(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107122
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】任意のユニタリ行列の階層構造を使用する通信のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20240801BHJP
H04B 7/0413 20170101ALI20240801BHJP
【FI】
H04L27/26 111
H04B7/0413
【審査請求】有
【請求項の数】36
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024091375
(22)【出願日】2024-06-05
(62)【分割の表示】P 2021578092の分割
【原出願日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】16/459,262
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519169742
【氏名又は名称】ランパート コミュニケーションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,マシュー ブランドン
(57)【要約】
【課題】本発明は一般に、データ通信に関し、より詳細には、任意のユニタリ行列の階層構造を使用して無線伝送の効率を向上させる技法に関する。
【解決手段】方法は、第1の計算装置の第1のプロセッサによって、入力データに基づいてシンボルを生成することと、1)置換行列を使用して各シンボルに置換を適用して、置換されたシンボルを生成すること、及び、2)MがN以下であるサイズMMの少なくとも1つのプリミティブ変換行列を使用して、各シンボルを変換して、変換されたシンボルを生成することによって、サイズNNのユニタリ行列を分解することとを含む。この方法はまた、変換されたシンボルを表す信号を複数の送信機に送って、変換されたシンボルを表す信号を複数の受信機に送信することを含む。ユニタリ行列を表す信号が第2の計算装置に送られて、ユニタリ行列を受信機に送信して、複数の受信機において複数のシンボルを復元する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の計算装置の第1のプロセッサによって、入力データに基づいて複数のシンボルを生成することと、
1)置換行列を使用して前記複数のシンボルから各シンボルに置換を適用して、置換された複数のシンボルを生成すること、及び、2)MがN以下の値を有する正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列を使用して、前記置換された複数のシンボルから各シンボルを変換して、変換された複数のシンボルを生成することによって、Nが正整数であるサイズN×Nのユニタリ行列を分解することと、
複数の送信機から複数の受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す信号を送信するために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の送信機に送信することと、
前記複数の受信機において前記複数のシンボルを復元するために、前記複数の送信機から前記複数の受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す前記信号を送信する前に、前記ユニタリ行列を前記複数の受信機に送信するため、前記ユニタリ行列を表す信号を第2の計算装置に送ることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記置換行列が第1の置換行列であり、前記少なくとも1つのプリミティブ変換行列が第1のプリミティブ変換行列であり、前記ユニタリ行列を構築することがさらに、少なくとも第2の置換行列及び第2のプリミティブ変換行列に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユニタリ行列が、フーリエ行列、ウォルシュ行列、ハール行列、傾斜行列、又はテプリッツ行列のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記置換を前記適用した直後にすぐ別の置換が続くことはない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプリミティブ変換行列が、大きさが2の次元を有し、前記ユニタリ行列を構築することが、log2Nの回数発生する反復プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのプリミティブ変換行列が、様々な次元の複数のプリミティブ変換行列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の受信機及び前記複数の送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の信号受信機と、
複数の信号送信機と、
前記複数の信号送信機に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサと
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
入力データに基づいて複数のシンボルを生成し、
Nが正整数であるサイズN×Nのユニタリ変換行列を1組の層に分解し、各層が、置換と、MがN以下の値を有する正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列とを含み、
変換された複数のシンボルを生成するために、前記1組の層から少なくとも1つの層を使用して前記複数のシンボルから各シンボルを符号化し、
前記複数の送信機から前記複数の信号受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す信号を送信するために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の送信機に送る
ように構成されている、システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサがさらに、前記変換された複数のシンボルを表す前記信号を前記複数の信号受信機に送信する前に、前記1組の層から各層を表す少なくとも1つの信号を前記複数の信号受信機に送るように構成され、その結果、前記複数の信号受信機が、前記1組の層に基づいて前記変換された複数のシンボルから前記複数のシンボルを復元する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の信号受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の信号受信機及び前記複数の信号送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
高速ユニタリ変換行列が、フーリエ行列、ウォルシュ行列、ハール行列、傾斜行列、又はテプリッツ行列のうちの1つを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプリミティブ変換行列が、大きさが2の次元を有し、前記1組の層がlog2Nの層を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の信号受信機が、前記変換された複数のシンボルを表す信号をターゲット装置に送信するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
第1の計算装置の第1のプロセッサによって、複数のシンボルを生成することと、
前記複数のシンボルから各シンボルに、Nが正整数であるサイズN×Nの任意の変換を適用して、変換された複数のシンボルを生成することであって、前記任意の変換が反復プロセスを含み、前記反復プロセスの各反復が、1)置換と、それに続く2)MがN以下の値を有する正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列の適用とを含むことと、
複数の送信機から複数の受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す信号を送信するために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の送信機に送ることと、
前記複数の信号受信機において前記複数のシンボルを復元するために、前記変換された複数のシンボルを送信する前に、前記任意の変換を前記複数の信号受信機に送信するため、前記任意の変換を表す信号を第2の計算装置に送ることと
を含む、方法。
【請求項15】
前記複数の信号受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の信号受信機及び前記複数の信号送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記任意の変換が、ユニタリ変換を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記任意の変換が、フーリエ変換、ウォルシュ変換、ハール変換、傾斜変換、又はテプリッツ変換のうちの1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプリミティブ変換行列からの各プリミティブ変換行列が、大きさが2の次元を有し、前記反復プロセスの反復の数がlog2Nである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2019年7月1日出願の「COMMUNICATION SYSTEM AND METHOD USING LAYERED CONSTRUCTION OF ARBITRARY UNITARY MATRICES」と題する米国特許通常出願第16/459,262号の優先権を主張し、その継続出願であり、あらゆる目的のために、その内容全体を参考としてそっくりそのまま本明細書に援用する。
【0002】
[0002] 本出願は、2019年5月17日出願の「COMMUNICATION SYSTEM AND METHODS USING MULTIPLE-IN-MULTIPLE-OUT (MIMO) ANTENNAS WITHIN UNITARY BRAID DIVISIONAL MULTIPLEXING (UBDM)」と題する米国特許通常出願第16/416,144号、及び2019年7月1日出願の「SYSTEMS, METHODS AND APPARATUS FOR SECURE AND EFFICIENT WIRELESS COMMUNICATION OF SIGNALS USING A GENERALIZED APPROACH WITHIN UNITARY BRAID DIVISION MULTIPLEXING」と題する米国特許通常出願第16/459,245号に関するものであり、あらゆる目的のために、こうしたそれぞれの開示を、参考としてそっくりそのまま本明細書に援用する。
【0003】
連邦政府の所有権についての記載
[0003] この米国政府は、米国政府のあらゆる目的のためにライセンスを授与する権限を有する、本発明での非排他的で確定した特許権使用料なしのライセンスを保有する。
【0004】
技術分野
[0004] 本発明は一般に、データ通信に関し、より詳細には、任意のユニタリ行列の階層構造を使用して無線伝送の効率を向上させる技法に関する。
【背景技術】
【0005】
背景
[0005] 無線通信システムは、音声、パケット・データなど、様々なタイプの通信サービスを提供するのに広く採用されている。こうしたシステムは、たとえば、システムの帯域幅を、普通は副搬送波、トーン、ビン、及び周波数サブチャネルとも呼ばれている数多くのサブバンドに分割することにより、無線環境によっては高い性能を実現できる変調技法を利用してもよい。
【0006】
[0006] 多重アクセス通信では、複数のユーザ装置が、所与の通信チャネル上で信号を受信機に送信する。こうした信号は、重ね合わされて、そのチャネル上で伝搬する複合信号を形成する。次いで、受信機は、複合信号に分離演算を実行して、この複合信号から1つ又は複数の個々の信号を復元する。たとえば、各ユーザ装置は、別のユーザが所有する携帯電話でもよく、受信機は、携帯電話基地局でもよい。様々なユーザ装置から送信された信号を分離することによって、この様々なユーザ装置は、干渉を受けることなく同じ通信チャネルを共有することができる。
【0007】
[0007] 送信機は、搬送波の振幅、位相、及び/又は周波数を変化させることなど、搬送波又は副搬送波の状態を変化させることによって、様々なシンボルを送信することができる。各シンボルは、1つ又は複数のビットを表すことができる。こうしたシンボルを、それぞれ複素平面での離散値にマッピングして、したがって直交振幅変調を生成し、又は各シンボルを個別の周波数に割り当てることによって周波数シフト・キーイングを生成することができる。次いで、シンボル伝送速度の少なくとも2倍であるナイキスト速度で、このシンボルがサンプリングされる。その結果得られる信号が、デジタル・アナログ変換器によってアナログに変換され、次いで、搬送周波数にまで変換されて送信される。様々なユーザ装置が、通信チャネル上で同時にシンボルを送ると、それらのシンボルによって表される正弦波が重ね合わされて、受信機で受信される複合信号を形成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
[0008] 実施形態によっては、システムは、複数の信号受信機と、複数の信号送信機と、この複数の信号送信機に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサとを備える。プロセッサは、入力データに基づいて複数のシンボルを生成し、Nが正整数であるサイズN×Nのユニタリ変換行列を、1組の層に分解するように構成される。各層は、置換と、MがN以下の値を有する正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列とを含む。プロセッサはまた、この1組の層から少なくとも1つの層を使用して複数のシンボルから各シンボルを符号化して、変換された複数のシンボルを生成するように構成される。プロセッサはさらに、変換された複数のシンボルを表す信号を複数の送信機に送って、この複数の送信機から複数の信号受信機に、変換されたこの複数のシンボルを表す信号を送信するように構成される。
【0009】
[0009] 実施形態によっては、方法は、第1の計算装置の第1のプロセッサによって、複数のシンボルを生成することを含む。この方法はまた、この複数のシンボルから各シンボルに、Nが正整数であるサイズN×Nの任意の変換を適用して、変換された複数のシンボルを生成することを含む。この任意の変換は、反復プロセスを含み、このプロセスの各反復は、1)置換と、それに続く2)MがN以下の値を有する正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列の適用とを含む。この方法はまた、変換された複数のシンボルを表す信号を複数の送信機に送って、この複数の送信機から複数の受信機に、変換されたこの複数のシンボルを表す信号を送信することを含む。この方法はさらに、任意の変換を表す信号を第2の計算装置に送って、変換された複数のシンボルを送信する前に、この任意の変換を複数の信号受信機に送信して、この複数の信号受信機において複数のシンボルを復元することを含む。
【0010】
[0010] 添付図面及び以下の説明において、1つ又は複数の実装形態の詳細を説明する。他の特徴は、この説明及び各図面から、又特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の簡単な説明
【
図1】[0011]本明細書に記載の改良された技法を実施することのできる、電子環境内の例示的な電子通信システムを示すブロック図である。
【
図2】[0012]一実施形態による、ユニタリ行列を構築するための階層化手法を使用する、通信方法を示す流れ図である。
【
図3】[0013]一実施形態による、任意の行列の階層構造を使用する、通信方法を示す流れ図である。
【数1】
の離散フーリエ変換(DFT)を示す図である。
【
図5】[0015]一実施形態による、ユニタリ行列の階層構造を使用する、通信用のシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
[0016] 直交周波数分割多重化(OFDM)、周波数シフト・キーイング(FSK)、位相シフト・キーイング、(PSK)、振幅シフト・キーイング(ASK)、4相位相シフト・キーイング(QPSK)、非対称位相シフト・キーイング(APSK)、直交振幅変調(QAM)、パルス振幅変調(PAM)、直接シーケンス・スペクトラム拡散/符号分割多元接続(DSSS/CDMA)、周波数ホッピング・スペクトラム拡散(FHSS)、及び/又はデジタル・ビデオ放送(DVB)など、デジタル・マルチキャリア変調方法を含む(ただし、それだけには限定されない)多種多様な変調方式のいずれかを利用する通信システムにおいて、伝送効率を改善するための各技法が本明細書において提示される。たとえば、実施形態によっては、様々なサイズのOFDMシンボルを使用して、OFDMシステムにおいてさらに高い効率を達成することができる。本明細書において説明する各技法は、サイクリック・プレフィックスのオーバヘッドを最小限に抑えることとパッキング効率を最大化することの両方の目的に対処することができる。OFDMの例に続いて、このOFDMのシンボル・サイズは、OFDMシステムにおいて伝送される様々なタイプのペイロードの予想サイズに基づいて選択されてもよい。システムのトラフィックが、様々なカテゴリに構成されてもよい。各カテゴリにおいて、そのカテゴリ内のトラフィックにおいて予想されるペイロード・サイズに基づいて使用するために、適切なサイズの1つ又は複数のOFDMシンボルが選択されてもよい。
【0013】
[0017] たとえば、システム・トラフィックは、制御データ、ユーザ・データ、及びパイロット・データに構成されてもよい。制御データは、第1のサイズのOFDMシンボルを使用して送信されてもよく、ユーザ・データは、第2のサイズのOFDMシンボル及び第1のサイズのOFDMシンボルを使用して送信されてもよく、パイロット・データは、第3のサイズ(又は、第1のサイズ)のOFDMシンボルを使用して送信されてもよい。ユーザ・データはさらに、たとえば、音声データ、パケット・データ、メッセージング・データなどのサブカテゴリに構成されてもよい。次いで、ユーザ・データの各サブカテゴリについて、特定のOFDMシンボル・サイズを選択してもよい。別法として、又はさらに、各ユーザのデータは、そのユーザ用に選択された特定のサイズのOFDMシンボルを使用して送信されてもよい。パッキング効率を改善するために、様々なサイズのOFDMシンボルを所与のユーザ・データ・パケットに使用して、OFDMシンボルの容量をパケット・ペイロードにより良好にマッチさせてもよい。
【0014】
[0018] 一般に、OFDMシステムには、任意の数のOFDMシンボル・サイズを使用してもよく、特定のいかなるOFDMシンボル・サイズを選択して使用してもよい。ある1つの例示的な設計では、2つのOFDMシンボル・サイズの組合せを使用して、パッキング効率を最大化する。例示的なこの設計では、(たとえば、64個のサブバンドを有する)小さいすなわち短いOFDMシンボル・サイズが、パイロット・データ及び制御データ用に使用される。ペイロード・サイズに応じて、(たとえば、256個のサブバンドを有する)OFDMシンボル・サイズが大きいすなわち長いゼロ以上のOFDMシンボル内で、又OFDMシンボル・サイズが小さいゼロ以上のOFDMシンボル内で、ユーザ・データが送られてもよい。
【0015】
[0019] 以下に述べるように、送信機及び受信機での処理(たとえば、符号化、インターリービング、シンボル・マッピング、及び空間処理)は、様々なサイズのOFDMシンボルの使用を考慮に入れるようにして実行されてもよい。本発明の様々な態様及び実施形態も、以下でさらに詳細に説明する。
【0016】
[0020] 改良された一技法は、階層化された方式を用いて任意のユニタリ行列を構築して、1組の直交基底を得ることを含む。実施形態によっては、方法は、第1の計算装置の第1のプロセッサによって、入力データに基づいて複数のシンボルを生成することを含む。この方法はまた、1)置換行列を使用して複数のシンボルから各シンボルに置換を適用して、置換された複数のシンボルを生成すること、及び、2)MがN以下の値を有する正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列を使用して、置換された複数のシンボルから各シンボルを変換して、変換された複数のシンボルを生成することによって、Nが正整数であるサイズN×Nのユニタリ行列を分解することを含む。この方法はさらに、変換された複数のシンボルを表す信号を複数の送信機に送って、この複数の送信機から複数の受信機に、変換されたこの複数のシンボルを表す信号を送信することを含む。ユニタリ行列を表す信号が第2の計算装置に送られて、複数の送信機から複数の受信機に、変換された複数のシンボルを表す信号を送信する前に、このユニタリ行列を複数の受信機に送信して、この複数の受信機において複数のシンボルを復元する。本明細書では、「送信機」(又は「信号送信機」)は、アンテナ、増幅器、ケーブル、デジタル・アナログ変換器、フィルタ、アップコンバータ、プロセッサ(たとえば、ビットの読取り及び/又はビットのベースバンドへのマッピング用)などの1つ又は複数の任意の組合せを含むが、それだけには限定されない、信号の送信において使用される任意の一群の構成要素を指す。同様に、本明細書では、「受信機」(又は「信号受信機」)は、アンテナ、増幅器、ケーブル、デジタル・アナログ変換器、フィルタ、ダウンコンバータ、プロセッサなどの1つ又は複数の任意の組合せを含むが、それだけには限定されない、信号を受信する際に使用される任意の一群の構成要素を指す。
【0017】
[0021] 本明細書では、1つの送信アンテナ、送信アンテナのサブセット、又はすべての(すなわち、あらゆる)送信アンテナからの送信信号を受信するように、受信機を構成することができる。受信機が、あらゆる送信アンテナの送信信号(すなわち、このアンテナから送信される信号)を受信することのできる実施形態では、受信信号の1つ又は様々な線形結合を得て、送信アンテナのそれぞれからの関連する元のデータ・ストリームを抽出するように、受信機内部の処理回路を構成することができる。実施形態によっては、個々の受信アンテナはそれぞれ、すべての送信アンテナからの送信信号を受信し、処理回路を使用して、受信されたこの信号送信を個々の送信信号に分離する。
【0018】
[0022]
図1は、無線通信を送信する改良された各技法が実行される、例示的なシステム100を示す図である。このシステム100は、信号送信機120及び信号受信機150を備える。しかし、図示されていない他の信号送信機が、この環境内に存在してもよいことを理解されたい。
【0019】
[0023] 信号送信機120は、信号受信機150に送信するための信号を準備し、準備したこの信号を信号受信機150に送信するように構成される。信号送信機120は、処理回路ユニット124、メモリ126、及び送信回路ユニット128を備える。この1組の処理ユニット124は、1つ又は複数の処理チップ及び/又は処理アセンブリを備える。メモリ126は、揮発性メモリ(たとえば、RAM)と、1つ又は複数のROM、ディスク・ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブなどの不揮発性メモリとの両方を備える。この1組の処理ユニット124及びメモリ126はともに制御回路を形成し、この制御回路は、本明細書に記載の通りの様々な方法及び機能を実行するように構成及び配置される。送信回路128は、無線周波数のエネルギーの形で信号を受信機に送信するように構成される。
【0020】
[0024] 実施形態によっては、信号送信機120の構成要素のうち1つ又は複数は、メモリ126に記憶された命令を処理するように構成されたプロセッサ(たとえば、処理ユニット124)とすることができ、又はそれを備えることができる。
図1に示すこのような命令の例には、初期ベクトル生成マネージャ130及び同期信号生成マネージャ146が含まれる。さらに、
図1に示すように、メモリ126は、初期ベクトル132、チャネル・インデックス136、信号140、及び同期信号148を含む、様々なデータを記憶するように構成される。
【0021】
[0025] 初期ベクトル生成マネージャ130は、1組の初期ベクトル132を生成するように構成される。一例として、実装形態によっては、この初期ベクトル132は、K×N行列の横列である。この場合、初期ベクトル生成マネージャ130は、信号を変調することのできる利用可能な個別の周波数の数を表す整数Nの仕様に基づいて、このような行列を生成するように構成される。これらは、予想されるマルチパス遅延のプロファイルを表す、チャネルの干渉性帯域幅によって決定されてもよい。
【0022】
[0026] 初期ベクトル132は、ほぼ直交又は直交する1組の符号を提供するが、この初期ベクトル132は、こうした信号を変調するのに直接使用されることがないことを理解されたい。したがって、各信号送信間の時間的遅延にもかかわらず、初期ベクトル132から生成される複合信号は、信号受信機150での直交性を保存しなくてもよい。チャネル歪みを識別し、その結果、信号受信機150において元の信号を復元できるようにするために、同期信号生成マネージャ146が、同期信号148を生成し、この同期信号148を信号受信機150に送るように構成される。
【0023】
[0027] 同期信号148は、チャネル歪み係数を推定するのに使用されるトレーニング・シンボルである。信号受信機150は、伝送チャネルを介して受信される同期信号148が受ける歪みと、元の同期信号148とを比較することによって、こうした係数を推定してもよい。いずれの場合でも、信号受信機150は、ローカルに記憶された同期信号148のコピーを有する。構成によっては、同期信号生成マネージャ146は、同期信号148を信号140の先頭に付加して、たとえばチャネル歪みを補償する。
【0024】
[0028] 信号受信機150は、信号送信機120から信号を受信し、この受信信号に演算を実行して、元の信号140を復元するように構成される。信号受信機150は、処理回路154、メモリ156、及び受信回路158を備える。この1組の処理ユニット154は、1つ又は複数の処理チップ及び/又は処理アセンブリを備える。メモリ156は、揮発性メモリ(たとえば、RAM)と、1つ又は複数のROM、ディスク・ドライブ、ソリッド・ステート・ドライブなどの不揮発性メモリとの両方を備える。この1組の処理ユニット154及びメモリ156はともに制御回路を形成し、この制御回路は、本明細書に記載の通りの様々な方法及び機能を実行するように構成及び配置される。受信回路158は、信号送信機120から無線周波数のエネルギーの形で、変調された信号を受信するように構成される。
【0025】
[0029] 実施形態によっては、信号受信機150の構成要素のうち1つ又は複数は、メモリ156に記憶された命令を処理するように構成されたプロセッサ(たとえば、処理ユニット154)とすることができ、又はそれを備えることができる。
図1に示すこのような命令の例は、同期信号識別マネージャ168及び歪みアンラッピング・マネージャ172を含む。さらに、
図1に示すように、メモリ156は、信号140、同期信号170、歪み係数174、初期ベクトル132、チャネル・インデックス136など、様々なデータを記憶するように構成される。
【0026】
[0030] 実装形態によっては、マルチパス干渉に起因するチャネル歪みの影響を打ち消すことができる。個別の周波数成分Knの間隔がチャネルの干渉性帯域幅よりも狭くなるように設計することによって、これを達成することができる。チャネルの干渉性帯域幅は通常、チャネルの2乗平均平方根(RMS)の遅延拡散の逆数であり、この遅延拡散は、マルチパス遅延の時間分布である。
【0027】
[0031] 前述の方法及びシステムは、普通、ベクトルへの行列演算を含む。ベクトルの長さがNであり、行列のサイズがN×Nである場合(たとえば、この行列がユニタリ行列であるとき)、このベクトルへの行列演算は、O(N2)回の乗算を含む。したがって、Nが増加するにつれて、通信システムへの計算負荷は極端に重くなる場合がある。
【0028】
[0032] 実施形態によっては、何らかの高速ユニタリ変換を利用して、計算の複雑さを軽減することができる。たとえば、フーリエ行列、ウォルシュ・アダマール行列、ハール行列、傾斜行列、ある特定のタイプのテプリッツ行列、及び、高速で複雑なクラスでのベクトルへの演算が可能な、ある特定のタイプの循環行列を使用して、ベクトルへの行列演算を達成することができる。しかし、こうしたタイプの行列は、限定されたクラスの変換しか形成せず、したがって、その結果得られるセキュリティ・レベルは満足できるものではない場合がある。
【0029】
[0033] 通信のセキュリティを維持しながら複雑さの問題に対処するために、本明細書に記載のシステム及び方法は、相対的に小さい行列から任意のユニタリ行列を構築する手法を利用する。この手法では、ユニタリ行列は、各層において構築される。各層は、2つの演算を含む。第1の演算は置換であり、第2の演算はU(2)行列の直和である。置換行列は、いかなる浮動小数点演算をも必要としないユニタリ行列であり、したがって、計算的に自由であり、すなわちO(1)の複雑さを有する。U(2)行列は、対角線に沿った2×2ブロックを除く、値のほとんどが0になる行列である(ブロックU(2)行列とも呼ばれる)。こうしたブロックU(2)行列は、4×N/2=2×N回の乗算のみを必要とする。その結果、ブロックU(2)を含む層は、ブロックU(2)への2×N回の乗算を必要とし、置換への乗算を必要としない。すなわち、ユニタリ行列の構築中の1つの層は、複雑さO(N)を有する。
【0030】
[0034] ユニタリ行列を構築する総合的な複雑さは、層の数と各層の複雑さであるO(N)との積である。実施形態によっては、層の総数はlog(N)とすることができ、したがって、各層すべての総合的な複雑さはO(N×log(N))であり、これは標準的なOFDMの複雑さと同等である。さらに、ブロックU(2)及び置換行列のlog(N)の層は、密なユニタリを生成することができる。高速ユニタリ行列の空間は、ユニタリ行列の全空間ほど大きくはないが、盗聴者による攻撃を禁止するのには依然として十分な大きさとすることができる(
図9を参照して、以下の詳細をさらに参照のこと)。
【0031】
[0035] 実施形態によっては、本明細書に記載の手法は、ブロックU(m)行列を利用して、ユニタリ行列を構築することができ、ここで、mは正整数(たとえば、m=3、4、5など)である。実施形態によっては、ユニタリ行列を構築するときに、様々なサイズを有する行列を単一層内で使用することもできる。実施形態によっては、互いに異なる層は、互いに異なるサイズを有する行列を使用することができ、たとえば、第1の層は、ブロックU(m)行列を使用し、第2の層は、ブロックU(l)行列を使用し、ここで、mはlとは異なる。たとえば、N=8の場合、4つの2×2ブロックU(2)行列のセットを、第1の層において使用することができ、その後に置換が続く。次いで、2つのU(3)行列及び単一のU(2)行列を、第2の層で使用することができ、その後に別の置換が続く。第3の層は、ブロックU(2)行列、ブロックU(4)行列、次いで別のブロックU(2)行列を含むことができ、その後に第3の置換が続く。
【0032】
[0036] 実施形態によっては、さらに小さい行列のブロックの置換及び直和をそれぞれが含む層に関して、ある特定のタイプの高速ユニタリ行列を記述することもできる。こうしたタイプの行列には、たとえば、フーリエ行列、ウォルシュ・アダマール行列、ハール行列、傾斜行列、及びテプリッツ行列が含まれる。実施形態によっては、階層化手法を使用して構築することのできるユニタリ行列は、離散フーリエ行列の直和ではない任意の行列を含む。
【0033】
[0037] 本明細書に記載の階層化手法は、ユニタリ行列の構築を必要とする任意の状況において使用することができる。たとえば、この階層化手法は、
図1に示して前述したシステム100での初期ベクトル生成マネージャ130によって使用することができる。
【0034】
[0038]
図2は、一実施形態による、ユニタリ行列を構築するための階層化手法を含む、通信方法200を示す流れ図である。この方法200は、210において、第1の計算装置の第1のプロセッサによって、入力データに基づいて複数のシンボルを生成することを含む。220において、サイズN×Nのユニタリ行列が分解される(ここで、Nは正整数である)。この分解は、1)置換行列を使用して複数のシンボルから各シンボルに置換を適用して、置換された複数のシンボルを生成すること、及び、2)MがN以下の値を有する正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列を使用して、置換された複数のシンボルから各シンボルを変換することを含む。ステップ2)の結果は、変換された複数のシンボルを生成することである。実施形態によっては、各プリミティブ変換行列は、前述の通りブロックU(M)行列を含むことができる。
【0035】
[0039] この方法200はまた、230において、変換された複数のシンボルを表す信号を、複数の送信機に送ることを含む。次いで、この送信機は、変換された複数のシンボルを表す信号を、複数の送信機から複数の受信機に送信する。240において、ユニタリ行列を表す信号が第2の計算装置に送られて、このユニタリ行列が複数の受信機に送信される。実施形態によっては、変換されたシンボルを表す信号を送信する前に、このユニタリ行列を受信機に送信することができる。受信機は、受信したユニタリ行列を使用して、シンボル(すなわち、210において生成されたシンボル)を復元することができる。
【0036】
[0040] 実施形態によっては、置換及びプリミティブ変換をそれぞれが含む複数の層によって、220でのユニタリ行列の分解を達成することができる。たとえば、第1の層は、第1の置換行列及び第1のプリミティブ変換行列を使用し、第2の層は、第2の置換行列及び第2のプリミティブ変換行列を使用する。実施形態によっては、層の総数はlog(N)に相当する場合があり、ここでNは、210において生成されるシンボルの数である。
【0037】
[0041] 実施形態によっては、220において分解されるユニタリ行列は、フーリエ行列、ウォルシュ行列、ハール行列、傾斜行列、又はテプリッツ行列のうちの1つを含む。実施形態によっては、220でのユニタリ行列の分解中に、置換を適用した後にすぐ別の置換が続くことはない。
【0038】
[0042] 実施形態によっては、プリミティブ変換行列は、大きさが2の次元(たとえば、長さ)を有し、ユニタリ行列を構築することは、log2Nの回数発生する反復プロセスを含む。実施形態によっては、プリミティブ変換行列には、他の長さも使用することができる。たとえば、プリミティブ変換行列の長さは、(たとえば、3、4、5など)2よりも長くすることができる。実施形態によっては、プリミティブ変換行列は、様々な次元を有する相対的に小さい複数の行列を含む。たとえば、プリミティブ変換行列は、ブロックU(m)行列を含むことができ、ここでmは、単一の層内又は互いに異なる層間で様々な値とすることができる。
【0039】
[0043] 実施形態によっては、方法200で使用される受信機は、複数のアンテナ・アレイを備える(たとえば、
図10及び以下の説明を参照のこと)。複数の受信機及び複数の送信機は、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成される。
【0040】
[0044]
図3は、一実施形態による、任意の行列の階層構造を使用する、通信方法300を示す流れ図である。この方法300は、310において、第1の計算装置の第1のプロセッサによって、複数のシンボルを生成することを含む。この方法300はまた、320において、この複数のシンボルから各シンボルに、Nが正整数であるサイズN×Nの任意の変換を適用して、変換された複数のシンボルを生成することを含む。この任意の変換は、反復プロセスを含み(たとえば、複数の層を含み)、各反復は、1)置換と、それに続く2)MがN以下の値を有する正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列の適用とを含む。
【0041】
[0045] 330において、変換された複数のシンボルを表す信号が複数の送信機に送られ、この送信機が、変換された複数のシンボルを表す信号を複数の受信機に送信する。この方法300はまた、340において、任意の変換を表す信号を第2の計算装置に送って、変換された複数のシンボルを送信する前に、この任意の変換を複数の信号受信機に送信して、この複数の信号受信機において複数のシンボルを復元することを含む。
【0042】
[0046] 実施形態によっては、この複数の信号受信機は、複数のアンテナ・アレイを備え、この複数の信号受信機及び複数の信号送信機は、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成される。実施形態によっては、任意の変換は、ユニタリ変換を含む。実施形態によっては、任意の変換は、フーリエ変換、ウォルシュ変換、ハール変換、傾斜変換、又はテプリッツ変換のうちの1つを含む。
【0043】
[0047] 実施形態によっては、少なくとも1つのプリミティブ変換行列からの各プリミティブ変換行列は、大きさが2の次元(たとえば、長さ)を有し、反復プロセスの反復の数はlog2Nである。実施形態によっては、プリミティブ変換行列用に、他の任意の適切な長さを使用することができる。たとえば、プリミティブ変換行列の長さは、(たとえば、3、4、5など)2よりも長くすることができる。実施形態によっては、プリミティブ変換行列は、様々な次元を有する相対的に小さい複数の行列を含む。たとえば、プリミティブ変換行列は、ブロックU(m)行列を含むことができ、ここでmは、単一の層内又は互いに異なる層間で様々な値とすることができる。
【0044】
[0048] 離散フーリエ変換(DFT)を基準にして、方法200及び300(たとえば、220及び320)での高速行列演算を、より詳細に検討することができる。いかなる特定の理論又は動作モードに縛られることなく、
【数2】
で示され、成分B
kを有するベクトル
【数3】
のDFTを、次式によって得ることができる。
【数4】
ここで、
【数5】
【0045】
[0049] 一般に、式(18)に示すように、未処理の行列乗算を使用して実行されると、DFTにはN
2の乗算が必要となる。しかし、単位元ω
Nの根は、乗算の数を減らすことのできる1組の対称性を有する。この目的を達成するために、(差し当たり、Nが2の倍数であると仮定すると)、式(18)での合計を偶項と奇項に分離することができる。
【数6】
【0046】
[0050] さらに、
【数7】
したがって、B
kを以下のように記述することができる。
【数8】
ここで、kは、nの範囲の2倍にまで及ぶ。しかし、以下の式を考慮してみる。
【数9】
その結果、N/2ポイントのフーリエ変換でのk値の「後半部」を容易に計算することができる。
【0047】
[0051] DFTでは、Bkを得るための元の合計が、N回の乗算を必要とする。上記分析では、元の合計を2組の合計に分割し、そのそれぞれがN/2回の乗算を必要とする。ここで、nを超える合計は、偶数又は奇数にわたるのではなく、0~N/2-1である。これにより、(N/2も2の倍数であると仮定して)先に実行したのとまったく同じやり方で、やはりそれらを偶項と奇項に分割することが可能になる。この結果として、4つの合計が得られ、そのそれぞれがN/4の項を有する。
【0048】
[0052] Nが2の累乗である場合、分解プロセスは、2ポイントのDFT乗算までずっと継続することができる。
図4は、ベクトル
【数10】
の離散フーリエ変換(DFT)を示す図である。ω
N値は、各ノードへの下位入力ラインでの数で乗算される。
図4での3つの縦列のそれぞれでは、N回の乗算が存在し、縦列の数は2に到達する前に2で除算することができ、すなわちlog(N)である。したがって、このDFTの複雑さは、O(N*logN)である。
【0049】
[0053] 上記分析は、以下のようにDFTの状況を超えて拡張することができる。まず、ベクトル内の入力値に置換を実行して、置換されたベクトルを生成する。置換は、普通、O(1)の演算である。次いで、置換されたベクトルの要素の各ペアに、一連のU(2)行列乗算が実行される。上記DFTの例の第1の縦列でのU(2)の値は、すべて以下の通りである。
【数11】
【0050】
[0054] U(2)行列乗算は、((23)に示すもの以外の)他の行列を使用しても同様に実行することができる。たとえば、任意の行列
【数12】
を使用することができ、ここで
は直和を示し、この行列にブロック対角構造をもたらす。
【0051】
[0055] 本明細書に記載の通り、1つの置換と一連のU(2)行列乗算の組合せを、1つの層とみなすことができる。このプロセスは、追加の層を重ねることで継続することができ、その層のそれぞれは、1つの置換と、さらに別の行列による回数分の乗算とを含む。実施形態によっては、層の数は、(たとえば、利用可能な計算能力内での)他の任意の値とすることができる。
【0052】
[0056] 上記の階層化計算の結果は、以下の形式の行列を含む。
【数13】
ここで、A
iはi番目の一連の行列乗算を表し、Piはi番目の層におけるi番目の置換を表す。
【0053】
[0057] 置換及びA行列はすべてユニタリなので、その逆行列も容易に計算することができる。上記の階層化計算においては、置換には計算が不要であり、その計算コストはAi行列での乗算からのものである。より具体的には、この計算は、各Aiにおいて合計2Nの乗算を含み、Ai行列のlog(N)が存在する。したがって、この計算は、合計2N*log(N)、又はO(N*log(N))の演算を含み、これはOFDMの複雑さに相当する。
【0054】
[0058] 階層化計算は、他の任意のブロックU(m)行列で適用することができる。たとえば、A
i行列は、
【数14】
又は
【数15】
とすることができる。他の任意の数のmを使用することもできる。さらに、置換とブロックU(m)行列の任意の組合せを、この許容可能な階層化計算で使用することもできる。
【0055】
[0059] 実施形態によっては、1つの層内での置換及びブロックU(m)変換は、非連続的なやり方で実行することができる。たとえば、置換した後に、ブロックU(m)変換の前に、他の任意の演算を次に実行することができる。実施形態によっては、置換は、ユニタリ群の閉じたサブグループなので、ある置換の後に別の置換が続くことはない。実施形態によっては、ブロックU(m)変換は、ユニタリ群の閉じたサブグループも形成するので、あるブロックU(m)変換の後に別のブロックU(m)変換が続くことはない。すなわち、ブロックU(n)としてB
nと表し、置換としてPと表すと、この場合、
【数16】
、及び
【数17】
のような演算を実行することができる。対照的に、ここでは2つの置換又は2つのブロックU(m)変換が連続するので、
【数18】
及び
【数19】
のような演算は冗長になる場合がある。
【0056】
[0060] ユニタリ行列を構築するための階層化手法はまた、その結果得られる通信システムのセキュリティを確かなものにすることができる。その結果得られる通信のセキュリティは、全群U(N)と比較して、高速ユニタリ行列の行列空間のサイズに依存することがある。
【0057】
[0061]
図5は、一実施形態による、ユニタリ行列の階層構造を使用する、通信用のシステム500の概略図である。システム500は、複数の信号送信機510(1)~510(i)(まとめて、送信機510と呼ばれる)、及び複数の信号受信機520(1)~520(j)(まとめて、受信機520と呼ばれる)を備え、ここでi及びjは両方とも正整数である。実施形態によっては、iとjは等しくなる場合がある。他の実施形態によっては、iはjと異なる場合がある。実施形態によっては、送信機510及び受信機520は、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成される。
【0058】
[0062] 実施形態によっては、送信機510は、
図1に示して前述した信号送信機120とほぼ同一とすることができる。実施形態によっては、受信機520は、
図1に示して前述した信号受信機130とほぼ同一とすることができる。実施形態によっては、各送信機510はアンテナを備え、この送信機510は、アンテナ・アレイを形成することができる。実施形態によっては、各受信機はアンテナを備え、この受信機520も、アンテナ・アレイを形成することができる。
【0059】
[0063] システム500には、動作可能なように信号送信機510に結合されたプロセッサ530も含まれる。実施形態によっては、プロセッサ530には、シングル・プロセッサが含まれる。実施形態によっては、プロセッサ530には、一群のプロセッサが含まれる。実施形態によっては、プロセッサ530は、送信機510のうち1つ又は複数に備えることができる。実施形態によっては、プロセッサ520は、送信機510から分離されていてもよい。たとえば、プロセッサ1030は、入力データ501を処理し、次いで、この入力データ501を表す信号を送信するよう送信機510に指示するように構成された計算装置に備えることができる。
【0060】
[0064] プロセッサ530は、入力データ501に基づいて複数のシンボルを生成し、Nが正整数であるサイズN×Nのユニタリ変換行列を、1組の層に分解するように構成される。各層は、置換と、MがN以下の正整数であるサイズM×Mの少なくとも1つのプリミティブ変換行列とを含む。
【0061】
[0065] プロセッサ530はまた、この1組の層から少なくとも1つの層を使用して複数のシンボルから各シンボルを符号化して、変換された複数のシンボルを生成するように構成される。次いで、変換された複数のシンボルを表す信号が、複数の送信機510に送られて、複数の信号受信機520に送信される。実施形態によっては、送信機510での各送信機は、受信機520での任意の受信機と通信することができる。
【0062】
[0066] 実施形態によっては、プロセッサ530はさらに、変換されたシンボルを表す信号を信号受信機520に送信する前に、(1)ユニタリ変換行列、又は(2)ユニタリ変換行列の逆行列のうちの一方を表す信号を受信機520に送るように構成される。この信号を信号受信機520が使用して、入力データ501から生成されるシンボルを復元することができる。実施形態によっては、シンボル復元用にユニタリ変換行列を使用することができる。実施形態によっては、この復元は、ユニタリ変換行列の逆行列を使用することによって達成することができる。
【0063】
[0067] 実施形態によっては、高速ユニタリ変換行列は、フーリエ行列、ウォルシュ行列、ハール行列、傾斜行列、又はテプリッツ行列のうちの1つを含む。実施形態によっては、プリミティブ変換行列は、大きさが2の次元(たとえば、長さ)を有し、1組の層が、log2Nの層を含む。実施形態によっては、前述の通り、他の任意の長さを使用することができる。実施形態によっては、信号受信機120は、変換された複数のシンボルを表す信号をターゲット装置に送信するように構成される。
【0064】
[0068] 本明細書に記載の様々な技法の実装形態は、デジタル電子回路において、又は(ハードウェアにおいて実行又は記憶される)コンピュータのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、又はそれらの組合せにおいて実装されてもよい。各実装形態は、コンピュータ・プログラム製品、すなわち、有形に実施されたコンピュータ・プログラム、たとえば、機械読取り可能な記憶装置(コンピュータ読取り可能な媒体、持続的でコンピュータ読取り可能な記憶媒体、有形のコンピュータ読取り可能な記憶媒体、たとえば、
図1での媒体112及び114を参照)として実装されて、たとえば、プログラマブル・プロセッサ、コンピュータ、又は複数のコンピュータなどのデータ処理機器によって処理されてもよく、又はその動作を制御してもよい。前述の(1つ又は複数の)コンピュータ・プログラムなど、コンピュータ・プログラムは、コンパイラ型言語又はインタープリタ型言語を含む、どんな形式のプログラミング言語で書くこともでき、スタンド・アロンのプログラム、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットとしてなど、どんな形式で実施することもできる。コンピュータ・プログラムを実施して、1つのコンピュータ上で、又は、1つのサイトでの複数のコンピュータ若しくは複数のサイトにまたがって分散された複数のコンピュータ上で処理することができ、又通信ネットワークによって相互接続することができる。
【0065】
[0069] 各方法ステップは、入力データに演算を実行し、出力を生成することによって、コンピュータ・プログラムを実行して各機能を実行する、1つ又は複数のプログラマブル・プロセッサによって実行されてもよい。各方法ステップはまた、特殊目的の論理回路、たとえばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実行されてもよく、又そうした論理回路として機器が実装されてもよい。
【0066】
[0070] コンピュータ・プログラムの処理に適したプロセッサには、一例として、汎用及び特殊目的両方のマイクロプロセッサ、並びに、任意の種類のデジタル・コンピュータの1つ又は複数の任意のプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、リードオンリ・メモリ若しくはランダム・アクセス・メモリ、又はその両方から、命令及びデータを受信することになる。コンピュータの各要素は、命令を実行するための少なくとも1つのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ又は複数の記憶装置を備えてもよい。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ又は複数の大容量記憶装置、たとえば磁気ディスク、光磁気ディスク、若しくは光ディスクを備えてもよく、又は、そうした記憶装置からデータを受信し、若しくはそうした記憶装置にデータを転送するように動作可能に結合されてもよく、又はその両方でもよい。コンピュータのプログラム命令及びデータを実施するのに適した情報担体には、一例として、半導体記憶装置、たとえばEPROM、EEPROM、及びフラッシュ・メモリ・デバイスと、磁気ディスク、たとえば内部ハード・ディスク又は取外し可能ディスクと、磁気光ディスクと、CD-ROMディスク及びDVD-ROMディスクとを含む、あらゆる形式の不揮発性メモリが含まれる。プロセッサ及びメモリは、特殊目的の論理回路で補うことができ、又はそれに組み込むことができる。
【0067】
[0071] ユーザとの対話を実現するために、各実装形態は、ユーザに情報を表示するための表示装置、たとえば液晶表示装置(LCD又はLED)モニタ、タッチスクリーン表示装置、並びに、ユーザがコンピュータに入力できるようにするキーボード及びポインティング装置、たとえばマウス又はトラックボールを有するコンピュータに実装されてもよい。他の種類の装置を使用して、ユーザとの対話を実現することもでき、たとえば、ユーザに提示されるフィードバックは、どんな形式の知覚フィードバック、たとえば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックとすることもでき、音響、スピーチ、又は触覚の入力を含む任意の形式でユーザからの入力を受け取ることができる。
【0068】
[0072] 各実装形態は、たとえばデータ・サーバとしてのバックエンド構成要素を含むか、又はミドルウェア構成要素、たとえばアプリケーション・サーバを含むか、又はフロントエンド構成要素、たとえばある実装形態とユーザが対話できるグラフィカル・ユーザ・インターフェース若しくはウェブ・ブラウザを有するクライアント・コンピュータを含むか、又はこのようなバックエンド、ミドルウェア、若しくはフロントエンドの構成要素の任意の組合せを含むコンピューティング・システムで実装されてもよい。各構成要素は、デジタル・データ通信の任意の形式又は媒体、たとえば通信ネットワークによって相互接続されてもよい。通信ネットワークの例には、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)と、広域ネットワーク(WAN)、たとえばインターネットとが含まれる。
【0069】
[0073] 説明してきた実装形態のある特定の特徴が、本明細書に記載の通りに例示されてきたが、ここで、多くの修正形態、置換形態、変更形態、及び均等物が当業者には思い浮かぶことになる。したがって、添付の特許請求の範囲は、各実装形態の範囲に含まれるそのようなあらゆる修正形態及び変更形態を対象として含むものであることを理解されたい。これらは、ほんの一例として提示されてきたものであって、限定するものではなく、形式及び詳細の様々な変更を加えてもよいことを理解されたい。本明細書に記載の機器及び/又は方法の任意の部分は、相互排他的な組合せを除いて、任意の組合せで組み合わせてもよい。本明細書に記載の各実装形態は、説明されてきた様々な実装形態の機能、構成要素、及び/又は特徴の、様々な組合せ及び/又はサブ組合せを含むことができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の計算装置の第1のプロセッサによって、入力データに基づいて複数のシンボルを生成することと、
置換された複数のシンボルを生成するために、Nが正整数であるサイズN×Nのユニタリ行列の置換行列を使用して、前記複数のシンボルから各シンボルに置換を適用することと、
変換された複数のシンボルを生成するために、前記ユニタリ行列のブロックU(M)変換行列を使用して、前記置換された複数のシンボルから各シンボルを変換することであって、MがN以下の値を有する正整数である、ことと、
複数の送信機から複数の受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す信号を送信するために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の送信機に送ることと、
前記複数の受信機において前記複数のシンボルを復元するために、前記複数の送信機から前記複数の受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す前記信号を送信する前に、前記ユニタリ行列を前記複数の受信機に送信するため、前記ユニタリ行列を表す信号を第2の計算装置に送ることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記置換行列が第1の置換行列であり、前記置換を適用することがさらに、少なくとも第2の置換行列に基づいており、前記置換された複数のシンボルから各シンボルを変換することがさらに、LがN以下の値を有する正整数であるブロックU(L)変換行列に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユニタリ行列が、フーリエ行列、ウォルシュ行列、ハール行列、傾斜行列、又はテプリッツ行列のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記置換を前記適用した直後にすぐ別の置換が続くことはない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ブロックU(M)変換行列がブロックU(2)変換行列であり、前記ユニタリ行列を構築することが、log2Nの回数発生する反復プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ブロックU(M)変換行列が、様々な次元の複数の部分行列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の受信機及び前記複数の送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数の信号受信機と、
複数の信号送信機と、
前記複数の信号送信機に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサと
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
入力データに基づいて複数のシンボルを生成することと、
Nが正整数であるサイズN×Nのユニタリ変換行列を1組の層に分解することであって、各層が、置換と、MがN以下の値を有する正整数であるブロックU(M)変換行列とを含む、ことと、
変換された複数のシンボルを生成するために、前記1組の層から少なくとも1つの層を使用して、前記複数のシンボルから各シンボルを符号化することと、
前記複数の信号送信機から前記複数の信号受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す信号を送信するために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の信号送信機に送ることと
を行うように構成されている、システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのプロセッサがさらに、前記変換された複数のシンボルを表す前記信号を前記複数の信号受信機に送信する前に、前記1組の層から各層を表す少なくとも1つの信号を前記複数の信号受信機に送るように構成され、その結果、前記複数の信号受信機が、前記1組の層に基づいて前記変換された複数のシンボルから前記複数のシンボルを復元する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の信号受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の信号受信機及び前記複数の信号送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記ユニタリ変換行列が、フーリエ行列、ウォルシュ行列、ハール行列、傾斜行列、又はテプリッツ行列のうちの1つを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記ブロックU(M)変換行列がブロックU(2)変換行列であり、前記1組の層がlog2Nの層を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の信号受信機が、前記変換された複数のシンボルを表す信号をターゲット装置に送信するように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
第1の計算装置の第1のプロセッサによって、複数のシンボルを生成することと、
変換された複数のシンボルを生成するために、前記複数のシンボルから各シンボルに、Nが正整数であるサイズN×Nの任意の変換を繰り返し適用することであって、前記任意の変換が、1)置換と、それに続く2)MがN以下の値を有する正整数である少なくとも1つのブロックU(M)変換行列の適用とを含むことと、
複数の信号送信機から複数の信号受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す信号を送信するために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の信号送信機に送ることと、
前記複数の信号受信機において前記複数のシンボルを復元するために、前記変換された複数のシンボルを送信する前に、前記任意の変換を前記複数の信号受信機に送信するため、前記任意の変換を表す信号を第2の計算装置に送ることと
を含む、方法。
【請求項15】
前記複数の信号受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の信号受信機及び前記複数の信号送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記任意の変換が、ユニタリ変換を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記任意の変換が、フーリエ変換、ウォルシュ変換、ハール変換、傾斜変換、又はテプリッツ変換のうちの1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのブロックU(M)変換行列からの各ブロックU(M)変換行列が、ブロックU(2)変換行列であり、前記任意の変換を繰り返し適用することがlog2N回実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
置換された複数のシンボルを生成するために、Nが正整数であるサイズN×Nのユニタリ行列の置換行列を使用して、複数のシンボルから各シンボルに置換を適用することと、
変換された複数のシンボルを生成するために、前記ユニタリ行列のブロックU(M)変換行列を使用して、前記置換された複数のシンボルから各シンボルを変換することであって、MがN以下の値を有する正整数である、ことと、
複数の送信機から複数の受信機に、前記変換された複数のシンボルを表す信号を送信するために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の送信機に送ることと、
前記複数の受信機への前記ユニタリ行列の送信を引き起こし、前記複数の受信機における前記複数のシンボルの復元を可能とするために、前記ユニタリ行列を表す信号を計算装置に送ることと
を含む、方法。
【請求項20】
前記置換行列が第1の置換行列であり、前記ブロックU(M)変換行列が第1のブロックU(M)変換行列であり、前記置換を適用することがさらに、少なくとも第2の置換行列に基づいており、前記置換された複数のシンボルから各シンボルを変換することがさらに、第2のブロックU(M)変換行列に基づいている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ユニタリ行列が、フーリエ行列、ウォルシュ行列、ハール行列、傾斜行列、又はテプリッツ行列のうちの1つを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記置換を前記適用した直後にすぐ別の置換が続くことはない、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ブロックU(M)変換行列がブロックU(2)変換行列であり、前記ユニタリ行列を構築することが、log
2
Nの回数発生する反復プロセスを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ブロックU(M)変換行列が、様々な次元の複数の部分行列を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の受信機及び前記複数の送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
複数の信号受信機と、
複数の信号送信機と、
前記複数の信号送信機に動作可能に結合された少なくとも1つのプロセッサと
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサが、
ユニタリ変換行列を1組の層に分解することであって、各層が、置換と、Mが正整数である少なくとも1つのブロックU(M)変換行列とを含む、ことと、
変換された複数のシンボルを生成するために、前記1組の層から少なくとも1つの層を使用して、複数のシンボルから各シンボルを符号化することと、
前記複数の信号送信機から前記複数の信号受信機への、前記変換された複数のシンボルを表す信号の送信を引き起こすために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の信号送信機に送ることと
を行うように構成されている、システム。
【請求項27】
前記少なくとも1つのプロセッサがさらに、前記変換された複数のシンボルを表す前記信号を前記複数の信号受信機に送信する前に、前記1組の層から各層を表す少なくとも1つの信号を前記複数の信号受信機に送るように構成され、その結果、前記複数の信号受信機が、前記1組の層に基づいて前記変換された複数のシンボルから前記複数のシンボルを復元する、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記複数の信号受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の信号受信機及び前記複数の信号送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記ユニタリ変換行列が、フーリエ行列、ウォルシュ行列、ハール行列、傾斜行列、又はテプリッツ行列のうちの1つを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記ブロックU(M)変換行列がブロックU(2)変換行列であり、前記1組の層がlog
2
Nの層を含み、前記ユニタリ変換行列が、Nが正整数であるN×N行列である、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記複数の信号受信機が、前記変換された複数のシンボルを表す信号をターゲット装置に送信するように構成されている、請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
変換された複数のシンボルを生成するために、プロセッサによって、複数のシンボルから各シンボルに、1)置換と、それに続く2)Mが正整数である少なくとも1つのブロックU(M)変換行列の適用とを含む任意の変換を繰り返し適用することと、
複数の信号送信機から複数の信号受信機への、前記変換された複数のシンボルを表す信号の送信を引き起こすために、前記変換された複数のシンボルを表す信号を前記複数の信号送信機に送ることと、
前記複数の信号受信機への前記任意の変換の送信を引き起こし、前記複数の信号受信機における前記複数のシンボルの復元を可能とするために、前記任意の変換を表す信号を計算装置に送ることと
を含む、方法。
【請求項33】
前記複数の信号受信機が、複数のアンテナ・アレイを備え、前記複数の信号受信機及び前記複数の信号送信機が、多入力多出力(MIMO)動作を実行するように構成されている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記任意の変換が、ユニタリ変換を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記任意の変換が、フーリエ変換、ウォルシュ変換、ハール変換、傾斜変換、又はテプリッツ変換のうちの1つを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1つのブロックU(M)変換行列からの各ブロックU(M)変換行列がブロックU(2)変換行列であり、前記任意の変換を繰り返し適用することがlog
2
N回実行され、Nが正整数である、請求項32に記載の方法。
【外国語明細書】