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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106889
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】抗炎症剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240801BHJP
   A61K 36/31 20060101ALI20240801BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240801BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240801BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20240801BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240801BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240801BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240801BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K36/31
A61P17/00
A61P29/00
A61Q19/08
A61Q19/00
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011362
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
【テーマコード(参考)】
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA072
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB112
4C083AB212
4C083AB352
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC092
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC622
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC682
4C083AC692
4C083AC782
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD272
4C083AD302
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD392
4C083AD432
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD572
4C083AD632
4C083AD642
4C083AD662
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC23
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE12
4C083EE13
4C088AB15
4C088AC01
4C088CA03
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】抗炎症効果、シワ及びタルミ予防、改善効果並びに皮膚ターンオーバー改善効果を併せ持つ天然物由来の機能性素材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、アブラナ科に属する植物の抽出物の加水分解物を有効成分とする機能性素材である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブラナ科に属する植物の抽出物の加水分解物を有効成分とする抗炎症剤。
【請求項2】
アブラナ科に属する植物の抽出物の加水分解物を有効成分とするシワ及びタルミ予防、改善剤。
【請求項3】
アブラナ科に属する植物の抽出物の加水分解物を有効成分とする皮膚ターンオーバー改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤等の製剤に配合可能であって、炎症の予防・改善、シワ及びタルミを予防・改善、皮膚のターンオーバーの改善の効果を奏する機能性素材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚の老化は、加齢に伴う細胞増殖・分化の不活化、ホルモン分泌の低下、細胞外マトリックス成分の量的低下などの内的要因と、太陽光(紫外線)に誘発される活性酸素による細胞・組織の損傷、又は炎症などの外的要因とが複雑に絡み合って生ずる現象である。
【0003】
従来、皮膚の老化を予防する成分として、抗酸化剤(例えば、ビタミンA,E等)、保湿剤(アミノ酸、有機酸、ヒアルロン酸又はその塩)、抗炎症剤(例えば、アラトイン、グルタチオン等)が提案されているが、安定性及び有効性の点で課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-320308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、従来技術の問題点に鑑みて、皮膚外用剤に配合可能な新たな機能性素材を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、アブラナ科アブラナ属の抽出物の加水分解物が、抗炎症効果、シワ及びタルミ予防又は改善効果及び皮膚ターンオーバー改善効果を有することを新たに見出して本発明を完成させるに至った。従来、アブラナ科アブラナ属に属する植物の抽出物の加水分解物が細胞賦活効果及び細胞内チロシナーゼ活性抑制効果を有することは特許文献1により知られているが、抗炎症効果、シワ及びタルミ予防又は改善効果及び皮膚ターンオーバー改善効果を有することについては、知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アブラナ科に属する植物の抽出物の加水分解物を有効成分とする抗炎症剤である。
また、本発明は、アブラナ科に属する植物の抽出物の加水分解物を有効成分とするシワ及びタルミの予防又は改善剤である。
また、本発明は、アブラナ科に属する植物の抽出物の加水分解物を有効成分とする皮膚ターンオーバー改善剤である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、抗炎症効果、シワ及びタルミ予防又は改善効果及び皮膚ターンオーバー改善効果を発揮する機能性素材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に於いてアブラナ科(Brassicaceae)の植物としては、例えば、白芥(Brassica alba)、黄芥(Brassica juncea)、黒芥(Brassica nigra)、アブラナ(Brassica ropa)などを挙げることができる。それら植物のうちでも、白芥(Brassica alba)、黄芥(Brassica juncea)或いは黒芥(Brassica nigra)が好ましい。それら植物の全草、種子、葉、茎、根、花のいずれの部位の使用も可能であるが、それらの中でも全草又は種子(即ち、白芥子、黄芥子又は黒芥子)の使用が好ましい。
【0009】
以上の植物を用いて抽出物を調製する方法を以下に説明する。抽出物の調製は、それぞれの植物の抽出対象部位を、必要に応じて予め水洗い、乾燥し、又細切もしくは粉砕した上で、浸漬法、向流抽出法、超臨界抽出法などの常法によって抽出溶媒に接触させることで行うことができる。
【0010】
抽出溶媒としては、水;エタノール等の低級アルコール類;プロパンジオール、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;n-ヘキサン等の炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独で又は二種以上混合して用いることができる。
【0011】
それら抽出溶媒のうちでも、抽出物に後述の加水分解処理を施す場合の当該処理工程への移行の容易性や製剤への幅広い適用が可能であるという点からも、本発明においては水、水と低級アルコール類の混合溶媒、又は水と多価アルコール類との混合溶媒の使用が好ましい。混合溶媒を用いる場合は水に対する低級アルコールや多価アルコールの混合割合は、一般には70重量%以下、好ましくは50%重量以下である。
【0012】
抽出物の調製に際して、そのpH、温度及時間に特に限定はないが、使用する植物の抽出対象部位により適宜選択することが好ましい。
【0013】
抽出対象素材として、例えば、白芥、黒芥、又は黄芥の種子を用いる場合は、一般にはpH3~9の範囲とすることが好ましく、必要に応じて抽出溶媒に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性調整剤や、クエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤等を添加し、目的とするpHとなるように調整してもよい。抽出温度、抽出時間等の抽出条件は、使用する溶媒の種類やpH、又は抽出素材の細切度、乾燥度、粒度等によっても異なるが、例えば水を抽出溶媒とする浸漬法の場合であれば、抽出温度は一般に1~90℃、好ましくは20~60℃の範囲であり、また、抽出時間は、例えば、室温の場合で0.5~72時間の範囲、好ましくは1~24時間の範囲である。
【0014】
本発明においては、上記抽出処理により得られる抽出物を、抽出前又は抽出後、或いは抽出と並行して、加水分解処理する。加水分解処理としては、酸、アルカリ、酵素などによる方法が挙げられるが、酵素を用いた加水分解処理が好ましい。
【0015】
加水分解処理に用いる酵素としては、蛋白分解酵素、澱粉分解酵素、繊維素分解酵素、及び脂肪分解酵素が挙げられる。これらの酵素は抽出対象素材に応じて、それぞれの単独で使用しても複数の酵素を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
蛋白分解酵素としては、例えば、アクチナーゼなどのアクチナーゼ類、ペプシンなどのペプシン類、トリプシン、キモトリプシンなどのトリプシン類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類、グリシルグリシンペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼなどのペプチダーゼ類、ブロメライン、微生物由来の複合蛋白分解酵素[例えば、ニューラーゼ(天野エンザイム株式会社製)]などが挙げられる。蛋白分解酵素を使用する場合、上述した酵素のいずれかを単独で用いても、複数を組み合わせても良い。また、澱粉分解酵素としては、例えば、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、β-ガラクトシダーゼなどを用いることができる。澱粉分解酵素を使用する場合、上述した酵素のいずれかを単独で用いても、複数を組み合わせても良い。又、繊維素分解酵素としては、例えば、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼなどが挙げられる。繊維素分解酵素を使用する場合、上述した酵素のいずれかを単独で用いても、複数を組み合わせても良い。又、脂肪分解酵素としては、例えば、リパーゼが挙げられる。なお、酵素による加水分解処理を行う場合に、上記各酵素群から選ばれる1種以上の酵素を複数組み合わせて使用しても良い。
【0017】
酵素を用いた加水分解処理は、上述した植物の抽出物溶液に上記の酵素の1種又は2種以上を添加し、用いた酵素の至適pH及び至適温度付近の条件下で酵素反応させることによって実施される。2種以上の酵素を組み合わせ用いる場合は、用いる酵素の特性に応じて、2種以上の酵素を同時に作用させてもよい。酵素の使用量は、植物抽出物溶液の固形分100重量部に対して、1種の酵素につき0.001~50重量部の範囲とするのがよく、より好ましくは0.1~10重量部の範囲である。又、酵素処理の時間は、用いる酵素の種類等によっても異なるが、一般には0.5~24時間の範囲であり、好ましくは1~6時間の範囲である。
【0018】
以上の酵素を用いて加水分解処理終了後、酵素処理液を例えば80℃以上に加熱する方法など適宜の方法を用いて酵素を失活させ、酵素処理分解物溶液を得る。
【0019】
上述のように調製した抽出物又は加水分解物は、一般にはpHを4~8に調製した上で、これをそのままの状態で化粧料配合剤として使用しても良く、又減圧濃縮等により所望の濃度として使用しても良い。また、抽出物はスプレードライ法等の常法により乾燥物としても良い。
【0020】
上述のように調製した加水分解物は、保存安定性等を高めるために、一定時間冷蔵保存した上で、上清を使用しても良い。
【0021】
本発明に係る加水分解物は、皮膚外用剤(化粧料、医薬部外品、外用医薬品)に配合することができる。皮膚外用剤としては、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、マスク、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディシャンプー、頭皮,頭髪用シャンプー、浴用剤等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
本発明に係る加水分解物の配合量は、配合する製剤に応じて適宜調整可能であり、固形分量として、例えば、基礎化粧料の場合は、0.002~1.0重量%(固形分重量%、以下同じ)の範囲、メイクアップ化粧料の場合は、0.002~1.0重量%の範囲、又清浄用化粧料の場合は、0.002~10.0重量%の範囲である。また、毛髪用化粧料の場合は、組成物の固形分として、0.0001~5.0重量%の範囲である。
【0023】
本発明に係る有効成分である加水分解物を皮膚外用剤に配合する場合、必須成分の上記組成物のほかに、一般的に皮膚外用剤に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、消炎剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、抗アクネ剤、細胞賦活剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白剤、抗シワ剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0024】
油性成分としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、ベルガモット油、ラベンダー油、バラ油、ベルガモット油、カミツレ油等の植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ビタミンA油;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis-11-エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、パントテニルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0025】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N、N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N、N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N、N、N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′、N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0026】
乳化剤及び/又は乳化助剤としては、例えば、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖とタンパク質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来タンパク質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0027】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース、ラフィノース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、ヒアルロン酸発酵液、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、コラーゲンペプチド、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、エストラジオール、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0028】
増粘剤としては、例えば、アルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;ペクチン、プルラン、アロエ多糖体等の多糖類;トラガントガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体;カルボシキビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体、ポリアクリル酸等が挙げられる。
【0029】
消炎剤としては、例えば、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、ε-アミノカプロン酸、d-カンフル、dl-カンフル、酸化亜鉛、パンテノール、ピリドキシン塩酸塩、及びリボフラビン又はその誘導体等がある。
【0030】
防腐・殺菌剤としては、例えば、尿素;安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ピリチオン亜鉛、塩化ベンザルコニウム、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、臭化アルキルイソキノリニウム、レゾルシン、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロロカルバニド、トリクロロヒドロキシジフェノールエーテル、ヒノキチオール、1、2-ペンタンジオール、プロパンジオール、濃ベンザルコニウム塩化物液50、ハッカ油、ユーカリ油等の精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ、トウモロコシ等の植物由来のエタノール又は1、3-ブチレングリコール等がある。
【0031】
細胞賦活剤としては、例えば、パントテニルアルコール、メントール、dl-メントール、及びγ-オリザノール等がある。
【0032】
抗アクネ剤としては、例えば、イオウ、サリチル酸又はその塩、感光素201号、ジカプリル酸ピリドキシン等がある。
【0033】
粉体成分しては、例えばセ、リサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、アズキ等)のパウダー等がある。
【0034】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2、4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0035】
抗酸化剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン等のカロテノイド、ビタミンE及びその誘導体(例えば、トコフェロール酢酸エステル、トコフェロールニコチン酸エステル)、ビタミンA又はその誘導体(パルミチン酸レチノール等)等がある。
【0036】
美白剤としては、例えば、コウジ酸又はその誘導体、アスコルビン酸又はその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ビタミンE又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、マグノリグナン(5、5'-ジプロピル-ビフェニル-2、2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)、胎盤抽出液(プラセンタエキス)、リノール酸から選択される1以上のものが挙げられる。
【0037】
上記コウジ酸誘導体としては、例えば、コウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド(2-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)、L-アスコルビン酸-5-グルコシド(5-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸)などのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えば、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、ビタミンE誘導体としては、例えばビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0038】
抗シワ剤として、例えば、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンE又はその誘導体(酢酸トコフェロール等)、ビタミンC又はその誘導体(アスコルビン酸グルコシド、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩等)、パントテニルアルコール、トラネキサム酸、ナイアシンアミドが挙げられる。
【0039】
さらに、以下の植物又は微生物等の天然物由来の成分を併用することも可能である。例えば、コラーゲン又はその加水分解物、酵母抽出物又は加水分解物、乳酸菌培養物、イネ科植物、ツバキ科植物、バラ科植物、ボタン科植物、ミカン科植物、ヒユ科植物、アマモ科植物、マメ科植物、キク科植物、マメ科植物、アオイ科植物、リンドウ科植物、シソ科植物、ハス科植物、ウリ科植物、ウコギ科植物、ナス科植物、ノウゼンカズラ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、アヤメ科植物、キキョウ科植物、モクセイ科植物、マタタビ科植物、クワ科植物、クロウメモドキ科植物、ラン科植物、ウルシ科植物、フクギ科植物、バレンシ科植物、ミカン科植物、フトモモ科植物、ユリ科植物、ベンケイソウ科植物、ヒノキ科植物、ヒルガオ科の植物及びキジカクシ科のいずれかから選択される1以上の植物の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、コンブ科、ミリン科及びアオサ科のいずれかから選択される1以上の海藻の抽出物又はその加水分解物或いは発酵物、クラゲ(ミズクラゲ、エチゼンクラゲ等の自己消化物)、ヒアルロン酸の加水分解物又は発酵物、及びローヤルゼリーの抽出物又はその加水分解物或いは発酵物挙げられる。
【0040】
イネ科の植物由来成分としては、特に、イネ葉加水分解物、米抽出物加水分解物、米糠抽出物加水分解物、発芽玄米加水分解物、米発酵液、清酒由来の酒粕抽出物、マダケ又はモウソウチクのタケノコ皮抽出物、ハトムギ種子発酵物が好ましい。また、ツバキ科植物由来成分としては、特に、緑茶(やぶきた、さみどり、あさひ、ごこう、うじみどり、きょうみどり、うじひかり、さみどり、べにふうき等)及び紅茶(ダージリン、アッサム、セーロン、アールグレイ、蜜香紅茶等)が好ましい。バラ科植物由来成分としては、ダマスクバラの花の抽出物、モモの花、葉又は未成熟果実の抽出物、イチゴの花抽出物、サクラの花又は葉の抽出物、アンズの果実又は種子の抽出物が好ましい。また、ボタン科植物由来成分としては、ボタンの根又は花、及びシャクヤクの花又は根の抽出物が好ましい。また、ヒユ科植物由来成分としては、特に、アッケシソウ抽出物が好ましい。また、アマモ科植物由来成分としては、特に、アマモ又はコアマモの抽出物が好ましい。マメ科植物由来成分としては、特に、白大豆又は黒大豆の抽出物又はその加水分解物或いは豆乳発酵液、アズキ抽出物、アカツメクサ抽出物、クズ根抽出物が好ましい。また、キク科植物由来成分としては、特に、ゴボウ根抽出物、ヒマワリ新芽抽出物、ハゴロモソウ抽出物、アルニカ抽出物又はカミツレ花抽出物が好ましい。アオイ科植物由来成分としては、ハイビスカス、ムクゲ又はフヨウの発酵物が好ましい。リンドウ科植物由来成分としては、ゲンチアナ抽出物が好ましい。また、シソ科植物としては、アオジソ抽出物、ムラサキシキブ果実抽出物が好ましい。ハス科植物由来成分としては、特に、ハスの花又はハス種子抽出物或いはハス種子発酵物が好ましい。ウリ科植物由来成分としては、特に、ヘチマ抽出物が好ましい。ウコギ科植物由来成分としては、オタネニンジンの抽出物又は発酵物が好ましい。ナス科植物由来成分としては、ナス(長ナス、水ナス、米ナス、賀茂ナス等)の抽出物が挙げられる。ノウゼンカズラ科植物由来成分としては、パウダルコ樹皮抽出物が好ましい。マタタビ科植物由来成分としては、未成熟のキウイ抽出物が好ましい。クワ科植物由来成分としては、ソウハクヒ抽出物、マルベリー果実抽出物、イチジクの果実又は樹皮の抽出物が好ましい。クロウメモドキ科植物由来成分としては、ナツメ果実抽出物が好ましい。また、アヤメ科植物由来成分としてはサフランが好ましい。キキョウ科植物由来成分としては、ヒカゲノツルニンジンの根の抽出物又は加水分解物が好ましい。ウルシ科植物由来成分としては、特に、マンゴ果実抽出物が好ましい。フクギ科植物由来成分としては、特に、マンゴスチン果実抽出物が好ましい。また、バレンシ科植物由来成分としては、チェリモヤ果実抽出物が好ましい。ミカン科植物由来成分として、温州ミカン、ベルガモット果実抽出物、グレープフルーツ又は晩白柚の果実(未成熟果実も含む)の抽出物、グレープフルーツ又はハッサク等の植物に含まれるフラボノイド及びその配糖体を含む抽出物、或いはサンショウ種子抽出物が好ましい。ユリ科植物由来成分としては、ホンカンゾウ、ヤブカンゾウ、カサブランカ、マドンナリリー、又はササユリの抽出物が好ましい。ベンケイソウ科植物由来成分としては、特に、イワベンケイ(紅景天)の抽出物又は発酵物が好ましい。モクセイ科植物由来成分としては、特に、ジャスミンの花抽出物が好ましい。ヒノキ科植物としては、特に、セイヨウネズ果実抽出物が好ましい。フトモモ科植物由来成分としては、特に、グアバ葉抽出物が好ましい。ラン科植物としては、特に、シランの根(白及)の抽出物が好ましい。ヒルガオ科植物由来成分としては、サツマイモの抽出物又はその発酵物或いは甘藷焼酎粕の抽出物又はその発酵物が好ましい。キジカクシ科植物由来成分としては、アスパラガスの抽出物が好ましい。コンブ科海藻由来成分としては、特に、コンブ抽出物が好ましく、ミリン科海藻由来成分としてはカタメンキリンサイ抽出物が好ましく、特に、アオサ科海藻由来成分としてはアナアオサ抽出物が好ましい。フノリ科海藻由来成分としては、特に、フノリ抽出物が好ましい。
【0041】
以下、本発明の有効成分である加水分解物の製造例及び有効性評価試験例について説明するが、本発明はこれに限るものではない。
【0042】
製造例1.加水分解物の調製(1)
白芥の種子(白芥子)の粉砕物50gに精製水1000gを混合し、40℃で1時間抽出を行った後ろ過し、淡黄色透明の白芥子抽出物溶液805g(固形分濃度:1.22重量%)を得た。次に、ここに得られた抽出物溶液500gに、加水分解酵素としてアクチナーゼを0.05g添加し、40℃で2時間加水分解した。その後、85℃で1時間加熱して酵素を失活させた後ろ過し、淡黄色透明の白芥子抽出物の加水分解物溶液462g(固形分濃度1.01重量%)を得た。
【0043】
製造例2.加水分解物の調製(2)
加水分解酵素としてアクチナーゼに代えてパパインを用いるほかは製造例1と同様にして加水分解物溶液435g(固形分濃度0.98%)を得た。
【0044】
製造例3.加水分解物の調製(3)
白芥の種子(白芥子)の粉砕物50gに30%1,3-ブチレングリコール水溶液1000gを混合し、40℃で1時間抽出を行った後ろ過し、淡黄色透明の白芥子抽出物溶液790g(固形分濃度0.95%)を得た。次に、得られた抽出物溶液500gに、アクチナーゼASを0.2g添加し、40℃で3時間加水分解した。その後、85℃で2時間加熱して酵素を失活させた後ろ過し、淡黄色透明の白芥子の加水分解物溶液425g(固形分濃度1.00%)を得た。
【0045】
製造例4.加水分解物の調製(4)
黄芥の種子(黄芥子)の粉砕物50gに精製水1000gを混合し、40℃で1時間抽出を行った後ろ過し、淡黄色透明の黄芥子抽出物溶液827g(固形分濃度0.95%)を得た。次に、得られた抽出物溶液500gに、アクチナーゼASを0.05g添加し、40℃で2時間加水分解した。その後、80℃で1時間加熱して酵素を失活させた後ろ過し、淡黄色透明の黄芥子抽出物酵素処理分解物溶液400g(固形分濃度0.94%)を得た。
【0046】
製造例5.加水分解物の調製(5)
黒芥の種子(黒芥子)の粉砕物50gに精製水1000gを混合し、40℃で1時間抽出を行った後ろ過し、淡黄色透明の黒芥子抽出物溶液845g(固形分濃度0.95%)を得た。次に、得られた抽出物溶液500gに、アクチナーゼASを0.05g添加し、40℃で2時間加水分解した。その後、80℃で1時間加熱して酵素を失活させた後ろ過し、淡黄色透明の黒芥子抽出物酵素処理分解物溶液405g(固形分濃度0.92%)を得た。
【0047】
試験例1.抗体アレイ法を用いたサイトカイン分泌抑制評価試験
ヒト由来正常表皮細胞(NHEK)をHuMedia-KG2(クラボウ社製)を用いて24 well plate(IWAKI)に6×104cells/wellとなるように細胞を播種し、5%CO2下、37℃で一日間培養した。次に、培地をHuMedia-KB2(クラボウ社製)に交換し、さらに同培地に製造例1の加水分解物を溶液として最終濃度が2.0%となるように添加した試料溶液と、製造例1の加水分解物に代えて30%1,3-ブチレングリコールを同様の濃度で添加したコントロール(Control)溶液を調製し、各wellに追添加してさらに24時間培養した。その後、紫外線ランプ(TL20W/12RS, Phillips社製)を用いて培養器底面より約50mJ/cm2の紫外線(UV)[紫外線B波]を照射した。さらに24時間培養を行い、上清を回収した。この上清を用いてHuman Cytokine Antibody Array(42 Target 8memb) ab133997(アブカム)で解析を行なった。なお、NHEKから分泌されるサイトカイン因子の量は、紫外線(UV)未照射で30%1,3-ブチレングリコール添加区をコントロール(Control)とし、その値を100としたときの相対量で示した。試験結果を表1~3に示す。
【0048】
試験例1の結果として、インターロイキン系及び造血因子系のサイトカイン因子の分泌抑制効果を表1に示す。
[表1]
【0049】
表1に示すように、IL-3(インターロイキン-3)、IL-4(インターロイキン-4)、OncostatinM(オンコスタチンM)、IL-10(インターロイキン-10)、IL-12p40/p70(インターロイキン-12 [IL-12 p70])、Leptin(レプチン)、IL-15(インターロイキン-15)、IL-1β(インターロイキン-1β)、MCSF(マクロファージコロニー刺激因子)、Angiogenin(アンジオゲニン)、Thrombopoietin(トロンボポエチン)は、いずれも紫外線(UV)照射により分泌が促進されること、及び本発明の有効成分である加水分解物は、それら因子の細胞からの分泌を抑制する効果を有することが確認された。インターロイキン系の因子は、炎症反応を増強させる因子である。また、造血系の因子は、赤血球や白血球などの血球や免疫細胞の分化・増殖を促進する。従って、このようにインターロイキン系及び造血因子系の分泌を抑制することで、炎症を効率よく抑えることができ、皮膚の赤みを抑えることができるほか、それによる色素沈着も抑制できることが示唆された。
【0050】
試験例1の結果として、ケモカイン系の因子の分泌抑制効果を表2に示す。
[表2]
【0051】
表2に示す通り、ケモカイン系の因子であるMCP-1(Monocyte chemotactic protein 1)/CCL2、MCP-3(Monocyte chemotactic protein 3)/CCL7、NA-78(CXCL5)、MDC/CCL22、MIG/CXCL9、MIP-1δ/CCL15、RANTES/CCL5、SDF-1/CXCL12、TARC/CCL17は、いずれも紫外線(UV)照射により分泌が促進されること、及び本発明の有効成分である加水分解物は、それら因子の分泌を抑制する効果を有することが確認された。ケモカイン系の因子は、免疫系細胞を炎症部位に誘導させる働きをもつ。本発明の有効成分である加水分解物は、表2のケモカイン系の因子の分泌を抑制することで、免疫系細胞の浸潤を抑えることができる。免疫系細胞は炎症因子を放出する他、移動の際、細胞外マトリックス(ECM)成分を分解することが報告されており、それがシワ又はタルミの原因となることが示唆されている。本発明の有効成分である加水分解物は、ケモカイン系の因子の分泌を抑えることで、シワやたるみを予防することができることが示唆される。
【0052】
[表3]
【0053】
表3に示す通り、増殖因子系のサイトカイン因子であるEGF(上皮成長因子)、IGF-I(インスリン様成長因子)、VEGF(血管内皮増殖因子)、SCF(幹細胞因子)及びPDGF BB(血小板由来成長因子)が紫外線によって誘導されること、及び本発明の有効成分である加水分解物は、それら因子の誘導を抑制する効果を有することが確認された。紫外線によって誘導される増殖因子は、表皮の異常なターンオーバーを引き起こし、皮膚のバリア機能を低下させることから、本発明の有効成分である加水分解物は、この異常な皮膚のターンオーバーを抑制することで、皮膚のバリア機能を正常化させ、また、バリア機能を正常化させることで皮膚の保湿性が向上することで潤いが向上し、皮膚の透明感を向上させることが示唆される。
【0054】
処方例1.化粧水
[成分] 部
製造例1の加水分解物 1.0
スクワラン 0.2
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
トコフェロール酢酸エステル 0.02
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
グリチルリチン酸モノアンモニウム 0.5
イソプロピルメチルフェノール 0.1
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0055】
処方例2.化粧水
処方例1に含まれる製造例1の加水分解物に代えて、製造例2の加水分解物1.0部を用いる他は、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0056】
処方例3.化粧水
[成分] 部
製造例1の加水分解物 2.0
カプリル酸グリセリル 3.0
ラウリン酸ポリグリセリル-10 3.0
セタノール 2.0
ベヘニルアルコール 2.0
メチルパラベン 0.1
アスコルビン酸 3.0
グリチルリチン酸 0.5
β-グリチルレチン酸 0.05
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
レゾルシン 0.1
酸化亜鉛 2.0
dl-カンフル 0.5
グリセリン 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
水酸化カリウム 0.5
精製水 全量が100部となる量
【0057】
処方例4.化粧水
処方例3に含まれる製造例1の加水分解物に代えて、製造例2の加水分解物2.0部を用いる他は、処方例3と同様にして化粧水を得た。
【0058】
処方例5.化粧水
[成分] 部
製造例2の加水分解物 0.5
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
メチルパラベン 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2.0
トラネキサム酸 1.0
ナイアシンアミド 5.0
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イオウ 0.2
エストラジオール 0.1
ピリドキシン塩酸塩 0.5
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
メタ重亜硫酸ナトリウム 0.2
d-カンフル 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0059】
処方例6.乳液
[成分] 部
製造例1の加水分解物 1.0
スクワラン 5.0
シクロペンタンシロキサン 1.0
ヘキサラン 3.0
イソステアリン酸ヘキシルデシル 1.0
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 1.0
ラウリン酸ポリグリセリル-10 5.0
イソステアリン酸ポリグリセリル-10 5.0
ジパルミチン酸アスコルビル 15.0
水添大豆レシチン 1.5
アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 3.0
アルブチン 3.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
キサンタンガム 0.2
シロキクラゲ多糖体 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
トコフェロール酢酸エステル 0.3
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
グリチルリチン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
水溶性コラーゲン 1.0
加水分解コラーゲン 1.0
アセチルヒアルロン酸 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0060】
処方例7.乳液
処方例6の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えてL-アスコルビン酸-2-グルコシド2.0部を用いるほかは処方例6と同様にして乳液を得た。
【0061】
処方例8.乳液
処方例6の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えて及び水酸化カリウム0.5部に代えてトラネキサム酸1.0部を用いるほかは処方例6と同様にして乳液を得た。
【0062】
処方例9.乳液
処方例6の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えて3-O-エチルアスコルビン酸3.0部を用いるほかは処方例6と同様にして乳液を得た。
【0063】
処方例10.乳液
処方例6の成分中、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩2.0部に代えてナイアシンアミド3.0部を用いるほかは処方例6と同様にして乳液を得た。
【0064】
処方例11.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
スクワラン 5.0
ホホバ油 5.0
ホホバワックス 1.0
ベヘニルアルコール 1.0
ステアリルアルコール 1.0
キャンデリラワックス 1.0
乳酸菌発酵米 2.0
大豆由来水添レシチン 0.5
製造例1の加水分解物 1.0
カルボキシビニルポリマー 1.0
アルギン酸ナトリウム 1.0
グリセリン 4.0
PH調整剤 適量
防腐剤 適量
精製水 全量が100部となる量
【0065】
処方例12.クリーム
処方例11に含まれる製造例1の加水分解物に代えて、製造例2の加水分解物1.0部を用いるほかは、処方例11と同様にしてクリームを得た。
【0066】
処方例13.クリーム
[成分] 部
製造例1の加水分解物 1.0
オリーブ油 5.0
ホホバ油 5.0
スクワラン 5.0
イソステアリン酸ヘキシルデシル 5.0
ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル
/ベヘニル) 5.0
カプリル酸グリセリル 1.0
ステアリン酸グリセリル 1.0
イソステアリルグリセリル 3.0
γ-オリザノール 0.1
ベヘニルアルコール 2.0
パルミチン酸 2.5
D-パントテニルアルコール 3.0
アラントイン 0.1
リボフラビン 0.01
レゾルシン 0.1
塩化ベンザルコニウム 0.05
尿素 3.0
β-グリチルレチン酸 0.1
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
グリチルリチン酸アンモニウム 0.1
ナイアシンアミド 5.0
乳酸菌発酵米 2.0
水添レシチン 0.5
水添リゾレシチン 0.5
加水分解コラーゲン 1.0
キサンタンガム 1.0
酸化亜鉛 0.5
dl-カンフル 0.3
l-メントール 0.5
精製水 全量が100部となる量
【0067】
処方例14.クリーム
処方例13に含まれる製造例1の加水分解物に代えて、製造例2の加水分解物1.0部を用いるほかは、処方例13と同様にしてクリームを得た。
【0068】
実施例15.パック
製造例1の加水分解物 2.0
ジプロピレングリコール 5.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 5.0
セタノール 3.0
ベヘニルアルコール 3.0
アラントイン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリチルリチン酸アンモニウム 0.1
β-グリチルレチン酸 0.1
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
サリチル酸 0.1
トコフェロール酢酸エステル 0.5
トコフェロールニコチン酸エステル 0.1
D-パントテニルアルコール 0.3
レゾルシン 0.1
イオウ 2.0
エストラジオール 0.002
水溶性コラーゲン 1.0
キサンタンガム 2.0
ミリスチン酸ポリグリセリル-6 1.0
ココイルグルタミン酸カリウム 1.0
水添レシチン 3.0
水酸化レシチン 3.0
精製水 全量が100部となる量
【0069】
処方例16.ヘアシャンプー
[成分] 部
製造例2の加水分解物 2.0
ラウレス硫酸ナトリウム 10.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 2.0
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5
塩化ベンザルコニウム 1.0
ステアリルアルコール 2.0
ベヘニルアルコール 2.0
ジメチコン 3.0
アラントイン 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
サリチル酸 0.1
サリチル酸ナトリウム 0.1
トコフェロール酢酸エステル 0.1
ピリチオン亜鉛 0.3
安息香酸 0.2
トリクロサン 0.2
クエン酸 0.1
プロピレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0070】
実施例17.ヘアコンディショナー
[成分] 部
製造例1の加水分解物 2.0
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
塩化ベンザルコニウム 1.0
セタノール 3.0
ステアリルアルコール 1.0
アラントイン 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
サリチル酸 0.1
イオウ 0.5
臭化アルキルイソキノリニウム液(75%) 0.06
ピリチオン亜鉛 0.3
メチルパラベン 0.1
トリクロサン 0.2
レゾルシン 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0071】
処方例18.洗浄用化粧料
[成分] 部
製造例1の加水分解物 2.0
ココイルグリシンカリウム 5.0
グリセリン 10.0
カプリル酸グリセリル 1.0
ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム 10.0
水溶性コラーゲン 5.0
セタノール 3.0
ミリスチルアルコール 3.0
イソプロピルメチルアルコール 0.1
アラントイン 0.1
イオウ 0.5
グリチルリチン酸 0.1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
グリチルリチン酸モノアンモニウム 0.1
β-グリチルレチン酸 0.05
グリチルレチン酸ステアリル 0.1
サリチル酸 0.2
トコフェロール酢酸エステル 0.2
トリクロサン 0.1
トリクロロカルバニド 0.5
トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル 0.2
濃ベンザルコニウム塩化物液50 0.2
ベンザルコニウム塩化物 0.1
精製水 全量が100部となる量
【0072】
処方例19.シートマスク
不織布に下記の成分を含浸させてシートマスクを得る。
[成分] 部
製造例1の加水分解物 2.0
グリセリン 3.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
L-アスコルビン酸 2-グルコシド 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
キサンタンガム 1.0
水溶性コラーゲン 1.0
ヒアルロン酸ナトリウム 1.0
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
【0073】
処方例20.美容液
[成分] 部
製造例1の加水分解物 2.0
ヒアルロン酸ナトリウム 1.0
水溶性コラーゲン 1.0
トラネキサム酸 0.1
エタノール 2.0
グリセリン 5.0
1、3-ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
クエン酸 0.3
クエン酸ナトリウム 0.6
カタメンキリンサイ抽出物 5.0
精製水 全量が100部となる量