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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107260
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】熱交換プレート
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6568 20140101AFI20240801BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240801BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240801BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240801BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20240801BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240801BHJP
   B60K 11/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01M10/6568
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/651
B60K1/04 Z
B60K11/02
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024093808
(22)【出願日】2024-06-10
(62)【分割の表示】P 2020169909の分割
【原出願日】2020-10-07
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】谷口 勝志
(57)【要約】
【課題】より良い構成を有するハイブリッド熱交換器を搭載する熱交換プレートを提供する。
【解決手段】熱交換プレートにおいて、電池モジュール群は冷却液層の第1面に沿って配置されるように設定され、第1電池モジュールの少なくとも一部は第4の冷媒路の第1部分に対応すると伴に第1の冷却液路に重なって配置されるように設定され、第2電池モジュールの少なくとも一部は第4の冷媒路の第2部分に対応すると伴に第2の冷却液路に重なって配置されるように設定され、第3電池モジュールの少なくとも一部は第3の冷媒路に対応すると伴に第3の冷却液路に重なって配置されるように設定され、平面視において、冷却液層の少なくとも一部は、冷媒層の第4の冷媒路及び第1電池モジュールと冷媒層の第3の冷媒路及び第3電池モジュールとの間に配置されるように設定される。
【選択図】図37
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1電池モジュールと、第2電池モジュールと、第3電池モジュールとを有する電池モジュール群と、車体に結合された第1車輪及び第2車輪と、少なくとも前記第1車輪を駆動する電動機と、を備える車両に搭載可能であって、
冷却液を循環させる冷却液層と、
冷媒を循環させる冷媒層と、を備え、
前記冷却液層は、第1面と、前記第1面と反対の第2面を有し、
前記冷媒層は、第3面と、前記第3面と反対の第4面を有し、
所定の方向について、一端側と他端側を有し、
前記冷却液層は、前記所定の方向に沿い、前記車両の一端側から他端側に延びて配置された第1の冷却液路と、前記所定の方向に沿い、前記他端側から前記一端側に延びて配置された第2の冷却液路と、前記他端側において前記第1の冷却液路と前記第2の冷却液路を結ぶ第3の冷却液路と、を備え、
前記冷却液は、前記第1の冷却液路と、前記第3の冷却液路と、前記第2の冷却液路とを循環し、
前記冷媒層は、前記所定の方向に沿い、前記車両の一端側から他端側に延びて配置された第1の冷媒路と、前記所定の方向に沿い、前記他端側から前記一端側に延びて配置された第2の冷媒路と、前記所定の方向と直交する方向に沿って配置され、前記第1の冷媒路と前記第2の冷媒路を結ぶ第3の冷媒路と、前記所定の方向と前記直交する方向に沿って配置され、前記第1の冷媒路と前記第2の冷媒路を結び、前記第3の冷媒路と異なる第4の冷媒路と、を備え、
前記冷媒は、前記第1の冷媒路と、前記第3の冷媒路と、前記第4の冷媒路と、前記第2の冷媒路と、を循環し、
前記第4の冷媒路の第1部分は、前記第1の冷却液路に重なって配置され、
前記第4の冷媒路の前記第1部分と異なる第2部分は、前記第2の冷却液路に重なって配置された熱交換プレートであって、
前記冷却液層の前記第1面は、前記冷却液層の前記第2面より、前記電池モジュール群に近く配置されるように設定され、
前記冷媒層の前記第3面は、前記冷媒層の前記第4面より、前記電池モジュール群に近く配置されるように設定され、
前記電池モジュール群は、前記冷却液層の前記第1面に沿って配置されるように設定され、
前記第1電池モジュールの少なくとも一部は、前記第4の冷媒路の前記第1部分に対応すると伴に、前記第1の冷却液路に重なって配置されるように設定され、
前記第2電池モジュールの少なくとも一部は、前記第4の冷媒路の前記第2部分に対応すると伴に、前記第2の冷却液路に重なって配置されるように設定され、
前記第3電池モジュールの少なくとも一部は、前記第3の冷媒路に対応すると伴に、前記第3の冷却液路に重なって配置されるように設定され、
平面視において、前記冷却液層の少なくとも一部は、前記冷媒層の前記第4の冷媒路及び前記第1電池モジュールと、前記冷媒層の前記第3の冷媒路及び前記第3電池モジュールとの間に配置されるように設定された、
熱交換プレート。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換プレートであって、
前記冷却液層の流路断面積は、前記冷媒層の流路断面積より、大きい、
熱交換プレート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の熱交換プレートであって、
前記冷却液層の前記第1面と前記第2面との間の距離は、前記冷媒層の前記第3面と前記第4面との間の距離より、大きい、
熱交換プレート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の熱交換プレートであって、
前記冷媒層は、前記冷媒が前記冷媒層に入る入口と、前記冷媒が前記冷媒層から出る出口を備え、
前記入口における前記第3面と前記第4面との間の第1距離は、
前記出口における前記第3面と前記第4面との間の第2距離より、小さい、
熱交換プレート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱交換プレートであって、
前記冷媒層の前記第3面の前記少なくとも一部は、前記冷却液層の前記第1面と前記冷却液層の前記第2面との間に配置された、
熱交換プレート。
【請求項6】
請求項5に記載の熱交換プレートであって、
前記冷媒層の前記第3面の前記少なくとも一部に対応する前記第4面は、前記冷却液層の前記第2面に沿っている、
熱交換プレート。
【請求項7】
請求項6に記載の熱交換プレートであって、
少なくとも、前記電池モジュール群と、前記冷却液層と、前記冷媒層とを収容する電池パック筐体を備えるように設定され、
前記電池パック筐体の内面の少なくとも一部は、前記冷却液層の前記第2面に沿って配置されるように設定された、
熱交換プレート。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の熱交換プレートであって、
前記冷媒層の前記第3面の前記少なくとも一部と、前記冷却液層の前記第1面との間の冷却液が流れる第1流路の第1距離は、
前記冷却液層の前記第1面と前記第2面との間の冷却液が流れる第2流路の第2距離より、小さい、
熱交換プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車及び電気自動車には、駆動源であるモータに電力を供給する車載電池が搭載されている。車載電池の温度上昇を抑制するために、冷媒と冷却液の2つを同時に供給するハイブリッド熱交換器が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-50000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイブリッド熱交換器は、冷媒と冷却液の2つを取り扱うため、冷媒のみ又は冷却液のみを取り扱う熱交換器と比べて、複雑な構成を有する。よって、ハイブリッド熱交換器のより良い構成の検討が不十分である。
【0005】
本開示は、より良い構成を有するハイブリッド熱交換器を搭載する熱交換プレートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、少なくとも第1電池モジュールと、第2電池モジュールと、第3電池モジュールとを有する電池モジュール群と、車体に結合された第1車輪及び第2車輪と、少なくとも前記第1車輪を駆動する電動機と、を備える車両に搭載可能であって、冷却液を循環させる冷却液層と、冷媒を循環させる冷媒層と、を備え、前記冷却液層は、第1面と、前記第1面と反対の第2面を有し、前記冷媒層は、第3面と、前記第3面と反対の第4面を有し、所定の方向について、一端側と他端側を有し、前記冷却液層は、前記所定の方向に沿い、前記車両の一端側から他端側に延びて配置された第1の冷却液路と、前記所定の方向に沿い、前記他端側から前記一端側に延びて配置された第2の冷却液路と、前記他端側において前記第1の冷却液路と前記第2の冷却液路を結ぶ第3の冷却液路と、を備え、前記冷却液は、前記第1の冷却液路と、前記第3の冷却液路と、前記第2の冷却液路とを循環し、前記冷媒層は、前記所定の方向に沿い、前記車両の一端側から他端側に延びて配置された第1の冷媒路と、前記所定の方向に沿い、前記他端側から前記一端側に延びて配置された第2の冷媒路と、前記所定の方向と直交する方向に沿って配置され、前記第1の冷媒路と前記第2の冷媒路を結ぶ第3の冷媒路と、前記所定の方向と前記直交する方向に沿って配置され、前記第1の冷媒路と前記第2の冷媒路を結び、前記第3の冷媒路と異なる第4の冷媒路と、を備え、前記冷媒は、前記第1の冷媒路と、前記第3の冷媒路と、前記第4の冷媒路と、前記第2の冷媒路と、を循環し、前記第4の冷媒路の第1部分は、前記第1の冷却液路に重なって配置され、前記第4の冷媒路の前記第1部分と異なる第2部分は、前記第2の冷却液路に重なって配置された熱交換プレートであって、前記冷却液層の前記第1面は、前記冷却液層の前記第2面より、前記電池モジュール群に近く配置されるように設定され、前記冷媒層の前記第3面は、前記冷媒層の前記第4面より、前記電池モジュール群に近く配置されるように設定され、前記電池モジュール群は、前記冷却液層の前記第1面に沿って配置されるように設定され、記第1電池モジュールの少なくとも一部は、前記第4の冷媒路の前記第1部分に対応すると伴に、前記第1の冷却液路に重なって配置されるように設定され、前記第2電池モジュールの少なくとも一部は、前記第4の冷媒路の前記第2部分に対応すると伴に、前記第2の冷却液路に重なって配置されるように設定され、前記第3電池モジュールの少なくとも一部は、前記第3の冷媒路に対応すると伴に、前記第3の冷却液路に重なって配置されるように設定され、平面視において、前記冷却液層の少なくとも一部は、前記冷媒層の前記第4の冷媒路及び前記第1電池モジュールと、前記冷媒層の前記第3の冷媒路及び前記第3電池モジュールとの間に配置されるように設定された、熱交換プレートを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、より良い構成を有するハイブリッド熱交換器を搭載する熱交換プレートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】実施の形態1に係る車両の構成例を示す平面図
図1B】実施の形態1に係る車両の構成例を示す左側面図
図2】実施の形態1に係る車両が備える電気回路の一例を説明するための図
図3A】実施の形態1に係る電池パックの構成例を示す斜視図
図3B】実施の形態1に係る電池パックの構成例を示す断面図
図3C】実施の形態1に係る電池パックの構成例を示す正面図
図4】実施の形態1に係る冷却液回路及び冷媒回路の構成例を示す図
図5】実施の形態1に係る第1のインタフェース配置の一例を示す図
図6】実施の形態1に係る第2のインタフェース配置の一例を示す図
図7】実施の形態1に係る第1のインタフェース配置を有する場合における冷却液層及び冷媒層の第1の構成例を示す図
図8】実施の形態1に係る第1のインタフェース配置を有する場合における冷却液層及び冷媒層の第2の構成例を示す図
図9】実施の形態1に係る第1のインタフェース配置を有する場合における冷却液層及び冷媒層の第3の構成例を示す図
図10】実施の形態1に係る第2のインタフェース配置を有する場合における冷却液層及び冷媒層の第4の構成例を示す図
図11】実施の形態1に係る第2のインタフェース配置を有する場合における冷却液層及び冷媒層の第5の構成例を示す図
図12】実施の形態1に係る第2のインタフェース配置を有する場合における冷却液層及び冷媒層の第6の構成例を示す図
図13】実施の形態1に係る電池パックが2つの熱交換プレートを有する場合の第1のインタフェース配置の例を示す図
図14】実施の形態1に係る電池パックが2つの熱交換プレートを有する場合の第2のインタフェース配置の例を示す図
図15】実施の形態1に係る2つの熱交換プレートを有する場合における冷却液層及び冷媒層の構成例を示す図
図16】実施の形態1に係る冷媒二重管を使用する第2のインタフェース配置の一例を示す図
図17】実施の形態1に係る冷媒二重管を使用する場合における熱交換プレートの構成例を示す図
図18】実施の形態1に係る冷媒二重管を冷媒路に直接接続する場合の接続部分の一例を示す図
図19】実施の形態1に係る冷媒二重管を冷媒路にフランジ接続する場合の接続部分を示す図
図20】実施の形態1に係るフランジ接続する場合の冷媒二重管の構成を示す断面斜視図
図21】実施の形態2に係る第3のインタフェース配置の一例を示す図
図22】実施の形態2に係る第4のインタフェース配置の一例を示す図
図23】実施の形態2に係る第3のインタフェース配置を有する場合における冷却液層及び冷媒層の第1の構成例を示す図
図24】実施の形態2に係る第4のインタフェース配置を有する場合における冷却液層及び冷媒層の第2の構成例を示す図
図25】実施の形態2に係る電池パックが2つの熱交換プレートを有する場合の第3のインタフェース配置の例を示す図
図26】実施の形態2に係る電池パックが2つの熱交換プレートを有する場合の第4のインタフェース配置の例を示す図
図27】実施の形態2に係る2つの熱交換プレートを有する場合における冷却液層及び冷媒層の構成例を示す図
図28】実施の形態2に係る冷媒二重管を使用する第4のインタフェース配置の一例を示す図
図29】実施の形態2に係る冷媒二重管を使用する場合における熱交換プレートの構成例を示す図
図30A】実施の形態3に係る電池パックの構成の第1例を示す模式図
図30B】実施の形態3に係る電池パックの構成の第2例を示す模式図
図31】実施の形態3に係る電池パックの第1の構成例を示す分解斜視図
図32】実施の形態3に係る電池パックの第1の構成例における冷却液層及び冷媒層300の断面を示す図
図33】実施の形態3に係る電池パックの第1の構成の変形例における冷却液層及び冷媒層の断面を示す図
図34】実施の形態3に係る電池パックの第2の構成例を示す分解斜視図
図35】実施の形態3に係る電池パックの第2の構成例における冷却液層及び冷媒層の断面を示す図
図36】実施の形態3に係る電池パックの第3の構成例を示す分解斜視図
図37】実施の形態4に係る電池パックの構成例を示す平面図
図38】実施の形態4に係る電池パックの第1の構成例を示す断面図
図39】実施の形態4に係る電池パックの第2の構成例を示す断面図
図40】実施の形態4に係る電池パックの第3の構成例を示す断面図
図41】実施の形態4に係る電池パックの第4の構成例を示す断面図
図42】実施の形態4に係る電池パックの第5の構成例を示す断面図
図43図42と対比するための電池パックの構成例を示す平面図
図44図42と対比するための電池パックの断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(実施の形態1)
<車両の構成>
図1Aは、実施の形態1に係る車両1の構成例を示す平面図である。図1Bは、実施の形態1に係る車両1の構成例を示す左側面図である。
【0011】
なお、説明の便宜上、図1に示すように、車両1の高さ方向に延びる軸をZ軸とする。Z軸に対して垂直(つまり地面に平行)かつ車両1の進行方向に延びる軸をY軸とする。Y軸及びZ軸に対して垂直な軸(つまり車両1の幅方向の軸)をX軸とする。また、説明の便宜上、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」、Y軸の正方向を「前」、Y軸の負方向を「後」、X軸の正方向を「右」、X軸の負方向を「左」と称する場合がある。これらの表現は、XYZ軸を記載した他の図面についても同様である。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0012】
車両1は、車体2、車輪3、電動機4、及び、電池パック100を備える。
【0013】
電池パック100は、車体2に収容される。電池パック100は、充放電可能な複数の電池モジュール103を有する。以下、電池パック100が有する複数の電池モジュール103を、電池モジュール群103GPと称する。電池モジュール103の例として、リチウムイオン電池が挙げられる。電池モジュール群103GPは、蓄積した電力を電動機4等に供給(放電)する。電池モジュール群103GPは、回生エネルギーによって電動機4が発した電力を蓄積(充電)してもよい。電池パック100は、図1に示すように、車体2の中央の床下に収容されてよい。なお、電池パック100の詳細については後述する。
【0014】
車輪3は、車体2に結合される。なお、図1A及び図1Bには、車両1が4つの車輪3を備える自動車を示しているが、車両1は少なくとも1つの車輪3を備えればよい。例えば、車両1は2つの車輪3を備えるバイクであってもよいし、3つ又は5つ以上の車輪3を備える車両であってもよい。また、車両1が備える複数の車輪3のうちの1つを第1車輪3a、複数の車輪3のうちの第1車輪3aとは異なる1つを第2車輪3bと称してもよい。第1車輪3aは車両1の前輪、第2車輪3bは車両1の後輪であってよい。車両1は、第1車輪3a及び第2車輪3bによって所定の方向(例えば前後方向)に移動可能である。
【0015】
電動機4は、電池モジュール群103GPから供給される電力を用いて、少なくとも1つの車輪3(例えば第1車輪3a)を駆動する。車両1は、少なくとも1つの電動機4を備える。車両1は、電動機4が前輪を駆動する(つまり前輪駆動の)構成であってよい。あるいは、車両1は、電動機4が後輪を駆動する(つまり後輪駆動の)構成、又は、電動機4が前輪及び後輪の両方を駆動する(つまり四輪駆動の)構成であってよい。あるいは、車両1は、複数の電動機4を備え、複数の電動機4のそれぞれが個別に車輪3を駆動する構成であってもよい。電動機4は、車両1の前方に位置するモータールーム(エンジンルーム)に設置されてよい。
【0016】
<電気回路の構成>
図2は、実施の形態1に係る車両1が備える電気回路の一例を説明するための図である。
【0017】
電池モジュール群103GPを含む電池パック100は、高電圧コネクタ、及び、低電圧コネクタを有する。本開示では、高電圧コネクタ、及び、低電圧コネクタを区別せずに、電気コネクタ115(図3A参照)と称する。
【0018】
高電圧コネクタには、高電圧分配器が接続されてよい。高電圧分配器には、駆動用インバータ、コンプレッサ141(図4参照)、HVAC(Heating, Ventilation, and Air Conditioning)、車載充電器、及び、急速充電ポートが接続されてよい。低電圧コネクタには、CAN(Controller Area Network)、及び、12V電源系が接続されてよい。
【0019】
駆動用インバータには、電動機4が接続されてよい。すなわち、電池モジュール群103GPから出力される電力は、高電圧コネクタ、高電圧分配器、及び、駆動用インバータを通じて、電動機4に供給されてよい。
【0020】
<電池パックの構成>
図3Aは、実施の形態1に係る電池パック100の構成例を示す斜視図である。図3Bは、実施の形態1に係る電池パック100の構成例を示す断面図である。図3Bに示す断面図は、図3Aに示す電池パック100のA-A断面図である。図3Cは、実施の形態1に係る電池パック100の構成例を示す正面図(Y軸の正方向から見た図)である。
【0021】
電池パック100は、筐体101、熱交換プレート102、及び、電池モジュール群103GPを含む。筐体101は、熱交換プレート102及び電池モジュール群103GPを収容する。
【0022】
熱交換プレート102は、例えば偏平な略直方体の形状を呈し、第1面104と、当該第1面104と反対の(対向する)第2面105とを有する。本実施の形態では、第1面104を上面、第2面105と下面として説明する。ただし、第1面104が下面、第2面105が上面であってもよい。また、熱交換プレート102は、熱交換器と読み替えられてよい。
【0023】
熱交換プレート102は、第1面104と第2面105との間に、冷却液を循環させる冷却液層200と、冷媒を循環させる冷媒層300とを有する。冷却液の例として、エチレングリコールを含む不凍液が挙げられる。冷媒の例として、HFC(Hydrofluorocarbon)が挙げられる。
【0024】
本実施の形態では、熱交換プレート102は、冷媒層300の上に冷却液層200が配置される構成である。しかし、熱交換プレート102は、冷却液層200の上に冷媒層300が配置される構成であってもよい。冷却液層200は、冷却液プレートと読み替えられてよい。冷媒層300は、冷媒プレートと読み替えられてよい。なお、冷却液層200及び冷媒層300の構成例については後述する。
【0025】
筐体101は、平面視で(つまり上から見て)所定の辺を含む所定の形状を有する。所定の形状は、所定の辺である第1辺106と、第1辺106と対向する第2辺107とを有してよい。さらに、所定の形状は、第1辺106及び第2辺107とは別に、第3辺108と、当該第3辺108と対向する第4辺109とを有してよい。少なくとも第3辺108は、第1辺106よりも長く、所定の方向(例えば車両1の進行方向)に沿って配置されてよい。別言すると、筐体101は、略直方体の形状を呈し、平面視において、短辺(第1辺106及び第2辺107)が車両1の左右方向に延び、長辺(第3辺108及び第4辺109)が車両1の前後方向に延びる長方形の形状であってよい。筐体101は、熱交換プレート102の第1面104から第2面105の方向に沿って配置された所定の面(以下「前面」という)110を有してよい。筐体101の第1辺106は、筐体101の第2辺107と電動機4との間に配置されてよい。すなわち、筐体101の所定の辺(第1辺106)は、筐体101の電動機4に近い前面110を構成する辺であってよい。
【0026】
筐体101は、電池パック100のインタフェースとして、冷却液入力ポート111、冷却液出力ポート112、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、及び、電気コネクタ115を有する。冷却液入力ポート111、冷却液出力ポート112、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、及び、電気コネクタ115は、筐体101を平面視した場合(つまり上から見た場合)における、筐体101の所定の辺(第1辺106)に配置されてよい。例えば、冷却液入力ポート111、冷却液出力ポート112、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、及び、電気コネクタ115は、筐体101の前面110に配置されてよい。
【0027】
また、図3Cに示すように、冷却液入力ポート111、冷却液出力ポート112、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、及び、電気コネクタ115は、前面110における、車体2と電池パック100とを固定する2つの固定脚118の間のスペースに配置されてよい。
【0028】
冷却液入力ポート111は、電池パック100の外部から冷却液層200へ冷却液を入力するためのインタフェースである。冷却液入力ポート111は、冷却液入力部と読み替えられてもよい。冷却液入力部は、電池パック100の外部から冷却液層200に続く冷却液入力管121(図5参照)の一部であってよい。冷却液入力管121は、第1管と読み替えられてもよい。なお、電池パック100の「外部」という表現は、車両1の内部における電池パック100の外側を意味し、車両1の外側を意味しない。
【0029】
冷却液出力ポート112は、冷却液層200から電池パック100の外部へ冷却液を出力するためのインタフェースである。冷却液出力ポート112は、冷却液出力部と読み替えられてもよい。冷却液出力部は、冷却液層200から電池パック100の外部に続く冷却液出力管122(図5参照)の一部であってよい。冷却液出力管122は、第2管と読み替えられてもよい。
【0030】
冷媒入力ポート113は、電池パック100の外部から冷媒層300へ冷媒を入力するためのインタフェースである。冷媒入力ポート113は、冷媒入力部と読み替えられてもよい。冷媒入力部は、電池パック100の外部から冷媒層300に続く冷媒入力管123(図5参照)の一部であってよい。冷媒入力管123は、第3管と読み替えられてもよい。
【0031】
冷媒出力ポート114は、冷媒層300から電池パック100の外部へ冷媒を出力するためのインタフェースである。冷媒出力ポート114は、冷媒出力部と読み替えられてもよい。冷媒出力部は、冷媒層300から電池パック100の外部に続く冷媒出力管124(図5参照)の一部であってよい。冷媒出力管124は、第4管と読み替えられてもよい。
【0032】
電気コネクタ115は、電気的な接点を有するコネクタであり、電池モジュール群103GPと電池パック100の外部との間で電力を入出力するためのインタフェースである。電気コネクタ115は、電力入出力部と読み替えられてもよい。電気コネクタ115と電池モジュール群103GPとはバスバー116(図5参照)によって接続されてよい。電気コネクタ115は、電池モジュール群103GPの電力を入出力する高電圧コネクタ及び低電圧コネクタに加えて、電池モジュール群103GPの制御信号を入出力する信号コネクタを含んでよい。
【0033】
電池モジュール群103GPは、熱交換プレート102の第1面104に沿って配置される。電池モジュール群103GPは、熱交換プレート102内における、冷却液層200を循環する冷却液、及び、冷媒層300を循環する冷媒によって冷却される。なお、冷却液が循環する冷却液回路130、及び、冷媒が循環する冷媒回路140の構成については後述する。
【0034】
<冷却液回路及び冷媒回路の構成>
図4は、実施の形態1に係る冷却液回路130及び冷媒回路140の構成例を示す図である。
【0035】
車両1は、電池パック100、冷却液回路130、及び、冷媒回路140を備える。電池パック100は、熱交換プレート102、電池モジュール群103GP、及び、BMU(Battery Management Unit)150を含む。
【0036】
まず、冷却液回路130について説明する。冷却液回路130は、熱交換プレート102内の冷却液層200を含む、冷却液の循環サイクルを構成する。冷却液回路130は、液ポンプ131、冷却液層200、冷却液層200に接続する冷却液出力管122及び冷却液入力管121、並びに、液タンク132を含んで構成される。冷却液回路130は、次のS11~S13の循環サイクルによって、電池モジュール群103GPを冷却する。
【0037】
(S11)液ポンプ131は、液タンク132から冷却液を吸い上げ、冷却液入力管121へ出力する。
(S12)冷却液入力管121から入力された冷却液は、冷却液層200を流れて、冷却液出力管122から出力される。冷却液層200を流れる冷却液は、電池モジュール群103GPが発する熱を吸収し、冷却液層200の下面と接触する冷媒層300を流れる低温低圧の冷媒によって冷却される。
(S13)冷却液出力管122から出力された冷却液は、液タンク132に入力され、S11で述べたように液ポンプ131によって吸い上げられる。
【0038】
次に、冷媒回路140について説明する。冷媒回路140は、電池モジュール群103GPを冷却する第1冷媒回路140と、車内の空気を冷却する第2冷媒回路140とを含む。
【0039】
まず、第1冷媒回路140について説明する。第1冷媒回路140は、熱交換プレート102内の冷媒層300を含む冷凍サイクルを構成する。第1冷媒回路140は、コンプレッサ141、コンデンサ142、電磁弁143、第1膨張弁144、冷媒層300、冷媒層300に接続する冷媒出力管124及び冷媒入力管123を含んで構成される。第1冷媒回路140は、次のS21~S25の冷凍サイクルによって、電池モジュール群103GPを冷却する。
【0040】
(S21)冷媒層300を流れる低温低圧の冷媒は、冷媒層300の上面と接触する冷却液層200の冷却液との熱交換により熱を吸収し、冷媒出力管124から出力される。
(S22)冷媒出力管124から出力された冷媒は、コンプレッサ141に入力される。コンプレッサ141は、入力された冷媒を圧縮し、高圧高温の冷媒を出力する。
(S23)コンプレッサ141から出力された高圧高温の冷媒は、コンデンサ142に入力される。コンデンサ142は、入力された高圧高温の冷媒を冷却して凝縮させ、高圧低温の冷媒を出力する。
(S24)コンデンサ142から出力された高圧低温の冷媒は、電磁弁143が開放している場合、第1膨張弁144に入力される。第1膨張弁144は、入力された高圧低温の冷媒を低圧化すると共に流量を制御し、低圧低温の冷媒を出力する。
(S25)第1膨張弁144から出力された低圧低温の冷媒は、冷媒入力管123に入力され、S11で述べたように冷媒層300内を流れる。
【0041】
次に、第2冷媒回路140について説明する。第2冷媒回路140は、車内のエバポレータ146(例えば車内のエアコン)を含む冷凍サイクルを構成する。第2冷媒回路140は、コンプレッサ141、コンデンサ142、第2膨張弁145、及び、エバポレータ146を含んで構成される。コンプレッサ141及びコンデンサ142は、第1冷媒回路140と共用されてよい。あるいは、第2冷媒回路は、第1冷媒回路とは別のコンプレッサ及びコンデンサを含んで構成されてもよい。すなわち、第1冷媒回路と第2冷媒回路はそれぞれ個別の冷凍サイクルを形成してもよい。第2冷媒回路140は、次のS31からS35の冷凍サイクルによって、車内の空気を冷却する。
【0042】
(S31)エバポレータ146を流れる低温低圧の冷媒は、車内の空気の熱を吸収して、エバポレータ146から出力される。
(S32)エバポレータ146から出力された冷媒は、コンプレッサ141に入力される。コンプレッサ141は、入力された冷媒を圧縮し、高圧高温の冷媒を出力する。
(S33)コンプレッサ141から出力された高圧高温の冷媒は、コンデンサ142に入力される。コンデンサ142は、入力された高圧高温の冷媒を冷却して凝縮させ、高圧低温の冷媒を出力する。
(S34)コンデンサ142から出力された高圧低温の冷媒は、第2膨張弁145に入力される。第2膨張弁145は、入力された高圧低温の冷媒を低圧化すると共に流量を制御し、低圧低温の冷媒を出力する。
(S35)第2膨張弁145から出力された低圧低温の冷媒は、エバポレータ146に入力され、エバポレータ146内を流れる。
【0043】
BMU150は、電池モジュール群103GPを監視及び制御する装置であり、例えば、次の動作を行う。
・BMU150は、電池モジュール群103GPの温度を監視する。
・BMU150は、コンプレッサ141から当該コンプレッサ141の状態を示すフィードバック信号を受信する。
・BMU150は、液ポンプ131から当該液ポンプ131の状態を示すフィードバック信号を受信する。
・BMU150は、状況に応じて、コンプレッサ141に運転指令を送信する。
・BMU150は、状況に応じて、電磁弁143に開閉指令を送信する。
・BMU150は、状況に応じて、液ポンプ131に駆動指令を送信する。
【0044】
例えば、BMU150は、電池モジュール群103GPの温度が所定の閾値以上であることを検知し、電池モジュール群103GPの温度を下げるべきと判断した場合、次の動作を行う。すなわち、BMU150は、電磁弁143に開放指令を送信し、コンプレッサ141に運転開始指令を送信し、液ポンプ131に駆動開始指令を送信する。これにより、第1冷媒回路140の冷凍サイクルと冷却液回路130の循環サイクルとが動作し、電池モジュール群103GPの温度が低下する。
【0045】
<第1のインタフェース配置>
図5は、実施の形態1に係る第1のインタフェース配置の一例を示す図である。
【0046】
一般的に、電池モジュール群103GPから電力が供給される駆動用インバータ、冷媒出力管124が接続されるコンプレッサ141、冷媒入力管123が接続されるコンデンサ142、冷却液出力管122が接続される液タンク132、及び、冷却液入力管121が接続される液ポンプ131は、車体2の前方のモータールーム(エンジンルーム)に収容される。
【0047】
よって、これらと接続される、電気コネクタ115、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、冷却液入力ポート111、及び、冷却液出力ポート112といったインタフェースは、電池パック100の筐体101の前面110(つまりモータールームに近い方の面)に集中して配置されることが好ましい。また、電池パック100の大容量化に伴う大型化により、電池パック100の幅が車体2の幅に近くなり、電池パック100の筐体101の側面にこれらのインタフェースを配置することが難しいことも、これらのインタフェースが電池パック100の筐体101の前面110に集中して配置されることが好ましい理由の1つである。ただし、駆動用インバータ、コンプレッサ141、コンデンサ142、液タンク132、液ポンプ131等が車体2の後方のモータールーム(エンジンルーム)に収容される場合、上記インタフェースは、電池パック100の筐体101の前面110に代えて、筐体101の後面に集中して配置されてよい。
【0048】
電池パック100の前面110の面積は比較的狭いため、これらのインタフェースは互いに近接して(例えば所定の面積の範囲内に)配置される。冷却液入力ポート111又は冷却液出力ポート112と、電気コネクタ115とを隣接して配置した場合、例えば、次のようなリスクがある。すなわち、車両1の衝突、又は、部品の劣化等によって、冷却液入力管121又は冷却液出力管122から冷却液が漏れた場合、その漏れた冷却液が隣接する電気コネクタ115(又は電気コネクタ115に接続する電気ケーブル)にかかって漏電が生じるリスクがある。
【0049】
そこで、第1のインタフェース配置では、図5に示すように、冷却液入力ポート111と電気コネクタ115との間に冷媒入力ポート113を配置し、冷却液出力ポート112と電気コネクタ115との間に冷媒出力ポート114を配置する。
【0050】
第1のインタフェース配置によれば、冷却液入力ポート111と電気コネクタ115との間に冷媒入力ポート113が存在するので、冷却液入力管121から漏れた冷却液が電気コネクタ115(又は電気コネクタ115に接続する電気ケーブル)にかかって漏電が生じるというリスクを低減できる。同様に、第1のインタフェース配置によれば、冷却液出力ポート112と電気コネクタ115との間に冷媒出力ポート114が存在するので、冷却液出力管122から漏れた冷却液が電気コネクタ115(又は電気コネクタ115に接続する電気ケーブル)かかって漏電が生じるというリスクを低減できる。
【0051】
なお、図5には、電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷却液出力ポート112、冷媒出力ポート114、電気コネクタ115、冷媒入力ポート113、冷却液入力ポート111を配置する例を示したが、第1のインタフェース配置は、図5に示す配置に限られない。例えば、第1のインタフェース配置は、図5に示す冷媒入力ポート113と冷媒出力ポート114とを入れ替えた配置であってもよい。また、第1のインタフェース配置は、図5に示す冷却液入力ポート111と冷却液出力ポート112とを入れ替えた配置であってもよい。すなわち、第1のインタフェース配置は、図5に示す配置に加えて、次のような配置であってもよい。
【0052】
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷却液出力ポート112、冷媒入力ポート113、電気コネクタ115、冷媒出力ポート114、冷却液入力ポート111を配置する。
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷却液入力ポート111、冷媒出力ポート114、電気コネクタ115、冷媒入力ポート113、冷却液出力ポート112を配置する。
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷却液出力ポート112、冷媒出力ポート114、電気コネクタ115、冷媒入力ポート113、冷却液入力ポート111を配置する。
【0053】
<第2のインタフェース配置>
図6は、実施の形態1に係る第2のインタフェース配置の一例を示す図である。
【0054】
第2のインタフェース配置では、図6に示すように、冷却液入力ポート111及び冷却液出力ポート112と、電気コネクタ115との間に、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114を配置する。
【0055】
第2のインタフェース配置によれば、冷却液入力ポート111及び冷却液出力ポート112と、電気コネクタ115との間に、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114が存在するので、冷却液入力管121又は冷却液出力管122から漏れた冷却液が電気コネクタ115(又は電気コネクタ115に接続する電気ケーブル)にかかって漏電が生じるというリスクを軽減できる。
【0056】
なお、図6には、電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷却液入力ポート111、冷却液出力ポート112、冷媒出力ポート114、冷媒入力ポート113、電気コネクタ115を配置する例を示したが、第2のインタフェース配置は、図5に示す配置に限られない。
【0057】
例えば、第2のインタフェース配置は、図6に示す冷媒入力ポート113と冷媒出力ポート114を入れ替えた配置であってもよい。また、第2のインタフェース配置は、図6に示す冷却液入力ポート111と冷却液出力ポート112とを入れ替えた配置であってもよい。すなわち、第2のインタフェース配置は、図6に示す配置に加えて、次のような配置であってもよい。
【0058】
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷却液入力ポート111、冷却液出力ポート112、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、電気コネクタ115を配置する。
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷却液出力ポート112、冷却液入力ポート111、冷媒出力ポート114、冷媒入力ポート113、電気コネクタ115を配置する。
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷却液出力ポート112、冷却液入力ポート111、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、電気コネクタ115を配置する。
【0059】
<冷却液層及び冷媒層の構成例>
次に、上述した第1のインタフェース配置又は第2のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300のいくつかの構成例について説明する。
【0060】
<<第1の構成例>>
図7は、実施の形態1に係る第1のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の第1の構成例を示す図である。
【0061】
第1のインタフェース配置では、例えば、図7に示すように、前後方向に延びて熱交換プレート102を左右に2分する仮想的な中央線C上に電気コネクタ115が配置される。加えて、電気コネクタ115の右隣に冷媒入力ポート113が配置され、電気コネクタ115の左隣に冷媒出力ポート114が配置される。加えて、冷媒入力ポート113の右隣に冷却液入力ポート111が配置され、冷媒出力ポート114の左隣に冷却液出力ポート112が配置される。
【0062】
冷却液層200は、冷却液が流れる冷却液路201を含む。冷却液路201は、冷却液が入力される冷却液路入口202と、冷却液が出力される冷却液路出口203とを有する。冷却液路入口202には、冷却液入力ポート111を一部に含む冷却液入力管121が接続される。冷却液路出口203には、冷却液出力ポート112を一部に含む冷却液出力管122が接続される。
【0063】
冷媒層300は、冷媒が流れる冷媒路301を含む。冷媒路301は、冷媒が入力される冷媒路入口302と、冷媒が出力される冷媒路出口303とを有する。冷媒路入口302には、冷媒入力ポート113を一部に含む冷媒入力管123が接続される。冷媒路出口303には、冷媒出力ポート114を一部に含む冷媒出力管124が接続される。
【0064】
冷却液入力管121、及び、冷却液出力管122には、薄くて柔軟性の高い樹脂製の管又はホースを用いることができる。一方で、冷媒入力管123、及び、冷媒出力管124には、当該管内を流れる高圧な気液二相ガスに耐えられるように、金属製の管又は高圧対応ホースが用いられる。すなわち、冷媒入力管123及び冷媒出力管124は、冷却液入力管121及び冷却液出力管122と比べて、配管の取り回しの自由度が低い。
【0065】
そこで、冷媒路入口302及び冷媒路出口303は、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114の近傍(例えば処理の距離内)に集中して配置されてよい。例えば、冷媒路入口302及び冷媒路出口303は、中央線Cを中心とした、熱交換プレート102の全幅(左右方向の幅)の10%未満の幅内に配置されてよい。あるいは、冷媒路入口302及び冷媒路出口303は、中央線Cを中心とした、電池パック100の全幅(左右方向の幅)の10%未満の幅内に配置されてよい。加えて、図7に示すように、冷媒路入口302及び冷媒路出口303は、前方に設けられてよい。
【0066】
これにより、冷媒入力ポート113と冷媒路入口302との間の距離が短くなるため、冷媒入力ポート113と冷媒路入口302とを結ぶ冷媒入力管123の取り回しが容易になる。同様に、冷媒出力ポート114と冷媒路出口303とを結ぶ冷媒出力管124についても取り回しが容易になる。
【0067】
次に、図7に示す冷媒路301及び冷却液路201の構成について説明する。
【0068】
まず、冷媒路301の構成について説明する。冷媒路301は、中央線C上に設けられた冷媒路入口302から後方に延びる中央冷媒路304と、中央冷媒路304の左方に位置し当該中央冷媒路304と平行な左冷媒路305と、中央冷媒路304の右方に位置し当該中央冷媒路304と平行な右冷媒路306とを含む。
【0069】
加えて、冷媒路301は、中央冷媒路304と左冷媒路305を結ぶ複数の左分岐冷媒路307と、中央冷媒路304と右冷媒路306を結ぶ複数の右分岐冷媒路308とを含む。加えて、冷媒路301は、中央線C上の冷媒路入口302よりも前方に設けられた冷媒路出口303と左冷媒路305とを結ぶ左前冷媒路309と、冷媒路出口303と右冷媒路306とを結ぶ右前冷媒路310とを含む。複数の左分岐冷媒路307は、互いに平行であってよい。複数の右分岐冷媒路308は、互いに平行であってよい。
【0070】
冷媒路入口302から入力された冷媒は、図7の白抜き矢印が示すように、中央冷媒路304、複数の左分岐冷媒路307、左冷媒路305、及び、左前冷媒路309を通って、冷媒路出口303から出力する。同様に、冷媒路入口302から入力された冷媒は、中央冷媒路304、複数の右分岐冷媒路308、右冷媒路306、及び、右前冷媒路310を通って、冷媒路出口303から出力する。
【0071】
次に、冷却液路201の構成について説明する。冷却液路201は、複数の左分岐冷媒路307と交わる(例えば直交する)ように所定幅を有し、前後方向に延びる左冷却液路204と、複数の右分岐冷媒路308と交わる(例えば直交する)ように所定幅を有し、前後方向に延びる右冷却液路205と、後方において左冷却液路204と右冷却液路205とを結ぶ少なくとも1つの後冷却液路206とを含む。少なくとも1つの後冷却液路206は、少なくとも1つの左分岐冷媒路307及び右分岐冷媒路308と重なってよい。冷却液路201は、左分岐冷媒路307及び右分岐冷媒路308の面積の60%以上と交わるように構成されてよい。
【0072】
右冷却液路205の前方には、冷却液路入口202が設けられる。左冷却液路204の前方には、冷却液路出口203が設けられる。
【0073】
冷却液路入口202から入力された冷却液は、図7の網掛け矢印が示すように、右冷却液路205、後冷却液路206、及び、左冷却液路204を通って、冷却液路出口203から出力する。このとき、冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって、次のように冷却される。
【0074】
右冷却液路205を流れる冷却液は、当該右冷却液路205と交わる複数の右分岐冷媒路308を流れる冷媒によって冷却される。左冷却液路204を流れる冷却液は、当該左冷却液路204と交わる複数の左分岐冷媒路307を流れる冷媒によって冷却される。後冷却液路206を流れる冷却液は、当該後冷却液路206と重なる左分岐冷媒路307及び右分岐冷媒路308を流れる冷媒によって冷却される。
【0075】
なお、図7に示すように、左冷媒路305は左冷却液路204と重ならなく、右冷媒路306は右冷却液路205と重ならなくてよい。あるいは、左冷媒路305は左冷却液路204と重なり、右冷媒路306は右冷却液路205と重なってもよい。また、中央冷媒路304は、左冷却液路204及び右冷却液路205と重ならなくてよい。
【0076】
冷媒の分流をあらゆる運転条件において常に均等に保つことは困難である。すなわち、複数の右分岐冷媒路308のそれぞれに流れる冷媒量には差が生じ得る。そのため、複数の右分岐冷媒路308の間には温度差が発現する。これに対して、図7に示す構成によれば、右冷却液路205を流れる冷却液は、当該右冷却液路205と交わる複数の右分岐冷媒路308を流れる冷媒によって冷却される。これは、左分岐冷媒路307及び左冷却液路204についても同様である。したがって、冷却液路201を流れる冷却液の温度は均一化される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0077】
<<第2の構成例>>
図8は、実施の形態1に係る第1のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の第2の構成例を示す図である。
【0078】
図8に示す第2の構成例は、図7に示す第1の構成例と同様の冷媒路301及び冷却液路201を有する構成において、冷媒路入口302と冷媒路出口303とを入れ替えたものである。
【0079】
この場合、冷媒路入口302から入力された冷媒は、図8の白抜き矢印が示すように、左前冷媒路309、左冷媒路305、複数の左分岐冷媒路307、及び、中央冷媒路304を通って、冷媒路出口303から出力する。同様に、冷媒路入口302から入力された冷媒は、右前冷媒路310、右冷媒路306、複数の右分岐冷媒路308、及び、中央冷媒路304を通って、冷媒路出口303から出力する。
【0080】
図8に示す冷却液路201は、図7に示す冷却液路201と同様の構成であってよい。
【0081】
図8に示す第2の構成例によっても、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0082】
<<第3の構成例>>
図9は、実施の形態1に係る第1のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の第3の構成例を示す図である。
【0083】
図9に示す第3の構成例に係る冷媒路は、中央線Cよりも右方に冷媒路入口302を有し、中央線Cよりも左方に冷媒路出口303を有する。
【0084】
加えて、冷媒路301は、冷媒路入口302から右方に延びる右前冷媒路310と、冷媒路出口303から左方に延びる左前冷媒路309と、右前冷媒路310と接続し後方に延びる右冷媒路306と、左前冷媒路309と接続し後方に延びる左冷媒路305と、右冷媒路306と左冷媒路305とを結ぶ複数の分岐冷媒路311とを含む。複数の分岐冷媒路311は、互いに平行であってよい。
【0085】
冷媒路入口302から入力された冷媒は、図9の白抜き矢印が示すように、右前冷媒路310、右冷媒路306、複数の分岐冷媒路311、左冷媒路305、及び、左前冷媒路309を通って、冷媒路出口303から出力する。
【0086】
図9に示す冷却液路201は、図7に示す冷却液路201と同様の構成であってよい。すなわち、右冷却液路205及び左冷却液路204は、複数の分岐冷媒路311と交差し(例えば直交し)、少なくとも1つの後冷却液路206は、少なくとも1つの分岐冷媒路311と重なってよい。
【0087】
図9に示す第3の構成例によっても、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0088】
<<第4の構成例>>
図10は、実施の形態1に係る第2のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の第4の構成例を示す図である。
【0089】
図10に示す第4の構成例に係る冷媒路301は、図7に示す冷媒路301と同様の構成であってよい。
【0090】
図10に示す冷却液路201は、複数の左分岐冷媒路307と交わるように前後方向に延びる左冷却液路204と、複数の右分岐冷媒路308と交わるように前後方向に延びる右冷却液路205と、後方において左冷却液路204と右冷却液路205とを結ぶ少なくとも1つの後冷却液路206と、前方において右冷却液路205から左方に延びる少なくとも1つの前冷却液路207とを含む。少なくとも1つの後冷却液路206は、少なくとも1つの左分岐冷媒路307及び右分岐冷媒路308と重なってよい。少なくとも1つの前冷却液路207は、少なくとも1つの左分岐冷媒路307及び右分岐冷媒路308と重なってよい。
【0091】
左冷却液路204の前方には、冷却液路入口202が設けられ、前冷却液路207の左前方には、冷却液路出口203が設けられてよい。
【0092】
冷却液路入口202から入力された冷却液は、図10の網掛け矢印が示すように、左冷却液路204、後冷却液路206、右冷却液路205、及び、前冷却液路207を通って、冷却液路出口203から出力する。
【0093】
図10に示す第4の構成例によっても、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0094】
なお、図10において、冷媒出力ポート114及び冷媒出力管124は、電気コネクタ115の右方に設けられてもよい。
【0095】
<<第5の構成例>>
図11は、実施の形態1に係る第2のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の第5の構成例を示す図である。
【0096】
図11に示す第5の構成例は、図10に示す第4の構成例と同様の冷媒路301及び冷却液路201を有する構成において、冷媒路入口302と冷媒路出口303とを入れ替えたものである。
【0097】
この場合、冷媒路入口302から入力された冷媒は、図11の白抜き矢印が示すように、左前冷媒路309、左冷媒路305、複数の左分岐冷媒路307、及び、中央冷媒路304を通って、冷媒路出口303から出力する。同様に、冷媒路入口302から入力された冷媒は、右前冷媒路310、右冷媒路306、複数の右分岐冷媒路308、及び、中央冷媒路304を通って、冷媒路出口303から出力する。
【0098】
図11に示す冷却液路201は、図10に示す冷却液路201と同様の構成であってよい。
【0099】
第5の構成例によっても、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0100】
なお、図11において、冷媒出力ポート114及び冷媒出力管124は、電気コネクタ115よりも右方に設けられてもよい。
【0101】
<<第6の構成例>>
図12は、実施の形態1に係る第2のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の第6の構成例を示す図である。
【0102】
図12に示す第6の構成例を示す冷媒路は、図9に示す冷媒路301の冷媒路入口302と冷媒路出口303とを入れ替えた構成である。冷媒路入口302から入力された冷媒は、図12の白抜き矢印が示すように、左前冷媒路309、左冷媒路305、複数の分岐冷媒路311、右冷媒路306、及び、右前冷媒路310を通って、冷媒路出口303から出力する。
【0103】
図12に示す第6の構成例に係る冷却液路201は、図10に示す冷却液路201と同様の構成であってよい。
【0104】
第6の構成例によっても、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0105】
なお、図12において、冷媒出力ポート114及び冷媒出力管124は、電気コネクタ115よりも右方に設けられてもよい。
【0106】
<冷媒入力管及び冷媒出力管が一体化された部材を使用する場合>
電池パック100内における冷媒入力管123及び冷媒出力管124の占有スペースを削減する観点から、冷媒入力管123及び冷媒出力管124が一体化された部材(以下「冷媒管一体化部材」という)が使用されてもよい。この場合、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114は、冷媒管一体化部材を接続できるように、互いに隣接して配置されることが好ましい。例えば、冷媒管一体化部材を使用する場合、電池パック100には、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114が互いに隣接している第2のインタフェース配置が採用されてよい。
【0107】
<電池パックが2つの熱交換プレートを有する場合>
図13は、実施の形態1に係る電池パック100が2つの熱交換プレート102を有する場合の第1のインタフェース配置の例を示す図である。図14は、実施の形態1に係る電池パック100が2つの熱交換プレート102を有する場合の第2のインタフェース配置の例を示す図である。
【0108】
図13及び図14において、2つの熱交換プレート102は、それぞれ、冷媒路入口302、冷媒路出口303、冷却液路入口202、冷却液路出口203を有する。
【0109】
上述のとおり、冷却液入力管121及び冷却液出力管122に柔軟性を持たせることは容易である。よって、電池パック100の前面110に1つの冷却液入力ポート111を配置し、当該冷却液入力ポート111に接続する冷却液入力管121を途中で2つに分岐させて、2つの冷却液層200のそれぞれの冷却液路入口202に接続してよい。同様に、電池パック100の前面110に1つの冷却液出力ポート112を配置し、当該冷却液出力ポート112に接続する冷却液出力管122を途中で2つに分岐させて、2つの冷却液層200のそれぞれの冷却液路出口203に接続してよい。これにより、ポート数の削減、及び、電池パック100内における冷却液入力管121及び冷却液出力管122の占有スペースの削減を実現できる。
【0110】
一方、上述のとおり、冷媒入力管123及び冷媒出力管124に十分な柔軟性を持たせることは難しい。よって、電池パック100の前面110に、左側の冷媒層300に接続する第1の冷媒入力ポート113及び第1の冷媒出力ポート114と、右側の冷媒層300に接続する第2の冷媒入力ポート113及び第2の冷媒出力ポート114とを配置してよい。第1の冷媒入力ポート113及び第1の冷媒出力ポート114は、互いに隣接して配置されてよい。同様に、第2の冷媒入力ポート113及び第2の冷媒出力ポート114は、互いに隣接して配置されてよい。隣接配置された第1の冷媒入力ポート113及び第1の冷媒出力ポート114には、上記の冷媒管一体化部材を接続できる。同様に、隣接配置された第2の冷媒入力ポート113及び第2の冷媒出力ポート114には、上記の冷媒管一体化部材を接続できる。
【0111】
図15は、実施の形態1に係る2つの熱交換プレート102を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の構成例を示す図である。図15は、第1のインタフェース配置を採用した場合の例である。
【0112】
まず、右側の熱交換プレート102について説明する。冷媒路301は、右側の熱交換プレート102の左端に沿って前後方向に延びる左端線D上に、冷媒路入口302及び冷媒路出口303を有する。冷媒路出口303は、冷媒路入口302よりも前方に位置する。
【0113】
加えて、冷媒路301は、冷媒路入口302から後方に延びる左冷媒路305と、左冷媒路305よりも右方に位置し当該左冷媒路305と平行な右冷媒路306と、左冷媒路305と右冷媒路306とを結ぶ複数の分岐冷媒路311と、冷媒路出口303と右冷媒路306とを結ぶ前冷媒路312とを含む。複数の分岐冷媒路311は互いに平行であってよい。
【0114】
冷媒路入口302から入力された冷媒は、図15の白抜き矢印が示すように、左冷媒路305、複数の分岐冷媒路311、右冷媒路306、及び、前冷媒路312を通って、冷媒路出口303から出力する。
【0115】
冷却液路201は、図7に示す第1の構成例と同様の構成であってよい。すなわち、右冷却液路205及び左冷却液路204は、複数の分岐冷媒路311と交わってよい。また、少なくとも1つの後冷却液路206は、少なくとも1つの分岐冷媒路311と重なってよい。
【0116】
左側の熱交換プレート102における冷媒路301及び冷却液路201の構成は、上述した右側の熱交換プレート102における冷媒路301及び冷却液路201を左右反転させた構成であってよい。
【0117】
図15において、1つの冷却液入力ポート111から左右の冷却液路201の冷却液路入口202に分岐する冷却液入力管121が使用されてよい。また、図15において、1つの冷却液出力ポート112から左右の冷却液路201の冷却液路出口203に分岐する冷却液出力管122が使用されてよい。これにより、電池パック100内における、冷却液入力管121及び冷却液出力管122の占有スペースを削減できる。
【0118】
このような構成によっても、右側の熱交換プレート102及び左側の熱交換プレート102のそれぞれにおいて、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0119】
<冷媒二重管を使用する場合>
冷媒入力管123及び冷媒出力管124の占有スペースを削減する観点から、冷媒入力管123が冷媒出力管124に内挿された二重管(以下「冷媒二重管」という)125が使用されてもよい。
【0120】
図16は、実施の形態1に係る冷媒二重管125を使用する第2のインタフェース配置の一例を示す図である。
【0121】
冷媒二重管125を使用する第2のインタフェース配置では、電池パック100の前面110に、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114が一体化した冷媒入出力ポート117が配置されてよい。この場合、冷媒入出力ポート117は、冷媒二重管125の一部であってよい。
【0122】
これにより、ポート数の削減、及び、電池パック100内における冷媒入力管123及び冷媒出力管124の占有スペースを削減できる。
【0123】
なお、電池パック100が図15に示すように2つの熱交換プレート102を有する場合、電池パック100の前面110には、2つの熱交換プレート102のそれぞれに対応する冷媒入出力ポート117(つまり2つの冷媒入出力ポート117)が配置されてよい。
【0124】
図17は、実施の形態1に係る冷媒二重管125を使用する場合における熱交換プレート102の構成例を示す図である。
【0125】
冷媒路は、図12に示す第6の構成例に係る冷媒路入口302及び冷媒路出口303を、冷媒二重管125に対応させた構成を有する。冷却液路201は、図12に示す第6の構成例と同様の構成を有する。
【0126】
このような構成によっても、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0127】
図18は、実施の形態1に係る冷媒二重管125を冷媒路301に直接接続する場合の接続部分の一例を示す図である。
【0128】
図18に示すように、冷媒路301に冷媒二重管125を直接差し込み、ロウ付け接合を行うことにより、冷媒二重管125を冷媒路入口302及び冷媒路出口303に接続してよい。これにより、電池パック100内における冷媒入力管123及び冷媒出力管124の占有スペースを削減できる。
【0129】
図19は、実施の形態1に係る冷媒二重管125を冷媒路301にフランジ接続する場合の接続部分を示す図である。図20は、実施の形態1に係るフランジ接続する場合の冷媒二重管125の構成を示す断面斜視図である。
【0130】
図19及び図20に示すように、冷媒二重管125の端部に接続フランジを設けて、一般的な配管と同様に、冷媒二重管125を冷媒路301の冷媒路入口302又は冷媒路出口303に接続してもよい。これにより、電池パック100内における冷媒入力管123及び冷媒出力管124の占有スペースを削減できる。
【0131】
<冷媒入力管及び冷媒出力管に断熱材を設ける場合>
冷媒入力管123及び冷媒出力管124は、一般的に金属部材によって構成される。そこで、第1のインタフェース配置(図5参照)において、冷媒入力管123及び冷媒出力管124を断熱材で被覆してもよい。あるいは、第2のインタフェース配置(図6参照)において、冷媒入力管123及び冷媒出力管124のうちの電気コネクタ115に近い方の管、又は、両方の管を断熱材で被覆してもよい。
【0132】
これにより、電気コネクタ115の近傍(例えば隣)において、金属部材が露出することを回避できる。すなわち、車両1の衝突等によって、金属部材が電気コネクタ115に接触するというリスクを回避できる。加えて、冷媒入力管123及び冷媒出力管124の表面に結露が発生することを防止できる。すなわち、車両1が衝突等した場合に、結露によって生じた水が電気コネクタ115に触れて漏電が生じるというリスクを軽減できる。
【0133】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る車両1及び電池パック100ついて説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1と共通する構成要素については、共通の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0134】
実施の形態2に係る車両1は、図1A及び図1Bで説明した車両1と同様の構成であってよい。また、実施の形態2に係る冷却液回路130及び冷媒回路140も、図4で説明した冷却液回路130及び冷媒回路140と同様の構成であってよい。
【0135】
<第3のインタフェース配置>
図21は、実施の形態2に係る第3のインタフェース配置の一例を示す図である。
【0136】
電池パック100の前面110の面積は比較的狭いため、インタフェースは互いに近接して(例えば所定の面積の範囲内に)配置される。一般的に、冷媒入力管123及び冷媒出力管124は、導電性を有する金属製(例えばアルミニウム製)である。よって、電池パック100内において、冷媒入力管123及び冷媒出力管124と、電気コネクタ115及び電池モジュール群103GPを結ぶバスバー116との間には、絶縁用のスペースが求められる。
【0137】
一方、冷却液入力管121及び冷却液出力管122は、PA12又はPA612といった絶縁性を有する樹脂製であることが多い。すなわち、冷却液入力管121(第1管)及び冷却液出力管122(第2管)のうちの少なくとも1つの管の絶縁性は、冷媒入力管123(第3管)及び冷媒出力管124(第4管)のうちの少なくとも1つの管の絶縁性よりも高い。よって、冷却液入力管121及び冷却液出力管122は、バスバー116と近接して(例えば隣に)配置されたとしても、ショートが生じるリスクが低い。
【0138】
そこで、実施の形態2に係る第3のインタフェース配置では、図21に示すように、冷却液入力ポート111を、冷媒入力ポート113と電気コネクタ115との間に配置し、冷却液出力ポート112を、冷媒出力ポート114と電気コネクタ115との間に配置する。これにより、金属製の冷媒入力管123及び冷媒出力管124がバスバー116に近接することなく(例えば隣になることなく)、各ポートを配置できる。
【0139】
なお、図21には、電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷媒出力ポート114、冷却液出力ポート112、電気コネクタ115、冷却液入力ポート111、冷媒入力ポート113を配置する例を示したが、第3のインタフェース配置は、図21に示す配置に限られない。
【0140】
例えば、第3のインタフェース配置は、図21に示す冷媒入力ポート113と冷媒出力ポート114とを入れ替えた配置であってもよい。また、第3のインタフェース配置は、図21に示す冷却液入力ポート111と冷却液出力ポート112とを入れ替えた配置であってもよい。すなわち、第3のインタフェース配置は、図21に示す配置に加えて、次のような配置であってもよい。
【0141】
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷媒入力ポート113、冷却液出力ポート112、電気コネクタ115、冷却液入力ポート111、冷媒出力ポート114を配置する。
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷媒出力ポート114、冷却液入力ポート111、電気コネクタ115、冷却液出力ポート112、冷媒入力ポート113を配置する。
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷媒入力ポート113、冷却液入力ポート111、電気コネクタ115、冷却液出力ポート112、冷媒出力ポート114を配置する。
【0142】
<第4のインタフェース配置>
図22は、実施の形態2に係る第4のインタフェース配置の一例を示す図である。
【0143】
第4のインタフェース配置では、図22に示すように、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114と、電気コネクタ115との間に、冷却液入力ポート111及び冷却液出力ポート112を配置する。これにより、金属製の冷媒入力管123及び冷媒出力管124がバスバー116に近接することなく(例えば隣り合うことなく)、各ポートを配置できる。
【0144】
なお、図22には、電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷媒出力ポート114、冷媒入力ポート113、冷却液入力ポート111、冷却液出力ポート112、電気コネクタ115を配置する例を示したが、第4のインタフェース配置は、図22に示す配置に限られない。
【0145】
例えば、第4のインタフェース配置は、図22に示す冷媒入力ポート113と冷媒出力ポート114を入れ替えた配置であってもよい。また、第4のインタフェース配置は、図22に示す冷却液入力ポート111と冷却液出力ポート112とを入れ替えた配置であってもよい。すなわち、第4のインタフェース配置は、図22に示す配置に加えて、次のような配置であってもよい。
【0146】
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、冷却液入力ポート111、冷却液出力ポート112、電気コネクタ115を配置する。
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷媒出力ポート114、冷媒入力ポート113、冷却液出力ポート112、冷却液入力ポート111、電気コネクタ115を配置する。
・電池パック100の前面110において、図面の左から順に、冷媒入力ポート113、冷媒出力ポート114、冷却液出力ポート112、冷却液入力ポート111、電気コネクタ115を配置する。
【0147】
<冷却液層及び冷媒層の構成例>
次に、第3のインタフェース配置又は第4のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300のいくつかの構成例について説明する。
【0148】
<<第1の構成例>>
図23は、実施の形態2に係る第3のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の第1の構成例を示す図である。
【0149】
冷却液入力管121、及び、冷却液出力管122には、薄くて柔軟性の高い樹脂製の管又はホースを用いることができる。一方で、冷媒入力管123、及び、冷媒出力管124には、当該管内を流れる高圧な気液二相ガスに耐えられるように、金属製の管又は高圧対応ホースが用いられる。すなわち、冷媒入力管123及び冷媒出力管124は、冷却液入力管121及び冷却液出力管122と比べて、配管の取り回しの自由度が低い。
【0150】
そこで、冷媒路入口302を冷媒入力ポート113の近傍に設け、冷媒路出口303を冷媒出力ポート114の近傍に設ける。加えて、冷媒路入口302を、冷媒入力ポート113よりも電気コネクタ115から遠ざかる位置に設け、冷媒路出口303を、冷媒出力ポート114よりも電気コネクタ115から遠ざかる位置に設けてよい。
【0151】
これにより、冷媒入力ポート113と冷媒路入口302との間の距離が短くなるため、冷媒入力ポート113と冷媒路入口302とを結ぶ冷媒入力管123の取り回りが容易になる。同様に、冷媒出力ポート114と冷媒路出口303とを結ぶ冷媒出力管124についても取り回しが容易になる。加えて、冷媒入力管123及び冷媒出力管124をバスバー116から遠ざけることができる。
【0152】
なお、冷却液路入口202及び冷却液路出口203は、冷却液入力ポート111及び冷却液出力ポート112の近傍に集中して配置してよい。例えば、冷却液路入口202及び冷却液路出口203は、中央線Cを中心とした、熱交換プレート102の全幅(左右方向の幅)の25%未満の幅内に配置されてよい。あるいは、冷媒路入口302及び冷媒路出口303は、中央線Cを中心とした、電池パック100の全幅(左右方向の幅)の10%未満の幅内に配置されてよい。
【0153】
次に、図23に示す冷媒路301及び冷却液路201の構成について説明する。
【0154】
まず、冷媒路301について説明する。冷媒路301は、冷媒入力ポート113よりも右方に冷媒路入口302を有し、冷媒出力ポート114よりも左方に冷媒路出口303を有する。
【0155】
加えて、冷媒路301は、冷媒路入口302から右方に延びる右前冷媒路310と、冷媒路出口303から左方に延びる左前冷媒路309と、右前冷媒路310と接続し後方に延びる右冷媒路306と、左前冷媒路309と接続し後方に延びる左冷媒路305と、右冷媒路306と左冷媒路305とを結ぶ複数の分岐冷媒路311とを含む。複数の分岐冷媒路311は、互いに平行であってよい。
【0156】
冷媒路入口302から入力された冷媒は、右前冷媒路310、右冷媒路306、複数の分岐冷媒路311、左冷媒路305、及び、左前冷媒路309を通って、冷媒路出口303から出力する。
【0157】
次に、冷却液路201について説明する。冷却液路201は、複数の分岐冷媒路311と交わる(例えば直交する)ように前後方向に延びる左冷却液路204と、複数の分岐冷媒路311と交わるように前後方向に延びる右冷却液路205と、後方において左冷却液路204と右冷却液路205とを結ぶ少なくとも1つの後冷却液路206とを含む。少なくとも1つの後冷却液路206は、少なくとも1つの分岐冷媒路311と重なってよい。冷却液路201は、分岐冷媒路311の面積の60%以上と交わるように構成されてよい。
【0158】
右冷却液路205の前方には、冷却液路入口202が設けられ、左冷却液路204の前方には、冷却液路出口203が設けられる。
【0159】
冷却液路入口202から入力された冷却液は、図23の白抜き矢印が示すように、右冷却液路205、後冷却液路206、及び、左冷却液路204を通って、冷却液路出口203から出力する。このとき、冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって、次のように冷却される。
【0160】
右冷却液路205を流れる冷却液は、当該右冷却液路205と交わる複数の分岐冷媒路311を流れる冷媒によって冷却される。左冷却液路204を流れる冷却液は、当該左冷却液路204と交わる複数の分岐冷媒路311を流れる冷媒によって冷却される。後冷却液路206を流れる冷却液は、当該後冷却液路206と重なる分岐冷媒路311を流れる冷媒によって冷却される。
【0161】
なお、図23に示すように、左冷媒路305は左冷却液路204と重ならなく、右冷媒路306は右冷却液路205と重ならなくてよい。あるいは、左冷媒路305は左冷却液路204と重なり、右冷媒路306は右冷却液路205と重なってもよい。
【0162】
冷媒の分流をあらゆる運転条件において常に均等に保つことは困難である。すなわち、複数の分岐冷媒路311のそれぞれに流れる冷媒量には差が生じる。そのため、複数の分岐冷媒路311の間には温度差が発現する。これに対して、図23に示す構成によれば、右冷却液路205を流れる冷却液は、当該右冷却液路205と交わる複数の分岐冷媒路311を流れる冷媒によって冷却される。これは、左冷却液路204についても同様である。したがって、冷却液路201を流れる冷却液の温度は均一化される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0163】
<<第2の構成例>>
図24は、実施の形態2に係る第4のインタフェース配置を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の第2の構成例を示す図である。
【0164】
図24に示す冷媒路301は、冷媒入力ポート113よりも左方に冷媒路入口302を有し、冷媒出力ポート114よりも左方に冷媒路出口303を有する。
【0165】
加えて、冷媒路301は、冷媒路入口302から右方に延びる右前冷媒路310と、冷媒路出口303から左方に延びる左前冷媒路309と、右前冷媒路310と接続し後方に延びる右冷媒路306と、左前冷媒路309と接続し後方に延びる左冷媒路305と、右冷媒路306と左冷媒路305とを結ぶ複数の分岐冷媒路311とを含む。複数の分岐冷媒路311は、互いに平行であってよい。
【0166】
図24に示す冷却液路201は、図23と同様の構成であってよい。そして、左冷却液路204の右前方には、冷却液路入口202が設けられ、右冷却液路205の左前方には、冷却液路出口203が設けられてよい。
【0167】
冷却液路入口202から入力された冷却液は、図24の網掛け矢印が示すように、左冷却液路204、後冷却液路206、及び、右冷却液路205を通って、冷却液路出口203から出力する。
【0168】
第2の構成例によっても、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0169】
なお、図24において、冷却液出力ポート112及び冷却液出力管122は、電気コネクタ115の右方に配置されてもよい。
【0170】
<冷媒入力管及び冷媒出力管が一体化された部材を使用する場合>
冷媒入力管123及び冷媒出力管124の占有スペースを削減する観点から、冷媒入力管123及び冷媒出力管124が一体化された部材(冷媒管一体化部材)が使用されてもよい。この場合、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114は、冷媒管一体化部材を接続できるように、互いに隣接して配置されていることが好ましい。例えば、冷媒管一体化部材を使用する場合、電池パック100には、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114が互いに隣接している第4のインタフェース配置が採用されてよい。
【0171】
<電池パックが2つの熱交換プレートを有する場合>
図25は、実施の形態2に係る電池パック100が2つの熱交換プレート102を有する場合の第3のインタフェース配置の例を示す図である。図26は、実施の形態2に係る電池パック100が2つの熱交換プレート102を有する場合の第4のインタフェース配置の例を示す図である。
【0172】
図25及び図26において、2つの熱交換プレート102は、それぞれ、冷媒路入口302、冷媒路出口303、冷却液路入口202、冷却液路出口203を有する。
【0173】
上述のとおり、冷却液入力管121及び冷却液出力管122に柔軟性を持たせることは容易である。よって、電池パック100の前面110に1つの冷却液入力ポート111を設け、当該冷却液入力ポート111に接続する冷却液入力管121を途中で2つに分岐させて、2つの冷却液層200のそれぞれの冷却液路入口202に接続してよい。同様に、電池パック100の前面110に1つの冷却液出力ポート112を配置し、当該冷却液出力ポート112に接続する冷却液出力管122を途中で2つに分岐させて、2つの冷却液層200のそれぞれの冷却液路出口203に接続してよい。これにより、ポート数の削減、及び、電池パック100内における冷却液入力管121及び冷却液出力管122の占有スペースの削減を実現できる。
【0174】
一方、上述のとおり、冷媒入力管123及び冷媒出力管124に十分な柔軟性を持たせることは難しい。よって、電池パック100の前面110に、左側の冷媒層300に接続する第1の冷媒入力ポート113及び第1の冷媒出力ポート114と、右側の冷媒層300に接続する第2の冷媒入力ポート113及び第2の冷媒出力ポート114とを配置してよい。第1の冷媒入力ポート113及び第1の冷媒出力ポート114は、互いに隣接して配置されてよい。同様に、第2の冷媒入力ポート113及び第2の冷媒出力ポート114は、互いに隣接して配置されてよい。隣接配置された第1の冷媒入力ポート113及び第1の冷媒出力ポート114には、上記の冷媒管一体化部材を接続できる。同様に、隣接配置された第2の冷媒入力ポート113及び第2の冷媒出力ポート114には、上記の冷媒管一体化部材を接続できる。
【0175】
図27は、実施の形態2に係る2つの熱交換プレート102を有する場合における冷却液層200及び冷媒層300の構成例を示す図である。図27は、第3のインタフェース配置を採用した場合の例である。
【0176】
まず、右側の熱交換プレート102について説明する。冷媒路301は、右側の熱交換プレート102の中央前方付近において、冷媒路入口302及び冷媒路出口303を有する。冷媒路入口302は冷媒路出口303の左方に位置する。
【0177】
加えて、冷媒路301は、右側の熱交換プレート102の左端を前後に延びる左冷媒路305と、右側の熱交換プレート102の右端を前後に延びる右冷媒路306と、左冷媒路305と右冷媒路306とを結ぶ複数の分岐冷媒路311と、冷媒路入口302と左冷媒路305とを結ぶ左前冷媒路309と、冷媒路出口303と右冷媒路306とを結ぶ右前冷媒路310とを有する。複数の分岐冷媒路311は互いに平行であってよい。
【0178】
冷媒路入口302から入力された冷媒は、図27の白抜き矢印が示すように、左前冷媒路309、左冷媒路305、複数の分岐冷媒路311、右冷媒路306、及び、右前冷媒路310を通じて、冷媒路出口303から出力する。
【0179】
冷却液路201は、複数の分岐冷媒路311と交わるように前後方向に延びる左冷却液路204と、複数の分岐冷媒路311と交わるように前後方向に延びる右冷却液路205と、後方において左冷却液路204と右冷却液路205とを結ぶ少なくとも1つの後冷却液路206と、前方において右冷却液路205から左方に延びる前冷却液路207とを含む。少なくとも1つの後冷却液路206は、少なくとも1つの分岐冷媒路311と重なってよい。前冷却液路207は、左前冷媒路309及び右前冷媒路310と重なってよい。
【0180】
左冷却液路204の前方には、冷却液路入口202が設けられ、前冷却液路207の左端には、冷却液路出口203が設けられる。
【0181】
冷却液路入口202から入力された冷却液は、図27の網掛け矢印が示すように、左冷却液路204、後冷却液路206、右冷却液路205、及び、前冷却液路207を通って、冷却液路出口203から出力する。
【0182】
左側の熱交換プレート102における冷媒路301及び冷却液路201の構成は、上述した右側の熱交換プレート102における冷媒路301及び冷却液路201を左右反転させた構成であってよい。
【0183】
図27において、1つの冷却液入力ポート111から左右の冷却液路201の冷却液路入口202に分岐する冷却液入力管121が使用されてよい。また、図27において、1つの冷却液出力ポート112から左右の冷却液路201の冷却液路出口203に分岐する冷却液出力管122が使用されてよい。これにより、電池パック100内における、冷却液入力管121及び冷却液出力管122の占有スペースを削減できる。
【0184】
このような構成によっても、右側の熱交換プレート102及び左側の熱交換プレート102のそれぞれにおいて、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0185】
<冷媒二重管を使用する場合>
冷媒入力管123及び冷媒出力管124の占有スペースを削減する観点から、冷媒入力管123が冷媒出力管124に内挿された二重管(冷媒二重管125)が使用されてもよい。
【0186】
図28は、実施の形態2に係る冷媒二重管125を使用する第4のインタフェース配置の一例を示す図である。
【0187】
冷媒二重管125を使用する第4のインタフェース配置では、電池パック100の前面110に、冷媒入力ポート113及び冷媒出力ポート114が一体化した冷媒入出力ポート117が配置されてよい。この場合、冷媒入出力ポート117は、冷媒二重管127の一部であってよい。
【0188】
これにより、ポート数の削減、及び、電池パック100内における冷媒入力管123及び冷媒出力管124の占有スペースの削減を実現できる。
【0189】
なお、電池パック100が図27に示すように2つの熱交換プレート102を有する場合、電池パック100の前面110には、2つの熱交換プレート102のそれぞれに対応する冷媒入出力ポート117(つまり2つの冷媒入出力ポート117)が配置されてよい。
【0190】
図29は、実施の形態2に係る冷媒二重管125を使用する場合における熱交換プレート102の構成例を示す図である。
【0191】
冷媒路301は、図24に示す構成例に係る冷媒路入口302及び冷媒路出口303を、冷媒二重管125に対応させた構成を有する。冷却液路201は、図24に示す構成例と同様の構成を有する。
【0192】
このような構成によっても、冷却液路201を流れる冷却液は、冷媒路301を流れる冷媒によって均一に冷却される。よって、冷却液層200の上に配置された電池モジュール群103GPは、冷却液層200内の温度が均一化された冷却液によって、高速かつ均一に(偏りなく)冷却される。
【0193】
なお、冷媒二重管125は、実施の形態1の図18又は図19にて説明した方法によって、冷媒路301に接続されてよい。
【0194】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る車両1及び電池パック100について説明する。なお、実施の形態3では、実施の形態1と共通する構成要素については、共通の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0195】
実施の形態3に係る車両1は、実施の形態1で説明したように、車体2、第1車輪3a、第2車輪3b、電動機4、複数の電池モジュール103から構成される電池モジュール群103GP、電池パック100、冷却液層200、及び、冷媒層300を備える。次に、実施の形態3に係る電池パック100について説明する。
【0196】
<電池パックの構成>
図30A、実施の形態3に係る電池パック100の構成の第1例を示す模式図である。図30Bは、実施の形態3に係る電池パック100の構成の第2例を示す模式図である。
【0197】
電池パック100は、電池モジュール群103GPを収容する筐体400を有する。筐体400は、所定の内面401を有する。所定の内面401は、例えば、筐体400の内側の底面である。
【0198】
電池モジュール群103GP、冷却液層200、及び、冷媒層300は、筐体400の所定の内面401に沿って配置される。ここで、冷却液層200は、筐体400の所定の内面401より外側であって車体2の内部に配置される。
【0199】
車両1の事故等によって冷却液層200が破損した場合、冷却液層200から冷却液が漏れる可能性がある。漏れた冷却液が電池モジュール群103GPにかかるとショートが発生する可能性がある。本開示の構成によれば、電池モジュール群103GPは筐体400内に収容され、冷却液層200は、筐体400の所定の内面401よりも外側に配置されている。よって、冷却液層200から冷却液が漏れた場合でも、その漏れた冷却液は、筐体400内に収容されている電池モジュール群103GPにかからない。したがって、冷却液層200が破損した場合の安全性が向上する。
【0200】
冷媒層300の少なくとも一部は、電池モジュール群103GPと冷却液層200の間に配置されてよい。
【0201】
電池パック100の筐体400は、図30Aに示すように、筐体400の所定の内面401において所定の厚さを有する面状部材402を有してよい。そして、面状部材402は、筐体400の所定の内面401と反対にあり、筐体400の所定の内面401に沿っている所定の外面403を有してよい。冷却液層200は、図30Aに示すように、面状部材402の外面403に沿い、筐体400の外側であり、車体2の内部に配置されてよい。
【0202】
あるいは、電池パック100の筐体400は、図30Bに示すように、筐体400の所定の内面401において所定の厚さを有する面状部材402を有してよい。そして、冷却液層200は、面状部材402の内部に設けられてよい。
【0203】
冷却液層200は、第1面404と、当該第1面404と反対の第2面405を有する。冷却液層200の第1面404は、冷却液層200の第2面405と冷媒層300の間に配置される。
【0204】
電池パック100は、冷却液層200の第1面404に隣接して配置された第1隣接部材406を備えてよい。なお、第1隣接部材406は、冷却液層200の第1面404と冷媒層300との間に配置され、冷媒層300に隣接して配置されてよい。
【0205】
また、電池パック100は、冷却液層200の第2面405に隣接して配置された第2隣接部材407を備えてよい。
【0206】
第1隣接部材406の第1熱伝導率は、第2隣接部材407の第2熱伝導率よりも大きくてよい。これにより、冷却液層200、冷媒層300、及び、電池モジュール群103GPとの間にて、効率的に熱交換を行うことができる。なお、第1隣接部材406は、面状であってよい。第1隣接部材406の例として、伝熱シートが挙げられる。
【0207】
電池パック100の筐体400は密閉されてよい。これにより、冷却液層200から漏れた冷却液が筐体400内に侵入することを阻止できる。ただし、筐体400は密閉されなくてもよい。例えば、筐体400の上部の一部が開放されてもよい。
【0208】
電池パックの筐体400は、第1筐体部材408と第2筐体部材409とを有してよい。この場合、第1筐体部材408は、上記した筐体400の所定の内面401を有してよい。そして、電池モジュール群103GPは、第1筐体部材408と第2筐体部材409との間に配置されてよい。
【0209】
次に、上述した電池パック100の具体的な構成例について説明する。
【0210】
<第1の構成例>
図31は、実施の形態3に係る電池パック100の第1の構成例を示す分解斜視図である。図32は、実施の形態3に係る電池パック100の第1の構成例における冷却液層200及び冷媒層300の断面を示す図である。
【0211】
電池パック100は、内部が空洞の箱型の筐体400を有する。筐体400は、筐体400の下半分を構成する下カバー501と、筐体400の上半分を構成する上カバー502とによって構成される。下カバー501は、第1筐体部材408の一例であり、上カバー502は、第2筐体部材409の一例である。下カバー501は、例えば、鉄によって構成されてよい。
【0212】
筐体400の内部には、冷媒層300を構成する冷媒路301と、電池モジュール群103GPとが収容される。冷媒層300を構成する冷媒路301は、下カバー501の内側の底面(以下「内底面」という)503に沿って配置される。内底面503は、上述した筐体400の所定の内面401の一例である。電池モジュール群103GPは、冷媒路301の上に配置される。冷媒路301は、例えば、アルミニウムによって構成されてよい。
【0213】
冷却液層200を構成する冷却液路201は、下カバー501の外側の底面(以下「外底面」という)504に沿って配置される。冷却液路201は、例えば、鉄によって構成されてよい。ただし、冷却液路201は、樹脂によって構成されてもよい。
【0214】
下カバー501の内底面503と外底面504とに挟まれた所定の厚さを有する部分は、上述した面状部材402の一例である。図32に示すように、面状部材402は、冷媒路301の通る部分が凹んでいる形状であってよい。
【0215】
このように、電池モジュール群103GPを筐体400内に収容し、冷却液層200を下カバー501の外底面504に沿って配置することにより、冷却液路201から冷却液が漏れた場合でも、その漏れた冷却液は、筐体400内に収容されている電池モジュール群103GPにかからない。
【0216】
また、図31に示すように、冷却液路201及び冷媒路301は、図9に示すような構成を有してよい。すなわち、冷却液路201を構成する左冷却液路204及び右冷却液路205における冷却液の流れと、冷媒路301を構成する分岐冷媒路311における冷媒の流れとは、互いに直交してよい。これにより、電池モジュール群103GPを均一に冷却できる。
【0217】
また、図32に示すように、下カバー501の外底面504と冷却液路201の上面505との間には、第1伝熱シート507が設けられてよい。冷却液路201の上面505は、上述した冷却液層200の第1面404の一例である。冷却液路201の下面506は、上述した冷却液層200の第2面405の一例である。第1伝熱シート507は、上述した第1隣接部材406の一例である。冷却液路201は、所定の支持部材509の上に配置されてよい。支持部材509は、上述した第2隣接部材407の一例である。第1伝熱シート507の第1熱伝導率は、支持部材509の第2熱伝導率よりも大きくてよい。これにより、冷却液路201と下カバー501との間にて、効率的に熱交換を行うことができる。
【0218】
また、図32に示すように、下カバー501の内底面503と冷媒路301との間には、第2伝熱シート508が設けられてよい。加えて、図32に示すように、電池モジュール群103GPの下面と、下カバー501の内底面503及び冷媒路301の上面505との間にも、第2伝熱シート508が設けられてよい。これにより、下カバー501と冷媒路301との間、及び、冷媒路301と電池モジュール群103GPとの間にて、効率的に熱交換を行うことできる。
【0219】
この構成によれば、冷媒路301を流れる冷媒は、第2伝熱シート508を通じて、電池モジュール群103GPを冷却する。加えて、冷媒路301を流れる冷媒は、第2伝熱シート508、下カバー501、及び第1伝熱シート507を通じて、冷却液路201を流れる冷却液を冷却する。冷却液路201を流れる冷却液は、第1伝熱シート507、下カバー501及び第2伝熱シート508を通じて、電池モジュール群103GPを冷却する。したがって、冷媒のみ又は冷却液のみで冷却する場合と比較して、電池モジュール群103GPを高速かつ均一に冷却できる。
【0220】
図33は、実施の形態3に係る電池パック100の第1の構成の変形例における冷却液層200及び冷媒層300の断面を示す図である。
【0221】
図33は、図32と比較して、冷媒層300を構成する冷媒路301の少なくとも一部が、電池モジュール群103GPを構成する第1電池モジュール103-1と第2電池モジュール103-2との間に配置されている点が相違する。
【0222】
すなわち、下カバー501の内底面503と電池モジュール群103GPの下面との間には、第2伝熱シート508が設けられる。そして、冷媒路301を構成する分岐冷媒路311は、第2伝熱シート508上において、第1電池モジュール103-1と第2電池モジュール103-2の間の隙間に沿って配置されてよい。
【0223】
下カバー501の内底面503と外底面504とに挟まれた所定の厚さを有する部分は、上述した面状部材402の一例である。図33に示すように、面状部材402は、凹凸の無い形状であってよい。また、面状部材402の内部に冷却液路201が設けられた形状であってもよい。
【0224】
この構成によれば、分岐冷媒路311を流れる冷媒は、隣接する第1電池モジュール103-1及び第2電池モジュール103-2を冷却する。加えて、冷媒は、第2伝熱シート508、下カバー501、及び第1伝熱シート507を介して、冷却液路201を流れる冷却液を冷却する。冷却液路201を流れる冷却液は、第1伝熱シート507、下カバー501及び第2伝熱シート508を介して、電池モジュール群103GPの下面を冷却する。したがって、冷媒のみ又は冷却液のみで冷却する場合と比較して、電池モジュール群103GPを高速かつ均一に冷却できる。
【0225】
<第2の構成例>
図34は、実施の形態3に係る電池パック100の第2の構成例を示す分解斜視図である。図35は、実施の形態3に係る電池パック100の第2の構成例における冷却液層200及び冷媒層300の断面を示す図である。
【0226】
図34及び図35に示す第2の構成例は、図31及び図32に示す第1の構成例と比べて、冷却液路201の構成が相違する。すなわち、第2の構成例に係る冷却液路201は、左方において前後に延びる左冷却液路204と、右方において前後に延びる右冷却液路205と、右冷却液路205と左冷却液路204とを結ぶ複数の分岐冷却液路510とによって構成される。この場合、冷却液路201を構成する左冷却液路204及び右冷却液路205における冷却液の流れと、冷媒路301を構成する分岐冷媒路311における冷媒の流れとは、同方向又は逆方向であってよい。
【0227】
この構成によっても、第1の構成例と同様に、冷媒路301を流れる冷媒、及び、冷却液路201を流れる冷却液は、電池モジュール群103GPを冷却する。したがって、冷媒のみ又は冷却液のみで冷却する場合と比較して、電池モジュール群103GPを高速かつ均一に冷却できる。
【0228】
<第3の構成例>
図36は、実施の形態3に係る電池パック100の第3の構成例を示す分解斜視図である。なお、図36では、上カバー502及び電池モジュール群103GPの描画が省略されている。
【0229】
第3の構成例では、下カバー501の内底面503に向かって上から、所定の高さの隙間を空けて、内底面503と同じサイズの液カバー511を設ける。そして、下カバー501の内底面503と液カバー511とによって形成される空間が冷却液路201として機能するように、下カバー501の内底面503に冷却液の流路を形成するための壁512を設ける。例えば、左冷却液路204と右冷却液路205とを結ぶ分岐冷却液路510が形成されるように、下カバー501の内底面503に壁512を設ける。
【0230】
加えて、下カバー501の内底面503と液カバー511とによって形成される空間内に、冷媒路301を配置する。
【0231】
液カバー511には、冷却液路201に繋がる冷却液入力管121及び冷却液出力管122が接続されてよい。これにより、冷却液入力管121を通じて入力された冷却液が、下カバー501の内底面503と液カバー511と壁512とによって形成された冷却液路201内を流れて、冷却液出力管122から出力する。
【0232】
また、液カバー511には、冷媒路301に繋がる冷媒入力管123及び冷媒出力管124を貫通させるための冷媒入力管貫通穴513及び冷媒出力管貫通穴514が設けられてよい。
【0233】
図36には図示しないが、電池モジュール群103GPは、液カバー511の上に配置されてよい。図36における下カバー501及び液カバー511は、上述した面状部材402を構成する要素であってよい。すなわち、冷却液層200及び冷媒層300は、面状部材402の内部に設けられてよい。
【0234】
この構成によれば、冷却液層200を流れる冷却液は、冷媒層300を流れる冷媒によって冷却される。したがって、冷媒のみ又は冷却液のみで冷却する場合と比較して、冷却液路201を流れる冷却液によって、液カバー511の上に配置された電池モジュール群103GPを高速かつ均一に冷却できる。
【0235】
(実施の形態4)
実施の形態4に係る車両1及び電池パック100について説明する。なお、実施の形態4では、実施の形態1と共通する構成要素については、共通の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0236】
<本実施の形態に至る経緯>
特許第5983534号公報には、冷却水が流れる温調流体用熱交換部と、冷媒が流れる冷媒用熱交換部と、電池とを有し、温調流体用熱交換部の上に冷媒用熱交換部が配置され、冷媒用熱交換部の上に電池が配置された車両用電池温調システムが開示されている。当該車両用電池温調システムは、温調流体用熱交換部を流れる冷却水と冷媒用熱交換部を流れる冷媒との間で熱交換を行いつつ、冷媒用熱交換部を流れる冷媒によって電池を冷却する。
【0237】
上記の構成の場合、冷媒は、冷媒用熱交換部の中において、圧力損失による飽和温度変化、並びに、気液二相冷媒の流れ及び分流偏りにより、温度のばらつきが大きい。よって、冷媒によって冷却される電池も温度のばらつきが大きくなってしまう。
【0238】
また、特許第5983534号公報には、冷媒用熱交換部及び温調流体用熱交換部の厚みが規定されていない。冷媒用熱交換部の厚みが温調流体用熱交換部の厚みよりも大きい場合、冷媒の容量が比較的大きくなるため、コンプレッサ潤滑オイルが冷媒用熱交換部に滞留する量が多くなる。そのため、コンプレッサにおいてコンプレッサ潤滑オイルが不足し、コンプレッサが焼き付いてしまうおそれがある。
【0239】
以下、実施の形態4として、上記の問題を改善する車両1及び電池パック100を開示する。なお、実施の形態4に係る車両1は、実施の形態1で説明したように、車体2、第1車輪3a、第2車輪3b、電動機4、複数の電池モジュール103から構成される電池モジュール群103GP、電池パック100、冷却液層200、及び、冷媒層300を備える。
【0240】
<電池パックの構成例>
図37は、実施の形態4に係る電池パック100の構成例を示す平面図(つまり上から見た図)である。
【0241】
冷媒層300は、後方(Y軸の負方向)に延びる第1の冷媒路611と、第1の冷媒路611と平行に並んで配置される第2の冷媒路612と、第1の冷媒路611及び第2の冷媒路612を結ぶ少なくとも1つの第3の冷媒路613とを含んで構成される。加えて、第1の冷媒路611の前方には冷媒の入口である冷媒路入口302が設けられ、第2の冷媒路612の前方には冷媒の出口である冷媒路出口303が設けられる。冷媒は、冷媒路入口302から流入し、図37の白抜き矢印が示すように、第1の冷媒路611、第3の冷媒路613、及び、第2の冷媒路612を通って、冷媒路出口303から流出する。
【0242】
冷却液層200は、後方(Y軸の負方向)に延びる第1の冷却液路601と、第1の冷却液路601と略平行に並んで配置される第2の冷却液路602と、後方において第1の冷却液路601及び第2の冷却液路602を結ぶ第3の冷却液路603とを含んで構成される。加えて、第1の冷却液路601の前方には冷却液の入口である冷却液路入口202が設けられ、第2の冷却液路602の前方には冷却液の出口である冷却液路出口203が設けられる。冷却液は、冷却液路入口202から流入し、図37の網掛け矢印が示すように、第1の冷却液路601、第3の冷却液路603、及び、第2の冷却液路602を通って、冷却液路出口203から流出する。
【0243】
冷却液層200は、冷媒層300の上に配置される。電池モジュール群103GPは、冷却液層200の上に配置される。すなわち、冷却液層200を流れる冷却液は冷媒層300を流れる冷媒と熱交換を行うと共に、冷却液は電池モジュール群103GPを冷却する。
【0244】
<第1の構成例>
図38は、実施の形態4に係る電池パック100の第1の構成例を示す断面図である。図38の断面図は、図37のA-A断面を示す。ただし、図38に示す断面図は、図37のA-A断面に限られない。例えば、電池パック100が、冷媒路入口302から冷媒路出口303に向けて直線状に延出する冷媒路301と、当該冷媒路301に沿って冷却液路入口202から冷却液路出口203に向けて直線状に延出する冷却液路201とを含む構成である場合、図38に示す断面図は、冷媒路301及び冷却液路201を延出方向に沿って切断した断面を示してよい。
【0245】
図38に示すように、冷却液層200は、第1面621と、当該第1面621と反対の第2面622とを有する。冷媒層300は、第3面623と、当該第3面623と反対の第4面624とを有する。冷却液層200の第1面621は、冷却液層200の第2面622より、電池モジュール群103GPに近い。冷媒層300の第3面623は、冷媒層300の第4面624より、電池モジュール群103GPに近い。電池モジュール群103GPは、冷却液層200の第1面621に沿って配置される。平面視において(つまり上から見て)、冷却液層200の少なくとも一部は、冷媒層300と電池モジュール群103GPの間に配置される。
【0246】
この構成によれば、冷却液層200を流れる冷却液が、冷媒層300を流れる冷媒から伝わる温度を拡散するため、冷却液層200における温度のばらつきが小さくなる。よって、冷却液層200によって冷却される電池モジュール群103GPの温度のばらつきが小さくなる。
【0247】
冷却液層200の冷却液が流れる方向に直交する断面の流路断面積は、冷媒層300の冷媒が流れる方向に直交する断面の流路断面積よりも大きくてよい。また、冷却液層200の第1面621と第2面622との間の距離H1は、冷媒層300の第3面623と第4面624との間の距離H2よりも大きくてよい。
【0248】
この構成によれば、冷媒層300の体積が冷却液層200の体積と比較して小さくなるので、冷媒の容量も比較的小さくなる。よって、コンプレッサ潤滑オイルが冷媒層300に滞留する量も少なくなる。そのため、コンプレッサ141においてコンプレッサ潤滑オイルが不足せず、コンプレッサ141の焼き付きを防止できる。
【0249】
<第2の構成例>
図39は、実施の形態4に係る電池パック100の第2の構成例を示す断面図である。図39の断面図は、図37のA-A断面を示す。ただし、図39に示す断面図は、図37のA-A断面に限られない。例えば、電池パック100が、冷媒路入口302から冷媒路出口303に向けて直線状に延出する冷媒路301と、当該冷媒路301に沿って冷却液路入口202から冷却液路出口203に向けて直線状に延出する冷却液路201とを含む構成である場合、図39に示す断面図は、冷媒路301及び冷却液路201を延出方向に沿って切断した断面を示してよい。
【0250】
図37に示すように、冷媒層300は、冷媒が冷媒層300に入る冷媒路入口302と、冷媒が冷媒層300から出る冷媒路出口303とを備えてよい。そして、図39に示すように、冷媒路入口302に近い方における第3面623と第4面624との間の第1距離H2-1は、冷媒路出口303に近い方における第3面623と第4面624との間の第2距離H2-2よりも小さくてよい。冷媒路入口302に近い方の第1距離H2-1及び冷媒路出口303に近い方の第2距離H2-2は、それぞれ、冷媒が液体から気体に変化する際の体積(ボリューム)の膨張率に基づいて定められてよい。
【0251】
この構成によれば、冷媒路301全体における冷媒の流速が均一になる。よって、コンプレッサ潤滑オイルが冷媒層300に滞留しにくくなる。加えて、冷媒の圧損を低減できる。
【0252】
<第3の構成例>
図40は、実施の形態4に係る電池パック100の第3の構成例を示す断面図である。図40の断面図は、図37のB-B断面を示す。図40に示す白抜き矢印は、冷媒が紙面の手前から奥に向けて流れていることを示す。
【0253】
図40に示すように、冷媒層300は、冷却液層200の全面に配置されるのではなく、冷却したい箇所(例えば電池モジュール103)に沿って配置されてよい。この構成によれば、冷媒層300の配置箇所を調整することにより、冷却対象に対する冷却能力の強弱を付けることができる。なお、図40では、冷却液層200の上に複数の電池モジュール103が配置されているが、冷却液層200の上に電池モジュール群103GPが配置され、冷媒層300は、冷却したい箇所に沿って配置されてもよい。
【0254】
また、図40に示すように、冷媒層300は、YZ平面において、電池モジュール103の垂直方向の中央線Cと、冷媒層300の垂直方向の中央線Cとが一致するように配置されてよい。この構成によれば、電池モジュール103の真下に冷媒層300が配置されるので、冷却液層200を通じて電池モジュール103を効率良く冷却することができる。
【0255】
<第4の構成例>
図41は、実施の形態4に係る電池パック100の第4の構成例を示す断面図である。図41の断面図は、図37のB-B断面を示す。図41に示す白抜き矢印は、冷媒が紙面の手前から奥に向けて流れていることを示す。
【0256】
図41に示すように、冷媒層300の第3面623の少なくとも一部は、冷却液層200の第1面621と冷却液層200の第2面622との間に配置されてよい。冷媒層300の第3面623の少なくとも一部に対応する第4面624は、冷却液層200の第2面622に沿っていてよい。電池パック100の筐体630の内面631の少なくとも一部は、冷却液層200の第2面622に沿って配置されてよい。
【0257】
図40に示す構成の場合、電池パック100の筐体630の高さ(厚み)は、冷媒層300、冷却液層200、及び、電池モジュール103の高さ(厚み)の合計によって定まる。これに対して、図41に示す構成の場合、冷媒層300が冷却液層200に内包されているので、電池パック100の筐体630の高さ(厚み)は、冷却液層200及び電池モジュール103の高さ(厚み)の合計によって定まる。よって、図41に示す構成によれば、図40に示す構成と比較して、電池パック100の筐体630の高さ(厚み)を薄くできる。
【0258】
また、図40に示す構成の場合、冷媒層300の第3面623にて支持されていない冷却液層200の第2面622の部分において撓みが発生し得る。これに対して、図41に示す構成によれば、冷却液層200の第2面622と電池パック100の筐体630(内面631)との接触面が増えるので、冷却液層200の第2面622において撓みが発生しない。
【0259】
また、図41に示すように、冷媒層300の第3面623の少なくとも一部と、冷却液層200の第1面621との間の冷却液が流れる第1流路641の第1距離H3は、冷却液層200の第1面621と第2面622との間の冷却液が流れる第2流路642の第2距離H4より小さくてよい。加えて、第3の構成例と同様、冷媒層300は、YZ平面において、電池モジュールの垂直方向の中央線Cと、冷媒層300の垂直方向の中央線Cとが一致するように配置されてよい。すなわち、電池モジュール群103GPを構成する電池モジュール103の1つは、第1流路641に対応して配置されてよい。
【0260】
この構成によれば、第1流路641は第2流路642よりも狭いため、第1流路641を流れる冷却液の速度は、第2流路642を流れる冷却液の速度よりも速い。よって、電池モジュール103の直下に位置する第1流路641において、当該電池モジュール103と冷却液と冷媒との間の熱交換が促進され、当該電池モジュール103を効率良く冷却できる。
【0261】
<第5の構成例>
図42は、実施の形態4に係る電池パック100の第5の構成例を示す断面図である。図42の断面図は、図37のC-C断面を示す。図43は、図37と対比するための電池パック100の構成例を示す平面図を示す。図44は、図42と対比するための電池パック100の断面図である。図44の断面図は、図43の平面図のC-C断面を示す。
【0262】
図43及び図44に示すように、冷媒層300における第3の冷媒路613の少なくとも一部が、冷却液層200における第3の冷却液路603から露出する構成の場合、その露出している部分では冷媒と冷却液との間の熱交換が行われない。
【0263】
これに対して、図42は、冷却液層200における第3の冷却液路603が、冷媒層300における第3の冷媒路613を内包する構成である。別言すると、図42は、U字型の冷却液路201を構成するための仕切り壁650を、冷媒路入口302又は冷媒路出口303から最も遠い第3の冷媒路613を避けるように設けた構成である。
【0264】
この構成によれば、図43及び図44と比較して、冷媒と冷却液との間の接触面積が大きくなるので、冷媒と冷却液との間で効率良く熱交換を行うことができる。
【0265】
<構成の組み合わせ例>
図37に示す電池パック100に対して、図38に示す構成又は図39に示す構成の何れか一方が適用されてよい。あるいは、図37に示す電池パック100に対して、ある一部に図38に示す構成が適用され、他の一部に図39に示す構成が適用されてよい。
【0266】
図37に示す電池パック100に対して、図40に示す構成又は図41に示す構成の何れか一方が適用されてよい。また、図40に示す構成又は図41に示す構成が適用された電池パック100に対して、図38に示す構成又は図39に示す構成の何れか一方がさらに適用されてよい。あるいは、図40に示す構成又は図41に示す構成が適用された電池パック100に対して、ある一部に図38に示す構成が適用され、他の一部に図39に示す構成がさらに適用されてよい。
【0267】
図37に示す電池パック100に対して、図41に示す構成及び図42に示す構成が適用されてよい。あるいは、図37に示す電池パック100に対して、図41に示す構成及び図44に示す構成が適用されてよい。
【0268】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0269】
本開示の技術は、車載電池で駆動する車両に有用である。
【符号の説明】
【0270】
1 車両
2 車体
3 車輪
3a 第1車輪
3b 第2車輪
4 電動機
100 電池パック
101 筐体
102 熱交換プレート
103 電池モジュール
103GP 電池モジュール群
104 第1面
105 第2面
106 第1辺
107 第2辺
108 第3辺
109 第4辺
110 前面
111 冷却液入力ポート
112 冷却液出力ポート
113 冷媒入力ポート
114 冷媒出力ポート
115 電気コネクタ
116 バスバー
117 冷媒入出力ポート
118 固定脚
121 冷却液入力管
122 冷却液出力管
123 冷媒入力管
124 冷媒出力管
125 冷媒二重管
130 冷却液回路
131 液ポンプ
132 液タンク
140 冷媒回路
141 コンプレッサ
142 コンデンサ
143 電磁弁
144 第1膨張弁
145 第2膨張弁
146 エバポレータ
150 BMU
200 冷却液層
201 冷却液路
202 冷却液路入口
203 冷却液路出口
204 左冷却液路
205 右冷却液路
206 後冷却液路
207 前冷却液路
300 冷媒層
301 冷媒路
302 冷媒路入口
303 冷媒路出口
304 中央冷媒路
305 左冷媒路
306 右冷媒路
307 左分岐冷媒路
308 右分岐冷媒路
309 左前冷媒路
310 右前冷媒路
311 分岐冷媒路
312 前冷媒路
400 筐体
401 内面
402 面状部材
403 外面
404 第1面
405 第2面
406 第1隣接部材
407 第2隣接部材
408 第1筐体部材
409 第2筐体部材
501 下カバー
502 上カバー
503 内底面
504 外底面
505 上面
506 下面
507 第1伝熱シート
508 第2伝熱シート
509 支持部材
510 分岐冷却液路
511 液カバー
512 壁
513 冷媒入力管貫通穴
514 冷媒出力管貫通穴
601 第1の冷却液路
602 第2の冷却液路
603 第3の冷却液路
611 第1の冷媒路
612 第2の冷媒路
613 第3の冷媒路
621 第1面
622 第2面
623 第3面
624 第4面
630 筐体
631 内面
641 第1流路
642 第2流路
650 仕切り壁
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30A
図30B
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44