(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106877
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】皮膚シール
(51)【国際特許分類】
A61F 13/0246 20240101AFI20240801BHJP
A61F 13/02 20240101ALI20240801BHJP
【FI】
A61F13/02 310J
A61F13/02 370
A61F13/02 355
A61F13/02 310D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011349
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】592091220
【氏名又は名称】株式会社コスモテック
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】星野 一樹
(72)【発明者】
【氏名】サンパット フォンセカ
(57)【要約】
【課題】皮膚シールを貼難い性質の人に対しても、皮膚シールを普通に貼付けることができる人に対しても、それらの人の皮膚に良好に貼付けることができ、しかも良好に剥がすことができる皮膚シールを提供する。
【解決手段】人の皮膚に貼られる皮膚シール1であって、ベース材2と、セパレータ3と、ベース材2を剥がすための剥離剤層5と、セパレータ3上に設けられた粘着剤層8と、剥離剤層5と粘着剤層8との間に設けられた弾性層6と、を有しており、セパレータ3をこのセパレータ3に接触している層から剥離するための力をP1とし、剥離剤層5をこの剥離剤層5にベース材2の反対側で接触している層から剥離するための力をP2とし、粘着剤層8を皮膚から剥離するための力をP3とするとき、P1<P2<P3であり、粘着剤層8は内側領域8aと外側領域8bとを有しており、外側領域8bの粘着力は内側領域8aの粘着力はよりも強いことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の皮膚に貼られる皮膚シールであって、
ベース材と、
セパレータと、
前記ベース材を剥がすための剥離剤層と、
前記セパレータ上に設けられた粘着剤層と、
前記剥離剤層と前記粘着剤層との間に設けられた弾性層と、
を有しており、
前記セパレータを当該セパレータに接触している層から剥離するための力をP1とし、
前記剥離剤層を当該剥離剤層に前記ベース材の反対側で接触している層から剥離するための力をP2とし、
前記粘着剤層を皮膚から剥離するための力をP3とするとき、
P1<P2<P3
であり、
前記粘着剤層は内側領域と外側領域とを有しており、
前記外側領域の粘着力は前記内側領域の粘着力はよりも強い、
ことを特徴とする皮膚シール。
【請求項2】
前記内側領域の粘着力をNa(N/25mm)とし、前記外側領域の粘着力をNb(N/25mm)とするとき、
1≦Na≦5
5<Nb<9
であることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項3】
前記内側領域の面積をA1とし、前記外側領域の面積をA2とするとき、
2.4×A2≦A1≦3.4×A2
であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の皮膚シール。
【請求項4】
前記内側領域内であって前記外側領域に隣接する領域である境界領域において、粘着力が段階的に変化することを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項5】
前記内側領域内であって前記外側領域に隣接する領域である境界領域において、粘着力が無段階的に変化することを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項6】
前記粘着剤層の厚さを自然状態において前記外側領域で厚く、前記内側領域で薄くすることにより、前記外側領域の粘着力を前記内側領域の粘着力よりも強くすることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項7】
ベース材上にマット層が設けられることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項8】
前記剥離剤層と前記粘着剤層との間にインキ層が設けられることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項9】
前記インキ層に肌色の印刷が施されることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項10】
前記インキ層に字、絵、模様等といった画像が印刷されることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項11】
前記剥離剤層に字、絵、模様等といった画像を描くことができることを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項12】
前記外側領域は前記内側領域の全周を枠状に取り囲むことを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項13】
前記外側領域は前記内側領域を部分的に取り囲むことを特徴とする請求項1記載の皮膚シール。
【請求項14】
前記ベース材は、前記インキ層を視覚によって認識できる程度の光透過性を有していることを特徴とする請求項8記載の皮膚シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の皮膚に付いている模様、例えばタトゥー、傷、アザ、シミを隠すための皮膚シールに関する。また、本発明は、人の皮膚に模様や絵柄や印を付加したい場合に用いられる皮膚シールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、しみやそばかす等といった肌の濃色部分を隠すための皮膚シールが、特許文献1に開示されている。この皮膚シールにおいては、皮膚シールに含まれる粘着剤層を皮膚に貼付けることにより、皮膚シールが皮膚の表面に貼付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された皮膚シールは粘着剤層を含んでおり、この粘着剤層の表面にセパレータが粘着されていた。この皮膚シールを人の皮膚に貼付ける際には、まず、セパレータを粘着剤層から剥がし、次に粘着剤層を人の皮膚に貼付ける。これにより、皮膚シールの全体が人の皮膚の表面に貼付けられる。
【0005】
この従来の皮膚シールにおいては、粘着剤層の粘着力が粘着剤層の全面にわたって一様であった。すなわち、粘着剤層の粘着力が粘着剤層の全面にわたって同じ値に設定されていた。
【0006】
ところで、人の中には、その人が持っている皮膚の性質により、皮膚シールを貼り難い人がいる。例えば、皮膚が乾き過ぎているという性質を持っている人については、皮膚シールが持っている通常の粘着力では皮膚シールを皮膚に貼り付けることができない場合がある。このような人に対して、粘着剤層の粘着力を高くすれば、そのような人の皮膚に皮膚シールを貼り付けることが可能である。しかしながら、粘着力を強く設定すると、普通の人が不要になった皮膚シールを皮膚から剥がすときに、皮膚シールが途中でちぎれて剥がし難くなったり、皮膚シールを剥がすときに強い痛みを感じるおそれがあったりする。
【0007】
本発明は、従来の皮膚シールにおける上記の問題点に鑑みて成されたものであって、皮膚シールを貼り難い性質の人に対しても、そして皮膚シールを普通に貼付けることができる人に対しても、それらの人の皮膚に良好に貼付けることができしかも良好に剥がすことができる皮膚シールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る皮膚シールは、人の皮膚に貼られる皮膚シールであって、ベース材と、セパレータと、前記ベース材を剥がすための剥離剤層と、前記セパレータ上に設けられた粘着剤層と、前記剥離剤層と粘着剤層との間に設けられた弾性層と、を有しており、前記セパレータを当該セパレータに接触している層から剥離するための力をP1とし、前記剥離剤層を当該剥離剤層に前記ベース材の反対側で接触している層から剥離するための力をP2とし、前記粘着剤層を皮膚から剥離するための力をP3とするとき、
P1<P2<P3
であり、
前記粘着剤層は内側領域と外側領域とを有しており、前記外側領域の粘着力は前記内側領域の粘着力よりも強いことを特徴とする。
【0009】
この皮膚シールによれば、粘着剤層の内側領域の外側に粘着力の強い外側領域を設けたので、皮膚シールを貼り難い性質の人に対しても、そして皮膚シールを普通に貼付けることができる人に対しても、それらの人の皮膚に良好に貼付けることができ、しかも良好に剥がすことができる皮膚シールを提供できる。
【0010】
本発明に係る皮膚シールの他の発明態様は、前記内側領域の粘着力をNa(N/25mm)とし、前記外側領域の粘着力をNb(N/25mm)とするとき、1≦Na≦5であり、5<Nb<9であることを特徴とする。
【0011】
この皮膚シールによれば、皮膚の乾燥が著しい等といった理由により皮膚シールを貼り付け難い人に対して、しっかりと皮膚シールを貼り付けることができる。しかも、皮膚シールを貼り付けることに関して困難を感じない普通の人に対して、皮膚シールの貼付き強度が強くなり過ぎることがない。
【0012】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様は、前記内側領域の面積をA1とし、前記外側領域の面積をA2とするとき、
2.4×A2≦A1≦3.4×A2
であることを特徴とする。
【0013】
この皮膚シールによれば、皮膚シールの粘着力が強過ぎると感じることを低減でき、皮膚シールを皮膚から剥がすときに痛いと感じることを低減でき、しかも皮膚シールが皮膚から浮き上がってしまうことを防止できる。
【0014】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様は、前記内側領域内であって前記外側領域に隣接する領域である境界領域において粘着力が段階的に変化することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様は、前記内側領域内であって前記外側領域に隣接する領域である境界領域において粘着力が無段階的に変化することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様は、前記粘着剤層の厚さを自然状態において前記外側領域で厚く、前記内側領域で薄くすることにより、前記外側領域の粘着力を前記内側領域の粘着力よりも強くすることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様においては、ベース材上にマット層が設けられることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様においては、前記剥離剤層と前記粘着剤層との間にインキ層が設けられることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様においては、前記インキ層に肌色の印刷が施されることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様においては、前記インキ層に字、絵、模様等といった画像が印刷されることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様においては、前記剥離剤層に字、絵、模様等といった画像を描くことができることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様においては、前記外側領域が前記内側領域の全周を枠状に取り囲むことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様においては、前記外側領域が前記内側領域を部分的に取り囲むことを特徴とする。
【0024】
本発明に係る皮膚シールのさらに他の発明態様において、前記ベース材は、前記インキ層を視覚によって認識できる程度の光透過性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
人の中には、その人が持っている皮膚の性質により、皮膚シールを貼り難い人がいる。例えば、皮膚が乾き過ぎているという性質を持っている人については、皮膚シールが持っている通常の粘着力では皮膚シールを皮膚に貼り付けることができない場合がある。このような人に対して、粘着剤層の全体の粘着力を高くすれば、そのような人の皮膚に皮膚シールを貼り付けることが可能である。しかしながら、粘着剤層の全体の粘着力を強く設定すると、普通の人が不要になった皮膚シールを皮膚から剥がすときに、皮膚シールが途中でちぎれて剥がし難くなったり、皮膚シールを剥がすときに人が強い痛みを感じたりするおそれがある。
【0026】
本発明では、粘着剤層において内側領域の外側に粘着力の強い外側領域を設けたので、皮膚シールを貼り難い人に対しても良好に皮膚シールを貼ることができる。しかも、内側領域の粘着力は外側領域の粘着力に対して弱いので、皮膚シールを普通に貼ることができる普通の人に対して、粘着力が過剰に強くなることがない。そのため、皮膚シールを普通に貼ることができる人に関して、皮膚シールを剥がすときに、強い痛みを感じさせること無く皮膚シールを容易に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係る皮膚シールの一実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図2】本発明に係る皮膚シールの他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図3】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図4】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図5】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図6】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図7】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図8】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図9】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図10】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図11】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【
図12】本発明に係る皮膚シールのさらに他の実施形態を示す図であり、(a)はその皮膚シールの平面図であり、(b)はその皮膚シールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る皮膚シールを実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0029】
図1(a)は本発明に係る皮膚シールの一実施形態の平面構造を示している。
図1(b)はその皮膚シールの側面構造を示している。ここに示す皮膚シール1Aは、ベース材2とセパレータ3とを有している。ベース材2の表面にはマット層4が形成されている。マット層4の上に剥離剤層5が印刷や塗工等によって設けられている。ベース材2とセパレータ3との間に、弾性層6、インキ層7及び粘着剤層8が互いに積層状態で設けられている。
【0030】
(ベース材)
ベース材2は剥離性シートによって形成できる。このような剥離性シートは、例えばそれ自体が剥離性を有するポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等である。また、これらのフィルムや、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ塩化ビニールフィルム等といった各種フィルムや、あるいは紙に、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物のような剥離性を付与する化合物を塗布処理したものを剥離性シートとすることができる。
【0031】
ベース材2はインキ層7を視覚によって認識できる程度の光透過性を有していることが望ましい。ベース部材2をこのように光透過性にすれば、使用者がインキ層7を視認しながら皮膚の希望個所へそのインキ層7を貼り付けることができるからである。
【0032】
(マット層)
マット層4は、ベース材2の表面に微細な凹凸を形成して当該表面を粗面化することによって形成されている。このような粗面化は、例えば、微小なフィラーを含有した樹脂をベース材2の表面に塗布したり、エンボスロール等によって表面に微小な凹凸を形成したり、微細な粒子をぶつける加工(いわゆるサンドブラスト)によって形成できる。このようなマット層4をベース材2に設けたことにより、ベース材2を剥がした後に人の皮膚上に残るインキ層7の表面に微小の凹凸を残すことができ、その結果、皮膚シールが鮮明に光反射すること(いわゆるテカリが発生すること)を防止でき、皮膚シールを外観的に人の皮膚に馴染ませることができる。
【0033】
(剥離剤層)
剥離剤層5は、公知で任意の剥離剤を塗布することによって形成できる。なお、剥離剤層5はその上に印刷を施すことができる材料によって形成される。なお、ベース材2それ自体が剥離性シートによって形成されている場合には、ベース材2が有する剥離性が剥離剤層として機能できる。
【0034】
(インキ層)
インキ層7は、例えばスクリーン印刷によって剥離剤層5の上に印刷によって形成される。インキ層7は、本実施形態では肌色のベタ印刷によって形成されている。インキ層7は1層でも良いし、複数層でも良い。1層の場合はその1層を肌色のインキ層とする。複数層の場合は、全ての層を肌色にしても良いし、あるいは、少なくとも1つの層を白色にし、残りの層を肌色にしても良い。人の皮膚にタトゥー、傷跡その他の模様がある場合、インキ層7を肌色の印刷とすることにより、本皮膚シール1Aを人の皮膚の模様の上に貼ることにより、その模様を隠すことができる。
【0035】
(弾性層)
弾性層6は透明な樹脂を印刷、例えばスクリーン印刷することによって形成されている。この弾性層6の破断伸度は、50~1000%、好ましくは250~800%である。破断伸度が50%未満の場合は、得られる皮膚シールが皮膚の屈曲や伸縮に追随できないからである。また、皮膚の屈曲や伸縮に対する追随性をさらに良くする観点から破断伸度は250%以上であることが好ましい。
【0036】
破断伸度が1000%を越えると、弾性層6の柔軟性により「べたつき」が出てゴミ等の付着が著しくなる。また、破断伸度が1000%を越えると、被膜としての弾性層6が弱体化するため、皮膚から剥がし難くなるおそれがある。また、ゴミ等の付着を防止すること及び皮膚から剥がし難くなることを防止することをさらに高める観点から、破断伸度は800%以下であることが好ましい。
【0037】
弾性層6の100%モジュラスは、5~150kg/cm2、好ましくは15~80kg/cm2 である。100%モジュラスは、弾性を表す指標である。100%モジュラスが5kg/cm2未満であると、皮膚に貼着したシールの模様が崩れ易くなる。100%モジュラスが150kg/cm2を越えると皮膚に貼着したシールの模様がひび割れし易くなる。なお、「弾性層」が有する「弾性」は、引き延ばした後に完全に復元し得るという意味ではなく、かなりの程度縮む場合も含むものである。
【0038】
弾性層6の厚みは、3~50μm、好ましくは8~25μmである。この厚みが3μm未満の場合は、フィルム形成能力(ひび割れ、使用後の剥離性等)に乏しく、50μmを越える場合は、被膜として丈夫過ぎて皮膚に対する追随性が悪くなる。なお、弾性層6は組成的に単層であるのが好ましいが、複層構造であっても良い。
【0039】
弾性層6は樹脂・ゴム成分を主成分とする。弾性層6が少なくとも樹脂成分である場合は、可塑剤を加えるのが通常である。しかしながら、弾性層6が少なくとも樹脂成分である場合に可塑剤を加えない場合もある。弾性層6がゴム成分の場合には可塑剤を加えなくてもよい。
【0040】
上記の樹脂・ゴム成分の例としては、エチレン-酢酸ビニール共重合体、エチレン-ビニールアルコール共重合体、エチレン-塩化ビニール共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(具体例として、例えば、住友化学工業(株)製「ボンダイン(商品名)」等のオレフィン系共重合樹脂類、エチルアクリレート-ブチルアクリレート共重合体、ブチルアクリレート-メチルアクリレート共重合体、エチルアクリレート-酢酸ビニール共重合体等のアクリル系樹脂類、一液型熱可塑性樹脂族ウレタン系樹脂類(具体例としては、例えば、大日精化工業(株)製「レザミン(商品名)」や日本ポリウレタン工業(株)製「パラプレン(商品名)」)、各種のポリアミド系樹脂類、酢酸ビニール系樹脂類、エチルシリコーン樹脂やブチルシリコーン樹脂等といって各種シリコーン系樹脂類(具体例としては、例えば、東レダウコーニング(株)製「SE 5004(商品名)」)、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、アクリルゴム、NBR、ブチルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン-酢酸ビニール共重合体ゴム、シリコーンゴム等といった各種ゴム類を挙げることができる。
【0041】
上記の可塑剤の例としては、DOP、DBP、アジピン酸ブチルエステル、フタール酸エチルエステル、液状シリコーン等を挙げることができる。どの可塑剤を使用するかは、樹脂・ゴム成分の種類によって異なることは言うまでもない。
【0042】
さらに、弾性層6に加えることができる成分としては、レベリング剤、消泡剤、その他の各種の添加剤を挙げることができる。本実施形態では、弾性層6をベース材2とインキ層7との間に設けたが、弾性層6をインキ層7と粘着剤層8との間に設けても良い。
【0043】
弾性層6を設けたことにより次の効果が得られる。すなわち、皮膚シール1Aを皮膚へ貼り付け易い。皮膚シール1Aを皮膚に貼り付けた後、その皮膚シール1Aを皮膚の屈曲や伸縮に柔軟に追随させることができる。皮膚の屈曲や伸縮に関わらずインキのひび割れや崩れを防止できる。使用中にインキが皮膚から剥がれ落ちることが無い。使用後に皮膚からインキを剥離することが容易である。
【0044】
(粘着剤層)
スクリーン印刷等の印刷方法により、弾性層6の上に粘着剤層8を形成する。この粘着剤層8としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等の粘着剤を用いることができる。粘着剤には、必要に応じて、充填剤、白色顔料、アルミニウム粉等の金属粉、粘着付与剤、レベリング剤、消泡剤、等といった各種添加剤を加えても良い。
【0045】
このような粘着剤層8の粘着力は、内側領域8aが外側領域8bに比べて弱く、外側領域8bが内側領域8aに比べて強く設定されている。内側領域8aの外縁線は矩形状(すなわち長方形状又は正方形状)であり、外側領域8bの外縁線も矩形状である。そして、外側領域8bは内側領域8aを取り囲む枠状の領域である。
【0046】
本実施形態では、
図1(b)に示すように内側領域8aの自然状態での厚さTaを外側領域8bの自然状態での厚さTbに比べて薄く、すなわち
Ta<Tb
に設定することにより、内側領域8aの粘着力が外側領域8bの粘着力に比べて弱く、外側領域8bの粘着力が内側領域8aの粘着力に比べて強くなることを実現している。
【0047】
図1(b)では粘着剤層8の厚さTa,Tbを自然状態の様子で描いている。そのため、内側領域8aとセパレータ3との間に空間が描かれている。しかしながら、実際の製品としての皮膚シール1Aにおいては、粘着剤層8の全体が押圧されることにより、外側領域8bが押しつぶされ、その結果、内側領域8aはセパレータ3の表面に粘着すなわち接着している。
【0048】
図1(a)において、矩形状の内側領域8aの面積をA1とし、枠状の外側領域8bの面積をA2とするとき、
2.4×A2≦A1≦3.4×A2
である。すなわち、矩形状の内側領域8aの面積A1は、枠状の外側領域8bの面積A2の2.4倍から3.4倍の範囲内で選択される任意の値である。このように設定するのは次の理由による。
【0049】
本発明者の検証によれば、内側領域8aの面積A1が外側領域8bの面積A2の2.4倍よりも小さいと、粘着力が強い領域である外側領域8bの面積A2が粘着力が弱い領域である内側領域8aの面積A1よりも大きくなり過ぎるので、人の皮膚に対する皮膚シール1Aの粘着力が強過ぎると感じる人が生じたり、又は皮膚シール1Aを人の皮膚から剥がすときに痛いと感じる人が生じたりしたからである。
【0050】
また、内側領域8aの面積A1が外側領域8bの面積A2の3.4倍よりも大きいと、粘着力が強い領域である外側領域8bの面積A2が粘着力が弱い領域である内側領域8aの面積A1よりも小さくなり過ぎるので、皮膚シール1Aの貼り付きが不十分であると感じる人が生じたり、又は皮膚シール1Aが皮膚から浮き上がってしまう人が生じたりしたからである。
【0051】
粘着剤層8の内側領域8aの粘着力Naは、具体的には、JIS-Z0237に従って測定した値が、1≦Na(N/25mm)≦5である。また、粘着剤層8の外側領域8bの粘着力Nbは、5<Nb(N/25mm)<9である。なお、粘着剤層の粘着力が全面にわたって均一であった従来の皮膚シールにおいては、粘着剤層の粘着力は1.5~6(N/25 mm)程度であった。
【0052】
本発明者の検証によれば、Na≦5(N/25 mm)であれば、内側領域8aは普通の人の皮膚に支障なく貼り付く状況である。しかし、Na≦6(N/25 mm)であれば、皮膚の乾燥が著しい等といった理由により皮膚シールを貼り付け難い人に対しては、皮膚シールを貼り付けることが困難である。しかしながら、本実施形態では、内側領域8aの外側に粘着力が5<Nb<9(N/25 mm)である外側領域8bを設けたので、この外側領域8bの働きにより、皮膚シールを貼り付け難い人に対しても良好に皮膚シールを貼り付けることができるようになった。
【0053】
しかも、粘着力を強めた領域は外側領域8bに限定されているので、普通の人にとって(すなわち、皮膚シールを貼り付けることに関して困難を感じない人にとって)、粘着力が過剰に強くなることがない。従って、普通の人に関して、皮膚シールの取り剥がし処理が困難になることもない。
【0054】
内側領域8aの粘着力を外側領域8bの粘着力よりも弱くするための方法は、特定の方法に限られることはない。その方法として、例えば、上記のように粘着力を強くしたいところの層の厚みを厚くし、粘着力を弱くしたいところの層の厚みを薄くするという方法がある。また、例えば、粘着力を強くしたいところの層を粘着力の強い材質の材料で形成し、粘着力を弱くしたいところの層を粘着力の弱い材質の材料で形成するという方法がある。
【0055】
本実施形態においては、内側領域8aの粘着力を弱くし、外側領域8bの粘着力を強くしたので、粘着力の強い外側領域8bの働きにより、皮膚の性質のために皮膚シールが貼り付き難い人に対して皮膚シールを良好に貼ることができる。しかも、粘着力を強くする領域を外側領域に限定するので、通常の人に対して皮膚シールが過剰に強く貼付けられることを防止でき、それ故、通常の人に対して剥がし易い皮膚シールを提供で出来る。
【0056】
(セパレータ)
図1において、セパレータ3はベース材2と同様の材料及び同様の形状に形成される。ベース材2が光透過性を有することが望ましいことを上述した。セパレータ3は光透過性であっても、あるいは不光透過性であっても良い。しかしながら、本実施形態ではベース材2を光透過性にしているので、皮膚シール1Aの表裏を使用者に容易に分からせるようにするために、セパレータ3を不光透過性、望ましくは白色半透明又は白色不透明とすることが望ましい。
【0057】
(皮膚シールの使用方法)
本実施形態の皮膚シール1Aを使用するに際しては、まず、
図1(b)においてセパレータ3を粘着剤層8から剥がす。次に、セパレータ3が剥がされた皮膚シール1Aを粘着剤層8の側で人の皮膚のタトゥー等が描かれた部分に貼り付ける。このとき、使用者は光透過性を有するベース材2を通してタトゥー等とインキ層7との位置関係を認識できるので、作業を行い易い。
【0058】
皮膚シール1Aを皮膚に貼り付けた後、使用者はベース材2を剥離剤層5の所で弾性層6から剥がす。これにより、人の皮膚にインキ層7及び弾性層6が粘着剤層8によって貼り付けられた状態となる。この状態で、インキ層7の肌色によって皮膚上のタトゥー等を隠蔽することができる。
【0059】
(剥離バランス)
本実施形態の皮膚シール1Aにおいて、セパレータ3を粘着剤層8(すなわちセパレータ3に接触している層)から剥離するための力をP1とし、剥離剤層5を弾性層6(すなわち剥離剤層5にベース材2の反対側で接触している層)から剥離するための力をP2としたとき、P1<P2である。これにより、セパレータ3だけを皮膚シール1Aから剥がすことができる。
【0060】
また、剥離剤層5を弾性層6から剥離するための力を上記の通りにP2とし、粘着剤層8を皮膚から剥離するための力をP3とするとき、P2<P3である。これにより、セパレータ3を剥がして皮膚シール1Aを粘着剤層8の面で皮膚に貼り付けた後、インキ層7等を皮膚上に残して、ベース材2だけを皮膚シール1Aから剥がすことができる。
なお、P1,P2,P3を論じるときの粘着剤層8に関する力は、内側領域8aの粘着力と外側領域8bの粘着力との力を組み合わせた力を考えるものとする。
【0061】
ところで、人の中には、その人が持っている皮膚の性質により、皮膚シールを貼り難い人がいる。例えば、皮膚が乾き過ぎているという性質を持っている人については、皮膚シールが持っている通常の粘着力では皮膚シールを皮膚に貼り付けることができない場合がある。このような人に対して、粘着剤層の全体の粘着力を高くすれば、そのような人の皮膚に皮膚シールを貼り付けることが可能である。しかしながら、粘着剤層の全体の粘着力を強く設定すると、普通の人が不要になった皮膚シールを皮膚から剥がすときに、皮膚シールが途中でちぎれて剥がし難くなったり、皮膚シールを剥がすときに人が強い痛みを感じるおそれがあったりする。
【0062】
本実施形態では、内側領域8aの外側に粘着力の強い外側領域8bを設けたので、皮膚シールを貼り難い人に対しても良好に皮膚シールを貼ることができる。しかも、内側領域8aの粘着力は外側領域の粘着力に対して弱いので、皮膚シールを普通に貼ることができる普通の人に対して、粘着力が過剰に強くなることがない。そのため、皮膚シールを普通に貼ることができる人に関して、皮膚シールを剥がすときに、強い痛みを感じさせること無く皮膚シールを容易に剥がすことができる。
【0063】
(第2の実施形態)
図2は本発明に係る皮膚シールの第2の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Bの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Bの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0064】
図1に示した実施形態においては、インキ層7が肌色のベタ印刷によって形成されていた。本実施形態では、インキ層7において「A」の文字が印刷されている。これにより、皮膚シール1Bが人の皮膚に貼付けられたとき、人の皮膚に「A」の文字を貼り付けることが出できる。インキ層7に、「A」以外の任意の文字や、絵や、模様等といった画像を印刷しておけば、皮膚シール1Bを人の皮膚に貼り付けることにより、希望に沿った画像を皮膚に貼付けることができる。
【0065】
本実施形態においても、内側領域8aの粘着力を弱くし、外側領域8bの粘着力を強くしたので、粘着力の強い外側領域8bの働きにより、皮膚の性質のために皮膚シールが貼り付き難い人に対して皮膚シールを良好に貼ることができる。しかも、粘着力を強くする領域を外側領域に限定するので、通常の人に対して皮膚シールが過剰に強く貼付けられることを防止でき、それ故、通常の人に対して剥がし易い皮膚シールを提供で出来る。
【0066】
(第3の実施形態)
図3は本発明に係る皮膚シールの第3の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Cの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Cの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0067】
図1に示した実施形態においては、インキ層7が肌色のベタ印刷によって形成されていた。また、
図2に示した実施形態においては、インキ層7に「A」の文字が印刷されていた。本実施形態では、インキ層7において「+」の目印が印刷されている。これにより、皮膚シール1Cが人の皮膚に貼付けられたとき、人の皮膚に「+」の目印を貼り付けることが出できる。この実施形態によれば、例えばX線治療の際にX線を照射すべき患者の治療部位にこの目印を貼り付けることができる。
【0068】
本実施形態においても、内側領域8aの粘着力を弱くし、外側領域8bの粘着力を強くしたので、粘着力の強い外側領域8bの働きにより、皮膚の性質のために皮膚シールが貼り付き難い人に対して皮膚シールを良好に貼ることができる。しかも、粘着力を強くする領域を外側領域に限定するので、通常の人に対して皮膚シールが過剰に強く貼付けられることを防止でき、それ故、通常の人に対して剥がし易い皮膚シールを提供で出来る。
【0069】
(第4の実施形態)
図4は本発明に係る皮膚シールの第4の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Dの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Dの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0070】
この皮膚シール1Dは、
図1の実施形態で用いたマット層4及びインキ層7を使用していない。これらの層を用いない皮膚シールも本発明に含まれる。この実施形態においては、皮膚シール1Dを人の皮膚に貼付けた後、粘着剤層8の表面に文字、絵柄、等といった希望する画像をマジックインキ等といった筆記具を用いて印字できる。これにより、人の皮膚の上に希望する画像を描くことができる。
【0071】
本実施形態においても、内側領域8aの粘着力を弱くし、外側領域8bの粘着力を強くしたので、粘着力の強い外側領域8bの働きにより、皮膚の性質のために皮膚シールが貼り付き難い人に対して皮膚シールを良好に貼ることができる。しかも、粘着力を強くする領域を外側領域に限定するので、通常の人に対して皮膚シールが過剰に強く貼付けられることを防止でき、それ故、通常の人に対して剥がし易い皮膚シールを提供で出来る。
【0072】
(第5の実施形態)
図5は本発明に係る皮膚シールの第5の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Eの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Eの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0073】
この皮膚シール1Eは、
図1の実施形態で用いたマット層4を使用していない。本実施形態では、内側領域8a内であって外側領域8bに隣接する領域である境界領域9において粘着剤層8の粘着力が段階的に徐々に変化している。すなわち、粘着剤層8の外側領域8bの粘着力をN1とし、隣接する境界領域9の粘着力をN2とし、境界領域9よりも内側の領域である内側領域8a’の粘着力をN3とするとき、
N3<N2<N1
である。
【0074】
このような粘着力の状態を実現するため、粘着剤層8の外側領域8bの自然状態における厚さをT1とし、隣接する境界領域9の自然状態における厚さをT2とし、内側領域8a’の自然状態における厚さをT3とするとき、
T3<T2<T1
に設定されている。
なお、外側領域8bの粘着力と境界領域9の粘着力と内側領域8a’の粘着力との間に差を発生させるための手法は、上記のように自然状態における各領域の厚さに違いを設けるという手法だけではなく、その他の任意の手法を採用できる。例えば、粘着力の異なる材料によって各領域を形成するという手法を採用することも可能である。
【0075】
このように、内側領域8aの粘着力を外側領域8bの粘着力から段階的に徐々に弱くすることにより、人の皮膚に対する皮膚シールの貼付き方及び剥がれ方を滑らかにできる。これにより、人に対して優しい感触の皮膚シールを提供できる。
【0076】
(第6の実施形態)
図6は本発明に係る皮膚シールの第6の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Fの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Fの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0077】
この皮膚シール1Fは、
図1の実施形態で用いたマット層4を使用していない。本実施形態では、内側領域8a内であって外側領域8bに隣接する領域である境界領域9において粘着剤層8の粘着力が無段階的に徐々に滑らかに変化している。このような粘着力の状態を実現するため、粘着剤層8の外側領域8b(自然状態における厚さがT1)と、粘着剤層8の内側領域8a’(自然状態における厚さがT3)との境界領域9において、厚さが一定の傾斜で変化している。
【0078】
このように、内側領域8aの粘着力を外側領域8bの粘着力から無段階的に徐々に弱くすることにより、人の皮膚に対する皮膚シールの貼付き方及び剥がれ方をより一層滑らかにできる。これにより、人に対してより一層優しい感触の皮膚シールを提供できる。
【0079】
(第7の実施形態)
図7は本発明に係る皮膚シールの第7の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Gの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Gの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0080】
図1の実施形態においては、内側領域8aの外縁線が矩形状であり、外側領域8bの外縁線も矩形状であった。これに対し、本実施形態では、内側領域8aの外縁線が円形状であり、外側領域8bの外縁線が矩形状である。
【0081】
(第8の実施形態)
図8は本発明に係る皮膚シールの第8の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Hの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Hの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0082】
図7の実施形態においては、内側領域8aの外縁線が円形状であり、外側領域8bの外縁線が矩形状であった。これに対し、本実施形態では、内側領域8aの外縁線が円形状であり、外側領域8bの外縁線も円形状である。
【0083】
(第9の実施形態)
図9は本発明に係る皮膚シールの第9の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Iの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Iの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0084】
図1の実施形態においては、外側領域8bが1つの内側領域8aを取り囲んでいた。これに対し、本実施形態では内側領域8aが外側領域8bの内部において複数個(本実施形態では4個)に分割されて存在している。
【0085】
(第10の実施形態)
図10は本発明に係る皮膚シールの第10の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Jの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Jの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0086】
図1の実施形態においては、外側領域8bが内側領域8aを枠状に取り囲んでいた。これに対し、本実施形態では内側領域8aの外側に一対の直線状の外側領域8b,8bが設けられている。
【0087】
(第11の実施形態)
図11は本発明に係る皮膚シールの第11の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Kの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Kの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0088】
図10の実施形態においては、粘着剤層8の最も外側に粘着力の強い外側領域8bが存在していた。これに対し、本実施形態では、粘着力の強い外側領域8bのさらに外側に粘着力の弱い領域10が存在している。領域10の粘着力は、内側領域8aの粘着力に等しくても良いし、内側領域8aの粘着力と異なっていても良い。
【0089】
(第12の実施形態)
図12は本発明に係る皮膚シールの第12の実施形態を示している。(a)は皮膚シール1Lの正面図を示し、(b)はその皮膚シール1Lの側面図を示している。この実施形態において、
図1に示した実施形態と同じ部材は同じ符号を付してその部材の説明を省略する。
【0090】
図1の実施形態においては、矩形状の内側領域8aの全周を枠状の外側領域8bで取り囲んだ。これに対し、本実施形態では、外側領域8bが内側領域8aの4つの角部分を部分的に取り囲んでいる。すなわち、内側領域8aの外側に外側領域8bが部分的に存在しない所がある。
【0091】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0092】
例えば、以上の実施形態では、内側領域8aの外縁線及び外側領域8bの外縁線を矩形状又は円形状に設定した。しかしながら、これらの外縁線は楕円形状、長円形状等といった幾何学上で決められた一定の形状にしたり、あるいは、幾何学上で決められていない不特定の形状にしたりすることもできる。
【符号の説明】
【0093】
1A~1L:皮膚シール、 2:ベース材、 3:セパレータ、 4:マット層、 5:剥離剤層、 6:弾性層、 7:インキ層、 8:粘着剤層、 8a:内側領域、 8b:外側領域、 9:境界領域、 10:粘着力が弱い領域、 Na,Nb:粘着力、 Ta.Tb:厚さ、 T1,T2,T3:厚さ