(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107075
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】クランク駆動器
(51)【国際特許分類】
B62M 3/06 20060101AFI20240801BHJP
B62M 3/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B62M3/06
B62M3/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090617
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2021525363の分割
【原出願日】2019-07-18
(31)【優先権主張番号】202018003342.1
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】521024237
【氏名又は名称】フェリックス シュミット
(74)【代理人】
【識別番号】100094547
【弁理士】
【氏名又は名称】岩根 正敏
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィッド シュミット
(57)【要約】
【課題】特にペダル1aの、著しく卵形の周回軌道を形成するための、クランク駆動器を提供する。
【解決手段】クランク2の梃子の実効的長さを周期的に変える。この発明では、歯車梃子4´又は7がクランク2の両端2a、2bに取り付けられている。歯車梃子4´と7は互いに逆方向に回る。それ故、ペダル経路内にさらに二つの運動軸が形成されている。そのため、力を無駄使いせず人間工学に合わせて、自然な人間の足の運動に合わせることができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実効梃子長を周期的に変えるクランク駆動器であって、ペダル1aの軌跡が卵形周回軌道であり、内側端部2aと外側端部2bを有する少なくとも一つのクランク2と、外側に歯を持つ第1の平歯車4aと、外側に歯を持つ第2の平歯車4bと、外側に歯を持つ第3の平歯車4cから成り歯車梃子を形成する駆動歯車列4を備えるクランク駆動器において、
第1の歯車梃子7が上記クランク2の内側端部2aに配置されており、上記第1の歯車梃子7が逆回転段を有する歯車梃子として形成されていることと、
上記第1の歯車梃子7が上記駆動歯車列4を含むとともに、外側に歯を持つ追加の第1の平歯車4a´と、外側に歯を持つ追加の第2の平歯車4b´と、外側に歯を持つ追加の第3の平歯車4c´を含み、上記逆回転段の上記追加の第3の平歯車4c´が回転不能に外側に歯を持つ上記第3の平歯車4cに結合されていることと、
上記逆回転段の上記追加の第1の平歯車4a´が、上記外側に歯を持つ第1の平歯車4aの円筒形の延長部取り付けられ、かつ、チェインホイール8に結合されていて、上記クランクの回転方向と同じ回転方向で上記チェインホイール8を駆動することを特徴とする、クランク駆動器。
【請求項2】
クランク2の外側端部2bに第2の歯車梃子4´が配設されていることと、上記外側に歯を持つ上記第1の平歯車4aと外側に歯を持つ上記第3の平歯車4cのいずれか一方が上記クランク2にそれの歯車軸4d´で結合されていて、上記外側に歯を持つ上記第1の平歯車4aと外側に歯を持つ上記第3の平歯車4cの残りがフレーム10またはペダル1aに回転不能に結合されていることと、上記第1の歯車梃子7と上記第2の歯車梃子4´の一方がクランク2の回転方向に対して反対方向の自己回転をすることを特徴とする、請求項1に記載のクランク駆動器。
【請求項3】
さらに一つの歯車比が2:1:1の駆動歯車列4を有することと、上記外側に歯を持つ上記第1の平歯車4aと外側に歯を持つ上記第3の平歯車4cの一方が上記クランク2にそれの歯車軸4d´で結合されていて、上記外側に歯を持つ上記第1の平歯車4aと外側に歯を持つ上記第3の平歯車4cの他方がフレーム10またはペダル1aに回転不能に結合されていることを特徴とする、請求項2に記載のクランク駆動器。
【請求項4】
第1の歯車梃子7と第2の歯車梃子4´は、それぞれ、二つの半殻5a、5bから成る卵形あるいは洋梨形の筐体5を有し、上記筐体5は粉塵の侵入防止かつ水密にカプセル化されたユニットであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のクランク駆動器。
【請求項5】
第2の歯車梃子4´の外側に歯を持つ第1の平歯車4aまたは第3の平歯車4cに回転不能に調節固定されていて自由回転できないペダル1aのペダル位置が調節可能であり、それにより第2の歯車梃子4´のクランク2に対する角度位置をセットすることができることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のクランク駆動器。
【請求項6】
クランク2の位置が、ラチェット機構を回して、あるいは溝付き軸4dで調節可能であり、それにより第1の歯車梃子7または第2の歯車梃子4´のクランク2に対する角度位置をセットすることができることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のクランク駆動器。
【請求項7】
外側に歯を持つ第1の平歯車4a、外側に歯を持つ第2の平歯車4b、外側に歯を持つ第3の平歯車4c、または、外側に歯を持つ追加の第1の平歯車4a´、外側に歯を持つ追加の第2の平歯車4b´、外側に歯を持つ追加の第3の平歯車4c´の中の少なくとも一つが、コロ軸受け6を嵌装するために、歯車梃子4´または7の内部に横方向に延在し、歯車梃子の歯が形成されている面の直下にまで達する凹部を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のクランク駆動器。
【請求項8】
第1の歯車梃子7または第2の歯車梃子4´の外側に歯を持つ第1の平歯車4a、外側に歯を持つ第2の平歯車4b、外側に歯を持つ第3の平歯車4cの軸間距離とほぼ同じだけ、クランク2が標準のクランク長に較べて延長可能であることと、歯車梃子4´または7の中の平歯車4aから4cまでの3時の位置で梃子延長が惹き起こされることと、クランク2が稲妻形部分を有することと、自転車の枠体10に対向する外側自由端2bの側部が、内側端部2aに対して相対的に枠体側にある回転面内で動くことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のクランク駆動器。
【請求項9】
第1の歯車梃子7または第2の歯車梃子4´の外側に歯を持つ上記回転不能な第1の平歯車4aが、取り外し可能に軸受けブラケット3に固定されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のクランク駆動器。
【請求項10】
第1の歯車梃子7の外側に歯を持つ上記回転不能な第1の平歯車4aが、ブッシュ3bで、軸受けブラケット3に固定されていることを特徴とする、請求項9に記載のクランク駆動器。
【請求項11】
上記駆動歯車列4の第1の歯車梃子7または第2の歯車梃子4´の平歯車軸4d´が歯数比2:1を有するチェインまたはベルト駆動4fとして配置されていて、さらに張力器がチェインまたはベルトに張力を作ることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のクランク駆動器。
【請求項12】
上記逆転段の外側に歯を持つ上記第3の追加の平歯車4c´の歯数が外側に歯を持つ上記第1の平歯車4aおよび外側に歯を持つ追加の第1の平歯車4a´の歯数と同じであり、かつ、外側に歯を持つ上記第1の平歯車4a´が歯数比1:1でスプロケット8を駆動することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のクランク駆動器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実効梃子長を周期的に変えるクランク駆動器に関する。特に、請求項1の前段部分に記載されている力印加器の軌道が卵形であるもの、及びそれに付随する配置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クランク駆動器において実効的に作用する梃子長を変えて、力を供給する際に(自転車においては「ペダルを踏み込む」時に)梃子長を長くして使い、それによってトルクを大きくする試みが、過去において何度もなされている。米国特許第4,960,013号明細書には、自転車においてクランク腕を望遠鏡式に伸ばすことを記述している。しかしながら、この構成はかなり複雑で摩耗しやすいものである。日本の特開平10-35573号公報には、ペダルの周回経路を楕円形に変える制御系列を伴うクランク駆動が記載されている。そこには、3個の同一の歯車を備える歯車の配置も示されているが、それは非常に摩耗しやすいように思われ、また楕円形のペダル経路の死点に因るサイクリストにとっての人間工学的に好ましからざる運動のシークエンスを持っている。ペダルの経路がもっと「卵形」であることが望ましいのであるが、まだそのようなものは知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,960,013号明細書
【特許文献2】特開平10-35573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、実効梃子長を周期的に変えるクランク駆動器であって、比較的小さな寸法(及び重量)でありながら、特に力印加部であるペダルの周回経路が卵形であって充分に有意義に梃子伸長が可能であるクランク駆動器を提案すること、及びその「人間-機械系」を多軸運動を使ってほとんど自然な歩行やランニングに似たものにすることである。特に、普通よく生じる死点領域を大幅に除去し、かつ、運動のシークエンスを個人の必要に応じて調整できるものを提供する。さらにそれらの要請に加えて、体積占有度が小さく、重量を軽減し、安定であり、頑丈な設計とすることができるものを提供する。さらにそれに付随するシステム、特にスポーツ用具のためのシステムであって、クランク駆動が自然な運動シークエンスを作り及び/又は効率をも向上させるものを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は請求項1に記載のクランク駆動器、及びそれに対応する配置によって達成された。本発明の有利な実施例は、従属請求項に記載されている。
【0006】
上記の目的を達成するために、(自転車の)両サイドの各クランクに歯車梃子が搭載される。それは好ましくは歯車駆動によって回転し、ペダルを踏み込む時、実効的な全体としてのクランク(クランク+歯車梃子)の長さが増加する。歯車梃子は好ましくは少なくとも3個の平歯車を備える。それらの平歯車は外側に歯を有する。歯車梃子の三つの平歯車は共通の筐体で軸支され、それらの歯車は周期的に(力を供給するタイミングで)クランク腕の延長上にほぼ並ぶ。歯車比(歯の数の比)は好ましくは2:1:1である。外側に歯がつく歯車による構成は製造コストを低減し、安定な設計を可能とする。その結果歯車装置を極めてコンパクトな配置にでき、簡単に収容でき、特に潤滑油注入を最適にでき、異物混入に対する保護もできる。チェインや歯付きベルトによっても同様な構成が可能であり、その場合チェインや歯付きベルトは二つのスプロケット(チェイン・ホイール)又はベルト伝達を伝達比2:1(なお、特開平10-35573号公報においては1:1であることに留意されたい)で結合し、張力装置も好ましくは歯車梃子の筐体の中に配置する。
【0007】
自転車での歯車梃子設計は、本発明によるとき二つの運動要素からなる。第1の運動要素(運動A)では、歯車梃子はクランクの外側自由端に配置される。クランクの通常はペダルが付けられる軸に歯車梃子の大きい平歯車が回転不能に結合される。力印加器、特にペダルは、歯車梃子の中の一番外側の平歯車と回転不能に結合される。クランク駆動器(クランク+歯車梃子)の公転と連動して力印加器は大きい平歯車の周りでの歯車梃子の自転を惹き起こす。他方、第2の運動要素(運動B)では、クランクの内側端部に歯車梃子が結合され、その歯車梃子の大きい平歯車は、(自転車の)枠体(又は機械本体)に好ましくは回転不能に固定され、そしてそれによりこの歯車梃子は大きい平歯車の周りで、意図したようにクランクの回転方向に対して逆方向に回転する。ここで、大きい平歯車は枠体にプラグによって、又は圧接によって、あるいはネジ結合によって結合される。運動Aと運動Bの重ね合わせのため、それらの平歯車の形状を互いにきっちりと合わせてクランク長の変化に精密な周期性を保証し、それにより両運動AとBが相互作用をして意図した全体としてほぼ卵形のペダル運動とする。提案するクランク駆動器は、好ましくは後付けキットあるいは自転車を再装備する部材として提供される。また、簡略化した構成として種々の機械(例えば、エネルギ変換用機械)において利用して費用対効果を向上できる。例えば、風力あるいは水力発電において、このクランクは一種の「主翼」として設計できる。その場合、旋回可能制御フラップのように見える歯車梃子を外側端部に備える。これは、効率を顕著に改善できるものである。
【0008】
歯車梃子の頑丈かつ単純かつ独特形状とするひとつの構成は、好ましくは3つ(又はそれ以上)歯車を、平らな卵形又は平らな洋梨形の二つの軸受けとしての筐体の間に、完全に密閉して配置することにより得られる。そうすることにより、それらの歯車は塵埃と水から十分に保護され、長期間に亘る最適な潤滑が保証される。好ましくは、(多くの場合チェインとして実現されている)駆動側の「厚」歯車梃子内部の逆回転段を持つ多段歯車の、クランク軸に支承されている平歯車は、簡単に(後輪を駆動するチェインのために)スプロケット(チェインホイール)に連結される。
【0009】
更なる利点は、下記の概念的な図面を基にする好ましい実施例の記述から分かる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、自転車に適用したときの一つの要素(運動A)としての、クランク駆動器の第1の実施形態の(部分断面)上面図である。
【
図3】
図3は、自転車において、(運動Aを伴う)クランク駆動器が360°回転するときの側面図である。
【
図4】
図4は、自転車に適用したときの一つの要素(運動B)としての、クランク駆動器の第2の実施形態の(部分断面)上面図である
【
図5】
図5は、
図4のクランク駆動器の左半分を見る側面図である。
【
図6】
図6は、
図4のクランク駆動器の右半分を見る側面図である。
【
図7】
図7は、自転車において、クランク駆動器の第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせたものA+Bである。
【
図8】
図8は、自転車において、クランク駆動器の第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせたものが360°回転するときの全体運動の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1と
図2は、クランク2を有する本発明に係るクランク駆動器1の一実施形態を概念的に示す。ここでは、簡潔さを目的として、自転車の力伝達部としてのペダル1a付きの右側のクランクだけが示されている。自転車でのこの好ましい実施形態において、自転車運転者の踏力F(参照:
図3右部分)は、クランク駆動器1を介して自転車の軸受けブランケット3の中の左右共通の軸3aに作用する(参照:
図4)。クランク駆動器1は、自由改造自転車(例えば寝台式自転車)あるいは手漕ぎ車にも取り付け得るもので、軸受けブランケット3は中心支承部やシャフト支承部3と同様な概念であり、同一の参照番号を付す。同様のことが、
図1では一点鎖線で示されている軸3aについてもいえる。既に説明したように、自転車においては、通常、180°ずれたペダル1aを有するクランク2を備える(参照:
図4、
図7)。第1の要素(運動A)(参照:
図1から
図3)では、クランク2の外側の自由端2bは、歯車梃子4´の中に組み込まれている駆動歯車列4と連結されている。他方、第2の要素(運動B)のための配置では「逆になっている」(参照:
図4から
図7)、すなわち、そこでは「内側の」歯車梃子7と、その中に内蔵されている駆動歯車列4は(クランク駆動器の全体回転の)中心近くに配置されており、クランク2は歯車梃子7に対して半径方向外側にある。
【0012】
本発明における歯車梃子の駆動歯車列4は、外側に歯がついた少なくとも3個の平歯車4a、4b、4cを備える。ここにおいて、全ての歯車は好ましくは密閉筐体5の中で支承されており、大きい歯車4aの半径方向に外側で互いに並んでサイクロイド様(エピサイクロイド)に(あるいは直線状にではなく、
図8に示されているように三角の筐体の中である角度をもって)回る。歯車梃子では平歯車4a、4b、4cが互いに噛合している(
図2では駆動歯車列4からクランク2への線状の位置になっている)。「軌道的」運動Aでは、運転者がペダルを漕ぐとき周回運動をするペダル1aが外側の平歯車4cに剛体的に(自由回転不能に)、例えば形成された柱状延長部を介して固定されている。(大きい)平歯車4aは、クランク2に対して固定されている。そして2つの肩部で2つのコロ軸受け6を支えている。コロ軸受け6は、平歯車4aと筐体5の間に配設されている。軸受け6は、クランク2と筐体5の間の力の移行を安定化するよう寸法決めされるが、他方、筐体5の中での軸受け6はストレスが小さいことを考えにいれると、比較的小さく実施されることが可能である。
【0013】
中央の平歯車4bの左右の両軸受け6は単一の軸受け、例えば一つのニードル軸受けブッシュによって代用されることもできる。そして他のコロ軸受け6も他の軸受けで代替できることに留意されたい。側面から見ると(参照、
図2)洋梨形に形成されている駆動歯車列の筐体5は、好ましくは二つの平たい卵形あるいは平たく長めの筐体半殻5a、5bから成る。そうすることにより、平歯車4a、4b、4cの装着の後、例えばネジ留め、溶接、半田、接着剤、スナップ式嵌め込み、その他同様な手段で、筐体5を閉じた鞘、言い換えれば駆動歯車列4のための密閉カプセルにすることができる。筐体半殻5a、5bは、例えば金属板からプレス加工で作った同形の(鏡像関係の)ものとすることができ、そうすることにより、製造コストと安定性をよくできる。
【0014】
カプセル化することにより、そして駆動歯車列4を長めの形状とすることにより、この部分は、クランク2の付加的クランクとして機能し、「歯車梃子」4´という呼称が二重の意味で適しているものとなる。平歯車4a、4b、4cは直線状に歯を形成したものに代えて、斜めに歯を形成したもの、あるいは他の形式で歯切りをすることができ、これにより、力の伝達を最適化し、駆動歯車列の動きを滑らかにできる。中間の平歯車4bは回転方向逆転部材として働く。これにより、以下に説明する
図3の運動経過が惹き起こされる。好ましい伝達比、すなわち平歯車4a、4b、4cの歯数の比率は2:1:1である。このとき、クランク2が90°(軸受けブランケットの軸3aの周りを)回転するとき長い形状の歯車梃子4´は(回転軸4d´としての歯車4aの周りで)90°の追加の回転(固有回転)をする。これにより、クランク2の90°の回転に対して、全体として歯車梃子4´の角度配向は180°回転することになる。
【0015】
図3において、自転車の走行方向は矢印Vで示されており、一点鎖線Nは従来のペダルの軌跡である(これは円形であり、中心の軸受けブランケット3の周りをクランク2の従来のペダルが回るときのペダル運動として生じるものである)。この360°の円運動はここでは時計回り方向で起こる。上の死点OT(いわゆる0時あるいは12時の位置)では、駆動歯車列4を内蔵する歯車梃子4´はクランク2の上の端が約90°後方に曲がっている。その後、変速比が2:1:1の歯車噛合により、90°の回転角(3時の位置)では、
図2に示すように伸ばされた配置になる。この配置では、歯車梃子4´の歯車4aと4cの間の軸間距離がクランク2の長さに加わるので、部分運動Aの梃子長は最大となる。この結果、自転車の進行方向Vの方向に少しずれた、ペダル1aにおける力の導入のための周回運動軌道Lが生じる、これは点線軌道で描かれている。さらに90°駆動すると、クランク駆動器1は下の死点UTに到る、これは6時の位置に対応する。そこでは歯車梃子4´がさらに180°自転でまわる(すなわち、自転車の場合、ペダルの位置が後輪側へずれる)。7時頃から11時頃までの経過におけるクランク運動の裏運動の部分では、ペダル1aを伴う歯車梃子4´は半径方向で内側に縮み、結果として周回運動軌道Lは円Nの内部になる。360°一周する間にクランク駆動器1の実効クランク長がこのように連続的に変化することにより、運動Aにおける実効的クランク長を変え、本発明の課題を解決している。ペダル1aの上に同じように加えた(踏)力Fが、従来技術のペダルの運動の場合に比して相対的に回転モーメント増大を生じさせる。
図3の右側の3時の位置で、実効梃子長の最大が生じる。変速比が2:1:1であることにより(ほぼ12時と6時の位置で)歯車梃子4´の位置を90°後方にずらし、平歯車4aと4cの軸間距離により比較的大きいオフセットを作るとき、死点は「目立たなく」なり(クランク2と歯車梃子4´の間の実質的な角度は標準的な175mmのクランク長の場合、高々約14°に過ぎない)、これは特に自転車の場合、人間工学的に好ましい踏板の経路である、そして、従来では死点領域である所を力を印加する範囲にする。力を印加する際(最大は3時の位置)そしてペダルが下に向かう際のクランク駆動器の有効に働くクランクが従来のクランク駆動器に比較して顕著に大きいことにより、トルクが決定的に向上する。そしてその結果としての出力が増大する。6時の位置から9時の位置を通って12時の位置(上の死点OT)までの運動では、周回運動軌道Lが駆動方向あるいは自転車走行方向へずれることによって、従来のペダルの軌跡Nよりいくらか短くなっている。最大限可能な(圧)力の領域(約3時の位置)でのクランク2に起こる実質的クランク長の増加により、新しい周回運動軌道Lの上でペダル経路がほぼ一定で全体の力が同じ場合、(従来技術のペダルの軌跡Nに較べて)有意義に高いトルクと出力がもたらされる。大幅に受動的な領域(約7時から11時の位置まで)でクランクが短くなっていることは、例えば、風車を「風に向かって回す時」に好適に利用できる。他方、力の方向を示す矢印Fに対応させてある3時の位置は、最大のクランク長であり、それ故、回転モーメントの利得を利用することができる。
【0016】
(例えば溝付き軸として実現されている)軸4a´上で歯車梃子4´が(12時の位置を基準として)約90°後方に旋回している位置で軸支されているが、角度オフセットはペダル1aの(旋回角の)で調整でき、従来のペダルの軌跡Nに対する周回運動軌道Lを変化させることができ、あるいは、クランク位置に対するペダル軸で軸支されている歯車梃子4´の角度を変えることができる。そうすることにより、種々の利用者の個人的な好みの「ペダル軌道」に適合させること、さらに種々の利用現場(スポーツ用施設、市街等)に合わせたり、ペダル踏み込み頻度に合わせたりすることもできる。角度オフセット(例えば22.5°)の大きさは前に述べた溝付き軸の割り出しピッチに、あるいは、クランク2と歯車梃子4´の間の結合に大きく依存する。例えば歯数が大きいときは繊細に調節できる。本発明のクランク駆動器1の第1の要素(運動A)の自転車走行者の個性に合わせた調整は簡単な方法で、かつ最小の費用支出で可能である。歯数が大きいときは繊細に調節できることは、溝付き軸4dの歯数に合わせてペダル1aの傾きを調整するためにも言える。
【0017】
図4とそれに付随する
図5と
図6は、クランク駆動器1の第2の要素(運動B)を描いている。追加の歯車梃子7は、特に説明する変更点を除いては、既に説明した歯車梃子4´と同様の構造に作られている。最初の実施形態(
図1から
図3)では、歯車梃子4´はクランク2の外側端部2bの外側にあり、ペダル運動の際にクランク2と一体になって周回運動をする(すなわちクランクの外側端部2bに固定された平歯車4aの中心の周りを回転する)。これに対して、第2の実施形態では、大きい歯車4aは自転車の枠体10に回転不能に、正確に言えば中心の軸あるいは軸受けブランケット3に、(中間ブッシュを介して)固定される。(普通、後輪へのチェイン用又はベルト用歯車を有する)駆動側には好ましくは多段歯車梃子7が配設される(
図4参照)。その多段歯車梃子7には後輪とチェイン結合するためのスプロケット8がネジ9で固定されている。 多段歯車梃子7には、 既に説明した歯車梃子4・の三つの歯車4a、4b、4cに加えて、それらに対向して配設された追加の歯車4a´、4b´、4c´が(軸受けブランケット3あるいは枠体10に向かって一列に並んで配設され)好ましい逆回転段を形成している。ここにおいて、平歯車4a´は軸受けブランケット3に向かう平歯車4aの軸の延長上に中間ブッシュを介して(参照、
図9)取り付けられ、スプロケット8は平歯車4a´(第1の歯車)に固定されている。そして、歯車梃子7の逆方向公転にも拘らず順方向自転をする歯車4a´に固定されたスプロケットを介してチェインを慣用の方法で駆動するよう、逆回転段はこのように作られる。チェイン駆動やベルトドライブで別の伝達比が望まれるときは、歯車梃子7を取り外すと、(前方の)スプロケット8もまた容易に取り換えられる(参照、
図4又は
図9)。
【0018】
(チェインが付いていない)非駆動側(
図4の左側、
図5も参照)では、軸受けブランケット3に取り付けるためには、
図2と同じように形成されている歯車梃子4´で十分である。ここにおいて、内側の平歯車4aは(右側と同じように)やはり枠体10に対して固定される。他方、外側の平歯車4cは、その軸がクランク2の内側端部2aと回転不能に結合される。好ましくは溝付き軸の歯に合わせて調節可能に結合される。クランク2の自由端2bには、ペダル1aがやはり公知の方法で、
図6に示すように固定される。ここにおいて、ペダル1aは、自転車の場合普通であるように自由回転できる慣用のものとすることもできる。しかし、
図1から
図3に従った軌道配置となるようにすることもできる。その場合、(傾きについて溝付き軸の歯4dと合わせてプリセット可能としておき)ペダルのアラインメント方向は調節する。
【0019】
図4(及び
図5)の中に歯車梃子4´と7の平歯車4a、4b、4cが変速比2:1:1で噛合している状態で図示されている。そこでは、歯車の噛合部分は当該歯車の間の十字斜交ハッチで示されている。すなわち平歯車4aと4bが噛合し、平歯車4bと4cが噛合している。
図1と同様に、
図4左側の歯車梃子4´の平歯車は対応するコロ軸受け6で筐体半殻5a、5bから成る筐体5の中で支承されている。この半殻構造は、
図4右側の(歯車梃子4´と較べると追加の変速比と逆回転段を有する点が異なる)歯車梃子7のためにも供することができる(
図7および
図9も参照)。横に位置する枠体10にねじボルトで固定されるスプロケット8に代えて、歯付きベルトによって後輪を駆動する歯付きベルトを使用することもできる。
【0020】
ペダル1aを踏み込むとクランク2が回転し、筐体5の中で歯車梃子4´の平歯車4b、4cは互いに噛合して自転しながら大きい平歯車4aの周りで公転する。(回転方向を逆転するため、平歯車4a´、4b´、4c´を二番目の歯車系として持つ)「厚」の歯車梃子7の平歯車4a、4b、4cについても同様である。ここにおいて、平歯車4aは(中間歯車としての)平歯車4bと(クランク2への結合歯車としての)平歯車4cの2倍の歯数を持つ。このことから、クランク2と歯車梃子4´と7からなる全体としての実効的クランクの実効的梃子長を周期的にさらに変えることが可能となる。ペダルの軌跡N(
図3と
図8参照)に対応する、従来の死点(6時と12時の位置)におけるペダルの慣れ親しんだ高さに合わせるためには、歯車梃子を中央に配置するこの実施形態が好都合である。その場合、クランク2の長さは、大きい平歯車4aと歯車梃子4´の外側の平歯車4cの軸間距離(にほぼ匹敵する)長さだけ長くなる。(歯車梃子を中央に配置する中央配置Bとクランクのペダル側に配置する軌道配置A)の結合A+Bの結合でこのクランクを長くすることで、それが無いときには軌道の中で殆ど利用されていない死点領域を力の伝達をするための領域にできる。その結合A+Bをせず、一方だけを適用する場合は、歯車梃子4´又は7とクランク2の間の広がりを限度として(12時の位置を基準としての)角度のオフセットを調整することになる。内側クランク端部2aに歯車梃子を配設する実施形態では、中心の歯車梃子4´又は7に対して長いクランク2の場合、その中心歯車梃子4´又は7は、全体としてのクランク運動に比例する逆回転運動をする(ぺダル1aを踏み込むとクランク2は内側にある歯車梃子4´又は7をクランク2の回転に比例して逆方向に回転させる)。その際、歯車梃子4´又は7は、死点OT(ペダルが12時の位置)においてクランク2とは反対方向に位置していて、3時の位置では、クランク2と平行であり、それにより、クランクの長さが伸びることが二重になる(中心位置の歯車梃子4´のギア4aから4cの軸間距離+クランクの伸びの量)。この中心位置に歯車梃子を配置する実施例とき、ペダルを下に向かって押す時にも、それぞれのペダルが上に向かうときも、狙った通りにクランクの長さが顕著に長くなる。ペダル1aの上での足固定システム(クリップ式靴、ペダル用靴、その他同様なもの)を利用すると、この中心配置を、ペダルのいわゆる上昇期の区間でもトルクを増大させるように利用できる。全体としてのペダルの周回軌跡が(慣用のペダルの周回軌跡Nに対して)異例的に長くなるので、クランク延長量に依存するが、(力を供給するとき周期的にクランクを長くする)この新しい周回運動軌道Lは、同じ力を付与する時、力を印加する部分(ペダル)の周回軌道が異例的に長いゆえ、結果として顕著なトルク増加をもたらす。そしてこれゆえ(普通、自転車にはクランクが二つ備えられているが)、
図8に詳細に示されているように、クランクの回転による両クランクの総合出力が高くなる。
【0021】
図5は、
図4の左の部分の側面図、すなわち、非駆動側(スプロケットの無い側)である。歯車梃子4´又は7を中心位置に配置する時に生じるペダルの周回運動軌道L、もっと詳しくいうと、到達可能最大位置、軌道の離心率、ペダル経路の(水平に対する)位置は、一面では、好ましくは(外側の)クランク2と(中心の軸受けブランケット3の)歯車梃子4´又は7間の死点OTにおけるアラインメント調整(基本的に常にクランクと歯車梃子が反対位置にある配置より先行させる)で、例えば溝付き軸4dの歯を利用して、簡単に個人に合わせて設定できる。
図5の中に、死点(12時の位置)で歯車梃子4´の長い筐体5に22.5°だけ先行するように「曲げられた」クランク2のアラインメントが示されている。希望するなら、そのクランク2もまた歯車梃子4´又は7の延長でアラインメントを変え又は溝付き軸の4dの歯でのアラインメントに加えてさらに適切な角度に「曲げた」階段状のアラインメントとすることも可能である。上述したように、この曲げ角度は、クランク2に導く平歯車の歯のピッチに大きく依存する。この例では、この歯のピッチは好ましくは32歯であるが、しかしこれは設定できる曲げ角度をもっと精密に変えるように、もっと多くすることもできる。この「曲げ」は、一番効率が良いクランクの位置にも影響し、その位置は例えば(
図3の)3時の位置から2時の位置の方向に「動く」。このようにすることによって、種々の場合への応用とクランク駆動器1の人間工学的活動に資することができる。他の一面から言うと、ペダルの周回運動軌道Lのさらに付加的な変化形として、クランク2の外側クランク端部2bにも歯車梃子4´を付ける結合(
図7,
図8、
図10)であって、歯車梃子4´はしっかりと(例えば完全な駆動歯車列4なしに、それ故平歯車軸の周りで自転せずに)、特定の調整角度で、慣用の(自由回転する)ペダルに、クランクの延長部として取り付けることが適している。
【0022】
図6は
図4の右側に示されている歯車梃子7を伴う駆動側の側面図であり、それは八角形の外観を持っているが、逆回転段を設けるために、平らな卵形(
図9)に配置されるのが好ましい。逆回転段のために、動けない平歯車4aと同じ数の歯数を持つ大きい平歯車4c´が枠体10に向かって歯車平面の中に配置されている。クランク2は好ましくは着脱可能に(プレス、差し込みプラグ式に、あるいはネジ結合で)中間ブッシュを介して平歯車4cに結合されている。ここにおいて、平歯車4cは大きい平歯車4c´を内側の歯車面内で担っている。その平歯車4c´は、小さい連結歯車4b´を介して平歯車4a´と噛合している(平歯車4a´は平歯車4aと同じ歯数を持つ、これゆえ側面図では合同で重なっている)。この歯車配置と平歯車4a、4b、4cと4a´、4b´、4c´についてのこの選択された変速比において、ボルト9によって(参照、
図4)平歯車4a´に結合されたスプロケットが、歯車梃子4´又は7がクランク2を回転させるため反対方向に作動していても、平歯車4a´と結合されているスプロケットがクランク2と同じ方向に回転することが保証される(通常の自転車と同じように)。この逆回転機構は、それ自体独立に、発明性の根拠となる重要性(独立請求項5)を持つ。
図6でも
図5と同じく、中心の歯車梃子7(4´も)に対して外側のクランク2は歯車梃子7のアラインメントとの関係で角度を付けて示されている。この「曲げ」は非駆動側(
図4)と同様に個人的に調整して、最大の効率の位置(例えば、3時の位置の区間)を変えることができる。そしてその結果、最大トルクの区間が増加し、周回運動軌道L(
図3と
図8を見よ)とそれの水平に対する位置も大きく変えられる。クランク2と中央配置の歯車梃子4´と7の間の角度位置調整もまた、クランク2の外側クランク端部2bに歯車梃子を固定する軌道システムの組み合わせで説明したのと同様に角度位置が調整でき、慣用の死点区間に関して最小化し、そして力を印加するため死点だったところを利用することについて個人的に調整することが可能である。
【0023】
図7は、特に効果的な二つの実施例の組み合わせ(クランク2の中心側と軌道側の歯車梃子を配置)を示す。特に、自転車側に向かって(自転車フレーム10の方向に)稲妻状に曲がったクランク2は、可能な限り最小の横断ペダル間距離(Qファクター)を作ることを意図したものである。ここにおいて、枠体10に対向する外側クランク端部2bの内側は内側クランク端部2aに対してほぼ同じ回転面で、あるいはやや枠体側の内側の回転面内で動く。それぞれのクランク2は、少なくとも部分的には筒状の中空体として形成されており(参照、
図10)、そこは半殻5a又は5bのためのベアリング座及び平歯車4a、4a´、4cの延長部を完全に又は部分的に包んでいる。これにより、外側の軌道歯
車梃子がクランク2の外側外形がやや突き出ることとなる。
【0024】
しかし、基本的には、クランク2は慣用のデザインでよい。さらに、平歯車4a、4b、4cでの駆動に代えて、チェイン又はベルト駆動4fとすることができ、歯車梃子4´の中で追加的に参照符号が付されている。同様に、歯車梃子7についてもスプロケット又はベルトホイールに参照符号4gが(特に逆回転段の外側ギアホイールに向かう)同じ軸に付されている。このようにして、歯車駆動とチェイン駆動を、駆動側のスプロケット8の回転方向を逆転するために歯車梃子7の中で互いに結合することができる。
【0025】
図8は、従来技術による慣用のペダルの軌跡N(参照、
図3)と並べて、(
図7に示した、クランクの中心側装着の歯車梃子4´とクランクの遠心側位置装着の歯車梃子7とからなる)クランク駆動による卵形のペダルの運動経路を示す。クランクの外側端部に固定される歯車梃子4´は、
図8では卵形に設計されている。そして歯車列4a、4b、4c(あるいは上記ベルト駆動4fも)は直線状ではなく曲がって配置されている。(
図3に図示された一組だけの歯車梃子による)周回運動軌道Lとの比較から明らかなように、内側クランク端部2aに中心歯車梃子を備え、外側クランク端部2bに軌道歯車梃子を備えるダブル歯車梃子配置は、(大雑把に言えば、ペダル1aに大きな力を印加できると望まれる2時から3時の位置において)追加のクランク延長をもたらす。それでも全体としてのクランクの長さは、ペダルを踏み込めない受動区間(9時ごろの位置)においては最小化されている。これは、特に死点領域を少なくし、人間工学的に好ましい運動となり最適のパワーを生み出す。ペダルの表面の(水平に対する)傾斜が6時から9時の位置への遷移期間に起こり、それから12時から3時の位置への遷移期間に反対方向への傾斜が起こることを強調しなければならない。このことは、力の印加の最適調整(サイクリストの足の力の方向に関する調整)という結果をもたらす。具体的に言えば、ペダル1aの一番外側の端を右上つまり2時の位置に向けると、この位置でサイクリストの足を伸ばす運動に対してペダルの表面が直角になる(
図8のペダル上面への力Fを見よ、ペダル面はそれに直角)。3時の位置への遷移期間中、歯車装置の強制によりペダル1aは水平へと旋回し、これゆえ、サイクリストが蹴り下げるとき力を加えるために最適な方向となる。
【0026】
この運動シークエンスは、風力タービンあるいは水力ホイールで使用しても好適である。その場合、クランク2(軌道歯車梃子4´ででも可能である)は、それらの羽根に対応する外形にする。例えば、もし(
図8でWという参照符号が付されている)風が左上から吹くならば、2時と3時の位置で特別に大きい出力が出る、それはその位置で最大のクランク長になるからである。他方、逆風の区間(
図8の左半分)では、(クランクアームの長さを最小にし、ペダル表面の角度の調整と同様に適切なアラインメントとすることによって)相対的にエネルギーを節約できる。
図9は、歯車梃子7がどのように中央の軸受けブランケット3に取り付けられるかを示す縦断面図である。
図6,
図7と同様に、ここでは右に示されているクランク2は表面の歯4dで平歯車4cと噛合している。
図6では示されていた、4aと4cの間等にある中間の歯車4b、4b´は、図を見やすくするためにここでは示されていない。大きい平歯車4aは回転不能に軸受けブランケット3に円筒形の延長部と中間ブッシュを介して固定されている。他方、逆回転段の平歯車4a´は回転可能に上記円筒形の延長部に取り付けられ、そしてスプロケット8の方に導かれている。逆回転段の歯車ホイール4a´と4c´は同じ大きさで、(
図6に示されている)中間歯車4b´によって結合されている(ギア比は1:1、他方、上部に示されている平歯車4a、4b、4cのギア比は2:1:1である)。この歯車4c´は上記平歯車4cと同じ軸で結合していて、半殻5a、5bの中に密閉ベアリング6を介してしっかりと固定されている。この設計は、歯車梃子7を軸受けブランケット3に容易に取り付けることを可能とし、そして半径方向内側に歯の面の凹部が設けられたベアリング6のおかげでそれ自体を薄い形態としている。
【0027】
図10は、クランク駆動器1を取り外した状態の3D斜視図である。 ここで、クランクの外側端部に接続される歯車梃子4´(図では右)とクランクの内側端部に接続される幅が広い歯車梃子7(図では左)がクランク2に沿って配置されている。クランク2は好ましくは軽金属を素材として鋳造で製造され、他方、軌道歯車梃子4´と7の筐体は好ましくはプラスチックス(特に高張力ポリイミドあるいはグラスファイバ―やカーボンファイバー)を素材として製造される。これにより、流線型の外形となり、また風力や水力発電で使用する際には、羽根外形に簡単に形状合わせができる。 図では羽根外形はクランク2の底に向かう一点鎖線あるいは軌道歯車梃子4´の上面に向かう一点鎖線で示されている。外方向に突き出ている歯車梃子4´(
図8の2時から4時の位置を見よ)であるとき、羽根外形Pを持つことは特に有効に働き、他方、逆(
図8の左半分)の間は僅かなトルクとなり好都合である。
本発明の技術思想は、これまでと同様にあるいはプロペラとして種々の分野で使うことができる、例えば、船のスクリュー、タービンの羽根、その他の梃(てこ)としてクランクを使う駆動(例えば搬送機システム、巻き取り装置、撹拌機)、さらに、ピストン・エンジン、蒸気エンジン、その他同様のもので使え、これにより、高いトルクを達成でき、それぞれの死点問題を克服でき、起動時特性を改善でき、雑音発生を少なくし、あるいは必要な力を少なくすることができる。これは、高出力と低い燃料消費と少ない排出ガス(環境保護)をもたらす。特に、撹拌機に関して言うと、しっかりと周期的にクランク長が変わる(混合用羽根は既述の羽根の外形Pと似たものとなり得る)ことは、周囲の液体を非常によく混合すること可能にする。その際、中心軸3aにフランジで付けられるのは(風力や水力発電における発電機ではなく)モーターである。