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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106907
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
B65D5/54 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011396
(22)【出願日】2023-01-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和4年7月26日に、株式会社パルコに包装箱の見本品を譲渡 (2)令和4年9月15日に、株式会社パルコに包装箱の見本品を譲渡 (3)令和4年10月21日に、株式会社パルコに包装箱の見本品を譲渡 (4)令和4年11月4日に、株式会社パルコに包装箱を納品 (5)令和4年12月21日に、株式会社パルコに包装箱を納品
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA08
3E060BB03
3E060BC02
3E060CE04
3E060CE05
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA13
3E060DA14
(57)【要約】
【課題】蓋部の外フラップ同士が係合構造により閉じられる包装箱において、蓋部を容易に開くことができる包装箱を提供する。
【解決手段】胴部10の上側の開口部を閉じる蓋部20を備え、蓋部20は、左右の端壁12,12に連設された左右の上部内フラップ23,23と、前後の側壁11,11に連設され左右の上部内フラップ23,23の外面に重ねられた前後の上部外フラップ21,22と、を有している。前後の上部外フラップ21,22は、係合部22bと係合受部21bとによる係合構造により閉じられており、蓋部20において係合部22bと係合受部21bとが係合される部分の前後方向の両側には、上部外フラップ21,22の左右縁部間に亘るように、一対の破断誘導線24,25が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後の側壁と左右の端壁とを有する筒状の胴部と、
前記胴部の上側の開口部を閉じる蓋部と、
前記胴部の下側の開口部を閉じる底部と、を備え、
前記蓋部は、
左右の前記端壁に連設された左右の上部内フラップと、前後の前記側壁に連設され左右の前記上部内フラップの外面に重ねられた前後の上部外フラップと、を有しており、
前後の前記上部外フラップは、一方の前記上部外フラップに形成された係合部と、他方の前記上部外フラップに形成された係合受部とによる係合構造により閉じられており、
前記蓋部において前記係合部と前記係合受部とが係合される部分の前後方向の両側には、前記上部外フラップの左右縁部間に亘るように、一対の破断誘導線が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前後の前記上部外フラップは、これらに跨って貼り付けられる封緘部材で封緘可能であり、
前記蓋部の前後方向において、前記破断誘導線同士の間隔は、前記封緘部材の前後方向の大きさ以上であることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記破断誘導線と前記側壁の上縁部との間隔は、前記側壁の高さに対応した大きさであることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項4】
前記上部内フラップは、前記端壁の高さに対応した大きさ、または、前記端壁の上縁部と平行な折曲げ誘導線が前記上部内フラップに形成されている場合に、前記折曲げ誘導線と前記端壁の上縁部との間隔が前記端壁の高さに対応した大きさであることを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記底部は、左右の前記端壁に連設された左右の下部内フラップと、前後の前記側壁に連設され左右の前記下部内フラップの外面に重ねられた前後の下部外フラップと、を有し、前後の前記下部外フラップの先端部同士が突き合わされており、
前後の前記下部外フラップの突き合わせ部の左右方向の両端部には、切欠部がそれぞれ形成されており、
左右の前記下部内フラップは、少なくともその一部が前記切欠部を通じて前記底部の下面に露出していることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項6】
少なくとも一方の前記破断誘導線は、他方の前記破断誘導線に対して前後方向に離れる側に膨出して形成された破断開始部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の配送に適した包装箱として特許文献1に開示されたものが知られている。
【0003】
特許文献1の包装箱は、上側の開口部が蓋部で閉じられている。蓋部は、箱体の胴部をなす前側壁に連設された前側外フラップと、後側壁に連設された後側外フラップとを備えている。前側外フラップには、後側外フラップに向けて突出する突出部が形成されている。一方、後側外フラップには、前側外フラップの突出部が差し込まれる凹部が形成されている。
【0004】
特許文献1の包装箱によれば、前側外フラップの凹部に後側外フラップの突出部を差し込むようにして両外フラップを突き合わせることで、蓋部を封緘することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-041962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の包装箱は、前側外フラップの凹部と後側外フラップの突出部とが凹凸係合することにより閉じられる構造である。このため、蓋部を開く場合には、これらの係合状態を解除しつつ、両外フラップをそれぞれ外側に折り戻すという開封手順が必要であり、煩雑であるという課題があった。
【0007】
本発明は、前記した問題を解決し、蓋部の外フラップ同士が係合構造により閉じられる包装箱において、蓋部を容易に開くことができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の包装箱は、前後の側壁と左右の端壁とを有する筒状の胴部と、前記胴部の上側の開口部を閉じる蓋部と、前記胴部の下側の開口部を閉じる底部と、を備えている。前記蓋部は、左右の前記端壁に連設された左右の上部内フラップと、前後の前記側壁に連設され左右の前記上部内フラップの外面に重ねられた前後の上部外フラップと、を有している。前後の前記上部外フラップは、一方の前記上部外フラップに形成された係合部と、他方の前記上部外フラップに形成された係合受部とによる係合構造により閉じられている。前記蓋部において前記係合部と前記係合受部とが係合される部分の前後方向の両側には、前記上部外フラップの左右縁部間に亘るように、一対の破断誘導線が形成されている。
【0009】
本発明の包装箱の蓋部を閉じるときには、両端壁の上部内フラップを胴部の開口へ向けて折り曲げ、その後、両上部外フラップを両上部内フラップの外面に重なるように胴部の開口へ向けて折り曲げる。その際、一方の上部外フラップの係合部を他方の上部外フラップの係合受部に係合する。これにより蓋部を容易に閉じることができる。
一方、蓋部を開くときには、一対の破断誘導線により区画される部分を手指で掴んで引き上げることにより、係合構造で係合されている部分を両上部外フラップから切り離すことができ、両上部外フラップの係合を解除できる。したがって、蓋部を開く際に係合を解除するという煩雑な手順が不要となり、蓋部を容易に開くことができる。
【0010】
また、前後の前記上部外フラップは、これらに跨って貼り付けられる封緘部材で封緘可能であることが好ましい。この場合、前記蓋部の前後方向において、前記破断誘導線同士の間隔は、前記封緘部材の前後方向の大きさ以上であることが好ましい。
【0011】
この構成では、破断誘導線同士により区画される帯状部分に封緘部材が貼り付けられるので、当該部分を手指で掴んで引き上げることにより、封緘部材も一緒に切り離すことができる。したがって、蓋部を開く際に封緘部材を引き剥がす手間が不要となり、蓋部を容易に開くことができる。また、封緘部材も一緒に切り離すことができるので、封緘部材の引き剥がし跡が蓋部に残らず、包装箱を箱体等として再利用する場合の美観性に優れる。
【0012】
また、前記破断誘導線と前記側壁の上縁部との間隔が、前記側壁の高さに対応した大きさであることが好ましい。
【0013】
この構成では、破断誘導線同士により区画される帯状部分を切り離して蓋部を開いた後に、残りの前後の前記上部外フラップを前後の側壁の内面にそれぞれ折り曲げて重ねることができる。これにより、包装箱をトレーとして再利用する場合に両側壁の内面の見栄えがよくなる。また、折り曲げて重ねた部分の外面に化粧印刷がそれぞれ施されている場合には、トレーの内面の美観性が向上する。
【0014】
また、前記上部内フラップは、前記端壁の高さに対応した大きさ、または、前記端壁の上縁部と平行な折曲げ誘導線が前記上部内フラップに形成されている場合に、前記折曲げ誘導線と前記端壁の上縁部との間隔が前記端壁の高さに対応した大きさであることが好ましい。
【0015】
この構成では、上部内フラップが端壁の高さに対応した大きさである場合に、端壁の内面に折り曲げて重ねることができるので、包装箱をトレーとして再利用する場合に端壁の内面の見栄えがよくなる。
また、折曲げ誘導線が形成されている場合に、上部内フラップを折曲げ誘導線で谷折りして端壁の内面及び底部の内面に折り曲げて重ねることができるので、包装箱をトレーとして再利用する場合に端壁の内面の見栄えがよくなる。また、折り曲げて重ねた部分の外面に化粧印刷が施されている場合には、トレーの内面の美観性が向上する。
【0016】
また、前記底部は、左右の前記端壁に連設された左右の下部内フラップと、前後の前記側壁に連設され左右の前記下部内フラップの外面に重ねられた前後の下部外フラップと、を有し、前後の前記下部外フラップの先端部同士が突き合わされていることが好ましい。この場合、前後の前記下部外フラップの突き合わせ部の左右方向の両端部には、切欠部がそれぞれ形成され、左右の前記下部内フラップは、少なくともその一部が前記切欠部を通じて前記底部の下面に露出していることが好ましい。
【0017】
この構成では、前後の下部外フラップの突き合わせ部の外面に粘着テープ等の封緘部材を貼り付けたときに、両切欠部内に露出する下部内フラップの下面を封緘部材の始端位置及び終端位置とすることができる。これにより、左右の端壁の外面に封緘部材を貼り付ける必要がなくなり、左右の端壁の外面の見栄えがよくなる。また、左右の端壁の外面に化粧印刷が施されている場合には、包装箱の美観性、再利用時のトレーの美観性が向上する。
【0018】
また少なくとも一方の前記破断誘導線は、他方の前記破断誘導線に対して前後方向に離れる側に膨出して形成された破断開始部を備えていることが好ましい。
【0019】
この構成では、破断開始部を起点として破断誘導線を切り開くことにより、前後方向にも蓋部を開くことができる。また、破断誘導線同士により区画される帯状部分の前後方向の間隔が拡がるので、粘着テープ以外の封緘部材として、例えば、送付用の伝票を利用することも可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の包装箱では、蓋部の外フラップ同士が係合構造により閉じられる包装箱において、蓋部を容易に開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクシートを示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す平面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す底面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱を組み立てる際の手順を示す図であり、(a)は底部の突合せ部に粘着テープを貼り付けて底部を封緘した状態を示す底面図、(b)は左右の上部内フラップを折り畳んだ状態を示す斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱を組み立てる際の手順を示す図であり、(a)は前後の上部外フラップを閉じる際の手順を示す斜視図、(b)は一対の破断誘導線により区画される帯状部分に粘着テープを貼り付けて蓋部を封緘した状態を示す斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る包装箱において一対の破断誘導線により区画される帯状部分を切り開くときの様子を示した斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る包装箱において蓋部を開いた後にトレーとして再利用する場合の組み立て手順を示す図であり、左右の上部内フラップを左右の端壁の内面側に折り曲げる際の様子を示す斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る包装箱において蓋部を開いた後にトレーとして再利用する場合の組み立て手順を示す図であり、(a)は前後の上部外フラップを前後の側壁の内面側に折り曲げる際の様子を示す斜視図、(b)は組み立てられたトレーの斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクシートを示す平面図である。
図12】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す平面図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る包装箱を組み立てる際の手順を示す図であり、(a)は左右の上部内フラップを折り畳んだ状態を示す斜視図、(b)は前後の上部外フラップを閉じる際の手順を示す斜視図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る包装箱を組み立てる際の手順を示す図であり、一対の破断誘導線により区画される帯状部分に送付用の伝票を貼り付けて蓋部を封緘した状態を示す斜視図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る包装箱において一対の破断誘導線により区画される帯状部分を切り開くときの様子を示した図であり、(a)は帯状部分を左右方向に切り開く際の様子を示した斜視図、(b)は帯状部分を前後方向に切り開く際の様子を示した斜視図である。
図16】本発明の第3実施形態に係る包装箱のブランクシートを示す平面図である。
図17】本発明の第3実施形態に係る包装箱を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。また、蓋部及び低部については、どちらを上、どちらを下にして使用するかを限定するものではない。また、以下では、係合構造の例として凹凸係合による係合構造を説明したが、係合構造の構成を限定する趣旨ではない。また、各実施形態や変形例において同一の部分には同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施形態の包装箱1は、図1に示すように、角筒状の胴部10と、胴部10の縁部となる上縁部に連設された蓋部20と、胴部10の縁部となる下縁部に連設された底部30とを備えたA式の段ボール箱である。蓋部20は、上側の開口部を閉じる蓋となり、底部30は、下側の開口部を閉じる蓋となる。
【0024】
蓋部20は、後記する前後の上部外フラップ21,22が凹凸係合する構造(以下、単に「係合構造」ということがある)により閉じられる構成である。また、蓋部20には、前後の上部外フラップ21,22が係合される部分の前後方向の両側に、一対の破断誘導線24,25が形成されている。蓋部20には、一対の破断誘導線24,25により区画される帯状部分Hが形成されている。帯状部分Hは、開封時に上部外フラップ21,22から切り離される部分である。
【0025】
包装箱1は、図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各罫線において山折り又は谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートS1は外面側が見えるように配置したものであるが、説明の便宜上、内面側に形成される各罫線を実線で表示している。
ブランクシートS1の各罫線(折線)は、ブランクシートS1の内面側の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込み(ハーフカット線等)を形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS1が折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0026】
胴部10は、前後一対の側壁11,11と、左右一対の端壁12,12とを有している。側壁11,11及び端壁12,12は、それぞれ四角形の側板である。側壁11,11及び端壁12,12で囲まれた内部空間には、図示しない収容物が収容される。
【0027】
一対の側壁11,11は、同寸法の四角形状を呈しており、前後方向に間隔を空けて対向している。一対の端壁12,12は、同寸法の四角形状を呈しており、左右方向に間隔を空けて対向している。側壁11及び端壁12の寸法は、収容物の大きさに応じて適宜設定される。
【0028】
胴部10は、図2に示すように、展開した状態では横長の長方形を呈している。側壁11と端壁12とは、ブランクシートS1の長手幅方向に交互に連設されている。前側壁11の左側には、帯状の接合片13が連設されている。接合片13は、左端壁12の前側内面に貼り付けられる。
【0029】
ブランクシートS1(図2参照)を各折れ線で折り曲げつつ、左端壁12の前側内面に接合片13を貼り付けると、側壁11,11及び端壁12,12によって、平面視で四角形の筒状の胴部10が形成される。
【0030】
底部30は、前後の側壁11,11の下縁部に連設された前後の下部外フラップ31,31と、左右の端壁12,12の下縁部に連設された左右の下部内フラップ32,32とを備えている。前側の下部外フラップ31は、胴部10の下側の開口部の前半分を閉じている。また、後側の下部外フラップ31は、胴部10の下側の開口部の後半分を閉じている。
【0031】
両下部内フラップ32,32の外面(下面)に、両下部外フラップ31,31が重ねられており、両下部外フラップ31,31の先端縁部同士は突き合わされている。
図1図4に示すように、両下部外フラップ31,31の突き合わせ部34の左右両端部には、切欠部33,33が形成されている。切欠部33,33は、両下部外フラップ31,31の突き合わせ部34(図4参照)の左右両端部を略台形にそれぞれ窪ませた部位である。
【0032】
切欠部33,33の前半分は、図4に示すように、前側の下部外フラップ31の左右の角部に形成されている。前側の下部外フラップ31の左右の角部には、切欠部33,33の前半分をなす傾斜縁33aと、傾斜縁33aの端部に連続する上底縁33bとが形成されている。また、切欠部33,33の後半分は、同様に、後側の下部外フラップ31の左右の角部に形成されている。後側の下部外フラップ31の左右の角部には、切欠部33,33の後半分をなす傾斜縁33aと、傾斜縁33aの端部に連続する上底縁33bとが形成されている。前後の上底縁33b,33bは、両下部外フラップ31,31の突き合わせ部を跨いで一直線上に繋がっている。そして、切欠部33,33の最大幅となる台形の下底部側は、封緘部材としての後記する粘着テープTの前後方向の幅よりも大きくなっている(図5(a)参照)。
切欠部33は、粘着テープTで留められる面積が露出していればよく、その形状は、上記した形状に限られることはなく、三角形、半円形、楕円形、多角形等、適宜選択できる。
【0033】
切欠部33,33内には、左右の下部内フラップ32,32の基端部32a,32aが露出している。基端部32a,32aは、封緘部材としての粘着テープTの貼り付けスペースとして機能する。つまり、これらの基端部32a,32aを粘着テープTの始端位置及び終端位置とすることができる。
【0034】
次に蓋部20について説明する。蓋部20は、前後の側壁11,11の上縁部に連設された前後の上部外フラップ21,22と、左右の端壁12,12の上縁部に連設された左右の上部内フラップ23,23と、によって形成されている。上部外フラップ21,22は、蓋部20の前後方向の中央部にて係合されている(図1図3参照)。
【0035】
左側の上部内フラップ23は、胴部10の上側の開口部の左半分を閉じる四角形状を呈している。左側の上部内フラップ23の左右方向の中央部には、上部内フラップ23の前後縁部に亘って前後方向に延びる折曲げ誘導線26が形成されている。折曲げ誘導線26は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線であり、左端壁12の上縁部と平行である。なお、切れ込みの間隔や形状は、限定されるものではない。
折曲げ誘導線26の前後方向の中央部には、略半円形状の破断部26aが形成されている。破断部26aは、ブランクシートS1(図2参照)を貫通する切れ込みである。
【0036】
左側の上部内フラップ23において、左端壁12の上縁部と折曲げ誘導線26との間隔は、左端壁12の高さ、より詳しくは、胴部10内に露出している左端壁12の内面の高さに対応する大きさに設定されている。これにより左側の上部内フラップ23は、折曲げ誘導線26で谷折りし、左端壁12の内面に折り曲げて重ねることが可能である。この場合、後記するように、左側の上部内フラップ23のうち、左端壁12の上縁部と折曲げ誘導線26とで区画される基部23aが、左端壁12の内面に折り重ねられる。また、折曲げ誘導線26を介して基部23aに連続する先部23bが、底部30の下部内フラップ32の内面に折り重ねられる(図8参照)。
【0037】
右側の上部内フラップ23は、左側の上部内フラップ23を左右反転させた構成である。右側の上部内フラップ23は、左側の上部内フラップ23と同様に、折曲げ誘導線26及び破断部26aを備えている。右側の上部内フラップ23は、折曲げ誘導線26で谷折りし、右端壁12の内面に折り曲げて重ねることが可能である。この場合、後記するように、右側の上部内フラップ23のうち、右端壁12の上縁部と折曲げ誘導線26とで区画される基部23aが、右端壁12の内面に折り重ねられる。また、折曲げ誘導線26を介して基部23aに連続する先部23bが、底部30の右側における下部内フラップ32の内面に折り重ねられる(図8参照)。
なお、左右の上部内フラップ23,23は、左右の端壁12,12の内面に折り曲げて重ねた状態で、先部23b,23bの先端同士が突き合わされる大きさを有していてもよい。このようにすると、底面30の内面が上部内フラップ23,23で覆われることになるので、上部内フラップ23,23に化粧印刷が施されている場合には、再利用時のトレーの美観性が向上する。
また、上部内フラップ23,23の一方または両方は、先部23bを有さなくてもよい。
【0038】
前側の上部外フラップ21は、胴部10の上側の開口部の略前半分を閉じる平面視略凹形状を呈している。前側の上部外フラップ21の先端部には、係合構造の一方を構成する係合受部としての凹部21bが形成されている。凹部21bは、上部外フラップ21の左右方向の中央部を前側壁11の上縁部(前側の上部外フラップ21の基端部)に向けて凹ませたものである。凹部21bの底縁部21b1は、前側壁11の上縁部と平行である。凹部21bの左右両側部21a,21aは、蓋部20の後方へ向けて延在している。左右両側部21a,21aの内縁部21a1,21a1は、図2に示すように、底縁部21b1の両端部に接続されており、底縁部21b1と直交する方向に延在している。左右両側部21a,21aには、後側の上部外フラップ22の破断誘導線25に対応する位置(上下方向に重なる位置)に、破断誘導線25a,25aが形成されている。
【0039】
前側の上部外フラップ21における前後方向の略中央部には、開封用の破断誘導線24が形成されている。破断誘導線24は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線であり、上部外フラップ21の左右縁部間に亘って形成されている。破断誘導線24は、前側壁11の上縁部と平行である。凹部21bの底縁部21b1との関係において、破断誘導線24は、底縁部21b1と間隔を空けて前側壁11の上縁部側に配置されている。底縁部21b1と破断誘導線24との間隔は、後側の上部外フラップ22の後記する突出部22bの前後方向の大きさ以上となるように設定されている。これにより、破断誘導線24により区画される帯状部分Hに対して突出部22bが配置されるようになっている。
【0040】
また、前側壁11の上縁部と破断誘導線24との間隔は、前側壁11の高さ、より詳しくは、胴部10内に露出している前側壁11の内面の高さに対応する大きさに設定されている。これにより上部外フラップ21は、開封時に帯状部分Hを切り離した後に、前側壁11の内面に折り曲げて重ねることが可能である。
【0041】
前側の上部外フラップ21の左右側縁部には、略半円形状に切り欠かれた指掛け部21c,21cが形成されている。指掛け部21c,21cは、後記するように蓋部20から帯状部分Hを切り離す際の起点となる部分であり、手指を引っ掛けることが可能である。
【0042】
後側の上部外フラップ22の先端部には、係合構造の他方を構成する係合部としての突出部22bが形成されている。突出部22bは、後側の上部外フラップ22の前縁部22aにおいて左右方向の中央部に位置しており、前側の上部外フラップ21の凹部21bに向けて突出している。突出部22bは、図2に示すように、平面視で略四角形状を呈している。突出部22bは、前側の上部外フラップ21の凹部21bに対して係合可能である。
【0043】
後側の上部外フラップ22における前縁部22aの左右両端部には、円弧状に切り欠かれた後側指掛け部22c,22cが形成されている。後側指掛け部22c,22cは、前側の上部外フラップ21における指掛け部21c,21cの一部に重なっている。
【0044】
後側の上部外フラップ22における前後方向の略中央部には、開封用の破断誘導線25が形成されている。破断誘導線25は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線であり、後側の上部外フラップ22の左右縁部間に亘って形成されている。破断誘導線25は、後側の側壁11の上縁部と平行である。
後側の上部外フラップ22は、図3に示すように、前側の上部外フラップ21の左右両側部21a,21aに一部が重なっており、この重なる部分において、破断誘導線25が左右両側部21a,21aの破断誘導線25a,25aに重なっている。これにより、破断誘導線24,25により区画される帯状部分Hを開封時に切り開くと、破断誘導線25a,25aも同時に切り開かれる。
【0045】
後側の側壁11の上縁部と破断誘導線25との間隔は、後側の側壁11の高さ、より詳しくは、胴部10内に露出している後側の側壁11の内面の高さに対応する大きさに設定されている。これにより後側の上部外フラップ22は、開封時に帯状部分Hを切り離した後に、後側の側壁11の内面に折り曲げて重ねることが可能である。
【0046】
図3に示すように、上部外フラップ21,22が係合された状態で、破断誘導線24,25は、蓋部20において、突出部22bと凹部21bとが係合される部分(少なくとも突出部22bと凹部21bとが重なり合う部分)の前後方向の両側に配置されている。つまり、破断誘導線24,25は、係合される部分を境にして前後の両側に位置している。
そして、破断誘導線24,25同士の間隔は、蓋部20の前後方向において、封緘部材である粘着テープTの前後方向の大きさ以上となるように設定されている。つまり、図6(b)に示すように、一対の破断誘導線24,25により区画される帯状部分H内に収まるように、蓋部20に対して粘着テープTを貼り付けることが可能である。
【0047】
次に、包装箱1を組み立てる際の手順について説明する。初めに、胴部10の下側の開口部である底部30を閉じる。この場合、図4に示すように、左右の下部内フラップ32,32の外面(下面)に前後の下部外フラップ31,31を重ね、その先端部同士を突き合わせる。
【0048】
その後、図5(a)に示しように、突き合わせ部34に跨るように、左右方向に粘着テープTを貼り付ける。この場合、切欠部33,33内に露出する左右の下部内フラップ32,32の基端部32a,32aを、粘着テープTの始端位置及び終端位置として粘着テープTを貼り付ける。これにより、底部30から左右の端壁12,12の外面に粘着テープTが亘ることなく、底部30の面内のみで粘着テープTの貼り付けを完結できる。
【0049】
その後、図示しない収容品を胴部10内に収容し、図5(b)に示すように、左右の上部内フラップ23,23を内側に折り曲げる。この場合、左右の上部内フラップ23,23の先端部同士が左右の中央部で突き合わされる。
【0050】
その後、図6(a)に示すように、前側の上部外フラップ21を折り曲げて左右の上部内フラップ23,23の上に重ねる。そして、後側の上部外フラップ22を折り曲げて、その突出部22bを前側の上部外フラップ21の凹部21bの下側に差し込むようにして係合する。この場合、後側の上部外フラップ22を破断誘導線25で山折りすることで、凹部21bに対して突出部22bが差し込み易くなる。
上部外フラップ21,22が係合した状態で、上部外フラップ22の一部が上部外フラップ21の左右両側部21a,21aに重なり、一対の破断誘導線24,25により区画される帯状部分Hが、蓋部20の前後方向の中央部において左右方向に延在するように形成される。上部外フラップ21,22が係合すると、破断誘導線25の一部が、左右両側部21a,21aの破断誘導線25a,25aに重なる状態となる。
【0051】
なお、凹部21bの下側には、左右の上部内フラップ23,23の先端部同士が突き合わされた状態で配置されているので、差し込まれた突出部22bが収容品に当接することが防止される。また、差し込まれた突出部22bは、左右の上部内フラップ23,23の上面に案内されて、凹部21bの下面側にスムーズに導かれる。
【0052】
その後、図6(b)に示すように、係合部分の前後に跨るようにして一対の破断誘導線24,25により区画される帯状部分Hに、粘着テープTを貼り付ける。これにより、蓋部20を閉じることができる。
【0053】
一方、開封時には、図7(a)に示すように、帯状部分Hの両端部(図では右端部)の指掛け部21c、後側指掛け部22cに手指を引っ掛けて、帯状部分Hを手指で掴みながら上方へ引き上げる。そうすると、破断誘導線24,25の破断が進行し、最終的に帯状部分Hの全体が蓋部20から切り離される。つまり、係合部分を粘着テープTとともに蓋部20から切り離すことができる。これにより、蓋部20が開かれる。
【0054】
次に、蓋部20の開封後にトレーとして再利用する場合の組み立て手順について説明する。まず、図8に示すように、左右の上部内フラップ23,23を胴部10の内側に折り曲げる。この場合、上部内フラップ23,23を折曲げ誘導線26,26に沿ってそれぞれ谷折りする。そうすると、右端壁12の内面に右側の上部内フラップ23の基部23aが折り重ねられるとともに、右側の下部内フラップ32の内面に右側の上部内フラップ23の先部23bが折り重ねられる。同様に、左端壁12の内面に左側の上部内フラップ23の基部23aが折り重ねられるとともに、左側の下部内フラップ32の内面に左側の上部内フラップ23の先部23bが折り重ねられる。
【0055】
その後、図9(a)に示すように、帯状部分Hを切り離した後の前側の上部外フラップ21を胴部10の内側に折り曲げ、前側壁11の内面に折り重ねる。そうすると、先に折り曲げられている上部内フラップ23,23の前縁部分に、上部外フラップ21の縁部が当接し、上部外フラップ21が上部内フラップ23,23の前縁部分の浮き上がりを押さえるようにして保持する。また、図9(b)に示すように、帯状部分Hを切り離した後の後側の上部外フラップ22を胴部10の内側に折り曲げ、後側の側壁11の内面に折り重ねる。この場合にも、先に折り曲げられている上部内フラップ23,23の後縁部分に、上部外フラップ22の縁部が当接し、上部外フラップ22が上部内フラップ23,23の後縁部分の浮き上がりを押さえるようにして保持する。
これにより、トレーが組み立てられる。
【0056】
以上説明した本実施形態の包装箱1によれば、後側の上部外フラップ22の突出部22bを前側の上部外フラップ21の凹部21bに係合するという係合構造により、蓋部20を容易に閉じることができる。
また、蓋部20を開くときには、一対の破断誘導線24,25により区画される帯状部分Hを手指で掴んで引き上げることにより、係合部分を両上部外フラップ21,22から切り離すことができ、両上部外フラップ21,22の係合を解除できる。したがって、蓋部20を開く際に係合を解除するという煩雑な手順が不要となり、蓋部20を容易に開くことができる。
【0057】
また、帯状部分Hに粘着テープTが貼り付けられるので、当該部分を手指で掴んで引き上げることにより、粘着テープTも一緒に切り離すことができる。したがって、蓋部20を開く際に粘着テープTを引き剥がす手間が不要となり、蓋部20を容易に開くことができる。また、粘着テープTも一緒に切り離すことができるので、粘着テープTの引き剥がし跡が蓋部20に残らず、包装箱1を箱体やトレー等として再利用する場合の美観性に優れる。また、包装箱1を資源ゴミとして提出する際に、粘着テープT等の封緘部材を引き剥がす必要がなくなるため、利便性に優れる。
【0058】
また、帯状部分Hを切り離して蓋部20を開いた後に、残った上部外フラップ21,22を側壁11,11の内面にそれぞれ折り曲げて重ねることができる。これにより、包装箱1をトレーとして再利用する場合に両側壁11,11の内面の見栄えがよくなる。また、折り曲げて重ねた部分の外面に化粧印刷がそれぞれ施されている場合には、トレーの内面の美観性が向上する。
【0059】
また、左右の上部内フラップ23,23を折曲げ誘導線26,26でそれぞれ谷折りして端壁12,12の内面及び底部30の内面(下部内フラップ32の内面)に折り曲げて重ねることができるので、包装箱1をトレーとして再利用する場合に両端壁12,12の内面及び底部30の内面の見栄えがよくなる。また、折り曲げて重ねた部分の外面に化粧印刷がそれぞれ施されている場合には、トレーの内面の美観性が向上する。
【0060】
また、前後の下部外フラップ31,31の突き合わせ部34の外面に粘着テープTを貼り付けたときに、両切欠部33,33内に露出する下部内フラップ32,32の基端部32a,32aを粘着テープTの始端位置及び終端位置とすることができる。これにより、端壁12,12の外面に粘着テープTを貼り付ける必要がなくなり、端壁12,12の外面の見栄えがよくなる。また、端壁12,12の外面に化粧印刷が施されている場合には、包装箱1の美観性、再利用時のトレーの美観性が向上する。
なお、上部内フラップ23,23の外面、または下部外フラップ31,31の外面に粘着テープTを貼りつけた後に、送付用の伝票等を貼り付けて使用することもできる。下部外フラップ31,31の外面に粘着テープTを貼り付けると、トレーとして使用する場合に底部30Aは見えない面となるため、美観性への影響が小さい。
【0061】
(第2実施形態)
次に、図10図15を参照して第2実施形態の包装箱について説明する。第2実施形態の包装箱1Aは、図10図12に示すように、破断誘導線24A,25同士の間隔を第1実施形態の間隔よりも大きくしてある。また、破断誘導線24Aは、前側に向けて膨出した形状を有しており、その膨出した部分に破断開始部24dが形成されている。
なお、本実施形態においても、突出部22bと凹部21bとによる係合構造により、蓋部20Aが閉じられる構成である。
【0062】
包装箱1Aは、図11に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS2を各罫線において山折り又は谷折りすることで形成される。図11に示すブランクシートS2は外面側が見えるように配置したものであるが、説明の便宜上、内面側に形成される各罫線を実線で表示している。
ブランクシートS2の各罫線(折線)は、ブランクシートS2の内面側の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込み(ハーフカット線等)を形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS2が折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0063】
胴部10は、第1実施形態と寸法の異なる前後一対の側壁11,11と、左右一対の端壁12,12とを有している。接合片13は、前側壁11の右側に連設されている。接合片13は、右端壁12の前側内面に貼り付けられる。
【0064】
底部30Aは、いずれも四角形状とされた、前後の下部外フラップ31,31と、左右の下部内フラップ32,32とを備えている。前後の下部外フラップ31,31は、第1実施形態で説明した切欠部33,33(図4参照)を有していない。
【0065】
蓋部20Aは、第1実施形態と同様に、上部外フラップ21,22が蓋部20Aの前後方向の中央部にて係合されている(図10図12参照)。
【0066】
左右の上部内フラップ23,23は、左右の端壁12,12の内面に折り曲げられたときに、左右の端壁12,12の内面に略全体が重ねられる大きさをそれぞれ備えている。上部内フラップ23,23の先端部において前後方向の略中央部には、L字形状の切れ込みと折曲げ罫線で区画されたガイド部23c,23cがそれぞれ形成されている。各ガイド部23c,23cは、係合部分に対応しており、凹部21bに対して突出部22bを差し込む際に、突出部22bの当接により胴部10の内側に折れ曲がる緩衝材的機能を有している。
なお、上部内フラップ23,23の一方または両方は、第1実施形態で説明したような折曲げ誘導線26を介して先部23b(図8図9参照)を有していてもよい。
【0067】
また、上部内フラップ23,23の基端部において前後方向の略中央部には、略半円形状に延びる破断誘導線で区画される指挿入部23d,23dが形成されている。各破断誘導線26,26は、指掛け部21c,21c、後側指掛け部22cに対応した位置に配置されており、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線である。なお、切れ込みの間隔や形状は、限定されるものではない。
【0068】
一対の破断誘導線24A,25は、本実施形態においても、蓋部20において、突出部22bと凹部21bとが係合される部分の前後方向の両側に配置されている。
そして、破断誘導線24A,25同士の間隔は、蓋部20の前後方向において、封緘部材である送付用の伝票T1の前後方向の大きさ以上となるように設定されている。つまり、図14に示すように、一対の破断誘導線24A,25により区画される帯状部分H1内に収まるように、蓋部20に対して送付用の伝票T1を貼り付けることが可能である。
【0069】
前側の破断誘導線24Aは、後側の破断誘導線25から離れる前側に膨出する部分を有している。具体的に、破断誘導線24Aは、図12に示すように、左右方向に延在する直線状の両端部24a,24aと、両端部24a,24aの各内端に接続され前側に向けて傾斜状に延在する傾斜部24b,24bと、傾斜部24b,24bの前端部間を繋ぐ直線状の前部24cと、を備えている。破断誘導線24Aにおいて前側に膨出する部分は、傾斜部24b,24bと前部24cとにより形成されており、平面視で逆台形状を呈している。
【0070】
前部24cの左右方向の中央部には、後方に向けて略半円形状に膨らむ破断開始部24dが形成されている。破断開始部24dは、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の破断線からなる。なお、切れ込みの間隔や形状は、限定されるものではない。破断開始部24dは、開封時の破断のきっかけとなる部位であり、手指を押し当てることで破断し、指掛け用の穴部を形成する。
【0071】
本実施形態の包装箱1Aにおいて蓋部20Aを閉じる場合には、第1実施形態と同様の手順で行う。すなわち、図13(a)に示すように、まず、左右の上部内フラップ23,23を内側に折り曲げる。
その後、図13(b)に示すように、前側の上部外フラップ21を折り曲げて左右の上部内フラップ23,23の上に重ねる。そして、後側の上部外フラップ22を折り曲げて、その突出部22bを前側の上部外フラップ21の凹部21bの下側に差し込むようにして係合する。この場合、後側の上部外フラップ22を破断誘導線25で山折りすることで、凹部21bに対して突出部22bが差し込み易くなる。
【0072】
上部外フラップ21,22が係合した状態で、上部外フラップ22の一部が上部外フラップ21の左右両側部21a,21aに重なり、一対の破断誘導線24A,25により区画される帯状部分H1が、蓋部20の前後方向の中央部において左右方向に延在するように形成される。
【0073】
なお、凹部21bの下側には、ガイド部23c,23cが配置されているので、差し込まれた突出部22bが収容品に当接することが防止される。また、差し込まれた突出部22bは、ガイド部23c,23cに案内されて、凹部21bの下面側にスムーズに導かれる。
【0074】
その後、図14に示すように、蓋部20Aの係合部分の前後に跨るようにして一位の破断誘導線24A,25により区画される帯状部分H1に、送付用の伝票T1を貼り付ける。これにより、蓋部20Aを閉じることができる。なお、送付用の伝票T1に代えて、粘着テープTやその他の封緘部材を貼り付けてもよい。
【0075】
一方、開封時には、図7(a)(b)に示すように、2つの方向から帯状部分H1を切り開くことができる。すなわち、左右方向から帯状部分H1を切り開く場合には、帯状部分H1の左右方向の両端部(図では右端部)の指掛け部21c、後側指掛け部22cに手指を引っ掛けて、帯状部分H1を手指で掴みながら上方へ引き上げる。そうすると、破断誘導線24A,25の破断が進行し、最終的に帯状部分H1の全体が蓋部20Aから切り離される。つまり、係合部分を送付用の伝票T1とともに蓋部20Aから切り離すことができる。これにより、蓋部20Aが開かれる。なお、指挿入部23d,23dを破断して帯状部分H1を切り開いてもよい。
【0076】
また、前後方向から帯状部分H1を切り開く場合には、前側の破断誘導線24Aにおける破断開始部24dに手指を引っ掛けて、帯状部分H1を手指で掴みながら後側上方へ引き上げる。そうすると、前側の破断誘導線24Aの破断が左右方向に進行して帯状部分H1の前部側が切り開かれ、次いで後側の破断誘導線25が破断して帯状部分H1の後部側が切り開かれる。そして、最終的に帯状部分H1の全体が蓋部20Aから切り離される。つまり、この場合にも、係合部分を送付用の伝票T1とともに蓋部20Aから切り離すことができる。これにより、蓋部20Aが開かれる。
【0077】
なお、蓋部20Aの開封後にトレーとして再利用する場合の組み立て手順は、第1実施形態と概略同様である。この場合、左右の上部内フラップ23,23の全体が、左右の端壁12,12の内面に重ねられることとなる。
【0078】
以上説明した本実施形態の包装箱1Aによれば、破断開始部24dを起点として破断誘導線24A,25を切り開くことにより、前後方向にも蓋部20Aを開くことができる。また、一対の破断誘導線24A,25により区画される帯状部分H1の前後方向の間隔が拡がるので、送付用の伝票T1を利用することができ、封緘性に優れる。
【0079】
(第3実施形態)
次に、図16図17を参照して第3実施形態の包装箱について説明する。第3実施形態の包装箱1Bは、第2実施形態の変形例であり、胴部10を扁平に折り畳んだ状態から筒状に開くことで底部30Bが展開するように構成されたものである。本実施形態の係合構造は、第2実施形態の係合構造と同様である。
【0080】
包装箱1Bは、図16に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS3を各罫線において山折り又は谷折りすることで形成される。図16に示すブランクシートS3は外面側が見えるように配置したものであるが、説明の便宜上、内面側に形成される各罫線を実線で表示している。
ブランクシートS3の各罫線(折線)は、ブランクシートS3の内面側の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込み(ハーフカット線等)を形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS3が折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0081】
底部30Bは、前後の側壁11,11の下縁部に連設された前後のフラップ131a,131bと、左右の端壁12,12の下縁部に連設された左右のフラップ132a,132bと、によって形成されている。
【0082】
前側のフラップ131aは、図17に示すように、胴部10の下側の開口部の略前半分を閉じている。前側のフラップ131aの先端部の中央部には、図16に示すように、凹部31bが形成されている。前側のフラップ131aは、前側壁11の下縁部に連設されたフラップ本体133と、フラップ本体133の左側に折れ線135を介して連設された折返し部134と、を備えている。
【0083】
折れ線135は、図16に示すように、前側の側壁11の下縁部の左端部分から前側のフラップ131aの先端部の略中央部に亘って形成されている。本実施形態では、折れ線135の先端部が前側のフラップ131aの凹部31bに接続されている。
【0084】
後側のフラップ131bは、図17に示すように、胴部10の下側の開口部の略後半分を閉じている。後側のフラップ131bは、前側のフラップ131aを左右反転させるとともに前後反転させた構成である。つまり、後側のフラップ131bでは、フラップ本体133の右側に折れ線135を介して折返し部134が連設されている。
【0085】
前後のフラップ131a,131bは、前後の側壁11,11に対して、胴部10の下側の開口部に向けて折り曲げられており、前後のフラップ131a,131bの先端部において、凹部31b,31b同士が組み合わされている。そして、前側のフラップ131aの先端部の略左半分は、後側のフラップ131bの先端部の略左半分の下面に、左側のフラップ132aを挟んで重ねられている。
また、後側のフラップ131bの先端部の略右半分は、前側のフラップ131aの先端部の略右半分の下面に、右側のフラップ132bを挟んで重ねられている。このようにして、前後のフラップ131a,131bと左右のフラップ132a,132bとが組み合わされている。
【0086】
左側のフラップ132aは、図16に示すように、先端部に向かうにつれて幅が小さくなっている。左側のフラップ132aは、図17に示すように、前側のフラップ131aの折返し部134の上面に配置され、折返し部134に接合されている。なお、接合には、ホットメルト等の接合手段を用いることができる。
【0087】
右側のフラップ132bは、左側のフラップ132aを略左右反転させるとともに、略前後反転させた構成であり、左側のフラップ132aと概略同様である。
【0088】
このような底部30Bは、胴部10を扁平に折り畳んだ状態から筒状に開くと、隣り合う側壁11と端壁12とが開くに連れて、前後のフラップ131a,131bのフラップ本体133,133と折返し部134,134とが胴部10の下側の開口部にそれぞれ展開する。さらに、前後のフラップ131a,131bの折返し部134,134に押されて、左右のフラップ132a,132bも胴部10の下側の開口部に展開する。これにより底部30Bが形成される。
【0089】
以上説明した本実施形態の包装箱1Bによれば、胴部10を扁平に折り畳んだ状態から筒状に開くことにより底部30Bが展開するので、底部30Bの封緘に粘着テープT等の封緘部材を用いる必要がなく、箱の組み立てが簡単である。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
前記各実施形態の包装箱1,1A,1Bは、上部外フラップ21の凹部21bに上部外フラップ22の突出部22bを係合する構成としたが、凹部21bと突出部22bは前後逆に形成してもよい。また、凹部21b及び突出部22bは、種々の形状のものを採用することができる。
【0091】
また、前記各実施形態では、凹凸係合による係合構造を示したが、これに限られることはなく、係合構造には、差込片(係合部)と差込穴(係合受部)とにより係合される構造のものも含まれる。また、前記各実施形態において、突出部22bと凹部21bとが一対備わるものを示したが、これに限られることはなく、複数の突出部22bと複数の凹部21bとから係合構造が構成されるものであってもよい。
【0092】
また、前記第2,第3実施形態において、膨出する部分を後側の破断誘導線25に設けてもよい。この場合に、後側の破断誘導線25に対して破断開始部24dを設けてもよい。
【0093】
また、前記第2実施形態において、第1実施形態の底部30の構成を採用してもよい。また、第1実施形態において、第3実施形態の底部30Bの構成を採用してもよい。また、各実施形態において、底部30,30Bは種々の形状のフラップにより閉じられる構成としてもよい。
【0094】
また、前記各実施形態では、A式の包装箱1,1A,1Bについて本発明を適用したが、これに限られることはなく、ラップアラウンド方式の包装箱について端壁が突出部と凹部との係合により封緘されるものについて本発明を適用してもよい。
【0095】
また、前記各実施形態の包装箱1のブランクシートS1~S3は段ボール製であるが、各種公知の板紙によってブランクシートを形成してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1,1A,1B 包装箱
10 胴部
11 側壁
12 端壁
20 蓋部
21,22 上部外フラップ
21b 凹部(係合受部、係合構造)
22b 突出部(係合部、係合構造)
23 上部内フラップ
24 破断誘導線
24A 破断誘導線
24d 破断開始部
25 破断誘導線
30 底部
31 下部外フラップ
32 下部内フラップ
32a 基端部(下部内フラップの下面の一部)
33 切欠部
T 粘着テープ(封緘部材)
T1 伝票(封緘部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17