力の付与による弾性変形によって操作部材6の第1支柱3に対する軸方向の移動を規制することにより、第2支柱4の軸方向の移動を規制する。弾性部63は、締付部材8によって押圧される。
【0068】
締付部材8は、操作部材6の下方側において、第1支柱3に対して外挿される。締付部材8は、図1に示されるように、第1支柱3との間に隙間GPが形成されるように、当該第1支柱3に外挿される。図10に示されるように、締付部材8は、第2支柱4における筒状部41の外周面に形成された外ねじ部41aに螺合する内ねじ部811と、内ねじ部811の螺合に応じて弾性部63を前記所定方向に押圧する押圧部82と、を有している。
【0069】
押圧部82は、中央に第1支柱3に挿通可能な円形の開口部821を有した筒状に形成される。押圧部82においては、開口部821を画定する第1支柱3と対向する内周面が、弾性部63を押圧する押圧面部822となる。押圧部82の押圧面部822は、ねじ部が形成されておらず、弾性部63を押圧した状態で第1支柱3との間に隙間GPを有している。すなわち、押圧部82は、第1支柱3の雄ねじ部31と螺合するものではない。
【0070】
また、締付部材8は、押圧部82の上端から上方に延びる筒状に形成され、内ねじ部811が設けられた筒部81を有している。すなわち、内ねじ部811は、筒部81の内周面に形成されている。内ねじ部811は、第2支柱4における筒状部41の外周面に形成された外ねじ部41aと螺合するねじ部であって、第1支柱3の雄ねじ部31と螺合するものではない。筒部81において、内ねじ部811が形成され、第1支柱3と対向する内周面は、第1支柱3との間に隙間GPを有している。そして、締付部材8は、内ねじ部811が第2支柱4における筒状部41の外ねじ部41aと螺合した状態で、筒部81によって操作部材6の操作部61を覆う。なお、筒部81の外周面は、スパナ等の工具を用いた締付操作が可能となるように、例えば六角形状に形成されている。
【0071】
操作部材6における操作部61の回転操作による床下地パネル10の高さ調整の作業後において、第1支柱3に外挿された締付部材8の内ねじ部811と第2支柱4の外ねじ部41aとの螺合に応じて、締付部材8の押圧部82が操作部材6の弾性部63を押圧する。押圧部82によって押圧力が付与されると、弾性部63は、径方向に弾性変形し、第2支柱4の軸方向(上下方向)の移動を規制する。これにより、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。より詳しく説明すると、内ねじ部811と外ねじ部41aとの螺合が可能な位置に締付部材8を配置した状態で、例えば六角形状の外周面を有した筒部81を、スパナ等の工具を用いて第2支柱4回りに回転させる。これにより、締付部材8の内ねじ部811と第2支柱4の外ねじ部41aとの螺合に応じて締付部材8が、第2支柱4に近接するように軸方向に沿って上方に移動する。この締付部材8の移動に伴って押圧部82が、操作部材6の弾性部63を押圧する。これにより、弾性部63が径方向に弾性変形して第2支柱4の軸方向(上下方向)の移動を規制し、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。
【0072】
また、締付部材8の内ねじ部811と第2支柱4の外ねじ部41aとが螺合した状態において、操作部材6の操作部61は締付部材8の筒部81によって覆われている。これにより、床下地パネル10の高さ調整後に操作部61が誤操作されることを防止することができる。また、床下地パネル10の高さ調整の作業を行う際に操作部61を操作するときには、内ねじ部811と外ねじ部41aとの間の螺合を解除し、締付部材8を軸方向(上下方向)に自由に移動させることで、操作部61を露出させることができる。この際、締付部材8は、第1支柱3との間に隙間GPを有して当該第1支柱3に外挿されているので、第1支柱3の雄ねじ部31と螺合する部分を有していない。これにより、締付部材8の内ねじ部811と第2支柱4の外ねじ部41aとの間の螺合の解除によって確実に、締付部材8を軸方向に自由に移動させることができる。
【0073】
本実施形態では、操作部材6において弾性部63は、操作部61から下方に延びるとともに径方向に弾性変形可能な複数の弾性片631によって構成される。複数の弾性片631は、第1支柱3を外方から取り囲むように、互いに所定の間隔を隔てて操作部61から下方に延びる。各弾性片631は、第1支柱3と対向する内周面に、第1支柱3の雄ねじ部31と螺合する雌ねじ部6Aを有している。このような構成の弾性部63に対して、締付部材8の押圧部82は、内ねじ部811の外ねじ部41aとの螺合に応じて、弾性部63を構成する複数の弾性片631を、第1支柱3に向かって径方向に押圧する。これにより、押圧部82は、雌ねじ部6Aが第1支柱3の雄ねじ部31と螺合した状態で各弾性片631を、径方向に弾性変形させつつ第1支柱3に対して圧着させることができる。各弾性片631の第1支柱3に対する圧着によって、当該各弾性片631と一体の操作部材6の第1支柱3に対する軸方向(上下方向)の移動を規制し、これに伴って連結部材7によって操作部材6と連結された第2支柱4の軸方向(上下方向)の移動を規制することができる。これにより、高さ調整後の床下地パネル10の高さ位置の保持が可能となる。
【0074】
また、操作部材6において弾性部63を構成する各弾性片631は、その外周面に、下方に向かうに従い外径が小径となるテーパー面部632を有している。そして、締付部材8の押圧部82の押圧面部822は、テーパー面部632に沿って下方に向かうに従い外径が小径となる形状に形成され、各弾性片631のテーパー面部632を外側から押圧する。既述の通り、内ねじ部811と外ねじ部41aとの螺合が可能な位置に締付部材8を配置した状態で筒部81をスパナ等の工具を用いて第2支柱4回りに回転させると、締付部材8の内ねじ部811と第2支柱4の外ねじ部41aとの螺合に応じて締付部材8が、第2支柱4に近接するように軸方向に沿って上方に移動する。この締付部材8の移動に伴って押圧部82が各弾性片631を押圧する。この際、各弾性片631において押圧部82による押圧対象の部分がテーパー面部632であることによって、締付部材8の軸方向に沿った移動の力を径方向の押圧力に変換することができる。これにより、内ねじ部811と外ねじ部41aとの螺合に応じて締付部材8の押圧部82は、第1支柱3に向かってより確実に各弾性片631を、径方向に押圧することができる。
【0075】
(作用、効果)
上記実施形態に係る製造方法によれば、第1の筒体411に外ねじ部41aを形成することにより、第1の筒体411に第2の筒体412を結合させて第1被係合部41bを形成することもでき、効率よく筒状部41を製造することができる。
【0076】
上記実施形態に係る製造方法によれば、第1の筒体411の内周面および第2の筒体412の外周面に互いに噛み合う凹凸形状が形成され、第1の筒体411に対して第2の筒体412が軸方向に移動する抵抗力を高めることができ、より強固に第1の筒体411と第2の筒体412とを結合することができる。
【0077】
また、上記実施形態に係る製造方法によれば、第1の筒体411の内径が一定であり、第2の筒体412の外径も一定であるため、第1の筒体411と第2の筒体412とを確実に結合させることができる。さらに、第2の筒体412の内径が一定であることから、第1被係合部41bの高さも周方向で一定とすることができる。
【0078】
さらに、第1の筒体411と第2の筒体412とが重なる領域Rが第1の筒体411の軸方向の一方の端面から延びているため、外ねじ部41aを第1の筒体411の端面から所定範囲に亘って形成することができ、第1の筒体411の端面から床束の操作部材6(調整ナット)を外ねじ部41aに螺合させることができる。
【0079】
上記実施形態に係る筒状部41によれば、第1の筒体411と第2の筒体412とが強固に結合され、内周面に第1被係合部41bを有し、外周面に外ねじ部41aを有する筒状部41を得ることができる。
【符号の説明】
【0080】
21b 受け型
25 転造工具
41 筒状部(筒状部材)
41a 外ねじ部
41b 第1被係合部(段差部)
41c 圧着面
411 第1の筒体
412 第2の筒体
D1 外ねじ部の形成領域の内径
D2 外ねじ部の形成領域以外の内径
D3 外ねじ部の形成領域以外の内径
G 受け型と第1の筒体との間の間隙
R 第1の筒体と第2の筒体とが重なる領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10