(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106847
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】加熱調理器具
(51)【国際特許分類】
A47J 37/07 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A47J37/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011315
(22)【出願日】2023-01-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り Aichi Sky Expo(展示会への出品) 令和4年5月21日、令和4年5月22日 ブルワリー柳河(加熱調理器具の展示) 令和4年8月5日 ブルワリー柳河(加熱調理器具の展示) 令和4年9月16日 ブルワリー柳河(加熱調理器具の展示) 令和4年11月26日 株式会社モリサキ(FURIURI久留米西田工業団地マーケットへの出品) 令和4年5月28日 東京ビッグサイト(展示会への出品) 令和4年9月7日~令和4年9月9日 久留米百年公園(同公園内での展示) 令和4年9月19日 株式会社PRTIMES(加熱調理器具のウェブサイト上での公開) 令和4年9月22日 note(加熱調理器具のウェブサイト上での公開) 令和4年9月22日 マクアケ(加熱調理器具のウェブサイト上での公開(クラウドファンディングによる公開)) 令和4年9月22日 海の中道海浜公園(同公園内での展示) 令和4年9月23日、令和4年9月24日 クイーンクックCafe(加熱調理器具の展示) 令和4年10月1日 釣り具のまるきん糸島店(加熱調理器具の展示) 令和4年10月1日 株式会社宝島社(加熱調理器具のウェブサイト上での公開) 令和4年10月1日 博多マルイ(加熱調理器具の展示) 令和4年10月8日~令和4年10月14日 株式会社ワールドフォトプレス(加熱調理器具の刊行物への掲載) 令和4年10月17日 株式会社PRTIMES(加熱調理器具のウェブサイト上での公開) 令和4年11月9日 株式会社テレビ西日本(加熱調理器具のウェブサイト上での公開) 令和4年11月21日 株式会社テレビ西日本(加熱調理器具の放送) 令和4年11月21日 note(加熱調理器具のウェブサイト上での公開) 令和4年11月23日
(71)【出願人】
【識別番号】595131411
【氏名又は名称】株式会社乗富鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】山田 茂
(72)【発明者】
【氏名】乘冨 賢蔵
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA04
4B040AA08
4B040AE14
4B040CA03
4B040CA16
4B040GD01
(57)【要約】
【課題】加熱調理中に筐体を触っても火傷のおそれがなく、美観にも優れた加熱調理器具を提供することを目的とする。
【解決手段】非金属材料で構成されて上方に開口部を有する筐体11内に、上方に開口した上箱12が設置される。筐体11は、複数の非金属材料から成る板材21が連結具22によって連結されて構成され、隣接する板材21士の間には隙間SMが形成される。筐体11の内面と上箱12との間には断熱部材14が介装される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属材料で構成されて上方に開口部を有する筐体と、
前記筐体内に設置され、上方に開口した上箱と、
を備えた加熱調理器具。
【請求項2】
前記筐体の内面と前記上箱との間に断熱部材が介装されている、請求項1に記載の加熱調理器具。
【請求項3】
前記筐体は、複数の非金属材料から成る板材が連結具によって連結されて構成され、隣接する前記板材同士の間には隙間が形成されている、請求項1に記載の加熱調理器具。
【請求項4】
前記筐体は平面視において多角形形状を有し、前記多角形の各辺に相当する複数の側面それぞれが上下方向に並ぶ複数の前記板材により構成されている、請求項3に記載の加熱調理器具。
【請求項5】
前記筐体の側面の一部に設けられた引出し用開口と、前記引出し用開口を通じて前記筐体内を出し入れ自在な水平な板材から成る引出しと、を備えた請求項1に記載の加熱調理器具。
【請求項6】
前記引出しは、前記筐体内に収容された状態で前記引出し用開口を閉止する非金属材料から成る閉止板を備えた、請求項5に記載の加熱調理器具。
【請求項7】
前記非金属材料は木製材料である、請求項1~6のいずれかに記載の加熱調理器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーベキューなどの加熱調理において使用される加熱調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーベキューなどにおいて使用される加熱調理器具として、下記の特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された加熱調理器具(コンロ)は、加熱源の収容部である本体部の上部に金網を設置できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された加熱調理器具では、本体部は伝熱性の高い材料であるステンレス(すなわち金属材料)から成るため、使用中(加熱調理中)に人が本体部を触ってしまうと火傷をするおそれがあった。また、表面が金属色では家庭内で使用する場合に美観に優れないという難点があった。
【0005】
そこで本発明は、加熱調理中に筐体を触っても火傷のおそれがなく、美観にも優れた加熱調理器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器具は、非金属材料で構成されて上方に開口部を有する筐体と、前記筐体内に設置され、上方に開口した上箱と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
加熱調理中に筐体を触っても火傷のおそれがなく、美観にも優れた加熱調理器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態における加熱調理器具の斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態における加熱調理器具の分解斜視図
【
図3】本発明の一実施の形態における加熱調理器具の(a)正面図(b)側面図
【
図4】本発明の一実施の形態における加熱調理器具の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1および
図2は本発明の一実施の形態における加熱調理器具1を示している。これらの図に示すように、本実施の形態における加熱調理器具1は、筐体11、上箱12、下箱13、断熱部材14および引出し15を備えている。
【0010】
筐体11は非金属材料である木製材料(木材)から構成されている。筐体11は、
図2に示すように、複数の木製の板材21が、平面視において多角形形状(ここでは矩形形状とする)となるように配置されており、上方と下方の双方に開口部を有している。複数の板材21は、例えば金属材料から成る連結具22によって、隣接するもの同士が相互に連結されている。本実施の形態では、矩形形状の四隅の内面側それぞれに連結具22が位置した構成となっている。
【0011】
多角形形状の各辺(ここでは矩形の四辺)それぞれには横方向に延びた長方形形状の板材21が1枚ずつ配され、矩形の四辺に対応する4つの側面それぞれには、板材21が上下方向に3枚ずつ配されている。すなわち筐体11は、平面視において多角形形状を有し、その多角形の各辺に相当する複数(ここでは4つ)の側面それぞれが上下方向に並ぶ複数(ここでは3枚)の板材21により構成されたものとなっている。隣接する板材21同士は密着されるのではなく、板材21同士の間には適度な間隔の隙間SMが形成されている。
【0012】
矩形形状の四隅に取り付けられた4つの連結具22それぞれに下端には脚部材23が設けられている。4つの脚部材23は、筐体11の下面から下方に露出しており、筐体11は4つの脚部材23によって、脚部材23の接地面から上方に持ち上げれた(接地面から離間した)状態となっている。
【0013】
筐体11が有する4つの側面のうちのひとつの側面の下部には、矩形の引出し用開口11Kが設けられている。引出し用開口11Kは筐体11を構成する板材21を厚さ方向に貫通して設けられており、筐体11の外部と筐体11の内部は引出し用開口11Kを通じて連通された状態となっている。
【0014】
上箱12は上方に開口した箱体から成り、筐体11の内部に設置されている。上箱12は、伝熱性と耐熱性が高くて加工が容易な材料としての金属材料(例えばステンレス)製の板材から構成されている。
【0015】
上箱12の開口(上縁部)には、外側に広がる鍔部を有する枠体31が取り付けられている。枠体31も上箱12と同様に、金属材料から構成されている。
図3(a),(b)および
図4(
図4は
図3(b)における矢視V-V断面図)に示すように、上箱12は、その枠体31が筐体11の上方の開口部(上方開口部11B。
図2)の上縁11Jに上方から載置されることで、筐体11内に位置した状態となる。
【0016】
下箱13は上箱12と同様に上方に開口した箱体から成り、金属製の板材から構成されている。下箱13の開口(上縁部)には、複数(四辺に対応して4つ)の鍔部材32が取り付けられている(
図2および
図4)。
【0017】
図2、
図3(a)および
図4において、筐体11の内面であって、筐体11に設置された状態の上箱12の底面12Mよりも下方の位置には、複数(4つ)の下箱支持部材33が取り付けられている。これら4つの下箱支持部材33は同じ高さの位置に位置しており、それぞれ筐体11の内方に向かって突出するフランジ部33Fを有している。下箱13は、その上縁部に取り付けられた4つの鍔部材32が、筐体11内に設けられた4つの下箱支持部材33それぞれのフランジ部33Fによって支持されている。
【0018】
図1、
図3(a)および
図4において、下箱13が有する4つの側壁のうちのひとつには矩形の開口13Kが形成されている。この開口13Kは、下箱13が筐体11内に取り付けられた状態において、筐体11の側面に設けられた前述の引出し用開口11Kと側面視において一致するようになっている。
【0019】
断熱部材14は、耐熱性および断熱性を有する部材であり、例えばシート状の部材から成る。断熱部材14は筐体11の内面を覆って設けられている(
図2)、筐体11と上箱12との間および筐体11と下箱13との間に介装された状態となっている(
図4)。なお、筐体11の内面のうち、引出し用開口11Kに相当する部分には断熱部材14は設けられていない。
【0020】
筐体11内に取り付けられた上箱12の上部(枠体31)には、
図2に示すように、金網KAを水平姿勢に設置することができる。このため本実施の形態では、枠体31の内側に金網KAを着脱自在に設置できるようにするための複数の突起部31Tが水平方向に突出して設けられている(
図1および
図2)。
【0021】
引出し15は金属製の水平な板材から成る。引出し15は下箱13の底面に支持された状態で、筐体11に設けられた前述の引出し用開口11Kと下箱13の開口13Kを通じて筐体11内(詳細には上箱12の下方の領域であり、下箱13内)を水平方向に出し入れ自在となっている。このように本実施における加熱調理器具1は、筐体11の側面の一部に設けられた引出し用開口11Kと、引出し用開口11Kを通じて筐体11内を出し入れ自在な水平な板材から成る引出し15を備えた構成となっている。引出し15の両側辺には、上方に延びた一対の縁部(フランジ部)15Fが設けられている。
【0022】
引出し15には、筐体11内に収容された状態で筐体11の引出し用開口11Kを閉止する閉止板41が取り付けられており、閉止板41の外側には操作つまみ42が取り付けられている。引出し15の奥側の端部(閉止板41が取り付けられる方の端部とは反対側の端部)は上方に折り曲げられており、引出し15の奥壁15Sを形成している(
図2、
図3(b)および
図4)。
【0023】
閉止板41は、筐体11に形成された引出し用開口11Kの内縁形状よりも若干小さい外縁形状を有する矩形形状を有しており、引出し15が筐体11内に収容された状態となったときに、引出し用開口11Kを閉止する(
図1および
図3(a),(b))。閉止板41は非金属材料である木製材料で構成され、好ましくは、筐体11と同じ材料(木製材料)で構成される。これにより閉止板41の材質感と筐体11の材質感が同じになり、引出し15の閉止状態において、美観に優れたものとなる。操作つまみも筐体11と同じ材料(木製材料)から構成されていれば、より美観が高まる。
【0024】
本実施の形態における加熱調理器具1では、筐体11内に設置された上箱12内に火起こしした木炭や薪等の加熱源KGが収納される。あるいは、上箱12内に加熱源KGを収納したあと、その加熱源KGに着火して火起こしする。加熱源KGが上箱12内に収納される作業は、筐体11(上箱12)から金網KAを取り外した状態で行ってもよいが、金網KAを取り付けた状態で行うこともできる。加熱源KGが上箱12に収納されたら、金網KA筐体11(上箱12)の上部に設置される。金網KAに肉や野菜等の食材(第1の食材SZ1。
図2および
図4)を載せることで、これらの食材を加熱調理することができる。
【0025】
上記のように金属材料から構成される上箱12が加熱源KGによって加熱されると、筐体11内部の空気を介した伝熱作用によって、上箱12の下方に位置する下箱13内の空気も加熱される。このため、例えばピザ等の上面側を加熱する必要のある食材(第2の食材SZ2。
図2および
図4)を引出し15上に載置して筐体11内(詳細には下箱13内に)入れておくことで、その食材を加熱調理することができる。このように本実施の形態における加熱調理器具1では、金網KAで第1の食材SZ1を加熱調理しつつ、これと並行して第2の食材SZ2を加熱調理することができる。
【0026】
引出し15の筐体11内への出し入れ操作は、操作つまみ42をつまんで行われる。引出し15には奥壁15Sが形成されており、また、引出し15の両側辺には上方に延びた一対の縁部15Fが設けられているので、引出し15を操作した際に、引出し15上に載置していた食材(第2の食材SZ2)や、ピザを焼く際に載置していたピザストーン等が引出し15の奥側や側方に脱落(すなわち下箱13内に脱落)してしまうのを防止できる。
【0027】
このように本実施の形態における加熱調理器具1では、筐体11の内部に設けられた金属材料から成る上箱12に、木炭等の加熱源KGを収納することで、上箱12の上部に設置された金網KAで肉や野菜の食材(第1の食材SZ1)を加熱調理することができる。筐体11は熱伝導率が小さい非金属材料(ここでは木製材料)から構成されているので、上箱12が加熱源KGによって加熱されて高温になっているときでも高温になりにくい。このため加熱調理中に人が筐体11を触った場合であっても火傷のおそれがない。また、筐体11が非金属材料(ここでは木製材料)で構成されているので美観に優れ、屋内での使用にも適する。
【0028】
また、本実施の形態における加熱調理器具1では、筐体11の内面は断熱部材14によって覆われており、筐体11と上箱12との間は断熱部材14は熱的に隔絶されて(断熱されて)いる。このため上箱12が高温になっても筐体11は高温になりにくく、火傷防止を図ることができる。
【0029】
また、筐体11を構成する板材21同士の間には適度な間隔の隙間SMが形成されているので、上箱12内に発生した熱は筐体11の内部に籠らず、筐体11の外部に放散(放熱)される。特に、本実施の形態では、筐体11が有する4つの側面それぞれが1枚の板材21から構成されるのではなく、上下方向に並ぶ複数(3枚)の板材21によって構成されており、それら複数の板材21同士の間に隙間SMが形成されている。このため放熱効果が高く、この面でも筐体11は高温になりにくい。さらに、4つの脚部材23によって筐体11が脚部材23の接地面から離間した状態となっていることからも筐体11内に熱が籠りにくく、筐体11が高温になるのを防止することができる。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態における加熱調理器具1は、加熱源KGが収納される上箱12が筐体11の内部に設置されており、その筐体11が非金属材料(木製材料)で構成されている。このため加熱調理中に筐体11を触っても火傷のおそれがなく、美観にも優れている。
【0031】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、筐体11(およびその内部に設置される上箱12と下箱13)は平面視において矩形形状を有するものであったが、これは一例に過ぎず、矩形形状以外のその他の形状、例えば多角形や円形、楕円形状等であってもよい。また、上述の実施の形態に示した加熱調理器具1の筐体11は複数の板材21が連結されて構成されるものであったが、筐体11は一枚の非金属材料からなるもの、例えば木の根本の部分の中身をくり抜いて中空に形成したようなもの等であってもよい。
【0032】
また、上述の実施の形態では、筐体11の平面視における多角形形状の各辺に相当する複数の側面それぞれが上下方向に並ぶ3枚の板材21により構成された構成となっていたが、その上下方向に並ぶ板材21の数は3枚に限られず、1枚、2枚あるいは4枚以上であってもよい。
【0033】
また、上述の実施の形態では、枠体31に金網KAを設置して第1の食材SZ1を加熱調理する例を示したが、金網KAに代えて、五徳や金属製のトレー等を枠体31の上面31Jに設置して第1の食材SZ1を加熱調理することもできる。あるいは、金網KA等を設置することなく、焼き鳥の串の両端を枠体31の上面31Jに直接掛け渡すような加熱料理も可能である。
【0034】
また、上述の実施の形態では、筐体11は上方に開口部(上方開口部11B)を有するほか、下方にも開口部を有する構成であったが、筐体11は少なくとも上方に開口部を有していればよい。また、上述の実施の形態では、筐体11の内面と上箱12との間に断熱部材14が介装されるとともに、筐体11を構成する板材21同士の間に隙間SMが形成された構成となっていたが、必ずしも筐体11の内面と上箱12との間に断熱部材14が介装される構成と板材21同士の間に隙間SMが形成される構成との双方を備えている必要はなく、一方のみを備えているのであってもよい。さらには、筐体11が非金属材料から構成されることだけで筐体11が高温になるのが防止されているのであれば、上記双方の構成のいずれも備えていなくても構わない。
【0035】
なお、上述の実施の形態では、筐体11を構成する非金属材料として木製材料を示したが、非金属材料は木製材料(木材)に限られず、セラミック材料等の他の非金属材料であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 加熱調理器具
11 筐体
11B 上方開口部(開口部)
11K 引出し用開口
12 上箱
12M 底面
13 下箱
13K 開口
14 断熱部材
15 引出し
15S 奥壁
21 板材
22 連結具
23 脚部材
31 枠体
31J 上面
32 鍔部材
33 下箱支持部材
33F フランジ部
41 閉止板
42 操作つまみ
SM 隙間
KA 金網
KG 加熱源
SZ1 第1の食材
SZ2 第2の食材