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  • 特開-作業車両の制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107314
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】作業車両の制御システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A01B69/00 303J
A01B69/00 303M
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024094462
(22)【出願日】2024-06-11
(62)【分割の表示】P 2020189122の分割
【原出願日】2020-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】笹倉 裕真
(57)【要約】
【課題】複数の作業車両を自律的に作業させつつ安全性を確保すること。
【解決手段】第1の作業車両(1B)が圃場(21B)における作業を終了した場合に、第1の作業車両(1B)が次に作業を行う圃場(21A)に他の作業車両(1A)が存在する場合には、前記第1の作業車両(1B)を次に作業を行う圃場(21A)に移動させず、前記第1の作業車両(1B)が次に作業を行う圃場(21A)から他の作業車両(1A)が移動していなくなれば、前記第1の作業車両(1B)を次に作業を行う圃場(21A)に移動さ せる制御手段(Cb)、を備えた作業車両の制御システム(S)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業車両(1)と、
各作業車両(1)の位置情報を取得する測位装置(3)と、
1の作業車両(1B)が圃場(21B)における作業を終了した場合に、第1の作業車両(1B)が次に作業を行う圃場(21A)に他の作業車両(1A)が存在する場合には、前記第1の作業車両(1B)を次に作業を行う圃場(21A)に移動させず、
前記第1の作業車両(1B)が次に作業を行う圃場(21A)から他の作業車両(1A)が移動していなくなれば、前記第1の作業車両(1B)を次に作業を行う圃場(21A)に移動させる制御手段(Cb)と、
を備えたことを特徴とする作業車両の制御システム(S)。
【請求項2】
前記第1の作業車両(1B)が、次に作業を行う前記圃場(21A)に移動せず待機している場合、他の作業車両(1A,1C)は、前記第1の作業車両(1B)が待機している前記圃場(21B)とは異なる他の圃場(21C,21D)を優先して作業させる前記制御手段(Cb)、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の制御システム(S)。
【請求項3】
前記第1の作業車両(1B)が、次に作業を行う前記圃場(21A)に移動せず待機している場合、他の作業車両(1A,1C)を、前記第1の作業車両(1B)が移動予定の前記圃場(21A)には移動させない前記制御手段(Cb)、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両の制御システム(S)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車両を制御する作業車両の制御システムに関し、特に、複数の作業車両を制御する作業車両の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタやコンバイン等の作業車両の位置をGPS:Global Positioning System等の測位装置を利用して測位しながら、作業車両を圃場内で無人で自律走行させながら作業させる技術に関し、以下の特許文献1に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1(国際公開2016/129671号公報)には、複数ある圃場ごとに担当する無人トラクタと作業領域と作業内容が予め設定され、無人トラクタに、担当の圃場における作業領域と作業内容を送信して、作業領域内で作業を行わせるとともに、作動状態を監視(モニタリング)する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2016/129671号公報(WO-A1-2016/129671)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、作業対象となる圃場まで作業車両が移動する場合には、手動で作業車両を運転する必要があり、手間がかかる問題があった。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術では、圃場間を手動で移動するため、次に作業を行う圃場に移動可能であるのか、現在別の作業車両が作業中で移動できないのかを、作業者が自身で確認、判断する必要がある。したがって、作業者の確認不足や判断ミスで移動できない圃場に移動してしまい、出入り口で作業車両が鉢合わせになる恐れがあり、事故が発生する可能性がある。
【0007】
この発明は、複数の作業車両を自律的に作業させつつ安全性を確保することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の上記課題は、次の解決手段により解決される。
【0009】
請求項1に記載の発明は、
複数の作業車両(1)と、
各作業車両(1)の位置情報を取得する測位装置(3)と、
1の作業車両(1B)が圃場(21B)における作業を終了した場合に、第1の作業車両(1B)が次に作業を行う圃場(21A)に他の作業車両(1A)が存在する場合には、前記第1の作業車両(1B)を次に作業を行う圃場(21A)に移動させず、
前記第1の作業車両(1B)が次に作業を行う圃場(21A)から他の作業車両(1A)が移動していなくなれば、前記第1の作業車両(1B)を次に作業を行う圃場(21A)に移動させる制御手段(Cb)と、
を備えたことを特徴とする作業車両の制御システム(S)である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、
前記第1の作業車両(1B)が、次に作業を行う前記圃場(21A)に移動せず待機している場合、他の作業車両(1A,1C)は、前記第1の作業車両(1B)が待機している前記圃場(21B)とは異なる他の圃場(21C,21D)を優先して作業させる前記制御手段(Cb)、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両の制御システム(S)である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、
前記第1の作業車両(1B)が、次に作業を行う前記圃場(21A)に移動せず待機している場合、他の作業車両(1A,1C)を、前記第1の作業車両(1B)が移動予定の前記圃場(21A)には移動させない前記制御手段(Cb)、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両の制御システム(S)である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、第1の作業車両(1B)の移動先である圃場(21A)における作業車両(1)どうしの鉢合わせを抑制でき、複数の作業車両を自律的に作業させつつ安全性を確保することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、第1の作業車両(1B)が待機している圃場(21B)における作業車両(1)どうしの鉢合わせを抑制でき、複数の作業車両を自律的に作業させつつ安全性を確保することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、第1の作業車両(1B)の移動先である圃場(21A)から他の作業車両(1A)が移動していなくなったあと、速やかに第1の作業車両(1B)を移動させることができるため、作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は本発明の作業車両の制御システムの説明図である。
図2図2は実施の形態の作業車両の制御システムの制御部の説明図である。
図3図3は実施の形態の作業車両の制御システムで作業が行われる圃場の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0017】
図1は本発明の作業車両の制御システムの説明図である。
【0018】
図1において、本発明の実施の形態の作業車両の制御システムSは、作業車両の一例としてのトラクタ1を有する。トラクタ1には、後部の作業機を付け替えることで、耕うんやプラウ、整地、播種、施肥等が可能な作業車両である。
【0019】
トラクタ1には、周囲の障害物を検出する障害物センサ2が設置されている。障害物センサ2は、トラクタ1に複数設置されており、前方や側方等、周囲の障害物を検出可能に構成されている。なお、障害物センサ2は、光の反射を使用するものや音波を使用するもの、カメラを使用して画像解析で障害物を検出するもの等、従来公知の任意のものを採用可能である。
【0020】
また、トラクタ1には、測位装置の一例としてのGPS装置3が設置されている。GPS装置3は、GPS衛星4との間での通信で、自身の位置を測位可能である。なお、実施の形態の作業車両の制御システムSでは、複数台のトラクタ1を有するが、各トラクタ1に障害物センサ2やGPS装置3を搭載されている。
【0021】
トラクタ1は、携帯電話回線やインターネット回線等の通信回線を介して、情報処理装置の一例としてのサーバ6に接続されている。
【0022】
また、サーバ6は、通信回線を介して、情報処理装置の一例としてのタブレット端末7に接続されている。タブレット端末7は、作業者が表示された情報を閲覧したり、入力を行うことが可能に構成されている。
【0023】
(制御部の説明)
図2は実施の形態の作業車両の制御システムの制御部の説明図である。
【0024】
図2において、制御手段の一例としてのトラクタ1の制御部Caや、サーバ6の制御部Cb、タブレット端末7の制御部Ccは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Ca~Ccは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Ca~Ccは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Ca~Ccは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施の形態の制御部Ca~Ccは、情報処理装置、いわゆるコンピュータにより構成されている。よって、制御部Ca~Ccは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0025】
(トラクタ1の制御部Caに接続された信号入力要素)
図2において、トラクタ1の制御部Caには、障害物センサ2やGPS装置3、その他の図示しない信号入力部材からの信号が入力される。
【0026】
障害物センサ2は、トラクタ1の周囲の障害物を検出する。
【0027】
GPS装置3は、トラクタ1の位置を測位する。
【0028】
(トラクタ1の制御部Caに接続された被制御要素)
トラクタ1の制御部Caは、トラクタ1のエンジン11やハンドル12、ブレーキ13、作業機14、その他、図示しない被制御要素に制御信号を出力する。
【0029】
(トラクタ1の制御部Caの説明)
トラクタ1の制御部Caは、以下の機能(機能手段、プログラムモジュール)を有する。
【0030】
障害物検出手段C1は、障害物センサ2の検知結果に基づいて、障害物の検知を行う。
【0031】
測位手段C2は、GPS装置3の測位結果に基づいて、トラクタ1の位置を測定する。
【0032】
通信手段C3は、サーバ6との間で情報の送受信、すなわち、通信を行う。実施の形態の通信手段C3は、サーバ6に対して、障害物の検知結果やトラクタ1の位置情報、トラクタ1の状況(作業中や移動中、停車中等)を送信したり、サーバ6から次に作業を行う圃場の位置情報や、圃場での作業領域や作業内容、移動や停車の指示情報等を受信する。
【0033】
図3は実施の形態の作業車両の制御システムで作業が行われる圃場の一例の説明図である。
【0034】
走行制御手段C4は、トラクタ1のエンジン11やハンドル12、ブレーキ13等を制御して、トラクタ1の走行を制御する。実施の形態の走行制御手段C4は、サーバ6から目的の圃場21に移動する指示がされた場合には、サーバ6から送信された移動経路22に沿って目的の圃場21に移動するようにトラクタ1を走行させる(圃場間移動モード)。また、サーバ6から圃場21内で作業する指示がされた場合には、サーバ6から送信された作業経路23に沿って走行するようにトラクタ1を制御する(作業モード)。サーバ6から停車して待機するように指示がされた場合には、トラクタ1を停止させる(待機モード)。なお、サーバ6から特定の待機位置24に移動して待機するように指示がされた場合には、待機位置24にトラクタ1を移動させた後に停車させる。なお、実施の形態の走行制御手段C4は、障害物検出手段C1が障害物を検出した場合には、トラクタ1を停止(異常停止、緊急停止)させて、その場で待機させる(異常停止モード)。なお、走行制御手段C4は、作業が完了すると作業モードから圃場間移動モードに移行し、サーバ6に対して作業が完了した旨の信号を送信する。
【0035】
作業機制御手段C5は、作業機を制御して圃場21での作業を行う。実施の形態の作業機制御手段C5は、サーバ6から送信された作業領域25内にトラクタ1が進入した場合は作業機を作動させて作業を行う。そして、作業領域25の外部にトラクタ1が移動した場合は作業機を停止させる。なお、作業機が耕うんやプラウ等の場合は、作業時に作業機を下降させ、非作業時には作業機を上昇させる。なお、実施の形態の作業機制御手段C5は、障害物検出手段C1が障害物を検出した場合には、作業機を停止(異常停止、緊急停止)させる。
【0036】
(タブレット端末7の制御部Ccに接続された信号入力要素)
図2において、タブレット端末7の制御部Ccには、表示部の一例であって入力部の一例としてのタッチパネル7a、その他の図示しない信号入力部材からの信号が入力される。
【0037】
タッチパネル7aは作業者が指で触れた位置を検出する。
【0038】
(タブレット端末7の制御部Ccに接続された被制御要素)
タブレット端末7の制御部Ccは、タッチパネル7a、その他、図示しない被制御要素に制御信号を出力する。
【0039】
タッチパネル7aは、サーバ6や制御部Ccから送信された制御信号に応じて画像を表示する。
【0040】
(タブレット端末7の制御部Ccの説明)
表示制御手段C11は、タッチパネル7aを制御して画像を表示する。タッチパネル7aには、トラクタ1の作業状況を示す画像を表示したり、トラクタ1の作業計画(作業する圃場や作業する内容、作業範囲、作業経路等)を設定するための画像を表示したり、トラクタ1の異常停止等の異常事態を通知する画像を表示したりすることが可能である。
【0041】
入力検出手段C12は、タッチパネル7aの指の触れた位置の検知結果と表示されている画像とに基づいて、入力内容を検出する。
【0042】
通信手段C13は、サーバ6との間で通信を行う。実施の形態の通信手段C13は、タッチパネル7aで入力された作業計画の情報をサーバ6に送信したり、サーバ6から送信された作業状況の情報や異常事態の情報を受信したりする。
【0043】
(サーバ6の制御部Cbの説明)
サーバ6の制御部Cbは、以下の機能(機能手段、プログラムモジュール)を有する。
【0044】
圃場情報記憶手段C21は、圃場の情報を記憶する。実施の形態の圃場情報記憶手段C21は、圃場の位置情報と、圃場の形状の情報と、圃場の出入り口の位置情報と、を含む圃場情報を記憶する。
【0045】
作業計画記憶手段C22は、トラクタ1での圃場の作業計画を記憶する。実施の形態の作業計画記憶手段C22は、作業計画として、圃場で行われる作業の内容、作業範囲、作業経路が記憶される。作業内容としては、圃場21で行われる耕うん、整地、播種等の作業が記憶されている。また、作業領域25として、タブレット端末7で設定された圃場21内の特定の領域(全域の場合も含む)が記憶される。さらに、作業経路23として、トラクタ1が通過する経路が記憶される。作業経路23は、作業者がタブレット端末7から手動で入力することも可能であるし、設定された作業領域25の広さと形状に応じて作業領域25の全域を作業機14が通過する作業経路23をソフトウェアで自動作成する構成とすることも可能である。
【0046】
したがって、一例として、ある圃場21(21A)において、耕うん、整地、播種の作業が行われる場合には、耕うん用の作業機14を備えたトラクタ1(1A)、整地用の作業機14を備えたトラクタ1(1B)、播種用の作業機14を備えたトラクタ1(1C)が順に圃場に進入して、それぞれの作業内容に対して設定された作業領域25と作業経路23に応じて作業を行うことが作業計画として記憶されている。また、作業を行う順番は予め定められており、一例として、耕うん、整地、播種の順に行われ、耕うん前に整地等が行われないように、作業の順番が作業計画に含まれている。
【0047】
通信手段C23は、トラクタ1やタブレット端末7と通信を行う。通信手段C23は、トラクタ1からトラクタ1の現在位置や現在の作業状況(作業モードや待機モード等)の情報を受信したり、トラクタ1に対して次に向かう圃場21の情報や待機等の指示の情報を送信したりする。また、通信手段C23は、タブレット端末7から作業計画の入力情報を受信したり、タブレット端末7に作業状況の情報を送信したりする。
【0048】
作業車両の位置取得手段C24は、トラクタ1から送信された位置情報に基づいて各トラクタ1の位置の情報を取得する。
【0049】
作業車両の状況取得手段(異常停止検出手段)C25は、各トラクタ1から送信された位置情報と作業状況(作業モード等)の情報に基づいて、各トラクタ1の作業状況を取得する。例えば、あるトラクタ1Aは圃場21で作業モードで作業中であるとか、別のトラクタ1Bは圃場間移動モードで移動中であり現在位置はGPS装置3で検出された位置にいるとか、更に別のトラクタ1CはGPS装置3で検出された位置で待機しているとか、といった作業状況を取得する。作業状況は、逐次タブレット端末7に送信されて確認可能になっている。なお、実施の形態の作業車両の状況取得手段C25は、例えば、トラクタ1Aから異常停止モードとの情報を受信した場合には、トラクタ1Aが異常停止している状況と判別して、通信手段C23を介してトラクタ1Aが異常停止している旨の情報をタブレット端末7に送信させる。
【0050】
なお、トラクタ1を、モードごとにグループ化して管理することで、トラクタ1の管理を容易にしたり、グループごとにタブレット端末7で表示する色を変えることで、作業者が視覚的に分かりやすくすることも可能である。
【0051】
作業状況の判別手段C26は、作業計画と作業車両1との通信結果に基づいて、各圃場21における作業の完了状況を判別する。実施の形態の作業状況の判別手段C26は、作業計画の情報と、各トラクタ1から送信されてくる作業状況に基づいて、圃場21毎に、完了した作業(作業モードから圃場間移動モードに移行したトラクタ1の作業機の種類)と、実行中の作業(その圃場21で作業モードのトラクタ1の作業機の種類)と、を判別して、完了した作業でも実行中の作業でもないものを未実行の作業として判別する。
【0052】
作業指示手段C27は、各トラクタ1が備えている作業機14と、各圃場で行われる作業計画とに基づいて、各トラクタ1に対して、次に作業を行う目標の圃場21と圃場21までの移動経路22、および、その圃場21で行われる作業(作業領域25、作業経路23)の情報を送信して、作業を実行するように指示する。実施の形態の作業指示手段C27は、あるトラクタ(例えばトラクタ1B)の作業完了後に、次の圃場21に移動する場合には、移動予定の圃場21に他のトラクタ(例えば、トラクタ1A)が存在しなければ、トラクタ1Bに対して次の圃場への移動と、移動後の作業の実行を指示する。
【0053】
また、あるトラクタ(例えば、トラクタ1B)の作業完了後に、次の圃場21(例えば、圃場21A)に移動する場合に、移動予定の圃場21Aに他のトラクタ(例えば、トラクタ1A)が存在する場合には、トラクタ1Bを圃場21Bの待機位置24で待機させる。すなわち、移動予定の圃場21Aにおいて、他のトラクタ1Aが作業中であったり、圃場間移動中であったり、待機中であったり、異常停止中であったりする場合には、トラクタ1Bは、移動予定の圃場21Aに向けて移動を開始せず、元の圃場21Bの待機位置で待機する。なお、移動予定の圃場21Aからトラクタ1Aが移動していなくなれば、トラクタ1Bは待機モードから圃場間移動モードに移行して、移動予定の圃場21Aに向けて移動を開始する。
【0054】
なお、待機位置24でトラクタ1Bが待機中の場合は、他のトラクタ1A,1Cは、トラクタ1Bが待機中の圃場21Bよりも他の圃場21A,21C,21Dを優先して作業を行うように作業指示手段C27は各トラクタ1A,1Cに指示を行う。このとき、トラクタ1Bが次に移動予定の圃場は、トラクタ1Bを優先として、他のトラクタ1A,1Cが移動することができないようにすることが望ましい。
【0055】
また、実施の形態の作業指示手段C27は、あるトラクタ(例えばトラクタ1B)の作業完了後に、次に作業する圃場21がない場合、すなわち、トラクタ1Bが全ての圃場での作業を完了した場合には、待機位置24での待機モードに移行する。しかし、作業指示手段C27は、トラクタ1Bが全ての圃場での作業を完了した場合であっても、作業計画から、トラクタ1Bが現在いる圃場21Bでまだ作業する予定のあるトラクタ(例えばトラクタ1C)が存在する場合には、待機位置24での待機モードに移行せず、作業状況の判別手段C26での判別結果を参照して、他のトラクタ1A,1Cによる作業が完了した圃場21がないか判別する。他のトラクタ1A,1Cによる作業が完了した圃場21がない場合は、待機モードに移行するが、他の全てのトラクタ1A,1Cによる作業が完了した圃場21が存在する場合には、その圃場21に移動する(退避する)ようにトラクタ1Bに指示を出す。
【0056】
他のトラクタ1A,1Cによる作業が完了した圃場21が複数存在する場合には、最も距離が近い圃場21に移動する(退避する)ように指示を出す。なお、距離は、現在トラクタ1Bがいる圃場21の出入り口31から、検索された各圃場21の出入り口までの距離で判別を行うことが好ましいが、トラクタ1Bの現在位置と圃場の中心位置との直線距離等、任意のパラメータで判別することも可能である。
【0057】
なお、他の全てのトラクタ1A,1Cが作業を完了した圃場21がない場合でも、待機モードに移行せず、トラクタ1Bが現在いる圃場に次に移動しようとするトラクタ1Cの作業が完了した圃場21があれば、その圃場21に移動するように制御することも可能である。このとき、作業完了数が多い圃場21に優先して移動するように制御することが望ましい。
【0058】
なお、トラクタ1Bの退避先の圃場21では、トラクタ1Bのエンジンを停止して、燃料の消費を抑制することが望ましいが、エンジンを停止せずに待機させることも可能である。エンジンを停止しない場合もエンジン負荷を最小まで抑えることが望ましい。また、退避先の圃場21でトラクタ1Bを待機させる場合には、クラッチやブレーキを制御して、前後進不可な状態とすることが安全上望ましい。さらに、夜間等でライトが点灯している場合は、消灯することが望ましい。
【0059】
前記構成を備えた実施の形態の作業車両の制御システムSでは、作業計画に応じて、各トラクタ1が自律的に圃場21内および圃場21間を移動して作業する。実施の形態では、トラクタ1が作業完了後に、次に作業を行う圃場21に移動しようとするときに、次の圃場21にトラクタ1が存在しなければ移動するが、次の圃場21にトラクタ1が作業中等で存在する場合には、作業完了したトラクタ1を圃場21の待機位置24で待機させる。したがって、次の圃場21で2台のトラクタ1が鉢合わせする可能性が低くなり、事故の可能性が低減される。よって、実施の形態の作業車両の制御システムSでは、複数のトラクタ1を自律的に作業させつつ安全性を確保することが可能である。
【0060】
また、実施の形態の作業車両の制御システムSでは、あるトラクタが全ての圃場21での作業が完了した場合に、現在いる圃場21で別のトラクタ1の作業予定がある場合には、作業が完了している圃場21に移動している。よって、全ての圃場21での作業が完了したトラクタ1が現在いる圃場21での、他のトラクタ1の作業の妨げとなることが抑制され、全体として作業が円滑化、効率化される。
【0061】
さらに、実施の形態の作業車両の制御システムSでは、全ての圃場21での作業が完了したトラクタ1が移動可能な圃場21が複数ある場合には、最も近い圃場21に移動することで、トラクタ1の移動時間を短縮できるとともに、無駄な燃料消費も抑制され、全体として作業が効率化される。
【0062】
なお、前記実施の形態において、各処理はトラクタ1、タブレット端末7、サーバ6の各制御部Ca~Ccにおいて分散して処理を行う構成を例示したがこれに限定されない。例えば、全ての処理をサーバ6で一括して処理をする構成とすることも可能であるし、サーバ6で行っていた一部の処理をトラクタ1で行わせる構成とすることも可能である。
【0063】
また、前記実施の形態において、作業完了したトラクタ1を待機させる位置を、作業が完了した圃場21(すなわち、現在トラクタ1がいる圃場21)の待機位置24とする構成を例示したがこれに限定されない。例えば、移動先の圃場21の待機位置24とすることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1…作業車両、
1A,1C…他の作業車両、
1B…第1の作業車両、
3…測位装置、
21,21A,21B…圃場、
24…待機位置、
Cb…制御手段、
S…制御システム。
図1
図2
図3