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特開2024-107060シートにおける脳波検出センサーの配置構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107060
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】シートにおける脳波検出センサーの配置構造
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/26 20210101AFI20240801BHJP
   A61B 5/291 20210101ALI20240801BHJP
   B60N 2/879 20180101ALI20240801BHJP
【FI】
A61B5/26 100
A61B5/291
B60N2/879
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090453
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2022124472の分割
【原出願日】2017-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】清水 一浩
(57)【要約】
【課題】シートに対して脳波検出センサーを適切な位置関係で配置することが可能なシートにおける脳波検出センサーの配置構造を提供する。
【解決手段】シート10における脳波検出センサー20の配置構造においては、車両のシート10に着座した乗員Aの脳波を検出する脳波検出センサー20が、シート10の表皮15より内部に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートに着座した乗員の脳波を検出する脳波検出センサーが、前記シートのヘッドレストの表皮より内部に設けられており、
前記ヘッドレストの内部であって、左右のヘッドレストピラーの外側の位置に設けられているシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項2】
前記脳波検出センサーが、前記左右のヘッドレストピラーの湾曲部の近傍に設けられている請求項1に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項3】
前記脳波検出センサーが、前記左右のヘッドレストピラーを連結する連結部よりも下側に設けられている請求項1又は2に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項4】
前記脳波検出センサーが、前記左右のヘッドレストピラーの外側の左右の位置に設けられている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項5】
前記脳波検出センサーは、前記ヘッドレストの内部であって、ヘッドレストピラーよりも前側の位置に設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項6】
前記脳波検出センサーは、前記ヘッドレストの表皮より内部に複数設けられている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項7】
前記乗員に装着可能な脳波検出センサーからの信号を受信する受信部が、前記シートのヘッドレストに設けられている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項8】
前記脳波検出センサーと前記受信部は、前記ヘッドレスト内で互いに離れた位置にそれぞれ設けられている請求項7に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項9】
前記シートの表皮より内部に設けられた前記脳波検出センサーと、前記乗員に装着可能な脳波検出センサーとが併用されるように構成されている請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【請求項10】
前記乗員に装着可能な脳波検出センサーに対して非接触給電を行うための送電ユニットが、前記シートのヘッドレストに設けられ、
前記乗員に装着可能な脳波検出センサーには、非接触給電を行うための受電ユニットが設けられ、
前記受電ユニットは、乗員が前記脳波検出センサーを装着時に、前記送電ユニットに対向する位置に設けられている請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにおける脳波検出センサーの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の車両の分野においては、従来から、乗員(特に運転者)の脳波をモニタリングして、乗員が覚醒しているか睡眠しているか等を検出する技術の開発が進められている(例えば特許文献1~5等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-206011号公報
【特許文献2】特開2009-106626号公報
【特許文献3】特開2008-307977号公報
【特許文献4】特開2009-213779号公報
【特許文献5】特開2016-063979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、乗員の脳波を検出するために脳波検出センサーが用いられる場合が多いが、脳波検出センサーを車両内のどの位置に配置するのが適切であるかが問題になる。
そして、例えば上記の特許文献3、4には、脳波検出センサーをシートのヘッドレストの部分に配置することが記載されているが、脳波検出センサーをシートやヘッドレスト等に配置する場合、それらと脳波検出センサーとの配置関係が問題になる場合がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シートに対して脳波検出センサーを適切な位置関係で配置することが可能なシートにおける脳波検出センサーの配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、シートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
車両のシートに着座した乗員の脳波を検出する脳波検出センサーが、前記シートのヘッドレストの表皮より内部に設けられており、
前記ヘッドレストの内部であって、左右のヘッドレストピラーの外側の位置に設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記脳波検出センサーが、前記左右のヘッドレストピラーの湾曲部(凹部)の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記脳波検出センサーが、前記左右のヘッドレストピラーを連結する連結部よりも下側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記脳波検出センサーが、前記左右のヘッドレストピラーの外側の左右の位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記脳波検出センサーは、前記ヘッドレストの内部であって、ヘッドレストピラーよりも前側の位置に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記脳波検出センサーは、前記ヘッドレストの表皮より内部に複数設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記乗員に装着可能な脳波検出センサーからの信号を受信する受信部が、前記シートのヘッドレストに設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記脳波検出センサーと前記受信部は、前記ヘッドレスト内で互いに離れた位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記シートの表皮より内部に設けられた前記脳波検出センサーと、前記乗員に装着可能な脳波検出センサーとが併用されるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のシートにおける脳波検出センサーの配置構造において、
前記乗員に装着可能な脳波検出センサーに対して非接触給電を行うための送電ユニットが、前記シートのヘッドレストに設けられ、
前記乗員に装着可能な脳波検出センサーには、非接触給電を行うための受電ユニットが設けられ、
前記受電ユニットは、乗員が前記脳波検出センサーを装着時に、前記送電ユニットに対向する位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、脳波検出センサーをシートに設けることで、乗員の頭(脳)と脳波検出センサーとの距離が近くなり、脳波検出センサーで乗員の脳波を的確に検出することが可能となる。また、脳波検出センサーをシートの表皮の外に配置すると、脳波検出センサーでシートの表皮の一部が隠されてしまい、シートのデザイン性が制約されてしまうが、脳波検出センサーをシートの表皮より内部に設けるように構成すれば、脳波検出センサーでシートの表皮が隠されてしまうことがないため、脳波検出センサーによる制約なしにシートをデザインすることが可能となり、シートに対して脳波検出センサーを適切な位置関係で配置することが可能となる。
さらに、脳波検出センサーを乗員の頭部に最も近いシートのヘッドレストに配置することで、脳波検出センサーで乗員の脳波を的確に検出することが可能となる。また、脳波検出センサーをヘッドレストの表皮の内部に配置することで、脳波検出センサーでヘッドレストの表皮が隠されることなく脳波検出センサーを配置することが可能となり、シートやヘッドレストのデザイン性を向上させることが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
さらに、脳波検出センサーを左右のヘッドレストピラーの湾曲部(凹部)の近傍に設けることで、脳波検出センサーをヘッドレスト内でコンパクトに配置しつつ、脳波を更に的確に検出することが可能になる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
さらに、脳波検出センサーを左右の位置に設けることで、脳波検出の確実性を向上させることが可能になる。
また、乗員の左脳からの脳波と右脳からの脳波を各脳波検出センサーでそれぞれ検出することが可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【0025】
請求項10に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】シートの全体構成を示す斜視図である。
図2】シートフレームの構成を示す斜視図である。
図3】ヘッドレストの構成を示す(A)正面図、(B)側面図である。
図4】シートのネックレストやアームレストの構成を示す斜視図である。
図5】構成例1-1を示すヘッドレストの(A)正面図、(B)側面図である。
図6】構成例1-2を示すヘッドレストの正面図である。
図7】構成例1-3を示すヘッドレストの正面図である。
図8】脳波検出センサーの横幅が左右のヘッドレストピラー間の距離より長い場合の構成例を示すヘッドレストの正面図である。
図9】構成例1-4を示すヘッドレストの側面図である。
図10】構成例1-5を示すヘッドレストの(A)正面図、(B)側面図である。
図11】ヘッドレストダンパーのケースに脳波検出センサーを取り付けた構成例を示す(A)正面図、(B)側面図である。
図12】可動機構のケースに脳波検出センサーを取り付けた構成例を示す側面図である。
図13】ヘッドレスト内で脳波検出センサーを上下方向に移動させるための構成例3を示す図である。
図14】脳波検出センサーが設けられたヘッドレストを上下方向に移動させるための構成例3を示す図である。
図15】(A)、(B)構成例4を示すネックレストを含むシート部分の斜視図である。
図16】構成例5-1を示すヘッドレストの正面図である。
図17】構成例5-2を示すヘッドレストやネックレストを含むシート部分の斜視図である。
図18】乗員に装着可能な脳波検出センサーを備えるヘッドセットの例を(A)斜め前から見た図、(B)斜め後ろから見た図である。
図19】(A)構成例6-3を示すヘッドレストの正面図であり、(B)構成例5-4を示すヘッドレストの正面図である。
図20】構成例6-5を示すヘッドレストを含むシート部分の斜視図である。
図21】構成例6-6-1を示すヘッドセットの受電ユニットや収納部、送電ユニット等の斜視図である。
図22】構成例6-6-2を示すヘッドセットやネックレスト等の側面図である。
図23】構成例6-7を示すヘッドレストを含むシート部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0028】
図1は、本実施形態に係るシートを示す斜視図である。図1に示すシート10は、自動車等の車両に設けられるものであり、運転者等の乗員が着座するものである。なお、以下では、シート10が主に運転席のシートである場合について説明するが、シート10はこの場合に限定されず、助手席や2列シートの後部座席、3列シートの2列目や3列目のシートなど、運転席のシート以外のシートであってもよい。
【0029】
図1に示すように、シート10は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション11と、下端部がシートクッション11に支持されて背もたれとなるシートバック12と、シートバック12に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレスト13と、を備えている。
また、シートクッション11やシートバック12、ヘッドレスト13等の内部には、クッションパッド14等が配置されており、表皮15が、クッションパッド14等を被覆してシートの表面を構成している。
【0030】
また、シート10は、図2に示すようなシートフレーム16が内蔵されている。シートフレーム16は、シートクッション11を構成するクッションフレーム16Aと、シートバック12を構成するシートバックフレーム16Bとを有している。
クッションフレーム16Aとシートバックフレーム16Bにそれぞれクッションパッド14(図2では図示省略)が配置され、さらに表皮15が被せられることで、シート10が構成されている。
【0031】
そして、シートフレーム16(クッションフレーム16A、シートバックフレーム16B)には、左右一対のサイドフレーム16Cが設けられている。そして、クッションフレーム16Aには、板状のパンフレーム16Dや、連結パイプ16Eや、受圧部材としてシートスプリング16F等が設けられている。
また、シートバックフレーム16Bの上部には、挿入されたヘッドレスト13のヘッドレストピラー13Aを保持するヘッドレストピラー保持部16Gが設けられている。
【0032】
ヘッドレスト13は、図3(A)、(B)に示すように、左右一対のヘッドレストピラー13A、13Aと、ヘッドレストピラー13Aの上側部分に配置されたクッションパッド14と、それらを被覆する表皮15とを備えて構成されている。
そして、ヘッドレスト13は、ヘッドレストピラー13A、13Aがシートバックフレーム16Bのヘッドレストピラー保持部16G、16Gに挿入されることでシートバック14に取り付けられるようになっている。
【0033】
なお、ヘッドレスト13のクッションパッド14の内部等にヘッドレストピラー13A以外の他の構造物(例えば図示しないプレート等)が設けられていてもよい。
また、図3(A)、(B)では、左右一対のヘッドレストピラー13A、13Aの上端部分が横軸部13Bで連結されて(ヘッドレストピラー13A、13Aと横軸部13Bとが一体的に形成されて)略コ字状に形成されている場合が示されているが、このように形成されている場合に限定されない。
さらに、シート10は、上記のほか、例えば図4に示すように、ネックレスト17やアームレスト18等を備えていてもよく、また、図示を省略するが、フットレストやオットマン等の補助支持部を備えていてもよい。
【0034】
一方、本実施形態では、以上のようなシート10に脳波検出センサーが配置されるようになっている。なお、以下では、単に「脳波検出センサー」と記載するが、センサー単体でもよく、センサーモジュール等の形態で構成されていてもよい。
本実施形態では、脳波検出センサーは、シート10に着座した乗員(特に運転者)の脳波を検出することができるものであればよく、特別な構成や性能等を有するものである必要はなく、公知の脳波検出センサーを用いることが可能である。また、後述する図5(A)、(B)以下の各図では、脳波検出センサーが矩形状である場合が示されているが、脳波検出センサーの形状は矩形状である場合に限定されない。
【0035】
そして、本実施形態では、脳波検出センサーをシート10に配置する際、前述した特許文献3等に記載されているように脳波検出センサーをシート10と乗員(特許文献3では乗員の後頭部)との間、すなわち脳波検出センサーをシート10の外側に配置するのではなく、後述する図5(A)、(B)以下の各図に示すように、脳波検出センサー20が、シート10の内側すなわちシート10の表皮15より内部に設けられるように配置されている。
【0036】
そして、脳波検出センサー20をシート10に設けることで、乗員の頭(脳)と脳波検出センサー20との距離が近くなり、脳波検出センサー20で乗員の脳波を的確に検出することが可能となる。
また、脳波検出センサー20をシート10の表皮15の外に配置すると、脳波検出センサー20でシート10の表皮15の一部が隠されてしまい、シート10のデザイン性が制約されてしまうが、本実施形態のように脳波検出センサー20をシート10の表皮15より内部に設けるように構成すれば、脳波検出センサー20でシート10の表皮15が隠されてしまうことがない。そのため、脳波検出センサー20による制約なしにシート10をデザインすることが可能となり、シート10のデザイン性を向上させることが可能となる。
【0037】
このように、本発明によれば、シート10に対して脳波検出センサー20を適切な位置関係で配置することが可能となる。
以下、上記のように脳波検出センサー20をシート10の表皮15より内部に設ける場合についていくつかの構成例を挙げて具体的に説明する。なお、上記の効果は、以下で説明する各構成例において共通する効果である。
【0038】
[構成例1]
最初に、脳波検出センサー20がシート10のヘッドレスト13の表皮15より内部に設けられている場合について説明する。
また、以下では、まず、脳波検出センサー20が1つだけ設けられる場合について説明する。
【0039】
[構成例1-1]
図5(A)、(B)に示すように、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であって、左右のヘッドレストピラー13A、13Aの間の位置に設けるように構成することが可能である。
このように構成すれば、脳波検出センサー20を、シート10において乗員の頭部に最も近い位置にあるヘッドレスト13内に配置することが可能となり、脳波検出センサー20で乗員の脳波を的確に検出することが可能となる。
なお、脳波検出センサー20を、図5(A)、(B)に示した位置よりも下側に設けることも可能である。
【0040】
そして、このように脳波検出センサー20をヘッドレスト13内の左右のヘッドレストピラー13A、13Aの間の位置に設ける際、図5(B)に示したように、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であってヘッドレストピラー13Aよりも前側の位置に設けることが好ましい。
このように構成すると、仮に脳波検出センサー20の左右や前側にヘッドレストピラー13Aが存在すると脳波検出センサー20の脳波の受信感度等の受信性能に影響が生じる可能性がある場合であっても、ヘッドレスト13内でヘッドレストピラー13Aが脳波検出センサー20よりも後方(すなわち乗員の頭部から遠い位置)に配置されることになるため、ヘッドレストピラー13Aの脳波検出センサー20に与える影響がなくなり(あるいはほとんどなくなり)、脳波検出センサー20で乗員の脳波をより的確に検出することが可能となる。
【0041】
なお、以下の各構成例においても同様であるが、前述したようにヘッドレスト13のクッションパッド14の内部等にプレート等のヘッドレストピラー13A以外の他の構造物が設けられている場合には、脳波検出センサー20を、それらの構造物よりも前側の位置に設けることが好ましい。
このように構成すれば、それらの構造物で脳波検出センサー20の脳波の受信性能等に影響が生じることがない状態で(あるいはほとんどない状態で)、脳波検出センサー20で乗員の脳波を的確に検出することが可能となる。
【0042】
また、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13内のクッションパッド14に埋め込むようにして(すなわちクッションパッド14で保持するようにして)配置することも可能であり、取り付け部材(図示省略)を介してヘッドレストピラー13Aやその横軸部13Bに取り付けて配置するように構成することも可能である。また、脳波検出センサー20を、表皮15の裏側に取り付けて配置したり、ヘッドレスト13内のヘッドレストピラー13A以外の他の構造物に取り付けて配置するように構成することも可能である。
さらに、図5(A)、(B)等では脳波検出センサー20のハーネス等の図示が省略されているが、例えば、ハーネスをヘッドレストピラー13Aに沿うように配設したりヘッドレストピラー13A内を通す等して引き回すように構成することが可能である。
【0043】
[構成例1-2]
また、図6に示すように、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であって、ヘッドレストピラー13Aの外側の位置に設けるように構成することが可能である。
このように構成すれば、脳波検出センサー20を、シート10において乗員の頭部に最も近い位置にあるヘッドレスト13内に配置することが可能となり、脳波検出センサー20で乗員の脳波を的確に検出することが可能となる。
なお、脳波検出センサー20を、ヘッドレストピラー13Aの横軸部13Bよりも上側に設けることも可能である。本実施形態の構成では横軸部13Bの上側もヘッドレストピラー13Aの外側の位置に含まれる。
【0044】
そして、この場合も、上記のように脳波検出センサー20をヘッドレスト13内の左右のヘッドレストピラー13A、13Aの外側の位置に設ける際、構成例1-1の場合と同様に(図5(B)参照)、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であってヘッドレストピラー13Aや他の構造物よりも前側の位置に設けることが好ましい。
このように構成すれば、上記と同様に、ヘッドレストピラー13Aや他の構造物による影響をうけることなく(あるいは影響をほとんど受けることなく)脳波検出センサー20で乗員の脳波をより的確に検出することが可能となる。
なお、図6以下の各図では、図5(B)に示したような側面図の記載を省略する場合がある。
【0045】
[構成例1-3]
また、図7に示すように、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であって、ヘッドピラー13Aの前側の位置に設けることも可能である。このように構成しても、上記の構成例1-1や構成例1-2と同様の有益な効果を得ることができる。
以上のように、脳波検出センサー20は、ヘッドレスト13の表皮15より内部に設けられていれば、ヘッドレスト13内のどの位置に設けられていてもよい。そして、脳波検出センサー20は、ヘッドレスト13を含むシート10の実際の構成において、シート10に着座した乗員の脳波を最も的確に検出することが可能な位置に配置される。
【0046】
また、上記の構成例1-1から構成例1-3では、脳波検出センサー20が左右のヘッドレストピラー13A、13A間の距離より小さいことを前提に説明したが、例えば、脳波検出センサー20の横幅が左右のヘッドレストピラー13A、13A間の距離より長い場合には、図8に示すように、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であって、左右のヘッドピラー13A、13Aの前側の位置に設けることも可能である。このように構成しても、上記と同様の有益な効果を得ることができる。
【0047】
[構成例1-4]
なお、上記の構成例1-1から構成例1-3では、図5(B)に示したように、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であってヘッドレストピラー13Aよりも前側の位置に設けることが好ましいことを説明した。
【0048】
しかし、以下の各構成例においても同様であるが、例えば、脳波検出センサー20を、図9に示すように、ヘッドレストピラー13Aの側方の位置(ヘッドレスト13内の前後方向においてヘッドレストピラー13Aと同じような位置)に設けても、脳波検出センサー20をヘッドレストピラー13Aよりも前側の位置に設けた場合と同等程度の脳波の受信性能を得られる場合には、ヘッドレストピラー13Aの側方の位置に設けてもよい。
また、図示を省略するが、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であってヘッドレストピラー13Aよりも後側の位置に設けても、脳波検出センサー20をヘッドレストピラー13Aよりも前側の位置に設けた場合と同等程度の脳波の受信性能を得られる場合には、ヘッドレストピラー13Aよりも後側の位置に設けることも可能である。
【0049】
なお、上記の「ヘッドレストピラー13Aの側方」や「ヘッドレストピラー13Aよりも後側」には、上記の構成例1-2(図6参照)のように脳波検出センサー20をヘッドレストピラー13Aの外側の位置に設ける場合だけでなく、上記の構成例1-1(図5(A)参照)のように脳波検出センサー20を左右のヘッドレストピラー13A、13Aの間の位置に設ける場合や、図示を省略するがヘッドレストピラー13Aの横軸部13Bの上側の位置等に設ける場合も含まれる。
【0050】
[構成例1-5]
また、例えば図10(A)、(B)に示すように、ヘッドレスト13内の左右のヘッドレストピラー13A、13Aの間にそれらを結合する渡し部材13Cが設けられている場合がある。
そこで、そのような場合には、図10(A)、(B)に示すように、例えば、渡し部材13Cの前面側に脳波検出センサー20を取り付けて、脳波検出センサー20をヘッドレスト13内に設けるように構成することも可能である。
【0051】
このように構成すれば、脳波検出センサー20をヘッドレスト13内に設けたり位置固定したりするための新たな部材等をヘッドレスト13内に設けなくても、渡し部材13Cのように既にヘッドレスト13内に存在する部材等を利用して脳波検出センサー20をヘッドレスト13内に設けることが可能となる。
【0052】
[構成例2]
一方、シート10のヘッドレスト13には、ヘッドレスト13の振動を抑制するための防振部品としてのヘッドレストダンパーや、ヘッドレスト13を前後左右に動かして位置調整するための可動機構等が設けられている場合がある。
【0053】
具体的には、ヘッドレストダンパーαは、例えば、図11(A)、(B)に示すように、重りα1と、重りα1を収容するケースα2と、重りα1とケースα2の内面の間を充填する弾性部材α3とを備えて構成される。そして、ケースα2が、ヘッドレスト13内の左右のヘッドレストピラー13A、13Aの間などに取り付けられることで、ヘッドレストダンパーαがヘッドレスト13内に設けられるように構成される。
そして、ヘッドレストダンパーαは、車両の走行中に、車両の振動が床面からクッションシート11やシートバック12等を伝わりヘッドレスト13に伝達されると、重りα1がケースα2内で共振する状態になり、弾性部材α3がその振動エネルギーを吸収することで、ヘッドレスト13の振動を抑制するようになっている。
【0054】
また、可動機構βは、例えば、図12に示すように、ヘッドレスト13内のヘッドレストピラー13Aの横軸部13Bに取り付けられたヘッドレストフレーム13Dのケースβ1内に、図示しないラチェット機構やバネ等を備えて構成されている。
そして、可動機構βは、例えば乗員が図示しないボタンが押した状態でヘッドレスト13を前方又は後方に倒したり起こしたりすると、ヘッドレストフレーム13Dが横軸部13Bを回動中心として前方又は後方に揺動する動きを許容するとともに、乗員がヘッドレスト13を前方又は後方に倒したり起こしたりする動作をやめてボタンから手を離すと、ヘッドレストフレーム13D(すなわちヘッドレスト13)をその位置で位置決めする(すなわちそれ以上前後方向に移動させない)ように構成される。
なお、可動機構βは、このようなヘッドレスト13の前後方向の位置調整だけでなく左右方向の位置調整を行うことができるように構成することも可能である。
【0055】
そして、ヘッドレスト13内に設けられたヘッドレストダンパーαや可動機構βが上記のように構成されている場合、ヘッドレストダンパーαのケースα2や可動機構βのケースβ1の前面や側面等に脳波検出センサー20を取り付けたり、あるいは図示を省略するがヘッドレストダンパーαのケースα2自体や可動機構βのケースβ1自体を脳波検出センサー20に置き換えたり(脳波検出センサー20で構成したり)するように構成することも可能である。
【0056】
このように構成すれば、ヘッドレスト13内に設けられているヘッドレストダンパーαのケースα2や可動機構βのケースβ1等の構造物の近傍あるいはそれと一体的に脳波検出センサー20を設けることが可能となり、ヘッドレスト13内に脳波検出センサー20と構造物とを別々に設ける場合に比べてヘッドレスト13内に脳波検出センサー20をよりコンパクトに配置することが可能となる。
【0057】
[構成例3]
ところで、上記の構成例1(構成例1-1から構成例1-5)や構成例2で説明したように脳波検出センサー20をヘッドレスト13内に設ける場合、脳波検出センサー20で乗員の脳波を検出する際に、脳波検出センサー20を自動的に上下方向に移動させて最適な位置に配置するように構成することが可能である。
なお、脳波の検出後は、脳波検出センサー20の位置を脳波の検出を行う前の位置に戻すように構成してもよく、脳波検出を行った際の位置に留めておくように構成してもよい。
【0058】
脳波検出センサー20を適切な位置に配置するためには、脳波の検出を行う時点で、シート10に着座した乗員の頭部がどの位置にあるかを認識する必要があるが、乗員の頭部の位置を検出するための検出手段(例えば赤外線距離センサー等)を、シート10に配置してもよく、ルーフ等の車体側に配置してもよい。
また、シート10に着座した乗員の頭部がどの位置にあるかを的確に認識することが可能であれば、検出手段は単数であっても複数であってもよい。
【0059】
一方、例えば図13に示すように、ヘッドレスト13の内部に脳波検出センサー20を上下方向に案内するレール21と、脳波検出センサー20を上下方向に移動させるためのモーター等のアクチュエーター22を設けておく。
あるいは、ヘッドレスト13を上下方向に移動させて脳波検出センサー20を上下方向に移動させるように構成することも可能である。この場合、例えば図14に示すように、ヘッドレストピラー13Aを上下方向に移動させるためのモーター等のアクチュエーター22をシートバック12内に設けておく。
【0060】
制御部23は、ECU(電子制御ユニット)等で構成され、シート10の内部や下側等に設けられている。そして、制御部23は、乗員の頭部と脳波検出センサー20との最適な相対的な位置関係の情報を予め有している。
また、制御部23は、前述した検出手段24が検出した信号(例えば距離の情報等を含む信号)に基づいてシート10に着座した乗員の頭部の位置(例えばルーフからの距離等)を割り出す。
【0061】
そして、制御部23は、割り出した乗員の頭部の位置の情報や上記の最適な相対的な位置関係の情報等に基づいて、その時点での脳波検出センサー20の位置からレール21(図13参照)やヘッドレストピラー13A(図14参照)の方向にどれだけ脳波検出センサー20を移動させればよいかを算出する。
そして、制御部23は、算出した距離だけ脳波検出センサー20を移動させるようにアクチュエーター22を駆動させる。
【0062】
このようにして、脳波検出センサー20で乗員の脳波を検出する際に、脳波検出センサー20を自動的に上下方向に移動させて最適な位置に配置することが可能となる。
なお、上記の算出処理に必要なパラメーター等を検出手段で検出したり他のECUから入手したりするように構成することが可能である。また、上記の構成は、脳波検出センサー20がシート10のヘッドレスト13内に1つだけ設けられる場合だけでなく、以下の各構成例においても適用することができる。
【0063】
[構成例4]
次に、1つの脳波検出センサー20がヘッドレスト13以外のシート10の部分に設けられている場合について説明する。なお、この場合も、脳波検出センサー20は、シート10の表皮15より内部に設けられる。
具体的には、脳波検出センサー20を、例えば、ネックレスト17(図4参照)やシートバック14、アームレスト18、シートクッション11等に配置するように構成することが可能である。
【0064】
そして、脳波検出センサー20をシート10内(例えばネックレスト17内)に設ける場合、上記の構成例1-1(図5(A)参照)の場合と同様に、脳波検出センサー20をシート10の左右方向の中央の位置(図15(A)参照)に配置するように構成することも可能であり、上記の構成例1-2(図6参照)の場合と同様に、シート10の左右のいずれか一方にずれた位置(図15(B)参照)に配置するように構成することも可能である。
この場合も、脳波検出センサー20の受信性能等に応じて脳波検出センサー20を配置する位置が適宜決められる。
【0065】
[構成例5]
次に、脳波検出センサー20がシート10の表皮15より内部に複数設けられている場合について説明する。
このように、シート10内に脳波検出センサー20を複数設けるように構成すれば、1つの脳波検出センサー20で乗員の脳波を検出する場合に比べて複数の脳波検出センサー20で検出する場合の方がより確実に乗員の脳波を検出することが可能となり、脳波検出の確実性をより向上させることが可能となる。
【0066】
[構成例5-1]
以下、まず、複数の脳波検出センサー20がシート10のヘッドレスト13内に設けられている場合について説明する。
すなわち、例えば図16に示すように、脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の表皮15より内部に複数設けるように構成することが可能である。
【0067】
そして、図16に示すように、脳波検出センサー20をヘッドレスト13内の左右の位置に設けるように構成すれば、上記のように脳波検出の確実性を向上させることが可能となる。
また、乗員の左脳からの脳波と右脳からの脳波を各脳波検出センサー20でそれぞれ検出することが可能となるといった効果もある。
【0068】
なお、図16では、脳波検出センサー20を2つ配置する場合について示したが、3つ以上配置するように構成することも可能である。
また、図16では、複数の脳波検出センサー20を、ヘッドレスト13の内部であって、左右のヘッドレストピラー13A、13Aの外側の各位置にそれぞれ設けた場合を示したが、複数の脳波検出センサー20を必ずしもこのように配置する必要はない。
【0069】
図示を省略するが、例えば、1つ又は複数の脳波検出センサー20をヘッドレストピラー13Aの外側に配置するとともに左右のヘッドレストピラー13A、13Aの間の位置にも脳波検出センサー20を配置するように構成してもよい。また、例えば、複数の脳波検出センサー20をヘッドレスト13内の上下に配置したり前後に配置したりするように構成することも可能である。
【0070】
このように、複数の脳波検出センサー20をヘッドレスト13内に設ける場合、ヘッドレスト13の表皮15より内部の位置であればヘッドレスト13内のどのような位置に設けてもよい。そして、この場合も、複数の脳波検出センサー20は、ヘッドレスト13を含むシート10の実際の構成において、シート10に着座した乗員の脳波を最も的確に検出することが可能な各位置に配置される。
【0071】
[構成例5-2]
一方、脳波検出センサー20をシート10に複数設けるように構成する場合、必ずしも上記のように全ての脳波検出センサー20をヘッドレスト13内に設ける必要はなく、乗員の脳波検出の確実性を向上させることが可能であれば、複数の脳波検出センサー20をシート10の各部分にそれぞれ設けることが可能である。
脳波検出センサー20を設けるシート10の位置としては、例えば、ヘッドレスト13やネックレスト17、シートバック14、アームレスト18(図4参照)、シートクッション11等に配置するように構成することが可能である。フットレストやオットマン等に設けてもよい。
【0072】
そして、例えば図17に示すように、ヘッドレスト13内とネックレスト17内に脳波検出センサー20をそれぞれ設けるように構成することも可能である。
また、ヘッドレスト13以外のシート10の複数の位置に脳波検出センサー20を配置するように構成することも可能であるが、ヘッドレスト13は、通常、乗員の頭部に最も近い位置にありそこに脳波検出センサー20を設けると乗員の脳波を検出しやすいため、シート10内に複数の脳波検出センサー20を設ける場合、図17に示したように、そのうちの1つ又は複数の脳波検出センサー20をヘッドレスト13内に設けることが好ましい。
【0073】
[構成例6]
また、上記のように、単数又は複数の脳波検出センサー20をシート10内(すなわちシート10の表皮15より内部)に設けるとともに、さらに、脳波検出センサーを乗員に装着して併用するように構成することも可能である。
なお、シート10内に設けられる脳波検出センサー20と区別するために、乗員に装着可能な脳波検出センサーを、以下、脳波検出センサー30として説明する。
【0074】
このようにシート10内に設けた脳波検出センサー20とともに、乗員Aに装着可能な脳波検出センサー30を併用するように構成することで、シート10内に設けた脳波検出センサー20だけを用いて乗員Aの脳波を検出する場合に比べて、複数の脳波検出センサー20、30で重層的に乗員Aの脳波を検出することが可能となる。そして、乗員Aの脳波をより確実に検出することが可能となり、脳波検出の確実性をより向上させることが可能となる。
【0075】
乗員Aに装着可能な脳波検出センサー30としては、例えば、図18(A)に示すようなヘッドセットタイプのものを用いることができる。
なお、以下では、脳波検出センサー30がヘッドセット31に設けられている場合について説明するが、ヘッドセットタイプでなくてもよく、乗員Aの脳波を的確に検出することができるものであればどのような形態であってもよい。
【0076】
脳波検出センサー30が検出した信号は、例えば、図示を省略するが、脳波検出センサー30を備えるヘッドセット31とシート10とをケーブル等で接続して有線方式で外部装置に送信するように構成することが可能である。
また、脳波検出センサー30が検出した信号を無線方式で送信するように構成することも可能である。この場合、例えば図18(B)に示すように、脳波検出センサー30を備えるヘッドセット31に、脳波検出センサー30からの信号を無線方式で送信する送信部32が設けられる。
【0077】
なお、図18(B)では、脳波検出センサー30(図18(A)参照)による信号検出におけるGND電位を得るために、例えば乗員Aの耳たぶを挟むようにして乗員Aの身体等に取り付けられるGND電位取得手段31aがヘッドセット31に設けられている場合が示されているが、GND電位を取得する方法はこれに限定されない。
また、送信部32は、必ずしも図18(B)に示したような乗員Aの後頭部の位置に設けられる必要はなく、後述する受信部で受信しやすい適宜の位置に配置される。
【0078】
そして、脳波検出センサー30からの信号を無線方式で送信する場合、信号を受信するための受信部が車室内に設けられるが、受信部を、例えばルーフやドア、ピラー(フロントピラーやセンターピラー、リヤピラー)等に設けることが可能である。そして、例えば、受信部をルーフに設ける場合には送信部32はヘッドセット31の上側(頭頂部側)に設けられ、受信部をドアやピラーに設ける場合には送信部32はヘッドセット31の横側(側頭部側)に設けられる。
【0079】
[構成例6-1]
また、脳波検出センサー30からの信号を受信する受信部をシート10に設けるように構成することも可能である。
このように構成すれば、シート10に着座している乗員Aに装着された脳波検出センサー30からの信号を、ルーフやピラー等よりも乗員Aに近い位置にあるシート10に設けた受信部で受信することが可能となり、脳波検出センサー30からの信号を感度良く確実に受信することが可能となる。
【0080】
[構成例6-2]
また、上記のように受信部をシート10に設ける場合、図18(B)に示した送信部32に最も近い位置にあるシート10のヘッドレスト13に受信部を設けることが望ましい。受信部をネックレスト17やシートバック12の上部等に設けてもよい。
このように構成すれば、シート10に着座した乗員Aに装着された脳波検出センサー30(ヘッドセット31)からの信号を、ヘッドセット31の送信部32に最も近い位置でより感度良く受信することが可能となり、脳波検出センサー30からの信号を確実に受信することが可能となる。
【0081】
[構成例6-3]
なお、受信部をヘッドレスト13(あるいはネックレスト17やシートバック12の上部等。以下同じ。)に設ける場合、例えば図19(A)に示すように、受信部40を、ヘッドレスト13内に設けられた脳波検出センサー20の近傍に設けるように構成することが可能である。
脳波検出センサー20が受信する乗員Aの脳波の周波数は数Hz~数十Hz程度であるのに対し、脳波検出センサー30の送信部32と受信部40との間の無線通信に用いられる電波の周波数は、通常、GHzオーダーである。そのため、受信部40が数Hz~数十Hz帯のノイズを出さず、脳波検出センサー20がGHzオーダーのノイズを出さないものであれば、それらを近接させて配置することができる。
【0082】
そして、このようにヘッドレスト13内で脳波検出センサー30からの信号の受信部40を脳波検出センサー20の近傍に設ける場合、ヘッドレスト13内でそれらをコンパクトにまとめて構成すること(例えば1つのユニットにまとめること等)が可能となる。
そのため、それらを含むヘッドレスト13内の各構造物のレイアウトの自由度が高くなる。
【0083】
[構成例6-4]
また、例えば、ヘッドレスト13内で脳波検出センサー30からの信号の受信部40を脳波検出センサー20の近傍に設けると弊害が生じるような場合には、例えば図19(B)に示すように受信部40と脳波検出センサー20をヘッドレスト13の左側と右側に分けるなど、ヘッドレスト13内で互いに離れた位置にそれぞれ設けるように構成することも可能である。ヘッドレスト13内での上下方向の位置を互いに異なる位置にしてもよい。
このように構成すれば、互いのノイズを拾わずに、受信部40は脳波検出センサー30からの信号を的確に受信し、脳波検出センサー20は乗員Aの脳波を的確に検出することが可能となる。
【0084】
[構成例6-5]
さらに、脳波検出センサー30からの信号の受信部40と脳波検出センサー20とをヘッドレスト13内に設けることが困難である場合には、例えば、図20に示すように脳波検出センサー20をヘッドレスト13内に設け、受信部40をネックレスト17やシートバック12の上部等に設けるように構成することも可能である。
【0085】
また、図示を省略するが、反対に、例えば、受信部40をヘッドレスト13内に設け、脳波検出センサー20をネックレスト17やシートバック12の上部等に設けるように構成することも可能である。
そして、以上のように構成すれば、互いのノイズを拾わずに、受信部40は脳波検出センサー30からの信号を的確に受信し、脳波検出センサー20は乗員Aの脳波を的確に検出することが可能となる。
【0086】
[構成例6-6]
ところで、上記のように、脳波検出センサー30を備えるヘッドセット31とシート10等とをケーブル等で接続する場合には、このケーブル等を介して外部電源からヘッドセット31や脳波検出センサー30に電力を供給することができる。
しかし、ヘッドセット31の送信部32とシート10等に設けられた受信部40との間で無線通信を行う場合、上記のように外部電源からヘッドセット31や脳波検出センサー30に有線で電力を供給することができない。
【0087】
そこで、ヘッドセット31内に予め二次電池やキャパシター等の蓄電デバイスを設けておく。そして、図示を省略するが、例えば、停車中などでヘッドセット31を使用していない間に、ヘッドセット31にケーブル等を接続して蓄電デバイスを充電しておくように構成することが可能である。
そして、乗員Aがシート10に着座する際にヘッドセット31からケーブル等を外し、ヘッドセット31を装着して着座する。そして、乗員Aがヘッドセット31の装着している間は、蓄電デバイスの充電は行われず、上記のようにして充電済みの蓄電デバイスから脳波検出センサー30等に電力が供給されて脳波検出センサー30等が作動する。
【0088】
しかし、上記のように構成する場合、乗員Aがヘッドセット31にケーブル等を接続しなければならず、面倒であったり、接続忘れ(充電忘れ)が生じる可能性もある。
そこで、上記のようにヘッドセット31と受信部40との間で無線通信を行うように構成する場合、脳波検出センサー30やヘッドセット31等に対して非接触給電(ワイヤレス給電、ワイヤレス電力伝送等ともいう。)を行うための送電ユニットをシート10に設け、ヘッドセット31に受電ユニットを設けておき、送電ユニットから受電ユニットに送電してヘッドセット31内の蓄電デバイスを充電するように構成することが可能である。なお、送電方法は特定の方法に限定されない。
【0089】
[構成例6-6-1]
そして、この場合、乗員Aがヘッドセット31の装着している間は蓄電デバイスの充電は行わず、例えば図21に示すように、乗員Aがヘッドセット31を外してシート10の所定の収納部60に収納する等した際に自動的にシート10側の送電ユニット50からヘッドセット31の受電ユニット33に送電してヘッドセット31の蓄電デバイスを非接触給電によって充電するように構成することが可能である。
このように構成すれば、上記のように充電のために乗員Aがヘッドセット31にケーブル等を接続する手間がかからず、充電忘れが生じるおそれもなくなる。なお、ヘッドセット31の収納部60への収納等については、後述する構成例6-7で説明する。
【0090】
[構成例6-6-2]
また、乗員Aがヘッドセット31を装着してシート10に着座している間にシート10側の送電ユニットから送電してヘッドセット31の蓄電デバイスを充電するように構成することも可能である。
具体的には、例えば図22に示すように、シート10のネックレスト17(あるいはヘッドレスト13やシートバック12の上部等)に送電ユニット50を設けておき、乗員Aがヘッドセット31を装着した場合に送電ユニット50に対向する位置に受電ユニット33が位置するようにヘッドセット31に受電ユニット33を設けておく。
【0091】
このように構成すれば、乗員Aがヘッドセット31を装着してシート10に着座している間にヘッドセット31の蓄電デバイス(図示省略)を自動的に非接触給電によって充電することが可能となる。
なお、この場合、シート10側の送電ユニット50から常時送電されるのではなく、例えば、蓄電デバイスの残存電力が所定値まで低下する等してヘッドセット31から充電要求信号が発信された時点で、上記のように送電して充電を行うように構成される。
【0092】
[構成例6-7]
ところで、上記のように、乗員Aがヘッドセット31(脳波検出センサー30)を装着するように構成する場合、降車時等に乗員Aが外したヘッドセット31を例えばシートクッション11上に置いておくと、次にシート10に着座した乗員が臀部でヘッドセット31を押し潰す等してヘッドセット31が損傷してしまう可能性がある。
そこで、ヘッドセット31の非装着時にヘッドセット31を収納部に収納することができるように構成することが可能である。
【0093】
その際、収納部を、例えば車両のインスツルメントパネル(インパネ)やルーフ、フロントピラーやリヤピラー、ドア等に設けるように構成することが可能である。
また、図示を省略するが、収納部を、例えばインパネのグローブボックスのような蓋付きのケース状に構成してもよく、ドアの収納ポケットのような蓋なしのケース状に構成してもよく、あるいは単にフック状に構成することも可能である。
【0094】
一方、ヘッドセット31(脳波検出センサー30)を収納可能な収納部をシート10に設けるように構成することも可能である。
この場合も、図示を省略するが、収納部は、例えばシートクッション11の側面部やシートバック12の側面部や背面等に設けたフック状のものであってもよい。
【0095】
また、図23に示すように、例えばヘッドレスト13の前面側(あるいは背面側や側面部等)を開閉可能に構成し、ヘッドレスト13の内部にヘッドセット31を収納するように構成することも可能である。すなわち、ヘッドレスト13内にヘッドセット31(脳波検出センサー30)の収納部60(ヘッドレスト13の前面等が蓋部61になる。)を形成するように構成することも可能である。
また、図示を省略するが、シートクッション11の側面部やシートバック12の側面部や背面等の一部を開閉可能に形成し、その中にヘッドセット31を収納するように(すなわちシートクッション11やシートバック12等に収納部60を形成するように)構成することも可能である。
【0096】
このように、ヘッドセット31(脳波検出センサー30)の収納部をシート10に設けるように構成すれば、ヘッドセット31を押し潰して損傷したりヘッドレスト31が散逸してしまったりすることを確実に防止することが可能となり、ヘッドセット31を適切に管理することが可能となる。
また、乗員Aはヘッドセット31(脳波検出センサー30)を収納部60から取り出して容易に装着することが可能となる。
【0097】
なお、本発明は上記の実施形態や各構成例等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0098】
10 シート
13 ヘッドレスト
13A ヘッドレストピラー
15 表皮
20 脳波検出センサー
30 脳波検出センサー(乗員に装着可能な脳波検出センサー)
40 受信部
50 送電ユニット(ユニット)
60 収納部
A 乗員
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23