(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107365
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】バルベナジン塩およびその多形体
(51)【国際特許分類】
C07D 455/06 20060101AFI20240801BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240801BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240801BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
C07D455/06 CSP
A61K31/4745
A61P25/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/08
A61K9/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024095055
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2022114755の分割
【原出願日】2016-10-28
(31)【優先権主張番号】62/249,074
(32)【優先日】2015-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】398005054
【氏名又は名称】ニューロクライン バイオサイエンシーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ケビン マギー
(72)【発明者】
【氏名】スコット ズーク
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー カー
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー ボナウド
(57)【要約】
【課題】バルベナジン塩およびその多形体を提供すること。
【解決手段】非晶質形態および結晶性形態の(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの塩、ならびにそれらの調製プロセスおよび医薬組成物が本明細書で提供される。運動過剰障害または疾患を含む神経学的障害および疾患の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するためのそれらの使用方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2015年10月30日に出願された米国仮特許出願第62/249,074号の利益を主張し、この出願の開示はその全体が本明細書において参照として援用される。
【0002】
分野
非晶質形態および結晶性形態の(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの塩、それらの調製プロセスおよびそれらの医薬組成物が本明細書で提供される。運動過剰障害または疾患を含む神経学的障害および疾患の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するためのそれらの使用方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
背景
多動性障害は、過度の異常な不随意運動を特徴とする。これらの神経学的障害としては、振戦、ジストニア、バリスムス、チック、アカシジア、常同症、舞踏病、ミオクローヌスおよびアテトーシスが挙げられる。これらの運動障害の病態生理はほとんど理解されていないが、基底核における神経伝達物質の調節不全が重要な役割を果たすと考えられる。(Kenneyら、Expert Review Neurotherapeutics,2005,6,7-17)。典型的な神経遮断薬または中枢作用性ドーパミン受容体遮断制吐薬の慢性的な使用および高用量は、患者が遅発性症候群を発症しやすくさせる。後者の症候群の1つのサブタイプである遅発性ジスキネジアは、顔、四肢または胴体の急速な反復常同不随意運動を特徴とする。(Muller,Expert Opin.Investig.Drugs,2015,24,737-742)。
【0004】
テトラベナジン(TBZ)としても公知の3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2Hピリド[2,l-a]イソキノリン-2-オンによる小胞モノアミントランスポーター-2系(VMAT2)の可逆的阻害は、様々な運動過剰障害の処置を改善する。しかしながら、このような処置の欠点は、変動する応答、頻繁なTBZ摂取の必要性、急速な代謝および副作用である。TBZに関連する副作用としては、鎮静、うつ病、アカシジアおよびパーキンソニズムが挙げられる。
【0005】
2つのキラル中心を含有し、2つの立体異性体のラセミ混合物であるTBZは、その還元型3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-オール(ジヒドロテトラベナジン(DHTBZ)としても公知である)にインビボで急速かつ広範に代謝される。DHTBZは、4つの個々の異性体:(±)α-DHTBZおよび(±)β-DHTBZとして存在すると考えられる。2R、3R、11bRまたは(+)α-DHTBZは、活性代謝産物の絶対配置であると考えられる。(Kilbournら、Chirality,1997,9,59-62)。テトラベナジンは、米国ではオーファンドラッグの状態であり、特定の欧州諸国では承認されている。その使用はまた、ハンチントン病を有する患者における舞踏病の治療を可能にする。しかしながら、テトラベナジンは急速に代謝され、1日中頻繁に投与されなければならない。(Muller,Expert Opin.Investig.Drugs,2015,24,737-742)。したがって、当技術分野では、遅発性ジスキネジアを含む運動過剰障害の処置のための有効な治療薬を開発するとい
う満たされていない必要性がある。
ジヒドロテトラベナジンの(+)-α-異性体の精製プロドラッグであるバルベナジン((S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステル)は、最近、遅発性ジスキネジア症候を含む運動過剰障害の処置において顕著な改善を示し、薬物動態プロファイルおよび忍容性プロファイルが改善された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kenneyら、Expert Review Neurotherapeutics,2005,6,7-17
【非特許文献2】Muller,Expert Opin.Investig.Drugs,2015,24,737-742
【非特許文献3】Kilbournら、Chirality,1997,9,59-62
【非特許文献4】Muller,Expert Opin.Investig.Drugs,2015,24,737-742
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の要旨
式:
【化1】
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの薬学的に許容され得る塩またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物が本明細書で提供される。
【0008】
式I:
【化2】
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)の結晶性形態またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物が本明細書で提供される。
【0009】
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態I、II、III、IV、VおよびVIまたはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物も本明細書で提供される。
【0010】
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体;もしくはその薬学的に許容され得る塩もしくは溶媒和物を調製するためのプロセスであって、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)を第1の温度の溶媒に溶解することを含む方法も本明細書で提供される。
【0011】
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
【0012】
多動性障害の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するための方法であって、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルの薬学的に許容され得る塩またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物を被験体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0013】
多動性障害の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するための方法であって、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2
,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物を被験体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
式I:
【化6】
の化合物の結晶形態I。
(項目2)
約6.3、17.9および19.7°の2θ±0.2θにおいて1つまたはそれを超えるピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目1に記載の結晶形態。
(項目3)
実質的に
図1に示されているX線粉末回折パターンを有する、項目1または2に記載の結晶形態。
(項目4)
約240℃の開始温度と、約243℃におけるピークとを有する吸熱事象を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目1~3のいずれかに記載の結晶形態。
(項目5)
実質的に
図2に示されている示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目1~4のいずれかに記載の結晶形態。
(項目6)
約25℃から約140℃に加熱した場合に約0.4%未満の質量減少を含む熱重量分析プロットを有する、項目1~5のいずれかに記載の結晶形態。
(項目7)
実質的に
図2に示されている熱重量分析プロットを有する、項目1~6のいずれかに記載の結晶形態。
(項目8)
約25℃および約60%の相対湿度に約3カ月間曝露した際に安定である、項目1~7のいずれかに記載の結晶形態。
(項目9)
約25℃および約92%の相対湿度に曝露した際に安定である、項目1~8のいずれかに記載の結晶形態。
(項目10)
約40℃および約75%の相対湿度に約3カ月間曝露した際に安定である、項目1~9のいずれかに記載の結晶形態。
(項目11)
相対湿度約0%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約1%の質量増加を示す、
項目1~10のいずれかに記載の結晶形態。
(項目12)
実質的に
図3に示されている重量蒸気系プロットを示す、項目1~11のいずれかに記載の結晶形態。
(項目13)
前記形態が、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態Iを含有する、項目1~12のいずれかに記載の結晶形態。
(項目14)
式I:
【化7】
の化合物の結晶形態II。
(項目15)
約5.7、15.3および22.5°の2θ±0.2θにおいて1つまたはそれを超えるピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目14に記載の結晶形態。
(項目16)
実質的に
図5に示されているX線粉末回折パターンを有する、項目14または15のいずれかに記載の結晶形態。
(項目17)
約143℃の開始温度と、約155℃におけるピークとを有する吸熱事象および;および約232℃の開始温度と、約235℃におけるピークとを有する別の吸熱事象を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目14~16のいずれかに記載の結晶形態。
(項目18)
実質的に
図6に示されている示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目14~17のいずれかに記載の結晶形態。
(項目19)
約25℃から約140℃に加熱した場合に約2.2%の質量減少を含む熱重量分析プロットを有する、項目14~18のいずれかに記載の結晶形態。
(項目20)
実質的に
図6に示されている熱重量分析プロットを有する、項目14~19のいずれかに記載の結晶形態。
(項目21)
相対湿度約0%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約0.5%の質量増加を示す、項目14~20のいずれかに記載の結晶形態。
(項目22)
実質的に
図7に示されている重量蒸気系プロットを示す、項目14~21のいずれかに記載の結晶形態。
(項目23)
前記形態が、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態IIを含有する、項目14~22のいずれかに記載の結晶形態。
(項目24)
式I:
【化8】
の化合物の結晶形態III。
(項目25)
約6.3、18.3、18.9、19.8および20.4°の2θ±0.2θにおいて1つまたはそれを超えるピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目24に記載の結晶形態。
(項目26)
実質的に
図8に示されているX線粉末回折パターンを有する、項目24または25のいずれかに記載の結晶形態。
(項目27)
約93℃、約158℃および約230℃の温度を有する吸熱事象を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目24~26のいずれかに記載の結晶形態。
(項目28)
実質的に
図9に示されている示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目24~27のいずれかに記載の結晶形態。
(項目29)
約25℃から約140℃に加熱した場合に約2.7%および約8.86%の2つの質量減少を含む熱重量分析プロットを有する、項目24~28のいずれかに記載の結晶形態。
(項目30)
実質的に
図9に示されている熱重量分析プロットを有する、項目24~29のいずれかに記載の結晶形態。
(項目31)
前記形態が、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態IIIを含有する、項目24~29のいずれかに記載の結晶形態。
(項目32)
式I:
【化9】
の化合物の結晶形態IV。
(項目33)
約6.2、10.4、17.9、19.2、19.9および20.2°の2θ±0.2θにおいて1つまたはそれを超えるピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目32に記載の結晶形態。
(項目34)
実質的に
図10に示されているX線粉末回折パターンを有する、項目32または33のいずれかに記載の結晶形態。
(項目35)
約128℃、約159℃および約237℃の温度を有する吸熱事象を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目32~34のいずれかに記載の結晶形態。
(項目36)
実質的に
図11に示されている示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目32~35のいずれかに記載の結晶形態。
(項目37)
約25℃から約140℃に加熱した場合に約3.3%の質量減少を含む熱重量分析プロットを有する、項目32~36のいずれかに記載の結晶形態。
(項目38)
実質的に
図11に示されている熱重量分析プロットを有する、項目32~37のいずれかに記載の結晶形態。
(項目39)
相対湿度約0%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約3.4%の質量増加を示す、項目32~38のいずれかに記載の結晶形態。
(項目40)
実質的に
図12に示されている重量蒸気系プロットを示す、項目32~39のいずれかに記載の結晶形態。
(項目41)
前記形態が、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態IVを含有する、項目32~40のいずれかに記載の結晶形態。
(項目42)
式I:
【化10】
の化合物の結晶形態V。
(項目43)
約6.7、7.9、10.7、12.8、17.1および23.7°の2θ±0.2θにおいて1つまたはそれを超えるピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目42に記載の結晶形態。
(項目44)
実質的に
図13に示されているX線粉末回折パターンを有する、項目42または43のいずれかに記載の結晶形態。
(項目45)
約113℃および約181℃の温度を有する吸熱事象を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目42~44のいずれかに記載の結晶形態。
(項目46)
実質的に
図14に示されている示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目42~45のいずれかに記載の結晶形態。
(項目47)
約25℃から約140℃に加熱した場合に約4.1%の質量減少を含む熱重量分析プロットを有する、項目42~46のいずれかに記載の結晶形態。
(項目48)
実質的に
図14に示されている熱重量分析プロットを有する、項目42~47のいずれかに記載の結晶形態。
(項目49)
相対湿度約0%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約1%の質量増加を示す、項目42~48のいずれかに記載の結晶形態。
(項目50)
実質的に
図15に示されている重量蒸気系プロットを示す、項目42~49のいずれかに記載の結晶形態。
(項目51)
前記形態が、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態Vを含有する、項目42~50のいずれかに記載の結晶形態。
(項目52)
式I:
【化11】
の化合物の結晶形態VI。
(項目53)
約6.8、8.0、16.3および17.5°の2θ±0.2θにおいて1つまたはそれを超えるピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目52に記載の結晶形態。
(項目54)
実質的に
図16に示されているX線粉末回折パターンを有する、項目52または53のいずれかに記載の結晶形態。
(項目55)
約175℃および約238℃の温度を有する吸熱事象を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目52~54のいずれかに記載の結晶形態。
(項目56)
実質的に
図17に示されている示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目52~55のいずれかに記載の結晶形態。
(項目57)
約25℃から約140℃に加熱した場合に約1%の質量減少を含む熱重量分析プロットを有する、項目52~56のいずれかに記載の結晶形態。
(項目58)
実質的に
図17に示されている熱重量分析プロットを有する、項目52~57のいずれかに記載の結晶形態。
(項目59)
相対湿度約40%から約80%への相対湿度増加に供した場合に約0.5%の質量増加を示す、項目52~58のいずれかに記載の結晶形態。
(項目60)
相対湿度約0%から約90%への相対湿度増加に供した場合に約3.1%の質量増加を示す、項目52~59のいずれかに記載の結晶形態。
(項目61)
実質的に
図18に示されている重量蒸気系プロットを示す、項目52~60のいずれかに記載の結晶形態。
(項目62)
前記形態が、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態VIを含有する、項目52~61のいずれかに記載の結晶形態。
(項目63)
項目1、14、24、32、42および52に記載の形態から選択される2つまたはそれを超える結晶形態を含む、混合物。
(項目64)
非晶質:
【化12】
。
(項目65)
式II:
【化13】
の化合物の結晶形態I。
(項目66)
約7.2、9.2および18.0°の2θ±0.2θにおいて1つまたはそれを超えるピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目65に記載の結晶形態。
(項目67)
実質的に
図20に示されているX線粉末回折パターンを有する、項目65または66のいずれかに記載の結晶形態。
(項目68)
約240℃の開始温度と、約250℃におけるピークとを有する吸熱事象を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目65~67のいずれかに記載の結晶形態。
(項目69)
実質的に
図21に示されている示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目65~68のいずれかに記載の結晶形態。
(項目70)
実質的に
図21に示されている熱重量分析プロットを有する、項目65~69のいずれかに記載の結晶形態。
(項目71)
相対湿度約0%から約90%への相対湿度増加に供した場合に約14%の質量増加を示す、項目65~70のいずれかに記載の結晶形態。
(項目72)
実質的に
図22に示されている重量蒸気系プロットを示す、項目65~71のいずれかに記載の結晶形態。
(項目73)
前記形態が、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の式IIの結晶形態Iを含有する、項目65~72のいずれかに記載の結晶形態。
(項目74)
式II:
【化14】
の化合物の結晶形態II。
(項目75)
約4.8、13.3および24.9°の2θ±0.2θにおいて1つまたはそれを超えるピークを含むX線粉末回折パターンを有する、項目74に記載の結晶形態。
(項目76)
実質的に
図23に示されているX線粉末回折パターンを有する、項目74または75のいずれかに記載の結晶形態。
(項目77)
約80℃の開始温度と、約106℃におけるピークとを有する吸熱事象を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目74~76のいずれかに記載の結晶形態。
(項目78)
実質的に
図24に示されている示差走査熱量測定サーモグラムを有する、項目74~77のいずれかに記載の結晶形態。
(項目79)
約25℃から約140℃に加熱した場合に約10%の質量減少を含む熱重量分析プロットを有する、項目74~78のいずれかに記載の結晶形態。
(項目80)
実質的に
図24に示されている熱重量分析プロットを有する、項目74~79のいずれかに記載の結晶形態。
(項目81)
相対湿度約75%から約0%への相対湿度減少に供した場合に約12%の質量減少を示す、項目74~80のいずれかに記載の結晶形態。
(項目82)
実質的に
図25に示されている重量蒸気系プロットを示す、項目74~81のいずれかに記載の結晶形態。
(項目83)
前記形態が、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の式IIの結晶形態IIを含有する、項目74~82のいずれかに記載の結晶形態。
(項目84)
項目65および74に記載の形態から選択される2つまたはそれを超える結晶形態を含む、混合物。
(項目85)
非晶質:
【化15】
。
(項目86)
項目1~63のいずれかに記載の結晶形態または項目64もしくは85に記載の非晶質形態と、薬学的に許容され得る担体とを含む、医薬組成物。
(項目87)
前記組成物が、経口投与のために製剤化されている、項目86に記載の医薬組成物。
(項目88)
前記組成物が、単一剤形として製剤化されている、項目86または87に記載の医薬組成物。
(項目89)
多動性障害の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するための方法であって、項目1~63のいずれかに記載の結晶形態または項目64もしくは85に記載の非晶質形態または項目86~88に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
(項目90)
前記多動性障害が、ハンチントン病、遅発性ジスキネジア、トゥレット症候群、ジストニア、ヘミバリズム、舞踏病、老人性舞踏病またはチックである、項目89に記載の方法。(項目91)
前記多動性障害がハンチントン病である、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記多動性障害が遅発性ジスキネジアである、項目90に記載の方法。
(項目93)
前記多動性障害がトゥレット症候群である、項目90に記載の方法。
(項目94)
前記多動性障害がチックである、項目90に記載の方法。
(項目95)
被験体における小胞モノアミントランスポーターアイソフォーム2を阻害するための方法
であって、項目1~63のいずれかに記載の結晶形態または項目64もしくは85に記載の非晶質形態または項目86~88に記載の医薬組成物を前記被験体に投与することを含む、方法。
(項目96)
項目1~63のいずれかに記載の結晶形態または項目64もしくは85に記載の非晶質形態を調製するためのプロセスであって、式Iまたは式IIの化合物と溶媒とを接触させることを含む、プロセス。
(項目97)
前記溶媒が、炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、ニトロ化合物、複素環、水およびそれらの混合物からなる群より選択される、項目96に記載のプロセス。
(項目98)
前記溶媒が、アセトニトリル、1,2-ジクロロエタン、DMF、1,4-ジオキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、MIBK、トルエン、ヘプタン、クメン、アセトン、1-ブタノール、MTBE、エタノール、酢酸エチル、ギ酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、ニトロメタン、1-プロパノール、IPA、MEK、THF、水およびそれらの混合物からなる群より選択される、項目97に記載のプロセス。
(項目99)
項目1~63のいずれかに記載の結晶形態または項目64もしくは85に記載の非晶質形態を調製するためのプロセスであって、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iの化合物のスラリーを調製する工程;および(b)前記スラリーを第2の温度に曝露することによって、前記結晶形態または前記非晶質形態を生成する工程を含む、プロセス。
(項目100)
前記結晶形態または前記非晶質形態が、前記溶液を前記第2の温度に冷却することによって生成される、項目99に記載のプロセス。
(項目101)
項目1~63のいずれかに記載の結晶形態または項目64もしくは85に記載の非晶質形態を調製するためのプロセスであって、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iの化合物の溶液を調製する工程;(b)前記溶液を第2の温度に冷却することによって、スラリーを形成する工程;および(c)1回またはそれを超える加熱冷却サイクルで前記スラリーを処理することによって、前記結晶形態または前記非晶質形態を生成する工程を含む、プロセス。
(項目102)
前記加熱冷却サイクルが、約-50~約120℃、約-50~約100℃、約-20~約80℃、約0~約80℃、約10~約80℃、約20~約80℃、約20~約60℃または約20~約50℃の温度範囲で実施される、項目101に記載のプロセス。
(項目103)
前記第1の温度が、約20~約200℃、約20~約150℃、約20~約100℃または約20~約80℃である、項目99~102のいずれかに記載のプロセス。
(項目104)
前記第2の温度が、約-100~100℃、約-50~約50℃、約-10~約30℃、約20~約200℃、約20~約150℃または約20~約100℃である、項目99~103のいずれかに記載のプロセス。
(項目105)
前記結晶形態または前記非晶質形態を単離する工程をさらに含む、項目96~104のいずれかに記載のプロセス。
(項目106)
前記溶媒が、炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、エステル、カーボネート、アミド、ニトリル、ニトロ化合物、複素環、水およびそれらの混合物からな
る群より選択される、項目96~105のいずれかに記載のプロセス。
(項目107)
前記溶媒が、アセトニトリル、1,2-ジクロロエタン、DMF、1,4-ジオキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、MIBK、トルエン、ヘプタン、クメン、アセトン、1-ブタノール、MTBE、エタノール、酢酸エチル、ギ酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、ニトロメタン、1-プロパノール、IPA、MEK、THF、水およびそれらの混合物からなる群より選択される、項目96~106のいずれかに記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、結晶性形態Iの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)のサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0015】
【
図2】
図2は、結晶性形態Iの式Iのサンプルの例示的な熱重量分析(TGA)サーモグラム(点線)および示差走査熱量測定(DSC)ディフラクトグラム(実線)を示す。
【0016】
【
図3】
図3は、結晶性形態Iの式Iのサンプルの例示的な重量蒸気収着(GVS)を示す。
【0017】
【
図4A】
図4は、倍率500(A);2,000(B);および5,000(C)における形態Iの式Iのサンプルの微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【
図4B】
図4は、倍率500(A);2,000(B);および5,000(C)における形態Iの式Iのサンプルの微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【
図4C】
図4は、倍率500(A);2,000(B);および5,000(C)における形態Iの式Iのサンプルの微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【0018】
【
図5】
図5は、結晶性形態IIの式Iのサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0019】
【
図6】
図6は、結晶性形態IIの式Iのサンプルの例示的な示差走査熱量測定(DSC)ディフラクトグラム(上のプロット)および熱重量分析(TGA)サーモグラム(下のプロット)を示す。
【0020】
【
図7】
図7は、結晶性形態IIの式Iのサンプルの例示的な重量蒸気収着(GVS)を示す。
【0021】
【
図8】
図8は、結晶性形態IIIの式Iのサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0022】
【
図9】
図9は、結晶性形態IIIの式Iのサンプルの例示的な熱重量分析(TGA)サーモグラム(上のプロット)および示差走査熱量測定(DSC)ディフラクトグラム(下のプロット)を示す。
【0023】
【
図10】
図10は、結晶性形態IVの式Iのサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0024】
【
図11】
図11は、結晶性形態IVの式Iのサンプルの例示的な熱重量分析(TGA)サーモグラム(点線)および示差走査熱量測定(DSC)ディフラクトグラム(実線)を示す。
【0025】
【
図12】
図12は、結晶性形態IVの式Iのサンプルの例示的な重量蒸気収着(GVS)を示す。
【0026】
【
図13】
図13は、結晶性形態Vの式Iのサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0027】
【
図14】
図14は、結晶性形態Vの式Iのサンプルの例示的な熱重量分析(TGA)サーモグラム(点線)および示差走査熱量測定(DSC)ディフラクトグラム(実線)を示す。
【0028】
【
図15】
図15は、結晶性形態Vの式Iのサンプルの例示的な重量蒸気収着(GVS)を示す。
【0029】
【
図16】
図16は、結晶性形態VIの式Iのサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0030】
【
図17】
図17は、結晶性形態VIの式Iのサンプルの例示的な熱重量分析(TGA)サーモグラム(実線)および示差走査熱量測定(DSC)ディフラクトグラム(点線)を示す。
【0031】
【
図18】
図18は、結晶性形態VIの式Iのサンプルの例示的な重量蒸気収着(GVS)を示す。
【0032】
【
図19】
図19は、非晶質形態の式Iのサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0033】
【
図20】
図20は、結晶性形態Iの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)のサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0034】
【
図21】
図21は、結晶性形態Iの式IIのサンプルの例示的な示差走査熱量測定(DSC)ディフラクトグラム(上のプロット)および熱重量分析(TGA)サーモグラム(下のプロット)を示す。
【0035】
【
図22】
図22は、結晶性形態Iの式IIのサンプルの例示的な重量蒸気収着(GVS)を示す。
【0036】
【
図23】
図23は、結晶性形態IIの式IIのサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0037】
【
図24】
図24は、結晶性形態IIの式IIのサンプルの例示的な示差走査熱量測定(DSC)ディフラクトグラム(上のプロット)および熱重量分析(TGA)サーモグラム(下のプロット)を示す。
【0038】
【
図25】
図25は、結晶性形態IIの式IIのサンプルの例示的な重量蒸気収着(GVS)を示す。
【0039】
【
図26】
図26は、非晶質形態の式IIのサンプルの例示的なX線粉末(XRP)ディフラクトグラムを示す。
【0040】
図中の点線および実線は、プロットを区別するためだけのものであり、シグナルの強度を意味することを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0041】
発明の詳細な説明
定義
本明細書に示されている開示の理解を容易にするために、多くの用語が以下で定義されている。
【0042】
一般に、本明細書で使用される命名法、ならびに本明細書に記載される有機化学、医薬品化学および薬理学における実験手順は周知のものであり、当技術分野で一般に用いられる。特に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての専門用語および科学用語は、一般に、本開示が属する分野の当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。
【0043】
「被験体」という用語は、限定されないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラットまたはマウスを含む動物を指す。「被験体」および「患者」という用語は、本明細書では、例えば哺乳動物被験体、例えばヒト被験体、一実施形態ではヒトに関して互換的に使用される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「同位体濃縮された」は、その原子の天然同位体組成以外の同位体組成を有する原子を指す。「同位体濃縮された」はまた、その原子の天然同位体組成以外の同位体組成を有する少なくとも1つの原子を含有する化合物を指し得る。
【0045】
本明細書で提供される化合物に関して、特定の原子位置が重水素または「D」を有すると指定された場合、その位置における重水素の存在量は、重水素の天然存在量よりも実質的に多く、約0.015%であると理解される。重水素を有すると指定された位置は、典型的には、各指定重水素位置において、特定の実施形態では少なくとも1000(15%重水素結合(deuterium incorporation))、少なくとも2000(30%重水素結合)、少なくとも3000(45%重水素結合)、少なくとも3500(52.5%重水素結合)、少なくとも4000(60%重水素結合)、少なくとも4500(67.5%重水素結合)、少なくとも5000(75%重水素結合)、少なくとも5500(82.5%重水素結合)、少なくとも6000(90%重水素結合)、少なくとも6333.3(95%重水素結合)、少なくとも6466.7(97%重水素結合)、少なくとも6600(99%重水素結合)または少なくとも6633.3(99.5%重水素結合)の最小同位体濃縮係数を有する。
【0046】
本明細書で提供される化合物の同位体濃縮は、質量分析、核磁気共鳴分光法および結晶構造解析を含む当業者に公知の従来の分析方法を使用して決定され得る。
【0047】
薬物動態(「PK」)、薬物動力(「PD」)および毒性プロファイルを改善するための医薬品の同位体濃縮(例えば、重水素化)は、いくつかのクラスの薬物で以前に実証されている。例えば、Lijinskyら、Food Cosmet.Toxicol.,20:393(1982);Lijinskyら、J.Nat.Cancer Inst.,69:1127(1982);Mangoldら、Mutation Res.30
8:33(1994);Gordonら、Drug Metab.Dispos.,15:589(1987);Zelloら、Metabolism,43:487(1994);Gatelyら、J.Nucl.Med.,27:388(1986);Wade D,Chem.Biol.Interact.117:191(1999)を参照のこと。
【0048】
薬物の同位体濃縮は、例えば、(1)望ましくない代謝産物を低減もしくは排除し、(2)親薬物の半減期を増加させ、(3)所望の効果を達成するために必要な用量の数を減少させ、(4)所望の効果を達成するために必要な用量の量を減少させ、(5)活性代謝産物が形成される場合にはその形成を増加させ、ならびに/または(6)特定の組織における有害代謝産物の産生を減少させ、および/もしくは併用療法を意図するか否かにかかわらず、併用療法のためのより有効な薬物および/もしくはより安全な薬物を作り出すために使用され得る。
【0049】
原子をその同位体の1つで置き換えると、多くの場合、化学反応の反応速度が変化する。この現象は、速度同位体効果(「KIE」)として公知である。例えば、化学反応における律速段階(すなわち、最高遷移状態エネルギーを有する段階)中にC-H結合が破壊される場合、重水素によるその水素の置換は反応速度の減少を引き起こし、プロセスが減速する。この現象は、重水素速度同位体効果(DKIE)として公知である。(例えば、Fosterら、Adv.Drug Res.,vol.14,pp.1-36(1985);Kushnerら、Can.J.Physiol.Pharmacol.,vol.77,pp.79-88(1999)を参照のこと)。
【0050】
DKIEの規模は、C-H結合が破壊される所定の反応の速度と、水素が重水素で置換される同じ反応との比として表され得る。DKIEは、約1(同位体効果なし)から非常に大きい数、例えば50またはそれを超える可能性があるが、これは、水素が重水素で置換されると、反応が50倍またはそれを超えて遅くなり得ることを意味する。高いDKIE値は、不確実性原理の結果である現象(トンネリングとして公知である)に部分的に起因し得る。トンネリングは低質量の水素原子によるものであり、必要な活性化エネルギーの非存在下では、プロトンが関与する遷移状態が形成し得ることがあるために起こる。重水素は水素よりも大きい質量を有するので、統計学的には、それがこの現象を経験する確率はかなり低い。
【0051】
トリチウム(「T」)は、研究、核融合炉、中性子発生器および放射性医薬品において使用される水素の放射性同位体である。トリチウムは、核に2つの中性子を有する水素原子であって、3に近い原子量を有する水素原子である。それは、環境中では非常に低い濃度で自然に生じ、T2Oとして見られることが最も多い。トリチウムは徐々に減衰し(半減期=12.3年間)、ヒト皮膚の外層に浸透し得ない低エネルギーβ粒子を放出する。内部被曝は、この同位体に関連する主要な危険であるが、その大量摂取は重大な健康リスクをもたらすはずである。重水素と比較して、トリチウムは、より少量の消費で危険レベルに達するはずである。水素がトリチウム(「T」)で置換されると、重水素よりもさらに強力な結合が生じ、数値的により大きい同位体効果が得られる。同様に、他の元素に関する同位体の置換(限定されないが、炭素の場合には13Cまたは14C、硫黄の場合には33S、34Sまたは36S、窒素の場合には15Nおよび酸素の場合には17Oまたは18Oを含む)は、同様の速度同位体効果をもたらし得る。
【0052】
例えば、DKIEは、トリフルオロアセチルクロリドなどの反応種の産生をおそらく制限することによって、ハロタンの肝毒性を減少させるために使用された。しかしながら、この方法は、すべての薬物クラスに適用可能ではない可能性がある。例えば、重水素結合は、代謝スイッチングにつながり得る。代謝スイッチングの概念は、異種物質が、第I相
酵素によって隔離されると一時的に結合し、化学反応(例えば、酸化)前に様々なコンフォメーションで再結合し得ると主張する。この仮説は、多くの第I相酵素における比較的広いサイズの結合ポケットと、多くの代謝反応の雑多な性質とによって裏付けられている。代謝スイッチングは、異なる割合の公知の代謝産物および全く新たな代謝産物につながる可能性があり得る。この新たな代謝プロファイルは、多かれ少なかれ毒性を付与し得る。
【0053】
動物の体は、その循環系から治療剤などの外来物質を排除する目的で、様々な酵素を発現する。これらの外来物質と反応して、腎排泄のためのより極性の中間体または代謝産物にそれらを変換するために、このような酵素の例としては、シトクロムP450酵素(「CYP」)、エステラーゼ、プロテアーゼ、レダクターゼ、デヒドロゲナーゼおよびモノアミンオキシダーゼが挙げられる。医薬化合物の最も一般的な代謝反応のいくつかは、炭素-酸素(C-O)または炭素-炭素(C-C)pi-結合のいずれかへの炭素-水素(C-H)結合の酸化を伴う。得られる代謝産物は、生理学的条件下で安定または不安定であり得、親化合物と比較して実質的に異なる薬物動態、薬物動力ならびに急性および長期毒性プロファイルを有し得る。多くの薬物では、このような酸化は急速である。したがって、これらの薬物は、多くの場合、複数回用量または高1日用量の投与を必要とする。
【0054】
したがって、本明細書で提供される化合物の特定の位置における同位体濃縮は、天然同位体組成を有する同様の化合物と比較して、本明細書で提供される化合物の薬物動態、薬物動力および/または毒物学的プロファイルに影響を及ぼす検出可能なKIEをもたらす。
【0055】
「同位体変異体」という用語は、このような治療剤を構成する原子の1つまたはそれよりも多くにおいて非天然割合の同位体を含有する治療剤を指す。特定の実施形態では、治療剤の「同位体変異体」は、限定されないが、水素(1H)、重水素(2H)、トリチウム(3H)、炭素-11(11C)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-14(14O)、酸素-15(15O)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、フッ素-17(17F)、フッ素-18(18F)、リン-31(31P)、リン-32(32P)、リン-33(33P)、硫黄-32(32S)、硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)、硫黄-35(35S)、硫黄-36(36S)、塩素-35(35Cl)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、臭素-79(79Br)、臭素-81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-127(127I)、ヨウ素-129(129I)およびヨウ素-131(131I)を含む非天然割合の1つまたはそれを超える同位体を含有する。特定の実施形態では、治療剤の「同位体変異体」は、限定されないが、水素(1H)、重水素(2H)、トリチウム(3H)、炭素-11(11C)、炭素-12(12C)、炭素-13(13C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-14(14N)、窒素-15(15N)、酸素-14(14O)、酸素-15(15O)、酸素-16(16O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、フッ素-17(17F)、フッ素-18(18F)、リン-31(31P)、リン-32(32P)、リン-33(33P)、硫黄-32(32S)、硫黄-33(33S)、硫黄-34(34S)、硫黄-35(35S)、硫黄-36(36S)、塩素-35(35Cl)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、臭素-79(79Br)、臭素-81(81Br)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-127(127I)、ヨウ素-129(129I)およびヨウ素-131(131I)を含む非天然割合の1つまたはそれを超える同位体を含有する。
【0056】
当業者の判断にしたがって実行可能である場合には、治療剤では、任意の水素は例えば
2Hであり得るか、または任意の炭素は例えば13Cであり得るか、または任意の窒素は例えば15Nであり得るか、または任意の酸素は例えば18Oであり得ると理解される。特定の実施形態では、治療剤の「同位体変異体」は、非天然割合の重水素(D)を含有する。
【0057】
「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語は、障害、疾患もしくは症状、または障害、疾患もしくは症状に関連する1つまたはそれを超える症候の緩和または抑制;あるいは障害、疾患または症状それ自体の原因(複数可)の緩和または根絶を意味する。
【0058】
「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語は、障害、疾患もしくは症状および/またはその付随症候の発症を遅延および/または防止し;被験体が障害、疾患または症状を獲得するのを防ぎ;あるいは障害、疾患または症状を獲得する被験体のリスクを減少させる方法を含むことを意味する。
【0059】
本明細書で使用される場合、特に指定がない限り、「管理する」、「管理すること」および「管理」という用語は、疾患もしくは障害またはその1つもしくはそれを超える症候の進行、拡大または悪化を予防または遅延することを指す。多くの場合、被験体が予防剤および/または治療剤から受ける有益な効果は、疾患または障害の治癒をもたらさない。これに関して、「管理する」という用語は、疾患の再発を予防または最小化するために、特定の疾患を患っている被験体を処置することを包含する。
【0060】
本明細書で使用される場合、特定の医薬組成物の投与による特定の障害の症候の改善は、永続的もしくは一時的、継続的または一過性にかかわらず、組成物の投与に起因または関連し得る任意の軽減を指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「障害」という用語は、ヒトもしくは動物の体のまたはその一部のうちの1つの異常症状であって、正常機能を損なう異常症状をすべてが表すという点において、「疾患」、「症候群」および「症状」(医学的症状における)という用語と一般に同義であることを意図し、それらと互換的に使用され、典型的には、徴候および症候を識別することによって明らかになる。
【0062】
「治療有効量」という用語は、投与した場合に、処置される障害、疾患または症状の症候の1つまたはそれよりも多くの発症を予防し、またはある程度緩和するために十分な化合物の量を含むことを意味する。「治療有効量」という用語はまた、生物学的分子(例えば、タンパク質、酵素、RNAまたはDNA)、細胞、組織、系、動物またはヒトの生物学的応答または医学的応答を誘発するために十分な化合物の量であって、研究者、獣医師、医師または臨床医によって求められる量を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、特に指定がない限り、化合物の「予防有効量」は、疾患もしくは障害を予防し、またはその再発を予防するために十分な量である。化合物の予防有効量は、治療剤単独の、または1つもしくはそれを超える他の薬剤(複数可)と組み合わせた治療剤の量であって、疾患の予防において予防的利益を提供する量を意味する。「予防有効量」という用語は、全体的な予防を改善するか、または別の予防剤の予防有効性を増強する量を包含し得る。
【0064】
「薬学的に許容され得る担体」、「薬学的に許容され得る賦形剤」、「生理学的に許容され得る担体」または「生理学的に許容され得る賦形剤」という用語は、薬学的に許容され得る材料、組成物またはビヒクル、例えば液体または固体の充填剤、希釈剤、溶媒または封入材料を指す。一実施形態では、各成分は、医薬製剤の他の成分との適合性の意味に
おいて「薬学的に許容され得る」ものであり、合理的な利益/リスク比で相応して、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織または器官との接触において使用するために適切である。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd ed.;Pharmaceutical Press:2012;Handbook of Pharmaceutical Excipients,7th ed.;Roweら、Eds.;The Pharmaceutical Press:2012;Handbook of Pharmaceutical Additives,3rd ed.;Ash and Ash Eds.;Gower Publishing Company:2007;Pharmaceutical Preformulation and Formulation,2nd ed.;Gibson Ed.;CRC Press LLC:Boca Raton,FL,2009を参照のこと。
【0065】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」および「an」という不定冠詞ならびに「the」という定冠詞は、特に文脈上明確な指示がない限り、複数および単数の指示対象を含む。
【0066】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容され得る誤差(これは、値の測定方法または決定方法に部分的に依存する)を意味する。特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、1、2、3または4標準偏差以内を意味する。特定の実施形態では、「約」または「およそ」という用語は、所定の値または範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%または0.05%以内を意味する。特定の実施形態では、X線粉末回折2θピークに関する「約」または「およそ」は、±0.2°以内を意味する。
【0067】
「有効成分」および「活性物質」という用語は、障害、疾患または症状の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するために単独で、または1つもしくはそれを超える薬学的に許容され得る賦形剤と組み合わせて被験体に投与される化合物を指す。本明細書で使用される場合、「有効成分」および「活性物質」は、本明細書に記載される化合物の光学活性異性体または同位体変異体であり得る。
【0068】
「貧溶媒」という用語は、溶媒中の化合物の溶解度を減少させるためにその溶媒に追加される液体であって、いくつかの場合では化合物の沈殿をもたらす液体を指す。
【0069】
「薬物」、「治療剤」および「化学療法剤」という用語は、障害、疾患または症状の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するために被験体に投与される化合物またはその医薬組成物を指す。
【0070】
「溶媒和物」という用語は、1つまたはそれを超える溶質分子、例えば本明細書で提供される化合物と、化学量論量または非化学量論量で存在する1つまたはそれを超える溶媒分子とによって形成される複合体または凝集体を指す。適切な溶媒としては、限定されないが、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールおよび酢酸が挙げられる。特定の実施形態では、溶媒は、薬学的に許容され得るものである。一実施形態では、複合体または凝集体は、結晶性形態である。別の実施形態では、複合体または凝集体は、非結晶性形態である。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。水和物の例としては、限定されないが、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物および五水和物が挙げられる。
【0071】
化合物の「結晶性形態」という用語は、遊離酸としての化合物、遊離塩基としての化合
物、化合物の酸付加塩、化合物の塩基付加塩、化合物の錯体、化合物の溶媒和物(水和物を含む)または化合物の共結晶の任意の結晶性形態を指し得る。化合物の「固体形態」という用語は、遊離酸としての化合物、遊離塩基としての化合物、化合物の酸付加塩、化合物の塩基付加塩、化合物の錯体または化合物の溶媒和物(水和物を含む)または化合物の共沈殿物の任意の結晶性形態または任意の非晶質形態を指し得る。多くの場合、「結晶性形態」および「固体形態」という用語は、例えば、薬学的に許容され得る付加塩、薬学的に許容され得る錯体、薬学的に許容され得る溶媒和物、薬学的に許容され得る共結晶および薬学的に許容され得る共沈殿物を含む薬学的に許容され得るものを指し得る。
【0072】
「ステレオタイプ」という用語は、わずかな変動を伴って、または一般的ではないが複雑な一連の運動として繰り返し現れる反復挙動を指す。
【0073】
「多動性障害」または「運動過剰障害」または「多動」という用語は、過度の異常な不随意運動を特徴とする障害または疾患を指す。これらの障害としては、限定されないが、ハンチントン病、遅発性ジスキネジア、トゥレット症候群、ジストニア、ヘミバリズム、舞踏病、老人性舞踏病またはチックが挙げられる。
【0074】
「神経学的障害」または「神経学的疾患」という用語は、限定されないが、多動性障害、双極性障害、大うつ病障害、不安症、注意欠陥多動性障害、認知症、うつ病、不眠症、精神病、外傷後ストレス障害、薬物乱用、パーキンソン病、レボドパ誘導性ジスキネジア、運動障害または反抗挑戦性障害を含む。
【0075】
「遅発性症候群」という用語は、限定されないが、遅発性ジスキネジア、遅発性ジストニア、遅発性アカシジア、遅発性チック、ミオクローヌス、振戦および離脱緊急症候群(withdrawal-emergent syndrome)を包含する。
【0076】
「VMAT2」という用語は、モノアミン、特に神経伝達物質、例えばドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンおよびヒスタミンを細胞の細胞質ゾルからシナプス小胞に輸送するように作用する内在性膜タンパク質であるヒト小胞モノアミントランスポーターアイソフォーム2を指す。
【0077】
「VMAT2媒介性障害」という用語は、異常なVMAT2活性、またはモジュレートされると他の異常な生物学的プロセスの改善につながるVMAT2活性を特徴とする障害を指す。VMAT2媒介性障害は、VMAT2をモジュレートすることによって完全にまたは部分的に媒介され得る。特に、VMAT2媒介性障害は、VMAT2の阻害が基礎障害に対するいくらかの効果をもたらすものであり、例えば、VMAT2阻害剤の投与は、処置される患者の少なくとも一部の改善をもたらす。
【0078】
「VMAT2阻害剤」、「VMAT2を阻害する」または「VMAT2の阻害」という用語は、VMAT2の機能を変化させる本明細書に開示される化合物の能力を指す。VMAT2阻害剤は、阻害剤とVMAT2との間に可逆的もしくは不可逆的な共有結合を形成することによって、または非共有結合した複合体の形成を介して、VMAT2の活性を遮断または低減し得る。このような阻害は、特定の細胞型においてのみ現れ得るか、または特定の生物学的事象に付随し得る。「VMAT2阻害剤」、「VMAT2を阻害する」または「VMAT2の阻害」という用語はまた、VMAT2と天然基質との間に複合体が形成される確率を減少させることによって、VMAT2の機能を改変することを指す。いくつかの実施形態では、VMAT2のモジュレーションは、国際公開第2005/077946号;国際公開第2008/058261号;欧州特許出願公開第1716145号;Kilbournら、European Journal of Pharmacology 1995,(278),249-252;Leeら、J.Med.Chem.,1
996,(39),191-196;Schermanら、Journal of Neurochemistry 1988,50(4),1131-36;Kilbournら、Synapse 2002,43(3),188-194;Kilbournら、European Journal of Pharmacology 1997,331(2-3),161-68;およびEricksonら、Journal of Molecular Neuroscience 1995,6(4),277-87に記載されている方法を使用して評価され得る。
【0079】
「薬学的に許容され得る塩」は、その生物学的特性を保持する本明細書で提供される化合物の任意の塩であって、毒性ではないか、または他の点で医薬用途に望ましくないものではない本明細書で提供される化合物の任意の塩を指す。このような塩は、当技術分野で周知の様々な有機対イオンおよび無機対イオンから誘導され得る。このような塩としては、限定されないが、(1)有機酸または無機酸を用いて形成された酸付加塩、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、桂皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、樟脳酸、樟脳スルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸などの酸;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが(a)金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオン、またはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛および水酸化バリウム、アンモニアで置き換えられるか、または(b)有機塩基、例えば脂肪族、脂環式もしくは芳香族の有機アミン、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレン-ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、N-メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、テトラメチル水酸化アンモニウムなどと配位すると形成される塩が挙げられる。
【0080】
薬学的に許容され得る塩としてはさらに、ほんの一例として限定されないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、および化合物が塩基性官能基を含有する場合には非毒性の有機酸または無機酸の塩、例えばハロゲン化水素酸塩、例えば塩酸塩および臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタル酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩、1,2-エタン-ジスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、4-クロロベンゼンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、4-トルエンスルホン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、4-メチルビシクロ[2.2.2
]オクタ-2-エン-1-カルボン酸塩、グルコヘプタン酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert-ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩などが挙げられる。
【0081】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するおよび合成のα、β、γおよびδアミノ酸を指し、限定されないが、タンパク質に見られるアミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパレート、グルタメート、リジン、アルギニンおよびヒスチジンを含む。一実施形態では、アミノ酸は、L-立体配置である。あるいは、アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニリル、トリプトファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、トレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リジニル、アルギニル、ヒスチジニル、β-アラニル、β-バリニル、β-ロイシニル、β-イソロイシニル、β-プロリニル、β-フェニルアラニニル、β-トリプトファニル、β-メチオニニル、β-グリシニル、β-セリニル、β-トレオニニル、β-システイニル、β-チロシニル、β-アスパラギニル、β-グルタミニル、β-アスパルトイル、β-グルタロイル、β-リジニル、β-アルギニルまたはβ-ヒスチジニルの誘導体であり得る。
固体形態
【0082】
一実施形態では、(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの薬学的に許容され得る塩またはその同位体変異体が本明細書で提供される。(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルは、式:
【化3】
の構造を有する。
【0083】
バルベナジンとしても公知の化合物(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルは、米国特許第8,039,627号および米国特許第8,357,697号(これらの各開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)にしたがって調製され得る。
バルベナジンジトシレート
【0084】
別の実施形態では、式I:
【化4】
の(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物が本明細書で提供される。
【0085】
本明細書に示される(例えば、式Iの)結晶性形態は、単結晶X線回折、X線粉末回折(XRPD)、顕微鏡検査(例えば、走査型電子顕微鏡検査(SEM))、熱分析(例えば、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)およびホットステージ顕微鏡検査および分光法(例えば、赤外線、ラマン、固体核磁気共鳴)を含む当業者に公知の多くの方法を使用して特性評価され得る。粒径および粒径分布は、従来の方法、例えばレーザー光散乱技術によって決定され得る。本明細書で提供される結晶性形態の純度は、標準的な分析方法、例えば薄層クロマトグラフィー(TLC)、ゲル電気泳動、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)によって決定され得る。
バルベナジンジトシレート形態I
【0086】
また別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物が本明細書で提供され、ここで、結晶性形態は形態Iである。
【0087】
様々な実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態Iは、X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IのX線回折パターンは、約6.3、17.9および19.7°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IのX線粉末回折パターンは、約6.3、17.9または19.7°の2θ角度においてXRP回折ピー
クを含む。別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態Iは、約6.3°および19.7°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態Iは、約6.3°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態Iは、実質的に
図1に示されているX線回折パターンを有する。
【0088】
いくつかの実施形態では、結晶性形態Iは、約6.3°および約19.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、結晶性形態Iは、約6.3°、約17.9°および約19.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Iは、約6.3°、約17.9°、約19.7°および約22.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、結晶性形態Iは、約6.3°、約15.6°、約17.9°、約19.7°および約22.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Iは、約6.3°、約15.6°、約16.6°、約17.9°、約19.7°および約22.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。
【0089】
様々な実施形態では、結晶性形態Iは、吸熱示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Iは、約240℃の開始温度と、約243℃におけるピークとを有する吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、結晶性形態Iは、実質的に
図2に示されているDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、結晶性形態Iは、約25℃から約140℃に加熱した場合に約0.4%未満の質量減少を含む熱重量分析(TGA)プロットを有する。さらに別の実施形態では、結晶性形態Iは、実質的に
図2に示されているTGAプロットを有する。
【0090】
様々な実施形態では、結晶性形態Iは、重量蒸気系(GVS)プロットを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Iは、相対湿度約0%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約1%の質量増加を示す。特定の実施形態では、吸着により増加した質量は、相対湿度(RH)がRH約0%に減少して戻った場合に減少する。また別の実施形態では、結晶性形態Iは、実質的に
図3に示されている重量蒸気系プロットを示す。さらに別の実施形態では、結晶性形態Iは、約25℃および約60%の相対湿度に曝露した際に安定である。また別の実施形態では、結晶性形態Iは、約25℃および約60%の相対湿度に約24カ月間曝露した際に安定である。また、別の実施形態では、結晶性形態Iは、約25℃および約60%の相対湿度に約3カ月間曝露した際に安定である。さらに別の実施形態では、結晶性形態Iは、約25℃および約92%の相対湿度に曝露した際に安定である。別の実施形態では、結晶性形態Iは、約40℃および約75%の相対湿度に曝露した際に安定である。別の実施形態では、結晶性形態Iは、約40℃および約75%の相対湿度に約6カ月間曝露した際に安定である。別の実施形態では、結晶性形態Iは、約40℃および約75%の相対湿度に約3カ月間曝露した際に安定である。
【0091】
特定の実施形態では、形態Iの式Iの結晶性形態は、約95重量%以上、約97重量%
以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式Iの塩を含有し得る。結晶性形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態Iを含有し得る。
【0092】
特定の実施形態では、結晶性形態Iは、約17.58、約18.58、約19.58、約26.75、約26.87、約26.96、約27.06、約27.75、約27.87、約27.97、約28.06、約28.75、約28.87、約28.97、約29.06、約27.45、約28.45、約29.45、約30.61、約31.61、約32.61、約32.17、約32.98、約33.17、約33.98、約34.17、約34.35、約34.98、約35.35、約36.35mg/mLの水溶解度を有する。特定の実施形態では、結晶性形態Iは、約pH1.2において約31.61および約33.17;約pH3において約28.45および約27.97;約pH4において約28.06および約27.77;約pH5において約18.58および約27.87;約pH6.8において約33.98および約35.35の水溶解度を有する。
【0093】
特定の実施形態では、結晶性形態Iは、約0.1重量%以下、約0.11重量%以下、約0.12重量%以下、約0.13重量%以下、約0.14重量%以下、約0.15重量%以下、約0.16重量%以下、約0.17重量%以下、約0.18重量%以下、約0.19重量%以下、約0.2重量%以下、約0.21重量%以下、約0.22重量%以下、約0.23重量%以下、約0.24重量%以下、約0.25重量%以下、約0.26重量%以下、約0.27重量%以下、約0.28重量%以下、約0.29重量%以下、約0.3重量%以下、約0.31重量%以下、約0.32重量%以下、約0.33重量%以下、約0.34重量%以下、約0.35重量%以下、約0.36重量%以下、約0.37重量%以下、約0.38重量%以下、約0.39重量%以下、約0.4重量%以下、約0.5重量%以下、約0.6重量%以下、約0.7重量%以下、約0.8重量%以下、約0.9重量%以下、約1重量%以下、約2重量%以下、約3重量%以下、約4重量%以下または約5重量%以下の水を含有し得る。
【0094】
特定の実施形態では、形態Iは、粒子分析によって特性評価され得る。特定の実施形態では、形態Iのサンプルは、菱形結晶性形態を有する粒子を含む。また別の実施形態では、形態Iのサンプルは、長さ約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約5μMの粒子を含む。いくつかの実施形態では、形態Iのサンプルは、長さ約70、約60、約40、約20、約10μMの粒子を含む。他の実施形態では、形態Iのサンプルは、長さ約69.39、約56.22、約34.72、約17.84、約10.29μMの粒子を含む。
バルベナジンジトシレート形態II
【0095】
別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物であり、ここで、結晶性形態は形態IIである。
【0096】
様々な実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態IIは、X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネー
ト)(式I)の形態IIのX線回折パターンは、約5.7、15.3および22.5°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IIのX線粉末回折パターンは、約5.7、15.3または22.5°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。他の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IIのX線粉末回折パターンは、約5.7および15.3°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IIのX線粉末回折パターンは、約5.7°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態IIは、実質的に
図5に示されているX線回折パターンを有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、結晶性形態IIは、約5.7および15.3°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、結晶性形態IIは、約5.7°、約15.3°および約22.5°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IIは、約5.7°、約14.2°、約15.3°および約22.5°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。他の実施形態では、結晶性形態IIは、約5.7°、約14.2°、約15.3°、約15.9°および約22.5°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、結晶性形態IIは、約5.7°、約14.2°、約15.3°、約15.9°、約18.6°および約22.5°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。
【0098】
様々な実施形態では、結晶性形態IIは、吸熱示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IIは、約143℃の開始温度と、約155℃におけるピークとを有する吸熱事象;および約232℃の開始温度と、約235℃におけるピークとを有する別の吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する。
【0099】
また別の実施形態では、結晶性形態IIは、実質的に
図6に示されているDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、結晶性形態IIは、約25℃から約140℃に加熱した場合に約2.2%の質量減少を含む熱重量分析(TGA)プロットを有する。さらに別の実施形態では、結晶性形態IIは、実質的に
図6に示されているTGAプロットを有する。
【0100】
様々な実施形態では、結晶性形態IIは、重量蒸気系(GVS)プロットを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IIは、相対湿度約0%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約0.5%の質量増加を示す。特定の実施形態では、吸着により増加した質量は、相対湿度(RH)がRH約0%に減少して戻った場合に減少する。また別の実施形態では、結晶性形態IIは、実質的に
図7に示されている重量蒸気系プロットを示す。特定の実施形態では、形態IIは、実質的に非吸湿性である。特定の実施形態では、形
態II物質のXRPDパターンは、吸着/脱着分析後に実質的に変化しない。特定の実施形態では、形態IIは、湿度に対して安定である。さらに別の実施形態では、結晶性形態IIは、pH5.1において約18.5mg/mLの水溶解度を有する。
【0101】
特定の実施形態では、形態IIは、粒子分析によって特性評価され得る。特定の実施形態では、形態IIのサンプルは、複屈折ラス形状形態を有する粒子を含む。また別の実施形態では、形態IIのサンプルは、長さ約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約5μMの粒子を含む。いくつかの実施形態では、形態IIのサンプルは、長さ約100、約70、約60、約40、約20、約10μMの粒子を含む。また別の実施形態では、形態IIのサンプルは、長さ約100μMの粒子を含む。
【0102】
特定の実施形態では、形態IIの式Iの結晶性形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式Iの塩を含有し得る。結晶性形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態IIを含有し得る。
バルベナジンジトシレート形態III
【0103】
別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物であり、ここで、結晶性形態は形態IIIである。
【0104】
様々な実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態IIIは、X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IIIのX線回折パターンは、約6.3、18.3、18.9、19.8および20.4°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IIIのX線回折パターンは、約6.3、18.3、18.9、19.8または20.4°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IIIのX線回折パターンは、約6.3、18.3および19.8°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。また他の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IIIのX線回折パターンは、約6.3°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶
性形態IIIは、実質的に
図8に示されているX線回折パターンを有する。
【0105】
いくつかの実施形態では、結晶性形態IIIは、約6.3°および約19.8°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、結晶性形態IIIは、約6.3°、約18.3°および約19.8°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、結晶性形態IIIは、約6.3°、約18.3°、約19.8°および約20.4°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IIIは、約6.3°、約18.3°、約18.9°、約19.8°および約20.4°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。他の実施形態では、結晶性形態IIIは、約6.3°、約15.3°、約18.3°、約18.9°、約19.8°および約20.4°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IIIは、約6.3°、約15.3°、約18.3°、約18.9°、約19.8°、約20.4°および約24.1°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。
【0106】
様々な実施形態では、結晶性形態IIIは、吸熱示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IIIは、約93℃、約158℃および約230℃のピーク温度を有する吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する。
【0107】
また別の実施形態では、結晶性形態IIIは、実質的に
図9に示されているDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、結晶性形態IIIは、約25℃から約140℃に加熱した場合に約2.7%および約8.86%の2つの質量減少を含む熱重量分析(TGA)プロットを有する。さらに別の実施形態では、結晶性形態IIIは、実質的に
図9に示されているTGAプロットを有する。
【0108】
特定の実施形態では、形態IIIは、粒子分析によって特性評価され得る。特定の実施形態では、形態IIIのサンプルは、複屈折ラス形状形態を有する粒子を含む。また別の実施形態では、形態IIIのサンプルは、長さ約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約5μMの粒子を含む。いくつかの実施形態では、形態IIIのサンプルは、長さ約100、約70、約60、約40、約20、約10μMの粒子を含む。
【0109】
特定の実施形態では、形態IIIの式Iの結晶性形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式Iの塩を含有し得る。結晶性形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態IIIを含有し得る。
バルベナジンジトシレート形態IV
【0110】
別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物であり、ここで、結晶性形態は形態IVである。
【0111】
様々な実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態IVは、X線回折パターンを有する。いくつかの実
施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IVのX線回折パターンは、約6.2、10.4、17.9、19.2、19.9および20.2°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IVのX線粉末回折パターンは、約6.2、10.4、17.9、19.2、19.9または20.2°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。他の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IVのX線粉末回折パターンは、約6.2°および約20.2°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態IVのX線粉末回折パターンは、約6.2°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態IVは、実質的に
図10に示されているX線回折パターンを有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、結晶性形態IVは、約6.2°および約20.2°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、結晶性形態IVは、約6.2°、約10.4°および約20.2°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。他の実施形態では、結晶性形態IVは、約6.2°、約10.4°、約17.9°および約20.2°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IVは、約6.2°、約10.4°、約17.9°、約19.2°および約20.2°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、結晶性形態IVは、約6.2°、約10.4°、約17.9°、約19.2°、約19.9°および約20.2°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。
【0113】
様々な実施形態では、結晶性形態IVは、吸熱示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IVは、約128℃、約159℃および約237℃のピーク温度を有する吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する。
【0114】
また別の実施形態では、結晶性形態IVは、実質的に
図11に示されているDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、結晶性形態IVは、約25℃から約140℃に加熱した場合に約3.3%の質量減少を含む熱重量分析(TGA)プロットを有する。さらに別の実施形態では、結晶性形態IVは、実質的に
図11に示されているTGAプロットを有する。
【0115】
様々な実施形態では、結晶性形態IVは、重量蒸気系(GVS)プロットを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IVは、相対湿度約0%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約3.4%の質量増加を示す。いくつかの実施形態では、結晶性形態I
Vは、相対湿度約40%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約1.6%の質量増加を示す。特定の実施形態では、吸着により増加した質量は、相対湿度(RH)がRH約0%に減少して戻った場合に減少する。特定の実施形態では、相対湿度がRH約40~0%に減少した場合に、1.8%の質量が減少する。また別の実施形態では、結晶性形態IVは、実質的に
図12に示されている重量蒸気系プロットを示す。特定の実施形態では、形態IV物質のXRPDパターンは、吸着/脱着分析後に実質的に変化しない。特定の実施形態では、形態IVは、湿度に対して安定である。特定の実施形態では、形態IVは、実質的に安定である。別の実施形態では、形態IVは、例えば、アセトニトリル/水の混合物を含む溶媒系に30℃で約2日間曝露した際に形態Iに変換する。また別の実施形態では、形態IVは、アセトニトリル中で形態IVのサンプルを室温で再スラリー化した際に形態Iに変換する。また別の実施形態では、形態IVは、約230℃で加熱した際に形態Iに変換する。
【0116】
特定の実施形態では、形態IVは、粒子分析によって特性評価され得る。また別の実施形態では、形態IVのサンプルは、長さ約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約5μMの粒子を含む。いくつかの実施形態では、形態IVのサンプルは、長さ約100、約70、約60、約40、約20、約10μMの粒子を含む。
【0117】
特定の実施形態では、形態IVの式Iの結晶性形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式Iの塩を含有し得る。結晶性形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態IVを含有し得る。
バルベナジンジトシレート形態V
【0118】
別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物であり、ここで、結晶性形態は形態Vである。
【0119】
様々な実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態Vは、X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態VのX線回折パターンは、約6.7、7.9、10.7、12.8、17.1および23.7°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態VのX線粉末回折パターンは、約6.7、7.9、10.7、12.8、17.1または23.7°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態VのX線粉末回折パターンは、約6.7°および7.9°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR
)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態VのX線粉末回折パターンは、約6.7°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態Vは、実質的に
図13に示されているX線回折パターンを有する。
【0120】
いくつかの実施形態では、結晶性形態Vは、約6.7°および約7.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、結晶性形態Vは、約6.7°、約7.9°および約23.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Vは、約6.7°、約7.9°、約17.1°および約23.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、結晶性形態Vは、約6.7°、約7.9°、約15.8°、約17.1°および約23.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Vは、約6.7°、約7.9°、約15.8°、約17.1°、約21.5°および約23.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、結晶性形態Vは、約6.7°、約7.9°、約15.8°、約16.0°、約17.1°、約21.5°および約23.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。他の実施形態では、結晶性形態Vは、約6.7°、約7.9°、約10.7°、約15.8°、約16.0°、約17.1°、約21.5°および約23.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Vは、約6.7°、約7.9°、約10.7°、約12.8°、約15.8°、約16.0°、約17.1°、約21.5°および約23.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。
【0121】
様々な実施形態では、結晶性形態Vは、吸熱示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Vは、約113℃および約181℃のピーク温度を有する吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する。
【0122】
また別の実施形態では、結晶性形態Vは、実質的に
図14に示されているDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、結晶性形態Vは、約25℃から約140℃に加熱した場合に約4.1%の質量減少を含む熱重量分析(TGA)プロットを有する。さらに別の実施形態では、結晶性形態Vは、実質的に
図14に示されているTGAプロットを有する。
【0123】
様々な実施形態では、結晶性形態Vは、重量蒸気系(GVS)プロットを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Vは、相対湿度約10%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約1%の質量増加を示す。特定の実施形態では、吸着により増加した質量は、相対湿度(RH)がRH約0%に減少して戻った場合に減少する。特定の実施形態では、相対湿度がRH約20~0%に減少した場合に、1.2%の質量が減少する。また別の実施形態では、結晶性形態Vは、実質的に
図15に示されている重量蒸気系プロットを示す。特定の実施形態では、形態V物質のXRPDパターンは、吸着/脱着分析後に実質的に変化しない。特定の実施形態では、形態Vは、実質的に安定である。別の実施形態では、形態Vは、約110℃~約140℃で加熱した際に形態VIに変換する。
【0124】
特定の実施形態では、形態Vは、粒子分析によって特性評価され得る。また別の実施形
態では、形態Vのサンプルは、長さ約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約5μMの粒子を含む。いくつかの実施形態では、形態Vのサンプルは、長さ約100、約70、約60、約40、約20、約10μMの粒子を含む。
【0125】
特定の実施形態では、形態Vの式Iの結晶性形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式Iの塩を含有し得る。結晶性形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態Vを含有し得る。
バルベナジンジトシレート形態VI
【0126】
別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物であり、ここで、結晶性形態は形態VIである。
【0127】
様々な実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態VIは、X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態VIのX線回折パターンは、約6.8、8.0、16.3および17.5°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態VIのX線粉末回折パターンは、約6.8、8.0、16.3または17.5°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態VIのX線粉末回折パターンは、約6.8°および8.0°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。また他の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の形態VIのX線粉末回折パターンは、約6.8°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態VIは、実質的に
図16に示されているX線回折パターンを有する。
【0128】
いくつかの実施形態では、結晶性形態VIは、約6.8°および約8.0°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、結晶性形態VIは、約6.8°、約5.4°および約8.0°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。他の実施形態では、結晶性形態VIは、約6.8°、約5.4°および約8.0°、および約17.5°の2θ角度に
おいて1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、結晶性形態VIは、約6.8°、約5.4°および約8.0°、約16.3°および約17.5°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、結晶性形態VIは、約6.8°、約5.4°、約8.0°、約16.3°、約17.5°および約18.7°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。
【0129】
様々な実施形態では、結晶性形態VIは、吸熱示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態VIは、約175℃および約238℃のピーク温度を有する吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する。
【0130】
また別の実施形態では、結晶性形態VIは、実質的に
図17に示されているDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、結晶性形態VIは、約25℃から約140℃に加熱した場合に約1%の質量減少を含む熱重量分析(TGA)プロットを有する。さらに別の実施形態では、結晶性形態Vは、実質的に
図17に示されているTGAプロットを有する。
【0131】
様々な実施形態では、結晶性形態VIは、重量蒸気系(GVS)プロットを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態VIは、相対湿度約0%から約90%への相対湿度増加に供した場合に約3.1%の質量増加を示す。いくつかの実施形態では、結晶性形態VIは、相対湿度約40%から約80%への相対湿度増加に供した場合に約0.5%の質量増加を示す。いくつかの実施形態では、結晶性形態VIは、相対湿度約80%から約90%への相対湿度増加に供した場合に約3.1%の質量増加を示す。特定の実施形態では、吸着により増加した質量は、相対湿度(RH)がRH約0%に減少して戻った場合に減少しない。特定の実施形態では、相対湿度がRH約90~15%に減少した場合に、1.2%の質量が減少する。特定の実施形態では、相対湿度がRH約15~0%に減少した場合に、2.0%の質量が減少する。また別の実施形態では、結晶性形態VIは、実質的に
図18に示されている重量蒸気系プロットを示す。特定の実施形態では、形態VI物質のXRPDパターンは、吸着/脱着分析後に実質的に変化する。別の実施形態では、形態VIは、重量蒸気収着分析に曝露した際に形態Vに変換する。
【0132】
特定の実施形態では、形態VIは、粒子分析によって特性評価され得る。また別の実施形態では、形態VIのサンプルは、長さ約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約5μMの粒子を含む。いくつかの実施形態では、形態VIのサンプルは、長さ約100、約70、約60、約40、約20、約10μMの粒子を含む。
【0133】
特定の実施形態では、形態VIの式Iの結晶性形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式Iの塩を含有し得る。結晶性形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態VIを含有し得る。
【0134】
また別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物は、非晶質である。非晶質形態は、実質的に
図19に示されているX線粉末回折パターン(これは、形態Iおよび/または形態II~形態VIの微粒子の特徴的なXRP回折ピークを欠く)を有する。一実施形態では、式Iの非晶質形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式Iの酸
を含有し得る。非晶質形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の式Iの非晶質形態を含有し得る。
バルベナジンジヒドロクロリド
【0135】
式II:
【化5】
の(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリドの結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物が本明細書で提供される。
バルベナジンジヒドロクロリド形態I
【0136】
別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物であり、ここで、結晶性形態は形態Iである。
【0137】
様々な実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の結晶性形態Iは、X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の形態IのX線回折パターンは、約7.2、9.2および18.0°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の形態IのX線粉末回折パターンは、約7.2、9.2または18.0°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の形態IのX線粉末回折パターンは、約7.2および9.2°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。また他の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-
アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の形態IのX線粉末回折パターンは、約7.2°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の結晶性形態Iは、実質的に
図20に示されているX線回折パターンを有する。
【0138】
いくつかの実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、約7.2°および約9.2°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、約7.2°、約9.2°および約18.0°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、約7.2°、約9.2°、約18.0°および約20.8°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、約7.2°、約9.2°、約18.0°、約20.8°および約25.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、約7.2°、約9.2°、約18.0°、約20.8°、約22.5°および約25.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、約7.2°、約9.2°、約12.7°、約18.0°、約20.8°、約22.5°および約25.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、約7.2°、約9.2°、約12.7°、約18.0°、約20.8°、約22.5°、約24.0°および約25.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。
【0139】
様々な実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、吸熱示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Iは、約240℃の開始温度と、約250℃におけるピークとを有する吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する。
【0140】
また別の実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、実質的に
図21に示されているDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、実質的に
図21に示されている熱重量分析(TGA)プロットを有する。
【0141】
様々な実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、重量蒸気系(GVS)プロットを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態Iは、相対湿度約0%から約90%への相対湿度増加に供した場合に約14%の質量増加を示す。また別の実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、実質的に
図22に示されている重量蒸気系プロットを示す。特定の実施形態では、式IIの形態IのXRPDパターンは、吸着/脱着分析後に実質的に変化する。別の実施形態では、式IIの形態Iは、約25℃および約92%の相対湿度で約7日間保存した際に形態IIに変換する。別の実施形態では、式IIの形態Iは、約40℃および約75%の相対湿度で約7日間保存した際に形態IIに変換する。さらに別の実施形態では、式IIの結晶性形態Iは、pH4.1において90mg/mLを超える水溶解度を有する。
【0142】
特定の実施形態では、式IIの形態Iは、粒子分析によって特性評価され得る。特定の実施形態では、形態IIのサンプルは、複屈折ラス形状形態を有する粒子を含む。また別の実施形態では、式IIの形態Iのサンプルは、長さ約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約5μMの粒子を含む。いくつかの実施形態では、式IIの形態Iのサンプルは、長さ約100、約70、約60、約40、約20、約10μMの粒子を含む。また別の実施形態では、式IIの形態Iのサンプル
は、長さ約150μMの粒子を含む。
【0143】
特定の実施形態では、形態Iの式IIの結晶性形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式IIの塩を含有し得る。結晶性形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態Iを含有し得る。
バルベナジンジヒドロクロリド形態II
【0144】
別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物であり、ここで、結晶性形態は形態IIである。
【0145】
様々な実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の結晶性形態IIは、X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の形態IIのX線回折パターンは、約4.8、13.3および24.9°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。いくつかの実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の形態IIのX線粉末回折パターンは、約4.8、13.3または24.9°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の形態IIのX線粉末回折パターンは、約4.8°の2θ角度においてXRP回折ピークを含む。特定の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の結晶性形態IIは、実質的に
図23に示されているX線回折パターンを有する。
【0146】
いくつかの実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、約4.8°および約24.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。特定の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、約4.8°、約13.3°および約24.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、約4.8°、約13.3°、約14.1°および約24.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、約4.3°、約4.8°、約13.3°、約14.1°および約24.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。いくつかの実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、約4.3°、約4.8°、約13.3°、約14.1°、約18.4°および約24.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。他の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、約4.3°、約4.8°、約8.7°、約13.3°、約14.1°、約18.4°および約24.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。他の実施形態では
、式IIの結晶性形態IIは、約4.3°、約4.8°、約8.4°、約8.7°、約13.3°、約14.1°、約18.4°および約24.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。また他の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、約4.3°、約4.8°、約8.4°、約8.7°、約13.3°、約14.1°、約14.6°、約18.4°および約24.9°の2θ角度において1つまたはそれを超える特徴的なXRP回折ピークを有する。
【0147】
様々な実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、吸熱示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IIは、約80℃の開始温度と、約106℃におけるピークとを有する吸熱事象を含むDSCサーモグラムを有する。
【0148】
また別の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、実質的に
図24に示されているDSCサーモグラムを有する。また別の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、約25℃から約100℃に加熱した場合に約10%の質量減少を含む熱重量分析(TGA)プロットを有する。さらに別の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、実質的に
図24に示されているTGAプロットを有する。
【0149】
様々な実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、重量蒸気系(GVS)プロットを有する。いくつかの実施形態では、結晶性形態IIは、相対湿度約75%から約0%への相対湿度減少に供した場合に約12%の質量減少を示す。また別の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、実質的に
図25に示されている重量蒸気系プロットを示す。特定の実施形態では、形態IIは、実質的に安定である。別の実施形態では、形態IIは、加熱した際に形態Iに変換する。また別の実施形態では、式IIの形態II(For II)は、約160℃を超える温度で加熱した際に非晶質物質に変換する。さらに別の実施形態では、式IIの結晶性形態IIは、pH4.1において67mg/mLを超える水溶解度を有する。
【0150】
特定の実施形態では、式IIの形態IIは、粒子分析によって特性評価され得る。また別の実施形態では、式IIの形態IIのサンプルは、長さ約100、約90、約80、約70、約60、約50、約40、約30、約20、約10、約5μMの粒子を含む。いくつかの実施形態では、式IIの形態IIのサンプルは、長さ約100、約70、約60、約40、約20、約10μMの粒子を含む。
【0151】
特定の実施形態では、形態IIの式IIの結晶性形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式IIの塩を含有し得る。結晶性形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の結晶形態IIを含有し得る。
【0152】
また別の実施形態では、(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の結晶性形態またはその同位体変異体もしくはその溶媒和物は、非晶質である。非晶質形態は、実質的に
図26に示されているX線粉末回折パターン(これは、式IIの形態Iおよび/または形態IIの微粒子の特徴的なXRP回折ピークを欠く)を有する。一実施形態では、式IIの非晶質形態は、約95重量%以上、約97重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または約99.5重量%以上の式IIの塩を含有し得る。非晶質形態はまた、約90重量%以上、約95重量%以上、約98重量%以上、約99重量%以上または99.5重量%以上の式IIの非晶質形態を含有し得る。
【0153】
X線粉末回折パターンのピークの数値は、機械によってまたはサンプルによってわずか
に変動し得るので、引用されている値は絶対的なものとして解釈されるべきではなく、本明細書で定義されるように、0.2°などの変動は許容可能であることを理解すべきである。
調製プロセス
【0154】
非晶質形態または結晶性形態の式Iおよび/または式IIの塩を調製するためのプロセスも提供される。前記プロセスは、式Iおよび/または式IIの塩を溶媒と接触させる工程を含み、式Iおよび/または式IIの非晶質形態または結晶性形態(例えば、形態I、II、III、IV、VまたはVI)の式Iおよび/または式IIの塩の微粒子は溶液から形成され得るか、またはある固体形態から別のものに変換され得る。前記プロセスは単離工程をさらに含み得、化合物は、従来の方法、例えばろ過および遠心分離によって単離され、続いて、溶媒で洗浄され、次いで、乾燥され得る(例えば、真空オーブン乾燥、空気乾燥またはデシケーター乾燥)。
【0155】
非晶質形態または結晶性形態の化合物の調製において使用するために適切な溶媒としては、限定されないが、炭化水素、例えば石油エーテル、ペンタン、ヘキサン(類)、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリンおよびクメン;塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエテン、1,2-ジクロロエテン、クロロホルム、トリクロロエタン、トリクロロエテン、四塩化炭素、クロロベンゼンおよびトリフルオロメチルベンゼン;アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、1-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノールおよびエチレングリコール;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、ジフェニルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ビ(2-メトキシエチル)エーテル、1,1-ジメトキシメタン、2,2-ジメトキシプロパンおよびアニソール;ケトン、例えばアセトン、ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトンおよびメチルイソブチルケトン(MIBK);エステル、例えば酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルおよび酢酸ブチル;カーボネート、例えばエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネート;アミド、例えばホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N-ジメチルアセトアミド;ニトリル、例えばアセトニトリル(ACN);スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);スルホン、例えばスルホラン;ニトロ化合物、例えばニトロメタンおよびニトロベンゼン;複素環、例えばN-メチルピロリドン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンおよびピリジン;カルボン酸、例えば酢酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸;ホスホラミド、例えばヘキサメチルホスホラミド;硫化炭素;水;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0156】
結晶性形態の式Iおよび/または式IIの塩の化合物は、限定されないが、冷却、チルリング、溶媒蒸発、または貧溶媒の追加を含む従来の方法を使用して、溶媒中の式Iおよび/または式IIの塩の溶液またはスラリーから調製され得る。
【0157】
一実施形態では、式Iおよび/または式IIの塩の結晶性形態を調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iおよび/または式IIの酸の溶液を調製する工程;ならびに(b)第2の温度で結晶性化合物を生成する工程を含む。式Iおよび/または式IIの結晶性物質の形成を促進するために、前記プロセスはまた、工程(b)の前にまたはその間に、形態Iの結晶を溶液にシード添加することによるシード添加工程を含み得る。前記プロセスは、本明細書に記載される単離工程をさらに含み得る。
【0158】
溶液は、限定されないが、油状物、半固体、固体を含む式Iおよび/もしくは式IIの塩の任意の形態(例えば、式Iおよび/または式IIの非晶質形態または形態I、II、III、IV、VもしくはVI)またはそれらの混合物から調製され得る。工程(a)の溶液は、第1の温度で、飽和溶液またはほぼ飽和溶液として調製され得る。飽和溶液またはほぼ飽和溶液は、溶液を第1の温度に冷却した場合に飽和溶液またはほぼ飽和溶液が得られるように、第1の温度よりも高い温度で、十分な量の式I/およびまたは式IIの塩を溶媒に溶解することによって調製され得る。式I/およびまたは式IIの塩の十分な量は、第1の温度における溶媒中の式I/およびまたは式IIの化合物の溶解度(これは、当業者に公知の方法を使用して決定され得る)に基づいて推定され得る。
【0159】
第1の温度は、室温~およそ溶媒の沸点、例えば約20~約200℃、約20~約150℃または約20~約100℃の範囲であり得る。第2の温度は、-100~100℃、約-50~約50℃、約-10~約30℃、20~約200℃、約20~約150℃または約20~約100℃の範囲であり得る。第1の温度は、第2の温度よりも高いもしくは低いものであり得るか、または第2の温度と同じものであり得る。プロセスの収率および効率を最大化するために、第2の温度は、通常、第1の温度よりも低く設定される。
【0160】
一実施形態では、式Iおよび/または式IIの は、第2の温度で溶液から溶媒を加熱
することによって形成される。溶媒蒸発は、熱および/または真空を溶液に施用することによって促進され得る。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、ジクロロメタン、DMF、1,4-ジオキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、MIBK、アセトン、1-ブタノール、MTBE、DMSO、エタノール、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、1-プロパノール、IPA、MEK、THF、水またはそれらの混合物である。
【0161】
別の実施形態では、式Iおよび/または式IIの結晶性化合物は、溶液を第2の温度に冷却することによって形成される。この場合、第2の温度は、第1の温度よりも低く設定される。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、DMF、1,4-ジオキサン、メタノール、エタノール、2-メトキシエタノール、1-ブタノール、1-プロパノール、IPA、MIBK、MEK、THF、アセトンまたはそれらの混合物である。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、水、1-プロパノールおよびそれらの混合物である。また別の実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、水およびそれらの混合物である。別の実施形態では、溶媒は、1-プロパノール、水およびそれらの混合物である。別の実施形態では、溶媒は、1-プロパノールである。
【0162】
一実施形態では、式Iの形態Iは、溶液を第2の温度に冷却することによって形成される。この場合、第2の温度は、第1の温度よりも低く設定される。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル/水(1%v/v)、アセトニトリル/水(2%v/v)、アセトニトリル/水(3%v/v)である。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル/水(3%v/v)である。
【0163】
また別の実施形態では、式Iおよび/または式IIの結晶性化合物は、第2の温度で貧溶媒を溶液に追加することによって形成される。
【0164】
適切な貧溶媒としては、限定されないが、炭化水素、例えば石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン(類)、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリンおよびクメン;塩素化炭化水素、例えばジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエテン、1,2-ジクロロエテン、クロロホルム、トリクロロエタン、トリクロロ
エテン、四塩化炭素、クロロベンゼンおよびトリフルオロメチルベンゼン;アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール(IPA)、1-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノールおよびエチレングリコール;エーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt-ブチルエーテル(MTBE)、ジフェニルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ビ(2-メトキシエチル)エーテル、1,1-ジメトキシメタン、2,2-ジメトキシプロパンおよびアニソール;ケトン、例えばアセトン、ブタノン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトンおよびメチルイソブチルケトン(MIBK);エステル、例えば酢酸メチル、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルおよび酢酸ブチル;カーボネート、例えばエチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネート;アミド、例えばホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)およびN,N-ジメチルアセトアミド;ニトリル、例えばアセトニトリル(ACN);スルホキシド、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);スルホン、例えばスルホラン;ニトロ化合物、例えばニトロメタンおよびニトロベンゼン;複素環、例えばN-メチルピロリドン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンおよびピリジン;カルボン酸、例えば酢酸、トリクロロ酢酸およびトリフルオロ酢酸;ホスホラミド、例えばヘキサメチルホスホラミド;硫化炭素;水;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0165】
2つの溶媒が溶媒/貧溶媒ペアとして使用される場合、式Iおよび/または式IIの化合物は、溶媒中で、貧溶媒中よりも高い溶解度を有する。場合により、溶媒/貧溶媒ペア中の溶媒および貧溶媒は、少なくとも部分的に混和性である。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、水またはそれらの混合物であり;貧溶媒は、ヘキサン(類)、ヘプタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、THF、イソプロパノールおよびそれらの混合物である。また別の実施形態では、式Iおよび/または式IIの結晶性化合物は、第2の温度で溶液を貧溶媒に追加することによって形成される。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、水またはそれらの混合物であり;貧溶媒は、ヘキサン(類)、ヘプタン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、THF、イソプロパノールおよびそれらの混合物である。
【0166】
別の実施形態では、式Iおよび/または式IIの結晶性化合物を調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iおよび/または式IIの化合物のスラリーを調製する工程;ならびに(b)スラリーを第2の温度に曝露することによって、式Iおよび/または式IIの結晶性化合物を生成する工程を含む。スラリーは、限定されないが、油状物、半固体、固体を含む式Iおよび/もしくは式IIの化合物の任意の形態(例えば、式Iおよび/または式IIの非晶質形態または形態I、II、III、IV、VもしくはVI)またはそれらの混合物から調製され得る。前記プロセスは、本明細書に記載されるシード添加工程および/または単離工程をさらに含み得る。
【0167】
第1の温度および第2の温度ならびに溶媒は、本明細書で定義される通りである。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、水またはそれらの混合物である。
【0168】
また別の実施形態では、式Iおよび/または式IIの結晶性化合物を調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iおよび/または式IIの化合物の溶液を調製する工程;(b)溶液を第2の温度に冷却することによって、スラリーを形成する工程;ならびに(c)1回またはそれを超える加熱冷却サイクルにスラリーを曝露することによって、式Iおよび/または式IIの結晶性化合物を生成する工程を含む。前記プロセスは、本明細書に記載されるシード添加工程および/または単離工程をさらに含み得る。
【0169】
第1の温度および第2の温度ならびに溶媒は、本明細書で定義される通りである。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1,4-ジオキサン、水またはそれらの混合物である。一実施形態では、溶媒は、水である。加熱冷却サイクルは、約-50~約120℃、約-50~約100℃、約-20~約80℃、約0~約80℃、約10~約80℃、約20~約80℃、約20~約60℃または約20~約50℃の温度範囲で実施され得る。
【0170】
一実施形態では、式Iの形態IIは、限定されないが、冷却、チルリング、溶媒蒸発、または貧溶媒の追加を含む従来の方法を使用して、溶媒中の式Iの化合物の溶液またはスラリーから調製され得る。
【0171】
一実施形態では、式Iの形態IIを調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iの化合物のスラリーを調製する工程;および(b)第2の温度で結晶性形態IIを生成する工程を含む。形態IIの微粒子の形成を促進するために、前記プロセスはまた、工程(b)の前にまたはその間に、形態IIの結晶を溶液にシード添加することによるシード添加工程を含み得る。前記プロセスは、本明細書に記載される単離工程をさらに含み得る。
【0172】
溶液は、限定されないが、油状物、半固体、固体を含む式Iの化合物の任意の形態(例えば、式Iの非晶質形態または形態I、II、III、IV、VもしくはVI)またはそれらの混合物から調製され得る。工程(a)の溶液は、第1の温度で、飽和溶液またはほぼ飽和溶液として調製され得る。飽和溶液またはほぼ飽和溶液は、溶液を第1の温度に冷却した場合に飽和溶液またはほぼ飽和溶液が得られるように、第1の温度よりも高い温度で、十分な量の式Iの化合物を溶媒に溶解することによって調製され得る。式Iの化合物の十分な量は、第1の温度における溶媒中の形態IIの微粒子の溶解度(これは、当業者に公知の方法を使用して決定され得る)に基づいて推定され得る。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、水およびそれらの混合物である。一実施形態では、溶媒は、水である。
【0173】
一実施形態では、式Iの形態IIIは、限定されないが、冷却、チルリング、溶媒蒸発、または貧溶媒の追加を含む従来の方法を使用して、溶媒中の式Iの化合物の溶液またはスラリーから調製され得る。
【0174】
また別の実施形態では、式Iの結晶性形態IIIを調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iの化合物の溶液を調製する工程;(b)溶液を第2の温度に冷却することによって、スラリーを形成する工程;および(c)1回またはそれを超える加熱冷却サイクルにスラリーを曝露することによって、式Iの結晶性形態IIIを生成する工程を含む。前記プロセスは、本明細書に記載されるシード添加工程および/または単離工程をさらに含み得る。
【0175】
第1の温度および第2の温度ならびに溶媒は、本明細書で定義される通りである。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1,4-ジオキサン、水またはそれらの混合物である。一実施形態では、溶媒は、1,4-ジオキサン/水である。一実施形態では、溶媒は、水である。加熱冷却サイクルは、約-50~約120℃、約-50~約100℃、約-20~約80℃、約0~約80℃、約10~約80℃、約20~約80℃、約20~約60℃または約20~約50℃の温度範囲で実施され得る。
【0176】
一実施形態では、式Iの形態IVは、限定されないが、冷却、チルリング、溶媒蒸発、
または貧溶媒の追加を含む従来の方法を使用して、溶媒中の式Iの化合物の溶液またはスラリーから調製され得る。
【0177】
一実施形態では、式Iの結晶性形態IVを調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iの化合物の溶液を調製する工程;および(b)第2の温度で結晶性化合物を生成する工程を含む。式Iの結晶性物質の形成を促進するために、前記プロセスはまた、工程(b)の前にまたはその間に、形態IVの結晶を溶液にシード添加することによるシード添加工程を含み得る。前記プロセスは、本明細書に記載される単離工程をさらに含み得る。
【0178】
溶液は、限定されないが、油状物、半固体、固体を含む式Iおよび/または式IIの塩の任意の形態(例えば、式Iおよび/または式IIの非晶質形態または形態I、II、III、IV、VもしくはVI)またはそれらの混合物から調製され得る。工程(a)の溶液は、第1の温度で、飽和溶液またはほぼ飽和溶液として調製され得る。飽和溶液またはほぼ飽和溶液は、溶液を第1の温度に冷却した場合に飽和溶液またはほぼ飽和溶液が得られるように、第1の温度よりも高い温度で、十分な量の式I/およびまたは式IIの塩を溶媒に溶解することによって調製され得る。式I/およびまたは式IIの塩の十分な量は、第1の温度における溶媒中の形態I/およびまたは式IIの化合物の溶解度(これは、当業者に公知の方法を使用して決定され得る)に基づいて推定され得る。
【0179】
第1の温度は、室温~およそ溶媒の沸点、例えば約20~約200℃、約20~約150℃または約20~約100℃の範囲であり得る。第2の温度は、-100~100℃、約-50~約50℃、約-10~約30℃、20~約200℃、約20~約150℃または約20~約100℃の範囲であり得る。第1の温度は、第2の温度よりも高いもしくは低いものであり得るか、または第2の温度と同じものであり得る。プロセスの収率および効率を最大化するために、第2の温度は、通常、第1の温度よりも低く設定される。
【0180】
一実施形態では、式Iの形態IVは、溶液を第2の温度に冷却することによって形成される。この場合、第2の温度は、第1の温度よりも低く設定される。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル/水である。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル/水(4%v/v)である。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル/水(10%v/v)である。
【0181】
一実施形態では、式Iの形態Vは、限定されないが、冷却、チルリング、溶媒蒸発、または貧溶媒の追加を含む従来の方法を使用して、溶媒中の式Iの化合物の溶液またはスラリーから調製され得る。
【0182】
一実施形態では、式Iの形態Vを調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iの化合物のスラリーを調製する工程;および(b)第1の温度で結晶性形態Vを生成する工程を含む。形態Vの微粒子の形成を促進するために、前記プロセスはまた、工程(b)の前にまたはその間に、形態Vの結晶を溶液にシード添加することによるシード添加工程を含み得る。前記プロセスは、本明細書に記載される単離工程をさらに含み得る。
【0183】
スラリーは、限定されないが、油状物、半固体、固体を含む式Iの化合物の任意の形態(例えば、式Iの非晶質形態または形態I、II、III、IV、VもしくはVI)またはそれらの混合物から調製され得る。工程(a)の溶液は、第1の温度で、飽和溶液またはほぼ飽和溶液として調製され得る。飽和溶液またはほぼ飽和溶液は、溶液を第1の温度に冷却した場合に飽和溶液またはほぼ飽和溶液が得られるように、第1の温度よりも高い温度で、十分な量の式Iの化合物を溶媒に溶解することによって調製され得る。式Iの化
合物の十分な量は、第1の温度における溶媒中の形態Vの微粒子の溶解度(これは、当業者に公知の方法を使用して決定され得る)に基づいて推定され得る。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、水およびそれらの混合物である。一実施形態では、溶媒は、水である。
【0184】
一実施形態では、式Iの形態VIは、限定されないが、冷却、チルリング、溶媒蒸発、または貧溶媒の追加を含む従来の方法を使用して、溶媒中の式Iの化合物の溶液またはスラリーから調製され得る。
【0185】
一実施形態では、式Iの形態VIを調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iの化合物のスラリーを調製する工程;および(b)第1の温度で結晶性形態VIを生成する工程を含む。形態VIの微粒子の形成を促進するために、前記プロセスはまた、工程(b)の前にまたはその間に、形態VIの結晶を溶液にシード添加することによるシード添加工程を含み得る。前記プロセスは、本明細書に記載される単離工程をさらに含み得る。
【0186】
スラリーは、限定されないが、油状物、半固体、固体を含む式Iの化合物の任意の形態(例えば、式Iの非晶質形態または形態I、II、III、IV、VもしくはVI)またはそれらの混合物から調製され得る。工程(a)の溶液は、第1の温度で、飽和溶液またはほぼ飽和溶液として調製され得る。飽和溶液またはほぼ飽和溶液は、溶液を第1の温度に冷却した場合に飽和溶液またはほぼ飽和溶液が得られるように、第1の温度よりも高い温度で、十分な量の式Iの化合物を溶媒に溶解することによって調製され得る。式Iの化合物の十分な量は、第1の温度における溶媒中の形態VIの微粒子の溶解度(これは、当業者に公知の方法を使用して決定され得る)に基づいて推定され得る。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリル、水およびそれらの混合物である。一実施形態では、溶媒は、水である。
【0187】
式Iおよび/または式IIの非晶質化合物は、限定されないが、冷却、チルリング、溶媒蒸発、または貧溶媒の追加を含む従来の方法を使用して、溶媒中の式Iの化合物の溶液またはスラリーから調製され得る。
【0188】
一実施形態では、式Iおよび/または式IIの非晶質化合物を調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iおよび/または式IIの化合物の溶液を調製する工程;(b)溶液を第2の温度に冷却する工程;ならびに(c)第2の温度で非晶質化合物を生成する工程を含む。前記プロセスはまた、本明細書に記載される単離工程をさらに含み得る。
【0189】
溶液は、限定されないが、油状物、半固体、固体を含む式Iおよび/または式IIの化合物の任意の形態(例えば、非晶質形態または形態I、II、III、IV、VもしくはVI)またはそれらの混合物から調製され得る。工程(a)の溶液は、第1の温度で、飽和溶液またはほぼ飽和溶液として調製され得る。飽和溶液またはほぼ飽和溶液は、溶液を第1の温度に冷却した場合に飽和溶液またはほぼ飽和溶液が得られるように、第1の温度よりも高い温度で、十分な量の式Iおよび/または式IIの化合物を溶媒に溶解することによって調製され得る。式Iおよび/または式IIの化合物の十分な量は、第1の温度における溶媒中の非晶質化合物の溶解度(これは、当業者に公知の方法を使用して決定され得る)に基づいて推定され得る。
【0190】
別の実施形態では、非晶質化合物は、溶液を第2の温度に冷却することによって形成される。一実施形態では、溶媒は、アルコール、水またはそれらの混合物である。一実施形態では、溶媒は、tert-ブチルアルコール、水またはそれらの混合物である。
【0191】
また別の実施形態では、非晶質化合物は、第2の温度で溶液を貧溶媒に追加することによって形成される。貧溶媒は、本明細書で定義される通りである。
【0192】
また別の実施形態では、式Iおよび/または式IIの化合物の非晶質化合物を調製するためのプロセスは、(a)第1の温度の溶媒中で、式Iの化合物のスラリーを調製する工程;および(b)第2の温度で相変換によって、非晶質微粒子を生成する工程を含む。スラリーは、限定されないが、油状物、半固体、固体を含む式Iおよび/もしくは式IIの化合物の任意の形態(例えば、非晶質形態または形態I、II、III、IV、VもしくはVI)またはそれらの混合物から調製され得る。第1の温度および第2の温度ならびに溶媒は、本明細書で定義される通りである。
【0193】
噴霧乾燥、ローラー乾燥、凍結乾燥および溶融結晶化を含む他の形成方法もまた、式Iの非晶質形態もしくは結晶性形態I、II、III、IV、VもしくはVIならびに/または式IIの結晶性形態IもしくはIIの式Iおよび/または式IIの化合物を調製するために適用可能であり得る。
医薬組成物
【0194】
有効医薬成分として非晶質形態または結晶性形態I、II、III、IV、VもしくはVIの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)またはその許容され得る水和物もしくは溶媒和物を、1つまたはそれを超える薬学的に許容され得る担体または賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0195】
有効医薬成分として非晶質形態または結晶性形態IもしくはIIの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)またはその許容され得る水和物もしくは溶媒和物を、1つまたはそれを超える薬学的に許容され得る担体または賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0196】
賦形剤の選択は、特定の投与様式、有効成分の溶解度および安定性に対する賦形剤の効果、ならびに剤形の性質などの要因に大きく依存する。
【0197】
本明細書で提供される医薬組成物は、単位剤形または複数剤形で提供され得る。本明細書で使用される単位剤形は、ヒトおよび動物被験体への投与に適切な物理的に別個の単位であって、当技術分野で公知のように個別にパッケージングされる単位を指す。各単位用量は、必要な医薬担体または賦形剤と共同して所望の治療効果を生じさせるために十分な所定量の有効成分(複数可)を含有する。単位剤形の例としては、アンプル、シリンジ、ならびに個別にパッケージングされた錠剤およびカプセルが挙げられる。単位剤形は、その分割でまたは複数回で投与され得る。複数剤形は、分離された単位剤形で投与すべき単一容器にパッケージングされた複数の同一の単位剤形である。複数剤形の例としては、バイアル、錠剤もしくはカプセルのボトル、またはパイントもしくはガロンのボトルが挙げられる。
【0198】
本明細書で提供される式Iおよび/または式IIの化合物の微粒子は単独で、または本明細書で提供される1つもしくはそれを超える他の化合物、1つもしくはそれを超える他の有効成分と組み合わせて投与され得る。本明細書で提供される医薬組成物は、経口投与
、非経口投与および局所投与のための様々な剤形で製剤化され得る。医薬組成物はまた、遅延放出、延長放出、長期放出、持続放出、パルス放出、制御放出、加速放出および高速放出、標的放出、プログラム放出を含む放出調節剤形ならびに胃貯留剤形として製剤化され得る。これらの剤形は、当業者に公知の従来の方法および技術にしたがって調製され得る(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,supra;Modified-Release Drug Delivery Technology,Rathboneら、Eds.,Drugs and the Pharmaceutical Science,Marcel Dekker,Inc.:New York,NY,2002;Vol.126参照)。
【0199】
本明細書で提供される医薬組成物は、時間間隔で1回または複数回投与され得る。処置の正確な投与量および期間は、処置される患者の年齢、重量および症状により変化し得、公知の試験プロトコールを使用して、またはインビボもしくはインビトロの試験もしくは診断データからの推定によって、経験的に決定され得ると理解される。任意の特定の個体について、具体的な投与レジメンは、個々の必要性、および製剤の投与者または製剤投与の監督者の専門的判断にしたがって、経時的に調整されるべきであることがさらに理解される。
経口投与
【0200】
本明細書で提供される医薬組成物は、経口投与のために固体、半固体または液体の剤形で提供され得る。本明細書で使用される場合、経口投与はまた、頬側、舌および舌下投与を含む。適切な経口剤形としては、限定されないが、錠剤、カプセル、丸剤、トローチ、ロゼンジ、パステル、カシェ剤、ペレット、医薬用チューインガム、顆粒、バルク粉末、起沸性もしくは非起沸性粉末または顆粒、液剤、乳剤、懸濁剤、溶剤、ウエハ、散布剤、エリキシル剤およびシロップ剤が挙げられる。有効成分(複数可)に加えて、医薬組成物は、限定されないが、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色素-移動阻害剤、甘味剤、香味剤を含む1つまたはそれを超える薬学的に許容され得る担体または賦形剤を含有し得る。
【0201】
結合剤または造粒剤は、圧縮後に錠剤が完全な状態のままであることを保証するために、錠剤に粘着性を与える。適切な結合剤または造粒剤としては、限定されないが、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンおよびアルファ化デンプン(例えば、STARCH
1500)などのデンプン;ゼラチン;スクロース、グルコース、デキストロース、モラセスおよびラクトースなどの糖;アカシア、アルギン酸、アルギネート、アイルランドコケの抽出物、パンワーゴム、ガティゴム、イサブゴールハスクの粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヴィーゴム、カラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan)、粉末状トラガカントおよびグアーガムなどの天然および合成ゴム;エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース;AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corp.,Marcus Hook,PA)などの微晶質セルロース;およびそれらの混合物が挙げられる。適切な充填剤としては、限定されないが、タルク、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、粉末状セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプンおよびそれらの混合物が挙げられる。結合剤または充填剤は、本明細書で提供される医薬組成物中に約50~約99重量%存在し得る。
【0202】
適切な希釈剤としては、限定されないが、リン酸ジカルシウム、硫酸カルシウム、ラク
トース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプンおよび粉末状糖が挙げられる。マンニトール、ラクトース、ソルビトール、スクロースおよびイノシトールなどの特定の希釈剤は、十分な量で存在する場合、咀嚼による口内崩壊を可能にする特性をいくつかの圧縮錠に与え得る。このような圧縮錠は、咀嚼錠として使用され得る。
【0203】
適切な崩壊剤としては、限定されないが、寒天;ベントナイト;メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなどのセルロース;木製品;天然スポンジ;カチオン交換樹脂;アルギン酸;グアーガムおよびヴィーゴムHVなどのゴム;柑橘類パルプ;クロスカルメロースなどの架橋されたセルロース;クロスポビドンなどの架橋されたポリマー;架橋されたデンプン;炭酸カルシウム;ナトリウムデンプングリコレートなどの微晶質セルロース;ポラクリリンカリウム;トウモロコシデンプン(com starch)、ジャガイモデンプン、タピオカデンプンおよびアルファ化デンプンなどのデンプン;粘土;アラインおよびそれらの混合物が挙げられる。本明細書で提供される医薬組成物における崩壊剤の量は、製剤のタイプによって変化し、当業者に容易に識別可能である。本明細書で提供される医薬組成物は、約0.5~約15%または約1~約5重量%の崩壊剤を含有し得る。
【0204】
適切な滑沢剤としては、限定されないが、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱油;軽鉱油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;ベヘン酸グリセロールおよびポリエチレングリコール(PEG)などのグリコール;ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油(com oil)およびダイズ油を含む水素化された植物性油脂;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリル酸エチル;寒天;デンプン;リコポジウム;AEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co.,Baltimore,MD)およびCAB-O-SIL(登録商標)(Cabot Co.of Boston,MA)などのシリカまたはシリカゲル;およびそれらの混合物が挙げられる。本明細書で提供される医薬組成物は、約0.1~約5重量%の滑沢剤を含有し得る。
【0205】
適切な流動促進剤としては、コロイド性二酸化ケイ素、CAB-O-SIL(登録商標)(Cabot Co.of Boston,MA)およびアスベスト非含有滑石が挙げられる。着色剤としては、認可され、認証された水溶性FD&C色素のいずれかおよびアルミナ水和物に懸濁した水不溶性FD&C色素およびレーキ顔料、ならびにそれらの混合物が挙げられる。レーキ顔料は、重金属の水和酸化物に対する水溶性色素の吸着による組み合わせであり、不溶性形態の色素を生じる。香味剤としては、果実などの植物から抽出された天然香味料、ならびにペパーミントおよびサリチル酸メチルなどの爽やかな味覚を生じる化合物の合成混合物が挙げられる。甘味剤としては、スクロース、ラクトース、マンニトール、シロップ、グリセリン、ならびにサッカリンおよびアスパルテームなどの人工甘味剤が挙げられる。適切な乳化剤としては、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、ならびにポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)およびトリエタノールアミンオレエートなどの界面活性剤が挙げられる。懸濁化剤および分散剤としては、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ヴィーゴム、アカシア、ナトリウム炭素メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。保存剤としては、グリセリン、メチルおよびプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウムおよびアルコールが挙げられる。湿潤剤としては、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレートおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。溶媒としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコールおよびシロップが挙げられる。乳剤において利用される非水性液体の例としては、鉱油およ
び綿実油が挙げられる。有機酸としては、クエン酸および酒石酸が挙げられる。二酸化炭素の供与源としては、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0206】
同じ製剤内であっても、多くの担体および賦形剤がいくつかの機能を果たし得ると理解すべきである。本明細書で提供される医薬組成物は、圧縮錠、錠剤粉末、咀嚼可能なロゼンジ、迅速溶解錠剤、多重圧縮錠または腸溶コーティング錠、糖衣錠またはフィルムコーティング錠として提供され得る。腸溶コーティング錠は、胃酸作用に耐性であるが腸内で溶解または崩壊し、それにより胃の酸性環境から有効成分を保護する物質でコーティングされた圧縮錠である。腸溶コーティングとしては、限定されないが、脂肪酸、脂肪、サリチル酸フェニル、蝋、セラック、アンモニア処理したセラックおよびセルロースアセテートフタレートが挙げられる。糖衣錠は、不快な味覚または臭気の隠蔽および酸化からの錠剤の保護において有益であり得る糖衣によって取り囲まれた圧縮錠である。フィルムコーティング錠は、水溶性材料の薄層またはフィルムで覆われた圧縮錠である。フィルムコーティングとしては、限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000およびセルロースアセテートフタレートが挙げられる。フィルムコーティングは、糖衣と同じ一般的特徴を与える。多重圧縮錠は、1回を超える圧縮サイクルによって作製された圧縮錠である(層状錠剤およびプレスコーティング錠剤または乾燥コーティング錠剤を含む)。
【0207】
錠剤剤形は単独で、または結合剤、崩壊剤、制御放出性ポリマー、滑沢剤、希釈剤および/もしくは着色剤を含む本明細書に記載される1つまたはそれを超える担体または賦形剤と組み合わせて、粉末状、結晶性または粒状形態の有効成分から調製され得る。香味剤および甘味剤は、咀嚼錠およびロゼンジの形成において特に有用である。
【0208】
本明細書で提供される医薬組成物は、ゼラチン、メチルセルロース、デンプンまたはアルギン酸カルシウムから作製され得るソフトカプセルまたはハードカプセルとして提供され得る。乾燥充填カプセル(DFC)としても公知のハードゼラチンカプセルは、一方が他方を覆う2つのセクションからなり、それにより、有効成分を完全に封入する。ソフト弾性カプセル(SEC)は、グリセリン、ソルビトールまたは同様のポリオールの追加によって可塑化したソフトな球状シェル、例えばゼラチンシェルである。ソフトゼラチンシェルは、微生物の成長を防止するために保存剤を含有し得る。適切な保存剤は、メチルパラベンおよびプロピルパラベンならびにソルビン酸を含む本明細書に記載されるものである。本明細書で提供される液体、半固体および固体剤形は、カプセル剤にカプセル化され得る。適切な液体および半固体の剤形としては、炭酸プロピレン、植物油またはトリグリセリドにおける液剤および懸濁剤が挙げられる。このような溶液を含有するカプセルは、米国特許第4,328,245号;米国特許第4,409,239号;および米国特許第4,410,545号に記載されているように調製され得る。有効成分の溶解を改変または持続するために、カプセルはまた、当業者によって公知のようにコーティングされ得る。
【0209】
本明細書で提供される医薬組成物は、乳剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤およびシロップ剤を含む液体および半固体剤形で提供され得る。乳剤は、一方の液体が別の液体全体に小球の形態で分散した二相系であり、水中油型または油中水型であり得る。乳剤は、薬学的に許容され得る非水性の液体または溶媒、乳化剤および保存剤を含み得る。懸濁剤は、薬学的に許容され得る懸濁化剤および保存剤を含み得る。水性アルコール性溶液は、低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタール(「低級」という用語は、1~6個の炭素原子を有するアルキルを意味する)、例えばアセトアルデヒドジエチルアセタールなどの薬学的に許容され得るアセタール;ならびにプロピレングリコールおよびエタノールなどの1つまたはそれを超えるヒドロキシル基を有する水混和性溶媒を含み得る。エリキシル剤は、透明な甘味含水アルコール溶液である。シロップ剤は、糖、例えばスクロー
スの濃縮水溶液であり、保存剤も含有し得る。液体剤形について、投与のために便利に測定するために、例えばポリエチレングリコールの溶液は、十分な量の薬学的に許容され得る液体担体、例えば水で希釈され得る。
【0210】
他の有用な液体および半固体剤形としては、限定されないが、本明細書で提供される有効成分(複数可)および1,2-ジメトキシメタン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテルを含むジアルキル化モノ-またはポリ-アルキレングリコールを含むものが挙げられ、350、550および750は、ポリエチレングリコールのおよその平均分子量を指す。これらの製剤は、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、リン酸、ビスルファイト(bisulfite)、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオジプロピオン酸およびそのエステ
ルならびにジチオカルバマートなどの1つまたはそれを超える抗酸化剤をさらに含み得る。
【0211】
経口投与のための本明細書で提供される医薬組成物はまた、リポソーム、ミセル、マイクロスフェアまたはナノシステムの形態で提供され得る。ミセル剤形は、米国特許第6,350,458号に記載されているように調製され得る。
【0212】
本明細書で提供される医薬組成物は、液体剤形に再構成するために、非起沸性または起沸性顆粒および粉末として提供され得る。非起沸性顆粒または粉末において使用される薬学的に許容され得る担体および賦形剤は、希釈剤、甘味料および湿潤剤を含み得る。起沸性顆粒または粉末において使用される薬学的に許容され得る担体および賦形剤は、有機酸および二酸化炭素源を含み得る。
【0213】
着色剤および香味剤は、上記剤形のすべてにおいて使用され得る。本明細書で提供される医薬組成物は、遅延放出形態、持続放出形態、パルス性放出形態、制御放出形態、標的放出形態およびプログラム放出形態を含む即時放出剤形または調節放出剤形として製剤化され得る。
【0214】
本明細書で提供される医薬組成物は、所望の治療作用を損なわない他の有効成分と共に、または所望の作用を補う物質、例えば制酸薬、プロトンポンプ阻害剤、H2受容体アンタゴニストと共製剤化され得る。
【0215】
本明細書で提供される医薬組成物は、局所的(local)投与または全身投与のために、
注射、注入または移植によって非経口的に投与され得る。本明細書で使用される非経口投与としては、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、脳室内投与、尿管内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与、滑膜内投与および皮下投与が挙げられる。
非経口投与
【0216】
本明細書で提供される医薬組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、ミセル、リポソーム、マイクロスフェア、ナノシステム、および液剤または懸濁剤に適切な固体形態であって、注射前には液体の固体形態を含む非経口投与のために適切な任意の剤形に製剤化され得る。このような剤形は、医薬品科学の当業者に公知の従来の方法にしたがって調製され得る(Remington:The Science and Practice of Pharmacy、前掲を参照のこと)。
【0217】
非経口投与のために意図される医薬組成物は、限定されないが、水性ビヒクル、水混和
性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤または微生物の成長に対する保存剤、安定剤、溶解度増強剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、凍結保護剤、リオプロテクタント(lyoprotectant)、増粘剤、pH調整剤および不活性ガスを含む1つまたはそれを超える薬学的に許容され得る担体および賦形剤を含み得る。
【0218】
適切な水性ビヒクルとしては、限定されないが、水、食塩水、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、等張性デキストロース注射、滅菌水注射、デキストロースおよび乳酸加リンゲル注射が挙げられる。非水性ビヒクルとしては、限定されないが、植物起源の固定油、ヒマシ油、トウモロコシ油(com oil)、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ペパーミント油、サフラワー油、ゴマ油、ダイズ油、水素化植物油、水素化ダイズ油およびヤシ油の中鎖トリグリセリドならびにパーム核油が挙げられる。水混和性ビヒクルとしては、限定されないが、エタノール、1,3-ブタンジオール、液体ポリエチレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール300およびポリエチレングリコール400)、プロピレングリコール、グリセリン、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミドおよびジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0219】
適切な抗菌剤または保存剤としては、限定されないが、石炭酸、クレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルpヒドロキシベンゾエート(propyl phydroxybenzate)、チメロサール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、メチル-およびプロピルパラベンならびにソルビン酸が挙げられる。適切な等張剤としては、限定されないが、塩化ナトリウム、グリセリンおよびデキストロースが挙げられる。適切な緩衝剤としては、限定されないが、ホスフェートおよびシトレートが挙げられる。適切な抗酸化剤は、亜硫酸水素塩およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む本明細書に記載されるものである。適切な局部麻酔剤としては、限定されないが、塩酸プロカインが挙げられる。適切な懸濁化剤および分散剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンを含む本明細書に記載されるものが挙げられる。適切な乳化剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80およびトリエタノールアミンオレエートを含む本明細書に記載されるものが挙げられる。適切な金属イオン封鎖剤またはキレート剤としては、限定されないが、EDTAが挙げられる。適切なpH調整剤としては、限定されないが、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸および乳酸が挙げられる。適切な錯化剤としては、限定されないが、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンおよびスルホブチルエーテル7-β-シクロデキストリン(CAPTISOL(登録商標),CyDex,Lenexa,KS)を含むシクロデキストリンが挙げられる。
【0220】
本明細書で提供される医薬組成物は、単回または複数回投与量の投与のために製剤化され得る。単回投与量製剤は、アンプル、バイアルまたはシリンジにパッケージングされる。複数回投与量非経口製剤は、静菌性または静真菌性の濃度で抗菌剤を含有しなければならない。すべての非経口製剤は、当技術分野で公知であり実施されるように、滅菌でなければならない。
【0221】
一実施形態では、医薬組成物は、即時使用滅菌液として提供される。別の実施形態では、医薬組成物は、使用前にビヒクルで再構成されるように、凍結乾燥粉末および皮下注射用錠剤を含む滅菌乾燥可溶性製剤として提供される。また別の実施形態では、医薬組成物は、即時使用滅菌懸濁剤として提供される。また別の実施形態では、医薬組成物は、使用前にビヒクルで再構成されるように、滅菌乾燥不溶性製剤として提供される。さらに別の
実施形態では、医薬組成物は、即時使用滅菌乳剤として提供される。
【0222】
本明細書で提供される医薬組成物は、遅延放出形態、持続放出形態、パルス性放出形態、制御放出形態、標的放出形態およびプログラム放出形態を含む即時放出剤形または調節放出剤形として製剤化され得る。
【0223】
医薬組成物は、移植されるデポーとしての投与のために、懸濁液、固体、半固体または揺変性液体として製剤化され得る。一実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、体液中では不溶性であるが医薬組成物中の有効成分の拡散を可能にする外部ポリマー膜によって囲まれた固体内部マトリックスに分散される。
【0224】
適切な内部マトリックスとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチル-メタクリレート、可塑化または非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコールならびに架橋部分加水分解酢酸ポリビニルが挙げられる。
【0225】
適切な外部ポリマー膜としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレンとの塩化ビニルコポリマー、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマーならびにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーが挙げられる。
局所投与
【0226】
本明細書で提供される医薬組成物は、皮膚、開口部または粘膜に局所投与され得る。本明細書で使用される局所投与は、真皮(内)、結膜、角膜内、眼内、眼、耳介、経皮、経鼻、経膣、尿道、呼吸器および直腸投与を含む。
【0227】
本明細書で提供される医薬組成物は、乳剤、液剤、懸濁剤、クリーム、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、散布剤、ドレッシング、エリキシル剤、ローション、懸濁剤、チンキ、ペースト、泡、フィルム、エアロゾル、灌注、スプレー、坐薬、包帯、真皮パッチを含む局部効果または全身効果のための局所投与に適切な任意の剤形に製剤化され得る。本明細書で提供される医薬組成物の局所製剤はまた、リポソーム、ミセル、マイクロスフェア、ナノシステムおよびそれらの混合物を含み得る。
【0228】
本明細書で提供される局所製剤において使用するために適切な薬学的に許容され得る担体および賦形剤としては、限定されないが、水性ビヒクル、水混和性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤または微生物の成長に対する保存剤、安定剤、溶解度増強剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔薬、懸濁化剤および分散剤、湿潤剤または乳化剤、錯化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、透過増強剤、凍結保護剤、リオプロテクタント(lyoprotectant)、増粘剤および不活性ガスが挙げられる。
【0229】
医薬組成物はまた、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシス、およびPOWDERJECT(商標)(Chiron Corp.,Emeryville,CA)およびBIOJECT(商標)(Bioject Medical Technologies Inc.,Tualatin,OR)など
の極微針または無針注射によって局所投与され得る。
【0230】
本明細書で提供される医薬組成物は、軟膏、クリームおよびゲルの形態で提供され得る。適切な軟膏ビヒクルとして、ラード、ベンゾイン化ラード、オリーブ油、綿実油および他の油(白色ワセリン)などを含む油性基材または炭化水素基材;親水ワセリン、ヒドロキシステアリンサルフェートおよび無水ラノリンなどの乳化基材または吸収基材;親水軟膏などの水除去可能な基材;様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水溶性軟膏基材;セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ラノリンおよびステアリン酸を含む油中水型(W/O)エマルジョンまたは水中油型(O/W)エマルジョンのいずれかのエマルジョン基材が挙げられる(Remington:The Science and
Practice of Pharmacy、前掲を参照のこと)。これらのビヒクルは緩和剤であるが、一般に抗酸化剤および保存剤の追加を必要とする。
【0231】
適切なクリーム基剤は、水中油型または油中水型であり得る。クリームビヒクルは水洗浄可能であり得、油相、乳化剤および水相を含有し得る。油相は「内部」相とも称され、一般に、ペトロラタムおよびセチルまたはステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールから構成される。水相は、必須ではないが通常、油相よりも体積が大きく、一般に湿潤剤を含有する。クリーム製剤中の乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤であり得る。
【0232】
ゲルは、半固体、懸濁液-タイプの系である。単相ゲルは、液体担体の全体にわたって実質的に均一に分布した有機巨大分子を含有する。適切なゲル化剤としては、カルボマー、カルボキシポリアルキレン、CARBOPOL(登録商標)などの架橋アクリル酸ポリマー;ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーおよびポリビニルアルコールなどの親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびメチルセルロースなどのセルロースポリマー;トラガカントおよびキサンタンガムなどのゴム;アルギン酸ナトリウム;およびゼラチンが挙げられる。均一なゲルを調製するために、アルコールまたはグリセリンなどの分散剤が追加され得るか、またはゲル化剤は、粉砕、機械混合および/もしくは撹拌することによって分散され得る。
【0233】
本明細書で提供される医薬組成物は、坐薬、膣座薬、ブジー剤、湿布薬またはパップ剤、ペースト、粉末、ドレッシング、クリーム、絆創膏、避妊具、軟膏、液剤、乳剤、懸濁剤、タンポン、ゲル、泡、スプレーまたは浣腸の形態で、直腸に、尿道に、膣にまたは膣周囲に投与され得る。これらの剤形は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、前掲に記載されているように従来のプロセスを使用して製造され得る。
【0234】
直腸、尿道および膣の坐薬は、体開口部への挿入のために固形物であり、常温では固体であるが体温では溶解または軟化して、開口部内部において有効成分(複数可)を放出する。直腸および膣の坐薬において利用される薬学的に許容され得る担体は、本明細書で提供される医薬組成物と共に製剤化された場合、体温付近における融点を生じる硬化剤などのビヒクル;および亜硫酸水素およびメタ重亜硫酸ナトリウムを含む本明細書に記載される抗酸化剤を含む。適切なビヒクルとしては、限定されないが、カカオ脂(カカオの油)、グリセリン-ゼラチン、カルボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、鯨ろう、パラフィン、白および黄色ろうならびに脂肪酸のモノ、ジおよびトリグリセリドの適切な混合物、ヒドロゲル、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリル酸など;グリセリン処理ゼラチンが挙げられる。様々なビヒクルの組み合わせが使用され得る。直腸および膣の坐薬は、圧縮法または成形によって調製され得る。直
腸および膣の坐薬の典型的な重量は、約2~3gである。
【0235】
本明細書で提供される医薬組成物は、液剤、懸濁剤、軟膏、乳剤、ゲル形成溶液、溶液のための粉末、ゲル、眼挿入および埋込物の形態で眼科学的に投与され得る。
【0236】
本明細書で提供される医薬組成物は、鼻腔内に、または呼吸器管への吸入によって投与され得る。医薬組成物は、加圧容器、ポンプ、スプレー、微細霧を生じるために電気流体力学を使用するアトマイザなどのアトマイザまたはネブライザーを使用して、単独で、または1,1,1,2-テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴霧剤と組み合わせて、送達のためのエアロゾルまたは溶液の形態で提供され得る。医薬組成物はまた、ガス注入のための乾燥粉末として、単独で、またはラクトース、もしくはリン脂質などの不活性担体と組み合わせて;および点鼻液として提供され得る。鼻腔内使用の場合、粉末は、キトサンまたはシクロデキストリンを含む生体粘着性の薬剤を含み得る。
【0237】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザまたはネブライザーにおいて使用するための溶液または懸濁液は、本明細書で提供される有効成分の放出を分散、可溶化または拡大するためのエタノール、水性エタノールまたは適切な代替薬剤、溶媒としての噴霧剤;および/またはソルビタントリオレエート、オレイン酸またはオリゴ乳酸などの界面活性剤を含有するように製剤化され得る。
【0238】
本明細書で提供される医薬組成物は、吸入による送達に適切なサイズ、例えば50μmもしくはそれ未満または10μmもしくはそれ未満に微粒子化され得る。このようなサイズの粒子は、スパイラルジェット製粉、流動層ジェット製粉、ナノ粒子を形成するための超臨界液体プロセシング、高圧力ホモジナイゼーションまたは噴霧乾燥などの当業者に公知の粉砕方法を使用して調製され得る。
【0239】
吸入器または通気器において使用するためのカプセル、ブリスターおよびカートリッジは、本明細書で提供される医薬組成物の粉末混合物;ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基材;およびl-ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムなどの性能改変物質を含有するように製剤化され得る。ラクトースは、無水物または一水和物の形態であり得る。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。吸入/鼻腔内投与のための本明細書で提供される医薬組成物は、メントールおよびレボメントールなどの適切な香味料またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料をさらに含み得る。
【0240】
局所投与のための本明細書で提供される医薬組成物は、即時放出または調節放出(遅延放出、持続放出、パルス性放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を含む)するように製剤化され得る。
調節放出
【0241】
本明細書で提供される医薬組成物は、調節放出剤形として製剤化され得る。本明細書で使用される場合、「調節放出」という用語は、同じ経路によって投与された場合、有効成分(複数可)の放出の速度または場所が即時剤形のものと異なる剤形を指す。調節放出剤形としては、遅延放出剤形、延長放出剤形、長期放出剤形、持続放出剤形、パルス放出剤形またはパルス性放出剤形、制御放出剤形、加速放出剤形および高速放出剤形、標的放出剤形、プログラム放出剤形ならびに胃貯留剤形が挙げられる。調節放出剤形の医薬組成物は、限定されないが、マトリックス制御放出デバイス、浸透圧制御放出デバイス、複数粒子の制御放出デバイス、イオン交換樹脂、腸溶コーティング、多層コーティング、マイク
ロスフェア、リポソームおよびそれらの組み合わせを含む様々な調節放出デバイスおよび当業者に公知の方法を使用して調製され得る。有効成分(複数可)の放出速度はまた、有効成分(複数可)の粒径および多形を変化させることによって改変され得る。
【0242】
調節放出の例としては、限定されないが、米国特許第3,845,770号;米国特許第3,916,899号;米国特許第3,536,809号;米国特許第3,598,123号;米国特許第4,008,719号;米国特許第5,674,533号;米国特許第5,059,595号;米国特許第5,591,767号;米国特許第5,120,548号;米国特許第5,073,543号;米国特許第5,639,476号;米国特許第5,354,556号;米国特許第5,639,480号;米国特許第5,733,566号;米国特許第5,739,108号;米国特許第5,891,474号;米国特許第5,922,356号;米国特許第5,972,891号;米国特許第5,980,945号;米国特許第5,993,855号;米国特許第6,045,830号;米国特許第6,087,324号;米国特許第6,113,943号;米国特許第6,197,350号;米国特許第6,248,363号;米国特許第6,264,970号;米国特許第6,267,981号;米国特許第6,376,461号;米国特許第6,419,961号;米国特許第6,589,548号;米国特許第6,613,358号;および米国特許第6,699,500号に記載されているものが挙げられる。
マトリックス制御放出デバイス
【0243】
調節放出剤形の本明細書で提供される医薬組成物は、当業者に公知のマトリックス制御放出デバイスを使用して製造され得る(Takadaら、“Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,”Vol.2,Mathiowitz ed.,Wiley,1999を参照のこと)。
【0244】
一実施形態では、調節放出剤形の本明細書で提供される医薬組成物は、合成ポリマー、ならびに多糖およびタンパク質などの天然に存在するポリマーおよび誘導体を含む水膨張性、浸食性または可溶性ポリマーである浸食性マトリックスデバイスを使用して製剤化される。
【0245】
浸食性マトリックスの形成において有用な材料としては、限定されないが、キチン、キトサン、デキストランおよびプルラン;寒天ゴム、アラビアゴム、カラヤゴム、ローカストビーンガム、トラガカントゴム、カラゲナン、ガッチゴム、グアーガム、キサンタンガムおよびスクレログルカン;デキストリンおよびマルトデキストリンなどのデンプン;ペクチンなどの親水コロイド;レシチンなどのホスファチド;アルギネート;アルギン酸プロピレングリコール;ゼラチン;コラーゲン;ならびにエチルセルロース(EC)、メチルエチルセルロース(MEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMEC、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸セルロース(CA)、セルロースプロピオネート(CP)、セルロースブチレート(CB)、酢酸セルロースブチレート(CAB)、CAP、CAT、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、HPMCP、HPMCAS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート(HPMCAT)およびエチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)などのセルロース化合物;ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルコール;ポリ酢酸ビニル;グリセロール脂肪酸エステル;ポリアクリルアミド;ポリアクリル酸;エタクリル酸またはメタアクリル酸のコポリマー(EUDRAGIT(登録商標),Rohm America,Inc.,Piscataway,NJ);ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリル酸エステル);ポリ乳酸;L-グルタミン酸およびエチル-L-グルタメートのコポリマー;分解可能な乳酸-グリコール酸コポリマー;ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸;ならびにメタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、アクリル酸エチル、(2-ジメチルアミノエチル)メタクリレートお
よび(トリメチルアミノエチル)メタクリレートクロリドの他のアクリル酸誘導体などのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0246】
別の実施形態では、医薬組成物は、非浸食性マトリックスデバイスと共に製剤化される。有効成分(複数可)は、不活性マトリックスに溶解または分散され、投与後に不活性マトリックスを介して拡散によって主に放出される。非浸食性マトリックスデバイスとして使用するために適切な材料としては、限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、塩素化されたポリエチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチルコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/アクリル酸エチルコポリマー、酢酸ビニルとの塩化ビニルコポリマー、塩化ビニリデン、エチレンおよびプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタレート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコールターポリマーおよびエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマー、ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカーボネートコポリマーなどの不溶性プラスチック、ならびに;エチルセルロース、酢酸セルロース、クロスポビドンおよび架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニルなどの親水性ポリマー;ならびにカルナバワックス(camauba wax)、微晶質ろうおよびトリグリセリドなどの脂肪族化合物が挙げられる。
【0247】
マトリックス制御放出系では、所望の放出動態は、例えば、用いられるポリマータイプ、ポリマー粘性、ポリマーおよび/または有効成分(複数可)の粒径、有効成分(複数可)対ポリマーの比および組成物における他の賦形剤を介して制御され得る。
【0248】
調節放出剤形の本明細書で提供される医薬組成物は、直接圧縮、乾式または湿式造粒に続く圧縮、融解造粒に続く圧縮を含む当業者に公知の方法によって調製され得る。
浸透圧制御放出デバイス
【0249】
調節放出剤形の本明細書で提供される医薬組成物は、1チャンバーシステム、2チャンバーシステム、非対称膜技術(AMT)および押出加工コアシステム(ECS)を含む浸透圧制御放出デバイスを使用して製造され得る。一般に、このようなデバイスは、少なくとも2つの構成要素:(a)有効成分(複数可)を含有するコア;および(b)コアをカプセル化する少なくとも1つの送出ポートを有する半透膜を有する。半透膜は、送出ポート(複数可)を介して押出によって薬物放出させるように、水性の使用環境からコアへの水の流入を制御する。
【0250】
有効成分(複数可)に加えて、浸透圧デバイスのコアは、場合により、使用環境からデバイスのコアへの水の輸送のための推進力を生じる浸透圧剤を含む。浸透圧剤の1つのクラスは、「浸透ポリマー」および「ヒドロゲル」とも称される水膨張性親水性ポリマーであり、限定されないが、親水性ビニルおよびアクリルポリマー、アルギン酸カルシウムなどの多糖、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、メタクリル酸メチルおよび酢酸ビニルなどの疎水性モノマーとのPVA/PVPコポリマー、大きいPEOブロックを含む親水性ポリウレタン、ナトリウムクロスカルメロース、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)およびカルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼ
ラチン、キサンタンガムおよびナトリウムデンプングリコレートが挙げられる。
【0251】
浸透圧剤の他のクラスは、水を吸収して、周囲のコーティングのバリアを越えて浸透圧勾配に影響を及ぼすことができるオスモゲンである。適切なオスモゲンとしては、限定されないが、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウムおよび硫酸ナトリウムなどの無機塩;デキストロース、フルクトース、グルコース、イノシトール、ラクトース、マルトース、マンニトール、ラフィノース、ソルビトール、スクロース、トレハロースおよびキシリトールなどの糖;アスコルビン酸、安息香酸、フマル酸、クエン酸、マレイン酸、セバシン酸、ソルビン酸、アジピン酸、エデト酸、グルタミン酸、p-トルエンスルホン酸、琥珀酸および酒石酸などの有機酸;尿素;ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0252】
異なる溶解速度の浸透圧剤は、有効成分(複数可)が剤形から迅速に最初に送達される方法に影響を及ぼすために用いられ得る。例えば、MANNOGEME EZ(SPI Pharma,Lewes,DE)などの非晶質糖は、最初の数時間の間に迅速な送達を提供して所望の治療効果を速やかに生じさせ、残りの量を段階的および断続的に放出させて、所望のレベルの治療効果または予防効果を長期間維持するために使用され得る。この場合、有効成分(複数可)は、代謝および排出された有効成分の量を元に戻すような速度で放出される。
【0253】
コアはまた、剤形の性能を増強するために、または安定性もしくはプロセシングを促進するために、多種多様な本明細書に記載される他の賦形剤および担体を含み得る。
【0254】
半透膜の形成において有用な材料としては、生理学的に関連するpHで水透過性および水不溶性であるか、または架橋などの化学的変化によって水不溶性になることに感受性の様々なグレードのアクリル、ビニル、エーテル、ポリアミド、ポリエステルおよびセルロースの誘導体が挙げられる。コーティングの形成において有用な適切なポリマーの例としては、可塑化、非可塑化および補強された酢酸セルロース(CA)、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、CAプロピオネート、セルロースニトレート、酢酸セルロースブチレート(CAB)、CAカルバミン酸エチル、CAP、CAカルバミン酸メチル、CAスクシネート、酢酸セルローストリメリテート(CAT)、CAジメチルアミノアセテート、CAエチルカーボネート、CAクロロアセテート、CAエチルオキサレート、CAメチルスルホネート、CAブチルスルホネート、CA p-トルエンスルホネート、寒天アセテート、アミローストリアセテート、βグルカンアセテート、βグルカントリアセテート、アセトアルデヒドジメチルアセテート、ローカストビーンガムのトリアセテート、ヒドロキシル化エチレン-ビニルアセテート、EC、PEG、PPG、PEG/PPGコポリマー、PVP、HEC、HPC、CMC、CMEC、HPMC、HPMCP、HPMCAS、HPMCAT、ポリ(アクリル)酸およびエステル、ならびにポリ(メタクリル)酸およびエステル、ならびにそのコポリマー、デンプン、デキストラン、デキストリン、キトサン、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルケン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルサルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ろうおよび合成ろうが挙げられる。
【0255】
半透膜はまた、疎水性微細孔膜であり得、米国特許第5,798,119号に開示されているように、孔は気体が実質的に充満しており、水性媒体によって濡れないが、水透過性である。このような疎水性だが水透過性の膜は、典型的には、ポリアルケン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリル酸誘導体、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルエステルおよびエーテル、天然ろうおよび合成ろうなどの
疎水性ポリマーから構成される。
【0256】
半透膜上の送出ポート(複数可)は、機械またはレーザー穿孔によりコーティング後に形成され得る。送出ポート(複数可)はまた、水溶性材料のプラグの浸食によって、またはコアのへこみ上により薄い膜の部分を破壊することによってインサイチューで形成され得る。加えて、送出ポートは、米国特許第5,612,059号および米国特許第5,698,220号に開示されているタイプの非対称膜コーティングのように、コーティングプロセスの間に形成され得る。
【0257】
放出される有効成分(複数可)の総量および放出速度は、半透膜の厚みおよび多孔度、コアの組成、ならびに送出ポートの数、サイズおよび位置によって実質的にモジュレートされ得る。
【0258】
浸透圧制御放出性剤形の医薬組成物は、製剤の性能またはプロセシングを促進するために、本明細書に記載されるさらなる従来の賦形剤をさらに含み得る。
【0259】
浸透圧制御放出性剤形は、従来の方法および当業者に公知の技術にしたがって調製され得る(Remington:The Science and Practice of
Pharmacy,supra;Santus and Baker,J.Controlled Release 1995,35,1-21;Vermaら、Drug Development and Industrial Pharmacy 2000,26,695-708;Vermaら、J.Controlled Release 2002,79,7-27を参照のこと)。
【0260】
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、有効成分(複数可)および他の薬学的に許容され得る賦形剤を含むコアをコーティングする非対称浸透圧膜を含むAMT制御放出性剤形として製剤化される。米国特許第5,612,059号および国際公開第2002/17918号を参照のこと。AMT制御放出性剤形は、直接圧縮、乾式造粒、湿式造粒および浸漬コーティング法を含む従来の方法および当業者に公知の技術にしたがって調製され得る。
【0261】
特定の実施形態では、本明細書で提供される医薬組成物は、有効成分(複数可)、ヒドロキシルエチルセルロースおよび他の薬学的に許容され得る賦形剤を含むコアをコーティングする浸透圧膜を含むESC制御放出性剤形として製剤化される。
多微粒子制御放出デバイス
【0262】
調節放出剤形の本明細書で提供される医薬組成物は、直径が約10μm~約3mm、約50μm~約2.5mmまたは約100μm~1mmの範囲の複数の粒子、顆粒またはペレットを含む多微粒子制御放出デバイスとして製造され得る。このような多微粒子は、乾式よび湿式造粒、押出/球状化、ローラー圧縮、融解-凝固およびスプレーコーティングシードコアを含む当業者に公知のプロセスによって作製され得る。例えば、Multiparticulate Oral Drug Delivery;Marcel Dekker:1994;およびPharmaceutical Pelletization
Technology;Marcel Dekker:1989を参照のこと。
【0263】
本明細書に記載される他の賦形剤は、多微粒子のプロセシングおよび形成の助けとなるように医薬組成物と混合され得る。得られた粒子はそれ自体が多微粒子デバイスを構成し得、または腸溶ポリマー、水膨潤性および水溶性ポリマーなどの様々なフィルム形成材料によってコーティングされ得る。多微粒子は、カプセルまたは錠剤としてさらに加工され得る。
標的送出
【0264】
本明細書で提供される医薬組成物はまた、リポソームに、再シール形成赤血球に、および抗体に基づいた送達系を含む、特定の組織、受容体または処置される被験体の他の身体領域に標的化されるように製剤化され得る。例としては、限定されないが米国特許第6,316,652号;米国特許第6,274,552号;米国特許第6,271,359号;米国特許第6,253,872号;米国特許第6,139,865号;米国特許第6,131,570号;米国特許第6,120,751号;米国特許第6,071,495号;米国特許第6,060,082号;米国特許第6,048,736号;米国特許第6,039,975号;米国特許第6,004,534号;米国特許第5,985,307号;米国特許第5,972,366号;米国特許第5,900,252号;米国特許第5,840,674号;米国特許第5,759,542号;および米国特許第5,709,874号が挙げられる。
使用方法
【0265】
一実施形態では、ヒト小胞モノアミントランスポーターアイソフォーム2(VMAT2)の阻害に関連する1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するための方法であって、治療有効量の非晶質形態または結晶性形態I、II、III、IV、VもしくはVIの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I);またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物を被験体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0266】
別の実施形態では、多動性障害の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するための方法であって、治療有効量の非晶質形態または結晶性形態I、II、III、IV、VもしくはVIの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I);またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物を被験体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0267】
一実施形態では、ヒト小胞モノアミントランスポーターアイソフォーム2(VMAT2)の阻害に関連する1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するための方法であって、治療有効量の非晶質形態または結晶性形態IもしくはIIの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II);またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物を被験体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0268】
別の実施形態では、多動性障害の1つまたはそれを超える症候を処置、予防または改善するための方法であって、治療有効量の非晶質形態または結晶性形態IもしくはIIの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II);またはその同位体変異体;もしくはその溶媒和物を被験体に投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0269】
一実施形態では、本明細書に記載される化合物によって処置され得る症状としては、限定されないが、多動性障害、例えばハンチントン病、遅発性ジスキネジア、トゥレット症
候群、ジストニア、ヘミバリズム、舞踏病、老人性舞踏病またはチックが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物によって処置され得る症状としては、限定されないが、統合失調症、統合失調性感情障害または気分障害を有する被験体における遅発性ジスキネジアが挙げられる。一実施形態では、本明細書に記載される化合物によって処置され得る症状としては、限定されないが、神経学的障害または神経学的疾患、例えば双極性障害、大うつ病障害、不安症、注意欠陥多動性障害、認知症、うつ病、不眠症、精神病、外傷後ストレス障害、薬物乱用、パーキンソン病、レボドパ誘導性ジスキネジア、運動障害または反抗挑戦性障害が挙げられる。
【0270】
運動障害としては、限定されないが、運動失調、大脳皮質基底核変性症、ジスキネジア(発作性)、ジストニア(全身性、分節性、限局性)、例えば眼瞼痙攣、痙性斜頸(頚部ジストニア)、書痙(四肢ジストニア)、喉頭ジストニア(痙攣性発声障害)、顎口腔ジストニア、本態性振戦、遺伝性痙性対麻痺、ハンチントン病、多系統萎縮症(シャイ・ドレーガー症候群)、ミオクローヌス、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、下肢静止不能症候群、レット症候群、脳卒中による痙縮、脳性麻痺、多発性硬化症、脊髄傷害または脳傷害、シドナム舞踏病、遅発性ジスキネジア/ジストニア、チック、トゥレット症候群およびウィルソン病が挙げられる。
【0271】
処置すべき疾患および被験体の症状に応じて、本明細書で提供される組成物は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内の注射もしくは注入、皮下注射または埋め込み)、吸入、鼻内、膣、直腸、舌下または局所(topical)(例えば、経皮
または局部(local))投与経路によって投与され得、単独で、または各投与経路に適切
な薬学的に許容され得る担体、アジュバントおよびビヒクルと一緒に適切な投与量単位で製剤化され得る。有効成分が所定の期間にわたって放出されるデポー製剤による本明細書で提供される微粒子の投与も提供される。
【0272】
多動性障害またはVMAT2阻害に関連する他の症状、障害もしくは疾患の1つまたはそれを超える症候の処置、予防または改善では、適切な投与量レベルは、一般に、約0.001~100mg/kg患者体重/日(mg/kg/日)、約0.01~約80mg/kg/日、約0.1~約50mg/kg/日、約0.5~約25mg/kg/日または約1~約20mg/kg/日であり、単回投与または複数回投与で投与され得る。この範囲内で、投与量は、0.005~0.05、0.05~0.5または0.5~5.0、1~15、1~20または1~50mg/kg/日であり得る。特定の実施形態では、投与量レベルは、約0.001~100mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約0.01~約40mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約0.1~約80mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約0.1~約50mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約0.1~約40mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約0.5~約80mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約0.5~約40mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約0.5~約25mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約1~約80mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約1~約40mg/kg/日である。特定の実施形態では、投与量レベルは、約1~約25mg/kg/日である。
【0273】
経口投与の場合、医薬組成物は、処置すべき患者への投与量の対症的調整のために、1.0~1,000mgの有効成分、特に約1、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約40、約45、約50、約75、約80、約100、約150、約200、約250、約300、約400、約500、約600、約750、約800、約900および約1,000mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、約100mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。特定
の実施形態では、医薬組成物は、約80mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、約50mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、約40mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、約25mgの有効成分を含有する錠剤の形態で提供され得る。組成物は、1日1回、2回、3回および4回を含む1~4回/日のレジメンで投与され得る。
【0274】
しかしながら、任意の特定の患者のための特定の用量レベルおよび投与頻度は変動し得、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用期間、年齢、体重、一般健康、性別、食事、投与の様式および時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定の症状の重症度、ならびに治療を受けている宿主を含む様々な要因に依存すると理解される。
【0275】
VMAT2活性をモジュレートする方法であって、トランスポーターと、本明細書で提供される1つまたはそれを超える固体形態の化合物とを接触させることを含む方法も本明細書で提供される。一実施形態では、トランスポーターは、細胞によって発現される。
【0276】
本明細書で提供される化合物はまた、上記ハンチントン病、遅発性ジスキネジア、トゥレット症候群またはチックを含む、本明細書で提供される化合物が有用な疾患または症状の1つまたはそれを超える症候の処置、予防または改善において有用な他の薬剤と合わされ得るか、またはそれと併用され得る。一実施形態では、本明細書で提供される化合物はまた、統合失調症、統合失調性感情障害、双極性疾患、大うつ病障害に関連する疾患もしくは症状、または抗精神病薬で一般的に処置される他の症状の1つまたはそれを超える症候の処置、予防または改善において有用な他の薬剤と合わされ得るか、またはそれと併用され得る。
【0277】
このような他の薬剤または薬物は、本明細書で提供される化合物と同時または逐次に、それらが一般的に使用される経路および量によって投与され得る。本明細書で提供される微粒子が1つまたはそれを超える他の薬物と同時に使用される場合、本明細書で提供される化合物に加えてこのような他の薬物を含有する医薬組成物が利用され得るが、必須ではない。したがって、本明細書で提供される医薬組成物としては、本明細書で提供される化合物に加えて、1つまたはそれを超える他の有効成分または治療剤も含有するものが挙げられる。
【0278】
本明細書で提供される化合物と第2の有効成分との重量比は変動し得、各成分の有効用量に依存する。一般に、それぞれの有効用量が使用される。したがって、例えば、本明細書で提供される化合物が、第2の薬物またはこのような他の薬物を含有する医薬組成物と併用される場合、微粒子と第2の薬物との重量比は、約1,000:1~約1:1,000または約200:1~約1:200の範囲であり得る。本明細書で提供される微粒子と他の有効成分との組み合わせもまた、一般に上記範囲内であるが、いずれの場合も、各有効成分の有効用量を使用すべきである。
【実施例0279】
X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、重量蒸気収着(GVS)、走査型電子顕微鏡検査(SEM)およびイオンクロマトグラフィー(IC)を用いて、以下の実施例における式Iおよび/または式IIの結晶性化合物を特性評価した。
【0280】
Cu Kα放射線(40kV、40mA)を使用したBruker AXS C2 GADDS回折計、θ-2θ角度計、ならびにV4の発散および受容スリット、Geモノク
ロメーターならびにLynxeye検出器によって、X線粉末回折パターンを収集した。粉末物質を使用して平板標本として、サンプルを室温でランした。研磨ゼロバックグラウンド(510)シリコンウェーハに切断されたキャビティにサンプルを徐々に充填した。分析中、サンプルをそれ自体の面内で回転させた。1工程当たり0.05°の2θずつ2~42°の2θおよび1工程当たり0.5秒で、データを収集した。
【0281】
34ポジションオートサンプラーを備えるMettler DSC 823Eを使用して、示差走査熱量測定を行った。典型的には、ピンホール付アルミニウムパン中の0.5~3mgの各サンプルを、10℃/分で25℃から250℃まで加熱した。サンプル全体で、50ml/分の窒素パージを維持した。
【0282】
34ポジションオートサンプラーを備えるMettler TGA/SDTA 851eによって、熱重量分析を行った。認定インジウムを使用して、機器を温度較正した。典型的には、予め計量したアルミニウム坩堝に5~30mgの各サンプルをロードし、10℃/分で周囲温度から350℃に加熱した。サンプル全体で、50ml/分の窒素パージを維持した。
【0283】
CFRSorpソフトウェアによって制御されたHiden IGASorp水分収着分析器を使用して、重量収着等温線を得た。Huber再循環水浴によって、サンプル温度を25℃に維持した。250ml/分の総流量で、乾燥窒素および湿潤窒素の気流を混合することによって、湿度を制御した。サンプルの近くに配置した較正Vaisala RHプローブ(0~95%のRHのダイナミックレンジ)によって、相対湿度(RH)を測定した。微量天秤(精度±0.001mg)によって、%RHの関数としてのサンプルの重量変化(質量緩和)を常にモニタリングした。典型的には、10~20mgのサンプルを室温で風袋を除いたメッシュステンレス鋼バスケットに入れた。40%のRHおよび25℃(典型的な室内条件)で、サンプルをロードおよびアンロードした。0~90%のRH範囲にわたって10%のRH間隔で、標準等温線を25℃で実証した。
【0284】
薄金層で所望の材料をコーティングし(スパッタコーティング)、FEI-Philips XL30走査型電子顕微鏡を使用してそれを検査することによって、走査型電子顕微鏡写真(SEM)を作成した。分析に使用した電子の加速電圧は、2.0KVであった。コンピュータ制御CCDカメラアタッチメントを用いて、すべての画像をキャプチャした。
【0285】
Metrohm 861 Advanced Compact IC sing IC
Netソフトウェアv2.3によって、イオンクロマトグラフィー(IC)を実施した。正確に計量したサンプルを、適切な溶解溶液中のストック溶液として調製し、試験前に適切に希釈した。分析される既知濃度のイオンの標準溶液との比較によって、定量を達成した。
【0286】
Hydranal Coulomat AG試薬およびアルゴンパージを使用してMettler Toledo DL39 Coulometerで測定したカールフィッシャー滴定によって、各サンプルの含水量を実施した。浸水を回避するために、計量した固体サンプルを、シュバシール(subaseal)に接続したプラチナTGAパン上の容器に導入した。1滴定当たり約10mgのサンプルを使用し、2回反復測定を行った。
【0287】
十分な化合物を水に懸濁して、化合物の親遊離形態の最大最終濃度を≧10mg/mlとすることによって、熱力学的水溶解度を決定した。懸濁液を25℃で24時間平衡化し、次いでpHを測定した。次いで、懸濁液をガラス繊維Cフィルタに通してろ過した。次いで、適切な係数、例えば101でろ液を希釈した。DMSO中約0.25mg/mlの
標準溶液を基準にして、HPLCによって定量を行った。異なる体積の標準サンプル溶液、希釈サンプル溶液および非希釈サンプル溶液を注入した。標準注入における主ピークと同じ保持時間で見られるピークの積分によって決定したピーク面積を使用して、溶解度を計算した。
実施例1
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)の溶解度の決定
【0288】
表1に掲載されている溶媒中の(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)の溶解度研究を、5℃および各溶媒の還流温度の10℃超の両方で形態Iから行った。ろ過前に、形態Iを少なくとも2時間スラリー化した。収集した母液の蒸発後、重量分析によって溶解度を計算した。
実施例2
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Iの調製
【0289】
537mgの(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステル遊離塩基をガラスバイアルに計量し、5mLのMIBKに溶解した。次いで、2.56mL(2.0当量)のp-トルエンスルホン酸の1Mエタノール溶液を追加して、透明な溶液を得た。スクリーンから単離した約2mgのビストシル酸塩をこの溶液にシード添加し、即時結晶化を誘導した。周囲温度と50℃とを4時間間隔でサイクルさせて、得られた懸濁液を16時間インキュベートした。この後、存在する固体をろ過によって単離し、真空下で3時間乾燥して、675mg(69%)の微細な白色の固体を得た。
【0290】
形態IのX線粉末回折パターンは、
図1に示されている。形態Iは、約6.3、17.9および19.7°の2θで表される特徴的なXRP回折ピークを有するが、これは、化合物が結晶性であることを示唆している。
図4に示されているように、粒子は、規則的形状および板状形態のものである。
【0291】
形態Iの示差走査熱量測定サーモグラムは、
図2に示されている。形態Iは、約240℃の開始温度と、243℃のピーク温度とを有する吸熱事象を示す。
【0292】
形態Iの熱重量分析サーモグラムは、
図2に示されている。形態Iは非常に安定であり、約25℃から約140℃に加熱した場合に約0.4%未満の重量減少を示す。
【0293】
形態Iの重量蒸気収着系プロットは、
図3に示されている。形態Iは、相対湿度約0%から約95%への相対湿度増加に供した場合に約1%未満の質量増加を示す。
実施例3
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Iの再結晶化研究
【0294】
24.10gの形態Iに24mlのアセトニトリル/3%水(v/v)を追加した。懸濁液を76℃に加熱したところ、透明な溶液が観察され、次いで、これをシード添加せずに0.2℃/分で5℃に冷却した。固体をろ過し、真空オーブン中、50℃で2.5日間乾燥させて、
図1の特徴的なXRPDを有する72%の形態Iを得た。
【0295】
別の実験では、1.50gの形態Iに8mlの1-プロパノール(5.3容量)を追加した。懸濁液を88℃で加熱したところ、透明な溶液が観察され、次いで、これをシード添加せずに0.5℃/分で5℃に冷却した。固体をろ過し、真空オーブン中、50℃で2.5日間乾燥させて、
図1の特徴的なXRPDを有する88%の形態Iを得た。
【0296】
一般に、10容量のアセトニトリル/3%水(v/v)または1-プロパノールを使用して、形態Iを成功裏に再結晶化することができる。アセトニトリルを使用する場合、水の量は重要である:この物質の良好な溶解度を得るためには3%の水が必要であるが、4%の水は形態IVにつながり得る。
実施例4
水溶液および有機溶媒中の(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Iの溶解度
【0297】
100mgの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Iをガラスバイアルに計量し、1mlの関連水性媒体を追加した。バイアルを振盪した。1時間後、シリンジを用いてサンプル(約0.5ml)を取り出し、シリンジフィルタ(0.2ミクロン)を通して第2のバイアルにろ過した。次いで、200μlの各溶液をHPLCバイアルに移し、800μlの希釈剤を追加することによって1mlにした。HPLCによってこれらのサンプルを直接分析したところ、応答は、直線性範囲外であった。したがって、0.1mlの各サンプルを採取し、希釈剤で2mlにして、第2の希釈を実施した。HPLCによって、サンプルを再分析した。次いで、懸濁液を合計18時間振盪した後、上記のように、第2のサンプルを採取した。次いで、上記のように、すべてのサンプルを希釈し、HPLCによって分析した。温度を記録し(22℃)、ゲル化は観察されなかった。
【0298】
形態Iは、試験したpH範囲(1.2~6.8)にわたって非常に一貫して非常に高い溶解度を示す。それは、pH1.2およびpH6.8においてわずかに高い。
【0299】
水性媒体に代えて8つの異なる有機溶媒を使用して、上記の手順を繰り返した(分析は18時間後のみ)。使用した溶媒は、アセトニトリル、ジエチルエーテル、エタノール、酢酸エチル、イソプロパノール、メタノール、ヘプタンおよびTHFであった。0.3ml中100mgで溶解したメタノールを除いて、すべての溶媒が100mg/mlの懸濁液をもたらした。したがって、さらに70mgの形態Iをメタノールバイアルに追加して、懸濁液を得た。18時間のスラリー化後に、これらの実験を1回サンプリングした。結果は、表3に報告されている。
実施例5
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Iの粒径測定
【0300】
実験のための分散剤としてイソオクタンを使用してMalvern Mastersizer MicroPlus Analyzer(Malvern Instruments,UK)を使用して、形態Iの微粒子の平均粒径および粒径分布を測定した。装置を約1時間ウォームアップさせ、約100mlの分散剤をサンプル分散ユニットに追加した。最初に、分散剤を使用して、バックグラウンドを測定した。約100mgの形態Iを2mlの分散剤に追加することによって新鮮サンプルを調製し、これを約5分間超音波処理した。適切な遮蔽値(すなわち、16~25%)が達成され、粒径分布を測定することができるまで、分散剤を撹拌しながらサンプルをサンプル分散ユニットに滴下した。各サンプルについて、最低3回の測定を行った。
【0301】
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Iの粒径分布(PSD)結果は、表4に見ることができる。これらは、反復測定からの選択値である。
実施例6
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Iの安定性研究
【0302】
2ロットの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Iを、長期保存条件および中期保存条件で60カ月間ならびに加速保存条件で6カ月間安定に置いた。保存条件は、25±2℃/60±5%RHの長期保存条件、30±2℃/65±5%RHの中期保存条件、および40±2℃/75±5%RHの加速保存条件を含む。安定性の結果は、表5に報告されている。
【0303】
2ロットの形態Iについて、最大3カ月間の安定性データが表5に示されている。これらロットの加速および長期安定性研究の結果は、25℃/60%RHの長期保存条件で最大3カ月間および40℃/75%RHの加速保存条件で3カ月間保存した場合の形態Iの化学的および物理的安定性を実証している。
【0304】
【0305】
【0306】
【0307】
【0308】
【0309】
【表6A】
実施例7
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態IIの調製
【0310】
186mgの非晶質(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)を、3容量の水中で一晩スラリー化した(室温と50℃との間の4時間の加熱/冷却サイクル)。白色の結晶性物質を得、真空オーブン中、40℃で4時間乾燥させた。
【0311】
形態IIのX線粉末回折パターンは、
図5に示されている。形態IIは、約5.7、15.3および22.5°の2θで表される特徴的なXRP回折ピークを有するが、これは、化合物が形態Iとは異なる結晶性形態(形態II)であることを示唆している。
【0312】
形態IIの示差走査熱量測定サーモグラムは、
図6に示されている。形態IIは、約143℃の開始温度と、155℃のピーク温度とを有する吸熱事象を示す。
実施例8
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態IIIの調製
【0313】
100mgの非晶質(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)を、95:5 1,4-ジオキサン/水中で、周囲温度と50℃とを4時間ごとにサイクルさせて72時間成熟させて、固体を得た。ろ過によって固体を単離し、真空下で3時間乾燥させた。
【0314】
形態IIIのX線粉末回折パターンは、
図8に示されている。形態IIIは、約6.3、18.3、18.9、19.8および20.4°の2θで表される特徴的なXRP回折ピークを有するが、これは、化合物が形態IまたはIIとは異なる結晶性形態(形態III)であることを示唆している。
【0315】
形態IIIの示差走査熱量測定サーモグラムは、
図9に示されている。形態IIIは、約93℃、約158℃および約230℃の吸熱事象温度を示す。
実施例9
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態IVの調製
【0316】
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)(500mg)を1.0mlのアセトニトリル/10%水に71℃で溶解した。次いで、透明な溶液を10℃/時で5℃に冷却した。固体をろ過し、真空下、30℃で1.5時間乾燥させた。
【0317】
形態IVのX線粉末回折パターンは、
図10に示されている。形態IVは、約6.2、10.4、17.9、19.2、19.9および20.2°の2θで表される特徴的なXRP回折ピークを有するが、これは、化合物が形態I、IIまたはIIIとは異なる結晶性形態(形態IV)であることを示唆している。
【0318】
形態IVの示差走査熱量測定サーモグラムは、
図11に示されている。形態IVは、約128℃、約159℃および約237℃の吸熱事象温度を示す。
実施例10
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態Vの調製
【0319】
1.41gの非晶質(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-
ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)を5mlの水中で4時間スラリー化した。白色の結晶性物質をろ過し、乾燥させた。母液を維持した。48時間後、母液から結晶針が沈殿した。粒子を真空オーブン中、室温で2時間乾燥させた。
【0320】
形態VのX線粉末回折パターンは、
図13に示されている。形態Vは、約6.7、7.9、10.7、12.8、17.1および23.7°の2θで表される特徴的なXRP回折ピークを有するが、これは、化合物が形態I、II、IIIまたはIVのいずれとも異なる結晶性形態(形態V)であることを示唆している。
【0321】
形態Vの示差走査熱量測定サーモグラムは、
図14に示されている。形態Vは、約113℃および約181℃の吸熱事象温度を示す。
実施例11
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)、形態VIの調製
【0322】
1.41gの非晶質(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)を5mlの水中で4時間スラリー化した。白色の結晶性物質をろ過し、真空オーブン中、40℃で一晩乾燥させた。
【0323】
形態VIのX線粉末回折パターンは、
図16に示されている。形態VIは、約6.8、8.0、16.3および17.5°の2θで表される特徴的なXRP回折ピークを有するが、これは、化合物が形態I、II、III、IVまたはVのいずれとも異なる結晶性形態(形態VI)であることを示唆している。
【0324】
形態VIの示差走査熱量測定サーモグラムは、
図17に示されている。形態VIは、約175℃および約238℃の吸熱事象温度を示す。
実施例12
式Iの形態I、IIおよびIV間の相平衡
【0325】
形態I(80mg)、形態II(50mg)および形態IV(20mg)を一緒に混合した。次いで、約10mgの混合物を、200μlのプレ飽和溶媒中、所望の温度で13日間スラリー化した。次いで、固体を迅速にろ過し、XRPDによって分析した。
【0326】
形態IVは、アセトニトリル/水>2%の混合物では、5℃で熱力学的生成物であることが見出された。25℃では、形態Iのみが観察された。結果は、表7に要約されている。
実施例13
式Iの形態IおよびIV間の相平衡
【0327】
平衡研究からの形態IおよびIVの懸濁液を25℃にした。一晩撹拌した後、形態IVは変換しなかった。次いで、サンプルを2日間かけて30℃に加熱したところ、形態Iへの変換が完了した。結果は、表8に報告されている。
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
【0333】
【0334】
【0335】
【表13】
実施例14
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)、形態Iの調製
【0336】
(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール塩(32.3g、58.54mmol)のジクロロメタン(300mL)懸濁液に、0.5M NaOH水溶液(150mL)を追加した。有機層を分離し、水(50mL)で洗浄し、次いで、Na2SO4で乾燥させた。有機層をろ過し、得られた混合物にDMAP(1.79g、0.25当量、14.63mmol)およびBoc-L-Val-OH(1
5.26g、1.2当量、70.25mmol)追加した。反応混合物を-10℃に冷却し、EDC(16.83g、1.5当量、87.81mmol)を追加し、得られた混合物を3時間撹拌した。混合物に、0.2当量のBoc-L-Val-OH(2.54g)および0.25当量のEDC(2.8g)を追加した。1.5時間撹拌した後、水を追加し(50mL)、有機層を分離し、5%クエン酸溶液(2×100mL)で洗浄した。合わせた有機抽出物を水(100mL)で洗浄し、次いで、Na2SO4で乾燥させた。有機層をろ過し、乾燥させた。
【0337】
粗製物をジクロロメタンに入れ、5℃に冷却した。混合物に、ジオキサン中4M HCl溶液(64.37mL、4.4当量、257.50mmol)を追加した。さらに20mLのジオキサン中4M HCl溶液を追加した。5時間後、反応混合物を10℃に冷却し、8%NaHCO3水溶液(700mL)を追加した。有機層を分離し、ジクロロメタン(100mL)で水層を抽出した。合わせた有機抽出物を水で洗浄し、次いで、Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮して残留物を得た。残留物にアセトニトリルを追加し、得られた混合物を2.1当量のIPA中3.5N HCl溶液によって5℃で処理した。反応混合物を室温に加温した。EtOAcを追加し、混合物を50℃に加熱し、165mgの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリドをシード添加した。50℃で30分間撹拌した後、さらにEtOAcを追加し、混合物を1時間還流した。加熱を停止し、混合物を室温に到達させた。ろ過によって固体を除去し、EtOAcで洗浄して、15.4gの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリドを得た。
【0338】
形態IのX線粉末回折パターンは、
図20に示されている。形態Iは、約7.2、9.2および18.0°の2θで表される特徴的なXRP回折ピークを有するが、これは、化合物が結晶性形態(形態I)であることを示唆している。熱分析は、相対湿度約0%から約90%への相対湿度増加に供した場合に約14%の質量増加を示している。25℃/92%RHおよび40℃/75%RHにおける7日間の保存は両方とも、形態の変化を誘導した。水溶解度は、pH4.1において>90mg/mL遊離形態当量であると評価した。
実施例15
(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)、形態IIの調製
【0339】
200mgの形態Iの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)を食用皿に薄く広げ、サンプルを25℃/75%RHの環境に72時間曝露することによって、形態IIを調製した。
【0340】
形態IIのX線粉末回折パターンは、
図24に示されている。形態IIは、約4.8、13.3および24.9°の2θで表される特徴的なXRP回折ピークを有するが、これは、化合物が形態Iのものとは異なる結晶性形態(形態II)であることを示唆している。熱分析は10.4%の質量減少を示したが、カールフィッシャー分析では含水量が13.9%m/mであった。水溶解度は、pH4.1において>67mg/mL遊離形態当量であると評価した。
【0341】
VT-XRPD研究では、加熱による形態Iへの変換は示されなかった;この物質は、約160℃を超える温度で非晶質になり、その後、冷却しても結晶化は起こらない。GVS分析では、RHを0%に低下させた場合に、この物質がその質量の約12%を損失することが示された。サンプルを周囲RHに戻した場合、水が容易に再び取り込まれるので、形態変化がこの水分損失に付随するかは不明である。
【0342】
【0343】
【表15-1】
【表15-2】
実施例16
非晶質(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)および(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の調製
【0344】
約15mgの(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)および(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)を、2mLの2:1 tBuOH:水にそれぞれ取り込ませた。得られた透明な溶液をドライアイス/アセトン浴中で急速冷凍し、凍結乾燥して、綿毛状の白色の固体とした。XRPD分析では、各場合において、凍結乾燥物質が非晶質であることが示され、1H NMRでは、各対イオンが依然として存在していたことが確認された。
実施例17
非晶質(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)および(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)の成熟アレイ
【0345】
約50mgの非晶質(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジ(4-メチルベンゼンスルホネート)(式I)および(S)-(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-イル2-アミノ-3-メチルブタノエートジヒドロクロリド(式II)を、48個の各バイアルに計量した。十分な指定溶媒を追加して流動性スラリーを形成させ、周囲温度と50℃とを4時間ごとにサイクルさせて、バイアルを72時間インキュベートした。この時点で存在するあらゆる固体をろ過によって単離し、XRPDに
よって分析した。固体を伴わない実験をキャップを外し、核形成させた;これらはいずれも、いかなる結晶性物質も供給せず、すべて粘着性物質を与えた。結果は、表16に示されている。
【0346】
【0347】
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの対イオンスクリーン
【0348】
約50mgの(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステル遊離塩基を54個の各HPLCバイアルに計量した。次いで、500μLの関連溶媒をそれぞれに追加し、バイアルを室温で1時間振盪し、すべての場合において透明な溶液を得た。次いで、2.0当量の関連
酸を各実験に追加した。次いで、バイアルをインキュベーターに16時間入れて、周囲温度と50℃とを4時間ごとにサイクルさせた。あらゆる可視固体をろ別し、XRPDによって分析した。粘性物質を含有するあらゆるバイアルをさらに60時間インキュベートし、その後、ろ過によってあらゆる固体を単離し、XRPDによって特性評価した。
実施例19
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの貧溶媒媒介性対イオンスクリーン
【0349】
約50mgの(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステル遊離塩基を27本の各反応チューブに計量した。これらのうちの18本に500μLのアセトニトリルを追加し、他の9本に500μLの99:1アセトニトリル/水を追加した。次いで、利用可能な最も濃縮された形態で、2.1当量の関連酸を追加した。十分な酢酸エチルを各チューブに追加して混濁を誘導し、チューブを1時間かけて50℃に加熱し、その後、常に撹拌しながら室温に冷却した。存在するあらゆる固体をろ別し、XRPDによって分析した。実施例18で単離したトシル酸およびシュウ酸の結晶塩形態の再生成に加えて、新たな結晶性の臭化水素酸塩およびメタンスルホン酸塩、ならびに以前に観察されたものとは異なる回折パターンを有するベンゼンスルホン酸塩が同定された。この新たなベシレート形態のDSC分析では、初期吸熱事象、続いて明らかな再結晶化およびその後の溶融が示された。結果は、表17に示されている。
【0350】
【表17-1】
【表17-2】
実施例20
(S)-2-アミノ-3-メチル-酪酸(2R,3R,11bR)-3-イソブチル-9,10-ジメトキシ-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,l-a]イソキノリン-2-イルエステルの貧溶媒媒介性対イオンスクリーンからの塩の多形性評価
【0351】
約10mgの関連塩形態を100μLの指定溶媒に懸濁した。次いで、周囲温度と50℃とを4時間ごとにサイクルさせて、懸濁液を72時間インキュベートした。室温に冷却した後、存在するあらゆる固体をろ別し、XRPDによって分析した。結果は、表18に示されている。
【0352】
【0353】
すべての塩について、追加のピークを有する回折パターンが認められたが(上記表では新たなパターンの可能性として表記されている)、MIBKおよびDCMから単離された臭化水素酸塩について、新たな形態が最終的に同定された。他の場合では、物質はほとんどが、実験に投入されたのと同じ形態のものであり、いくつかのさらなるピークが存在した。
【0354】
【0355】
形成された塩はすべて、投入物質と同程度の化学量論および純度の両方(bis stoichiometry and purity)を示す。
【0356】
上記実施例は、実施形態を作製および使用する方法に関する十分な開示および説明を当業者に与えるために提供され、本開示の範囲を限定するものではない。上記本開示を実施するための上記様式の改変であって、当業者には自明の改変は、以下の特許請求の範囲内であることを意図する。本明細書で引用されているすべての刊行物、特許および特許出願は、このような各刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書に組み込まれると具体的にかつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。