IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイドロ−ケベックの特許一覧 ▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

特開2024-107196スクアリン酸系ポリマー、それらの製造方法およびそれらの使用
<>
  • 特開-スクアリン酸系ポリマー、それらの製造方法およびそれらの使用 図1
  • 特開-スクアリン酸系ポリマー、それらの製造方法およびそれらの使用 図2
  • 特開-スクアリン酸系ポリマー、それらの製造方法およびそれらの使用 図3
  • 特開-スクアリン酸系ポリマー、それらの製造方法およびそれらの使用 図4
  • 特開-スクアリン酸系ポリマー、それらの製造方法およびそれらの使用 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107196
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】スクアリン酸系ポリマー、それらの製造方法およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/34 20060101AFI20240801BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20240801BHJP
   C08G 73/02 20060101ALI20240801BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20240801BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240801BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20240801BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20240801BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20240801BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240801BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240801BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20240801BHJP
   H10K 50/81 20230101ALI20240801BHJP
   H10K 50/82 20230101ALI20240801BHJP
【FI】
C08G65/34
C08G61/12
C08G73/02
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/485
H01M4/60
H01M10/0565
H01M10/052
H10K50/10
H10K85/10
H10K50/81
H10K50/82
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024093035
(22)【出願日】2024-06-07
(62)【分割の表示】P 2020556790の分割
【原出願日】2019-04-30
(31)【優先権主張番号】62/664,611
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/700,554
(32)【優先日】2018-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513138072
【氏名又は名称】ハイドロ-ケベック
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クリストフ ダイグル
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ラフルール-ランベール
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィアーヌ ローション
(72)【発明者】
【氏名】浅川 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】シャルロット マレー
(72)【発明者】
【氏名】カリム ザジブ
(57)【要約】
【課題】 スクアリン酸系ポリマーならびに電極材料および/または電解質組成物におけるそれらの使用、ならびにそれらの製造方法を提供すること
【解決手段】 スクアリン酸系ポリマーならびに電極材料および/または電解質組成物におけるそれらの使用、ならびにそれらの製造方法が本明細書に記載される。上記ポリマーを含む電極材料、電極、電解質組成物、電気化学セル、電気化学蓄電池および光電子デバイスならびにそれらの使用もまた記載される。本明細書中に詳細に説明されそして具体的に実証されているとおり、驚くべきことに、本発明によれば、顕著な効果が達成されるのであり、この顕著な効果は、当業者が従来技術から容易に予想することができなかったものである。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、適用される法律に基づき、それらの内容全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる、2018年4月30日出願の米国仮出願第62/664,611号および2018年7月19日出願の米国仮出願第62/700,554号に基づく優先権を主張している。
【0002】
技術分野
技術分野は概して、スクアリン酸に由来するモノマー単位を含むポリマー、それらの製造方法および電気化学セルにおける、例えば、有機ポリマー系電極材料および/またはポリマー電解質におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
近年まで、リチウムイオン電池の無機層間化合物を有機ポリマー系電極材料で置き換えることは、有望な代替案とみなされていなかった。これは部分的に、ほとんどの有機ポリマー系電極材料は低電圧(4V未満)でリチウムの挿入を行い((a)Muench, S. et
al., Chemical Reviews 116.16 (2016): 9438-9484; (b)Peng, C. et al., Nature Energy 2.7 (2017): 17074; および(c)Xu, F. et al., Electrochemistry Communications 60 (2015): 117-120を参照)、これにより高エネルギーかつ高電力の充電可能電池が開発できないからである。さらに、良好な電極材料は、イオン伝導性かつ電子伝導性である必要がある(Peng, C. et al., 上記を参照)。
【0004】
使用される原料が再生可能資源から入手されることを考慮すると、電極への有機活物質の使用は、電池の環境フットプリントを低減する可能性がある(Armand, M. and Tarascon, J-M., Nature 451.7179 (2008): 652)。これらの材料はさらに、ナトリウム、リチウム、マグネシウムなどの様々なイオン種とともに使用される場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Muench, S. et al., Chemical Reviews 116.16 (2016): 9438-9484
【非特許文献2】Peng, C. et al., Nature Energy 2.7 (2017): 17074
【非特許文献3】Xu, F. et al., Electrochemistry Communications 60 (2015): 117-120
【非特許文献4】Armand, M. and Tarascon, J-M., Nature 451.7179 (2008): 652
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、高電圧でのリチウムの挿入などの改善された特性を示す、そのような代替的な有機ポリマー系電極材料の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によると、本技術は、式I:
【化1】

(式中、
nおよびmはポリマー中の各モノマー単位の数を表す整数であり、n≧2、m≧0であり、
Xは各出現において独立して、酸素原子、硫黄原子およびアミン基(NR)から選択され、
pは各モノマー単位中のX基の数を表す整数であって、pは0または1であり、
は、キノン基などの必要に応じて置換されている共役非芳香族環式基、必要に応じて置換されている芳香族もしくは部分芳香族の有機基、または多環式基におけるそれらの組合せであり、
は水素原子または必要に応じて置換されているアルキルである)
のポリマーに関する。
【0008】
別の態様によると、本技術は、電気化学セルの要素における、電極材料および/または電解質組成物における使用のための、本明細書に定義されるポリマーに関する。
【0009】
別の態様によると、本技術は、本明細書に定義されるポリマーを製造するための方法であって、以下のステップ:
(a)式IIおよびIII:
【化2】

(式中、
XおよびRは本明細書に定義される通りであり、
Yは各出現において独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミン基および低級アルコキシ基から選択され、
qは、第2のモノマー単位の各求核基の数を表す整数であって、少なくとも2である)
のモノマー単位を反応させるステップと、
(b)ステップ(a)で製造したポリマーを単離するステップと、
を含む、方法に関する。
【0010】
一実施形態では、Yは各出現において独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミン基、ヒドロキシル基または低級アルコキシ基であり、例えば、式IIのモノマー単位は、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジメトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジエトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジイソプロポキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジブトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジアミノ-3-シクロブテン-1
,2-ジオン、3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジブロモ-3-シクロブテン-1,2-ジオンおよび3,4-ジヨード-3-シクロブテン-1,2-ジオンから選択される。別の実施形態では、ステップ(a)は、有機塩基の存在下で行われる。例えば、有機塩基は第三級アミンを含み、例えば、トリエチルアミン、2,6-ルチジンまたはピリジン、好ましくはピリジンである。
【0011】
別の実施形態では、ステップ(a)は、ルイス酸の存在下で行われる。例えば、ルイス酸は、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF.OEt)、四塩化スズ(SnCl)、塩化亜鉛(ZnCl)およびトリフルオロメタンスルホン酸金属塩(トリフレート)からなる群から選択され、好ましくはトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(亜鉛トリフレート)である。
【0012】
別の実施形態では、ステップ(a)は溶媒の存在下で行われ、ステップ(b)は、蒸発により有機極性非プロトン性溶媒を除去することをさらに含む。
【0013】
別の実施形態では、ポリマーは重縮合反応によって製造される。
【0014】
別の態様によると、本技術は、本明細書に定義されるポリマーを製造するための方法であって、以下のステップ:
(a)式IIおよびIV:
【化3】

(式中、
は本明細書に定義される通りであり、
Yは各出現において独立して、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選択される脱離基であり、
Zは各出現において独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ボロン酸、ボロン酸エステルおよびトリアルキルスズ基からなる群から選択され、
rは、式IVのモノマー単位のZの数を表す整数であって、少なくとも2である)
のモノマー単位を反応させるステップと、
(b)ステップ(a)で製造したポリマーを単離するステップと、
を含む、方法に関する。
【0015】
別の実施形態では、ステップ(a)は、式IIのモノマー単位とマグネシウムを反応させ、それにより式IVのモノマー単位の添加前にin situでグリニャール試薬を形成するステップをさらに含む。
【0016】
別の実施形態では、ステップ(a)は触媒の存在下で行われる。例えば、触媒は、遷移金属、遷移金属または遷移金属を含む配位錯体を含む化合物を含む。例えば、遷移金属は、Ni、Pd、Co、Fe、Cr、CuおよびMnからなる群から選択され、好ましくはNiまたはPdである。例えば、触媒は、トリアルキルホスフィンまたはトリフェニルホスフィン(PPh)、テトラヒドロフラン(THF)、2,2’-ビピリジン(bpy)、ヨウ化銅(I)(CuI)またはフッ化カリウム(KF)をさらに含んでもよい。一部の場合、例えば、Zがボロン酸エステルである場合では、反応は、追加の触媒なしにイオン性液体で進行してもよい。
【0017】
別の態様によると、本技術は、本明細書に定義されるポリマーを含む電極材料に関する。例えば、電極材料は正極材料であり、電気化学的活物質および必要に応じてバインダー、または必要に応じて電子伝導性材料、またはこれらの組合せを含む。例えば、ポリマーは、バインダーまたは電気化学的活物質である。代替的に、ポリマーは電気化学的活物質にグラフトされている。例えば、電気化学的活物質とバインダーの両方が前記ポリマーを含む。
【0018】
別の実施形態では、電極材料は、遷移金属酸化物をさらに含む。例えば、遷移金属は、チタン(Ti)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)からなる群から選択される。
【0019】
別の態様によると、本技術は、集電体上に本明細書に定義される電極材料を含む正極に関する。
【0020】
別の態様によると、本技術は、本明細書に定義されるポリマーおよび塩を含む電解質組成物に関する。例えば、電解質は、固体ポリマー電解質(SPE)またはゲル電解質である。
【0021】
さらなる態様によると、本技術は、負極、正極および電解質を含む電気化学セルであって、正極および電解質のうちの少なくとも1つが本明細書に定義されるポリマーを含む、電気化学セルに関する。
【0022】
さらなる態様によると、本技術は、負極、正極および電解質を含む電気化学セルであって、電解質が本明細書に定義される通りである、電気化学セルに関する。
【0023】
さらなる態様によると、本技術は、本明細書に定義される少なくとも1つの電気化学セルを含む電池に関する。
【0024】
またさらなる態様によると、本技術は、ポリマー系光電子デバイスにおける使用のための、本明細書に定義されるポリマーに関する。例えば、ポリマー系光電子デバイスは、エレクトロクロミックデバイス(ECD)、フォトクロミックデバイス、有機発光ダイオード(OLED)および太陽電池からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施例2(e)に記載される、一実施形態によるコポリマーの全反射減衰法によるフーリエ変換赤外スペクトル(ATR-FTIR)を示す図である。
【0026】
図2図2は、実施例2(f)に記載される、一実施形態によるコポリマーの固体13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す図である。
【0027】
図3図3は、実施例2(f)に記載される、一実施形態によるコポリマーのATR-FTIRスペクトルを示す図である。
【0028】
図4図4は、実施例3(a)に記載される、一実施形態によるコポリマーのサイクリックボルタモグラムを示す図である。
【0029】
図5図5は、実施例3(b)に記載される、一実施形態によるコポリマーのサイクリックボルタモグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の詳細な説明および例は例示であり、本発明の範囲をさらに限定するものと解釈されるべきではない。
【0031】
本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語および表現は、本技術に関係する場合に当業者によって通常理解されるものと同じ定義を有する。それにもかかわらず、明確にするために、本明細書で使用される一部の用語および表現の定義が以下に提供される。
【0032】
用語「およそ」またはその同等な用語「約」が本明細書で使用される場合、およそ、または~近辺、およびほぼを意味する。用語「およそ」または「約」が数値に関して使用される場合、数値を修飾する。例えば、その公称値を10%の差異で上回るまたは下回ることを意味する場合がある。この用語はまた、実験測定のランダム誤差または丸めの可能性を考慮に入れる場合がある。
【0033】
より明確にするために、本明細書で使用する場合、表現「に由来するモノマー単位」および同等の表現は、重合後に重合性モノマーから生じるポリマーの繰り返し単位を指す。
【0034】
本明細書に記載される化学構造は、従来の基準に従って描写される。また、描写される炭素原子などの原子が不完全な原子価を含むように思われる場合、必ずしも明示的に描写されなくても、原子価は1つまたは複数の水素原子によって満たされると仮定される。
【0035】
本明細書で使用する場合、表現「脱離基」は、化学反応で求核剤によってその結合電子とともに置き換え可能な基を指す。代表的な脱離基の例として、ハロゲン、アルコキシ、トシレート、ヨウ化物、臭化物、塩化物などが挙げられる。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、直鎖または分岐アルキル基を含む、1~12個の炭素原子を有する飽和炭化水素を指す。アルキル基の例として、限定することなく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、tert-ブチル、sec-ブチル、イソブチルなどが挙げられる。アルキル基が2つの官能基間に位置する場合、用語「アルキル」はまた、メチレン、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基を包含する。用語「低級アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を示す。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「アルコキシ」は、酸素原子が結合したアルキル基を指す。代表的なアルコキシ基は、1~約12個の炭素原子を有する基を含む。アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ基などが挙げられる。用語「低級アルコキシ」は、1~6個の炭素原子を有するアルコキシ基を示す。
【0038】
表現「芳香族基」は、4n+2Π電子に等しい数の非局在化Π電子を含む、非局在化共役Π系を含むことを意図する。寄与する原子は、1つまたは複数の環に配置されてもよい。代表的な芳香族基は、5および6員の炭素単環を含む。芳香族基は、1つまたは複数の縮合ベンゼン環、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンなどを含んでもよい。表現「芳香族基」はまた、硫黄、酸素および窒素原子などの、1つまたは複数のヘテロ原子を含む芳香族基を含む。少なくとも1つのヘテロ原子が存在する場合、芳香族基は「ヘテロ芳香族基」と称されてもよい。芳香族環は、1つまたは複数の環位置で、例えば、ヒドロキシル、アミンなどでさらに置換されていてもよい。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「キノン」は、少なくとも2つのカルボニル基(すなわち、ジオン)を含む、芳香族に由来する環状共役基を指す。これらの化合物は、各炭素が
完全共役構造の環状環構造の一部である、2つのC=O基を有するとみなすことができる。代表的なキノンとして、1,2-ベンゾキノン、1,4-ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノンなどが挙げられる。各キノン基は、より大きな基、例えば、多環式基でさらに置換されていてもよく、その一部であってもよい。
【0040】
本明細書で使用される表現「多環式基」は、共有結合によって、または少なくとも2つの環原子(縮合環)を共有することによって一緒に結合した少なくとも2つの環を含む有機基を指す。
【0041】
本明細書で使用する場合、表現「必要に応じて置換されている」は、ポリマーの調製に悪影響を及ぼす可能性がない水素原子以外の官能基を指す。そのような基の例は重合条件に依存し、低級アルキル、低級アルコキシ、ニトリル、フッ素原子、塩素原子、ニトリル、C~Cシクロアルキル(cylcoalkyl)、C~Cヘテロシクロアルキル、アミド、アミン、スルホン、スルホンアミド、シリルなどの基を挙げることができる。アルキル、アルコキシ、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、例えば、ハロゲン化低級アルキル(例えば、CF)またはハロゲン化低級アルコキシ(例えば、OCF)としてさらに置換されていてもよい。
【0042】
本技術は、ポリ(スクアリルアミド)(Neuse, E. W. et al., Polymer 15.6 (1974): 339-345を参照)およびポリ(スクアリルエステル)などのスクアリン酸に由来
するモノマー単位を含むポリマーまたはコポリマーに関する。例えば、そのようなポリマーは、電気化学セルにおける使用が意図される。例えば、ポリマーは、電極材料における、または電解質組成物、例えば、固体またはゲルポリマー電解質の一部としての使用のためのものである。そのようなポリマーは、有機Li-イオン電池のカソード電気化学的活物質として使用することができる。このポリマーにより、電池は高電圧(3.8Vより高い)でサイクルすることが可能になる。さらに、ポリマーは電子伝導性かつイオン伝導性である。重合ステップは比較的低コストで行われ、スケールアップが容易である。ポリマーは、スクアリン酸との共重合に使用されるモノマーを選択することによって設計可能である。この汎用性により、反応の電圧が調整可能である。
【0043】
第1の態様によると、本技術は、式I:
【化4】

(式中、
nおよびmはポリマー中の各モノマー単位の数を表す整数であり、n≧2、m≧0であり、
Xは各出現において独立して、酸素原子、硫黄原子およびアミン基(NR)から選択され、
p=0または1であり、
は、キノン基などの必要に応じて置換されている共役非芳香族環式基、必要に応じて置換されている芳香族もしくは部分芳香族の有機基、または多環式基におけるそれらの組合せであり、
は水素原子または必要に応じて置換されているアルキル基である)
のポリマーに関する。
【0044】
例えば、芳香族または部分芳香族の有機基は、環式または多環式の芳香族または部分芳香族の有機基である。単環式または多環式の芳香族または部分芳香族の有機基は、例えば、1つもしくは複数の縮合ベンゼン環、または1つもしくは複数の5もしくは6員縮合環、またはそれらの組合せに由来してもよい。単環式または多環式の芳香族または部分芳香族の有機基は、例えば、複素環式基、例えば、ヘテロ芳香族基であってもよい。代替的に、部分芳香族有機基は、キノン部分を含む。
【0045】
例えば、単環式または多環式の芳香族または部分芳香族の有機基は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、チエノピロールジオン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾール、3,4-エチレンジオキシチオフェン、カルバゾール、ジチオフェンアンサントロン、ジチオフェンジケトピロロピロール、イソインジゴまたはインジゴに由来する。
【0046】
例えば、Rが複素環式基である場合、各複素環は、窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選択される1~3個のヘテロ原子、好ましくは窒素原子または硫黄原子を含んでもよい。複素環式基は、少なくとも1つの芳香族またはヘテロ芳香族基を含む。
【0047】
例えば、Rが置換されている基である場合、前記基は、1つもしくは複数のアルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子で、または窒素原子などのヘテロ原子に結合している場合は保護基で、置換されている。
【0048】
例えば、Rが置換アルキル基である場合、前記アルキル基は架橋性部分で置換されていてもよい。
【0049】
一例では、mは0であり、式Iのポリマーはスクアリン酸系ホモポリマーである。別の例では、mは0とは異なり、式Iのポリマーはコポリマー、例えば、交互コポリマーである。
【0050】
本明細書に記載されるポリマーの一部では、pは0とは異なり、Xはすべての場合において酸素原子である、すなわちポリエステルポリマーである。代替的に、pは0とは異なり、Xはすべての場合においてアミン基である、すなわちポリアミドポリマーである。他の場合では、pは0であり、Xは存在しない。
【0051】
nが2より大きい式Iのポリマーの他の例では、2より多く、または3より多くのスクアリン酸含有モノマーまたはモノマーの鎖がRに結合してもよい、すなわち、RはX基によって、または直接、1、2、3またはそれより多くのスクアリン酸モノマー単位に結合してもよい。
【0052】
例えば、式Iのポリマーは、式IIに由来するモノマー単位から調製されるホモポリマーまたはコポリマーのいずれかである。したがって、ポリマーは、少なくとも式II:
【化5】
(式中、Yは各出現において独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミン基および低級アルコキシ基から選択される)
のスクアリン酸に由来するモノマー単位を反応させることによって調製される。
【0053】
例えば、Yは、塩素、臭素およびヨウ素原子、ヒドロキシル基、アミン基および低級アルコキシ基からなる群から選択される。別の例では、Yは、塩化物および臭化物から選択される脱離基であり、好ましくは塩化物である。
【0054】
式IIのスクアリン酸に由来するモノマー単位の非限定的な例として、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジメトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジエトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジイソプロポキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジブトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジアミノ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジブロモ-3-シクロブテン-1,2-ジオンおよび3,4-ジヨード-3-シクロブテン-1,2-ジオンが挙げられる。目的の一変形形態では、式IIのスクアリン酸に由来するモノマー単位は、3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオンである。
【0055】
一態様では、ポリマーは、上記式IIのモノマー単位と、式III:
【化6】

(式中、
XおよびRは本明細書に定義される通りであり、qは、第2のモノマー単位の各求核基(XH)の数を表す整数であり、少なくとも2である)
の第2のモノマー単位を反応させることによって調製されるコポリマーである。
【0056】
したがって、式IIIの第2のモノマー単位は、少なくとも2つの求核基(XH)を有する多官能求核反応体である。目的の一変形形態では、求核基XHは、アルコール、チオールまたは第一級アミン基(NH)のいずれかであってもよい。
【0057】
式IIIの第2のモノマー単位の非限定的な例として、p-フェニレンジアミン(PPD)、ベンゼン-1,4-ジオール、5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、5,6-ジヒドロキシシクロヘキサ-5-エン-1,2,3,4-テトロン、テトラヒドロキシ-1,4-ベンゾキノン、1,4-ジアミノ-2,3-ジヒドロアントラキノンおよび4,5-ジヒドロキシシクロペンテントリオンが挙げられる。例えば、式IIIの第2のモノマー単位は、ベンゼン-1,4-ジオールまたは1,4-ジアミノ-2,3-ジヒドロアントラキノンである。
【0058】
式IIIの第2のモノマー単位の例は、式III(a)からIII(g):
【化7】
の化合物を含む。
【0059】
代替的に、ポリマーは、式IIのモノマー単位と、以下に定義される式IV
【化8】

(式中、
は本明細書に定義される通りであり、Zは、各出現において独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ボロン酸、ボロン酸エステルおよびトリアルキルスズ基からなる群から選択され、好ましくは臭素原子であり、rは式IVのZの数を表す整数であり、少なくとも2である)
の第2のモノマー単位を反応させることによって調製されるコポリマーである。
【0060】
例えば、Zは、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選択されるハロゲン原子である。別の例では、Zは、B(OH)、B(Oアルキル)および環状ボロン酸エステル(例えば、ピナコールボロン酸エステル)から選択される。さらなる例では、Zは、トリ-n-ブチルスズなどのトリアルキルスズ基である。
【0061】
式IVの第2のモノマー単位の非限定的な例は、式IV(a)~IV(j):
【化9】

【化10】

(式中、
Zは本明細書に定義される通りであり、
はアミン保護基であり、
は、各出現において独立して、アルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基およびハロゲン原子から選択される置換基であり、好ましくはC6~7アルキルである。代替的に、Rは水素原子である)
の化合物を含む。
【0062】
例えば、Rは、tert-ブトキシカルボニル(butoxycarbonyle)(BOC)、カ
ルボベンジルオキシ(CBz)、p-メトキシベンジル(PMB)またはベンジル(Bn)、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)であり、好ましくはRはBOCである。
【0063】
式IVの第2のモノマー単位の非限定的な例はまた、式IV(k)~IV(o):
【化11】

(式中、Zは本明細書に定義される通りである)
の化合物を含んでもよい。
【0064】
ポリマーがコポリマーである場合、前記コポリマーは、例えば、交互コポリマー、ランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってもよい。コポリマーは、直鎖であっても分岐(例えば、星型、櫛型など)であってもよい。目的の一変形形態では、コポリマーは交互コポリマーである。
【0065】
別の態様によると、本技術はまた、本明細書に定義されるポリマーを製造するための方法に関する。モノマーの重合は、任意の公知の手順によって達成されてもよい。例えば、ポリマーがホモポリマーを形成する場合、スクアリン酸に由来するモノマー単位は、求核部分、すなわち、酸素原子またはアミン基(NH)によって一緒に結合してもよい。
【0066】
モノマーの重合は、任意の公知の手順によって達成されてもよい。例えば、重縮合によって達成されてもよい。ポリマーがコポリマーである場合、重合は、式IIのスクアリン酸に由来する繰り返しモノマー単位と、式IIIのモノマー単位の間で生じる。ポリマーがコポリマーである場合、スキーム1:
【化12】

(式中、
Y、R、X、q、nおよびmは本明細書に定義される通りであり、pは1である)
に示される重合方法によって調製されてもよい。
【0067】
ポリマーがホモポリマーである場合、重合は、式IIのスクアリン酸に由来するモノマー単位間で生じる。ホモポリマーは、スキーム2aまたは2b:
【化13】
に示される重合方法によって調製されてもよい。
【0068】
一例によると、重縮合は、縮合された分子(H)を捕捉するために添加される有機塩基または重縮合反応中に放出される任意の生じる酸の存在下で行われる。一例では、有機塩基は、第三級アミンを含む有機塩基である。第三級アミンを含む有機塩基の非限定的な例として、トリエチルアミン、2,6-ルチジンおよびピリジンが挙げられる。例えば、第三級アミンを含む有機塩基はピリジンである。
【0069】
一例によると、重縮合は、有機極性非プロトン性溶媒の存在下で行われる。例えば、有機極性非プロトン性溶媒は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などから選択される。
【0070】
別の例によると、XHは第一級アミン基であり、重縮合は触媒として添加されるルイス酸の存在下で行われる。ルイス酸触媒は、スクアリン酸エステル、例えば、ジエトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(またはスクアリン酸ジエチル)を用いて、スクアライン(squaraine)副生成物の形成を抑制することにより、式IIIの第2のモノマー単位の重縮合を促進することができる。ルイス酸によって促進される重縮合の副生成物は、エタノールなどのアルコールである。ルイス酸触媒の非限定的な例として、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF.OEt)、四塩化スズ(SnCl)、塩化亜鉛(ZnCl)およびトリフルオロメタンスルホン酸金属塩(トリフレート)が挙げられる。トリフルオロメタンスルホン酸金属塩の非限定的な例として、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)(Sc(OTf))、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム(Mg(OTf))、トリフルオロメタンスルホン酸銅(Cu(OTf))およびトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(Zn(OTf))が挙げられる。例えば、ルイス酸は、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(亜鉛トリフレート)である。
【0071】
一例によると、ルイス酸によって促進される重縮合は、有機極性非プロトン性溶媒と非極性溶媒の混合物の存在下で行われる。例えば、溶媒は、トルエンおよびジメチルホルムアミドを含む。
【0072】
代替的に、重合は、グリニャール反応などの有機金属化学反応によって達成されてもよい。例えば、グリニャール試薬とハロゲン化アリールのカップリングによるモノマーの重合である。例えば、グリニャール試薬は、脱離基がハロゲン原子である式IIのスクアリン酸に由来する繰り返しモノマー単位とマグネシウムの反応によって調製される。例えば、脱離基は、各出現において、各出現において独立して塩化物、臭化物、ヨウ化物からなる群から選択されるハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子である。
【0073】
ポリマーはその後、調製された前記グリニャール試薬と、それぞれホモポリマーおよびコポリマーを製造するための、式IIのスクアリン酸に由来するモノマー単位、または式IVのモノマー単位との、引き続き生じる反応によって製造される。ポリマーがコポリマーである場合、スキーム3:
【化14】
に示される重合方法によって調製されてもよい。ポリマーがホモポリマーである場合、スキーム4:
【化15】
に示される重合方法によって調製されてもよい。
【0074】
一例によると、グリニャール反応は触媒の存在下で行われる。例えば、触媒は、遷移金属または遷移金属を含む化合物を含む。例えば、遷移金属は、ニッケル、パラジウム、コバルト、鉄、クロム、銅およびマンガンからなる群から選択され、好ましくはニッケルまたはパラジウムである。例えば、触媒は錯体であってもよい。例えば、錯体は、トリフェニルホスフィン(PPh)または2,2’-ビピリジン(bpy)を含む。触媒の非限定的な例として、NiCl(bpy)、NiBr(PPh、PdCl(bpy)、Pd(dba)、Pd(PPh、Pd(PPhCl、FeEt(bpy)、CrMeCl(THF)、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(Ni(COD))(PPh、FeCl、FeClおよびCoClが挙げられる。例えば、触媒は、Ni(COD)とPPhの1:2の比の錯体を含む。
【0075】
一例によると、グリニャール反応は、有機極性非プロトン性溶媒の存在下で行われる。例えば、有機極性非プロトン性溶媒はテトラヒドロフラン(THF)であってもよい。
【0076】
代替的に、重合は、ハロ芳香族化合物の脱ハロゲン化重合によって、あるいはハロ芳香族化合物と、トリアルキルスズ化合物またはボロン酸もしくはボロン酸エステル化合物などの活性化化合物とのクロスカップリングによって達成されてもよい。脱ハロゲン化重合は、脱離基がハロゲン原子である式IIのスクアリン酸に由来する繰り返しモノマー単位と、ハロ芳香族化合物との反応である。例えば、ハロ芳香族化合物は、ジまたはポリハロゲン化芳香族化合物であってもよい。例えば、ハロ芳香族化合物は式IVのものである。例えば、ハロゲン原子は、各出現において独立してCl、BrおよびIからなる群から選択され、好ましくはClまたはBrである。同様に、クロスカップリングは、脱離基がハロゲン原子である式IIのスクアリン酸に由来する繰り返しモノマー単位を、トリアルキルスズ、ボロン酸またはボロン酸エステル部分を含む芳香族化合物、例えば、Zがトリアルキルスズ、ボロン酸またはボロン酸エステル基である式IVのモノマー単位と反応させ
ることによって達成されてもよい。例えば、芳香族化合物は、ベンゼンまたはヘテロ芳香族基に由来する。ポリマーがコポリマーである場合、スキーム5:
【化16】
に示される重合方法によって調製されてもよい。
【0077】
式IVの芳香族化合物の非限定的な例は、式IV(j)、IV(k)、IV(l)、IV(m)、IV(n)、IV(o)またはIV(p)の化合物を含む。例えば、芳香族化合物は、p-ジブロモベンゼン、p-ジクロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、m-ジブロモベンゼン、o,p-ジクロロトルエン、2,5-ジブロモピリジン、9,10-ジブロモアントラセン、1,3,5-トリクロロベンゼン、2,5-ジブロモチオフェン、チオフェン-2,5-ジボロン酸、チオフェン-2,5-ジボロン酸エステル(例えば、ビス(ピナコール)エステル)、2,5-ビス(トリアルキルスズ)チオフェン(例えば、2,5-ビス(n-ブチルスズ)チオフェン)からなる群から選択される。
【0078】
一例によると、芳香族化合物との重合は、触媒の存在下で行われてもよい。例えば、触媒は、モノマーと比べると過剰である。例えば、触媒は、遷移金属または遷移金属を含む化合物を含む。例えば、遷移金属は、Ni、Pd、Co、Fe、Cr、CoおよびMnからなる群から選択され、好ましくはNiまたはPdである。例えば、触媒は錯体であってもよい。例えば、錯体は、トリフェニルホスフィン(PPh)または2,2’-ビピリジン(bpy)を含む。触媒の例としてはまた、NiCl(bpy)、NiBr(PPh、PdCl(bpy)、Pd(dba)、Pd(PPh、Pd(PPhCl、FeEt(bpy)、CrMeCl(THF)、およびビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(Ni(COD))(PPhが挙げられる。例えば、触媒はin situで生成されてもよい。例えば、触媒は、Ni(COD)、1,5-シクロオクタジエンおよびbpy触媒を1:1:1の比で含む。例えば、触媒は、トリアルキルホスフィンまたはトリフェニルホスフィン(PPh)、テトラヒドロフラン(THF)、2,2’-ビピリジン(bpy)、CuIまたはKFをさらに含んでもよい。一部の場合、例えば、Zがボロン酸エステルである場合では、反応は追加の触媒なしにイオン性液体で進行してもよい。イオン性液体を使用する重合方法は、Page, Z. A. et al., Chem. Sci., 2014, Vol. 5, 2368-73に示される。
【0079】
一例によると、芳香族化合物との重合は、非極性溶媒の存在下で行われる。例えば、非極性溶媒はトルエンであってもよい。
【0080】
本明細書に記載される方法は、他の既存の方法と比べて安価であり、重合方法をスケールアップするのが容易であるとみなすことができる。本明細書に記載される重合方法はまた、Neuse, E. W. et al.(上記参照)によって提示された方法よりはるかに安全で
ある。例えば、本明細書に記載される方法は、熱ポリリン酸を使用しない。他の利点として、ポリマーが、スクアリン酸との共重合で使用されるモノマーによって設計可能であることが挙げられ、この汎用性により、反応条件および使用されるモノマーを変化させることによって、電圧の調整が可能になる。
【0081】
スクアリン酸に由来するモノマーと第2のモノマーのいずれかとの任意の組合せを含む
、本明細書に記載される方法で入手可能なポリマーもまた企図される。本発明のポリマーの非限定的な例は、
【化17】

【化18】

(式中、Arはアリール二価基である)
を含む。
【0082】
本明細書に記載されるポリマーは、電気化学セルの要素における、すなわち、電極材料および/または電解質組成物における使用が企図される。
【0083】
別の態様によると、本技術はまた、本明細書に定義されるポリマーを含む電極材料に関
する。目的の一変形形態では、電極材料は正極材料である。一実施形態では、正極材料は、電気化学的活物質、必要に応じてバインダー、必要に応じて添加剤、必要に応じて電子伝導性材料、またはこれらの組合せを含む。
【0084】
電極材料はまた、導電性材料、塩、無機粒子、ガラスまたはセラミック粒子などのような追加成分を必要に応じて含んでもよい。導電性材料の例として、カーボンブラック、Ketjen(商標)ブラック、アセチレンブラック、黒鉛、グラフェン、炭素繊維、ナノファイバー(例えば、VGCF)、またはカーボンナノチューブ、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0085】
一例では、本明細書に記載されるポリマーは、バインダーとして電極材料で使用される。代替的に、ポリマーは電気化学的活物質として使用される。ポリマーはまた、電極材料でバインダーと電気化学的活物質の両方として作用することができる。
【0086】
一例では、本明細書に記載されるポリマーは、電気化学的活物質にグラフトされている。例えば、電気化学的活物質は、金属酸化物粒子、リチウム化金属酸化物粒子、金属リン酸塩粒子およびリチウム化金属リン酸塩粒子からなる群から選択される。例えば、金属は、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびこれらの少なくとも2つの組合せからなる群から選択される遷移金属である。
【0087】
別の例では、電気化学的活性電極材料は遷移金属の酸化物をさらに含んでもよく、例えば、遷移金属は、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)などからなる群から選択される。別の態様によると、本技術はまた、本明細書に定義される電極材料を含む正極に関する。例えば、正極は、集電体上に電極材料を含む。本技術はまた、本明細書に定義されるポリマーおよび塩を含む電解質組成物を企図する。例えば、電解質は、ゲルまたは固体ポリマー電解質であってもよい。電解質がゲル電解質である場合、セパレータがさらに添加されてもよい。
【0088】
別の態様によると、本技術はまた、本発明のポリマーを含む電気化学セルに関する。そのような電気化学セルは、負極、正極および電解質を含み、正極および電解質のうちの少なくとも1つは、本発明のポリマーを含む。一例では、正極は、本明細書に定義される電極材料を含む。別の例では、電解質は、本明細書に定義される電解質組成物を含む。別の例では、電極は本明細書に定義される電極材料を含み、電解質は本明細書に定義される電解質組成物を含む。
【0089】
より明確にするために、負極の電気化学的活物質は、上記で定義された電気化学的活物質(電極活物質との酸化還元親和性のために選択される)、およびアルカリ金属膜、例えば、金属リチウム膜またはその合金を含む、任意の公知の材料から選択されてもよい。一例では、負極材料は本発明のポリマーを含まず、金属材料の膜または集電体上の負極材料からなる。例えば、負極材料はリチウム金属またはリチウム挿入材料であり、または負極材料は金属リチウムの膜である。
【0090】
別の態様によると、本明細書に定義される少なくとも1つの電気化学セルを含む電池が記載される。例えば、電池は、リチウム電池、ナトリウム電池およびマグネシウム電池からなる群から選択される。
【0091】
別の態様によると、本明細書に記載されるポリマーは、エレクトロクロミックデバイス(ECD)、フォトクロミックデバイス、有機発光ダイオード(OLED)および太陽電池などのポリマー系光電子デバイスにおける使用が企図される。
【実施例0092】
以下の非限定的な実施例は例示的実施形態であり、本発明の範囲をさらに限定するものと解釈されるべきではない。これらの実施例は、添付の図面を参照してより良く理解される。
(実施例1)
ホモポリマーの調製
(a)スクアリン酸と二塩化スクアリルの重縮合-スクアリン酸系ホモポリマー(ポリ(スクアリン酸エステル))の合成
【化19】
【0093】
本実施例は、スクアリン酸と二塩化スクアリル(1,2-ジクロロシクロブテン-3,4-ジオン)の重縮合を示す。この重縮合を実施するために、1gのスクアリン酸ジクロリドおよび0.75gのスクアリン酸を200mLのシュレンク管に導入した。塩化水素受容体としての30mLの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および10mLの乾燥ピリジンを、不活性雰囲気下でシュレンク管に添加した。その後、反応物を、マグネチックバーを用いて室温で3日間撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた残基に水(100mL)を添加し、生成したスラリーを15分間激しく撹拌した。固体を濾過し、濾液が透明になるまで水(5回)、続いてメタノール(5回)およびトルエン(5回)で洗浄した。その後、固体を真空下で60℃において12時間乾燥した。
(b)二塩化スクアリルの単独重合-スクアリン酸系ホモポリマーの合成
【化20】

- グリニャール試薬溶液の調製
【0094】
窒素(N)でパージした3つ口丸底フラスコの無水反応器に30mLの無水テトラヒドロフラン(THF)を添加し、(0.322g、13.2mmol)のエッチング直後の乾燥削り状マグネシウムを反応器に添加し、生成した懸濁液をNでパージする。10mLの無水THF中(1.00g、6.62mmol)の3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン溶液を調製し、N雰囲気下でカニューレを使用して、反応器中1時間かけて削り状マグネシウム懸濁液に連続的に添加する。次に、生成したグリニャール試薬溶液を還流しながら70℃で1時間加熱し、室温に冷却してN雰囲気下で脱気する。
- 二塩化スクアリル溶液の調製
【0095】
窒素(N)でパージした第2の3つ口丸底フラスコの無水反応器に10mLの無水テトラヒドロフラン(THF)を添加し、(1.00g、6.62mmol)の3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオンを第2の反応器に添加し、生成した溶液をNを使用して脱気する。次に、生成した溶液に(0.09g、0.331mmol)のビ
ス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(Ni(COD))および(0.173g、0.662mmol)のトリフェニルホスフィン(PPh)を添加し、反応器をNでパージする。
- ポリマーの調製
【0096】
第1のステップで調製したグリニャール試薬溶液を、N雰囲気下でカニューレを使用して、第2のステップで調製した二塩化スクアリル溶液に添加する。次に、生成した溶液を還流しながら16時間にわたって約70℃まで加熱する。反応物を、メタノールと水の10:1v/v溶液で沈殿させ、濾過によってポリマーを回収する。
(c)二塩化スクアリルの単独重合-スクアリン酸系ホモポリマーの合成
【化21】

- グリニャール試薬溶液の調製
【0097】
窒素(N)でパージした3つ口丸底フラスコの無水反応器に30mLの無水テトラヒドロフラン(THF)を添加し、(0.161g、6.62mmol)のエッチング直後の乾燥削り状マグネシウムを反応器に添加し、生成した懸濁液をNでパージする。10mLの無水THF中(1.00g、6.62mmol)の3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン溶液を調製し、N雰囲気下でカニューレを使用して、反応器中1時間かけて削り状マグネシウム懸濁液に連続的に添加する。次に、生成したグリニャール試薬溶液を還流しながら70℃で1時間加熱し、室温に冷却してN雰囲気下で脱気する。
- Ni(COD)溶液の調製
【0098】
でパージした第2の3つ口丸底フラスコの無水反応器に10mLの無水THFを添加し、Nで脱気する。次に、THFに(0.09g、0.331mmol)のビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(Ni(COD))および(0.173g、0.662mmol)のトリフェニルホスフィン(PPh)を添加し、反応器をNでパージする。
- ポリマーの調製
【0099】
第1のステップで調製したグリニャール試薬溶液を、N雰囲気下でカニューレを使用して、第2のステップで調製したNi(COD)溶液に添加する。次に、生成した溶液を還流しながら16時間にわたって70℃で加熱する。反応物を、メタノールと水の10:1v/v溶液で沈殿させ、濾過によってポリマーを回収する。
(d)二塩化スクアリルの単独重合-スクアリン酸系ホモポリマーの合成
【化22】
【0100】
Ni(COD)(1eq.)、1,5-シクロオクタジエン(1eq.)および2,2’-ビピリジン(bpy)(1eq.)をトルエンに溶解する。混合物に3,4-ジク
ロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(0.03eq.)を添加する。次に、反応物を60℃で96時間撹拌し、不溶性ポリマーを生成する。沈殿物を、アンモニア水溶液、室温においてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA二ナトリウム塩)の水溶液、さらに50℃の温度において水で洗浄する。生成したポリマーを、Soxhletを使用してクロロホルムによる抽出によって終夜洗浄し、メタノールで抽出し、Celite(商標)で濾過する。メタノールを蒸発して除去し、表題のポリマーを得る。
(実施例2)
コポリマーの調製
(a)ベンゼン-1,4-ジオールと二塩化スクアリルの重縮合-ポリ(スクアリン酸-alt-p-ジヒドロキシフェニレン)コポリマーの合成
【化23】
【0101】
本実施例は、ヒドロキノンと二塩化スクアリルの重縮合を示す。この重縮合を実施するために、0.88gの3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(二塩化スクアリル)および0.50gのベンゼン-1,4-ジオールを200mLのシュレンク管に導入した。塩化水素受容体としての30mLの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および10mLの乾燥ピリジンを、不活性雰囲気下でシュレンク管に添加した。その後、反応物を、マグネチックバーを用いて60℃の温度で48時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた残基に水(100mL)を添加し、生成したスラリーを15分間激しく撹拌した。固体を濾過し、濾液が透明になるまで水(5回)、続いてメタノール(5回)およびトルエン(5回)で洗浄した。その後、固体を真空下で60℃において12時間乾燥した。
(b)5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノンと二塩化スクアリルの重縮合-ポリ(スクアリン酸-alt-ナフタザリン)の合成
【化24】
【0102】
本実施例は、5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン(ナフタザリン)と二塩化スクアリルの重縮合を示す。この重縮合を実施するために、0.40gの3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(スクアリン酸ジクロリド)および0.50gの5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノンを200mLのシュレンク管に導入した。塩化水素受容体としての30mLの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および10mLの乾燥ピリジンを、不活性雰囲気下でシュレンク管に添加した。その後、反応物を、マグネチックバーを用いて60℃の温度で48時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた残基に水(100mL)を添加し、生成したスラリーを15分間激しく撹拌した。固体を濾過し、濾液が透明になるまで水(5回)、続いてメタノール(5回)およびトルエン(5回)で洗浄した。その後、固体を真空下で60℃において12時間乾燥した。
(c)4,5-ジヒドロキシシクロペンタ-4-エン-1,2,3-トリオンと二塩化スクアリルの重縮合-ポリ(スクアリン酸-alt-4,5-ジヒドロキシシクロペンタ-4-エン-1,2,3-トリオン)の合成
【化25】
【0103】
本実施例は、クロコン酸と二塩化スクアリルの重縮合を示す。この重縮合を実施するために、0.53gの3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(スクアリン酸ジクロリド)および0.50gの4,5-ジヒドロキシシクロペンタ-4-エン-1,2,3-トリオンを200mLのシュレンク管に導入した。塩化水素受容体としての30mLの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および10mLの乾燥ピリジンを、不活性雰囲気下でシュレンク管に添加した。その後、反応物を、マグネチックバーを用いて60℃の温度で48時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた残基に水(100mL)を添加し、生成したスラリーを15分間激しく撹拌した。固体を濾過し、濾液が透明になるまで水(5回)、続いてメタノール(5回)およびトルエン(5回)で洗浄した。その後、固体を真空下で60℃において12時間乾燥した。
(d)5,6-ジヒドロキシシクロヘキサ-5-エン-1,2,3,4-テトロンと二塩化スクアリルの重縮合-ポリ(スクアリン酸-alt-5,6-ジヒドロキシシクロヘキサ-5-エン-1,2,3,4-テトロン)の合成
【化26】
【0104】
本実施例は、ロジゾン酸と二塩化スクアリルの重縮合を示す。この重縮合を実施するために、0.44gの3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(スクアリン酸ジクロリド)および0.50gの5,6-ジヒドロキシシクロヘキサ-5-エン-1,2,3,4-テトロンを200mLのシュレンク管に導入した。塩化水素受容体としての30mLの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および10mLの乾燥ピリジンを、不活性雰囲気下でシュレンク管に添加した。その後、反応物を、マグネチックバーを用いて60℃の温度で48時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた残基に水(100mL)を添加し、生成したスラリーを15分間激しく撹拌した。固体を濾過し、濾液が透明になるまで水(5回)、続いてメタノール(5回)およびトルエン(5回)で洗浄した。その後、固体を真空下で60℃において12時間乾燥した。(e)テトラヒドロキシ-1,4-ベンゾキノンと二塩化スクアリルの重縮合-ポリ(スクアリン酸-alt-テトラヒドロキシ-1,4ベンゾキノン)の合成
【化27】
【0105】
本実施例は、テトラヒドロキシ-1,4-ベンゾキノンと二塩化スクアリルの重縮合を
示す。この重縮合を実施するために、0.44gの3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(スクアリン酸ジクロリド)および0.50gのテトラヒドロキシ-1,4-ベンゾキノンを200mLのシュレンク管に導入した。塩化水素受容体としての30mLの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および10mLの乾燥ピリジンを、不活性雰囲気下でシュレンク管に添加した。その後、反応物を、マグネチックバーを用いて60℃の温度で48時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた残基に水(100mL)を添加し、生成したスラリーを15分間激しく撹拌した。生成した固体を濾過し、濾液が透明になるまで水(5回)、続いてメタノール(5回)およびトルエン(5回)で洗浄した。その後、固体を真空下で60℃において12時間乾燥した。
【0106】
本実施例に記載されるコポリマーを、全反射減衰法によるフーリエ変換赤外分光法(ATR-FTIR)によって特徴付け、得られたスペクトルを図1に示す。
(f)1,4-ジアミノアントラキノンと二塩化スクアリルの重縮合-ポリ(スクアリン酸アミド)の合成
【化28】
【0107】
本実施例は、1,4-ジアミノアントラキノンと二塩化スクアリルの重縮合を示す。この重縮合を実施するために、1.3gのスクアリン酸ジクロリドおよび2.29gの1,4-ジアミノアントラキノンを200mLのシュレンク管に導入した。塩化水素受容体としての100mLの乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)および25mLの乾燥ピリジンを、不活性雰囲気下でシュレンク管に添加した。その後、反応物を、マグネチックバーを用いて室温で3日間撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた残基に水(100mL)を添加し、生成したスラリーを15分間激しく撹拌した。固体を濾過し、濾液が透明になるまで水(5回)、続いてメタノール(5回)およびトルエン(5回)で洗浄した。その後、固体を真空下で60℃において12時間乾燥した。
【0108】
コポリマーを13C固体核磁気共鳴(NMR)分光法(図2)およびATR-FTIR(図3)によって特徴付けた。
(g)p-フェニレンジアミン(PPD)とスクアリン酸ジエチルの重縮合-ポリ(スクアリン酸アミド)の合成
【化29】
【0109】
0.64gのp-フェニレンジアミン(PPD)を、トルエンとジメチルホルムアミドを9:1で含む溶媒中1.0gのジエトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(またはスクアリン酸ジエチル)および428mgのトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(亜鉛トリフレート)を含む10mLの撹拌溶液に添加した。その後、反応物を、マグネチックバーを用いて100℃の温度で12時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた残基に水(100mL)を添加し、生成したスラリーを15分
間激しく撹拌した。固体を濾過し、濾液が透明になるまで水(5回)、続いてメタノール(5回)およびトルエン(5回)で洗浄した。その後、固体を真空下で60℃において12時間乾燥した。
(h)ハロ芳香族化合物との共重合-スクアリン酸アリールコポリマーの合成
【化30】
【0110】
トルエン中0.83gのNi(COD)、0.35gの1,5-シクロオクタジエンおよび0.47gの2,2’-ビピリジン(bpy)を添加することにより、触媒に対して0.3当量の3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオンおよび0.3当量の芳香族ジブロミドまたは芳香族ジクロリドをin situで形成する。その後、反応物を60℃で96時間撹拌し、不溶性ポリマーを得る。沈殿物を、アンモニア水溶液、および室温でエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA二ナトリウム塩)の水溶液、次に50℃の温度で水で洗浄する。その後、生成したポリマーを真空下で60℃において48時間乾燥した。一例では、芳香族ジブロミドは2,5-ジブロモチオフェンである。
(i)芳香族ボロン酸エステル化合物との共重合-スクアリン酸チオフェンコポリマーの合成
【化31】

- チオフェン-2,5-ジボロン酸ビス(ピナコール)エステルの調製
【0111】
宮浦反応に従ってビス(ピナコール)ボロン酸エステルを調製する。グローブボックス中、無水アセトニトリル(45mL)、2,5-ジブロモチオフェン(0.7mL)をセプタムを備えた100mLのシュレンク管に導入し、続いてビス(ピナコレート)ジボロン(3.14g)、Pd(Dba)(0.639g)、P(Ph)(0.647g)および酢酸カリウム(1.85g)を導入する。シュレンク管を密閉しアルゴン下に保ったままグローブボックスから取り出す。次に、反応混合物を55℃で24時間撹拌する。酢酸エチル(70mL)を添加し、混合物をCelite(商標)で濾過する。濾液を水で3回、20%Na水溶液で5回洗浄し、洗浄液が依然として赤色であれば続いて67%溶液で洗浄する。次いで、混合物をMgSOで乾燥し濾過する。濾液をロータリーエバポレーターで真空下で77℃において濃縮する。ヘキサン/酢酸エチルの80/20混合物、続いて60/40混合物を使用して、混合物をシリカゲルに通す。その後、得られた溶液を真空中で濃縮し生成物を得る。化学構造をHおよび13C NMRで確認する。
- コポリマーの調製
【0112】
0.225gの3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、0.5gのチ
オフェン-2,5-ジボロン酸ビス(ピナコール)エステルおよび炭酸セシウムをシュレンク管に導入する。溶媒(例えば、トルエン)、続いてPd(Dba)およびP(Ph)を添加する。次に、反応混合物を80℃で4日間撹拌する。メタノールと塩酸の溶液(8:1)を添加し、20分間撹拌する。混合物をブフナー漏斗で濾過し、メタノールで洗浄する。次いで生成物をオーブンで80℃において1日乾燥する。
(j)トリアルキルスズ芳香族化合物との共重合-スクアリン酸チオフェンコポリマーの合成
【化32】
【0113】
クロスカップリング重合反応は、スティルカップリングによって進行してもよい。不活性雰囲気下で、2,5-ビス(トリブチルスタンニル)チオフェンおよび3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,2-ジオンをシュレンク管に添加し、トルエンに溶解する。得られた溶液を脱気する。Pd(PPh(0.1eq.)およびCuI(0.2eq.)を添加し、溶液を数分間撹拌する。次に、CsF(4.4eq.)を添加し、薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターして完了するまで、反応物を加熱還流する。冷却後、混合物を真空中で濃縮し、残基を最小量のジクロロメタンに溶解し、沈殿させて精製に供す。
(実施例3)
電気化学特性-サイクリックボルタンメトリー
(a)ポリ(スクアリン酸エステル)の電気化学特性
【0114】
図1は、実施例2(a)の手順に従って調製したコポリマーについて、リチウム金属を対極として使用し、カーボネート系溶媒中1Mのヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を電解質として使用して記録したサイクリックボルタモグラムを示す図である。速度2mV/s、室温、掃引電位1~5V(vs Li/Li+)での結果を示す。スクアリン酸単位とリチウム(リチウム挿入)の間の反応を、4.2Vの高電圧で観察した。したがって、このポリマーは、高電圧(すなわち、3.8Vより高い)での電池のサイクリングを可能とする。サイクリックボルタモグラム曲線下面積を使用して、96mAh/gの比容量を計算した。
(b)ポリ(スクアリン酸アミド)の電気化学特性
【0115】
図2は、実施例2(f)の手順に従って調製したコポリマーについて、リチウム金属を対極として使用し、カーボネート系溶媒中1Mのヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を電解質として使用して記録したサイクリックボルタモグラムを示す図である。速度2mV/s、室温、掃引電位1~6V(vs Li/Li+)での結果を示す。図2は3つのリチウム挿入ピークを示す。1つはキノン部分(2.8V)に帰属し、2つ目は1,4-ジアミノアントラキノンの1,4-ジアミノフェニル部分(3.7V)に帰属し、最後はスクアリン酸単位(4.4V)に帰属する可能性がある。
【0116】
サイクリックボルタモグラム曲線下面積を使用して、692mAh/gの比容量を計算した。
【0117】
高電圧(本実施例では最大4.4V)でのリチウムの挿入の他に、このポリマーの別の利点は、スクアリン酸との共重合で使用されるモノマーによって設計可能であるということであり、この汎用性によって反応電圧の調整が可能になる。
【0118】
本発明の範囲から離れることなく、上述の実施形態のいずれに対しても多数の修正が行われてもよい。本出願で言及されるあらゆる参考文献、特許または科学文献資料は、それらの全体があらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
式I:
【化33】

(式中、
nおよびmはポリマー中の各モノマー単位の数を表す整数であり、n≧2かつm≧0であり、
Xは各出現において独立して、酸素原子、硫黄原子および式NR のアミン基から選択され、
pは各モノマー単位中のX基の数を表す整数であって、0または1であり、
は、キノン基などの必要に応じて置換されている共役非芳香族環式基、必要に応じて置換されている芳香族もしくは部分芳香族の有機基、または多環式基におけるそれらの組合せであり、
は水素原子または必要に応じて置換されているアルキルである)
のポリマー。
(項2)
が単環式または多環式の芳香族または部分芳香族の有機基である、上記項1に記載のポリマー。
(項3)
が複素環式化合物である、上記項1または2に記載のポリマー。
(項4)
各複素環がN、SおよびOから選択される1~3個のヘテロ原子を含む、上記項3に記載のポリマー。
(項5)
前記ヘテロ原子がNまたはSである、上記項4に記載のポリマー。
(項6)
各置換されているR が、各出現において独立して、アルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ヒドロキシル基およびハロゲン原子から選択される1つもしくは複数の置換基で、または窒素族などのヘテロ原子に結合している場合は保護基で、置換されている、上記項1から5のいずれか一項に記載のポリマー。
(項7)
前記単環式または多環式の芳香族または部分芳香族の有機基が、1つもしくは複数の縮合ベンゼン環、または1つもしくは複数の5もしくは6員縮合環またはそれらの組合せに由来する、上記項1から6のいずれか一項に記載のポリマー。
(項8)
が、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンゾキノン、ナフトキノンおよびアントラキノンからなる群から選択される、上記項1から7のいずれか一項に記載のポリマー。
(項9)
pが1であり、Xが各出現においてアミン基(NH)である、上記項1から8のいずれか一項に記載のポリマー。
(項10)
pが1であり、Xが各出現においてアミン基(NH)であり、R がパラフェニレンお
よびアントラキノンからなる群から選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項11)
pが1であり、Xが各出現において酸素原子である、上記項1から8のいずれか一項に記載のポリマー。
(項12)
pが1であり、Xが各出現において酸素原子であり、R がベンゼン、ナフトキノン、シクロヘキサ-5-エン-1,2,3,4-テトロン、シクロペンテントリオンおよび1,4-ベンゾキノンからなる群から選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項13)
pが0であり、R がベンゼン、フェニレン、ピリジン、チオフェン、チエノピロールジオン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアジアゾール、3,4-エチレンジオキシチオフェン、カルバゾール、ジチオフェンアンサントロン、ジチオフェンジケトピロロピロール、イソインジゴまたはインジゴからなる群から選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項14)
交互コポリマーである、上記項1から13のいずれか一項に記載のポリマー。
(項15)
mが0であり、式Iの前記ポリマーがホモポリマーである。上記項1に記載のポリマー。
(項16)
【化34】

から選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項17)
【化35】

から選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項18)
【化36】

から選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項19)
【化37】

(式中、Arはアリール二価基である)
から選択される、上記項1に記載のポリマー。
(項20)
電極材料および電解質組成物から選択される、電気化学セルの少なくとも1つの要素における使用のための、上記項1から19のいずれか一項に記載のポリマー。
(項21)
上記項1から14および17から19のいずれか一項に記載のポリマーを製造するための方法であって、
(a)式IIおよびIII:
【化38】

(式中、
XおよびR は上記項1から15のいずれか一項に定義される通りであり、
Yは各出現において独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミン基および低級アルコキシ基から選択される脱離基であり、
qは、式IIIのモノマー単位中のXH基の数を表す整数であって、少なくとも2である)
のモノマー単位を反応させるステップと、
(b)ステップ(a)で製造したポリマーを単離するステップと、
を含む、方法。
(項22)
Yが各出現において独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミン基、ヒドロキシル基または低級アルコキシ基である、上記項21に記載の方法。
(項23)
式IIの前記モノマー単位が、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジメトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジエトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジイソプロポキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジブトキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジアミノ-3-シクロブテン-1,2-ジオン、3,4-ジクロロ-3-シクロブテン-1,
2-ジオン、3,4-ジブロモ-3-シクロブテン-1,2-ジオンおよび3,4-ジヨード-3-シクロブテン-1,2-ジオンから選択される、上記項21または22に記載の方法。
(項24)
式IIIのモノマー単位が、p-フェニレンジアミン(PPD)、ベンゼン-1,4-ジオール、5,8-ジヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、5,6-ジヒドロキシシクロヘキサ-5-エン-1,2,3,4-テトロン、テトラヒドロキシ-1,4-ベンゾキノン、1,4-ジアミノ-2,3-ジヒドロアントラキノンおよび4,5-ジヒドロキシシクロペンタ-4-エン-1,2,3-トリオンから選択される、上記項21から23のいずれか一項に記載の方法。
(項25)
ステップ(a)が有機塩基の存在下で行われる、上記項21から24のいずれか一項に記載の方法。
(項26)
前記有機塩基が第三級アミンを含む、上記項25に記載の方法。
(項27)
前記第三級アミンがトリエチルアミン、2,6-ルチジンまたはピリジン、好ましくはピリジンである、上記項26に記載の方法。
(項28)
ステップ(a)がルイス酸の存在下で行われる、上記項21から24のいずれか一項に記載の方法。
(項29)
前記ルイス酸が、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF .OEt )、四塩化スズ(SnCl )、塩化亜鉛(ZnCl )およびトリフルオロメタンスルホン酸金属塩(トリフレート)からなる群から選択される、上記項28に記載の方法。
(項30)
前記トリフルオロメタンスルホン酸金属塩が、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)(Sc(OTf) )、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム(Mg(OTf) )、トリフルオロメタンスルホン酸銅(Cu(OTf) )およびトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(Zn(OTf) )からなる群から選択される、上記項29に記載の方法。
(項31)
前記ルイス酸がトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(亜鉛トリフレート)である、上記項30に記載の方法。
(項32)
ステップ(a)が溶媒の存在下で行われる、上記項21から31のいずれか一項に記載の方法。
(項33)
ステップ(b)が、蒸発により前記溶媒を除去することをさらに含む、上記項32に記載の方法。
(項34)
前記溶媒が、有機極性非プロトン性溶媒、または有機極性非プロトン性溶媒および非極性溶媒を含む混合物である、上記項32または33に記載の方法。
(項35)
前記有機極性非プロトン性溶媒がジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルスルホキシド(DMSO)である、上記項34に記載の方法。
(項36)
前記非極性溶媒がトルエンである、上記項32または33に記載の方法。
(項37)
前記ポリマーが重縮合反応によって製造される、上記項31から36のいずれか一項に
記載の方法。
(項38)
上記項1から14および17のいずれか一項に記載のポリマーを製造するための方法であって、
(a)式IIおよびIV:
【化39】

(式中、
は上記項1から15のいずれか一項に定義される通りであり、
Yは各出現において独立して、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選択される脱離基であり、
Zは各出現において独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ボロン酸、ボロン酸エステルおよびトリアルキルスズ基からなる群から選択され、
rは、式IVのモノマー単位中のZの数を表す整数であって、少なくとも2である)
のモノマー単位を反応させるステップと、
(b)ステップ(a)で製造したポリマーを単離するステップと、
を含む、方法。
(項39)
Yが各出現において塩素原子である、上記項38に記載の方法。
(項40)
式IVの化合物が式IV(a)~IV(o)から選択される、上記項38または39に記載の方法。
(項41)
Zが各出現において塩素原子である、上記項38から40のいずれか一項に記載の方法。
(項42)
Zが各出現において臭素原子である、上記項38から40のいずれか一項に記載の方法。
(項43)
ステップ(a)が、式IIの前記モノマー単位とマグネシウムを反応させ、それにより式IVの前記モノマー単位の添加前にin situでグリニャール試薬を形成するステップをさらに含む、上記項38から42のいずれか一項に記載の方法。
(項44)
ステップ(a)が触媒の存在下で行われる、上記項38から43のいずれか一項に記載の方法。
(項45)
前記触媒が、遷移金属、または遷移金属もしくは遷移金属を含む配位錯体を含む化合物を含む、上記項44に記載の電極材料。
(項46)
前記遷移金属が、Ni、Pd、Co、Fe、Cr、CuおよびMnからなる群から選択される、上記項45に記載の電極材料。
(項47)
前記遷移金属がNiまたはPdである、上記項45に記載の電極材料。
(項48)
前記触媒が、トリアルキルホスフィンまたはトリフェニルホスフィン(PPh )、テトラヒドロフラン(THF)、2,2’-ビピリジン(bpy)、CuIまたはKFをさ
らに含む、上記項44から47のいずれか一項に記載の方法。
(項49)
前記触媒が、NiCl (bpy)、NiBr (PPh 、PdCl (bpy)、Pd (dba) 、Pd(PPh 、Pd(PPh Cl 、PdFeEt (bpy) 、CrMeCl (THF) 、Ni(COD)(PPh 、Ni(COD) (bpy)、FeCl 、FeCl およびCoCl からなる群から選択される、上記項44から47のいずれか一項に記載の方法。
(項50)
前記触媒が、Ni(COD)(PPh を1:2の比で含む錯体である、上記項44から49のいずれか一項に記載の方法。
(項51)
前記触媒が、Ni(COD) 、1,5-シクロオクタジエンニッケルおよびbpyを1:1:1の比で含む錯体である、上記項44から49のいずれか一項に記載の方法。
(項52)
ステップ(a)が溶媒の存在下で行われる、上記項38から51のいずれか一項に記載の方法。
(項53)
ステップ(b)が、蒸発により前記溶媒を除去することをさらに含む、上記項52に記載の方法。
(項54)
前記溶媒が、有機極性非プロトン性溶媒または非極性溶媒である、上記項52または53に記載の方法。
(項55)
前記有機極性非プロトン性溶媒がテトラヒドロフラン(THF)である、上記項54に記載の方法。
(項56)
前記非極性溶媒がトルエンである、上記項54に記載の方法。
(項57)
上記項1から19のいずれか一項に記載のポリマーを含む電極材料。
(項58)
電気化学的活物質を含み、さらに必要に応じてバインダー、電子伝導性材料、またはこれらの組合せを含む、上記項57に記載の電極材料。
(項59)
前記電気化学的活物質が、金属酸化物粒子、リチウム化金属酸化物粒子、金属リン酸塩粒子およびリチウム化金属リン酸塩粒子からなる群から選択される、上記項58に記載の電極材料。
(項60)
前記金属が、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびこれらの少なくとも2つの組合せからなる群から選択される遷移金属である、上記項59に記載の電極材料。
(項61)
前記ポリマーが前記電気化学的活物質にグラフトされている、上記項58から60のいずれか一項に記載の電極材料。
(項62)
前記ポリマーが前記バインダーである、上記項58から60のいずれか一項に記載の電極材料。
(項63)
前記ポリマーが前記電気化学的活物質である、上記項58に記載の電極材料。
(項64)
前記電気化学的活物質と前記バインダーの両方が前記ポリマーを含む、上記項58か
ら63のいずれか一項に記載の電極材料。
(項65)
遷移金属の酸化物をさらに含み、例えば、前記遷移金属は、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、およびコバルト(Co)からなる群から選択される、上記項57から64のいずれか一項に記載の電極材料。
(項66)
集電体上に上記項57から65のいずれか一項に記載の電極材料を含む正極。
(項67)
上記項1から19のいずれか一項に記載のポリマーおよび塩を含む電解質組成物。
(項68)
前記電解質が固体ポリマー電解質(SPE)である、上記項67に記載の電解質組成物。
(項69)
ゲル電解質組成物である、上記項67に記載の電解質組成物。
(項70)
負極、正極および電解質を含む電気化学セルであって、前記正極または電解質のうちの少なくとも1つが上記項1から19のいずれか一項に記載のポリマーを含む、電気化学セル。
(項71)
負極、正極および電解質を含む電気化学セルであって、前記電解質が上記項67から69のいずれか一項に記載の通りである、電気化学セル。
(項72)
前記正極が上記項65に記載の通りである、上記項70または71に記載の電気化学セル。
(項73)
前記負極がアルカリ金属膜である、上記項70から72のいずれか一項に記載の電気化学セル。
(項74)
前記アルカリ金属膜が金属リチウム膜またはその合金である、上記項73に記載の電気化学セル。
(項75)
上記項70から74のいずれか一項に記載の少なくとも1つの電気化学セルを含む電池。
(項76)
リチウム電池、ナトリウム電池およびマグネシウム電池から選択される、上記項75に記載の電池。
(項77)
ポリマー系光電子デバイスにおける使用のための、上記項1から19のいずれか一項に記載のポリマー。
(項78)
前記ポリマー系光電子デバイスが、エレクトロクロミックデバイス(ECD)、フォトクロミックデバイス、有機発光ダイオード(OLED)および太陽電池からなる群から選択される、上記項77に記載のポリマー。
(項79)
上記項1から19のいずれか一項に記載のポリマーを含む、光電子デバイス。
(項80)
ポリマー系光電子デバイスが、エレクトロクロミックデバイス(ECD)、フォトクロミックデバイス、有機発光ダイオード(OLED)および太陽電池からなる群から選択される、上記項79に記載の光電子デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】