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特開2024-106883施設診断システム、分電盤、コンセント及びブレーカ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106883
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】施設診断システム、分電盤、コンセント及びブレーカ
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240801BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20240801BHJP
   H01R 13/66 20060101ALI20240801BHJP
   G01V 1/01 20240101ALI20240801BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
H02B1/42
H01R13/66
G01V1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011356
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
【テーマコード(参考)】
2G024
2G105
5E021
5G211
【Fターム(参考)】
2G024AD21
2G024BA27
2G024CA13
2G024FA06
2G024FA11
2G105AA03
2G105BB01
2G105EE02
2G105MM01
2G105NN02
5E021FA03
5E021FA16
5E021FB21
5E021FC16
5E021MA04
5E021MA21
5E021MB20
5G211AA08
5G211DD01
5G211DD04
5G211DD18
5G211DD37
5G211GG10
(57)【要約】
【課題】振動による施設への影響を診断する。
【解決手段】施設診断システム1は、振動検出部11と、取得部12と、診断部13と、を備える。振動検出部11は、施設100内に配置されており、施設100に生じる振動を検出する。取得部12は、振動に関する情報である振動情報を振動検出部11から取得する。診断部13は、取得部12が取得した振動情報に基づいて振動による施設100への影響を診断する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内に配置されており、前記施設に生じる振動を検出する振動検出部と、
前記振動に関する情報である振動情報を前記振動検出部から取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記振動情報に基づいて前記振動による前記施設への影響を診断する診断処理を行う診断部と、を備える、
施設診断システム。
【請求項2】
複数の前記施設と一対一に対応する複数の前記振動検出部を備え、
前記取得部は、前記複数の振動検出部から複数の前記振動情報を取得し、
前記診断部は、前記診断処理において、前記取得部が取得した前記複数の振動情報に基づいて前記複数の施設への訪問の順位付けを行う、
請求項1に記載の施設診断システム。
【請求項3】
前記取得部は、外部システムからの情報を取得した場合に、前記振動情報を要求する要求信号を前記振動検出部に出力する、
請求項1又は2に記載の施設診断システム。
【請求項4】
前記振動検出部は、前記施設内に設けられた分電盤内に配置されている、
請求項1又は2に記載の施設診断システム。
【請求項5】
前記振動検出部は、前記施設内に設けられたコンセント内に配置されている、
請求項1又は2に記載の施設診断システム。
【請求項6】
前記振動検出部は、前記施設内に設けられたブレーカ内に配置されている、
請求項1又は2に記載の施設診断システム。
【請求項7】
前記振動検出部は、LPWA通信にて前記取得部に向けて前記振動情報を送信する、
請求項1又は2に記載の施設診断システム。
【請求項8】
前記振動検出部、前記取得部及び前記診断部の少なくとも1つは、前記施設内に設けられた分電盤内に配置されている、
請求項1又は2に記載の施設診断システム。
【請求項9】
請求項4に記載の施設診断システムに用いられ、
前記振動検出部を収容するキャビネットを備える、
分電盤。
【請求項10】
請求項8に記載の施設診断システムに用いられ、
前記振動検出部を収容するキャビネットを備える、
分電盤。
【請求項11】
請求項5に記載の施設診断システムに用いられ、
前記振動検出部を収容する筐体を備える、
コンセント。
【請求項12】
請求項6に記載の施設診断システムに用いられ、
前記振動検出部を収容する筐体を備える、
ブレーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に施設診断システム、分電盤、コンセント及びブレーカに関し、より詳細には、施設の振動を検出する振動検出部を備える施設診断システム、分電盤、コンセント及びブレーカに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分電盤に組み込まれる分電盤用計測装置が記載されている。特許文献1に記載の分電盤用計測装置は、感震ユニットを備える。感震ユニットは、内部に感震センサを有し、地震動を計測する。
【0003】
特許文献1に記載の分電盤用計測装置は、感震ユニットの感震センサにより所定値以上の地震動を検出すると、分電盤の主幹ブレーカを遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-195646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、振動(例えば、地震動)による施設への影響を診断することが可能な施設診断システムが望まれている。
【0006】
本開示の目的は、振動による施設への影響を診断することが可能な施設診断システム、分電盤、コンセント及びブレーカを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る施設診断システムは、振動検出部と、取得部と、診断部と、を備える。前記振動検出部は、施設内に配置されており、前記施設に生じる振動を検出する。前記取得部は、前記振動に関する情報である振動情報を前記振動検出部から取得する。前記診断部は、前記取得部が取得した前記振動情報に基づいて前記振動による前記施設への影響を診断する診断処理を行う。
【0008】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記施設診断システムに用いられる。前記分電盤は、前記振動検出部を収容するキャビネットを備える。
【0009】
本開示の一態様に係るコンセントは、前記施設診断システムに用いられる。前記コンセントは、前記振動検出部を収容する筐体を備える。
【0010】
本開示の一態様に係るブレーカは、前記施設診断システムに用いられる。前記ブレーカは、前記振動検出部を収容する筐体を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係る施設診断システム、分電盤、コンセント及びブレーカによれば、振動による施設への影響を診断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る施設診断システムの構成図である。
図2図2は、同上の施設診断システムに用いられるサーバの構成図である。
図3図3は、実施形態2に係る施設診断システムの構成図である。
図4図4は、実施形態3に係る施設診断システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態1~3に係る施設診断システム、分電盤、コンセント及びブレーカについて、図面を参照して説明する。下記の実施形態1~3において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、下記の実施形態1~3で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、下記の実施形態1~3に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(実施形態1)
実施形態1に係る施設診断システム1、分電盤2、コンセント3及び主幹ブレーカ(ブレーカ)21について、図1及び図2を参照して説明する。
【0015】
(1)概要
まず、実施形態1に係る施設診断システム1の概要について、図1及び図2を参照して説明する。
【0016】
実施形態1に係る施設診断システム1は、例えば、振動による施設100への影響を診断するためのシステムである。より詳細には、施設診断システム1は、振動による施設100の劣化具合を診断するためのシステムである。本開示において、「振動」は、地震による地震動と、幹線道路又は鉄道を走行する車両(乗用車、電車等)によって生じる振動と、工場の機械設備又は土木建築現場の建設機械によって生じる振動と、風によって生じる振動と、を含む。実施形態1では、施設100に対する振動が地震による地震動である場合を例に説明する。また、実施形態1では、施設100は、例えば、戸建て住宅であるが、施設100は、戸建て住宅に限らず、例えば、集合住宅の各住戸、工場、商業用ビル、オフィスビル、病院又は学校であってもよい。
【0017】
実施形態1に係る施設診断システム1は、図1及び図2に示すように、振動検出部11と、取得部12と、診断部13と、を備える。振動検出部11は、施設100内に配置されており、施設100に生じる振動を検出する。取得部12は、上記振動に関する情報である振動情報を振動検出部11から取得する。診断部13は、取得部12が取得した上記振動情報に基づいて上記振動による施設100への影響を診断する診断処理を行う。
【0018】
実施形態1に係る施設診断システム1では、診断部13が上述の診断処理を行うことによって上記振動による施設100への影響を診断することが可能となる。
【0019】
(2)詳細
次に、実施形態1に係る施設診断システム1及び分電盤2の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0020】
(2.1)分電盤
分電盤2は、図1に示すように、1つの主幹ブレーカ21と、複数の分岐ブレーカ22と、複数(例えば、3つ)の導電バー23と、キャビネット20と、を備える。また、分電盤2は、振動検出部11を更に備える。なお、振動検出部11については、「(2.2)施設診断システム」の欄で説明する。
【0021】
主幹ブレーカ21は、例えば、3極の中性線欠相保護機能付きの漏電遮断器である。主幹ブレーカ21の入力側(電源側)の3つの端子(入力端子)には、単相3線の配電方式における、第1電圧線、第2電圧線及び中性線が一対一かつ電気的に接続される。また、主幹ブレーカ21の出力側(負荷側)の3つの端子(出力端子)には、3つの導電バー23が一対一かつ電気的に接続される。
【0022】
複数の分岐ブレーカ22の各々は、例えば、過電流引き外し装置を備えた回路遮断器である。各分岐ブレーカ22の入力側(電源側)の2つの端子(入力端子)は、第1電圧線と導通する導電バー23(以下、「第1導電バー23」ともいう)及び第2電圧線と導通する導電バー23(以下、「第2導電バー23」ともいう)のいずれか1つ、並びに中性線と導通する導電バー23(以下、「第3導電バー23」ともいう)と1つずつ電気的に接続される。各分岐ブレーカ22には、実効値100Vの交流電圧が供給される。なお、1つ以上の分岐ブレーカ22の2つの入力端子が、第1導電バー23及び第2導電バー23と1つずつ電気的に接続されてもよい。この場合、1以上の分岐ブレーカ22には、実効値200Vの交流電圧が供給される。
【0023】
各分岐ブレーカ22の出力側(負荷側)の2つの端子(出力端子)は、屋内配線用の電線を介してコンセント3又は負荷4と電気的に接続される。負荷4は、例えば、洗濯機、冷蔵庫、テレビジョン受信機等の電気機器である。負荷4は、コンセント3を通じて分岐回路(分岐ブレーカ22及び電線を含む電気回路)と電気的に接続される。ただし、電磁調理器及び浴室乾燥機のような負荷4は、コンセント3を介さずに分岐ブレーカ22の出力端子と直接接続されることもある。また、コンセント3は、例えば、天井に設置される、照明器具用の引掛シーリングであってもよい。この場合、負荷4は、引掛シーリングを介して天井に設置される照明器具である。
【0024】
上述の主幹ブレーカ21、複数の分岐ブレーカ22及び複数の導電バー23は、キャビネット20に収容される。キャビネット20は、例えば、正面視の形状が上下方向よりも左右方向に長い矩形の箱状である。
【0025】
(2.2)施設診断システム
施設診断システム1は、図1及び図2に示すように、複数(図示例では3つ)の振動検出部11と、取得部12と、診断部13と、を備える。なお、以下の説明において、複数の振動検出部11を区別する必要がある場合には、複数の振動検出部11の各々を、振動検出部11A、振動検出部11B又は振動検出部11Cということもある。また、複数の施設100を区別する必要がある場合には、複数の施設100の各々を、施設100A、施設100B又は施設100Cということもある。
【0026】
(2.2.1)振動検出部
複数の振動検出部11の各々は、複数の施設100のうち対応する施設100内に配置されている。より詳細には、図2に示すように、振動検出部11Aは施設100A内に配置されており、振動検出部11Bは施設100B内に配置されており、振動検出部11Cは施設100C内に配置されている。すなわち、施設診断システム1は、複数の施設100と一対一に対応する複数の振動検出部11を備える。具体的には、各振動検出部11は、施設100内に設けられた分電盤2内に配置されている。すなわち、実施形態1では、分電盤2は、上述の主幹ブレーカ21及び複数の分岐ブレーカ22に加えて、振動検出部11を更に備える。ここで、施設診断システム1は、上述したように、振動検出部11を備えるシステムである。したがって、振動検出部11を備える分電盤2は、施設診断システム1に用いられる。
【0027】
各振動検出部11は、施設100に生じる振動を検出する。より詳細には、各振動検出部11は、施設100のうち分電盤2が取り付けられている壁面に生じる振動を検出する。
【0028】
各振動検出部11は、図1に示すように、感震センサ111と、通信部112と、を有する。
【0029】
感震センサ111は、例えば、3軸の半導体加速度センサであり、上記振動に起因する加速度を計測(検出)する。
【0030】
通信部112は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area-network)規格に準拠したアンテナ内蔵型の無線通信モジュール(集積回路)を含む。通信部112は、後述のサーバ6の通信部62と通信可能である。通信部112は、通信部62との無線通信にて振動情報を含む無線信号を通信部62に送信する。振動情報は、上記振動に関する情報であって、例えば、感震センサ111により検出した加速度の計測値である。ここで、取得部12は、後述するように、通信部112との無線通信にて通信部62が受信した無線信号に含まれている振動情報を取得する。すなわち、振動検出部11は、LPWA通信にて取得部12に向けて振動情報を送信する。
【0031】
(2.2.2)取得部
取得部12は、振動情報を振動検出部11から取得する。より詳細には、取得部12は、振動検出部11の通信部112とサーバ6の通信部62とが無線通信することにより通信部62が受信した無線信号から振動情報を取得する。
【0032】
ここで、施設診断システム1は、上述したように、複数の施設100と一対一に対応する複数の振動検出部11を備えている。したがって、実施形態1では、取得部12は、複数の振動検出部11から複数の振動情報を取得する。
【0033】
また、実施形態1では、取得部12は、外部システム7(図2参照)からの情報を取得した場合に、振動情報を要求する要求信号を振動検出部11に向けて出力する。外部システム7は、図2に示すように、ネットワークNTを介してサーバ6に接続されており、サーバ6と通信可能である。外部システム7は、例えば、気象庁のサーバである。外部システム7から送信される情報は、例えば、複数の施設100を含む地域における地震情報である。すなわち、取得部12は、複数の施設100を含む地域における地震情報を外部システム7から取得した場合に、振動情報を要求する要求信号を複数の振動検出部11に向けて出力する。これにより、取得部12は、外部システム7からの情報(地震情報)をトリガとして、複数の振動検出部11から複数の振動情報を取得することが可能となる。
【0034】
(2.2.3)診断部
診断部13は、取得部12が取得した振動情報に基づいて上記振動による施設100への影響を診断する診断処理を行う。実施形態1では、診断部13は、診断処理において、上記振動情報に含まれている加速度の計測値の絶対値と所定の閾値とを比較することで、上記振動による施設100への影響を診断する。より詳細には、診断部13は、診断処理において、上記計測値の絶対値が上記閾値以上である場合に施設100が劣化していると診断し、上記計測値の絶対値が上記閾値未満である場合に施設100が劣化していないと診断する。診断部13は、施設100ごとに上述の診断処理を行う。
【0035】
また、診断部13は、診断処理において、取得部12が取得した複数の振動情報に基づいて複数の施設100への訪問の順位付けを行う。より詳細には、診断部13は、診断処理において、各施設100に対応する各振動情報に含まれている加速度の計測値の絶対値を比較し、比較結果に応じて各施設100への訪問の順位付けを行う。例えば、施設100Aの振動検出部11Aで検出した加速度の計測値の絶対値が、施設100Bの振動検出部11Bで検出した加速度の計測値の絶対値よりも大きい場合、診断部13は、施設100Aへの訪問の優先順位を施設100Bよりも高くする。また、施設100Bの振動検出部11Bで検出した加速度の計測値の絶対値が、施設100Cの振動検出部11Cで検出した加速度の計測値の絶対値よりも大きい場合、診断部13は、施設100Bへの訪問の優先順位を施設100Cよりも高くする。この場合、診断部13の診断結果を得た施設診断システム1の使用者は、施設100A、施設100B、施設100Cの順に訪問することになる。ここで、施設診断システム1の使用者は、例えば、ハウスメーカー、サービサー又は工務店の従業員である。実施形態1に係る施設診断システム1によれば、施設100の劣化度に応じて訪問順位を決定することが可能となる。
【0036】
(2.3)サーバ
サーバ6は、図2に示すように、施設100の外部に設けられている。サーバ6は、制御部61と、通信部62と、記憶部63と、を備える。
【0037】
制御部61は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、制御部61として機能する。プログラムは、ここでは制御部61のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0038】
制御部61は、図2に示すように、取得部12と、診断部13と、を含む。すなわち、実施形態1では、サーバ6の制御部61が取得部12及び診断部13として機能する。実施形態1では、施設100の外部に設けられたサーバ6が、施設診断システム1の一部である取得部12及び診断部13を備える。
【0039】
通信部62は、例えば、LPWA規格に準拠したアンテナ内蔵型の無線通信モジュール(集積回路)を含む。通信部62は、上述したように、LPWA通信にて振動検出部11の通信部112と通信可能である。通信部62は、通信部112との無線通信にて上述の振動情報を含む無線信号を受信する。
【0040】
記憶部63は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。記憶部63は、種々の情報を記憶する。記憶部63は、例えば、各施設100の振動情報及び診断部13の診断結果を記憶する。より詳細には、記憶部63は、各施設100に割り当てられた識別情報(例えば、アドレス)と、振動情報及び診断部13の診断結果と、を紐づけて記憶する。
【0041】
(3)動作
次に、実施形態1に係る施設診断システム1の動作について説明する。以下では、複数の施設100を含む所定領域において地震が発生した場合を例に説明する。
【0042】
複数の施設100を含む所定領域において地震が発生すると、複数の振動検出部11の各々は、地震によって生じる地震動を検出し、振動情報を含む無線信号をサーバ6に向けて送信する。取得部12は、通信部62が受信した複数の無線信号の各々から振動情報を取得する。
【0043】
診断部13は、取得部12が取得した振動情報に基づいて振動による施設100への影響を診断する診断処理を行う。より詳細には、診断部13は、診断処理において、振動情報に含まれている加速度の計測値の絶対値と所定の閾値とを比較し、上記計測値の絶対値が上記閾値以上である場合に施設100が劣化していると診断する。また、診断部13は、診断処理において、上記計測値の絶対値が上記閾値未満である場合に施設100が劣化していないと診断する。診断部13は、施設100ごとに上述の診断処理を行う。
【0044】
また、診断部13は、取得部12が取得した複数の振動情報に基づいて複数の施設100への訪問の順位付けを行う。この際、診断部13は、振動情報に含まれている加速度の計測値の絶対値が大きい施設100の優先順位を高くする。
【0045】
ここで、施設診断システム1は、診断部13の診断結果を通信端末5(図1参照)に表示させるように構成されていてもよい。通信端末5は、例えば、施設100の使用者が所有するスマートフォン、又はタブレットである。また、施設診断システム1は、施設100に設けられた分電盤2内に表示部を設け、この表示部に診断部13の診断結果を表示させるように構成されていてもよい。
【0046】
(4)効果
実施形態1に係る施設診断システム1では、診断部13が診断処理を行うことにより振動による施設100への影響を診断することが可能となる。特に、実施形態1に係る施設診断システム1では、加速度の計測値の絶対値と所定の閾値とを比較するだけで振動による施設100への影響を診断することが可能となる。
【0047】
また、実施形態1に係る施設診断システム1では、診断部13は、診断処理において、複数の振動情報に基づいて複数の施設100への訪問の順位付けを行っている。これにより、施設100の劣化具合に応じて訪問の順位付けを行うことが可能となる。
【0048】
また、実施形態1に係る施設診断システム1では、外部システム7からの情報(地震情報)をトリガとして、複数の振動検出部11から複数の振動情報を取得することが可能となる。
【0049】
また、実施形態1に係る施設診断システム1では、振動検出部11は、施設100内に設けられた分電盤2内に配置されている。このため、振動検出部11の検出結果に応じて分電盤2内の主幹ブレーカ21を遮断した場合には、電気ストーブのような負荷4による火災等を抑制することが可能となり、その結果、施設100の安全性を向上させることが可能となる。
【0050】
また、実施形態1に係る施設診断システム1では、振動検出部11は、LPWA通信にて取得部12に向けて振動情報を送信している。これにより、施設100の外部における遠隔処理が可能となる。
【0051】
また、実施形態1によれば、分電盤2を用いた施設診断システム1を構築することが可能となる。
【0052】
さらに、取得部12及び診断部13をサーバ6に設けることによって、複数の施設100に関する情報をサーバ6にて一元管理することが可能となる。
【0053】
(5)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0054】
本開示における施設診断システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における施設診断システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0055】
また、施設診断システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは施設診断システム1に必須の構成ではなく、施設診断システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、施設診断システム1の少なくとも一部の機能、例えば、診断部13の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0056】
反対に、上述の実施形態において、複数の装置に分散されている施設診断システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、分電盤2とサーバ6とに分散されている施設診断システム1の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0057】
実施形態1では、振動検出部11、取得部12及び診断部13の一部である振動検出部11が分電盤2内に配置されている。これに対して、振動検出部11、取得部12及び診断部13のすべてが分電盤2内に配置されていてもよい。これにより、施設診断システム1が分電盤2内で完結するため、外部システムとの通信が不要になるという利点がある。さらに、振動検出部11の代わりに、又は振動検出部11と共に、取得部12又は診断部13が分電盤2内に配置されていてもよい。すなわち、振動検出部11、取得部12及び診断部13の少なくとも1つは、施設100内に設けられた分電盤2内に配置されていることが好ましい。
【0058】
振動検出部11から送信される情報は、振動情報に加えて、例えば、位置情報、通信情報及び施設情報の少なくとも1つを含んでいてもよい。位置情報は、例えば、振動検出部11の位置に関する情報である。通信情報は、例えば、振動検出部11が備える通信部112の通信品質に関する情報である。施設情報は、施設100に関する情報であって、例えば、施設100の築年数の情報である。
【0059】
施設診断システム1は、例えば、1つの施設100における複数箇所の劣化具合を診断するように構成されていてもよい。例えば、1つの施設100の1階部分と2階部分とにそれぞれ振動検出部11を配置し、各振動検出部11の検出結果に応じて1階部分の劣化具合及び2階部分の劣化具合をそれぞれ診断してもよい。
【0060】
実施形態1では、施設診断システム1は、施設100ごとに1つの振動検出部11を備えているが、施設診断システム1は、例えば、施設100ごとに複数の振動検出部11を備えていてもよい。この場合、各施設100における振動として、複数の振動検出部11から得られる複数の振動の平均値を用いることが好ましい。
【0061】
実施形態1では、診断部13は、診断処理において、加速度の計測値の絶対値と所定の閾値とを比較している。これに対して、加速度の計測値の絶対値の比較対象は、上記閾値に限らず、例えば、外部システム7からの地震情報に基づく値であってもよい。
【0062】
実施形態1では、診断部13は、振動検出部11の感震センサ111で検出した加速度に基づいて施設100への影響を診断しているが、診断部13は、例えば、振動検出部11を含む分電盤2が取り付けられている壁面の傾きに基づいて施設100への影響を診断してもよい。
【0063】
(実施形態2)
実施形態2に係る施設診断システム1について、図3を参照して説明する。実施形態2に係る施設診断システム1に関し、実施形態1に係る施設診断システム1(図1及び図2参照)と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
実施形態2に係る施設診断システム1は、振動検出部11がコンセント3内に設けられている点で、実施形態1に係る施設診断システム1と相違する。
【0065】
実施形態2に係る施設診断システム1は、図3に示すように、振動検出部11と、取得部12(図2参照)と、診断部13(図2参照)と、を備える。
【0066】
実施形態2に係る施設診断システム1では、図3に示すように、振動検出部11は、施設100内に設けられたコンセント3の筐体30内に配置されている。筐体30は、例えば、正面視の形状が矩形の箱状である。
【0067】
また、コンセント3は、図3に示すように、振動検出部11に加えて、遮断部31を有していることが好ましい。遮断部31は、コンセント3から負荷4への給電を遮断する機能を有する。遮断部31は、例えば、振動検出部11が所定震度(例えば、震度5)以上の地震動を検出した場合に、コンセント3から負荷4への給電を遮断(停止)する。これにより、電気ストーブのような負荷4による火災等を抑制することが可能となり、その結果、施設100の安全性を向上させることが可能となる。
【0068】
また、実施形態2では、振動検出部11を備えるコンセント3は、施設診断システム1に用いられる。これにより、コンセント3を用いた施設診断システム1を構築することが可能となる。
【0069】
(実施形態3)
実施形態3に係る施設診断システム1について、図4を参照して説明する。実施形態3に係る施設診断システム1に関し、実施形態1に係る施設診断システム1(図1及び図2参照)と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
実施形態3に係る施設診断システム1は、振動検出部11が主幹ブレーカ21内に設けられている点で、実施形態1に係る施設診断システム1と相違する。
【0071】
実施形態3に係る施設診断システム1は、図4に示すように、振動検出部11と、取得部12(図2参照)と、診断部13(図2参照)と、を備える。
【0072】
実施形態3に係る施設診断システム1では、図4に示すように、振動検出部11は、施設100内に設けられた主幹ブレーカ(ブレーカ)21の筐体210内に配置されている。実施形態3では、主幹ブレーカ21は、感震機能を有する感震ブレーカである。また、主幹ブレーカ21は、サーバ6との通信機能を有するIoTブレーカである。筐体210は、例えば、正面視の形状が矩形の箱状である。
【0073】
実施形態3に係る施設診断システム1では、主幹ブレーカ21は、例えば、振動検出部11が所定震度(例えば、震度5)以上の地震動を検出した場合に、各分岐ブレーカ22への給電を遮断(停止)することが好ましい。これにより、電気ストーブのような負荷4による火災等を抑制することが可能となり、その結果、施設100の安全性を向上させることが可能となる。
【0074】
また、実施形態3では、振動検出部11を備える主幹ブレーカ21は施設診断システム1に用いられる。これにより、主幹ブレーカ21を用いた施設診断システム1を構築することが可能となる。
【0075】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0076】
第1の態様に係る施設診断システム(1)は、振動検出部(11)と、取得部(12)と、診断部(13)と、を備える。振動検出部(11)は、施設(100)内に配置されており、施設(100)に生じる振動を検出する。取得部(12)は、振動に関する情報である振動情報を振動検出部(11)から取得する。診断部(13)は、取得部(12)が取得した振動情報に基づいて振動による施設(100)への影響を診断する診断処理を行う。
【0077】
この態様によれば、診断部(13)が上述の診断処理を行うことによって振動による施設(100)への影響を診断することが可能となる。
【0078】
第2の態様に係る施設診断システム(1)は、第1の態様において、複数の施設(100)と一対一に対応する複数の振動検出部(11)を備える。取得部(12)は、複数の振動検出部(11)から複数の振動情報を取得する。診断部(13)は、診断処理において、取得部(12)が取得した複数の振動情報に基づいて複数の施設(100)への訪問の順位付けを行う。
【0079】
この態様によれば、診断部(13)の診断結果に基づいて施設(100)への訪問順位を決定することが可能となる。
【0080】
第3の態様に係る施設診断システム(1)では、第1又は第2の態様において、取得部(12)は、外部システム(7)からの情報を取得した場合に、振動情報を要求する要求信号を振動検出部(11)に出力する。
【0081】
この態様によれば、外部システム(7)からの情報をトリガとして、振動検出部(11)から振動情報を取得することが可能となる。
【0082】
第4の態様に係る施設診断システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、振動検出部(11)は、施設(100)内に設けられた分電盤(2)内に配置されている。
【0083】
この態様によれば、振動検出部(11)の検出結果に応じて分電盤(2)内のブレーカ(21)を遮断した場合には、施設(100)の安全性を向上させることが可能となる。
【0084】
第5の態様に係る施設診断システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、振動検出部(11)は、施設(100)内に設けられたコンセント(3)内に配置されている。
【0085】
この態様によれば、振動検出部(11)の検出結果に応じてコンセント(3)による給電を遮断した場合には、施設(100)の安全性を向上させることが可能となる。
【0086】
第6の態様に係る施設診断システム(1)では、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、振動検出部(11)は、施設(100)内に設けられたブレーカ(21)内に配置されている。
【0087】
この態様によれば、振動検出部(11)の検出結果に応じてブレーカ(21)を遮断した場合には、施設(100)の安全性を向上させることが可能となる。
【0088】
第7の態様に係る施設診断システム(1)では、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、振動検出部(11)は、LPWA通信にて取得部(12)に向けて振動情報を送信する。
【0089】
この態様によれば、施設(100)の外部における遠隔処理が可能となる。
【0090】
第8の態様に係る施設診断システム(1)では、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、振動検出部(11)、取得部(12)及び診断部(13)の少なくとも1つは、施設(100)内に設けられた分電盤(2)内に配置されている。
【0091】
この態様によれば、振動検出部(11)、取得部(12)及び診断部(13)のすべてが分電盤(2)内に配置されている場合には、外部システムとの通信が不要となるという利点がある。
【0092】
第9の態様に係る分電盤(2)は、第4又は第8の態様の施設診断システム(1)に用いられる。分電盤(2)は、振動検出部(11)を収容するキャビネット(20)を備える。
【0093】
この態様によれば、分電盤(2)を用いた施設診断システム(1)を構築することが可能となる。
【0094】
第10の態様に係るコンセント(3)は、第5の態様の施設診断システム(1)に用いられる。コンセント(3)は、振動検出部(11)を収容する筐体(30)を備える。
【0095】
この態様によれば、コンセント(3)を用いた施設診断システム(1)を構築することが可能となる。
【0096】
第11の態様に係るブレーカ(21)は、第6の態様の施設診断システム(1)に用いられる。ブレーカ(21)は、振動検出部(11)を収容する筐体(210)を備える。
【0097】
この態様によれば、ブレーカ(21)を用いた施設診断システム(1)を構築することが可能となる。
【0098】
第2~第8の態様に係る構成については、施設診断システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 施設診断システム
2 分電盤
3 コンセント
7 外部システム
11 振動検出部
12 取得部
13 診断部
20 キャビネット
21 主幹ブレーカ(ブレーカ)
30 筐体
100 施設
210 筐体
図1
図2
図3
図4