(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106952
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】有機発光表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240801BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240801BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20240801BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240801BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240801BHJP
H10K 59/124 20230101ALI20240801BHJP
H10K 59/88 20230101ALI20240801BHJP
H10K 50/88 20230101ALI20240801BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20240801BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/30 330
G09F9/30 348A
G09F9/30 349Z
G09F9/00 342
G09F9/00 366A
H10K59/131
H10K50/844
H10K59/40
H10K59/124
H10K59/88
H10K50/88
H10K71/16
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146644
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】10-2023-0010533
(32)【優先日】2023-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】洪 玄 碩
(72)【発明者】
【氏名】李 秀 彬
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC33
3K107CC45
3K107DD38
3K107DD92
3K107EE03
3K107EE48
3K107EE58
3K107EE66
3K107FF15
5C094AA31
5C094AA42
5C094BA03
5C094BA14
5C094BA27
5C094DA15
5C094DB03
5C094EA10
5C094GB10
5G435AA14
5G435BB05
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】不良発生を防止できる有機発光表示装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】本明細書の実施形態は、表示領域とパッド領域とを含む基板上に配置された第1の無機絶縁層と、前記第1の無機絶縁層上に配置され、前記表示領域に位置する第1のトランジスタの第1のゲート電極及び前記パッド領域に位置する第1のパッド電極と、前記第1のゲート電極及び前記第1のパッド電極を覆い、前記第1のパッド電極の少なくとも一部を露出する開口部を有する第2の無機絶縁層と、前記表示領域における前記第2の無機絶縁層上に配置された有機絶縁層と、前記有機絶縁層上に配置された発光素子と、前記発光素子を覆う封止層と、前記封止層上に配置されたタッチセンサ層と、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層上に配置され、前記開口部を介して、前記第1のパッド電極に接続された第2のパッド電極;及び前記第1のパッド電極と前記第2のパッド電極とを含む表示パッドを含む有機発光表示装置を提供することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表示領域とパッド領域上に配置された第1の無機絶縁層と、
前記第1の無機絶縁層上に配置され、前記表示領域に位置する第1のトランジスタの第1のゲート電極及び前記パッド領域に位置する第1のパッド電極と、
前記表示領域における前記第1のゲート電極を覆い、前記パッド領域における前記第1のパッド電極の一部を覆い、開口部を有する第2の無機絶縁層と、
前記表示領域における前記第2の無機絶縁層上に配置された有機絶縁層と、
前記表示領域における前記有機絶縁層上に配置された発光素子と、
前記表示領域における前記発光素子を覆う封止層と、
前記表示領域における前記封止層上に配置されたタッチセンサ層と、
前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層及び前記第1のパッド電極上に配置され、前記開口部を介して、前記第1のパッド電極に接続される第2のパッド電極と、
前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極とを含む表示パッドを含む有機発光表示装置。
【請求項2】
前記基板上に配置され、第2のゲート電極を含む第2のトランジスタをさらに含み、
前記第1の無機絶縁層は、
前記第2のトランジスタの前記第2のゲート電極を覆う第1の層間絶縁層と、
前記第1の層間絶縁層上に配置されたバッファ層と、
前記表示領域及び前記パッド領域に配置され、前記表示領域における前記第1のトランジスタの前記第1のゲート電極及び前記バッファ層の間に配置されたゲート絶縁層とを含む、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記第2の無機絶縁層は、前記表示領域及び前記パッド領域において前記ゲート絶縁層と接触する、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記パッド領域における前記第1のパッド電極と重なるダミーパッド電極をさらに含み、
前記ダミーパッド電極は、前記第2のゲート電極と同じ物質で構成され、前記第2のゲート電極と同じ層に配置される、請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記第2のパッド電極は、前記タッチセンサ層と同一物質からなっている、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記表示領域における前記封止層上に配置されたタッチバッファ層と、
前記表示領域の前記タッチバッファ層及び前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層上に配置されたタッチ絶縁層とをさらに含み、
前記タッチセンサ層は、前記表示領域における前記タッチ絶縁層上に配置され、前記第2のパッド電極は、前記パッド領域における前記タッチ絶縁層上に配置され、前記タッチ絶縁層は、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層の開口部に接続された開口部を有する、請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
表示領域及びパッド領域を含む基板と、
前記基板の前記表示領域及び前記パッド領域上に配置された第1の無機絶縁層と、
前記パッド領域における前記第1の無機絶縁層上に配置された第1のパッド電極と、
前記パッド領域における前記第1の無機絶縁層及び前記第1のパッド電極上に配置され、開口部とを有する第2の無機絶縁層と、
前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層及び前記第1のパッド電極上に配置され、前記開口部を介して、前記第1のパッド電極と接続された第2のパッド電極と、
前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極を含む表示パッドと、
を含む、有機発光表示装置。
【請求項8】
前記第2の無機絶縁層の下面と、前記第1の無機絶縁層の上面とが接触している、請求項7に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記表示領域における前記第1の無機絶縁層と、前記第2の無機絶縁層との間に配置された第1のトランジスタの第1のゲート電極と、
前記表示領域における前記第2の無機絶縁層上に配置された有機絶縁層と、
前記表示領域における前記有機絶縁層上に配置された発光素子と、
前記表示領域における前記発光素子を覆う封止層と、
前記表示領域における前記封止層上に配置されたタッチセンサ層をさらに含む、請求項7に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第1のパッド電極は、前記第1のゲート電極と同一物質で構成され、前記第1のゲート電極と同じ層に配置される、請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記第2のパッド電極は、前記タッチセンサ層と同じ物質からなっている、請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記表示領域における前記第1の無機絶縁層の下部に配置された第2のトランジスタの第2のゲート電極と、
前記パッド領域における前記第1のパッド電極の下部に配置され、前記第1のパッド電極と重なるダミーパッド電極とをさらに含み、
前記ダミーパッド電極は、前記第2のゲート電極と同一物質で構成され、前記第2のゲート電極と同じ層に配置される、請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記第1の無機絶縁層は、
前記表示領域及び前記パッド領域に配置され、前記表示領域における前記第2のゲート電極を覆う第1の層間絶縁層と、
前記表示領域及び前記パッド領域における前記第1の層間絶縁層上に配置されたバッファ層と、
前記表示領域における前記第1のトランジスタの前記第1のゲート電極と前記バッファ層との間に配置され、前記パッド領域における前記バッファ層上に配置された前記第1のトランジスタのゲート絶縁層とを含む、請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記表示領域の前記封止層上に配置されたタッチバッファ層と、
前記表示領域における前記タッチバッファ層上に配置され、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層上に配置され、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層の開口部と接続された開口部を有するタッチ絶縁層とをさらに含み、
前記タッチセンサ層は、前記表示領域における前記タッチ絶縁層上に配置され、前記第2のパッド電極は、前記パッド領域における前記タッチ絶縁層上に配置される、請求項9に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
表示領域とパッド領域とを含む基板上に配置された第1の無機絶縁層を形成する段階と、
前記表示領域の前記第1の無機絶縁層上に第1のトランジスタの第1のゲート電極及び前記パッド領域の前記第1の無機絶縁層上に第1のパッド電極を形成する段階と、
前記第1の無機絶縁層上に、前記表示領域の前記第1のゲート電極を覆い、前記パッド領域の前記第1のパッド電極を覆う第2の無機絶縁層を形成する段階と、
前記表示領域の前記第2の無機絶縁層上に有機絶縁層を形成する段階と、
前記表示領域の前記有機絶縁層上に発光素子を形成する段階と、
前記表示領域の前記発光素子を覆う封止層を形成する段階と、
前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層に、前記第1のパッド電極の一部を露出する開口部を形成する段階と、
前記表示領域の前記封止層上のタッチセンサ層、及び前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層と、前記第1のパッド電極上に前記第2の無機絶縁層の前記開口部を介して前記第1のパッド電極に接続される第2のパッド電極を形成する段階とを含む、有機発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記発光素子を形成する間に、前記第1のパッド電極が、前記第2の無機絶縁層で覆われている、請求項15に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記封止層を形成した後、前記第2の無機絶縁層に開口部を形成する前に、
前記表示領域の前記封止層上にタッチバッファ層を形成する段階と、
前記表示領域の前記タッチバッファ層及び前記パッド領域の前記第1のパッド電極上に位置する前記第2の無機絶縁層上にタッチ絶縁層を形成する段階と、
前記パッド領域の前記タッチ絶縁層に開口部を形成する段階とをさらに含み、
前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層の開口部が、前記タッチ絶縁層の開口部の下部に位置する、請求項15に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項18】
表示領域とパッド領域とを含む基板と、
前記表示領域及びパッド領域上の第1の無機絶縁層と、
前記表示領域に配置され、前記第1の無機絶縁層上のゲート絶縁層を含む駆動トランジスタと、
前記表示領域及びパッド領域における前記第1の無機絶縁層上に配置され、前記表示領域における前記駆動トランジスタの第1のゲート電極を覆う第2の無機絶縁層と、
前記パッド領域に配置され、前記パッド領域の前記第1の無機絶縁層上の第1のパッド電極及び前記パッド領域の前記第1のパッド電極及び前記第2の無機絶縁層上の第2のパッド電極を含む前記パッド領域の表示パッドとを含み、
前記第2のパッド電極は、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層の開口部を介して、前記第1のパッド電極と接続される、有機発光表示装置。
【請求項19】
前記第1のパッド電極は、前記第1のゲート電極と同じ物質で構成され、前記第1のゲート電極と同じ層に配置される、請求項18に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
表示領域とパッド領域とを含む基板と、
前記表示領域及び前記パッド領域上の第1の無機絶縁層と、
前記表示領域の前記第1の無機絶縁層上に位置するゲート電極を含む前記表示領域の駆動トランジスタと、
前記表示領域及び前記パッド領域の前記第1の無機絶縁層上に位置し、前記表示領域の第1のゲート電極を覆う第2の無機絶縁層と、
前記駆動トランジスタに接続された前記表示領域の前記第2の無機絶縁層上の発光素子と、
前記表示領域の前記発光素子上のタッチセンサ層と、
前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層によって覆われた端部を有し、前記駆動トランジスタの前記ゲート電極と同じ物質で構成された前記パッド領域の前記第1の無機絶縁層上の第1のパッド電極と、
前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層のホールを介して、前記第1のパッド電極に接続され、前記タッチセンサ層と同じ物質で構成された前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層上の第2のパッド電極と
を含む表示装置。
【請求項21】
前記パッド電極は、前記ゲート電極と同じ層に配置される、請求項20に記載の表示装置。
【請求項22】
前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層上に配置され、前記第2の無機絶縁層の前記ホールと重なるホールを有する前記表示領域及び前記パッド領域のタッチ絶縁層をさらに含み、
前記第の2パッド電極は、前記タッチ絶縁層のホール及び前記第2の無機絶縁層のホールを介して、前記第1のパッド電極と接触する、請求項20に記載の表示装置。
【請求項23】
前記パッド領域における前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極と重畳され、前記表示領域の他のトランジスタのゲート電極と同じ物質で構成され、前記他のトランジスタの前記ゲート電極と同じ層に配置されたダミーパッド電極をさらに含む、請求項20に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、有機発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化技術が発展するにつれて、ユーザと情報との間の接続媒体である表示装置の市場が拡大している。これにより、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display:OLED)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)などの表示装置の使用が増加している。
【0003】
表示装置は、マトリクス状に配置された複数のサブピクセルを含む表示パネルと、表示パネルを駆動する駆動部などを含む。駆動部には、表示パネルにスキャン信号(又はゲート信号)を供給するスキャン駆動部と、表示パネルにデータ信号を供給するデータ駆動部などが含まれる。表示装置は、マトリクス状に配置されたサブピクセルに、スキャン信号及びデータ信号などが供給されると、選択されたサブピクセルが発光することにより、映像を表示することができる。
【0004】
表示装置は、様々な入力装置を用いて、ユーザとのインターフェースを構成する。便利でありながら、簡単で誤動作を減らすことができる入力装置への要求が日々増加している。そこで、ユーザが画面に直接接触して、情報を入力するタッチ素子が提案されている。特に、有機発光表示装置に適用される場合、タッチ素子は、有機発光表示装置の発光部を保護するための封止層の上部に形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サブピクセルとタッチ素子を駆動する駆動ICのコスト削減と構造的な便宜のために、駆動ICを表示パネルの基板に取り付けるCOP(Chip on Panel)が好まれている。
【0006】
COPを実現するために、非表示領域のパッド領域に、表示パッドを配置している。そして、工程数を減らし、製造コストを低減するために、表示領域の導電層を形成する工程において、導電層と同じ層に、導電層と共に表示パッドのパッド電極を形成している。例えば、表示領域のソース及びドレイン電極を形成する工程において、ソース及びドレイン電極と同じ層に、表示パッドの第1のパッド電極を形成し、表示領域の駆動トランジスタと発光素子とを接続する接続電極を形成する工程において、接続電極と同じ層に、表示パッドの第2のパッド電極を形成し、表示領域のタッチセンサ層を形成する工程において、タッチセンサ層と同じ層に、表示パッドの第3のパッド電極を形成している。そして、接続電極を覆う感光性有機絶縁物質からなる平坦化層を、第2のパッド電極の上部に形成し、平坦化層に第2のパッド電極を露出する開口部を形成している。
【0007】
平坦化層が感光性有機物質で構成され、1回のパターニングが可能であるため、接続電極と駆動トランジスタとを接続するホールを形成する工程で、第2のパッド電極を露出する開口部を共に形成している。これにより、開口部を介して第2のパッド電極が露出した状態で、発光素子のアノード電極をパターニングするためのエッチング工程を進めることができる。この場合、アノード電極をパターニングする工程において、第2のパッド電極として用いられたメタル(例えば、Al)と、アノード電極の材料として用いられたメタル(例えば、Ag)との間のガルバニック効果(Galvanic effect)により、メタルスカム(metal scum)が発生し、メタルスカムにより、発光素子のアノード電極とカソード電極とがショート(short)して、暗点不良が発生する可能性がある。
【0008】
そして、平坦化層が有機絶縁物質からなっていることによって、下部及び上部の無機絶縁層との接着力が低下して剥がれ、浮き上がりが生じる恐れがあり、絶縁層が浮き上がって発生する力によって、表示パッドを構成するパッド電極が剥離され、表示パッド上に実装される駆動ICの信号が、表示領域に伝達できない不良が発生する可能性がある。
【0009】
本明細書の実施形態による解決課題は、メタルスカムの発生を防止して、メタルスカムに起因する暗点不良を防止することができる有機発光表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0010】
本明細書の実施形態による解決課題は、表示パッド周辺の絶縁層が浮き上がることを防止して、表示パッドのパッド電極が剥離することを防止し、表示パッド上に実装される駆動ICの信号が、表示領域に伝達できない不良を防止することができる有機発光表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0011】
本明細書の実施形態による解決課題は、以上で言及した課題に限定されず、言及されていない他の課題は、以下の説明から当業者には明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の一実施形態による有機発光表示装置は、基板の表示領域とパッド領域上に配置された第1の無機絶縁層と、前記第1の無機絶縁層上に配置され、前記表示領域に位置する第1のトランジスタの第1のゲート電極及び前記パッド領域に位置する第1のパッド電極と、前記表示領域における前記第1のゲート電極を覆い、前記パッド領域における前記第1のパッド電極の一部を覆い、開口部を有する第2の無機絶縁層と、前記表示領域における前記第2の無機絶縁層上に配置された有機絶縁層と、前記表示領域における前記有機絶縁層上に配置された発光素子と、前記表示領域における前記発光素子を覆う封止層と、前記表示領域における前記封止層上に配置されたタッチセンサ層と、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層及び第1のパッド電極上に配置され、前記開口部を介して、前記第1のパッド電極に接続される第2のパッド電極と、前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極を含む表示パッドとを含む。
【0013】
本明細書の一実施形態による有機発光表示装置は、表示領域とパッド領域とを含む基板と、前記基板の前記表示領域及び前記パッド領域上に配置された第1の無機絶縁層と、前記パッド領域における前記第1の無機絶縁層上に配置された第1のパッド電極と、前記パッド領域における前記第1の無機絶縁層及び前記第1のパッド電極上に配置され、開口部を有する第2の無機絶縁層と、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層及び前記第1のパッド電極上に配置され、前記開口部を介して、前記第1のパッド電極と接続された第2のパッド電極と、前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極を含む表示パッドとを含む。
【0014】
本明細書の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法は、表示領域とパッド領域とを含む基板上に配置された第1の無機絶縁層を形成する段階と、前記表示領域の前記第1の無機絶縁層上に、第1のトランジスタの第1のゲート電極及び前記パッド領域の前記第1の無機絶縁層上に、第1のパッド電極を形成する段階と、前記第1の無機絶縁層上に、前記表示領域の前記第1のゲート電極を覆い、前記パッド領域の前記第1のパッド電極を覆う第2の無機絶縁層を形成する段階と、前記表示領域の前記第2の無機絶縁層上に、有機絶縁層を形成する段階と、前記表示領域の前記有機絶縁層上に発光素子を形成する段階と、前記表示領域の前記発光素子を覆う封止層を形成する段階;前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層に、前記第1のパッド電極の一部を露出する開口部を形成する段階と、前記表示領域の前記封止層上のタッチセンサ層、及び前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層と前記第1のパッド電極上に、前記第2の無機絶縁層の前記開口部を介して、前記第1のパッド電極に接続される第2のパッド電極を形成する段階を含む。
【0015】
本明細書の一実施形態による有機発光表示装置は、表示領域とパッド領域とを含む基板と、前記表示領域及びパッド領域上の第1の無機絶縁層と、前記表示領域に配置され、前記第1の無機絶縁層上のゲート絶縁層を含む駆動トランジスタと、前記表示領域及びパッド領域における第1の無機絶縁層上に配置され、前記表示領域における前記第1のゲート電極を覆う第2の無機絶縁層と、前記パッド領域に配置され、前記パッド領域の第1の無機絶縁層上の第1のパッド電極及び前記パッド領域の前記第1のパッド電極及び前記第2の無機絶縁層上の第2のパッド電極を含む前記パッド領域の表示パッドを含み、前記第2のパッド電極は、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層の開口部を介して、前記第1のパッド電極と接続される。
【0016】
本明細書の一実施形態による表示装置は、表示領域とパッド領域とを含む基板;前記表示領域及び前記パッド領域上の第1の無機絶縁層と、前記表示領域の前記第1の無機絶縁層上に位置するゲート電極を含む前記表示領域の駆動トランジスタと、前記表示領域及び前記パッド領域の前記第1の無機絶縁層上に位置し、前記表示領域の第1のゲート電極を覆う第2の無機絶縁層と、前記駆動トランジスタに接続された前記表示領域の前記第2の無機絶縁層上の発光素子;前記表示領域の前記発光素子上のタッチセンサ層と、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層によって覆われた端部を有し、前記駆動トランジスタの前記ゲート電極と同じ物質で構成された前記パッド領域の前記第1の無機絶縁層上の第1のパッド電極と、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層のホールを介して、前記第1のパッド電極に接続され、前記タッチセンサ層と同じ物質で構成された前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層上の第2のパッド電極とを含む。
【発明の効果】
【0017】
本明細書の実施形態によれば、表示パッドのパッド電極を、第1のトランジスタ(駆動トランジスタ)のゲート電極と同じ層に構成し、第1のトランジスタのゲート電極の上部の無機絶縁層で、表示パッドのパッド電極を覆った状態で、発光素子のアノード電極をパターニングすることにより、アノード電極をパターニングする工程中に、メタルスカムが生成することを防止することができ、メタルスカムにより、発光素子のアノード電極とカソード電極とが短絡して発生する暗点不良を防止することができる有機発光表示装置及びその製造方法を提供することができる効果がある。
【0018】
本明細書の実施形態によれば、表示パッドを構成するパッド電極の上部及び下部に、無機絶縁層を配置することにより、パッド電極周辺の絶縁層が浮き上がるのを防止することができ、絶縁層が浮き上がって発生する力によって、表示パッドのパッド電極が剥離することを防止することにより、パッド電極が剥離することにより、表示パッド上に実装される駆動ICの信号が、表示領域に伝達できない不良が発生することを防止できる有機発光表示装置及びその製造方法を提供することができる効果がある。
【0019】
本明細書の効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及されていない他の効果は、以下の記載から当業者には明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の実施形態による有機発光表示装置の表示パネルの斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態による有機発光表示装置を示す平面図である。
【
図3】本開示の実施形態による有機発光表示装置の表示領域及びベンディング領域の断面図である。
【
図4】本開示の実施形態による有機発光表示装置の表示領域及びパッド領域の断面図である。
【
図5a】
図5aは、本開示の実施形態による有機発光表示装置を、製造段階別に示す断面図である。
【
図5b】
図5bは、本開示の実施形態による有機発光表示装置を、製造段階別に示す断面図である。
【
図5c】
図5cは、本開示の実施形態による有機発光表示装置を、製造段階別に示す断面図である。
【
図5d】
図5dは、本開示の実施形態による有機発光表示装置を、製造段階別に示す断面図である。
【
図6】本開示の第1の実験例による有機発光表示装置のパッド領域の断面図である。
【
図7】本開示の第1の実験例による有機発光表示装置の表示パッドの不良を示すSEM写真である。
【
図8】本開示の第2の実験例による有機発光表示装置の表示パッドの不良を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の一部の実施形態を、例示的な図面を参照して詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付け加えるにおいて、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されていても、可能な限り同一の符号を付することができる。なお、本開示を説明するに当たって、関連する公知の構成又は機能の具体的な説明が、本開示の要旨を曖昧にすることがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本明細書上で言及した「含む」、「有する」、「からなる」などが使用される場合、「~のみ」が使用されない限り、他の部分が追加されてもよい。構成要素を単数として表現した場合に、特に明示的な記載事項がない限り、複数が含まれる場合を含むことができる。
【0022】
また、本開示の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであるだけで、その用語によって当該構成要素の本質、順番、順序又は数などが限定されない。
【0023】
構成要素の位置関係についての説明において、2つ以上の構成要素が、「連結」、「結合」又は「接続」されると記載されている場合、2つ以上の構成要素が、直接「連結」、「結合」又は「接続」され得るが、2つ以上の構成要素と他の構成要素とが、さらに「介在」され、「連結」、「結合」又は「接続」されることも可能であることを理解されたい。ここで、他の構成要素は、互いに「連結」、「結合」又は「接続」される2つ以上の構成要素のうち1つ以上に含まれてもよい。
【0024】
構成要素や、動作方法や作製方法などに関する時間的流れの関係の説明において、例えば、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」などで、時間的先後関係又は流れ的前後関係が説明される場合、「直ちに」又は「直接」が使用されていない限り、連続的でない場合も含み得る。
【0025】
一方、構成要素に関する数値又はその対応情報(例えば、レベルなど)が言及されている場合、別途の明示的な記載がなくても、数値又はその対応情報は、各種要因(例えば、工程上の要因、内部又は外部の衝撃、ノイズなど)によって発生できる誤差の範囲を含むと解釈され得る。
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本明細書の様々な実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本開示の実施形態による有機発光表示装置の表示パネルの斜視図である。
【0028】
図1を参照すると、本開示の実施形態による有機発光表示装置は、発光素子を含む単位ピクセルを介して映像を表示する。そして、有機発光表示装置は、タッチ期間中にタッチ電極TEを介して、ユーザのタッチによる相互静電容量(mutual capacitance)の変化量を感知して、タッチの有無及びタッチ位置をセンシングする。
【0029】
このために、表示パネルDISPは、基板110上にマトリクス状に配置された複数のサブピクセルSPと、複数のサブピクセルSP上に配置された封止層180と、封止層180上に配置された相互静電容量Cmを備える。
【0030】
各サブピクセルSPは、発光素子EDと、発光素子EDを駆動するための第1のトランジスタT1と、第1のトランジスタT1の第1のノードN1に、データ電圧VDATAを伝達するための第2のトランジスタT2と、1フレームの間、一定の電圧を維持するためのストレージキャパシタCstなどを含むことができる。
【0031】
第1のトランジスタT1は、データ電圧が印加され得る第1のノードN1、発光素子EDと電気的に接続される第2のノードN2、及び駆動電圧ラインDVLから駆動電圧VDDが印加される第3のノードN3を含むことができる。第1のノードN1は、ゲートノードであり、第2のノードN2は、ソースノード又はドレインノードであり、第3のノードN3は、ドレインノード又はソースノードであり得る。このような第1のトランジスタT1は、発光素子EDを駆動する駆動トランジスタとも呼ばれる。
【0032】
発光素子EDは、第1の電極(例えば、アノード電極)、発光層、及び第2の電極(例えば、カソード電極)を含むことができる。第1の電極は、第1のトランジスタT1の第2のノードN2と電気的に接続され、第2の電極は、ベース電圧VSSが印加され得る。
【0033】
このような発光素子EDにおける発光層は、有機物を含む有機発光層であってもよい。この場合、発光素子EDは、有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)であってもよい。
【0034】
第2のトランジスタT2は、ゲートラインGLを介して印加されるスキャン信号SCANによってオンオフが制御され、第1のトランジスタT1の第1のノードN1と、データラインDLとの間に電気的に接続することができる。このような第2のトランジスタT2は、スイッチングトランジスタとも呼ばれる。
【0035】
第2のトランジスタT2は、スキャン信号SCANによってターンオンされると、データラインDLから供給されたデータ電圧VDATAを、第1のトランジスタT1の第1のノードN1に伝達する。ストレージキャパシタCstは、第1のトランジスタT1の第1のノードN1と、第2のノードN2との間に電気的に接続され得る。
【0036】
各サブピクセルSPは、
図1に示すように、2つのトランジスタT1、T2と、1つのキャパシタCstとを含む2T1C構造を有することができ、場合によっては、1つ以上のトランジスタをさらに含んでもよく、1つ以上のキャパシタをさらに含んでもよい。
【0037】
ストレージキャパシタCstは、第1のトランジスタT1の第1のノードN1と、第2のノードN2との間に存在し得る内部キャパシタ(Internal Capacitor)である寄生キャパシタ(例えば、Cgs、Cgd)ではなく、第1のトランジスタT1の外部に意図的に設計した外部キャパシタ(External Capacitor)であってもよい。
【0038】
第1のトランジスタT1及び第2のトランジスタT2のそれぞれは、n型トランジスタでもp型トランジスタでもよい。
【0039】
前述のように、表示パネルDISPには、発光素子ED、トランジスタT1、T2、キャパシタCstなどの回路素子が配置される。このような回路素子、特に、発光素子EDは、外部の水分や酸素などに脆弱であるため、外部の水分や酸素が回路素子に浸透することを防止するための封止層180が、表示パネルDISPに配置され得る。
【0040】
本開示の実施形態による有機発光表示装置では、タッチパネルTSPを封止層180上に形成することができる。すなわち、有機発光表示装置では、タッチパネルTSPを構成する複数のタッチ電極TEなどを含むタッチセンサ層を封止層180上に配置することができる。
【0041】
タッチセンシング時、タッチ電極TEにタッチ駆動信号又はタッチセンシング信号を印加することができる。タッチセンシング時、封止層180を挟んで配置されたタッチ電極TEと、カソード電極との間には、電位差が形成され、不要な寄生キャパシタンスが形成され得る。このような寄生キャパシタンスは、タッチ感度を低下させることができるため、寄生キャパシタンスを低下させるために、タッチ電極TEとカソード電極との間の距離は、パネル厚さ、パネル製作工程及びディスプレイ性能等を考慮して、一定の値(例えば、5μm)以上になるように設計することができる。このために、一例として、封止層180の厚さは、最小5μm以上に設計することができる。
【0042】
図2は、本開示の実施形態による有機発光表示装置を示す平面図である。
【0043】
図2を参照すると、本開示の実施形態による有機発光表示装置の表示パネルDISPは、表示領域DAと、表示領域DAの縁に配置された非表示領域NDAとを含むことができる。表示領域DAは、複数のサブピクセルが配置される領域であり、画像が表示される領域である。表示領域(DA)は、アクティブ領域(active area)と呼ばれることがある。
【0044】
表示領域DAには、複数のゲートライン(図示せず)と、データライン(図示せず)とが交差して、複数のピクセル領域を定義する。また、表示領域DAには、複数の第1のタッチラインY-TEL及び複数の第2のタッチラインX-TELが配置されてもよい。
【0045】
複数の第1のタッチラインY-TELは、複数の第1のタッチ電極Y-TE及び複数の第1のブリッジY-BRを含むことができる。各第1のタッチラインY-TELに含まれる複数の第1のタッチ電極Y-TEは、第1の方向であるY方向に沿って、一定の間隔で離隔して配置され得る。第1のタッチ電極Y-TEは、第1のブリッジY-BRを介して隣接する第1のタッチ電極Y-TEと電気的に接続され得る。
【0046】
複数の第2のタッチラインX-TELは、複数の第2のタッチ電極X-TE及び複数の第2のブリッジX-BRを含むことができる。各第2のタッチラインX-TELに含まれる複数の第2のタッチ電極X-TEは、第2の方向であるX方向に沿って、一定の間隔で離隔して配置され得る。第2のタッチ電極X-TEは、第2のブリッジX-BRを介して隣接する第2のタッチ電極X-TEと電気的に接続され得る。
【0047】
第1、第2のタッチ電極(Y-TE、X-TE)及び第1、第2のブリッジ(Y-BR、X-BR)は、メッシュ状に形成することができる。これにより、第1、第2のタッチ電極(Y-TE、X-TE)及び第1、第2のブリッジ(Y-BR、X-BR)自体の抵抗と、キャパシタンスとが減少し、RC時定数が減少して、タッチ感度を向上させることができる。また、メッシュ状の第1、第2のタッチ電極(Y-TE、X-TE)及び第1、第2のブリッジ(Y-BR、X-BR)の線幅が非常に薄く、第1、第2のタッチ電極(Y-TE、X-TE)及び第1、第2のブリッジ(Y-BR、X-BR)により、開口率及び透過率が低下することを防止することができる。
【0048】
第1のタッチラインY-TEL及び第2のタッチラインX-TELのそれぞれに、ルーティングラインRLを接続することができる。ルーティングラインRLは、表示領域DAの上側及び下側のうち少なくとも一方に伸びて、非表示領域NDAに配置されたタッチパッドTPADに接続され得る。タッチパッドTPADには、タッチセンシング回路(図示せず)が接続され得る。
【0049】
ルーティングラインRLは、タッチセンシング回路で生成されたタッチ駆動パルスを、タッチパッドTPADを介して、第1のタッチラインY-TELに送信し、第2のタッチラインX-TELからのタッチ信号を、タッチパッドTPADを介して、タッチセンシング回路に送信することができる。
【0050】
データドライバ回路(Data Driver Circuit)は、集積回路IC形態で構成され、非表示領域NDAに実装することができる。
図2の駆動IC800は、データドライバ回路を含む。駆動IC800との電気的な接続のために、非表示領域NDAに、表示パッドDPADを配置することができる。
【0051】
非表示領域NDAは、タッチパッドTPAD及び表示パッドDPADが配置されるパッド領域PAと、表示パネルDISPを曲げたり折り畳むことができるベンディング領域BAとを含むことができる。ベンディング領域BAは、タッチパッドTPAD、表示パッドDPAD、タッチセンシング回路及び駆動IC800のような表示機能をしない構成を、表示領域DAの背面に折り畳んで配置するために、ベンディングされる領域に該当する。
【0052】
ベンディング領域BAは、
図2に示すように、表示領域DAとパッド領域PAとの間に配置することができる。その他にも、ベンディング領域BAは、非表示領域NDAの上、下、左、右側のうち少なくとも一方側に配置されてもよい。これにより、表示装置の全画面において、表示領域DAが占める面積を最大化し、非表示領域NDAは、表示領域DAの後ろに隠すことができる。
【0053】
図3は、本開示の実施形態による有機発光表示装置の表示領域及びベンディング領域の断面図である。
【0054】
図3を参照すると、サブピクセルは、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、及び発光素子EDを含むことができる。先ず、
図1を参照して説明したように、第1のトランジスタT1は、発光素子EDを駆動する駆動トランジスタであり、第2のトランジスタT2は、スイッチトランジスタであり得る。
【0055】
図3には、1つのスイッチトランジスタが示されているが、スイッチトランジスタは、サブピクセル内に少なくとも1つ以上配置されてもよい。すなわち、サブピクセルが、3T1C、4T1C、5T1C、6T1C、7T1Cなどの多様な構造を有することにより、スイッチトランジスタは、1つ以上を配置することができる。
【0056】
第1のトランジスタT1は、第1の半導体パターン310と、第1の半導体パターン310と重なる第1のゲート電極320と、第1のソース電極330S及び第1のドレイン電極330Dとを含むことができる。
【0057】
第1のゲート電極320は、第1の無機絶縁層140上に配置することができる。第1の無機絶縁層140は、シリコン酸化物(SiOX)及びシリコン窒化物(SiNX)などの無機絶縁物を多層に積層して用いることができる。例えば、第1の無機絶縁層140は、順次に積層された第1の層間絶縁層141、中間バッファ層142、及び第1のゲート絶縁層143を含むことができる。
【0058】
第1の半導体パターン310は、中間バッファ層142上に配置することができる。第1の半導体パターン310は、酸化物半導体物質で構成することができる。酸化物半導体物質は、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)、チタン(Ti)などの金属の酸化物又は亜鉛(Zn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、錫(Sn)、チタン(Ti)などの金属とそれらの酸化物との組み合わせからなることができる。より具体的には、酸化物半導体は、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛-錫酸化物(ZTO)、亜鉛-インジウム酸化物(ZIO)、インジウム酸化物(InO)、チタン酸化物(TiO)インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(IGZO)、インジウム‐亜鉛‐錫酸化物(IZTO)などを含むことができる。
【0059】
従来技術では、駆動トランジスタへの活性層として高速動作に有利な多結晶半導体パターンを用いた。しかしながら、多結晶半導体パターンを含む駆動トランジスタは、オフ(off)状態でリーク電流が発生して、電力が消費されるという問題が発生する可能性がある。特に、オフ(off)状態で消費電力が発生する問題は、表示装置が文書画面を表出する静止画のような低速の動作時にさらに問題となる。駆動トランジスタの活性層として酸化物半導体パターンを用いて、リーク電流の発生を遮断するのに寄与することができる。
【0060】
第1の半導体パターン310は、第1のチャネル領域310aと、第1のチャネル領域310aを挟んで、第1のチャネル領域310aに隣接する第1のソース領域310b及び第1のドレイン領域310cとを含むことができる。第1のチャネル領域310aは、不純物がドープされていない真性の酸化物半導体で構成することができる。また、第1のソース領域310b及び第1のドレイン領域310cは、真性の酸化物半導体に3族又は5族の不純物イオンがドープされて、導体化された領域であってもよい。
【0061】
第1の半導体パターン310及び中間バッファ層142上に、シリコン酸化物(SiOX)又は/及びシリコン窒化物(SiNX)のような無機絶縁物を蒸着して、第1のゲート絶縁層143を形成することができる。第1のゲート絶縁層143は、第1の半導体パターン310を外部から保護し、絶縁する役割を果たすことができる。
【0062】
第1のゲート絶縁層143上には、第1の半導体パターン310の第1のチャネル領域310aと重なる第1のゲート電極320が形成され得る。第1のゲート電極320は、金属物質で構成することができる。例えば、第1のゲート電極320は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)及び銅(Cu)のうちいずれか、又はそれらの合金からなる単層又は多層であってもよいが、これらに限定されない。
【0063】
第2のトランジスタT2は、第2の半導体パターン210と、第2の半導体パターン210と重なる第2のゲート電極220と、第2のソース電極230S及び第2のドレイン電極230Dとを含むことができる。
【0064】
第2の半導体パターン210は、下部バッファ層120上に配置することができる。第2の半導体パターン210は、電荷が移動する第2のチャネル領域210aと、第2のチャネル領域210aを挟んで、第2のチャネル領域210aに隣接する第2のソース領域210b及び第2のドレイン領域210cとを含むことができる。第2のチャネル領域210aは、不純物がドープされていない半導体で構成することができる。また、第2のソース領域210b及び第2のドレイン領域210cは、半導体に3族又は5族の不純物イオンがドープされて、導体化された領域であり得る。
【0065】
下部バッファ層120は、基板110上に配置することができる。基板110は、有機膜と無機膜とが交互に積層された多層(multi-layer)で構成することができる。例えば、基板110は、ポリイミド(polyimide)などの有機膜と、酸化シリコン(SiO2)などの無機膜とが交互に積層されて形成され得る。
【0066】
下部バッファ層120は、基板110上に配置された第1の下部バッファ層121と、第1の下部バッファ層121上に配置された第2の下部バッファ層122とを含むことができる。第1の下部バッファ層121は、外部から浸透できる水分等を遮断するためのものであり、シリコン酸化物(SiOX)等を多層に積層して用いることができる。第2の下部バッファ層122は、第1の下部バッファ層121と同じ材料で構成することができる。
【0067】
第2の半導体パターン210が形成された下部バッファ層120の全面上に、シリコン酸化物(SiOX)又は/及びシリコン窒化物(SiNX)などの無機絶縁物を蒸着して、第2のゲート絶縁層130を形成することができる。第2のゲート絶縁層130は、第2の半導体パターン210を、外部から保護し絶縁する役割を果たすことができる。
【0068】
第2のゲート絶縁層130上に、第2の半導体パターン210の第2のチャネル領域210aと重なる第2のゲート電極220を形成することができる。第2のゲート電極220は、金属物質で構成することができる。例えば、第2のゲート電極220は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)及び銅(Cu)のうちいずれか、又はそれらの合金からなる単層又は多層であってもよいが、これらに限定されない。
【0069】
第2のゲート電極220が形成された第2のゲート絶縁層130の全面上に、第1の無機絶縁層140を配置することができる。前述したように、第1の無機絶縁層140上に、第1のゲート電極320を配置することができる。
【0070】
第1のゲート電極320が形成された第1の無機絶縁層140の全面上に、第2の層間絶縁層150を形成することができる。第2の層間絶縁層150は、シリコン酸化物(SiOX)又は/及びシリコン窒化物(SiNX)などの無機絶縁膜を、単層又は複数層に蒸着して形成することができる。第2の層間絶縁層150は、第2の無機絶縁層と呼ぶことができる。
【0071】
第2の層間絶縁層150上には、第1のソース電極330S、第1のドレイン電極330D、第2のソース電極230S、及び第2のドレイン電極230Dを配置することができる。
【0072】
第2の層間絶縁層150及び第1のゲート絶縁層143は、第1のソース電極330S及び第1のドレイン電極330Dのそれぞれを、第1の半導体パターン310と電気的に接続するために、ホールを設けることができる。第2の層間絶縁層150、第1のゲート絶縁層143、中間バッファ層142、第1の層間絶縁層141及び第2のゲート絶縁層130は、第2のソース電極230S及び第2のドレイン電極230Dのそれぞれを、第2の半導体パターン210と電気的に接続するために、ホールを設けることができる。
【0073】
本開示の実施形態による有機発光表示装置は、遮断層222をさらに含むことができる。第1のトランジスタT1の第1の半導体パターン310の下部に、第1の半導体パターン310と重なるように、遮断層222を配置することができる。遮断層222は、第1の半導体パターン310の面積より大きい面積を有することができる。
【0074】
遮断層222は、発光表示装置の外部から入射した光が、第1の半導体パターン310に照射され、第1の半導体パターン310が誤動作することを防止するか、又は減らすことができる。遮断層222は、基板110から電荷が流入する問題を防止するか、又は減らすことができる。例えば、第1のゲート電極320に電圧が長時間印加されると、第1のトランジスタT1で発生する電界により、基板110の電荷が、第1の半導体パターン310の第1のチャネル領域310aに流入し、第1のチャネル領域310aの電荷量を変動させるバックチャネル(back channel)現象が発生することができる。電荷は、電界の極性に応じて、正孔又は電荷であり得る。基板110は、第1のトランジスタT1の電流を変化させて、第1のトランジスタT1のしきい値電圧の変化を引き起こすことができる。これは、画素の輝度の変化と残像を招く可能性がある。基板110と第1の半導体パターン310との間に、遮断層222を配置し、基板110から第1のトランジスタT1に流入する不要な電荷の流入を遮断し、第1のトランジスタT1のしきい値電圧Vthの変動を防止することにより、残像を防止するか、又は減らすことができる。駆動時の第1のトランジスタT1の安定性を確保して、表示品質を向上させることができる。
【0075】
遮断層222は、第2のゲート絶縁層130上に配置することができる。遮断層222は、第2のゲート電極220を形成する工程において、第2のゲート電極220と共に形成することができる。したがって、遮断層222は、第2のゲート電極220と同じ層に同じ材料で構成することができる。遮断層222を第2のゲート電極220と同じ工程で形成することにより、工程数が減り、製造コストを低減することができる。
【0076】
遮断層222は、第1のソース電極330Sと電気的に接続することができる。これにより、遮断層222には、第1のソース電極330Sと同じ電圧を印加することができる。遮断層222の電圧を第1のソース電極330Sの電圧と同じ電圧に維持することができるので、遮断層222の周辺に配置された素子の特性の変化を低減することができる。すなわち、遮断層222は、外部の電圧に対する影響を少なく受けるため、バックチャネル(back channel)現象による第1のトランジスタT1のしきい値電圧Vthの変化を防止するか、又は減らすことができる。図示していないが、第2のトランジスタT2の下部にも遮断層を配置することができる。
【0077】
第2の層間絶縁層150、第1のゲート絶縁層143、中間バッファ層142及び第1の層間絶縁層141は、遮断層222と第1のソース電極330Sとを電気的に接続するためのホールを設けることができ、ホール内に第1のソース電極330Sを配置することができる。
【0078】
ベンディング領域BAには、
図3に示すように、表示パネルが容易にベンディングするように、オープン部OAを構成することができる。オープン部OAは、ベンディング領域BAに蒸着される無機絶縁層をエッチングして形成される。
【0079】
基板110がベンディングされると、ベンディング領域BAに配置された無機絶縁層120、130、140、150に、持続的なベンディングストレスが加わる。無機絶縁層120、130、140、150は、有機絶縁物に比べて弾性力が低く、無機絶縁層120、130、140、150には、クラック(crack)が発生しやすい。無機絶縁層120、130、140、150に発生したクラックは、無機絶縁層120、130、140、150に沿って、表示領域DAに伝播することにより、ライン欠陥及び素子駆動不良を招くことがある。
【0080】
オープン部OAは、クラックを有することができる多数の無機絶縁層120、130、140、150を除去することによって生成される。具体的には、オープン部OAは、ベンディング領域BAに蒸着される下部バッファ層120、第2のゲート絶縁層130、第1の無機絶縁層140及び第2の層間絶縁層150を除去して生成される。
【0081】
平坦化層161、162は、第1のトランジスタT1及び第2のトランジスタT2をカバーするように配置することができる。平坦化層161、162は、下部に配置されたトランジスタを保護し、様々なパターンによる段差を緩和又は平坦化することができる。
【0082】
平坦化層161、162は、BCB(BenzoCycloButene)、アクリル系樹脂(Acryl resin)、エポキシ樹脂(Epoxy resin)、フェノール樹脂(Phenolic resin)、ポリアミド系樹脂(Polyamide resin)、又はポリイミド系樹脂(Polyimide resin)などの有機絶縁物質のうち少なくとも1つ又はそれ以上で形成することができ、これに限定されない。平坦化層161、162は、単層として配置することができるが、電極の配置を考慮して、2層以上の複数層として配置してもよい。
【0083】
平坦化層161、162は、表示領域DAからベンディング領域BAに延び、ベンディング領域BAをカバーすることができる。ベンディング領域BAには、無機絶縁物よりも弾性力の高い有機絶縁物からなる平坦化層161、162を配置することができる。平坦化層161、162は、基板110がベンディングされて発生するベンディングストレスを緩和して、クラックが発生するのを防止するか、又は減らすことができ、ベンディング領域BAに配置される配線を保護することができる。
【0084】
表示装置が、高解像度に進化するにつれて、各種信号配線が増加することに起因する。したがって、すべての配線を最小間隔を確保しながら、一層に配置することが難しいので、追加の層を設けたのである。このような追加の層によって、配線の配置に余裕があり、電線/電極の配置設計がより容易になる。また、多層から構成された平坦化層として、誘電物質(Dielectric Material)を用いると、平坦化層は、金属層間に静電容量(capacitance)を形成する用途として活用することもできる。
【0085】
平坦化層161、162が、複数の層として配置される場合、平坦化層161、162は、第1の平坦化層161と第2の平坦化層162とを含むことができる。第1の平坦化層161と第2の平坦化層162との間に、接続電極500を配置することができる。
【0086】
第1の平坦化層161にホールを形成し、ホール内に接続電極500を配置し、接続電極500を介して、第1のトランジスタT1と発光素子EDとを電気的に接続することができる。例えば、接続電極500の一端(又は一部)は、第1のトランジスタT1に接続され、接続電極500の他端(又は他の部分)は、発光素子EDに接続され得る。接続電極500は、アルミニウム(Al)を含むことができる。
【0087】
発光素子EDは、順次に積層された第1の電極610、発光層620及び第2の電極630を含むことができる。第1の電極610は、アノード電極であり、第2の電極630は、カソード電極であり得る。
【0088】
発光素子EDの第1の電極610は、第2の平坦化層162上に配置することができる。第1の電極610は、第2の平坦化層162に設けられたホールを介して、接続電極500に接続され、接続電極500を介して、第1のドレイン電極330Dと電気的に接続され得る。第1の電極610は、発光層620に正孔を供給し、仕事関数の高い導電性物質からなることができる。
【0089】
有機発光表示装置が、上部発光方式(Top emission)である場合、第1の電極610は、光を反射する反射電極として不透明な導電性物質を用いて配置することができる。例えば、第1の電極610は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、又はこれらの合金のうち少なくとも1つ以上で形成することができる。例えば、第1の電極610は、銀(Ag)/鉛(Pb)/銅(Cu)の3層構造からなることができ、これに限定されない。
【0090】
第1の電極610及び第2の平坦化層162上にバンク層170を配置することができる。バンク層170は、複数のサブピクセルを区分けることができ、光滲み現象を減らし、様々な視野角で生じる混色を防止するか、又は減らすことができる。バンク層170は、発光領域と対応する第1の電極610を露出させるバンクホールを有することができる。
【0091】
バンク層170は、窒化シリコン(SiNx)又は酸化シリコン(SiOx)などの無機絶縁物質、又はBCB(BenzoCycloButene)、アクリル系樹脂(Acryl resin)、エポキシ樹脂(Epoxy resin)、フェノール樹脂(Phenolic resin)、ポリアミド系樹脂(Polyamide resin)、又はポリイミド系樹脂(Polyimide resin)などの有機絶縁物質のうち少なくとも1つ以上の物質からなることができ、これらに限定されない。
【0092】
バンク層170上にスペーサ172をさらに配置することができる。スペーサ172は、発光素子EDが形成された基板110と、上部基板との間の空隙を緩衝させ、外部からの衝撃から有機発光表示装置が破損することを減らすことができる。スペーサ172は、バンク層170と同じ材料で形成することができ、バンク層170と同時に形成することができ、これに限定されない。
【0093】
第1の電極610及びバンク層170上に、発光層620を配置することができる。発光層620は、特定の色の光を発光するために、赤色有機発光層、緑色有機発光層、青色有機発光層、又は白色有機発光層のうち1つを含むことができる。発光層620が白色有機発光層を含む場合、発光素子EDの上部に、白色有機発光層からの白色光を他の色の光に変換するためのカラーフィルタを配置することができる。また、発光層620は、有機発光層の他に、正孔注入層(Hole injection layer)、正孔輸送層(Hole transport layer)、電子輸送層(Electron transport layer)、及び電子注入層(Electron transport layer)などをさらに含んでもよく、これに限定されるものではない。
【0094】
発光層620上に第2の電極630を配置することができる。第2の電極630は、発光層620に電子を供給し、仕事関数の低い導電性物質からなることができる。
【0095】
発光表示装置が、上部発光方式(Top emission)である場合、第2の電極630は、光を透過する透明な導電性物質を用いて配置することができる。例えば、インジウムチンオキシド(Indium Tin Oxide、ITO)、及びインジウムジンクオキシド(Induim Zinc Oxide;IZO)のうち少なくとも1つ以上で形成されてもよく、これらに限定されない。
【0096】
また、光を透過する半透明の導電性物質を用いて配置することができる。例えば、LiF/Al、CsF/Al、Mg:Ag、Ca/Ag、Ca:Ag、LiF/Mg:Ag、LiF/Ca/Ag、及びLiF/Ca:Agなどの合金のうち少なくとも1つ以上で形成することができ、これに限定されない。
【0097】
発光素子EDの第2の電極630上に封止層180を配置することができる。封止層180は、外部の水分、酸素、又は異物から発光素子EDを保護することができる。例えば、発光物質と電極物質の酸化を防止するか、又は減らすために、外部からの酸素や水分の浸透を防止するか、又は減らすことができる。このような封止層180は、1層であってもよいが、複数の層であってもよい。
【0098】
例えば、封止層180が複数の層からなる場合、封止層180は、1つ以上の無機封止層と、1つ以上の有機封止層とを含むことができる。具体的な例として、封止層180は、順次に積層された第1の封止層181、第2の封止層182、及び第3の封止層183を含むことができる。ここで、第2の封止層182は、第1の封止層181と、第3の封止層183との間に位置することができる。
【0099】
第1の封止層181及び第3の封止層183は、窒化シリコン(SiNx)、酸化シリコン(SiOx)又は酸化アルミニウム(AlyOz)のうち少なくとも1つ以上の無機物からなってもよく、これらに限定されない。第1の封止層181及び第3の封止層183は、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition;CVD)又は原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition;ALD)等の真空成膜法を用いて形成することができ、これに限定されるものではない。
【0100】
第2の封止層182は、製造工程で発生し得る異物又はパーティクル(particle)をカバーすることができる。また、第2の封止層182は、第1の封止層181の表面を平坦化することができる。例えば、第2の封止層182は、パーティクルカバー層であり、用語に限定されない。
【0101】
第2の封止層182は、有機物、例えば、シリコンオキシカーボン(SiOCz)、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、ポリエチレン(polyethylene)、アクリレート(acrylate)系などの高分子(polymer)であってもよく、これに限定されるものではない。第2の封止層182は、熱又は光によって硬化する熱硬化性物質又は光硬化性物質からなることができる。
【0102】
封止層180上に、複数のタッチセンサ層710、720を配置することができる。
【0103】
複数のタッチセンサ層170、720は、Y軸方向に延びる複数の第1のタッチラインY-TELと、第1のタッチラインY-TELと接触することなく、交差するように、X軸方向に延びる複数の第2のタッチラインX-TELを含む。
【0104】
このような複数の第1のタッチラインY-TEL及び複数の第2のタッチラインX-TELを配置するために、封止層180上にタッチバッファ層190が配置され、タッチバッファ層190上に第1のタッチセンサ層710が配置され、タッチバッファ層190上に第1のタッチセンサ層710を覆うタッチ絶縁層191が配置され、タッチ絶縁層191上に第2のタッチセンサ層720が配置され得る。
【0105】
第1のタッチセンサ層710は、例えば、複数の第1のタッチラインY-TELの複数の第1のタッチ電極Y-TE及び複数の第1のブリッジY-BRと、複数の第2のタッチラインX-TELの複数の第2のブリッジX-BRを含み、第2のタッチセンサ層720は、複数の第2のタッチラインX-TELの複数の第2のタッチ電極X-TEを含む。第2のブリッジX-BRは、タッチ絶縁層191を貫通するタッチコンタクトホールを介して露出され、第2のタッチ電極X-TEと電気的に接続される。
【0106】
タッチバッファ層190及びタッチ絶縁層191は、シリコン酸化物(SiOX)又は/及びシリコン窒化物(SiNX)などの無機絶縁物で形成することができる。タッチバッファ層190は、第1、第2のタッチセンサ層710、720の製造工程で用いられる薬液(現像液又はエッチング液等)又は外部からの水分等が、有機物を含む発光素子層EDに浸透するのを遮断することができる。また、タッチバッファ層190の上部に配置される第1、第2のタッチセンサ層710、720が、外部の衝撃による断線の問題を防止することができ、第1、第2のタッチセンサ層710、720の駆動時に発生し得る干渉信号を遮断することができる。
【0107】
平坦化層、即ち、タッチ平坦化層192は、タッチ絶縁層191上に、第2のタッチセンサ層720を覆うように配置することができる。タッチ平坦化層192は、BCB(BenzoCycloButene)、アクリル系樹脂(Acryl resin)、エポキシ樹脂(Epoxy resin)、フェノール樹脂(Phenolic resin)、ポリアミド系樹脂(Polyamide resin)、又はポリイミド系樹脂(Polyimide resin)などの有機絶縁物質のうち少なくとも1つ以上の物質から形成することができ、これに限定されない。
【0108】
図4は、本開示の実施形態による有機発光表示装置の表示領域DA及びパッド領域PAを示す断面図である。
【0109】
図4を参照すると、基板110のパッド領域PAに表示パッドDPADを配置することができる。
図4には示していないが、表示パッドDPAD上には、駆動ICを実装することができる。
【0110】
表示パッドDPADは、第1のパッド電極322及び第2のパッド電極722を含むことができる。
【0111】
第1のパッド電極322は、表示領域DAの第1のトランジスタT1の第1のゲート電極320を形成する工程において、第1のゲート電極320と共に形成することができる。したがって、第1のパッド電極322は、第1のトランジスタT1の第1のゲート電極320と同じ層に同一物質で形成することができる。第1のトランジスタT1の第1のゲート電極320及び第1のパッド電極322は、第1のゲート絶縁層143上に配置され得る。
【0112】
パッド領域PAにおいて、第1のゲート絶縁層143上に、第1のパッド電極322を覆う第2の層間絶縁層150を配置することができる。第2の層間絶縁層150の下面は、第1のゲート絶縁層143の上面と接触することができる。第2の層間絶縁層150は、第2の無機絶縁層と呼ばれることがあり、第1のゲート絶縁層143は、第1の無機絶縁層140の上面を構成することができる。第2の無機絶縁層は、第1の無機絶縁層140の上面と接触することができる。第2の層間絶縁層150は、第1のパッド電極322の少なくとも一部を露出する開口部を含むことができる。
【0113】
パッド領域PAにおいて、第2の層間絶縁層150上にタッチ絶縁層191を配置することができる。タッチ絶縁層191は、第2の層間絶縁層150の開口部と接続される開口部を含むことができる。第2の層間絶縁層150及びタッチ絶縁層191は、第1のパッド電極322のエッジ(即ち、先端)を覆い、第1のパッド電極322の中央部を露出させることができる。
【0114】
タッチ絶縁層191上に第2のパッド電極722を配置することができる。第2のパッド電極722は、開口部を介して第1のパッド電極322に接続することができる。すなわち、第2のパッド電極722は、開口部において第1のパッド電極322と直接接触することができる。
【0115】
第2のパッド電極722は、表示領域DAに第2のタッチセンサ層720を形成する工程において、第2のタッチセンサ層720と共に形成することができる。したがって、第2のパッド電極722は、第2のタッチセンサ層720と同一物質で形成することができる。
【0116】
第1のパッド電極322の下部に、ダミーパッド電極224をさらに配置することができる。ダミーパッド電極224は、第1のパッド電極322と重なるように配置することができる。
【0117】
ダミーパッド電極224は、表示領域DAの第2のトランジスタT2の第2のゲート電極220を形成する工程において、第2のゲート電極220と共に形成することができる。したがって、ダミーパッド電極224は、表示領域DAの第2のトランジスタT2の第2のゲート電極220と同じ層に同一物質で形成することができる。ダミーパッド電極224は、遮光層222と同じ層に同じ物質で形成することができる。
【0118】
図5a~
図5dは、本開示の実施形態による有機発光表示装置を製造段階別に示す断面図である。
【0119】
図5aを参照すると、基板110上に下部バッファ層120を形成し、下部バッファ層120上に第2の半導体パターン210を形成する。
【0120】
下部バッファ層120は、第1の下部バッファ層121及び第2の下部バッファ層122を含むことができる。第1の下部バッファ層121と、第2の下部バッファ層122とは、同じ物質で同じ方法により形成することができる。第1の下部バッファ層121及び第2の下部バッファ層122は、表示領域DA及び非表示領域NDAを含む基板全体に形成することができる。第2の半導体パターン210は、第2のチャネル領域210a、第2のソース領域210b、及び第2のドレイン領域210cを含むことができる。第2のチャネル領域210aは、不純物がドープされていない半導体で構成することができる。第2のソース領域210b及び第2のドレイン領域210cは、半導体に3族又は5族の不純物イオンがドープされて導体化された領域であってもよい。
【0121】
第2の半導体パターン210が形成された下部バッファ層120の全面上に、シリコン酸化物(SiOX)又は/及びシリコン窒化物(SiNX)などの無機絶縁物を蒸着して、第2のゲート絶縁層130を形成する。第2のゲート絶縁層130は、その上部に形成される第2のゲート電極220と、第2の半導体パターン210とを電気的に絶縁する役割を果たすことができる。
【0122】
表示領域DAにおいて、第2のゲート絶縁層130上に第2のゲート電極220及び遮光層222を形成する。第2のゲート電極220は、第2のチャネル領域210a上に形成され、遮光層222は、その後に形成される第1のトランジスタT1の下部に形成され得る。
【0123】
表示領域DAに第2のゲート電極220が形成される反面、パッド領域PAには、ダミーパッド電極224が形成される。ダミーパッド電極224は、表示領域DAに第2のゲート電極220を形成する工程において、第2のゲート電極220と共に形成することができる。したがって、ダミーパッド電極224は、表示領域DAの第2のゲート電極220と同じ層に同一物質で形成することができる。
【0124】
第2のゲート電極220、遮光層222及びダミーパッド電極224は、金属物質で構成することができる。例えば、第2のゲート電極220、遮光層222及びダミーパッド電極224は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)及び銅(Cu)のうちいずれか又はそれらの合金からなる単層又は多層であってもよいが、これらに限定されない。
【0125】
図5bを参照すると、第2のゲート電極220、ダミーパッド電極222及びダミーパッド電極224が形成された第2のゲート絶縁層130上に、第1の無機絶縁層140を形成する。第1の無機絶縁層140は、表示領域DAと非表示領域NDAとを含む基板全体に形成することができる。
【0126】
第1の無機絶縁層140は、シリコン窒化物及び/又はシリコン酸化物を含む無機絶縁物が、単層又は複数層で蒸着されて形成されてもよい。例えば、第1の無機絶縁層140は、第1の層間絶縁層141と、中間バッファ層142と、第1のゲート絶縁層143とを含むことができる。
【0127】
第1の層間絶縁層141は、第2のゲート絶縁層130上に形成され、中間バッファ層142は、第1の層間絶縁層141上に形成され、中間バッファ層142上には、第1の半導体パターン310が形成され、第1のゲート絶縁層143は、第1の半導体パターン310が形成された中間バッファ層142上に形成される。
【0128】
第1のゲート絶縁層143は、上部に形成される第1のゲート電極320と、第1の半導体パターン310とを電気的に絶縁する役割を果たすことができる。第1のゲート絶縁層143は、シリコン酸化物(SiOX)又は/及びシリコン窒化物(SiNX)などの無機絶縁物を含むことができる。例えば、第1のゲート絶縁層143は、水素粒子を含むシリコン窒化膜を含むことができる。第1のゲート絶縁層143を形成した後、第1のゲート絶縁層143を熱処理する過程で、水素粒子が拡散して、第1の半導体パターン310に浸透することにより、第1の半導体パターン310を導体化して、第1のソース領域310a及び第1のドレイン領域310bを形成することができる。
【0129】
表示領域DAにおいて、第1のゲート絶縁層143上に第1のゲート電極320を形成する。表示領域DAに第1のゲート電極320が形成される反面、パッド領域PAに表示パッドの第1のパッド電極322が形成される。第1のパッド電極322は、表示領域DAに第1のゲート電極320を形成する工程において、第1のゲート電極320と共に形成することができる。したがって、表示パッドの第1パッド電極322は、表示領域DAの第1のゲート電極320と同じ層に同一物質で形成することができる。
【0130】
第1のゲート電極320及び第1のパッド電極322は、金属物質で構成することができる。例えば、第1のゲート電極320及び第1のパッド電極322は、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、金(Au)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)及び銅(Cu)のうちいずれか又はそれらの合金からなる単層又は多層であってもよいが、これらに限定されない。
【0131】
図5cを参照すると、第1のゲート絶縁層143上に第1のゲート電極320及び第1のパッド電極322を覆う第2の層間絶縁層150を形成する。第2の層間絶縁層150は、表示領域DAと非表示領域NDAとを含む基板全体に形成することができる。第2の層間絶縁層150は、シリコン酸化物(SiO
X)又は/及びシリコン窒化物(SiN
X)などの無機絶縁膜を単層又は複数層に蒸着して形成することができる。
【0132】
続いて、第1、第2のソース領域310b、210b及び第1、第2のドレイン領域310c、210cを露出させるホールを形成する。次に、ホールを介して、第1、第2のソース領域310b、210b及び第1、第2のドレイン領域310c、210cにそれぞれ接続される第1、第2のソース電極330S、230S及び第1、第2のドレイン電極330D、230Dを形成することができる。
【0133】
図示していないが、ベンディング領域の第2の層間絶縁層150、第1の無機絶縁層140、第2のゲート絶縁層130及び下部バッファ層120を除去する。
【0134】
続いて、表示領域DA及び非表示領域NDAを含む基板全体の上に、第1、第2のソース電極330S、230S及び第1、第2のドレイン電極330D、230Dを覆う第1の平坦化層161を形成する。
【0135】
第1の平坦化層161は、例えば、第1、第2のソース電極330S、230S及び第1、第2のドレイン電極330D、230D等の金属電極が形成された基板110上の一面を平坦化することができる。第1の平坦化層161は、感光性有機物質を含むことができる。第1の平坦化層161は、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリイミド(polyimide)などの有機絶縁物質で形成することができ、本明細書の実施形態は、これに限定されない。
【0136】
露光及び現像工程で、第1の平坦化層161をパターニングして、第1のドレイン電極330Dを露出するホールを形成する。前記ホールを形成するためのパターニング工程では、パッド領域PAの第1の平坦化層161を除去することができる。
【0137】
その後、ホールを介して第1のドレイン電極330Dに接続される接続電極500を形成する。接続電極500は、第1の平坦化層161上に金属物質を蒸着した後、写真エッチング工程を進行してパターニングすることにより形成することができる。接続電極500の材料として使用される金属物質は、アルミニウム(Al)を含むことができる。
【0138】
続いて、表示領域DA及び非表示領域NDAを含む基板全体に接続電極500を覆う第2の平坦化層162を形成する。第2の平坦化層162は、例えば、接続電極500などの金属電極が形成された基板110上の一面を平坦化することができる。
【0139】
第2の平坦化層162は、第1の平坦化層161と同じ物質で形成することができる。第2の平坦化層162は、感光性有機物質を含むことができる。第2の平坦化層162は、ポリアクリレート(polyacrylate)、ポリイミド(polyimide)の有機絶縁物質で形成することができる。
【0140】
露光及び現像工程で、第2の平坦化層162をパターニングして、接続電極500を露出するホールを形成する。前記ホールを形成するためのパターニング工程では、パッド領域PAの第2の平坦化層162を除去することができる。
【0141】
その後、ホールを介して接続電極500に接続される発光素子EDの第1の電極610を形成する。第1の電極610は、第2の平坦化層162上に金属物質を蒸着した後、写真エッチング工程で金属物質をパターニングして形成することができる。第1の電極610の材料として用いられる金属物質は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、クロム(Cr)、又はこれらの合金のうち少なくとも1つ以上で形成することができる。例えば、第1の電極610は、銀(Ag)/鉛(Pb)/銅(Cu)の3層構造からなることができ、これに限定されない。
【0142】
第1の電極610を形成するためのエッチング工程は、第1のパッド電極322が、第2の層間絶縁層150で覆われた状態で進行する。第1のパッド電極322を第2の層間絶縁層150で覆った状態で、金属物質をエッチングして第1の電極610が形成されるため、前記エッチング工程中にメタルスカム(metal scum)が発生しない。
【0143】
図5dを参照すると、表示領域DAの第2の平坦化層162上に、発光領域と対応する第1の電極610を露出させるバンクホールを有するバンク層170及びスペーサ172を形成し、バンク層170、スペーサ172及びバンクホールを介して露出した第1の電極610上に発光層620を形成し、発光層620上に第2の電極630を形成した後、表示領域DA上に発光素子EDを覆う封止層180を形成し、封止層180上にタッチバッファ層190を形成する。次に、表示領域DAのタッチバッファ層190上に第1のタッチセンサ層710を形成する。
【0144】
続いて、表示領域DAのタッチバッファ層190及びパッド領域PAの第2層間絶縁層150上にタッチ絶縁層191を形成する。タッチ絶縁層191は、酸化シリコン(SiO2)などの無機絶縁物で形成することができる。
【0145】
その後、表示領域DAのタッチ絶縁層191に、第1のタッチセンサ層710を露出するホールを形成する。表示領域DAのタッチ絶縁層191にホールを形成する工程では、パッド領域PAのタッチ絶縁層191に、第1のパッド電極322と重なる開口部を形成する。次に、タッチ絶縁層191の開口部の下部の第2の層間絶縁層150に、第1のパッド電極322の一部を露出する開口部を形成する。
【0146】
再び
図4を参照すると、表示領域DAに、ホールを介して第1のタッチセンサ層710と接続される第2のタッチセンサ層720を形成する。表示領域DAに第2のタッチセンサ層720が形成されると、パッド領域PAに表示パッドの第2のパッド電極722が形成される。第2のパッド電極722は、表示領域DAに第2のタッチセンサ層720を形成する工程において、第2のタッチセンサ層720と共に形成することができる。したがって、第2のパッド電極722は、表示領域DAの第2のタッチセンサ層720と同一物質で形成することができる。
【0147】
第2のタッチセンサ層720及び第2のパッド電極722は、金属物質で構成することができる。金属物質は、Al、Ti、Cu、Moなどの耐食性及び耐酸性が強く、導電性の良い金属を用いて、単層又は多層構造として形成することができる。例えば、金属物質は、Ti/Al/Ti又はMo/Al/Moなどの積層された3層構造として形成することができる。
【0148】
その後、表示領域DAのタッチ絶縁層191上に、第2のタッチセンサ層720を覆う平坦化層192を形成する。
【0149】
図6は、本開示の第1の実験例による有機発光表示装置のパッド領域の断面図である。
【0150】
図6を参照すると、第1の実験例による有機発光表示装置のパッド領域PAは、基板110、下部バッファ層120、第2のゲート絶縁層130、ダミーパッド電極224、第1の層間絶縁層141、第2の層間絶縁層150、第1のパッド電極332、第2のパッド電極722、第2の平坦化層162、タッチ絶縁層191及び第3のパッド電極510を含む。
【0151】
表示パッドDPAD′は、第1のパッド電極332、第2のパッド電極722、及び第3のパッド電極510から構成することができる。
【0152】
第1のパッド電極332は、表示領域DAに第1、第2のソース電極330S、230S及び第1、第2のドレイン電極330D、230Dが形成されるとき、第1、第2のソース電極330S、230S及び第1、第2のドレイン電極330D、230Dと共に形成することができる。第3のパッド電極510は、表示領域DAに接続電極500が形成されるとき、接続電極500と共に形成され得る。第2のパッド電極722は、表示領域DAに第2のタッチセンサ層720が形成されるとき、第2のタッチセンサ層720と共に形成され得る。
【0153】
第1の実験例による有機発光表示装置は、本開示の前述した実施形態と異なり、第1のパッド電極332を第1、第2のソース電極330S、230S及び第1、第2のドレイン電極330D、230Dと同じ層に形成し、第3のパッド電極510を接続電極500と同じ層に形成する。
【0154】
発光素子EDの第1の電極610と接続電極500とを接続するために、表示領域DAの第2の平坦化層162にホールを形成する工程において、パッド領域PAの第2の平坦化層162に、第3のパッド電極510を露出する開口部を形成する。接続電極500及び第3のパッド電極510を覆う第2の平坦化層162が、感光性有機物質で構成され、1回のパターニングのみが可能であるため、表示領域DAにホールを形成する工程において、パッド領域PAに開口部を形成する。
【0155】
第2の平坦化層162に、ホール及び開口部を形成した後、表示領域DAに発光素子EDの第1の電極610を形成するために、第2の平坦化層162上に金属膜を形成し、金属膜をパターニングするためのエッチング工程を実施するが、金属膜をエッチングする工程が、開口部を介して第3のパッド電極510が露出した状態で進行するので、第3のパッド電極510の材料として用いられる金属物質(例えば、Al)と、第1の電極610の材料として用いられた金属物質(例えば、Ag)との間のガルバニック効果(Galvanic effect)により、メタルスカム(metal scum)が発生し、このメタルスカムにより、発光素子EDの第1の電極610と、第2の電極630とがショート(short)されて、暗点不良が発生する可能性がある。
【0156】
一方、第1の実験例では、第3のパッド電極510の端を、第3のパッド電極510上部の第2の平坦化層162で覆う。第2の平坦化層162は、有機絶縁物質であり、第2の平坦化層162の下部に配置される第2の層間絶縁層150及び第2の平坦化層162の上部に配置されるタッチ絶縁層191は、無機絶縁物質であるため、第2の層間絶縁層150と第2の平坦化層162との間、及び第2の平坦化層162とタッチ絶縁層191との間の接着力が低く、浮きが発生し、絶縁層が浮き上がって発生する力によって、表示パッドDPAD′を構成するパッド電極332、510、722が剥離され、これにより、表示パッドDPAD′上に実装される駆動ICの信号が、表示領域に伝達できない不良が発生する可能性がある。
【0157】
図7は、第1の実験例による不良を示すSEM写真であり、
図8は、第2の実験例による不良を示すSEM写真である。
【0158】
図7は、第1のパッド電極332、第2のパッド電極722及び第3のパッド電極510を積層して、表示パッドDPAD′を構成した場合を示し、
図8は、第2のパッド電極722及び第3のパッド電極510を積層して、表示パッドDPAD″を構成した場合を示す。
【0159】
図7及び
図8を参照すると、第2の平坦化層162が、第1の層間絶縁層141から剥離して浮き上がる現象が発生し、第2の平坦化層162が浮き上がって発生する力によって、第2のパッド電極722が上方に押されると、第2のパッド電極722が、第3のパッド電極510から剥離する不良が発生することを確認することができる。
【0160】
再び
図4を参照すると、本開示の実施形態によれば、表示パッドの第1のパッド電極322を、第1のトランジスタT1の第1のゲート電極320と同じ層に形成し、第2のパッド電極322の端を、無機絶縁物質からなる第2の層間絶縁層150でクラッド(重畳及び直接接触)して、第1のパッド電極322の端をクラッドする絶縁層と、無機絶縁物からなる下部の第1のゲート絶縁層143及び上部のタッチ絶縁層191との接着力を高めることで、表示パッドDPADの周辺で、絶縁層が剥離して浮き上がることを防止することができる。これにより、表示パッドDPAD周辺の絶縁層が浮き上がって発生する力によって、表示パッドDPADのパッド電極が剥離する不良を防止し、表示パッドDPAD上に実装される駆動IC800の信号が、表示領域に伝達されない不良を防止することができる。
【0161】
また、表示パッドの第1のパッド電極322を、第1のトランジスタT1の第1のゲート電極320と同じ層に同一物質で形成し、第2の層間絶縁層150で第1のパッド電極322を覆った状態で、発光素子EDの第1の電極610を形成するためのエッチング工程を進めるので、第1の電極610を形成するためのエッチング工程中に、メタルスカム(metal scum)が発生することを防止することができ、メタルスカムにより、発光素子EDの第1の電極610と第2の電極630とがショートして、暗点不良が発生することを防止することができる。
【0162】
以上で説明した本明細書の実施形態による有機発光表示装置は、以下のように簡単に説明することができる。
【0163】
本明細書の実施形態は、表示領域及びパッド領域を含む基板上に配置された第1の無機絶縁層と、前記第1の無機絶縁層上に配置され、前記表示領域に位置する第1のトランジスタの第1のゲート電極及び前記パッド領域に位置する第1のパッド電極と、前記第1のゲート電極及び前記第1のパッド電極を覆い、前記第1のパッド電極の少なくとも一部を露出する開口部を有する第2の無機絶縁層と、前記表示領域における前記第2の無機絶縁層上に配置された有機絶縁層と、前記有機絶縁層上に配置された発光素子と、前記発光素子を覆う封止層と、前記封止層上に配置されたタッチセンサ層と、前記パッド領域における前記第2の無機絶縁層上に配置され、前記開口部を介して、前記第1のパッド電極に接続される第2のパッド電極と、及び前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極とを含む表示パッドを含む有機発光表示装置を提供することができる。
【0164】
本明細書の実施形態により、前記基板上に配置された第2のトランジスタをさらに含み、前記第1の無機絶縁層は、前記第2のトランジスタの第2のゲート電極を覆う第1の層間絶縁層と、前記第1の層間絶縁層上に配置されたバッファ層と、前記バッファ層上に配置された前記第1のトランジスタのゲート絶縁層を含む有機発光表示装置とを提供することができる。
【0165】
本明細書の実施形態により、前記第2の無機絶縁層は、前記第1のトランジスタのゲート絶縁層と接触する有機発光表示装置を提供することができる。
【0166】
本明細書の実施形態により、前記第1のパッド電極と重なるダミーパッド電極をさらに含み、前記ダミーパッド電極は、前記第2のゲート電極と同じ層に同一物質からなっている有機発光表示装置を提供することができる。
【0167】
本明細書の実施形態により、前記第2のパッド電極は、前記タッチセンサ層と同じ層に同じ物質からなっている有機発光表示装置を提供することができる。
【0168】
本明細書の実施形態により、前記表示領域における前記封止層上に配置されたタッチバッファ層と、前記表示領域の前記タッチバッファ層及び前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層上に配置されたタッチ絶縁層とをさらに含み、前記タッチセンサ層及び前記第2のパッド電極は、前記タッチ絶縁層上に配置され、前記タッチ絶縁層は、前記第2の無機絶縁層の開口部と接続された開口部を有する有機発光表示装置を提供することができる。
【0169】
本明細書の実施形態は、表示領域とパッド領域とを含む基板;前記基板上に配置された第1の無機絶縁層と、前記パッド領域における前記第1の無機絶縁層上に配置された第1のパッド電極と、前記第1の無機絶縁層及び前記第1のパッド電極上に配置され、前記第1のパッド電極の少なくとも一部を露出する開口部を有する第2の無機絶縁層と、前記第2の無機絶縁層上に配置され、前記開口部を介して、前記第1のパッド電極と接続された第2のパッド電極と、前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極を含む表示パッドを含む有機発光表示装置を提供することができる。
【0170】
本明細書の実施形態により、前記第2の無機絶縁層の下面と、前記第1の無機絶縁層の上面とが接触する有機発光表示装置を提供することができる。
【0171】
[171]本明細書の実施形態により、前記表示領域における前記第1の無機絶縁層及び前記第2の無機絶縁層との間に配置された第1のトランジスタの第1のゲート電極;前記第2の無機絶縁層上に配置された有機絶縁層と、前記有機絶縁層上に配置された発光素子と、前記発光素子を覆う封止層と、前記封止層上に配置されたタッチセンサ層とをさらに含む有機発光表示装置を提供することができる。
【0172】
本明細書の実施形態により、前記第1のパッド電極は、前記第1のゲート電極と同じ層に同一物質からなっている有機発光表示装置を提供することができる。
【0173】
本明細書の実施形態により、前記第2のパッド電極は、前記タッチセンサ層と同じ物質からなっている有機発光表示装置を提供することができる。
【0174】
本明細書の実施形態により、前記表示領域における第1の無機絶縁層の下部に配置された第2のトランジスタの第2のゲート電極と、及び前記パッド領域における第1のパッド電極の下部に配置され、前記第1のパッド電極と重なるダミーパッド電極をさらに含み、前記ダミーパッド電極は、前記第2のゲート電極と同じ層に同一物質からなっている有機発光表示装置を提供することができる。
【0175】
本明細書の実施形態により、前記第1の無機絶縁層は、前記表示領域及び前記パッド領域の前記基板上に配置され、前記第2のゲート電極を覆う第1の層間絶縁層と、前記第1の層間絶縁層上に配置されたバッファ層と、前記バッファ層上に配置された前記第1のトランジスタのゲート絶縁層を含む有機発光表示装置を提供することができる。
【0176】
本明細書の実施形態により、前記表示領域の前記封止層上に配置されたタッチバッファ層と、前記タッチバッファ層及び前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層上に配置され、前記第2の無機絶縁層の開口部に接続された開口部を有するタッチ絶縁層とをさらに含み、前記タッチセンサ層及び前記第2のパッド電極は、前記タッチ絶縁層上に配置される有機発光表示装置を提供することができる。
【0177】
本明細書の実施形態による有機発光表示装置の製造方法は、表示領域とパッド領域とを含む基板上に配置された第1の無機絶縁層を形成する段階と、前記表示領域の前記第1の無機絶縁層上に、第1のゲート電極を形成し、前記パッド領域の前記第1の無機絶縁層上に、第1のパッド電極を形成する段階と、前記第1の無機絶縁層上に、前記第1のゲート電極及び前記第1のパッド電極を覆う第2の無機絶縁層を形成する段階と、前記表示領域の前記第2の無機絶縁層上に、有機絶縁層を形成する段階と、前記有機絶縁層上に発光素子を形成する段階と、前記発光素子を覆う封止層を形成する段階;前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層に、前記第1のパッド電極の少なくとも一部を露出する開口部を形成する段階と、前記表示領域の前記封止層上にタッチセンサ層を形成し、前記パッド領域の前記第2の無機絶縁層上に、前記開口部を介して前記第1のパッド電極に接続される第2のパッド電極を形成する段階を含む、有機発光表示装置の製造方法を提供することができる。
【0178】
本明細書の実施形態により、前記発光素子を形成する段階において、前記第1のパッド電極が、前記第2の無機絶縁層で覆われている、有機発光表示装置の製造方法を提供することができる。
【0179】
本明細書の実施形態により、前記封止層を形成した後に、前記第2の無機絶縁層に開口部を形成する前に、前記封止層上にタッチバッファ層を形成する段階と、前記タッチバッファ層上にタッチ絶縁層を形成する段階と、前記第1のパッド電極の上部の前記タッチ絶縁層に開口部を形成する段階とをさらに含み、前記第2の無機絶縁層の開口部を、前記タッチ絶縁層の開口部の下部に形成する、有機発光表示装置の製造方法を提供することができる。
【0180】
本明細書の実施形態によれば、表示パッドのパッド電極を、第1のトランジスタ(駆動トランジスタ)のゲート電極と同じ層に構成し、第1のトランジスタのゲート電極の上部の無機絶縁層で表示パッドのパッド電極を覆った状態で、発光素子のアノード電極をパターニングすることにより、アノード電極をパターニングする工程中に、メタルスカムが生成することを防止することができ、メタルスカムにより、発光素子のアノード電極とカソード電極とが短絡して発生する暗点不良を防止できる有機発光表示装置及びその製造方法を提供できる効果がある。
【0181】
本明細書の実施形態によれば、パッド電極の上部及び下部に、無機絶縁層を配置することにより、パッド電極の周辺で絶縁層間の浮き上がりを防止することができ、絶縁層が浮き上がって発生する力によって、表示パッドのパッド電極が剥離することを防止することで、パッド電極が剥離することにより、表示パッド上に実装される駆動ICの信号が、表示領域に伝達できない不良が発生することを防止できる有機発光表示装置及びその製造方法を提供することができる効果がある。
【0182】
以上の説明は、本開示の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本開示が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本開示の本質的な特性から逸脱しない範囲で、様々な修正及び変形が可能であろう。また、本開示に示された実施形態は、本開示の技術思想を限定するものではなく、説明するためのものであるので、これらの実施形態によって本開示の技術思想の範囲が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0183】
110 基板
120 下部バッファ層
130 第2のゲート絶縁層