(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010688
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】燃料供給装置及び燃焼設備
(51)【国際特許分類】
F23K 5/00 20060101AFI20240118BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240118BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20240118BHJP
F02C 3/22 20060101ALI20240118BHJP
F02C 7/22 20060101ALI20240118BHJP
F23R 3/28 20060101ALI20240118BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20240118BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240118BHJP
【FI】
F23K5/00 303
C25B9/00 A
F02M21/02 G
F02C3/22
F02C7/22 B
F02C7/22 D
F23R3/28 A
F23R3/28 F
B01D53/26 200
C25B1/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112110
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 悟
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲
【テーマコード(参考)】
3K068
4D052
4K021
【Fターム(参考)】
3K068AA05
3K068AB13
3K068BB02
3K068CA01
3K068EA03
4D052AA02
4D052CE00
4D052DA02
4D052DB01
4K021AA01
4K021DC03
(57)【要約】
【課題】水電解装置で生成された水素の損失を低減可能な燃料供給装置及び燃焼設備を提供することを目的とする。
【解決手段】燃料供給装置は、水電解装置と、前記水電解装置からの水素が流れる水素ラインに設けられ、前記水素に含まれる水分を吸着するための吸着材を含む除湿器と、前記除湿器の下流側にて前記水素ラインから分岐するとともに、前記吸着材を再生するための再生ガスとして前記除湿器で除湿された水素の一部を前記除湿器に供給するように構成された再生ガス供給ラインと、前記再生ガス供給ラインを介して前記除湿器に供給された前記再生ガスとしての水素を前記除湿器から排出するための再生ガス排出ラインと、を備え、前記再生ガス排出ラインは、燃焼装置に第1ガス燃料を供給するための燃料ラインに接続されるように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水電解装置と、
前記水電解装置からの水素が流れる水素ラインに設けられ、前記水素に含まれる水分を吸着するための吸着材を含む除湿器と、
前記除湿器の下流側にて前記水素ラインから分岐するとともに、前記吸着材を再生するための再生ガスとして前記除湿器で除湿された水素の一部を前記除湿器に供給するように構成された再生ガス供給ラインと、
前記再生ガス供給ラインを介して前記除湿器に供給された前記再生ガスとしての水素を前記除湿器から排出するための再生ガス排出ラインと、
を備え、
前記再生ガス排出ラインは、燃焼装置に第1ガス燃料を供給するための燃料ラインに接続されるように構成された
燃料供給装置。
【請求項2】
前記再生ガス排出ラインに設けられ、前記除湿器から排出された前記再生ガスとしての水素を貯留するためのバッファタンクを備える
請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記バッファタンクの下流側における前記再生ガス排出ラインの圧力を調節するように構成された圧力調節部を備える
請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記水素ラインは、前記燃焼装置に、第2ガス燃料として前記除湿器で除湿された水素を供給するように構成された
請求項1乃至3の何れか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
燃焼装置と、
前記燃焼装置に前記第1ガス燃料を供給するための前記燃料ラインと、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の燃料供給装置と、
を備え、
前記燃料供給装置の前記再生ガス排出ラインは、前記燃料ラインに接続される
燃焼設備。
【請求項6】
前記燃料ラインに設けられ、前記第1ガス燃料を昇圧するための圧縮機を備え、
前記再生ガス排出ラインは、前記圧縮機よりも上流側にて前記燃料ラインに接続される
請求項5に記載の燃焼設備。
【請求項7】
前記燃焼装置は、ガスタービンを含む
請求項5に記載の燃焼設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料供給装置及び燃焼設備に関する。
【背景技術】
【0002】
水素を製造するために水電解装置が用いられることがある。水電解装置の電解槽で発生した水素は、水分を伴って電解槽から排出される。このため、電解槽から排出された水素は、通常、除湿器で除湿されてから燃料等として使用される。
【0003】
特許文献1には、水電解装置で生成した水素を、水分を吸着可能な吸着材を含む除湿器を用いて除湿するように構成された除湿装置が開示されている。この除湿装置では、水分を吸着した吸着材を再生するために、除湿された後の水素の一部が使用される。吸着材の再生に使用されることにより水分を含んだ水素は、大気へ放出されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、除湿器の吸着材を再生するための再生ガスとして用いられた水素は、水分を含むため燃料等として利用することが難しく、このため、特許文献1にも記載されるように、その後利用されずに大気へ放出されており、損失となっていた。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、水電解装置で生成された水素の損失を低減可能な燃料供給装置及び燃焼設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係る燃料供給装置は、
水電解装置と、
前記水電解装置からの水素が流れる水素ラインに設けられ、前記水素に含まれる水分を吸着するための吸着材を含む除湿器と、
前記除湿器の下流側にて前記水素ラインから分岐するとともに、前記吸着材を再生するための再生ガスとして前記除湿器で除湿された水素の一部を前記除湿器に供給するように構成された再生ガス供給ラインと、
前記再生ガス供給ラインを介して前記除湿器に供給された前記再生ガスとしての水素を前記除湿器から排出するための再生ガス排出ラインと、
を備え、
前記再生ガス排出ラインは、燃焼装置に第1ガス燃料を供給するための燃料ラインに接続されるように構成される。
【0008】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る燃焼設備は、
燃焼装置と、
前記燃焼装置に第1ガス燃料を供給するための燃料ラインと、
上述の燃料供給装置と、
を備え、
前記燃料供給装置の前記再生ガス排出ラインは、前記燃料ラインに接続される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、水電解装置で生成された水素の損失を低減可能な燃料供給装置及び燃焼設備が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る燃料供給装置を含む燃焼設備の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
(燃焼設備の構成)
図1は、一実施形態に係る燃料供給装置を含む燃焼設備の概略構成図である。同図に示すように、一実施形態に係る燃焼設備100は、燃料を燃焼するように構成された燃焼装置50と、燃焼装置50に燃料を供給するように構成された燃料供給装置10と、を備えている。また、燃焼設備100は、燃焼装置50に第1ガス燃料を供給するための燃料ライン28を備えている。
【0013】
図1に示す燃焼装置50は、空気を圧縮するための圧縮機52と、圧縮機52からの圧縮空気を用いて燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するように構成された燃焼器54と、燃焼器54からの燃焼ガスによって駆動されるように構成されたタービン56と、を含むガスタービン装置を含む。第1ガス燃料は、燃料ライン28を介して燃焼器54に供給されるようになっている。他の実施形態では、燃焼装置50は、ボイラ等の燃焼炉や、熱処理炉等のバーナ等を含んでもよい。
【0014】
燃料ライン28には、第1ガス燃料を昇圧するための圧縮機30が設けられていてもよい。
【0015】
燃料ライン28を介して燃焼装置50に供給される第1ガス燃料の種類は特に限定されない。第1ガス燃料は、例えば、メタン又はプロパン等の炭化水素、アンモニア、又は一酸化炭素を含む合成ガス等を含んでもよい。
【0016】
(燃料供給装置の構成)
図1に示すように、幾つかの実施形態に係る燃料供給装置10は、水電解装置11と、水電解装置11からの水素が流れる水素ライン12に設けられた除湿器14と、を備えている。
【0017】
水電解装置11は、水を電気分解して水素及び酸素を生成するように構成される。水電解装置11のタイプは限定されない。水電解装置11は、例えば、アルカリ型水電解装置、固体高分子膜(Polymer Electrolyte Membrane:PEM)型水電解装置、アニオン交換膜(Anion Exchange Membrane:AEM)型水電解装置であってもよい。
【0018】
詳しくは図示しないが、水電解装置11は、水を電気分解するための電解槽を含む。電解槽には水が供給されるようになっている。電解槽には、整流器を介して電流が供給される。これにより、電解槽に設けられた一対の電極間に電圧をかけて電流を流すことで電解槽内の水が電気分解され、陰極側で水素が発生し、陽極側で酸素が発生する。電解槽内には、電解質が溶解した水(電解質溶液)が供給されており、該水(電解質溶液を構成する水)が電気分解されるようになっていてもよい。電解質は、水酸化カリウム(KOH)等のアルカリ性物質であってもよい。
【0019】
図1に示すように、水電解装置11で生成された水素は、水素ライン12に導かれるようになっている。水電解装置11の電解槽で発生した水素は、水分を伴って電解槽から排出される。したがって、水電解装置11から水素ライン12に導かれた水素は、ある程度の水分を含んでいる。
【0020】
なお、水電解装置11で生成された酸素は、図示しない酸素ラインに導かれるようになっており、酸素を使用する機器で使用されるか、又は外部に放出されるようになっていてもよい。
【0021】
除湿器14は、水分を吸着可能な吸着材(不図示)を含む。水素ライン12を介して除湿器14に導入された水素は、吸着材によって除湿された後、除湿器14から排出される。
【0022】
幾つかの実施形態では、
図1に示すように、除湿器14で除湿された水素は、水素ライン12を介して、水素消費設備(水素消費先)に供給されるようになっていてもよい。水素消費設備は、例えば、水素を燃焼するように構成された水素燃焼設備(例えばガスタービン設備又は製鉄設備等)、水素を液化するように構成された水素液化設備、水素を燃料として化学反応により電気を生成する設備(例えばSOFC(Solid Oxide Fuel Cell)等の燃料電池を含む発電設備等)、水素を原料として燃料を製造する設備(例えば燃料合成設備等)、又は、水素を機器に供給するように構成された水素ガスステーションを含んでもよい。
【0023】
あるいは、幾つかの実施形態では、除湿器14で除湿された水素は、水素ライン12を介して、第2ガス燃料として燃焼装置50に供給されるようになっていてもよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、
図1に示すように、水素ライン12において、除湿器14の下流側に、除湿器14で除湿された水素を貯留するための貯留部18(タンク又はボンベ等)が設けられてもよい。また、貯留部18に貯留された水素が、上述の水素消費設備又は燃焼装置50に供給されるようになっていてもよい。水素ライン12において、除湿器14の下流側に、除湿器14で除湿された水素を圧縮するための圧縮機16が設けられていてもよい。圧縮機16は、水素ライン12において貯留部18の上流側に設けられていてもよい。
【0025】
燃料供給装置10は、除湿器14の吸着剤を再生するための再生ガスを除湿器14に供給するための再生ガス供給ライン20と、除湿器14から該再生ガスが排出される再生ガス排出ライン22と、を含む。
【0026】
すなわち、水素ガスに含まれる水分を吸着した吸着剤に、再生ガス供給ライン20を介して再生ガスが供給されるようになっている。この再生ガスが吸着材から水分を奪い、これにより吸着材が再生され、吸着材が再度水分を吸着可能な状態となる。吸着材から水分を奪った後の再生ガスは、再生ガス排出ライン22を介して除湿器14から排出されるようになっている。
【0027】
再生ガス供給ライン20は、除湿器14の下流側の位置にて水素ライン12から分岐するように設けられる。すなわち、吸着材を再生するための再生ガスとして、除湿器14で除湿された水素の一部が、再生ガス供給ライン20を介して除湿器14に供給されるようになっている。また、除湿器14において再生ガスとして使用された後の水素(すなわち、吸着材から水分を奪った後の水素)が、再生ガス排出ライン22を介して除湿器14から排出されるようになっている。
【0028】
なお、除湿器14において、水素ライン12からの除湿対象の水素ガスと、再生ガス供給ライン20を介して供給される再生ガス(除湿後の水素ガス)は、別々の経路を流通するようになっており、互いに混合しないようになっている。また、除湿器14は、一対の吸着材を含んでいてもよく、一方の吸着材で水電解装置11からの水素の除湿を行う間に、他方の吸着材を再生ガス(除湿後の水素ガス)で再生するように構成されていてもよい(特許文献1参照)。
【0029】
幾つかの実施形態では、
図1に示すように、再生ガス排出ライン22は、第1ガス燃料を燃焼装置50に供給するための燃料ライン28に接続される。すなわち、除湿器14にて再生ガスとして使用された後の水素ガスが燃料ライン28に供給されて、燃料ライン28にて第1ガス燃料と混合され、燃焼装置50に供給されるようになっている。
【0030】
上述の実施形態によれば、水電解装置11で生成された水素を除湿するための除湿器14において、吸着材を再生するための再生ガスとして使用された後の水分を含む水素を、再生ガス排出ライン22を介して燃料ライン28に供給して、第1ガス燃料に混入させる。これにより、再生ガスとして使用した後の水素を、第1ガス燃料とともに燃焼装置50に供給して燃料として使用することができる。よって、水電解装置11で生成された水素のうち、放出されずに燃料として使用される分の割合を高めることができ、水素の損失を低減することができる。
【0031】
なお、再生ガスとして用いられた後の水素は若干の水分(吸着剤から奪った水分)を含むが、第1ガス燃料と混合されることにより水分の濃度が低くなるため、コンプレッサ等に導入されたとしても、腐食等のリスクの要因となり難い。このため、上述の実施形態によれば、再生ガスとして用いられた後の水素を燃料として有効利用することができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、再生ガス排出ライン22には、除湿器14から排出された再生ガス(水素ガス)を貯留するためのバッファタンク24が設けられる。
【0033】
除湿器14の吸着材への再生ガスの供給は、間欠的に行われる場合がある。この点、上述の実施形態によれば、除湿器14から排出された再生ガスとしての水素をバッファタンク24に貯留することができる。よって、吸着材への再生ガス(水素)の供給を間欠的に行う場合であっても、除湿器14から排出後の再生ガスをバッファタンク24に貯留しておくことで、燃料ライン28への再生ガス(水素)の供給量を調節しやすくなる。
【0034】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、燃料供給装置10は、バッファタンク24の下流側における再生ガス排出ライン22の圧力を調節するように構成された圧力調節部25を備える。
図1に示す例示的な実施形態では、圧力調節部25は、再生ガス排出ライン22においてバッファタンク24の下流側に設けられた圧力調整バルブ26を含む。
【0035】
上述の実施形態によれば、圧力調節部25によって、バッファタンク24の下流側における再生ガス排出ライン22の圧力を調節することができる。これにより、燃料ライン28への再生ガス(水素)の供給量をより調節しやすくなる。
【0036】
幾つかの実施形態では、例えば
図1に示すように、再生ガス排出ライン22は、燃料ライン28に設けられる圧縮機30よりも上流側にて、燃料ライン28に接続される。
【0037】
上述の実施形態では、除湿器14からの再生ガスは圧縮機30よりも上流側にて燃料ライン28に供給されるので、第1ガス燃料と再生ガス(水分を伴う水素)との混合物が圧縮機30に供給される。ここで、再生ガス中に含まれる水分の濃度は、再生ガスと第1ガス燃料とが混合されることにより低くなるため、圧縮機30において腐食が生じるリスクを低減することができる。このように、圧縮機30での腐食のリスクを低減しながら、再生ガスとして使用された水素を、燃料として燃焼装置50に供給することができる。
【0038】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0039】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る燃料供給装置(10)は、
水電解装置(11)と、
前記水電解装置からの水素が流れる水素ライン(12)に設けられ、前記水素に含まれる水分を吸着するための吸着材を含む除湿器(14)と、
前記除湿器の下流側にて前記水素ラインから分岐するとともに、前記吸着材を再生するための再生ガスとして前記除湿器で除湿された水素の一部を前記除湿器に供給するように構成された再生ガス供給ライン(20)と、
前記再生ガス供給ラインを介して前記除湿器に供給された前記再生ガスとしての水素を前記除湿器から排出するための再生ガス排出ライン(22)と、
を備え、
前記再生ガス排出ラインは、燃焼装置(50)に第1ガス燃料を供給するための燃料ライン(28)に接続されるように構成される。
【0040】
上記(1)の構成によれば、水電解装置で生成された水素を除湿するための除湿器において、吸着材を再生するための再生ガスとして使用された後の水分を含む水素を、再生ガス排出ラインを介して燃料ラインに供給して、第1ガス燃料に混入させる。これにより、再生ガスとして使用した後の水素を、第1ガス燃料とともに燃焼装置に供給して燃料として使用することができる。よって、水電解装置で生成された水素のうち、放出されずに燃料として使用される分の割合を高めることができ、水素の損失を低減することができる。
【0041】
なお、再生ガスとして用いられた後の水素は若干の水分(吸着剤から奪った水分)を含むが、第1ガス燃料と混合されることにより水分の濃度が低くなるため、コンプレッサ等に導入されたとしても、腐食等のリスクの要因となり難い。このため、上記(1)の構成によれば、再生ガスとして用いられた後の水素を燃料として使用することができる。
【0042】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記燃料供給装置は、
前記再生ガス排出ラインに設けられ、前記除湿器から排出された前記再生ガスとしての水素を貯留するためのバッファタンク(24)を備える。
【0043】
除湿器の吸着材への再生ガスの供給は、間欠的に行われる場合がある。この点、上記(2)の構成によれば、除湿器から排出された再生ガスとしての水素をバッファタンクに貯留することができる。よって、吸着材への再生ガス(水素)の供給を間欠的に行う場合であっても、除湿器から排出後の再生ガスをバッファタンクに貯留しておくことで、燃料ラインへの再生ガス(水素)の供給量を調節しやすくなる。
【0044】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記燃料供給装置は、
前記バッファタンクの下流側における前記再生ガス排出ラインの圧力を調節するように構成された圧力調節部(25)を備える。
【0045】
上記(3)の構成によれば、圧力調節部によって、バッファタンクの下流側における再生ガス排出ラインの圧力を調節することができる。これにより、燃料ラインへの再生ガス(水素)の供給量をより調節しやすくなる。
【0046】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記水素ラインは、前記燃焼装置に、第2ガス燃料として前記除湿器で除湿された水素を供給するように構成される。
【0047】
上記(4)の構成によれば、除湿器で除湿された水素が第2ガス燃料として燃焼装置に供給されるとともに、除湿器で再生ガスとして使用された水素が第1ガス燃料とともに燃焼装置に供給される。したがって、水電解装置で生成された水素の殆ど全量を燃焼装置に供給することが可能となり、水素の損失を低減することができる。
【0048】
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係る燃焼設備(100)は、
燃焼装置(50)と、
前記燃焼装置に前記第1ガス燃料を供給するための前記燃料ライン(28)と、
上記(1)乃至(4)の何れか一項に記載の燃料供給装置(10)と、
を備え、
前記燃料供給装置の前記再生ガス排出ライン(22)は、前記燃料ラインに接続される。
【0049】
上記(5)の構成によれば、水電解装置で生成された水素を除湿するための除湿器において、吸着材を再生するための再生ガスとして使用された後の水分を含む水素を、再生ガス排出ラインを介して燃料ラインに供給して、第1ガス燃料に混入させる。これにより、再生ガスとして使用した後の水素を、第1ガス燃料とともに燃焼装置に供給して燃料として使用することができる。よって、水電解装置で生成された水素のうち、放出されずに燃料として使用される分の割合を高めることができ、水素の損失を低減することができる。
【0050】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記燃焼設備は、
前記燃料ラインに設けられ、前記第1ガス燃料を昇圧するための圧縮機(30)を備え、
前記再生ガス排出ラインは、前記圧縮機よりも上流側にて前記燃料ラインに接続される。
【0051】
上記(6)の構成では、除湿器からの再生ガスは圧縮機よりも上流側にて燃料ラインに供給されるので、第1ガス燃料と再生ガス(水分を伴う水素)との混合物が圧縮機に供給される。ここで、再生ガス中に含まれる水分の濃度は、再生ガスと第1ガス燃料とが混合されることにより低くなるため、圧縮機において腐食が生じにくい。よって、上記(6)の構成では、圧縮機での腐食のリスクを低減しながら、再生ガスとして使用された水素を、燃料として燃焼装置に供給することができる。
【0052】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)又は(6)の構成において、
前記燃焼装置は、ガスタービンを含む。
【0053】
上記(7)の構成によれば、水電解装置で生成された水素を除湿するための除湿器において、吸着材を再生するための再生ガスとして使用された後の水分を含む水素を、再生ガス排出ラインを介して燃料ラインに供給して、第1ガス燃料に混入させる。これにより、再生ガスとして使用した後の水素を、第1ガス燃料とともにガスタービンに供給して燃料として使用することができる。よって、水電解装置で生成された水素のうち、放出されずに燃料として使用される分の割合を高めることができ、水素の損失を低減することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0055】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0056】
10 燃料供給装置
11 水電解装置
12 水素ライン
14 除湿器
16 圧縮機
18 貯留部
20 再生ガス供給ライン
22 再生ガス排出ライン
24 バッファタンク
25 圧力調節部
26 圧力調整バルブ
28 燃料ライン
30 圧縮機
50 燃焼装置
52 圧縮機
54 燃焼器
56 タービン
100 燃焼設備