(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010725
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】オルタネータ用半導体装置およびオルタネータ
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20240118BHJP
H02M 7/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H02M7/06 G
H02M7/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112175
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000233273
【氏名又は名称】株式会社 日立パワーデバイス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山下 諒大
(72)【発明者】
【氏名】恩田 智弘
(72)【発明者】
【氏名】江上 善光
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC08
5H006HA06
(57)【要約】
【課題】
半導体チップにかかる応力が少なく、取り外しが容易なオルタネータ用半導体装置を実現する。
【解決手段】
半導体チップを有する整流回路2と、第1の外部電極であるディスク1と、第2の外部電極であるリード3とを備え、オルタネータ20に取り付けられるオルタネータ用半導体装置において、ディスク1は、内部に空洞1aを有するとともに、外周にネジ加工されたネジ部1bを有し、リード3は、外部に接続される棒状部3aと、整流回路2に接続される板状部3bとを有し、整流回路2とリード3の板状部3bとがディスク1の空洞1a内に配置され、封止材5により封止されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを有する整流回路と、第1の外部電極であるディスクと、第2の外部電極であるリードとを備え、オルタネータに取り付けられるオルタネータ用半導体装置において、
前記ディスクは、内部に空洞を有するとともに、外周にネジ加工されたネジ部を有し、
前記リードは、外部に接続される棒状部と、前記整流回路に接続される板状部とを有し、
前記整流回路と前記リードの前記板状部とが前記ディスクの前記空洞内に配置され、封止材により封止されていることを特徴とするオルタネータ用半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ディスクは、外周に六角柱状部を有することを特徴とするオルタネータ用半導体装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記半導体チップは、前記ネジ部と重なる高さの位置に配置されていることを特徴とするオルタネータ用半導体装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記半導体チップはダイオードチップであることを特徴とするオルタネータ用半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記半導体チップはMOSFETを有することを特徴とするオルタネータ用半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載のオルタネータ用半導体装置を整流素子として用い、
前記オルタネータ用半導体装置が前記ネジ部によって取り付けられていることを特徴とするオルタネータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルタネータ用半導体装置およびそれを用いたオルタネータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されるオルタネータは、発電機であり、エンジンの駆動力を利用して交流を生成し、整流器によって直流へと変換してバッテリに供給する役割を有する。整流器には、整流素子としてオルタネータ用半導体装置が用いられる。
【0003】
図5は、従来のオルタネータ用半導体装置の断面図であり、
図6は、従来のオルタネータ用半導体装置の上面図である。
図5は、
図6のA-Aにおける断面図である。
【0004】
従来のオルタネータ用半導体装置10は、例えばダイオードやMOSFETなどが形成された半導体チップを有する整流回路2と、第1の外部電極であるディスク1と、第2の外部電極であるリード3とを備える。整流回路2のアノードおよびカソードの一方は接合材4によりディスク1に接続され、他方は接合材4によりリード3の板状部3bに接続されている。ディスク1の上面と、整流回路2と、接合材4と、リード3の板状部3bとリード3の棒状部3aの根元部分が、封止材5により封止されている。
【0005】
従来のオルタネータ用半導体装置10は、圧入型の半導体装置であり、ディスク1をオルタネータに設けられた穴に圧入して取り付けられる。
【0006】
このような従来の圧入型のオルタネータ用半導体装置としては、例えば特許文献1などが挙げられる。
【0007】
また、オルタネータ用半導体装置ではないが、半導体装置の取り付けに関する技術としては、例えば特許文献2の
図1および
図2や、特許文献3の第1図および第2図には、外周にネジ部を設けて取り付ける技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-107750号公報
【特許文献2】特開平6-196625号公報
【特許文献3】特開平4-167380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図5に示した従来のオルタネータ用半導体装置では、圧入型なので、強固な結合になる一方で、圧入時の応力により半導体チップが割れる可能性があり、また、半導体装置の取り外しが困難になるという課題がある。
【0010】
特許文献1に記載された技術では、圧入時の応力を低減する工夫がなされているが、半導体装置の取り外しの課題は残ってしまう。
【0011】
特許文献2や特許文献3に記載された技術は、オルタネータ用半導体装置ではなく、また、圧入型の問題を解決するためになされた発明ではないが、ネジによる取り付けなので半導体装置の取り外しは可能である。しかしながら、特許文献2の
図2の凹溝(23)や、特許文献3の第1図の溝(19)などのドライバ用の溝に、ドライバを差し込んで回転させる必要があるため、取り付け作業の作業性が悪く、また、ドライバ用の溝がつぶれてしまった場合には取り外しが困難になるという課題がある。
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、半導体チップにかかる応力が少なく、取り外しが容易なオルタネータ用半導体装置と、それを用いたオルタネータを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のオルタネータ用半導体装置は、例えば、半導体チップを有する整流回路と、第1の外部電極であるディスクと、第2の外部電極であるリードとを備え、オルタネータに取り付けられるオルタネータ用半導体装置において、前記ディスクは、内部に空洞を有するとともに、外周にネジ加工されたネジ部を有し、前記リードは、外部に接続される棒状部と、前記整流回路に接続される板状部とを有し、前記整流回路と前記リードの前記板状部とが前記ディスクの前記空洞内に配置され、封止材により封止されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明のオルタネータは、上記したオルタネータ用半導体装置を整流素子として用い、前記オルタネータ用半導体装置が前記ネジ部によって取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のオルタネータ用半導体装置とそれを用いたオルタネータによれば、圧入型ではなくネジによる取り付けなので半導体チップにかかる応力が少なく、また、リードの棒状部を持って回転させて取り付けることができるので、取り外しが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例1のオルタネータ用半導体装置の断面図。
【
図2】実施例1のオルタネータ用半導体装置の上面図。
【
図3】実施例2のオルタネータを説明するための電源装置の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。各図、各実施例において、同一または類似の構成要素については同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【実施例0018】
図1は、実施例1のオルタネータ用半導体装置の断面図であり、
図2は、実施例1のオルタネータ用半導体装置の上面図である。
図1は、
図2のA-Aにおける断面図である。
【0019】
実施例1のオルタネータ用半導体装置10は、半導体チップを有する整流回路2と、第1の外部電極であるディスク1と、第2の外部電極であるリード3とを備え、オルタネータに取り付けられる半導体装置である。ディスク1は、内部に空洞1aを有するとともに、外周にネジ加工されたネジ部1bを有する。リード3は、外部に接続される棒状部3aと、整流回路2に接続される板状部3bとを有する。そして、整流回路2とリード3の板状部3bとがディスク1の空洞1a内に配置され、封止材5により封止されている。
【0020】
実施例1のオルタネータ用半導体装置10によれば、従来のような圧入型ではなくネジによる取り付けなので半導体チップにかかる応力が少なく、また、リード3の棒状部3aを持って回転させて取り付けることができるので、取り外しが容易にできる。
【0021】
ここで、ディスク1は、ネジ部1bに加えて、外周に六角柱状部1cをさらに有することが望ましい。これにより、スパナやレンチなどによりさらに強固に固定したり、容易に取り外すことが可能になる。なお、六角柱状部1cは必須ではなく、ネジ部1bのみとしてもよい。
【0022】
整流回路2に用いられる半導体チップは、例えばダイオードチップでもよいし、MOSFETを有する半導体チップとしてもよい。整流回路2にMOSFETを有する半導体チップを用いる場合、整流回路2は、MOSFETを整流動作させるための制御回路と、電源となるコンデンサとを有する。制御回路とコンデンサは、MOSFETを有する半導体チップに内蔵してもよいし、別の部品として構成してもよい。別の部品として構成する場合は、整流回路2の内蔵部品を樹脂などの封止材でパッケージ化した組立体とするのが望ましい。
【0023】
整流回路2のアノードおよびカソードの一方は接合材4によりディスク1に接続され、他方は接合材4によりリード3の板状部3bに接続されている。
【0024】
封止材5は、例えば樹脂が用いられ、ディスク1の空洞1a内で、整流回路2と、接合材4と、リード3の板状部3bとリード3の棒状部3aの根元部分を封止している。
【0025】
整流回路2の半導体チップは、ネジ部1bと重なる高さの位置に配置されているが、従来のような圧入型ではなくネジによる取り付けなので半導体チップにかかる応力は少ない。
【0026】
また、ディスク1は例えば銅などの導電性の金属が用いられるので、材料費が高いが、ディスク1は空洞1aを有しているので、ディスク1の材料費を低減することができる。さらに、ディスク1の空洞1a内に封止材5を溶かして入れて固めるポッティングモールドで封止できるので、従来のようなトランスファーモールドにする必要がなく、製造が容易となる。
【0027】
また、リード3の板状部3bがディスク1の空洞1a内で封止材5により封止されているので、リード3の棒状部3aを持って回転させて取り付ける際に効率よく力を伝達でき、余計な応力もかかりにくい。
実施例2は、実施例1のオルタネータ用半導体装置を整流素子として用いたオルタネータの実施例である。実施例2のオルタネータは、実施例1のオルタネータ用半導体装置10がネジ部1bによって取り付けられている。
電源装置34は、自動車に搭載されており、オルタネータ20と、キースイッチ31と、レギュレータ32と、バッテリ33とで構成されている。オルタネータ20は、回転発電機21と、整流器22とを有しており、エンジンの駆動力を利用して回転発電機21で生成された交流を整流器22で直流に変換し、バッテリ33および負荷35に供給する。
回転発電機21は、ステータコイル23と、ロータコイル24とを有している。ロータコイル24は、エンジンの駆動力を利用して回転する。キースイッチ31がオンされてロータコイル24に電流が流れた状態においてロータコイル24が回転すると、ステータコイル23により、例えば3相の交流が発電される。
整流器22は、複数の整流素子25で構成されたブリッジ回路を有しており、交流を直流に変換する。実施例2では、この整流素子25として、実施例1のオルタネータ用半導体装置10を用いている。
オルタネータ20は、ハウジング26内に、ステータコイル23と、ロータコイル24と、ベアリング29と、スリップリング30と、ホルダ27と、整流素子25とを有している。また、オルタネータ20は、ハウジング26の外部に、プーリ28を有している。
ホルダ27は、穴を有しており、この穴に整流素子25として実施例1のオルタネータ用半導体装置10がネジ部1bにより取り付けられている。したがって、整流素子25の取り外しが容易にできる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に記載された構成に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々の変更が可能である。また、各実施例で説明した構成の一部または全部を組み合わせて適用してもよい。