IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オージー技研株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電気刺激装置 図1
  • 特開-電気刺激装置 図2
  • 特開-電気刺激装置 図3
  • 特開-電気刺激装置 図4
  • 特開-電気刺激装置 図5
  • 特開-電気刺激装置 図6
  • 特開-電気刺激装置 図7
  • 特開-電気刺激装置 図8
  • 特開-電気刺激装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010702
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電気刺激装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112131
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000103471
【氏名又は名称】オージー技研株式会社
(72)【発明者】
【氏名】根木 陽一
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ06
4C053JJ13
4C053JJ24
(57)【要約】
【課題】複数のチャネルを使用する場合に、或るチャネルの筋電位の検出に対して、他のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることが可能な電気刺激装置を提供する。
【解決手段】被施療者の皮膚表面に配置される筋電電極3と、筋電電極3が接続可能な複数のチャネル(出力コネクタ5a、5b)と、筋電電極3を介して検出された被施療者の筋電位に基づく電気刺激を、筋電電極3又は被施療者の皮膚表面に配置されチャネルに接続された電気刺激電極を介して被施療者に印加する施療モードとを備え、複数のチャネルのうち或るチャネルにおいて施療モードを使用中は、他のチャネルでの電気刺激の出力を禁止するか、他のチャネルを使用不可にする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の皮膚表面に配置される筋電電極と、前記筋電電極が接続可能な複数のチャネルと、前記筋電電極を介して検出された前記被施療者の筋電位に基づく電気刺激を、前記筋電電極又は前記被施療者の皮膚表面に配置され前記チャネルに接続された電気刺激電極を介して前記被施療者に印加する施療モードとを備え、
前記複数のチャネルのうち或るチャネルにおいて前記施療モードを使用中は、他のチャネルでの電気刺激の出力を禁止するか、前記他のチャネルを使用不可にする、ことを特徴とする電気刺激装置。
【請求項2】
前記複数のチャネルのうち或るチャネルにおいて前記施療モードを使用中は他のチャネルを使用不可にするとともに、使用可能なチャネルが1つずつ切り替わる、ことを特徴とする請求項1に記載の電気刺激装置。
【請求項3】
使用可能なチャネルが、前記被施療者の状態を示す情報及び/又は時間に基づき自動で切り替わる、ことを特徴とする請求項2に記載の電気刺激装置。
【請求項4】
前記被施療者の状態を示す情報が、検出される前記被施療者の筋電位である、ことを特徴とする請求項3に記載の電気刺激装置。
【請求項5】
或るチャネルが使用可能となり他のチャネルが使用不可になると、前記或るチャネルにて筋電位を検出し、その筋電位が閾値を一旦超え、再び前記閾値以下になると前記或るチャネルを使用不可とし他のチャネルのうち1つのチャネルを使用可能とする、ことを特徴とする請求項4に記載の電気刺激装置。
【請求項6】
2つのチャネルを使用し、一方のチャネルに接続した前記筋電電極を主動筋に配置し、他方のチャネルに接続した前記筋電電極を拮抗筋に配置する、ことを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の電気刺激装置。
【請求項7】
使用可能なチャネルを切り替えるための操作部を備えた、ことを特徴とする請求項2に記載の電気刺激装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気刺激装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のチャネルを備え、複数の施療対象部位において同時に低周波等の電気刺激による施療を行うことができる電気刺激装置が記載されている。
特許文献2には、施療対象部位又は施療対象部位とは異なる部位の筋電位を検出し、その筋電位に基づいた電気刺激を施療対象部位に出力して施療を行うことができる電気刺激装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6120140号公報
【特許文献2】特開2013-248344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載の電気刺激装置ではチャネルは1つであるため、特許文献1の電気刺激装置のように複数の施療対象部位に対して同時に施療を行おうとすると、特許文献2の電気刺激装置を複数用いて施療する必要がある。その場合、施療者は複数の電気刺激装置をそれぞれ操作する必要があるため操作が面倒であった。
筋電位の検出を伴う施療モードを、例えば複数のチャネルを有する電気刺激装置において2つのチャネルで同時に使用すると、筋電位の誤検出が発生するという課題が発生した。また、或るチャネルで筋電位の検出を伴う施療モードを使用し、同時に他のチャネルで筋電位の検出を伴わない施療モード(例えば設定した刺激条件で電気刺激を出力する施療モード)を使用する場合にも、筋電位の誤検出が発生するという課題が発生した。このような筋電位の誤検出が発生する原因について検討した結果、或るチャネルで電気刺激を出力した際に、他のチャネルに接続された筋電電極(被施療者等の皮膚表面に配置された筋電位検出用の電極)に電気信号が混入してしまい、筋電位として誤検出することがわかった。
さらに、2つのチャネルにそれぞれ接続した筋電電極を互いに近距離の部位に配置し、2つのチャネルを同時に使用した場合、一方の筋電電極を配置した部位の筋電位を他方の筋電電極が検出し、その検出した筋電位に基づき他方の筋電電極に意図しない電気刺激が出力される場合があることがわかった。
このような不具合の発生をなくすため、特許文献2の電気刺激装置を例えば2台使用し、2台の電気刺激装置の間で電気刺激の出力を交互に切り替えることが考えられる。しかし、各電気刺激装置は独立して動作するものであるため、2台の電気刺激装置の間で電気刺激の出力を自動で交互に切り替えることは困難であり、手動で交互に切り替えることも可能だが2台の電気刺激装置をそれぞれ操作する必要があり、手間がかかるという課題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、複数のチャネルを使用する場合に、或るチャネルの筋電位の検出に対して、他のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることが可能な電気刺激装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気刺激装置は、被施療者の皮膚表面に配置される筋電電極と、前記筋電電極が接続可能な複数のチャネルと、前記筋電電極を介して検出された前記被施療者の筋電位に基づく電気刺激を、前記筋電電極又は前記被施療者の皮膚表面に配置され前記チャネルに接続された電気刺激電極を介して前記被施療者に印加する施療モードとを備え、前記複数のチャネルのうち或るチャネルにおいて前記施療モードを使用中は、他のチャネルでの電気刺激の出力を禁止するか、前記他のチャネルを使用不可にする、ことを特徴とする。この構成によれば、複数のチャネルを使用する場合に、或るチャネルの筋電位の検出に対して、他のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることができる。また、複数の施療対象部位に対して1つの電気刺激装置によって筋電位の検出を伴う施療を行うことができるので、複数の電気刺激装置を用いる場合の面倒な操作を軽減することができる。
【0007】
本発明の電気刺激装置において好ましい実施態様では、前記複数のチャネルのうち或るチャネルにおいて前記施療モードを使用中は他のチャネルを使用不可にするとともに、使用可能なチャネルが1つずつ切り替わる、ことを特徴とする。この構成によれば、複数のチャネルを使用する場合に、使用可能なチャネルが1つずつ切り替わることで、使用中のチャネルの筋電位の検出において誤検出が発生しないようにすることができる。
【0008】
本発明の電気刺激装置において好ましい実施態様では、使用可能なチャネルが、前記被施療者の状態を示す情報及び/又は時間に基づき自動で切り替わる、ことを特徴とする。この構成によれば、使用可能となるチャネルを自動で切り替えることができる。
【0009】
本発明の電気刺激装置において好ましい実施態様では、前記被施療者の状態を示す情報が、検出される前記被施療者の筋電位である、ことを特徴とする。この構成によれば、被施療者の筋電位に基づき使用可能となるチャネルを自動で切り替えることができる。
【0010】
本発明の電気刺激装置において好ましい実施態様では、或るチャネルが使用可能となり他のチャネルが使用不可になると、前記或るチャネルにて筋電位を検出し、その筋電位が閾値を一旦超え、再び前記閾値以下になると前記或るチャネルを使用不可とし他のチャネルのうち1つのチャネルを使用可能とする、ことを特徴とする。この構成によれば、被施療者の筋電位に基づき使用可能となるチャネルを自動で切り替えることができる。
【0011】
本発明の電気刺激装置において好ましい実施態様では、2つのチャネルを使用し、一方のチャネルに接続した前記筋電電極を主動筋に配置し、他方のチャネルに接続した前記筋電電極を拮抗筋に配置する、ことを特徴とする。この構成によれば、例えば、関節伸展/屈曲の訓練を繰り返す際に使用することができる。
【0012】
本発明の電気刺激装置において好ましい実施態様では、使用可能なチャネルを切り替えるための操作部を備えた、ことを特徴とする。この構成によれば、例えば肘関節と手指伸展等、2つの部位を訓練する場合に、手動で任意にチャネルを切り替えながら電気刺激を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のチャネルを使用する場合に、或るチャネルの筋電位の検出に対して、他のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることが可能な電気刺激装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1による電気刺激装置の構成を示す図である。
図2】同電気刺激装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】同電気刺激装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】同電気刺激装置の動作の他の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態2による電気刺激装置の構成を示す図である。
図6】同電気刺激装置の電気的構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施の形態3による電気刺激装置の構成を示す図である。
図8】同電気刺激装置の電気的構成を示すブロック図である。
図9】同電気刺激装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る電気刺激装置について図面を参照して説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1に示すように、本発明の実施の形態1による電気刺激装置1は、電気刺激を出力するための電気回路が内部に設けられた装置本体2と、被施療者の肢体の皮膚表面に配置されて筋電位の検出及び電気刺激の印加を行う筋電電極3と、筋電電極3を装置本体2に接続するケーブル4とを主たる構成としている。装置本体2には出力コネクタ5a、5bが設けられており、出力コネクタ5a、5bのそれぞれにケーブル4を介して筋電電極3が接続されている。各出力コネクタ5a、5bはそれぞれ1つのチャネルを構成し、出力コネクタ5aをチャネル1とし、出力コネクタ5bをチャネル2とする。
【0017】
筋電電極3は少なくとも一対の電極であり、一例として電気絶縁された2個の電極が非導電性部材によって一体的に構成される二極電極3aと、1個の単一電極3bとから構成されている。二極電極3a及び単一電極3bは裏面が被施療者の皮膚表面に貼り付ける貼付面とされるホック式のゲル電極になっている。
【0018】
二極電極3aは対象筋肉の筋腹の皮膚表面に配置され、被施療者の筋活動から発生する微弱な筋電位を2個の電極間で検出するとともに、電気刺激を付与するための電気刺激用電極として機能する。単一電極3bは、二極電極3aの2個の電極間で筋電位を検出するときに基準電位を決める基準電極として機能する一方、電気刺激を付与したい筋肉の筋腹の皮膚表面に配置され、電気刺激を筋肉に印加するための電気刺激用電極としても機能する。
【0019】
二極電極3aの2個の電極及び単一電極3bの各ホックは中途位置で三本に分岐したケーブル4の各先端側に係着され、ケーブル4の基端側の接続プラグ4aは装置本体2に設けられた出力コネクタ5a、5bに着脱自在に挿嵌される。
【0020】
装置本体2は、回転可能なダイヤル6、ダイヤル6の中央に配置された押し込み可能な決定ボタン7、及び、表示部8を備えている。施療条件の設定はダイヤル6と決定ボタン7を用いて行う。表示部8はタッチパネルになっており、このタッチパネルにも決定ボタン7の機能が備えられている。表示部8には施療条件や施療結果等が表示される。
【0021】
図2に示すように、装置本体2はさらに、電気刺激手段9、出力切替部10、筋電検出回路11、電源回路12、電池電圧検出回路13、記憶部14、制御部15及びタイマー25a、25bを有しており、これらは装置本体2の内部に設けられている。制御部15は電気刺激手段9、出力切替部10、記憶部14、表示部8、タイマー25a、25bを制御するもので、マイクロコントローラ(マイコン)により構成される。記憶部14は設定された施療条件などを読み出し可能に記憶するもので、例えば不揮発性メモリ(EEPROM)で構成される。制御部15はダイヤル6、決定ボタン7、タッチパネル(表示部8)からの信号を受けて施療条件(施療時間、電気刺激の最小強度及び最大強度等)の設定を行い、設定された施療条件や施療結果のデータは例えば記憶部14に記憶される。タイマー25aは制御部15の制御により施療開始からの経過時間(施療時間)のカウントし、施療時間を出力するものである。タイマー25bについては後述する。
【0022】
電気刺激手段9は、筋電電極3に電気刺激を供給する手段であり、電池電源16、電池電源16の電圧を昇圧し出力用電源として供給するDC-DCコンバータ17、DC-DCコンバータ17から入力された電圧を制御する出力制御回路18、出力制御回路18からの出力電圧を昇圧する出力トランス19、出力トランス19からの電気刺激(出力電流)を検出する電流検出回路20から構成されている。電流検出回路20で検出された出力電流信号は制御部15に入力され、制御部15は出力制御回路18を制御することで、例えば過電流の発生を防止している。
【0023】
電池電源16として、アルカリなどの乾電池を使用でき、リチウムイオン二次電池などの充電式電池を採用しても構わない。また、電池電源16の電圧値を検出する電池電圧検出回路13が設けられており、電池電圧検出回路13により電池電源16の電圧値が第一の閾値にまで低下したことが検出されると、制御部15は電圧値の低下を表示部8に画像表示して施療者等に報知する。また、電池電源16の電圧値が第一の閾値より低い第二の閾値に到達すると、制御部15は電気刺激装置1の電源を切断する。なお、電源回路12は電池電源16に接続され制御部15に制御用電源を供給するための回路である。
【0024】
次に、筋電位検出の構成について説明する。出力トランス19から所定周波数(例えば20Hz)で所定パルス幅(例えば50μs)の双方向性方形波を、3回をひとつの単位として繰返し二極電極3aと単一電極3b間に出力し、この繰返しの間(例えば8ms)の筋電位を二極電極3aの2個の電極間で検出する。検出された筋電位は筋電検出回路11に入力され、不図示の増幅器等により制御部15が認識できる程度にまで増幅された筋電位信号として制御部15に取り込まれる。制御部15は、筋電位信号に対して信号処理を行って筋電位を算出し、例えば後述する第1モードの場合には、次の電気刺激が、算出した筋電位の強度に比例した強度となるよう出力制御回路18を制御する。
【0025】
電気刺激装置1は、施療モードとして、施療対象部位の筋電位に比例した強度のパルスを二極電極3aと単一電極3bとの間に電気刺激として出力する第1モード、及び、施療対象部位の筋電位が設定閾値に達すると設定した刺激条件のパルスを二極電極3aと単一電極3bとの間に電気刺激として出力する第2モードを備えている。第1モード及び第2モードは、筋電電極3を介して検出された被施療者の筋電位に基づく電気刺激を、筋電電極3を介して被施療者に印加する施療モード(筋電施療モード)である。チャネル1、2における施療モードとして第2モードを用いる場合、タイマー25bは制御部15の制御により、チャネル1又はチャネル2の使用を開始してからの経過時間をカウントし、その経過時間を出力する。第1モードにおけるパルスの一例として、波形は矩形波であり、パルス幅は50~300μsecであり、パルスの周波数は1~40Hzである。第2モードにおけるパルスの一例として、波形は矩形波であり、パルス幅は50~300μsecであり、パルスの周波数は1~100Hzであり、立上り時間及び立下り時間は0~10secであり、通電時間は1~30secであり、休止時間は0~60secである。なお、第1モード又は第2モードのうち一方を備えていてもよい。
【0026】
次に、電気刺激装置1の動作について図3のフローチャートを参照して説明する。図3は、チャネル1及びチャネル2における施療モードとして、第1モードを用いる場合の動作例である。電気刺激装置1による施療が開始すると、制御部15により、ステップS1においてチャネル1が使用可となり、チャネル2が使用不可となる。制御部15は、ステップS2において施療時間が設定値(例えば10~20分)を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS3に移行する。
【0027】
ステップS3において、制御部15はチャネル1で筋電位を検出する。制御部15は、検出した筋電位が閾値1を超えたか否かをステップS4において判定し、筋電位が閾値1を超えていなければステップS2に戻り、筋電位が閾値1を超えていればステップS5に移行する。
【0028】
ステップS5において、制御部15は、チャンネル1で電気刺激を出力し、その後、チャネル1で筋電位を検出する。制御部15は、検出した筋電位が閾値1を超えているか否かをステップS6において判定し、筋電位が閾値1を超えていればステップS2に戻り、筋電位が閾値1を超えていなければステップS7に移行する。
【0029】
ステップS7において、制御部15により、チャネル2が使用可となり、チャネル1が使用不可となる。制御部15は、ステップS8において施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS9に移行する。
【0030】
ステップS9において、制御部15はチャネル2で筋電位を検出する。制御部15は、検出した筋電位が閾値2を超えたか否かをステップS10において判定し、筋電位が閾値2を超えていなければステップS8に戻り、筋電位が閾値2を超えていればステップS11に移行する。
【0031】
ステップS11において、制御部15は、チャンネル2で電気刺激を出力し、その後、チャネル2で筋電位を検出する。制御部15は、検出した筋電位が閾値2を超えているか否かをステップS12において判定し、筋電位が閾値2を超えていればステップS8に戻り、筋電位が閾値2を超えていなければステップS13に移行する。
【0032】
制御部15は、ステップS13において、施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS1に移行する。
【0033】
図3のフローチャートでは、チャネル1で第1モードを使用中はチャネル2を使用不可にし、チャネル2で第1モードを使用中はチャネル1を使用不可にしており、使用可能なチャネルが、検出される被施療者の筋電位(被施療者の状態を示す情報)に基づき自動で切り替わるようになっている。チャネル1及びチャネル2のうち一方のチャネルで筋電位を検出する際には、他方のチャネルで電気刺激が出力されることはなく、一方のチャネルの筋電位の検出に対して、他方のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることができ、筋電位の誤検出が発生しないようにすることができる。
【0034】
次に、電気刺激装置1の動作の他の例について図4のフローチャートを参照して説明する。図4は、チャネル1及びチャネル2における施療モードとして、第2モードを用いる場合の動作例である。電気刺激装置1による施療が開始すると、制御部15により、ステップS21においてチャネル1が使用可となり、チャネル2が使用不可となる。制御部15は、ステップS22において時間t=0とし、時間tのカウントを開始するよう、タイマー25bを制御する。制御部15は、ステップS23において施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS24に移行する。
【0035】
ステップS24において、制御部15はチャネル1で筋電位を検出する。制御部15は、検出した筋電位が閾値1を超えているか否かをステップS25において判定し、筋電位が閾値1を超えていなければステップS23に戻り、筋電位が閾値1を超えていればステップS26に移行する。
【0036】
ステップS26において、制御部15はチャンネル1で電気刺激を出力する。ステップS27において、制御部15は、時間tが設定値1(例えば10~20sec)を超えたか否かを判定し、時間tが設定値1を超えていなければステップS23に戻り、時間tが設定値1を超えていればステップS28に移行する。
【0037】
ステップS28において、制御部15により、チャネル2が使用可となり、チャネル1が使用不可となる。制御部15は、ステップS29において、タイマー25bに対して時間t=0とし、時間tのカウントを開始するよう制御する。制御部15は、ステップS30において施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS31に移行する。
【0038】
ステップS31において、制御部15はチャネル2で筋電位を検出する。制御部15は、検出した筋電位が閾値2を超えたか否かをステップS32において判定し、筋電位が閾値2を超えていなければステップS30に戻り、筋電位が閾値2を超えていればステップS33に移行する。
【0039】
ステップS33において、制御部15はチャンネル2で電気刺激を出力する。制御部15は、ステップS34において、時間tが設定値2を超えたか否かを判定し、時間tが設定値2を超えていなければステップS30に戻り、時間tが設定値2を超えていればステップS35に移行する。ステップS35において、制御部15は、施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS21に移行する。
【0040】
図4のフローチャートでは、チャネル1で第2モードを使用中はチャネル2を使用不可にし、チャネル2で第2モードを使用中はチャネル1を使用不可にしており、使用可能なチャネルが時間に基づき自動で切り替わるようになっている。チャネル1及びチャネル2のうち一方のチャネルで筋電位を検出する際には、他方のチャネルで電気刺激が出力されることはなく、一方のチャネルの筋電位の検出に対して、他方のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることができ、筋電位の誤検出が発生しないようにすることができる。
【0041】
次に、施療者が電気刺激装置1の第1モード又は第2モードを用いて被施療者を施療する一例について説明する。施療者は、被施療者の右腕(麻痺のある肢体)の上腕二頭筋の筋腹上に筋電電極3を貼り付け、ケーブル4によって出力コネクタ5a(チャネル1)に接続する。施療者は、被施療者の右腕の上腕三頭筋の筋腹上に筋電電極3を貼り付け、ケーブル4によって出力コネクタ5b(チャネル2)に接続する。ここで、上腕二頭筋が収縮すると肘関節が屈曲し、上腕三頭筋が収縮すると肘関節が伸展するものであり、肘関節を屈曲させようとする動作において上腕二頭筋は主動筋であり、上腕三頭筋は拮抗筋である。
【0042】
施療者は、電気刺激装置1のダイヤル6、決定ボタン7又はタッチパネル(表示部8)を操作して、施療モードを第1モード又は第2モードに設定するほか、施療時間、電気刺激の最小強度及び最大強度、筋電検出感度等の施療条件を設定する。筋電検出感度を設定する場合、表示部8に筋電位が例えば10段階のレベルで表示されるので、そのレベルを確認しながら筋電検出感度を調節する。具体的には、施療対象部位に力を入れたときに筋電位のレベルが最大(10段階のレベル全てが表示される)になり、脱力したときに筋電位のレベルが最小(10段階のレベル全てが表示されない)になるよう筋電検出感度を調節する。力を強く入れてもレベルが最大にならないときや施療中に電気刺激が弱いと感じたときは筋電検出感度が高くなるように調節を行い、一方、脱力しても筋電位のレベルが最小にならない場合や施療中に電気刺激が強いと感じときは筋電検出感度が低くなるよう調節を行えばよい。なお、施療モードを第2モードに設定する場合、或るチャネルの使用を開始してから次のチャネルに切り替わるまでの時間(図4における設定値1及び設定値2に相当する)も設定する。
【0043】
施療モードを第1モードに設定した場合には、図3のフローチャートに従って電気刺激装置1による電気刺激が行われ、施療モードを第2モードに設定した場合には、図4のフローチャートに従って電気刺激装置1による電気刺激が行われる。このような電気刺激により、肘関節の伸展と屈曲の訓練を行うことができる。また、出力コネクタ5a、5bに接続される筋電電極3を、それぞれハムストリングス、大腿四頭筋の筋腹上に貼り付けて電気刺激装置1による電気刺激を行うことで、膝関節の伸展と屈曲の訓練を行うことができる。ここで、ハムストリングスが収縮すると膝関節が屈曲し、大腿四頭筋が収縮すると膝関節が伸展するものであり、膝関節を屈曲させようとする動作においてハムストリングスは主動筋であり、大腿四頭筋は拮抗筋である。このように、関節の伸展と収縮を繰り返す訓練をする際に電気刺激装置1を使用することができる。
【0044】
電気刺激装置1は、施療モードとして、嚥下機能の改善を図ることができる第3モードを備えることができる。第3モードでは、二極電極3aにより検出される施療対象部位の筋電位に比例した強度のパルスが、出力切替部10によって二極電極3aの2つの電極間に電気刺激として出力される。パルスの一例として、波形は対称二相性矩形波であり、パルス幅は150~350μsecであり、パルスの周波数は30~100Hzである。第3モードによる施療例として、コネクタ5aに接続される筋電電極3の二極電極3aは、被施療者の右の顎二腹筋前腹の上に配置され、単一電極3bはその二極電極3aから離れた位置に配置される。コネクタ5bに接続される筋電電極3の二極電極3aは、被施療者の左の顎二腹筋前腹の上に配置され、単一電極3bはその二極電極3aから離れた位置に配置される。なお、二極電極3aの2つの電極間距離(2つの電極の中心間距離)の一例は20mmである。そして、施療モードを第3モードに設定すると図3のフローチャートに従って電気刺激が行われることにより、左及び右の顎二腹筋前腹の筋力増強を図ることができ、嚥下機能の改善を図ることができる。
【0045】
(実施の形態2)
図5は実施の形態2による電気刺激装置1aの構成を示す図であり、図6は電気刺激装置1aの電気的構成を示すブロック図である。実施の形態1による電気刺激装置1と同じ構成については同じ符号を使用して適宜説明を省略する。電気刺激装置1aには、電気刺激装置1の構成に加え、装置本体2aにコネクタ21が設けられている。コネクタ21にはハンドスイッチ(操作部)22が不図示のケーブルによって接続される。ハンドスイッチ22は電気刺激装置1aの動作を制御するためのスイッチであり、施療者がハンドスイッチ22を操作することで、制御部15は出力切替部10を制御して使用可能なチャネルを切り替えることができる。ハンドスイッチ22としてタクタイルスイッチ、トグルスイッチ、ロッカースイッチ等を用いることができる。なお、装置本体2に設けた決定ボタン7やタッチパネル(表示部8)に、ハンドスイッチ22と同様の機能を持たせてもよい。
【0046】
次に、施療者が電気刺激装置1aを用いて被施療者を施療する一例について説明する。施療者は、被施療者の右腕(麻痺のある肢体)の上腕三頭筋の筋腹上に筋電電極3を貼り付け、ケーブル4によって出力コネクタ5a(チャネル1)に接続する。施療者は、被施療者の右腕の手指伸展筋群の筋腹上に筋電電極3を貼り付け、ケーブル4によって出力コネクタ5b(チャネル2)に接続する。施療者は、電気刺激装置1aのダイヤル6、決定ボタン7又はタッチパネル(表示部8)を操作して、施療モード、施療時間、電気刺激の最小強度及び最大強度、筋電検出感度等の施療条件を設定した後、施療を開始する。
【0047】
例えば施療モードとして第1モードが設定された場合の電気刺激装置1aの動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。実施の形態2では、図3のステップS6及びステップS12が、「ハンドスイッチ22が操作されていないか」という判定条件になり、他のステップS1~S5、S7~S11、S13は図3と同じである。電気刺激装置1aによる施療が開始されると、制御部15により、ステップS1においてチャネル1が使用可となり、チャネル2が使用不可となる。続いて、実施の形態1で説明したようにステップS2~S5が実行される。
【0048】
次のステップS6において、制御部15はハンドスイッチ22が操作されていないか判定し、ハンドスイッチ22が操作されていない場合(ステップS6でYES)、ステップS2に戻り、ハンドスイッチ22が操作された場合(ステップS6でNO)、ステップS7に移行する。ステップS7において、制御部15により、チャネル1が使用不可となり、チャネル2が使用可となる。続いて実施の形態1で説明したようにステップS8~S11が実行される。次のステップS12において、制御部15はハンドスイッチ22が操作されていないか判定し、ハンドスイッチ22が操作されていない場合(ステップS12でYES)、ステップS8に戻り、ハンドスイッチ22が操作された場合(ステップS12でNO)、ステップS13に移行する。制御部15は、ステップS13において、施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS1に移行する。
【0049】
電気刺激装置1aを用いた施療では、チャネル1及びチャネル2のうち一方のチャネルで筋電位を検出する際には、他方のチャネルで電気刺激が出力されることはなく、一方のチャネルの筋電位の検出に対して、他方のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることができ、筋電位の誤検出が発生しないようにすることができる。また、このような施療によって、肘関節の伸展と手指の伸展を訓練することができ、2つの部位を訓練する際に電気刺激装置1aを使用することができる。
【0050】
(実施の形態3)
図7は実施の形態3による電気刺激装置1bの構成を示す図であり、図8は電気刺激装置1bの電気的構成を示すブロック図である。実施の形態1による電気刺激装置1と同じ構成については同じ符号を使用して適宜説明を省略する。電気刺激装置1bは、図7に示すように4つの出力コネクタ5a、5b、5c、5dを有している。出力コネクタ5aには二極電極3aと単一電極3bとから構成された筋電電極3がケーブル4を介して接続され、出力コネクタ5bには電極23aと電極23bとから構成された電気刺激電極23がケーブル24を介して接続される。電極23a、23bは、各電極の裏面が被施療者の皮膚表面に貼り付ける貼付面とされるホック式のゲル電極より構成され、電極23a、23bの各ホックは中途位置で二本に分岐したケーブル24の各先端側に係着されている。図示していないが出力コネクタ5cには筋電電極3がケーブル4を介して接続され、出力コネクタ5dには電気刺激電極23がケーブル24を介して接続される。実施の形態1での構成と異なり、本実施の形態3では出力コネクタ5aと出力コネクタ5bはチャネル1を構成し、出力コネクタ5cと出力コネクタ5dはチャネル2を構成する。
【0051】
図8に示すように、実施の形態1による電気刺激装置1に設けられた出力切替部10の代わりに、出力切替部10a、10b、10cが設けられている。電気刺激手段9からの出力は、出力切替部10aによってチャネル1又はチャネル2のいずれかに出力されるよう切り替えられる。出力切替部10bは、チャネル1において電気刺激手段9からの出力を筋電電極3又は電気刺激電極23のいずれかに出力するよう切り替えるものであり、出力切替部10cは、チャネル2において電気刺激手段9からの出力を筋電電極3又は電気刺激電極23のいずれかに出力するよう切り替えるものである。
【0052】
電気刺激装置1bは、施療モードとして、施療対象部位とは異なる部位の筋電位に比例した強度のパルスを施療対象部位に出力する第4モード、及び、施療対象部位とは異なる部位の筋電位が設定閾値に達すると設定した刺激条件で施療対象部位に電気刺激を出力する第5モードを備えている。第4モード及び第5モードは、筋電電極3を介して検出された筋電位に基づく電気刺激を、電気刺激電極23を介して被施療者の施療対象部位に印加する施療モード(筋電施療モード)である。ここで、施療対象部位とは異なる部位(筋電電極3を配置する部位)として、例えば被施療者の健常な肢体の部位や被施療者以外の者の肢体の部位とすることができる。
【0053】
次に、電気刺激装置1bの動作について図9のフローチャートを参照して説明する。図9は、チャネル1及びチャネル2における施療モードとして第5モードを用いる場合の動作例である。電気刺激装置1bによる施療が開始すると、制御部15により、ステップS41においてチャネル1が使用可となり、チャネル2が使用不可となる。制御部15は、ステップS42において時間t=0とし、時間tのカウントを開始するよう、タイマー25bを制御する。制御部15は、ステップS43において施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS44に移行する。
【0054】
ステップS44において、制御部15はチャネル1で筋電電極3を介して筋電位を検出する。制御部15は、検出した筋電位が閾値を超えたか否かをステップS45において判定し、筋電位が閾値を超えていなければステップS43に戻り、筋電位が閾値を超えていればステップS46に移行する。
【0055】
ステップS46において、制御部15はチャンネル1で電気刺激電極23を介して電気刺激を出力する。次のステップS47において、制御部15は、時間tが設定値1を超えているか否かを判定し、時間tが設定値1を超えていなければステップS43に戻り、時間tが設定値1を超えていればステップS48に移行する。
【0056】
ステップS48において、制御部15により、チャネル2が使用可となり、チャネル1が使用不可となる。制御部15は、ステップS49において時間t=0とし、時間tのカウントを開始するよう、タイマー25bを制御する。制御部15は、ステップS50において施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1bによる施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS51に移行する。
【0057】
ステップS51において、制御部15はチャネル2で筋電電極3を介して筋電位を検出する。制御部15は、検出した筋電位が閾値を超えたか否かをステップS52において判定し、筋電位が閾値を超えていなければステップS50に戻り、筋電位が閾値を超えていればステップS53に移行する。
【0058】
ステップS53において、制御部15はチャンネル2で電気刺激電極23を介して電気刺激を出力する。制御部15は、ステップS54において、時間tが設定値2を超えたか否かを判定し、時間tが設定値2を超えていなければステップS50に戻り、時間tが設定値2を超えていればステップS55に移行する。ステップS55において、制御部15は、施療時間が設定値を超えているか否かを判定し、施療時間が設定値を超えていれば電気刺激装置1による施療を終了し、施療時間が設定値を超えていなければステップS41に戻る。
【0059】
図9のフローチャートでは、チャネル1で第5モードを使用中はチャネル2を使用不可にし、チャネル2で第5モードを使用中はチャネル1を使用不可にしており、使用可能なチャネルが時間に基づき自動で切り替わるようになっている。チャネル1及びチャネル2のうち一方のチャネルで筋電位を検出する際には、他方のチャネルで電気刺激が出力されることはなく、一方のチャネルの筋電位の検出に対して、他方のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることができ、筋電位の誤検出が発生しないようにすることができる。
【0060】
次に、施療者が電気刺激装置1bの第5モードを用いて右半身に麻痺がある被施療者を施療する一例について説明する。施療者は、被施療者の右腕の手指伸展筋群の筋腹の両端に電気刺激電極23を貼り付け、ケーブル24によって出力コネクタ5b(チャネル1)に接続し、被施療者の右足関節の背屈筋群の筋腹の両端に電気刺激電極23を貼り付け、ケーブル24によって出力コネクタ5d(チャネル2)に接続する。施療者は、被施療者の左腕の手指伸展筋群の筋腹上に筋電電極3を貼り付け、ケーブル4によって出力コネクタ5a(チャネル1)に接続し、被施療者の左足関節の背屈筋群の筋腹上に筋電電極3を貼り付け、ケーブル4によって出力コネクタ5c(チャネル2)に接続する。
【0061】
施療者は、チャネル1及びチャネル2についてダイヤル6、決定ボタン7又はタッチパネル(表示部8)を操作して施療モードを第5モードに設定するほか、施療時間、電気刺激の最小強度及び最大強度、筋電検出感度の諸々の施療条件を設定し、その後、施療を開始すると、図9のフローチャートに従って電気刺激装置1bによる電気刺激が行われる。このような施療によって、手指の伸展と足関節の背屈を訓練することができ、2つの部位を訓練する際に電気刺激装置1bを使用することができる。
【0062】
なお、実施の形態1では、使用可能なチャネルが、被施療者の筋電位に基づき自動で切り替わる例を説明したが、センサの出力(被施療者の状態を示す情報)に基づいて使用可能なチャネルが自動で切り替わるようにしてもよい。例えば、角度センサを用いて被施療者の肘関節の角度を検出することで、被治療者の肘関節の屈曲、伸展の状態に応じて使用可能チャネルを切り替えることができる。また、実施の形態1~3では、或るチャネルにおいて筋電施療モードを使用中は、他のチャネルを使用不可にしているが、他のチャネルでの電気刺激の出力を禁止するようにしてもよい。例えば、或るチャネルにおいて筋電施療モードを使用中に、他のチャネルにおいて被施療者の筋電位の変化を表示部8に表示してフィードバックする施療モードを実施することができ、この施療モードでは電気刺激が出力されない。すなわち、複数のチャネルのうち或るチャネルにおいて筋電施療モードを使用中は、他のチャネルでの電気刺激の出力を禁止するか、他のチャネルを使用不可にすることにより、複数のチャネルを使用する場合に、或るチャネルの筋電位の検出に対して、他のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることができる。
【0063】
実施の形態1~3ではチャネル1とチャネル2で同じ施療モードを設定していたが、チャネル1とチャネル2において異なる施療モードを設定することができる。例えば、実施の形態1においてチャネル1で第1モード、チャネル2で第2モードを設定し、使用可能なチャネルがチャネル1からチャネル2に切り替わる条件として図3で説明した筋電位に基づくものとし、使用可能なチャネルがチャネル2からチャネル1に切り替わる条件として図4で説明した時間に基づくものとすることができる。また、設定された刺激条件に基づき電気刺激電極23を介して電気刺激を行う第6モードを施療モードとして電気刺激装置が備えている場合でも本発明を適用し、或るチャネルで筋電施療モードを使用中は他のチャネルで第6モードを使用しないようにすることで、或るチャネルの筋電位の検出に対して、他のチャネルによる電気刺激の出力が影響しないようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
複数のチャネルを備え、各チャネルで筋電の検出を伴う施療モードを実施可能な電気刺激装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、1a、1b 電気刺激装置
2 装置本体
3 筋電電極
3a 二極電極
3b 単一電極
5a、5b、5c、5d 出力コネクタ
9 電気刺激手段
10、10a、10b、10c 出力切替部
11 筋電検出回路
15、15a、15b 制御部
21 コネクタ
22 ハンドスイッチ
23 電気刺激電極
23a、23b 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9