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  • 特開-冷水製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106862
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】冷水製造装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011330
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】堀川 伸二
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑えつつ冷水循環ライン内の水の凍結を防止することの可能な冷水製造装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、冷水を生成する冷水製造装置1であって、循環手段5,6と、冷却手段2,3,4,8と、温度検知手段9,10と、加温手段6と、制御手段11とを備え、循環手段5,6は、冷水循環ライン5及び冷水循環ポンプ6を備えるとともに、冷却する水を冷水循環ポンプ6の駆動により冷水循環ライン5を介して循環させるよう構成され、冷却手段2,3,4,8は、冷水循環ライン5を循環する循環水を冷却するよう構成され、温度検知手段9,10は、循環水の水温と外気温の少なくとも一方を検知するよう構成され、加温手段6は、循環水を加温するよう構成され、制御手段11は、温度検知手段9,10が検知した水温と外気温の少なくとも一方に基づいて加温手段6による循環水の加温を制御する、冷水製造装置1が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷水を生成する冷水製造装置であって、
循環手段と、冷却手段と、温度検知手段と、加温手段と、制御手段とを備え、
前記循環手段は、冷水循環ライン及び冷水循環ポンプを備えるとともに、冷却する水を前記冷水循環ポンプの駆動により前記冷水循環ラインを介して循環させるよう構成され、
前記冷却手段は、前記冷水循環ラインを循環する循環水を冷却するよう構成され、
前記温度検知手段は、前記循環水の水温と外気温の少なくとも一方を検知するよう構成され、
前記加温手段は、前記循環水を加温するよう構成され、
前記制御手段は、前記温度検知手段が検知した前記水温と外気温の少なくとも一方に基づいて前記加温手段による前記循環水の加温を制御する、冷水製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷水製造装置であって、
前記加温手段は、前記冷水循環ポンプであり、
前記制御手段は、前記温度検知手段が検知する前記水温と外気温の少なくとも一方の低下に応じて前記冷水循環ポンプの出力を増加させる、冷水製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載の冷水製造装置であって、
前記制御手段は、前記水温と外気温の少なくとも一方の低下に応じて前記冷水循環ポンプの周波数を増加させる、冷水製造装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の冷水製造装置であって、
前記制御手段は、冷却運転動作と運転停止中動作とを実行するよう構成され、
前記冷却運転動作では、前記冷却手段により前記循環水を冷却し、
前記運転停止中動作では、前記温度検知手段が検知した前記水温と外気温の少なくとも一方に基づいて前記加温手段により前記循環水を加温する、冷水製造装置。
【請求項5】
請求項1~請求項3のいずれかに記載の冷水製造装置であって、
前記冷却手段は、冷媒を冷却する冷凍機と、熱交換器とを備え、前記熱交換器において前記冷媒と前記循環水との間で熱交換させることで前記循環水を冷却する、冷水製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水を製造する冷水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の冷却のために冷水を製造する冷水製造装置がある。例えば、特許文献1には、熱交換器と冷凍機との間で冷媒を循環させるとともに当該熱交換器と蓄氷タンクとの間で冷水を循環させることで蓄氷タンクに氷水を生成し、必要に応じて蓄氷タンクから冷却槽に冷却水を供給する蓄氷型冷水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3412371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示される冷水装置では、常温の原水を混合することにより運転中における熱交換器内の水の凍結を防止することが可能である。しかしながら、運転停止中においては、外気温の低下により、冷水循環ライン内で凍結が生じるおそれがあった。また、運転停止中にも水を循環させることで冷水循環ポンプの入熱により冷水循環ライン内での凍結を防止することも考えられるが、この場合、冷水循環ポンプの消費電力が増加してしまう。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、消費電力を抑えつつ、冷水循環ライン内の水の凍結を防止することの可能な冷水製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]冷水を生成する冷水製造装置であって、循環手段と、冷却手段と、温度検知手段と、加温手段と、制御手段とを備え、前記循環手段は、冷水循環ライン及び冷水循環ポンプを備えるとともに、冷却する水を前記冷水循環ポンプの駆動により前記冷水循環ラインを介して循環させるよう構成され、前記冷却手段は、前記冷水循環ラインを循環する循環水を冷却するよう構成され、前記温度検知手段は、前記循環水の水温と外気温の少なくとも一方を検知するよう構成され、前記加温手段は、前記循環水を加温するよう構成され、前記制御手段は、前記温度検知手段が検知した前記水温と外気温の少なくとも一方に基づいて前記加温手段による前記循環水の加温を制御する、冷水製造装置。
[2][1]に記載の冷水製造装置であって、前記加温手段は、前記冷水循環ポンプであり、前記制御手段は、前記温度検知手段が検知する前記水温と外気温の少なくとも一方の低下に応じて前記冷水循環ポンプの出力を増加させる、冷水製造装置。
[3][2]に記載の冷水製造装置であって、前記制御手段は、前記水温と外気温の少なくとも一方の低下に応じて前記冷水循環ポンプの周波数を増加させる、冷水製造装置。
[4][1]~[3]のいずれかに記載の冷水製造装置であって、前記制御手段は、冷却運転動作と運転停止中動作とを実行するよう構成され、前記冷却運転動作では、前記冷却手段により前記循環水を冷却し、前記運転停止中動作では、前記温度検知手段が検知した前記水温と外気温の少なくとも一方に基づいて前記加温手段により前記循環水を加温する、冷水製造装置。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の冷水製造装置であって、前記冷却手段は、冷媒を冷却する冷凍機と、熱交換器とを備え、前記熱交換器において前記冷媒と前記循環水との間で熱交換させることで前記循環水を冷却する、冷水製造装置。
【0007】
本発明によれば、水温と外気温の少なくとも一方に基づいて加温手段による循環水の加温を制御することで、消費電力を抑えつつ、冷水循環ライン内の水の凍結を防止することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る冷水製造装置1を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0010】
1.冷水製造装置1の構成
まず、本発明の一実施形態に係る冷水製造装置1の構成について説明する。本実施形態の冷水製造装置1は、水を冷却し、冷水を製造するために用いられる。製造された冷水は、例えば、食品等の被処理物を冷却するために用いられる。
【0011】
本実施形態の冷水製造装置1は、図1に示すように、冷却手段としての冷凍機2、熱交換器3及び冷媒循環ライン4と、循環手段としての冷水循環ライン5及び冷水循環ポンプ6と、冷水タンク7とを備える。冷媒循環ライン4には、冷凍機2の下流側に、膨張弁8が設置される。冷水循環ライン5には、熱交換器3の下流側に、冷水温度センサ9が設置される。また、本実施形態の冷水製造装置1は、外気温を検知する外気温センサ10を備えており、冷水温度センサ9と外気温センサ10とにより、本実施形態における温度検知手段が構成される。加えて、冷水製造装置1は、各要素の動作を制御する制御手段11を備える。本実施形態の冷水製造装置1は、熱交換器3において冷水循環ライン5を循環する水と冷媒循環ライン4を循環する冷媒とが熱交換することにより、冷水を製造する。以下、各構成を具体的に説明する。
【0012】
冷凍機2は、圧縮機20と、凝縮器21とを備え、冷媒を冷却するものである。冷凍機2は、冷媒循環ライン4によって熱交換器3と接続されている。
【0013】
圧縮機20は、低温低圧の冷媒ガスを断熱圧縮して高温高圧のガスにする。圧縮機20において高温高圧のガス状態となった冷媒は、好ましくは油分離器(図示せず)を介して凝縮器21へ送られる。圧縮機20には、例えばスクロール圧縮機が用いられる。なお、本実施形態の圧縮機20は、多段階に運転周波数を変動させて圧縮力を調整する周波数制御を行うことができるものである。
【0014】
凝縮器21は、圧縮機20からの高温高圧のガスを凝縮液化して、低温高圧の冷媒液の状態にする。本実施形態の凝縮器21は、ファン21aを備える空冷式の熱交換器である。ただし、水冷式の凝縮器21を用いることも可能である。凝縮器21で低温高圧の冷媒液の状態となった冷媒は、冷媒循環ライン4を通って膨張弁8へ送られる。
【0015】
膨張弁8は、凝縮器21で低温高圧の冷媒液の状態となった冷媒を減圧して、低温低圧の冷媒液の状態にする。膨張弁8は、その開度を制御可能な弁であり、開度は制御手段11によって制御される。制御手段11によって膨張弁8の開度を調整することにより、減圧の度合いを調整することができる。膨張弁8で低温低圧の冷媒液の状態となった冷媒は、熱交換器3へ送られる。なお、膨張弁8は、電子膨張弁であっても機械式膨張弁であっても良い。
【0016】
熱交換器3は、冷凍サイクルにおける蒸発器として機能する。熱交換器3は、冷媒循環ライン4と接続される冷媒流路と冷水循環ライン5と接続される水流路とを備え、冷媒と水とを混合することなく、これらの間で間接的に熱交換させるものである。熱交換器3には、例えば、二重管熱交換器が用いられる。熱交換器3は、膨張弁8を通過して低温低圧となった冷媒循環ライン4の冷媒液が圧力一定のまま冷水循環ライン5の水から吸熱して蒸発することにより、水から熱を奪って水を冷却する。なお、膨張弁8の開度調整により、冷媒は熱交換器3において完全に蒸発し、蒸発した冷媒は、冷媒循環ライン4を通って低温低圧のガスの状態で冷凍機2(圧縮機20)へ送られるようになっている。
【0017】
冷媒循環ライン4は、冷媒を圧縮機20、凝縮器21、膨張弁8及び熱交換器3(蒸発器)の順に循環させるよう接続しており、冷媒が冷媒循環ライン4を循環することで、冷媒の圧縮、凝縮、膨張及び蒸発の冷凍サイクルが実行されるよう構成される。本実施形態においては、冷凍機2、膨張弁8、熱交換器3及び冷媒循環ライン4により、冷水循環ライン5を流通する循環水を冷却する冷却手段が構成される。
【0018】
冷媒循環ライン4の凝縮器21の下流側(出口側)であって膨張弁8の上流側の位置には、循環弁40が設置されている。循環弁40には、電磁弁を用いることが好ましい。また、熱交換器3の下流側(出口側)であって圧縮機20の上流側(入口側)の位置には、冷媒圧力センサ41と、冷媒温度センサ42とが設置されている。冷媒圧力センサ41は、熱交換器3における冷媒の圧力を検知するよう構成される。冷媒温度センサ42は、熱交換器3により蒸発した、圧縮機20に吸入される冷媒の温度を検知するよう構成される。なお、冷媒圧力センサ41及び冷媒温度センサ42は、熱交換器3の出口から圧縮機20の入口に至る冷媒循環ライン4の配管上であれば、任意の箇所に設置することができる。
【0019】
加えて、本実施形態の冷水製造装置1は、凝縮器21及び膨張弁8をバイパスして冷凍機2の圧縮機20と熱交換器3とを接続する冷媒バイパスライン43も備えている。冷媒バイパスライン43には、冷媒バイパス弁44が設置されており、冷媒バイパス弁44にも、電磁弁が用いられる。
【0020】
一方、冷水循環ライン5は、熱交換器3と冷水タンク7とを接続して、これらの間で冷却する水を循環水として循環させるよう構成される。冷水循環ライン5は、具体的には、一端側が冷水タンク7の下部に好ましくはフィルタ(図示せず)を介して接続され、熱交換器3の水流路を経由して他端側が冷水タンク7の上部に接続される。
【0021】
冷水循環ライン5における冷水タンク7の下流側(熱交換器3の上流側)の位置には、冷水循環ポンプ6が設置される。冷水循環ポンプ6は、冷却する水を、循環水として冷水循環ライン5を介して熱交換器3と冷水タンク7との間で循環させるよう構成される。ここで、本実施形態の冷水循環ポンプ6は、多段階に運転周波数(出力)を変動させて送水能力を調整する周波数制御を行うことができるものとされる。また、本実施形態の冷水循環ポンプ6は、冷水循環ライン5を循環する循環水を加温する加温手段としても機能する。そして、冷水循環ポンプ6の周波数を変更することで、循環水の加温の能力も調整することが可能となっている。
【0022】
また、冷水循環ライン5における熱交換器3の下流側(出口側)の位置には、冷水温度センサ9が設けられている。冷水温度センサ9は、冷水循環ライン5を循環する循環水の水温(特に、熱交換器3における熱交換後の循環水の水温)を検知するよう構成される。
【0023】
冷水タンク7は、熱交換器3により冷却された水(冷水)を貯留する。冷水タンク7には、給水ライン70と、冷水取り出しライン71とが接続される。給水ライン70には、給水弁72が設置され、冷水取り出しライン71には、冷水取り出し弁73が設置される。冷水タンク7に貯留された冷水は、必要に応じて冷水取り出しライン71から取り出して使用することができる。
【0024】
外気温センサ10は、本実施形態における冷水製造装置1が設置される場所の外気温を検知する。外気温センサ10の設置位置は特に限定されないが、水の凍結防止を目的とするため、冷水循環ライン5や冷水タンク7の近傍に設置することが好ましい。
【0025】
制御手段11は、各種センサの検出信号や経過時間などに基づき、上記各構成を制御する。制御手段11は、具体的には、例えば、冷凍機2(圧縮機20及び凝縮器21)と、膨張弁8と、循環弁40と、冷媒バイパス弁44と、冷水循環ポンプ6と、給水弁72と、冷水取り出し弁73とを制御する。ただし、給水弁72及び冷水取り出し弁73は、手動又は機械的に作動するものとすることもできる。また、制御手段11には、冷媒圧力センサ41、冷媒温度センサ42及び冷水温度センサ9などが接続されている。制御手段11は、後述するように、所定の手順(プログラム)に従い、冷媒を循環させて水を冷却する冷却動作のための制御を行う。
【0026】
なお、上記構成の制御手段11は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。そして、情報処理装置により構成された制御手段11の上記各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段11の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。
【0027】
2.冷水製造装置1の動作
次に、本実施形態の冷水製造装置1の動作について説明する。本実施形態の冷水製造装置1は、制御手段11の制御により、冷却運転動作と、解氷運転動作と、運転停止中動作とを実行する。以下、各動作について詳細に説明する。
【0028】
<冷却運転動作>
冷却運転動作は、冷凍機2によって冷媒を冷却し、熱交換器3において冷水循環ライン5を循環する水を冷却する動作である。具体的には、スタートボタンが押されるなど、冷水製造装置1による冷却運転の開始が指示されると、制御手段11は、冷凍機2(圧縮機20)を駆動するとともに、循環弁40を開き、冷媒バイパス弁44を閉じる。これにより、冷媒が冷媒循環ライン4を介して圧縮機20、凝縮器21、膨張弁8及び熱交換器3(蒸発器)の順に循環し、冷媒の圧縮、凝縮、膨張及び蒸発の冷凍サイクルが実行される。また、制御手段11は、冷水循環ポンプ6を駆動し、冷却する水を、冷水循環ライン5を介して循環させる。そして、循環水が熱交換器3を流通する際、同じく熱交換器3を流通する冷媒との間で熱交換が行われることで、循環水が冷却される。
【0029】
冷却された循環水は、冷水タンク7に貯留される。冷水タンク7内の水が少ない場合には、制御手段11は、給水弁72を開くことで、給水ライン70を介して給水を行う。そして、冷却運転動作により製造された冷水は、制御手段11の制御により冷水取り出し弁73が開かれることで、所望の供給先に供給される。冷水タンク7に必要な量の冷水が貯留されると、冷水製造装置1による冷却運転動作を停止する。また、ストップボタンが押されるなど、冷却運転の停止が指示された場合も、冷却運転動作を停止する。
【0030】
また、本実施形態の冷水製造装置1は、冷媒循環ライン4に設けられた冷媒温度センサ42により、熱交換器3において何らかの原因で冷水の凍結が発生した場合に、当該凍結を検知するようになっている。ただし、冷水の凍結を検知する構成は、冷媒温度センサ42以外のものであっても良い。例えば、冷媒循環ライン4に設けられた冷媒圧力センサ41により凍結を検知するようにしても良い。また、冷水循環ライン5を循環する熱交換器3の前後の冷水の圧力に基づいて凍結を検知する構成や、冷媒循環ライン4を循環する熱交換器3の前後の冷媒の圧力に基づいて凍結を検知する構成であっても良い。そして、熱交換器3における冷水の凍結を検出した場合には、制御手段11は、次に説明する解氷運転動作を実行する。
【0031】
<解氷運転動作>
解氷運転動作(デフロスト動作)は、熱交換器3における冷水の凍結を検出した場合に、熱交換器3にホットガスを供給し、ホットガスの温熱によってこれを解凍するための運転動作である。以下、解氷運転動作について具体的に説明する。
【0032】
解氷運転動作を行う場合、制御手段11は、冷媒循環ライン4に設けられた循環弁40を閉じるとともに、冷媒バイパスライン43に設けられた冷媒バイパス弁44を開く。すると、冷凍機2の圧縮機20により高温高圧のガスとなった冷媒(ホットガス)が、凝縮器21及び膨張弁8をバイパスして循環する。これにより、ホットガスが直接熱交換器3に供給され、熱交換器3内で凍結した冷水が解凍されることになる。
【0033】
そして、制御手段11は、冷媒温度センサ42の検出する冷媒の温度が正常となった場合には、冷水が解凍されたとして解氷運転動作を終了する。ただし、解凍を検知する構成も、凍結を検知する構成と同様、冷媒温度センサ42以外のものであっても良い。解氷運転動作を終了するには、制御手段11は、冷媒循環ライン4の循環弁40を開くとともに、冷媒バイパスライン43の冷媒バイパス弁44を閉じる。これにより、冷却運転動作が再開される。
【0034】
<運転停止中動作>
運転停止中動作は、冷却運転動作の停止中に、外気温の低下に伴う冷水循環ライン5内での冷水の凍結を防止するための動作である。運転停止中動作において、制御手段11は、冷水温度センサ9の検知した冷水の水温と外気温センサ10の検知した外気温とに基づいて冷水循環ポンプ6を駆動する。すると、冷水の冷水循環ポンプ6内における循環と、冷水循環ポンプ6による循環水への入熱とにより、冷水が加温される。
【0035】
具体的には、運転停止中動作において、制御手段11は、外気温センサ10の検知した外気温が予め定めた温度(例えば、3℃以下)以下となった場合に、冷水温度センサ9による冷水の水温の監視を開始し、水温に応じて冷水循環ポンプ6の運転周波数を制御する。より具体的には、例えば、制御手段11は、外気温が所定の閾値以下となった場合に冷水循環ポンプ6を基本周波数である第1周波数F1で駆動し、冷水(循環水)の水温が第1水温T1以下となった場合に、冷水循環ポンプ6を第1周波数F1よりも高い第2周波数F2で駆動する。また、制御手段11は、水温が第1水温T1よりも高い第2水温T2以上に回復した場合に、冷水循環ポンプ6の運転周波数を第1周波数F1に復帰させる。
【0036】
ここで、第1水温T1は、凍結の可能性が高くなる低温であり、第2水温T2は、凍結の可能性が低下する第1水温T1よりも高い温度である(T2>T1)。また、第2周波数F2は、基本周波数(第1周波数F1)よりも高い周波数であり(F2>F1)、循環水の加温能力が高くなる周波数である。
【0037】
なお、制御手段11による冷水循環ポンプ6の上記制御は一例であり、他の制御を行うことも可能である。例えば、第1周波数F1と第2周波数F2とを切り替える第1水温T1と第2水温T2を同じ温度(閾値)としても良い。また、冷水循環ポンプ6の運転周波数を切り替える閾値となる水温を2段階ではなく、3段階以上の多段階で設定し、多段階で冷水循環ポンプ6の運転周波数を切り替えることも可能である。さらに、水温に応じて、特に水温が回復してきた場合に、冷水循環ポンプ6を間欠運転することも可能である。間欠運転によっても、冷水循環ポンプ6の出力(加温)を調整することができる。
【0038】
3.作用効果
(1)本実施形態の冷水製造装置1において、制御手段11は、冷却運転動作の停止中に実行される運転停止中動作において、冷水温度センサ9の検知した冷水の水温と外気温センサ10の検知した外気温とに基づいて冷水循環ポンプ6を駆動するようになっている。具体的には、制御手段11は、外気温センサ10の検知した外気温が予め定めた温度以下となった場合、冷水温度センサ9の検知する水温の低下に応じて冷水循環ポンプ6の運転周波数を増加させ、水温の上昇に応じて運転周波数を低下させる。これにより、冷水循環ポンプ6を凍結防止可能な一定の周波数で常に運転させる場合と比較して、冷水循環ポンプ6の消費電力を削減することが可能となる。また、水温の上昇に応じて運転周波数を低下させることで過剰なポンプ入熱を抑えることができ、水温の過上昇を防止することが可能となる。これにより、冷却運転動作を再開した際の余分な冷却運転を避けることも可能となっている。
【0039】
(2)冷水循環ライン5内の循環水を加温する加温手段として周波数制御の可能な冷水循環ポンプ6を用いることで、別途加温手段を設けることなく循環水の加温を行うことが可能となっている。
【0040】
4.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0041】
上記実施形態において、冷水循環ポンプ6は、周波数制御可能とすることにより送水能力及び加温能力を調整可能な構成であった。しかしながら、ポンプを並列に複数台配置し、駆動するポンプの台数を制御することで、送水能力及び加温能力を調整する構成とすることも可能である。
【0042】
上記実施形態においては、冷水の状態を検知するための温度検知手段として冷水温度センサ9及び外気温センサ10が用いられていた。しかしながら、温度検知手段として、いずれか一方のセンサのみを用いることも可能である。すなわち、外気温と水温とは相関関係にあるため、水温又は外気温を検知しなくても、制御手段11が水温と外気温のいずれか一方に基づいて加温手段(冷水循環ポンプ6)を制御することで、消費電力を抑えつつ、冷水循環ライン5内の水の凍結を防止することが可能である。
【0043】
上記実施形態において、冷水製造装置1は、冷水タンク7を含んで構成されていた。しかしながら、冷水タンク7は冷水製造装置1の外部構成とし、設置場所において、冷水循環ライン5を冷水タンク7に接続して用いるようにしても良い。
【0044】
上記実施形態において、循環水を加温する加温手段は冷水循環ポンプ6であった。しかしながら、加温手段として、冷水循環ライン5の管路を加温する手段(テープヒータ等)を別途用いることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 :冷水製造装置
2 :冷凍機(冷却手段)
3 :熱交換器(冷却手段)
4 :冷媒循環ライン(冷却手段)
5 :冷水循環ライン(循環手段)
6 :冷水循環ポンプ(循環手段、加温手段)
7 :冷水タンク
8 :膨張弁(冷却手段)
9 :冷水温度センサ(温度検知手段)
10 :外気温センサ(温度検知手段)
11 :制御手段
20 :圧縮機
21 :凝縮器
21a :ファン
40 :循環弁
41 :冷媒圧力センサ
42 :冷媒温度センサ
43 :冷媒バイパスライン
44 :冷媒バイパス弁
70 :給水ライン
71 :冷水取り出しライン
72 :給水弁
73 :冷水取り出し弁
100 :冷水ライン
図1