(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010685
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】接着性樹脂組成物、該接着性樹脂組成物からなる単層フィルム、及び積層体
(51)【国際特許分類】
C09J 123/26 20060101AFI20240118BHJP
C09J 131/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C09J123/26
C09J131/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112105
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原 憲一
(72)【発明者】
【氏名】赤木 太亮
(72)【発明者】
【氏名】山口 浩史
(72)【発明者】
【氏名】山田 智紀
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DA071
4J040DA081
4J040ED001
4J040JB01
4J040MA02
(57)【要約】
【課題】ロールリリースやネックインといった押出ラミネート適性に優れ、SUSやアルミニウム、銅等の金属系材料と、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の有機系材料との両方に対して良好な接着性を示し、さらに、耐熱性、耐寒性に優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能な接着性樹脂組成物、該接着性樹脂組成物からなる単層フィルム、及び基材上に該接着性樹脂組成物からなる接着層を有する積層体の提供。
【解決手段】上記課題は、接着性樹脂組成物100質量%中に、特定の酸変性ポリオレフィン(A)を50~99質量%、および特定のポリエステル樹脂(B)を1~50質量%含む接着性樹脂組成物により解決することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着性樹脂組成物100質量%中に、酸変性ポリオレフィン(A)を50~99質量%、ポリエステル樹脂(B)を1~50質量%含み、
酸変性ポリオレフィン(A)のDSCにおける融解ピーク温度が85℃以上130℃以下であり、
ポリエステル樹脂(B)のDSCにおける融解ピーク温度が70℃以上210℃以下であることを特徴とする、
接着性樹脂組成物。
【請求項2】
JIS K 7210-1に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定したメルトマスフローレイトが、1~100g/10分の範囲である、請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の接着性樹脂組成物からなる単層フィルム。
【請求項4】
基材上に、請求項1または2に記載の接着性樹脂組成物からなる接着層を有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス(SUS)やアルミニウム、銅等の金属系材料だけでなく、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の有機系材料に対しても、優れた接着性を有する接着性樹脂組成物、該接着性樹脂組成物からなる単層フィルム、及び基材上に該接着性樹脂組成物からなる接着層を有する積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池部材や自動車部材、住宅建材などにおいて、金属系材料と有機系材料を貼り合わせて使用される場合がある。金属系材料としては、SUSやアルミニウム、銅、ブリキなどが挙げられ、有機系材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。
【0003】
特許文献1には、ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に接着層を介してシーラント層が積層されてなる積層フィルムにおいて、前記接着層は、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有し不飽和カルボン酸成分量が0.01~5.0重量%の酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ガラス転移温度が5℃以下の熱可塑性樹脂(B)との混合物を含み、その質量比(A)/(B)が99/1~20/80の範囲である積層フィルムが開示されている。
【0004】
特許文献2には、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、ガス遮断性樹脂(B)とを、必須成分とする接着性樹脂組成物であって、前記酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の密度が0.8~1.0g/cm3の範囲内であり、前記ガス遮断性樹脂(B)の密度が1.1~1.5g/cm3の範囲内であり、前記接着性樹脂組成物が、全固形分100重量部中に、前記ガス遮断性樹脂(B)を10~40重量部の範囲内で含有することを特徴とする接着性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1および2で提案されている接着性樹脂組成物では、耐熱性や接着性に課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-226870号公報
【特許文献2】特開2021-143283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、ロールリリースやネックインといった押出ラミネート適性に優れ、SUSや銅、アルミニウム等の金属系材料と、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の有機系材料との両方に対して良好な接着性を示し、さらに、耐熱接着性、耐寒接着性に優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能な接着性樹脂組成物、並びに、該接着性樹脂組成物からなる単層フィルム、及び基材上に該接着性樹脂組成物からなる接着層を有する積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、特定の融解ピーク温度を有する酸変性ポリオレフィンと特定の融解ピーク温度を有するポリエステル樹脂を特定の組成比で用いることで、前記課題を解決することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は以下の[1]~[4]に関する。
【0009】
[1]接着性樹脂組成物100質量%中に、酸変性ポリオレフィン(A)を50~99質量%、ポリエステル樹脂(B)を1~50質量%含み、 酸変性ポリオレフィン(A)のDSCにおける融解ピーク温度が85℃以上130℃以下であり、ポリエステル樹脂(B)のDSCにおける融解ピーク温度が70℃以上210℃以下であることを特徴とする、接着性樹脂組成物。
【0010】
[2]JIS K 7210-1に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgで測定したメルトマスフローレイトが、1~100g/10分の範囲である、[1]に記載の接着性樹脂組成物。
【0011】
[3]上記接着性樹脂組成物からなる単層フィルム。
【0012】
[4]基材上に、上記接着性樹脂組成物からなる接着層を有する積層体。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ロールリリースやネックインといった押出ラミネート適性に優れ、SUSやアルミニウム、銅等の金属系材料と、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の有機系材料との両方に対して良好な接着性を示し、さらに、耐熱接着性、耐寒接着性に優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能な接着性樹脂組成物、該接着性樹脂組成物からなる単層フィルム、及び基材上に該接着性樹脂組成物からなる接着層を有する積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含むものとする。
本明細書においてネックインとは、押出ラミネーターにおいてダイスからフィルム状に吐出した接着性樹脂組成物のフィルムの幅がダイスの幅よりも狭くなる現象であり、ネックインが大きいほど押出ラミネート適性に劣ることを表す。
【0015】
<酸変性ポリオレフィン(A)>
酸変性ポリオレフィン(A)は、DSCにおける融解ピーク温度が85℃以上130℃以下である。酸変性ポリオレフィンの融解ピーク温度を所定範囲内とすることが、接着性、耐熱接着性、耐寒接着性を発揮するために必要であり、範囲外であると、前記効果を発現することができない。
【0016】
酸変性ポリオレフィン(A)のDSCにおける融解ピーク温度は、好ましくは90℃以上125℃の範囲であり、さらに好ましくは100℃以上120℃以下の範囲であり、特に好ましくは105℃以上115℃以下の範囲である。なお、本明細書における融解ピーク温度は、JIS K 7121:1987に準拠し、昇温速度10℃/分で測定した吸熱ピークの頂点の温度である。
【0017】
酸変性ポリオレフィンの製造方法は特に制限されず、例えば、特開平11-335427号公報に記載の、ベースポリマーであるポリオレフィンに対し、α、β-不飽和カルボン酸又はその無水物をラジカル開始剤の存在下に溶融状態でグラフトさせる方法が挙げられる。
これらの酸変性ポリオレフィン(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0018】
酸変性ポリオレフィン(A)を構成するモノマー種類は特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-オクテン、4-メチルペンテン-1、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、テトラシクロドデセンなどが挙げられる。これらから単一で構成される単一系ポリマーでも、複数から構成される多元系ポリマーでもよい。
【0019】
酸変性ポリオレフィンの酸成分は特に限定されないが、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などが挙げられる。この中でもマレイン酸が好適に用いられる。また、これらの誘導体である酸無水物、酸エステル、酸アミド、酸ハロゲン化物などが挙げられる。この中で、酸無水物が好ましい。
【0020】
酸変性ポリオレフィン(A)の密度は、好ましくは0.85~1.0g/cm3の範囲であり、より好ましくは0.86~0.98g/cm3の範囲であり、特に好ましくは0.88~0.95g/cm3の範囲である。
【0021】
酸変性ポリオレフィン(A)のメルトマスフローレイト(以下、MFR)は、1~100g/10分の範囲であることが好ましく、より好ましくは2~50g/10分の範囲であり、さらに好ましくは5~20g/10分の範囲である。本明細書におけるメルトマスフローレイトは、JIS K 7210-1:2014に準拠し、190℃、荷重2.16kgの条件で測定した10分間の流出量である。
【0022】
<ポリエステル樹脂(B)>
本発明におけるポリエステル樹脂(B)は、DSCにおける融解ピーク温度が70℃以上210℃以下である。70℃未満の場合は接着性樹脂組成物の耐熱接着性が不足し、210℃を超える場合は接着性樹脂組成物の接着性が不足する。
【0023】
ポリエステル樹脂(B)のDSCにおける融解ピーク温度は、接着性、耐熱接着性、耐寒接着性の点で、好ましくは80~190℃の範囲であり、さらに好ましくは90~170℃の範囲であり、特に好ましくは100~150℃の範囲である。
【0024】
ポリエステル樹脂(B)を構成するジカルボン酸成分およびジオール成分は特に限定されない。ジカルボン酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0025】
ポリエステル樹脂(B)の密度は、好ましくは1.10~1.40g/cm3の範囲であり、より好ましくは1.12~1.30g/cm3の範囲であり、特に好ましくは1.15~1.26g/cm3の範囲である。
【0026】
ポリエステル樹脂(B)の溶融粘度は200℃において、100~10000dPa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは500~5000dPa・sの範囲であり、さらに好ましくは1000~3000dPa・sの範囲である。
【0027】
≪接着性樹脂組成物≫
本発明の接着性樹脂組成物は、接着性樹脂組成物100質量中に酸変性ポリオレフィン(A)を50~99質量%、およびポリエステル樹脂(B)を1~50質量%含有する。
酸変性ポリオレフィン(A)の含有率が50質量%未満であるとロールリリース性が不良になりやすく、ネックインが大きくなり、99質量%を超えると接着性が不足する。また、ポリエステル樹脂(B)の含有率が1質量%未満であると接着性が不足し、50質量%を超えるとロールリリース性が不良になりやすく、ネックインが大きくなりやすい。
【0028】
上記成分(A)、(B)の含有率は、好ましくは、酸変性ポリオレフィン(A)60~95質量%、ポリエステル樹脂(B)5~40質量%であり、より好ましくは、酸変性ポリオレフィン(A)70~90質量%、ポリエステル樹脂(B)10~30質量%であり、最も好ましくは、酸変性ポリオレフィン(A)75~85質量%、ポリエステル樹脂(B)15~25質量%である。
酸変性ポリオレフィン(A)およびポリエステル樹脂(B)の含有率が上記範囲内にあると、ロールリリースやネックインといった押出ラミネート適性に優れ、SUSやアルミニウム、銅等の金属系材料と、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の有機系材料との両方に対して良好な接着性を示し、さらに、耐熱接着性、耐寒接着性に優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能な接着性樹脂組成物、並びに、該接着剤を用いてなる積層体及び接着性樹脂組成物フィルムを得ることができる。
【0029】
本発明の接着性樹脂組成物のメルトマスフローレイトは、好ましくは1~100g/10分の範囲であり、より好ましくは1~50g/10分の範囲であり、特に好ましくは2~20g/10分の範囲である。メルトマスフローレイトが1g/10分以上であると、シール性の観点から好ましく、100g/10分以下であると、押出しラミネート適性に優れ、よりフィルム化が容易となるため好ましい。
【0030】
接着性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、着色剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等の添加剤を含有してもよい。
着色剤としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、例えば、シリコーン、エルカ酸アミドやオレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド、ステアリン酸アミドやベヘニン酸アミド等の飽和脂肪酸アミドが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、高分子量ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体、高分子量ヒンダードフェノール、ジアルキルフェノールスルフィド、2、2-メチレン-ビス-(4-メチル-6-第三-ブチルフェノール)、4、4-メチレン-ビス-(2、6-ジ-第三-ブチルフェノール)、2、6-ジ-第三-ブチルフェノール-p-クレゾール、2、5-ジ-第三-ブチルヒドロキノン、2、2、4-トリメチル-1、2-ジヒドロキノン、2、2、4-トリメチル-1、2-ジヒドロキノン、ジブチル・ジチオカルバミン酸ニッケル、1-オキシ-3-メチル-4-イソプロピルベンゼン、4、4-ブチリデンビス-(3-メチル-6-第三-ブチルフェノール)、2-メルカプトベンゾイミダゾールが挙げられる。
【0031】
<単層フィルム>
単層フィルムとは、上記接着性樹脂組成物からなるフィルムである。単層フィルムは例えば、インフレーション成型により得ることができる。
【0032】
単層フィルムの厚みは、好ましくは3~200μmであり、より好ましくは5~100μmであり、さらに好ましくは10~50μmであり、特に好ましくは15~30μmである。
本発明の単層フィルムは、基材と基材の間に挟み、熱をかけることにより基材と基材を融着することができる。例えば、SUSやアルミニウム、銅等の金属系材料と、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の有機系材料との両方に対して良好な接着性を示し、さらに、耐熱接着性、耐寒接着性に優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能である。
【0033】
<積層体>
本発明の積層体は、基材上に、上記接着性樹脂組成物からなる接着層を有するものである。接着層の形成方法は特に制限されず、多くは押出ラミネーターを用いて基材上に塗布される。なお、本発明の接着性樹脂組成物は、押出ラミネート適性に優れるものである。押出ラミネーターの冷却ロールの表面仕様は、マットやミラー、さらにその中間のセミマットやセミミラーなど様々であるが、本発明の接着性樹脂組成物は、いずれの表面仕様の冷却ロールに対しても、良好なロールリリース性を発揮することができる。
【0034】
[基材]
基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、ポリイミド、ウレタン、ポリプロピレン、ポリスチレンのような1種類の材料からなる単層のフィルム又はシート;
PETとポリエチレン(以下、PE)とが積層されたPET/PE、PETとアルミニウム箔(AL)とが積層されたPET/AL、PET/AL/PEのような2種類以上の基材からなる複層のフィルム又はシートが挙げられる。
これらの基材は、アルミナやシリカ等の蒸着層を有していてもよい。
【0035】
積層体における接着層の厚みは、好ましくは3~200μmであり、より好ましくは5~100μmであり、さらに好ましくは10~50μmであり、特に好ましくは15~30μmである。
【0036】
本発明の積層体は、前述のとおり、SUSやアルミニウム、銅等の金属系材料と、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の有機系材料との両方に対して良好な接着性を示し、さらに、耐熱接着性、耐寒接着性に優れ、様々な環境下においても接着性を維持可能である。
【実施例0037】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、特に断りのない限り実施例における「部」及び「%」は、各々「質量部」及び「質量%」を表す。
【0038】
<酸変性ポリオレフィン(A)>
A-1:三菱ケミカル社製モディックF534A、MFR3.5g/10分、融解ピーク温度120℃、密度0.90g/cm3
A-2:三菱ケミカル社製モディックL502、MFR1.0g/10分、融解ピーク温度110℃、密度0.93g/cm3
A-3:三菱ケミカル社製モディックA515、MFR9.5g/10分、融解ピーク温度88℃、密度0.95g/cm3
A-4:三井化学社製アドマーSE810、MFR7.2g/10分、融解ピーク温度124℃、密度0.89g/cm3
<その他酸変性ポリオレフィン(A’)>
A’-1:三井化学社製アドマーQF500、MFR3.0g/10分、融解ピーク温度161℃、密度0.90g/cm3
A’-2:アルケマ社製ボンダインHX8290、MFR65g/10分、融解ピーク温度81℃、密度1.0g/cm3
【0039】
<ポリエステル樹脂(B)>
B-1:東洋紡社製バイロン200、融解ピーク温度78℃、比重1.26、Tg67℃
B-2:東洋紡社製バイロンGA-6400、融解ピーク温度96℃、比重1.22、Tg-20℃
B-3:東洋紡社製バイロンGM-920、融解ピーク温度107℃、比重1.15、Tg-60℃
B-4:東洋紡社製バイロンGM-913、融解ピーク温度126℃、比重1.15、Tg-70℃
B-5:東洋紡社製バイロンGA-1300、融解ピーク温度167℃、比重1.26、Tg-6℃
B-6:東洋紡社製バイロンRN-9300、融解ピーク温度198℃、比重1.34、Tg-73℃
<その他ポリエステル樹脂(B’)>
B’-1:クラレ社製クラペットKS710B-8S、融解ピーク温度233℃、密度1.38g/cm3、Tg82℃
【0040】
<添加剤>
酸化防止剤:ヒンダードフェノール系酸化防止剤
ブロッキング防止剤:エルカ酸アミド
【0041】
<接着性樹脂組成物の製造>
[実施例1]
ヘンシェルミキサーに酸変性ポリオレフィン(A)として(A-1)を90質量部、ポリエステル樹脂(B)として(B-2)10質量部、および添加剤として酸化防止剤とブロッキング防止剤をそれぞれ0.2質量部入れて、5分間プリブレンドした。次いで、ホッパーにプリブレンド物を投入し、スクリュ―フィーダ―を用いて二軸押出機に供給して、溶融混合し実施例1の接着性樹脂組成物を製造した。
《二軸押出溶融混合条件》
二軸押出機:アイ・ケー・ジー製PMT32-40.5
ダイ出口樹脂温度:120~250℃
【0042】
[実施例2~9、比較例1~5]
表1に示す配合組成(質量部)に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~9、比較例1~5の、接着性樹脂組成物を調製した。
【0043】
<積層体の製造>
得られた接着性樹脂組成物を用いて、PET(厚み12μm)/PE(厚み20μm)の積層基材のPE面に、押出ラミネーターを用いて下記の条件で、厚み30μmとなるように接着性樹脂組成物を積層し、積層体を得た。
《押出ラミネーター条件》
押出ラミネーター:ムサシノキカイ製400M/MテストEXTラミネーター
ダイ直下樹脂温度:130~270℃
加工速度:20m/分
Tダイ幅:300mm
冷却ロール表面温度:20~25℃
【0044】
得られた積層体を用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0045】
【0046】
[ロールリリース性]
積層体作成時の冷却ロールからの剥がれを観察し、以下の基準で評価した。
○:剥離音なく容易に剥がれる(良好)
△:冷却ロールから剥がれるが剥離音がする(使用可能)
×:冷却ロールから剥がれず積層フィルムが冷却ロールに巻き付く(使用不可)
【0047】
[ネックイン]
各積層体について、ラミネート幅を評価し、以下の基準で評価した。
○:ラミネート幅が250mm以上(良好)
△:ラミネート幅が200mm以上、250mm未満(使用可能)
×:ラミネート幅が200mm未満(使用不可)
【0048】
[接着性]
各積層体を、15mm幅に裁断して試験片とした。試験片と、SUS板(SUS304)、アルミ板(A1050P)、銅板(タフピッチ銅C1100)、高密度ポリエチレン(HDPE)シート(昭和電工マテリアルズ製コウベポリシート)、無延伸ポリプロピレン(CPP)シート(出光ユニテック製スーパーピュアレイ)、PETシート(東レ製ルミラー)、ポリエチレンナフタレート(PEN)シート(帝人デュポンフィルム製テオネックス)とを、それぞれ160℃で5秒間、圧力0.3MPaにてヒートシールした。23℃、相対湿度65%で24時間放置後、引張強度試験機(島津製作所製オートグラフAGX-V型)を用いて、180°角剥離、剥離速度200mm/分の条件で接着強度を測定し、以下の基準で評価した。
○:接着強度が15N/15mm以上(良好)
△:接着強度が5N/15mm以上、15N/15mm未満(使用可能)
×:接着強度が5N/15mm未満(使用不可)
[耐熱接着性]
各積層体を、15mm幅に裁断して試験片とした。試験片と、接着性評価で使用したものと同じ種類のSUS板、アルミ板、銅板、HDPEシート、CPPシート、PETシート又はPENシートとを、それぞれ160℃で3秒間、圧力0.3MPaにてヒートシールした。80℃雰囲気中で1000時間放置後、引張強度試験機(島津製作所製オートグラフAGX-V型)を用いて、180°角剥離、剥離速度200mm/分の条件で接着強度を測定し、以下の基準で評価した。
○:接着強度が15N/15mm以上(良好)
△:接着強度が5N/15mm以上、15N/15mm未満(使用可能)
×:接着強度が5N/15mm未満(使用不可)
【0049】
[耐寒接着性]
各積層体を、15mm幅に裁断して試験片とした。試験片と、接着性評価で使用したものと同じ種類のSUS板、アルミ板、銅板、HDPEシート、CPPシート、PETシート又はPENシートとを、それぞれ160℃で3秒間、圧力0.3MPaにてヒートシールした。-30℃雰囲気中で1000時間放置後、引張強度試験機(島津製作所製オートグラフAGX-V型)を用いて、180°角剥離、剥離速度200mm/分の条件で接着強度を測定し、以下の基準で評価した。
○:接着強度が15N/15mm以上(良好)
△:接着強度が5N/15mm以上、15N/15mm未満(使用可能)
×:接着強度が5N/15mm未満(使用不可)
【0050】
表1に示すように、DSCによる融解ピーク温度85℃以上130℃以下の酸変性ポリオレフィン(A)50~99質量%、DSCによる融解ピーク温度70℃以上210℃以下のポリエステル樹脂(B)1~50質量%を含む本発明の接着性樹脂組成物は、加工性(ロールリリース性、ネックイン)だけでなく、優れた接着強度、耐熱性及び耐寒性を示し、接着性樹脂組成物として有用であることが示された。