(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010712
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及び、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 7/06 20060101AFI20240118BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20240118BHJP
H04B 7/024 20170101ALI20240118BHJP
【FI】
H04B7/06 950
H04W16/28
H04B7/024
H04B7/06 910
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112145
(22)【出願日】2022-07-13
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】式田 潤
(72)【発明者】
【氏名】村岡 一志
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE02
5K067EE16
5K067HH22
5K067KK02
5K067KK03
(57)【要約】
【課題】複数の無線端末と通信するために用いられる複数のビームの干渉を低減可能な制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置21は、複数のビームBを用いた複数の無線端末10との通信を制御する制御装置であって、複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、複数のビームのうちの第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、複数のビームの間の関係性を示す指標Xを算出する算出手段218と、指標に基づいて、複数の無線端末及び複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、通信に用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択する選択手段219とを備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御装置であって、
前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出する算出手段と、
前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択する選択手段と
を備える制御装置。
【請求項2】
前記指標は、前記複数のビームのうちの第1のビームを用いた通信に対する前記複数のビームのうちの第2のビームを用いた通信の干渉の程度を示す
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記選択された少なくとも二つのビームに対応する前記指標が、所定の閾値未満となるように、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも二つの無線端末と、前記少なくとも二つの無線端末と通信するために用いられる少なくとも二つのビームとの組み合わせを選択する
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記選択手段は、対応する前記指標が低い無線端末とビームとの組み合わせを優先的に選択することで、前記少なくとも一つの無線端末と前記少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択する
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記算出手段は、前記第1のビームを用いた通信が行われる位置及び前記第1のビームの受信品質の少なくとも一方に基づいて、複数のグループを設定し、前記複数のグループの少なくとも一つに対応する前記指標を算出する
請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記算出手段は、前記複数のビームの受信品質に基づいて、複数のグループを設定し、前記複数のグループの少なくとも一つに対応する前記指標を算出する
請求項1から5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記算出手段は、前記複数のビームの受信品質の類似度に基づいて、前記複数のグループを設定する
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記複数のビームを形成する少なくとも一つの無線装置に接続され、且つ、前記少なくとも一つの無線装置を介した前記複数の無線端末との通信を制御する
請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御方法であって、
前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出することと、
前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために夫々用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択することと
を含む制御方法。
【請求項10】
コンピュータに、複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御方法を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記制御方法は、
前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出することと、
前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために夫々用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択することと
を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御可能な制御装置、制御方法、及び、コンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の高速大容量化を実現するために、広い帯域幅を確保できる高周波数帯の活用が進んでいる。例えば、第5世代移動通信システム(5G:5 Generation)では、ミリ波帯がサポートされている。更に、第6世代移動通信システム(6G:6 Generation)では、ミリ波帯よりも周波数が高いテラヘルツ波帯のサポートが見込まれている。
【0003】
高周波数帯を有効的に利用するために、夫々がビームを用いて無線端末と通信可能な複数の無線装置を分散的に配置する基地局装置の利用が検討されている。尚、無線装置は、送受信点(TRP:Transmission and Reception Point)と称されてもよい。複数の無線装置を分散配置することで、基地局装置が備える少なくとも一つの無線装置と無線端末との間の通信環境が見通し内環境となる機会が増える。このため、電波が回折しにくく且つ遮蔽に弱いという高周波数帯の課題を解決することができる。
【0004】
また、複数の無線装置の夫々に対してビームフォーミングを適用する場合がある。ビームフォーミングは、無線装置が送信する無線周波数信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整して、無線装置が備えるアンテナによって形成されるビームの指向性を制御する技術である。ビームフォーミングを用いることで、特定の方向にビームを向けて電波を強めることができ、伝搬損失が大きいという高周波数帯の課題を解決することができる。
【0005】
ここで、複数の無線装置が分散配置される場合には、複数の無線装置のうちの少なくとも二つの無線装置の間でのビームの干渉が課題となり得る。例えば、少なくとも二つの無線装置が夫々カバーする少なくとも二つのカバレッジエリアが互いに重なり合う状況下において、少なくとも二つの無線装置が、少なくとも二つのカバレッジエリアが互いに重なり合う領域に位置する少なくとも二つの異なる無線端末と夫々同時に通信する場合に、ビームの干渉が生じる可能性がある。このように少なくとも二つの無線装置の間でビームの干渉が生じると、複数の無線装置の分散配置による効果が低下してしまう。このため、少なくとも二つの無線装置の間でのビームの干渉を低減することが望まれる。
【0006】
特許文献1には、複数の無線装置の間でのビームの干渉をできるだけ低減するように、複数の無線装置の夫々と通信する無線端末を選択する方法が記載されている。具体的には、まず、各無線端末に対して、受信電力が最大となる一の無線装置と一のビームとが特定される。次に、特定された一の無線装置の位置と特定された一のビームの方向とに基づいて、各無線端末の位置が推定される。その後、無線端末の位置の推定結果を用いて、一の無線装置から見た、一の無線装置が通信する一の無線端末の方向と他の無線装置が通信する他の無線端末の方向との角度差が算出される。つまり、一の無線装置と一の無線装置が通信する一の無線端末とを結ぶ仮想的な軸と、一の無線装置と他の無線装置が通信する他の無線端末とを結ぶ仮想的な軸とがなす角度が、角度差として算出される。特許文献1に記載の方法は、このように算出される角度差ができるだけ大きくなるように、各無線装置と通信する無線端末を選択することで、複数の無線装置の間でのビームの干渉を低減している。
【0007】
尚、本願発明に関連する他の先行技術文献として、特許文献2から特許文献4があげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2022/044328号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2018/151288号パンフレット
【特許文献3】特表2022-518198号公報
【特許文献4】特開2018-137552号公報
【発明の概要】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、無線装置と無線端末との間の通信環境が見通し内環境であると仮定して、無線端末の位置を推定している。このため、特許文献1に記載の方法は、無線装置と無線端末との間の通信環境が見通し外環境である場合に、複数の無線装置の間でのビームの干渉を低減することができない可能性がある。つまり、複数の無線端末と通信するために用いられる複数のビームの干渉を低減することができない可能性がある。
【0010】
本発明は、上述した技術的問題を解決可能な制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。一例として、本発明は、複数の無線端末と通信するために用いられる複数のビームの干渉を低減することが可能な制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
制御装置の一態様は、複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御装置であって、前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出する算出手段と、前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択する選択手段とを備える。
【0012】
制御方法の一態様は、複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御方法であって、前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出することと、前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために夫々用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択することとを含む。
【0013】
コンピュータプログラムの一態様は、コンピュータに、複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御方法を実行させるコンピュータプログラムであって、前記制御方法は、前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出することと、前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために夫々用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択することとを含む。
【発明の効果】
【0014】
上述した制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムの夫々の一の態様によれば、複数の無線端末と通信するために用いられる複数のビームの干渉を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第2実施形態における無線通信システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態における無線端末の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態における基地局装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態における無線信号処理部の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態におけるスケジューリング部の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態における無線装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、指標を算出する指標算出動作の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、指標に基づいて無線端末及びビームの組み合わせを選択する組み合わせ選択動作の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第1実施形態で説明した制御装置の機能を実現するソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。
【0017】
<1>第1実施形態
はじめに、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムの第1実施形態について説明する。以下の説明では、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムの第1実施形態が適用された制御装置1000を用いて、制御装置、制御方法、及び、コンピュータプログラムの第1実施形態について説明する。
【0018】
制御装置1000は、複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御可能な装置である。複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御するために、制御装置100は、制御装置1000の構成を示す
図1に示すように、算出部1001と、選択部1002とを備えている。
【0019】
算出部1001及び選択部1002の少なくとも一方は、少なくとも一つのプロセッサと、少なくとも一つのメモリとの少なくとも一方により実装される機能ブロックであってもよい。少なくとも一つのプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びマイクロコントローラのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。メモリは、記録媒体である。メモリは、典型的には、非一時的な記録媒体であってもよい。一例として、メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの少なくとも一方を含んでもよい。メモリは、コンピュータプログラム(特に、プログラムコード(言い換えれば、インストラクション))を記憶していてもよい。少なくとも一つのプロセッサは、メモリに記憶されたプログラムコードを実行することにより、算出部1001及び選択部1002の少なくとも一方を実現してもよい。つまり、少なくとも一つのプロセッサがメモリに記憶されたプログラムコードを実行することにより、算出部1001及び選択部1002の少なくとも一方が、少なくとも一つのプロセッサ上で実現されてもよい。
【0020】
算出部1001及び選択部1002は、
図2に示すフローチャートに従って動作してもよい。
【0021】
具体的には、
図2に示すように、算出部1001は、複数のビームの間の関係性を示す指標を算出する(ステップS11)。指標は、複数のビームの間の干渉の程度を示す指標であってもよい。特に、指標は、複数のビームの間の干渉の程度を定量的に示す指標であってもよい。算出部1001は特に、複数の無線端末との通信の成否に関する第1情報と、複数のビームのうちの複数の無線端末との通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、指標を算出する。
【0022】
その後、
図2に示すように、選択部1002は、算出部1001が算出した指標に基づいて、複数の無線端末及び複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、通信対象として選択された少なくとも一つの無線端末と通信するために用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択する(ステップS12)。
【0023】
このように、第1実施形態における制御装置1000は、複数のビームの間の関係性を示す指標に基づいて、通信対象となる少なくとも一つの無線端末及び通信に用いる少なくとも一つのビームの組み合わせを選択する。このため、複数のビームの間の関係性を示す指標を用いることなく無線端末及びビームの組み合わせが選択される比較例の制御装置と比較して、制御装置1000は、複数の無線端末と通信するために用いられる複数のビームの干渉を低減するように、無線端末及びビームの組み合わせを選択することができる。つまり、制御装置1000は、複数の無線端末と通信するために用いられる複数のビームの干渉を低減することができる。
【0024】
特に、第1実施形態における制御装置1000は、無線端末及びビームの組み合わせを選択するために、複数のビームを用いた複数の無線端末の通信環境が見通し内環境であると仮定して複数の無線端末の位置を推定しなくてもよい。このため、制御装置1000は、複数のビームを用いた複数の無線端末の通信環境が見通し外環境である場合であっても、複数の無線端末と通信するために用いられる複数のビームの干渉を低減することができる。
【0025】
<2>第2実施形態
続いて、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムの第2実施形態について説明する。以下の説明では、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムの第2実施形態が適用された無線通信システム1を用いて、制御装置、制御方法、及び、コンピュータプログラムの第2実施形態について説明する。
【0026】
無線通信システム1は、3GPP(Third Generation Partnership Project)の技術仕様に準拠した無線通信システムである。例えば、無線通信システム1は、5Gの技術仕様に準拠した無線通信システムであってもよい。例えば、無線通信システム1は、4Gの技術仕様に準拠した無線通信システムであってもよい。例えば、無線通信システム1は、3.9Gの技術仕様に準拠した無線通信システムであってもよい。例えば、無線通信システム1は、3Gの技術仕様に準拠した無線通信システムであってもよい。但し、無線通信システム1が、3GPPの技術仕様に準拠した無線通信システムに限定されることはない。無線通信システム1は、3GPPの技術仕様とは異なる技術仕様に準拠した無線通信システムであってもよい。
【0027】
<2-1>無線通信システム1の全体構成
はじめに、
図3を参照しながら、第2実施形態における無線通信システム1の全体構成について説明する。
図3は、第2実施形態における無線通信システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0028】
図3に示すように、無線通信システム1は、複数の無線端末10と、基地局装置20とを備えている。
図1に示す例では、無線通信システム1は、二つの無線端末10(具体的には、無線端末10-1及び10-2)を備えている。但し、無線通信システム1は、三つ以上の無線端末10を備えていてもよい。或いは、無線通信システム1は、単一の無線端末10を備えていてもよい。以下の説明では、説明の便宜上、無線通信システム1が二つの無線端末10-1及び10-2を備えている例について説明する。尚、無線端末10-1及び10-2を区別する必要がない場合には、無線端末10-1及び10-2の夫々を、単に無線端末10と称する。
【0029】
無線端末10は、ユーザが利用可能な装置である。無線端末10の一例として、携帯電話、スマートフォン及びタブレット端末の少なくとも一つがあげられる。尚、無線端末10は、ユーザ装置(UE:User Equipment)と称されてもよい。無線端末10は、移動局(MS:Mobile Station)と称されてもよい。また、無線端末10は、中継機能を有していてもよい。つまり、無線端末10は、中継機能を有する中継装置として機能してもよい。
【0030】
基地局装置20は、複数の無線端末10の夫々と無線通信を行うことが可能な装置である。基地局装置20は、例えば、無線アクセスネットワーク(RAN:Radio Access Network)のノードであってもよい。無線アクセスネットワークの一例として、C-RAN(Centralized RAN)、D-RAN(Distributed RAN)及びO-RAN(Open RAN)の少なくとも一つがあげられる。基地局装置20の一例として、3Gの技術仕様に準拠した無線基地局(BTS:Base Transceiver Station)があげられる。基地局装置20の一例として、3.9G、4G及び5Gの少なくとも一つの技術仕様に準拠した無線基地局(eNodeB(evolved Node B))があげられる。基地局装置20の一例として、5Gの技術仕様に準拠した無線基地局(gNodeB(next generation Node B))があげられる。
【0031】
以下の説明では、信号を基地局装置20から無線端末10に送信するために用いられるリンクを、“下りリンク(言い換えれば、ダウンリンク)”と称する。下りリンクを介して送信される信号は、“下りリンク信号”と称されてもよい。一方で、信号を無線端末10から基地局装置20に送信するために用いられるリンクを、“上りリンク(言い換えれば、アップリンク)”と称する。上りリンクを介して送信される信号は、“上りリンク信号”と称されてもよい。
【0032】
<2-2>無線端末10の構成
続いて、
図4を参照しながら、無線端末10の構成について説明する。
図4は、無線端末10の構成を示すブロック図である。
【0033】
図4に示すように、無線端末10は、無線通信部101と、記憶部102と、処理部103とを備えている。
【0034】
無線通信部101は、基地局装置20と無線通信を行う装置である。基地局装置20と無線通信を行うために、無線通信部101は、例えば、アンテナ及びRF(Radio Frequency)回路等を含んでいてもよい。無線通信部101は、上りリンクを介して、上りリンク信号を含む無線周波数信号を基地局装置20に送信してもよい。無線通信部101は、下りリンクを介して、下りリンク信号を含む無線周波数信号を基地局装置20から受信してもよい。
【0035】
記憶部102は、記録媒体である。尚、記憶部102は、記憶装置と称されてもよい。記憶部102は、典型的には、非一時的な記録媒体であってもよい。一例として、記憶部102は、少なくとも一つのメモリを含んでいてもよい。例えば、記憶部102は、少なくとも一つのメモリとして、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの少なくとも一方を含んでもよい。記憶部102は、無線端末10の各機能を実現するためのコンピュータプログラム(特に、プログラムコード(言い換えれば、インストラクション))を記憶していてもよい。
【0036】
処理部103は、基地局装置20に送信するべき上りリンク信号を含むベースバンド信号を、無線通信部101が送信する無線周波数信号に変換するベースバンド処理を行ってもよい。処理部103は、無線通信部101が受信した無線周波数信号を、基地局装置20から受信した下りリンク信号を含むベースバンド信号に変換するベースバンド処理を行ってもよい。
【0037】
処理部103は、少なくとも一つのプロセッサを含んでいてもよい。例えば、処理部103は、少なくとも一つのプロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びマイクロコントローラのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。処理部103が備える少なくとも一つのプロセッサは、記憶部102に記憶されたプログラムコードを実行することにより、処理部103が行うべき処理(例えば、上述したベースバンド処理)を実行する機能ブロックを実現してもよい。つまり、処理部103が行うべき処理(例えば、上述したベースバンド処理)を実行する機能ブロックが、処理部103が備える少なくとも一つのプロセッサ上で実現されてもよい。
【0038】
<2-3>基地局装置20の構成
続いて、基地局装置20の構成について説明する。
【0039】
<2-3-1>基地局装置20の全体構成
はじめに、
図5を参照しながら、基地局装置20の全体構成について説明する。
図5は、基地局装置20の全体構成を示すブロック図である。
【0040】
図5に示すように、基地局装置20は、制御装置21と、複数の無線装置22とを備えている。
図5に示す例では、基地局装置20は、二つの無線装置22(具体的には、無線装置22-1及び22-2)を備えている。但し、基地局装置20は、三つ以上の無線装置22を備えていてもよい。或いは、基地局装置20は、単一の無線装置22を備えていてもよい。以下の説明では、説明の便宜上、基地局装置20が二つの無線装置22-1及び22-2を備えている例について説明する。尚、以下の説明では、無線装置22-1及び22-2を区別する必要がない場合には、無線装置22-1及び22-2の夫々を、単に無線装置22と称する。
【0041】
制御装置21は、複数の無線端末10と基地局装置20との間の通信を制御可能な装置である。制御装置21は、例えば、集約ノード(CU:Central Unit又はCentralized Unit)であってもよい。言い換えれば、制御装置21は、集約ノードとして機能してもよい。制御装置21は、例えば、分散ノード(DU:Distributed Unit)であってもよい。言い換えれば、制御装置21は、分散ノードとして機能してもよい。この場合、制御装置21は、親局と称されてもよい。但し、制御装置21は、例えば、子局と称されてもよいアンテナユニット又は遠隔ユニット(Ru:Radio Unit又はRemote Unit)の機能の少なくとも一部を備えていてもよい。
【0042】
無線装置22は、制御装置21の制御下で、複数の無線端末10の少なくとも一つと無線通信可能な装置である。具体的には、無線装置22は、ビーム(つまり、電波)Bを用いて、複数の無線端末10の少なくとも一つと無線通信可能である。例えば、無線装置22は、ビームBを用いて、複数の無線端末10の少なくとも一つに、下りリンク信号を含む無線周波数信号を送信してもよい。無線装置22は、ビームBを用いて、複数の無線端末10の少なくとも一つから、上りリンク信号を含む無線周波数信号受信してもよい。
【0043】
無線装置22は、例えば、アンテナユニット又は遠隔ユニット(RU:Radio Unit又はRemote Unit)であってもよい。言い換えれば、無線装置22は、アンテナユニット又は遠隔ユニットとして機能してもよい。無線装置22は、例えば、送受信点(TRP:Transmission and Reception Point)であってもよい。言い換えれば、無線装置22は、送受信点として機能してもよい。無線装置22は、例えば、アクセスポイント(AP:Access Point)であってもよい。言い換えれば、無線装置22は、アクセスポイントとして機能してもよい。基地局装置20が複数の無線装置22を備えている場合には、基地局装置20は、分散アンテナシステム(DAS:Distributed Antenna Systems)として機能してもよい。尚、無線装置22は、アンテナユニット又は遠隔ユニットの機能の一部を備える一方で、アンテナユニット又は遠隔ユニットの機能の他の一部を備えていなくてもよい。
【0044】
複数の無線装置22の少なくとも一つは、制御装置21から物理的に離れた位置に配置されてもよい。この場合、制御装置21は、情報伝送に使用される媒体である伝送路23を介して無線装置22に接続される。伝送路23の一例として、光ファイバ、メタルケーブル及び無線伝搬路の少なくとも一つがあげられる。
図5に示す例では、制御装置21は、伝送路23-1を介して無線装置22-1に接続され、且つ、伝送路23-2を介して無線装置22-2に接続される。制御装置21は、伝送路23-1を介して無線装置22-1と通信する。制御装置21は、伝送路23-2を介して無線装置22-2と通信する。この場合、制御装置21は、複数の無線装置22-1及び22-2を介して複数の無線端末10-1及び10-2と通信する。
【0045】
制御装置21と無線装置22との間の通信に対して、RoF(Radio over Fiber)技術が適用されてもよい。制御装置21と無線装置22との間の通信に対して、CPRI(Common Public Radio Interface)技術が適用されてもよい。制御装置21と無線装置22との間の通信に対して、eCPRI(evolved Common Public Radio Interface)技術が適用されてもよい。
【0046】
無線装置22は、ビームフォーミングを行う。ビームフォーミングは、無線装置22が無線端末10と無線通信するために用いられるビームBの形状及び方向(言い換えれば、角度)の少なくとも一方を制御する技術である。無線装置22は、ビームフォーミングを行うことで、形状及び方向の少なくとも一方が異なる複数のビームBを形成可能である。この場合、無線装置22は、複数のビームBのうちの少なくとも一つを用いて、無線端末10と無線通信してもよい。
図5に示す例では、無線装置22-1は、ビームフォーミングを行うことで、形状及び方向の少なくとも一方が異なるm(尚、mは、2以上の整数を示す変数である)個のビームB(具体的には、ビームB1#1、B1#2、・・・、及びB1#m)を形成可能である。また、
図5に示す例では、無線装置22-2は、ビームフォーミングを行うことで、形状及び方向の少なくとも一方が異なるn(尚、nは、2以上の整数を示す変数である)個のビームB(具体的には、ビームB2#1、B2#2、・・・、及びB2#n)を形成可能である。但し、無線装置22は、ビームフォーミングを行わなくてもよい。
【0047】
複数のビームBは、ビーム番号によって互いに区別されてもよい。ビーム番号は、ビームBの形状及び方向の組み合わせに対して予め割り当てられた識別子である。
図5に示す例では、無線装置22-1は、m個のビーム番号「1#1」、「1#2」、・・・、及び「1#m」が夫々割り当てられたm個のビームBを形成可能である。また、
図5に示す例では、無線装置22-2は、n個のビーム番号「2#1」、「2#2」、・・・、及び「2#n」が夫々割り当てられたn個のビームBを形成可能である。
【0048】
<2-3-2>制御装置21の構成
続いて、
図6を参照しながら、基地局装置20が備える制御装置21の構成について説明する。
図6は、制御装置21の構成を示すブロック図である。
【0049】
図6に示すように、制御装置21は、伝送路インタフェース211と、記憶部212と、処理部213とを備えている。
【0050】
伝送路インタフェース211は、伝送路23を介して無線装置22と通信を行うためのインタフェースである。
【0051】
記憶部212は、記録媒体である。尚、記憶部212は、記憶装置と称されてもよい。記憶部212は、典型的には、非一時的な記録媒体であってもよい。一例として、記憶部212は、少なくとも一つのメモリを含んでいてもよい。記憶部212は、少なくとも一つのメモリとして、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの少なくとも一方を含んでもよい。記憶部212は、制御装置21の各機能を実現するためのコンピュータプログラム(特に、プログラムコード(言い換えれば、インストラクション))を記憶していてもよい。
【0052】
処理部213は、複数の無線装置22を介して複数の無線端末10と通信するための信号処理を行う。
【0053】
処理部213は、少なくとも一つのプロセッサを含んでいてもよい。例えば、処理部213は、少なくとも一つのプロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びマイクロコントローラのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。処理部213が備える少なくとも一つのプロセッサは、記憶部212に記憶されたプログラムコードを実行することにより、処理部213が行うべき処理(例えば、上述した信号処理)を実行する機能ブロックを実現してもよい。つまり、処理部213が行うべき処理(例えば、上述した信号処理)を実行する機能ブロックが、処理部213が備える少なくとも一つのプロセッサ上で実現されてもよい。
【0054】
図6に示すように、処理部213は、処理部213が行うべき処理(例えば、上述した信号処理)を実行する機能ブロックの一例として、無線信号処理部214を備えている。無線信号処理部214は、信号処理の少なくとも一部として、基地局装置20から無線端末10に送信するべき下りリンク信号の送信処理及び基地局装置20が無線端末10から受信した上りリンク信号の受信処理を行う。
【0055】
尚、制御装置21に加えて又は代えて、無線装置22が、無線信号処理部214の機能の一部を備えてもよい。制御装置21に加えて又は代えて、制御装置21から物理的に離れた不図示の他の装置が、無線信号処理部214の機能の一部を備えてもよい。
【0056】
送信処理及び受信処理を行う無線信号処理部214の構成の一例が、
図7に示されている。
図7に示すように、無線信号処理部214は、処理部213が行うべき処理(例えば、上述した信号処理)を実行する機能ブロックの一例として、送信信号処理部215と、受信信号処理部216と、スケジューリング部217とを備えている。
【0057】
送信信号処理部215は、基地局装置20から無線端末10に送信するべき下りリンク信号の送信処理を行う。尚、基地局装置20から無線端末10に送信するべき下りリンク信号は、送信信号と称されてもよい。例えば、送信信号処理部215は、無線端末10へ送信するべき下りリンク信号を生成してもよい。一例として、送信信号処理部215は、下りリンク信号を含むベースバンド信号を生成してもよい。更に、送信信号処理部215は、上記生成された下りリンク信号(ベースバンド信号)を、伝送路インタフェース211及び伝送路23を介して無線装置22に送信してもよい。
【0058】
受信信号処理部216は、基地局装置20が無線端末10から受信した上りリンク信号の受信処理を行う。例えば、受信信号処理部216は、伝送路インタフェース211及び伝送路23を介して、無線装置22によって受信された上りリンク信号を受信する。一例として、受信信号処理部216は、無線装置22によって受信された無線周波数信号を復調することで生成される、上りリンク信号を含むベースバンド信号を受信してもよい。更に、受信信号処理部216は、上りリンク信号(ベースバンド信号)に対して復号化処理及び誤り訂正処理等を行ってもよい。
【0059】
第2実施形態では特に、受信信号処理部216は、基地局装置20と無線端末10との間の通信の成否に関する通信成否情報を取得する。受信信号処理部216は、取得した通信成否情報を、スケジューリング部217に送信する。
【0060】
スケジューリング部217は、無線端末10との通信に使用される無線リソースの割り当てを行う。無線リソースは、通信対象となる無線端末10、アンテナ、ビームB、周波数及び時間等の少なくとも一つを含んでいてもよい。スケジューリング部217は、無線リソースの割り当ての結果を、送信信号処理部215及び受信信号処理部216に送信する。送信信号処理部215は、スケジューリング部217によって割り当てられた無線リソースを用いて、下りリンク信号を無線端末10に送信するように無線装置22を制御してもよい。例えば、送信信号処理部215は、スケジューリング部217によって割り当てられた無線リソースに基づいて、下りリンク信号を無線端末10に送信するために無線装置22が用いるビームBを制御してもよい。更に、受信信号処理部216は、スケジューリング部217によって割り当てられた無線リソースを用いて、上りリンク信号を無線端末10から受信するように無線装置22を制御してもよい。例えば、受信信号処理部216は、スケジューリング部217によって割り当てられた無線リソースに基づいて、上りリンク信号を無線端末10から受信するために無線装置22が用いるビームBを制御してもよい。
【0061】
或いは、スケジューリング部217は、無線リソースの割り当ての結果を、伝送路23を介して無線装置22に送信してもよい。この場合、無線装置22は、スケジューリング部217によって割り当てられた無線リソースを用いて、下りリンク信号を無線端末10に送信してもよい。例えば、無線装置22(例えば、後述する無線通信部224及び処理部223の少なくとも一方)は、スケジューリング部217によって割り当てられた無線リソースに基づいて、下りリンク信号を無線端末10に送信するために無線装置22が用いるビームBを制御してもよい。更に、無線装置22は、スケジューリング部217によって割り当てられた無線リソースを用いて、上りリンク信号を無線端末10から受信してもよい。例えば、無線装置22(例えば、後述する無線通信部224及び処理部223の少なくとも一方)は、スケジューリング部217によって割り当てられた無線リソースに基づいて、上りリンク信号を無線端末10から受信するために無線装置22が用いるビームBを制御してもよい。
【0062】
第2実施形態では特に、スケジューリング部217は、スケジューリング部217の構成を示す
図8に示すように、機能ブロックとして、指標算出部218と、選択部219とを備えている。スケジューリング部217は、指標算出部218及び選択部219を用いて、無線リソースとして、無線装置22の通信対象となる無線端末10と、ビームBとを割り当ててもよい。つまり、スケジューリング部217は、複数の無線端末10及び複数のビームBの中から、通信対象となる少なくとも二つの無線端末10と当該少なくとも二つの無線端末10と通信するために夫々用いられる少なくとも二つのビームBとの組み合わせを選択してもよい。
【0063】
尚、指標算出部218及び選択部219を用いて無線端末10及びビームBの組み合わせを選択する動作については、後に
図10等を参照しながら詳細に説明するが、以下にその概要を簡潔に記載する。
【0064】
指標算出部218は、基地局装置20と無線端末10との間の通信の成否に関する通信成否情報を取得する。更に、指標算出部218は、通信成否情報が成否を示す通信を行った場合に使用されたビームBの組み合わせ(言い換えれば、割り当て)に関するビーム情報を取得する。指標算出部218は、通信成否情報とビーム情報とに基づいて、基地局装置20が利用可能な複数のビームBの間の関係性を示す指標Xを算出する。尚、指標Xの詳細については、後に詳述するため、ここでの説明は省略する。選択部219は、指標算出部218が算出した指標Xに基づいて、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択する。
【0065】
<2-3-3>無線装置22の構成
続いて、
図9を参照しながら、基地局装置20が備える無線装置22の構成について説明する。
図9は、無線装置22の構成を示すブロック図である。
【0066】
図9に示すように、無線装置22は、伝送路インタフェース221と、記憶部222と、処理部223と、無線通信部224とを備えている。
【0067】
伝送路インタフェース221は、伝送路23を介して制御装置21と通信を行うためのインタフェースである。
【0068】
記憶部222は、記録媒体である。尚、記憶部222は、記憶装置と称されてもよい。記憶部222は、典型的には、非一時的な記録媒体であってもよい。一例として、記憶部222は、少なくとも一つのメモリを含んでいてもよい。記憶部222は、少なくとも一つのメモリとして、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの少なくとも一方を含んでもよい。記憶部222は、無線装置22の各機能を実現するためのコンピュータプログラム(特に、プログラムコード(言い換えれば、インストラクション))を記憶していてもよい。
【0069】
処理部223は、伝送路23を介して制御装置21から送信されるベースバンド信号(送信信号)を、無線通信部224が送信する無線周波数信号(下りリング信号)に変換するベースバンド処理を行ってもよい。処理部223は、無線通信部224が受信した無線周波数信号(上りリンク信号)を、ベースバンド信号に変換するベースバンド処理を行ってもよい。
【0070】
上述したように無線装置22がビームフォーミングを行う場合には、処理部223がビームフォーミングを行ってもよい。つまり、処理部223は、無線通信部224が備えるアンテナによって形成されるビームBの形状及び方向(角度)の少なくとも一方を制御してもよい。具体的には、処理部223は、無線周波数信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整することで、ビームBの形状及び方向(角度)の少なくとも一方を制御してもよい。或いは、処理部223は、無線周波数信号の振幅及び位相の少なくとも一方を調整するための処理をベースバンド信号に対して行うことで、ビームBの形状及び方向(角度)の少なくとも一方を制御してもよい。この場合、制御装置21は、無線周波数信号の振幅及び位相の少なくとも一方の指令値を決定し、決定した指令値を処理部223に通知してもよい。処理部223は、無線周波数信号の振幅及び位相の少なくとも一方が指令値と一致するように、無線周波数信号の振幅及び位相の少なくとも一方を制御してもよい。
【0071】
処理部223は、少なくとも一つのプロセッサを含んでいてもよい。例えば、処理部223は、少なくとも一つのプロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphic processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びマイクロコントローラのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。処理部223が備える少なくとも一つのプロセッサは、記憶部222に記憶されたプログラムコードを実行することにより、処理部223が行うべき処理(例えば、上述したベースバンド処理)を実行する機能ブロックを実現してもよい。つまり、処理部223が行うべき処理(例えば、上述したベースバンド処理)を実行する機能ブロックが、処理部223が備える少なくとも一つのプロセッサ上で実現されてもよい。
【0072】
無線通信部224は、無線端末10と無線通信を行う装置である。無線端末10と無線通信を行うために、無線通信部224は、例えば、アンテナ及びRF(Radio Frequency)回路等を含んでいてもよい。無線通信部224は、下りリンクを介して、無線周波数信号(下りリンク信号)を無線端末10に送信してもよい。無線通信部224は、上りリンクを介して無線端末10から送信される無線周波数信号(上りリンク信号)を受信してもよい。
【0073】
上述したように無線装置22がビームフォーミングを行う場合には、無線通信部224は、形状及び方向の少なくとも一方が異なる複数のビームBを夫々形成可能な複数のアンテナを含んでいてもよい。複数のアンテナの夫々は、指向性アンテナであってもよい。指向性アンテナの一例として、レンズアンテナ及びメタマテリアルの少なくとも一つがあげられる。或いは、無線通信部224は、ビームBの形状及び方向の少なくとも一方を制御可能な単一のアンテナを含んでいてもよい。
【0074】
<2-4>無線端末10及びビームBの組み合わせを選択する動作
続いて、スケジューリング部217(特に、指標算出部218及び選択部219)を用いて無線端末10及びビームBの組み合わせを選択する動作について説明する。無線端末10及びビームBの組み合わせを選択する動作は、上述したように、指標算出部218を用いて指標Xを算出する動作(以下、この動作を、“指標算出動作”と称する)と、選択部219を用いて指標Xに基づいて無線端末10及びビームBの組み合わせを選択する動作(以下、この動作を、“組み合わせ選択動作”と称する)とを含む。このため、以下の説明では、指標算出動作と、組み合わせ選択動作とについて順に説明する。
【0075】
尚、以下の説明では、フローチャートに示した処理ステップは、必ずしも図示した順序通りに行われなくてもよい。処理ステップは、図示した順序とは異なる順序で行われてもよい。二つ以上の処理ステップが並列的に行われてもよい。また、一部の処理ステップが削除されてもよい。図示していない処理ステップが更に追加されてもよい。
【0076】
<2-4-1>指標算出動作
はじめに、
図10を参照しながら、指標Xを算出する指標算出動作について説明する。
図10は、指標Xを算出する指標算出動作の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図10に示すように、指標算出部218は、指標Xを算出するために、無線端末10と基地局装置20との通信の成否に関する通信成否情報を取得する(ステップS211)。以下、指標算出部218が通信成否情報を取得する動作の一例について説明する。但し、指標算出部218は、以下に説明する動作とは異なる動作を行うことで、通信成否情報を取得してもよい。
【0078】
まず、指標算出部218は、無線信号処理部214を用いて、通信成否情報を取得するためのテスト通信を行うように、無線装置22を制御してもよい。具体的には、無線信号処理部214は、無線装置22が複数のビームBの夫々を用いて無線端末10と通信するように、無線装置22を制御してもよい。例えば、無線信号処理部214は、無線装置22-1がm個のビームB1#1からB1#mの夫々を用いて無線端末10と通信するように、無線装置22-1を制御してもよい。つまり、無線信号処理部214は、無線装置22-1がm個のビームB1#1からB1#mを順に送信して無線端末10と通信するように、無線装置22-1を制御してもよい。例えば、無線信号処理部214は、無線装置22-2がn個のビームB2#1からB2#nの夫々を用いて無線端末10と通信するように、無線装置22-2を制御してもよい。つまり、無線信号処理部214は、無線装置22-2がn個のビームB2#1からB2#nを順に送信して無線端末10と通信するように、無線装置22-2を制御してもよい。
【0079】
この場合、無線信号処理部214は、無線装置22-1が、ビームB1#p(尚、pは、1以上且つm以下の整数を示す変数)を用いて、無線装置22-1のカバレッジエリア内に位置する無線端末10と通信すると同時に、無線装置22-2が、ビームB2#q(尚、qは、1以上且つn以下の整数を示す変数)を用いて、無線装置22-1のカバレッジエリア内に位置する無線端末10と通信するように無線装置22-1及び22-2を制御するテストスキャン動作を、変数p及び変数qの組み合わせを変更しながら繰り返してもよい。典型的には、無線信号処理部214は、テストスキャン動作を、変数p及び変数qの組み合わせの全ての候補を対象に行ってもよい。
【0080】
テストスキャン動作が行われている期間中に、無線信号処理部214(特に、受信信号処理部216)は、通信成否情報として、下りリンクを介した通信の成否に関する下りリンク情報を取得してもよい。下りリンク情報は、例えば、下りリンク信号に含まれるACK(Acknowledgement)を含んでいてもよい。例えば、下りリンク情報は、m個のビームB1#1からB1#mの夫々を用いて無線装置22-1から無線端末10に送信された信号に対するACKを含んでいてもよい。例えば、下りリンク情報は、n個のビームB2#1からB2#nの夫々を用いて無線装置22-2から無線端末10に送信された信号に対するACKを含んでいてもよい。或いは、下りリンク情報は、例えば、ACKに加えて又は代えて、下りリンク信号に含まれるNACK(Negative Acknowledgement)を含んでいてもよい。例えば、下りリンク情報は、m個のビームB1#1からB1#mの夫々を用いて無線装置22-1から無線端末10に送信された信号に対するNACKを含んでいてもよい。例えば、下りリンク情報は、n個のビームB2#1からB2#nの夫々を用いて無線装置22-2から無線端末10に送信された信号に対するNACKを含んでいてもよい。
【0081】
更に、テストスキャン動作が行われている期間中に、無線信号処理部214(特に、受信信号処理部216)は、通信成否情報として、下りリンク情報に加えて又は代えて、上りリンクを介した通信の成否に関する上りリンク情報を取得してもよい。上りリンク情報を取得するために、受信信号処理部216は、上りリンクを介した通信の成否を判定してもよい。例えば、受信信号処理部216は、複数のビームBの夫々を用いて上りリンク信号の送信を無線端末10に要求すると共に、当該要求に対する無線端末10からの応答の有無に基づいて、上りリンクを介した通信の成否を判定してもよい。一例として、受信信号処理部216は、上りリンク信号の送信を無線端末10に要求すると共に、当該要求に応答して送信される上りリンク信号の受信の有無に基づいて、上りリンクを介した通信の成否を判定してもよい。
【0082】
受信信号処理部216は、取得した通信成否情報を、スケジューリング部217(特に、指標算出部218)に送信する。その結果、指標算出部218は、通信成否情報を取得することができる。
【0083】
指標算出部218は更に、無線端末10と基地局装置20との通信の成否に関する情報を取得するために基地局装置20が用いたビームBの組み合わせに関するビーム情報を取得する(ステップS211)。ビーム情報は、例えば、上述した変数p及び変数qの組み合わせに関する情報を含んでいてもよい。ビーム情報は、例えば、記憶部212に記憶されていてもよい。
【0084】
その後、指標算出部218は、ステップS211において取得された通信成否情報及びビーム情報に基づいて、複数のビームBの間の関係性を示す指標Xを算出する(ステップS212)。
【0085】
第2実施形態では、指標算出部218は、複数のビームBの間の関係性を示す指標Xとして、m個のビームB1#1からB1#mとn個のビームB2#1からB2#nとの間の関係性を示す指標Xを算出してもよい。つまり、指標算出部218は、複数のビームBの間の関係性を示す指標Xとして、ビームB1#pとビームB2#qとの間の関係性を示す指標Xを算出してもよい。例えば、指標算出部218は、ビームB1#1とビームB2#1との関係性を示す指標Xと、ビームB1#1とビームB2#2との関係性を示す指標Xと、・・・、ビームB1#1とビームB2#nとの関係性を示す指標Xと、ビームB1#2とビームB2#1との関係性を示す指標Xと、ビームB1#2とビームB2#2との関係性を示す指標Xと、・・・、ビームB1#2とビームB2#nとの関係性を示す指標Xと、・・・、ビームB1#mとビームB2#1との関係性を示す指標Xと、ビームB1#mとビームB2#2との関係性を示す指標Xと、・・・、ビームB1#mとビームB2#nとの関係性を示す指標Xとの少なくとも一つを算出してもよい。
【0086】
指標算出部218は、ビームB1#pとビームB2#qとの間の関係性を示す指標Xとして、ビームB1#pが接続ビームBcであり且つビームB2#qが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#pとビームB2#qとの間の関係性を示す指標Xを算出してもよい。指標算出部218は、ビームB1#pとビームB2#qとの間の関係性を示す指標Xとして、ビームB2#qが接続ビームBcであり且つビームB1#pが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#pとビームB2#qとの間の関係性を示す指標Xを算出してもよい。尚、接続ビームBcは、一の無線端末10と基地局装置20との間の通信に用いられるビームBである。一方で、干渉ビームBiは、接続ビームBcに干渉するビームBである。つまり、干渉ビームBiは、接続ビームBcを用いて一の無線端末10と基地局装置20との間の通信に行われている状況下で、一の無線端末10とは異なる他の無線端末10と基地局装置20との間の通信に用いられており且つ一の無線端末10が使用するビームB(つまり、接続ビームBc)に干渉するビームBである。
【0087】
指標算出部218が算出する指標Xの一例が、
図11に示されている。
図11に示すように、指標算出部218は、ビームB1#1が接続ビームBcであり且つビームB2#1が干渉ビームBiである状況下でのビームB1#1とビームB2#1との間の関係性を示す指標X(1#1、2#1)と、ビームB1#1が接続ビームBcであり且つビームB2#2が干渉ビームBiである状況下でのビームB1#1とビームB2#2との間の関係性を示す指標X(1#1、2#2)と、・・・、ビームB1#1が接続ビームBcであり且つビームB2#nが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#1とビームB2#nとの間の関係性を示す指標X(1#1、2#n)と、ビームB1#2が接続ビームBcであり且つビームB2#1が干渉ビームBiである状況下でのビームB1#2とビームB2#1との間の関係性を示す指標X(1#2、2#1)と、ビームB1#2が接続ビームBcであり且つビームB2#2が干渉ビームBiである状況下でのビームB1#2とビームB2#2との間の関係性を示す指標X(1#2、2#2)と、・・・、ビームB1#2が接続ビームBcであり且つビームB2#nが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#2とビームB2#nとの間の関係性を示す指標X(1#2、2#n)と、・・・、ビームB1#mが接続ビームBcであり且つビームB2#1が干渉ビームBiである状況下でのビームB1#mとビームB2#1との間の関係性を示す指標X(1#m、2#1)と、ビームB1#mが接続ビームBcであり且つビームB2#2が干渉ビームBiである状況下でのビームB1#mとビームB2#2との間の関係性を示す指標X(1#m、2#2)と、・・・、ビームB1#mが接続ビームBcであり且つビームB2#nが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#mとビームB2#nとの間の関係性を示す指標X(1#m、2#n)との少なくとも一つを算出してもよい。更に、
図11に示すように、指標算出部218は、ビームB2#1が接続ビームBcであり且つビームB1#1が干渉ビームBiである状況下でのビームB2#1とビームB1#1との間の関係性を示す指標X(2#1、1#1)と、ビームB2#1が接続ビームBcであり且つビームB1#2が干渉ビームBiである状況下でのビームB2#1とビームB1#2との間の関係性を示す指標X(2#1、1#2)と、・・・、ビームB2#1が接続ビームBcであり且つビームB1#nが干渉ビームBiである状況下でのビームB2#1とビームB1#mとの間の関係性を示す指標X(2#1、1#m)と、・・・、ビームB2#nが接続ビームBcであり且つビームB1#1が干渉ビームBiである状況下でのビームB2#nとビームB1#1との間の関係性を示す指標X(2#n、1#1)と、ビームB2#nが接続ビームBcであり且つビームB1#2が干渉ビームBiである状況下でのビームB2#nとビームB1#2との間の関係性を示す指標X(2#n、1#2)と、・・・、ビームB2#nが接続ビームBcであり且つビームB1#mが干渉ビームBiである状況下でのビームB2#nとビームB1#mとの間の関係性を示す指標X(2#n、1#m)との少なくとも一つを算出してもよい。
【0088】
指標Xは、複数のビームBの間の干渉の程度を示していてもよい。例えば、指標Xは、接続ビームBcと干渉ビームBiとの間の干渉の程度を示していてもよい。例えば、指標Xは、接続ビームBcに対する干渉ビームBiの干渉の程度を示していてもよい。例えば、指標Xは、接続ビームBcを用いた通信に対する干渉ビームBiを用いた通信の干渉の程度を示していてもよい。特に、指標Xは、複数のビームBの間の干渉の程度を定量的に示していてもよい。例えば、指標Xは、接続ビームBcと干渉ビームBiとの間の干渉の程度を定量的に示していてもよい。例えば、指標Xは、接続ビームBcに対する干渉ビームBiの干渉の程度を定量的に示していてもよい。干渉の程度の一例として、干渉量があげられる。
【0089】
この場合、接続ビームBcと干渉ビームBiとの間の干渉の程度が大きくなるほど、接続ビームBcを用いた通信が失敗する可能性が高くなる。このため、指標算出部218は、通信成否情報が示す接続ビームBcを用いた通信の成否結果が悪化すればするほど、接続ビームBc及び干渉ビームBiの組み合わせに対応する指標Xが大きくなるように、指標Xを算出してもよい。指標算出部218は、通信成否情報が示す接続ビームBcを用いた通信の成否結果が良好になればなるほど、接続ビームBc及び干渉ビームBiの組み合わせに対応する指標Xが小さくなるように、指標Xを算出してもよい。
【0090】
接続ビームBcと干渉ビームBiとの間の干渉の程度を示す指標Xの一例として、誤り率があげられる。誤り率の一例として、上述した下りリンク情報(例えば、Ack又はNack)から算出可能なブロックエラーレート(BLER:Block Error Rate)、ビットエラーレート(BER:Bit Error Rate)及びパケットエラーレート(PER:Packet Error Rate)の少なくとも一つがあげられる。この場合、指標算出部218は、下りリンク信号に基づいて、誤り率(特に、下りリンクにおける誤り率)を指標Xとして算出してもよい。
【0091】
以下の説明では、説明の便宜上、下りリンク情報から算出される誤り率が指標Xとして用いられる例について説明する。この場合、通信成否情報が示す接続ビームBcを用いた通信の成否結果が悪化すればするほど、接続ビームBc及び干渉ビームBiの組み合わせに対応する指標X(つまり、誤り率)が大きくなる。
【0092】
指標算出部218は、下りリンク情報に加えて又は代えて、上りリンク情報に基づいて、誤り率(特に、上りリンクにおける誤り率)を指標Xとして算出してもよい。この場合も、指標算出部218は、上りリンク情報に基づいて、ブロックエラーレート、ビットエラーレート及びパケットエラーレートの少なくとも一つを、指標Xとして算出してもよい。
【0093】
指標算出部218は、下りリンクにおける指標Xと、上りリンクにおける指標Xとを別々に算出してもよい。或いは、指標算出部218は、下りリンクと上りリンクとを区別することなく、下りリンク及び上りリンクに共通する指標Xを算出してもよい。下りリンク及び上りリンクに共通する指標Xは、下りリンクにおける指標Xと上りリンクにおける指標Xとを用いた演算によって得られる指標Xであってもよい。一例として、下りリンク及び上りリンクに共通する指標Xは、下りリンクにおける指標Xと上りリンクにおける指標Xとの総和又は平均であってもよい。或いは、指標算出部218は、下りリンクにおける指標X及び上りリンクにおける指標Xのいずれか一方を算出する一方で、下りリンクにおける指標X及び上りリンクにおける指標Xのいずれか他方を算出しなくてもよい。
【0094】
指標算出部218は、通信成否情報に加えて又は代えて、ビームB1#pとビームB2#qとの干渉の度合いを推定し、干渉の度合いの推定結果に基づいて、ビームB1#pとビームB2#qとの間の関係性を示す指標Xを算出してもよい。例えば、ビームB1#p及びビームB2#qの夫々の方向に基づいて、ビームB1#pとビームB2#qとの干渉の度合いを推定してもよい。一例として、ビームB1#pの方向が、無線装置22-2が存在する方向とは反対方向であり、且つ、ビームB2#qの方向が、無線装置22-1が存在する方向とは反対方向である場合には、指標算出部218は、ビームB1#pとビームB2#qとの干渉の度合いがゼロである(つまり、干渉量がゼロ)であると推定してもよい。つまり、ビームB1#pが、無線装置22-2が存在する方向とは反対方向に向けて無線装置22-1から送信されており、且つ、ビームB2#qが、無線装置22-1が存在する方向とは反対方向に向けて無線装置22-2から送信されている場合には、指標算出部218は、ビームB1#pとビームB2#qとの干渉の度合いがゼロである(つまり、干渉量がゼロ)であると推定してもよい。この場合、指標算出部218は、通信成否情報を用いてビームB1#pとビームB2#qとの間の関係性を示す指標Xを算出することなく、当該指標X(例えば、誤り率)をゼロに設定してもよい。
【0095】
指標算出部218は、通信成否情報及びビーム情報が取得されるたびに、指標Xを逐次算出してもよい。或いは、指標算出部218は、取得した通信成否情報及びビーム情報を蓄積しておき、蓄積された通信成否情報及びビーム情報を用いて、複数の指標Xをまとめて算出してもよい。ビームB1#pとビームB2#qとの間の関係性を示す指標Xが既に算出済みである状況下で同じビームB1#p及びビームB2#qを用いた通信の成否に関する通信成否情報及びビーム情報が取得された場合には、指標算出部218は、指標Xを新たに算出することで、算出済みの指標Xを更新してもよい。
【0096】
<2-4-2>組み合わせ選択動作
続いて、
図12を参照しながら、指標算出動作によって算出された指標Xに基づいて無線端末10及びビームBの組み合わせを選択する組み合わせ選択動作について説明する。
図12は、指標Xに基づいて無線端末10及びビームBの組み合わせを選択する組み合わせ選択動作の流れを示すフローチャートである。
【0097】
図12に示すように、選択部219は、指標算出部218から指標Xを取得する(ステップS220)。或いは、指標算出部218が、算出した指標Xを記憶部212に記憶させている場合には、選択部219は、記憶部212から指標Xを取得してもよい。
【0098】
ステップS220の処理と並行して又は相前後して、選択部219は、複数の無線端末10及び複数のビームBの中から、基地局装置20の通信対象となる一つの無線端末10及び当該一つの無線端末10と通信するために用いる一つのビームBの組み合わせを選択する(ステップS221)。以下の説明では、ステップS221において、選択部219が、無線装置22-1の通信対象となる無線端末10と、当該無線端末10と通信するために無線装置22-1が用いるビームBとの組み合わせを選択する例について説明する。特に、以下の説明では、ステップS221において、選択部219が、無線装置22-1が用いるビームBとして、ビームB1#i(尚、iは、1以上且つm以下の整数を示す変数である)を選択する例について説明する。
【0099】
ステップS221では、選択部219は、既存の端末選択方法及び既存のビーム選択方法を用いて、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択してもよい。例えば、ステップS221において、選択部219は、特許文献1から特許文献4の少なくとも一つに記載された端末選択方法及びビーム選択方法を用いて、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択してもよい。一例として、ステップS221において、選択部219は、無線装置22-1からの受信電力が最大となる又は所定の電力閾値よりも高くなる無線端末10及びビームBの組み合わせを選択してもよい。
【0100】
その後、選択部219は、複数の無線端末10及び複数のビームBの中から、基地局装置20の通信対象となる新たな一つの無線端末10及び当該新たな一つの無線端末10と通信するために用いる新たな一つのビームBの組み合わせを仮選択する(ステップS222)。上述したように、ステップS221において無線装置22-1の通信対象となる無線端末10が選択されているため、ステップS222では、選択部219は、無線装置22-2の通信対象となる無線端末10と、当該無線端末10と通信するために無線装置22-2が用いるビームBとの組み合わせを仮選択する。尚、以下の説明では、ステップS222において、選択部219が、無線装置22-2が用いるビームBとして、ビームB2#j(尚、jは、1以上且つn以下の整数を示す変数である)を仮選択する例について説明する。
【0101】
ステップS222においても、ステップS221と同様に、選択部219は、既存の端末選択方法及び既存のビーム選択方法を用いて、無線端末10及びビームBの組み合わせを仮選択してもよい。例えば、ステップS222において、選択部219は、特許文献1から特許文献4の少なくとも一つに記載された端末選択方法及びビーム選択方法を用いて、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択してもよい。一例として、ステップS222において、選択部219は、無線装置22-2からの受信電力が最大となる又は所定の電力閾値よりも高くなる無線端末10及びビームBの組み合わせを選択してもよい。但し、ステップS222において、選択部219は、既に選択済みの無線端末10及びビームBを選択することはない。
【0102】
その後、選択部219は、指標Xに基づく所定の選択条件が満たされているか否かを判定する(ステップS223)。指標Xに基づく所定の選択条件の一例として、ステップS221において選択されたビームB及びステップS222において選択されたビームBの組み合わせに対応する指標X(例えば、誤り率)が所定の閾値未満であるという条件があげられる。
【0103】
具体的には、上述したように、ステップS221においてビームB1#iが選択され、且つ、ステップS222においてビームB2#jが選択されている。この場合、選択条件は、ビームB1#i及びビームB2#jの組み合わせに対応する指標Xが所定の閾値未満であるという条件を含んでいてもよい。
【0104】
上述したように、ビームB1#i及びビームB2#jの組み合わせに対応する指標Xは、ビームB1#iが接続ビームBcであり且つビームB2#jが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#iとビームB2#jとの間の関係性を示す指標X(1#i、2#j)を含む。このため、選択条件は、指標X(1#i、2#j)が所定の閾値未満であるという条件を含んでいてもよい。
【0105】
上述したように、ビームB1#i及びビームB2#jの組み合わせに対応する指標Xは、ビームB2#jが接続ビームBcであり且つビームB1#iが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#iとビームB2#jとの間の関係性を示す指標X(2#j、1#i)を含む。このため、選択条件は、指標X(2#j、1#i)が所定の閾値未満であるという条件を含んでいてもよい。
【0106】
尚、以下の説明では、選択条件が、指標X(i、j)及び指標X(j、i)の双方が所定の閾値未満であるという条件である例について説明する。但し、選択条件は、指標X(i、j)が所定の閾値未満であるという条件であってもよい。つまり、選択条件は、指標X(j、i)とは無関係な条件であってもよい。或いは、選択条件は、指標X(j、i)が所定の閾値未満であるという条件であってもよい。つまり、選択条件は、指標X(i、j)とは無関係な条件であってもよい。
【0107】
ステップS223における判定の結果、選択条件が満たされていると判定された場合には(ステップS223:Yes)、選択部219は、ステップS222において仮選択された無線端末10及びビームBを、基地局装置20の通信対象となる新たな無線端末10及び当該新たなの無線端末10と通信するために用いる新たなのビームBとして最終選択する(ステップS224)。つまり、選択部219は、ステップS222において仮選択された無線端末10及びビームBを、基地局装置20の通信対象となる新たな無線端末10及び当該新たな無線端末10と通信するために用いる新たなビームBとして最終決定する(ステップS224)。
【0108】
他方で、ステップS223における判定の結果、選択条件が満たされていないと判定された場合には(ステップS223:No)、選択部219は、ステップS222において仮選択された無線端末10及びビームBを、基地局装置20の通信対象となる無線端末10及び当該無線端末10と通信するために用いるビームBとして最終選択しない。つまり、選択部219は、ステップS222における無線端末10及びビームBの仮選択を取り消す。
【0109】
その後、選択部219は、組み合わせ選択動作を終了するために満たすべき所定の終了条件が満たされているか否かを判定する(ステップS225)。終了条件は、ステップS221及びステップS224において選択された無線端末10の数が所定数に達したという条件を含んでいてもよい。終了条件は、無線通信システム1が備える複数の無線端末10のうちステップS221で選択された無線端末10を除く残りの無線端末10の全てが、ステップS222において仮選択されたという条件を含んでいてもよい。
【0110】
ステップS225における判定の結果、終了条件が満たされていないと判定された場合には(ステップS225:No)、選択部219は、ステップS222からステップS225までの処理を再度行う。つまり、選択部219は、無線端末10とビームBとの新たな組み合わせを仮選択し(ステップS222)、仮選択された新たな組み合わせに対応する指標Xに基づく所定の選択条件が満たされているか否かを判定する(ステップS223)。
【0111】
他方で、ステップS225における判定の結果、終了条件が満たされていると判定された場合には(ステップS225:Yes)、選択部219は、
図12に示す組み合わせ選択動作を終了する。
【0112】
<2-3>無線通信システム1の技術的効果
以上説明したように、第2実施形態の無線通信システム1では、制御装置21は、複数のビームBの間の関係性を示す指標Xに基づいて、通信対象となる少なくとも一つの無線端末10及び通信に用いる少なくとも一つのビームBの組み合わせを選択する。具体的には、例えば、制御装置21は、指標X(例えば、誤り率)に基づいて、誤り率が所定の閾値よりも小さくなるように、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択することができる。ここで、典型的には、無線装置22-1が用いるビームBと無線装置22-2が用いるビームBとの干渉の程度が大きくなるほど、指標X(例えば、誤り率)が大きくなる。このため、制御装置21は、実質的には、指標Xに基づいて、無線装置22-1が用いるビームBと無線装置22-2が用いるビームBとの干渉の程度が小さくなるように、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択することができる。つまり、制御装置21は、実質的には、指標Xに基づいて、無線装置22-1が用いるビームBと無線装置22-2が用いるビームBとの干渉を低減するように、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択することができる。このため、指標Xを用いることなく無線端末10及びビームBの組み合わせが選択される比較例の制御装置と比較して、制御装置21は、複数の無線端末10と通信するために用いられる複数のビームBの干渉を低減するように、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択することができる。つまり、制御装置21は、複数の無線端末10と通信するために用いられる複数のビームBの干渉を低減することができる。
【0113】
特に、第2実施形態における制御装置21は、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択するために、複数のビームBを用いた複数の無線端末10の通信環境が見通し内環境であると仮定して複数の無線端末10の位置を推定しなくてもよい。このため、制御装置21は、複数のビームBを用いた複数の無線端末10の通信環境が見通し外環境である場合であっても、複数の無線端末10と通信するために用いられる複数のビームBの干渉を低減することができる。
【0114】
<3>無線通信システム1の変形例
続いて、無線通信システム1の変形例について説明する。尚、以下の変形例は、第1実施形態の制御装置1000に対しても適用されてもよい。
【0115】
<3-1>第1変形例
上述した説明では、制御装置21(特に、選択部219)は、
図12のステップS224において、指標X(1#i、2#j)及び指標X(2#j、1#i)の少なくとも一方が所定の閾値未満であるという選択条件を満たす無線端末10及びビームBの組み合わせを選択している。一方で、第1変形例では、
図12のステップS224において、選択部219は、指標X(1#i、2#j)及び指標X(2#j、1#i)の少なくとも一方が低い無線端末10及びビームBの組み合わせを優先的に選択してもよい。
【0116】
例えば、選択部219は、指標X(1#i、2#j)が低い無線端末10及びビームBの組み合わせを優先的に選択してもよい。例えば、選択部219は、指標X(2#j、1#i)が低い無線端末10及びビームBの組み合わせを優先的に選択してもよい。例えば、選択部219は、指標X(1#i、2#j)と指標X(2#j、1#i)との総和が低い無線端末10及びビームBの組み合わせを優先的に選択してもよい。
【0117】
このような第1変形例においても、制御装置21は、複数の無線端末10と通信するために用いられる複数のビームBの干渉を低減することができる。
【0118】
<3-2>第2変形例
第2変形例では、指標算出部218は、接続ビームBcと干渉ビームBiとの関係性を示す指標Xを、接続ビームBcを用いた通信が行われる位置毎に算出してもよい。尚、接続ビームBcを用いた通信が行われる位置は、接続ビームBcを用いて基地局装置20と通信を行う無線端末10の位置を意味していてもよい。特に、接続ビームBcを用いた通信が行われる位置は、接続ビームBcを用いて無線端末10と通信を行う無線装置22のカバレッジエリア内での無線端末10の位置を意味していてもよい。以下の説明では、接続ビームBcを用いた通信が行われる位置を、単に“通信位置”と称する。
【0119】
通信位置毎に指標Xを算出するために、指標算出部218は、通信位置に基づいて複数の位置グループを設定し、算出した指標Xを、複数の位置グループの少なくとも一つに関連付けてもよい。つまり、指標算出部218は、位置グループ毎に指標Xを算出してもよい。一例として、指標算出部218は、無線装置22のカバレッジエリア内の第1の領域に対応する第1の位置グループと、無線装置22のカバレッジエリア内の第1の領域とは異なる第2の領域に対応する第2の位置グループとを設定してもよい。カバレッジエリア内の第1の領域は、カバレッジエリアの中央付近の領域を含んでいてもよい。カバレッジエリア内の第2の領域は、カバレッジエリアの端付近の領域を含んでいてもよい。この場合、指標算出部218は、カバレッジエリアの第1の領域に位置する無線端末10との通信の可否に関する通信可否情報に基づいて、第1の位置グループに関連付けられる指標Xを算出してもよい。一方で、指標算出部218は、カバレッジエリアの第2の領域に位置する無線端末10との通信の可否に関する通信可否情報に基づいて、第2の位置グループに関連付けられる指標Xを算出してもよい。
【0120】
指標算出部218は、複数の位置グループに夫々対応する複数の領域の面積が同じ面積となるように、複数の位置グループを設定してもよい。例えば、指標算出部218は、上述した第1の位置グループに対応する第1の領域の面積と上述した第2の位置グループに対応する第2の領域の面積とが同じになるように、複数の位置グループを設定してもよい。尚、第2変形例における「二つの領域の面積が同じになる」状態は、「二つの領域の面積が完全に同じになる」状態を含んでいてもよい。第2変形例における「二つの領域の面積が同じになる」状態は、「二つの領域の面積が完全に同じではないものの、二つの領域の面積の差分が許容量以下になる」状態を含んでいてもよい。
【0121】
指標算出部218は、複数の位置グループの間での指標Xの差分に基づいて、複数の位置グループを設定してもよい。例えば、指標算出部218は、複数の位置グループの間での指標Xの差分に基づいて、カバレッジエリアを複数の領域に分割することで、複数の領域に夫々対応する複数の位置グループを設定してもよい。例えば、指標算出部218は、複数の位置グループの間での指標Xの差分に基づいて、一の位置グループに対応するカバレッジエリア内の一の領域を更に複数の領域に分割することで、一の位置グループを更に複数の位置グループを分割してもよい。例えば、指標算出部218は、複数の位置グループの間での指標Xの差分に基づいて、少なくとも二つ位置グループを結合して新たな一つの位置グループを生成してもよい。
【0122】
通信位置毎に指標Xを算出するために、指標算出部218は、無線端末10から、無線端末10の位置に関する情報(つまり、通信位置に関する情報)を取得してもよい。例えば、指標算出部218は、無線端末10がGPS(Global Positioning System)を用いて取得した無線端末10の位置に関する情報を取得してもよい。例えば、指標算出部218は、無線端末10がGPSとは異なる位置計測システムを用いて取得した無線端末10の位置に関する情報を取得してもよい。
【0123】
選択部219は、
図12のステップS223において、
図12のステップS222において仮選択された無線端末10の位置(通信位置)に対応する位置グループに関連付けられた指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。例えば、ステップS222において仮選択された無線端末10がカバレッジエリアの中央付近の領域に位置する場合には、選択部219は、カバレッジエリアの中央付近の領域に対応する位置グループに関連付けられた指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。例えば、ステップS222において仮選択された無線端末10がカバレッジエリアの端付近の領域に位置する場合には、選択部219は、カバレッジエリアの端付近の領域に対応する位置グループに関連付けられた指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。
【0124】
選択部219は、
図12のステップS223において、
図12のステップS221において選択された無線端末10の位置(通信位置)に対応する位置グループに関連付けられた指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。例えば、ステップS221において選択された無線端末10がカバレッジエリアの中央付近の領域に位置する場合には、選択部219は、カバレッジエリアの中央付近の領域に対応する位置グループに含まれる指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。例えば、ステップS221において選択された無線端末10がカバレッジエリアの端付近の領域に位置する場合には、選択部219は、カバレッジエリアの端付近の領域に対応する位置グループに含まれる指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。
【0125】
ここで、カバレッジエリア内の位置によって、接続ビームBcに干渉する干渉ビームBiが変わる可能性がある。例えば、カバレッジエリアの中央付近の領域に位置する無線端末10が用いる接続ビームBcに干渉する干渉ビームBiは、カバレッジエリアの端付近の領域に位置する無線端末10が用いる接続ビームBcに干渉する干渉ビームBiと異なる可能性がある。そうすると、第2変形例では、指標算出部218は、通信位置毎に指標Xを算出することで、複数のビームBの間の干渉の程度をより高精度に示す指標Xを算出することができる。その結果、制御装置21は、複数の無線端末10と通信するために用いられる複数のビームBの干渉をより一層低減することができる。
【0126】
<3-3>第3変形例
第3変形例では、指標算出部218は、接続ビームBcと干渉ビームBiとの関係性を示す指標Xを、接続ビームBcの受信品質毎に算出してもよい。つまり、第3変形例は、第2変形例と比較して、通信位置に加えて又は代えて、接続ビームBcの受信品質毎に指標Xが算出されるという点で異なる。第3変形例のその他の特徴は、第2変形例のその他の特徴と同一であってもよい。このため、第3変形例の詳細な説明は省略するが、以下にその概要を簡単に説明する。
【0127】
受信品質毎に指標Xを算出するために、指標算出部218は、受信品質に基づいて複数の受信品質グループを設定し、算出した指標Xを、複数の受信品質グループの少なくとも一つに関連付けてもよい。つまり、指標算出部218は、受信品質グループ毎に指標Xを算出してもよい。一例として、指標算出部218は、第1の品質範囲に収まる受信品質に対応する第1の受信品質グループと、第1の品質範囲とは異なる第2の品質範囲に収まる受信品質に対応する第2の受信品質グループとを設定してもよい。この場合、指標算出部218は、第1の品質範囲に収まる受信品質の接続ビームBcを用いた無線端末10との通信の可否に関する通信可否情報に基づいて、第1の受信品質グループに関連付けられる指標Xを算出してもよい。一方で、指標算出部218は、第2の品質範囲に収まる受信品質の接続ビームBcを用いた無線端末10との通信の可否に関する通信可否情報に基づいて、第2の受信品質グループに関連付けられる指標Xを算出してもよい。
【0128】
指標算出部218は、複数の受信品質グループの間での受信品質の差分が同じになるように、複数の受信品質グループを設定してもよい。例えば、指標算出部218は、第1の受信品質グループに対応する受信品質及び第2の受信品質グループに対応する受信品質の差分と、第1の受信品質グループに対応する受信品質及び第3の受信品質グループに対応する受信品質の差分と、第2の受信品質グループに対応する受信品質及び第3の受信品質グループに対応する受信品質の差分とが同じになるように、複数の受信品質グループを設定してもよい。尚、第3変形例における「二つの差分が同じになる」状態は、「二つの差分が完全に同じになる」状態を含んでいてもよい。第3変形例における「二つの差分が同じになる」状態は、「二つの差分が完全に同じではないものの、二つの差分の違いが許容量以下になる」状態を含んでいてもよい。
【0129】
指標算出部218は、複数の受信品質グループの間での指標Xの差分に基づいて、複数の受信品質グループを設定してもよい。例えば、指標算出部218は、複数の受信品質グループの間での指標Xの差分に基づいて、一の受信品質グループを更に複数の受信品質グループを分割してもよい。例えば、指標算出部218は、複数の受信品質グループの間での指標Xの差分に基づいて、少なくとも二つ受信品質グループを結合して新たな一つの受信品質グループを生成してもよい。
【0130】
受信品質毎に指標Xを算出するために、指標算出部218は、無線端末10から、接続ビームBcの受信品質に関する情報を取得してもよい。例えば、無線端末10は、無線装置22から送信される参照信号を用いて、接続ビームBcの受信品質を算出してもよい。受信品質の一例として、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)及びSINR(Signal to Inteference plus Noise Ratio)のうちの少なくとも一つがあげられる。無線端末10は、接続ビームBcの受信品質の算出結果を、基地局装置20に送信してもよい。その結果、指標算出部218は、接続ビームBcの受信品質に関する情報を取得することができる。
【0131】
選択部219は、
図12のステップS223において、
図12のステップS222において仮選択された無線端末10と通信するために用いる接続ビームBcの受信品質に対応する受信品質グループに関連付けられた指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。同様に、選択部219は、
図12のステップS223において、
図12のステップS221において選択された無線端末10と通信するために用いる接続ビームBcの受信品質に対応する受信品質グループに関連付けられた指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。
【0132】
ここで、カバレッジエリア内の位置によって、接続ビームBcの受信品質が変わる可能性がある。例えば、カバレッジエリアの中央付近の領域に位置する無線端末10が用いる接続ビームBcの受信品質は、カバレッジエリアの端付近の領域に位置する無線端末10が用いる接続ビームBcの受信品質と異なる可能性がある。その結果、カバレッジエリア内の位置によって、接続ビームBcに干渉する干渉ビームBiが変わる可能性がある。そうすると、第3変形例では、指標算出部218は、受信品質毎に指標Xを算出することで、複数のビームBの間の干渉の程度をより高精度に示す指標Xを算出することができる。その結果、制御装置21は、複数の無線端末10と通信するために用いられる複数のビームBの干渉をより一層低減することができる。
【0133】
<3-4>第4変形例
第4変形例では、指標算出部218は、接続ビームBcと干渉ビームBiとの関係性を示す指標Xを、複数のビームBの受信品質毎に算出してもよい。つまり、第4変形例は、第3変形例と比較して、接続ビームBcの受信品質に加えて又は代えて、複数のビームBの受信品質毎に指標Xが算出されるという点で異なる。第4変形例のその他の特徴は、第3変形例のその他の特徴と同一であってもよい。このため、第4変形例の詳細な説明は省略するが、以下にその概要を簡単に説明する。
【0134】
複数のビームBの受信品質毎に指標Xを算出するために、第4変形例においても、第3変形例と同様に、指標算出部218は、受信品質に基づいて複数の受信品質グループを設定し、算出した指標Xを、複数の受信品質グループの少なくとも一つに関連付けてもよい。一例として、指標算出部218は、複数のビームBの受信品質の特徴量が第1の特徴量範囲に収まる第1の受信品質グループと、複数のビームBの受信品質の特徴量が第1の特徴量範囲とは異なる第2の特徴量範囲に収まる第2の品質範囲とは異なる第2の品質範囲に収まる受信品質に対応する第2の受信品質グループとを設定してもよい。
【0135】
複数のビームBの受信品質毎に指標Xを算出するために、指標算出部218は、基地局装置20が一の無線端末10と通信している期間中の複数のビームBの受信品質と、複数の受信品質グループの夫々に対応する受信品質との類似度を算出してもよい。類似度の一例として、複数のビームBの受信品質をベクトル要素として有する(m+n)次元のベクトルのコサイン類似度があげられる。尚、複数のビームBの中に、受信品質が算出されていないビームBが含まれている場合には、当該ビームBの受信品質は、所定値(例えば、ゼロ又はゼロとは異なる値)とみなしてもよい。その後、指標算出部218は、当該一の無線端末10との通信の可否に関する通信可否情報に基づいて算出した指標Xを、類似度が最も高い一の受信品質グループに関連付けてもよい。
【0136】
指標算出部218は、教師なし学習の一例であるクラスタリングを行うことで、複数の受信品質グループを設定してもよい。例えば、指標算出部218は、複数のビームBの受信品質を含むサンプル情報を複数取得し、当該複数のサンプル情報をクラスタリングによって分類してもよい。この場合、クラスタリングによって分類された各クラスタが、受信品質グループとして用いられてもよい。
【0137】
指標算出部218は、複数の受信品質グループの間での指標Xの差分に基づいて、複数の受信品質グループを設定してもよい。例えば、指標算出部218は、複数の受信品質グループの間での指標Xの差分に基づいて、一の受信品質グループを更に複数の受信品質グループを分割してもよい。例えば、指標算出部218は、複数の受信品質グループの間での指標Xの差分に基づいて、少なくとも二つ受信品質グループを結合して新たな一つの受信品質グループを生成してもよい。
【0138】
受信品質毎に指標Xを算出するために、指標算出部218は、無線端末10から、複数のビームBの受信品質に関する情報を取得してもよい。例えば、無線端末10は、無線装置22から送信される参照信号を用いて、複数のビームBの受信品質を算出してもよい。受信品質の一例として、RSRP(Reference Signal Received Power)、RSRQ(Reference Signal Received Quality)及びSINR(Signal to Inteference plus Noise Ratio)のうちの少なくとも一つがあげられる。無線端末10は、複数のビームBの受信品質の算出結果を、基地局装置20に送信してもよい。その結果、指標算出部218は、複数のビームBの受信品質に関する情報を取得することができる。
【0139】
選択部219は、
図12のステップS223において、その時点での複数のビームBの受信品質に対応する受信品質グループに関連付けられた指標Xを用いて、選択条件が満たされているか否かを判定してもよい。
【0140】
このような第4変形例では、指標算出部218は、複数のビームBの受信品質が類似している領域毎に、指標Xを算出することができる。このため、指標算出部218は、複数のビームBの間の干渉の程度をより高精度に示す指標Xを算出することができる。その結果、制御装置21は、複数の無線端末10と通信するために用いられる複数のビームBの干渉をより一層低減することができる。
【0141】
<3-5>第5変形例
上述した説明では、指標算出部218は、誤り率を指標Xの一例として算出している。第5変形例では、指標算出部218は、誤り率とは異なる指標Xを算出してもよい。例えば、指標算出部218は、誤り率の逆数を指標Xとして算出してもよい。例えば、指標算出部218は、通信の成功率を指標Xとして算出してもよい。例えば、指標算出部218は、単位時間当たりの誤りの数を指標Xとして算出してもよい。
【0142】
単位時間当たりの誤りの数が指標Xとして用いられる場合には、誤り率が指標Xとして用いられる場合と同様に、指標Xは、無線装置22-1が用いるビームBと無線装置22-2が用いるビームBとの干渉の程度が大きくなるほど、大きくなる。このため、単位時間当たりの誤りの数が指標Xとして用いられる場合には、誤り率が指標Xとして用いられる場合と同様に、選択部219は、指標X(i、j)及び指標X(j、i)の双方が所定の閾値より小さいという選択条件を用いて、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択してもよい。或いは、選択部219は、指標X(i、j)及び指標X(j、i)の少なくとも一方が低い無線端末10及びビームBの組み合わせを優先的に選択してもよい。
【0143】
一方で、誤り率の逆数及び通信の成功率の少なくとも一方が指標Xとして用いられる場合には、誤り率が指標Xとして用いられる場合とは異なり、指標Xは、無線装置22-1が用いるビームBと無線装置22-2が用いるビームBとの干渉の程度が大きくなるほど、小さくなる。この場合には、選択部219は、指標X(i、j)及び指標X(j、i)の双方が所定の閾値より大きいという選択条件を用いて、無線端末10及びビームBの組み合わせを選択してもよい。或いは、選択部219は、指標X(i、j)及び指標X(j、i)の少なくとも一方が高い無線端末10及びビームBの組み合わせを優先的に選択してもよい。
【0144】
<3-6>第6変形例
制御装置21は、通信量に応じて、無線端末10との通信に用いるビームBの数を変更してもよい。一例として、制御装置21は、通信量が第1の量である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの数が、通信量が第1の量よりも少ない第2量である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの数よりも多くなるように、無線端末10との通信に用いるビームBの数を変更してもよい。
【0145】
無線端末10との通信に用いるビームBの数が変更される場合、指標算出部218は、無線端末10との通信に用いるビームBの数毎に指標Xを算出してもよい。つまり、指標算出部218は、第2変形例で説明した通信位置毎に指標Xを算出する場合と同様に、ビームBの数毎に指標Xを算出してもよい。
【0146】
制御装置21は、通信量に応じて、無線端末10との通信に用いる少なくとも一つのビームBの形状を変更してもよい。一例として、制御装置21は、通信量が第1の量である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの幅が、通信量が第1の量よりも多い第3の量である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの幅よりも太くなるように、無線端末10との通信に用いるビームBの形状を変更してもよい。
【0147】
制御装置21は、無線端末10との通信に用いるビームBの数に応じて、無線端末10との通信に用いる少なくとも一つのビームBの形状を変更してもよい。一例として、制御装置21は、無線端末10との通信に用いるビームBの数が第1の数である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの幅が、無線端末10との通信に用いるビームBの数が第1の数よりも多い第3の数である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの幅よりも太くなるように、無線端末10との通信に用いるビームBの形状を変更してもよい。
【0148】
ビームBの形状が変更される場合、指標算出部218は、ビームBの形状毎に指標Xを算出してもよい。つまり、指標算出部218は、第2変形例で説明した通信位置毎に指標Xを算出する場合と同様に、ビームBの形状毎に指標Xを算出してもよい。
【0149】
<3-7>第7変形例
制御装置21は、通信量に応じて、実際に稼働する無線装置22の数を変更してもよい。つまり、制御装置21は、通信量に応じて、無線端末10と実際に通信する無線装置22の数を変更してもよい。一例として、制御装置21は、通信量が第1の量である場合に稼働する無線装置22の数が、通信量が第1の量よりも少ない第2量である場合に稼働する無線装置22の数よりも多くなるように、稼働する無線装置22の数を変更してもよい。
【0150】
稼働する無線装置22の数が変更される場合、指標算出部218は、稼働する無線装置22の数毎に指標Xを算出してもよい。つまり、指標算出部218は、第2変形例で説明した通信位置毎に指標Xを算出する場合と同様に、稼働する無線装置22の数毎に指標Xを算出してもよい。
【0151】
制御装置21は、稼働する無線装置22の数に応じて、無線端末10との通信に用いる少なくとも一つのビームBの数を変更してもよい。制御装置21は、稼働する無線装置22の数が第1の数である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの数が、稼働する無線装置22の数が第1の数よりも少ない第2の数である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの数よりも多くなるように、無線端末10との通信に用いるビームBの数を変更してもよい。その結果、稼働する無線装置22の数が減ったとしても、無線装置22のカバレッジエリアが拡大するがゆえに、基地局装置20と無線端末10とは適切に通信可能となる。
【0152】
制御装置21は、稼働する無線装置22の数に応じて、無線端末10との通信に用いる少なくとも一つのビームBの形状を変更してもよい。制御装置21は、稼働する無線装置22の数が第1の数である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの幅が、稼働する無線装置22の数が第1の数よりも少ない第2の数である場合に無線端末10との通信に用いるビームBの幅よりも多くなるように、無線端末10との通信に用いるビームBの形状を変更してもよい。その結果、稼働する無線装置22の数が減ったとしても、無線装置22のカバレッジエリアが拡大するがゆえに、基地局装置20と無線端末10とは適切に通信可能となる。
【0153】
<3-8>第8変形例
少なくとも一つの無線装置22は、少なくとも二つのビームBを同時に用いて一つの無線端末10と通信可能であってもよい。少なくとも一つの無線装置22は、少なくとも二つのビームBを同時に用いて少なくとも二つの無線端末10と同時に通信可能であってもよい。
【0154】
例えば、無線装置22-1は、複数のビームB1#1からB1#mのうちの少なくとも二つを同時に用いて、少なくとも一つの無線端末10と通信可能であってもよい。この場合、指標算出部218は、複数のビームBの間の関係性を示す指標Xとして、複数のビームB1#1からB1#mのうちの少なくとも二つの間の関係性を示す指標Xを算出してもよい。
【0155】
例えば、無線装置22-2は、複数のビームB2#1からB2#nのうちの少なくとも二つを同時に用いて、少なくとも一つの無線端末10と通信可能であってもよい。この場合、指標算出部218は、複数のビームBの間の関係性を示す指標Xとして、複数のビームB2#1からB2#nのうちの少なくとも二つの間の関係性を示す指標Xを算出してもよい。
【0156】
一例として、無線装置22-1がビームB1#a及びB1#bを用いて無線端末10と通信し、無線装置22-2がビームB2#cを用いて無線端末10と通信する例について説明する。尚、a及びbの夫々は、1以上且つm以下の整数を示す変数であり、cは、1以上且つn以下の整数を示す変数である。この場合、指標算出部218は、ビームB1#aが接続ビームBcであり且つビームB1#bが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#aとビームB1#bとの間の関係性を示す指標X(1#a、1#b)と、ビームB1#aが接続ビームBcであり且つビームB2#cが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#aとビームB2#cとの間の関係性を示す指標X(1#a、2#c)と、ビームB1#bが接続ビームBcであり且つビームB1#aが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#bとビームB1#aとの間の関係性を示す指標X(1#b、1#a)と、ビームB1#bが接続ビームBcであり且つビームB2#cが干渉ビームBiである状況下でのビームB1#bとビームB2#cとの間の関係性を示す指標X(1#b、2#c)と、ビームB2#cが接続ビームBcであり且つビームB1#aが干渉ビームBiである状況下でのビームB2#cとビームB1#aとの間の関係性を示す指標X(2#c、1#a)と、ビームB2#cが接続ビームBcであり且つビームB1#bが干渉ビームBiである状況下でのビームB2#cとビームB1#bとの間の関係性を示す指標X(2#c、1#b)との少なくとも一つを算出してもよい。
【0157】
<3-9>第9変形例
上述した各装置(例えば、無線端末10、基地局装置20、制御装置21、無線装置22及び制御装置1000の少なくとも一つ)の機能は、ソフトウェアによって実現されてもよい。上述した各装置の機能は、ハードウェアによって実現されてもよい。上述した各装置の機能は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムコード(インストラクション)は、例えば、各装置の内部又は外部のコンピュータ読取可能な記録媒体において記憶されてもよい。プログラムコードは、その実行時にメモリへ読み込まれてプロセッサにより実行されてよい。また、プログラムコードを記録したコンピュータ読取可能な非一時的記録媒体が提供されてもよい。
【0158】
例えば、
図13は、第1実施形態で説明した制御装置1000の機能を実現するソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを示す一例である。情報処理装置2000は、非一時的記録媒体2001と、メモリ2002と、プロセッサ2003とを備える。非一時的記録媒体2001と、メモリ2002と、プロセッサ2003とは、内部バス2004を介して互いに接続される。非一時的記録媒体2001は、制御装置1000の機能ブロック(具体的には、算出部1001及び選択部1002)を実現するプログラムコードを記録している。制御装置1000の機能ブロックを実現するプログラムコードはメモリ2002に読み出される。プロセッサ2003が、メモリ2002に読み出されたプログラムコードを実行することにより、制御装置1000の機能ブロックの処理を実行する。無線端末10、基地局装置20、制御装置21及び無線装置22の夫々に関しても同様に、非一時的記録媒体、メモリ及びプロセッサの組み合わせによって実現されてもよい。
【0159】
<4>付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御装置であって、
前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出する算出手段と、
前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択する選択手段と
を備える制御装置。
[付記2]
前記指標は、前記複数のビームのうちの第1のビームを用いた通信に対する前記複数のビームのうちの第2のビームを用いた通信の干渉の程度を示す
付記1に記載の制御装置。
[付記3]
前記選択手段は、前記選択された少なくとも二つのビームに対応する前記指標が、所定の閾値未満となるように、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも二つの無線端末と、前記少なくとも二つの無線端末と通信するために用いられる少なくとも二つのビームとの組み合わせを選択する
付記2に記載の制御装置。
[付記4]
前記選択手段は、対応する前記指標が低い無線端末とビームとの組み合わせを優先的に選択することで、前記少なくとも一つの無線端末と前記少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択する
付記2又は3に記載の制御装置。
[付記5]
前記算出手段は、前記第1のビームを用いた通信が行われる位置及び前記第1のビームの受信品質の少なくとも一方に基づいて、複数のグループを設定し、前記複数のグループの少なくとも一つに対応する前記指標を算出する
付記2から4のいずれか一項に記載の制御装置。
[付記6]
前記算出手段は、前記複数のビームの受信品質に基づいて、複数のグループを設定し、前記複数のグループの少なくとも一つに対応する前記指標を算出する
付記1から5に記載の制御装置。
[付記7]
前記算出手段は、前記複数のビームの受信品質の類似度に基づいて、前記複数のグループを設定する
付記6に記載の制御装置。
[付記8]
前記制御装置は、前記複数のビームを形成する少なくとも一つの無線装置に接続され、且つ、前記少なくとも一つの無線装置を介した前記複数の無線端末との通信を制御する
付記1から7のいずれか一項に記載の制御装置。
[付記9]
複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御方法であって、
前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出することと、
前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために夫々用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択することと
を含む制御方法。
[付記10]
コンピュータに、複数のビームを用いた複数の無線端末との通信を制御する制御方法を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記制御方法は、
前記複数の無線端末のうちの少なくとも二つの無線端末との通信の成否に関する第1情報と、前記複数のビームのうちの前記第1情報が成否を示す通信に用いた少なくとも二つのビームの組み合わせパターンを示す第2情報とに基づいて、前記複数のビームの間の関係性を示す指標を算出することと、
前記指標に基づいて、前記複数の無線端末及び前記複数のビームの中から、通信対象となる少なくとも一つの無線端末と、前記少なくとも一つの無線端末と通信するために夫々用いられる少なくとも一つのビームとの組み合わせを選択することと
を含むコンピュータプログラム。
【0160】
上述の各実施形態及び各変形例の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態及び各変形例の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態及び各変形例の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0161】
本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0162】
1 無線通信システム
10 無線端末
20 基地局装置
21 制御装置
218 指標算出部
219 選択部
22 無線装置