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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106975
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】制動力監視装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 15/00 20060101AFI20240801BHJP
   G05B 9/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B30B15/00 E
G05B9/02 E
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024006106
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】10 2023 102 076.5
(32)【優先日】2023-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ボーデ
(72)【発明者】
【氏名】ライムント イエーガー
【テーマコード(参考)】
5H209
【Fターム(参考)】
5H209AA06
5H209BB09
5H209CC01
5H209DD05
5H209HH04
5H209JJ01
5H209JJ07
5H209JJ09
(57)【要約】
【課題】相対的に移動可能であり、かつ定められた作動間隔で駆動装置(22)によって互いに向かって移動する2つの機械部品(16、18)を備えた技術システム(12)の駆動装置(22)の制動力監視および安全関連のロック、特にスイッチオフ、のための装置(10)。
【解決手段】装置(10)は、駆動装置(22)の駆動軸(24)に結合されたエンコーダ(50)からエンコーダ信号を受信するための入力(40)と、エラー信号、特に駆動装置を停止するためのスイッチオフ信号、を出力するための出力(44)とを有する第1のコントローラ(36)を備える。第1のコントローラ(36)は、駆動軸(24)に結合されたブレーキ(14)が、その可能な限り最大の制動力で駆動装置(22)の駆動軸(24)に作用するときに、エンコーダ信号から加速度の値を決定し、決定された値が第1のコントローラ(36)に記憶された制限値を超える場合、安全に関連した方法で駆動装置(22)をロックする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に移動可能であり、かつ定められた作動間隔で駆動装置(22)によって互いに向かって移動する2つの機械部品(16、18)を備えた技術システム(12)の前記駆動装置(22)の制動力監視および安全関連のロック、特にスイッチオフ、のための装置(10)であって、
前記駆動装置(22)の駆動軸(24)に結合されたエンコーダ(50)からエンコーダ信号を受信するための入力(40)と、エラー信号、特に前記駆動装置を停止するためのスイッチオフ信号、を出力するための出力(44)とを有する第1のコントローラ(36)を備え、
前記第1のコントローラ(36)は、前記駆動軸(24)に結合されたブレーキ(14)が、その可能な限り最大の制動力で前記駆動装置(22)の前記駆動軸(24)に作用するときに、前記エンコーダ信号から加速度の値を決定し、前記決定された値が前記第1のコントローラ(36)に記憶された制限値を超える場合、安全に関連した方法で前記駆動装置(22)をロックするように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第1のコントローラ(36)は、さらに、前記加速度の決定された値と前記記憶された制限値との差を決定し、この差を出力するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のコントローラ(36)は、総停止時間を決定するために、前記技術システム(12)および前記第1のコントローラ(36)のうち少なくとも1つの1つまたは複数のさらなるパラメータを決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記さらなるパラメータの1つは、停止信号の信号伝搬時間またはブレーキバルブの切り替え時間であることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のコントローラ(36)に結合可能な第2のコントローラ(64)を備え、1つまたは複数の故障検出手段を提供することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記1つまたは複数の故障検出手段は、前記第1のコントローラ(36)の制限値検出手段の少なくとも1つのサイクルテストを含むことを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のコントローラ(64)は、前記第1のコントローラ(36)に周期的に信号を送信するように構成され、それにより、前記制限値を超えたと前記第1のコントローラ(36)が見なすように、前記第1のコントローラ(36)は、定められた計算規則によって前記記憶された制限値を変更することを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のコントローラ(64)は、特に、2つの独立した処理チャネルを提供する2つの相互に冗長な処理ユニット(70A、70B)を備えたマルチチャネル冗長設計を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のコントローラ(36)は、ミリ秒以下毎に、前記駆動軸(24)の少なくとも1つの角度位置をエンコーダ信号として検出するように構成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のコントローラ(36)は、前記エンコーダ信号をシングルチャネル方式で処理する標準コントローラであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
相対的に移動可能であり、かつ定められた作動間隔で駆動装置(22)によって互いに向かって移動する2つの機械部品(16、18)を備えた技術システム(12)の前記駆動装置(22)の制動力監視および安全関連のロック、特にスイッチオフ、のための方法(100)であって、前記方法は、
・第1のコントローラ(36)の入力(38)において、前記駆動装置(22)の駆動軸(24)に結合されたエンコーダ(50)からエンコーダ信号を受信し、
・前記第1のコントローラ(36)による前記エンコーダ信号の処理に基づいて、前記第1のコントローラ(36)の出力(44)で、エラー信号、特に前記駆動装置(22)を停止するためのスイッチオフ信号、を出力することを含み、
前記第1のコントローラ(36)は、前記駆動軸(24)に結合されたブレーキ(14)が、その可能な限り最大の制動力で前記駆動装置(22)の前記駆動軸(24)に作用するときに、前記エンコーダ信号から加速度の値を決定し、前記決定された値が前記第1のコントローラ(36)に記憶された制限値を超える場合、安全に関連した方法で前記駆動装置(22)をロックすることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、相対的に移動可能であり、かつ定められた作動間隔で駆動装置によって互いに向かって移動する2つの機械部品を備えた技術システムの駆動装置の制動力監視および安全関連のロック、例えば、スイッチオフ、のための装置に関する。さらに、本開示は、対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術システムは、曲げプレス機、機械式プレスブレーキ、パンチングマシン、または切断機といった、ワークを形成するための工作機械である場合があり、2つの機械部品がそれらの間に挿入されたワークを形成するために互いに向かって移動する。言うまでもなく、そのような機械は、特に、挿入作業、つまり未加工部品を挿入したり完成部品を取り外したりするためのツールへの介入が操作員によって手動で行われる場合、操作員に高いリスクをもたらす可能性がある。
【0003】
したがって、この種の技術システムを安全に操作するために、責任当局によって規格に規定されている様々な要件を満たさなければならない。複雑な技術システムの場合、包括的な保護を確保するためには、通常、様々な個別の規格の要件を考慮する必要がある。ヨーロッパでは、例えば、機械だけでなくリスクアセスメントやリスク軽減のための一般的な設計原理が含まれる規格DIN EN ISO 12100「機械の安全性」が常にすべての機械に適用されなければならない。プレス機の場合、例えば、偏心プレス機の場合の規格DIN EN ISO 16092-2といった、特定の安全要件を定義するさらなる個別の規格を考慮しなければならない。さらに、自動モードのプレス機に対する特定の要件をさらに規定している個別の規格DIN EN ISO 13849-1「制御システムの安全関連部」も、安全な機械制御のために参照されなければならない。
【0004】
プレス機に対する1つの特定の安全要件は、例えば、ブレーキの性能の継続的な監視(制動力監視)である。適切な動作中、プレス機は、作業サイクル(作動間隔)の終わりに上死点(OTP)、通常は駆動軸の0°位置、で停止すべきであり、それにより、定められたオーバーラン(遅延停止)、例えば、15°のオーバーランが許可される。プレス機が規格(オーバーラン監視)に規定されたオーバーランを超える場合、プレス機は安全にロックされなければならない。
【0005】
最近のプレス機の性能の向上により、特に毎分ストローク数に関しては、オーバーランを測定することが常に実用的であるとは限らず、規格に明記される規定は、ブレーキの実際の劣化を効果的に検出できるほど十分な信頼性がない。
【0006】
例えば、一部のプレス機では、各作動間隔の終了時の監視は、測定技術の観点から不可能であり、プレス機が実際に停止したときのみ可能である。さらに、監視は、プレス機がOTPで停止するときのみ規格に記載されているが、プレス機は、セットアップ中やメンテナンス中など、他の動作モードでOTP以外の場所で停止することもある。
【0007】
さらに、最近のプレス機はサイクル数が多いため、典型的なカムシャフトの代わりに電子カムシャフトが使用されるが、規格に規定される方法でのオーバーラン監視が不可能である。また、高速では、エンコーダからの値は、超高速コントローラ(制御ユニット)によってのみ記録および処理することができ、規定されるように、安全機能のために、これらの機能を持たない標準のコントローラよりも処理速度が遅い特別な安全コントローラによっては記録および処理することができない。したがって、公知の安全装置は、最近のプレス機に簡単に適合させることができない。
【0008】
プレス機用のコントローラはまた、ブレーキのスイッチオフ点、つまり進角、をそれぞれの速度に適合させるように構成されていることが多い。プレス機がOTPで正確に停止するようにするために、例えば、コントローラは、OTPでの各停止でOTPからの偏差を決定し、これに基づいて、ブレーキのスイッチオフ角度、つまり進角を修正できるため、プレス機は次の停止で再びOTPで停止する。しかしながら、カットオフ角度の動的な調整は、ゆっくりとしたブレーキ摩耗がオーバーラン監視を介して検出されるのを妨げる。
【0009】
別の問題は、DIN EN ISO 16092-2規格に記載されている監視手順は、特に、ライトカーテンなどの電気的検知保護設備(ESPE)を使用する際に安全距離を決定するために考慮しなければならないプレス機の総停止時間を考慮していないことである。しかしながら、総合的な安全性評価にはプレス機の総停止時間を考慮することが望ましいであろう。
【0010】
さらに、他の条件が総停止時間に影響を与える可能性があり、例えば、一般的な空気圧は、ブレーキシリンダの空気抜きにかかる時間に影響を与え、その結果、総停止時間を変えることになる。これらの条件は、ブレーキの実際の制動力(性能)に直接関係することなく、総停止時間と、それに関連する機械のオーバーランに影響を与える可能性がある。
【0011】
最後に、規格によって求められる最大オーバーラン角度(例えば、15°)は、プレス機の最高速度に関係している。最高速度よりも低い速度は、同じ摩耗でもオーバーランが少なくなる。その結果、ブレーキの摩耗は、高速では重要となる可能性があるが、低速ではオーバーラン監視によって検出することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような背景に対して、本開示は、上述の問題を考慮して回避する、上述した種類の改良された装置を提供することを目的とする。信頼性があり、影響を受けない制動力監視を可能にする上述した種類の装置を特定することを目的とする。さらに、本開示は、ストローク数および/またはサイクル数が多い機械であっても、安全ロックを確実に確保できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一態様によれば、この目的は、相対的に移動可能であり、かつ定められた作動間隔で駆動装置によって互いに向かって移動する2つの機械部品を備えた技術システムの駆動装置の制動力監視および安全関連のロック、特にスイッチオフ、のための装置によって解決され、装置は、駆動装置の駆動軸に結合されたエンコーダからエンコーダ信号を受信するための入力と、エラー信号、特に駆動装置を停止するためのスイッチオフ信号、を出力するための出力とを有する第1のコントローラを備え、第1のコントローラは、駆動軸に結合されたブレーキが、その可能な限り最大の制動力で駆動装置の駆動軸に作用するときに、エンコーダ信号から加速度の値を決定し、決定された値が第1のコントローラに記憶された制限値を超える場合、安全に関連した方法で駆動装置をロックするように構成されている。
【0014】
本開示のさらなる態様によれば、この目的はさらに、相対的に移動可能であり、かつ定められた作動間隔で駆動装置によって互いに向かって移動する2つの機械部品を備えた技術システムの駆動装置の制動力監視および安全関連のロック、特にスイッチオフ、のための方法によって達成され、方法は、
・第1のコントローラの入力において、駆動装置の駆動軸に結合されたエンコーダからエンコーダ信号を受信し、
・第1のコントローラによるエンコーダ信号の処理に基づいて、第1のコントローラの出力で、エラー信号、特に駆動装置を停止するためのスイッチオフ信号、を出力することを含み、
第1のコントローラは、駆動軸に結合されたブレーキが、その可能な限り最大の制動力で駆動装置の駆動軸に作用するときに、エンコーダ信号から加速度の値を決定し、決定された値がコントローラに記憶された制限値を超える場合、安全に関連した方法で駆動装置をロックする。
【0015】
したがって、ブレーキの実際の制動力を監視すること(制動力監視)によって、プレス機やパンチングマシンなどの技術システムの駆動装置の安全関連のロックを実行することが本開示の思想である。これは、駆動装置および/または機械をロックするためのしきい値がオーバーラン角度に関係するのではなく、実際の制動力を表す値または関数に関係することを意味する。
【0016】
コントローラは、駆動装置の駆動軸に結合されたエンコーダから位置値(角度位置)を受信することと、一次導関数を介して受信した位置値から駆動軸の速さ(速度)を、二次導関数を介してその加速度を決定することと、によって、実際の制動力を決定することができる。負の加速度は、駆動軸が減速している(つまり、ブレーキがかけられている)ことを意味する。
【0017】
駆動軸に作用するブレーキが、定められた期間内に利用可能な最大の制動力で作用すると仮定すると、決定された(負の)加速度は、ブレーキの制動力に直接対応する。機械式プレス機では、制動力は、ブレーキのスプリングアセンブリの力によってのみ決定されるため、通常、制動は常に可能な限り最大の制動力で実行される。換言すれば、機械式プレス機の場合、関連するブレーキが最大の制動力で作用する定められた期間は、駆動軸の負の加速度が測定される期間に対応する。したがって、機械式プレス機の速度を時間に対してプロットすると、制動プロセスは、負の勾配がブレーキの実際の制動力に対応する下降ランプとして表される。実際の制動力の値に基づいて、実際の制動力が定められた値を下回った場合、駆動装置の安全関連のロックをトリガーすることができる。したがって、駆動装置の安全関連のロックのトリガーは、オーバーラン角度ではなく、監視され、必要に応じてロックをトリガーする最小の制動ランプとすることができる。
【0018】
したがって、本開示にかかる安全関連のロックは、実際の制動力に直接関連付けられ、他の様々な要因にも依存する可能性のあるオーバーラン角度などの制動力から間接的に導き出される値に関連付けられない。例えば、本開示に従って決定される制動力は、現在の空気圧とは無関係である。なぜなら、現在の空気圧は、ブレーキが開放される(ブレーキシリンダの空気抜きをする)ときのみ関係するため、オーバーランに影響を与えるが、実際の制動力には影響を与えないからである。
【0019】
提案された実際の制動力の監視では、監視は、OTPといった特定の場所に対して行われるのではなく、制動プロセスにのみ基づくため、作動間隔のどの時点でブレーキをかけるかも無関係である。したがって、機械が、OTP以外の箇所での停止を必要とする別の動作モードで動作している場合も、例えば、機械のセットアップ時またはメンテナンス時も、監視は可能である。提案された監視によれば、制動力が特定のしきい値を下回った場合、これらの動作モードで安全関連のロックをトリガーすることもできる。これにより、これらの特別な動作モードであっても、操作員を制動力の低下によって起こり得る結果から効果的に保護する。
【0020】
したがって、駆動装置の安全関連のロックのための提案された装置は、規格で求められるような駆動装置のブレーキ性能の監視(制動力監視)を可能にし、同時に、オーバーラン監視にのみ基づいた他の監視手順よりも柔軟で多用途である。よって、上述した目的は完全に達成される。
【0021】
さらなる改良形態では、コントローラは、加速度の決定された値と記憶された制限値との差を決定し、この差を出力するように構成することができる。
【0022】
この改良形態によれば、ロック機構に加えて、ブレーキの摩耗制御を設定することが可能である。例えば、制動力の低下を検出し、適時にブレーキをメンテナンスまたは交換するために、さらなるしきい値を記憶させ、それを決定された差と比較することが考えられる。この装置は、実際の制動力から導き出される値ではなく、実際の制動力を決定するため、ブレーキが実際にもはや十分な力を持たなくなった場合にのみ摩耗が示される。これにより、ブレーキのメンテナンスおよび修理がより効果的かつ効率的になる。
【0023】
さらなる改良形態では、第1のコントローラは、総停止時間を決定するために、技術システムおよび/または第1のコントローラの1つまたは複数のさらなるパラメータを決定するように構成することができる。
【0024】
この改良形態によれば、コントローラは、総停止時間を決定するために、少なくとも1つのさらなるパラメータを決定する。総停止時間は、停止の信号伝達から停止対象部分が実際に停止するまでに要する時間である。総停止時間は、電気的検知保護設備の寸法決定に特に関係がある。装置によって決定される制動力は、総停止時間に影響を与える可能性のある要因である。好ましい設計に従って記録することもできる他のパラメータは、例えば、停止信号の信号実行時間またはブレーキバルブの切り替え時間である。総停止時間に関係するパラメータを個別に記録することにより、総停止時間をより正確に決定することができ、総停止時間が長くなる考えられる理由についてより差別化された言及をすることができる。
【0025】
さらなる改良形態では、装置は、第1のコントローラに結合することができる第2のコントローラを備え、故障検出措置を実行するために1つまたは複数の故障検出手段を提供することができる。
【0026】
したがって、この改良形態によれば、装置は、2つのコントローラを有することができる。第1のコントローラは、制動力監視に関係するエンコーダからの値を収集して評価するだけでなく、プロセス全体を制御することもできる。第1のコントローラによって実行される監視の機能は、第2のコントローラによって保証することができる。2つのコントローラ間で作業を分割する利点は、各コントローラを自身の作業のために構成することができることである。第1のコントローラは、高速の標準コントローラ(STコントローラ)とすることができ、例えば、エンコーダからミリ秒毎に1つの角度位置を記録して、それをしかるべく処理することができる。第2のコントローラは、フェールセーフ(FS)コントローラとすることができ、第1のコントローラよりも遅い処理速度で動作するが、フェールセーフ処理を可能にするフェールセーフ機能を有することができる。第2のコントローラのフェールセーフ機能は、マルチチャネル冗長データ処理および周期的なセルフテストまたは類似のものを含むことができる。2つのコントローラを備えた構成によって、作動間隔が非常に短い超高速システムにおいても、制動力を効果的かつ確実に監視することができる。2つのコントローラはまた、機能的に別個のユニットによって異なる作業が実行され、第1のコントローラに対応する少なくとも1つの第1のユニットが標準ユニットであり、第2のコントローラに対応する第2のユニットがフェールセーフ(FS)ユニットである、1つのハウジングに組み合わされた1つの総合的なコントローラとして構成することもできることが理解される。
【0027】
第2の(FS)コントローラの故障検出手段は、第1のコントローラの制限値検出手段の少なくとも1つのサイクルテストを含んでいてもよい。
【0028】
制限値検出手段の故障、つまり、決定された値を記憶された値と比較するとき、およびこれに基づいて反応を実行するときの故障は、確実かつフェールセーフな方法で検出されなければならない。これは、制限値検出手段を周期的にテストすることで達成することができる。
【0029】
さらなる改良形態では、第2のコントローラは、第1のコントローラに周期的に信号を送信するように構成することができ、それにより、制限値を超えたと第1のコントローラが見なすように、第1のコントローラは、定められた計算規則を使用して記憶された制限値を変更する。
【0030】
したがって、この改良形態によれば、第2のコントローラは、定められた間隔で第1のコントローラにテスト信号を送信して、テスト信号に対する第1のコントローラの反応を観察することで、第1のコントローラの制限値検出手段のテストを実行する。応答がない場合、例えば、第1のコントローラの定められた出力が遮断されていない場合、第2のコントローラは、第1のコントローラに代わって、技術システムの安全関連のロックを開始することができる。記憶された制限値を超えていると解釈されるように、第1のコントローラは、テスト信号を受信した後に、記憶された制限値を実際に置き換えるのではなく計算によってシフトすることで、テスト信号に基づいて、定められた反応を実行するように構成することができ、そこで、例えば、第1のコントローラの出力が切り替わる。テストは周期的に行われ、それにより、個々のテスト間の間隔(テスト間隔)は、互いに対して移動する機械部品の2つの作動間の間隔(作動間隔)より大きくすることができる。この構成によれば、例えば、EN ISO 13849-1規格のパフォーマンスレベルc カテゴリ2の安全要件など、高い保護カテゴリの全体的な要件を満たすために、第1のコントローラを、第2のコントローラによって効果的にテストすることができる。
【0031】
好適な改良形態では、第2のコントローラは、例えば、2つの独立した処理チャネルを提供する2つの相互に冗長な処理ユニットを備えたマルチチャネル冗長設計であってもよい。
【0032】
したがって、この改良形態によれば、第2のコントローラは、制御/プロセスデータのフェールセーフ記録、処理、および出力を確保するための手段を含む安全コントローラである。このようなコントローラにより、簡単かつ効果的なフェールセーフテストが可能になる。
【0033】
さらなる改良形態では、第1のコントローラは、ミリ秒以下毎に、駆動軸の少なくとも1つの角度位置をエンコーダ信号として検出するように構成することができる。
【0034】
この改良形態によれば、第1のコントローラは、ミリ秒以下毎にエンコーダデータ(つまり、位置データ)を記録することができる処理ユニットを備えた高速コントローラ、例えば、シングルチャネルコントローラとすることができる。規定の時間範囲内の位置データの高速記録および処理により、作動間隔が非常に短い超高速システムでも、十分な精度で速度と加速度を確実に決定する。したがって、この構成により、偏心プレス機などの超高速システムであっても、制動力の監視が可能になる。
【0035】
上述の特徴および以下に説明する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれの場合に示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせまたは単独でも使用できることが理解される。
【0036】
本発明の実施形態の例が図面に示され、以下の説明でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、制動力監視装置の一例の模式図である。
図2図2は、制動プロセスの速度-時間曲線である。
図3図3は、本開示にかかる制動力監視方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本開示にかかる制動力監視装置の一実施形態の模式図を示す。ここでは、装置全体を参照符号10で示す。
【0039】
装置10は、技術システム12のブレーキ14の制動力を監視するために、技術システム12に結合されている。技術システム12は、例えば、プレス機などの成形機械とすることができ、第1の機械部品16と第2の機械部品18は、機械部品16、18が接触するときにワーク20を変形させるために、互いに向かって移動する。機械部品16、18のうち少なくとも1つは、この目的のために駆動装置22によって作動される。駆動装置22は、例えば、クラッチ26およびフライホイール28を介して、駆動軸24を駆動する電気モータとすることができる。被駆動機械部品(ここでは、第1の機械部品16)は、回転する駆動軸24が第1の機械部品16を第2の機械部品18に対して横方向に移動させるように、駆動軸24に結合することができる。この目的のために、駆動軸24は、技術システム12の設計に応じて、クランク軸30または偏心軸とすることができ、またはそのような軸に結合することができる。
【0040】
したがって、駆動軸24の回転運動32は、第1の機械部品16の横方向の運動34に直接関係し、よって、技術システム12の作動間隔に直接関係する。作動間隔は、第1の機械部品16が初期位置から第2の機械部品18に向かって移動し、第2の機械部品18と係合し、初期位置に戻るサイクルを表す。初期位置は通常、第1の機械部品16が第2の機械部品18から最も離れた位置であり、上死点とも呼ばれる。上死点は、駆動軸24の0°位置を定めることもできる。
【0041】
駆動軸24はまた、ブレーキ14にも結合されている。ブレーキ14は、駆動軸24を減速させ停止させることができる。ブレーキ14およびクラッチ26は、ブレーキ・クラッチコンビネーションであってもよいが、本発明はそのようなコンビネーションに限定されない。種々の実施形態において、ブレーキ14は、作動間隔毎に一度、例えば、上死点で駆動軸24を停止させるように構成することができる。この文脈において、「停止」とは、駆動軸24の速度をゼロまで減速することを意味する。
【0042】
ブレーキ14は、ブレーキが作動するとブレーキライニング(摩擦パッド)を圧縮し、その結果生じる摩擦によって駆動軸24の動きを減速させるスプリングアセンブリを有することができる。そのようなブレーキ14を作動させた後、最大制動力で減速が行われる。ブレーキ14はこの特定の構成に限定されず、変形が考えられるのは言うまでもない。しかしながら、本開示にかかる制動力監視の目的では、定められた監視期間中にブレーキ14が最大制動力で動作することが重要である。
【0043】
装置10は、技術システム12に結合された少なくとも1つの第1のコントローラ36を有する。本実施形態では、第1のコントローラ36は、ハードウェアであり、入力40を有する入力モジュール38と、出力44を有する出力モジュール42と、処理ユニット48を有する処理モジュール46とを備えたモジュラー設計を有する。ここで示すように、モジュールは、制御キャビネットに設置可能な単一のハードウェアユニットにまとめることができる。しかしながら、コントローラ36の個々のモジュールは、技術システム12の近傍の現場に分散させ、通信チャネルを介して接続することもできる。以下に説明する監視に加えて、第1のコントローラ36は、技術システム12の他の制御作業を実行してもよいが、ここでは簡素化のために説明しない。
【0044】
ここに示す実施形態では、第1のコントローラ36は、主に、ブレーキ14の制動力を監視するために使用される。入力モジュール38の入力40は、駆動軸24上に配置されて、駆動軸24の回転運動32を監視するエンコーダ50に接続されている。エンコーダ50は、駆動軸24の位置データを角度位置の形で提供し、それを入力40を介して第1のコントローラ36に供給するロータリーエンコーダとすることができる。例えば、エンコーダ50は、ミリ秒毎に角度位置を決定し、提供してもよい。第1のコントローラ36は、連続的に角度位置値を読み込み、処理ユニット48は、提供された角度位置値から駆動軸24の速度(一次導関数)と加速度(二次導関数)を計算する。
【0045】
以下により詳細に説明するように、処理ユニット48は、決定された加速度から、ブレーキ14の現在の実際の制動力を推測する。決定された制動力が定められたしきい値を下回る場合、処理ユニット48はエラー信号を生成し、それに基づいて出力44を切り替えることができる。エラー信号が存在するときに駆動装置を停止するために、出力44は駆動装置22に結合することができる。例えば、出力44は、駆動装置22の電源54に位置するコンタクタ52に接続されていてもよく、駆動装置22は、コンタクタ52が出力44の信号によってオンになった場合にのみ電源54から電力を受け取る。したがって、駆動装置22は、出力44とコンタクタ52を介して停止することができ、駆動装置22の再始動を確実に防止することができる。駆動装置22は、コンタクタ52の電源が切断され、オフになると、フェールセーフな方法でロックされる。しかしながら、安全関連のロックは他の様々な方法で達成できることが理解される。
【0046】
処理ユニット48は、決定された加速度、例えば、その経時推移を観察することによって、ブレーキ14の現在の制動力を推測し、決定された加速度を制限値と連続的に比較する。例えば、処理ユニット48は、定められた期間にわたる加速度(制動ランプ)を観察し、この期間にわたる加速度の平均値を決定し、この値を、最小許容制動ランプ(勾配)に対する記憶された制限値と比較することができる。定められた期間は、ブレーキ14が最大の制動力で駆動軸24を減速する期間である。種々の実施形態において、定められた期間は、駆動軸の負の加速度を測定できる期間である。他の実施形態では、定められた期間は、別の方法で決定されてもよく、別の装置によって処理ユニット48に積極的に信号で通知してもよい。処理ユニット48が制動力の低下を検出すると、上述した駆動装置22の安全関連のロックをトリガーする。
【0047】
図2は、技術システム12の制動プロセスの速度-時間曲線の一例を示す。時間tが横軸56にプロットされ、角速度ωが縦軸58にプロットされている。図では、第1および第2の制動操作がそれぞれ、第1の曲線および第2の曲線によって示されている。第1の曲線60は、速い第1の出力速度ωでの制動プロセスを示し、第2の曲線62は、第1の出力速度ωよりも遅い第2の出力速度ωでの制動プロセスを示す。
【0048】
駆動軸24の速度ωおよびωは、最初は一定である。時間tにおいて、プレス機を停止する信号が技術システム12に供給されるとすぐに、技術システム12は、時間tにおいて信号伝搬遅延を伴ってブレーキ14のバルブをオフにする。バルブがブレーキを係合させたら、実際の制動プロセスが時間tに始まる。第1の初速度ωの場合、技術システム12はその動作を時間t3,0で停止する。第2の初速度ωの場合、技術システム12はその動作を時間t3,1で停止する。時間tから時間t3,0またはt3,1までの実際の制動プロセスの曲線は、制動ランプεおよびεを表し、どちらの場合もブレーキ14がかけられたことによって発生する。同じブレーキ14を使用する場合、初速度に関係なく、制動ランプεおよびεのそれぞれの勾配は同一である。異なる速度では、実際の停止時間t3,0およびt3,1のみが異なる。
【0049】
制動プロセス中にブレーキ14が最大の制動力で作用すると仮定すると、制動ランプεおよびεの勾配は、ブレーキ14の実際の制動力に直接対応し、それにより制動力は、初速度に関係なく、どちらの場合も同じである。
【0050】
また、破線は、より緩やかな勾配を有する2つの制動ランプε0,kおよびε1,kを示し、これらは、いずれの場合も臨界制動力に対応する。測定された制動ランプの勾配が臨界制動ランプの勾配を下回ると、ブレーキ14が整備または交換されブレーキが再びより急な勾配を有する制動ランプを示すまで、技術システム12はロックされなければならない。その結果、最小制動ランプの勾配の値を安全限界として使用し、測定された制動ランプの実際の勾配と比較して、安全関連のロックをトリガーすることができる。これにより、安全関連のロックは、ブレーキ14の実際の制動力に直接基づく。
【0051】
2つの臨界制動ランプε0,kおよびε1,kの勾配は同一であるため、安全関連のロックはどちらの場合も、ブレーキ性能が定められたレベルを下回ると行われる。したがって、技術システム12を減速した出力速度ωで動作させる場合でも、たとえ低出力速度ωでの停止時間(t4,1)が臨界値をまだ超えていなくても、高出力速度ω(t4,0)でそうであるように、制動力がある程度低下すると安全関連のロックが行われる。したがって、安全関連のロックは、実際の制動力から導き出される値ではなく、実際の制動力に正確に関連付けられ、異なるスイッチオフ動作を引き起こし得る。
【0052】
提案された手順による制動力の監視は、公知のオーバーラン監視システムと同様に、制限値検出であり、安全な制限値は、オーバーラン角度ではなく、最小制動ランプに基づいている。フェールセーフな制限値検出は、超高速の角速度で読み取られた角度位置の冗長処理によって直接達成することはできないため、第2のコントローラ64(図1)を設けることができ、第2のコントローラ64は、フェールセーフな方法で第1のコントローラ36の制限値検出手段を監視するように構成されている。例えば、第2のコントローラ64は、第1のコントローラ36の制限値検出手段のサイクルテストを実行してもよい。
【0053】
第2のコントローラ64は、安全コントローラとすることができ、これは、フェールセーフな方法で制御および/またはプロセスデータの記録、評価、および出力を提供することができる。第2のコントローラ64は、2つの別個の処理チャネルでの冗長処理を可能にするフェールセーフ装置を備えた2つのチャネルおよび2つのチャネルを継続的に同期させるテスト装置を有することができる。第2のコントローラ64は、第1のコントローラ36の制限値検出手段の機能を検証するために特別なテストを実行してもよい。
【0054】
そのようなテストのために、第2のコントローラ64は、入力/出力モジュール66を介して第1のコントローラ36に接続されていてもよく、また第2のコントローラ64は、定められた方法で第1のコントローラ36によって制限値検出手段を「操作」させるテスト信号を第1のコントローラ36に送信してもよい。例えば、テスト信号が第1のコントローラ36に印加されると、第1のコントローラ36は、記憶された制限値を計算によってシフトすることができ、その結果、第1のコントローラ36は、記憶された制限値を超えたかのように解釈し、これに応答して出力に作用する。第2のコントローラ64はこの出力に接続され、第1のコントローラ36が予想通りに応答するか否かを確認することができる。テストが失敗したら、第2のコントローラ64は、第1のコントローラ36に代わって、自身の出力モジュール68を介して技術システム12に作用することができる。一実施形態では、この目的のために、第2のコントローラ64は、第1のコントローラ36と同じ装置(コンタクタ52など)を使用することができる。
【0055】
2つの別個のコントローラ36、64を有することは、それぞれのコントローラをそれぞれの作業のために構成できるという利点を有する。例えば、第1のコントローラ36は、技術システム12が高速の場合でも監視に不可欠な値を正確に決定することができる高速処理ユニット48を備えていてもよい。次に、第2のコントローラ64は、フェールセーフテストを実行するように構成することができ、この目的のために、テストの並列かつ冗長な実行と評価を可能にする、より遅い処理ユニット70A、70Bを利用することができる。このようにして、高速の標準コントローラは、安全関連装置を補う必要はなく、既存の安全コントローラは、より高速の処理ユニットを備える必要もない。
【0056】
さらなる実施形態では、第1のコントローラ36および/または第2のコントローラ64は(存在する場合)、技術システム12のさらなるパラメータを決定し、監視することができる。他のパラメータは、例えば、停止信号の信号実行時間(図2では、tとtとの間の時間間隔)またはブレーキバルブの切り替え時間(図2では、tとtとの間の時間間隔)とすることができる。これらの値に基づいて、総停止時間を決定することが可能である。次に、これをさらなる安全関連の考慮すべき事項のために使用することができる。
【0057】
第1のコントローラ36が、記憶された制限値と実際の測定値との差を決定し、それをさらなる処理に利用できるようにすることも考えられる。この差に基づいて、例えば、摩耗インジケータを、例えば、ディスプレイ上での表示の形で、またはより上位のレベルの制御システムへのメッセージの形で実現することができる。摩耗インジケータは、ブレーキ14の制動力がセーフティクリティカルなレベルを下回り、技術システム12の予期せぬ停止につながる前に、ブレーキ14を整備または交換するために使用することができる。
【0058】
提案された装置10は、特に2つのコントローラを備えて設計されている場合、非常に高い安全カテゴリであっても、規格に準拠した制動力監視を独立して実現するために使用することができる。しかしながら、提案された装置10は、全体的な監視を改善するために、オーバーラン監視に基づく以前の監視システムを補うことも考えられる。
【0059】
最後に、図3は、本開示にかかる制動力監視方法の一実施形態のフローチャートを示す。この方法は、ここではその全体が参照符号100で示され、上述したような装置10上で実行することができる。
【0060】
この方法は、駆動装置の駆動軸に結合されたエンコーダからエンコーダ信号を受信するための入力と、駆動装置を停止するためのスイッチオフ信号などのエラー信号を提供するための出力とを備えた第1のコントローラを設けることから始まる(102)。
【0061】
これに続いて、制限値の周期的な監視が行われる。そうするために、第1のコントローラは、エンコーダからエンコーダ信号、好ましくは角度位置をミリ秒以下毎に受信する(104)。
【0062】
第1のコントローラは、継続的に記録された角度位置から駆動軸24の加速度の値を決定し、そこから現在の制動力の値を導き出す(106)。上で説明したように、決定された加速度は、現在の制動力の値を直接表してもよい。
【0063】
そして、第1のコントローラは、現在の制動力の値を、第1のコントローラに記憶されている最小制動力の制限値と比較する(108)。決定された制動力が最小制動力より大きい場合、第1のコントローラは、例えば、イネーブル信号によってこれを示し(110)、決定された制動力と最小制動力との比較を続ける(112)。測定された制動力が最小制動力より小さい場合、第1のコントローラは、技術システム12の安全関連のロックをトリガーする(114)。
【0064】
第1のコントローラは、ステップ110でイネーブル信号を出力し、ステップ112でその提供を禁止して、それぞれの所望の応答をトリガーしてもよい。
【0065】
好適な実施形態では、ステップ108の制限値検出手段の継続的なテストは、並行プロセスで実行することができる。この目的のために、第2のコントローラは、第1のコントローラにテスト信号を送信でき(116)、その後、制限値検出手段(108)は、第1のコントローラが制限値の超過を解釈するように、定められた方法で「操作」される。第2のコントローラは、テスト信号に対する第1のコントローラの反応を検出し(118)、これを予想と比較する(120)。第1のコントローラが予想通りに動作する場合、第2のコントローラは、一時停止し、定められたテスト間隔が経過した後にテストを再開する(122)。しかしながら、反応が予想された反応からそれる場合、第2のコントローラは、第1のコントローラに代わって技術システム12の安全関連のロックをトリガーする(114)。
【0066】
方法の説明は単なる例示であり、上述した方法の前、間、または最後にさらなるステップを追加できることが理解される。開示された装置の要素は、対応するハードウェアおよび/またはソフトウェア要素、例えば、適切な回路によって実現されてよいことも留意されたい。回路は、従来の回路要素、集積回路(特定用途向け集積回路、標準集積回路、特定用途向け標準製品、およびフィールドプログラマブルゲートアレイを含む)を含む電子部品の構造的な配置である。さらに、回路は、ソフトウェアコードに従ってプログラムまたは構成された中央処理装置、グラフィックス処理ユニット、およびマイクロプロセッサを含んでいてもよい。回路には、ソフトウェアを実行する上述のハードウェアが含まれているが、回路は純粋なソフトウェアではない。
【0067】
上記の例は、保護の範囲を限定しない単なる例として理解されるべきである。保護の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。
図1
図2
図3
【外国語明細書】
図1
図2
図3