(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107355
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024094934
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2023145526の分割
【原出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】米倉 澄
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 耕平
(57)【要約】
【課題】上部旋回体と下部走行体との間を電気的により確実に接続する。
【解決手段】建設機械は、センターフレーム(222)を備える。センターフレーム(222)は、上部旋回体を回動自在に支持し、ブレードが前方に装着されている。センターフレーム(222)の内部に位置する内部ケーブルとセンターフレーム(222)の外部に位置する外部ケーブル(252、254)とが、センターフレーム(222)の前方で着脱可能に接続される。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体を回動自在に支持し、ブレードが前方に装着されたセンターフレームを備え、
前記センターフレームの内部に位置する内部ケーブルと前記センターフレームの外部に位置する外部ケーブルとが、前記センターフレームの前方で着脱可能に接続される、
建設機械。
【請求項2】
前記内部ケーブルと前記外部ケーブルとは、前記上部旋回体の下方で着脱可能に接続される、
請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記内部ケーブルと前記外部ケーブルとは、前記ブレードと前記センターフレームとの間で着脱可能に接続される、
請求項1又は2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記センターフレームに装着され、前記内部ケーブルと前記外部ケーブルとを着脱可能に接続する中継部材を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項5】
前記中継部材は、前記センターフレームの前方側に配置されている、
請求項4に記載の建設機械。
【請求項6】
前記中継部材は、前記センターフレームの左右方向における中心に対して一方側に偏って配置されている、
請求項4又は5に記載の建設機械。
【請求項7】
前記中継部材は、前記上部旋回体の端部後方に配置されている、
請求項4~6のいずれか1項に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の代表例である油圧ショベルは、一般に、自走可能な下部走行体と、下部走行体に対して旋回装置を介して旋回可能に搭載された作業機を有する上部旋回体とを備える。また、典型的な油圧ショベルでは、下部走行体を構成するトラックフレームの前側に、左右方向に延びるブレード(排土板)を有する排土装置が設けられ、排土装置を用いて土砂等の排土作業、造成地および道路等の整地作業が行われる。
【0003】
油圧ショベルに搭載された排土装置に、施工すべき地面の3次元データに従って制御する整地作業システムが知られている(特許文献1参照)。特許文献1の建設機械は、油圧ショベルに装着されたブレードの位置・姿勢を検出するためのプリズムおよび傾斜センサーを備える。コントローラーは、上部旋回体に配置されているため、プリズムには、コントローラーからブレード側ケーブル、旋回体側ケーブルおよび中継コネクタを介して認証信号が出力される。また、傾斜センサーにおいて検知された信号は、ブレード側ケーブル、旋回体側ケーブルおよび中継コネクタを介してコントローラーに出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の建設機械では、コントローラーは上部旋回体に配置されており、傾斜センサーおよびプリズムは、旋回側ケーブルを介して上部旋回体と接続する。このため、上部旋回体が下部走行体に対して旋回すると、旋回側ケーブルも大きく動くことになる。この場合、旋回側ケーブルが強く引っ張られるため、上部旋回体と下部走行体との間を電気的な接続が外れることがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、上部旋回体と下部走行体との間を電気的により確実に接続可能な建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、建設機械は、センターフレームを備える。前記センターフレームは、上部旋回体を回動自在に支持し、ブレードが前方に装着されている。前記センターフレームの内部に位置する内部ケーブルと前記センターフレームの外部に位置する外部ケーブルとが、前記センターフレームの前方で着脱可能に接続される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上部旋回体と下部走行体との間を電気的により確実に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は、本実施形態の建設機械の模式的な斜視図であり、(b)は、建設機械における下部走行体および回転連結部材の模式的な斜視図である。
【
図2】(a)は、本実施形態の建設機械における回転連結部材の模式的な斜視図であり、(b)は、回転連結部材の模式的な上面図である。
【
図3】(a)は、本実施形態の建設機械における回転連結部材のボディーおよび回り止め部の模式的な側面図であり、(b)は、ボディーの模式的な上面図であり、(c)は、回転連結部材のシャフト、ロータリージョイントおよび連結部の模式的な側面図であり、(d)は、回転連結部材のシャフトの模式的な上面図である。
【
図4】本実施形態の建設機械における回転連結部材の模式的な分解斜視図である。
【
図5】本実施形態の建設機械の模式的な一部拡大図である。
【
図6】(a)は、本実施形態の建設機械においてシャフトを除いた回転連結部材の模式的な断面図であり、(b)は、回転連結部材の模式的な一部拡大図である。
【
図7】本実施形態の建設機械における下部走行体および回転連結部材の模式的な斜視図である。
【
図8】本実施形態の建設機械における下部走行体および回転連結部材の模式的な斜視図である。
【
図9】本実施形態の建設機械における中継部材の近傍を示す一部拡大図である。
【
図10】本実施形態の建設機械における下部走行体および回転連結部材の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明による建設機械の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸は、下部走行体の進行方向を示し、Z軸は、鉛直方向を示し、Y軸は、下部走行体の進行方向および鉛直方向と直交する方向を示す。ただし、X軸、Y軸およびZ軸はこれらに限定されない。
【0011】
まず、
図1(a)および
図1(b)を参照して、本実施形態の建設機械100を説明する。ここでは、建設機械100の一例として、油圧ショベルについて説明する。ただし、建設機械100は、油圧ショベルに限定されず、電動ショベルであってもよい。あるいは、建設機械100は、他の建設機械であってもよい。
【0012】
図1(a)は、本実施形態の建設機械100の模式的な斜視図であり、
図1(b)は、本実施形態の建設機械100における下部走行体200および回転連結部材400の模式的な斜視図である。
【0013】
建設機械100は、下部走行体200と、上部旋回体300と、回転連結部材400とを備える。下部走行体200は、自走可能である。上部旋回体300は、下部走行体200に対して回転連結部材400とともに旋回する。
【0014】
下部走行体200は、走行機構210と、トラックフレーム220と、排土機構230とを備える。走行機構210は、建設機械100を走行可能にする。
【0015】
走行機構210は、左右一対のクローラ212a、212bと、左右一対の走行用電動モータ214a、214bとを備える。左右の走行用電動モータ214a、214bが左右のクローラ212a、212bをそれぞれ駆動することで建設機械100の前後進が可能となる。
【0016】
トラックフレーム220には、走行用電動モータ214a、214bが取り付けられる。また、トラックフレーム220には、回転連結部材400が配置される。
【0017】
トラックフレーム220は、中央部に位置するセンターフレーム222と、センターフレーム222の側方に配置される左右一対のサイドフレーム224a、224bとを含む。回転連結部材400は、センターフレーム222の上面に取り付けられる。
【0018】
また、下部走行体200には、排土機構230が取り付けられる。排土機構230は、土砂等の排土作業、造成地および道路等の整地作業に用いられる。排土機構230は、ブレード232と、下部走行体200に対してブレード232を動かすためのブレードシリンダ234とを有する。ブレードシリンダ234は、例えば、油圧シリンダである。例えば、ブレードシリンダ234は、ブレード232を上下方向に回動させるためのリフトシリンダを含む。
【0019】
上部旋回体300は、操縦部310と、コントローラー320と、作業機330とを備える。操縦部310は、回転連結部材400の上部に配置される。操縦部310には、操縦席が配置される。操縦席の左右には、一対の作業操作レバー、前方に一対の走行レバーが配置される。オペレータは、操縦席に着座して作業操作レバー、走行レバー等を操作することによって、各油圧アクチュエータの制御を行い、走行、旋回、作業等を行うことができる。
【0020】
コントローラー320は、操縦部310の後部に配置される。コントローラー320は、建設機械100の各部材を制御する。
【0021】
作業機330は、操縦部310の前方に配置される。作業機330は、ブーム332と、アーム334と、バケット336とを備え、これらを独立して駆動することによって土砂等の掘削作業が可能になる。
【0022】
ブーム332は、基端部が上部旋回体300の前部に支持されて、伸縮自在に可動するブームシリンダ332sによって回動される。また、アーム334は、基端部がブーム332の先端部に支持されて、伸縮自在に可動するアームシリンダ334sによって回動される。そして、バケット336は、基端部がアーム334の先端部に支持されて、伸縮自在に可動するバケットシリンダ336sによって回動される。ブームシリンダ332s、アームシリンダ334sおよびバケットシリンダ336sは、油圧シリンダによって構成される。
【0023】
上部旋回体300は、下部走行体200に対して回転連結部材400を介して旋回できる。上部旋回体300には、操縦部310およびコントローラー320に加えて旋回モータ、モータ、給電器等(図示せず)が配置されている。旋回モータの駆動力で上部旋回体300が回転連結部材400を介して旋回する。また、上部旋回体300には、モータにより駆動される複数の油圧ポンプが配置される。これらの油圧ポンプが、各油圧アクチュエータ(ブレードシリンダ234、ブームシリンダ332s、アームシリンダ334sおよびバケットシリンダ336s、旋回モータ等)に油圧を供給する。なお、給電器は、下部走行体200に配置されてもよい。
【0024】
上部旋回体300には、不図示の給電口が設けられており、この給電口に商用電源(外部電源に相当)の給電ケーブルを接続することで、商用電源を給電器に接続できる。
【0025】
このように、本実施形態の建設機械100は、作業機330とともに排土機構230を備える。
【0026】
図1(b)に示すように、クローラ212aとクローラ212bとの間にセンターフレーム222が配置される。センターフレーム222には、回転連結部材400が配置される。回転連結部材400は、センターフレーム222の中央に配置される。
【0027】
下部走行体200に対して上部旋回体300が旋回する場合に、回転連結部材400は、上部旋回体300とともに旋回する。このため、上部旋回体300が下部走行体200に対して旋回する場合、回転連結部材400は、上部旋回体300の旋回軸となる。また、回転連結部材400は、上部旋回体300と下部走行体200との間の油路として用いられる。
【0028】
下部走行体200には、排土機構230が装着される。下部走行体200は、検知装置240を備える。検知装置240は、ブレード232の姿勢および位置の少なくとも一方を検知するために用いられる。
【0029】
ここでは、検知装置240は、プリズム242と、角度センサー244とを含む。プリズム242は、トータルステーションのターゲットとして機能する。プリズム242は、ブレード232に設置された支柱241の上部に配置される。
【0030】
角度センサー244は、ブレード232の角度を検知する。角度センサー244は、ブレード232の裏側に設置される。
【0031】
下部走行体200は、中継部材260をさらに有する。中継部材260は、いわゆるコネクタとして機能する。プリズム242は、ケーブル252を介して中継部材260と電気的に接続する。また、角度センサー244は、ケーブル254を介して中継部材260と電気的に接続する。中継部材260は、回転連結部材400と電気的に接続する。後述するように、中継部材260は、回転連結部材400の端部と電気的に接続する。
【0032】
次に、
図2を参照して、本実施形態の建設機械100における回転連結部材400を説明する。
図2(a)は、回転連結部材400の模式的な斜視図であり、
図2(b)は、回転連結部材400の模式的な上面図である。
【0033】
図2(a)および
図2(b)に示すように、回転連結部材400は、スイベルジョイント410と、ロータリージョイント420と、連結部430と、回り止め部440とを有する。スイベルジョイント410は、鉛直方向に延びる。ここでは、ロータリージョイント420は、スイベルジョイント410の下端に取り付けられる。ロータリージョイント420は、スリップリングを含む。ただし、ロータリージョイント420は、非接触給電装置を含んでもよい。
【0034】
連結部430は、スイベルジョイント410およびロータリージョイント420の少なくとも一方と連結する。連結部430は、ロータリージョイント420をスイベルジョイント410に固定する。
【0035】
スイベルジョイント410は、ボディー412と、シャフト414とを含む。ボディー412は、略円筒形状である。シャフト414は、ボディー412の貫通孔に回転自在に挿入される。シャフト414は、ボディー412に対して回転可能である。ボディー412に挿入されたシャフト414は、Z軸に平行な中心軸を中心に回転できる。ボディー412は、下部走行体200(
図1)に固定される。シャフト414は、上部旋回体300の旋回とともにボディー412に対して回転する。
【0036】
シャフト414には、縦孔414pおよび連絡孔414qが設けられる。縦孔414pおよび連絡孔414qは、Z軸方向に延びる。縦孔414pは、シャフト414の中心軸から所定の距離の円周上にほぼ均等に配置される。縦孔414pは、油路として機能する。連絡孔414qは、シャフト414の中心軸およびその近傍に配置される。連絡孔414qは、配線経路として機能する。例えば、連絡孔414qには、信号伝達または電力供給のためのケーブルが挿入される。
【0037】
シャフト414の一部はボディー412の貫通孔内に挿入され、シャフト414の他の一部はボディー412から突出する。シャフト414のうちボディー412から突出した部分に、回り止め部414tが設けられる。回り止め部414tは、シャフト414から径方向外側に向かって突出する。回り止め部414tは、上部旋回体300と係合する。このため、シャフト414は、上部旋回体300(
図1(a))の旋回とともに回転する。
【0038】
ロータリージョイント420は、スリップリングを含むことが好ましい。この場合、ロータリージョイント420は、回転子422と、固定子424と、端子部426とを有する。回転子422は、固定子424に対して回転可能である。回転子422内には、回転可能なリング部と、リング部の周りを摺動するブラシ部とが搭載される。回転子422内において、リング部から延設する配線とブラシ部から延びる配線とは電気的につながる。リング部は、軸部と一体となり、ブラシ部を収めるケース部の中で回転する。例えば、回転子422はリング部および軸部を含み、固定子424はケース部を含む。リング部は、シャフト414の連絡孔414qに配置されたケーブルと電気的に接続する。端子部426は、固定子424に設けられる。例えば、端子部426および固定子424は一体に設けられる。
【0039】
連結部430は、スイベルジョイント410のシャフト414およびロータリージョイント420の回転子422の少なくとも一方と連結する。ここでは、連結部430は、スイベルジョイント410とロータリージョイント420の回転子422との間に配置され、連結部430は、スイベルジョイント410のシャフト414とロータリージョイント420の回転子422とを連結する。連結部430は、ボディー412に対してシャフト414とともに回転する。
【0040】
回り止め部440は、スイベルジョイント410に取りつけられる。回り止め部440は、ロータリージョイント420の回転を制限する。
【0041】
ボディー412は、鉛直方向に延びた略円筒形状である。ボディー412は、ボディー本体部412aと、固定部412bとを有する。ボディー本体部412aは、上部旋回体300と下部走行体200とを繋ぐ油路を有する。
【0042】
固定部412bは、ボディー本体部412aの下部に位置する。固定部412bは、下部走行体200(
図1)に固定される。固定部412bは、ボディー本体部412aを下部走行体200に固定する。固定部412bは、ボディー本体部412aに対してX方向に延びる。固定部412bにより、スイベルジョイント410を下部走行体200に容易に固定できる。
【0043】
固定部412bは、ボディー本体部412aと一体に設けられてもよい。例えば、固定部412bは、ボディー本体部412aに対して溶接されてもよい。あるいは、固定部412bは、ボディー本体部412aとは別部材で設けられてもよい。
【0044】
回り止め部440は、スイベルジョイント410のボディー412に取り付けられる。例えば、回り止め部440は、スイベルジョイント410の固定部412bに取り付けられる。回り止め部440は、ロータリージョイント420の回転を制限する。詳細には、回り止め部440は、ロータリージョイント420の回転子422の回転に伴って端子部426が回転することを制限する。
【0045】
例えば、回り止め部440は、端子部426と接触することで端子部426の回転を制限してもよい。あるいは、回り止め部440は、固定子424と接触して固定子424の回転を制限することにより、端子部426の回転を制限してもよい。
【0046】
ここでは、ロータリージョイント420を、スイベルジョイント410の下部に装着する。この場合、ロータリージョイント420の軸部をシャフト414に固定し、ロータリージョイント420のケース部をボディー412から立設させた回り止め部440に係合させることにより、ケース部(固定子424)の側壁から突設した端子部426を係着させて固定する。
【0047】
なお、ロータリージョイント420は、スイベルジョイント410の上部に装着してもよい。この場合、ロータリージョイント420のケース部(固定子424)をシャフト414に連結させて軸部(回転子422)をボディー412に取り付けられた回り止め部440により係着させて固定することが好ましい。
【0048】
連結部430は、スイベルジョイント410およびロータリージョイント420とは別の部材であってもよい。例えば、連結部430は、間座またはスペーサであってもよい。
【0049】
または、連結部430は、スイベルジョイント410またはロータリージョイント420と一体的に形成され、連結部430は、スイベルジョイント410およびロータリージョイント420の一方と単一の部材であってもよい。例えば、連結部430は、スイベルジョイント410と一体に設けられてもよい。例えば、連結部430は、スイベルジョイント410に対して溶接されてもよく、連結部430は、スイベルジョイント410に対して接着剤で接着されてもよい。あるいは、連結部430は、ロータリージョイント420に対して溶接されてもよく、連結部430は、ロータリージョイント420に対して接着剤で接着されてもよい。
【0050】
回り止め部440は、スイベルジョイント410のシャフト414以外の部分に取り付けられる。例えば、回り止め部440は、固定部412bに取り付けられる。本実施形態の建設機械100において、スイベルジョイント410の下端にロータリージョイント420を効率的に装着できる。このため、建設機械100が比較的小型であっても、下部走行体200に装着された検知装置240(
図1)からの情報の収集、および/または下部走行体200に装着された電送機器への電源供給を容易にできる。
【0051】
次に、
図1~
図3を参照して、本実施形態の建設機械100における回転連結部材400を詳細に説明する。
図3(a)は、回転連結部材400のボディー412および回り止め部440の模式的な側面図であり、
図3(b)は、ボディー412の模式的な上面図である。
【0052】
図3(a)および
図3(b)に示すように、スイベルジョイント410のボディー412は、円筒形状である。ボディー412には、貫通孔412hが設けられる。貫通孔412hは、鉛直方向に延びる。貫通孔412hには、シャフト414が挿入される。
【0053】
また、ボディー412には、横孔412pが設けられる。横孔412pは、水平方向に延びる。横孔412pは、ボディー412の内部と外部とを繋げる。ボディー412の側部には、複数の横孔412pが設けられる。横孔412pは、油路として用いられる。
【0054】
回り止め部440は、ボディー412の固定部412bに取り付けられる。回り止め部440は、ボディー412の固定部412bに取り付けられ、固定部412bから鉛直下方に延びる。
【0055】
図3(c)は、回転連結部材400のシャフト414、ロータリージョイント420および連結部430の模式的な側面図であり、
図3(d)は、シャフト414の模式的な上面図である。
【0056】
図3(c)および
図3(d)に示すように、シャフト414は、略円柱形状である。シャフト414には複数の孔が設けられる。
【0057】
シャフト414には、縦孔414pが設けられる。縦孔414pは、鉛直方向に延びる。詳細には、シャフト414には、中心軸から離れた位置に等間隔に複数の縦孔414pが設けられる。縦孔414pは、油路として用いられる。縦孔414pは、円柱形状である。典型的には、複数の縦孔414pのそれぞれの径は互いに等しい。
【0058】
また、シャフト414には、中心軸およびその周辺に連絡孔414qが設けられる。本実施形態において、連絡孔414qには、ケーブルが配置される。連絡孔414qは、円柱形状である。なお、ここでは、連絡孔414qの径(例えば、X方向の長さ)は、縦孔414pの径(例えば、X方向の長さ)よりも大きい。
【0059】
また、シャフト414の鉛直方向上方には、上部旋回体300側の油路と連結する横孔414rが設けられる。
【0060】
なお、シャフト414は、ボディー412のボディー本体部412aおよび固定部412bの貫通孔に挿入される。シャフト414は、ボディー本体部412aに対応する本体部414aと、固定部412bに対応する先端部414bとを有する。先端部414bの径(W2)は、本体部414aの径(W1)よりも小さい。
【0061】
なお、図面の簡略化のために
図3(c)では省略しているが、シャフト414の鉛直方向中央部には、下部走行体200に設置されたアクチュエータに対応する油路を形成するためのオーリングがシーリングされる。
【0062】
次に、
図1~
図4を参照して、本実施形態の建設機械100における回転連結部材400を説明する。
図4は、建設機械100における回転連結部材400の分解斜視図である。
【0063】
図4に示すように、スイベルジョイント410の下部に連結部430を介してロータリージョイント420が取り付けられる。詳細には、連結部430は、スイベルジョイント410の下部においてシャフト414とロータリージョイント420とを連結する。
【0064】
回り止め部440は、スイベルジョイント410のボディー412に取りつけられる。
【0065】
ロータリージョイント420は、スイベルジョイント410の連絡孔414qを貫通するケーブルと、回転連結部材400の端子部426に接続するケーブルとを電気的に接続する。ロータリージョイント420は、回転子422と、固定子424と、端子部426とを有する。回転子422の内部には、端子部426と電気的に接続する端子部428が配置される。端子部428には、スイベルジョイント410の連絡孔414qを貫通するケーブルが電気的に接続される。
【0066】
回転子422は、本体部422aと、フランジ部422fとを有する。本体部422aとフランジ部422fとは一体に形成される。本体部422aおよびフランジ部422fの外形は、それぞれ円筒形状である。フランジ部422fは、回転子422の上部外縁に位置する。フランジ部422fの径は本体部422aの径よりも大きい。フランジ部422fには、ボルト孔422qが設けられる。
【0067】
上述したように、フランジ部422fは、回転子422の上部外縁に位置する。連結部430の外縁は、フランジ部422fの外縁に略等しい。このため、連結部430は、ロータリージョイント420のフランジ部422fに強固に固定される。
【0068】
連結部430は、間座であってもよい。この場合、連結部430は、スイベルジョイント410とロータリージョイント420との間のアダプタとして機能する。連結部430は、薄い円板形状であり、連結部430の中心には貫通孔430hが設けられる。
【0069】
連結部430は、薄板形状である。連結部430は、主面430aと、主面430bとを有する。連結部430の主面430aは、スイベルジョイント410と対向し、連結部430の主面430bは、ロータリージョイント420と対向する。連結部430の貫通孔430hは、連結部430の主面430aと主面430bとを貫通する。
【0070】
主面430bには、貫通孔430hと連絡する窪み430pが設けられる。窪み430pの外径は、ロータリージョイント420のフランジ424fの外径よりも小さい。連結部430には、窪み430pを鉛直方向に貫通するボルト孔430sと、窪み430pの外側を鉛直方向に延びるボルト孔430tとが設けられる。ボルト孔430sは、連結部430の窪み430pの底面に設けられ、ボルト孔430tは、連結部430の窪み430pの外側に設けられる。
【0071】
連結部430のボルト孔430sに対応して、スイベルジョイント410のシャフト414にはボルト孔414sが設けられており、ボルト孔414sは、ねじ切られている。ボルト孔430sおよびボルト孔414sにボルトb1が挿入され、連結部430は、スイベルジョイント410のシャフト414に固定される。
【0072】
また、ボルト孔430tは、ねじ切られている。ロータリージョイント420のボルト孔422qおよびボルト孔430tにボルトb2が挿入され、連結部430にロータリージョイント420が固定される。以上のように、連結部430を用いることにより、スイベルジョイント410のシャフト414の大きさにかかわらず、ロータリージョイント420として既存のロータリージョイント420を取り付けることができる。
【0073】
さらに、連結部430の主面430bには、連通孔430rが設けられる。連通孔430rは、連結部430の窪み430pと外部とを連通する。
【0074】
回り止め部440には、係止部442が設けられる。係止部442において、回り止め部440は、鉛直下方側から鉛直上方側に窪む。係止部442は、ロータリージョイント420の端子部426を係止する。係止部442の径は、端子部426の径とほぼ等しいか、端子部426の径よりもわずかに大きい。以上のように、回り止め部440の係止部442がロータリージョイント420の端子部426と係合するため、ロータリージョイント420の回転子422が回転しても、固定子424および端子部426が回転子422とともに回転することを抑制できる。
【0075】
次に、
図1~
図5を参照して、本実施形態の建設機械100における回転連結部材400を説明する。
図5は、建設機械100における回転連結部材400の近傍の模式的な斜視図である。
【0076】
回転連結部材400は、下部走行体200のセンターフレーム222の上部に配置される。詳細には、センターフレーム222の中央部に、円形状の貫通孔222pが設けられており、貫通孔222pの一部を覆うようにX方向に延びる支持部222sが設けられる。回転連結部材400は、センターフレーム222の支持部222sに支持される。
【0077】
上述したように、ここでは、ロータリージョイント420は、スイベルジョイント410の下端に取り付けられる。典型的な比較的小型の建設機械では、スイベルジョイント410の上部には種々の配管および/またはケーブルが配置されており、スイベルジョイント410の上部は、空間的に余裕がない。一方で、スイベルジョイント410の下部に配置される配管および/またはケーブルは少なく、スイベルジョイント410の下部は、空間的に余裕があること多い。このため、ロータリージョイント420はスイベルジョイント410の下端に取り付けられることが好ましい。ただし、ロータリージョイント420はスイベルジョイント410の上端に取り付けられてもよい。
【0078】
本実施形態の建設機械100では、建設機械100の旋回軸心にロータリージョイント420を装着できる。このため、下部走行体200に装着された検知装置240(
図1)からの情報の収集、および/または、下部走行体200に装着された電送機器への電源供給を可能とするためのケーブルを配索する必要がないため、比較的自由に旋回できる。
【0079】
なお、シャフト414は、上部旋回体300とともに下部走行体200に対して回転可能であるのに対して、ボディー412は、下部走行体200に対して固定されている。
【0080】
さらに、
図3(c)および
図3(d)に示したように、シャフト414には、円周形状で鉛直方向に延びた縦孔414pが設けられる。シャフト414の鉛直方向上方には、上部旋回体300側の油路と連結する横孔414rが設けられており、縦孔414pは横孔414rと連絡する。シャフト414の縦孔414pとボディー本体部412aの横孔412pとにより、下部走行体200側の油路が構成される。
【0081】
なお、シャフト414には、下部走行体200に設置されたアクチュエータごとに円周状に刻設された油路が上方から下方に向けて複数形成されており、上下の油路の間はオーリングによりシーリングされる。
【0082】
シャフト414には、鉛直方向に延びた連絡孔414qが設けられる。連絡孔414qには、ケーブル340が挿入される。連絡孔414qに挿入されるケーブル340は、上部旋回体300のコントローラー320(
図1(a))と電気に接続される。なお、ケーブル340は、上部旋回体300に配索されたケーブルであってもよく、回転連結部材400専用のケーブルであってもよい。
【0083】
ボディー412の下部に位置する固定部412bにおいて、下部走行体200のトラックフレーム220の底面とボルトで締結されて固定される。シャフト414の先端は、ボディー本体部412aからボディー本体部412aに内嵌されたシャフト414の径よりも小さい径で固定部412bを貫通する。シャフト414の中心部には、上端部と下端部を貫通する連絡孔414qが設けられ、連絡孔414qには、ロータリージョイント420から延びるケーブル340が通される。また、シャフト414は、上部旋回体300に装着された回り止め部414tにより上部旋回体300と一体となって旋回する。
【0084】
次に、
図1~
図6を参照して、本実施形態の建設機械100における回転連結部材400を説明する。
図6(a)は、建設機械100においてシャフト414を取り除いて連結部430をボディー412から分離した回転連結部材400の模式的な断面図である。
【0085】
図3(c)および
図6(a)に示すように、ボディー412には、シャフト414の挿入される貫通孔412hが設けられる。シャフト414は、ボディー412の貫通孔および固定部412bの貫通孔を貫通する。上述したように、シャフト414の先端部414bの径(W2)は、シャフト414の本体部414aの径(W1)よりも小さい。貫通孔412hの径は、鉛直方向の位置に応じて変化する。貫通孔412hにおいて、固定部412bに対応する部分の径(L2)は、ボディー本体部412aに対応する部分の径(L1)よりも小さい。このため、ボディー412に対するシャフト414を容易に挿入できるとともにシャフト414からの油漏れを抑制できる。
【0086】
さらに、建設機械100のスイベルジョイント410の下端にロータリージョイント420を効率的に装着できる。したがって、建設機械100が小型であっても、下部走行体200に装着された検知装置240の情報の収集および/または下部走行体200に装着された電送機器への電源供給を容易にできる。
【0087】
上述したように、連結部430には、連通孔430rが設けられる。連通孔430rは、連結部430の内部と外部とを繋げる。
【0088】
図6(b)は、建設機械100における回転連結部材400の一部拡大図である。
図6(b)に示すように、連結部430には連通孔430rが設けられる。連通孔430rは、連結部430の側部に設けられ、連通孔430rにより、連結部430の内部と外部とが連通する。
【0089】
連通孔430rより、回転連結部材400の内部に雨水等の液体が浸入する場合でも、ロータリージョイント420の破損を抑制できる。特に、建設機械100は作業時に著しく汚れることがあり、建設機械100の汚れは、高圧の洗浄液で洗浄されることが多いため、回転連結部材400の内部に液体が浸入することがある。しかしながら、連結部430の連通孔430rにより、仮に回転連結部材400の内部に液体が浸入しても、浸入した液体を回転連結部材400の外部に排出できる。
【0090】
なお、
図1(b)を参照した上述したように、下部走行体200には、排土機構230が装着され、排土機構230の位置および/または姿勢は、検知装置240を用いて検知できる。
【0091】
次に、
図7を参照して、本実施形態の建設機械100を説明する。
図7は、建設機械100における下部走行体200および回転連結部材400の模式的な斜視図である。
【0092】
下部走行体200には、排土機構230が装着される。下部走行体200は、ブレード232の姿勢および/または位置を検知するための検知装置240を備える。検知装置240は、下部走行体200のセンターフレーム222から延びるケーブルに接続される。
【0093】
ここでは、検知装置240は、プリズム242と、角度センサー244とを含む。プリズム242は、トータルステーションのターゲットとして機能する。プリズム242は、ブレード232の裏面に位置する支柱241に装着される。支柱241は、鉛直方向に延びる。詳細には、支柱241は、ブレード232の裏面に装着されたステーに立設される。角度センサー244は、ブレード232の裏側に装着される。
【0094】
センターフレーム222の前方側に中継部材260が配置される。中継部材260は、センターフレーム222の筐体外において、ケーブル252を介してプリズム242と電気的に接続する。また、中継部材260は、ケーブル254を介して角度センサー244と電気的に接続する。したがって、検知装置240は、回転連結部材400と電気的に接続する。
【0095】
中継部材260は、第1コネクタ262と、第2コネクタ264とを有する。第1コネクタ262は、ケーブル252に連結される。第2コネクタ264は、ケーブル254に連結される。第1コネクタ262および第2コネクタ264は、それぞれ回転連結部材400の端子と電気的に接続する。
【0096】
次に、
図1~
図8を参照して、本実施形態の建設機械100を説明する。
図8は、建設機械100の電気的な接続を示す模式的な一部拡大図である。
【0097】
図7および
図8に示すように、センターフレーム222の筐体内において、第1コネクタ262は、ケーブル256を介して、ロータリージョイント420の端子部と電気的に接続する。また、第2コネクタ264は、ケーブル258を介して、ロータリージョイント420の端子部と電気的に接続する。このため、中継部材260は、ケーブル256、258を介して回転連結部材400のロータリージョイント420の端子部と電気的に接続する。ロータリージョイント420の端子部は、ケーブル340を介してコントローラー320と電気的に接続する。このため、プリズム242と角度センサー244とは、ケーブル252、254、256および258を介してコントローラー320と電気的に接続する。
【0098】
このように、回転連結部材400は、旋回軸を中心として回転するだけでなく、検知装置240から延びて下部走行体200に配置されるケーブル252、254、256および258と上部旋回体300の内部に配置されたケーブル340との間で電力または電気信号を伝達する。このため、検知装置240から延びるケーブル252、254が、上部旋回体300の旋回動作により破損することを抑制できる。
【0099】
なお、ケーブル256および258は、ロータリージョイント420の端子部から、建設機械100の左前前方に位置する第1コネクタ262および第2コネクタ264に延びる。ただし、ロータリージョイント420の端子部には、建設機械100の右前前方に延びるケーブル259が接続されてもよい。
【0100】
次に、
図9を参照して、本実施形態の建設機械100における中継部材260を説明する。
図9は、中継部材260およびその近傍を示す模式的な一部拡大図である。
【0101】
図9に示すように、中継部材260は、センターフレーム222の前方に位置する。中継部材260は、第1コネクタ262および第2コネクタ264の断面形状に嵌合するように切り欠けられた上下一対のカバー260a、260bで挟みこみ、カバー260a、260bをそれぞれボルトでセンターフレーム222に固定することにより、センターフレーム222前方に装着される。
【0102】
次に、
図1、
図7~
図10を参照して、本実施形態の建設機械100を説明する。
図10は、建設機械100における下部走行体200および回転連結部材400の模式的な斜視図である。
【0103】
図10に示すように、センターフレーム222には、一対の枢結部222a、222bおよび突接部222cが設けられる。一対の枢結部222a、222bは、突接部222cに対してY軸方向に並んで配置される。枢結部222aは、下部走行体200の前進方向に向かって左側に位置し、枢結部222bは、下部走行体200の前進方向に向かって右側に位置する。
【0104】
突接部222cは、センターフレーム222の前方中心から突設する。突接部222cは、一対の枢結部222a、222bの間に位置する。枢結部222a、222bには、アーム226a、226bが枢結される。一対の枢結部222a、222bは、突接部222cの左右に配置され、排土機構230を昇降自在に枢結できる。
【0105】
ブレードシリンダ234は、リフトシリンダ234aと、チルトシリンダ234bと、アングルシリンダ234cとを含む。リフトシリンダ234aは、突接部222cに取り付けられる。アングルシリンダ234cは、アーム226a、226bに取り付けられる。
【0106】
リフトシリンダ234aの一端は、ブレード232に接続されており、リフトシリンダ234aの他端は、突接部222cに接続される。突接部222cは、ブレード232とともにリフトシリンダ234aを枢結する。
【0107】
アングルシリンダ234cは、リフトシリンダ234aの両側に位置する。アングルシリンダ234cの一端は、ブレード232に接続されており、アングルシリンダ234cの他端は、枢結部222a、222bにそれぞれ接続されている。枢結部222a、222bは、ブレード232とともにアングルシリンダ234cを枢結する。
【0108】
中継部材260は、センターフレーム222の前方に装着される。中継部材260は、センターフレーム222の枢結部222aと突接部222cとの間に配置される。
【0109】
枢結部222aと突接部222cとの間に中継部材260の第1コネクタ262および第2コネクタ264が配置される。このため、第1コネクタ262および第2コネクタ264は、障害物と接触しにくく、破損のおそれを低減できる。また、作業者がケーブル252、254を取り外す際に、排土機構230とセンターフレーム222との間に作業者の作業スペースを設けることができるため、ケーブル252、254を容易に取り外すことができる。第1コネクタ262および第2コネクタ264からそれぞれ延びるケーブル252、254は、アーム226aの上方を通ってプリズム242および/または角度センサー244に至る。
【0110】
さらに、アーム226aの上方にケーブルガイドを設けることにより、ケーブル252、254の破損を防ぐことができる。アーム226aを構成する縦板の外側にアングルシリンダ234cのような油圧シリンダを配置する場合、油圧シリンダのロットを保護するシリンダカバーにホースガイドを取り付けてもよい。
【0111】
ブレードシリンダ234は、チルトシリンダ234bと、アングルシリンダ234cとを含むことが好ましい。チルトシリンダ234bは、アーム226bの先端に装着される。チルトシリンダ234bにより、ブレード232がチルト動作できるように上下自在かつアングル動作ができるように前後自在に装着される。チルトシリンダ234bは、ブレード232の裏面と、アーム226bの先端上方を枢結し連結させる。
【0112】
アングルシリンダ234cは、アーム226a、226bの外側とブレード232の裏面とを枢結し連結させる。チルトシリンダ234bとアングルシリンダ234cのボトム側ロッド側の配管は、検知装置240のケーブルが通るアームの一方の縦板の他方の縦板の裏面に装着されてセレクターバルブ238につながる。さらに、この配管は、センターフレーム222の突接部222cと枢結部222bとの間から延出するコントロールバルブとつながる2本の油圧配管とセレクターバルブ238の弁位置を切り替える電磁弁の切り替え信号を転送するケーブル259とつながる。
【0113】
切り替え信号により、コントロールバルブから流れる油は、チルトシリンダ234bまたはアングルシリンダ234cに送られる。これらの複数の配管の延出部と第1コネクタ262および第2コネクタ264の装着位置とが、突接部222cによって異なる領域に分かれていることにより、作業者による第1コネクタ262および第2コネクタ264の着脱の作業性を向上させることができる。
【0114】
なお、セレクターバルブ238の弁位置を切り替える方法は、電磁弁に代えてパイロット式の切換え弁でもよい。この場合、信号を転送するケーブルに代えて、パイロット圧を供給するパイロット油路とパイロット排出油路とを構成する2本の油圧ホースを用いてもよい。
【0115】
図1~
図6を参照して上述したように、ロータリージョイント420は、上部旋回体300の油路と下部走行体200の油路とをつなぐ。ロータリージョイント420は、円筒形状のボディー412と、ボディー412に対して回転自在に内嵌されたシャフト414とを含む。また、シャフト414には、円周状に縦孔414pが開けられ、縦孔414pの上方には、上部旋回体300側の油路と連結する横孔414rが設けられ、縦孔414pの下方では、ボディー本体部412aに、下部走行体200側の油路と連結する円周状に刻設された油路と連結する横孔412pが形成される。下部走行体200に設置されたアクチュエータに対応する油路ごとに設けられた円周状に刻設された油路がボディー本体部412aの上方から下方に向けて複数刻設され、上下の油路の間はオーリングによりシーリングされている。ボディー本体部412aの下部に位置する固定部412bは、センターフレーム222の底面とボルトで締結され、シャフト414の先端は、ボディー本体部412aからボディー本体部412aに内嵌されたシャフト414の径より小さい径で固定部412bを貫通する。シャフト414の中心部には、上端部と下端部を貫通する連絡孔414qを有し、連絡孔414qは、ロータリージョイント420から延びるケーブル340を通すことができる。また、シャフト414は、上部旋回体300に装着された回り止め部414tにより上部旋回体300と一体となって回動する。
【0116】
上述したように、ロータリージョイント420は、スリップリングを含んでもよい。ただし、ロータリージョイント420は、非接触給電装置を含み、非接触給電装置により、検知装置240に電力を供給してもよい。例えば、ロータリージョイント420は、磁気誘導により、検知装置240に電力を供給してもよい。
【0117】
なお、ロータリージョイント420がスリップリングを含む場合、上述したように、ロータリージョイント420は、回転可能なリング部と、リング部の周りを摺動するブラシ部とを含む。リング部から延設する配線とブラシ部から延びる配線とは電気的につながる。リング部は軸部と一体なり、ブラシ部を収めるケース部の中で回転する。
【0118】
プリズム242に供給される電源は、上部旋回体300に配置された所定の電源からロータリージョイント420を介して供給される。また、角度センサー244によって検知された信号は、ロータリージョイント420を介してコントローラー320に送信される。また、セレクターバルブ238の切り替えスイッチの切り替え信号はスイベルジョイントを介してセレクターバルブ238の電磁弁に信号が送られる。
【0119】
中継部材260は、下部走行体200の左右一対のサイドフレーム224a、224bの中央に位置するセンターフレーム222の前方に装着される。このため、ケーブル340の着脱を容易にすることができる。
【0120】
中継部材260は、枢結部222aと突接部222cとの間に装着される。このため、ケーブル252、254の着脱を容易にすることができるだけでなく、障害物との接触が少ない位置に第1コネクタ262および第2コネクタ264を配置することができるため、第1コネクタ262および第2コネクタ264の破損を防止できる。
【0121】
また、センターフレーム222の前方において、枢結部222bと突接部222cとの間から、駆動系ケーブル272が延出される。駆動系ケーブル272は、ブレード232を駆動するための油圧ホースを含む。駆動系ケーブル272の油圧ホースを流れる油圧により、ブレード232の位置および/または姿勢を制御できる。あるいは、駆動系ケーブル272は、ブレード232を駆動するためのケーブルを含んでもよい。
【0122】
駆動系ケーブル272は、原則として着脱できないように構成される。このため、駆動系ケーブル272と、中継部材260の第1コネクタ262および第2コネクタ264から着脱可能なケーブル252、254とを突接部222cによって空間的に切り分けて配置することができる。このため、ケーブル252、254の着脱を容易にできる。
【0123】
ブレードシリンダ234は、チルトシリンダ234bおよびアングルシリンダ234cの少なくとも一つを含むことが好ましい。この場合、駆動系ケーブル272は、アングルシリンダ234cと連通する油圧ホース、および、チルトシリンダ234bと連通する油圧ホースの少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0124】
排土機構230は、チルトシリンダ234bまたはアングルシリンダ234cを含むことが好ましい。または、排土機構230は、チルトシリンダ234bおよびアングルシリンダ234cのいずれかに向けて油圧の流れを切り替えるセレクターバルブ238を含んでもよい。この場合、駆動系ケーブル272は、セレクターバルブ238と連通する油圧ホースと、セレクターバルブ238に切り替え信号を転送するケーブル259とを含むことが好ましい。
【0125】
図7~
図10を参照して説明したように、検知装置240は、ブレード232の位置および/または姿勢を検知する。例えば、検知装置240は、ブレード232の位置を検知する。建設機械100は、検知したブレード232の位置情報と3次元の設計データの差異に基づきブレード232の動作を制御して自動敷均し作業を行う。例えば、自動敷均し作業において、トータルステーションは、プリズム242の位置情報を測定し、操縦部310の後方に立設されたブラケットに取り付けられた無線機に位置情報を送信する。このため、建設機械100の位置情報がコントローラー320に入力される。
【0126】
また、角度センサー244は、ブレード232のチルト操作による上下方向の動き(チルト角)を測定して、測定結果をコントローラー320に出力する。コントローラー320は、これらの情報に基づいてブレード232の位置情報を算出し、設計データの差異に基づき、コントローラー320からリフトシリンダ234aとチルトシリンダ234bを制御する方向切換弁のパイロット圧の入力ポートに連通した電磁比例弁に制御信号を送ることによって自動制御を行う。
【0127】
なお、一つの工事現場で、他のトータルステーションとプリズム242との組み合わせて他の建設機械と共同して自動敷均しを行うことがある。この場合、プリズム242は、それぞれ個別のIDを持ち、対応するトータルステーションにID情報を送信する必要がある。このため、プリズム242には、ケーブル252を介して電力が供給される。なお、トータルステーションが測定した位置情報は、無線を介して、上部旋回体300に搭載されたコントローラー320に入力される。
【0128】
また、角度センサー244は、上部旋回体300に搭載されたコントローラー320に角度情報を送信するためのケーブル254を介して上部旋回体300と接続される。角度センサー244は、ブレード232を前後に回動させるアングル操作をさせる枢支部に隣接する。角度センサー244は、ブレード232の裏面側においてブレード232の高さの真ん中の位置より高い部分にL形鋼を溶接して形成されるステーに設置される。角度センサー244は、上方から箱で覆われる。角度センサー244の後方から検知データを出力するケーブルのコネクタ部が突出する。箱の上部は、チルトシリンダ234bを覆うカバー部材で上方から覆われている。このような構成により、角度センサー244は、敷均し作業中にブレード232の裏面下方から這い上がる土砂及び上方からこぼれる土砂から保護される。
【0129】
支柱241およびプリズム242はブレード232に対して着脱自在である。プリズム242は、比較的高価なため、典型的には、プリズム242は、1日の施工終了後、盗難防止のために取り外される。その際に、プリズム242と下部走行体200とを結ぶケーブル252は、下部走行体200に装着された第1コネクタ262から取り外される。
【0130】
なお、検知装置240は、プリズム242と、角度センサー244とを含んだが、本実施形態はこれに限定されない。検知装置240は、プリズム242および角度センサー244の少なくとも一方を含んでもよい。あるいは、検知装置240は、プリズム242および角度センサー244とともに別の素子またはセンサーを含んでもよい。または、検知装置240は、プリズム242および角度センサー244に代えて別の素子またはセンサーを含んでもよい。
【0131】
例えば、プリズム242に代えて、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)アンテナを用いてもよい。この場合、トータルステーションを使用せず、GNSSアンテナから直接ケーブルを介してコントローラー320(
図1(a)および
図7)に入力されたGNSSアンテナの位置情報と、別途検知したチルト角からブレード232の位置情報を算出することもできる。このため、検知装置240は、プリズム242、角度センサー244に限らず、検知装置240は、GNSSアンテナまたは加速度センサーであってもよい。この場合でも、検知装置240は、上部旋回体300に設置されたコントローラー320等の電装品とケーブル252、254を介して連結することが好ましい。
【0132】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0133】
<発明の付記>
本発明の一局面によれば、建設機械は、下部走行体と、上部旋回体と、前記下部走行体
に対して前記上部旋回体とともに旋回する回転連結部材とを備える。前記回転連結部材は
、貫通孔を有するボディーと、前記ボディーの前記貫通孔において前記ボディーに対して
回転可能に配置され、連絡孔の設けられたシャフトとを有するスイベルジョイントと、前
記シャフトとともに回転する回転子と、固定子と、前記固定子に配置された端子部とを有
するスリップリングを含むロータリージョイントと、前記シャフトの前記連絡孔を貫通し
て前記回転子の端子部と電気的に接続するケーブルと、前記スリップリングの前記回転子
と前記シャフトの少なくとも一方と連結する連結部と、前記ボディーに固定され、前記ス
リップリングの前記端子部の回転を制限する回り止め部とを有する。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明は、建設機械に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0135】
100 建設機械
200 下部走行体
230 排土機構
300 上部旋回体
320 作業機
400 回転連結部材
410 スイベルジョイント
420 ロータリージョイント