(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107366
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】gp120 CD4結合部位指向性抗体による治療に感受性のHIV患者を特定する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240801BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240801BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240801BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240801BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240801BHJP
C07K 14/16 20060101ALN20240801BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALN20240801BHJP
【FI】
A61K39/395 S
A61K39/395 D
A61P31/18
A61K45/00
A61K31/519
A61K31/4745
C07K14/16 ZNA
C12Q1/6869 Z
C07K14/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024095062
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2023528062の分割
【原出願日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】63/112,512
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン アール. マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン モルト
(72)【発明者】
【氏名】アイヤッパ パルバンガダ
(57)【要約】
【課題】gp120 CD4結合部位指向性抗体による治療に感受性のHIV患者を特定する方法の提供。
【解決手段】HIV gp120 CD4結合部位(CD4bs)領域に結合する抗体によって標的化され得るHIVに感染している患者集団を特定する方法が提供される。本方法は、以下のアミノ酸残基:(i)I201及びF353;(ii)I201、I108、及びF353、(iii)I201、I108、A281、及びF353、(iv)I201、E102、I108、A281、及びF353、又は(v)I201、E102、I108、A281、Y318及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴う。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月11日に出願された米国仮出願第63/112,512号に対し、米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年10月8日に作成されたASCIIコピーの名称は1352-WO-PCT_SL.txtであり、サイズは207,425バイトである。
【背景技術】
【0003】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症及び関連する疾患は、世界中で大きな公衆衛生問題である。HIV感染症のための現在承認されているほとんどの治療法は、ウイルス逆転写酵素、プロテアーゼ酵素、及びインテグラーゼを標的とするが、これらの既存の薬物に対するHIVの耐性、長期毒性、及び毎日の投与レジメンに対する患者の遵守の欠如は、これらの治療に関連する問題であることがわかっている。したがって、新しいHIV薬を発見し、開発することが重要である。
国際公開第2012/154312号、同第2012/158948号、同第2013/016468号、同第2013/086533号、McCoy,Retrovirology(2018)15:70;Sok and Burton,Nat Immunol.2018 19(11):1179-1188、Possas,et al.,Expert Opin Ther Pat.2018 Jul;28(7):551-560;及びStephenson and Barouch,Curr HIV/AIDS
Rep(2016)13:31-37には、gp120のCD4結合部位(CD4bs)領域を標的とし、複数のクレード又はサブタイプ由来のHIV-1種による感染を阻害することができる、HIV感染ドナーのメモリーB細胞に由来するヒト抗HIV抗体が記載されている。抗体の治療的使用は、HIV CD4bs領域抗体によって標的化することができるHIV-1種に感染している患者を特定する必要があるために制限される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/154312号
【特許文献2】国際公開第2012/158948号
【特許文献3】国際公開第2013/016468号
【特許文献4】国際公開第2013/086533号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】McCoy,Retrovirology(2018)15:70
【非特許文献2】Sok and Burton,Nat Immunol.2018 19(11):1179-1188
【非特許文献3】Possas,et al.,Expert Opin Ther Pat.2018 Jul;28(7):551-560
【非特許文献4】Stephenson and Barouch,Curr HIV/AIDS Rep(2016)13:31-37
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
HIV gp120のCD4結合部位(CD4bs)領域を標的とする抗体による治療から利益を得る可能性が最も高い患者を特定する方法が提供される。
したがって、一態様では、HIVの治療又は予防を必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、(a)アミノ酸残基201位に相当する位置にイソロイシン(I201)、並びにアミノ酸残基102位に相当する位置にグルタミン酸からなる群から選択される1以上のアミノ酸残基(E102)、アミノ酸残基108位に相当する位置にイソロイシン(I108)、アミノ酸残基281位に相当する位置にアラニン(A281)、アミノ酸残基318位に相当する位置にチロシン(Y318)、及びアミノ酸残基353位に相当する位置にフェニルアラニン(F353)からなる群から選択されるアミノ酸残基の1以上を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染しているヒト対象を特定する工程であって、前記アミノ酸位置が配列番号3を参照する、工程と、b)CD4結合部位(CD4bs)を含むgp120のエピトープに結合する、VH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む有効量の抗体又はその抗原結合断片を、前記対象に投与する工程と、を含む、方法が提供される。
【0007】
一態様では、CD4結合部位(CD4bs)のgp120のエピトープ又は領域に結合する、VH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む抗体又はその抗原結合断片に感受性のあるHIV又はHIVの集団に感染しているヒト対象を特定する方法であって、ヒト対象由来の生体試料において、以下のアミノ酸残基I201と、E102、I108、A281、Y318及びF353からなる群から選択されるアミノ酸残基の1つ以上のアミノ酸残基と、を含む、gp120を発現するHIVを特定することを含み、前記アミノ酸位置が配列番号3を参照する、方法が提供される。
【0008】
前述の方法の実施形態に関して、いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基:(i)I201及びF353;(ii)I201、I108、及びF353、(iii)I201、I108、A281、及びF353、(iv)I201、E102、I108、A281、及びF353、又は(v)I201、E102、I108、A281、Y318及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴う。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基:(i)I201、I108及びF353;(ii)I201、I108、A281、及びF353、(iii)I201、E102、I108、A281、及びF353、(iv)I201、E102、I108、A281、Y318及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、以下のアミノ酸残基:(i)I201、I108、A281、及びF353、(ii)I201、E102、I108、A281、及びF353、又は(iii)I201、E102、I108、A281、Y318及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴う。いくつかの実施形態では、HIV集団中のHIV種の少なくとも90%、例えば少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が、列挙されたアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、投与されるHIV gp120 CD 4bs結合抗体又はその抗原結合断片は、3BNC117、GS-9723、GS-5423、3BNC60、b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01 VRC08、VRC0801、NIH45-46、PGV04(VRC-PG04);CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、1-18、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235及びCH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9、並びにN60P25からなる群から選択される抗体由来のVH及びVL領域と競合するか又はそれらを含む。複数の実施形態では、HIV gp 120 CD4 bs結合抗体又はその抗原結合断片は、3BNC117、GS-9723、GS-5423、3BNC60、VRC01、VRC07及びVRC07-523からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、指示位置(EUインデックスナンバリング)において、以下のアミノ酸:(i)252位のチロシン、254位のスレオニン及び256位のグルタミン酸(YTE);又は、(ii)428位のロイシン及び434位のセリン(LS)を含むFc領域を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、指示位置(EUインデックスナンバリング)に以下のアミノ酸:(i)239位のアスパラギン酸及び332位のグルタミン酸(DE);(ii)239位のアスパラギン酸、332位のグルタミン酸、及び330位のロイシン酸(DEL)、(iii)239位のアスパラギン酸、332位のグルタミン酸、236位のアラニン(DEA);(iv)239位のアスパラギン酸、332位のグルタミン酸、236位のアラニン及び330位のロイシン(DEAL)を含むFc領域を含む。いくつかの実施形態では、方法は抗原結合断片を投与することを伴う。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、scFv、Fab、Fab2、Fab’、F(ab’)2、Fv及びダイアボディからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗体は多重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに急性感染している。いくつかの実施形態では、抗体は、FiebigステージIV又はそれ以前のHIV感染症を有するヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗体は、抗体陽転していないヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに最近感染している。いくつかの実施形態では、抗体は、FiebigステージV又はFiebigステージVIのHIV感染を有するヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに慢性感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Bウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Aウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Cウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、方法は、HIV感染症を治療するための1種以上の追加の治療薬を対象に投与することを更に伴う。いくつかの実施形態では、対象は抗レトロウイルス療法(ART)を受けていないか、又はARTが前記抗体の投与前に中止される。いくつかの実施形態では、ARTは、抗体又はその抗原結合断片の1回以上の投与後に中止される。いくつかの実施形態では、方法は、1種以上の抗レトロウイルス療法(ART)薬を前記対象に投与することを更に伴う。いくつかの実施形態では、方法は、以下:(i)N332オリゴマンノースグリカンを含む第3の可変ループ(V3)(例えば、高マンノースパッチ);(ii)第2の可変ループ(V2)及び/若しくはEnv三量体先端、(iii)gp120/gp41界面、又は(iv)gp120のサイレント面からなる群から選択される、gp120のエピトープ又は領域に結合する、第2の抗体又はその抗原結合断片を対象に投与することを更に伴う。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合断片は、N332オリゴマンノースグリカンを含む第3の可変ループ(V3)(例えば、高マンノースパッチ)中のgp120のエピトープ又は領域に結合し、GS-9722(エリポビマブ)、GS-2872、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-122、PGT-123、PGT-124、PGT-125、PGT-126、PGT-128、PGT-130、PGT-133、PGT-134、PGT-135、PGT-136、PGT-137、PGT-138、PGT-139、10-1074、10-1074-J、VRC24、2G12、BG18、354BG8、354BG18、354BG42、354BG33、354BG129、354BG188、354BG411、354BG426、DH270.1、DH270.6、PGDM12、VRC41.01、PGDM21、PCDN-33A、BF520.1及びVRC29.03からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合断片は、N332オリゴマンノースグリカンを含む第3の可変ループ(V3)(例えば、高マンノースパッチ)内のgp120のエピトープ又は領域に結合し、10-1074、10-1074-J、GS-9722(エリポビマブ)、GS-2872、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414及びPGT-134からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、以下のアミノ酸残基;N332グリカン、D325及びT63;N332グリカン、D325、及びL179、N332グリカン、D325、及びT320、N332グリカン、D325、及びH330、N332グリカン、D325、T63、及びL179、N332グリカン、D325、T63、及びT320、N332グリカン、D325、T63、及びH330、N332グリカン、D325、L179、及びT320、N332グリカン、D325、L179、及びH330、N332グリカン、D325、T320、及びH330、N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330、N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320、N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330、N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330、又はN332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330を含むgp120を発現するHIVに感染しており、位置及び残基は配列番号3を参照する。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合断片は、第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端のgp120のエピトープ又は領域に結合し、PG9、PG16、PGC14、PGG14、PGT-142、PGT-143、PGT-144、PGT-145、CH01、CH59、PGDM1400、CAP256、CAP256-VRC26.08、CAP256-VRC26.09、CAP256-VRC26.25、PCT64-24E及びVRC38.01からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合断片は、CD4結合部位(CD4bs)におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01 VRC08、VRC0801、NIH45-46、1.52.64-1、GS-5423、3BNC117、3BNC60、VRC-PG04、PGV04;CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、N6LS(VRC-HIVMAB091-00-AB)、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235 and CH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9及びN60P25からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合断片は、gp120/gp41界面のgp120のエピトープ又は領域に結合し、PGT-151、CAP248-2B、35O22、8ANC195、ACS202、VRC34及びVRC34.01からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合断片は、gp120サイレント面のエピトープ又は領域に結合し、抗体VRC-PG05由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合断片は、膜近位領域(MPER)のgp41のエピトープ又は領域に結合し、10E8、10E8v4、10E8-5R-100cF、4E10、DH511.11P、2F5、7b2、及びLN01からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、第2の抗体又はその抗原結合断片は、gp 41融合ペプチドのエピトープ又は領域に結合し、VRC34及びACS202からなる群から選択される抗体由来のVH及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む。いくつかの実施形態では、方法は、対象にTLRアゴニストを投与することを更に伴う。いくつかの実施形態では、TLRアゴニストは、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、又はTLR9アゴニストである。いくつかの実施形態では、TLR7アゴニストは、ベサトリモド、イミキモド、及びレシキモドからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、抗体又はその抗原結合断片の、任意にTLRアゴニストとの、所定の間隔での複数回投与を伴う。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片の1回以上の投与の後、対象は、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間又はそれ以上にわたって、抗レトロウイルス治療(AR
T)の非存在下でHIV又はAIDSの症状を示さない。いくつかの実施形態では、抗体の1回以上の投与の後、前記対象は、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間又はそれ以上にわたって、抗レトロウイルス治療(ART)の非存在下で、500未満、例えば、400未満、300未満、200未満、100未満、50未満のウイルス量コピー/mL血液を有する。いくつかの実施形態では、gp120アミノ酸は、対象から単離されたHIV又はHIVの集団から発現される、1つ以上のgp120ポリペプチド配列において特定される。いくつかの実施形態では、gp120アミノ酸は、対象から単離されたHIV又はHIVの集団に由来する1つ以上のgp120ポリヌクレオチド配列において特定される。いくつかの実施形態では、本方法は、HIVの集団からのgp120をコードするポリヌクレオチド配列に対して次世代シーケンシング(NGS)を実施することを伴う。いくつかの実施形態では、gp120バリアントは、ウイルス集団の約1%の頻度レベルで検出される。いくつかの実施形態では、gp120アミノ酸は、前記対象由来の1つ以上の生体試料において特定され、前記1つ以上の生体試料は、血液、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、精液又はリンパ節から得られる。いくつかの実施形態では、本方法は、血清又は血漿試料中のHIV RNAの集団を特定することを伴う。いくつかの実施形態では、本方法は、対象から1以上の生体試料を得る工程を更に含む。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、対象から得られる。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、2つ以上の異なる時点で同じ組織又は体液から得られる。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、異なる組織若しくは体液から、又は異なる解剖学的位置から得られる。
定義
【0009】
「1つの(a)」及び「1つの(an)」という語は、特に明記しない限り、1つ以上を
示す。
【0010】
「約」は、基準となる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、又は長さと30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%だけ異なる数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量、又は長さを意味する。用語「約」と関連して使用される数値の文脈において論じられる任意の実施形態において、用語「約」は省略され得ることが特に企図される。
【0011】
文脈上他に要求されない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語及びその変形、例えば「含む(comprises)」、すなわち「含む(comprising)」は、オープンかつ包括的な意味で、すなわち「含むが、限定されない」として
解釈されるべきである。「含む(comprise)」又は「含む(comprising)」という用語が本明細書で使用される場合、本開示は、これらの用語が「からなる(consist of)」又
は「から本質的になる(consist essentially of)」又は「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」で置き換えられる実施
形態を更に含むことが理解される。
【0012】
「からなる(consisting of)」とは、「からなる(consisting of)」という語句に続くものを含み、それに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在しなくてもよいことを示す。
【0013】
「から本質的になる(consisting essentially of)」とは、句の後に列挙された任
意の要素を含むことを意味し、列挙された要素について本開示で指定された活性又は作用に干渉又は寄与しない他の要素に限定される。したがって、「から本質的になる」という句は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意によるものであり、それらが列挙された要素の活性又は作用に影響を及ぼすかどうかに応じて存在してもしなくてもよいことを示す。
【0014】
本明細書を通して「一実施形態」又は「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所における「一実施形態では」又は「実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0015】
「増加した」又は「増強された」量は、典型的には「統計的に有意な」量であり、本明細書に記載の量又はレベルの1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、又は50倍以上(例えば、100、500、1000倍)(例えば、2.1、2.2、2.3、2.4など、1の間及び1より上の全ての整数及び小数点を含む)の増加を含み得る。これはまた、本明細書に記載の量又はレベルの、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の増加も含み得る。
【0016】
「減少した」又は「減少した」又は「より少ない」量は、典型的には「統計的に有意な」量であり、約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、又は50倍又はそれ以上(例えば、100、500回、1000回)の減少を含み得る(全ての整数及び1の間及び1より上の小数点、例えば,1.5、1.6、1.7を含む。1.8等の間及び上の全ての整数及び小数点を含む)である減少を指す。これはまた、本明細書に記載の量又はレベルの、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも500%、又は少なくとも1000%の減少も含み得る。
【0017】
「組成物」は、活性薬剤、例えば、造影剤及び担体、不活性又は活性、例えば、薬学的に許容され得る担体、希釈剤又は賦形剤を含んでもよい。組成物は医薬組成物であってもよい。特定の実施形態では、組成物は無菌であり、エンドトキシンを実質的に含まないか、又は使用される投与量又は濃度でレシピエントに対して非毒性である。
【0018】
「薬学的に許容され得る担体、希釈剤又は賦形剤」としては、限定されないが、任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、風味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒又は乳化剤が挙げられ、これらはヒト又は家畜における使用が許容されるものとして米国食品医薬品局によって承認されている。
【0019】
「生体試料」又は「試料」は、検出可能なHIVを有するか又は有することが疑われる対象由来の任意の体液、細胞又は固形組織試料を指す。
【0020】
「対象」、「個体」又は「患者」は、ヒト及び非ヒト霊長類を含む任意の哺乳動物を指す。いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。
【0021】
本明細書で使用される「緩衝液」という用語は、医薬製剤のpHを安定化する薬学的に許容され得る賦形剤を示す。適切な緩衝液は、当該分野で周知である。適切な薬学的に許容される緩衝液としては、酢酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、トリス緩衝液及びリン酸緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、緩衝液の濃度は、約0.01mM~約1000mM、約0.1mM~約1000mM、約0.1mM~約500mM、約0.1~約200mM、約0.1~約100mM、約1mM~約1000mM、約1mM~約500mM、約1mM~約200mM、約1mM~約100mM、約1mM~約50mM、約2mM~約60mM、約4mM~約60mM、又は約4mM~約40mM、約5mM~約20mM、又は約5mM~約25mMである。
【0022】
「任意による」又は「任意に」は、続いて記載される状況の事象が生じてもよいし、また生じなくてもよいことを意味し、かつ、その説明が、前記事象又は状況が起こる場合と、それが起こらない場合とを含むことを意味する。
【0023】
「医薬組成物」は、哺乳動物、例えば、ヒトに生物学的に活性な化合物を送達するための当技術分野で一般的に認められている化合物及び媒体の製剤を指す。したがって、そのような媒体は、任意の薬学的に許容され得る担体、希釈剤又は賦形剤を含み得る。
【0024】
「有効量」又は「治療有効量」とは、単独で又は別の治療薬と組み合わせて細胞、組織又は対象に投与された場合に、対象において治療又は有益な結果をもたらすのに十分な抗体又はその抗原結合断片の量を指す。「有効量」を構成する量は、抗体又はその抗原結合断片及びその具体的な用途、並びに潜在的に治療される対象の状態及びその重症度、投与様式及び年齢に応じて変動するが、当業者であれば、自身の知識及び本開示を考慮して日常的に決定することができる。治療有効用量は更に、感染若しくは疾患の状態、又は感染若しくは疾患の進行を治療、予防若しくは改善するのに十分な抗体又はその抗原結合断片の量、及びそのような状態の治療、治癒、予防又は改善の速度の増加をもたらすのに十分な量を指す。単独で投与される個々の抗体又はその抗原結合断片に適用される場合、治療有効用量は、その活性成分単独を指す。組み合わせに適用される場合、治療有効用量は、組み合わせて投与されるか、連続的に投与されるか、又は同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす有効成分の組み合わせ量を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、目的の疾患、傷害、又は状態(例えば、対象(例えば、目的の疾患又は状態を有する、ヒトなどの哺乳動物)におけるHIV-1感染症)の治療を包含し、かつ以下:(i)疾患、傷害、若しくは状態の進行を阻害すること、すなわち、その発症を止めること;(ii)疾患、傷害、又は状態を低減若しくは緩和すること、すなわち、疾患若しくは状態の後退を引き起こすこと;又は、(iii)疾患、傷害、若しくは状態から生じる症状を緩和することを含む。本明細書で使用される場合、「疾患」、「障害」、及び「状態」という用語は、互換的に使用され得る。本明細書で使用される場合、「阻害」、「治療」、「治療すること」、及び「寛解すること」は、互換的に使用され、例えば症状の静止、生存の延長、症状の部分的又は完全な改善、及び状態、疾患又は障害の部分的又は完全な根絶を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「予防する」又は「予防」は、(i)対象において、特に、そのような対象が状態にかかりやすいが、その状態を有するとまだ診断されていない場合、疾患、障害、又は状態が対象に生じるのを予防又は阻害すること;又は(ii)対象において、疾患、傷害若しくは状態が生じる可能性を低減させることを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原エピトープに特異的に結合するために必要な可変領域配列を含む、単離された、若しくは組換え結合剤を意味する。したがって、抗体は、所望の生物学的活性を示す、例えば、特定の標的抗原に結合する任意の形態の抗体又はその断片である。したがって、その用語は最も広い意味で使用され、具体的には、所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ナノボディ、ダイアボディ、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、並びにscFv、Fab及びFab2を含むがこれらに限定されない抗体断片を包含する。
【0028】
「ヒト抗体」という用語は、可能性のある非ヒトCDR領域を除いて、ヒト起源の配列を含む抗体を指し、Ig分子の完全な構造が存在することを意味せず、抗体がヒトにおいて最小限の免疫原性効果を有することのみを意味する。
【0029】
「抗体断片」は、インタクト抗体の一部、例えばインタクト抗体の抗原結合領域又は可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;線状抗体例えば、Zapataら,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995));一本鎖抗体分子(例えば、scFv);及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。抗体のパパイン消化により、各々が単一の抗原結合部位を有する「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、及び容易に結晶化する能力を反映する名称である残留「Fc」断片が生成される。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、抗原を架橋することができるF(ab’)2断片が得られる。
【0030】
「Fv」は、完全な抗原認識及び結合部位を含む最小の抗体断片である。この領域は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとが密接に非共有結合した二量体からなる。この立体配置では、各可変ドメインの3つのCDRSが、典型的には相互作用して、VH-VL二量体の表面上に抗原結合部位を規定する。一般に、6つのCDRは集合的に抗体に抗原結合特異性を付与するが、例えば、1つ以上のCDRのアミノ酸配列を改変することによって、例えば、アミノ酸の挿入、欠失又は置換によって、6つのCDRのうちの1つ以上が欠失又は修飾された場合、抗原結合特異性が維持される例がある。更に、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合する能力を有する。CDR中に存在する残基以外の残基もまた、軽鎖フレームワーク3中の残基を使用してgp120抗原と相互作用するPGT121及び密接に関連する体細胞バリアントについて示されるように、抗原結合及び/又は特異性に重要であり得、又はその役割を果たし得る(Julienら.Science 342:1477-83(2013);Julienら.PLOS Pathog.9:e1003342(2013))。これらの残基の一部は、PGT121及びHIVEnv上のN332連結グリカン残基及びタンパク質残基の両方と接触する関連する体細胞バリアント(例えば、PGT122、PGT123、PGT124、PGT133、PGT134、10-1074)における普通ではない短い表面ループを延長する異常な3アミノ酸挿入から生じ、LCCDR2と3との間のPGT121軽鎖に追加の(例えば、第4の)相補性決定領域(CDR)ループを効果的に形成する。
【0031】
「超可変領域」という用語は、典型的には抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、「相補性決定領域」又は「CDR」由来のアミノ酸残基(例えば、VLにおいて、約24~34(L1)、50~56(L2)、及び89~97(L3)の残基、並びにVHにおいて、約31~35(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3の残基)を、Kabatナンバリングシステム(Kabatら,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版、Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991));に従ってナンバリングして含み;及び/又は「超可変ループ」由来の残基は、(例えば、Chothiaナンバリングシステムに従ってナンバリングされた場合、VL中の残基24~34(L1)、50~56(L2)及び89~97(L3)、並びにVH中の残基26~32(H1)、52~56(H2)及び95~101(H3)を含み(Chothia及びLesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987));及び/又は「超可変ループ」VCDR由来の残基例えば、IMGTナンバリングシステムに従ってナンバリングされた場合、VL中の残基27~38(L1)、56~65(L2)及び105~120(L3)、並びにVH中の27~38(H1)、56~65(H2)及び105~120を含む(H3;Lefranc,M.P.ら、Nucl.Acids
Res.」27:209-212(1999)、Ruiz,M.Nucl.Acids
Res.」28:219-221(2000)を参照されたい)。任意に、抗体は、以下に従ってナンバリングされた場合、VL内の以下の点28、36(L1)、63、74~75(L2)及び123(L3)、並びにVH内の28、36(H1)、63、74~75(H2)及び123(H3)のうちの1つ以上に対称的な挿入を有する;AHo;Honneger,A.及びPlunkthun,A.J.Mol.Biol.309:657-670(2001))。
【0032】
「Fab」断片は、抗原に結合する抗体上の領域である。これは、重鎖及び軽鎖のそれぞれの1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメインから構成される。これらのドメインは、モノマーのアミノ末端にパラトープ(抗原結合部位)を形成する。2つの可変ドメインは、それらの特異的抗原上のエピトープに結合する。Fab断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端にいくつかの残基を付加する点においてFab’断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’についての本明細書における呼称である。F(ab’)2抗体断片は、元々、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的結合も公知である。
【0033】
任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの可変ドメイン又は定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2に更に分割され得る。
【0034】
「一本鎖Fv」又は「scFv」又は「sFv」抗体断片は、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。いくつかの実施形態では、Fvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーを更に含み、これにより、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することが可能になる。
【0035】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さい抗体断片を指し、この断片は、同じポリペプチド鎖(VH-VL)中の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成し、2つの抗原結合部位を作り出すことを強いられる。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;及びHollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)に、より詳細に記載されている。
【0036】
「単離」抗体又はその抗原結合断片は、その天然環境の成分から特定、並びに分離及び/又は回収されたものである。その自然環境の混入成分は、抗体の診断的又は治療的用途を妨げる材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、(1)ローリー法によって求められる抗体の95重量%超まで、例えば99重量%超まで、(2)スピニングカップシークエンターの使用によってN末端若しくは内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、又は(3)クーマシーブルー若しくは銀染色を使用する還元若しくは非還元条件下でSDS-PAGEによって均一になるまで精製される。単離抗体は、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないので、組換え細胞内のインサイチュでの抗体を含む。しかしながら、通常、単離抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0037】
特定のポリペプチド上の特定のポリペプチド又はエピトープに「特異的に結合する」又は「特異的である」抗体又はその抗原結合断片は、任意の他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに結合するものである。いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、抗原、例えば、HIV-1gp120ポリペプチドに特異的に結合し、解離定数Kdが、100nM以下、任意に10nM未満、任意に1nM未満、任意に0.5nM未満、任意に0.1nM未満、任意に0.01nM未満、又は任意に0.005nM未満であって、約4℃、25℃、37℃、又は42℃の温度で測定された、モノクローナル抗体、scFv、Fab、又は他の形態の抗体の形態である。抗体の親和性は、従来の技術、例えば、Scatchardら(Ann.N.Y.Acad.Sci.USA 51:660(1949)、ELISAアッセイ、バイオレイヤー干渉法(BLI)アッセイ、)アッセイ、及び表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ)により容易に決定することができる。抗原、その細胞又は組織に対する抗体の結合特性は、一般に、例えば、免疫組織化学(IHC)及び/又は蛍光活性化細胞選別(FACS)などの免疫蛍光ベースのアッセイを含む免疫検出法を使用して決定及び評価してもよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、「内在化」する抗体は、哺乳動物細胞上の抗原(例えば、細胞表面ポリペプチド又は受容体)に結合すると、細胞によって取り込まれる(すなわち、それに入る)抗体である。内在化抗体は、当然のことながら、抗体断片、ヒト抗体又はキメラ抗体、及び抗体コンジュゲートを含む。特定の治療用途では、インビボでの内在化が企図される。内在化された抗体分子の数は、細胞を死滅させるか、又はその増殖、特に感染細胞を阻害するのに十分であるか、適切である。抗体又は抗体コンジュゲートの効力に応じて、いくつかの例では、細胞への単一の抗体分子の取り込みは、抗体が結合する標的細胞を死滅させるのに十分である。例えば、特定の毒素は、抗体にコンジュゲートされた毒素の1分子の内在化が感染細胞を死滅させるのに十分であるように、死滅において非常に強力である。
【0039】
「アンタゴニスト」抗体という用語は最も広い意味で使用され、特異的に結合するエピトープ、ポリペプチド又は細胞の生物学的活性を部分的又は完全に遮断、阻害又は中和する抗体を含む。アンタゴニスト抗体を特定するための方法は、候補アンタゴニスト抗体に特異的に結合したポリペプチド又は細胞を候補アンタゴニスト抗体と接触させること、及びポリペプチド又は細胞に通常関連する1つ以上の生物学的活性の検出可能な変化を測定することを含み得る。
【0040】
「感染細胞の増殖を阻害する抗体」又は「増殖阻害性」抗体は、抗体が結合したHIV 1エピトープを発現し、又は発現することができる感染細胞に結合し、その増殖阻害を測定可能にするものである。好ましい増殖阻害性抗体は、適切な対照と比較して、20%超、好ましくは約20%~約50%、更により好ましくは50%超(例えば、約50%~約100%)、感染細胞の増殖を阻害し、対照は典型的には試験される抗体で処置されていない感染細胞である。増殖阻害は、細胞培養物中の約0.1~約30μg/mL又は約0.5nM~約200nMの抗体濃度で測定することができ、増殖阻害は、感染細胞を抗体に曝露した1~10日後に決定される。インビボでの感染細胞の増殖阻害は、当技術分野で公知の様々な方法で決定することができる。約1μg/kg~約100mg/kg体重の抗体の投与は、抗体の最初の投与から約5日~3ヶ月以内、好ましくは約5日~30日以内に感染細胞の割合又は感染細胞の総数の減少をもたらす場合、抗体はインビボで増殖阻害性である。
【0041】
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞収縮、小胞体の拡張、細胞断片化、及び/又は膜小胞(アポトーシス小体と呼ばれる)の形成によって決定されるようなプログラム細胞死を誘導する抗体である。好ましくは、細胞は感染細胞である。アポトーシスに関連する細胞事象を評価するための様々な方法が利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)の転座は、アネキシン結合によって測定することができ;DNA断片化は、DNAラダリングによって評価することができ;DNA断片化を伴う核/クロマチン凝縮は、低二倍体細胞の任意の増加によって評価することができる。好ましくは、アポトーシスを誘導する抗体は、アネキシン結合アッセイにおいて、未処理細胞と比較して約2倍~50倍、好ましくは約5倍~50倍、最も好ましくは約10倍~50倍のアネキシン結合の誘導をもたらす抗体である。
【0042】
抗体「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因する生物学的活性を指し、抗体アイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例としては:Clq結合及び補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)、貪食作用例えば、抗体依存性細胞媒介性貪食作用(ADCP);細
胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;並びにB細胞活性化が挙げられる。
【0043】
「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性」又は「ADCC」は、特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合し、これらの細胞毒性エフェクター細胞が抗原を有する標的細胞に特異的に結合し、続いて細胞毒素で標的細胞を擦傷することができるように、分泌されたIgが結合した細胞傷害性の形態を指す。抗体は細胞傷害性細胞を「備え(arm)」、
そのような殺傷に必要である。ACC、NK細胞を媒介するための初代細胞はFcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)の、第464頁の表4に概説されている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号若しくは同第5,821,337号に記載されているものなどのインビトロADCCアッセイが実施され得る。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代わりに、又は、加えて、抗体又はその抗原結合断片のADCC活性を、インビボにおいて、例えば、動物モデルにおいて、例えば、Clynesら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルで評価してもよい。
【0044】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明する。特定の実施形態では、FcRは天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び選択的にスプライシングされた形態を含む。FcγRII受容体としては、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは主にその細胞質ドメインにおいて異なるアミノ酸配列を有し、活性化細胞質領域に融合されたFcγRIIB細胞外ドメインを含むFcγRIICが挙げられる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害性受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch及びKinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991);Capel et al,Immunomethods 4:25-34(1994);and de Haas et al,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)に概説されている。将来特定されるものを含む他のFcRは、本明細書における「FcR」という用語に包含される。この用語はまた、胎児への母体IgGの移入に関与する新生児受容体であるFcRnをも含み(Guyerら、J.Immunol.117:587(1976)及びKimら,J.Immunol.24:249(1994))、これは、エンドサイトーシス後のFcRn依存性リサイクリングによる、リソソーム分解からのIgGのサルベージにおいて役割を果たす。内皮細胞における飲作用後のFcRn結合は、抗体の長期間の薬物動態学的半減期を維持するために重要であることが示されている。インビトロでの抗体のpH依存性ヒトFcRn結合の評価は、好ましい臨床的薬物動態の可能性の予測を提供するために行われ得る(Datta-Mannan及びWroblewski,Drug Metab.Dispos.42:1867-1872(2014))。
【0045】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、エフェクター機能を果たす白血球である。好ましくは、細胞は少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、PBMC、NK細胞、単球、細胞傷害性T細胞及び好中球が挙げられ;PBMC及びNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、天然源、例えば、血液から単離され得る。
【0046】
「補体依存性細胞傷害性」又は「CDC」は、相補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、それらの同族抗原に結合している抗体(適切なサブクラスの)に対する補体系(Clq)の第1の構成成分の結合によって、開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods 202:163(1996)において記載されるCDCアッセイが実施され得る。
【0047】
「中和抗体」は、インビトロで宿主及び/又は標的細胞において感染を開始及び/又は永続させるその病原体の能力を中和することができるものである。中和モノクローナルヒト抗体及びその抗原結合断片は本明細書に記載され、抗体はHIV由来の抗原、例えば、gp 120ポリペプチドを認識する。特定の実施形態では、「中和抗体」は、1.5超又は2.0超の中和指数でHIV-1ウイルス、例えば、SF 162及び/又はJR-CSFの侵入を阻害し得る(Kostrikis LGら/Virol.1996;70(1):445-458)。「広域中和抗体」とは、中和アッセイにおいて、2つ以上のHIV-1ウイルス種(多様なクレード(別名、サブタイプ)及びクレード(サブタイプ)内の異なる株由来)を中和する抗体を意味する。広域中和抗体は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上の異なるHIV-1株を中和することができ、株は同じ又は異なるクレード(別名、サブタイプ)に属する。特定の実施形態では、広域中和抗体は、少なくとも2、3、4、5、又は6つの異なるクレード(別名、サブタイプ)に属する複数のHIV-1種を中和し得る。特定の実施形態では、モノクローナル抗体の阻害濃度は、中和アッセイにおいて約50%の投入ウイルスを中和するために、約0.0001μg/mL未満、約0.001μg/mL未満、約0.01μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約0.5μg/mL未満、約1.0μg/mL未満、約5μg/mL未満、約10μg/mL未満、約25μg/mL未満、約50μg/mL未満、又は約100μg/mL未満であり得る。
【0048】
HIVウイルスは特定の群、M、N、O、及びPに分類され、そのうちMは「主要な」群であり、世界的にHIV/AIDSの大部分の原因である。それらの遺伝子配列に基づいて、M群は、異なる地理的位置における有病率によりサブタイプ(クレードとも呼ばれる)に更に細分される。
【0049】
グループM「サブタイプ」又は「クレード」は、遺伝子配列データによって定義されるHIV-1グループMのサブタイプである。グループMサブタイプの例としては、サブタイプA~Kが挙げられる。サブタイプのうちのいくつかは、より毒性であるか、又は異なる薬物に対して耐性であることが知られている。異なるサブタイプのウイルス間の組換えに由来する「循環組換え型」又はCRFも存在し、各々に番号が与えられている。CRF12_BFは、例えば、サブタイプBとFとの間の組換えである。サブタイプAは、西アフリカにおいて一般的である。サブタイプBは、欧州、アメリカ、日本、タイ、及びオーストラリアにおいて優勢な形態である。サブタイプCは、南アフリカ、東アフリカ、インド、ネパール、及び中国の一部において優勢な形態である。サブタイプDは、概して、東部及び中央アフリカにおいてのみ見られる。サブタイプEは、非組換え体として特定されたことはなく、CRF01_AEとしてサブタイプAと組換えられただけである。サブタイプFは、中央アフリカ、南アメリカ、及び東ヨーロッパにおいて見出されている。サブタイプG(及びCRF02_AG)は、アフリカ及び中央ヨーロッパにおいて見出されている。サブタイプHは、中央アフリカに限定される。サブタイプIは、元来、CRF04_cpxとして現在説明されている株を説明するために使用され、cpxは、いくつかのサブタイプの「複雑な」組換えを表す。サブタイプJは、主に北アフリカ、中央アフリカ、及び西アフリカにおいて見出され、カリブ海サブタイプKは、コンゴ民主共和国及びカメルーンに限定される。これらのサブタイプは、A1及びA2、又はF1及びF2などの下位サブタイプ(sub-subtype)に更に分割されることもある。2015年に、サブタイ
プDプロテアーゼを有するサブタイプA、サブタイプD、及びサブタイプGの組換え体であるCRF19株が、キューバにおいてAIDSへの急速な進行と強く関連していることが見出された。
【0050】
「HIV指向性」は、宿主細胞の表面に存在する受容体とのウイルス表面構造との相互作用によって部分的に決定される、特定の宿主細胞に対するHIVウイルスの特異性を指す。患者のウイルスのHIV指向性は、例えば、シーケンシング又はTROFILE(登録商標)アッセイ(monogrambio.comによって測定してもよい(例えば、Leeら、AIDS Res Hum Retroviruses.(2013)29(6):979-84を参照されたい)。
【0051】
HIVは、CD4+ヘルパーT細胞、及びその表面にCD4分子を発現するマクロファージなどの様々な細胞に感染することができる。マクロファージ及びTヘルパー細胞へのHIV-1侵入は、ビリオンエンベロープ糖タンパク質(例えば、gp120)と標的細胞上のCD4分子との相互作用だけでなく、そのケモカイン共受容体との相互作用によっても媒介される。HIV-1又は非シンシチア誘導株(NSI)のマクロファージ(M指向性)株は、侵入にβ-ケモカイン受容体CCR5を使用し、したがってマクロファージ及びCD4+T細胞で複製することができる。これらの株はR5ウイルスと呼ばれる。このCCR5共受容体は、ウイルスの遺伝的サブタイプにかかわらず、ほぼ全ての一次HIV-1分離株によって使用される。T指向性単離株又はシンシチア誘導(SI)株は、初代CD4+T細胞内及びマクロファージ内において複製され、侵入のためにアルファ-ケモカイン受容体、CSCR4を使用する。これらの株はX4ウイルスと呼ばれる。CCR5受容体のみを使用するウイルスはR5と呼ばれ、CXCR4のみを使用するウイルスはX4と呼ばれ、両方を使用するウイルスはX4R5又は二重/混合指向性と呼ばれる。しかしながら、全てのR5ウイルスが増殖性感染のためにマクロファージ上のCCR5を使用することができるわけではないので、共受容体単独の使用はウイルス指向性を説明しない。
【0052】
また、本明細書には、「非中和抗体」も記載されており、これは、特定の実施形態では、ウイルスの1つ以上の株に結合するが、ウイルスを中和しない抗体である。しかしながら、Fc媒介殺傷に関して、非中和抗体は、抗体によって結合されるが中和されないウイルス抗原を発現する細胞を依然として排除することができた。したがって、特定の実施形態では、抗体はウイルス抗原に結合し、ウイルスを中和することなくウイルス感染細胞を排除することができる。
【0053】
「核酸分子」という用語は、ヌクレオチドのポリマー形態を指し、RNA、cDNA、ゲノムDNA、並びに上記の合成形態及び混合ポリマーのセンス鎖及びアンチセンス鎖の両方を含む。特定の実施形態では、ヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、又はいずれかの種類のヌクレオチドの修飾形態、及びそれらの組み合わせを指す。この用語はまた、DNAの一本鎖形態及び二本鎖形態を含むが、これらに限定されない。加えて、ポリヌクレオチド、例えばcDNA又はmRNAは、自然発生及び/又は非自然発生ヌクレオチド結合によって一緒に結合された、自然発生ヌクレオチド及び修飾ヌクレオチドのいずれか又は両方を含み得る。核酸分子は、化学的又は生化学的に修飾されてもよく、又は当業者に容易に理解されるように、非天然又は誘導体化ヌクレオチド塩基を含有してもよい。そのような修飾としては、例えば、標識、メチル化、類似体による自然発生ヌクレオチドの1つ以上の置換、ヌクレオチド間修飾、例として、非荷電結合(uncharged linkage)(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメート等)、荷電結合(charged linkage)(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)、懸垂部分(例えば、ポリペプチド)、インターカレータ(例えば、アクリジン、ソラレン等)、キレート剤、アルキル化剤、及び修飾結合(例えば、αアノマー核酸等)が挙げられる。上記の用語はまた、一本鎖、二本鎖、部分的な二本鎖型(duplexed)、三重鎖、ヘアピン型(hairpinned)、円形、及びパドロック高次構造(padlocked conformation)を含む、任意のトポロジカル高次構造(topological conformation)を含むことも意図される。核酸配列への参照は、別段明記されない限り、その相補体を包含する。したがって、特定の配列を有する核酸分子の参照は、その相補的配列を有する相補鎖を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、コドン最適化された核酸を含む。
【0054】
「作動可能に連結された」という用語は、通常、物理的に連結され、互いに機能的に関係している2つ以上の核酸配列要素を指す。例として、プロモータは、プロモータがコード配列の転写又は発現を開始又は調節することができる場合、コード配列に作動可能に結合され、この場合、コード配列は、「プロモータの制御下」にある理解されるべきである。
【0055】
本明細書で使用する場合、「置換」は、それぞれ異なるアミノ酸又はヌクレオチドによる、1つ以上のアミノ酸又はヌクレオチドの置換を示す。
【0056】
「単離された」核酸は、その自然環境の構成成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常は含有する細胞中に含有される核酸分子を含むが、核酸分子は、染色体外、又はその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0057】
「抗体又はその断片をコードする単離された核酸」とは、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする1つ以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター中のそのような核酸分子、及び宿主細胞内の1つ以上の位置に存在するそのような核酸分子を含む。
【0058】
本明細書で使用する場合、「ベクター」という用語は、それが結合される別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクターと、導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターとを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に結合された核酸の発現を誘導することができる。
【0059】
「ポリヌクレオチドバリアント」とは、この用語が本明細書で使用される場合、本明細書で具体的に開示されるポリヌクレオチドと、1つ以上の置換、欠失、付加、及び/又は挿入が、典型的に異なるポリヌクレオチドである。そのようなバリアントは、自然発生であってもよく、又は例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列の1つ以上を修飾することによって、本明細書に記載のコードされたポリペプチドの1つ以上の生物学的活性を評価することによって、及び/又は当技術分野で周知のいくつかの技術のいずれかを用いて、合成的に生成されてもよい。
【0060】
「ポリペプチドバリアント」とは、この用語が本明細書で使用される場合、本明細書で具体的に開示されるポリペプチドと、1つ以上の置換、欠失、付加、及び/又は挿入が、典型的に異なるポリペプチドである。そのようなバリアントは、天然に存在していてもよく、又は例えば、本明細書に記載のポリペプチド配列の1つ以上を修飾することによって、本明細書に記載のコードされたポリペプチドの1つ以上の生物活性を評価することによって、及び/又は当該技術分野において周知の多くの技術のいずれかを用いることによって、合成的に生成されてもよい。
【0061】
「バリアント」という用語はまた、1つ以上のヌクレオチド又はアミノ酸変異を含む、任意の自然発生又は遺伝子操作された分子を指してもよい。一実施形態では、分子は抗体である。例えば、体細胞バリアントは、同じB細胞系統の一部であるか又は同じB細胞系統に由来する、全ての関連する自然発生抗体を包含し得る。遺伝子操作されたバリアントは、抗体に対して作製された全ての単一の変異又はコンビナトリアル変異を包含し得る。
【0062】
本発明のポリヌクレオチド及びポリペプチドの構造に改変を加えることができ、望ましい特徴を有するバリアント又は誘導体ポリペプチドをコードする機能性分子を得ることができる。ポリペプチドのアミノ酸配列を変更して、本発明のポリペプチドの等価な、又は更には改善されたバリアント若しくは部分を作製することが所望される場合、当業者は、典型的には、コードするDNA配列のコドンの1つ以上を変化させる。
【0063】
例えば、ある特定のアミノ酸は、他のポリペプチド(例えば、抗原)又は細胞に結合する能力を明らかに失うことなく、タンパク質構造中の他のアミノ酸に置換され得る。これはタンパク質の生物学的機能活性を定義するタンパク質の結合能力及び性質であるために、タンパク質配列及び当然その基礎となるDNAコード配列において特定のアミノ酸配列置換を行うことができ、それでも同様の特性を有するタンパク質を得ることができる。したがって、開示された抗体及びその抗原結合断片のポリペプチド配列、又は当該ポリペプチドをコードする対応するDNA配列に、それらの生物学的有用性又は活性を明らかに失うことなく、様々な変更を加えることができると考えられる。
【0064】
多くの場合、ポリペプチドバリアントは、1つ以上の保存的置換を含有する。「保存的置換」とは、同様の特性を有する別のアミノ酸でアミノ酸が置換されたものであり、それにより、ペプチド化学の当業者は、ポリペプチドの二次構造及びヒドロパス性の性質が実質的に変化しないと予想する。
【0065】
ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列を比較する場合、2つの配列は、以下に記載されるように対応を最大にするようにアラインメントされた場合、2つの配列中のヌクレオチド又はアミノ酸の配列が同一である場合、「同一」であると言われる。2つの配列間の比較は、典型的には、配列類似性の局所領域を特定及び比較するために、比較ウィンドウにわたって比較することによって行われる。本明細書で使用する場合、「比較ウィンドウ」とは、少なくとも約20個の連続する位置、通常は30~約75、40~約50、又は配列の全長にわたるセグメントを指し、配列は、2つの配列が最適にアラインメントされた後の同数の連続位置の参照配列と比較され得る。
【0066】
比較のための配列のアラインメントは、デフォルトパラメータを使用して、Lasergene suite of bioinformatics software(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)のMegalignプログラムを使用して行うことができる。このプログラムは、以下の参考文献に記載されているいくつかのアラインメントスキームを実施する:Dayhoff、「M.O.」(1978年)「A model of evolutionary change in proteins-Matrices for detecting distant relationships.」、In Dayhoff,M.O.(編)、「Atlas of Protein Sequence and Structure」、National Biomedical Research Foundation(Washington DC)、第5巻、付録第3巻、第345~358頁;Hein J.(1990年)、「Unified Approach to Alignment and Phylogenes」、第626~645頁、「Methods in Enzymology」、第183巻、Academic Press,Inc.(San Diego、CA);Higgins,D.G.及びSharp,P.M.(1989年)、「CABIOS」第5巻:第151~153頁;Myers,E.W.及びMuller W.(1988年)、「CABIOS」第4巻:第11~17頁;Robinson,E.D.(1971年)、「Comb.Theor」第77巻:第105頁;Santou,N.Nes,M.(1987年)「Mol.Biol.Evol.」第4巻:第406~425頁;Sneath,P.H.A.及びSokal,R.R.(1973年)「Numerical Taxonomy-the Principles and Practice of Numerical Taxonomy」、Freeman Press(San Francisco,CA);Wilbur,W.J.及びLipman,D.J.(1983年)「Proc.Natl.Acad.,Sci.USA」第80巻:第726~730頁。
【0067】
あるいは、比較のための配列のアラインメントは、Smith and Waterman(1981)Add.APL.Math 2:482の局所同一性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443の同一性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA」第85巻:第2444頁の類似法の検索によって、これらのアルゴリズム(GAP、BESTFIT、BLAST、FASTA、及びTFASTA、Wisconsin Genetics
Software Package、Genetics Computer Group(GCG)、575 Science Dr.(Madison、WI))のコンピュータ化実装によって、又は検査によって、行われてもよい。
【0068】
配列同一性パーセント及び配列類似性を決定するのに好適なアルゴリズムの一例は、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズムであり、それぞれ、以下に記載されている:Altschulら、(1977年)「Nucl.Acids Res.」第25巻:第3389~3402頁及びAltschulら、(1990年)「J.Mol.Biol.」第215巻:第403~410頁。BLAST及びBLAST2.0は、例えば、本明細書に記載のパラメータと共に使用して、本明細書に記載のポリヌクレオチド及びポリペプチドの配列同一性パーセントを決定することができる。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、米国バイオテクノロジー情報センターを通して公的に入手可能である。
【0069】
例示的な一例では、累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一対の一致する残基の報酬スコア(reward score;常に>0)及びN(ミスマッチ残基についてのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算することができる。各方向におけるワードヒットの延長は、以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアがその最大達成値から分量Xの分だけ低下する場合;累積スコアが1つ以上の負スコア残基のアラインメントの蓄積に起因してゼロ以下になる場合;又は、いずれかの配列の末端に到達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感受性及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、ワード長(W)11、期待値(E)10をデフォルトとして使用し、BLOSUM62は、スコアリングマトリックス(以下を参照されたい:Henikoff and Henikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915)アラインメント、(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、及び両鎖の比較をデフォルトとして使用する。
【0070】
アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを使用して累積スコアを計算することができる。各方向におけるワードヒットの延長は、以下の場合に停止する:累積アラインメントスコアがその最大達成値から分量Xの分だけ低下する場合;累積スコアが1つ以上の負スコア残基のアラインメントの蓄積に起因してゼロ以下になる場合;又は、いずれかの配列の末端に到達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感受性及び速度を決定する。
【0071】
1つのアプローチでは、「配列同一性の割合」は、少なくとも20個の位置、少なくとも50個の位置、少なくとも100個の位置の比較ウィンドウにわたって、又は配列の全長にわたって、2つの最適にアラインメントされた配列を比較することによって決定され、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適なアラインメントのために、参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、20%以下、通常は5~15%、又は10~12%の付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。この百分率は、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列において生じる位置の数を決定して一致した位置の数を得ることによって、計算され、この一致した位置の数を参照配列内の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、結果に100を乗じることによって、配列同一性の百分率が得られる。
【0072】
「相同性」は、配列をアラインメントさせ、必要に応じてギャップを導入して最大の相同性割合を達成した後の、非バリアント配列と同一であるポリヌクレオチド又はポリペプチド配列バリアント中の残基の割合を指す。
【0073】
「結合親和性」は、結合解離定数(Kd)又は見かけの親和性(例えば、EC 50)値を指し得る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】
図1は、HIV gp120 CD4結合部位特異的抗体である3BNC117及びそのバリアントに対する感受性を予測する遺伝子型を有するチューリッヒ一次HIV感染コホート研究からのスクリーニングされた対象の数を示す。93名の個体からのART前血漿試料をGenoSure HIVエンベロープRNAアッセイで分析した。「全て」は、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸を選択しない全てのスクリーニングされた個体を示す。各カテゴリーについて示されるアミノ酸位置。
【0075】
【
図2】
図2は、3BNC117及びそのバリアントに対する感受性を予測する遺伝子型を有するチューリッヒ一次HIV感染コホート研究からのスクリーニングされたサブタイプB対象の数を示す。60名のサブタイプB感染個体由来のART前血漿試料をGenoSure HIVエンベロープRNAアッセイで分析した。「全て」は、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸を選択しない全てのスクリーニングされた個体を示す。各カテゴリーについて示されるアミノ酸位置。
【0076】
【
図3】
図3は、チューリッヒ一次HIV感染コホート研究からのART前血漿試料に由来するスウォームウイルスに対する3BNC117及びそのバリアントに対する感受性を示す。GenoSure HIVエンベロープRNAアッセイからのデータを含む76個の78個の試料からのウイルスを、PHENOSENSE(登録商標)HIVエントリーアッセイ(Monogram Biosciences)で分析した。「全て」は、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸を選択しない全てのスクリーニングされた個体を示す。各カテゴリーについて示されるアミノ酸位置。
【0077】
【
図4】
図4は、チューリッヒ一次HIV感染コホート研究からのサブタイプB前ART血漿試料に由来するスウォームウイルスに対する3BNC117及びそのバリアントに対する感受性を示す。GenoSure HIVエンベロープRNAアッセイからのデータを有する53のサブタイプBの試料からのウイルスを、PHENOSENSE(登録商標)HIVエントリーアッセイ(Monogram Biosciences)で分析した。「全て」は、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸を選択しない全てのスクリーニングされた個体を示す。各カテゴリーについて示されるアミノ酸位置。
【0078】
【
図5】
図5は、V3グリカン指向性抗体GS-9722(エリポビマブ)に対する感受性を予測する遺伝子型を有するチューリッヒ一次HIV感染コホート研究からのスクリーニングされた対象の数を示す図である。92名の個体からのART前血漿試料をGenoSure HIVエンベロープRNAアッセイで分析した。「なし」は、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸について選択されていない全てのスクリーニングされた個体を示す。各カテゴリーについて示されるアミノ酸位置。
【0079】
【
図6】
図6は、GS-9722に対する感受性を予測する遺伝子型を有するチューリッヒ一次HIV感染コホート研究からのスクリーニングされたクレード(別名、サブタイプ)Bの対象の数を示す。59名のクレードB((別名)サブタイプ)に感染した個体由来のプレART血漿試料を、GenoSure HIVエンベロープRNAアッセイにおいて分析した。「なし」は、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸について選択されていない全てのスクリーニングされた個体を示す。各カテゴリーについて示されるアミノ酸位置。
【0080】
【
図7】
図7は、チューリッヒ一次HIV感染コホート研究からのART前の血漿試料に由来するスウォームウイルスに対するGS-9722の感受性を示す。陽性予測値が80.7%以上である29個の試料からのウイルスを、PHENOSENSE(登録商標)HIVエントリーアッセイ(Monogram Biosciences)で分析した。各カテゴリーについて示されるアミノ酸位置。
【0081】
【
図8】
図8は、チューリッヒ一次HIV感染コホート研究からのART前の血漿試料に由来するスウォームウイルスからサブクローニングされたウイルスのGS-9722に対する感受性を示す。遺伝子型判定で感受性が高いと予測され、表現型判定で感受性が高いと判定された4つのART前の血漿試料からの20個のスウォームウイルスを、PHENOSENSE(登録商標)HIV Entry Assay(Monogram Biosciences)で分析した。実線は、スウォームウイルスのIC 50を示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
1.序論
本方法は、部分的には、他のHIV抗原(例えば、gp41)又は同じHIV抗原の重複しないエピトープ(例えば、V3-グリカン領域又はV2先端領域の領域内のgp120に対して向けられる)に対する、追加の抗HIV抗体の同時投与の非存在下で、抗HIV gp120 CD4結合部位(CD4bs)指向性抗体又はその抗原結合断片の投与に応答するHIV感染患者集団の予想外の発見に基づく。このような患者は、CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片によって結合される、gp120タンパク質を有するHIV種に感染している。
【0083】
一般に、本方法は、以下:アミノ酸残基201位に対応する位置のイソロイシン(I 201)、並びにアミノ酸残基102位に対応する位置のグルタミン酸(E102)、アミノ酸残基108位に対応する位置のイソロイシン(I108)、アミノ酸残基281位に対応する位置のアラニン(A281)、アミノ酸残基318位に対応する位置のチロシン(Y318)及びアミノ酸残基353位に対応する位置のフェニルアラニン(F353)からなる群から選択されるアミノ酸残基の1つ以上を含み、アミノ酸位置は配列番号3(すなわち、NCBI参照配列番号NP_057856.1の残基1~511)を参照する、gp 120を発現するHIV又はHIV集団に感染しているヒト対象を特定することを伴う。
2.抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片による治療に応答する対象の特定。
【0084】
いくつかの実施形態では、患者は、指定された目的のアミノ酸位置、例えば、201位、並びに102、108、281、318及び353位からなる群の1つ以上のアミノ酸位置に存在するHIV gp120アミノ酸残基を特定する、患者に感染しているHIV種の報告を受けることによって特定され、アミノ酸位置は配列番号3を参照している。いくつかの実施形態では、患者は、gp120のアミノ酸配列、又は患者に感染しているHIV種のgp120タンパク質の目的の指定されたアミノ酸位置に存在するアミノ酸残基を決定するための1つ以上のアッセイ(例えば、ポリヌクレオチドシーケンシング又はポリペプチドシーケンシング)を行うことによって特定される。対象から得られたgp120タンパク質の全長又は部分配列の特定は、ポリヌクレオチドレベル又はポリペプチドレベルで決定することができる。いくつかの実施形態では、目的のgp120残基位置に存在するアミノ酸は、ポリペプチドレベルで決定される。
【0085】
種々の実施形態では、方法は、I201及びF353を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴い、アミノ酸位置は配列番号3を参照する。
【0086】
種々の実施形態では、方法は、I201、I108及びF353を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴い、アミノ酸位置は配列番号3を参照する。
【0087】
種々の実施形態では、方法は、I201、I108、A281及びF353を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴い、アミノ酸位置は配列番号3を参照する。
【0088】
種々の実施形態では、方法は、I201、E102、I108、A281及びF353を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴い、アミノ酸位置は配列番号3を参照する。
【0089】
種々の実施形態では、方法は、I201、E102、I108、A281、Y318及びF353を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴い、アミノ酸位置は配列番号3を参照する。
【0090】
いくつかの実施形態では、対象はHIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Bウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、対象は、HIVクレード(別名、HIVサブタイプ)A及び/又はHIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Cウイルスに感染している。いくつかの実施形態では、対象は、HIVクレード(別名、HIVサブタイプ)A、クレードB及び/又はHIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Cウイルスに感染している。
gp120
【0091】
エンベロープ糖タンパク質gp120(又はgp120)は、HIVの外層の一部である120kDaの糖タンパク質である。それは、一緒に結合し、gp41タンパク質によって膜に固定されたgp120の3つの分子からなるウイルス膜スパイクとしてそれ自体を提示する。Gp120は、細胞表面受容体との相互作用を介して宿主細胞へのHIVの侵入を容易にするため、ウイルス感染に必須である。これらの受容体には、DC-SIGN、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、及びCD4受容体が含まれる。ヘルパーT細胞上のCD4への結合は、gp120及びgp41における高次構造変化のカスケードの開始を誘導し、これはウイルスと宿主細胞膜との融合をもたらす。
【0092】
CD4結合部位(CD4bs)は、CD4結合を決定し、CD4bsに指向された抗体のエピトープに関与する、gp120のβ1-α1、ループD、β20-β21(架橋シート)、及びβ24-α5内に位置する構造的に保存された部位を含む(Qiao,et
al.,Antiviral Res.2016 Aug;132:252-61)。gp120のCD4bsは、Thr278、Asp279、Ala281、Thr283、Asp368、Trp427、Glu460、Ser461、Glu462、Leu452、Leu453、及びArg476から選択される1つ以上のアミノ酸残基を伴う抗CD4bs抗体によって認識される高次構造エピトープを形成する。アミノ酸残基及び位置ナンバリングは、以下に提供されるNCBI照配列番号NP_057856.1の残基1~511に対応するHXB2サブタイプB HIV-1分離株を基準としている。gp120 CD4bsに寄与し得る残基Thr278、Asp279、Asn280、Ala281、Thr283、Asp368、Trp427、Leu452、Leu453、Gly459、Glu464、Ser465、Glu466、Ile467、Gly472、Gly473、及びArg476を太字及び下線で示す:
【表1】
【0093】
gp120 CD4bsに寄与するアミノ酸残基を示す三次元モデルは、例えば、Canducci,ら,Retrovirology.2009 Jan 15;6:4;Falkowska,ら,J Virol.2012 Apr;86(8):4394-403;及びLi,ら,J.Virol.2012 Oct;86(20):11231-41、Gristick,ら,Nat Struct Mol Biol.2016 Oct;23(10):906-915、Kwon,ら,Nat Struct Mol Biol.2015 Jul;22(7):522-31、Liu,ら,Nat Struct Mol Biol.2017 Apr;24(4):370-378、Chen,ら,Science.2009 Nov 20;326(5956):1123-7、並びにLyumkis,ら,Science.2013 Dec 20;342(6165):1484-90に記載されている。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗体バリアントは、gp120CD4bsへの結合について、抗CD4bs抗体GS-9723、GS-5423、b12、CH103、1NC9、12A12、VRC01、VRC07-523、N6、3BNC117、NIH45-46及び/又はPGV04(VRC-PG04)と競合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体バリアントは、抗CD4bs抗体GS-9723、GS-5423、b12、CH103、1NC9、12A12、VRC01、VRC07-523、N6、3BNC117、NIH45-46及び/又はPGV04(VRC-PG04)によって結合されるエピトープと重複し、又は同一のエピトープに結合する。
【0094】
Gp120は、HIVenv遺伝子によってコードされる。env遺伝子は、約850アミノ酸の遺伝子産物をコードする。初代env産物はタンパク質gp160であり、これは小胞体中で細胞プロテアーゼフリンによってgp120(約480アミノ酸)及びgp41(約345アミノ酸)に切断される。
【0095】
NCBI参照配列番号NP_057856.1で特定されるHIVクローンの例示的なgp160ポリペプチドのアミノ酸配列を以下に提供する(CD4bsには太字及び下線が引かれている):
【表2】
【0096】
HXB2サブタイプB HIV-1分離株の例示的なgp120ポリペプチドのアミノ酸配列(GenBank受託番号K0345;NCBI参照配列番号NP_057856.1の残基1~511に対応する)を以下に提供する(CD4bsを太字及び下線で示す)。
【表3】
【0097】
例示的なgp120ポリペプチドのアミノ酸配列を以下に提供する:
【表4】
【0098】
別の例示的なgp120ポリペプチド(bioafrica.net/proteomics/ENV-GP120prot.htmlを参照)のアミノ酸を以下に提供する。
【表5】
【0099】
独立したヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)分離株間のゲノム多様性は、同じ患者由来の連続的な分離株間ではより程度が低く、単一の患者分離株内でさえも、HIV-1の良く知られた特徴である。この配列不均一性はゲノム全体に分布しているが、不均一性の大部分はenv遺伝子に位置する。いくつかの異なる単離株由来の推定アミノ酸配列の比較は、配列不均一性が、表面糖タンパク質gp120の5つの可変領域(V1~V5と命名される)においてクラスター化されることを示した。V3領域は、わずか35アミノ酸長であるが、かなりの配列可変性を示す。興味深いことに、この可変性にもかかわらず、V3領域は、CD4+細胞との相互作用を媒介する決定基を含む。gp120可変性の増加により、ウイルス複製のレベルがより高くなり、多様なHIV-1バリアントに感染した個体におけるウイルス適応性の増加を示唆する。可能なN結合型グリコシル化部位(PNGS)における可変性もまた、ウイルス適応性の増加をもたらす。PNGSは、gp120の高可変領域への長鎖炭水化物の結合を可能にする。したがって、envにおけるPNGSの数は、中和抗体に対して多かれ少なかれ感受性を提供することによって、ウイルスの適合性に影響を及ぼし得る。
【0100】
gp120上のV3グリカン部位は、部分的にCCR5補助受容体部位の一部によって、及び部分的に周囲のカモフラージンググリカンによって形成される(いわゆる「高マンノースパッチ」)(Sok,ら.,Immunity(2016)45,31-45)。V3グリカン部位に対する広域中和抗体(bnAb)は、HIV感染症に見られる全てのAbの中で最も一般的である(Walker,らl.,PLoS Pathog.(2010)6:e1001028(2010)、Landais,ら.,PLoS Pathog.(2016)12:e1005369;Georgiev,ら.Science(2013)340:751-756).gp120のV3領域のコンセンサス配列(Milichら,J Virol.,67(9):5623-5634(1993)を以下に提供する:
CTRPNNNTRKSIHIGPGRAFYTTGEIIGDIRQAHC(配列番号6)。
生体試料
【0101】
目的のHIV gp120アミノ酸残基は、対象からの生体試料中に存在するか、又は存在すると疑われるHIVから決定される。生体試料は、HIVを含有することが知られているか、又は含有すると疑われる対象の固体組織又は体液に由来し得る。種々の実施形態では、生体試料は、血液、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、精液又はリンパ節を含むか、又はそれらに由来する。いくつかの実施形態では、生体試料は、胆汁、血液、血漿、血清、母乳、糞便、膿、唾液、皮脂、精液、汗、涙、尿又は嘔吐物を含むか又はそれらに由来する。例えば、抗レトロウイルス(ART)療法によってウイルスレベルが抑制されている患者では、生体試料は、HIVリザーバを含むことが公知であるか、又は含有すると疑われる対象の固体組織又は生体液、例えば、潜在HIV感染CD4+T細胞(記憶及び非記憶エフェクターCD4+T細胞を含む)、CD4+T細胞の造血前駆細胞、γδT細胞(記憶及び非記憶エフェクターγδT細胞を含む)、ナチュラルキラー(NK)細胞、骨髄細胞(単球及びマクロファージを含む)、骨髄細胞の造血前駆細胞及び濾胞性樹状細胞を含む固体組織及び/又は生体液を含む。潜在HIV感染細胞を保有し得る解剖学的リザーバとしては、リンパ系組織、脳及び中枢神経系、消化管及び腸関連リンパ系組織(GALT)、生殖管、肺及び皮膚が挙げられる。潜在HIV感染細胞及びHIV蓄積を有することが見出された組織及び細胞は、例えば、Kuoら.,Curr Opin HIV AIDS.(2018)13(2):137-142、Mzingwaneら、Rev Med Virol。2017 Mar;27(2),doi:10.1002/rmv.1924(PMID 28128885);Churchill,ら,Nat Rev Microbiol.(2016)14(1):55-60、Barton,ら,Trends Microbiol.(2016)24(5)345-355に記載されており、これらは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
いくつかの実施形態では、複数の生体試料が、単一の患者から評価される。例えば、いくつかの実施形態では、2つ以上の異なる組織又は2つ以上の異なる解剖学的リザーバからの2つ以上の生体試料が、単一の患者から評価される。
感染のステージ
【0103】
様々な実施形態では、ヒト対象は、成人、若年者、又は乳児である。対象は、症候性(例えば、ウイルス血症)であっても無症候性(例えば、急性感染又はART抑制)であってもよい。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに急性感染しているか、又は最近感染している。ある特定の実施形態では、対象は、抗体陽転していない。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、HIVに慢性感染している。対象は、抗レトロウイルス療法(ART)のレジメンを受けていても受けていなくてもよい。
【0104】
患者は、陽性HIV-1臨床診断アッセイ(PCRによって測定されたウイルスRNA、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定されたp24及びp31ウイルス抗原)における連続的獲得に基づくFiebigステージI~VIに分類することができる。p24抗原は、HIV-1 RNAレベルが10,000コピー/mLを超えて上昇した後、検出可能なHIV抗体が発生する前の上昇期の間に血液中に一時的に出現するウイルスコアタンパク質である。FiebigステージIでは、上昇ウイルス血症の間、血液中のHIV-1 RNAのみを検出することができる。FiebigステージIIは、p24抗原を検出する試験の結果が陽性になった約7日後に始まる。FiebigステージIIIでは、p24抗原試験結果が陽性になった後約5日以内に、IgM抗HIV-1抗体を、十分に感受性の高い酵素免疫アッセイ(EIA)(例えば、第3世代EIA)を用いて検出することができる。ステージIIIは、典型的には、急性レトロウイルス症状の発症の1~2週間後に起こる。FiebigステージIVは、ウェスタンブロット試験が不確定の進行を表し、EIA試験が陽性結果を示した約3日後に起こる。明らかに陽性のウェスタンブロット試験、FiebigステージVへの転換は、概して、最初の感染から更に7日後、又は約1ヶ月後に起こる。HIV感染症のFiebigステージは、例えば、Fiebig,et al.,AIDS.(2003)17(13):1871-9;Cohen,et al.,J Infect Dis.(2010)202 Suppl 2:S270-7、及びMcMichael,et al.,Nature Reviews Immunology(2010)10:11-23に記載されており、これらは、全ての目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、評価される生体試料は、FiebigステージIV又はそれ以前、例えば、FiebigステージI、FiebigステージII、FiebigステージIII又はFiebigステージIVのHIV感染症を有するヒト対象由来である。いくつかの実施形態では、評価される生体試料は、FiebigステージV又はFiebigステージVIのHIV感染症のHIV感染症を有するヒト対象からのものである。
【0105】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象から生体試料を得る工程を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、指定された目的の位置、例えば、332位及び325位、並びに63、179、320、及び330からなる群からの1つ以上のアミノ酸位置に存在するHIV gp120アミノ酸残基の報告を受けることを伴い、アミノ酸位置は、配列番号3を参照している。
目的のgp120アミノ酸の決定。
【0106】
対象の指定された位置、例えば、332及び325、並びに63,179,320及び330からなる群からの1つ以上のアミノ酸位置(アミノ酸位置は配列番号3を参照する)における、対象のHIV gp120配列におけるアミノ酸残基の決定は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドレベルで行うことができる。ポリヌクレオチドのレベルで、1つ以上の生体試料から単離されたHIV RNA又はプロウイルスDNAを、当技術分野で公知の方法を用いてシーケンシングすることができる。いくつかの実施形態では、対象の2つ以上の生体試料から単離されたHIV RNA又はプロウイルスDNAがシーケンシングされる。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、異なる組織源例えば、血液、末梢血単核細胞、リンパ節及び/又は精液から得られる。いくつかの実施形態では、2つ以上の生体試料は、異なる時点、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8週間離れた時点、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12ヶ月離れた時点で得られる。
【0107】
必要に応じて、HIVenvコード配列、特にgp120のCD4bs領域にアニールして増幅するプライマーを使用することができる。いくつかの実施形態では、プライマーのネステッドセットセットを使用することができる。様々な実施形態では、RNAを直接シーケンシングするか、又は逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を実施することができる。いくつかの実施形態では、サンガーシーケンシングは、例えば、CD4bs領域中のアミノ酸残基を決定するためにシーケンシングするとき、又は疾患の初期Fiebigステージ、例えば、FiebigステージIIIの前、例えば、FiebigステージI又はIIの患者からの試料をシーケンシングするときに行うことができる。種々の実施形態では、単一ゲノム増幅(SGA)及びシーケンシングが行われる。単一ゲノム増幅(SGA)及び血漿HIVビリオンRNAのシーケンシングのための方法は、例えば、Salazar-Gonzalez,ら.(2008)J Virol 82:3952-3970;及びKeele,ら.,Proc Natl Acad Sci U S A.(2008)105(21):7552-7に記載されている。本明細書に記載の方法で使用することができる、HIV gp120配列のアミノ酸配列変動を決定するためのSGAの適用は、例えば、Bar,ら.,N Engl J Med.(2016)375(21):2037-2050、並びにMendoza,ら,Nature.(2018)561(7724):479-484に記載されている。種々の実施形態では、ハイスループット、次世代シーケンシング(NGS)、超並列又はディープシーケンシング技術を用いて、単一の患者又は対象からの1つ以上の生体試料中のHIV種の集団から、少なくともCD4bs領域を含むgp120をシーケンシングする。このような場合、gp120の少なくともCD4bs領域をコードする複数の核酸配列がシーケンシングされ、アライメントされる。いくつかの実施形態では、gp120の全長がシーケンシングされる。患者由来の1つ以上の生体試料中のHIV種のgp120配列を決定するために使用することができるNGSシーケンシングを行うための例示的なプラットフォームとしては、Illumina(Solexa)(illumina.com)、Ion torrent:Proton/PGMシーケンシング(thermofisher.com)、SOLiD(thermofisher.com)、及び単一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング(Pacific Biosciences、pacb.com)が挙げられる。少なくともCD4 bs領域を含むHIV gp120を患者から単離し、シーケンシングするための方法であって、本方法で適用することができる方法は、例えば、Shioda,ら.,J Virol.(1997)71(7):4871-81、Colon,ら,J Virol Antivir Res.(2015)4(3).pii:143(PMID:27358904);Kafandoら、PLoS One。(2017)12(12):e0189999;Hebberechtら、PLoS
One。(2018)13(4):e0195679,Andrews,ら,Sci Rep.(2018)8(1):5743、及びLandais,ら.Immunity.(2017)47(5):990-1003に記載されている。必要に応じて、核酸配列のより短い配列リード(「コンティグ」)を、少なくともgp120のCD4bs領域を含むより長い配列に組み立てることができる。本方法において適用され得るHIVゲノム配列のコンティグアセンブリの方法は、例えば、Huang,et al.,Bioinformation.(2018)14(8):449-454;Hiener,ら.,J Vis Exp.(2018)Oct 16;(140).doi:10.3791/58016;及びWymant,ら.,Virus Evol.(2018)May
18;4(1):vey007.doi:10.1093/ve/vey007に記載されている。
【0108】
いくつかの実施形態では、単一の患者における1つ以上の生体試料から得られたHIVの集団におけるgp120のシーケンシングされたCD4bs領域の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%は、アミノ酸残基201位に対応する位置にイソロイシン(I201)と、アミノ酸残基102位に対応する位置にグルタミン酸(E102)、アミノ酸残基108位に対応する位置にイソロイシン(I108)、アミノ酸残基281位に対応する位置にアラニン(A281)、及び、アミノ酸残基318位に対応する位置のチロシン(Y318)及びアミノ酸残基353位に対応する位置のフェニルアラニン(F353)からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み、アミノ酸位置は配列番号3を参照する。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基:I201及びF353、(ii)I201、I108、及びF353、(iii)I201、I108、A281、及びF353、(iv)I201、E102、I108、A281、及びF353、又は(v)I201、E102、I108、A281、Y318及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴う。いくつかの実施形態では、本方法は、以下のアミノ酸残基:(i)I201、I108及びF353;(ii)I201、I108、A281、及びF353、(iii)I201、E102、I108、A281、及びF353、(iv)I201、E102、I108、A281、Y318及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを伴う。
【0109】
いくつかの実施形態では、単一の患者における1つ以上の生体試料から得られたHIVの集団中のgp120のシーケンシングされたV3-グリカン領域の少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%は、アミノ酸残基332位に対応する位置にグリコシル化アスパラギンを含むアミノ酸配列(N332グリカン)、アミノ酸残基325位に対応する位置にアスパラギン酸塩(D325)と、アミノ酸残基63位に対応する位置にスレオニン(T63)、アミノ酸残基179位に対応する位置にロイシン(L179)、アミノ酸残基320位に対応する位置にスレオニン(T320)のうちの1つ以上と、並びにアミノ酸残基330に対応する位置にヒスチジン(H330)を含み、アミノ酸位置は配列番号3を参照する。
【0110】
本明細書で使用する場合、所与のアミノ酸ポリマー又は核酸ポリマーのナンバリングは、任意の所与のポリマー構成成分(例えば、一般に「残基」とも呼ばれる、アミノ酸、ヌクレオチド)の位置が、所与のポリマー中の構成成分の実際の数値位置ではなく、選択されたアミノ酸又は核酸ポリマー中の同じ又は同等の位置(例えば、最適なアラインメント又はコンセンサス配列に基づく)を参照することによって指定される場合、選択された又は参照されるアミノ酸ポリマー又は核酸ポリマーのナンバリング、「に対応する(corresponds to)」、「に対応している(corresponding to)」、又は「関連する(relative
to)」。いくつかの実施形態では、HIV gp120バリアントは、ウイルス集団の約1%(例えば、1%のバリアント又はバリアント頻度)の頻度レベルまで検出される。いくつかの実施形態では、HIV gp120バリアントは、ウイルス集団の約0.5%の頻度レベルまで検出される。経験則として、1%の頻度でバリアントを確実に検出するには、少なくとも1000コピー/mLのHIV RNAレベルが必要である。以下を参照されたい。例えば、Casadella、ら、Virus Research239(
2017)69-81;Noguera-Julian,ら.,J Infect Dis.(2017)216(suppl_9):S829-S833、及びLee,ら.,Sci Rep.(2020)10(1):1634。
3.抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片の投与
【0111】
特定の実施形態では、本方法は、gp120のCD4bs結合領域を標的とする、抗HIV抗体若しくはその抗原結合断片又は抗原結合分子を投与することを伴う。
【0112】
HIV-1は、HIVの主要なファミリーであり、世界中の全感染の95%を占める。HIV-2は、主にいくつかの西アフリカ諸国で見られる。
【0113】
HIVウイルスは特定の群、M、N、O、及びPに分類され、そのうちMは「主要な」群であり、世界的にHIV/AIDSの大部分の原因である。それらの遺伝子配列に基づいて、M群は、異なる地理的位置における有病率によりサブタイプ(クレードとも呼ばれる)に更に細分される。
【0114】
グループM「サブタイプ」又は「クレード」は、遺伝子配列データによって定義されるHIV-1グループMのサブタイプである。グループMサブタイプの例としては、サブタイプA~Kが挙げられる。サブタイプのうちのいくつかは、より毒性であるか、又は異なる薬物に対して耐性であることが知られている。異なるサブタイプのウイルス間の組換えに由来する「循環組換え型」又はCRFも存在し、各々に番号が与えられている。CRF12_BFは、例えば、サブタイプBとFとの間の組換えである。サブタイプAは、西アフリカにおいて一般的である。サブタイプBは、欧州、アメリカ、日本、タイ、及びオーストラリアにおいて優勢な形態である。サブタイプCは、南アフリカ、東アフリカ、インド、ネパール、及び中国の一部において優勢な形態である。サブタイプDは、概して、東部及び中央アフリカにおいてのみ見られる。サブタイプEは、非組換え体として特定されたことはなく、CRF01_AEとしてサブタイプAと組換えられただけである。サブタイプFは、中央アフリカ、南アメリカ、及び東ヨーロッパにおいて見出されている。サブタイプG(及びCRF02_AG)は、アフリカ及び中央ヨーロッパにおいて見出されている。サブタイプHは、中央アフリカに限定される。サブタイプIは、元来、CRF04_cpxとして現在説明されている株を説明するために使用され、cpxは、いくつかのサブタイプの「複雑な」組換えを表す。サブタイプJは、主に北アフリカ、中央アフリカ、及び西アフリカにおいて見出され、カリブ海サブタイプKは、コンゴ民主共和国及びカメルーンに限定される。これらのサブタイプは、A1及びA2、又はF1及びF2などの下位サブタイプ(sub-subtype)に更に分割されることもある。2015年に、サブタイプDプロテアーゼを有するサブタイプA、サブタイプD、及びサブタイプGの組換え体であるCRF19株が、キューバにおいてAIDSへの急速な進行と強く関連していることが見出された。
【0115】
本開示は、特に、HIV感染細胞の表面上のgp120ポリペプチドのCD4 bs領域を標的とするヒト抗HIV中和抗体(例えば、広域中和Ab)の投与を伴う方法を提供する。ウイルスエンベロープタンパク質に対する中和抗体は、感受性細胞の感染を遮断することによって、HIV-1曝露に対する適応免疫防御を提供する。広域中和は、抗体が異なるクレード(別名、サブタイプ)からのHIV-1単離株を中和できることを示す。したがって、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、クレード交差(別名、クロスサブタイプ)結合活性を有する。
HIV gp120のCD4bs領域に指向性である抗体及びその抗原結合断片
【0116】
本明細書に記載される方法の特定の実施形態では、対象に、CD4bs領域内のHIV
gp120タンパク質、例えば、gp120 CD4結合部位のエピトープ又は領域に結合する抗体若しくはその抗原結合断片、又は抗原結合分子が投与される。特定の実施形態では、投与された抗体若しくはその抗原結合断片、又は抗原結合分子は、細胞表面に発現されたHIV-1抗原に結合し、感染細胞を排除又は死滅させる。
【0117】
特定の実施形態では、投与される抗体若しくはその抗原結合断片、又は抗原結合分子は、HIV-1を標的とするヒト中和抗体(例えば、モノクローナル)であるか、又はそれに由来する。「中和抗体」は、インビトロで宿主及び/又は標的細胞における感染を開始及び/又は持続するHIVの能力を中和することができるものである。本開示は、抗体がHIVからの抗原、例えば、gp120ポリペプチドを認識する中和モノクローナルヒト抗体を提供する。特定の実施形態では、「中和抗体」は、1.5超又は2.0超の中和指数でHIV-1ウイルス、例えば、SF162及び/又はJR-CSFの侵入を阻害し得る(Kostrikis,ら.,J.Virol.,70(1):445-458(1996))。
【0118】
いくつかの実施形態では、投与される抗体若しくはその抗原結合断片、又は抗原結合分子は、HIV-1を標的とするヒト広域中和抗体(例えば、モノクローナル)であるか、又はそれに由来する。「広域中和抗体」とは、中和アッセイにおいて2つ以上のHIV-1ウイルス種(多様なクレード(別名、サブタイプ)及びクレード内の異なる株(別名、サブタイプ)から)を中和する抗体を意味する。広域中和抗体は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9又はそれ以上の異なるHIV-1株を中和することができ、株は同じ又は異なるクレード(別名、サブタイプ)に属する。特定の実施形態では、広域中和抗体は、少なくとも2、3、4、5、又は6つの異なるクレード(例えば、サブタイプ)に属する複数のHIV-1種を中和し得る。特定の実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片の阻害濃度は、中和アッセイにおいて投入ウイルスの約50%を中和するために、約0.0001μg/mL未満、約0.001μg/mL未満、約0.01μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約0.5μg/mL未満、約1.0μg/mL未満、約5μg/mL未満、約10μg/mL未満、約25μg/mL未満、約50μg/mL未満、又は約100μg/mL未満であり得る。
【0119】
CD4bsにおいてgp120に結合し、本明細書中に記載される方法において使用され得る例示的な広域中和抗体としては、限定されないが、3BNC117、GS-9723、GS-5423、3BNC60、b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01 VRC08、VRC0801、NIH45-46、PGV04(VRC-PG04);CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、1-18、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235及びCH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9、並びにN60P25からなる群から選択される抗体が挙げられる。
【0120】
本明細書に記載の方法において有用な、HIV gp120 CD4bs領域を標的とする抗体又は抗原結合断片の相補性決定領域(CDR)の例示的な配列を表A1~A4に提供する。本明細書に記載の方法において有用な、HIV gp120CD4bs領域を標的とする抗体又は抗原結合断片のVH及びVLの例示的な配列を表Bに提供する。
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0121】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、VH-CDR1、VH-CDR2及びVH-CDR3を含むVHと、VL-CDR1、VL-CDR2及び第2のVH-CDR3を含むVLとを含み;VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号7,8,9,10,11,及び12;配列番号13、8、14、10、11、及び12;配列番号15、16、17、18、19、及び20;配列番号15、21、17、18、19、及び20;配列番号15、21、17、18、19、及び20;配列番号22、23、24、18、19、及び20;配列番号25、26、27、28、29、及び30;配列番号31、32、33、34、35、及び36;又は配列番号37、38、39、40、41、及び42(KabatによるCDR)。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、VH-CDR1、VH-CDR2及びVH-CDR3を含むVHと、VL-CDR1、VL-CDR2及び第2のVH-CDR3を含むVLとを含み;VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号45、46、47、48、49及び50;配列番号51、46、52、48、49、及び50;配列番号53、54、55、56、57、及び50;配列番号53、58、55、56、57、及び50;配列番号59、54、60、56、57、及び50;配列番号61、62、63、64、65、及び66;配列番号67、68、69、70、71、及び72;又は配列番号73、74、75、76、77、及び78(ChothiaによるCDR)。
【0123】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、VH-CDR1、VH-CDR2及びVH-CDR3を含むVHと、VL-CDR1、VL-CDR2及び第2のVH-CDR3を含むVLとを含み;VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号80、81、82、48、49及び12;配列番号83、81、84、48、49、及び12;配列番号85、86、87、88、57、及び20;配列番号85、89、87、88、57、及び20;配列番号90、91、92、88、57、及び20;配列番号93、94、95、96、65、及び30;配列番号97、98、99、100、71、及び36、又は配列番号101、102、103、104、77、及び42(IMGTによるCDR)。
【0124】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、VH-CDR1、VH-CDR2及びVH-CDR3を含むVHと、VL-CDR1、VL-CDR2及び第2のVH-CDR3を含むVLとを含み;VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列番号を含む:配列番号105、106、107、108、109及び50;配列番号110、106、111、108、112、及び50;配列番号113、114、115、116、117、及び50;配列番号113、118、115、116、117、及び50;配列番号119、120、121、116、117、及び50;配列番号122、123、124、125、126、及び66;配列番号127、128、129、130、131、及び72;又は配列番号132、133、134、135、136、及び78(HoneggerによるCDR)。
【0125】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、以下の配列番号から選択されるような、記載のアミノ酸配列と、それぞれ、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一であるアミノ酸配列を含むVH及びVLを含む。配列番号140及び141;配列番号142及び143;配列番号144及び145;配列番号146及び147;配列番号148及び149;配列番号150及び147;配列番号151及び152;配列番号153及び154;配列番号155及び156。
血清半減期を増加させるFc変異
【0126】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、抗結合分子の血清半減期の増加を促進するアミノ酸修飾を含む。抗体の半減期を増加させる変異が記載されている。一実施形態では、CD3を標的とする重鎖及びHIV抗原を標的とする重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、252位でのメチオニンからチロシンへの置換(EUナンバリング)、254位でのセリンからスレオニンへの置換(EUナンバリング)、及び256位でのスレオニンからグルタミン酸への置換(EUナンバリング)を含む。例えば、米国特許第7,658,921号を参照されたい。「YTEバリアント」と命名されたこのタイプのバリアントは、同じ抗体の野生型バージョンと比較して、4倍増加した半減期を呈する(Dall’Acqua et al.J Biol Chem,281:23514-24(2006);Robbie et al.Antimicrob Agents Chemotherap.,57(12):6147-6153(2013))。特定の実施形態では、CD3を標的とする重鎖及びHIV抗原を標的とする重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、251~257位、285~290位、308~314位、385~389位、及び428~436位でのアミノ酸残基の1つ、2つ、3つ又はそれ以上のアミノ酸置換を含むIgG定常ドメインを含む(EUナンバリング)。あるいは、M428L及びN434S(「LS」)置換は、多重特異性抗原結合分子の薬物動態学的半減期を増加させることができる。他の実施形態では、CD3を標的とする重鎖及びHIV抗原を標的とする重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、M428L及びN434S置換(EUナンバリング)を含む。他の実施形態では、CD3を標的とする重鎖及びHIV抗原を標的とする重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、T250Q及びM428L(EUナンバリング)変異を含む。他の実施形態では、CD3を標的とする重鎖及びHIV抗原を標的とする重鎖の一方又は両方のFc領域又はFcドメインは、H433K及びN434F(EUナンバリング)変異を含む。
エフェクター活性を低減又は排除するFc変異
【0127】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、エフェクター活性を増加させる、例えば、FcγIIIa結合の改善及び抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の増加を有する翻訳後及び/又はアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域にDE修飾(すなわち、EUナンバリングによるS239D及びI332E)を含む。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域にDEL修飾(すなわち、EUナンバリングによるS239D、I332E及びA330L)を含む。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域にDEA修飾(すなわち、EUナンバリングによるS239D、I332E及びG236A)を含む。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、Fc領域にDEAL修飾(すなわち、EUナンバリングによるS239D、I332E、G236A及びA330L)を含む。例えば、米国特許第7,317,091号、同第7,662,925号;同第8,039,592号;同第8,093,357号;同第8,093,359号;同第8,383,109号;同第8,388,955号;同第8,735,545号;同第8,858,937号;同第8,937,158号;同第9,040,041号;同第9,353,187号;同第10,184,000号、及び同第10,584,176号を参照されたい。エフェクター活性を増加させる、例えば、改善されたFcγIIIa結合及び増加された抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を有する追加のアミノ酸修飾には、F243L/R292P/Y300L/V305I/P396L、S298A/E333A/K334A、又は第1のFcドメイン上のL234Y/L235Q/G236W/S239M/H268D/D270E/S298A、及び第2のFcドメイン上のD270E/K326D/A330M/K334Eが含まれるが、これらに限定されない(EUナンバリング)。C1q結合及び補体依存性細胞傷害(complement-dependent cytotoxicity、CDC)を増加させるアミノ酸変異には、S267E/H268F/S324T又はK326W/E333Sが含まれるが、これらに限定されない(EUナンバリング)。エフェクター活性を増強するFc領域変異は、例えば、Wang,et al.Protein Cell(2018)9(1):63-73、及びSaunders,Front Immunol.(2019)10:1296に概説されている。
【0128】
他の実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、修飾されたグリコシル化を有し、例えば、翻訳後に又は遺伝子工学によって導入され得る。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、例えば、抗体又はその抗原結合断片中に存在するグリコシル化部位で脱フコシル化されている。ほとんどの承認されたモノクローナル抗体はIgG1イソタイプであり、ここで2つのN結合型二分岐複合型オリゴ糖がFc領域に結合している。Fc領域は、FcγRファミリーの白血球受容体との相互作用を通じてADCCのエフェクター機能を発揮する。脱フコシル化モノクローナル抗体は、抗体のFc領域中のオリゴ糖がいずれのフコース糖単位も有さないように操作されたモノクローナル抗体である。
【0129】
いくつかの実施形態では、必要に応じて、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体のFc領域又はFcドメインは、血清半減期を増加させ、エフェクター活性を増強するための翻訳後及び/又はアミノ酸修飾を含み得る。
4.2種以上の抗HIV抗体を用いた併用療法
【0130】
ある特定の実施形態では、本開示は、HIV感染症を有するか、又はそれを有するリスクがあるヒト対象においてHIV感染症を治療又は予防するための方法を提供する。本方法は、治療有効量の1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療薬と組み合わせて、治療有効量の本明細書に開示される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体若しくは抗原結合断片又はその医薬組成物をヒト対象に投与することを含む。一実施形態では、感染症を有するか又は感染症を有するリスクがあるヒト対象におけるHIV感染症を治療する方法であって、治療有効量の1種以上の本明細書に開示される抗体又はその薬学的に許容され得る塩を、治療有効量の1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療薬と組み合わせてヒト対象に投与することを含む方法が提供される。
抗体の併用療法
【0131】
いくつかの実施形態では、抗CD4bs抗体又はその抗原結合断片は、第2の抗HIV抗体と同時投与される。いくつかの実施形態では、抗CD4bs抗体又はその抗原結合断片は、(i)第2の可変ループ(V2)及び/若しくはEnv三量体先端;(ii)CD4結合部位(CD4bs);(iii)gp120/gp41界面、又は(v)gp120のサイレント面からなる群から選択されるgp120のエピトープ又は領域に結合する第2の抗HIV抗体と同時に投与される。広域中和抗体によって結合された前述のエピトープ又はgp120の領域は、例えば、McCoy,Retrovirology(2018)15:70、Sok and Burton,Nat Immunol.2018
19(11):1179-1188、Possas,et al.,Expert Opin Ther Pat.2018 Jul;28(7):551-560、並びにStephenson及びBarouch,Curr HIV/AIDS Rep(2016)13:31-37に記載されており、これらは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では、併用療法は、抗CD4bs抗体又はその抗原結合断片と、別の抗HIV広域中和抗体又はbNAb(すなわち、複数のHIV-1ウイルス株を中和する中和抗体)との同時投与を伴う。様々なbNAbが当該分野で公知であり、併用治療薬として使用することができる。使用する更なる例示的なbNAbとしては、(i)第2の可変ループ(V2)及び/若しくはEnv三量体先端;(ii)CD4結合部位(CD4bs);(iii)gp120/gp41界面、又は(v)gp120のサイレント面からなる群から選択されるgp120の異なる第1及び第2のエピトープ又は領域に結合する又は競合するVH及びVLを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、併用療法は、第3の可変ループ(V3)グリカン又は高マンノースパッチ中のgp120のエピトープ又は領域に結合し、GS-9722(エリポビマブ)、GS-9721、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-122、PGT-123、PGT-124、PGT-125、PGT-126、PGT-128、PGT-130、PGT-133、PGT-134、PGT-135、PGT-136、PGT-137、PGT-138、PGT-139、10-1074、10-1074-J、VRC24、2G12、BG18、354BG8、354BG18、354BG42、354BG33、354BG129、354BG188、354BG411、354BG426、DH270.1、DH270.6、PGDM12、VRC41.01、PGDM21、PCDN-33A、BF520.1及びVRC29.03からなる群から選択される抗体由来のCDR並びに/又はVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む抗体を含む。N332オリゴマンノースグリカンを含む第3の可変ループ(V3)及び/又は高マンノースパッチ中のgp120に結合し、本明細書に記載の方法で使用することができる更なる広域中和抗体は、例えば、国際公開第2012/030904号;国際公開第2014/063059号;国際公開第2016/149698号;国際公開第2017/106346号、;国際公開第2018/075564号、国際公開第2018/125813号;国際公開第2018/237148号、国際公開第2019/226829号、国際公開第2020/023827号、国際公開第2020/056145号、及びKerwin,ら.,J Pharm Sci.2020
Jan;109(1):233-246に記載されており、これらは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。第3の可変ループ(V3)グリカン又は高マンノースパッチ中のgp120のエピトープ又は領域に結合する抗体と組み合わせる方法は、ヒト対象が、以下のアミノ酸残基を含むgp120を発現するHIVに感染しているかどうかを決定する工程を更に含んでもよく、位置及び残基は、配列番号69を参照する:N 332グリカン、D325及びT63;N332グリカン、D325、及びL179、N332グリカン、D325、及びT320、N332グリカン、D325、及びH330、N332グリカン、D325、T63、及びL179、N332グリカン、D325、T63、及びT320、N332グリカン、D325、T63、及びH330、N332グリカン、D325、L179、及びT320、N332グリカン、D325、L179、及びH330、N332グリカン、D325、T320、及びH330、N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330、N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320、N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330、N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330、又はN332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330を含むgp120を発現するHIV又はHIV集団に感染している対象を特定することを伴う。いくつかの実施形態では、方法は、以下のアミノ酸残基:N332グリカン、D325、及びT63、N332グリカン、D325、及びL179、N332グリカン、D325、及びT320、又はN332グリカン、D325、及びH330を含むgp120を発現するHIV又はHIV集団に感染している対象を特定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、以下のアミノ酸残基:N332グリカン、D325、T63、及びL179、N332グリカン、D325、T63、及びT320、N332グリカン、D325、T63、及びH330、N332グリカン、D325、L179、及びT320、N332グリカン、D325、L179、及びH330、又はN332グリカン、D325、T320、及びH330を含むgp120を発現するHIV又はHIV集団に感染している対象を特定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、以下のアミノ酸残基:N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330、N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330、N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320、N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330を含むgp120を発現するHIV又はHIV集団に感染している対象を特定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、以下のアミノ酸残基:N332グリカン、D325、T63、及びH330、N332グリカン、D325、T320、及びH330、N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330、又はN332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330を含むgp120を発現するHIV又はHIV集団に感染している対象を特定することを伴う。アミノ酸残基の位置は、配列番号3を参照する。
【0134】
本明細書に記載の方法において有用な、HIV gp120 V3-グリカン領域を標的とする抗体又は抗原結合断片の相補性決定領域(CDR)の例示的な配列を表C1~C
4に提供する。本明細書に記載の方法において有用な、HIV gp120 V3-グリカン領域を標的とする抗体又は抗原結合断片のVH及びVLの例示的な配列を表Dに提供する。
【表11-1】
【表11-2】
【表12】
【表13】
【表14-1】
【表14-2】
【表15-1】
【表15-2】
【表15-3】
【0135】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3-グリカン指向性抗体又はその抗原結合断片は、VH-CDR1、VH-CDR2及びVH-CDR3を含むVHと、VL-CDR1、VL-CDR2及び第2のVH-CDR3を含むVLとを含み;VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号160、161、162、163、164及び165配列番号160、166、162、163、164及び165;配列番号167、168、169、170、164及び171;配列番号167、172、173、170、164、及び171、配列番号174、175、176、177、178及び179;配列番号174、175、180、177、178及び179;配列番号181、182、183、184、185及び186;配列番号187、188、189、190、191及び192;配列番号193、194、195、196、197及び198;配列番号199、200、201、202、203及び204;配列番号199、205、206、207、203及び208;配列番号209、201、211、212、213及び198;配列番号214、200、215、212、203及び198;配列番号216、217、218、221、222及び223;配列番号224、225、226、227、228及び229;配列番号230、231、232、233、234及び229;配列番号235、236、237、238、239及び229;又は配列番号240、241、242、243、244及び245(KabatによるCDR)。
【0136】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3-グリカン指向性抗体又はその抗原結合断片は、VH-CDR1、VH-CDR2及びVH-CDR3を含むVHと、VL-CDR1、VL-CDR2及び第2のVH-CDR3を含むVLとを含み;VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号246、247、248、249、250及び251;配列番号252、253、254、255、250及び256;配列番号257、253、258、255、250及び256;配列番号259、260、261、262、250及び263;配列番号259、260、264、262、250及び263;配列番号265、266、267、268、269及び270;配列番号271、272、273、274、250及び275;配列番号276、277、278、279、280及び281;配列番号282、283、284、285、286及び281;配列番号282、287、288、289、286及び290;配列番号291、292、293、294、286及び281;配列番号298、299、300、301、302及び303;配列番号304、305、306、307、308及び309;配列番号301、311、312、313、314及び309;配列番号315、311、316、317、318及び309;又は配列番号319、320、321、322、323及び324(ChothiaによるCDR)。
【0137】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3-グリカン指向性抗体又はその抗原結合断片は、VH-CDR1、VH-CDR2及びVH-CDR3を含むVHと、VL-CDR1、VL-CDR2及び第2のVH-CDR3を含むVLとを含み;VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号325、326、327、328、250及び165;配列番号329、330、331、332、250、及び171;配列番号329、330、333、332、250及び171;配列番号334、335、336、332、250及び171;配列番号337、338、339、340、250及び179;配列番号342、343、344、345、269及び186;配列番号346、347、348、349、250及び192;配列番号350、351、352、353、280及び198;配列番号354、355、356、357、286及び204;配列番号354、358、359、360、286及び208;配列番号361、362、363、364、295、198;配列番号365、366、367、364、286及び198;配列番号368、369、370、371、301及び223;配列番号372、373、374、375、308及び229;配列番号376、377、378、379、314及び229;配列番号380、377、381、382、318及び229;又は配列番号383、384、385、386、323及び245(IMGTによるCDR)。
【0138】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3-グリカン指向性抗体又はその抗原結合断片は、VH-CDR1、VH-CDR2及びVH-CDR3を含むVHと、VL-CDR1、VL-CDR2及び第2のVH-CDR3を含むVLとを含み;VH-CDR1、VH-CDR2、VH-CDR3、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVH-CDR3は、以下に記載される配列を含む:配列番号390、391、392、249、393及び251;配列番号390、394、392、249、393及び251;配列番号395、396、397、255、393及び256;配列番号398、399、400、255、393及び256;配列番号401、402、403、262、404及び263;配列番号401、402、405、262、404及び263;配列番号406、407、408、268、409及び270;配列番号410、411、412、274、413及び275;配列番号414、415、416、279、417及び281;配列番号418、419、420、285、421及び281;配列番号418、422、423、289、421及び290;配列番号424、425、426、294、427及び281;配列番号430、431、432、301、433及び303;配列番号434、435、436、437、438及び309;配列番号439、440、441、442、443及び309;配列番号444、445、446、447、448及び309;又は配列番号449、450、451、452、453及び324(HoneggerによるCDR)。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗HIV gp120 V3-グリカン指向性抗体又はその抗原結合断片は、以下に記載の配列から選択されるような、アミノ酸配列と、それぞれ、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一である、アミノ酸配列を含むVH及びVLを含む:配列番号455及び456;配列番号457及び458;配列番号457及び459;配列番号460及び461;配列番号462及び463;配列番号464及び465;配列番号466及び467;配列番号468及び469;配列番号470及び471;配列番号472及び473;配列番号474及び475;配列番号同第476及び477;配列番号478及び479;配列番号480及び481;配列番号482及び483;配列番号484及び485;配列番号486及び487;配列番号488及び489;配列番号490及び491;配列番号492及び493;又は配列番号494及び495。
【0140】
いくつかの実施形態では、併用療法は、第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、かつ、PG9、PG16、PGC14、PGG14、PGT-142、PGT-143、PGT-144、PGT-145、CH01、CH59、PGDM1400、CAP256、CAP256-VRC26.08、CAP256-VRC26.09、CAP256-VRC26.25、PCT64-24E及びVRC38.01からなる群から選択される抗体由来のCDR並びに/又はVH及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む抗体を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、併用療法は、gp120/gp41界面におけるgp120のエピトープ又は領域に結合し、PGT-151、CAP248-2B、35O22、8ANC195、ACS202、VRC34及びVRC34.01からなる群から選択される抗体からのCDR並びに/あるいはVH及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む抗体を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、併用療法は、gp120サイレント面のエピトープ又は領域に結合し、抗体VRC-PG 05由来の第2のVH及びVL領域と競合するか又はそれを含む抗体を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、併用療法は、膜近位領域(MPER)におけるgp41のエピトープ又は領域に結合し、10E8、10E8v4、10E8-5R-100cF、4E10、DH511.11P、2F5、7b2、及びLN01からなる群から選択される抗体からの第2のVH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む抗体を含む。いくつかの実施形態では、併用療法は、膜貫通タンパク質gp41の不変部位であるKLIC(配列番号496として開示される「KLIC」)のエピトープ又は領域に結合し、クローン3ヒトモノクローナル抗体(Cl3hmAb)(Protheragen)由来の第2のVH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む抗体を含む。例えば、以下を参照されたい:Vanini,ら.,AIDS.(1993)7(2):167-74。
【0144】
いくつかの実施形態では、併用療法は、gp41融合ペプチドのエピトープ又は領域に結合し、VRC34及びACS202からなる群から選択される抗体由来の第2のVH及びVL領域と競合するか又はそれを含む抗体を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、併用療法は、HIV抗原に結合する多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体又は三重特異性抗体を含む。HIV二重特異性及び三重特異性抗体の例としては、MGD014、B12BiTe、BiIA-SG、TMB-bispecific、SAR-441236、VRC-01/PGDM-1400/10E8v4、10E8.4/iMab、及び10E8v4/PGT121-VRC01が挙げられる。
【0146】
投与前に、bNAbは、増強された薬物様特性、低減された免疫原性、増強されたADCC及び適切な薬物動態特性を有するように改善され得る。そのような抗体は、ビリオン又は感染細胞の表面に発現されたHIVエンベロープ糖タンパク質に結合し、ウイルスの直接的な中和、並びにこれらの細胞の強力なNK、単球及びPBMC殺傷の両方を媒介することが示された。この特性は、抗体がウイルスを中和することによってHIV感染症を治療することを可能にし、感染した個体における潜伏HIV感染細胞を死滅させ排除することも可能にし、HIVの滅菌治癒をもたらす可能性がある。
【0147】
種々の実施形態では、抗HIV抗体療法の併用で投与される全ての抗体は、上記のように、血清半減期を増大させ、及び/又はエフェクター活性を増強する、Fc及び/又は翻訳後修飾を有し得る。
【0148】
種々の実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片、及び任意に組み合わされたbNAbは、投与されたmRNA又は遺伝子操作されたB細胞からインビボ送達、例えば、インビボで発現させることができる。インビボ送達されるbNAbの例には、AAV8-VRC07;抗HIV抗体VRC01をコードするmRNA;及び3BNC117をコードする遺伝子操作B細胞(Hartwegerら,J.Exp.Med.2019,1301)が挙げられる。
5.他の抗HIV治療薬との併用療法
【0149】
特定の実施形態では、感染症を有するか又は感染症を有するリスクがあるヒトにおいてHIV感染症を治療又は予防する方法であって、治療有効量の1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療薬と組み合わせて、治療有効量の本明細書に開示される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片をヒトに投与することを含む方法が提供される。一実施形態では、感染症を有するか又は感染症を有するリスクがあるヒトにおけるHIV感染症を治療する方法であって、治療有効量の1種以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療薬と組み合わせて、治療有効量の本明細書に開示される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片をヒトに投与することを含む方法が提供される。
【0150】
一実施形態では、本明細書に開示されるような抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片を、1種以上(例えば、1つ、2つ、3つ、1つ若しくは2つ、又は1つ~3つ)の追加の治療薬及び薬学的に許容され得る担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物が提供される。
【0151】
特定の実施形態では、HIV感染症を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、治療有効量の本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片を、HIV感染症を治療するのに適した治療有効量の1種以上の追加の治療薬と組み合わせて投与することを含む方法が提供される。
【0152】
特定の実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片を、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれを超える追加の治療薬と組み合わせる。特定の実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片を2つの追加の治療薬と組み合わせる。他の実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片を3つの追加の治療薬と組み合わせる。更なる実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片を4つの追加の治療薬と組み合わせる。1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の追加の治療薬は、同じクラスの治療薬(例えば、1つ以上の抗HIV広域中和抗体)から選択される異なる治療薬であり得、及び/又はそれらは異なるクラスの治療薬から選択され得る。
HIV併用療法の投与
【0153】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片を、1種以上の追加の治療薬と同時投与する。本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片と1つ以上の追加の治療薬との同時投与は、一般に、治療有効量の本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片と1つ以上の追加の治療薬とがいずれも患者の体内に存在するように、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片と1つ以上の追加の治療薬とを同時又は逐次投与することを指す。連続的に投与される場合、組み合わせは、2回以上の投与で投与されてもよい。
【0154】
同時投与は、1つ以上の追加の治療薬の単位投与量の投与の前又は後に、本明細書中に記載されるような抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片の並行投与及び単位投与量の投与を含む。例えば、本明細書中に記載されるような抗HIV
gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、1つ以上の追加の治療薬の投与の数秒、数分、数時間又は数日以内に投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片の単位用量を最初に投与し、続いて1つ以上の追加の治療薬の単位用量を数秒、数分、数時間又は数日以内に投与する。あるいは、1つ以上の追加の治療薬の単位用量を最初に投与し、続いて、本明細書中に開示される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片の単位用量を数秒、数分、数時間又は数日以内に投与する。他の実施形態では、本明細書に開示される抗HIV gp 120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片の単位用量が最初に投与され、続いて一定時間(例えば、1~12時間、1~24時間、1~36時間、1~48時間、1~60時間、1~72時間)後に、1つ以上の追加の治療薬の単位用量が投与される。更に他の実施形態では、1つ以上の追加の治療薬の単位用量が最初に投与され、その後、一定期間(例えば、1~12時間、1~24時間、1~36時間、1~48時間、1~60時間、1~72時間)の後、本明細書中に開示される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片の単位用量が投与される。
【0155】
特定の実施形態では、本明細書に開示される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、患者への同時投与のための単一剤形、例えば経口、静脈内、筋肉内又は皮下投与のための固体、液体又は懸濁剤形で1つ以上の追加の治療薬と組み合わされる。
【0156】
特定の実施形態では、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIVの治療に有用な1つ以上の他の化合物を任意に含有し得る液体溶液又は懸濁液として製剤化される。特定の実施形態では、液体溶液又は懸濁液は、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド又は非ヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒部位(又はアロステリック)インテグラーゼ阻害剤、薬物動態学的エンハンサー、及びそれらの組み合わせなどのHIVを治療するための別の活性成分を含み得る。
【0157】
特定の実施形態では、そのような液体溶液又は懸濁液は、1日1回、週1回(すなわち、QW)、隔週1回(すなわち、1週間おきに1回若しくは2週間毎に1回、又はQ2W)、月1回(すなわち、QM)、又は隔月1回投与(すなわち、1ヶ月おきに1回若しくは2ヶ月毎に1回、又はQ2M)投与又は投与間隔に好適である。いくつかの実施形態では、抗HIV gp120CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片を、1日1回、週1回(すなわち、QW)、隔週1回(すなわち、1週間おきに1回、又は2週間おきに1回、又はQ2W)、毎月1回(すなわち、QM)、隔月1回(すなわち、1ヶ月に1回、又は2ヶ月に1回、又はQ2M)、3ヶ月に1回(すなわち、Q3M)、4ヶ月に1回(すなわち、Q4M)投与する。
HIVの併用療法
【0158】
上記の実施形態では、追加の治療薬は抗HIV剤であってもよい。HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド又は非ヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒部位(又はアロステリック)インテグラーゼ阻害剤、HIV侵入阻害剤、HIV成熟阻害剤、HIVカプシド阻害剤、ヌクレオカプシドタンパク質7(NCp7)阻害剤、HIVTat又はRev阻害剤、Tat-TAR-P-TEFbの阻害剤、免疫調節剤(例えば、免疫刺激因子)、免疫療法剤、免疫調節剤、免疫療法剤、抗体薬物コンジュゲート、遺伝子改変剤、遺伝子編集剤(例えば、CRISPR/Cas9、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、ホーミングヌクレアーゼ、合成ヌクレアーゼ、TALEN)、細胞療法(例えば、キメラ抗原受容体T細胞、CAR-T、及び遺伝子操作されたT細胞受容体、TCR-T、自己T細胞療法、遺伝子操作されたB細胞、NK細胞)、潜伏期間克服剤、免疫ベースの療法、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害剤、HIV抗体、二重特異性抗体及び「抗体様」治療用タンパク質、HIVp17マトリックスタンパク質阻害剤、IL-13アンタゴニスト、ペプチジル-プロリルプロリルトランスイソメラーゼAモジュレーター、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ阻害剤、補体C5a受容体アンタゴニスト、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、脂肪酸シンターゼ阻害剤、HIVvif遺伝子モジュレーター、Vif二量体化アンタゴニスト、HIV-1ウイルス感染性因子阻害剤、HIV-1Nefモジュレーター、TNFアルファリガンド阻害剤、HIVNef阻害剤、Hckチロシンキナーゼモジュレーター、混合系列キナーゼ-3(MLK-3)阻害剤、HIV-1スプライシング阻害剤、インテグリンアンタゴニスト、核タンパク質阻害剤、スプライシング因子モジュレーター、COMMドメイン含有タンパク質1モジュレーター、HIVリボヌクレアーゼH阻害剤、IFNアンタゴニスト、レトロサイクリンモジュレーター、CD3アンタゴニスト、CDK-4阻害剤、CDK-6阻害剤、CDK-9阻害剤、シトクロムP450 3阻害剤、CXCR4阻害剤、樹状ICAM-3捕捉ノンインテグリン1阻害剤、HIV GAGタンパク質阻害剤、HIV POLタンパク質阻害剤、補体因子Hモジュレーター、ユビキチンリガーゼ阻害剤、デオキシシチジンキナーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、HPK1(MAP4K1)阻害剤、プロタンパク質転換酵素PC9刺激剤、ATP依存性RNAヘリカーゼDDX3X阻害剤、逆転写酵素プライミング複合体阻害剤、G6PD及びNADH-オキシダーゼ阻害剤、mTOR複合体1阻害剤、mTOR複合体2阻害剤、P-糖タンパク質モジュレーター、RNAポリメラーゼモジュレーター、TATタンパク質阻害剤、プロリルエンドペプチダーゼ阻害剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、薬物動態学的エンハンサー、HIV遺伝子治療、HIVワクチン、抗HIVペプチド、及びそれらの組み合わせ。
【0159】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、HIVのための併用薬、HIVを治療するための他の薬物、HIVプロテアーゼ阻害剤、HIV逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒部位(又はアロステリック)インテグラーゼ阻害剤、HIV侵入(融合)阻害剤、HIV成熟阻害剤、潜伏期間逆転剤、HIVカプシド阻害剤、HIVTat又はRev阻害剤、免疫調節剤(例えば、免疫刺激因子)、免疫療法剤、免疫ベースの療法、PI3K阻害剤、HIV抗体、及び二重特異性抗体、並びに「抗体様」治療用タンパク質、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0160】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬又は追加の複数の治療薬は、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド又は非ヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIVカプシド阻害剤、gp41阻害剤、CXCR4阻害剤、gp120阻害剤、CCR5阻害剤、Nef阻害剤、潜伏感染再活性化剤、HIV bNAb、TLR7、TLR8、及びTLR9のアゴニスト、HIVワクチン、サイトカイン、免疫チェックポイント阻害剤、FLT3リガンド、T細胞及びNK細胞を動員する二重特異性抗体、HIV抗原を標的とするキメラT細胞受容体、薬物動態増強剤、及びHIVを治療するための他の薬物、並びにそれらの組み合わせから選択される。
【0161】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬又は追加の複数の治療薬は、ドルテグラビル、カボテグラビル、イスラトラビル、ダルナビル、ビクテグラビル、エルスルファビリン、リルピビリン、及びレナカパビル、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0162】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬又は追加の複数の治療薬は、ドルテグラビル、カボテグラビル、イスラトラビル、ダルナビル、ビクテグラビル、エルスルファビリン、リルピビリン、及びレナカパビルから選択される。
HIV併用薬
【0163】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片は、1つ、2つ、3つ、4つ又はそれを超える追加の抗HIV治療薬と組み合わされる。組み合わせることができる抗HIV治療薬の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ATRIPLA(登録商標)(エファビレンツ、フマル酸テノホビルジソプロキシル及びエムトリシタビン);COMPLERA(登録商標)(EVIPLERA(登録商標);リルピビリン、テノホビルジソプロキシルフマレート、及びエムトリシタビン);STRIBILD(登録商標)(エルビテグラビル、コビシスタット、テノホビルジソプロキシルフマレート、及びエムトリシタビン);TRUVADA(登録商標)(テノホビルジソプロキシルフマレート及びエムトリシタビン;TDF+FTC);DESCOVY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド及びエムトリシタビン);ODEFSEY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、及びリルピビリン);GENVOYA(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、コビシスタット、及びエルビテグラビル);ダルナビル、テノホビルアラフェナミドヘミフマレート、エムトリシタビン、及びコビシスタット;エファビレンツ、ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシルフマレート;ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマレート;テノホビル及びラミブジン;テノホビルアラフェナミド及びエムトリシタビン;テノホビルアラフェナミドヘミフマレート及びエムトリシタビン;テノホビルアラフェナミドヘミフマレート、エムトリシタビン、及びリルピビリン;テノホビルアラフェナミドヘミフマレート、エムトリシタビン、コビシスタット、及びエルビテグラビル;テノホビル類似体;COMBIVIR(登録商標)(ジドブジン及びラミブジン;AZT+3TC);EPZICOM(登録商標)(LIVEXA(登録商標);アバカビル硫酸塩及びラミブジン;ABC+3TC);KALETRA(登録商標)(ALUVIA(登録商標);ロピナビル及びリトナビル);TRIUMEQ(登録商標)(ドルテグラビル、アバカビル、及びラミブジン);BIKTARVY(登録商標)(ビクレグラビル+エムトリシタビン+テノホビルアラフェナミド)、DOVATO(登録商標)(ドルテグラビル+ラミブジン)、TRIZIVIR(登録商標)(アバカビル硫酸塩、ジドブジン、及びラミブジン;ABC+AZT+3TC);アタザナビル及びコビシスタット;アタザナビル硫酸塩及びコビシスタット;アタザナビル硫酸塩及びリトナビル;ダルナビル及びコビシスタット;ドルテグラビル及びリルピビリン;ドルテグラビル及びリルピビリン塩酸塩;ドルテグラビル、アバカビル硫酸塩、及びラミブジン;ラミブジン、ネビラピン、及びジドブジン;ラルテグラビル及びラミブジン;ドラビリン、ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシルフマレート;ドラビリン、ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシル;ドルテグラビル+ラミブジン、ラミブジン+アバカビル+ジドブジン、ラミブジン+アバカビル、ラミブジン+テノホビルジソプロキシルフマレート、ラミブジン+ジドブジン+ネビラピン、ロピナビル+リトナビル、ロピナビル+リトナビル+アバカビル+ラミブジン、ロピナビル+リトナビル+ジドブジン+ラミブジン、テノホビル+ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシルフマレート+エムトリシタビン+リルピビリン塩酸塩、ロピナビル、リトナビル、ジドブジン、ロピナビル+リトナビル+アバカビル+ラミブジン、及びラミブジン;カボテグラビル+リルピビリン;3-BNC117+アルブビルチド、エルピダ(エルスルファビリン;VM-1500;VM-1500A、レナカパビル+イスラトラビル(経口、注射剤)、並びに二重標的HIV-1逆転写酵素/ヌクレオカプシドタンパク質7阻害剤。
他のHIV薬
【0164】
本開示の薬剤と組み合わせることができるHIVを治療するための他の薬物の例としては、アスペルニグリンC、アセマンナン、アリスポリビル、BanLec、デフェリプロン、ガミムン、メテンケファリン、ナルトレキソン、プロラスチン、REP 9、RPI-MN、VSSP、H1ウイルス、SB-728-T、1,5-ジカフェオイルキナ酸、rHIV7-shl-TAR-CCR5RZ、AAV-eCD4-Ig遺伝子治療、MazF遺伝子治療、BlockAide、ベビリマット誘導体、ABX-464、AG-1105、APH-0812、ブリオスタチン類似体、BIT-225、BRII-732、BRII-778、CYT-107、CS-TATI-1、フルオロ-ベータ-D-アラビノース核酸(FANA)修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド、FX-101、グリフィシン、HGTV-43、HPH-116、HS-10234、ヒドロキシクロロキン、IMB-10035、IMO-3100、IND-02、JL-18008、LADAVRU、MK-1376、MK-2048、MK-4250、MK-8507、MK-8558、MK-8591(イスラトラビル)、NOV-205、OB-002 H、ODE-Bn-TFV、M1-TFV、PA-1050040(PA-040)、PC-707、PGN-007、QF-036、S-648414、SCY-635、SB-9200、SCB-719、TR-452、TEV-90110、TEV-90112、TEV-90111、TEV-90113、RN-18、DIACC-1010、Fasnall、Immuglo、2-CLIPSペプチド、HRF-4467、トロンボスポンジン類似体、TBL-1004HI、VG-1177、x1-081、AVI-CO-004、rfhSP-D、[18F]-MC-225、URMC-099-C、RES-529、Verdinexor、IML-M113V、IMC-106、抗ウイルスfcコンジュゲート(AVC)、VIR-576、ニパモビル、コビムロ及びABBV-1882が挙げられる。
HIVプロテアーゼ阻害剤
【0165】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIVプロテアーゼ阻害剤と組み合わされる。HIVプロテアーゼ阻害剤の例としては、アンプレナビル、アタザナビル、ブレカナビル、ダルナビル、フォサムプレナビル、フォサムプレナビルカルシウム、インジナビル、硫酸インジナビル、ロピナビル、ネルフィナビル、メシル酸ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、メシル酸サキナビル、チプラナビル、ASC-09+リトナビル、AEBL-2、DG-17、GS-1156、TMB-657(PPL-100)、T-169、BL-008、MK-8122、TMB-607、GRL-02031及びTMC-310911が挙げられる。HIVプロテアーゼ阻害剤の更なる例は、例えば、米国特許第10,294,234号及び米国特許公開第。米国特許第2020030327号明細書及び米国特許第2019210978号明細書に記載されている。
HIVリボヌクレアーゼH阻害剤
【0166】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIVリボヌクレアーゼH阻害剤と組み合わされる。組み合わせることができるHIVリボヌクレアーゼH阻害剤の例としては、NSC-727447が挙げられる。
HIV Nef阻害剤
【0167】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIV Nef阻害剤と組み合わされる。組み合わせることができるHIV Nef阻害剤の例としては、FP-1が挙げられる。
HIV逆転写酵素阻害剤
【0168】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、非ヌクレオシド阻害剤又は非ヌクレオチド阻害剤と組み合わされる。逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤又は非ヌクレオチド阻害剤の例としては、ダピビリン、デラビルジン、メシル酸デラビルジン、ドラビリン、エファビレンツ、エトラビリン、レンチナン、ネビラピン、リルピビリン、ACC-007、ACC-008、AIC-292、F-18、KM-023、PC-1005、M1-TFV、M2-TFV、VM-1500A-LAI、PF-3450074、エルスルファビリン(持続放出経口、HIV感染症)、ドラビリン+イスララビル(固定用量合剤/経口錠剤製剤、HIV-1感染)、エルスルファビリン(長時間作用型注射用ナノ懸濁液、HIV感染)及びエルスルファビリン(VM-1500)が挙げられる。
【0169】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤と組み合わされる。逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤の例としては、アデホビル、アデホビルジピボキシル、アズブジン、エムトリシタビン、テノホビル、テノホビルアラフェナミド、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルオクタデシルオキシエチルエステル(AGX-1009)、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、VIDEX(登録商標)及びVIDEX EC(登録商標)(ジダノシン、ddl)、アバカビル、アバカビル硫酸塩、アロブジン、アプリシタビン、センサブジン、ジダノシン、エルブシタビン、フェスチナビル、ホザルブジンチドキシン、CMX-157、ダピビリン、ドラビリン、エトラビリン、OCR-5753、テノホビルジソプロキシルオロテート、
フォジブジンチドキシル、ラミブジン、ホスファジド、スタブジン、ザルシタビン、ジドブジン、ロバホビルエタラフェナミド(GS-9131)、GS-9148、MK-8504、イスラトラビル、MK-8583、VM-2500、及びKP-1461が挙げられる。逆転写酵素のHIVヌクレオシド阻害剤又はヌクレオチド阻害剤の更なる例としては、限定されないが、米国特許出願公開第2002119443号、同第2007049754号、同第2013065856号、同第2013090473号、同第2014221356号、同第2016250215号、同第2016237062号及び同第2016251347号;並びに国際公開第04096286号に記載されているものが挙げられる。
HIVインテグラーゼ阻害剤
【0170】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIVインテグラーゼ阻害剤と組み合わされる。HIVインテグラーゼ阻害剤の例としては、エルビテグラビル、エルビテグラビル(持続放出型マイクロカプセル)、クルクミン、クルクミンの誘導体、チコリ酸、チコリ酸の誘導体、3,5-ジカメオイルキナ酸、3,5-ジカメオイルキナ酸の誘導体、オーリントリカルボン酸、オーリントリカルボン酸の誘導体、カフェイン酸フェネチルエステル、カフェイン酸フェネチルエステルの誘導体、チロホスチン、チロホスチンの誘導体、ケルセチン、ケルセチンの誘導体、ラルテグラビル、PEG化ラルテグラビル、ドルテグラビル、JTK-351、ビクテグラビル、AVX-15567、カルボテグラビル(長時間作用型注射剤)、ジケトキノリン-4-1誘導体、インテグラーゼ-LEDGF阻害剤、ledgins、M-522、M-532、MK-0536、NSC-310217、NSC-371056、NSC-48240、NSC-642710、NSC-699171、NSC-699172、NSC-699173、NSC-699174、スチルベンジスルホン酸、T-169、STP-0404、VM-3500、XVIR-110、ACC-017及びカボテグラビルが挙げられる。
【0171】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIV非触媒部位又はアロステリックなインテグラーゼ阻害剤(NCINI)と組み合わされる。HIV非触媒部位又はアロステリックなインテグラーゼ阻害剤(NCINI)の例としては、限定されないが、CX-05045、CX-05168及びCX-14442が挙げられる。
カプシド阻害剤
【0172】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片をカプシド阻害剤と組み合わされる。本開示の薬剤と組み合わせることができるカプシド阻害剤の例としては、カプシド重合阻害剤又はカプシド破壊化合物、アゾジカルボンアミドなどのHIVヌクレオカプシドp7(NCp7)阻害剤、HIVp24カプシドタンパク質阻害剤、レナカパビル(GS-6207)、GS-CA1、AVI-621、AVI-101、AVI-201、AVI-301、及びAVI-CAN1-15シリーズ、PF-3450074、並びに国際公開第2019/087016号、米国特許出願公開第2014/0221356号、同第2016/0016973号、同第2018/0051005号、同第2016/0108030号に記載の化合物が挙げられる。
HIVウイルス感染性因子阻害剤
【0173】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIVウイルス感染因子阻害剤と組み合わされる。HIVウイルス感染因子阻害剤の例としては、2-アミノ-N-(2-メトキシフェニル)-6-((4-ニトロフェニル)チオ)ベンズアミド誘導体及びIrino-Lが挙げられる。
HIV侵入阻害剤
【0174】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIV侵入阻害剤と組み合わされる。HIV侵入(融合)阻害剤の例としては、AAR-501、LBT-5001、セニクリビロク、CCR5阻害剤、gp41阻害剤、CD4付着阻害剤、gp120阻害剤、gp160阻害剤及びCXCR4阻害剤が挙げられる。
【0175】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、CCR5阻害剤と組み合わされる。CCR5阻害剤の例としては、アプラビロク、ビクリビロク、マラビロク、マラビロク(長時間作用型注射用ナノエマルジョン)、セニクリビロク、レロンリマブ(PRO-140)、アダパビル(RAP-101)、ニフェビロク(TD-0232)、抗GP120/CD4又はCCR5二重特異性抗体、B-07、MB-66、ポリペプチドC25P、TD-0680、チオラビロク及びvMIP(Haimipu)が挙げられる。
【0176】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、CXCR4阻害剤と組み合わされる。CXCR4阻害剤の例としては、プレリキサフォル、ALT-1188、N15ペプチド、及びvMIP(Haimipu)が挙げられる。
【0177】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、gp41阻害剤と組み合わされる。gp41阻害剤の例としては、アルブビルチド、エンフビルチド、グリフィシン(gp41/gp120/gp160阻害剤)、BMS-986197、エンフビルタイドバイオベッター、エンフビルタイドバイオシミラー、HIV-1融合阻害剤(P26-Bapc)、ITV-1、ITV-2、ITV-3、ITV-4、CPT-31、Cl3hmAb、リプビルチド、PIE-12トリマー及びシフビルチドが挙げられる。
【0178】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、CD4付着阻害剤と組み合わされる。CD4結合阻害剤の例には、イバリズマブ及びCADA類似体が挙げられる。
【0179】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、gp120阻害剤と組み合わされる。gp120阻害剤の例としては、抗HIV殺菌剤、Radha-108(受容体)3B3-PE38、BMS818251、BanLec、ベントナイト系ナノ医薬、フォステムサビルトロメタミン、IQP-0831、VVX-004及びBMS-663068が挙げられる。
【0180】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、gp160阻害剤と組み合わされる。組み合わせることができるgp160阻害剤の例としては、ファンキノリンが挙げられる。
HIV成熟阻害剤
【0181】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIV成熟化阻害剤と組み合わされる。HIV成熟阻害剤の例には、BMS-955176、GSK-3640254、及びGSK-2838232が挙げられる。
潜伏感染再活性化剤
【0182】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIV潜伏期間逆転剤と組み合わされる。本明細書に記載の1つ以上の多重特異性抗原結合分子と組み合わせることができる潜伏感染再活性化剤の例としては、IL-15受容体アゴニスト(例えば、ALT-803;インターロイキン-15/Fc融合タンパク質(例えば、XmAb24306)、組換えインターロイキン-15(例えば、AM0015、NIZ-985)、ペグ化IL-15(例えば、NKTR-255))、toll様受容体(TLR)アゴニスト(TLR7アゴニスト、例えば、GS-9620及びTLR8アゴニスト、例えば、セルガントリモド(GS-9688)を含む)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、例えばベルケード、プロテインキナーゼC(PKC)活性化剤、Smyd2阻害剤、BET-ブロモドメイン4(BRD4)阻害剤(例えば、ZL-0580、アパベタロンなど)、イオノマイシン、IAPアンタゴニスト(APG-1387、LBW-242などのアポトーシスタンパク質の阻害剤)、SMAC模倣物(TL32711、LCL161、GDC-0917、HGS1029、AT-406を含む)、Debio-1143、PMA、SAHA(スベルアニロヒドロキサム酸、又はスベロイル、アニリド、及びヒドロキサム酸)、NIZ-985、IL-15調節抗体、(IL-15、IL-15融合タンパク質及びIL-15受容体アゴニスト、例えば、ALT-803を含む)、JQ1、ジスルフィラム、アンホテリシンB、及びユビキチン阻害剤、例えばラルガゾール類似体、APH-0812及びGSK-343が挙げられる。HDAC阻害剤の例には、ロミデプシン、ボリノスタット、及びパノビノスタットが挙げられる。PKC活性化因子の例には、インドラクタム、プロストラチン、インゲノールB、及びDAG-ラクトンが挙げられる。
Toll様受容体(TLR)アゴニスト
【0183】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、toll様受容体(TLR)のアゴニスト、例えば、TLR1(NCBI遺伝子ID:7096)、TLR2(NCBI遺伝子ID:7097)、TLR3(NCBI遺伝子ID:7098)、TLR4(NCBI遺伝子ID:7099)、TLR5(NCBI遺伝子ID:7100)、TLR6(NCBI遺伝子ID:10333)、TLR7(NCBI遺伝子ID:51284)、TLR8(NCBI遺伝子ID:51311)、TLR9(NCBI遺伝子ID:54106)及び/又はTLR10(NCBI遺伝子ID:81793)のアゴニストと組み合わされる。
【0184】
本明細書中に記載される1つ以上の多重特異性抗原結合分子と同時投与され得る又は組み合わされ得るTLR7アゴニストの例としては、AL-034、DSP-0509、GS-9620(ベサトリモド)、ベサトリモド類似体、LHC-165、TMX-101(イミキモド)、GSK-2245035、レシキモド、DSR-6434、DSP-3025、IMO-4200、MCT-465、MEDI-9197、3M-051、SB-9922、3M-052、Limtop、TMX-30X、TMX-202、RG-7863、RG-7854、RG-7795、並びに米国特許出願公開第20100143301号(Gilead Sciences)、米国特許出願公開第20110098248号(Gilead Sciences)、及び米国特許出願公開第20090047249号(Gilead Sciences)、2010143301号、米国特許出願公開第20140045849号(Janssen)、米国特許出願公開第20140073642号(Janssen)、国際公開第2014/056953号(Janssen)、国際公開第2014/076221号(Janssen)、国際公開第2014/128189号(Janssen)、米国特許出願公開第20140350031号(Janssen)、国際公開第2014/023813号(Janssen)、米国特許出願公開第20080234251号(Array Biopharma)、米国特許出願公開第20080306050号(Array Biopharma)、米国特許出願公開第20100029585号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20110092485号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20110118235号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20120082658号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20120219615号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140066432号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140088085号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140275167号(Novira Therapeutics)、及び米国特許出願公開第20130251673号(Novira Therapeutics)に開示される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
同時投与され得るTLR7/TLR8アゴニストは、NKTR-262、テルラトリモド、及びBDB-001である。
【0186】
本明細書中に記載される1つ以上の多重特異性抗原結合分子と同時投与され得るか又は組み合わされ得るTLR8アゴニストの例としては、E-6887、IMO-4200、IMO-8400、IMO-9200、MCT-465、MEDI-9197、モトリモド、レシキモド、セルガントリモド(GS-9688)、VTX-1463、VTX-763、3M-051、3M-052、並びに米国特許出願公開第2017071944号(Gilead Sciences)、米国特許出願公開第20140045849号(Janssen)、米国特許出願公開第20140073642号(Janssen)、国際公開第2014/056953号(Janssen)、国際公開第2014/076221号(Janssen)、国際公開第2014/128189号(Janssen)、米国特許出願公開第20140350031号(Janssen)、国際公開第2014/023813号(Janssen)、米国特許出願公開第20080234251号(Array Biopharma)、米国特許出願公開第20080306050号(Array Biopharma)、米国特許出願公開第20100029585号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20110092485号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20110118235号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20120082658号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20120219615号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140066432号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140088085号(Ventirx Pharma)、米国特許出願公開第20140275167号(Novira Therapeutics)、及び米国特許出願公開第20130251673号(Novira Therapeutics)に開示される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
同時投与され得る例示的なTLR9アゴニストとしては、AST-008、コビトリモド、CMP-001、IMO-2055、IMO-2125、リテニモド、MGN-1601、BB-001、BB-006、IMO-3100、IMO-8400、IR-103、IMO-9200、アガトリモド、DIMS-9054、DV-1079、DV-1179、AZD-1419、レフィトリモド(MGN-1703)、CYT-003、CYT-003-QbG10、チルソトリモド、及びPUL-042が挙げられるが、これらに限定されない。TLR3アゴニストの例としては、リンタトリモド、ポリ-ICLC、RIBOXXON(登録商標)、Apoxxim、RIBOXXIM(登録商標)、IPH-33、MCT-465、MCT-475、及びND-1.1が挙げられる。TLR4アゴニストの例としては、G-100及びGSK-1795091が挙げられる。
ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤
【0188】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、ヒストンデアセチラーゼの阻害剤、例えば、ヒストンデアセチラーゼ1、ヒストンデアセチラーゼ9(HDAC9、HD7、HD7b、HD9、HDAC、HDAC7、HDAC7B、HDAC9B、HDAC9FL、HDRP、MITR;遺伝子ID9734)の阻害剤と組み合わされる。HDAC阻害剤の例としては、アベキシノスタット、ACY-241、AR-42、BEBT-908、ベリノスタット、CKD-581、CS-055(HBI-8000)、CT-101、CUDC-907(フィメピノスタット)、エンチノスタット、ギビノスタット、モセチノスタット、パノビノスタット、プラシノスタット、キシノスタット(JNJ-26481585)、レスミノスタット、リコリノスタット、SHP-141、TMB-ADC、バルプロ酸(VAL-001)、ボリノスタット、チノスタムスチン、レメチノスタット、及びエンチノスタットが挙げられるが、これらに限定されない。
シトクロムP450 3阻害剤
【0189】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、シトクロムP450 3阻害剤と組み合わされる。シトクロムP450 3阻害剤の例としては、米国特許第7,939,553号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
RNAポリメラーゼモジュレーター
【0190】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、RNAポリメラーゼモジュレーターと組み合わされる。RNAポリメラーゼモジュレーターの例としては、米国特許第10,065,958号及び第8,008,264号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤
【0191】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、例えばサイクリン依存性キナーゼ4(CDK4;NCBI遺伝子ID:1019)、サイクリン依存性キナーゼ6(CDK6;NCBI遺伝子ID:1021)、サイクリン依存性キナーゼ9(CDK9;NCBI遺伝子ID:1025)と組み合わされる。いくつかの実施形態では、CDK4/CDK6/CDK9阻害剤又はアンタゴニストは、VS2-370からなる群から選択される。
インターフェロン遺伝子刺激因子(Stimulator of Interferon Genes、STING
)アゴニスト
【0192】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)と組み合わされる。いくつかの実施形態では、STING受容体アゴニスト又は活性化剤は、ADU-S100(MIW-815)、SB-11285、MK-1454、SR-8291、AdVCA0848、GSK-532、SYN-STING、MSA-1、SR-8291、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、サイクリックGAMP(cGAMP)、及びサイクリックジAMPからなる群から選択される。
RIG-Iアゴニスト
【0193】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、DExD/H-ボックスヘリカーゼ58(DDX 58;別名、RIG-I、RIG1、RIGI、RLR-1、SGMRT2;NCBI遺伝子ID:23586)のアゴニストと組み合わされる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の薬剤は、RGT-100などのRIG-Iモジュレーター、又はNOD2モジュレーター、例えば、SB-9200(別名、GS 9992;inarigivir),及びIR-103と組み合わされる。例示的なRIG-Iアゴニストは、Hemann,et
al.,J Immunol May 1,2016,196(1 Supplement)76.1によって記載されているKIN1148である。追加のRIG-Iアゴニストは、例えば、Elion,et al.,Cancer Res.(2018)78(21):6183-6195、及びLiu,et al.,J Virol.(2016)90(20):9406-19を参照されたい。RIG-Iアゴニストは、例えば、invivogen(invivogen.com)から市販されている。
LAG-3及びTIM-3阻害剤
【0194】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、抗TIM-3(別名、A型肝炎ウイルス細胞受容体2抗体(HAVCR2;NCBI遺伝子ID:84868)、例えば、TSR-022、LY-3321367、MBG-453、INCAGN-2390と組み合わされるか、又は共投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、抗LAG-3(リンパ球活性化)(NCBI遺伝子ID:3902)抗体、例えばリラトリマブ(ONO-4482)、LAG-525、MK-4280、REGN-3767、INCAGN2385と組み合わされる。
免疫系療法
【0195】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、免疫系療法と組み合わされる。免疫療法の例としては、TLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、及びTLR13などのtoll様受容体(TLR)モジュレーターが挙げられる。プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)モジュレーター、プログラム死リガンド1(PD-L1)モジュレーター、IL-15モジュレーター(例えば、IL-15受容体アゴニスト例えば、ALT-803;インターロイキン-15/Fc融合タンパク質(例えば、XmAb24306)、組換えインターロイキン-15(例えば、AM0015、NIZ-985)、ペグ化IL-15(例えば、NKTR-255))、DermaVir;インターロイキン-7;プラケニル(ヒドロキシクロロキン);プロロイキン(アルデスロイキン、IL-2);インターフェロンアルファ;インターフェロンアルファ-2b;インターフェロンアルファ-n3;PEG化インターフェロンアルファ;インターフェロンガンマ;ヒドロキシ尿素;ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil、MPA)及びそのエステル誘導体ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil、MMF);リバビリン;ポリマーポリエチレンイミン(polymer polyethyleneimine、PEI);gepon;IL-12;WF-10;VGV-1;MOR-22;BMS-936559;CYT-107、ノルムフェロン、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2b、RPI-MN、STINGモジュレーター、RIG-Iモジュレーター、NOD2モジュレーター、SB-9200、及びIR-103が挙げられる。
【0196】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、TLRアゴニストと組み合わされる。TLRアゴニストの例としては、ベサトリモド(GS-9620)、レフィトリモド、チルソトリモド、リンタトリモド、DSP-0509、AL-034、G-100、コビトリモド、AST-008、モトリモド、GSK-1795091、GSK-2245035、VTX-1463、セルガントリモド(GS-9688)、LHC-165、BDB-001、RG-7854、テラトリモドが挙げられるが、これらに限定されない。
免疫チェックポイント受容体タンパク質モジュレーター
【0197】
種々の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、阻害性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上の遮断薬又は阻害剤及び/又は1つ以上の刺激性免疫チェックポイントタンパク質若しくは受容体の1つ以上の刺激薬、活性化薬又はアゴニストと組み合わされる。阻害性免疫チェックポイントの遮断又は阻害は、T細胞又はNK細胞の活性化を確実に調節し、感染細胞の免疫漏れを防止することができる。刺激性免疫チェックポイントの活性化又は刺激は、感染治療薬における免疫チェックポイント阻害剤の効果を増強することができる。様々な実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質又は受容体は、T細胞応答を調節する(例えば、Xu,et al.,J Exp Clin Cancer Res.(2018)37:110に概説されている)。様々な実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質又は受容体は、NK細胞応答を調節する(例えば、Davis,et al.,Semin Immunol.(2017)31:64-75、及びChiossone,et al.,Nat Rev Immunol.(2018)18(11):671-688に概説されている)。
【0198】
本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片と組み合わせることができる免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の例としては、CD 27、CD 70;CD40、CD40LG;CD47、CD48(SLAMF2)、膜貫通ドメイン及び免疫グロブリンドメイン含有2(TMIGD2、CD28H)、CD84(LY9B、SLAMF5)、CD96、CD160、MS4A1(CD20)、CD244(SLAMF4);CD276(B7H3);Vセットドメイン含有T細胞活性化阻害因子1(VTCN1、B7H4);Vセット免疫調節受容体(VSIR、B7H5、VISTA);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー11(IGSF11、VSIG3);ナチュラルキラー細胞傷害性受容体3リガンド1(NCR3LG1、B7H6);HERV-H LTR関連2(HHLA2、B7H7);誘導性T細胞共刺激分子(ICOS、CD278);誘導性T細胞共刺激分子リガンド(ICOSLG、B7H2);TNF受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4、OX40);TNFスーパーファミリーメンバー4(TNFSF4、OX40L);TNFRSF8(CD30)、TNFSF8(CD30L);TNFRSF10A(CD261、DR4、TRAILR1)、TNFRSF9(CD137)、TNFSF9(CD137L);TNFRSF10B(CD262、DR5、TRAILR2)、TNFRSF10(TRAIL);TNFRSF14(HVEM、CD270)、TNFSF14(HVEML);CD272(B及びTリンパ球関連(BTLA));TNFRSF17(BCMA、CD269)、TNFSF13B(BAFF);TNFRSF18(GITR)、TNFSF18(GITRL);MHCクラスIポリペプチド関連配列A(MICA);MHCクラスIポリペプチド関連配列B(MICB);CD274(CD274、PDL1、PD-L1);プログラム細胞死1(PDCD1、PD1、PD-1);細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4、CD152);CD80(B7-1)、CD28;ネクチン細胞接着分子2(NECTIN2、CD112);CD226(DNAM-1);ポリオウイルス受容体(PVR)細胞接着分子(PVR、CD155);PVR関連免疫グロブリンドメイン含有(PVRIG、CD112R);Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT);T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有4(TIMD4;TIM4);A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2、TIMD3、TIM3);ガレクチン9(LGALS9);リンパ球活性化3(LAG3、CD223);シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリーメンバー1(SLAMF1、SLAM、CD150);リンパ球抗原9(LY9、CD229、SLAMF3);SLAMファミリーメンバー6(SLAMF6、CD352);SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7、CD319);UL16結合タンパク質1(ULBP1);UL16結合タンパク質2(ULBP2);UL16結合タンパク質3(ULBP3);レチノイン酸初期転写物1E(RAET1E;ULBP4);レチノイン酸初期転写物1G(RAET1G;ULBP5);レチノイン酸初期転写物1L(RAET1L;ULBP6);リンパ球活性化3(CD223);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR、CD158E1);キラー細胞レクチン様受容体C1(KLRC1、NKG2A、CD159A);キラー細胞レクチン様受容体K1(KLRK1、NKG2D、CD314);キラー細胞レクチン様受容体C2(KLRC2、CD159c、NKG2C);キラー細胞レクチン様受容体C3(KLRC3、NKG2E);キラー細胞レクチン様受容体C4(KLRC4、NKG2F);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、1つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL2);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL3);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部1(KIR3DL1);キラー細胞レクチン様受容体D1(KLRD1);及び造血前駆細胞キナーゼ1(HPK1,MAP4K1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
種々の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、1つ以上のT細胞阻害性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上の遮断薬又は阻害剤と組み合わされる。例示的なT細胞阻害性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体は、以下を含むが、これらに限定されない:CD274(CD274、PDL1、PD-L1);プログラム細胞死1リガンド2(PDCD1LG2、PD-L2、CD273);プログラム細胞死1(PDCD1、PD1、PD-1);細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4、CD152);CD276(B7H3);Vセットドメイン含有T細胞活性化阻害因子1(VTCN1、B7H4);Vセット免疫調節受容体(VSIR、B7H5、VISTA);免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー11(IGSF11、VSIG3);TNFRSF14(HVEM、CD270)、TNFSF14(HVEML);CD272(B及びTリンパ球関連(BTLA));PVR関連免疫グロブリンドメイン含有(PVRIG、CD112R);Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT);リンパ球活性化3(LAG3、CD223);A型肝炎ウイルス細胞受容体2(HAVCR2、TIMD3、TIM3);ガレクチン9(LGALS9);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質側末端1(KIR、CD158E1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、1つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL2);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL3);並びにキラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部1(KIR3DL1)。種々の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、1つ以上のT細胞刺激免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上のアゴニスト又は活性化因子と組み合わされる。例示的なT細胞刺激性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:CD27、CD70;CD40、CD40LG;誘導性T細胞共刺激分子(ICOS、CD278);誘導性T細胞共刺激分子リガンド(ICOSLG、B7H2);TNF受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4、OX40);TNFスーパーファミリーメンバー4(TNFSF4、OX40L);TNFRSF9(CD137)、TNFSF9(CD137L);TNFRSF18(GITR)、TNFSF18(GITRL);CD80(B7-1)、CD28;ネクチン細胞接着分子2(NECTIN2、CD112);CD226(DNAM-1);CD244(2B4、SLAMF4)、ポリオウイルス受容体(PVR)細胞接着分子(PVR、CD155)。例えば、Xu,et al.,J Exp Clin Cancer Res.(2018)37:110を参照されたい。
【0200】
種々の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、1つ以上のNK細胞阻害性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上の遮断薬又は阻害剤と組み合わされる。例示的なNK細胞抑制性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部1(KIR、CD158E1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、1つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL1);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、2つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL2);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部2(KIR2DL3);キラー細胞免疫グロブリン様受容体、3つのIgドメイン、及び長い細胞質尾部1(KIR3DL1);キラー細胞レクチン様受容体C1(KLRC1、NKG2A、CD159A);及びキラー細胞レクチン様受容体D1(KLRD1、CD94)。種々の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、1つ以上のNK細胞刺激免疫チェックポイントタンパク質又は受容体の1つ以上のアゴニスト又は活性化因子と組み合わされる。例示的なNK細胞刺激性免疫チェックポイントタンパク質又は受容体としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:CD16、CD226(DNAM-1);CD244(2B4、SLAMF4);キラー細胞レクチン様受容体K1(KLRK1、NKG2D、CD314);SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)。例えば、Davis,et al.,Semin Immunol.(2017)31:64-75、Fang,et al.,Semin Immunol.(2017)31:37-54、及びChiossone,et al.,Nat Rev Immunol.(2018)18(11):671-688を参照されたい。
【0201】
いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1(CD274)、PD-1(PDCD1)、又はCTLA4のタンパク質性阻害剤(例えば、抗体若しくはその断片、又は抗体ミメティック)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1(CD274)、PD-1(PDCD1)、又はCTLA4の有機小分子阻害剤を含む。
【0202】
共投与され得るCTLA4の阻害剤の例としては、イピリムマブ、トレメリムマブ、BMS-986218、AGEN1181、AGEN1884、BMS-986249、MK-1308、REGN-4659、ADU-1604、CS-1002、BCD-145、APL-509、JS-007、BA-3071、ONC-392、AGEN-2041、JHL-1155、KN-044、CG-0161、ATOR-1144、PBI-5D3H5、BPI-002、並びに多重特異性阻害剤FPT-155(CTLA4/PD-L1/CD28)、PF-06936308(PD-1/CTLA4)、MGD-019(PD-1/CTLA4)、KN-046(PD-1/CTLA4)、MEDI-5752(CTLA4/PD-1)、XmAb-20717(PD-1/CTLA4)、及びAK-104(CTLA4/PD-1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
共投与され得るPD-L1(CD274)又はPD-1(PDCD1)の阻害剤の例としては、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、セミプリマブ、ピディリズマブ、AMP-224、MEDI0680(AMP-514)、スパルタリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、BMS-936559、CK-301、PF-06801591、BGB-A317(ティスレリズマブ)、GLS-010(WBP-3055)、AK-103(HX-008)、AK-105、CS-1003、HLX-10、MGA-012、BI-754091、AGEN-2034、JS-001(トリパリマブ)、JNJ-63723283、ゲノリムズマブ(CBT-501)、LZM-009、BCD-100、LY-3300054、SHR-1201、SHR-1210(カムレリズマブ)、Sym-021、ABBV-181(ブディジャリマブ(budigalimab))、PD1-PIK、BAT-1306、(MSB0010718C)、CX-072、CBT-502、TSR-042(ドスタルリマブ)、MSB-2311、JTX-4014、BGB-A333、SHR-1316、CS-1001(WBP-3155、KN-035、IBI-308(シンチリマブ)、HLX-20、KL-A167、STI-A1014、STI-A1015(IMC-001)、BCD-135、FAZ-053、TQB-2450、MDX1105-01、GS-4224、GS-4416、INCB086550、MAX10181、並びに多重特異性阻害剤FPT-155(CTLA4/PD-L1/CD28)、PF-06936308(PD-1/CTLA4)、MGD-013(PD-1/LAG-3)、FS-118(LAG-3/PD-L1)MGD-019(PD-1/CTLA4)、KN-046(PD-1/CTLA4)、MEDI-5752(CTLA4/PD-1)、RO-7121661(PD-1/TIM-3)、XmAb-20717(PD-1/CTLA4)、AK-104(CTLA4/PD-1)、M7824(PD-L1/TGFβ-ECドメイン)、CA-170(PD-L1/VISTA)、CDX-527(CD27/PD-L1)、LY-3415244(TIM3/PDL1)、及びINBRX-105(4-1BB/PDL1)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
いくつかの実施形態では、CD274又はPDCD1の小分子阻害剤は、GS-4224、GS-4416、INCB086550、及びMAX10181からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、CTLA4の小分子阻害剤は、BPI-002を含む。
【0205】
種々の実施形態では、本明細書に記載される抗体又は抗原結合断片は、抗TIGIT抗体、例えば、BMS-986207、チラゴルマブ(別名、MTIG-7192A;RG-6058;RO7092284)、ビボストリマブ(vibostolimab)(MK-7684)、オシペルリマブ(ociperlimab)(BGB-A1217)、ドムバナリマブ(domvanalimab)(AB154)、AGEN1307、AGEN1327、AGEN1777、COM-902、IBI-939、SGN-TGT、MG1131、及びEOS884448(EOS-448)と組み合わされる。
TNF受容体スーパーファミリー(TNF Receptor Superfamily、TNFRSF)メンバーのアゴニスト又は活性化因子
【0206】
様々な実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、1つ以上のTNF受容体スーパーファミリー(TNFRSF)メンバーのアゴニスト、例えば、TNFRSF1A(NCBI遺伝子ID:7132)、TNFRSF1B(NCBI遺伝子ID:7133)、TNFRSF4(OX40、CD134;NCBI遺伝子ID7293)、TNFRSF5(CD40;NCBI遺伝子ID958)、TNFRSF6(FAS、NCBI遺伝子ID355)、TNFRSF7(CD27、NCBI遺伝子ID939)、TNFRSF8(CD30、NCBI遺伝子ID943)、TNFRSF9(4-1BB、CD137、NCBI遺伝子ID3604)、TNFRSF10A(CD261、DR4、TRAILR1、NCBI遺伝子ID8797)、TNFRSF10B(CD262、DR5、TRAILR2、NCBI遺伝子ID8795)、TNFRSF10C(CD263、TRAILR3、NCBI遺伝子ID8794)、TNFRSF10D(CD264、TRAILR4、NCBI遺伝子ID8793)、TNFRSF11A(CD265、RANK、NCBI遺伝子ID8792)、TNFRSF11B(NCBI遺伝子ID4982)、TNFRSF12A(CD266、NCBI遺伝子ID51330)、TNFRSF13B(CD267、NCBI遺伝子ID23495)、TNFRSF13C(CD268、NCBI遺伝子ID115650)、TNFRSF16(NGFR、CD271、NCBI遺伝子ID4804)、TNFRSF17(BCMA、CD269、NCBI遺伝子ID608)、TNFRSF18(GITR、CD357、NCBI遺伝子ID8784)、TNFRSF19(NCBI遺伝子ID55504)、TNFRSF21(CD358、DR6、NCBI遺伝子ID27242)、及びTNFRSF25(DR3、NCBI遺伝子ID8718)のうちの1つ以上のアゴニストと組み合わされる。
【0207】
同時投与され得る例示的な抗TNFRSF4(OX40)抗体としては、MEDI6469、MEDI6383、MEDI0562(タボリキシズマブ)、MOXR0916、PF-04518600、RG-7888、GSK-3174998、INCAGN1949、BMS-986178、GBR-8383、ABBV-368、並びに国際公開第2016179517号、国際公開第2017096179号、国際公開第2017096182号、国際公開第2017096281号、及び国際公開第2018089628号に記載の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0208】
共投与され得る例示的な抗TNFRSF5(CD40)抗体としては、RG7876、SEA-CD40、APX-005M、及びABBV-428が挙げられるが、これらに限定されない。
【0209】
いくつかの実施形態では、抗TNFRSF7(CD27)抗体バルリルマブ(CDX-1127)は、共投与される。
【0210】
共投与され得る例示的な抗TNFRSF9(4-1BB、CD137)抗体としては、限定されるものではないが、ウレルマブ、ウトミルマブ(PF-05082566)、AGEN2373、及びADG-106が挙げられる。
【0211】
共投与され得る例示的な抗TNFRSF18(GITR)抗体としては、MEDI1873、FPA-154、INCAGN-1876、TRX-518、BMS-986156、MK-1248、GWN-323、並びに国際公開第2017096179号、国際公開第2017096276号、国際公開第2017096189号、及び国際公開第2018089628号に記載の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、TNFRSF4(OX40)及びTNFRSF18(GITR)を同時に標的とする抗体又はその断片が共投与される。かかる抗体は、例えば、国際公開第2017096179号及び国際公開第2018089628号に記載されている。
インターロイキン受容体アゴニスト
【0212】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、インターロイキン受容体アゴニスト、例えば、IL-2、IL-7、IL-15、IL-10、IL-12アゴニストと組み合わされる;IL-2受容体アゴニストの例、例えばプロリュウキン(アルデスロイキン、IL-2);ペグ化IL-2(例えば、NKTR-214);IL-2の修飾されたバリアント(例えば、THOR-707)、ベンペガルデスロイキン、AIC-284、ALKS-4230、CUI-101、Neo-2/15;IL-15受容体アゴニスト、例えばALT-803、NKTR-255、及びhetIL-15、インターロイキン-15/Fc融合タンパク質、AM-0015、NIZ-985、SO-C101、IL-15Synthorin(PEG化IL-15)、P-22339、並びにIL-15-PD-1融合タンパク質N-809;IL-7の例としては、CYT-107が挙げられる。
【0213】
本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片と組み合わせることができるインターフェロン受容体アゴニストの例としては、インターフェロンアルファ;インターフェロンアルファ-2b;インターフェロンアルファ-n3;PEG化インターフェロンアルファ;インターフェロンガンマ;gepon;ヌクレオフェロン、ペグインターフェロンアルファ-2a、ペグインターフェロンアルファ-2b、RPI-MNが挙げられる。
【0214】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、GS-3583又はCDX-301などのFlt3アゴニストと組み合わされる。
二重特異性及び三重特異性ナチュラルキラー(Natural Killer、NK)細胞エンゲー
ジャー
【0215】
種々の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、NK細胞活性化受容体、例えば、CD16A、C型レクチン受容体(CD94/NKG2C、NKG2D、NKG2E/H及びNKG2F)、天然細胞傷害性受容体(NKp30、NKp44及びNKp46)、キラー細胞C型レクチン様受容体(NKp65、NKp80)、Fc受容体FcγR(抗体依存性細胞傷害性を媒介する)、SLAMファミリー受容体(例えば、2B4、SLAM6及びSLAM7)、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)(KIR-2DS及びKIR-3DS)、DNAM-1及びCD137(4-1BB)に対する二重特異性NK細胞エンゲージャー(BiKE)又は三重特異性NK細胞エンゲージャー(TriKE)(例えば、Fcを有していない)又は二重特異性抗体(例えば、Fcを有する)と組み合わされる。共投与され得る例示的な抗CD16二重特異性抗体、BiKE、又はTriKEとしては、AFM26(BCMA/CD16A)及びAFM-13(CD16/CD30)が挙げられる。必要に応じて、抗CD16結合二重特異性分子は、Fcを有していても有していなくてもよい。共投与され得る例示的な二重特異性NK細胞誘導因子は、本明細書に記載されるように、CD16及び1つ以上のHIV関連抗原を標的とする。BiKE及びTriKEは、例えば、Felices,et al.,Methods Mol Biol.(2016)1441:333-346;Fang,et al.,Semin Immunol.(2017)31:37-54に記載されている。三重特異性NK細胞誘導因子(TRiKE)の例としては、OXS-3550、HIV-TriKE、及びCD16-IL-15-B7H3 TriKeが挙げられる。
インドールアミン-ピロール-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO1)阻害剤
【0216】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1;NCBI遺伝子ID:3620)の阻害剤と組み合わされる。IDO1阻害剤の例としては、限定されるものではないが、BLV-0801、エパカドスタット、F-001287、GBV-1012、GBV-1028、GDC-0919、インドキシモッド、NKTR-218、NLG-919ベースのワクチン、PF-06840003、ピラノナフトキノン誘導体(SN-35837)、レスミノスタット、SBLK-200802、BMS-986205、及びshIDO-ST、EOS-200271、KHK-2455、LY-3381916が挙げられる。
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)阻害剤
【0217】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、PI3K阻害剤と組み合わされる。PI3K阻害剤の例には、イデラリシブ、アルペリシブ、ブパリシブ、CAIオロチン酸塩、コパンリシブ、デュベリシブ、ゲダトリシブ、ネラチニブ、パヌリシブ、ペリフォシン、ピクチリシブ、ピララリシブ、プキチニブメシル酸塩、リゴセルチブ、リゴセルチブナトリウム、ソノリシド、タセリシブ、AMG-319、AZD-8186、BAY-1082439、CLR-1401、CLR-457、CUDC-907、DS-7423、EN-3342、GSK-2126458、GSK-2269577、GSK-2636771、INCB-040093、LY-3023414、MLN-1117、PQR-309、RG-7666、RP-6530、RV-1729、SAR-245409、SAR-260301、SF-1126、TGR-1202、UCB-5857、VS-5584、XL-765、及びZSTK-474が挙げられる。
α-4/β-7アンタゴニスト
【0218】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、α-4/β-7アンタゴニストと組み合わせられる。インテグリンα-4/β-7アンタゴニストの例には、PTG-100、TRK-170、アブリルマブ、エトロリズマブ、カロテグラストメチル、及びベドリズマブが挙げられる。
HPK 1/MAP4K1阻害剤
【0219】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ1(MAP4K1、別名、造血前駆体キナーゼ1(HPK1);NCBI遺伝子ID:11184)と組み合わされる。HPK1モジュレーターの例としては、ZYF-0272及びZYF-0057が挙げられるが、これらに限定されない。
薬物動態増強剤
【0220】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、薬物動態学的エンハンサーと組み合わされる。薬物動態増強剤の例には、コビシスタット及びリトナビルが挙げられる。
追加の治療薬
【0221】
追加の治療薬の例としては、国際公開第2004/096286号(Gilead Sciences)、国際公開第2006/015261号(Gilead Sciences)、国際公開第2006/110157号(Gilead Sciences)、国際公開第2012/003497号(Gilead Sciences)、国際公開第2012/003498号(Gilead Sciences)、国際公開第2012/145728号(Gilead Sciences)、国際公開第2013/006738号(Gilead Sciences)、国際公開第2013/159064号(Gilead Sciences)、国際公開第2014/100323号(Gilead Sciences)、米国特許出願公開第2013/0165489号(University of Pennsylvania)、米国特許出願公開第2014/0221378号(Japan Tobacco)、米国特許出願公開第2014/0221380号(Japan Tobacco);、国際公開第2009/062285(Boehringer Ingelheim)、国際公開第2010/130034(Boehringer Ingelheim)、国際公開第2013/006792号(Pharma Resources)、米国特許出願公開第20140221356号(Gilead Sciences)、米国特許出願公開第20100143301号(Gilead Sciences)、及び米国特許出願公開第2013/091096号(Boehringer Ingelheim)に開示されている化合物が挙げられる。
HIVの併用療法
【0222】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、ATRIPLA(登録商標)(エファビレンツ、フマル酸テノホビルジソプロキシル及びエムトリシタビン);BIKTARVY(登録商標)(ビクレグラビル+エムトリシタビン+テノホビルアラフェナミド)、COMPLERA(登録商標)(EVIPLERA(登録商標);リルピビリン、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、及びエムトリシタビン);STRIBILD(登録商標)(エルビテグラビル、コビシスタット、テノホビルジソプロキシルフマレート、及びエムトリシタビン);TRUVADA(登録商標)(テノホビルジソプロキシルフマレート及びエムトリシタビン;TDF+FTC);DESCOVY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド及びエムトリシタビン);ODEFSEY(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、及びリルピビリン);GENVOYA(登録商標)(テノホビルアラフェナミド、エムトリシタビン、コビシスタット、及びエルビテグラビル);アデホビル;アデホビルジピボキシル;コビシスタット;エムトリシタビン;テノホビル;テノホビルジソプロキシル;テノホビルジソプロキシルフマル酸塩;テノホビルアラフェナミド;テノホビルアラフェナミドヘミフマレート;TRIUMEQ(登録商標)(ドルテグラビル、アバカビル、及びラミブジン);ドルテグラビル、アバカビル硫酸塩、及びラミブジン;ラルテグラビル;ラルテグラビル及びラミブジン;マラビロク;エンフビルチド;ALUVIA(登録商標)(KALETRA(登録商標);ロピナビル及びリトナビル);COMBIVIR(登録商標)(ジドブジン及びラミブジン;AZT+3TC);EPZICOM(登録商標)(LIVEXA(登録商標);アバカビル硫酸塩及びラミブジン;ABC+3TC);TRIZIVIR(登録商標)(アバカビル硫酸塩、ジドブジン、及びラミブジン;ABC+AZT+3TC);リルピビリン;リルピビリン塩酸塩;アタザナビル硫酸塩及びコビシスタット;アタザナビル及びコビシスタット;ダルナビル及びコビシスタット;アタザナビル;アタザナビル硫酸塩;ドルテグラビル;エルビテグラビル;リトナビル;アタザナビル硫酸塩及びリトナビル;ダルナビル;ラミブジン;プロラスチン;ホサンプレナビル;ホサンプレナビルカルシウムエファビレンツ;エトラビリン;ネルフィナビル;ネルフィナビルメシル酸塩;インターフェロン;ジダノシン;スタブジン;インジナビル;インジナビル硫酸塩;テノホビル及びラミブジン;ジドブジン;ネビラピン;サキナビル;サキナビルメシル酸塩;アルデスロイキン;ザルシタビン;チプラナビル;アンプレナビル;デラビルジン;デラビルジンメシル酸塩;Radha-108(レセプトール);ラミブジン及びテノホビルジソプロキシルフマレート;エファビレンツ、ラミブジン、及びテノホビルジソプロキシルフマレート;ホスファジド;ラミブジン、ネビラピン、及びジドブジン;アバカビル、及びアバカビル硫酸塩から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれを超える追加の治療薬と組み合わされる。
【0223】
上記に列挙した追加の治療薬は、上記に列挙したクラスのうちの2つ以上に含まれ得ることが、当業者には理解されるであろう。特定のクラスは、それらのクラスに列挙されるこれらの化合物の官能性を制限することを意図していない。
【0224】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、逆転写酵素のHIVヌクレオシド阻害剤又はヌクレオチド阻害剤及び逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤と組み合わされる。別の具体的な実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤及びHIVプロテアーゼ阻害化合物と組み合わされる。追加の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、逆転写酵素のHIVヌクレオシド又はヌクレオチド阻害剤、逆転写酵素のHIV非ヌクレオシド阻害剤、及び薬物動態増強剤と組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、逆転写酵素の少なくとも1つのHIVヌクレオシド阻害剤、インテグラーゼ阻害剤及び薬物動態学的エンハンサーと組み合わされる。別の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、逆転写酵素の2つのHIVヌクレオシド阻害剤又はヌクレオチド阻害剤と組み合わせる。
【0225】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、硫酸アバカビル、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド又はテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩と組み合わされる。
【0226】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド又はテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩と組み合わされる。
【0227】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、アバカビル硫酸塩、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩からなる群から選択される第1の追加の治療薬、並びにエムトリシタビン及びラミブジンからなる群から選択される第2の追加の治療薬と組み合わされるか、又は共投与される。
【0228】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、テノホビル、テノホビルジソプロキシル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩からなる群から選択される第1の追加の治療薬、並びに第2の追加の治療薬と組み合わされ、第2の追加の治療薬はエムトリシタビンである。
【0229】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、例えば、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片の1mg~50mgの範囲内、75mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg、1000mg又は1500mgの範囲内の治療有効投与量の1つ以上の追加の治療薬と組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、例えば、約0.1mg/kg~約0.5mg/kg、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、8mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、35mg/kg、40mg/kg、45mg/kg又は50mg/kgの抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片の範囲内の治療有効投与量で1つ以上の追加の治療薬と組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、例えば、抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片の約5mg~約10mg、20mg、25mg、50mg、100mg、125mg、150mg、250mg、300mg、500mg、1000mg又は1500mgの範囲内の治療有効投与量の1つ以上の追加の治療薬と組み合わされる。
【0230】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、5~30mgのテノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、又はテノホビルアラフェナミド及び200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、5~10、5~15、5~20、5~25、25~30、20~30、15~30又は10~30mgのテノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、又はテノホビルアラフェナミド及び200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、10mgのテノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、又はテノホビルアラフェナミド及び200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、25mgのテノホビルアラフェナミドフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドヘミフマル酸塩、又はテノホビルアラフェナミド及び200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、あたかも投与量の各組み合わせが具体的かつ個別に列挙されているかのように、任意の投与量の抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片(例えば、本明細書中に記載の、1mg~500mgの抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片)で本明細書に提供される薬剤と組み合わされる。
【0231】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、200~400mgのテノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、又はテノホビルジソプロキシル及び200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、200~250、200~300、200~350、250~350、250~400、350~400、300~400、又は250~400mgのテノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、又はテノホビルジソプロキシル及び200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、300mgのテノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルジソプロキシルヘミフマル酸塩、又はテノホビルジソプロキシル及び200mgのエムトリシタビンと組み合わされる。本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、投薬量の各組み合わせが具体的かつ個々に列挙された場合と同じく、任意の投薬量(例えば、1mg~500mgの抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片)における、本明細書で提供される薬剤と、組み合わされてもよい。
長時間作用型HIV阻害剤
【0232】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、長時間作用型HIV阻害剤と同時投与することができる。長期作用型HIV阻害剤として開発されている薬物の例としては、カボテグラビルLA、リルピビリンLA、任意のインテグラーゼLA、VM-1500LAI、マラビロク(LAI)、テノホビルインプラント、MK-8591インプラント、長期作用型性ドルテグラビルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0233】
一実施形態では、キットは、1つ以上(例えば、1、2、3、1若しくは2、又は1~3)の追加の治療薬と組み合わせて、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片を含む。
HIVワクチン
【0234】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、HIVワクチンと組み合わされる。HIVワクチンの例としては、ペプチドワクチン、組換えサブユニットタンパク質ワクチン、生ベクターワクチン、DNAワクチン、HIV MAG DNAワクチン、CD4由来ペプチドワクチン、ワクチンの組み合わせ、アデノウイルスベクターワクチン(例えば、Ad5、Ad26又はAd35)、シミアンアデノウイルス(チンパンジー、ゴリラ、アカゲザル、すなわち、rhAd)、アデノ随伴ウイルスベクターワクチン、チンパンジーのアデノウイルスワクチン(例えば、ChAdOX1、ChAd68、ChAd3、ChAd63、ChAd83、ChAd155、ChAd157、Pan5、Pan6、Pan7、Pan9)、コクサッキーウイルス系ワクチン、腸内ウイルス系ワクチン、ゴリラアデノウイルスワクチン、レンチウイルスベクター系ワクチン、二分割型又は三分割型のアレナウイルス系ワクチン(例えば、LCMV、Pichinde)、三量体系HIV-1ワクチン、麻疹ウイルス系ワクチン、フラビウイルスベクター系ワクチン、タバコモザイクウイルスベクター系ワクチン、水痘帯状疱疹ウイルス系ワクチン、ヒトパラインフルエンザウイルス3(PIV3)系ワクチン、ポックスウイルス系ワクチン(改変ワクシニアウイルスAnkara(MVA)、オルソポックスウイルス由来NYVAC及びアビポックスウイルス由来ALVAC(カナリポックスウイルス)株);鶏痘ウイルス系ワクチン、ラブドウイルス系ワクチン、例えば水疱性口内炎ウイルス(VSV)及びマラバウイルス;組換えヒトCMV(rhCMV)系ワクチン、アルファウイルス系ワクチン、例えば、セムリキ森林ウイルス、ベネズエラウマ脳炎ウイルス、及びシンドビスウイルスなど(例えば、以下を参照されたい:Lauer,ら,Clin Vaccine Immunol(2017)24(1):e00298-16);LNP製剤化mRNA系治療ワクチン、及びLNP製剤化自己複製RNA/自己増幅RNAワクチンが挙げられる。
【0235】
HIVワクチンの例としては、AAVLP-HIVワクチン、抗CD40.Env-gp140ワクチン、Ad4-EnvC150、BG505 SOSIP.664 gp140アジュバント化ワクチン、BG505 SOSIP.GT1.1 gp140アジュバント化ワクチン、ChAdOx 1.tHIVconsv1ワクチン、CMV-MVAトリプレックスワクチン、ChAdOx 1.HTI、Chimigen HIVワクチン、ConM SOSIP.v7 gp 140、rgp120(AIDSVAX)、ALVAC HIV(vCP1521)/AIDSVAX B/E(gp120)(RV 144)、単量体gp120 HIV-1サブタイプCワクチン、MPER-656リポソームサブユニットワクチン、Remune、ITV-1、Contre Vir、Ad5-ENVA-48、DCVax-001(CDX-2401)、Vacc-4x、Vacc-C5、VAC-3S、マルチクレードDNA組換えアデノウイルス-5(rAd5)、rAd5 gag-pol env A/B/Cワクチン、Pennvax-G、Pennvax-GP、Pennvax-G/MVA-CMDR、HIV-TriMix-mRNAワクチン、HIV-LAMP-vax、Ad35、Ad35-GRIN、NAcGM3/VSSP ISA-51、ポリICLCアジュバント化ワクチン、TatImmune、GTU-multiHIV(FIT-06)、ChAdV 63.HIV consv、gp140[デルタ]V2.TV1+MF-59、rVSVIN HIV-1 gagワクチン、SeV-EnvF、SeV-Gagワクチン、AT-20、DNK-4、ad35-Grin/ENV、TBC-M4、HIVAX、HIVAX-2、N123-VRC-34.01誘導エピトープ系HIVワクチン、NYVAC-HIV-PT1、NYVAC-HIV-PT4、DNA-HIV-PT123、rAAV1-PG9DP、GOVX-B11、GOVX-B21、GOVX-C55、TVI-HIV-1、Ad-4(Ad4-env Clade C+Ad4-mGag)、Paxvax、EN41-UGR7C、EN41-FPA2、ENOB-HV-11、PreVaxTat、AE-H、MYM-V101、CombiHIVvac、ADVAX、MYM-V201、MVA-CMDR、MagaVax、DNA-Ad5 gag/pol/nef/nev(HVTN 505)、MVATG-17401、ETV-01、CDX-1401、SCaVIIを発現するDNA及びSevベクターワクチン、rcAD26.MOS1.HIV-Env、Ad26.改変HIVワクチン、Ad26.Mod.HIV+MVAモザイクワクチン+gp140、AGS-004、AVX-101、AVX-201、PEP-6409、SAV-001、ThV-01、TL-01、TUTI-16、VGX-3300、VIR-1111、IHV-001、及び偽ビリオンワクチンなどのウイルス様粒子ワクチン、CombiVICHvac、LFn-p24 B/C融合ワクチン、GTU系DNAワクチン、HIV gag/pol/nef/env DNAワクチン、抗TAT
HIVワクチン、コンジュゲートポリペプチドワクチン、樹状細胞ワクチン(DermaVirなど)、gag系DNAワクチン、GI-2010、gp 41 HIV-1ワクチン、HIVワクチン(PIKAアジュバント)、I i-key/MHCクラスIIエピトープハイブリッドペプチドワクチン、ITV-2、ITV-3、ITV-4、LIPO-5、マルチクレードEnvワクチン、MVAワクチン、Pennvax-GP、pp71欠損HCMVベクターHIV gagワクチン、組換えペプチドワクチン(HIV感染)、NCI、rgp160 HIVワクチン、RN活性HIVワクチン、SCB-703、Tat Oyiワクチン、TBC-M4、治療用HIVワクチン、UBI HIV
gp120、ワクチン-4x+ロミデプシン、バリアントgp120ポリペプチドワクチン、rAd5 gag-pol env A/B/Cワクチン、DNA.HTI及びMVA.HTI、VRC-HIVDNA 016-00-VP+VRC-HIVADV 014-00-VP、INO-6145、JNJ-9220、gp145 C .6980;eOD-GT8 60mer系ワクチン、PD-201401、env(A,B,C,A/E)/gag(C)DNAワクチン、gp120(A、B、C、A/E)タンパク質ワクチン、PDPHV-201401、Ad4-EnvCN 54、EnvSeq-1 Envs HIV-1ワクチン(GLA-SEアジュバント化)、HIV p24gagプライムブーストプラスミドDNAワクチン、HIV-1 iglb 12中和VRC-01抗体刺激抗CD4ワクチン、MVA-BN HIV-1ワクチンレジメン、UBI HIV gp120、mRNA系の予防ワクチン、VPI-211、TBL-1203HI、CH505 TF chTrimer、CD40.HIVRI.Envワクチン、Drep-HIV-PT-1、mRNA-1644、及びmRNA-1574が挙げられるが、これらに限定されない。
受胎調節(避妊)併用療法
【0236】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、受胎調節レジメン又は避妊レジメンと組み合わされる。受胎調節(避妊)に使用される治療薬には、酢酸シプロテロン、デソゲストレル、ジエノゲスト、ドロスピレノン、吉草酸エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチノジオール、エトノゲストレル、レボメフォラート、レボノルゲストレル、リネストレノール、酢酸メドロキシプロゲステロン、メストラノール、ミフェプリストン、ミソプロストール、酢酸ノメゲストロール、ノルレゲストロミン、ノルエチンドロン、ノルチノドレル、ノルゲスチマート、オルメロキシフェン、酢酸セゲステルソン、酢酸ウリプリスタル酢酸、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
遺伝子療法及び細胞療法
【0237】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、遺伝子又は細胞療法レジメンと組み合わされる。遺伝子療法及び細胞療法としては、遺伝子をサイレンシングするための遺伝子修飾;感染細胞を直接死滅させるための遺伝的アプローチ;感染細胞に対する免疫応答を増強するために患者自身の免疫系の大部分を置換するか、又は感染細胞を殺傷するために患者自身の免疫系を活性化するか、又は感染細胞を見つけて殺傷するように設計された、免疫細胞の注入;細胞活性を改変して、感染に対する内因性免疫応答性を更に変更するための遺伝的アプローチが含まれる。細胞療法の例としては、LB-1903、ENOB-HV-01、ENOB-HV-21、ENOB-HV-31、GOVX-B01、HSPC過剰発現ALDH1(LV-800、HIV感染症)、AGT103-T、及びSupT1細胞ベースの療法が挙げられる。樹状細胞療法の例には、AGS-004が挙げられる。CCR5遺伝子編集剤としては、SB-728Tが挙げられる。CCR5遺伝子阻害剤としは、Cal-1、及びレンチウイルスベクターCCR5 shRNA/TRIM5α/TARデコイ形質導入自己CD34陽性造血前駆細胞(HIV感染症/HIV関連リンパ腫)が挙げられる。いくつかの実施形態では、C34-CCR5/C34-CXCR4発現CD4陽性T細胞は、1つ以上の多重特異性抗原結合分子と共投与される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、AGT-103形質導入自己T細胞療法又はAAV-eCD4-Ig遺伝子療法と同時投与される。
遺伝子編集剤
【0238】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、遺伝子編集剤、例えば、HIV標的化遺伝子編集剤と組み合わされる。様々な実施形態では、ゲノム編集系は、CRISPR/Cas9複合体、亜鉛フィンガーヌクレアーゼ複合体、TALEN複合体、ホーミングエンドヌクレアーゼ複合体、及びメガヌクレアーゼ複合体からなる群から選択することができる。CRISPR/Cas9系を標的とする例示的なHIVは、EBT-101を含むが、これらに限定されない。
CAR-T細胞療法
【0239】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子操作された免疫エフェクター細胞の集団と同時投与することができ、CARはHIV抗原結合ドメインを含む。HIV抗原は、HIVエンベロープタンパク質又はその一部分、gp120又はその一部分、gp120上のCD4結合部位、gp120上のCD4誘導結合部位、gp120上のNグリカン、gp120のV2、gp41上の膜近位領域を含む。免疫エフェクター細胞は、T細胞又はNK細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、又はこれらの組み合わせである。細胞は、自家であることも同種異系であることもできる。HIV CAR-Tの例としては、転換可能CAR-T、VC-CAR-T、CMV-N6-CART、抗CD4 CART細胞療法、CD4 CAR+C34-CXCR4+CCR5 ZFN T細胞、デュアル抗-CD4
CART-T細胞療法(CD4 CAR+C34-CXCR4 T細胞)、抗CD4 MicAbody抗体+抗MicAbody CAR T細胞療法(iNKG2D CAR、HIV感染症)、GP-120 CAR-T療法、CD4 CARを発現するように遺伝子操作された自家造血幹細胞、及びC46ペプチドが挙げられる。
TCR-T細胞療法
【0240】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又は抗原結合断片は、TCR-T細胞の集団と組み合わされる。TCR-T細胞は、ウイルス感染細胞の表面上に存在するHIV由来ペプチド、例えばImmTAV、を標的とするよう遺伝子操作される。
6.キット
【0241】
更に、本明細書に記載の診断及び治療方法を実施するためのキットが提供される。いくつかの実施形態では、キットは、生体試料中のHIV種の少なくともgp120 CD4bs領域を増幅及びシーケンシングするためのプライマーを含む。いくつかの実施形態では、キットは、生体試料中のHIV種の少なくともgp120 CD4bs領域を増幅及びシーケンシングするためのネステッドプライマーの一式又はセットを含む。いくつかの実施形態では、キットは、全長gp120を増幅し、シーケンシングするための1対のプライマー又は1組のネステッドプライマーを含む。いくつかの実施形態では、キットは、試料調製、核酸定量、増幅及び/又はシーケンシング試薬、例えば、RNA及び/又はDNAを単離するための核酸単離試薬、タンパク質変性溶媒、緩衝液、dNTP、逆転写酵素、ポリメラーゼ酵素、及び/又は検出標識を含む。いくつかの実施形態では、キットは、ライブラリ調製試薬、例えば、バーコード試薬及び/又は標的特異的プライマーを含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、本明細書に記載の診断方法の実施を容易にするための分析ガイド及び/又はソフトウェアを含む。いくつかの実施形態では、キットは、生体試料中のHIV種の少なくともgp120 CD4bs領域をシーケンシングし、gp120を発現するHIV種を検出又は特定するための説明書を含み、本明細書に記載されるように、アミノ酸残基332位に対応する位置にあるグリコシル化アスパラギン(N 332グリカン)、アミノ酸残基325位に対応する位置にあるアスパラギン酸(D325)、並びにアミノ酸残基63位に対応する位置にあるスレオニン(T63)、アミノ酸残基179位に対応する位置にあるロイシン(L179)、アミノ酸残基320位に対応する位置にあるスレオニン(T320)、及びアミノ酸残基330位に対応する位置にあるヒスチジン(H330)のうちの1つ以上のアミノ酸を含み、アミノ酸位置は配列番号3(すなわち、NCBI参照配列番号NP_057856.1の残基1~511)を参照する。
【0242】
一実施形態では、キットは、本明細書で提供されるように、HIV gp120 CD4bs領域に対する抗体若しくはその抗原結合断片、又はそのような抗体若しくは抗原結合断片をコードする1つ以上のポリヌクレオチドのような、本明細書に記載の医薬組成物の成分の1つ以上を含有する1つ以上の容器(例えば、バイアル、アンプル、予め充填されたシリンジ)を含む1つ以上の医薬パックを含む。いくつかの例では、キットは、本明細書に記載の医薬組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、HIV gp120 CD4bs領域に対する抗体又はその抗原結合断片、又はそのような抗体若しくは抗原結合断片をコードする1つ以上のポリヌクレオチドを、水溶液又は凍結乾燥形態で含む、1つ以上の容器を含む。任意に、このような容器(複数可)に関連するものは、医薬品又は生物学的製品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関によって規定される形態の通知であり得、この通知は、ヒト投与のための製造、使用、又は販売の機関による承認を反映する。
【実施例0243】
以下の実施例は、特許請求される発明を例示するために提供されるが、これを限定するものではない。
実施例1
抗HIV gp120 CD4結合部位指向性抗体又はその抗原結合断片による治療に応答するHIV感染患者の特定
【0244】
この実施例は、3BNC117/1.52.64-1に対する感受性についてHIV感染対象を予備スクリーニングするための、3BNC117及び誘導体1.52.64-1(国際公開第2020/010107号に記載)による中和に対するウイルス感受性に関連するEnv遺伝子型の特定を実証する。
【0245】
HIVエンベロープ遺伝子における高レベルの配列多様性により、広域中和抗体(bNAb)の臨床試験における対象の事前スクリーニングは、高い奏効率の可能性を高めるのに魅力的となる。3BNC117及び1.52.64-1に対するウイルス感受性を予測するEnv遺伝子型を特定するために、本発明者らは、234のサブタイプ(別名クレード)B Envについての3BNC117及び1.52.64-1中和データ及び対応するEnv配列を調べた。
【0246】
1.52.64-1は、3BNC117と同じ中和活性を維持する3BNC117の操作されたバリアントである。そのため、本発明者らは、統計的検出力を高めるために、Gileadが支援する臨床試験に登録したウイルス血症対象から単離された177のサブタイプ(別名、クレード)B Envで得られた1.52.64-1中和データを、Los Alamos HIV配列データベース(n=57)から得られた公的に入手可能な3BNC117中和データと組み合わせた。
【0247】
全長Envアミノ酸配列をClustalWを使用してアライメントし、目視検査時に手動で調整した。3BNC117/1.52.64-1による中和に対する感受性に関連する遺伝子型を特定するために、本発明者らは、フィッシャーの正確検定によって、3BNC117/1.52.64-1感受性ウイルスの中の各残基におけるアミノ酸の頻度を3BNC117/1.52.64-1耐性ウイルスの頻度と比較した。3BNC117/1.52.64-1に対する中和感受性をIC50<1μg/mLと定義した。3BNC117/1.52.64-1に対する感受性と統計的に有意に関連した残基については、陽性的中率(PPV;すなわち、遺伝子型が存在する場合、確率Envが3BNC117/1.52.64-1に感受性である)及び感受性(すなわち、遺伝子型が存在する場合、Envが3BNC117/1.52.64-1に感受性である確率)を以下のように計算した:
【表16】
【数1】
【0248】
PPVを有する3BNC117/1.52.64-1に対する感受性と統計的に関連した、それぞれ77%及び80%を超える感受性を有する残基を、PPVの降順によってランク付けして表2に列挙する。本発明者らは、3BNC117/1.52.64-1に対する感受性と有意に関連する以前に報告されていない残基を特定した。
【表17】
1ウイルス遺伝子型、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す
2なし、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸に対する選択なしの234のサブタイプBウイルスを示す
*は、3BNC117に対する感受性に関連することが文献において以前に報告された残基からなる遺伝子型を示す。例えば、以下を参照されたい。West,ら,Proc Natl Acad Sci U S A.(2013)110(26):10598-603;Bricault,et al.,Cell Host Microbe(2019)25(1):59-72;Dingens,ら,Immunity(2019)50(2):520-532.
【0249】
エピトープは2つ以上の残基から構成されるので、3BNC117/1.52.64-1に対する感受性と統計的に関連する遺伝子型決定因子の組み合わせを評価して、個々の遺伝子型決定因子を組み合わせることにより、偽陽性よりも真陽性を優先的に濃縮することによってPPVが改善されるかどうかを確認した。感受性が低い遺伝子型は、臨床試験に十分な数の対象を登録するために、より多数の対象のスクリーニングを必要とするので、感受性も考慮した。
【0250】
最も高いPPV及び感受性を提供した組み合わせ遺伝子型を表3に列挙し、
図1に示す。3BNC117/1.52.64-1中和に対する感受性に関連する以前に報告されていない遺伝子型を組み込んだ、いくつかの組み合わせ遺伝子型は、以前に記載された遺伝子型のみを使用して達成可能であったよりも高いPPVを提供した。得られた最も高いPPVは93.3%(アミノ酸E102、I108、I201、A281、Y318、F353を含有するウイルスについて)であり、これは、遺伝子型選択なしの74.8%の陽性適中率に対して25%の増加を表す。
【表18】
1ウイルス遺伝子型、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す。
2なし、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸に対する選択なしの234のサブタイプBウイルスを示す。
【0251】
サブタイプ(別名、クレード)Bについての表3の3BNC117/1.52.64-1の遺伝子型の組み合わせを使用して、39のサブタイプ(別名、クレード)A1 Envs及び282のサブタイプ(別名、クレード)C Envsについての中和データ及び対応するEnv配列を使用して、サブタイプ(別名、クレード)A1(表4)及びサブタイプ(別名、クレード)C(表5)についてのPPV、感受性及び有病率を決定した。サブタイプ(別名、クレード)A1及びサブタイプ(別名、クレード)Cデータセットは、LosAlamosHIV配列データベースから得られた公的に入手可能なデータであった。サブタイプ(別名、クレード)A1について得られた最も高いPPVは94.4%(アミノ酸E102、I108、I201、A281、F353を含有するウイルスについて)であり、これは遺伝子型選択なしの87.2%の陽性的中率に対して8%の増加を表す。サブタイプ(別名、クレード)Cについて得られた最も高いPPVは87.5%(アミノ酸E102、I108、I201、A281、Y318、F353を含有するウイルスについて)であり、これは遺伝子型選択なしの58.9%の陽性的中率に対して49%の増加を表す。
【表19】
1ウイルス遺伝子型、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す
2なし、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸に対する選択されていない39のサブタイプ(別名、クレード)Aウイルスを示す
【表20】
1ウイルス遺伝子型、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す
2なし、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸に対する選択されていない282のサブタイプ(別名、クレード)Cウイルスを示す。
【0252】
3BNC117/1.52.64-1組み合わせ遺伝子型で使用される個々のアミノ酸(E102、I108、I201、A281、Y318、F353)の有病率を、サブタイプ(別名、クレード)A、サブタイプ(別名、クレード)B及びサブタイプ(別名、クレード)Cウイルス配列について決定した(表6)。全てのアミノ酸は、サブタイプ(別名、クレード)B、A281を除くサブタイプ(別名、クレード)A(74.4%)、及びE102を除くサブタイプ(別名、クレード)C(9.2%)及びA281(48.2%)で75%を超える有病率を示す。
【表21】
13BNC117/1.52.64-1データセットからの39のサブタイプ(別名、クレード)A1、234のサブタイプ(別名、クレード)B及び282のサブタイプ(別名、クレード)Cウイルスに基づく分析。
【0253】
続いて、最高スコアの遺伝子型アルゴリズム(表3)を適用して、チューリッヒ一次HIV感染コホート研究(ZPHI)からのHIV感染個体からのART前の血漿試料を分析し、それが、1.52.64-1治療に対して感受性であるかどうかを予測した。合計93個の個々の血漿試料をHIVエンベロープ遺伝子のNGSアッセイで分析した(GenoSure HIVエンベロープRNAアッセイ、Monogram Biosciences、South San Francisco、CA)。導出されたウイルス配列が配列可変性なしにアルゴリズムによって指定されたアミノ酸を含む場合(指定された位置での配列可変性が0)、対象を所与の遺伝子型について陽性として特徴付けた。これらの基準を用いて、72/93、58/93、46/93、31/93、26/93及び22/93の対象が1.52.64-1に対して感受性であると予測され(
図1)、対応する陽性予測値はそれぞれ78.4%、83.6%、86.3%、90.6%、91.8%及び93.3%であった(表3)。サブタイプ(別名、クレード)B感染対象(93人の対象のうち60人)については、51/60、39/60、34/60、23/60、19/60及び17/60が1.52.64-1に対して感受性であると予測され(
図2)、対応する陽性予測値はそれぞれ78.4%、83.6%、86.3%、90.6%、91.8%及び93.3%であった(表3)。
【0254】
全対象(n=93)及びサブタイプ(別名、クレード)Bに感染した対象のサブセット(n=60)についてのART前の血漿試料について、1.52.64-1感受性予測のための組み合わせ遺伝子型に使用される個々のアミノ酸(E102、I108、I201、A281、Y318、F353)の100%保存(指定された位置での配列変動性が0)を判定した(表7)。
【表22】
1ZPHI個体からの93(全ての対象)及び60(サブタイプ(別名、クレード)B対象)のART前の血漿試料に基づく分析
【0255】
1.52.64-1に対する感受性の遺伝子型予測を確認するために、ZPHI由来のART前の血漿試料からのウイルス群をクローニングし、1.52.64-1中和アッセイで評価した(PhenoSense HIV Entry Assay,Monogram Biosciences,South San Francisco,CA)。中和データは、53のサブタイプ(別名、クレード)B試料を含む78試料(GenoSure HIV Envelope RNA Assayからのデータを有する76試料)から得た。誘導されたウイルスは、IC50が1μg/mL以下である場合、1.52.64-1感受性であると特徴付けられた。全てのサブタイプ(別名、クレード)の64/76及びサブタイプ(別名、クレード)B試料の47/53が1.52.64-1に対して感受性であった。表3からの遺伝子型アルゴリズムを適用すると、51/59、43/47、36/39、27/27、22/22及び18/18のウイルスが1.52.64-1に対して感受性であることが確認され(
図3)、対応する陽性的中率はそれぞれ78.4%、83.6%、86.3%、90.6%、91.8%及び93.3%であった(表3)。サブタイプ(別名、クレード)B試料については、39/44、32/34、29/30、21/21、17/17及び15/15のウイルスが1.52.64-1に対して感受性であると確認され(
図4)、対応する陽性的中率はそれぞれ78.4%、83.6%、86.3%、90.6%、91.8%及び93.3%であった(表3)。
実施例2
抗HIV gp120 CD4bs指向性抗体又はその抗原結合断片による治療に応答するHIV感染患者の特定
【0256】
この実施例は、PGT121及びその誘導体であるGS-9722(エリポビマブ)による中和に対するウイルス感受性に関連するEnv遺伝子型の特定を実証するものであり、PGT121/GS-9722に対する感受性についてHIV感染対象を予備スクリーニングする。
【0257】
HIVエンベロープ遺伝子における高レベルの配列多様性により、広域中和抗体(bNAb)の臨床試験における対象の事前スクリーニングは、高い奏効率の可能性を高めるのに魅力的となる。PGT121及びGS-9722に対するウイルス感受性を予測するEnv遺伝子型を特定するために、本発明者らは、PGT121及びGS-9722中和データ並びに206サブタイプ(別名、クレード)B Envの対応するEnv配列を調べた。
【0258】
GS-9722は、PGT121の遺伝子操作されたバリアントであり、PGT121及びGS-9722で試験した397のHIV株の間のPGT121及びGS-9722中和IC50の非常に統計学的に有意な相関によって証明されるように、PGT121と同じ中和活性を維持する(r2=0.9698、P<0.0001)。したがって、本発明者らは、Gileadが支援する臨床試験に登録されたウイルス血症対象から単離された140個のサブタイプ(別名、クレード)B Envで得られたGS-9722中和データを、Los Alamos HIV配列データベース(n=66)から得られた公的に入手可能なPGT121中和データと組み合わせて、統計的検出力を高めた。
【0259】
全長Envアミノ酸配列をClustalWを使用してアライメントし、目視検査時に手動で調整した。PGT121/GS-9722による中和に対する感受性に関連する遺伝子型を特定するために、本発明者らは、フィッシャーの正確検定により、PGT121/GS-9722感受性ウイルスの中の各残基におけるアミノ酸の頻度及び潜在的なN結合型グリコシル化部位(PNGS)をPGT121/GS-9722耐性ウイルスの頻度と比較した。N結合型グリコシル化モチーフはN-X-S/Tであり、Xはプロリンを除く任意の残基である。PGT121/GS-9722に対する中和感受性をIC50<1μg/mLと定義した。PGT121/GS-9722に対する感受性と統計的に有意に関連した残基については、陽性予測値(PPV;すなわち、遺伝子型が存在する場合、EnvがPGT121/GS-9722に感受性である)及び感受性(すなわち、EnvがPGT121/GS-9722に感受性である場合に遺伝子型が存在する確率)を以下のように計算した:
【表23】
【数2】
【0260】
マン・ホイットニー検定を適用して、Envを「感受性」対「耐性」と定義するための1μg/mLカットオフとは無関係に感受性の決定因子を特定した。
【0261】
PGT121/GS-9722に対する感受性と統計的に関連した、及び/又は以前にPGT121感受性と関連すると報告されている残基を、PPVの降順によってランク付けした表9に列挙する。PGT121に対する感受性を付与すると以前に報告された残基のうち、307I、295PNGS及び300PNGSは、このサブタイプ(別名、クレード)BデータセットにおいてPGT121/GS-9722に対する感受性と統計的に関連しなかった。本発明者らは、PGT121/GS-9722に対する感受性と有意に関連する多くの以前に報告されていない残基を特定した。
【表24】
1ウイルス遺伝子型、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す
*残基は、PGT121中和に対する感受性を付与すると文献に報告されている(Julgら,Sci Transl Med.(2017)9(408))。
【0262】
エピトープは2つ以上の残基から構成されるので、PGT121/GS-9722に対する感受性と統計的に関連する遺伝子型決定基の組み合わせを評価して、個々の遺伝子型決定基を組み合わせることが、偽陽性よりも真陽性を優先的に濃縮することによってPPVを改善したかどうかを調べた。感受性が低い遺伝子型は、より多数の対象体のスクリーニングを必要とするので、臨床試験に十分な数の対象を登録するために、感受性も考慮した。
【0263】
最も高いPPV及び感受性を提供した組み合わせ遺伝子型を表10に列挙し、
図5に示す。PGT 121/GS-9722中和に対する感受性に関連する以前に報告されていない遺伝子型を組み込んだ、いくつかの組み合わせ遺伝子型は、以前に記載された遺伝子型のみを使用して達成可能であった場合よりも高いPPVを提供した。得られた最も高いPPVは98.4%(アミノ酸N332グリカン/D325/H330/T63/T320/L179を含有するウイルスについて)であり、これは遺伝子型選択なしで62.6%の陽性予測値に対して57%の増加を表す。
【表25】
1ウイルス遺伝子型、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す
2「選択なし」は、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸に対して選択なしの206のサブタイプBウイルスを示す
*は、PGT121に対する感受性に関連することが文献において以前に報告された残基からなる遺伝子型を示す。例えば、以下を参照されたい:Julg et al.,Sci Transl Med.(2017)9(408)。
【0264】
サブタイプ(別名、クレード)Bについての表10のPGT121/GS-9722の遺伝子型の組み合わせを使用して、66のサブタイプ(別名、クレード)A Envs及び258のサブタイプ(別名、クレード)C Envsについての中和データ及び対応するEnv配列を使用して、サブタイプ(別名、クレード)A(表11)及びサブタイプ(別名、クレード)C(表12)についてのPPV、感受性及び有病率を決定した。クレードA及びサブタイプ(別名、クレード)Cデータセットは、Los Alamos HIV配列データベースから得られた公的に入手可能なデータであった。サブタイプ(別名、クレード)Aについて得られた最も高いPPVは93.8%であり(アミノ酸N332グリカン/D325/H330/T320/L179を含有するウイルスについて)、これは、遺伝子型選択なしでの陽性予測値50%を超える88%の増加を表す。サブタイプ(別名、クレード)Cについて得られた最も高いPPVは89.3%であり(アミノ酸N332グリカン/D325/H330/T320/L179を含有するウイルスについて)、これは、遺伝子型選択なしの58.5%の陽性予測値を超える53%の増加を表す。
【表26】
1ウイルス遺伝子型、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す
2なし、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸に対する選択されていない66のサブタイプ(別名、クレード)Aウイルスを示す
【表27】
1ウイルス遺伝子型は、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す
2なし、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸に対する選択なしの258のサブタイプCウイルスを示す
【0265】
サブタイプ(別名、クレード)A、サブタイプ(別名、クレード)B及びサブタイプ(別名、クレード)Cウイルス配列について、PGT121/GS-9722組み合わせ遺伝子型で使用される個々のアミノ酸(T63、L179、T320、D325、H330、N332、NotP333及びS/T334)の有病率を、決定した(表13)。全てのアミノ酸は、サブタイプ(別名、クレード)B、L179を除くサブタイプ(別名、クレード)A(51.5%)、及びT63を除くサブタイプ(別名。クレード)C(10.1%)において60%を超える有病率を示す。
【表28】
1PGT121/GS-9722データセットからの66のサブタイプ(別名、クレード)A、206のサブタイプ(別名、クレード)B及び258のサブタイプ(別名、クレード)Cウイルスに基づく分析
【0266】
10-1074は、HIV gp120のV3グリカン領域を標的とし、PGT121/GS-9722に関連する広域中和抗体である。例えば、以下を参照されたい,Mouquet,ら,Proc Natl Acad Sci U S A.2012 Nov
20;109(47):E3268-77、及びWalker,ら,Nature.2011 Sep 22;477(7365):466-70。表10のPGT121/GS-9722の組み合わせ遺伝子型を使用して、中和データ及び315のサブタイプ(別名、クレード)B Envの対応するEnv配列を使用して、10-1074のPPV、感受性及び有病率を決定した(表14)。315のサブタイプ(別名、クレード)Bデータセットは、Gileadが支援した臨床試験に登録したウイルス血症対象から単離された143のサブタイプ(別名、クレード)B Env及びLos Alamos HIV配列データベースから得られた公的に入手可能なデータからの172のサブタイプ(別名、クレード)B Envからなった。得られた最も高いPPVは100%(アミノ酸N332グリカン/D325/H330/T63/T320/L179を含有するウイルスについて)であり、これは遺伝子型選択なしで62.2%の陽性予測値を超える61%の増加を表す。
【表29】
1ウイルス遺伝子型は、HIVエンベロープ遺伝子から翻訳された特定のアミノ酸残基の存在を示す
2なし、HIVエンベロープ遺伝子内の特定のアミノ酸に対する選択なしの315のサブタイプ(別名、クレード)Bウイルスを示す。
【0267】
続いて、最も高いスコアの遺伝子型アルゴリズム(表10)を適用して、チューリッヒ一次HIV感染コホート研究(ZPHI)からのHIV感染個体からのART前の血漿試料を分析し、それらがGS-9722治療に対して感受性であるかどうかを予測した。合計92個の個々の血漿試料をHIVエンベロープ遺伝子のNGSアッセイで分析した(GenoSure HIVエンベロープRNAアッセイ、Monogram Biosciences、South San Francisco、CA)。導出されたウイルス配列が配列可変性なしにアルゴリズムによって指定されたアミノ酸を含む場合(指定された位置での配列可変性が0)、対象を所与の遺伝子型について陽性として特徴付けた。これらの基準を用いて、47/92、37/92、32/92、27/92、22/92及び16/92の対象がGS-9722に対する感受性であると予測され(
図5)、対応する陽性予測値はそれぞれ80.7%、83.5%、86.1%、91.6%、93.7%及び98.4%であった(表10)。サブタイプ(別名、クレード)B感染対象(92人の対象のうち59人)について、35/59、27/59、22/59、23/59、18/59、及び12/59がGS-9722に対して感受性を有すると予測され(
図6)、対応する陽性予測値はそれぞれ80.7%、83.5%、86.1%、91.6%、93.7%、及び98.4%であった(表10)。
【0268】
GS-9722感受性予測のための組み合わせ遺伝子型に使用される個々のアミノ酸(T63、L179、T320、D325、H330、N332、NotP333及びS/T334)の100%保存(指定された位置での配列変動性が0))を、全ての対象(n=92)及びサブタイプ(別名、クレード)Bに感染した対象のサブセット(n=59)についてのART前の血漿試料について判定した(表15)。
【表30】
1ZPHI個体からの92(全ての対象)及び59(サブタイプ(別名、クレード)B対象)のART前の血漿試料に基づく分析
【0269】
GS-9722に対する感受性の遺伝子型予測を確認するために、ZPHI由来のART前の血漿試料からのウイルス群をクローニングし、GS-9722中和アッセイ(PhenoSense HIV Entry Assay,Monogram Biosciences,South San Francisco,CA)で評価した。ウイルスは、陽性的中率が80.7%以上である29のサブタイプ(別名、クレード)B試料に由来した。誘導されたウイルスは、IC50が1μg/mL以下である場合、GS-9722感受性であると特徴付けられた。これらの基準を用いて、25/29、20/22、16/18、18/20、14/16、及び10/11のウイルスがGS-9722に対して感受性であることが確認され(
図6)、対応する陽性的中率はそれぞれ80.7%、83.5%、86.1%、91.6%、93.7%、及び98.4%であった(表10)。
【0270】
GS-9722に対する遺伝子型予測及び表現型感受性を更に確認するために、ZPHI由来のART前の血漿試料からの4つのウイルス群由来の20の個々のウイルスをサブクローニングし、GS-9722中和アッセイ(PhenoSense HIVエントリーアッセイ、Monogram Biosciences、South San Francisco、CA)で評価した。全ての個々のウイルスは、スウォームウイルスに匹敵するIC50でGS-9722に感受性であった(
図8)。
【0271】
本明細書に記載された実施例及び実施形態は例示のみを目的としており、それらに照らして様々な修正又は変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書で引用される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
HIVの治療又は予防を必要とするヒト対象においてそれを行う方法であって、
a)以下のアミノ酸残基:I201と、E102、I108、A281、Y318及びF353からなる群から選択されるアミノ酸残基のうちの1以上と、を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染しているヒト対象を特定する工程であって、前記アミノ酸位置が配列番号3を参照する、工程と、
b)CD4結合部位(CD4bs)を含むgp120のエピトープに結合する、VH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む有効量の抗体又はその抗原結合断片を、前記対象に投与する工程と、を含む、方法。
(項目2)
以下のアミノ酸残基:
i.I201及びF353;
ii.I201、I108、及びF353、
iii.I201、I108、A281、及びF353、
iv.I201、E102、I108、A281、及びF353、又は
v,I201、E102、I108、A281、Y318、及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
以下のアミノ酸残基:
I201、I108、及びF353、
ii.I201、I108、A281、及びF353、
iii.I201、E102、I108、A281、及びF353、又は
iv.I201、E102、I108、A281、Y318、及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
以下のアミノ酸残基:
I201、I108、A281、及びF353、
ii.I201、E102、I108、A281、及びF353、又は
iii.I201、E102、I108、A281、Y318、及びF353を含む、gp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定する工程を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記HIVの集団中のHIV種の少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が、前記列挙されたアミノ酸残基を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
(項目6)
前記投与される抗体又はその抗原結合断片が、が、3BNC117、GS-9723、GS-5423、3BNC60、b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01 VRC08、VRC0801、NIH45-46、PGV04(VRC-PG04);CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、1-18、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235及びCH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9、並びにN60P25からなる群から選択される抗体由来のVH及びVL領域と競合するか又はそれらを含む、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
前記抗体又はその抗原結合断片が、3BNC117、GS-9723、GS-5423、3BNC60、VRC01、VRC07及びVRC07-523からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記抗体が、指示位置(EUインデックスナンバリング)において、以下のアミノ酸、
i.252位のチロシン、254位のスレオニン、及び256位のグルタミン酸(YTE);又は
ii.428位のロイシン及び434位のセリン(LS)を含むFc領域を含む、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記抗体が、指示位置(EUインデックスナンバリング)において、以下のアミノ酸、
i.239位のアスパラギン酸及び332位のグルタミン酸(DE);
ii.239位のアスパラギン酸、332位のグルタミン酸及び330位のロイシン(DEL);
iii.239位のアスパラギン酸、332位のグルタミン酸及び236位のアラニン(DEA);又は
iv.239位のアスパラギン酸、332位のグルタミン酸、236位のアラニン及び330位のロイシン(DEAL)を含むFc領域を含む、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
抗原結合断片を投与することを含む、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記抗原結合断片が、scFv、Fab、Fab2、Fab’、F(ab’)2、Fv及びダイアボディからなる群から選択される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記抗体が多重特異性抗体である、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記ヒト対象がHIVに急性感染している、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記抗体が、FiebigステージIV又はそれ以前のHIV感染症を有するヒト対象に投与される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記抗体が、抗体陽転していないヒト対象に投与される、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記ヒト対象が、HIVに最近感染している、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
前記抗体が、FiebigステージV又はFiebigステージVIのHIV感染を有するヒト対象に投与される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記ヒト対象がHIVに慢性感染している、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記ヒト対象がHIVクレード(別名HIVサブタイプ)Bウイルスに感染している、項目1~18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
前記ヒト対象がHIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Aウイルスに感染している、項目1~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記ヒト対象がHIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Cウイルスに感染している、項目1~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
HIV感染症を治療するための1種以上の追加の治療薬を対象に投与することを更に含む、項目1~21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記対象が抗レトロウイルス療法(ART)を受けていないか、又はARTが前記抗体の投与前に中止される、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
ARTが、前記抗体又はその抗原結合断片の1回以上の投与後に中止される、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
1つ以上の抗レトロウイルス療法(ART)薬を前記対象に投与することを更に含む、項目1~22のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記対象に、以下:
i.N332オリゴマンノースグリカンを含む第3の可変ループ(V3)(例えば、高マンノースパッチ)、
ii第2の可変ループ(V2)及び/若しくはEnv三量体先端;
iii.gp120/gp41界面、又は
iv.gp120のサイレント面からなる群から選択されるgp120のエピトープ又は領域に結合する、第2の抗体又はその抗原結合断片を投与することを更に含む、項目1~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記第2の抗体又はその抗原結合断片が、N332オリゴマンノースグリカンを含む前記第3の可変ループ(V3)(例えば、高マンノースパッチ)中のgp120のエピトープ又は領域に結合し、GS-9722(エリポビマブ)、GS-2872、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414、PGT-122、PGT-123、PGT-124、PGT-125、PGT-126、PGT-128、PGT-130、PGT-133、PGT-134、PGT-135、PGT-136、PGT-137、PGT-138、PGT-139、10-1074、10-1074-J、VRC24、2G12、BG18、354BG8、354BG18、354BG42、354BG33、354BG129、354BG188、354BG411、354BG426、DH270.1、DH270.6、PGDM12、VRC41.01、PGDM21、PCDN-33A、BF520.1及びVRC29.03からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記第2の抗体又はその抗原結合断片が、N332オリゴマンノースグリカンを含む前記第3の可変ループ(V3)(例えば、高マンノースパッチ)中のgp120のエピトープ又は領域に結合し、10-1074、10-1074-J、GS-9722(エリポビマブ)、GS-2872、PGT-121、PGT-121.66、PGT-121.414及びPGT-134からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記ヒト対象が、以下のアミノ酸残基:
(i)N332グリカン、D325、及びT63、
(ii)N332グリカン、D325、及びL179、
(iii)N332グリカン、D325、及びT320、
(iv)N332グリカン、D325、及びH330、
(v)N332グリカン、D325、T63、及びL179、
(vi)N332グリカン、D325、T63、及びT320、
(vii)N332グリカン、D325、T63、及びH330、
(viii)N332グリカン、D325、L179、及びT320、
(ix)N332グリカン、D325、L179、及びH330、
(x)N332グリカン、D325、T320、及びH330、
(xi)N332グリカン、D325、T63、T320、及びH330、
(xii)N332グリカン、D325、T63、L179、及びT320、
(xiii)N332グリカン、D325、T63、L179、及びH330、
(xiv)N332グリカン、D325、L179、T320、及びH330、又は
(xv)N332グリカン、D325、T63、L179、T320、及びH330を含むgp120を発現するHIVに感染しており、位置及び残基が配列番号3を参照する、項目27又は28に記載の方法。
(項目30)
前記第2の抗体又はその抗原結合断片が、前記第2の可変ループ(V2)及び/又はEnv三量体先端においてgp120のエピトープ又は領域に結合し、PG9、PG16、PGC14、PGG14、PGT-142、PGT-143、PGT-144、PGT-145、CH01、CH59、PGDM1400、CAP256、CAP256-VRC26.08、CAP256-VRC26.09、CAP256-VRC26.25、PCT64-24E及びVRC38.01からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む、項目26に記載の方法。
(項目31)
前記第2の抗体又はその抗原結合断片が、前記CD4結合部位(CD4bs)においてgp120のエピトープ又は領域に結合し、b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01VRC08、VRC0801、NIH45-46、1.52.64-1、GS-5423、3BNC117、3BNC60、VRC-PG04、PGV04CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、N6LS(VRC-HIVMAB091-00-AB)、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235 and CH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9及びN60P25からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む、項目26に記載の方法。
(項目32)
前記第2の抗体又はその抗原結合断片が、前記gp120/gp41界面においてgp120のエピトープ又は領域に結合し、PGT-151、CAP248-2B、35O22、8ANC195、ACS202、VRC34及びVRC34.01からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む、項目26に記載の方法。
(項目33)
前記第2の抗体又はその抗原結合断片が、前記gp120サイレント面のエピトープ又は領域に結合し、抗体VRC-PG05由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む、項目26に記載の方法。
(項目34)
前記第2の抗体又はその抗原結合断片が、膜近位領域(MPER)のgp41のエピトープ又は領域に結合し、10E8、10E8v4、10E8-5R-100cF、4E10、DH511.11P、2F5、7b2、及びLN01からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む、項目26に記載の方法。
(項目35)
前記第2の抗体又はその抗原結合断片が、前記gp41融合ペプチドのエピトープ又は領域に結合し、VRC34及びACS202からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む、項目26に記載の方法。
(項目36)
TLRアゴニストを前記対象に投与することを更に含む、項目1~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記TLRアゴニストが、TLR2アゴニスト、TLR3アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、又はTLR9アゴニストである、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記TLR7アゴニストが、ベサトリモド、イミキモド、及びレシキモドからなる群から選択される、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記抗体又はその抗原結合断片を、任意にTLRアゴニストと共に、所定の間隔で複数回投与することを含む、項目1~38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記抗体又はその抗原結合断片の1回以上の投与の後、前記対象が、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間又はそれ以上にわたって、抗レトロウイルス治療(ART)の非存在下でHIV又はAIDSの症状を示さない、項目1~39のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記抗体の1回以上の投与の後、前記対象が、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間又はそれ以上にわたって、抗レトロウイルス治療(ART)の非存在下で、500未満、例えば、400未満、300未満、200未満、100未満、50未満のウイルス量コピー/mL血液を有する、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
CD4結合部位(CD4bs)のgp120のエピトープ又は領域に結合する、VH領域及びVL領域と競合するか又はそれらを含む抗体又はその抗原結合断片に感受性のあるHIV又はHIVの集団に感染しているヒト対象を特定する方法であって、前記ヒト対象由来の生体試料において、以下のアミノ酸残基、I201と、E102、I108、A281、Y318及びF353からなる群から選択されるアミノ酸残基の1つ以上のアミノ酸残基と、を含む、gp120を発現するHIVを特定することを含み、前記アミノ酸位置が配列番号3を参照する、方法。
(項目43)
以下のアミノ酸残基:
i.I201及びF353;
ii.I201、I108、及びF353、
iii.I201、I108、A281、及びF353、
iv.I201、E102、I108、A281、及びF353、又は
v.I201、E102、I108、A281、Y318、及びF353;を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
以下のアミノ酸残基:
i.I201、I108、及びF353、
ii.I201、I108、A281、及びF353、
iii.I201、E102、I108、A281、及びF353、又は
iv.I201、E102、I108、A281、Y318、及びF353;を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを含む、項目42に記載の方法。
(項目45)
以下のアミノ酸残基:
i.I201、I108、A281、及びF353、
ii.I201、E102、I108、A281、及びF353、又は
iii.I201、E102、I108、A281、Y318、及びF353;を含むgp120を発現するHIV又はHIVの集団に感染している対象を特定することを含む、項目42に記載の方法。
(項目46)
前記HIVの集団中のHIV種の少なくとも90%、例えば、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%が、前記列挙されたアミノ酸残基を含む、項目42~45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記抗体又はその抗原結合断片が、3BNC117、GS-9723、GS-5423、3BNC60、b12、F105、VRC01、VRC07、VRC07-523、VRC03、VRC06、VRC06b01 VRC08、VRC0801、NIH45-46、PGV04(VRC-PG04);CH103、44-VRC13.01、1NC9、12A12、N6、1-18、N49-P7、NC-Cow1、IOMA、CH235及びCH235.12、N49P6、N49P7、N49P11、N49P9、並びにN60P25からなる群から選択される抗体由来のVH及びVL領域と競合するか又はそれらを含む、項目42~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記抗体又はその抗原結合断片が、3BNC117、GS-9723、GS-5423、VRC01、VRC07及びVRC07-523からなる群から選択される抗体由来のVH領域及びVL領域と競合するか、又はそれらを含む、項目42~47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記ヒト対象がHIVに急性感染している、項目42~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記抗体が、FiebigステージIV又はそれ以前のHIV感染症を有するヒト対象に投与される、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記抗体が、抗体陽転していないヒト対象に投与される、項目49に記載の方法。
(項目52)
前記ヒト対象が、HIVに最近感染している、項目42~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記抗体が、FiebigステージV又はFiebigステージVIのHIV感染を有するヒト対象に投与される、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記ヒト対象がHIVに慢性感染している、項目42~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記ヒト対象がHIVクレード(別名HIVサブタイプ)Bウイルスに感染している、項目42~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記ヒト対象がHIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Aウイルスに感染している、項目42~55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記ヒト対象がHIVクレード(別名、HIVサブタイプ)Cウイルスに感染している、項目42~56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記gp120アミノ酸が、前記対象から単離されたHIV又はHIVの集団から発現される、1つ以上のgp120ポリペプチド配列において特定される、項目1~57のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記gp120アミノ酸が、前記対象から単離されたHIV又はHIVの集団に由来する1つ以上のgp120ポリヌクレオチド配列において特定される、項目1~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
HIVの集団からのgp120をコードするポリヌクレオチド配列に対して次世代シーケンシング(NGS)を実施することを含む、項目59記載の方法。
(項目61)
gp120バリアントが、ウイルス集団の約1%の頻度レベルで検出される、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記gp120アミノ酸が、前記対象由来の1つ以上の生体試料において特定され、前記1つ以上の生体試料が、血液、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、精液又はリンパ節から得られる、項目1~61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
血清又は血漿試料中のHIV RNAの集団を特定することを含む、項目1~62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
前記対象から1つ以上の生体試料を得る工程を更に含む、項目1~63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
2つ以上の生体試料が前記対象から得られる、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記2つ以上の生体試料が、2つ以上の異なる時点で同じ組織又は体液から得られる、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記2つ以上の生体試料が、異なる組織若しくは体液から、又は異なる解剖学的位置から得られる、項目65に記載の方法。