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  • 特開-遮音壁、及び遮音壁の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106842
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】遮音壁、及び遮音壁の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/82 20060101AFI20240801BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
E04B1/82 W
E04B2/74 551A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011308
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 弘之
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DF02
2E001DF04
2E001FA03
2E001HA32
2E001HA33
(57)【要約】
【課題】施工時の手間を軽減しつつ遮音性を確保することが可能な遮音壁を提供すること。
【解決手段】遮音壁100は、複数の第1間柱10A,10Bと、複数の第1間柱10A,10Bの間であり、壁の厚さ方向において複数の第1間柱10A,10Bに対してずれた位置にある第2間柱20と、複数の第1間柱10A,10Bに取り付けられ、第2間柱20に接触しない第1壁面材30と、壁の厚さ方向において第1壁面材30と対向し、第2間柱20に取り付けられ、第1間柱10A,10Bに接触しない第2壁面材40と、複数の第1間柱10A,10Bの間で、第1壁面材30の内側に取り付けられた遮音面材50A,50Bと、壁の厚さ方向において、遮音面材50A,50Bと第2壁面材40との間に存在する吸音材60と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1間柱と、
前記複数の第1間柱の間であり、壁の厚さ方向において前記複数の第1間柱に対してずれた位置にある第2間柱と、
前記複数の第1間柱に取り付けられ、前記第2間柱に接触しない第1壁面材と、
前記壁の厚さ方向において前記第1壁面材と対向し、前記第2間柱に取り付けられ、前記第1間柱に接触しない第2壁面材と、
前記複数の第1間柱の間で、前記第1壁面材の内側に取り付けられた遮音面材と、
前記壁の厚さ方向において、前記遮音面材と前記第2壁面材との間に存在する吸音材と、を備えることを特徴とする遮音壁。
【請求項2】
前記吸音材は、前記壁の厚さ方向において前記遮音面材と前記第2間柱との間に存在し、前記複数の第1間柱の間で連続することを特徴とする請求項1に記載の遮音壁。
【請求項3】
前記壁の厚さ方向において、前記第2間柱の幅は、前記第1間柱の幅よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の遮音壁。
【請求項4】
前記壁の厚さ方向において、前記第2間柱と前記第1壁面材との間の隙間は、前記第1間柱と前記第2壁面材との間の隙間よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の遮音壁。
【請求項5】
既存の複数の第1間柱と、前記複数の第1間柱に取り付けられた既存の第1壁面材と、を再利用して遮音壁を施工する遮音壁の施工方法であって、
壁の厚さ方向において前記第1壁面材に対向する既存の壁面材を撤去する工程と、
前記第1壁面材の内側に遮音面材を取り付ける工程と、
前記複数の第1間柱の間に、吸音材を施工する工程と、
前記複数の第1間柱の間であり、前記壁の厚さ方向において前記第1壁面材との間に隙間を形成するように、前記複数の第1間柱に対してずれた位置に第2間柱を施工する工程と、
前記壁の厚さ方向において前記第1壁面材と対向する第2壁面材を前記第2間柱に取り付ける工程とを含み、
前記第2壁面材を前記第2間柱に取り付ける工程では、前記壁の厚さ方向において、前記第1間柱との間に隙間を形成するように、前記第2壁面材を前記第2間柱に取り付けることを特徴とする遮音壁の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮音壁、及び遮音壁の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば中空二重壁で構成される間仕切壁において、壁の厚さ方向に対向する板状の壁構成材同士を、壁下地を介して互いに連結させない構造がある。一般的には、壁下地を千鳥配置することにより、壁の厚さ方向に対向する壁構成材同士を連結しないようにしている。
【0003】
一方、壁の厚さ方向に対向する壁構成材同士を連結させないようにするために、壁構成材の内面側に配置された遮音面材の配置を変えている構造もある。この構造では、壁下地を千鳥配置しないで、壁の厚さ方向に対向する壁構成材を連結しないようにできる(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載の間仕切壁では、壁の厚さ方向に対向する一方の遮音面材が接する壁下地に対して、壁の厚さ方向に対向する他方の遮音面材が接しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-114959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の遮音壁では、壁構成材の内面側に遮音面材を貼り付けた後に、この壁構成材を壁下地に取り付ける必要がある。内面側に貼り付けられた遮音面材の位置を壁構成材の外面側から確認することは容易ではなく、壁下地に対して遮音面材が接触する位置と、壁下地に対して遮音面材が接触しない位置とを、外面側から確認して壁構成材を施工するには、手間がかかる。また、壁構成材に対して遮音面材を正確に貼る必要があることから位置決めに手間がかかる。
【0006】
本発明は、施工時の手間を軽減しつつ遮音性を確保することが可能な遮音壁、及び遮音壁の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による遮音壁の一態様は、
複数の第1間柱と、
前記複数の第1間柱の間であり、壁の厚さ方向において前記複数の第1間柱に対してずれた位置にある第2間柱と、
前記複数の第1間柱に取り付けられ、前記第2間柱に接触しない第1壁面材と、
前記壁の厚さ方向において前記第1壁面材と対向し、前記第2間柱に取り付けられ、前記第1間柱に接触しない第2壁面材と、
前記複数の第1間柱の間で、前記第1壁面材の内側に取り付けられた遮音面材と、
前記壁の厚さ方向において、前記遮音面材と前記第2壁面材との間に存在する吸音材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、第1間柱に第1壁面材が取り付けられ、第2間柱に第2壁面材が取り付けられ、第1壁面材及び第1間柱は、第2壁面材及び第2間柱に接触しないことにより、第1壁面材と第2壁面材との間の音の伝達が抑制される。また、本態様によれば、第1壁面材の内側に遮音面材が取り付けられていることにより、第1壁面材の内側に遮音面材を施工した後に、反対側の第2壁面材を第2間柱に取り付けることが可能である。そのため、遮音面材が内面に取り付けられた第1壁面材を、当該第1壁面材の外面側から第1間柱に取り付ける必要がなく、施工時の手間を軽減することができる。また、第1壁面材の位置決め精度が要求されないことにより、施工時の手間を軽減することができる。さらに、本態様では、遮音面材と第2壁面材との間に吸音材が配置されていることにより、遮音性の向上が図られている。
【0009】
また、本発明の他の態様において、
前記吸音材は、前記壁の厚さ方向において前記遮音面材と前記第2間柱との間に存在し、前記複数の第1間柱の間で連続することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、第2間柱と遮音面材との間の隙間を通じて吸音材が連続するように配置されることにより、第2間柱の両側に配置された吸音材が分断されない。これにより、第2間柱を境にして吸音材が分断される構成と比較して、吸音材の施工の手間を軽減できる。また、壁の厚さ方向において、遮音面材と第2間柱との間に吸音材が配置されることにより、遮音性の向上が図られる。
【0011】
また、本発明の他の態様では、
前記壁の厚さ方向において、前記第2間柱の幅は、前記第1間柱の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第1間柱に取り付けられた第1壁面材と、第2間柱との間に、遮音面材を配置するための隙間を確保することができると共に、壁の厚さが増大することが抑制される。
【0013】
また、本発明の他の態様では、
前記壁の厚さ方向において、前記第2間柱と前記第1壁面材との間の隙間は、前記第1間柱と前記第2壁面材との間の隙間よりも広いことを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、第2間柱と第1壁面材との間の隙間を、遮音面材を配置するために利用することができる。また、本態様によれば、遮音面材と第2間柱との間の隙間に、吸音材を配置することができる。
【0015】
本発明による遮音壁の施工方法の一態様は、
既存の複数の第1間柱と、前記複数の第1間柱に取り付けられた既存の第1壁面材と、を再利用して遮音壁を施工する遮音壁の施工方法であって、
壁の厚さ方向において前記第1壁面材に対向する既存の壁面材を撤去する工程と、
前記第1壁面材の内側に遮音面材を取り付ける工程と、
前記複数の第1間柱の間に、吸音材を施工する工程と、
前記複数の第1間柱の間であり、前記壁の厚さ方向において前記第1壁面材との間に隙間を形成するように、前記複数の第1間柱に対してずれた位置に第2間柱を施工する工程と、
前記壁の厚さ方向において前記第1壁面材と対向する第2壁面材を前記第2間柱に取り付ける工程とを含み、
前記第2壁面材を前記第2間柱に取り付ける工程では、前記壁の厚さ方向において、前記第1間柱との間に隙間を形成するように、前記第2壁面材を前記第2間柱に取り付けることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、既存の第1間柱、及び、既存の第1壁面材を撤去しないで、再利用することができる。また、本態様では、既存の第1壁面材の内側に遮音面材を取り付けることにより、遮音面材が取り付けられた第1壁面材を第1間柱に取り付ける必要がなく、施工時の手間を軽減することができる。また、既存の第1壁面材を再利用することにより、第1壁面材の位置決め精度が要求されない。さらに、本態様では、遮音面材と第2壁面材との間に吸音材が配置されていることにより、遮音性の向上が図られている。
【0017】
また、本態様によれば、既存の遮音壁の壁面材及び壁下地を撤去して、新たに第1間柱、第2間柱、第1壁面材、第2壁面材を施工する場合と比較して、施工コストの削減、及び工期短縮を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から理解できるように、本発明によれば、施工時の手間を軽減しつつ遮音性を確保することが可能な遮音壁、及び遮音壁の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る遮音壁を示す断面図である。
図2】既存の遮音壁を示す断面図である。
図3】実施形態に係る遮音壁の施工方法の手順を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態に係る遮音壁及び遮音壁の施工方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0021】
図1は、実施形態に係る遮音壁100を示す断面図である。図1において、互いに直交するX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向を示す矢印を図示する。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に沿う。Z軸方向は、鉛直方向に沿う。図1では、Z軸方向に直交する断面を示す。
【0022】
図1に示す遮音壁100は、例えば戸建て住宅や集合住宅の間仕切壁である。遮音壁100は、例えばY軸方向に隣り合うA室とB室との境界に設けられている。遮音壁100は、壁下地材である第1間柱10A,10B及び第2間柱20と、壁下地材に取り付けられた壁構成材である第1壁面材30及び第2壁面材40と、遮音面材50A,50Bと、吸音材60と、を備える。
【0023】
複数の第1間柱10A,10Bは、X軸方向に離れて配置されている。第1間柱10A,10Bの上端部及び下端部は、上下の梁に接合されている。第1間柱10A,10Bは、例えば、梁に固定されたランナーに接合されている。
【0024】
第2間柱20は、X軸方向において、第1間柱10Aと第1間柱10Bとの間に配置されている。第2間柱20の上端部及び下端部は、上下の梁に接合されている。第2間柱20は、例えば、梁に固定されたランナーに接合されている。
【0025】
遮音壁100は、複数の第2間柱20を備える。図1では、1本の第2間柱20が図示されている。X軸方向において、第1間柱10Aの両側に第2間柱20が配置されている。同様に、第1間柱10Bの両側に第2間柱20が配置されている。
【0026】
第1間柱10A,10Bは、例えばリップ付きの溝形鋼である。第1間柱10A,10Bは、その他の形鋼材でもよく、例えば角形鋼管でもよい。第1間柱10Aは、例えば、複数の溝形鋼がY軸方向に対向して配置されたものでもよい。第1間柱10Bについても同様に、複数の溝形鋼から形成されてものでもよい。第1間柱10A,10Bの材質は限定されず、金属でもよく、木材でもよい。第1間柱10A,10Bは、Y軸方向に対向する側面10a,10bを有する。例えば、側面10aは、Y軸方向において、A室に近い方に配置され、側面10bは、B室に近い方に配置されている。
【0027】
第2間柱20は、例えばリップ付きの溝形鋼である。第2間柱20は、その他の形鋼材でもよく、例えば角形鋼管でもよい。第2間柱20は、例えば、複数の溝形鋼がY軸方向に対向して配置されたものでもよい。第2間柱20の材質は限定されず、金属でもよく、木材でもよい。第2間柱20は、Y軸方向に対向する側面20a,20bを有する。例えば、側面20aは、Y軸方向において、A室に近い方に配置され、側面20bは、B室に近い方に配置されている。
【0028】
第1壁面材30及び第2壁面材40は、互いに対向し、Y軸方向に離れて配置されている。第1壁面材30及び第2壁面材40の板厚方向は、Y軸方向に沿う。第1壁面材30及び第2壁面材40は、住戸の内装材である石膏ボードであり、板状を成す。第1壁面材30及び第2壁面材40は、石膏ボードに限定されず、その他の壁構成材でもよい。
【0029】
第1壁面材30は、第1間柱10A,10Bの側面10aにビス等を用いて固定されている。第2壁面材40は、第2間柱20の側面20bにビス等を用いて固定されている。
【0030】
第2間柱20は、Y軸方向において、第1間柱10A,10Bに対してずれた位置に配置されている。複数の第1間柱10A,10Bは、Y軸方向において、同じ位置に配置されている。
【0031】
第1間柱10Aの側面10aは、第2間柱20の側面20aよりも第1壁面材30に近い方に配置されている。第2間柱20の側面20bは、第1間柱10A,10Bの側面10bよりも第2壁面材40に近い方に配置されている。
【0032】
第1壁面材30は、板厚方向に対向する外面30a及び内面30bを有する。外面30aは、遮音壁100の厚さ方向における外側に配置され、内面30bは、内側に配置されている。内面30bは、第1間柱10A,10Bの側面10aに接するように配置されている。
【0033】
第2壁面材40は、板厚方向に対向する外面40a及び内面40bを有する。外面40aは、遮音壁100の厚さ方向における外側に配置され、内面40bは、内側に配置されている。内面40bは、第2間柱20の側面20bに接するように配置されている。
【0034】
第1壁面材30は、第2間柱20に接していない。第2壁面材40は、第1間柱10A,10Bに接していない。第1壁面材30は、第1間柱10A,10B及び第2間柱20を介して、第2壁面材40と連結されていない。これにより、第1壁面材30と第2壁面材40との間の振動の伝達が抑制される。
【0035】
Y軸方向において、第1間柱10A,10Bの幅W1は、第2間柱20の幅W2よりも広い。幅W1は、第1間柱10A,10Bの側面10aと側面10bとの間の長さである。幅W2は、第2間柱20の側面20aと側面20bとの間の長さである。Y軸方向において、第2間柱20の幅W2は、第1間柱10A,10Bの幅W1よりも狭い。第2間柱20の幅W2は、例えば45mm程度でもよい。
【0036】
Y軸方向において、第2壁面材40と第1間柱10A,10Bとの間には、隙間d1が形成されている。第2壁面材40の内面40bは、Y軸方向において、第1間柱10A,10Bの側面10bと離れている。隙間d1は、例えば5mm程度でもよい。
【0037】
Y軸方向において、第1壁面材30と第2間柱20との間には、隙間d2が形成されている。第1壁面材30の内面30bは、Y軸方向において、第2間柱20の側面20aと離れている。
【0038】
Y軸方向において、隙間d2は、隙間d1よりも大きい。隙間d1は、Y軸方向において第1間柱10A,10Bの側面10bと第2壁面材40の内面40bとの間の距離である。隙間d2は、Y軸方向において第2間柱20の側面20aと第1壁面材30の内面30bとの間の距離である。
【0039】
遮音面材50A,50Bは、X軸方向において、第1間柱10Aと第1間柱10Bとの間に配置されている。遮音面材50A,50Bは、第1壁面材30の内面30bに貼り付けられている。遮音面材50A,50Bは、板状を成し、所定の遮音性能を有る。遮音面材50A,50Bは、第1壁面材30に対してビス等を用いて固定されていてもよく、その他の方法により、固定されいてもよい。遮音面材50A及び遮音面材50Bは、同じ材質から形成されていてもよく、異なる材質から形成されていてもよい。遮音面材50A,50Bは、Y軸方向に重ねられている。
【0040】
遮音面材50A,50Bは、Y軸方向において、第1壁面材30と第2間柱20との間に配置されている。遮音面材50A,50Bは、X軸方向において連続している。遮音面材50A,50Bは、第1壁面材30と第2間柱20との間の隙間d2を通るように配置されている。
【0041】
吸音材60は、Y軸方向において、遮音面材50A,50Bと、第2壁面材40との間に配置されている。吸音材60は、X軸方向において、第1間柱10Aと第1間柱10Bとの間に配置されている。
【0042】
吸音材60の部分60aは、Y軸方向において、第1壁面材30と第2間柱20との間の隙間d2に配置されている。吸音材60は、X軸方向において、第1間柱10Aと第1間柱10Bとの間で連続している。吸音材60は、X軸方向において、第2間柱20の両側に配置された部分が分断されていない。遮音壁100では、第1壁面材30と第2間柱との間において、吸音材60を欠損させずに充填することができる。吸音材60は、例えばグラスウールでもよく、ロックウールでもよく、その他のものでもよい。
【0043】
次に、遮音壁100の施工方法について説明する。図2は、既存の遮音壁100Bを示す断面図である。図3は、実施形態に係る遮音壁100の施工方法の手順を示す工程図である。遮音壁100の施工方法は、既存の遮音壁100Bの一部を再利用して、遮音壁100を施工する方法である。
【0044】
遮音壁100の施工方法を説明する前に、既存の遮音壁100Bについて説明する。図2に示されるように、既存の遮音壁100Bは、第1間柱10A,10Bと、第1壁面材30と、壁面材40Bと、吸音材60Bとを備える。
【0045】
第1間柱10A,10Bは、遮音壁100において再利用可能である。第1間柱10A,10Bは、上述した遮音壁100の第1間柱10A,10Bである。
【0046】
第1壁面材30は、遮音壁100において再利用可能である。第1壁面材30は、上述した遮音壁100の第1壁面材30である。
【0047】
壁面材40Bは、Y軸方向において、第1壁面材30と離れて配置されている。壁面材40Bは、例えば、第1壁面材30と同じ材質から形成されている。壁面材40Bは、第1間柱10A,10Bの側面10bに接するように配置されている。壁面材40Bは、第1間柱10A,10Bに固定されている。
【0048】
次に、遮音壁100Bの一部を再利用して、遮音壁100を施工する方法について、図3に示す工程図を参照しながら説明する。まず、既存の壁面材40Bを撤去する工程を行う(ステップS11)。作業者は、壁面材40Bを第1間柱10A,10Bから取り外す。これにより、第1間柱10A,10Bの側面10b、及び吸音材60Bが露出される。次に、吸音材60Bを撤去する。なお、壁面材40B及び吸音材60Bを同時に撤去してもよい。吸音材60Bを撤去することにより、第1壁面材30の内面30bが露出される。
【0049】
次に、第1壁面材30の内側に遮音面材50A,50Bと取り付ける工程を行う(ステップS12)。このでは、既存の第1壁面材30を撤去せずに、第1壁面材30の内面30bに、遮音面材50A,50Bを取り付ける。
【0050】
次に、複数の第1間柱10A,10Bの間に吸音材60を施工する工程を行う(ステップS13)。Y軸方向において、遮音面材50A,50Bに隣り合うように、吸音材60を配置する。
【0051】
次に、複数の第1間柱10A,10Bの間に第2間柱20を施工する工程を行う(ステップS14)。ここでは、Y軸方向において、第1間柱10A,10Bに対して、ずれた位置に、第2間柱20を配置する。Y軸方向において、第2間柱20の側面20aは、第1間柱10A,10Bの側面10aと異なる位置に配置されている。Y軸方向において、第2間柱の側面20aと遮音面材50A,50Bとの間には、隙間d2が形成される。Y軸方向において、第2間柱20は、第1壁面材30の内面30bと離れて配置され、接していない。第2間柱20は、所定の位置に配置されて、上下の梁と接合される。なお、第2間柱20を施工する工程(ステップS14)を先に実施した後に、吸音材60を施工する工程(ステップS13)を実施してもよい。
【0052】
次に、第2壁面材40を第2間柱20に取り付ける工程を行う(ステップS15)。ここでは、第2間柱20の側面20bに対して、第2壁面材40が接するように配置する。第2壁面材40は、第2間柱20の側面20bに固定される。第2間柱20に固定された第2壁面材40は、第1間柱10A,10Bに接していない。
【0053】
(耐力壁の作用効果)
本実施形態に係る遮音壁100は、複数の第1間柱10A,10Bと、複数の第1間柱10A,10Bの間であり、遮音壁100の厚さ方向において複数の第1間柱10A,10Bに対してずれた位置にある第2間柱20と、複数の第1間柱10A,10Bに取り付けられ、第2間柱20に接触しない第1壁面材30と、遮音壁100の厚さ方向において第1壁面材30と対向し、第2間柱20に取り付けられ、第1間柱10A,10Bに接触しない第2壁面材40と、複数の第1間柱10A,10Bの間で、第1壁面材30の内側に取り付けられた遮音面材50A,50Bと、遮音壁100の厚さ方向において、遮音面材50A,50Bと第2壁面材40との間に存在する吸音材60と、を備える。
【0054】
本態様によれば、第1間柱10A,10Bに第1壁面材30が取り付けられ、第2間柱に第2壁面材が取り付けられ、第1壁面材30及び第1間柱10A,10Bは、第2壁面材40及び第2間柱20に接触しないことにより、第1壁面材30と第2壁面材40との間の音の伝達が抑制される。また、本態様によれば、第1壁面材30の内側に遮音面材50A,50Bが取り付けられていることにより、第1壁面材30の内側に遮音面材50A,50Bを施工した後に、反対側の第2壁面材40を第2間柱20に取り付けることが可能である。そのため、遮音面材50A,50Bが内面に取り付けられた第1壁面材30を、当該第1壁面材30の外面側から第1間柱10A,10Bに取り付ける必要がなく、施工時の手間を軽減することができる。また、第1壁面材30の位置決め精度が要求されないことにより、施工時の手間を軽減することができる。さらに、本態様では、遮音面材50A,50Bと第2壁面材40との間に吸音材60が配置されていることにより、遮音性の向上が図られている。
【0055】
また、遮音壁100において、吸音材60は、遮音壁100の厚さ方向において遮音面材50A,50Bと第2間柱20との間に存在し、複数の第1間柱10A,10Bの間で連続している。
【0056】
本態様によれば、第2間柱20と遮音面材50A,50Bとの間の隙間d2を通じて吸音材60が連続するように配置されることにより、第2間柱20の両側に配置された吸音材60が分断されない。これにより、第2間柱20を境にして吸音材が分断される構成と比較して、吸音材60の施工の手間を軽減できる。遮音壁100では、第2間柱20を挟んで両側に配置される吸音材60を一度に配置することができ、第2間柱20の両側に配置される吸音材を別々に配置する場合と比較して、施工時の手間を軽減することができる。また、遮音壁100の厚さ方向において、遮音面材50A,50Bと第2間柱20との間の隙間d2に吸音材60の部分60aが配置されることにより、遮音性の向上が図られる。
【0057】
また、遮音壁100では、遮音壁100の厚さ方向において、第2間柱20の幅W2は、第1間柱10A,10Bの幅W1よりも狭い。
【0058】
本態様によれば、第1間柱10A,10Bに取り付けられた第1壁面材30と、第2間柱20との間に、遮音面材50A,50Bを配置するための隙間d2を確保することができると共に、遮音壁100の厚さが増大することが抑制される。例えば、第2間柱20の幅W2が、第1間柱10A,10Bの幅W1と同じ場合には、Y軸方向において、第1壁面材30と第2壁面材40との間の距離が長くなり、遮音壁100の厚さが厚くなるが、本態様の遮音壁100では、第2間柱20の幅W2を狭くして、遮音壁100の厚さの増大が抑制される。
【0059】
また、遮音壁100では、遮音壁100の厚さ方向において、第2間柱20と第1壁面材30との間の隙間d2は、第1間柱10A,10Bと第2壁面材40との間の隙間d1よりも広いことを特徴とする。
【0060】
本態様によれば、第2間柱20と第1壁面材30との間の隙間d2を、遮音面材50A,50Bを配置するために利用することができる。また、本態様によれば、遮音面材50A,50Bと第2間柱20との間の隙間d2に、吸音材60の部分60aを配置することができる。本態様では、X軸方向において、第2間柱20の両側の吸音材60を分断せずに、連続して配置することができる。これにより、吸音材60を施工する際の手間を軽減することができる。
【0061】
本実施形態に係る遮音壁100の施工方法は、既存の複数の第1間柱10A,10Bと、複数の第1間柱10A,10Bに取り付けられた既存の第1壁面材30と、を再利用して遮音壁100を施工する方法であって、遮音壁100の厚さ方向において第1壁面材30に対向する既存の壁面材40Bを撤去する工程と、第1壁面材30の内側に遮音面材50A,50Bを取り付ける工程と、複数の第1間柱10A,10Bの間に、吸音材60を施工する工程と、複数の第1間柱10A,10Bの間であり、遮音壁100の厚さ方向において第1壁面材30との間に隙間d2を形成するように、複数の第1間柱10A,10Bに対してずれた位置に第2間柱20を施工する工程と、遮音壁100の厚さ方向において第1壁面材30と対向する第2壁面材40を第2間柱20に取り付ける工程とを含み、第2壁面材40を第2間柱20に取り付ける工程では、遮音壁100の厚さ方向において、第1間柱10A,10Bとの間に隙間d1を形成するように、第2壁面材40を第2間柱20に取り付ける。
【0062】
本態様によれば、既存の第1間柱10A,10B、及び、既存の第1壁面材30を撤去しないで、再利用することができる。また、本態様では、既存の第1壁面材30の内側に遮音面材50A,50Bを取り付けることにより、遮音面材が取り付けられた第1壁面材を第1間柱10A,10Bに取り付ける必要がなく、施工時の手間を軽減することができる。また、既存の第1壁面材30を再利用することにより、第1壁面材30の位置決め精度が要求されない。さらに、本態様では、遮音面材50A,50Bと第2壁面材40との間に吸音材60が配置されていることにより、遮音性の向上が図られている。
【0063】
また、本態様によれば、既存の遮音壁100Bの壁面材(第1壁面材30及び壁面材40B)及び壁下地(第1間柱10A,10B)を撤去して、新たに第1間柱10A,10B、第2間柱20、第1壁面材30、及び第2壁面材40を施工する場合と比較して、施工コストの削減、及び工期短縮を図ることができる。
【0064】
また、本態様によれば、第1壁面材30の内側であって、第1間柱10A,10B間に、遮音面材50A,50Bを取り付けるため、遮音面材50A,50を施工する範囲が視覚的に明確である。そのため、施工時の作業性が向上される。
【0065】
また、本態様によれば、第1間柱10A,10B間において、第1壁面材30の内面30bに、遮音面材50A,50が貼り付けられることにより、遮音壁100の厚さの増加につながらない。間柱と壁面材との間に遮音面材が挟まれている従来の構造では、遮音面材の厚さに応じて、遮音壁の厚さが増加することになるが、本実施形態に係る遮音壁100では、第1間柱10A,10Bと第1壁面材30との間に、遮音面材50A,50Bが挟まれていないため、遮音壁100の厚さに影響しない。
【0066】
また、本態様では、第2間柱20及び第2壁面材40の施工後において、隙間d1(例えば5mm程度)に応じて壁厚が増加するが、増加量は軽微である。これにより、リフォーム時において、周囲の建具やアクセサリー等の取り合いに対する影響が出にくい。
【0067】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0068】
上記の実施形態に係る遮音壁100では、遮音壁100の厚さ方向において、第2間柱20の幅W2が、第1間柱10A,10Bの幅W1よりも狭い場合について例示しているが、幅W1,W2は、同じでもよく、幅W2が幅W1よりも広くてもよい。
【0069】
上記の実施形態に係る遮音壁100では、遮音壁100の厚さ方向において、第1間柱10A,10Bと第1壁面材30とが接している場合について説明しているが、第1間柱10A,10Bと第1壁面材30との間に他の部材が介在していてもよい。例えば、第1間柱10A,10Bと第1壁面材30との間に、遮音面材50A,50Bが介在していてもよい。
【0070】
上記の実施形態に係る遮音壁100では、遮音壁100の厚さ方向において、第1壁面材30と第2間柱20との間の隙間d2が、第2壁面材40と第1間柱10A,10Bとの間の隙間d1よりも広い場合について例示しているが、隙間d2,d1が同じ大きさでもよく、隙間d1が隙間d2よりも広くてもよい。
【0071】
上記の実施形態に係る遮音壁100では、隙間d2に、吸音材60の部分60aが存在し、X軸方向において、第2間柱20の両側の吸音材60が連続するように形成されている場合について説明しているが、第2間柱20を境にして、両側の吸音材60が別々に設けられていてもよい。
【0072】
上記の実施形態では、遮音壁の施工方法として、既存の第1間柱10A,10B及び既存の第1壁面材30を再利用する場合について例示しているが、遮音壁100は、建物の新築時に施工されるものでもよく、リフォーム時に施工されるものでもよい。
【符号の説明】
【0073】
100:遮音壁
10A,10B:第1間柱
20:第2間柱
30:第1壁面材
40:第2壁面材
50A,50B:遮音面材
X:X軸方向
Y:Y軸方向(遮音壁の厚さ方向)
Z:Z軸方向
図1
図2
図3