(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107107
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】散薬供給方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240801BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
A61J3/00 310K
A61J3/00 310E
B65B1/30 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024091119
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2023035737の分割
【原出願日】2016-09-23
(31)【優先権主張番号】P 2015215626
(32)【優先日】2015-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲杉▼本 知大
(72)【発明者】
【氏名】小田 智生
(72)【発明者】
【氏名】寺田 哲也
(57)【要約】
【課題】薬剤容器への散薬の再充填の回数を減少させることができる薬剤払出し装置を開発する。
【解決手段】散薬が充填される複数の薬剤容器4と、容器保管部23と、分配皿35と、掻出装置と、容器移動手段28と、薬剤包装装置53を有する。容器移動手段28によって容器保管部23から所定の薬剤容器4を取り出して容器載置装置36に載置し、薬剤容器4から散薬を排出させて分配皿35に投入し、掻出装置によって分配皿35に投入された散薬を薬剤投入溝から掻き出し、薬剤包装装置53によって薬剤を包装する。薬剤容器4には同種の散薬を充填する容器グループがあり、所定の規則に則って容器グループに属する薬剤容器4のいずれかが容器移動手段28によって容器載置装置36に移動され、容器載置装置36に載置されて散薬を分配皿35に投入する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種の散薬が貯留された複数の薬剤容器と、複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管部と、容器移動手段と、複数の容器載置装置と、二つの分配皿とを備えた薬剤払出し装置の散薬供給方法であって、
二つの分配皿のそれぞれは、周辺に容器載置装置を有し、
容器保管部に前記同種の散薬が貯留された薬剤容器が2個以上装備されている場合に、容器移動手段で容器保管部から前記2個以上の薬剤容器を二つの分配皿のそれぞれに設けられた容器載置装置に運搬して載置し、
容器載置装置に運搬して載置した前記2個以上の薬剤容器から前記同種の散薬を二つの分配皿のそれぞれに供給する散薬供給方法。
【請求項2】
前記2個以上の薬剤容器の内の1つの薬剤容器に貯留されている散薬が第1処方の散薬であり、前記2個以上の薬剤容器の内の別の薬剤容器に貯留されている散薬が第2処方の散薬である場合、
第1処方の散薬を二つの分配皿の内の一方の分配皿に供給し、
第2処方の散薬を二つの分配皿の内の他方の分配皿に供給する動作を含む請求項1に記載の散薬供給方法。
【請求項3】
容器載置装置に運搬して載置した前記2個以上の薬剤容器が2個の場合、前記2個の薬剤容器のそれぞれを、二つの分配皿に設けられた容器載置装置の一個に限り載置する動作を含む請求項1又は2に記載の散薬供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤払出し装置に関するものであり、特に散薬を分配する分配皿を備えた薬剤払出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大病院や、大規模の薬局では、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。旧来の薬剤払出し装置は、特許文献1に開示された様な構造であり、分配皿と粉体フィーダが組み合わされたものである。
旧来技術の薬剤払出し装置を使用して散薬を分包する作業は、医師の処方箋に従い、薬剤師が装置を操作して行う。即ち薬剤師は、医師の処方箋を確認し、薬棚から、処方された散薬が入った薬瓶を取り出す。そして天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出す。
即ち、一日3回服用する散薬であり、1回あたり、1.0グラム処方され、且つ20日分の薬剤が処方されている場合には、(1.0×3×20=60)グラムの散薬が取り出される。より具体的には、秤に容器をおいて風袋引きを行い、薬さじを使用して薬瓶から散薬を取り出し、秤上の容器に散薬を入れ、60グラムの散薬を量り出す。
【0003】
そして量り出された60グラムの散薬を粉体フィーダの投入ホッパーに投入し、粉体フィーダのトラフを振動させる。また分配皿を一定の回転数で回転させる。
投入ホッパーに投入された散薬は、粉体フィーダのトラフに落ち、トラフが振動することによって、散薬はゆっくりと先端側に移動し、分配皿の溝に落下する。
【0004】
一方、分配皿は、所定の速度で回転しているので、トラフから落下する散薬は、分配皿の溝に均等に分散される。
分配皿に対する散薬の落下が終了すると、一旦、分配皿の回転を停止する。そしてその後に、掻出装置のディスクを分配皿の溝内に落とす。さらにその後、分配皿を分配個数に応じた角度だけ回転させる。先の例で説明すると、60グラムの散薬を60包に分包するから、(6/360)度だけ分配皿を回転し、(6/360)度分だけ散薬をディスクの前面側に集める。そしてディスクを回転し、掻き板によって(6/360)度分の散薬を分配皿の外に掻き出して、包装用ホッパーに投入する。包装用ホッパーから落下した散薬は、包装装置で包装される。
【0005】
特許文献1に開示された旧来の薬剤払出し装置を使用すると、散薬を一服用分ずつ包装する作業の大半を自動化することができるものの、人手に頼らざるを得ない工程が残っており、散薬の分包を完全に自動化できる装置であるとは言いがたい。即ち旧来の散薬分包装置は、薬剤師が薬棚から所望の散薬が入った薬瓶を取り出し、その薬瓶から所定量の散薬を量り出す作業が必須であった。
【0006】
そこで本出願人は、薬棚から所望の散薬が入った薬瓶を取り出す作業と、薬瓶から所定量の散薬を量り出す作業を自動化した薬剤払出し装置を開発し、特許文献2に開示した。
特許文献2に開示した薬剤払出し装置は、複数の薬剤容器を収容する容器保管部と、ロボット(容器移動手段)を備えている。また分配皿の周囲には容器載置装置がある。容器載置装置は、薬剤容器を振動させて薬剤容器から散薬を排出する機能と、薬剤容器の重量を監視する機能を備えている。
特許文献2に開示した薬剤払出し装置では、容器保管部に収容された薬剤容器から医師の処方箋に合致した散薬が充填された薬剤容器を選び出し、ロボットで薬剤容器を取り出して容器載置装置に載置する。
そして容器載置装置を振動させて薬剤容器から散薬を排出すると共に、薬剤容器の重量を監視し、間接的に薬剤容器から排出される散薬の重量を監視する。
薬剤容器から所定量の散薬が排出されると、掻出装置を駆動して散薬を分配皿の外に掻き出し、包装装置で包装する。
【0007】
特許文献2に開示した薬剤払出し装置では、複数の薬剤容器が容器保管部に保管されているが、各薬剤容器にはそれぞれ異なる種類の散薬が充填されている。即ち薬剤容器と散薬の種類とは一対一に対応しており、一つの種類の散薬を充填した薬剤容器は一つだけであり、複数の薬剤容器に同種の散薬を充填することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-85703号公報
【特許文献2】WO2015/076266 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで散薬には汎用性が高く消費量が多いものや、汎用性が低く消費量が少ないものがある。例えば胃粘膜を保護する散薬は汎用性が高く、一般に消費量が多い。
また季節に応じて消費量が特別に多くなる散薬もある。例えば春先においては、花粉症の患者が急激に増大し、鼻炎薬の消費量が著しく増大する。インフルエンザの流行時期についても同様であり、解熱剤の消費量が著しく増大する。
消費量が多い散薬を充填した薬剤容器は、短時間の内に内部が空になる。そのため消費量が多い散薬を充填した薬剤容器に対しては、頻繁に再充填を繰り返すこととなる。
ところで特許文献2に開示した薬剤払出し装置は、ロボットで薬剤容器を移動するので、安全性を確保する必要から全体が筐体で覆われている。そのため薬剤容器の出し入れは原則的にロボットを使用して行うこととなる。
従って、空になった薬剤容器を筐体外に取り出す作業は、ロボットを使用して行うこととなり、時間がかかると共に煩雑である。
【0010】
本発明は、従来技術の薬剤払出し装置を改良するものであり、薬剤容器への散薬の再充填の回数を減少させることができる薬剤払出し装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、同種の散薬が貯留された複数の薬剤容器と、複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管部と、容器移動手段と、複数の容器載置装置と、二つの分配皿とを備えた薬剤払出し装置の散薬供給方法であって、二つの分配皿のそれぞれは、周辺に容器載置装置を有し、容器保管部に前記同種の散薬が貯留された薬剤容器が2個以上装備されている場合に、容器移動手段で容器保管部から前記2個以上の薬剤容器を二つの分配皿のそれぞれに設けられた容器載置装置に運搬して載置し、容器載置装置に運搬して載置した前記2個以上の薬剤容器から前記同種の散薬を二つの分配皿のそれぞれに供給する散薬供給方法である。
好ましい態様は、前記2個以上の薬剤容器の内の1つの薬剤容器が第1処方の散薬であり、前記2個以上の薬剤容器の内の別の薬剤容器が第2処方の散薬である場合、第1処方の散薬を二つの分配皿の内の一方の分配皿に供給し、第2処方の散薬を二つの分配皿の内の他方の分配皿に供給する動作を含む散薬供給方法である。
さらに、好ましい態様は、前記2個以上の薬剤容器の内の1つの薬剤容器に貯留されている散薬が第1処方の散薬であり、前記2個以上の薬剤容器の内の別の薬剤容器に貯留されている散薬が第2処方の散薬である場合、第1処方の散薬を二つの分配皿の内の一方の分配皿に供給し、第2処方の散薬を二つの分配皿の内の他方の分配皿に供給する動作を含む散薬供給方法である。
さらに好ましい態様は、容器載置装置に運搬して載置した前記2個以上の薬剤容器が2個の場合、前記2個の薬剤容器のそれぞれを、二つの分配皿に設けられた容器載置装置の一個に限り載置する動作を含む散薬供給方法である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、複数の薬剤容器と、制御手段と、記憶部と、複数の薬剤容器を設置して保管する容器保管部と、容器移動手段と、複数の薬剤容器の少なくとも1つの薬剤容器を載置する容器載置装置と、薬剤投入溝を有する分配皿とを有し、容器保管部には、同種の散薬が貯留された薬剤容器が複数あり、記憶部には、同種の散薬が貯留された薬剤容器の容器グループの複数が記憶され、容器保管部に保管されている薬剤容器が、前記いずれの容器グループに属するいずれの薬剤容器であるかを特定する情報を有し、制御手段は、複数の薬剤容器のいずれかの薬剤容器から最初の薬剤容器を選択し、選択した最初の薬剤容器の散薬を計量し、計量した散薬を薬剤投入溝に投入し、最初の薬剤容器の散薬がなくなった場合には、記憶部に記憶された容器保管部に保管されている薬剤容器が、前記いずれの容器グループに属するいずれの薬剤容器であるかを特定する情報を用いて、容器保管部に同一の前記容器グループに属する薬剤容器で、現に容器載置装置に搭載されていない薬剤容器を次の薬剤容器として選定し、容器移動手段で前記次の薬剤容器を容器保管部から容器載置装置に運搬して載置し、前記次の薬剤容器の散薬を計量し、計量した散薬を薬剤投入溝に投入し、前記次の薬剤容器が空になったら、容器移動手段で前記次の薬剤容器を容器保管部に戻す動作を含む薬剤払出し装置である。
好ましい態様は、操作表示部をさらに有し、制御装置は、前記次の薬剤容器が空になって、容器移動手段で前記次の薬剤容器を容器保管部に戻す時、操作表示部に、容器保管部に空の薬剤容器があることを知らせる旨の表示を行う薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、容器仮置部をさらに有し、薬剤払出し装置には、前記いずれの容器グループに属するいずれの薬剤容器であるかを特定する情報を薬剤容器に取り付けられた情報記録部材または薬剤容器に取り付けられたバーコードから読み取る情報読取手段が容器仮置部に設けられており、制御手段により、前記情報記録部材または前記バーコードに記録された情報に基づいて属する前記容器グループが特定される薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、さらに薬剤払出し装置を覆う筐体と、筐体内に薬剤容器を出し入れするための容器出し入れ口とを有する薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、分配皿は回転可能であり、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れた状態で、分割数に応じた所定の角度だけ分配皿を回転して一定範囲の薬剤投入溝に分布する散薬を寄せ集めると共に集めた散薬を掻出装置で掻き出す分割・掻出行程を行い、この分割・掻出行程を繰り返して分配皿の薬剤投入溝の全周に分布した散薬を排出するものであり、且つ最後の分割・掻出行程においては、それ以前の分割・掻出行程の際よりも広い角度に渡って分配皿を回転させる最終分割・掻出行程を行うものであり、分配皿に投入された散薬の性状に応じて、最終分割・掻出行程の際における分配皿の回転角度が相違する薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、筐体を有する本体装置と、操作表示部を備えており、筐体内に、前記複数の薬剤容器が収容されている容器保管部を有し、前記複数の薬剤容器には散薬が貯留されており、操作表示部を操作することにより、制御手段が、前記複数の薬剤容器の中から所望の薬剤容器を選び出し、選び出した薬剤容器に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する薬剤払出し装置において、前記複数の薬剤容器には、少なくとも同種の散薬が貯留されている薬剤払い出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された別の態様は、散薬が充填された複数の薬剤容器と、薬剤容器を保管する容器保管部と、薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して複数の薬剤容器のいずれかの薬剤容器から散薬を排出させる少なくとも1以上の容器載置装置と、制御手段と、記憶部と、容器仮置部と、前記制御手段に制御される容器移動手段と、操作表示部とを有する薬剤払出し装置であって、同種の散薬を充填した複数の薬剤容器は、同じ容器グループに割当てられ、同じ容器グループに割当てられた複数の薬剤容器の内の一部は、薬剤払出し装置の中に保管され、薬剤容器には、いずれの容器グループに属するいずれの薬剤容器であるかを特定する情報が記憶された情報記録部材またはバーコードが設けられ、記憶部には、同種の散薬グループである容器グループの複数が記憶され、容器保管部に保管されている薬剤容器が、前記複数の容器グループのいずれの容器グループに属するかの情報と、いずれの容器グループのいずれの薬剤容器であるかを特定する情報とを有し、薬剤払出し装置には前記いずれの容器グループに属するいずれの薬剤容器であるかを特定する情報を前記情報記録部材またはバーコードから読み取る情報読取手段が設けられており、前記情報記録部材またはバーコードに記録された情報に基づいて属する容器グループが特定され、制御手段に制御されて、処方情報に基づく薬剤と同じ薬剤の容器グループに属する最初の薬剤容器から散薬が排出され、最初の薬剤容器の散薬がなくなった場合には、記憶部に記憶された複数の容器グループ及び同じ容器グループに割当てられた薬剤容器の情報を用いて、最初の薬剤容器と同じ容器グループに属する次の薬剤容器が容器保管部に有るか否かを制御手段が検索し、前記次の薬剤容器が容器保管部に保管されている場合は、容器移動手段により次の薬剤容器を容器載置装置に装着し、前記次の薬剤容器が容器保管部に保管されていない場合は、操作表示部に薬剤払出し装置の外部の保管部に保管された前記次の薬剤容器の使用を促す表示がなされ、使用者により外部の保管部から前記次の薬剤容器が運ばれ容器仮置部に設置された場合には、前記容器移動手段により容器仮置部から容器載置装置に次の薬剤容器が装着される薬剤払出し装置である。
好ましい態様は、薬剤投入溝を有する分配皿と、分配皿に投入された散薬を分配皿の薬剤投入溝から掻き出す掻出装置とをさらに有し、最初の薬剤容器が、容器移動手段によって容器載置装置に移動され、容器載置装置に載置されて散薬を分配皿に投入する動作を含む薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、最初の薬剤容器の散薬がなくなった場合には、記憶部に記憶された複数の容器グループ及び同じ容器グループに割当てられた薬剤容器の情報を用いて、最初の薬剤容器と同一の容器グループに属する次の薬剤容器が容器保管部に有るか否かを検索し、次の薬剤容器が容器保管部に無い場合には、次の薬剤容器が容器保管部に無いことを示す欠品表示が操作表示部に表示される動作を含む薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、検索した結果、次の薬剤容器が容器保管部に有る場合、前記容器移動手段により容器載置装置から最初の薬剤容器を取り外して容器保管部に戻し、前記容器移動手段により次の薬剤容器を容器保管部から取り出して最初の薬剤容器が載置されていた容器載置装置に装着する動作を含む薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、容器載置装置は、振動台と、散薬の排出量を検知する排出量検知手段を有し、制御手段によって振動台を振動させて薬剤排出部から散薬を排出し、所望量の散薬を薬剤容器から排出することが可能であり、現に容器載置装置に載置されている最初の薬剤容器内の散薬が所望量に足らない場合には、既に排出した薬剤の排出量を前記記憶部が記憶し、前記容器移動手段により最初の薬剤容器と同一グループに属する次の薬剤容器を容器載置装置に載置し、総排出量が所望量に至るまで振動台を振動させて薬剤容器から散薬を排出する薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、容器載置装置は、散薬の排出量を検知する排出量検知手段を有し、同一の容器グループに属する次の薬剤容器が薬剤払出し装置の外部の保管部にあり、現に容器載置装置に載置されている最初の薬剤容器内の散薬が所望量に足らない場合には、既に排出した薬剤の排出量を前記記憶部に記憶し使用者により外部の保管部から前記次の薬剤容器が運ばれ容器仮置部に設置された場合には前記容器移動手段により容器仮置部から容器載置装置に次の薬剤容器が装着されて、総排出量が所望量に至るまで散薬を排出することが可能である薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、容器載置装置は、散薬の排出量を検知する排出量検知手段を有し、現に容器載置装置に載置されている最初の薬剤容器内の散薬が所望量に足らない場合には、既に排出した薬剤の排出量を前記記憶部が記憶し、最初の薬剤容器と同一グループに属する薬剤容器であって薬剤払出し装置の容器保管部に保管された次の薬剤容器を前記容器移動手段により容器載置装置に載置し、総排出量が所望量に至るまで散薬を排出することが可能である薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、同一の容器グループに属する最初及び次の薬剤容器を同一の分配皿に対応する複数の容器載置装置に前記容器移動手段により設置し、同一の容器グループに属する薬剤容器から同一の分配皿に同種の散薬を同時に又は順次投入することが可能である薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、複数の前記容器載置装置の一つに最初の薬剤容器を前記容器移動手段により設置して分配皿に散薬を投入し、その間に容器移動手段によって容器保管部から同一の容器グループに属する次の薬剤容器を取り出して同一の分配皿に対応する他の容器載置装置に載置することが可能である薬剤払出し装置である。
さらに好ましい態様は、分配皿を複数有し、各分配皿に対応して一又は複数の前記容器載置装置があり、同一の容器グループに属する最初及び次の薬剤容器を複数の分配皿に対応する容器載置装置に設置し、複数の分配皿に同種の散薬を投入することが可能である薬剤払出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、散薬が充填された複数の薬剤容器と、薬剤容器を保管する容器保管部と、薬剤容器が載置されると共に薬剤容器に作用して複数の薬剤容器のいずれかの薬剤容器から散薬を排出させる少なくとも1以上の容器載置装置と、容器移動手段と、制御手段と、記憶部とを有する薬剤払出し装置であって、同種の散薬を充填した複数の薬剤容器は、同じ容器グループに割当てられ、薬剤容器には、いずれの容器グループに属するいずれの薬剤容器であるかを特定する情報が記憶された情報記録部材またはバーコードが設けられ、記憶部には、同種の散薬グループである容器グループの複数が記憶され、容器保管部に保管されている薬剤容器が、前記複数の容器グループのいずれの容器グループに属するかの情報と、いずれの容器グループのいずれの薬剤容器であるかを特定する情報とを有し、前記いずれの容器グループに属するいずれの薬剤容器であるかを特定する情報を前記情報記録部材またはバーコードから読み取る情報読取手段が設けられており、前記情報記録部材またはバーコードに記録された情報に基づいて属する容器グループが特定され、薬剤払出し装置は筐体で覆われており、筐体内に薬剤容器を出し入れするための容器出し入れ口があり、容器移動手段は、制御手段に制御されて容器出し入れ口から導入された薬剤容器を容器保管部又は容器載置装置に移動する容器導入動作と、容器保管部又は容器載置装置にある薬剤容器を容器出し入れ部に移動する容器排出動作を実行し、制御手段に制御されて、現に容器載置装置に載置されている最初の薬剤容器内の散薬が所望量に足らない場合、記憶部に記憶された複数の容器グループ及び同じ容器グループに割当てられた薬剤容器の情報を用いて、最初の薬剤容器と同じ容器グループに属する次の薬剤容器が容器保管部に有るか否かを検索し、最初の薬剤容器と同一グループに属する他の薬剤容器であって内部に散薬が充填されている次の薬剤容器が容器保管部に存在する場合には、容器保管部に存在する前記次の薬剤容器を容器載置装置に載置し、最初の薬剤容器と同一グループに属する他の薬剤容器であって内部に散薬が充填されている前記次の薬剤容器が容器保管部に存在しない場合には、容器排出動作が実行されて現に容器載置装置に載置されている最初の薬剤容器が容器出し入れ部に移動し、薬剤払出し装置の外部の保管部で保管されている前記次の薬剤容器が作業者によって容器出し入れ部から導入された場合には容器導入動作が実行されて導入された次の薬剤容器が容器載置装置に移動される薬剤払出し装置である。
【0012】
上記した態様においては、容器載置装置は、振動台と、散薬の排出量を検知する排出量検知手段を有し、振動台を振動させて薬剤排出部から散薬を排出し、所望量の散薬を薬剤容器から排出することが可能であり、現に容器載置装置に載置されている薬剤容器内の散薬が所望量に足らない場合には、既に排出した薬剤の排出量を記憶し、同一グループに属する他の薬剤容器を容器載置装置に載置し、総排出量が所望量に至るまで振動台を振動させて薬剤容器から散薬を排出するものであることが望ましい。
【0013】
同一グループに属する他の薬剤容器を容器載置装置に載置する場合、先の薬剤容器と新たな薬剤容器を載せ代えてもよい。分配皿の周囲に容器載置装置が複数ある場合には、先の薬剤容器が載置された容器載置装置とは別の容器載置装置に新たな薬剤容器を載置してもよい。
【0014】
上記した各態様においては、容器載置装置は、散薬の排出量を検知する排出量検知手段を有し、同一の容器グループに属する他の1又は複数の薬剤容器が薬剤払出し装置の外にあり、現に容器載置装置に載置されている薬剤容器内の散薬が所望量に足らない場合には、既に排出した薬剤の排出量を記憶し、同一グループに属する薬剤容器であって薬剤払出し装置の外にある薬剤容器を容器載置装置に載置し、総排出量が所望量に至るまで散薬を排出することが可能であることが望ましい。
【0015】
上記した各態様においては、容器載置装置は、散薬の排出量を検知する排出量検知手段を有し、現に容器載置装置に載置されている薬剤容器内の散薬が所望量に足らない場合には、既に排出した薬剤の排出量を記憶し、同一グループに属する薬剤容器であって薬剤払出し装置の容器保管部に保管された薬剤容器を容器載置装置に載置し、総排出量が所望量に至るまで散薬を排出することが可能であることが望ましい。
【0016】
上記した各態様においては、分配皿に対応して複数の前記容器載置装置があり、同一の容器グループに属する複数の薬剤容器を同一の分配皿に対応する複数の容器載置装置に設置し、同一の容器グループに属する薬剤容器から同一の分配皿に同種の散薬を同時に又は順次投入することが可能であることが望ましい。
【0017】
上記した各態様においては、散薬の所望量を分割し、薬剤容器から排出すべき散薬量として前記分割値を割り振り、容器載置装置に設置された複数の各薬剤容器からそれぞれ割り振られた量の散薬を同一の分配皿に同時に又は順次投入することが可能であることが望ましい。
【0018】
上記した各態様においては、分配皿に対応して複数の前記容器載置装置があり、複数の前記容器載置装置の一つに薬剤容器を設置して分配皿に散薬を投入し、その間に容器移動手段によって容器保管部から同一の容器グループに属する薬剤容器を取り出して同一の分配皿に対応する他の容器載置装置に載置することが可能であることが望ましい。
【0019】
上記した各態様においては、分配皿を複数有し、各分配皿に対応して一又は複数の前記容器載置装置があり、同一の容器グループに属する薬剤容器を複数の分配皿に対応する容器載置装置に設置し、複数の分配皿に同種の散薬を投入することが可能であることが望ましい。
【0020】
薬剤容器には薬剤容器を特定する情報記録部材が設けられ、薬剤払出し装置には情報読取手段が設けられており、情報記録部材に記録された情報に基づいて属する容器グループが特定されることが望ましい。
【0021】
上記した各態様においては、現に容器載置装置に載置されている薬剤容器と同一の容器グループに属する他の1又は複数の薬剤容器が薬剤払出し装置の外にあり、現に容器載置装置に載置されている薬剤容器を薬剤払出し装置の外にある同一グループに属する薬剤容器に載せ替え、或いは空いた容器載置装置に薬剤払出し装置の外にある同一グループに属する薬剤容器を載置することが可能であることが望ましい。
【0022】
上記した各態様においては、薬剤払出し装置は筐体で覆われており、筐体内に薬剤容器を出し入れするための容器出し入れ口があり、容器移動手段は、容器出し入れ口から導入された薬剤容器を容器保管部又は容器載置装置に移動する容器導入動作と、容器保管部又は容器載置装置にある薬剤容器を容器出し入れ部に移動する容器排出動作を実行し、制御手段に制御されて、現に容器載置装置に載置されている薬剤容器内の散薬が所望量に足らない場合であって、同一グループに属する他の薬剤容器であって内部に散薬が充填されているものが容器保管部に存在する場合には、容器保管部に存在する前記薬剤容器を容器載置装置に載置し、同一グループに属する他の薬剤容器であって内部に散薬が充填されているものが容器保管部に存在しない場合には、容器排出動作が実行されて現に容器載置装置に載置されている薬剤容器が容器出し入れ部に移動し、前記容器載置装置に載置されていた薬剤容器又は同一のグループに属する他の薬剤容器が作業者によって容器出し入れ部から導入された場合には容器導入動作が実行されて導入された薬剤容器が容器載置装置に移動されることが望ましい。
【0023】
上記した各態様においては、分配皿は回転可能であり、分配皿から掻き出された散薬が導入されて薬剤包装装置側に散薬を投下させる散薬投入ホッパーと、散薬投入ホッパー内を負圧に吸引する吸引手段を有し、ホッパー内を自動的に清掃するホッパー清掃動作を実行可能であり、ホッパー清掃動作においては、容器移動手段によって容器保管部から清掃剤が充填された薬剤容器を取り出して容器載置装置に載置し、分配皿の回転を停止した状態で薬剤容器から清掃剤を排出させて分配皿に投入し、分配皿を回転して所定の回転位置で清掃剤を停止し、掻出装置によって分配皿から清掃剤を掻き出して散薬投入ホッパー内に清掃剤を投入し、吸引手段で散薬投入ホッパー内を負圧に吸引することが望ましい。
【0024】
上記した各態様においては、分配皿は回転可能であり、掻出装置を分配皿の薬剤投入溝に入れた状態で、分割数に応じた所定の角度だけ分配皿を回転して一定範囲の薬剤投入溝に分布する散薬を寄せ集めると共に集めた散薬を掻出装置で掻き出す分割・掻出行程を行い、この分割・掻出行程を繰り返して分配皿の薬剤投入溝の全周に分布した散薬を排出するものであり、且つ最後の分割・掻出行程においては、それ以前の分割・掻出行程の際よりも広い角度に渡って分配皿を回転させる最終分割・掻出行程を行うものであり、分配皿に投入された散薬の性状に応じて、最終分割・掻出行程の際における分配皿の回転角度が相違することが望ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の薬剤払出し装置によると、同種の散薬を複数の薬剤容器に充填することができる。そのため消費量が多い散薬を装置内に大量に配備することができ、薬剤容器への散薬の再充填の回数を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬剤払出し装置の斜視図である。
【
図2】
図1の本体装置の筐体を透過して示す斜視図である。
【
図3】
図1の本体装置を別角度から見た様子を示す斜視図であり、扉部が開いた状態を示す。
【
図4】
図2の薬品分割領域を拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図1の薬剤払出し装置で採用する薬剤容器及び容器載置装置の斜視図であり、薬剤容器が容器載置装置に載置された状態を示す。
【
図6】
図5で示す薬剤容器の断面図であり、(a)は蓋部材が開いた状態を示し、(b)は蓋部材が閉じた状態を示す。
【
図7】容器グループの構成を説明する説明図である。
【
図8】
図1の薬剤払出し装置を模式的に平面視して表示した説明図である。
【
図9】
図1の薬剤払出し装置の動作を示すフローチャートであり、その前半部分を示す。
【
図10】
図1の薬剤払出し装置の動作を示すフローチャートであり、その後半部分を示す。
【
図11】空になった薬剤容器を検索する検索画面である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係る薬剤払出し装置の斜視図である。
【
図13】
図12の本体装置の筐体を透過して示す斜視図である。
【
図14】
図12の薬剤払出し装置の扉部及び筐体内部に設けられた容器仮置部の斜視図及び筐体内に設けられた清掃部の斜視図である。
【
図15】
図12の薬剤払出し装置で採用する薬剤投入ホッパー及びその近傍の部材を示す概念図である。
【
図16】(a)乃至(c)は、薬剤投入ホッパーに分配皿を経由して清掃剤を投入する際の動作を説明する斜視図である。
【
図17】
図15の薬剤投入ホッパーに清掃剤を投入した状態を示す概念図である。
【
図18】
図15の薬剤投入ホッパーの下部の開閉部材を閉じた状態で薬剤投入ホッパー内の清掃剤を吸引している状態を示す概念図である。
【
図19】
図15の薬剤投入ホッパーの下部の下部の開閉部材を開いた状態で薬剤投入ホッパー内の清掃剤を吸引している状態を示す概念図である。
【
図20】エアーノズルから
図15の薬剤投入ホッパーの下部の開閉部材に空気を噴射している状態を示す概念図である。
【
図22】(a)乃至(c)は、本発明の他の実施形態に係る薬剤払出し装置の薬剤投入ホッパー及びその近傍の部材を示す概念図である。
【
図23】(a)乃至(e)は、
図1、
図12に示す薬剤払出し装置の分割皿と掻出ディスク及び散薬の関係を示す説明図であり、分割・掻出行程の初期の状態を示す。
【
図24】(a)(b)は、
図1、
図12に示す薬剤払出し装置の分割皿と掻出ディスク及び散薬の関係を示す説明図であり、分割・掻出行程の終期の状態を示す。
【
図25】(a)(b)は、
図1、
図12に示す薬剤払出し装置から払い出された薬剤包装の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、
図1の様に本体装置2と、操作表示部3を備えている。また薬剤払出し装置1の横には棚5が設けられている。
薬剤払出し装置1の本体装置2には多数の薬剤容器4が収容されている。各薬剤容器4には散薬が充填されている。薬剤払出し装置1は、操作表示部3を操作することにより、所望の薬剤容器4を選び出し、薬剤容器4に収容された散薬を自動的に取り出して計量し、所定数に分割して分包する装置である。
【0028】
本体装置2は、外郭を構成する筐体10を有し、筐体10内に各種機器が内蔵されている。具体的には、
図2で示されるように、筐体10の内部が容器配置領域12、薬品分割領域13、薬品包装領域14に区分されている。
【0029】
筐体10の容器配置領域12の外側壁面を形成する部分には、
図1、
図3で示されるように、扉部16が設けられている。
扉部16は、薬剤容器4を筐体10に出し入れするための容器出し入れ口である。扉部16の内側に薬剤容器4を仮置きするための容器仮置部18が設けられている。
扉部16及び容器仮置部18は、筐体10の内部に薬剤容器4を導入する際の導入部として機能すると共に、筐体10の内部から薬剤容器4を取り出す際の取出部としても機能する。
【0030】
容器仮置部18は、薬剤容器4を機械的な係合によって保持可能な構造となっている。容器仮置部18に薬剤容器4を載置すると、薬剤容器4と容器仮置部18が係合状態となる。また薬剤容器4を持ち上げることにより、これらが係合解除状態となり、薬剤容器4を容器仮置部18から離脱させることができる。
【0031】
容器仮置部18には、薬剤容器4から情報を読み取るための情報読取手段と、薬剤容器4の重量を測定するための重量測定手段とが設けられている。情報読取手段が読み取る情報には、薬剤容器4が属する容器グループがいずれの容器グループであるのかという情報を含む。また情報読取手段が読み取る情報には、薬剤容器4に内蔵されている散薬の種類、および散薬の量に関する情報を含む。
【0032】
本体装置2の容器配置領域12には、
図2で示されるように、薬剤容器4を保持する容器保管部23が設けられている。
容器保管部23は、直立した姿勢で設置されたドラム部材25を備えている。ドラム部材25が縦方向に延びる回転軸を中心として回転可能となっている。
【0033】
ドラム部材25の外周面には、複数の容器設置部が設けられており、この容器設置部に薬剤容器4が保持される。
【0034】
容器配置領域12から薬品分割領域13に至る領域には、容器移動手段28が設けられている。容器移動手段28は一種のロボットであり、アーム部30と昇降機構31を備えた構造となっており、昇降機構31によってアーム部30が鉛直方向に移動可能となっている。
また、アーム部30の先端部分には磁石(図示せず)が設けられており、薬剤容器4に一体に取り付けられた鉄板183を吸着することで、薬剤容器4を保持可能となっている。
【0035】
薬品分割領域13では、正面ドア34(
図1参照)の後方側に位置する空間内に、
図4で示されるように、分配皿35と、容器載置装置36と、掻出装置37と、清掃装置38と、薬品導入口39と、カメラ部材40が設けられている。
本実施形態では、薬品分割領域13に分配皿35が2個、並列して設置されている。即ち本実施形態では、右側分配皿35Rと、左側分配皿35Lの2個の分配皿35があり、2個の分配皿35R,35Lが並列して設置されている。
なお分配皿35の数は限定されるものではなく、一個であってもよいが、複数の分配皿35を有することが望ましい。
【0036】
それぞれの分配皿35R,35Lの周辺には、容器載置装置36と、掻出装置37と、清掃装置38が設けられている。具体的には、1つの分配皿35に、3つの容器載置装置36と、1つの掻出装置37と、1つの清掃装置38が対応付けられている。
説明の便宜上、右側分配皿35Rに対応する容器載置装置を容器載置装置36R1,36R2,36R3と表示する場合がある。また左側分配皿35Lに対応する容器載置装置を容器載置装置36L1,36L2,36L3と表示する場合がある。
図8は、薬剤払出し装置1の分配皿35と容器載置装置36等のレイアウトを概念的に表示したものである。
【0037】
分配皿35の周辺であり、2つの分配皿35の間には、薬品包装領域14に一包分ずつ散薬を供給するための薬品導入口39が設けられている。
【0038】
分配皿35には、円環状に連続する薬品投入溝32が設けられている。分配皿35は図示しない回転機構によって、回転可能な状態となっている。
【0039】
容器載置装置36は、振動台50と、重量測定手段(排出量検出手段)52とを備えている。振動台50には加振手段51が設けられており、加振手段51に通電することによって振動台50が振動する。
【0040】
振動台50には、薬剤容器4を保持するための容器保持手段が設けられている。なお、本実施形態では、
図4の様に容器保持手段として磁石(電磁石)41を採用している。
【0041】
重量測定手段(排出量検知手段)52は、薬剤容器4の重量を直接又は間接的に測定するものである。
【0042】
本実施形態では、容器載置装置36に薬剤容器4を載置して薬剤容器4を振動させ、薬剤容器4に収容された散薬を分配皿35に排出することが可能である。そしてこの散薬の排出に伴う薬剤容器4の重量変化を重量測定手段52によって検知可能である。本実施形態では、重量測定手段52が排出量検知手段として機能し、薬剤容器4の重量変化によって散薬の排出量が検出される。
【0043】
薬品包装領域14には、公知の薬品包装装置53と、印字手段とが設けられている。
薬品包装装置53は、薬品を一包分ずつ包装するための機械であり、シート供給装置と、シール装置によって形成されている。すなわち、シート供給装置から供給されたシートを袋状に形成して分包袋を作成すると共に、作成した分包袋で薬品分割領域13から供給された散薬をシール装置によって一服用分ずつシールし、包装する。
印字手段は、分包袋に対して所定の情報を印字するための機械である。
【0044】
薬品分割領域13と薬品包装領域14の間には、散薬投入ホッパー413(
図2)があり、薬品分割領域13で分割された散薬が散薬投入ホッパー413に投入されて薬品包装装置53で包装される。
【0045】
薬剤容器4は、外形が略直方体状の容器であり、内部に散薬を収容することができる。薬剤容器4には、
図5、
図6の様に蓋190があり、
図6(a)の様に蓋190を開いて一部を開口することができる。蓋190を開くことによって形成される開口188から内部の散薬を排出することができる。
また薬剤容器4には、異なる二面にそれぞれ鉄板182,183が取り付けられている。一方の面に設けられた鉄板183は、アーム部30で薬剤容器4を保持する際、アーム部30の磁石に吸着させるための部分である。また、他方の面に設けられた鉄板182は、後述する容器載置装置36に設置するとき、容器載置装置36の磁石41に吸着させるための部分である。
【0046】
加えて、この薬剤容器4には情報記録部材としてRFIDタグ91が設けられており、収納された薬品に関する情報を記憶可能となっている。RFIDタグ91が容器側情報記憶手段として機能する。本実施形態では、RFIDタグ91によって薬剤容器4を特定する。またRFIDタグ91に記録された情報により、薬剤容器4が属する容器グループが特定される。RFIDタグ91には薬剤容器4に充填されている散薬の種類及び量についても記録されている。
【0047】
操作表示部3は、所謂タッチパネルであり、液晶パネル等の表示装置と、タッチパッド等の位置入力装置を組み合わせて形成されたものである。
【0048】
薬剤払出し装置1は制御部(制御手段)11を備えている。制御部11は、CPU、ROM、RAM(EEPROM)、データ記憶部を備えている。
CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROMは、BIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリであり、RAMは、各種プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリとなっている。
また制御部11のデータ記憶部には、個々の薬剤容器4に残存する散薬の量が記録され、散薬が消費されると当該記録が順次更新されていく。
【0049】
次に本実施形態の薬剤払出し装置1の基本的な動作について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方箋に関する情報が入力され、その情報に基づいて散薬を一服用分ずつ包装する分包動作を実施することができる。
【0050】
即ち薬剤払出し装置1は、薬剤容器4を容器保管部23に収容する動作、容器保管部23から薬剤容器4を取り出す動作、取り出した薬剤容器4を分配皿35の近傍に移動させる動作、薬剤容器4を容器載置装置36に載置する動作、所定量の薬品を分配皿35に投入する動作、分配皿35から薬品を一服用分ずつ薬品分包装置53に供給する動作、薬剤容器4を容器保管部23に戻す動作を自動的に行う。なおこれらは各動作は、制御部11によって制御された動作である。
【0051】
準備段階として、薬剤容器4に散薬が充填され、その幾つかが容器配置領域12の容器保管部23に装着される。また残りの薬剤容器4は、薬剤払出し装置1の外に置かれている。より具体的には薬剤払出し装置1の外に置かれた棚5に残りの薬剤容器4が置かれている。
即ち多数の薬剤容器4があるが、その全てを薬剤払出し装置1に装着するのは実質的に困難であり、多数の薬剤容器4の内、頻繁に使用する散薬が充填された薬剤容器4が優先的に薬剤払出し装置1の容器保管部23に装着され、使用頻度の低いものは外部の棚5等に置かれている。
【0052】
本実施形態では、薬剤容器4が容器グループにグループ分けされており、全ての薬剤容器4がいずれかの容器グループに属する。一つの容器グループに属することができる薬剤容器4の数には限りがあり、例えば10個以内や7個以内という様に予め決められている。
容器グループに属することができる薬剤容器4の数nは、薬剤払出し装置1の容器保管部23に収容可能な薬剤容器4の総数Nに応じて決定されるべきであり、グループに属することができる薬剤容器4の数nは、総数Nの3分の1以下、あるいは5分の1以下であることが推奨される。
【0053】
実際に一つの容器グループに属している薬剤容器4の数は、前記したn以下であればよく、実際に一つの容器グループに属している薬剤容器4の数が1であってもよい。むしろ、大半の容器グループは、属する薬剤容器4の数が1である。
【0054】
本実施形態では、容器グループごとに異なる散薬が薬剤容器4に充填されている。例えば実際に特定の容器グループ(
図7のNO.1グループ)の属する薬剤容器4の数が3であるならば、属する3個の薬剤容器4の全てに同種の散薬Aが充填される。他の薬剤容器4に散薬Aが充填されることはない。また他の特定の容器グループ(
図7のNO.2グループ)の属する薬剤容器4の数が2であるならば、属する2個の薬剤容器4の全てに同一の散薬Bが充填される。他の薬剤容器4に散薬Bが充填されることはない。さらに他の特定の容器グループ(
図7のNO.3グループ)の属する薬剤容器4の数が1であるならば、属する1個の薬剤容器4だけに特定の散薬Cが充填され、他の薬剤容器4に散薬Cが充填されることはない。(
図7のNO.4グループ)の属する薬剤容器4の数が5であるならば、属する5個の薬剤容器4の全てに同種の散薬Dが充填される。他の薬剤容器4に散薬Dが充填されることはない。
【0055】
薬剤容器4がいずれの容器グループに属するかは、薬剤容器4に取り付けられたRFIDタグ(情報記録部材)91に記憶されている。また薬剤容器4にバーコードや二次元バーコードを付して容器グループを特定してもよい。
RFIDタグ(情報記録部材)91やバーコード等には、例えば主グループ番号と枝番が記録される。例えば
図7の様に、1-1、1-2の様に主グループ番号と枝番によって薬剤容器4が特定される。
また特定の番号や記号を付さず、充填されている散薬の名称を手掛かりにして間接的に薬剤容器4をグループ分けしてもよい。
例えばRFIDタグ91に充填する散薬の名称を記憶させ、散薬の名称が同一のものを同一の容器グループと認識させてもよい。
【0056】
制御部11のデータ記憶部には、容器配置領域12の容器保管部23(容器保管装置)に、いずれの容器グループに属するいずれの薬剤容器4が収容されているかが記憶されている。また各薬剤容器4が収容された位置についても記憶されている。
前記した様に幾つかの薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に装着されている。
【0057】
実際の作業では、扉部16に設けられた容器仮置部18に薬剤容器4を設置し、その後、扉部16を閉じて薬剤容器4を筐体10内に入れる。
扉部16を閉じることによって図示しない安全装置が解除され、容器移動手段28等が動作し得る状態となり、容器移動手段28が自動的に動作し、薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に運ばれ、容器保管部23に収容される。即ち容器移動手段28によって容器導入動作が行われる。
また容器仮置部18には情報読取手段があり、導入された薬剤容器4が特定される。即ち導入された薬剤容器4が属する容器グループや、充填されている散薬の種類や充填量等の情報が読み取られ、制御部11で記憶される。
また薬剤容器4が容器仮置部18に載置された際に、重量測定手段によって薬剤容器4の重量が測定され、散薬の充填量が確認される。
【0058】
次に本実施形態の薬剤払出し装置1を使用して行わせる一連の分包作業について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方箋に関する情報が入力され、その情報に基づいて分包作業が自動的に実行される。
【0059】
即ち本実施形態の薬剤払出し装置1では、処方箋に関する情報に基づいて、必要な散薬が充填された薬剤容器4が選択され、容器移動手段28によって必要な薬剤容器4が容器保管部23から容器載置装置36に運搬される。
そして振動台50に内蔵された電磁石41によって薬剤容器4が保持される。
そして加振手段51に一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動台50を振動させる。
また振動開始と前後して分配皿35を回転させる。
【0060】
振動開始と前後して、薬剤容器4の重量が重量測定手段52で測定される。薬剤容器4の重量は、重量測定手段52の検知重量から、一定値を引いたものである。より具体的には、薬剤容器4の重量は、重量測定手段52の検知重量から、容器載置装置36の重量測定手段52より上の部材の重量を引いたものである。
振動台50に設置直後の薬剤容器4の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器4の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器4の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0061】
振動台50が振動を開始すると、薬剤容器4が振動する。ここで本実施形態では、薬剤容器4は、磁石41によって強固に振動台50に接合されており、且つ振動台50との密着度合いも高いから、薬剤容器4は、振動台50と同一周波数で振動する。その結果、薬剤容器4に貯留された散薬が、開口188側に向かってゆっくりと移動し開口188から排出されて落下する。
【0062】
散薬が落下中であることは、薬剤容器4の重量が低下することによって確認される。また散薬の排出量が重量測定手段52で検知される。即ち本実施形態では、散薬が薬剤容器4の開口188から落下中においても、薬剤容器4の現在の重量(現重量g)が、重量測定手段52によって監視され続けている。そして振動台50に設置直後の薬剤容器4の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算している。
そして散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動台50の振動を停止する。
即ち重量測定手段52が測定する薬剤容器4の現重量gが、重量測定手段52によって測定された振動開始前の原重量Gに対して所望の重量だけ少なくなると、振動台50の振動を停止する。
【0063】
また振動台50の振動を停止する前に、振動台50の振幅を小さくし、且つ振動周波数を下げた状態で運転することが望ましい。
例えば、現在の散薬排出量が、散薬を最終的に排出する量(目標排出量)から、数グラムを引いた量となった場合に、振動台50の振幅を小さくし、且つ振動周波数を下げた状態で運転する。そして残りの数グラムを振動台50の振幅を小さくし、且つ振動周波数を下げた状態で排出させる。
そして前記した様に、散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動台50の振動を停止する。
その後、容器移動手段28が自動的に動作し、薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に戻される。
【0064】
また薬剤容器4内の散薬が全て排出され、薬剤容器4が空になってしまった場合には、薬剤容器4が取り替えられる。薬剤容器4が取り替えられる際には、容器載置装置36の振動が停止され、既に当該薬剤容器4が排出した薬剤の重量が記憶される。
薬剤容器4が取り替えられる手順は、容器配置領域12の容器保管部23に同一の容器グループに属する薬剤容器4が有るか否かによって異なる。
前記した様に、本実施形態では薬剤容器4がグループ分けされており、複数個の薬剤容器4が同一の容器グループに属する場合がある。そして同一の容器グループに属する薬剤容器4には同種の散薬が充填されている。
【0065】
また同一の容器グループに属する薬剤容器4であってもその全てが容器配置領域12の容器保管部23に装備されているとは限らない。
そのため薬剤容器4から散薬を排出している最中に薬剤容器4内の散薬がなくなり、薬剤容器4が空になってしまった場合には、同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に有るか否か検索される。
そして同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に有るならば、容器移動手段28が自動的に動作を開始し、現に容器載置装置36に装着されている薬剤容器4を取り外して容器保管部23に戻し、新たに同一の容器グループに属する薬剤容器4を容器保管部23から取り外して先の容器載置装置36に装着する。
【0066】
あるいは、現に容器載置装置36に装着されている薬剤容器4を取り外すことなくそのまま残し、新たに同一の容器グループに属する薬剤容器4を容器保管部23から取り外して別の容器載置装置36に装着する。
いずれにしても、同一の容器グループに属する薬剤容器4を同一の分配皿35に対応する容器載置装置36に装着する。
【0067】
同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器載置装置36に装着されたことが図示しないセンサー等で確認されると、容器載置装置36の振動を再開し、新たな薬剤容器4から分配皿35に散薬を落下させる。
また薬剤容器4を取り外すことなくそのまま残している場合には、新たな薬剤容器4が装着された容器載置装置36を振動させ、新たな薬剤容器4から分配皿35に散薬を落下させる。
前記した様に、作業中断までに薬剤容器4が排出した薬剤の重量が記憶されているので、残りの排出量だけ、新たな薬剤容器4から散薬が排出され、その後、容器載置装置36の振動を停止する。
【0068】
一方、容器配置領域12の容器保管部23に同一の容器グループに属する薬剤容器4が無い場合には、操作表示部3に「欠品表示」が表示される。
「欠品表示」は、処方すべき散薬を充填した薬剤容器4が薬剤払出し装置1内に無い場合に、自動的に操作表示部3に表示されるものである。欠品表示は、使用者が関心を持つように目立つ表示がなされる。また薬剤容器4を特定する番号や記号等や、散薬の種類等の不足状態となった散薬を特定する情報も表示される。
【0069】
そして所定の欠品処理工程を実行する。
欠品処理工程においても、既に当該薬剤容器4が排出した薬剤の重量が記憶されている。
【0070】
本実施形態では、欠品処理工程においては、容器排出動作が実行される。即ち容器移動手段28を使用して薬剤容器4が取り出される。具体的には容器載置装置36の振動を停止する。そして容器移動手段28が自動的に動作し、容器載置装置36から薬剤容器4が外される。そして容器移動手段28によって当該薬剤容器4が扉部16に設けられた容器仮置部18に移動させる。
薬剤容器4が扉部16に設けられた容器仮置部18に設置されると、扉部16が自動的に開く。使用者は容器仮置部18から薬剤容器4を取り出し、薬剤容器4内を点検することとなる。
薬剤容器4内に散薬が無い場合は、当該薬剤容器4に散薬を補充して再度容器仮置部18に設置する。
【0071】
また容器配置領域12の容器保管部23には同一の容器グループに属する薬剤容器4が無いものの、薬剤払出し装置1の外部には同一の容器グループに属する薬剤容器4がある場合には、容器グループに属する新たな薬剤容器4を容器仮置部18に設置してもよい。
【0072】
本実施形態では、薬剤容器4を扉部16の設けられた容器仮置部18に設置し、所定の操作をすることにより、以下の容器導入動作が実行される。
【0073】
即ち容器仮置部18の情報読取手段によって装着された薬剤容器4のグループが確認される。容器仮置部18に装着された薬剤容器4が先に取り外された薬剤容器4であるか、あるいは同一の容器グループに属する薬剤容器4であることが確認されると、容器移動手段28が自動的に動作し、薬剤容器4を先の容器載置装置36に装着する。なお薬剤容器4の装着先は、同一の分配皿35に対応するものであればいずれの容器載置装置36であってもよい。また容器仮置部18においては薬剤容器4の重量が測定され、散薬の充填量が確認される。
【0074】
同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器載置装置36に装着されたことが図示しないセンサー等で確認されると、容器載置装置36の振動を再開し、新たな薬剤容器4から分配皿35に散薬を落下させる。この場合においても作業中断までに薬剤容器4が排出した薬剤の重量が記憶されているので、残りの排出量だけ、新たな薬剤容器4から散薬が排出され、その後容器載置装置36の振動を停止する。
【0075】
前記した様に一つの容器グループに属することができる薬剤容器4の数nは任意であるから、3個以上の薬剤容器4が同一の容器グループに属し、3個以上の薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に装備されている場合もある。
その場合には、容器グループに属する薬剤容器4のいずれかが選択され、容器移動手段28によって容器載置装置36に移動され、容器載置装置36に載置されて散薬を分配皿35に投入することとなる。
以下、先の説明と重複する部分も含めて薬剤容器4を選定する規則について説明する。以下に説明する規則は、現に容器載置装置36に載置されていて散薬を排出している薬剤容器4があり、その薬剤容器4内の散薬が全て排出されつくし、当該薬剤容器4が空になった場合、分包作業を再開するために新たな薬剤容器4を選択する際の規則である。
【0076】
(1)同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に1個だけ装備されている場合
即ち数nが1の場合と、数nが2以上であるが、そのうちの一個の薬剤容器4だけが容器配置領域12の容器保管部23に装着され、他は薬剤払出し装置1の外にある場合である。
この場合は、取り替えるべき薬剤容器4が容器保管部23に存在しないので、前記した様に容器排出動作が実行され、現に使用されている薬剤容器4が、筐体10から排出され、散薬の再充填又は同一グループに属する別の薬剤容器4が要求される。即ち欠品処理工程が実行される。
【0077】
(2)同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に2個装備されている場合
即ち数nが2の場合と、数nが3以上であり、そのうちの2個の薬剤容器4だけが容器配置領域12の容器保管部23に装着され、他は薬剤払出し装置1の外にある場合である。
この場合は、取り替えるべき薬剤容器4が容器保管部23に1個だけ存在する。
この場合は、前記した様に、容器保管部23に予備として残されている薬剤容器4が容器移動手段28によっていずれかの容器載置装置36に載置され、新たな薬剤容器4から散薬が分配皿35に投入される。
なお容器配置領域12の容器保管部23に予備として残されていた薬剤容器4が空である場合には、欠品処理工程が実行される。この場合には、現に容器載置装置36に載置されている薬剤容器4が筐体10から排出される。
【0078】
(3)同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に3個以上装備されている場合
即ち数nが3の場合と、数nが4以上であり、そのうちの3個以上の薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に装着され、他は薬剤払出し装置1の外にある場合である。
この場合は、容器保管部23に予備として2個以上の薬剤容器4が残されている。
この場合は、予備として容器保管部23に残された薬剤容器4の中から、散薬が残っているものが選定され、その中から選ばれた薬剤容器4が容器載置装置36に載置され、新たな薬剤容器4から散薬が分配皿35に投入される。
【0079】
散薬が残っている薬剤容器4が複数ある場合には、設定によって選択された規則に則って使用される薬剤容器4が選ばれる。
本実施形態では、選択し得る規則として次のものが用意されている。
【0080】
(選択A)
選択Aは、薬剤容器4内における散薬の残存量を調べ、残存量の多いものを優先して選択する方策である。
この方策によると、欠品工程を実行する時期を遅らせることができる。
【0081】
(選択B)
選択Bは、薬剤容器4内における散薬の残存量を調べ、残存量が少ないものを優先して選択する方策である。
この方策によると、欠品工程の間隔が一定間隔となる。
【0082】
(選択C)
選択Cは、薬剤容器4に薬剤が充填された時期を調べ、充填時期が新しいものを優先して選択する方策である。
この方策によると、欠品工程を実行する時期を遅らせることができる。
【0083】
(選択D)
選択Dは、薬剤容器4に薬剤が充填された時期を調べ、充填時期が古いものを優先して選択する方策である。
この方策によると、散薬が使用期限切れになることを防ぐことができる。
また薬剤容器4内における散薬の残存量を調べると共に、実行される分配作業に必要な散薬量と残存量を比較し、残存量が必要量に足るものを選択することが望ましい。
なお本実施形態では、先に残存量が必要量に足る薬剤容器4が検索される。また本実施形態では、(選択D)が採用されており、残存量が必要量に足る薬剤容器4の中で、充填時期が古い薬剤容器4を優先して使用する。
【0084】
図9、
図10に示すフローチャートは、上記した一連の動作を説明するものである。
即ちステップ1で、処方が入力されるのを待ち、処方が受け付けられるとステップ2に進んで分包作業が開始される。
ステップ2で処方の内容が確認され、処方すべき散薬を充填した薬剤容器4が、薬剤払出し装置1内にあるか否かが確認される。薬剤払出し装置1の容器保管部23に該当する薬剤容器4があるか、或いはいずれかの容器載置装置36に該当する薬剤容器4が載置されておればステップ2はYESとなり、次のステップ3に進む。
【0085】
ステップ3では、薬剤払出し装置1内に未使用状態の薬剤容器4があるか否かが判断される。なお本実施形態において、「未使用状態」とは、現に容器載置装置36に搭載されておらず、散薬を排出していないものを言う。過去に使用された実績があるか否かは問わない。「使用状態」とは、現に容器載置装置36に搭載されているものをさす。
具体的には薬剤払出し装置1の容器保管部23に該当する薬剤容器4があるか否かが判断される。
【0086】
続くステップ4では、未使用状態の薬剤容器4の中に、必要な量の散薬が残っているものがあるか否かが判断される。
仮に未使用状態の薬剤容器4の中に、必要な量の散薬が残っているものがあれば、ステップ5に進み、前記した「選択D」により、薬剤容器4に薬剤が充填された時期を調べ、充填時期が古いものが選定される。必要な量の散薬が残っている薬剤容器4が一個であれば、必然的にその薬剤容器4が選定される。
【0087】
仮に未使用状態の薬剤容器4の中に、必要な量の散薬が残っているものがないならばステップ6に進む。仮に未使用状態の薬剤容器4が複数あれば、予め決められた順番に則って薬剤容器4が選定される。本実施形態では、枝番の若い薬剤容器4が選定される。
【0088】
ステップ5、ステップ6で薬剤容器4が選定されるとステップ7に進み、容器移動手段28によって選定された薬剤容器4が容器保管部23から容器載置装置36に運搬される。
そしてステップ8で振動台50の振動が開始される。振動開始に先立って薬剤容器4の重量が容器載置装置36の重量測定手段52で測定される。なおフローチャートでは略されているが振動開始と前後して分配皿35を回転させる。
【0089】
そしてステップ9及びステップ30で薬剤容器4から散薬が排出され続いているか否かと、所望量の散薬が排出されたか否かが監視される。
即ちステップ9で薬剤容器4内の散薬が欠品状態(薬剤容器4内の散薬が排出され尽くした状態)となるか否かが監視される。欠品状態でないならばステップ30に移行し、所望量の排出が完了したか否かが確認される。
所望量の排出が完了しておれば、散薬の排出を終了し、薬剤容器4を容器保管部23に戻す。
所望量の排出が完了していなければステップ9に戻る。
【0090】
仮に薬剤容器4内の散薬が必要量に足りず、薬剤容器4内の散薬が出尽くして欠品状態になるとステップ10に移行し、振動台50の振動が中断される。またステップ11で既に薬剤容器4が排出した薬剤の重量が記憶される。
【0091】
続いてステップ12に移行し、容器配置領域12の容器保管部23に同一の容器グループに属する薬剤容器4で未使用のものが有るか否かが判断される。
容器保管部23に同一の容器グループに属し、且つ未使用の薬剤容器4が有るならば、前記したステップ4,ステップ5、ステップ6と同様の動作が実行される。即ちステップ13で必要な量の散薬が残っているものがあるか否かが判断され、ステップ14では、充填時期が古いものが選定され、ステップ15では枝番の若い薬剤容器4が選定される。
【0092】
その後、ステップ16に移行し、容器移動手段28が自動的に動作し、空となった薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に戻される。
なおこのとき、操作表示部3に「内部欠品表示」がなされる。
「内部欠品表示」は、容器保管部23に空の薬剤容器4があることを知らせる表示である。容器保管部23に同一の容器グループに属する複数の薬剤容器4がある場合であって、その中のいくつかが空であり、いくつかの薬剤容器4に散薬が残っている場合にも「内部欠品表示」が現れる。「内部欠品表示」は前記した「欠品表示」に比べて表示される情報が省略されている。また前記した「欠品表示」に比べて控えめであり、「欠品表示」に比べて目立たない。
「内部欠品表示」では、容器保管部23に空の薬剤容器4があるという事実や薬剤容器4を特定する番号等が表示される。
そして使用者が都合の良い時期に操作表示部3を手動で操作することにより、詳細な内容が表示される。
また使用者が特定のスイッチ(例えば欠品ボタン)を操作することにより、容器移動手段28によって空の薬剤容器4が容器保管部23から容器仮置部18に運搬される。
【0093】
そしてステップ16からステップ7に戻り容器移動手段28によって選定された薬剤容器4が容器保管部23から容器載置装置36に運搬される。
【0094】
以下、前記した工程を再度実行し、ステップ8で振動台50の振動が開始し、ステップ9及びステップ30で薬剤容器4から散薬が排出され続いているか否かと、所望量の散薬が排出されたか否かが監視される。所望量の排出が完了すれば散薬の排出を終了し、薬剤容器4を容器保管部23に戻す。
薬剤容器4内の散薬が出尽くして欠品状態になるとステップ10に移行して振動台50の振動を中断し、ステップ11で排出した薬剤の重量を記憶し、ステップ12で容器保管部23に同一の容器グループに属する薬剤容器4が有るか否かを判断し、ステップ13で必要な量の散薬が残っているものがあるか否かが判断され、ステップ14では、充填時期が古いものが選定され、ステップ15では枝番の若い薬剤容器4が選定される。その後、ステップ16に移行し、容器移動手段28が自動的に動作し、空となった薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に戻され、ステップ7に戻る。
【0095】
前記したステップ2の段階で、処方の内容を確認した結果、処方すべき散薬を充填した薬剤容器4が薬剤払出し装置1内に無い場合は、ステップ17に移行し、操作表示部3に所定の欠品表示が行われ、外部の薬剤容器4の使用が促され、欠品処理工程が実行される。
【0096】
即ちステップ18に移行して扉部16が開かれる。
使用者は外部の棚5から外部の薬剤容器4を運び、容器仮置部18に薬剤容器4を設置し、その後、扉部16を閉じるスイッチを操作して扉部16を閉じる。
ステップ19で薬剤容器4が容器仮置部18に設置されたことが確認され、さらにステップ20で前記スイッチが操作されたことが確認されると、ステップ21に移行し、容器移動手段28が自動的に動作し、薬剤容器4が容器載置装置36に移動される。
その後は、ステップ8に移行し、振動台50の振動が開始され、以下前記した一連の動作が実行される。
【0097】
また薬剤容器4内の散薬が出尽くして欠品状態となって前記したステップ10で振動台50の振動が中断され、ステップ11で既に薬剤容器4が排出した薬剤の重量が記憶されてステップ12に移行したけれども容器保管部23に同一の容器グループに属する薬剤容器4が無く、ステップ12がNOである場合には、ステップ22に移行する。
そして同一の容器グループであって使用中の薬剤容器4があるか否かが判断される。
同一の容器グループであって使用中の薬剤容器4がある場合には、その薬剤容器4が容器保管部23に戻るのを待つ。即ちステップ22とステップ12を繰り返し、ステップ12がYESに変わるのを待って一連の作業を再開する。
【0098】
同一の容器グループであって使用中の薬剤容器4が無い場合には、ステップ23に移行して操作表示部3に所定の欠品表示が行われ、外部の薬剤容器4の使用が促され、欠品処理工程が実行される。
【0099】
即ちステップ24に移行し、容器移動手段28が自動的に動作し、容器載置装置36に載置されていた薬剤容器4を容器仮置部18に設置する。
そしてステップ25に移行して扉部16が開かれる。
使用者は容器仮置部18の薬剤容器4を取り外し、外部の棚5等から外部の薬剤容器4を運び、容器仮置部18に薬剤容器4を設置し、その後、扉部16を閉じるスイッチを操作して扉部16を閉じる。
【0100】
ステップ26で元の薬剤容器4が容器仮置部18から取り外されたことが確認され、
ステップ27で薬剤容器4が容器仮置部18に設置されたことが確認され、さらにステップ28で前記スイッチが操作されたことが確認されると、ステップ29に移行し、容器移動手段28が自動的に動作し、薬剤容器4が容器載置装置36に移動される。
なお容器仮置部18に設置された際に、情報読取手段によって薬剤容器4が特定され、属する容器グループが確認される。そして容器仮置部18に設置された薬剤容器4が、先に取り外された薬剤容器4と同一の容器グループに属するか否かが確認され、同一でないならば操作表示部3にエラー表示がなされる。
その後は、ステップ8に移行し、振動台50の振動が開始され、以下前記した一連の動作が実行される。
【0101】
また本実施形態の薬剤払出し装置1では、
図2、
図8の様に分配皿35を2枚有している。そのため同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に2個以上装備されている場合には、同種の散薬を二つの分配皿35に同時に供給することもできる。
さらに二つの分配皿35に同時に供給することができる様に、薬剤容器4の使用に制限をかけることが望ましい。
【0102】
この理由は、分配皿35の待機時間を短くするためである。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、
図8に概念的に表示した様に、右側分配皿35Rと、左側分配皿35Lを有している。
ここで一方の分配皿35(例えば右側分配皿35R)で、
図7の散薬Bを分配することとし、散薬Bを収容する2個の薬剤容器4(2-1,2-2)が容器保管部23に装着されていると仮定する。
右側分配皿35Rで、
図7の散薬Bを分配するならば、
図7のNO.2グループに属する薬剤容器4が右側分配皿35Rに対応する容器載置装置36Rのいずれかに載置される。
ここで仮に右側分配皿35Rに対応する二つの容器載置装置36R1,36R2の二つに、NO.2グループの属する二つの薬剤容器4(2-1,2-2)を載置して使用すると、容器保管部23に予備のNO.2グループに属する薬剤容器4が無くなってしまう。
【0103】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、分配皿35を2個有しているので、同時期に他方の左側分配皿35Lでも散薬の分配が行われる。即ち薬剤払出し装置1に、外部から第1処方が入力され、第1処方が受け付けられて右側分配皿35Rで分配作業を実施している最中に、外部から第2処方が入力された場合、第2処方が受け付けられて左側分配皿35Lで分配作業が実施される。
ここで左側分配皿35Lで分配すべき散薬に
図7の散薬Bが含まれている場合、容器保管部23に予備の薬剤容器4が無く、右側分配皿35Rの分配作業が終了するまで、左側分配皿35Lにおける作業を待たなければならない。そのため無駄な待機時間が発生してしまう。
詳細に説明すると、別の患者の処方(例えば前記した第1処方)を処理するために、例えばNO.2グループに属する二つの薬剤容器4(2-1,2-2)が右側分配皿35R側で使用中であるならば、他方の左側分配皿35Lが空いているにも関わらず、使用可能な薬剤容器4が無いため、左側分配皿35Lを待機させなければならないという事態が生じるためである。
【0104】
そのため、容器保管部23に予備の薬剤容器4が残るように制限をかけることが望ましい。
例えば同一グループに属する薬剤容器4は、一つの分配皿35に対応する複数の容器載置装置36に対して一個に限り載置できるものとする。
言い換えると、一つの分配皿35に対応する容器載置装置36が複数台ある場合であっても、通常の使用時においては、同一の分配皿35に対応する容器載置装置36に同一の容器グループに属する薬剤容器4を複数設置しない。
あるいは、同一の分配皿35に対応する複数の容器載置装置36に同一の容器グループに属する薬剤容器4を複数個設置することを許容するが、同一の容器グループの属する薬剤容器4を最低一個、容器配置領域12の容器保管部23に残す。
【0105】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、前記した様に薬剤払出し装置1に薬剤容器4を導入する際に、散薬の充填量が確認される。また散薬の処方量や、実際に薬剤容器4から排出された散薬の量は、制御部11で把握されている。そのため薬剤容器4に散薬がどの程度残っているかは制御部11で把握されている。
【0106】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器4内に散薬が残っている筈であり、且つ振動台50が振動を続けているにも係わらず、散薬が落下しなくなってしまった場合や、振動台50が振動を続けているにも係わらず、単位時間当たりの散薬落下量が過度に少なくなってしまった様な場合には、振動台50の振動パターンが自動的に変更される。
具体的に説明すると、振動台50を振動させつつ薬剤容器4の重量を監視し続けている際、散薬の落下量Hが所望の重量に至らないにも係わらず、薬剤容器4の重量の単位時間あたりの変化が一定未満となった場合には振動台50の振幅を大きくする。あるいは振幅の周波数を大きくしたり小さくする。また可能であるならば、横振幅や長手方向の振幅を加える。
【0107】
振動台50を振動させているにも係わらず、薬剤容器4の重量の単位時間あたりの変化が一定未満となる原因は、次の2点である。
(1)散薬の固着
散薬が薬剤容器4内で固着するか、塊になってしまい、開口188を通過することができない。
(2)散薬不足
薬剤容器4内に散薬が無い。
そこで本実施形態では、振動台50を振動させているにも係わらず、薬剤容器4の重量の単位時間あたりの変化が一定未満である場合には、最初に散薬の固着を疑い、振動台50の振幅を大きくする。仮に原因が散薬の固着であるならば、振動台50の振幅を大きくすることによって、原因が解消する可能性がある。
【0108】
そして振動台50の振幅を大きくしても、薬剤容器4の重量の単位時間あたりの変化が一定未満である場合には、一定の猶予時間後に振動台の振動を停止し、使用者に対して所定の報知がなされる。例えば操作表示部3に、異常表示がなされる。あるいは音声や警報音、光によって薬剤払出し装置1に異常が発生したことを使用者に知らせる。
そして前記した欠品処理工程を実行する。
【0109】
前記した欠品処理工程を実行するまでの猶予時間は、一定であってもよいが、条件に応じて自動的に変更してもよい。
例えば、振動台50を振動させてから、一定の量(0.5g程度の少量)の散薬が排出されるまでは、前記した猶予時間を長くし、一定量が排出された後は、猶予時間を短くすることが推奨される。
振動台50を振動させた直後における猶予時間をTaとし、一定量が排出された後の猶予時間をTbとすると、TaはTbの3倍以上、より望ましくは6倍以上、さらに望ましくは10倍以上である。
【0110】
また薬剤容器4内の散薬残存量が一定以下である場合には、猶予時間を短くすることが推奨される。この猶予時間をTcとすると、TcはTbの80パーセント以下、より望ましくは80パーセント以下、さらに望ましくは50パーセント以下である。
また前記した各時間Ta,Tb,Tcを使用者の好みに応じて変更できる様にしてもよい。
【0111】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器4に散薬がどの程度残っているかは制御部11で把握されている。
従って、処方量によって、薬剤容器4内の散薬の不足が予想される場合がある。即ち処方箋によると、散薬が10g必要であるが、薬剤容器4内には、散薬が5gしか残っておらず、必要量に満たない場合がある。
この様な場合には、表示装置にその旨が表示され、散薬の準備が促される。即ち事前欠品報知が行われる。
本実施形態では、同一の容器グループに属する薬剤容器4が容器配置領域12の容器保管部23に2個以上装備されている場合には、同一の容器グループに属する薬剤容器4内の総量が必要量に満たない場合に事前欠品報知が行われる。
なお本実施形態では、薬剤容器4毎でも散薬の残存量が管理されており、所定の操作によって、空となった薬剤容器4を検索することができる。
【0112】
以上説明した実施形態では、分配皿35の待機時間を短くすることを目的として、容器保管部23に予備の薬剤容器4が残るように制限をかけることとし、その一例として同一グループに属する薬剤容器4は、一つの分配皿35に対応する複数の容器載置装置36に対して一個に限り載置できることとした。
【0113】
しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではなく、一つの分配皿35に対応する複数の容器載置装置36に対して同一の容器グループに属する薬剤容器4を載置し、同一の容器グループに属する薬剤容器4から同一の分配皿35に同種の散薬を同時に又は順次投入できることとしてもよい。
例えば右側分配皿35Rに対応する容器載置装置36R1,36R2,36R3の内、2個の容器載置装置36R1,36R2に
図7のNO.1グループに属する薬剤容器4(1-1)と、薬剤容器4(1-2)を載置し、両者から同時に散薬を投入する。散薬の投入開始は、同時であっても個別であってもよい。
【0114】
即ち容器載置装置36R1に薬剤容器4(1-1)を載置し、さらに容器載置装置36R2に薬剤容器4(1-2)を載置した後、同時に振動を開始してもよい。
また先に容器載置装置36R1に薬剤容器4(1-1)を載置し、薬剤容器4(1-1)から散薬の排出を開始し、薬剤容器4(1-1)から散薬が排出されている最中に容器移動手段28を動作させて空いている容器載置装置36R2に薬剤容器4(1-2)を載置し、薬剤容器4(1-2)からも散薬の排出を開始してもよい。
【0115】
一つの分配皿35に対応する複数の容器載置装置36に対して同一の容器グループに属する複数の薬剤容器4から散薬を投入する場合は、複数の薬剤容器4から投入される散薬の合計量が所望の量となったところで容器載置装置36の振動を停止させる。
【0116】
あるいは、予め各薬剤容器4から排出される散薬量を決めておき、各薬剤容器4から予定量の散薬量が排出された時点でそれぞれの容器載置装置36の振動を停止してもよい。
【0117】
例えば必要な散薬量が40gであった場合、散薬の所望量40gを分割し、薬剤容器4(1-1),4(1-2)から排出すべき散薬量として前記分割値を割り振る。例えば散薬の所望量40gを10gと30gに分割し、薬剤容器4(1-1)に10gを担当させ、薬剤容器4(1-2)に30gを担当させる。
そして薬剤容器4(1-1)から10gの散薬が排出されたら容器載置装置36R1の振動を停止させ、薬剤容器4(1-2)から30gの散薬が排出されたら容器載置装置36R2の振動を停止させる。
【0118】
さらに本実施形態の薬剤払出し装置1の実際の動作について具体的な数値を例示して説明する。以下の動作は、実際の動作を想定した仮想的なものであり、本発明を限定するものではない。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、処方を同時に2種類入力することができる。
また
図7のNO.2グループの如く、容器グループに属する薬剤容器4の数が2である容器グループがあり、2個の薬剤容器4(2-1)と、薬剤容器4(2-2)は、共に容器配置領域12の容器保管部23に収容されていることとする。
また2個の薬剤容器4(2-1)と、薬剤容器4(2-2)には、散薬Bが10gずつ充填されていることとする。
【0119】
即ち現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1):10g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2):10g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0120】
第1処方開始
ここで第1処方が入力された。
第1処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量7g処方
【0121】
現在の各薬剤容器4の散薬残量は双方同じであり、充填日時も同じである。本実施例では、条件が同じである場合には、枝番の小さい薬剤容器4が優先的に使用される。また分配皿35は、最初に右側分配皿35Rが優先的に使用される。なおその後は、左右の分配皿35が交互に使用される。
従って右側分配皿35Rに対応する容器載置装置36R1に薬剤容器4(2-1)が載置され、薬剤容器4(2-1)から散薬Bが7g、右側分配皿35Rに投入される。
【0122】
第2処方開始
第1処方が実行されている最中に第2処方が入力された。
第2処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量5g処方
【0123】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1): 3g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(2-2):10g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 使用中
左側分配皿35L 未使用
【0124】
薬剤容器4(2-1)は使用中であるから、第2処方では未使用の薬剤容器4(2-2)が使用される。
右側分配皿35Rは使用中であるから未使用の左側分配皿35Lが使用される。
従って左側分配皿35Lに対応する容器載置装置36L1に薬剤容器4(2-2)が載置され、薬剤容器4(2-2)から散薬Bが5g、左側分配皿35Lに投入される。
【0125】
第3処方開始
前記した第1処方と第2処方が共に完了した後、第3処方が入力された。
第3処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量5g処方
【0126】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1): 3g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2): 5g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0127】
薬剤容器4(2-1),4(2-2)いずれも未使用であるが、薬剤容器4(2-1)は残量が3gであり、必要量たる5gに満たない。そのため第3処方では必要量に足る残量を残す薬剤容器4(2-2)が使用される。
また分配皿35は、右側分配皿35Rが使用される。
従って右側分配皿35Rに対応する容器載置装置36R1に薬剤容器4(2-2)が載置され、薬剤容器4(2-2)から散薬Bが5g、右側分配皿35Rに投入される。
その結果、薬剤容器4(2-2)に残っていた散薬5gが全て排出され、薬剤容器4(2-2)は空となった。しかしながら、同一の容器グループに属する薬剤容器4(2-1)内に散薬Bが3g残っているので、散薬Bが欠品であるとは言えない。そのため操作表示部3には強制的な欠品表示や警告は表示されない。
ただし、使用者の操作によって空状態となった薬剤容器4を検索することは可能である。使用者が任意の操作によって薬剤容器4(2-2)が空状態であることを知り、薬剤容器4(2-2)に散薬Bを充填する。
【0128】
第4処方開始
前記した第3処方が終了し、且つ使用者の任意の検索操作の後、薬剤容器4(2-2)に散薬Bを充填した後に、第4処方が入力された。
第4処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量1g処方
【0129】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1): 3g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2):10g 充填日時2015年10月22日10時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0130】
現在の各薬剤容器4の散薬残量は薬剤容器4(2-2)の方が多い。一方充填日時は、薬剤容器4(2-1)の方が先である。散薬Bの必要量は3gであり、双方の薬剤容器4は、共に必要量に足る残量を残している。
本実施例では、必要量に足る残量を残す薬剤容器4が複数ある場合には、本充填日時が早い薬剤容器薬剤容器4(2-1)が優先的に使用される。また分配皿35は、左側分配皿35Lが使用される。
従って左側分配皿35Lに対応する容器載置装置36L1に薬剤容器4(2-1)が載置され、薬剤容器4(2-1)から散薬Bが1g、左側分配皿35Lに投入される。
【0131】
第5処方開始
前記した第4処方が終了した後に第5処方が入力された。
第5処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量11g処方
【0132】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1): 2g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2):10g 充填日時2015年10月22日10時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0133】
散薬Bの必要量は11gであり、薬剤容器4(2-1)の残量が2gであり、薬剤容器4(2-2)の残量が10gであるから、いずれの薬剤容器4の散薬残量も必要量に満たない。
本実施例では、いずれの薬剤容器4の散薬残量も必要量に満たない場合には、充填日時が早い薬剤容器薬剤容器4(2-1)が優先的に使用され、引き続いて同一の容器グループに属する薬剤容器4(2-2)が使用される。
また分配皿35は、右側分配皿35Rが使用される。
前記した様に充填日時が早い薬剤容器4(2-1)が先に使用されるので、右側分配皿35Rに対応する容器載置装置36R1に薬剤容器4(2-1)が載置され、薬剤容器4(2-1)に残留している散薬Bが全て右側分配皿35Rに投入される。即ち薬剤容器4(2-1)内の2gの散薬Bが右側分配皿35Rに投入される。
【0134】
その結果、各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は一時的に次の通りとなる。
薬剤容器4(2-1): 0g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(2-2):10g 充填日時2015年10月22日10時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 使用中
左側分配皿35L 未使用
【0135】
薬剤容器4(2-1)内の2gの散薬Bが全て左側分配皿35Lに投入され、薬剤容器4(2-1)が空になると、振動台50の振動が中断される。また既に薬剤容器4(2-1)が排出した薬剤の重量が記憶される。
そして容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器載置装置36R1から薬剤容器4(2-1)を取り外して容器保管部23に戻し、新たに薬剤容器4(2-2)を容器保管部23から取り外して先の容器載置装置36R1に装着する。
そして容器載置装置36R1の振動を再開し、新たな薬剤容器4(2-2)から右側分配皿35Rに散薬Bを落下する。
【0136】
なお第5処方の実行中に薬剤容器4が空になると、同一の容器グループに属する他の薬剤容器4が有るか否かが自動的にまたは所定の手動操作を経て操作表示部3に表示される。また同一の容器グループの属する他の薬剤容器4が有る場合にはその数と、薬剤容器4の場所が表示される。即ち同一の容器グループに属する他の薬剤容器4が、容器保管部23に保管されているのか、特定の容器載置装置36に載置されているのか、薬剤払出し装置1には無く、外部に置かれているのかが表示される。
【0137】
第6処方開始
前記した第5処方が終了した後に第6処方が入力された。
第6処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量4g処方
【0138】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1): 0g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2): 1g 充填日時2015年10月22日10時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0139】
散薬Bの必要量は4gであり、薬剤容器4(2-1)の残量が0gであり、薬剤容器4(2-2)の残量が1gであるから、いずれの薬剤容器4の散薬残量も必要量に満たない。
本実施例では、いずれの薬剤容器4の散薬残量も必要量に満たない場合には、原則的に充填日時が早い薬剤容器4(2-1)が優先的に使用されるが、今回のケースでは薬剤容器4(2-1)の残量が0であるから、残量を残す薬剤容器4(2-2)が使用される。 また分配皿35は、左側分配皿35Lが使用される。
前記した様に残量を残す薬剤容器4(2-2)が先に使用されるので、左側分配皿35Lに対応する容器載置装置36L1に薬剤容器4(2-2)が載置され、薬剤容器4(2-2)に残留している散薬Bが全て左側分配皿35Lに投入される。即ち薬剤容器4(2-2)内の1gの散薬Bが左側分配皿35Lに投入される。
【0140】
その結果、各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は一時的に次の通りとなる。
薬剤容器4(2-1): 0g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2): 0g 充填日時2015年10月22日10時 使用中
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 使用中
【0141】
薬剤容器4(2-2)内の1gの散薬Bが全て左側分配皿35Lに投入され、薬剤容器4(2-2)が空になると、振動台50の振動が中断される。また既に薬剤容器4(2-2)が排出した薬剤の重量が記憶される。
そして操作表示部3に所定の欠品表示が行われる。
同時に容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器載置装置36L1から薬剤容器4(2-2)を取り外して扉部16に設けられた容器仮置部18に移動させる。続いて扉部16が自動的に開く。使用者は容器仮置部18から薬剤容器4を取り出し、薬剤容器4(2-2)に散薬Bを充填することとなる。そして使用者の手によって薬剤容器4(2-1)が再度容器仮置部18に設置される。
また仮に同一の容器グループに属する薬剤容器4が外部にある場合にはその薬剤容器4を容器仮置部18に設置してもよい。
容器仮置部18に薬剤容器4(2-2)が設置され、情報読取手段によってその容器が同一の容器グループに属するものであることが確認されると、容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器仮置部18に設置された薬剤容器4(2-2)を先の容器載置装置36L1に装着する。
そして容器載置装置36L1の振動を再開し、散薬Bを再充填した薬剤容器4(2-2)から左側分配皿35Lに散薬Bを落下する。落下した散薬の総量が必要量たる4gに達すると容器載置装置36L1の振動を停止する。
【0142】
第7処方開始
前記した第6処方が終了した後に第7処方が入力された。
第7処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量2g処方
【0143】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1): 0g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2): 7g 充填日時2015年10月22日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0144】
薬剤容器4(2-1),4(2-2)いずれも未使用であるが、薬剤容器4(2-1)は残量が0gであり、必要量たる2gに満たない。そのため第7処方では必要量に足る残量を残す薬剤容器4(2-2)が使用される。
また分配皿35は、右側分配皿35Rが使用される。
従って右側分配皿35Rに対応する容器載置装置36R1に薬剤容器4(2-2)が載置され、薬剤容器4(2-2)から散薬Bが2g、右側分配皿35Rに投入される。
【0145】
第8処方開始
第7処方が実行されている最中に第8処方が入力された。
第8処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量4g処方
【0146】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1): 0g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2): 5g 充填日時2015年10月22日13時 使用中
分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 使用中
左側分配皿35L 未使用
【0147】
薬剤容器4(2-2)は第7処方で使用中であるから使用することはできない。一方、薬剤容器4(2-1)は、残量が無い。
この様な場合は、薬剤容器4(2-2)が容器保管部23に戻るのを待って第8処方を実行する。
第8処方では、左側分配皿35Lが使用される。
従って左側分配皿35Lに対応する容器載置装置36L1に薬剤容器4(2-2)が載置され、薬剤容器4(2-2)から散薬Bが4g、左側分配皿35Lに投入される。
【0148】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1): 0g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(2-2): 1g 充填日時2015年10月22日13時 使用中
分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0149】
現在、薬剤容器4(2-1)の残量は0であり、散薬は全て排出され、薬剤容器4(2-2)は空となった。しかしながら、同一の容器グループに属する薬剤容器4(2-2)内に散薬Bが1g残っているので、散薬Bが欠品であるとは言えない。そのため操作表示部3には強制的な欠品表示や警告は表示されない。
ここで使用者が任意の操作によって薬剤容器4(2-1)が空状態であることを知り、薬剤容器4(2-1)に散薬Bを充填する。
【0150】
第9処方開始
前記した第8処方が終了した後に第9処方が入力された。
第9処方の内容は次の通りである。
散薬Bを総量12g処方
【0151】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(2-1):10g 充填日時2015年10月22日15時 未使用
薬剤容器4(2-2): 1g 充填日時2015年10月22日13時 未使用
分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0152】
散薬Bの必要量は12gであり、薬剤容器4(2-1)の残量が10gであり、薬剤容器4(2-2)の残量が1gであるから、いずれの薬剤容器4の散薬残量も必要量に満たない。
前記した様に本実施例では、いずれの薬剤容器4の散薬残量も必要量に満たない場合には、充填日時が早い薬剤容器薬剤容器4(2-2)が優先的に使用され、引き続いて同一の容器グループに属する薬剤容器4(2-1)が使用される。
また分配皿35は、右側分配皿35Rが使用される。
前記した様に充填日時が早い薬剤容器4(2-2)が先に使用されるので、右側分配皿35Rに対応する容器載置装置36R1に薬剤容器4(2-2)が載置され、薬剤容器4(2-2)に残留している散薬Bが全て右側分配皿35Rに投入される。即ち薬剤容器4(2-2)内の1gの散薬Bが右側分配皿35Rに投入される。
【0153】
その結果、各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は一時的に次の通りとなる。
薬剤容器4(2-1):10g 充填日時2015年10月22日15時 未使用
薬剤容器4(2-2): 0g 充填日時2015年10月22日13時 未使用
分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 使用中
左側分配皿35L 未使用
【0154】
薬剤容器4(2-2)内の1gの散薬Bが全て右側分配皿35Rに投入され、薬剤容器4(2-2)が空になると、振動台50の振動が中断される。また既に薬剤容器4(2-2)が排出した薬剤の重量が記憶される。
そして容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器載置装置36R1から薬剤容器4(2-2)を取り外して容器保管部23に戻し、新たに薬剤容器4(2-1)を容器保管部23から取り外して先の容器載置装置36R1に装着する。
そして容器載置装置36R1の振動を再開し、新たな薬剤容器4から右分配皿35Rに散薬Bを落下する。
そして薬剤容器4(2-1)に残留している散薬Bが全て右側分配皿35Rに投入される。即ち薬剤容器4(2-1)内の10gの散薬Bが右側分配皿35Rに投入される。
【0155】
その結果、各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は一時的に次の通りとなる。
薬剤容器4(2-1): 0g 充填日時2015年10月22日15時 未使用
薬剤容器4(2-2): 0g 充填日時2015年10月22日13時 未使用
分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 使用中
左側分配皿35L 未使用
【0156】
薬剤容器4(2-1)内の10gの散薬Bが全て右側分配皿35Rに投入され、薬剤容器4(2-1)が空になると、振動台50の振動が中断される。また既に薬剤容器4(2-1)が排出した薬剤の重量が先に記憶されていた薬剤容器4(2-2)が排出した薬剤の重量と合算されて更新され、記憶される。
そして操作表示部3に所定の欠品表示が行われる。
同時に容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器載置装置36R1から薬剤容器4(2-1)を取り外して扉部16に設けられた容器仮置部18に移動させる。続いて扉部16が自動的に開く。使用者は容器仮置部18から薬剤容器4を取り出し、薬剤容器4(2-1)に散薬Bを充填することとなる。そして使用者の手によって薬剤容器4(2-1)が再度容器仮置部18に設置される。
また仮に同一の容器グループに属する薬剤容器4が外部にある場合にはその薬剤容器4を容器仮置部18に設置してもよい。
容器仮置部18に薬剤容器4(2-1)が設置され、情報読取手段によってその容器が同一の容器グループに属するものであることが確認されると、容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器仮置部18に設置された薬剤容器4(2-1)を先の容器載置装置36R1に装着する。
そして容器載置装置36R1の振動を再開し、散薬Bを再充填した薬剤容器4(2-1)から右側分配皿35Rに散薬Bを落下する。
【0157】
以上、
図7のNO.2グループを使用する例を説明した。次に
図7のNO.4グループを使用する例を説明する。
前記した様にNO.4グループに属する薬剤容器4の数は5であり、同種の散薬Dが充填されている。
NO.4グループに属する5個の薬剤容器4の内、3個の薬剤容器4(4-1),4(4-2),4(4-3)が容器配置領域12の容器保管部23に収容されていると仮定する。残る2個の薬剤容器4(4-4),4(4-5)は、
図8の様に棚5にある。
また容器保管部23に収容された薬剤容器4(4-1)、薬剤容器4(4-2)、薬剤容器4(4-3)には、散薬Dが50gずつ充填されている。
なお外部の薬剤容器4(4-4)と、薬剤容器4(4-5)にも散薬Dが50gずつ充填されている。
【0158】
即ち現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(4-1):40g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(4-2):40g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
薬剤容器4(4-3):40g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0159】
第10処方開始
ここで第10処方が入力された。
第10処方の内容は次の通りである。
散薬Dを総量70g処方
【0160】
現在の各薬剤容器4の散薬残量は全て同じであり、充填日時も同じである。本実施例では、条件が同じである場合には、枝番の小さい薬剤容器4が優先的に使用される。
今回の処方は、総量が多いので、排出に要する時間を短縮するため、複数の薬剤容器4を同時に使用する。
前記した様に枝番の小さい薬剤容器4が優先的に使用されるので、薬剤容器4(4-1),4(4-2)を使用する。薬剤容器4(4-3)は、同時に散薬Dを必要とする処方入力された場合に備え、予備として容器保管部23に残しておく。
分配皿35は、左側分配皿35Lが使用される。
従って左側分配皿35Lに対応する容器載置装置36L1に薬剤容器4(4-1)が載置され、容器載置装置36L2に薬剤容器4(4-2)が載置される。
【0161】
具体的には、容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器保管部23から薬剤容器4(4-1)を取り外して容器載置装置36L1に載置し、容器載置装置36L1の振動を開始して薬剤容器4(4-1)から左側分配皿35Lに散薬Dを投下する。
引き続き容器移動手段28が自動的に動作し、容器保管部23から薬剤容器4(4-2)を取り外して容器載置装置36L2に載置し、容器載置装置36L2の振動を開始して薬剤容器4(4-2)から左側分配皿35Lに散薬Dを投下する。
容器保管部23にはさらに薬剤容器4(4-3)が残っており、左側分配皿35L側には容器載置装置36L3が未使用であるが、薬剤容器4(4-3)は使用せず、予備として容器保管部23に残す。
【0162】
散薬Dは、薬剤容器4(4-1)及び薬剤容器4(4-2)から左側分配皿35Lに投下される。そして両者から排出される散薬Dの合計が、必要量たる70gに達すると、容器載置装置36L1,36L2の振動を停止する。
本実施形態では、二つの薬剤容器4(4-1)(4-2)から排出される散薬量の割合は成り行きである。本実施例では、薬剤容器4(4-1)から先行して散薬Dが排出されるので、第10処方が終了後は、薬剤容器4(4-1)内の散薬Dがより多く消費されることとなる。例えば先行する薬剤容器4(4-1)から37gが排出され、後発の薬剤容器4(4-2)から33gが排出され、排出量の合計が70gに達したところで容器載置装置36L1,36L2の振動を停止する。
変形例として、散薬Dの所望量70gを分割し、薬剤容器4(4-1),4(4-2)から排出すべき散薬量として分割値を割り振ってもよい。例えば散薬Dの所望量70gを35gずつに分割し、薬剤容器4(4-1)に35gを担当させ、薬剤容器4(4-2)にも35gを担当させ、担当量の排出が完了した時点で容器載置装置36L1,36L2の振動を停止してもよい。
【0163】
第11処方開始
第10処方が実行されている最中に第11処方が入力された。
第11処方の内容は次の通りである。
散薬Dを総量30g処方
【0164】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。前記した様に、先行する薬剤容器4(4-1)から37gが排出され、後発の薬剤容器4(4-2)から33gが排出されているので、薬剤容器4(4-1),4(4-2)の残量には差がある。
薬剤容器4(4-1): 3g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-2): 7g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-3):40g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 使用中
【0165】
薬剤容器4(4-1),4(4-2)は使用中であるから、第11処方では故意に予備として容器保管部23に残された薬剤容器4(4-3)が使用される。
左側分配皿35Lは使用中であるから未使用の右側分配皿35Rが使用される。
従って右側分配皿35Rに対応する容器載置装置36R1に薬剤容器4(4-3)が載置され、薬剤容器4(4-3)から散薬Dが30g、右側分配皿35Rに投入される。
【0166】
第12処方開始
第11処方が完了後に第12処方が入力された。
第12処方の内容は次の通りである。
散薬Dを総量30g処方
【0167】
現在の各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は次の通りである。
薬剤容器4(4-1): 3g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-2): 7g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-3):10g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 未使用
【0168】
散薬Dの必要量は30gであり、薬剤容器4(4-1)の残量が3gであり、薬剤容器4(4-2)の残量が7gであり、薬剤容器4(4-3)の残量が10gであるから、いずれの薬剤容器4の散薬残量も必要量に満たない。
いずれの薬剤容器4の散薬残量も必要量に満たない場合には、充填日時が早く、且つ枝番が小さい薬剤容器薬剤容器4(4-1)が優先的に使用され、引き続いて同一の容器グループに属する薬剤容器4(4-2)が使用され、さらにその後で薬剤容器4(4-3)が使用される。
分配皿35は、左側分配皿35Lが使用される。
前記した様に充填日時が早い薬剤容器4(4-1)が先に使用されるので、左側分配皿35Lに対応する容器載置装置36L1に薬剤容器4(4-1)が載置され、薬剤容器4(4-1)に残留している散薬Dが全て左側分配皿35Lに投入される。即ち薬剤容器4(4-1)内の5gの散薬Dが左側分配皿35Lに投入される。
【0169】
その結果、各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は一時的に次の通りとなる。
薬剤容器4(4-1): 0g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-2): 7g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-3):10g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 使用中
【0170】
薬剤容器4(4-1)内の3gの散薬Dが全て左側分配皿35Lに投入され、薬剤容器4(4-1)が空になると、振動台50の振動が中断される。また既に薬剤容器4(4-1)が排出した薬剤の重量が記憶される。
そして容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器載置装置36L1から薬剤容器4(4-1)を取り外して容器保管部23に戻し、新たに薬剤容器4(4-2)を容器保管部23から取り外して先の容器載置装置36L1に装着する。
そして容器載置装置36L1の振動を再開し、新たな薬剤容器4(4-2)から左側分配皿35Lに散薬Dを落下する。
そして薬剤容器4(4-2)内の7gの散薬Dが左側分配皿35Lに投入される。
【0171】
その結果、各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は一時的に次の通りとなる。
薬剤容器4(4-1): 0g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-2): 0g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-3):10g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 使用中
【0172】
薬剤容器4(4-2)内の7gの散薬Dが全て左側分配皿35Lに投入され、薬剤容器4(4-2)が空になると、振動台50の振動が中断される。また既に薬剤容器4(4-2)が排出した薬剤の重量が先に記憶されていた薬剤容器4(4-1)が排出した薬剤の重量と合算されて更新され、記憶される。
そして容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器載置装置36L1から薬剤容器4(4-2)を取り外して容器保管部23に戻し、新たに薬剤容器4(4-3)を容器保管部23から取り外して先の容器載置装置36L1に装着する。
【0173】
そして容器載置装置36L1の振動を再開し、新たな薬剤容器4(4-3)から左側分配皿35Lに散薬Dを落下する。
そして薬剤容器4(4-3)内の10gの散薬Dが左側分配皿35Lに投入される。
また既に薬剤容器4(4-3)が排出した薬剤の重量が先に記憶されていた薬剤容器4(4-1),4(4-2)が排出した薬剤の重量と合算されて更新され、記憶される。
そして操作表示部3に所定の欠品表示が行われる。
同時に容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器載置装置36L1から薬剤容器4(4-3)を取り外して扉部16に設けられた容器仮置部18に移動させる。続いて扉部16が自動的に開く。
【0174】
使用者は容器仮置部18から薬剤容器4(4-3)を取り出し、外部に予備として残しておいた薬剤容器4(4-4)又は薬剤容器4(4-5)が使用者の手によって容器仮置部18に設置される。
容器仮置部18に薬剤容器4(4-4)が設置され、情報読取手段によってその容器が同一の容器グループに属するものであることが確認されると、容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器仮置部18に設置された薬剤容器4(4-4)を先の容器載置装置36L1に装着する。
そして容器載置装置36L1の振動を再開し、散薬Dを再充填した薬剤容器4(4-4)から左側分配皿35Lに散薬Dを落下する。
そして総排出量が必要量たる30gに達すると容器載置装置36L1の振動を停止する。その後、容器移動手段28が自動的に動作を開始し、容器載置装置36L1から薬剤容器4(4-4)を取り外して容器保管部23に装着する。
【0175】
なお先に使用されていた薬剤容器4(4-3)に、散薬Dを再充填して容器仮置部18に設置してもよい。
【0176】
前記した第10処方では、散薬Dを総量70g排出するにあたり、先行して薬剤容器4(4-1)から散薬の排出を開始し、その後に薬剤容器4(4-2)から散薬の排出を開始し、合計排出量が必要量に達したところ散薬の排出を停止した。
この実施形態では、各薬剤容器4が担当する排出量は決められておらず、成り行きである。
また前記した様に、変形例として、散薬Dの所望量70gを分割し、薬剤容器4(4-1),4(4-2)から排出すべき散薬量として分割値を割り振ってもよい。
第10処方において、散薬Dの所望量70gを35gずつに分割し、薬剤容器4(4-1)に35gを担当させ、薬剤容器4(4-2)にも35gを担当させ、担当量の排出が完了した時点で容器載置装置36L1,36L2の振動を停止すると、各薬剤容器4の散薬残量及び充填日時および使用状況は一時的に次の通りとなる。
薬剤容器4(4-1): 3g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-2): 7g 充填日時2015年10月21日13時 使用中
薬剤容器4(4-3):40g 充填日時2015年10月21日13時 未使用
また分配皿35の使用状況は次の通りである。
右側分配皿35R 未使用
左側分配皿35L 使用中
【0177】
薬剤容器4(4-1),4(4-2)から排出すべき散薬量を均等に決める場合には、容器載置装置36R1,36R2にそれぞれ薬剤容器4(4-1),4(4-2)を装着した後、薬剤容器4(4-1),4(4-2)からの散薬排出を同時に開始してもよい。また一方の薬剤容器4(4-1)から排出される散薬量を40gとし、他方の薬剤容器4(4-1)から排出される散薬量を30gとするという様に、排出すべき散薬量が異なっていてもよい。
【0178】
前記した様に、容器保管部23に空の薬剤容器4がある場合には、「内部欠品表示」が表示される。そして所定の操作によって、空となった薬剤容器4を検索することができる。
図11は、空になった薬剤容器を検索する検索画面の一例を示すものである。検索画面では、薬剤容器4のことをカセットと称し、容器グループに属する薬剤容器4を「親子カセット」と称している。
【0179】
「カセットNO.」は、容器グループの主グループ番号である。
図11に示すタッチパネルの検索画面では、空の薬剤容器4と残量を残す薬剤容器4が同一画面に表示されている。そして空の薬剤容器4には「欠品」の表示がなされている。また作図の都合上、
図11では略されているが、欠品している薬剤容器4の欄は、バックの色が他の欄と違っている。
検索画面には「充填」と記載された欄がある。特定の薬剤容器4の欄をタッチ又はクリックし、さらに「充填」と記載された欄をタッチ又はクリックすると、欠品処理工程が実行され、容器移動手段28を使用して特定の薬剤容器4が取り出されて扉部16に設けられた容器仮置部18に移動させられ、扉部16が自動的に開く。その結果、使用者は空となった薬剤容器4を薬剤払出し装置1から取り出すことができる。
当該薬剤容器4に散薬を補充して再度容器仮置部18に設置する。
【0180】
以上の説明では容器仮置部18は扉部16にあり、筐体10の内部に薬剤容器4を導入する際や筐体10の内部から薬剤容器4を取り出す際に、薬剤容器4の重量を測定し、散薬の充填量を確認する。
容器仮置部18は、上記した用途だけでなく、分配皿35近傍の容器載置装置36から容器保管部23に薬剤容器4を戻す前に、薬剤容器4の重量を測定し、一回の分配における散薬の排出量を再確認する用途にも使用される。
即ち薬剤容器4を容器載置装置36に設置して所定量の薬品を分配皿35に投入した後、容器載置装置36の有する重量測定手段52で薬剤容器4の重量が確認される。そして容器移動手段28で薬剤容器4を扉部16の容器仮置部18に移動させ、薬剤容器4の重量を再確認する。そしてその後に、容器移動手段28で薬剤容器4を容器保管部23のドラム部材25に戻す。
【0181】
以上説明した実施形態の薬剤払出し装置1は、分配皿35R,35Lを2個有するものであったが、本発明は、この構成に限定されるものではなく、分配皿35の個数は任意である。
例えば
図12、
図13に示す薬剤払出し装置100の様に分配皿35を一個だけ有するものであってもよい。
薬剤払出し装置100の機械的構造は、分配皿35の数が相違する点を除いて概ね前記した薬剤払出し装置100と同一であるから、相違する構成に重点をおいて説明し、同一の部材に同一の番号を付して、重複する説明を省略する。
【0182】
本実施形態においても、筐体10の容器配置領域12の外側壁面を形成する部分に、扉部16が設けられている。
扉部16は、薬剤容器4を筐体10に出し入れするための容器出し入れ口である。扉部16の内側に薬剤容器4を仮置きするための容器仮置部18が設けられている。
また薬剤払出し装置100では、さらに筐体10にも同一構造の容器仮置部101が設けられている。
【0183】
図12,13に示す薬剤払出し装置100では、
図1,2,3に示す薬剤払出し装置1と同様に扉部16に容器仮置部18があり、さらに筐体10内にも容器仮置部101がある。この様に扉部16に容器仮置部18を設け、さらに筐体10内にも容器仮置部101を設けた理由は、待機時間を短くし、全体の散薬分配工程に要する時間を短縮するためである。
【0184】
前記した様に、
図1,2,3に示す薬剤払出し装置1では、扉部16の容器仮置部18は、筐体10の内部に薬剤容器4を導入する際や筐体10の内部から薬剤容器4を取り出す際に、薬剤容器4の重量を測定し、散薬の充填量を確認する用途に使用されている。さらに
図1,2,3に示す薬剤払出し装置1では、前記した様に、扉部16の容器仮置部18によって一回の分配における散薬の排出量が再確認される。
即ち薬剤容器4を容器載置装置36に設置して所定量の薬品を分配皿35に投入した後、容器移動手段28で薬剤容器4を扉部16の容器仮置部18に移動させ、薬剤容器4の重量を再確認する。
【0185】
実際の容器仮置部18の使用頻度は、分配皿35近傍の容器載置装置36から容器保管部23に薬剤容器4を戻す際に薬剤容器の重量が再確認する場合の方が多い。
そのため外部から筐体10の内部に薬剤容器4を導入する工程が割り込むと、通常の散薬分配作業が渋滞する懸念がある。
そこで
図12,13に示す薬剤払出し装置100は、この懸念を払拭するため、筐体10内に別途に容器仮置部101を設け、容器仮置部101を容器保管部23に薬剤容器4を戻す際の重量測定専用として使用することとした。
【0186】
図12,13に示す薬剤払出し装置100では、扉部16に設けられた容器仮置部18は、外部から薬剤払出し装置100内に薬剤容器4が搬入される際に、薬剤容器4から所定の情報を得る用途に限定して使用されるものである。
本実施形態では、外部から薬剤払出し装置100内に薬剤容器4が搬入される際に、扉部16に設けられた容器仮置部18の重量測定手段によって、薬剤容器4の重量が測定される。また情報読取手段によって、薬剤容器4から所定の情報が入手される。
【0187】
筐体10の内部に設けられた容器仮置部101は、分包が終了して容器保管部23に薬剤容器4を戻す際に、薬剤容器4に収容された薬剤の量を計量する用途に限定して設けられている。
分包が終了して容器保管部23に薬剤容器4を戻す際に、容器移動手段28で薬剤容器4を保持し、薬剤容器4を移動し、筐体10内の容器仮置部101に設置する。そして薬剤容器4の重量が測定される。また薬剤容器4に取り付けられているRFIDタグ91の情報が書き換えられる。
【0188】
次に扉部16及び筐体10内に設けられた容器仮置部18、101について説明する。二つの容器仮置部18、101は同一構造であるから、代表して扉部16に設けられた容器仮置部18について説明する。
容器仮置部18は、扉部16に取り付けられており、扉部16と共に移動する。
容器仮置部18は、載置台251と、係合レバー252と、保持部材253によって構成されている。保持部材253は柵状であって薬剤容器4を保持するものである。
載置台251は、背もたれ部255と、略水平姿勢に配置される台座部256によって構成されている。
背もたれ部255は、中央に長方形で大面積の設置部257があり、その両脇に長方形のサイド部258a,258bがある。
サイド部258a,258bは、設置部257に対し前側に向かって傾斜姿勢となっている。
台座部256の中央には、大きな切り欠き部260がある。
【0189】
係合レバー252は、台座部256の切り欠き部260に配置されている。係合レバー252と保持部材253は係合しており、係合レバー252が降下すると保持部材253が上昇する。
【0190】
容器仮置部18に薬剤容器4を取り付ける際には、人の手や容器移動手段28を利用して、薬剤容器4を載置台251に載せる。
薬剤容器4を載置台251に載せると、係合レバー252が揺動して沈み、代わって保持部材253が上昇する。そして保持部材253が薬剤容器4の側面を保持する。また薬剤容器4の固定用鉄板部6側は、載置台251の背もたれ部255に保持される。
従って薬剤容器4は、載置台251の台座部256及び背もたれ部255と、保持部材253によって保持され、脱落しない。
【0191】
薬剤払出し装置100では、扉部16の容器仮置部18の真上の位置に、掻き落とし部材280(清掃部)が設けられている。掻き落とし部材280は、扉部16ではなく薬剤払出し装置1の本体側に設けられている。
掻き落とし部材280には吸引口282が開いており、吸引口282は図示しない吸引装置に接続されている。
【0192】
掻き落とし部材280は、薬剤容器4の側面を清掃するために設けられた部材である。上記した実施形態では、薬剤容器4から直接、分配皿35に薬剤を供給する。そのため、薬剤を供給した後、静電気等の影響で、薬剤容器4の側面に薬剤が付着していることがある。特に薬剤容器4の開口188の近傍に、薬剤がこびり付くことがある。
そこで薬剤容器4の側面を掻き落とし部材280の凹部281(容器接触部)に押し当て、薬剤容器4を下方又は上方にスライドさせる。
また同時に図示しない吸引装置を起動させる。そのため仮に薬剤容器4の側面に薬剤の残渣が残っていたとしても、掻き落とし部材280によって清掃される。
【0193】
本実施形態の薬剤払出し装置100においても、薬品分割領域13と薬品包装領域14の間には、散薬投入ホッパー413があり、薬品分割領域13で分割された散薬が散薬投入ホッパー413に投入されて薬品包装装置53で包装される。
本実施形態の薬剤払出し装置100では、散薬投入ホッパー413を清掃するホッパー清掃動作を行うことができる。
ホッパー清掃動作においては、散薬投入ホッパー413内に清掃剤103が投入される。清掃剤103は剥離剤であり、処方された薬剤以外の粉体であり、ホッパー内を清掃するための粉体である。また清掃剤103は、薬効の有無に関係無く、仮に人の口に入っても害が無いものが選択される。
清掃剤103は、例えば重曹粉末、乳糖、でんぷん等の人体に無害な粉体又は粒子である。
図15は、清掃動作時に散薬投入ホッパー413内に清掃剤103を投入する機能を備えた実施形態の概念図である。
図15に示す実施形態では、散薬投入ホッパー413の末端の排出側開口(薬剤排出口)に開閉板416があり、開閉板416の外側の近傍にエアーノズル422が設けられている。
【0194】
散薬投入ホッパー413は、例えば
図21の様な形状をしており、下部に排出側開口(薬剤排出口)1000があり、上部に導入側開口1001がある。また排出側開口1000には開閉板416が設けられている。
散薬投入ホッパー413の側面には、吸引開口1002が開口している。吸引開口1002は、少なくとも排出側開口1000よりも上にあり、排出側開口1000よりも導入側開口1001に近い高さにある。吸引開口1002の平面方向の中心軸X-Xの延長線は、散薬投入ホッパー413の中心軸Z-Zの近傍を通過する。即ち吸引開口1002は、平面視的には、散薬投入ホッパー413の側面の中心に設けられている。
吸引開口1002の形状は偏平であり、縦長さよりも横幅の方が広い。吸引開口1002には、パイプ又はホース等の管部材1010が接続されており、当該管部材1010の末端が吸引装置415に接続されている。即ち管部材1010が吸引開口1002から吸引装置415に至る吸引路の一部を構成している。
【0195】
そして本実施形態では、管部材1010が曲部1012を有している。即ち本実施形態では、吸引路であって、吸引開口1002の直近の位置が大きくカーブしている。即ち管部材1010を上方から見たとき、曲部1012が認められる。
また吸引開口1002は偏平である。そのため吸引開口1002の近傍における空気の流速は、カーブの外側に近い側と内側に近い側で相違する。
【0196】
清掃剤103を投入して実施するホッパー清掃動作は、次の手順で実施される。
最初の工程として散薬投入ホッパー413内に清掃剤103を投入する。このとき散薬投入ホッパー413の末端の開閉板416は閉じておく。
そして散薬投入ホッパー413の導入側開口1001をホッパー閉塞部材400で閉鎖する(
図18)。この状態で、吸引装置415を動作させる。その結果、散薬投入ホッパー413内に激しい空気流が発生し、清掃剤103が激しく渦巻いて散薬投入ホッパー413の内壁と衝突する。
ここで散薬投入ホッパー413の末端の開閉板416が閉じられているから、散薬投入ホッパー413内に供給される空気量は制限されている。そのため散薬投入ホッパー413内で清掃剤103が渦巻くものの、吸引装置415による空気吸引量は少ない。そのため清掃剤103は単に散薬投入ホッパー413内で攪拌されるだけであって、吸引装置415によって吸い出される量は少ない。
そのため清掃剤103は散薬投入ホッパー413内に止まり、散薬投入ホッパー413の内壁と長時間に渡って衝突する。またあたかもサイクロン式掃除機のごとく、清掃剤103の遠心力が作用して散薬投入ホッパー413の内面にぶつかるので衝突の衝撃は大きい。そのため散薬投入ホッパー413の内壁に付着した薬剤が剥ぎ落とされる。
【0197】
そしてその後、散薬投入ホッパー413の末端の開閉板416を開く(
図19)。より望ましくは、開閉板416の開閉をくりかえす。
その結果、負圧傾向となっている散薬投入ホッパー413内に散薬投入ホッパー413の末端から外気が導入され、散薬投入ホッパー413内にさらに激しい空気流が発生し、清掃剤103が激しく渦巻いて散薬投入ホッパー413の内壁と衝突して散薬投入ホッパー413の内壁に付着した薬剤が剥ぎ落とされる。
【0198】
特に本実施形態では、吸引開口1002が偏平であり、且つ吸引路であって、吸引開口1002の直近の位置が大きくカーブしているから、吸引開口1002の近傍における空気の流速は、カーブの外側に近い側と内側に近い側で相違する。
本実施形態では、内壁1003の近傍では、空気の流速が早くなり、対向する内壁1006の近傍では、空気の流速が遅くなる。
そのため散薬投入ホッパー413の中に強い旋回流が発生する。また散薬投入ホッパー413の下部に設けられた排出側開口1000から空気が導入される。そのため空気流は、散薬投入ホッパー413の内壁に沿った旋回を伴い、下側から上側に向かって進む。そのため、投入された清掃剤103が、散薬投入ホッパー413の内壁を削るがごとくに作用して薬剤をはぎ取り、これを清掃剤103と共に巻き上げて吸引装置415によって排出する。
本実施形態では、吸引開口1002は、散薬投入ホッパー413の上端近傍に設けられているから、散薬投入ホッパー413の略全ての内壁が清掃される。
【0199】
剥離した薬剤が清掃剤103と共に吸引装置415によって吸い出され、散薬投入ホッパー413の外に排出される。
開閉板416の開閉をくりかえす場合は、清掃剤103を散薬投入ホッパー413に止めた状態による清掃剤103の攪拌と、空気を導入して清掃剤103の一部を排出しつつ行う清掃剤103の攪拌とを繰り返されることとなる。
【0200】
また開閉板416自身の外側面に付着した薬剤を、開閉板416の近傍に設けられたエアーノズル422から空気を吹きつけることによって除去する(
図20)。
即ち本発明者らの経験によると、散薬投入ホッパー413の排出側開口1000に設けられた開閉板416に薬剤が付着する場合がある。ここで、開閉板416の内側(散薬投入ホッパー413の内面側)は、前記した清掃剤103の攪拌による衝撃を利用して清掃することができるが、開閉板416自身の外側面は清掃剤103を衝突させることができない。
そこで本実施形態では、開閉板416の近傍に設けられたエアーノズル422から、開閉板416の外側に向かって直接空気を吹きつけ(
図20)、開閉板416の外側に付着した薬剤を除去する。
【0201】
なお開閉板416は、通常装置の奥まった位置に設けられているので、開閉板416が排出側開口1000を閉じた状態においては、噴射した空気を当てにくい。そこで本実施形態では、開閉板416が開いた姿勢の際に噴射された空気が当たる位置にエアーノズル422が設けられている。
また開閉板416の近傍には、分包紙があるので、エアーによって剥離させた薬剤を分包紙内に回収する。
一連の動作をまとめて説明すると、散薬投入ホッパー413内に清掃剤103を投入して吸引を開始し、吸引の後半で開閉板416を開閉し始め、その際にエアーノズル422から、開閉板416の外側に向かって直接空気を吹きつける。5秒から10秒後に吸引とエアーを停止する。
【0202】
ホッパー清掃動作を実施するのに際し、散薬投入ホッパー413内に清掃剤103を投入するが、清掃剤103を投入する方法は任意である。
例えば作業者が手で直接散薬投入ホッパー413内に清掃剤103を投入してもよい。また導入側開口1000の近傍に専用の清掃剤投入装置を設け、清掃剤投入装置から散薬投入ホッパー413内に清掃剤103を投入してもよい。
あるいは薬剤容器4を利用して散薬投入ホッパー413に清掃剤103を投入してもよい。
例えば特定の薬剤容器4に重曹等の清掃剤103を充填しておき、他の薬剤容器4と同様に容器保管部23に保管しておく。
そして通常の薬剤容器4から散薬を取り出して散薬投入ホッパー35に投入する動作に準じた動作により、薬剤容器4内の清掃剤103を散薬投入ホッパー413に投入する。
【0203】
具体的に説明すると、清掃作業が必要な薬剤が分包された場合や、残薬センサー等により、散薬投入ホッパー413に汚れがあることが判明した場合、自動または手動によって清掃剤103が充填された薬剤容器4を選定する。
そして容器移動手段28で薬剤容器4を保持し、薬剤容器4を移動し、清掃剤103が充填された薬剤容器4を容器載置装置36に載置する。
その後に容器載置装置36を振動させて薬剤容器4から分配皿35に清掃剤103を投入する。そして掻出装置37で分配皿35から清掃剤103を排出し、散薬投入ホッパー413に投入する。
【0204】
ここでホッパー清掃動作においては、通常の散薬分包作業の際とは異なり、薬剤容器4から分配皿35に清掃剤103を投入する際には分配皿35を回転させない。
図16を参照しつつ説明すると、
図16(a)の様に分配皿35を停止状態とし、容器載置装置36を防振させて薬剤容器4から分配皿35に清掃剤103を投入する。その結果、
図16(a)の様に清掃剤103は、分配皿35の一か所に盛り上がる。
なお清掃剤103の投入量(薬剤容器4からの排出量)は、処方に基づく場合の様な厳格なものではなく、むしろ投入に要する時間が短いことが優先される。例えば清掃に要する量の清掃剤103(例えば8グラム程度)を出来るかぎり短時間で薬剤容器4から排出する。
その後、
図16(b)の様に分配皿35を回転し、清掃剤103の山を掻出装置37の近傍に近づける。
そして
図16(c)の様に掻出装置37を駆動し、清掃剤103を分配皿35から排出して散薬投入ホッパー413に投入する。
【0205】
本態様によると、ホッパー清掃動作に要する時間を短縮することができる。しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではなく、通常の散薬分包作業の際と同様に、分配皿35を一定の回転数で回転させ、分配皿35に均一に清掃剤103を分布させてもよい。
【0206】
また他の態様として、
図22の様に清掃剤103を排出する用途に限定した容器載置装置36を散薬投入ホッパー413の近傍に設け、分配皿35を介することなく、散薬投入ホッパー413に清掃剤103を投入してもよい。
【0207】
図22に示す構成では、散薬投入ホッパー413の近傍に容器載置装置36と、清掃清掃剤仮置き容器440がある。清掃剤仮置き容器440は、図示しない反転機構によって裏返すことができる。また清掃剤仮置き容器440は、底部が開閉するものであってもよい。
本実施形態では、容器載置装置36に常時薬剤容器4が設置されており、薬剤容器4には十分な量の清掃剤103が充填されている。そして予め、薬剤容器4から所定量の清掃剤103が排出され、清掃剤仮置き容器440に一回清掃分の清掃剤103が溜置かれ、
図22(a)の様に導入側開口1001の上で待機させる。
散薬投入ホッパー413を清掃する時期が到来すると、
図22(b)の様に図示しない反転機構によって清掃剤仮置き容器440を裏返し、溜められていた清掃剤103を散薬投入ホッパー413に投入する。その後は、前記した工程と同様であり、
図22(c)の様に散薬投入ホッパー413の導入側開口1001をホッパー閉塞部材400で閉鎖し、吸引装置415を動作させで散薬投入ホッパー413の内壁を清掃する。
【0208】
次に、上記した薬剤払出し装置1,100の他の特記すべき機能について説明する。
薬剤払出し装置1,100は、公知のそれと同様、
図23(a)の様に散薬445を分配皿35の薬品投入溝32に均等に分散させ、
図23(b)の様に掻出装置37の掻出ディスク446を分配皿35の薬品投入溝32内に落とす。さらにその後、分配皿35を分配個数に応じた角度だけ矢印の方向に回転させて、
図23(c)の様に回転範囲の薬剤投入溝32に分布する散薬445を掻出ディスク446の前に寄せ集める。
そして掻出ディスク446を回転して、
図23(d)の様に集めた領域の散薬445を分配皿35から排出する。
後はこの分割・掻出行程を繰り返し、分配皿35に分散した散薬445を全て排出する。
【0209】
ここで本実施形態の薬剤払出し装置1,100では、最終回の分割・掻出行程に限り、それまでの分割・掻出行程の場合よりも広い角度に渡って分配皿35を回転させる。
以下、この理由を説明する。
前記した様に、
図23(a)の様に散薬445を分配皿35の薬品投入溝32に均等に分散させ、
図23(b)の様に掻出装置37の掻出ディスク446を分配皿35の薬品投入溝32内に落とすと、連続的に分布していた散薬445が掻出ディスク446の壁で仕切られることとなる。
【0210】
そして分配皿35を回転させると、
図23(c)の様に回転範囲の薬剤投入溝32に分布する散薬445が掻出ディスク446で集められるが、残った散薬445は、あたかも支えられていた壁が無くなった様な状況となり、一部の散薬447が崩れて、掻出ディスク446が進行した領域にこぼれ落ちる。
そこで本実施形態では、最後の分割・掻出行程にの際には、
図24(b)の様に掻出ディスク446が最初に挿入された位置448を越えて分配皿35を回転させ、崩れ落ちて広がった散薬447を回収する。
即ち本実施形態では、分配皿35を一周(360度)回転させた後、一周位置448からさらに付加角度+θ(プラスシータ)だけ回転させる。
【0211】
さらに本実施形態の薬剤払出し装置1,100では、散薬445の性状に応じて、付加角度+θ(プラスシータ)が自動的に変更される。
ここで付加角度+θ(プラスシータ)を決める要因となる散薬445の性状は、散薬の広がり易さ、流動性、粘度等であり、粒径や粘りけによって変わる。
例えば、散薬の流動性や薬剤容器4からの排出容易性を予め実験し、全ての散薬を複数段階に区分する。これを例えば、「流れ係数」と称し、散薬を流れ係数1から流れ係数8に区分する。
【0212】
例えば流れ係数が小さい程、流動性が高く、広がりやすい。例えば流れ係数5であるならば、固まり易い散薬であり、崩れ落ちる量か少なく、ひろがり難いので、付加角度+θを9分の1周(40度)程度の狭い範囲に限定する。一方、流れ係数2であるならば、崩れ落ち易い散薬であり、広くひろがる傾向にあるので、付加角度+θを6分の1周(60度)程度の広い角度に設定する。
そのため本実施形態の薬剤払出し装置1,100によると、広がった散薬447を確実に回収することができ、且つ分配皿35は無駄な範囲にまで回転しないので、効率が高い。そのため一連の行程全体の所要時間を短縮することができる。
【0213】
また薬剤払出し装置1,100は、前記した様に薬品包装領域14に薬品包装装置53と、印字手段とが設けられており、薬品分割領域13から供給された散薬をシール装置によって一服用分ずつシールし、包装する。そして
図25の様に、一服用分の散薬が袋状に包装され、その個別包装451が帯状に繋がった薬剤包装帯452として排出される。
また本実施形態の薬剤払出し装置1,100は、前記した様に、印字手段を備え、分包袋に対して所定の情報を印字することができる。
例えば、
図25の様に、服用者名や用法が各個別包装451に印字される。また薬剤包装帯452の末尾に、調剤記録453が記載される。
例えば、散薬の分配が正常に行われた場合には、
図25(a)の様に、「正常」と印字される。
これに対して、散薬を配分する際に何らかの異常が発生した場合には、例えば
図25(a)の様に、「配分異常」と印字され、何らかの不具合が発生したことを知らせる注意喚起表示が印刷される。
【0214】
さらに本実施形態の薬剤払出し装置1,100は、印字手段は黒色だけでなく、赤や青等の多色で印字したり、ラインやマークを付することができる。多色印字を行う方法は限定されるものではなく、例えば多数のインキノズルやインキ塗布体(ペン先等)を備えて多色表示を行うものや、異なる色の転写紙を備え、転写紙を自動的に変更して色を変える構造のものであってもよい。
本実施形態の薬剤払出し装置1,100では、散薬を配分する際に何らかの異常が発生した場合には、例えば調剤記録を赤色等の目立つ色で印字したり、文字の下や袋の一部に目立つ色の印やラインが付される。
本実施形態では、「配分異常」の文字の下に、赤色のライン455が付される。
【0215】
前記した「配分異常」が発生する原因としては、例えば薬剤払出し装置1,100に振動が加わって、一時的に薬剤容器4から多くの散薬が排出されたり、容器載置装置36の振動が不安定であった様な場合がある。
また本実施形態の薬剤払出し装置1,100では、配分異常が発生した場合には、操作表示部3にその旨が表示される。
ここで、操作表示部3の表示は、一般に所定の操作によって変わってしまうので、薬剤師等が気づかない場合もある。しかし本実施形態によると、排出された薬剤包装帯452に異常の表示がなされ、さらにこれを目立たせる工夫がなされているので、患者に個別包装451が手渡される前の鑑査等で、異常に気づくこととなる。
【0216】
本実施形態の薬剤払出し装置1,100では、例えば何らかの異常が発生すれば、例えばその処方IDを制御装置の記憶手段に記憶し、当該処方IDに相当する散薬が包装される際に、調剤記録に特定の色を付して目立たせる。この様にして異常発生と薬剤包装を関連付けることができる。
赤等で印字する箇所は、薬剤包装帯452の末尾に限定されるものではなく、薬剤包装帯452であってもよく、中間部であってもよく、個々の個別包装451であってもよい。
【0217】
前記した様に、本実施形態の薬剤払出し装置1,100では、薬剤容器4を容器載置装置36に設置して所定量の薬品を分配皿35に投入した後、容器載置装置36の有する重量測定手段52で薬剤容器4の重量が確認される。また容器仮置部18、101で薬剤容器4の重量を再確認する。この様に、薬剤排出後の薬剤容器4の重量測定は、複数箇所で実施されるが、各測定箇所においても複数回実施することが望ましい。
薬剤容器4の重量の許容量には、上限と下限があるが、この上限又は下限内であって、上限又は下限に近い値であった場合は、念のために再度薬剤容器4の重量測定を行うことが望ましい。
同様に、上限又は下限を外れている場合には、システム上、警告動作が行われ、操作表示部3等に警告表示がなされるが、その外れている量が極めて小さい場合には、重量測定時の微振動等の影響を考慮して、直ちには警告動作を実行せず、再度薬剤容器4の重量測定を行うことが望ましい。
【符号の説明】
【0218】
1 薬剤払出し装置
4 薬剤容器
10 筐体
16 扉部
18 容器仮置部
23 容器保管部
28 容器移動手段
35 分配皿
36 容器載置装置