(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010711
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 33/36 20060101AFI20240118BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B65D33/36
B65D33/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112143
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA01
3E064BA17
3E064BA21
3E064BB03
3E064BC04
3E064EA09
3E064EA30
3E064FA04
3E064FA06
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN11
3E064HP01
3E064HS10
3E064HU10
(57)【要約】
【課題】内容物未収容の包装容器を多数重ね合わせて搬送する場合の搬送コストを低廉化することが可能な包装容器を提供する。
【解決手段】内容物を収容する容器部材1と、容器部材1から内容物を取り出す注ぎ口部材2と、を含み、注ぎ口部材2は、シート部材5が重ね合わされた状態で閉じ且つシート部材5が筒状に開口して注ぎ口3となり、シート部材5の外面と容器部材1の内面とが接合されて包装容器が構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器部材と、前記容器部材から前記内容物を取り出す注ぎ口部材と、を含む包装容器であって、
前記注ぎ口部材は、シート部材が重ね合わされた状態で閉じ、前記シート部材が筒状に開口して注ぎ口となり、
前記シート部材の外面と、前記容器部材の内面とが接合されている、包装容器。
【請求項2】
前記容器部材は、折り畳み可能である、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記シート部材は、前記筒状の長手方向に伸び、折れ曲がり可能な線状の折れ曲がり部を有する、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記シート部材を重ね合わせた状態に保持可能な封止部材を有する、請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項5】
前記注ぎ口から取り出される前記内容物の量を制御するフィルタ部材を有する、請求項1又は2に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器、特に容器部材内に収容されている内容物を取り出すための注ぎ口が予め設けられている包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような包装容器としては、例えば下記特許文献1に記載されるものがある。この特許文献1に記載される包装容器は、いわゆる口栓付きパウチ容器と呼ばれる包装容器であり、例えば比較的硬質な樹脂製の円筒管部材からなる注ぎ口が例えば軟質な樹脂製袋体からなる容器部材の外表面から突出するように設けられている。この樹脂製円筒管からなる注ぎ口の容器部材側の端部は容器部材の内部に開放されており、容器部材の内部と注ぎ口は連通している。内容物が容器部材の内部に収容されて包装されている状態では容器部材は閉じられている。注ぎ口の外周面には雄ねじが形成されており、この雄ねじに例えば比較的硬質な樹脂製のキャップ部材の雌ねじが螺合されて注ぎ口はキャップ部材で密栓されている。内容物を注ぎ口から取り出す場合には、キャップ部材を回して注ぎ口から外し、開放された注ぎ口から内容物を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
口栓付きパウチ容器のような包装容器における樹脂製円筒管などで構成される注ぎ口の部分は(キャップ部材を含めて)立体的な構造体であるので、折り畳むことができない。したがって、内容物が収容される以前の包装容器を複数重ね合わせたときの所要空間容積が大きくなり、一方、包装容器を重ね合わせて搬送する場合には容積の大きさに応じて搬送コストが増大することから、内容物未収容の包装容器を多数重ね合わせて搬送する場合の搬送コストが増大する。また、内容物を注出し終わった包装容器を廃棄する場合にもかさばりやすい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内容物未収容の包装容器を多数重ね合わせて搬送する場合の搬送コストを低廉化することができ、また内容物を注出し終わった包装容器を廃棄する場合にもかさばりにくい包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る包装容器は、内容物を収容する容器部材と、前記容器部材から前記内容物を取り出す注ぎ口部材と、を含む包装容器であって、前記注ぎ口部材は、シート部材が重ね合わされた状態で閉じ、前記シート部材が筒状に開口して注ぎ口となり、前記シート部材の外面と、前記容器部材の内面とが接合されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装容器によれば、内容物未収容状態では、注ぎ口部材を構成するシート部材を重ね合わせた状態に閉じることができるので、包装容器の厚さは小さく、包装容器を複数重ね合わせたときの所要空間容積も小さいことから、多数の包装容器を積み重ねて搬送する場合のコストを低廉化することができ、また内容物を注出し終わって包装容器を廃棄する場合にもかさばらない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の包装容器の第1実施形態を示す正面図である。
【
図3】
図1の注ぎ口部材に設けられたフィルタ部材の正面図である。
【
図4】
図3のフィルタ部材を折り畳んだ状態の斜視図である。
【
図5】
図1の包装容器の注ぎ口部材を開いた状態の斜視図である。
【
図7】
図1の包装容器の更なる変形例の正面図である。
【
図9】容器部材と注ぎ口部材の溶着の説明図である。
【
図10】容器部材と注ぎ口部材の溶着の説明図である。
【
図11】本発明の包装容器の第2実施形態を示す正面図である。
【
図12】
図11の包装容器に用いられた注ぎ口部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の包装容器の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
図1は、包装容器の第1実施形態を示す正面図、
図2は、
図1の包装容器の斜視図である。
図1の下方の大きい方形の部分が、内容物を収容する容器部材1、この容器部材1の上部中央に取付けられている小さい方形の部分が、内容物を取り出す注ぎ口3を構成するための注ぎ口部材2である。
【0009】
容器部材1は、例えば紙や樹脂フィルム(樹脂シート)などのシート状部材4を折り曲げたり接合したりして構成され、内部1aに内容物を収容することができる収容容器を意味する。
図1の場合は、右側縁部、左側縁部、上側縁部が接合された、いわゆる三方袋であり、内容物の包装容器としては下側縁部も接合されるので、この容器部材1の内側の四角形が容器部材1の内部1aの境界を示している。
図1の容器部材1は三方袋であるが、本発明の容器部材は、例えば、
図1の下側縁部にマチが設けられて内容物を収容した状態では袋体が自立可能となるスタンディングパウチ(袋)や、袋体となる縁部全てにマチが設けられたガセット袋など、内容物を収容している状態及び収容していない状態を含めて、容器部材の形態は、大きさも形状も構造も、どのようなものであってもよい。なお、以下では、容器部材1内に内容物が収容されていない状態について主に説明し、例えば、容器部材1内に収容されている内容物を取り出すような場合には、その旨を都度説明する。また、容器部材1を構成するシート状部材4の材質やその接合構造については後述する。
【0010】
注ぎ口部材2は、2枚のシート部材5が重ね合わせられて構成されている(例えば
図12a参照)。この実施形態の注ぎ口部材2を構成するシート部材5は方形であり、後述するように、2枚のシート部材5を筒状に開口して注ぎ口3とするために、重ね合わせられた方形のシート部材5は、
図1の左側縁部5aと右側縁部5bが接合されるか又は連続している。シート部材5の連続部分は、すなわちシート部材5の折れ曲がり部分である。また、重ね合わせられたシート部材5の下側縁部5cは容器部材1の内部1aに接するか又は突出されており、これにより2枚のシート部材5の内面、すなわち注ぎ口3の内部は容器部材1の内部1aに連通されている。そして、この注ぎ口部材2を構成するシート部材5の外面が容器部材1の上側縁部で容器部材1の内面に接合されている。両者の接合は、例えば溶着が好ましく、その場合には、少なくとも何れか一方の部材の接合面に樹脂層が設けられ、この樹脂層を溶融・固化させることで両者が溶着される。なお、この実施形態の注ぎ口部材2を構成するシート部材5は方形であるが、例えば
図1に二点鎖線で示すように、上記注ぎ口3から容器部材1の内部1aに突出する台形状の突出部が延設されているなど、シート部材5全体の形状はこれに限定されない。注ぎ口部材2を構成するシート部材5の材質やその接合構造についても後述する。
【0011】
また、この実施形態の注ぎ口部材2では、
図2に示すように、後述する切り取り位置6よりも容器部材1側の注ぎ口3の内側部分において、注ぎ口3を閉じたり開いたりすることが可能な封止部材7がシート部材5に設けられている(詳細は
図5参照)。封止部材7は、注ぎ口3を構成する2枚のシート部材5同士を重ね合わせ状態に保持することができるものであればよく、この実施形態ではジッパーテープ(チャックテープ)を用いた。周知のように、ジッパーテープの場合、シート部材5同士を重ね合わせ状態に保持するだけでなく、開放することも可能なので、結果として、この封止部材7を用いることにより注ぎ口3を閉じたり開いたりすることが可能となる。したがって、後述のようにして内容物を取り出した後、注ぎ口3を閉じて残りの内容物を保存したり、再度、注ぎ口3を開いて残りの内容物を取り出したりすることが可能となる。このようにシート部材5同士の開閉を繰り返すことができる封止部材7としては、他に、面ファスナーや粘着剤などが挙げられる。
【0012】
また、この実施形態の注ぎ口部材2では、封止部材7よりも容器部材1側の注ぎ口3の内側部分において、取り出される内容物の量を制御するフィルタ部材8がシート部材5間に設けられている。
図3は、この実施形態で用いられたフィルタ部材8の正面図である。このフィルタ部材8は、注ぎ口3を通過する内容物の通過量を抑制するものであり、図に示すように、シート状のフィルタ本体8aに複数の貫通穴8bが形成され、この貫通穴8b(正確には、貫通穴8bが設けられていないフィルタ本体8aの部分)によって内容物の通過量を抑制する。このフィルタ部材8は、例えば、
図4に示すように半分に折り曲げられ、フィルタ本体8aの図の二点鎖線より外側の部分を、注ぎ口部材2を構成するシート部材5の内面に接合してシート部材5に取付けられている。したがって、後述のように、注ぎ口3の重ね合わせられたシート部材5が離間されると、これに伴ってフィルタ部材8がシート部材5同士の間で注ぎ口3の内側に展開され、フィルタ部材8の貫通穴8bだけを内容物が通過する。フィルタ部材8の機能は、内容物の通過量を抑制するものの他、例えば内容物の取り出し状態、例えば流動の状態を調整するものや内容物を濾すものなどが適用可能である。また、フィルタ部材8の構造は、例えばメッシュやスリットの他、周知のあらゆるものが適用可能である。
【0013】
この実施形態では、注ぎ口部材2の突出端部(上端部)においてシート部材5同士が接合(閉塞)され、その接合部分よりも容器部材1側の位置(図の一点鎖線の位置)6でシート部材5を包装容器から切り取ることができるように構成されている。すなわち、この切り取り位置6でシート部材5を包装容器から切り取ると、シート部材5の突出端部において注ぎ口3が開放状態となる。前述のように、シート部材5が重ね合わせられて構成された注ぎ口3の内部は容器部材1の内部1aと連通しているので、注ぎ口3の突出端部が開放されれば、内容物を取り出すことが可能となる。
この包装容器の容器部材1内に内容物が収容されて包装されている状態から、内容物を取り出すときには、まず注ぎ口部材2のシート部材5を切り取り位置6で切り取って注ぎ口3の突出端部を開放する。そして、例えば、
図2に白抜きの矢印で示すように、注ぎ口3の二辺5a、5bの部分を外力によって互いに接近させると、
図5に示すように、シート部材5同士が離間して筒状に開口し、この開口された注ぎ口3を通じて内容物を取り出すことができる。また、シート部材5同士の離間に伴って各シート部材5に接合されているフィルタ部材8がシート部材5に引っ張られるようにして注ぎ口3内で展開され、注ぎ口3の内部がフィルタ本体8aで覆われるようになるので、内容物を取り出す際、その通過量が抑制され、内容物が出過ぎるのを防止することができる。また、ジッパーテープからなる封止部材7によって注ぎ口3を閉じたり開いたりすることができるので、残りの内容物を保存したり、またその内容物を再度取り出したりすることもできる。
【0014】
図6は、
図1の包装容器の変形例であり、
図1と同様の注ぎ口部材2が容器部材1の図示左上角隅部に設けられている。
図7は、
図1の包装容器の更なる変形例であり、
図1と同様の注ぎ口部材2が容器部材1の内側に設けられている。この例では、注ぎ口部材2を覆っている容器部材1は、図に一点鎖線で示す分離位置で切り取って分離することができ、このようにして容器部材1を切り取って分離すると、内側から注ぎ口部材2が露出されるように構成されている。このように、容器部材1への注ぎ口部材2の取付け箇所や向き、数は任意である。
容器部材1を構成するシート状部材4には、単一層の又は積層された紙や樹脂フィルム(樹脂シート)などを用いることができる。紙同士を接合する場合には、接着剤で接着するか、樹脂層を設けて溶着するなどの手法を用いることができる。樹脂フィルム同士を接合する場合には、互いに溶着させるなどの手法を用いることができる。内容物が乾燥した物質、例えば粉体や粒体である場合には、容器部材1を構成するシート状部材4に樹脂フィルム(樹脂シート)や紙を用いることができる。内容物が湿潤している場合や液体、又は液状のものである場合には、容器部材1を構成するシート状部材4に樹脂フィルム(樹脂シート)を用いることができる。また、この場合、
図8aに示すように、シート状部材4の容器部材外側面に紙の層(以下、紙層)9、内側面に樹脂層10が積層された積層シート体を用いることもできる。紙層9と樹脂層10の積層は、紙と樹脂フィルムを接着することの他、樹脂を紙に塗布したり蒸着させたりすることで達成される。また、紙層を含むシート状部材4は、この他にも、シート状部材4の容器部材外側面にも樹脂層を積層したり、積層された樹脂層の上に樹脂層を更に積層したりすることも可能である。更に、必要に応じて、アルミニウムなどの金属フィルムを積層したり金属皮膜を施したりすることも可能である(積層位置は任意)。
【0015】
注ぎ口部材2を構成するシート部材5には、容器部材1を構成するシート状部材4と同様に、単一層の又は積層された紙や樹脂フィルム(樹脂シート)などを用いることができる。紙同士を接合する場合には、接着剤で接着するか、樹脂層を設けて溶着するなどの手法を用いることができる。樹脂フィルム同士を接合する場合には、互いに溶着させるなどの手法を用いることができる。内容物が乾燥した物質、例えば粉体や粒体である場合には、注ぎ口部材2を構成するシート部材5に樹脂フィルム(樹脂シート)や紙を用いることができる。内容物が湿潤している場合や液体、又は液状のものである場合には、注ぎ口部材2を構成するシート部材5に樹脂フィルム(樹脂シート)を用いることができる。また、この場合、
図8aに示すように、シート部材5の注ぎ口部材外側面に紙層9、内側面に樹脂層10が積層された積層シート体を用いることもできる。紙層9と樹脂層10の積層は、紙と樹脂フィルムを接着することの他、樹脂を紙に塗布したり蒸着させたりすることで達成される。また、紙層を含むシート部材5は、この他にも、シート部材5の注ぎ口部材外側面にも樹脂層を積層したり、積層された樹脂層の上に樹脂層を更に積層したりすることも可能である。
【0016】
図8bは、シート部材5が紙層9を含み且つ内容物が液体である場合の注ぎ口部材2のシート部材5の変形例である。例えば、注ぎ口部材2が容器部材1の内部1aに突出されていると、シート部材5の注ぎ口部材内側面だけでなく、外側面も内容物である液体に接触する。そこで、本来であれば注ぎ口部材外側面となる面にも、例えばイージーピールシーラントやバリア材などの樹脂層(樹脂フィルム)10を積層し、シート部材5の容器部材内側端面も樹脂層(樹脂フィルム)10で覆うようにするとよい。更に、必要に応じて、アルミニウムなどの金属フィルムを積層したり金属皮膜を施したりすることも可能である(積層位置は任意)。一例として、重ね合わせ状態の注ぎ口部材2の厚さは2mm以下であり、この注ぎ口部材2を含む折り畳み状態の容器部材1の厚さ、すなわち包装容器の厚さは3mm以下である。
【0017】
図9には、注ぎ口部材2を構成するシート部材5が紙層9を含み、内容物が液体である場合のシート部材5と容器部材1を構成するシート状部材4の接合構造の説明図である。前述のように、注ぎ口部材2の容器部材側端部が容器部材1の内部1aに面して(突出して)いると、その端面が内容物である液体に接触する。そこで、この例では、注ぎ口部材2を構成するシート部材5の厚さ方向中央部に紙層9を配置し、その両面に樹脂層10を積層する。容器部材1を構成するシート状部材4は、容器部材外側面が紙層9で内側面に樹脂層10が積層されている。そして、シート部材5の容器部材側端部を注ぎ口部材外側に折り返し、その折り返し部分の外側に位置している樹脂層10とシート状部材4の容器部材内側面の樹脂層10を溶着させる。注ぎ口3は、重ね合わせられたシート部材5の間に形成される。このようにすることで、注ぎ口部材2の容器部材側端面は折り返された注ぎ口部材内側面の樹脂層10で覆われており、内容物である液体が接触しても、それがシート部材5の紙層9に浸み込むことがない。なお、注ぎ口部材2の突出端部では、必要に応じて、シート部材5同士の注ぎ口部材内側面の樹脂層10同士を図の×の箇所で溶着させる。
【0018】
図10は、内容物が液体であり、且つ、例えば上記
図6のように、注ぎ口部材2が容器部材1を構成するシート状部材4の端部に溶着される場合の注ぎ口部材2を構成するシート部材5とシート状部材4の接合構造の説明図である。
図10aの例では、
図9と同様に、注ぎ口部材2を構成するシート部材5の厚さ方向中央部に紙層9を配置し、その両面に樹脂層10を積層する。容器部材1を構成するシート状部材4は、容器部材外側面が紙層9で内側面に樹脂層10が積層されている。そして、やや幅広のシート部材5の両端部を重ね合わせるように折り曲げ、その折り曲げられた側が容器部材1の内部1aに面するようにして重ね合わせられた端部の位置を容器部材1用のシート状部材4の端部の位置に合わせてシート部材5の外側面の樹脂層10とシート状部材4の容器部材内側面の樹脂層10と溶着させる。更に、シート状部材4の端部に位置しているシート部材5の重ね合わされた端部のみを図の×の箇所で紙面垂直方向に連続して溶着させる。
【0019】
このようにすることで、注ぎ口部材2のシート部材5の容器部材側端面は折り返された容器部材外側面の樹脂層10で覆われており、内容物である液体が接触しても、それがシート部材5の紙層9に浸み込むことはない。また、この例では、内容物を取り出すための注ぎ口3は、折り返されて重ね合わせ状態となっているシート部材5の内側部分で構成され、このシート部材5の内側部分は、シート部材5の注ぎ口部材内側面の樹脂層10で覆われ且つ重ね合わされた端部は樹脂層10同士が溶着されているので、注ぎ口3の内側面は樹脂層10で覆われており、内容物である液体が接触しても、それがシート部材5の紙層9に浸み込むことはない。
【0020】
図10bは、同
図10aの変形例であり、同じく、内容物が液体であり、且つ、注ぎ口部材2が容器部材1を構成するシート状部材4の端部に溶着される場合の注ぎ口部材2を構成するシート部材5とシート状部材4の接合構造の説明図である。この例では、注ぎ口部材2を構成するシート部材5の厚さ方向中央部に紙層9を配置し、その両面に樹脂層10を積層すると共に、やや幅広のシート部材5の端面を含む端部が覆われるように更なる樹脂層10を積層している。容器部材1を構成するシート状部材4は、容器部材外側面が紙層9で内側面に樹脂層10が積層されている。そして、やや幅広のシート部材5の両端部を重ね合わせるように折り曲げ、その折り曲げられた側が容器部材1の内部1aに面するようにして重ね合わせられた端部の位置を容器部材1用のシート状部材4の端部の位置に合わせてシート部材5の端部に追加積層された樹脂層10とシート状部材4の容器部材内側面の樹脂層10と溶着させる。更に、シート状部材4の端部に位置しているシート部材5の重ね合わされた端部に設けられた樹脂層10同士を図の×の箇所で紙面垂直方向に連続して溶着させる。この接合構造の機能は、
図10aの接合構造とほぼ同様である。
【0021】
このように、この実施形態の包装容器では、内容物未収容状態では、注ぎ口部材2を構成するシート部材3を重ね合わせた状態に閉じることができるので、包装容器の厚さを小さくすることができ、包装容器を複数重ね合わせたときの所要空間容積も小さいことから、多数の包装容器を積み重ねて搬送する場合のコストを低廉化することができ、また内容物を注出し終わって包装容器を廃棄する場合にもかさばらない。
また、折り畳み可能な容器部材1を用いることにより、内容物未収容状態の包装容器全体を薄くすることができ、搬送コストをより一層抑制することができる。
また、封止部材7によってシート部材3を重ね合わせた状態に保持可能とすることにより、注ぎ口3を閉じたり開いたりすることができ、容器部材1内に内容物が残っている場合に残りの内容物を保存したり、それを再度取り出したりすることができる。
【0022】
また、注ぎ口3から取り出される内容物の量を制御するフィルタ部材8を設けることによって、内容物の取り出し量を調整することができ、内容物が出過ぎないようにすることなどが可能となる。
図11は、本発明の包装容器の第2実施形態を示す正面図である。この実施形態では、上記第1実施形態と同等の構成や重複する内容も多い。そこで、同等の構成要件には同等の符号を付して、その詳細な説明を省略する。この実施形態では、注ぎ口部材2が少し変更されている。
図12aは、
図11の注ぎ口部材2のシート部材5を切り取り位置6で切り取った後の注ぎ口3を示している。
図12aの白抜きの矢印が示している部分が、重ね合わされたシート部材5が接合されているか又は連続している注ぎ口3の二辺5a、5bに相当する。したがって、上記第1実施形態と同様に、この二辺5a、5bを接近させる外力が作用すると、2枚のシート部材5が離間して注ぎ口3が筒状に開口する。この実施形態の注ぎ口部材2では、この筒状の長手方向に沿って伸長する直線状の折れ曲がり部(罫線)11がシート部材5に設けられている。このような折れ曲がり部11は、例えばシート部材5が紙層9を含む場合にはシート部材5を厚さ方向に圧縮して形成されている。したがって、注ぎ口部材2の二辺5a、5bの部分を外力で互いに接近させると、それぞれのシート部材5が直線状の折れ曲がり部11で外力の作用方向と交差する方向で外側に折れ曲がる。その結果、
図12bに示すように、注ぎ口3は方形に開口する。シート部材5が紙層9を含む場合、紙はある程度、形状を保持する保形性を有するので、このように開口された注ぎ口3はその形状が保持される。したがって、外力を作用し続けなくても注ぎ口3を開口したままにすることができ、内容物を容易に取り出すことが可能となる。
【0023】
図13は、
図11の包装容器の変形例であり、例えば内容物を他の容器に移し替える、いわゆる詰め替え用の包装容器に用いられる。この例でも、
図11の注ぎ口部材2と同様に、筒状に開口される注ぎ口3の長手方向と平行に伸長する直線状の折れ曲がり部11が各シート部材5に設けられている。そして、この例では、他の容器の注入口に差し込みやすくするために、注ぎ口3の長手方向と直交方向の寸法を小さくして、いわゆる差し込み幅を狭くしている。また、この例では、図に一点鎖線で示す切り取り位置6でシート部材5を切り取った後、更に面取り位置12でシート部材5を切り取って注ぎ口3の角隅部を面取りできるようにしている。このように注ぎ口3の角隅部を面取りすることにより、他の容器の注入口により一層差し込みやすくなる。
【0024】
このように、この実施形態の包装容器では、第1実施形態の効果に加えて、注ぎ口3の筒状の長手方向に伸長する折れ曲がり部11を各シート部材5に設けたことにより、注ぎ口3を外力によって筒状に開口させる際、シート部材5同士が離間すると共にシート部材5が直線状の折れ曲がり部11で外側に折れ曲がり、注ぎ口3を開口しやすい。
以上、実施形態に係る包装容器について説明したが、本件発明は、上記実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、本件発明の要旨の範囲内で種々変更が可能である。例えば、上記実施形態の包装容器では、開口する以前の注ぎ口3の突出端部を閉塞しているが、この突出端部は必ずしも閉塞されていなくともよい。
【符号の説明】
【0025】
1 容器部材
2 注ぎ口部材
3 注ぎ口
5 シート部材
7 封止部材
8 フィルタ部材
11 折れ曲がり部