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特開2024-107097数式編集方法、数式編集装置及び数式編集プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107097
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】数式編集方法、数式編集装置及び数式編集プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04812 20220101AFI20240801BHJP
   G06F 40/166 20200101ALI20240801BHJP
【FI】
G06F3/04812
G06F40/166
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024090864
(22)【出願日】2024-06-04
(62)【分割の表示】P 2021154461の分割
【原出願日】2021-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 直哉
(57)【要約】
【課題】数式をペーストした場合に、その後の編集のための操作を簡便にすることができる数式編集方法、数式編集装置及び数式編集プログラムを提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態に係る数式編集方法は、少なくとも1文字を含む文字列を選択し、前記選択した文字列に含まれる演算子を抽出し、前記文字列を複写した後の文字入力位置を前記演算子に基づき決定し、前記選択した文字列を複写して、文字入力位置を設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1文字を含む文字列を選択し、
前記選択した文字列に含まれる演算子を抽出し、
前記文字列を複写した後の文字入力位置を前記演算子に基づき決定し、
前記選択した文字列を複写して、文字入力位置を設定する数式編集方法。
【請求項2】
前記文字列から特殊演算子のみを抽出した場合、前記特殊演算子の被演算子の入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【請求項3】
前記文字列から特殊演算子と前記特殊演算子のパラメータを抽出した場合、前記特殊演算子の被演算子の入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【請求項4】
前記文字列から特殊演算子と前記特殊演算子のパラメータを抽出した場合、前記特殊演算子のパラメータの入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【請求項5】
前記文字列から特殊演算子と前記特殊演算子のパラメータを抽出した場合、優先位置の指定に応じて、前記特殊演算子の被演算子の入力位置、あるいは前記特殊演算子のパラメータの入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【請求項6】
前記文字列から演算子のみを抽出した場合、前記演算子の直前の入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【請求項7】
文字の入力位置を指示する文字入力位置指示手段と、
少なくとも1文字を含む文字列を選択する文字列選択手段と、
前記文字列選択手段により選択された文字列を、複写する文字列複写手段と、
前記選択した文字列に含まれる演算子を抽出する演算子抽出手段とを備え、
前記文字列複写手段により文字列を複写した後の、前記文字入力位置指示手段が指示する文字入力位置を、前記演算子抽出手段が抽出した演算子に基づき、決定することを特徴とする数式編集装置。
【請求項8】
コンピュータを、
文字の入力位置を指示する文字入力位置指示手段と、
少なくとも1文字を含む文字列を選択する文字列選択手段と、
前記文字列選択手段により選択された文字列を、複写する文字列複写手段と、
前記選択した文字列に含まれる演算子を抽出する演算子抽出手段として機能させ、
前記文字列複写手段により文字列を複写した後の、前記文字入力位置指示手段が指示する文字入力位置を、前記演算子抽出手段が抽出した演算子に基づき決定するための数式編集プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数式編集方法、数式編集装置及び数式編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等により実行されるソフトウエアにおいて、文字や文字列を選択してコピーし、これを所望の位置にペーストするコピーペーストと呼ばれる機能がある。ペーストした後の入力カーソルは、ペーストした文字列の後ろに移動することが通常である。
【0003】
近年、タッチパネルを備えたタブレット、スマートフォン等の電子機器の利用が拡大する中で、タッチパネルで使用することができる数式入力ソフトウエアが提案されている。この数式入力ソフトウエアにおいても、数式をペーストした後の入力カーソルは、ペーストした数式の後ろに位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-02368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、数式の場合は、ペーストした後の数式を編集したい場合が多い。例えば、積分式をペーストした場合は、被積分式を編集する場合が多いと考えられる。このような場合に、入力カーソルが数式の後ろにあると、被積分式を編集するために入力カーソルを被積分式の位置まで戻さなければならない。すなわち、ペーストを利用した数式の編集に入力カーソルの位置を移動させる操作が必要なことが多く、操作が煩雑となり負担が大きかった。
【0006】
本発明は、前記のような課題に考慮してなされたもので、数式をペーストした場合に、その後の編集のための操作を簡便にすることができる数式編集方法、数式編集装置及び数式編集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の実施形態に係る数式編集方法は、少なくとも1文字を含む文字列を選択し、前記選択した文字列に含まれる演算子を抽出し、前記文字列を複写した後の文字入力位置を前記演算子に基づき決定し、前記選択した文字列を複写して、文字入力位置を設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、数式をペーストした場合に、その後の編集のためのカーソルを移動させる操作を簡便にすることができる数式編集方法、情報処理装置及び数式編集プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における情報処理装置3を含むシステムの構成の一例を示す図。
図2】本実施形態における制御部の情報処理ブロックを示す図。
図3】本実施形態における数式を入力するための入力画面の一例を示す図。
図4】本実施形態における本実施形態の数式編集方法における選択範囲のコピー処理を示すフローチャート。
図5】本実施形態における本実施形態の数式編集方法における選択範囲のコピー処理を示すフローチャート。
図6】本実施形態におけるコピー処理内の選択解除判定処理を示すフローチャート。
図7】本実施形態におけるコピー処理内のコピー判定処理を示すフローチャート。
図8】本実施形態におけるコピー判定処理内の選択範囲ペースト処理を示すフローチャート。
図9】本実施形態における数式に対する選択範囲を説明するための図。
図10】本実施形態における数式に対する選択範囲を説明するための図。
図11】本実施形態における数式に対する選択範囲を説明するための図。
図12】本実施形態における数式に対する選択範囲を説明するための図。
図13】本実施形態における数式に対する選択範囲を説明するための図。
図14】本実施形態における数式に対する選択範囲を説明するための図。
図15】本実施形態における数式に対する選択範囲を説明するための図。
図16】本実施形態における選択範囲ペースト処理を説明するための図。
図17】本実施形態における選択範囲ペースト処理を説明するための図。
図18】本実施形態における選択範囲ペースト処理を説明するための図。
図19】本実施形態における選択範囲ペースト処理を説明するための図。
図20】本実施形態における選択範囲ペースト処理を説明するための図。
図21】本実施形態における選択範囲ペースト処理を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
本発明の実施の形態に係る情報処理装置3では、表示画面上に表示させた数式に対して、対象者のタップした文字と、タップの種類とに応じて選択の範囲が決定される。図1は、情報処理装置3を含むシステム100の構成の一例を示す図である。システム100は、サーバ1と、サーバ1とネットワーク2を介して通信可能に接続される情報処理装置3とを含む。サーバ1あるいは情報処理装置3は、数式編集装置として動作する。
【0012】
サーバ1は、情報処理装置3から演算のためのデータ、数式、及び演算指示を受信し、受信した数式及び演算指示に基づいてデータを演算し、演算結果を情報処理装置3に送信する。ネットワーク2は、サーバ1と情報処理装置3とを通信可能に接続する通信網である。ネットワーク2は、例えば、インターネットである。
【0013】
情報処理装置3は、端末装置であって、例えばスマートフォン、タブレットPC(パーソナルコンピュータ)等である。情報処理装置3は、その構成の一例として、プロセッサ31と、メモリ32と、記憶装置33と、入力装置34と、表示装置36と、通信装置37とを含む。プロセッサ31と、メモリ32と、記憶装置33と、入力装置34と、表示装置36と、通信装置37とはそれぞれ、バス38を介して相互に接続されている。
【0014】
プロセッサ31は、記憶装置33に記憶された各種プログラムを読み出してメモリ32に展開し、実行する。プロセッサ31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の処理装置を用いて構成することができる。また、メモリ32は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の揮発性または不揮発性の半導体メモリといった記憶素子及び記憶媒体を用いて構成することができる。
【0015】
記憶装置33は、プロセッサ31で実行する各種プログラム、各種プログラムで使用するための各種データを記憶する装置である。記憶装置33は、例えば、HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置を用いて構成することができる。
【0016】
入力装置34は、対象者からの入力を受け付ける装置である。入力装置34は、例えば、タブレット、デジタイザ等のタッチ入力ができる機器を用いて構成することができる。表示装置36は、データ、数式、及び演算指示等の各種情報を表示する。表示装置36は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)モニタ等の表示装置を用いて構成することができる。本実施の形態においては、入力装置34を表示装置36に載置することにより、入力部と表示部とを兼ねるタッチパネルとして機能するものとする。
【0017】
通信装置37は、ネットワーク2を介してサーバ1と通信し、各種データの送受信をする。通信装置37は、例えば、無線LAN、Wi-fi(登録商標)等、ネットワーク2に接続可能な通信方式を備えた各種機器により構成することができる。
【0018】
上述のプロセッサ31により、記憶装置33に記憶されたプログラムを実行することにより、図2に示す情報処理ブロックを備える制御部310が実現される。これにより、情報処理装置3は、数式編集装置として動作し、表示画面上に表示させた数式に対して、対象者のタップした文字と、タップの種類とに応じて選択の範囲を決定し、選択された範囲に対して各種処理を実行することができる。
【0019】
制御部310は、情報処理ブロックとして、判別部311と、特定部312と、選択範囲設定部313と、処理部314と、表示処理部315、優先設定部316とを含む。判別部311は、表示装置36の画面上に表示された文字のうち、入力装置34を介して対象者により選択された文字の種類、または選択操作の種類を判別する。特定部312は、判別部311により判別された文字の種類に基づいて、数式に含まれる文字のうち、対象者により選択された文字と関連する関連文字を特定する。また、特定部312は、判別部311により判別された選択操作の種類に応じて、数式に含まれる文字のうち選択の対象となる文字を特定する。
【0020】
選択範囲設定部313は、対象者により選択された文字及び特定部312で特定された関連文字、または、特定部312で特定された文字を、選択範囲として設定する。処理部314は、選択範囲設定部313で設定された選択範囲に対して、対象者により入力装置34から入力された指示に応じて、各種処理を実行する。処理部314による処理には、選択範囲設定部313で設定された選択範囲をコピー(文字列選択)し、入力装置34から入力された指示された位置にペースト(文字列複写)する処理を含む。表示処理部315は、入力装置34から入力された指示、選択範囲設定部313に設定された選択範囲、及び処理部314により実行される各種処理に応じて、表示装置36に表示させる表示内容を切り替える処理を実行する。表示処理部315は、処理部314により数式がペーストされた場合に、その後の数式の編集に好適な位置にカーソル位置(文字入力位置指示)を表示させる。優先設定部316は、選択範囲をペーストした後のカーソル位置(文字入力位置指示)を設定する際の優先位置を指定する。優先設定部316には、初期設定により予め優先位置が設定されていても良いし、例えば対象者により入力装置34に対する操作によって優先位置が変更されても良い。
【0021】
情報処理装置3は、入力装置34を介して対象者からの指示に応じて、表示装置36の画面上に数式を入力するための入力画面を表示する。数式を入力するための入力画面は、例えば、表示装置36の画面上で動作するウェブブラウザにより表示することができる。数式を入力するための入力画面の一例を、図3に示す。
【0022】
数式を入力するための入力画面は、データ表示部361と、データ入力部362と、数式入力部363とを含む。データ表示部361は、各種データを表示するための表示部である。データ表示部361は、例えば、情報処理装置3から受信した演算指示に基づいてサーバ1が演算した演算結果が表示される。
【0023】
データ入力部362は、数字、演算子、矢印キー等の各種数式及び演算指示を入力することのできる入力部である。数式入力部363は、数式を入力することのできる入力部である。数式入力部363は、1つだけではなく、同時に複数表示させることができる。
【0024】
対象者は、数式入力部363に入力された数式に含まれるパラメータの値を設定、変更、追加等することができる。また、対象者は、数式入力部363に入力された数式の一部または全部を任意に選択し、他の数式入力部363にコピーすることができる。この場合、対象者が、数式入力部363に入力された数式に含まれる文字をタップにより表示装置36の画面上で選択操作すると、図2に示した判別部311により、タップされた文字の種類が判別される。続いて、図2に示した特定部312は、判別された文字の種類に基づいて、タップされた文字に関連する関連文字を特定する。
【0025】
図2に示した選択範囲設定部313は、タップされた文字と関連文字とに基づいて、数式における適当な範囲を選択する。図2に示した表示処理部315は、選択された範囲(以下、選択範囲と称する)を、表示装置36の画面上に表示させる。以下の説明では、タップは、ダブルタップと明記していない場合、シングルタップのこととする。
【0026】
次に、本実施形態の情報処理装置3における数式編集装置としての動作について説明する。
【0027】
図4及び図5は、本実施形態の数式編集方法における選択範囲のコピー処理を示すフローチャートである。図6は、本実施形態におけるコピー処理内の選択解除判定処理を示すフローチャートである。図7は、本実施形態におけるコピー処理内のコピー判定処理を示すフローチャートである。図8は、本実施形態におけるコピー判定処理内の選択範囲ペースト処理を示すフローチャートである。
【0028】
選択範囲のコピー処理では、対象者が図3に示した数式入力部363に入力された数式に対して、所定の選択方法によって範囲を選択することでコピーし、他の数式入力部363にペーストする処理について説明する。
【0029】
選択範囲のコピー処理は、選択範囲のコピー処理プログラムとして、図1に示した情報処理装置3の記憶装置33に記憶されている。情報処理装置3は、図3に示した数式を入力するための入力画面において、数式入力部363を表示させると、選択範囲のコピー処理プログラムを実行する。具体的には、図1に示した情報処理装置3のプロセッサ31が、記憶装置33から選択範囲のコピー処理プログラムを読み出してメモリ32に展開し、実行する。
【0030】
まず、図3に示した数式入力部363に入力された数式が、対象者により表示装置36の画面上でタップされると、制御部310の判別部311は、対象者により数式に含まれる演算子がタップされたか否かを判定する(ステップS101)。演算子が、対象者にタップされた場合(ステップS101;YES)、制御部310の判別部311は、続いてドロー操作が行われたか否かを判定する(ステップS102)。
【0031】
ドロー操作が行われていない場合(ステップS102;NO)、特定部312はタップされた演算子を特定する。選択範囲設定部313は、タップされた演算子を選択範囲として選択する。表示処理部315は、選択された選択範囲を表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS104)。
【0032】
例えば、対象者が、数式入力部363に入力された図9(A)に示す数式に含まれる演算子を、入力装置34により表示装置36の画面上でタップすると、それに応じて、タップされた演算子が、選択範囲設定部313により選択される。ここで、以下では、黒矢印がタップ位置を示す矢印とする。また、点線で囲われた範囲を対象者によりタップされた範囲とする。選択範囲設定部313により選択された選択範囲は、選択された文字の色と選択された文字の背景の色とが互いに反転表示となるが、ここでは、便宜上、二点鎖線で囲われるものとする。
【0033】
この場合、図9(A)に示すように、判別部311により演算子「+」がタップされたものと判別されると、演算子「+」が反転表示される。ここで、設定された時間が経過した場合、演算子「+」が選択範囲となる。
【0034】
設定された時間が経過する前に、さらに対象者が、図9(A)に示す数式を、入力装置34により表示装置36の画面上でタップすると(ステップS105;YES)、それに応じて、特定部312は先に選択済みの演算子「+」の被演算子である「6」及び「3」を関連文字として特定する。選択範囲設定部313は、選択された演算子と関連文字とを含む最小の数式、すなわち「6+3」を選択範囲として選択する。選択された選択範囲は、表示処理部315により、図9(B)に示すように、表示装置36の画面上に反転表示される(ステップS106)。
【0035】
すなわち、演算子を含む数式に対して、1回目に演算子に対してタップすることで演算子のみを範囲指定し、続けて2回目に数式に対してタップすることにより、1回目にタップした演算子の被演算子までを含む範囲を範囲指定することができる。次いで、判別部311は、ステップS121に示す処理を実行する。
【0036】
次に、数式入力部363に入力された数式の被演算子がタップされた場合について説明する。
【0037】
この場合、制御部310の判別部311は、図3に示した数式入力部363に入力された数式に含まれる被演算子がタップされたと判定する(ステップS114;YES)。
【0038】
この場合、特定部312は、タップされた被演算子を対象とする演算子を関連文字として特定する。選択範囲設定部313は、タップされた被演算子と特定部312に特定された関連文字とを含む最小の数式を、選択範囲として選択する。表示処理部315は、選択された選択範囲を表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS115)。
【0039】
例えば、対象者が、数式入力部363に入力された図10(A)に示す数式に含まれる被演算子「3」を、入力装置34により表示装置36の画面上でタップすると、それに応じて、タップされた被演算子「3」と、この被演算子「3」を対象とする演算子「+」を関連文字として特定し、関連文字「+」を含む最小の数式「6+3」が選択範囲設定部313により選択される。この場合、図10(B)に示すように、数式「6+3」が判定表示される。
【0040】
続いて、判別部311は、対象者により表示装置36の画面上で、選択範囲に含まれる被演算子が長押しされているか否かを判定する(ステップS116)。被演算子が長押しされている場合(ステップS116;YES)、選択範囲設定部313は、選択範囲を徐々に拡大する。表示処理部315は、徐々に拡大される選択範囲を、表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS117)。被演算子が長押しされていない場合(ステップS116;NO)、選択範囲は拡大されない。次いで、判別部311は、図4のステップS121に示す処理を実行する。
【0041】
例えば、図11(A)に示すように、選択されている「6+3」を長押しすると、選択範囲が、「6+3」を対象とする演算子「+」と、この演算子が対象とする「6+3」以外の被演算子である「5」と含む数式、すなわち「(6+3)+5」に、拡大される。これにより、図11(B)に示すように、選択されている「(6+3)+5」が反転表示される。
【0042】
続いて、判別部311は、対象者により表示装置36の画面上で、選択範囲に含まれる被演算子がさらに長押しされているか否かを判定する(ステップS118)。被演算子がさらに長押しされている場合(ステップS118;YES)、同様にして選択範囲を徐々に拡大する。表示処理部315は、徐々に拡大された選択範囲を、表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS117)。被演算子がさらに長押しされていない場合(ステップS118;NO)、選択範囲は拡大されない。次いで、判別部311は、図4のステップS121に示す処理を実行する。
【0043】
また、ステップS114において、被演算子がタップされていない場合(ステップS114;NO)、判別部311は、数式に含まれるカッコ内の演算子、被演算子、またはその両方を、対象者により表示装置36の画面上でダブルタップされたか否かを判定する(ステップS119)。数式に含まれるカッコ内の演算子、被演算子、または両方をダブルタップされた場合(ステップS119;YES)、特定部312は、ダブルタップされた演算子、被演算子、または演算子と被演算子との両方を含むカッコ内の最小の数式を特定する。
【0044】
選択範囲設定部313は、特定部312が特定した最小の数式を、選択範囲として選択する。表示処理部315は、選択された選択範囲を表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS120)。次いで、判別部311は、図4のステップS121に示す処理を実行する。また、数式に含まれるカッコ内の演算子、被演算子、または両方をダブルタップされていない場合(ステップS119;NO)、制御部310の処理部314は、図4に示したステップS101に戻る。
【0045】
演算子がタップされた後(ステップS101;YES)、ドロー操作が行われた場合(ステップS102;YES)、制御部310の特定部312により、ドロー操作された方向にある演算子及び被演算子を含む最小の数式、または、ドロー操作が行われた方向にあるカッコ内に含まれる最小の数式が特定される。制御部310の選択範囲設定部313は、特定部312により特定された最小の数式を、選択範囲として選択する。
【0046】
例えば、演算子がタップされ、その後、数式に対してドロー操作が行なわれた場合、タップされた演算子と、演算子の被演算子を含む範囲が選択される。なお、被演算子がタップされた後、ドロー操作が行われた場合には、タップされた被演算子と、ドロー操作された範囲に含まれる演算子と、その演算子の被演算子を含む範囲が選択される。
【0047】
次に、数式入力部363に入力された数式の特殊演算子がタップされた場合について説明する。
【0048】
この場合、制御部310の判別部311は、図3に示した数式入力部363に入力された数式に含まれる特殊演算子がタップされたと判定する(ステップS107;YES)。
【0049】
特殊演算子が対象者に入力装置34の画面上でタップされた場合(ステップS107;YES)、特定部312は、タップされた特殊演算子を特定する。続いて、選択範囲設定部313は、タップされた特殊演算子を選択範囲として選択する。表示処理部315は、選択された選択範囲を表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS108)。
【0050】
続いて、判別部311は、ステップS108で選択された選択範囲が、設定された時間が経過する前に、さらに対象者により表示装置36の画面上でタップされたか否か判定する(ステップS109)。
【0051】
選択範囲がタップされた場合(ステップS109;YES)、特定部312は、選択範囲として選択した特殊演算子にパラメータに付随するか判定し、パラメータが付随する場合に特殊演算子とパラメータの範囲を特定する(ステップS110;YES)。選択範囲設定部313は、タップされた特殊演算子とパラメータを選択範囲として選択する。表示処理部315は、選択された選択範囲を表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS111)。
【0052】
なお、特殊演算子にパラメータが付随しない場合(ステップS110;NO)、選択範囲設定部313は、タップされた特殊演算子と、特殊演算子の被演算子を含む数式を選択範囲として選択する。表示処理部315は、選択された選択範囲(特殊演算子、被演算子)を表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS113)。
【0053】
選択範囲として選択した特殊演算子とパラメータを選択範囲として選択した場合、続いて、判別部311は、選択範囲が、設定された時間が経過する前に、さらに対象者により表示装置36の画面上でタップされたか否か判定する(ステップS112)。
【0054】
選択範囲がタップされた場合(ステップS112;YES)、特定部312は、選択範囲として選択した特殊演算子とパラメータ、さらに特殊演算子の被演算子を含む数式の範囲を特定する(ステップS110;YES)。選択範囲設定部313は、タップされた特殊演算子、パラメータ及び被演算子を選択範囲として選択する。表示処理部315は、選択された選択範囲(特殊演算子、パラメータ、被演算子)を表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS113)。
【0055】
例えば、対象者が、数式入力部363に入力された図12(A)に示す数式に含まれる特殊演算子「∫」(あるいは「dx」)を、入力装置34により表示装置36の画面上でタップすると、それに応じて、タップされた特殊演算子「∫」と特殊演算子に付随する「dx」が、選択範囲設定部313により選択される。
【0056】
設定された時間が経過する前に、さらに対象者が、図12(A)に示す数式を、入力装置34により表示装置36の画面上でタップすると、特殊演算子「∫」に付随するパラメータがないため、それに応じて、選択済みの特殊演算子「∫」と「dx」の被演算子である「2x+1」が関連文字として特定され、図12(B)に示すように、特殊演算子「∫」と「dx」、被演算子「2x+1」を含む範囲が表示装置36の画面上に反転表示される。
【0057】
すなわち、パラメータが付随しない特殊演算子を含む数式に対して、1回目に特殊演算子に対してタップすることで特殊演算子のみを範囲指定し、続けて2回目に数式に対してタップすることにより、1回目にタップした特殊演算子の被演算子までを含む範囲を範囲指定することができる。
【0058】
次に、特殊演算子にパラメータが付随する場合について説明する。
【0059】
例えば、対象者が、数式入力部363に入力された図13(A)に示す数式に含まれるパラメータが付随する特殊演算子「∫」(あるいは「dx」)を、入力装置34により表示装置36の画面上でタップすると、それに応じて、タップされた特殊演算子「∫」と特殊演算子に付随する「dx」が、選択範囲設定部313により選択される。
【0060】
設定された時間が経過する前に、さらに対象者が、図13(A)に示す数式を、入力装置34により表示装置36の画面上でタップすると、それに応じて、選択済みの特殊演算子「∫」と「dx」に、さらに特殊演算子「∫」に付随するパラメータの範囲が関連文字として特定され、図13(B)に示すように、特殊演算子「∫」と「dx」、パラメータを含む範囲が表示装置36の画面上に反転表示される。
【0061】
設定された時間が経過する前に、さらに対象者が、図13(B)に示す数式を、入力装置34により表示装置36の画面上でタップすると、それに応じて、選択済みの特殊演算子「∫」と「dx」、特殊演算子「∫」に付随するパラメータに、さらに特殊演算子「∫」と「dx」の被演算子である「2x+1」が関連文字として特定され、図13(C)に示すように、特殊演算子「∫」と「dx」、パラメータ、被演算子「2x+1」を含む範囲が表示装置36の画面上に反転表示される。
【0062】
すなわち、パラメータが付随する特殊演算子を含む数式に対して、1回目に特殊演算子に対してタップすることで特殊演算子のみを範囲指定し、続けて2回目に数式に対してタップすることにより、特殊演算子とパラメータを含む範囲を範囲指定し、続けて3回目に数式に対してタップすることにより、特殊演算子の被演算子までを含む範囲を範囲指定することができる。
【0063】
図14には、特殊演算子「∫」とは異なる別のパラメータが付随する特殊演算子「Σ」を含む数式が数式入力部363に入力された例を示す。
【0064】
この場合、特殊演算子「Σ」をタップすると、特殊演算子「Σ」が範囲指定され、図14(A)に示すように、特殊演算子「Σ」が反転表示される。さらに、数式をタップすると、特殊演算子「Σ」のパラメータを含む範囲が範囲指定され、図14(B)に示すように、特殊演算子「Σ」とパラメータを含む範囲が反転表示される。さらに、数式をタップすると、特殊演算子「Σ」の被演算子「2x」を含む範囲が範囲指定され、図14(C)に示すように、特殊演算子「Σ」、パラメータ、被演算子「2x」を含む範囲が反転表示される。
【0065】
なお、前述した説明では、特殊演算子を含む数式に対して、1回目に特殊演算子に対してタップした場合について説明しているが、特殊演算子を含む数式の演算子または被演算子に対して1回目にタップした場合には(ステップS101,S114;YES)、演算子または被演算子を含む範囲が先に範囲指定される。
【0066】
例えば、図15(A)に示すように、特殊演算子「∫」を含む数式に対して、「2x+1」の何れかの文字をタップし、連続したタップ(ステップS105,S106)、ドロー操作(ステップS102,S103)、あるいは長押し操作(ステップS116~S118)がされた場合には、先に「2x+1」に対して範囲指定の範囲が拡張され、さらに図15(B)に示すように、特殊演算子「∫」と「dx」を含む範囲が範囲指定される。
【0067】
なお、前述した説明では、特殊演算子として「∫」、「Σ」を例にしているが、これに限らず、特殊演算子として「log」、「lim」、「sin」、「ln」等の他の既存の特殊演算子について、前述と同様にして選択範囲を設定することができる。
【0068】
こうして、選択範囲が反転表示された状態において、図4のステップS121では、判別部311は、選択された状態にある選択範囲の一端がダブルタップされたか否かを判定する。選択された状態にある選択範囲の一端がダブルタップされた場合(ステップS121;YES)、特定部312は、ダブルタップされた端部とは反対側の端部にある被演算子、被演算子と演算子との両方を含む最小の数式、反対側の端部にあるカッコの直ぐ外にある被演算子、または、カッコに囲まれた最小の数式を特定する。選択範囲設定部313は、特定部312が特定した被演算子、最小の数式等を選択範囲として選択する。
【0069】
表示処理部315は、元の選択範囲から選択範囲設定部313により選択された選択範囲に変更し、表示装置36の画面上に反転表示させる(ステップS122)。また、選択された選択範囲の一端がダブルタップされていない場合(ステップS121;NO)、選択範囲を変更しない。
【0070】
続いて制御部310の処理部314は、選択状態解除判定処理を実行する(ステップS123)。選択状態解除判定処理については、図6に示すフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。処理部314は、対象者による選択状態の解除操作が行われたか否かを判定する(ステップS201)。この選択状態の解除操作は、選択範囲で示される選択状態を解除するための操作である。例えば、対象者により表示装置36の画面上で選択範囲設定部313により選択された選択範囲ではない部分がタップされるタップ操作、図3に示したデータ入力部362に含まれるDeleteキーが押下される操作等である。選択状態の解除操作が行われた場合(ステップS201;YES)、処理部314は選択範囲で示される選択状態を解除する(ステップS202)。
【0071】
また、選択状態の解除操作が行われていない場合(ステップS201;NO)、処理部314は、選択状態解除判定処理を開始してから予め設定された時間が経過したか否かを判定する(ステップS203)。予め設定された時間が経過した場合(ステップS203;YES)、処理部314は選択状態解除判定処理を終了し、図4に示した選択範囲のコピー処理のフローチャートに戻る。また、予め設定された時間が経過していない場合(ステップS203;NO)、処理部314はステップS201に戻り、ステップS201からステップS203を繰り返す。
【0072】
制御部310の処理部314は、ステップS123の選択状態解除判定処理で、選択状態が解除されたか否かを判定する(ステップS124)。選択状態が解除された場合(ステップS124;YES)、処理部314はステップS101に戻り、ステップS101からステップS125の処理をくり返す。
【0073】
また、選択状態が解除されていない場合(ステップS124;NO)、制御部310の処理部314は、コピー判定処理を実行する(ステップS125)。コピー判定処理については、図7に示すフローチャートを参照しつつ、以下に説明する。処理部314は、選択範囲設定部313により選択された選択範囲が、対象者により表示装置36の画面上で他の数式入力部363にドラッグ・アンド・ドロップされたか否かを判定する(ステップS301)。
【0074】
選択範囲が他の数式入力部363にドラッグ・アンド・ドロップされた場合(ステップS301;YES)、処理部314は、選択範囲を他の数式入力部363にペーストする選択範囲ペースト処理(後述する)を実行する(ステップS302)。続いて、処理部314は、選択範囲を解除する(ステップS303)。処理部314は、コピー判定処理を終了し、図4図5に示した選択範囲のコピー処理のフローチャートに戻る。処理部314は、ステップS101に戻り、ステップS101からステップS125の処理をくり返す。
【0075】
選択範囲が他の数式入力部363にドラッグ・アンド・ドロップされていない場合(ステップS301;NO)、処理部314は、コピー判定処理を開始してから予め設定された時間が経過したか否か判定する(ステップS304)。予め設定された時間が経過した場合(ステップS304;YES)、処理部314は、選択範囲を解除する(ステップS303)。続いて、処理部314は、コピー判定処理を終了し、図4図5に示した選択範囲のコピー処理のフローチャートに戻る。処理部314は、ステップS101に戻り、ステップS101からステップS125の処理をくり返す。また、予め設定された時間が経過していない場合(ステップS304;NO)、処理部314は、ステップS301に戻り、ステップS301からステップS305の処理をくり返す。
【0076】
以上のように、本実施の形態に係る情報処理装置3によれば、表示装置36の画面上に表示させた数式に含まれる複数の文字のうち、対象者により画面上でタップされた文字の種類を判別し、判別された文字の種類に基づいて、複数の文字のうちタップされた文字と関連のある関連文字を特定し、複数の文字のうち、選択操作された文字と関連文字とを、選択された文字の選択範囲とすることができる。これにより、数式における文字の適当な範囲の選択を、対象者に簡便に行わせることができる。
【0077】
次に、選択範囲ペースト処理について、図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0078】
処理部314は、コピー対象として設定された選択範囲の文字を判別し(ステップS401)、選択範囲の文字に基づき、選択範囲の文字をペーストした後の文字の入力位置を指示するカーソル位置を決定する(ステップS402~S413)。処理部314は、選択範囲の数式に演算子あるいは特殊演算子を含む場合、演算子あるいは特殊演算子を抽出して、演算子あるいは特殊演算子に基づいてカーソル位置を決定する。
【0079】
まず、選択範囲の文字が演算子のみの場合(ステップS402;YES)、処理部314は、演算子に応じた被演算子の入力位置にカーソル位置を決定する。表示処理部315は、被演算子の入力位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字(演算子)をペーストする(ステップS403)。
【0080】
例えば、図16(A)に示すように、選択範囲の文字が演算子「+」のみの場合、図16(B)に示すように、演算子「+」の直前位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の演算子「+」をペーストする。
【0081】
従って、演算子「+」をペーストした後、ペーストした演算子「+」の被演算子の入力位置に予めカーソルCが表示されているので、カーソルCの位置を変更する操作をすることなく、直ちに被演算子の文字を入力することができる。
【0082】
次に、選択範囲の文字が演算子と被演算子の場合(ステップS404;YES)、処理部314は、選択範囲の演算子と被演算子の直後にカーソル位置を決定する。表示処理部315は、演算子と被演算子の直後の入力位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字(演算子と被演算子)をペーストする(ステップS405)。
【0083】
例えば、図17(A)に示すように、選択範囲の文字が演算子と被演算子を含む文字列「6+3」の場合、図17(B)に示すように、文字列「6+3」の直後位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字列「6+3」をペーストする。
【0084】
従って、文字列「6+3」をペーストした後、ペーストした文字列「6+3」の直後の入力位置に予めカーソルCが表示されているので、文字列「6+3」に続いて文字列を入力するために、カーソルCの位置を変更する操作をすることなく、直ちに被演算子の文字を入力することができる。
【0085】
次に、選択範囲の文字が特殊演算子のみの場合(ステップS406;YES)、処理部314は、特殊演算子に応じた被演算子の入力位置にカーソル位置を決定する。表示処理部315は、被演算子の入力位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字(特殊演算子)をペーストする(ステップS407)。
【0086】
例えば、図18(A)に示すように、選択範囲の文字が特殊演算子「∫」「dx」のみの場合、図18(B)に示すように、特殊演算子「∫」の被演算子の入力位置、すなわち「∫」と「dx」の間にカーソル位置を設定して、選択範囲の特殊演算子「∫」「dx」をペーストする。
【0087】
従って、特殊演算子「∫」「dx」をペーストした後、ペーストした特殊演算子「∫」「dx」の被演算子の入力位置に予めカーソルCが表示されているので、カーソルCの位置を変更する操作をすることなく、直ちに被演算子の文字を入力することができる。
【0088】
なお、図18に示す例では、特殊演算子「∫」「dx」の例のため「∫」と「dx」の間にカーソル位置を設定しているが、その他の特殊演算子によって、被演算子の入力位置が異なるため、それぞれの特殊演算子に対応する被演算子の入力位置にカーソル位置を設定する。
【0089】
次に、選択範囲の文字が特殊演算子と被演算子を含む数式の場合(ステップS412;YES)、処理部314は、数式の直後にカーソル位置を決定する。表示処理部315は、数式の直後の入力位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字(特殊演算子と被演算子を含む数式)をペーストする(ステップS413)。
【0090】
例えば、図19(A)に示すように、選択範囲の文字が特殊演算子「∫」「dx」と被演算子「2x+1」を含む数式の場合、図19(B)に示すように、数式の直後位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の数式をペーストする。
【0091】
従って、特殊演算子と被演算子を含む数式をペーストした後、ペーストした数式の直後の入力位置に予めカーソルCが表示されているので、ペーストされた数式に続いて数式を入力するために、カーソルCの位置を変更する操作をすることなく、直ちに被演算子の文字を入力することができる。特殊演算子「∫」「dx」だけでなく被演算子「2x+1」を含めて範囲指定されている場合には、被演算子「2x+1」をペーストした後に、そのまま使用される場合が多い。従って、数式が範囲指定された場合には、ペーストした数式の直後の入力位置にカーソルCを設定することで、編集のための操作を簡便にすることができる
なお、選択範囲の文字が演算子と被演算子を含む数式の場合(ステップS412;NO)、処理部314は、前述した特殊演算子を含む数式が範囲指定された場合と同様にして数式の直後にカーソル位置を決定する。表示処理部315は、数式の直後の入力位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字(演算子と被演算子を含む数式)をペーストする(ステップS414)。
【0092】
次に、選択範囲の文字が特殊演算子とパラメータを含む場合(ステップS408;YES)、処理部314は、優先設定部316における優先位置の設定に応じて、特殊演算子に応じたカーソル位置を決定する。
【0093】
例えば、選択範囲が特殊演算子とパラメータを含む場合、ペースト後のカーソル位置として、特殊演算子の被演算子の位置とパラメータの位置の何れかに設定可能とする。優先設定部316にはデフォルトとして被演算子の位置が優先設定されているものとする(ステップS409;YES)。
【0094】
この場合、処理部314は、特殊演算子の被演算子の位置にカーソル位置を決定する。表示処理部315は、被演算子の入力位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字(特殊演算子)をペーストする(ステップS410)。
【0095】
例えば、図20(A)に示すように、選択範囲が特殊演算子「∫」「dx」と特殊演算子「∫」に付随するパラメータ「1」「2」の場合、図20(B)に示すように、特殊演算子「∫」の被演算子の入力位置、すなわち「∫」と「dx」の間にカーソル位置を設定して、選択範囲の特殊演算子「∫」「dx」、特殊演算子「∫」に付随するパラメータ「1」「2」をペーストする。
【0096】
一方、優先設定部316にパラメータの位置が優先設定されている場合(ステップS409;NO)、処理部314は、特殊演算子のパラメータの位置にカーソル位置を決定する。表示処理部315は、特殊演算子のパラメータの入力位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字(特殊演算子)をペーストする(ステップS411)。
【0097】
この場合、図20(C)に示すように、特殊演算子「∫」のパラメータの位置、すなわち選択範囲の「1」(あるいは「2」)の位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の特殊演算子「∫」「dx」をペーストする。
【0098】
なお、図20(C)では、特殊演算子「∫」に付随するパラメータ「1」「2」を表示していないが、パラメータ「1」「2」を含めてペースト(表示)し、「1」の位置にカーソルCを設定しても良い。
【0099】
こうして、特殊演算子と、特殊演算子に付随するパラメータをペーストした後のカーソルCの位置を、優先設定に応じて決定することができる。従って、対象者が予め優先設定部316に対して優先設定をすることで、対象者にとって編集が簡便となるように、ペーストした後のカーソルCの位置を設定することができる。
【0100】
なお、選択範囲の文字が特殊演算子とパラメータと被演算子を含む数式の場合(ステップS412;YES)、処理部314は、前述した特殊演算子を含む数式が範囲指定された場合と同様にして数式の直後にカーソル位置を決定する。表示処理部315は、数式の直後の入力位置にカーソル位置を設定して、選択範囲の文字(演算子と被演算子を含む数式)をペーストする(ステップS413)。
【0101】
例えば、図21(A)に示すように、選択範囲の文字が特殊演算子「∫」「dx」と特殊演算子「∫」に付随するパラメータ「1」「2」及び被演算子「2x+1」の場合、図21(B)に示すように、数式の直後にカーソル位置を設定して、選択範囲の特殊演算子「∫」「dx」、特殊演算子「∫」に付随するパラメータ「1」「2」及び被演算子「2x+1」をペーストする。
【0102】
以上のように、本実施の形態に係る情報処理装置3によれば、表示装置36の画面上に表示させた数式に選択範囲を設定し、これをペーストする際に、ペーストする文字列(演算子、特殊演算子、特殊演算子に付随するパラメータ等)に応じて、その後の数式の編集に好適な位置にカーソル位置(文字入力位置指示)を表示させることができる。これにより、ペースト後の編集のための操作を簡便にすることができる。
【0103】
なお、前述した各フローチャートに示す処理は、情報処理装置3(制御部310)において実行されるとしているが、サーバ1において実行されても良い。この場合、情報処理装置3は、対象者からの入力の受け付けと、表示装置36における画面表示を実行し、サーバ1において実行される前述した処理(選択範囲のコピー処理、選択範囲ペースト処理等)に応じた処理結果を、表示装置36の画面上で動作するウェブブラウザにより表示する。
【0104】
上記実施の形態では、選択された文字列を複写した後に、元の文字列を残すいわゆるコピー動作により説明をしたが、選択した文字列を複写後に残さないいわゆるカット動作であっても構わないことはもちろんである。
【0105】
また、上記実施の形態では、図1に示した情報処理装置3の入力装置34を表示装置36に載置することにより、入力部と表示部とを兼ねるタッチパネルとして機能するものとした。これに限らず、入力装置34をマウスとして、上記実施の形態で行われた対象者による選択操作を行えるようにしてもよい。この場合、タッチパネルにおけるタップは、マウスにおけるクリックに相当する。また、タッチパネルにおけるダブルタップは、マウスにおけるダブルクリックに相当する。
【0106】
また、上記実施の形態では、対象者による選択操作であるタップ、ダブルタップ、長押し、ドローそれぞれについて、個別の処理として説明した。これに限らず、タップ、ダブルタップ、長押し、ドローそれぞれの処理を、互いに入れ換えてもよい。例えば、タップとダブルタップの処理を互いに入れ換える、ダブルタップと長押しの処理を互いに入れ換える等してもよい。
【0107】
また、上記実施の形態では、サーバ1が、情報処理装置3から受信した演算のためのデータ、数式、及び演算指示に基づいてデータを演算し、演算結果を情報処理装置3に表示させるものとした。これに限らず、情報処理装置3単体で、演算のためのデータ、数式、及び演算指示に基づいてデータを演算し、演算結果を表示できるものとしてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態では、選択された文字の色と選択された文字の背景の色とが互いに反転表示し(ここでは、便宜上、選択された文字の選択範囲を二点鎖線で囲うものとした)、表示装置36の画面上に表示させるものとした。これに限らず、選択された文字を、選択されていない文字と異なる色、フォント、斜体及び太字等の文字形態等で表示するようにしてもよい。また、選択された文字の選択範囲を、表示装置36の画面上で反転表示等させなくても良い。
【0109】
また、実施形態において記載した手法、すなわちフローチャートに示す処理等の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して配布することができる。そして、コンピュータは、外部記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明した機能と同様の処理を実現することができる。
【0110】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク(インターネット)上を伝送させることができ、このネットワークに接続されたコンピュータからプログラムデータを取り込み、前述した実施形態と同様の機能を実現することもできる。
【0111】
なお、本願発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0112】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0113】
[1]
少なくとも1文字を含む文字列を選択し、
前記選択した文字列に含まれる演算子を抽出し、
前記文字列を複写した後の文字入力位置を前記演算子に基づき決定し、
前記選択した文字列を複写して、文字入力位置を設定する数式編集方法。
【0114】
[2]
前記文字列から特殊演算子のみを抽出した場合、前記特殊演算子の被演算子の入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【0115】
[3]
前記文字列から特殊演算子と前記特殊演算子のパラメータを抽出した場合、前記特殊演算子の被演算子の入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【0116】
[4]
前記文字列から特殊演算子と前記特殊演算子のパラメータを抽出した場合、前記特殊演算子のパラメータの入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【0117】
[5]
前記文字列から特殊演算子と前記特殊演算子のパラメータを抽出した場合、優先位置の指定に応じて、前記特殊演算子の被演算子の入力位置、あるいは前記特殊演算子のパラメータの入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【0118】
[6]
前記文字列から演算子のみを抽出した場合、前記演算子の直前の入力位置に前記文字入力位置を決定する、請求項1記載の数式編集方法。
【0119】
[7]
文字の入力位置を指示する文字入力位置指示手段と、
少なくとも1文字を含む文字列を選択する文字列選択手段と、
前記文字列選択手段により選択された文字列を、複写する文字列複写手段と、
前記選択した文字列に含まれる演算子を抽出する演算子抽出手段とを備え、
前記文字列複写手段により文字列を複写した後の、前記文字入力位置指示手段が指示する文字入力位置を、前記演算子抽出手段が抽出した演算子に基づき、決定することを特徴とする数式編集装置。
【0120】
[8]
コンピュータを、
文字の入力位置を指示する文字入力位置指示手段と、
少なくとも1文字を含む文字列を選択する文字列選択手段と、
前記文字列選択手段により選択された文字列を、複写する文字列複写手段と、
前記選択した文字列に含まれる演算子を抽出する演算子抽出手段として機能させ、
前記文字列複写手段により文字列を複写した後の、前記文字入力位置指示手段が指示する文字入力位置を、前記演算子抽出手段が抽出した演算子に基づき決定するための数式編集プログラム。
【符号の説明】
【0121】
1…サーバ、2…ネットワーク、3…情報処理装置、31…プロセッサ、32…メモリ、33…記憶装置、34…入力装置、36…表示装置、37…通信装置、38…バス、10…システム、310…制御部、311…判別部、312…特定部、313…選択範囲設定部、314…処理部、315…表示処理部、316…優先設定部、361…データ表示部、362…データ入力部、363…数式入力部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21