(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106898
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】動作状態判定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A61B5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011381
(22)【出願日】2023-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】梶 雄登
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VA05
4C038VA12
4C038VB01
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】対象者の動作状態を精度良く検出することが可能な動作状態判定システムを提供する。
【解決手段】対象者Pの身体状態に関するデータを非接触で検出可能な対象者検出センサと、前記対象者Pが所定の動作を行った場合、前記所定の動作の開始時間を含む開始時間帯と、前記所定の動作の終了時間を含む終了時間帯と、の間の動作時間帯において前記対象者検出センサにより検出されたデータを用いて、前記対象者Pの動作状態を判定するサーバと、を具備した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の身体状態に関するデータを非接触で検出可能な検出部と、
前記対象者が所定の動作を行った場合、前記所定の動作の開始時間を含む開始時間帯と、前記所定の動作の終了時間を含む終了時間帯と、の間の動作時間帯において前記検出部により検出されたデータを用いて、前記対象者の動作状態を判定する判定部と、
を具備する動作状態判定システム。
【請求項2】
前記身体状態には、身体の位置及び移動速度の少なくとも一方が含まれ、
前記判定部は、
前記身体状態に基づいて、前記対象者の前記所定の動作の開始時間及び終了時間を判定する、
請求項1に記載の動作状態判定システム。
【請求項3】
前記判定部は、
前記対象者の動作状態として、前記所定の動作の速度を判定する、
請求項1に記載の動作状態判定システム。
【請求項4】
前記検出部は、
ミリ波センサにより構成される、
請求項1から3までのいずれか一項に記載の動作状態判定システム。
【請求項5】
前記所定の動作には、
前記対象者が姿勢を変化させる動作が含まれる、
請求項1に記載の動作状態判定システム。
【請求項6】
前記所定の動作には、
前記対象者が歩行する動作が含まれる、
請求項1に記載の動作状態判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の動作状態を判定するための動作状態判定システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者の動作を判定する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、対象者の身体(例えば、対象者が着用している衣類等)に装着されたウェアラブルデバイスによって得られたセンサデータと、予め学習されたデータとを比較し、比較結果に基づいて対象者の動作状態を判定することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、対象者が目的の動作とは無関係な動作を行ったり、対象者が着用している衣類がズレたり擦れたりすることによって、対象者の動作とは無関係なセンサデータがノイズとして検出されるおそれがある。ノイズが検出されると対象者の動作状態の判定精度が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、対象者の動作状態を精度良く検出することが可能な動作状態判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、対象者の身体状態に関するデータを非接触で検出可能な検出部と、前記対象者が所定の動作を行った場合、前記所定の動作の開始時間を含む開始時間帯と、前記所定の動作の終了時間を含む終了時間帯と、の間の動作時間帯において前記検出部により検出されたデータを用いて、前記対象者の動作状態を判定する判定部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記身体状態には、身体の位置及び移動速度の少なくとも一方が含まれ、前記判定部は、前記身体状態に基づいて、前記対象者の前記所定の動作の開始時間及び終了時間を判定するものである。
【0010】
請求項3においては、前記判定部は、前記対象者の動作状態として、前記所定の動作の速度を判定するものである。
【0011】
請求項4においては、前記検出部は、ミリ波センサにより構成されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記所定の動作には、前記対象者が姿勢を変化させる動作が含まれるものである。
【0013】
請求項6においては、前記所定の動作には、前記対象者が歩行する動作が含まれるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本発明においては、対象者の動作状態を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る動作状態判定システムを示した模式図。
【
図2】対象者の動作の速度を判定する手順の概略を示した図。
【
図3】対象者と、サーバが対象者として認識した点群データを模式的に示した図。
【
図4】対象者の動作と、開始時間帯及び終了時間帯に含まれるデータを削除した状態を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る動作状態判定システム1について説明する。
【0018】
動作状態判定システム1は、対象者Pの動作に関する状態(以下、「動作状態」と称する)を判定するものである。本実施形態に係る動作状態判定システム1は、動作状態の一例として、対象者Pが所定の動作を行う際の身体の「速度」を判定することができる。
【0019】
このように判定された動作状態に関する情報は、対象者Pの身体能力の低下の有無を検出するために利用することができる。例えば、対象者Pの動作の速度(歩く速度、立ち上がる速度等)を日々判定し、その変化を把握することで、対象者Pの身体能力の低下を検出することができる。これを利用することで、例えば高齢者の老化の度合いを把握することができる。
【0020】
本実施形態では、速度の判定の対象となる動作として、
図4に示すように、横たわっている姿勢(臥位)から上半身を起こす動作(以下、「起き上がり動作」と称する)、座っている姿勢(座位)から立ち上がる動作(以下、「立ち上がり動作」と称する)、歩行する動作(以下、「歩行動作」と称する)を想定している。なお、本発明はこれに限るものではなく、その他任意の動作を速度の判定の対象とすることが可能である。
【0021】
図1に示すように、動作状態判定システム1は、主として対象者検出センサ2及びサーバ3を具備する。
【0022】
対象者検出センサ2は、対象者Pの身体状態に関するデータを検出するためのものである。本実施形態では、対象者検出センサ2は、対象者Pの身体状態として、対象者Pの身体の各部位の位置及び移動速度等を検出することができる。対象者検出センサ2は、非接触式のセンサにより構成される。本実施形態では、対象者検出センサ2として、ミリ波センサを用いている。対象者検出センサ2は、ミリ波(波長が1~10mm、周波数が30~300GHzの電波)を対象物に照射し、反射された電波を観測することで、対象物の位置、速度、角度等を測定することができる。
【0023】
対象者検出センサ2は、複数のアンテナ(送信アンテナ及び受信アンテナ)を有しており、空間上の様々なポイントにおける情報(位置、速度等)を点群データとして取得することができる。
【0024】
ミリ波センサの特徴としては、距離分解能が高く、対象者Pの身体の位置を精度良く計測できる点、ドップラーの原理に基づいて受信波を解析することによって、対象者Pの身体の移動速度を直接求めることができる点などが挙げられる。上述の特徴を有することから、本実施形態では対象者検出センサ2としてミリ波センサを採用しているが、対象者検出センサ2はミリ波センサに限るものではなく、その他のセンサ(例えば、ミリ波センサと同等以上の性能を有する種々の非接触式のセンサ)を用いることも可能である。例えば、ミリ波よりもさらに波長が短い電波を発するセンサを用いることも可能である。
【0025】
対象者検出センサ2は、対象者Pの居室など、対象者Pが日常生活を送る部屋(建屋)内に設けられる。本実施形態では、高齢者を対象者Pとすることを想定しているため、例えば対象者Pの住居や、対象者Pが入居する高齢者施設の居室等に対象者検出センサ2が設けられる。対象者検出センサ2は、居室の壁の上部など、対象者Pに対して電波を照射し易い位置に配置される。なお、対象者検出センサ2は、必要に応じて複数設置することも可能である。
【0026】
サーバ3は、対象者検出センサ2により得られたデータに基づいて、対象者Pの動作状態を判定するものである。サーバ3は、対象者検出センサ2との間で相互に情報をやり取りすることができる。例えばサーバ3は、対象者検出センサ2に対して対象者の検出を開始又は停止する指令を送信することができる。またサーバ3は、対象者検出センサ2の検出信号を受信することができる。サーバ3は、例えば高齢者施設の管理室など、任意の場所に設置することができる。なお、サーバ3をクラウドサーバにより構成することも可能である。
【0027】
サーバ3は、反射された電波に基づいて得られた点群データのうち、動きのあるデータが人(本実施形態では、対象者P)であると判断することができる。サーバ3は、動きのあるデータのみを抽出し、当該データに基づいて対象者Pの身体の位置及び移動速度を判断することができる。特に本実施形態ではミリ波センサを用いているため、対象者Pの微細な動きまで精度良く検出することができる。またサーバ3は、動きのあるデータのみを抽出し、その分布を確認することで、対象者Pが立っている(立位)、座っている(座位)、横たわっている(臥位)など、対象者Pの姿勢を判断することができる。
【0028】
次に、上述のように構成された動作状態判定システム1によって対象者Pの動作の速度を判定する方法について説明する。
図2には、対象者Pの動作の速度を判定する手順の概略を示している。
図2に示す処理は、任意のタイミングで実行することができる。
【0029】
サーバ3は、対象者検出センサ2を用いて、例えば微小時間間隔ごとに、対象者Pの身体の各部位の位置及び移動速度を検出する(ステップS101)。具体的には、サーバ3は、対象者検出センサ2により得られた点群データのうち動きのあるデータを、対象者Pの身体を示すデータとして抽出する。サーバ3は、抽出した各点のデータ(位置及び移動速度)を記憶する。
【0030】
サーバ3は、抽出された対象者Pのデータから、対象者Pの姿勢及び速度を並行して判定する(ステップS102、ステップS104)。
【0031】
具体的には、サーバ3は、対象者Pのデータの分布に基づいて、対象者Pの姿勢を検知する(ステップS102)。例えば、サーバ3は、対象者Pの姿勢が臥位、座位、立位などのうち、どの姿勢に該当するかを判定する。
【0032】
さらにサーバ3は、対象者Pのデータの分布に基づいて、対象者Pが何らかの動作を行ったことを判定し、その時間を記憶する(ステップS103)。具体的には、サーバ3は、対象者Pが動作を開始した時間(本実施形態では、時刻)と、対象者Pが動作を終了した時間(本実施形態では、時刻)と、を記憶する。
【0033】
なお、対象者Pの動作の開始や終了は、予め設定された任意の基準に基づいて判定することができる。例えば対象者Pが座っている状態(座位)から臀部が浮いた場合や、対象者Pが横たわっている状態(臥位)から両肩が浮いた場合、対象者Pの身体(身体の特定の部位)の速度が所定値以上になった場合などに、対象者Pが動作を開始したと判定することができる。また、例えば対象者Pの姿勢が完全に他の姿勢に変わった場合や、対象者Pの身体(身体の特定の部位)の速度が所定値未満になった場合などに、対象者Pが動作を終了したと判定することができる。
【0034】
また、本実施形態では対象者Pが動作を開始した時間及び終了した時間を「時刻」を基準として判断しているが、本発明はこれに限るものではなく、例えば動作状態判定システム1が独自にカウントしている時間(例えば、動作状態判定システム1の起動時点からの経過時間など)を基準として判断することも可能である。
【0035】
なお、上述したように本実施形態の動作には、起き上がり動作や立ち上がり動作などの姿勢を変更する動作や、歩行動作などが含まれる(
図4参照)。
【0036】
また、サーバ3は、
図2に示すように、ステップS102及びステップS103の処理と並行して、対象者Pのデータの分布に基づいて、対象者Pの速度を算出する(ステップS104及びステップS105)。以下、対象者Pの速度の算出方法について説明する。
【0037】
図3には、対象者Pと、サーバ3が対象者Pとして認識した点群データ(図中の黒丸)を模式的に示している。サーバ3は、対象者Pとして認識した点群データを上下方向に4分割したエリア(図中のA~D)に分類する。このように分類することで、エリアAは主に対象者Pの頭部、エリアBは主に対象者Pの胸部、エリアCは主に対象者Pの腰部、エリアDは主に対象者の脚部に相当する領域となる。
【0038】
サーバ3は、これらのエリアのうち、上から2番目のエリアBの点群データに基づいて、対象者Pの速度を算出する。例えばサーバ3は、エリアBに分布する点群データの速度の平均値を算出して、当該平均値を対象者Pの速度とすることができる。なお、平均値を速度として算出する以外にも、任意の方法で速度を算出することが可能である。例えばエリアBの速度の最頻値や中央値等を速度として算出することも可能である。
【0039】
このようにサーバ3は、対象者Pのうち、胸部(上体)の速度を用いて対象者Pの身体の移動速度を算出する(ステップS104)。脚部や頭部などは意図する動作(姿勢の変化等)とは関係のない動きも多いため、胸部(上体)のデータを用いることで、対象者Pの身体の状態変化をある程度再現性を持って測定することができる。
【0040】
なお、上述のようなエリアの設定や移動速度の算出方法は一例であり、本発明はこれに限るものではない。例えば、エリアの分割数、分割方法(上下に分割、左右に分割、上下及び左右に分割、など)、速度を算出するエリアの選定方法等は、必要に応じて任意に変更することが可能である。また、エリアを分割せず、対象者Pの身体全体の点群データから速度を算出してもよい。
【0041】
さらにサーバ3は、
図2に示すように、対象者Pの速度を算出した時刻を記憶する(ステップS105)。具体的には、サーバ3は、ステップS104における算出の基になったデータを取得した時刻を記憶する。これによって、時刻ごとの対象者Pの速度が記憶される。
【0042】
次にサーバ3は、ステップS102からステップS105までの処理で得られたデータに基づいて、対象者Pの動作開始時及び動作終了時の速度データを削除する(ステップS106)。以下、具体的に説明する。
【0043】
サーバ3は、ステップS103の処理によって対象者Pの動作の開始時刻(始点)と終了時刻(終点)を判定している。この時刻に基づいて、サーバ3は、ステップS104及びステップS105で算出した対象者Pの速度のデータのうち、対象者Pの動作の開始時刻と終了時刻におけるデータを削除する。
【0044】
図4には、対象者Pの動作の開始時刻と終了時刻におけるデータを削除した例を概念的に示している。
図4の下部の丸印は、各時刻における速度のデータを示している。
図4に示すように、サーバ3は、対象者Pの速度のデータのうち、対象者Pの動作の開始時刻と終了時刻におけるデータを削除する。この際サーバ3は、開始時刻及び終了時刻と完全に一致するデータだけでなく、開始時刻及び終了時刻付近の一定の時間範囲に含まれるデータを削除してもよい。
図4の例では、開始時刻を含む一定の時間範囲(開始時間帯)、及び、終了時刻を含む一定の時間範囲(終了時間帯)に含まれるデータを削除した例を示している。
【0045】
次にサーバ3は、
図2に示すように、ステップS106で削除されずに残った速度のデータに基づいて、対象者Pの動作の速度を算出する(ステップS107)。具体的には、サーバ3は、
図4に示すように、開始時間帯と終了時間帯の間の時間帯(動作時間帯)における速度のデータから、対象者Pの動作の速度を算出する。例えばサーバ30は、削除されずに残った速度のデータの平均値を算出して、当該平均値を対象者Pの動作の速度とすることができる。なお、平均値を速度として算出する以外にも、任意の方法で速度を算出することが可能である。例えば削除されずに残った速度の最頻値や中央値等を速度として算出することも可能である。サーバ3は、算出した速度を記憶する。この際、サーバ3は、対象者Pが行った動作の種別、当該動作を行った日時、当該動作の速度等を紐付けて記憶する。これによって、記憶したデータの利便性を向上させることができる。
【0046】
このように、動作の開始時刻と終了時刻のデータを削除することによって、対象者Pの動作の速度を精度良く産出することができる。具体的に説明すると、動作の開始時刻や終了時刻付近では、対象者の身体が動作の反動で動いた際の速度のデータなど、本来意図する動作と無関係な速度のデータが含まれていると考えられる。そこで、動作の開始時刻と終了時刻のデータを削除することで、このような無関係な速度のデータを含むことなく、動作中の対象者Pの速度を精度良く算出することができる。
【0047】
このようにして、対象者Pが所定の動作を行う際の速度を算出することができる。対象者の動作の速度を日々算出し、その変化を把握することで、例えば対象者Pの身体能力の低下の有無や程度を把握することができる。例えば高齢の対象者Pの身体能力の低下を把握することで、介護の必要性の検討や、転倒防止のための対策等を予め行うことができる。
【0048】
以上の如く、本実施形態に係る動作状態判定システムは、
対象者Pの身体状態に関するデータを非接触で検出可能な対象者検出センサ2(検出部)と、
前記対象者Pが所定の動作を行った場合、前記所定の動作の開始時刻(開始時間)を含む開始時間帯と、前記所定の動作の終了時刻(終了時間)を含む終了時間帯と、の間の動作時間帯において前記対象者検出センサ2により検出されたデータを用いて、前記対象者Pの動作状態を判定するサーバ3(判定部)と、
を具備するものである。
このように構成することにより、対象者Pの動作状態を精度良く検出することができる。すなわち、所望の動作とは無関係な動作が含まれる可能性の高い開始時間帯及び終了時間帯のデータを省いて、動作時間帯におけるデータのみから対象者Pの動作状態を判定することで、精度良く判定を行うことができる。
【0049】
また、前記身体状態には、身体の位置及び移動速度の少なくとも一方が含まれ、
前記サーバ3は、
前記身体状態に基づいて、前記対象者Pの前記所定の動作の開始時刻及び終了時刻を判定する(ステップS106)ものである。
このように構成することにより、対象者Pの動作の開始時刻及び終了時刻を精度良く判定することができる。すなわち、身体の位置(例えば、臀部や肩が浮くなど)に基づいて姿勢の変化を検出することで、動作の有無を精度良く判定することができる。また、移動速度(移動速度が一定値以上になるなど)に基づいて動作の有無を精度良く判定することができる。これらに基づいて、動作の開始時刻及び終了時刻を制度良く判定することができる。
【0050】
また、前記サーバ3は、
前記対象者Pの動作状態として、前記所定の動作の速度を判定する(ステップS107)ものである。
このように構成することにより、対象者Pの身体能力を把握することができる。すなわち、対象者Pの動作の速度と身体能力との間には一定の関係があると考えられるため、対象者Pの動作の速度から、当該対象者Pの身体能力を類推することができる。また、継続して対象者Pの動作の速度を判定して比較することで、身体能力の変化(低下)の有無を把握することもできる。
【0051】
また、前記対象者検出センサ2は、
ミリ波センサにより構成されるものである。
このように構成することにより、対象者Pの動作状態を精度良く判定することができる。
【0052】
また、前記所定の動作には、
前記対象者Pが姿勢を変化させる動作が含まれるものである(
図4参照)。
このように構成することにより、対象者Pが起き上がる場合や立ち上がる場合など、対象者Pの姿勢の変化の際の動作状態を判定することができる。
【0053】
また、前記所定の動作には、
前記対象者Pが歩行する動作が含まれるものである(
図4参照)。
このように構成することにより、対象者Pの歩行時の動作状態を判定することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0055】
例えば、本実施形態では、動作状態判定システム1を対象者Pの住居や高齢者施設に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、その他種々の施設、住宅等に適用することが可能である。
【0056】
また、本実施形態では、動作状態判定システム1が判定する「動作状態」の一例として、対象者Pが所定の動作を行う際の「速度」を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の状態を判定することが可能である。例えば動作状態判定システム1は、対象者Pが所定の動作を行う際の身体の加速度、動きの大きさ(移動距離)、身体の動かし方など、必要に応じて任意の動作状態を判定するように構成してもよい。
【0057】
また、本実施形態では、各種処理を実行する判定部の一例としてサーバ3を例示したが、本発明はこれに限らず、その他種々の装置(パーソナルコンピュータ、タブレット端末等)を用いることも可能である。
【0058】
また、本実施形態で例示した開始時間帯及び終了時間帯の範囲(時間幅)は特に限定するものではなく、任意に設定することが可能である。
【0059】
また本実施形態のサーバ3は、算出された対象者Pの速度を、動作の種別ごとに記憶するものとしたが(ステップS107)、同じ動作の種別であっても、さらに細分化して速度を記憶するように構成することも可能である。具体的には、例えば同じ歩行動作であっても、対象者Pが荷物を持っている状態と、何も荷物を持っていない状態とでは、速度が異なるものと考えられる。そこでサーバ3は、対象者Pの状態(本例では、荷物をもっているかどうか)を対象者検出センサ2を用いて判別し、荷物の有無に分けて対象者Pの速度を記憶するように構成することも可能である。これによって、より適切なデータの活用(例えば、高精度な身体能力の判定)を図ることができる。なお、細分化の方法は荷物の有無に限るものではなく、例えば対象者Pの移動の目的地(トイレに向かっているのか、椅子に向かっているのか、等)、時間帯、同じ居室に他の人が存在するか否かなど、任意の基準に基づいて細分化することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 動作状態判定システム
2 対象者検出センサ
3 サーバ