(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107063
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】半導体処理装置における希ガスの収集とリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240801BHJP
F25J 3/02 20060101ALI20240801BHJP
B01D 53/047 20060101ALI20240801BHJP
B01D 53/22 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
F25J3/02 Z
B01D53/047
B01D53/22
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090497
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2021555036の分割
【原出願日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】62/817,702
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/814,319
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン チャオ
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン マイケル
(57)【要約】
【課題】半導体処理装置において希ガスを収集しリサイクルする方法を提供する。
【解決手段】半導体処理装置用等のプロセスチャンバが、回収ユニットに接続される。上記回収ユニットは、緩衝ガス用の第1の貯蔵タンクと希ガス用の第2の貯蔵タンクを含む。両貯蔵タンクは、上記回収ユニットのカラムに接続される。この回収ユニット及びプロセスチャンバは、閉じたシステムとして動作し得る。上記回収ユニット内の分離は一定の流量条件で動作するが、希ガスは変動する流量で送られ得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
プロセスガスを含んだプロセスチャンバ内で半導体ウェハを処理し、前記プロセスガスが希ガスと緩衝ガスを含み、
前記プロセスガスを、ガス排気ラインを介して前記プロセスチャンバから混合タンクにポンプで送り、
前記プロセスガスを、前記混合タンクから第1のカラム及び第2のカラムにポンプで送り、
前記プロセスガスを、前記第1のカラム及び前記第2のカラムで分離し、
前記緩衝ガスを、前記第1のカラムから第1の貯蔵タンクに送り、
前記希ガスを、前記第2のカラムから第2の貯蔵タンクに送り、
前記緩衝ガスを前記第1の貯蔵タンクから前記プロセスチャンバに送り、前記希ガスを前記第2の貯蔵タンクから前記プロセスチャンバに送る、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記希ガスが、キセノン又はクリプトンのうちの少なくとも1つを含み、前記緩衝ガスが、アルゴン、ネオン、酸素、窒素、又は水素のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記希ガスの少なくとも一部分を、第2のガス供給ラインから、前記プロセスチャンバではなく前記ガス排気ラインに向かって分流させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記緩衝ガスの少なくとも一部分を、第1のガス供給ラインから、前記プロセスチャンバではなく前記ガス排気ラインに向かって分流させることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセスガスを前記プロセスチャンバから前記混合タンクにポンプで送ることが、真空ポンプを使用し、前記プロセスガスを前記混合タンクから前記第1のカラム及び前記第2のカラムにポンプで送ることが、圧縮機ポンプを使用する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分離することが、圧力スイング吸着、真空スイング吸着、温度スイング吸着、極低温蒸留、又は膜分離のうちの少なくとも1つを使用する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
閉じたシステムで実行される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記分離することは、一定の流量条件で動作するが、前記第2の貯蔵タンクから前記希ガスを送ることは、変動する流量で行われる請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、2019年3月13日に出願され、米国特許出願第62/817,702号に割り当てられた仮特許出願の優先権を主張し、その開示を参照によりここに援用する。
【0003】
貴重な希ガスの需要が伸びている。キセノンは大気の微量成分(87ppb)であり、複雑な空気分離プロセスの副産物であるため、半導体処理用途やその他の用途にとって高価な材料になっている。例えば、キセノンは、麻酔やイオン推進エンジン、照明における高輝度放電、半導体製造におけるプラズマエッチング、放電生成プラズマ又はレーザ生成プラズマにおけるプラズマ媒質などの用途で、使用されることが増えている。この用途数の伸びはしばしば、キセノンの供給が限られているために抑制されてしまう。キセノンなどの貴重な希ガスを最高の回収効率で収集しリサイクルすれば、役立つはずである。
【0004】
希ガス回収ユニットの回収効率に応じて、収集される希ガスの量が変わる。典型的な性能は90%~99.9%の範囲にある。一般に、緩衝ガスを抜く際、又はその他の方法で除去する際に、Xeなどの残留希ガスの0.1%~10%が失われる。ガス分離の技術や実施形態によっては、回収効率の向上が実現不可能な場合もあれば、多額の費用がかかってしまう場合もある。
【0005】
例えば半導体処理ツールなどでは、長期的な所有コストに対する残留希ガスの損失の影響が大きくなり得る。半導体の製造では一般的に行われていることだが、希ガスの流量が毎分数リットルという大流量で、且つプロセスチャンバが1日ほぼ24時間動作している場合の、所有コストへの悪影響は特に深刻になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9,168,467号
【特許文献2】米国特許第7,300,497号
【特許文献3】米国特許第8,535,414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、必要なのは、希ガスを収集しリサイクルする新しいシステム及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の実施形態で、一システムが提供される。上記システムは、キセノン及び/又はクリプトンを使用するプロセスチャンバと、上記プロセスチャンバと流体連通する回収ユニットとを備える。上記回収ユニットは、ガス排気ラインを介して上記プロセスチャンバと流体連通する混合タンクと、上記混合タンクと流体連通する第1のカラムと、上記混合タンクと流体連通する第2のカラムと、上記第1のカラム及び上記プロセスチャンバと流体連通する第1の貯蔵タンクと、上記第2のカラム及び上記プロセスチャンバと流体連通する第2の貯蔵タンクと、上記第1の貯蔵タンクを上記プロセスチャンバに接続する第1のガス供給ラインと、上記第2の貯蔵タンクを上記プロセスチャンバに接続する第2のガス供給ラインと、上記第1のガス供給ラインを上記ガス排気ラインに接続する第1のループバックラインと、上記第2のガス供給ラインを上記排気ラインに接続する第2のループバックラインと、を含む。
【0009】
上記ガス排気ラインは、真空ポンプを含み得る。
【0010】
上記システムはさらに、上記混合タンク、上記第1のカラム及び上記第2のカラムと流体連通する、圧縮機ポンプを含み得る。
【0011】
上記回収ユニットは、圧力スイング吸着、真空スイング吸着、又は温度スイング吸着のうちの少なくとも1つを使用し得る。
【0012】
上記回収ユニットは極低温蒸留を使用し得る。
【0013】
上記回収ユニットは膜分離を使用し得る。
【0014】
上記回収ユニットは、上記プロセスチャンバを含んだ閉ループシステムであり得る。
【0015】
上記システムはさらに、上記ガス排気ライン、上記第1のガス供給ライン及び上記第2のガス供給ラインと流体連通する、複数の上記プロセスチャンバを含み得る。上記プロセスチャンバはそれぞれ、異なるガス供給流量で動作し得る。
【0016】
第2の実施形態で、一方法が提供される。上記方法は、プロセスガスを含んだプロセスチャンバ内で半導体ウェハを処理することを含む。上記プロセスガスは希ガスと緩衝ガスを含む。上記プロセスガスは、ガス排気ラインを介して上記プロセスチャンバから混合タンクにポンプで送られる。上記プロセスガスは、上記混合タンクから第1のカラム及び第2のカラムにポンプで送られる。上記プロセスガスは、上記第1のカラム及び上記第2のカラムで分離される。上記緩衝ガスは、上記第1のカラムから第1の貯蔵タンクに送られる。上記希ガスは、上記第2のカラムから第2の貯蔵タンクに送られる。上記緩衝ガスは上記第1の貯蔵タンクから上記プロセスチャンバに送られ、上記希ガスは上記第2の貯蔵タンクから上記プロセスチャンバに送られる。
【0017】
上記希ガスは、キセノン又はクリプトンのうちの少なくとも1つを含み得る。上記緩衝ガスは、アルゴン、ネオン、酸素、窒素、又は水素のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0018】
上記方法はさらに、上記希ガスの少なくとも一部分を、上記第2のガス供給ラインから、上記プロセスチャンバではなく上記ガス排気ラインに向かって分流させることを含み得る。
【0019】
上記方法はさらに、上記緩衝ガスの少なくとも一部分を、上記第1のガス供給ラインから、上記プロセスチャンバではなく上記ガス排気ラインに向かって分流させることを含み得る。
【0020】
上記プロセスガスを上記プロセスチャンバから上記混合タンクにポンプで送ることは、真空ポンプを使用し得る。上記プロセスガスを上記混合タンクから上記第1のカラム及び上記第2のカラムにポンプで送ることは、圧縮機ポンプを使用し得る。
【0021】
上記分離することは、圧力スイング吸着、真空スイング吸着、又は温度スイング吸着のうちの少なくとも1つを使用し得る。
【0022】
上記分離することは、極低温蒸留を使用し得る。
【0023】
上記分離することは、膜分離を使用し得る。
【0024】
上記方法は、閉じたシステムで実行され得る。
【0025】
上記分離することは一定の流量条件で動作するが、上記第2の貯蔵タンクから上記希ガスを送ることは、変動する流量で行われ得る。
【0026】
本開示の性質及び目的をより深く理解するために、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示によるシステムの一実施形態の図である。
【
図3】本開示によるシステムの別の実施形態の図である。
【
図4】本開示による複数のプロセスチャンバを備えたシステムの一実施形態の図である。
【
図5】本開示による複数のプロセスチャンバを備えたシステムの別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
請求対象についての説明は特定の実施形態に関して行うが、本明細書に記載の利点及び特徴の全てを提供しない実施形態を含む別の実施形態もまた、本開示の範囲に含まれる。構造、論理、プロセスステップ、及び電子部品の様々な変更が、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得る。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによってのみ定められる。
【0029】
本明細書で開示する各実施形態は、ガスを収集しリサイクルするシステム及び方法を含む。プロセスチャンバからの排気に含まれる非常に価値のある希ガスが、ほぼ失われることなく、分離、精製、且つ再供給され得る。Xeなどの希ガスの損失が少なくなるため、システムの所有コストが下がる。さらに、回収ユニットは、回収効率と純度の組み合わせを向上させるように最適化された一定の流量条件で動作するが、プロセスチャンバは、変動するガス供給流量で動作し得る。複数のプロセスチャンバが、単一の回収ユニットを共有しながら、異なるガス供給流量で動作し得る。
【0030】
半導体処理装置では、キセノンやクリプトンなどの希ガスがしばしば、別の緩衝ガスと共にプロセスチャンバに供給される。かかる組み合わせは、Xe/Ar、Xe/Ne、Xe/He、Xe/O2、Xe/N2、Xe/H2、Kr/Ar、Kr/Ne、Kr/He、Kr/O2、Kr/N2、Kr/H2、Xe/Krなどを含むが、これらに限定されない。放電生成プラズマ又はレーザ生成プラズマの場合、キセノン原子は高い価数でイオン化され、電子衝撃又はレーザの場の下で、様々な高エネルギーイオン状態に励起される。密に分岐した電子配置間で生じる遷移により、赤外線(IR)、可視光線、紫外線(UV)、極紫外線(EUV)、及びX線を含む広い帯域の放射が発生する。Ar、Ne、O2、N2、又はH2などの緩衝ガスは、高エネルギーのXe又はKrイオンを減速(最終的には停止)させて、プロセスチャンバのエッチングを防止するために使用され得る。Krは、希ガスとみなされると同時に、Xeの緩衝ガスとして使用され得る。1つ又は複数の緩衝ガスが、1つ又は複数の希ガスと共に使用され得る。プロセスチャンバの排気は、真空ポンプで排出され、希ガス回収ユニットに送られる。そこで、Xe及び/又はKrが、Ar、Ne、O2、N2、又はH2などの緩衝ガスから分離される。希ガスはガス分離技術で精製され得る。かかる精製技術は、吸着分離、極低温蒸留(例えば特許文献1)、又は膜分離を含む。吸着分離には、圧力スイング吸着(例えば特許文献2)、真空スイング吸着(例えば特許文献3)、及び温度スイング吸着が使用され得る。本明細書で開示した各特許の全体を、参照によりここに援用する。
【0031】
図1は、システム100の一実施形態の図である。システム100は、プロセスチャンバ101及び回収ユニット200を含む。プロセスチャンバ101はガス供給源ライン10に接続され、ガス供給源ライン10は、1つ又は複数の希ガス及び1つ又は複数の緩衝ガスを供給し得る。回収ユニット200は、プロセスチャンバ101と流体連通する。プロセスチャンバ101は、上記希ガス及び緩衝ガスを循環させており、システム100の光源や測定チャンバなど、半導体の検査又は計測システムの一部分になり得る。プロセスチャンバ101はまた、CD計測システム、レチクル検査システム、レーザ生成プラズマ源、エッチングチャンバ、或いはその他の半導体の処理、検査、計測、又はレビューシステムの一部分にもなり得る。例えば、プロセスチャンバ101は、キセノンプラズマ集束イオンビームシステム又はキセノンプラズマエッチングシステムの一部分になり得る。半導体産業以外の用途も可能である。例えば、プロセスチャンバ101は、宇宙空間推進の研究に使用されるキセノンスラスタ試験チャンバの一部分になり得る。
【0032】
回収ユニット200は混合タンク105を含み、混合タンク105は、ガス排気ライン11/12/14を介してプロセスチャンバ101と流体連通する。ガス排気ライン11/12/14は、全量流入セクション14を含む。第1のカラム107及び第2のカラム108が、導管15/16を介して混合タンク105と流体連通する。第1の貯蔵タンク109が、第1のカラム107(導管17を介して)、プロセスチャンバ101、及びガス排気ライン11/12/14と流体連通する。第2の貯蔵タンク110が、第2のカラム108(導管18を介して)、プロセスチャンバ101、及びガス排気ライン11/12/14と流体連通する。それ以外の、第2のカラム108と第1の貯蔵タンク109との間、又は第1のカラム107と第2の貯蔵タンク110との間の接続も可能である。第1のガス供給ライン23が、第1の貯蔵タンク109をプロセスチャンバ101に接続する。第2のガス供給ライン24が、第2の貯蔵タンク110をプロセスチャンバ101に接続する。
【0033】
ガス排気ライン11/12/14は、真空ポンプ102を含み得る。混合タンク105を第1のカラム107及び第2のカラム108に接続する導管15/16は、圧縮機ポンプ106を含み得る。
【0034】
プロセスチャンバ101からのガスの排気11が、真空ポンプ102で排出され、回収ユニット200に送られ得る。回収ユニット200が受けたガスは、混合タンク105に保持され、次いで、ガス分離カラム107、108にポンプで送られ得る。そこで、それらのガスは、圧縮機ポンプ106によって加圧される。ガス分離カラム107、108内の充填材料、温度、及び圧力(又は真空)は、ガス分離技術の選択に応じて異なり得る。一般に、Xeなどの精製された希ガスと、N2などの精製された緩衝ガスが、カラム107、108の反対側の各端に現れる。こういったガスは、これらのカラム内で特定の温度/圧力プロファイルを使用し得る。Xeなどの精製された希ガスは、第2の貯蔵タンク110に貯蔵でき、第2のガス供給ライン24を介してプロセスチャンバ101に戻され得る。第2の貯蔵タンク110は、100%に満たない希ガスを有することができ、一定の不純物又は少量の緩衝ガスを含み得る。N2などの精製された低コストの緩衝ガスは、第1の貯蔵タンク109に貯蔵でき、第1のガス供給ライン23を介してプロセスチャンバ101に戻され得る。第1の貯蔵タンク109は、100%に満たない緩衝ガスを有することができ、一定の不純物又は少量の希ガスを含み得る。第1及び第2のガス供給ライン23、24でガスを送るために、ポンプが使用され得る。
【0035】
システム100は、第1のガス供給ライン23をガス排気ライン11/12/14に接続する第1のループバックライン21を含み得る。第1のループバックライン21からの流れとガス排気ライン11/12/14からの流れを混合したものが、全量流入セクション14を形成し得る。
【0036】
システム100は、第2のガス供給ライン24をガス排気ライン11/12/14に接続する第2のループバックライン22を含み得る。第2のループバックライン22からの流れとガス排気ライン11/12/14からの流れを混合したものが、全量流入セクション14を形成し得る。
【0037】
第1及び第2のループバックライン21、22は、回収ユニット200から出力される流れに対して設けられている。プロセスチャンバ101への第1のガス供給ライン23及び第2のガス供給ライン24の流量は(1つ又は複数の弁を使用するなどして)調整することができ、或いは流れが停止され得るが、そういったことによって回収ユニット200の状態が影響を受けることはない。第1のガス供給ライン23から分流した流れは、第1のループバックライン21へと向かう。第2のガス供給ライン24から分流した流れは、第2のループバックライン22へと向かう。こういった第1のループバックライン21又は第2のループバックライン22に向かって分流する流量は0%~100%にでき、これらの第1及び第2のループバックライン21、22は、互いに異なった分流流入量を有し得る。回収ユニット200の全量流入セクション14内のガス流量と、全量流入セクション14の内部における各分圧は、一定に保持され得る。
【0038】
ガス排気ライン12、第1のループバックライン21、第2のループバックライン22、第1のガス供給ライン23、及び第2のガス供給ライン24は、一方向弁又は別のタイプの弁を含み得る。
【0039】
システム100は、特定の希ガス流量と特定の緩衝ガス流量を要求することができ、これらの流量は、第1のガス供給ライン23及び第2のガス供給ライン24を介して供給される。第1の貯蔵タンク109及び第2の貯蔵タンク110は、プロセスチャンバ101の最大需要量よりも大きい一定の流量を提供し得る。余剰分は、例えば連続的な形で、回収ユニット200を介して再循環させられ得る。
【0040】
回収ユニット200は、圧力スイング吸着、真空スイング吸着、温度スイング吸着、極低温蒸留、又は膜分離のうちの1つ又は複数を使用し得る。別の技術も可能である。
【0041】
図1に示すように、第1の貯蔵タンク190は、N
2などの緩衝ガスのために追加され、これらの緩衝ガスは、第2の貯蔵タンク110からのXeなどの希ガスと同様にプロセスチャンバ101に再循環される。一事例では、回収ユニット200は、プロセスチャンバ101を含んだ閉ループシステムになっている。第1の貯蔵タンク109と第1ガス供給ライン23における全ての残留希ガスは、ほぼ失われることなく、システム内に保持される。
【0042】
図2は、
図1のシステム100に適用され得る方法300のブロック図である。ステップ301で、半導体ウェハが、プロセスガスを含んだプロセスチャンバ内で処理される。上記プロセスガスは希ガスと緩衝ガスを含む。上記希ガスは、キセノン又はクリプトンのうちの少なくとも1つを含み得る。上記緩衝ガスは、アルゴン、ネオン、酸素、窒素、又は水素のうちの少なくとも1つを含み得る。別の希ガス又は緩衝ガスも可能である。
【0043】
ステップ302で、プロセスガスは、ガス排気ラインを介してプロセスチャンバから混合タンクに、例えば真空ポンプを使用して送られる。ステップ303で、プロセスガスは、混合タンクから第1のカラム及び第2のカラムに、例えば圧縮機ポンプを使用して送られる。ステップ304で、プロセスガスは、第1のカラム及び第2のカラムで分離される。この分離は、圧力スイング吸着、真空スイング吸着、若しくは温度スイング吸着、極低温蒸留、又は膜分離のうちの1つ又は複数を使用し得る。
【0044】
ステップ305で、緩衝ガスが、第1のカラムから第1の貯蔵タンクに送られる。ステップ306で、希ガスが、第2のカラムから第2の貯蔵タンクに送られる。ステップ307で、緩衝ガス及び希ガスは、プロセスチャンバに送られる。こうして、方法300は、閉じたシステムで実行され得る。
【0045】
一事例では、上記分離は一定の流量条件で動作するが、希ガスは、変動する流量で送られ得る。
【0046】
一事例では、希ガスの少なくとも一部分が、第2のガス供給ラインからガス排気ラインに向かって分流し、且つ/又は緩衝ガスの少なくとも一部が、ガス供給ラインからガス排気ラインに向かって分流する。こうして、希ガス及び/又は緩衝ガスの一部分又は全てが、プロセスチャンバを迂回する。例えば、プロセスチャンバが使用中でない場合や、修理中の場合がある。そのプロセスチャンバが再びオンラインになるまで、ガスは上記リサイクルシステムによって再循環させられ得る。
【0047】
一例として、プロセスチャンバへのガスの供給が停止され得る。このプロセスチャンバからの排気を接続するポートが閉じられると同時に、その排気先が外気に切り替えられ得る。上記プロセスチャンバは、ポンプで排出されて真空にされ得る。これに関連付けられた回収ユニットが、設計動作条件に合わせて調整され得る。第1及び第2のループバックラインが全開になった状態で、上記回収ユニットが稼働され得る。これで、回収効率と純度が最適な組み合わせのところで回収が安定化させられ得る。ガス排気ラインが、全量流入セクションに切り替えられるか、接続されるか、又は開かれ得る。第1及び第2のガス供給ラインの流量が、プロセスチャンバに合わせて設定され得る。第1のループバックラインの流量は、第1の貯蔵タンクの出力から上記第1のガス供給ラインの流量を引いた差になり得る。第2のループバックラインの流量は、第2の貯蔵タンクの出力から上記第2のガス供給ラインの流量を引いた差になり得る。
【0048】
図3に示すように、システム100は、プロセスチャンバ101及び混合タンク105と流体連通するガススクレーパ(gas scraper)103をさらに含み得る。ガススクレーパ103は、ガス排気ライン11/12/14上にあり得る。ガススクレーパ(103)は、プロセスチャンバ101からのコンタミネーションを除去し得る。かかるコンタミネーションは、周囲空気からチャンバに漏入したO
2、真空用潤滑剤の炭化水素、チャンバ材料からのガス放出、又はその他の汚染源を含み得る。ガススクレーパ103は、例えば、フィルタ、吸収装置、極低温トラップ、ゲッタ、又は触媒コンバータのうちの1つ又は複数を含み得る。
【0049】
図4に示すように、複数のプロセスチャンバ101-1から101-4が、システム202で使用され得る。4つのプロセスチャンバが示されているが、それより多い又は少ないプロセスチャンバが含まれ得る。プロセスチャンバの最大個数は、回収ユニット200の性能によって決定づけられ得る。プロセスチャンバ101-1から101-4はそれぞれ、ガス排気ライン11/12/14と流体連通しており、質量流量コントローラ又はその他のコントローラを使用するなどして、異なるガス供給流量で動作し得る。各プロセスチャンバは、ガス供給源ライン10-1から10-4、第1のガス供給ライン23-1から23-4、及び第2のガス供給ライン24-1から24-4に接続される。各チャンバはガス供給源ライン10-1から10-4を有するが、チャンバの全数よりも少ない数のチャンバが1つのガス供給源ラインを有してもよい。いくつかのチャンバは、第1及び第2のガス供給ラインのみに接続され得る。
【0050】
図5のシステム203に示すように、プロセスチャンバ101-1から101-4はそれぞれ、別個のガススクレーパ103-1から103-4を有し得る。
【0051】
本明細書で開示するシステム及び方法を使用すると、ガスを収集しリサイクルするための完全な閉ループシステムが実施され得る。その結果、貴重な希ガスの損失はほぼなくなり得る。ループバックラインを用いることにより、回収ユニットは、回収効率と純度の組み合わせが最も良好になるように最適化した一定の流入流量条件で動作することが可能でありながら、プロセスチャンバは、変動するガス供給流量で動作することが可能になり得る。ガススクレーパが、回収ユニット又はプロセスチャンバの性能に影響を与えるコンタミネーション及び/又は不純物を除去するために追加され得る。複数のプロセスチャンバが、単一の回収ユニットを共有し得る。これらのプロセスチャンバはそれぞれ、異なるガス供給流量で動作し得る。これらのプロセスチャンバはそれぞれ、コンタミネーション及び/又は不純物を除去するために別々のガススクレーパを使用し得る。
【0052】
一事例では、本明細書で開示するシステムは、0.01%の希ガスの損失のみで動作し得る。こういった損失は、ガススクレーパの再生中、又はプロセスチャンバのクリーニング中に発生し得る。
【0053】
一事例では、キセノンレーザ生成プラズマ(LPP)軟X線源で、緩衝ガスとしてN2を使用する。この緩衝ガスは、プラズマ内で生成される高エネルギーのキセノンイオンを停止させて、チャンバのエッチングと光学部品の損傷を防止するためのものである。この軟X線源では、回収ユニットを使用して、N2緩衝ガスからキセノンを回収する。この例では、回収ユニットは、市販の圧力スイング吸着(PSA)回収ユニットである。本明細書で開示する実施形態を使用すると、回収ユニットの、長期にわたってゆっくりと進行するドリフトや、キセノン回収効率の予測せぬ低下、といったリスクが軽減され得る。回収効率は、このツールの所有コストに影響を与える要因である。複数のツールで単一の回収ユニットを共有すると、所有コストがさらに低減され得る。回収ユニットは、所望の流量に合わせて規模が拡大縮小され得る。
【0054】
1つ又は複数の特定の実施形態に関して本開示の説明を行ったが、本開示の他の実施形態が、本開示の範囲から逸脱することなく作成され得ることが理解されよう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその合理的な解釈によってのみ限定されるとみなされる。