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特開2024-107402駆動軸カバーを有するカテーテル装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107402
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】駆動軸カバーを有するカテーテル装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/135 20210101AFI20240801BHJP
   A61M 60/216 20210101ALI20240801BHJP
   A61M 60/411 20210101ALN20240801BHJP
【FI】
A61M60/135
A61M60/216
A61M60/411
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024095513
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2021549482の分割
【原出願日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】19158904.3
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515170724
【氏名又は名称】エーツェーペー エントヴィッケルングゲゼルシャフト エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シース トルステン
(72)【発明者】
【氏名】シェッケル マリオ
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハ ヨルク
(72)【発明者】
【氏名】デッケ ロバート
(57)【要約】
【課題】発生した摩擦熱を周囲の血液に熱伝達させて、局所的な過熱を回避する。
【解決手段】本発明は、カテーテル装置1の駆動領域16からカテーテル装置1の遠位端部領域8まで延びる駆動軸4と、遠位端部領域8において駆動軸4に取り付けられるロータ2と、駆動軸4の遠位端部を支承する遠位ベアリング9とを備えたカテーテル装置1に関する。遠位ベアリングは、ロータ2の遠位に延びる駆動軸4のセクションを覆うように構成された駆動軸カバー11を備える。ロータ2の遠位側では、ロータ2の半径方向内側の部分が、ロータ2の半径方向外側の部分に対して凹んでおり、駆動軸4を取り囲む中空空間2.3を形成し、駆動軸カバー11の近位端部は前記中空空間2.3にある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル装置(1)であって、
- 前記カテーテル装置(1)の駆動領域(16)から前記カテーテル装置(1)の遠位端部領域(8)まで延びる駆動軸(4)と、
- 前記遠位端部領域(8)において前記駆動軸(4)に取り付けられているロータ(2)と、
- 前記駆動軸(4)の遠位端部を支承し、駆動軸カバー(11)を備え、前記駆動軸カバー(11)は前記駆動軸(4)のセクションを覆うように構成され、前記セクションは前記ロータ(2)の遠位に延びる、遠位ベアリング(9)と
を備え、
前記ロータ(2)の遠位側では、前記ロータ(2)の半径方向内側の部分が、前記ロータ(2)の半径方向外側の部分に対して凹んでおり、前記駆動軸(4)を取り囲む中空空間(2.3)を形成し、前記駆動軸カバー(11)の近位端部は前記中空空間(2.3)にあることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテル装置(1)であって、前記中空空間(2.3)の直径が少なくとも0.5mmおよび/もしくは最大2mmであること、ならびに/または前記中空空間の軸方向の長さが少なくとも0.5mmおよび/もしくは最大2.5mmであることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項3】
拡張可能なポンプとして設計された、請求項1または2に記載のカテーテル装置(1)であって、前記ロータ(2)はハウジング(3)に配置され、前記ハウジング(3)および前記ロータ(2)は、少なくとも、長手方向を横切って延びる半径方向に沿って、拡張状態から圧縮状態に圧縮されように構成され、前記ハウジング(3)の圧縮時に、前記遠位ベアリング(9)に対する前記ロータ(2)の相対移動が生じ、前記中空空間(2.3)内に軸方向に延びる前記駆動軸カバー(11)の貫入深さ(p)は、前記駆動軸カバー(11)の前記近位端部が前記圧縮状態で前記中空空間(2.3)内に残るように選択されることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記中空空間(2.3)内に延びる前記駆動軸カバーの貫入深さ(p)が、少なくとも0.3mmおよび/または最大2.2mmであることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記中空空間(2.3)内に延びる前記駆動軸カバー(11)の部分の壁厚が、少なくとも0.03mmおよび/または最大0.3mm、好ましくは最大0.08mmであることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)の近位セクション(11.1)の外径は、その遠位にある前記駆動軸カバー(11)のセクションの外径よりも小さく、前記近位セクション(11.1)の一部は、前記中空空間(2.3)内に延び、前記駆動軸カバー(11)の前記近位セクション(11.1)の前記外径は、好ましくは、その遠位にある前記駆動軸カバー(11)の前記セクションの前記外径よりも少なくとも0.1mm、および/またはその遠位にある前記駆動軸カバー(11)の前記セクションの前記外径よりも最大0.6mm小さいことを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項7】
請求項6に記載のカテーテル装置(1)であって、前記近位セクション(11.1)が、少なくとも0.6mmおよび/または最大2mmの長さを有することを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)と前記ロータ(2)との間の前記中空空間(2.3)内に形成される半径方向の隙間が、少なくとも0.01mmおよび/もしくは最大0.2mmの隙間のサイズを有することを特徴とし、ならびに/または少なくとも0.2mmおよび/もしくは最大1.5mmの軸方向の隙間が、前記駆動軸カバー(11)の前記近位端部と前記ロータ(2)のハブ(2.1)との間に残っていることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記ロータ(2)が、前記中空空間(2.3)を取り囲む補強要素(2.4)を備えることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記遠位ベアリング(9)は、末端部(10)を備え、前記駆動軸カバー(11)の遠位端部は前記末端部(10)内にあり、前記駆動軸カバー(11)は、好ましくはその近位にある前記駆動軸カバー(11)のセクションの直径よりも大きい直径を有する遠位セクション(11.3)を備え、前記遠位セクション(11.3)は、部分的に前記末端部(10)内にあることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)は、柔軟性セクション(11.2)を備え、前記柔軟性セクション(11.2)は、好ましくは、前記ロータ(2)の遠位端部と前記遠位ベアリング(9)の末端部(10)の近位端部との間に配置されることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項12】
請求項11に記載のカテーテル装置(1)であって、前記柔軟性セクション(11.2)は、前記柔軟性セクション(11.2)における前記駆動軸カバー(11)に少なくとも1つの開口部(11.4)を有することによって提供され、前記少なくとも1つの開口部(11.4)は、前記駆動軸カバー(11)の内側と前記駆動軸カバー(11)の外側とをつなぎ、前記少なくとも1つの開口部(11.4)は、好ましくは1つ以上のスリットを備えることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項13】
請求項12に記載のカテーテル装置(1)であって、可撓性チューブ(12)が、前記駆動軸カバー(11)の前記柔軟性セクション(11.2)の周囲に設けられ、前記少なくとも1つの開口部(11.4)を少なくとも部分的に覆うことを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項14】
請求項13に記載のカテーテル装置(1)であって、前記可撓性チューブ(12)は、前記少なくとも1つの開口部(11.4)の遠位部分を覆わずに残すこと、および/または前記可撓性チューブ(12)は、前記少なくとも1つの開口部(11.4)の一部との流体連通を可能にする1つ以上の穴を備えること、および/または前記駆動軸カバー(11)は、前記駆動軸カバー(11)の内側と前記駆動軸カバー(11)の外側との間の流体連通を可能にする1つ以上の通気孔(11.4)を備えることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)の前記近位端部における前記駆動軸カバー(11)の内径は、前記駆動軸カバー(11)の前記遠位端部における前記駆動軸カバー(11)の内径に対して縮小されることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)は、35NLTおよび/もしくはセラミックおよび/もしくはダイヤモンド状炭素コーティングを含むこと、ならびに/または前記駆動軸カバーは一体成形品から製造されることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、主な請求項のプリアンブルに記載の、駆動軸を備えた、ロータを有するカテーテル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このようなカテーテルは、典型的には血液ポンプ構造体として使用され、装置が人間または動物の体内に配置され、ロータが血液の流れに影響を与えるようなトルクまたは回転運動を生成または伝達する。駆動軸は、カテーテルの駆動領域とカテーテルの遠位端領域との間で、カテーテルの長手方向延在部に沿って軸方向に延びる。典型的には、駆動領域は、体外に残ったままの近位端部領域に配置され、駆動モータに接続される。そのため、駆動軸は、負荷がかかった状態でも、柔軟で可撓性のままであるべきである。
【0003】
多くの用途では、カテーテルの遠位端部に位置するロータを、それぞれの用途の間、体内の所望の位置、例えば、心室内または心室近傍に配置するために、カテーテルを身体を通る所望の経路、例えば、血管に沿って、または血管内に誘導することが必要である。すると、ロータおよび駆動軸は、所望の用途に応じて、例えば、患者の心臓から離れた位置から近位方向に血液の流れが生じるように、回転方向に回転する。ルーメンを通してカテーテルを誘導するために、カテーテル装置は拡張可能なポンプとして設計することができ、ロータは半径方向に圧縮可能なロータとして設計され、これは半径方向に圧縮可能なハウジングの内部に配置され得る。ロータおよびハウジングは両方とも、カニューレまたはシースに移動されてもよく、このカニューレまたはシースは、典型的にはロータの近位側に配置され、拡張状態のロータおよびハウジングの直径よりも小さい内径を有する。例えば、カテーテル装置の近位端部で駆動軸の周囲に設けられた柔軟性シースに引張力を与えることにより、圧縮可能なロータおよび圧縮可能なハウジングを少なくとも部分的に、カニューレまたはシース内に移動させ、それにより圧縮することができる。
【0004】
例えば、血液を送り出すためには、1分間に10,000回転超、20,000回転超、またはさらには30,000回転超の回転速度を出す必要があり得る。多くの場合、数日、またはさらには数週間などの長期間にわたって回転運動を行わなければならない。
【0005】
構造によっては、駆動軸の遠位端部を安定させる遠位ベアリングを設けることには利点がある。いくつかの実施形態では、遠位ベアリングは、駆動軸が設置された細長いポリマー部分を備え得る。ポリマー部分は、例えば、Pebax(登録商標)またはポリウレタンまたはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で作製されていてもよい。さらに、例えばセラミック製の追加のベアリングが、細長いポリマー部分の内側に設けられてもよい。
【0006】
典型的には、この種類のカテーテル装置は、患者の組織への損傷を避けるために、可撓性の非外傷性チップを備える。非外傷性チップは、Pebax(登録商標)またはポリウレタンなどの可撓性医療グレードのポリマーで作製されてもよい。好ましくは、可撓性の非外傷性チップは、ピグテイルとして設計されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、細長いポリマー末端部および可撓性の非外傷性ポリマーチップは、単一のポリマー末端部を形成する。
【0008】
カテーテル、駆動軸、および特に遠位ベアリングの機械的および化学的な負荷量(loadability)には特に高い要求が課せられ、これらは回転軸と接触し得るため、激しい摩耗につながる物理的な力を受け得る。高い回転速度では、摩擦熱が発生し、場合によっては160℃超の温度になるため、上記ポリマー末端部の製造に使用されるいくつかの医療グレードのポリマーの融点を超えることがある。このような状況下では、そのような材料で作製された遠位ベアリングは融解される。
【0009】
駆動軸および遠位ベアリングならびにその他の部品の材料疲労および損傷過程は、カテーテル装置を損傷するだけでなく、摩耗くずが血液および患者の体内に移動して、患者に健康上の危険をもたらすため、できるだけゆっくりと、さらにはできるだけ予測可能かつ制御可能に進行すべきである。駆動軸もしくは遠位ベアリングの裂けおよび破損、または遠位ベアリングの融解のリスクは最小限に抑えるべきである。特に、ベアリングは、摩耗および引き裂きにつながる重要な要因である摩擦および熱の発生を最小限に抑えるように設計されるべきである。
【0010】
摩擦力および熱の発生は、ポンプ自体を損傷するだけではない。血液は血球などの複数の構成成分からなり、それらは、カテーテル装置のロータおよび軸または他の部品と接触するときに機械的に、またはカテーテル装置内で発生する熱にさらされるときに、例えば変性故に熱的に損傷され得ることも考慮に入れるべきである。ある種の血液タンパク質は60℃で分解するため、これが許容範囲の上限と考えることができる。
【0011】
さらに、回転要素によって引き起こされる患者の組織への損傷を避けるべきである。例えば、心室内ポンプは、僧帽弁に関連する腱索または構造などの心臓組織がポンプに吸い込まれたり、または回転部品に絡みついたりするため、心臓に損傷を与え得る。
【0012】
回転部品に組織が絡みつくことを避けるために、特許文献1は、回転する駆動軸を血液から分離するポリウレタン製の駆動軸カバーを記載している。この目的のために、駆動軸と駆動軸カバーとの間の隙間は非常に小さく保たれている。しかし、このことは、特に金属製の可撓性駆動軸が使用される場合、摩耗および引き裂きの増加につながり得る。一方、硬質チューブ状の駆動軸カバーは、駆動軸カバー内の可撓性駆動軸の正確なセンタリングを必要とする。特許文献2は、ポンプヘッドの屈曲を許容する可撓性ポンプを記載している。
【0013】
しかし、特許文献2に記載されている、特にポンプヘッドの遠位端部にある可撓性ポリマー末端部と組み合わせた装置では、剛性駆動軸カバーにより、カテーテル装置の屈曲時に駆動軸のねじれにつながり得る。特に、剛性駆動軸カバーとロータとの間の領域にねじれが生じ、駆動軸の深刻な損傷につながる可能性がある。
【0014】
このような構成では、摩擦により駆動軸とベアリングとの間で関連する熱が発生し、場合によっては血液の損傷およびピグテイルチップのプラスチックの融解の両方を引き起こす。発生した(deposited)熱量は特に多くないが、狭い範囲に非常に集中している。したがって、結果として生じたエネルギー密度が大きく、特に周囲の材料がポリマーのように低い熱伝導性を有する場合、局所的な高温につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許第2047873号
【特許文献2】欧州特許第2868331号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本出願の目的は、上記の問題点を解決すること、少なくとも以下の点の1つ以上を解決することである。
- 特に遠位端部領域におけるポンプの回転部品による周辺組織への損傷を回避すること、
- 駆動軸にねじれを生じさせずに、ポンプヘッドの屈曲を可能にするのに十分な可撓性を提供すること、
- 摩耗および引き裂きに対して十分な耐性を提供し、摩耗くずが患者の身体に移動するのを低減または回避すること、
- ポンプの遠位端部、例えばピグテイルチップにおける可撓性プラスチックチップを準備すること、
- 発生した摩擦熱を周囲の血液に熱伝達させて、局所的な過熱を回避すること、
- ポンプの寿命および耐久性を向上させること、
- ポンプの目詰まりを回避すること。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これは、独立請求項によるカテーテル装置によって達成することができる。有利な実施形態は、従属請求項および本明細書に記載の実施例によって示される。
【0018】
前記カテーテル装置は、駆動軸を駆動するモータが配置されてもよいカテーテル装置の駆動領域から、カテーテル装置の遠位端部領域まで延びる駆動軸を備えていてもよい。遠位端部領域では、ロータは、駆動軸と一緒に回転できるように、駆動軸に取り付けられてもよい。遠位ベアリングは、駆動軸の遠位端部を支承するために設けられ得る。遠位ベアリングは、ロータの遠位に延びる駆動軸のセクションを覆うように構成された駆動軸カバーを備えていてもよい。このようにして、カテーテル装置の動作中、例えば、腱組織または小柱もしくは筋架橋などの組織が、駆動軸カバーによって覆われた駆動軸の前記セクションに巻き込まれ得ることを回避することができる。
【0019】
遠位ベアリングは、カテーテルポンプが患者に使用されるとき、例えば患者の組織と接触するように設計され得る末端部を備えていてもよい。駆動軸カバーは、ロータと末端部との間にある駆動軸のセクションに、特にセクション全体に沿って設けられてもよい。カテーテル装置の一実施形態では、駆動軸カバーの遠位端部が末端部に設けられていてもよく、すなわち、駆動軸カバーは末端部へと延びていてもよい。
【0020】
ロータの遠位側では、ロータの半径方向内側の部分がロータの半径方向外側の部分に対して凹んでおり、駆動軸を取り囲む中空空間を形成してもよい。この場合、凹んだ半径方向内側の部分は、遠位方向に外側の部分よりも短く延びている。すると、中空空間は、遠位側に開口している。
【0021】
駆動軸カバーの近位端部は、前記中空空間内にあってもよい。これは、駆動軸カバーの端部(その端部では駆動軸が駆動軸カバーから突出しており、さもなければ露出している)が、ロータによって取り囲まれていてもよいことを意味する。この構成では、駆動軸が突出している駆動軸カバーの近位端部にある開口部が、中空空間によって規定される容積と流体連通していてもよい。
【0022】
したがって、上述したように駆動軸カバーの端部の周囲にロータがあることは、駆動軸カバーの端部とロータのハブとの間にある駆動軸のセクションを保護するのに役立つ。この構成により、非常に小さな組織片であっても、駆動軸に巻き込まれたり、または遠位ベアリングに吸い込まれたりするのを防止できる。同時に、駆動軸カバーの端部は、ロータのハブから安全な距離を保ち、動作中にロータが駆動軸カバーに接触するのを回避することができる。可能な設計では、回転するロータブレードから遠位に延びるロータハブの部分がない。
【0023】
中空空間は、典型的には、円筒形状を有する。中空空間は、駆動軸およびロータのハブと同心円状に設計されていてもよい。凹んでいる半径方向内側の部分は、例えば、ハブの遠位セクションを含んでいてもよく、またはハブの遠位セクションに含まれていてもよい。一実施形態では、中空空間は、ロータのハブに設けられる。
【0024】
駆動軸カバーは、中空チューブとして設計されていてもよい。駆動軸カバーは、本質的に円筒形であってもよい。これにより、内径は、駆動軸の直径に応じて選択され得る。駆動軸カバーの内径および/または外径は、駆動軸カバーの長さに沿って変化してもよい。特に、外径が異なる2つまたは3つの円筒形セクションを有することは、以下に説明するように、駆動軸カバーの所望の機能性の観点から、特に有利であり得る。ロータのハブは、部品間の接触を避けることができるように設計されてもよい。例えば、ロータのハブは、ハブが駆動軸カバーの部品に接触するおそれなく、ロータブレードを遠位のベアリングまたは末端部に近づけることができるように、ロータブレードを遠位方向に0.5mm未満越えて延びるように設計されてもよい。好ましくは、ハブはロータブレードを遠位方向に0.1mm未満越えて延び、特に好ましくは、ハブは遠位側でロータブレードをまったく越えて延びず、すなわち、ハブはロータブレードの前縁部とぴったり重なり得る。
【0025】
中空空間の内部では、駆動軸カバーとロータの間、すなわち、駆動軸カバーの外面と中空空間を区切るロータの円筒面との間に半径方向の隙間が形成される。さらに、軸方向の隙間が、駆動軸カバーの近位端部とロータのハブとの間に形成される。ロータから材料を多く取り過ぎることを避けるために、中空空間をできるだけ小さく保ちながらも、両方の隙間は、部品間の接触を避けるために十分な大きさに保たれるべきである。さらに、両方の隙間を使用して、血流の停滞もしくは凝固、または局所的な過熱を避けるために、駆動軸のポンプ機能によって隙間を通って血液を循環させることができる。
【0026】
軸方向に、すなわち駆動軸に沿って測定される中空空間の長さは、例えば、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも0.7mm、特に好ましくは少なくとも0.9mmであってもよい。追加的または代替的に、長さは最大2.5mm、好ましくは最大1.5mm、特に好ましくは最大1.1mmであるように選択されてもよい。
【0027】
駆動軸カバーは、一実施形態では、中空空間内に少なくとも0.3mm、好ましくは少なくとも0.4mm延びていてもよい。一方、例えば、中空空間に最大2.2mm、好ましくは最大0.8mm、特に好ましくは最大0.7mm延びるように選択することができる。この長さは貫入深さと呼んでもよい。
【0028】
カテーテル装置は、拡張可能なポンプとして設計されてもよく、ロータはハウジング内に配置されている。すると、ハウジングおよびロータは、少なくとも、長手方向を横切って延びる半径方向に沿って、拡張状態から圧縮状態に圧縮されるように構成され得る。ハウジングの圧縮時に、遠位ベアリングに対するロータの相対移動が生じ得る。これは、ハウジングの圧縮に伴う、ハウジングの長さの変化によるものであり得る。したがって、前記長さの変化により、前述の相対移動が生じる。
【0029】
駆動軸カバーの貫入深さは、駆動軸カバーの近位端部が圧縮状態で中空空間内に残るように選択することができる。すなわち、貫入深さは、特に、上述したハウジングの長さの変化よりも大きくすることができる。
【0030】
軸方向の隙間は好ましくは、ポンプの使用中に予想されるポンプの典型的な変形下で、近位端部がロータのいかなる部分にも接触しないように、すなわち、軸方向の隙間は、使用中のポンプハウジングの弾性変形によって生じる軸方向の変位を許容するように設けられる。特に、本発明のカテーテル装置の実施形態では、心尖拍動による軸方向の隙間の長さの変化は、少なくとも0.1mmの隙間が残るように許容することができることが提供され得る。概ね、軸方向の隙間は、ポンプの弾性特性に応じて調整することができる。
【0031】
例示的実施形態では、駆動軸カバーの近位端部とロータのハブとの間の軸方向の隙間の大きさは、部品間の接触を避けるために、例えば、少なくとも0.2mm、好ましくは少なくとも0.3mm、および/または最大1.5mm、好ましくは最大0.9mm、特に好ましくは最大0.6mmであってもよい。
【0032】
また、上述した半径方向の隙間はさらに、駆動軸カバーとロータの接触を避けるように設計される。同時に、ハブの起こり得る弱体化を最小限に抑えるために、中空空間をできるだけ小さく保つべきである。
【0033】
例示的実施形態では、駆動軸カバーとロータの間の半径方向の隙間の大きさは、少なくとも0.01mm、好ましくは少なくとも0.04mm、特に好ましくは少なくとも0.07mm、および/または最大0.2mm、好ましくは最大0.13mmであるように選択されてもよい。本明細書に記載されているように隙間を設けると、動作中のロータ、特にロータハブ、ひいては中空空間の楕円化を、部品を接触させることなく許容できることが見出された。
【0034】
所望の半径方向の隙間の大きさを維持しながら、中空空間をできるだけ小さくすることができるように、例えば、中空空間に貫入する駆動軸カバーの部分の壁厚は、少なくとも0.03mm、好ましくは少なくとも0.05mm、および/または最大0.3mm、好ましくは最大0.08mm、特に好ましくは最大0.07mmであってもよい。
【0035】
例えば、駆動軸カバーまたは隙間の直径は、駆動軸の直径に応じて選択される、すなわち、上述した隙間または壁厚は、駆動軸のすべての典型的な直径に対して維持することができる。駆動軸の外径は、例えば0.4mm~2mm、好ましくは0.6mm~1.2mm、特に好ましくは0.8mm~1.0mmであってもよい。
【0036】
カテーテル装置の一実施形態では、中空空間の直径(駆動軸の軸線と直交して、すなわち半径方向に測定される)は、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも0.8mm、特に好ましくは少なくとも1.1mmであってもよい。追加的または代替的に、中空空間の直径は、最大2mm、好ましくは最大1.5mm、特に好ましくは最大1.3mmであるように選択されてもよい。
【0037】
中空空間に貫入する近位セクションの遠位へと外径が増大するセクションを設けることが有利であり得る。すると、近位セクションは、中空空間に貫入する部分の上述の壁厚を有していてもよい。駆動軸カバーの近位セクションは、中空空間内に延び、近位セクションの一部は、典型的には、中空空間の外側に残っている。この場合、駆動軸カバーの外径は、ロータからのある距離を置いて増大する。近位セクションの遠位にあるセクションは、典型的には、近位セクションの壁厚よりも増大した壁厚を有する。これにより、内径は、2つのセクションに沿って一定であってもよく、または変化してもよい。特に、内径は、近位セクションの遠位にあるセクションにおいて増大されてもよい。
【0038】
中空空間に貫入する駆動軸カバーの近位セクションの外径は、例えば、その遠位にあるセクション(外径が増大されている)の外径よりも少なくとも0.1mm小さく、好ましくは少なくとも0.14mm小さくすることができる。追加的または代替的に、これは、近位セクションの遠位にあるセクションの外径よりも最大0.6mm、好ましくは最大0.3mm小さくてもよい。
【0039】
上述の種類の外径が増大されたセクションが想定される実施形態では、駆動軸カバーの中空空間に貫入する部分の壁厚は、好ましくは、0.3mm未満、例えば最大0.08mmまたは最大0.07mmであるように選択されてもよい。また、この種類の増大された直径を提供しないことも可能である。このような実施形態では、駆動軸カバーの中空空間に貫入する部分の壁厚は、ロータと末端部との間にある駆動軸カバーのさらなるセクションの壁厚と同じであってもよい。そのような実施形態では、壁厚は、例えば、最大で上述の0.3mmであってもよい。
【0040】
外径が縮小された近位セクションは、少なくとも0.6mm、好ましくは少なくとも0.8mm、特に好ましくは少なくとも0.9mmの長さを有していてもよい。追加的または代替的に、近位セクションは、例えば、最大2mm、好ましくは最大1.5mm、特に好ましくは最大1.1mmの長さを有していてもよい。
【0041】
駆動軸カバーの近位セクションとその遠位にあるセクションとの間の外径の差(上述したように、例えば0.14mm~0.3mm)は、例えば半径方向の隙間の大きさの2倍(半径の差が少なくとも半径方向の隙間の大きさに等しいことを意味する)であるように選択されてもよい。このようにして、ロータと駆動軸カバーの軸方向の位置合わせ時に、近位セクションの遠位にある直径が増大されたセクションは、中空空間よりも直径が大きい。これにより、組織が中空空間に入るのを防止するのに役立つ。
【0042】
中空空間の外側に残っている近位セクションの部分は、駆動軸カバーとロータの接触を避けるように設けられてもよい。軸方向の隙間の場合と同様に、カテーテル装置の典型的な屈曲の際に、長さの変化が予想されるため、部品間の接触は、ロータの遠位端部と半径が増大されたセクションとの間に十分な距離を設けることによって、回避されるべきである。中空空間の外側に残っている近位セクションの部分は、例えば、軸方向の隙間と同じ長さを有するように選択されてもよい。中空空間の外側に残っている近位セクションの部分は、例えば、少なくとも0.2mm、好ましくは少なくとも0.3mm、および/または最大1.5mm、好ましくは最大0.9mm、特に好ましくは最大0.6mmの長さを有していてもよく、すなわち、この場合、ロータの遠位端部から少なくとも0.2mm、好ましくは少なくとも0.3mm、および/または最大1.5mm、好ましくは最大0.9mm、特に好ましくは最大0.6mmの距離で、駆動軸カバーの外径が増大してもよい。外径は、軸方向のセクション上で、例えば0.2mm以下、好ましくは0.1mm以下だけ滑らかに増大する。
【0043】
カテーテル装置の可能な実施形態では、ロータは、補強要素を備えていてもよい。補強要素は中空空間を取り囲むように設計されてもよく、動作中のロータ、特にロータハブの変形を防止または低減するのに役立ち得る。補強要素は、例えば、ロータの材料に接続されるチューブ、中空円筒、またはリング構造として設計されてもよい。
【0044】
補強要素は、ロータ、すなわち、ロータのハブおよび/またはブレードの材料よりも高い剛性の材料で作製されてもよい。
【0045】
補強要素は、ロータの材料によって完全に取り囲まれるように、ロータの材料内に成形されてもよく、特にロータのハブ内に成形されてもよい。これは、この場合、補強要素の内側に追加のロータの材料があることを意味する。しかしながら、補強要素自体が中空空間を区切る、すなわち、補強要素の内面が露出され、補強要素の外面がロータの材料に接続されるように、中空空間の周囲に補強要素を設けることも可能である。
【0046】
補強要素は、中空空間の全長に沿って設けられてもよい。これにより、補強要素は、中空空間を越えて近位方向に延びることができる。例えば、補強要素は、中空空間よりも長くてもよく、例えば、中空空間の1.5倍または2倍の長さであってもよい。
【0047】
補強要素は、ロータへの取り付けを良好にするための構造を備えていてもよい。例えば、ミクロ構造および/またはマクロ構造が設けられてもよい。ミクロ構造および/またはマクロ構造は、例えば、突出部、窪み、または穴として設計することができる。ミクロ構造および/またはマクロ構造は、補強要素の外側および/または内側に設けられてもよい。ミクロ構造および/またはマクロ構造は、補強要素の全長にわたって、または補強要素の長さの一部にわたって設けられてもよい。
【0048】
可能な実施形態では、補強要素は、補強要素の外側で半径方向に延びる1つ以上のアンカー要素として設計された、上述の種類の構造を備える。1つ以上のアンカー要素は、ロータのハブを越えてロータブレードの材料内に延びるように設計および配置されてもよい。この場合、アンカー要素は、好ましくは、ロータを心臓に挿入するためにロータを圧縮できるように設計される。これは、ブレードが依然として圧縮されるかまたは折り畳まれることができる程度にのみ、アンカー要素をブレードの材料に貫入させることによって達成することができる。アンカー要素は、ロータの材料が入り込むことができる1つ以上の凹み、窪みまたはアンダーカットをさらに備えていてもよい。ブレードの圧縮または折り畳みを可能にするために、カテーテルポンプの可能な実施形態では、アンカー要素は、ブレードが圧縮可能なままであるように、ブレードの材料内に例えば0.5mm延びる。
【0049】
前述のように、補強要素は、追加的または代替的に、ロータの材料との接続をより良好なものとするために、穴または窪みを備えていてもよい。特に、補強要素がロータの材料によって完全に取り囲まれている場合には、貫通孔またはめくら穴として設計されてもよい1つ以上の穴がチューブに設けられてもよく、これにより、ロータの材料が補強要素の壁に入り込むことができ、ロータとその補強要素との間の特に確実な接続が可能になる。穴または窪みの断面は、典型的には特定の幾何形状に限定されない。穴または窪みの断面は円形または多角形であってもよい。窪みまたは穴は、例えば、少なくとも0.02mm、好ましくは0.03mm、および/または最大0.5mm、好ましくは最大0.1mmの直径または縁部長を有していてもよい。
【0050】
補強要素は、生体適合性材料で作製されてもよい。これは、特に、補強要素の内面が露出している実施形態の場合に当てはまるべきである。補強要素は、例えば、MP35N、35NLT、ニチノール、ステンレススチール(特に医療グレードのステンレススチール)、およびセラミックのうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0051】
補強要素の壁厚は、例えば、少なくとも0.03mm、好ましくは少なくとも0.04mm、および/または最大0.08mm、好ましくは最大0.07mmであってもよい。
【0052】
駆動軸の屈曲を可能にするために、駆動軸カバーに柔軟性セクションを設けることが有利であり得る。この場合、駆動軸の摩耗および引き裂きは低減すべきであり、駆動軸にねじれが発生しないことを確実にすべきである。以下に記述する実施形態は、ポンプの導入時または動作中に必要となる駆動軸の屈曲を可能にしながら、駆動軸を安全に支承する場合に有利である。特に、駆動軸が最高動作速度で回転している間、駆動軸を屈曲させることが可能である。本出願の他の態様と合わせて、柔軟性セクションを有することは、特に有利であり得る。
【0053】
柔軟性セクションは、ロータの遠位端部と末端部の近位端部との間に設けられてもよい。特に、柔軟性セクションは、直径が小さくなった近位セクションの遠位にあるセクションであってもよく、またはそのセクションの一部であってもよい。
【0054】
柔軟性セクションは、例えば、柔軟性セクションにて駆動軸カバーに少なくとも1つの開口部を有することによって提供され得る。少なくとも1つの開口部は、典型的には、駆動軸カバーの内側と駆動軸カバーの外側とをつなぐ貫通開口部として設計される。
【0055】
柔軟性セクションの開口部は、駆動軸カバーの材料の弾性故に、復元力によって屈曲後に駆動軸カバーを元の真っ直ぐな位置に戻すように設けられていてもよい。
【0056】
柔軟性セクションの少なくとも1つの開口部は、1つ以上のスリットを備えていてもよい。1つ以上のスリットは、接線方向成分を有する経路を有していてもよい。特に、柔軟性セクションがらせん状スリーブを形成するように、らせん形状を有する1つ以上のスリットを設けることができる。
【0057】
らせん状経路を有する1つ以上のスリットが設けられている場合、らせん状経路のピッチは、例えば少なくとも0.2mm、好ましくは少なくとも0.3mm、特に好ましくは少なくとも0.5mm、および/または最大1.2mm、好ましくは最大0.9mm、特に好ましくは最大0.8mmであってもよい。
【0058】
1つ以上の開口部は、レーザを用いて駆動軸カバーに切り込むことができる。1つ以上の開口部の縁部は、摩耗および/または組織の損傷を避けるために、平滑にされるかまたは丸められてもよい。
【0059】
スリットは、例えば、少なくとも0.005mm、好ましくは少なくとも0.01mm、特に好ましくは少なくとも0.025mm、および/または最大0.2mm、好ましくは最大0.1mmの幅を有していてもよい。
【0060】
一実施形態では、柔軟性セクションは、単一の経路、例えば単一のらせん状経路に続くいくつかのスリットを特徴とし、いくつかのスリットは、スリットの端部間の材料のブリッジによって分離されている。
【0061】
1つ以上のスリットが設けられる場合、1つ以上のスリットの一端または両端部に穴が設けられてもよく、穴は、それが設けられている所定のスリットの幅よりも大きい直径を有する。これにより、スリットによって規定される経路に沿って引き裂きが伝播するのを防ぐのに役立ち得るため、駆動軸カバーの耐久性を向上させることができる。
【0062】
駆動軸カバーの柔軟性セクションは、いわゆるハイポチューブとして設計されていてもよく、すなわち、駆動軸カバーの柔軟性セクションに特定のハイポチューブの設計が提供されるように、スリットが切り込まれてもよい。
【0063】
一実施形態では、スリットは、駆動軸カバーを完全に取り囲む閉じた経路を有していてもよく、それによって駆動軸カバーは、間に材料のブリッジがないいくつかのセグメントに切断される。セグメントは、例えば、ジグソーパズルのピースと同様に、1つのセグメントの突出部が隣のセグメントの凹み内にあることによって互いに接続することができる。また、単に可撓性チューブによって一緒に保持された、分離されたセグメントを有することも可能である。
【0064】
分離されたセグメントの場合、または設計によっては、特にいくつかの既知のハイポチューブの設計では、柔軟性セクションがぐにゃぐにゃしていてもよい、すなわち、駆動軸カバー自体が変形後に元の形状を復元しない。この場合、可撓性チューブは、「記憶」特性を有し、駆動軸カバーの元の形状を復元するのを助けることができる。
【0065】
柔軟性セクションのスリットは、柔軟性セクションの屈曲を制限するように設計されていてもよく、すなわち、所定の最小曲げ半径までしか屈曲できないようになっている。
【0066】
このようにして、屈曲は、スリットの幅および経路によって保証でき、場合によっては制限することもできる。これにより、最小曲げ半径は、駆動軸を永久に変形させるかまたはねじれさせない曲げ半径に制限することができる。
【0067】
1つ以上のスリットまたは穴があると、血液がスリットまたは穴に入り込むことができるという効果を有し得る。例えば、駆動軸カバーの内側から外側への血液の流れを可能にすることが望ましい特徴であり得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、可撓性チューブは、駆動軸カバーの柔軟性セクションの周囲に設けられてもよい。可撓性チューブは、例えば、シュリンクホースであってもよい。可撓性チューブは、柔軟性セクションの曲げ特性を調整するために使用することができ、例えば、柔軟性セクションを所望の程度まで剛化することができる。
【0069】
可撓性チューブは、ポリマーを含んでいても、またはポリマーで作製されていてもよい。特に、可撓性チューブは、シリコーンおよび/またはPebax(登録商標)および/またはPUおよび/またはPETを含んでいても、またはこれらで作製されていてもよい。
【0070】
穴またはスリットなどの1つ以上の開口部が設けられている場合、その1つ以上の開口部は、少なくとも部分的に可撓性チューブで覆われていてもよい。
【0071】
上述の血液の流れを局所的に可能にするために、1つ以上の開口部の一部またはサブセットを覆わずに残すことが可能である。特に、可撓性チューブは、少なくとも1つの開口部の遠位部分を覆わずに残すように設計されてもよい。これにより、血液は、ロータの中空空間内から駆動軸と駆動軸カバーとの間に入り、駆動軸カバー内の最も遠位にある開口部まで送達され得る。これにより、血液は駆動軸に沿って循環し、過熱および鬱血を防ぐことができる。
【0072】
追加的または代替的に、可撓性チューブは、上述の血液の流れを可能にするために、少なくとも1つの開口部の一部との流体連通を可能にする1つ以上の穴を備えていてもよい。
【0073】
追加的または代替的に、上述の血液の流れを可能にする流体連通は、駆動軸カバーに1つ以上の通気孔を有し、通気孔が駆動軸カバーの内側と外側をつなぐことによって提供されてもよい。通気孔は、例えば、可撓性チューブが設けられていない領域、特に可撓性チューブから遠位の領域に設けられてもよい。通気孔は、開口部の設計とは異なる設計を有していてもよく、特に、通気孔は、開口部とは対照的に、駆動軸カバーに柔軟性を与える必要はない。したがって、通気孔は、想定される血液の貫流に対して最適化できる設計を有していてもよい。さらに、通気孔の場合には、設計は通気孔への組織の詰まりおよび吸引を回避できるような設計であってもよい。換言すれば、通気孔が設けられた場合、柔軟性セクションのすべての開口部を覆ってもよく、血流を依然として確保することができる。このようにして、通気孔および開口部の両方は、それらの主な目的に関して最適化することができる。通気孔は、例えば、円形もしくは楕円形の形状を有していてもよく、または軸方向成分もしくは軸方向成分のみを有する経路を有するスリットとして設計されてもよい。
【0074】
一実施形態では、駆動軸カバーの遠位端部は末端部内にあり、駆動軸カバーの一部が末端部内に延びている。駆動軸カバーは、その近位にある駆動軸カバーのセクションの直径よりも大きな直径を有する遠位セクションを備えていてもよい。前記遠位セクションは、全体または一部が末端部内にあるように設計されてもよい。
【0075】
遠位セクションの近位にあるセクションは、近位セクションの遠位にあるセクションであってもよく、異なる外径を有する合計3つのセクションとなる。すなわち、カテーテル装置の可能な実施形態では、第1の外径を有する近位セクション(中空空間内に延びる)と、第2の(増大した)外径を有する、その遠位にある柔軟性セクションと、第3の(さらに増大した)外径を有する、末端部内に延びる遠位セクションとがある。遠位セクションの外径は、少なくとも1.15mm、好ましくは少なくとも1.25mm、および/または最大2mm、好ましくは最大1.8mm、特に好ましくは最大1.6mmであってもよい。
【0076】
駆動軸カバーの内径は、駆動軸カバーの長さに沿って変化してもよい。例えば、駆動軸カバーの近位端部では、直径は、駆動軸カバーの遠位端部における駆動軸カバーの内径に対して縮小されていてもよい。直径の縮小は、例えば、近位セクションとその遠位にあるセクションとの間で生じていてもよい。内径は、少なくとも0.02mmおよび/または最大0.12mm縮小されてもよい。内径は、例えば、柔軟性セクションおよび遠位セクションに沿って一定に保つことができる。駆動軸と駆動軸カバーとの間の隙間は、ロータおよび駆動軸カバーを同心円状に位置合わせし続けるために、近位セクションで特に小さく保たれていてもよい。特に、近位セクションの駆動軸カバーの内径と駆動軸の外径との直径差は、0.1mm以下、好ましくは0.06mm以下、特に好ましくは0.03mm以下であるように選択されてもよい。
【0077】
駆動軸カバーは、MP35N、35NLTおよび/またはセラミック、および/またはダイヤモンド状炭素コーティングを含んでもよい。
【0078】
駆動軸カバーは、一体成形品から製造されてもよい。特に、駆動軸カバーは、一体成形品として設計されてもよい。しかし、複数のセグメントが形成されるようにスリットが駆動軸カバーに切り込まれることも可能である。これらのセグメントは一緒に保持されていてもよいが、駆動軸カバーの材料の材料ブリッジが存在しないという意味では、互いに接続されていない(上記参照)。これらのスリットは、始めに準備されていた一体成形品に切り込まれてもよい。熱伝導性は、スリットの経路に依存することができる。特に、有利な熱伝導特性は、より多くの材料ブリッジを有することによってもたらされ得る。
【0079】
駆動軸カバーは、末端部から遠のく熱伝導を可能にする熱伝導特性を有していてもよい。
【0080】
末端部は、非外傷性チップを備えていてもよい。末端部は、例えば、ポリマーで作製され得る。末端部は、細長い部分を有することができ、非外傷性チップはその遠位に設けられている。非外傷性チップは、細長い部分に取り付けることができ、特に、細長い部分および非外傷性チップは、一体成形品として設計することができる。非外傷性チップは例えばピグテイルであってもよい。
【0081】
駆動軸は、典型的には可撓性である。駆動軸は、駆動軸に沿って軸方向に延びる空洞の周囲をらせん状に走る、好ましくは異なる巻線方向、特に好ましくは交互の巻線方向を有する複数の同軸巻線から構成され得る。例えば、駆動軸は、巻線方向が反対の2つの同軸巻線を備えていてもよく、駆動軸の外径は、0.4mm~2mm、好ましくは0.6mm~1.2mm、特に好ましくは0.8mm~1.0mmであってもよい。
【0082】
遠位端部領域では、駆動軸は、いくつかの実施形態では、駆動軸に沿って軸方向に延びる空洞に設けられた補強要素、例えば、金属ワイヤまたはカーボンワイヤによって補強される。一実施形態では、補強要素は、ロータハウジングの近位端部近傍の領域、特にロータハウジングの近位ベアリング構成から駆動軸の遠位端部まで延びている。一実施形態では、金属ワイヤは、1.4310ステンレススチールで作製される。
【0083】
可撓性チューブは、例えば、可撓性材料、例えば、シリコーン、Pebax(登録商標)、PU、またはPETで作製され得る。一実施形態では、駆動軸カバーの可撓性チューブは、シュリンクホースである。駆動軸カバーの可撓性チューブは、末端部の外側に設けられ、末端部を越えて末端部の近位に延びることもできる。代替的または追加的に、駆動軸カバーの可撓性チューブは、部分的に末端部の内側に設けられ、末端部を越えて末端部の近位に延びる。動作中に駆動軸が屈曲すると、駆動軸カバーは、駆動軸カバーとロータの間で駆動軸にねじれが生じるのを避けるように十分に可撓性である。また、その弾性により、駆動軸カバーを屈曲させることもできる。曲げ剛性は、典型的には、駆動軸カバーおよび駆動軸によってほぼ規定される。
【0084】
別の代替的実施形態では、可撓性チューブは、駆動軸カバーの周囲で、末端部の近位に、かつ末端部から遠のくように設けられてもよい。この場合、駆動軸カバーの1つ以上の開口部は、駆動軸カバーの、末端部と可撓性チューブとの間にあるセクションに設けられてもよい。すなわち、これらの開口部は、可撓性チューブによって覆われていない。この場合、覆われていない開口部を介して、駆動軸カバーの内側と駆動軸カバーの外側との間の血液の流れを可能にすることができる。特に、開口部は、同時に駆動軸カバーの可撓性を確保するように構成された、駆動軸カバーの前述の開口部であってもよい。この構成は、上述の中空空間を有するロータを備えていない実施形態においても有用であり得る。また、駆動軸カバーの内側と駆動軸カバーの外側との間で血液の流れを可能にするために、可撓性チューブに穴または開口部を設ける一方、例えば、駆動軸カバーの全長に沿って、または開口部を有する部分の全長に沿って可撓性チューブを設けることも可能である。
【0085】
一実施形態では、駆動軸カバーは、駆動軸を支承するために可撓性チューブの内側にらせん状スリーブを備える。らせん状スリーブは、可撓性を確保しつつ、駆動軸カバーの可撓性チューブを内側から支持する。このようならせん状スリーブを用いると、駆動軸と駆動軸カバーとの間の摩擦ならびに駆動軸カバーの摩耗および引き裂きを低減することができる。
【0086】
別の実施形態では、駆動軸カバーは、駆動軸から遠のくように熱を伝達し、かつ/または遠位ベアリングから遠のくように熱を伝達するように設計された1つ以上の熱伝導部を備える。例えば、熱伝導部は、動作中に患者の血液に熱を伝達し、かつ/または局所的なホットスポットを避けるために熱を分散させるように構成することができる。
【0087】
1つ以上の熱伝導部は、駆動軸に面した内面と、駆動軸から見て外側を向く外面とを有していてもよい。
【0088】
熱伝導部は、駆動軸を取り囲むチューブとして設計されてもよい。また、熱伝導部は、例えば、駆動軸の近傍に設けられた1つ以上の金属板または舌として設計することもできる。
【0089】
らせん状スリーブおよび熱伝導部またはチューブは、それぞれ別の実施形態で、例えば、可撓性なチューブと組み合わせて提供することができる。らせん状スリーブおよびチューブとして設計された熱伝導部の両方を備えた実施形態は、特に有利であり得る。
【0090】
らせん状スリーブは、例えば、可撓性チューブがあってもなくても、熱伝導部と組み合わせて設けられてもよい。例えば、らせん状スリーブは、チューブとして設計された熱伝導部の内部に少なくとも部分的に配置することができ、典型的には、チューブから延びている。
【0091】
らせん状スリーブおよび熱伝導部を一体成形品として設計することも可能である。らせん状スリーブは、駆動軸カバーの柔軟性セクションであってもよい。
【0092】
らせん状スリーブは、例えば、ラウンドワイヤで作製されてもよく、または巻線を有する平坦なテープで作製されてもよい。すると、駆動軸も、らせん状スリーブ内に回転可能に設置される。ベアリングらせん状スリーブは、好ましくは、金属、例えばMP35N(登録商標)または35NLT(登録商標)で作製され、またはセラミックで作製される。ベアリングらせん状スリーブは、ポンプヘッドの屈曲に耐える駆動軸カバーの可撓性を確保することによって、遠位ベアリングとロータとの間のねじれを回避し、摩耗および引き裂きに対する十分な耐性をもたらす。したがって、らせん状スリーブの隣接する巻線間の規定される隙間によって、屈曲が保証され、場合によっては制限もされる。これにより、最小曲げ半径は、駆動軸を永久に変形させたり、またはねじれさせたりしない曲げ半径に制限することができる。一実施形態では、可撓性チューブは、らせん状スリーブの全長の周囲に設けられる。一実施形態では、可撓性チューブは、らせん状スリーブの近位セクションの周囲にのみ設けられる。一実施形態では、可撓性チューブは、末端部の一部の外側の周囲と、末端部から延びるらせん状ベアリングの部分の周囲に設けられる。
【0093】
あるいは、らせん状の代わりに複数の金属製リングの実施形態も可能であり、好ましくはリング間に隙間を設けて配置する。好ましくは、リングまたはスリーブは平坦なテープで作製される。リングは、上述のらせん状スリーブと同じ材料で作製されてもよい。
【0094】
駆動軸を支承するらせん状スリーブまたはリングは、0.4mm~2.1mm、好ましくは0.6mm~1.3mm、特に好ましくは0.8mm~1.1mmの範囲の内径を有する。らせん状スリーブまたはリングを形成するテープは、0.05mm~0.4mmの厚さを有する。らせん状スリーブまたはリングを形成するテープは、例えば0.4mm~0.8mmの幅を有することができる。リング間または巻線間の隙間は、例えば、0.04mm~0.2mmであってもよい。
【0095】
駆動軸カバーの可撓性に影響を与えるらせん状スリーブの巻付け勾配および可撓性チューブの厚さは、好ましくは、カテーテル装置の屈曲時にロータを所望の位置に保つことができるように選択される。
【0096】
可撓性チューブの厚さは、5μm~100μm、好ましくは10μm~50μmであってもよい。
【0097】
一実施形態では、らせん状スリーブまたはリングの内径は、駆動軸を回転可能に設置し、振動を回避するために、駆動軸の外径よりも0.01mm~0.08mm、好ましくは0.01mm~0.05mmであるが、せいぜい少量の血液が隙間領域に入るのを許容するように選択される。
【0098】
一実施形態では、らせん状スリーブまたはリングの近位端部は、拡張状態でロータの近傍に位置する。例えば、らせん状スリーブまたはリングの近位端部は、動作中にロータが駆動軸カバーまたはらせん状スリーブに接触することを避けるために、拡張状態のロータから0.2mm~0.7mmの距離、好ましくは0.25mm~0.4mmの距離を有するように設計することができる。
【0099】
好ましくは、駆動軸カバーの可撓性は、ポンプヘッドの屈曲時に、駆動軸およびロータが可撓性ハウジング内の中心に置かれたままで、動作中にロータが可撓性ハウジングに接触することを避けるようなものである。
【0100】
一実施形態では、ロータのハブは、ハブが遠位ベアリングの部品に接触するおそれなく、ロータブレードを遠位ベアリングに近づけることができるように、ロータブレードを遠位方向に0.5mm未満越えて延びる。好ましくは、ロータのハブは、ロータブレードを遠位方向に0.1mm未満越えて延び、特に好ましくは、ハブは遠位側でロータブレードをまったく越えることなく延びる。
【0101】
一実施形態では、ベアリングスリーブの近位端部から遠位端部に向かって見たときに、スリーブの巻線を遠位方向に辿ったときのらせん状スリーブの巻線方向は、駆動軸の遠位端部に向かって駆動軸に沿って見たときに、駆動軸の好ましい回転方向の反対方向であるため、故障時にロータがらせん状スリーブに接触しても、らせん状スリーブのテーパ状または尖った端部が好ましい回転方向に回転するロータを損傷しないようになっている。好ましい巻線方向は、駆動軸の最も外側の同軸巻線の巻線方向と同じ方向であってもよく、または駆動軸の最も外側の同軸巻線の巻線方向とは逆の方向であってもよい。
【0102】
らせん状スリーブの端部は、好ましくは、正面研削され、縁部、少なくとも両端部の縁部は、好ましくはR≦2μmの、ISO1302規格による十点平均粗さRを有する、丸みを帯びた滑らかなものである。
【0103】
別の実施形態では、駆動軸カバーの近位セクションは、らせん状スリーブの近位に設けられ、近位セクションはロータの中空空間内に延びる。これは、らせん状スリーブの端部が駆動軸カバーの近位セクションによって保護されることを意味する。
【0104】
好ましくは、らせん状スリーブおよび/または駆動軸カバーは、ロータおよびハウジングを圧縮下のカニューレに移動させるためにカテーテル装置の近位端部に力が加えられた場合に、遠位ベアリングに対する駆動軸、したがってらせん状スリーブまたは駆動軸カバーの相対移動がもたらされるような方法で配置される。相対移動は、例えば、上述したように、ハウジングの圧縮によってもたらされるハウジングの長さの変化に起因する。駆動軸の遠位端部は、常に遠位ベアリング内に留まることができ、すなわち、実施形態によっては、遠位端部が駆動軸カバー、らせん状スリーブ、セラミックベアリング、または熱伝導チューブから抜け出ない。
【0105】
一実施形態では、追加のセラミックベアリングが、らせん状スリーブの遠位に位置する遠位ベアリング内に設けられる。
【0106】
前述したように、カテーテル装置は、らせん状ベアリングに加えて、熱伝導部またはチューブを備えることができ、または、カテーテル装置は、ベアリングと組み合わせて、熱伝導部またはチューブのみを備えることができる。
【0107】
熱伝導部またはチューブがらせん状ベアリングなしで設けられる場合、セラミックベアリング、例えばリングベアリングは遠位ベアリング内に設けられてもよい。
【0108】
熱伝導部またはチューブがらせん状スリーブに加えて設けられる場合、らせん状スリーブの少なくとも一部の周囲に設けられてもよい。
【0109】
熱伝導部またはチューブは、部分的には末端部内にあり、部分的には末端部の外側にあることができる。このようにして、遠位ベアリング内から患者の血液への熱伝達が可能になる。一実施形態では、熱伝導部またはチューブは、末端部から0.5mm~2mm、好ましくは1mm~1.5mm延びる。
【0110】
駆動軸カバーの可撓性チューブは、熱伝導部またはチューブの内側のらせん状ベアリングの周囲に設けられてもよい。そして、熱伝導部またはチューブの外面を患者の血液に直接接触させることができる。
【0111】
また、可撓性チューブは、末端部の一部の外側、末端部から延びる熱伝導部またはチューブの部分の外側、および熱伝導部またはチューブを越えて延びるらせん状スリーブの部分の周囲に設けられてもよい。後者の構成では、熱伝導部またはチューブの、末端部から延びている部分は、血液と直接接触させることができない。むしろ、可撓性チューブが血液に直接接触する。この構成では、熱はさらに、熱伝導部またはチューブから、可撓性チューブの薄い壁を介して血液に伝達される。
【0112】
また、熱伝導部またはチューブは、熱が遠位ベアリング内で再分配され、らせん状ベアリングまたはリングから遠のいて伝達されるように、完全に末端部内にあってもよい。
【0113】
熱伝導部またはチューブは、例えば1.4441ステンレススチールなどの医療グレードのステンレススチールで作製され、末端部またはセラミックベアリングよりも高い熱伝導性を持つ。
【0114】
チューブとして設計された熱伝導部の内径は、0.5mm~2.6mm、好ましくは0.7mm~1.8mm、特に好ましくは0.9mm~1.6mmであってもよい。
【0115】
熱伝導部またはチューブの厚さは、0.05mm~0.5mmであってもよい。
【0116】
患者の血液と接触するように構成された熱伝導部またはチューブの外面のセクションは、好ましくは平滑である。
【0117】
一実施形態では、熱伝導部の外面の前記セクションまたは部分におけるISO1302規格による十点平均粗さRは、R≦1.2μmである。
【0118】
一実施形態では、熱伝導部またはチューブの内側は、らせん状スリーブに接着されるように構成される。熱伝導部またはチューブの内側をらせん状スリーブに接着することを容易にするために、熱伝導部またはチューブの内側は粗くてもよい。例えば、熱伝導部またはチューブの内側の算術平均表面粗さは、R≧0.8μmの、ISO1302規格による平均表面粗さRを有することができる。
【0119】
一実施形態では、チューブとして設計された熱伝導部の内径は、接着剤が隙間に塗布できるように、らせん状スリーブまたはリングの外径よりも0.04mm~0.1mm大きくなるように選択される。
【0120】
このような熱伝導部またはチューブを備えたカテーテルポンプは、温度のホットスポットをずらすことができる。例えば、ホットスポットは、駆動軸の、末端部の内側にある領域から、末端部の近位端部の近傍へと、または末端部の外側にある領域へとずらすことができる。このような構成により、最高温度を低下させることができ、例えば、熱伝導部のない構成での最高温度よりも20℃~60℃低い最高温度となる。特に、ホットスポットの最高温度は、Pebax(登録商標)または他の医療グレードのポリマーの融点よりも低く保つことができる。
【0121】
さらに、本明細書にて提案される熱伝導部またはチューブを備えるが、遠位ベアリングがらせん状スリーブまたはリングを備えないカテーテル装置を提供することもできる。
【0122】
本出願は、上記もしくは下記の駆動軸カバー、ならびに/または駆動軸カバーおよび可撓性チューブを備えたベアリングシステムにさらに関していてもよい。
【0123】
本出願によるカテーテル装置の態様および実施形態は、図1図20に例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図1】心臓の左心室内に配置されるカテーテル装置を示す図である。
図2】カテーテル装置の遠位端部領域を示す図である。
図3】カテーテル装置の遠位端部領域の拡大断面図である。
図4a】カテーテル装置の遠位端部領域の断面を示す模式的なスケッチを示す図である。
図4b】カテーテル装置の遠位端部領域の断面を示す模式的なスケッチを示す図である。
図5a】カテーテル装置の遠位端部領域の断面を示す模式的なスケッチを示す図である。
図5b】カテーテル装置の遠位端部領域の断面を示す模式的なスケッチを示す図である。
図6】らせん状スリーブを示す図である。
図7a】拡張状態(a)のロータおよびロータハウジングを示す図である。
図7b】圧縮状態(b)のロータおよびロータハウジングを示す図である。
図8a】中空空間を有するロータと、中空空間に延びる駆動軸カバーとを備えたカテーテル装置を示す図である。
図8b】中空空間を有するロータと、中空空間に延びる駆動軸カバーとを備えたカテーテル装置を示す図である。
図9a】追加の可撓性チューブを備えた図8のカテーテル装置を示す図である。
図9b】追加の可撓性チューブを備えた図8のカテーテル装置を示す図である。
図9c】追加の可撓性チューブを備えた図8のカテーテル装置を示す図である。
図10a】ロータに補強要素が設けられた図8のカテーテル装置を示す図である。
図10b】ロータに補強要素が設けられた図8のカテーテル装置を示す図である。
図11】カテーテル装置の詳細図である。
図12】補強要素を備えたロータを有するカテーテル装置の詳細図である。
図13a】第1の実施形態における駆動軸カバーの図である。
図13b】第1の実施形態における駆動軸カバーの図である。
図13c】第1の実施形態における駆動軸カバーの図である。
図14a】第2の実施形態における駆動軸カバーの図である。
図14b】第2の実施形態における駆動軸カバーの図である。
図15a】第3の実施形態における駆動軸カバーの図である。
図15b】第3の実施形態における駆動軸カバーの図である。
図16a】第4の実施形態の駆動軸カバーを示す図である。
図16b】第5の実施形態における駆動軸カバーの断面図である。
図17a】補強要素の実施形態を示す図である。
図17b】補強要素の実施形態を示す図である。
図18a】補強要素の実施形態を示す図である。
図18b】補強要素の実施形態を示す図である。
図19a】補強要素の実施形態を示す図である。
図19b】補強要素の実施形態を示す図である。
図20a】補強要素の実施形態を示す図である。
図20b】補強要素の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0125】
図1は、血液ポンプとして使用されるカテーテル装置1を示す。カテーテル装置1は、カテーテル装置1の遠位端部領域8の一部が、患者の心臓18.1の左心室18.3内に配置されるように、患者に導入される。患者の体外にあってもよい駆動領域16には、駆動軸4を駆動するためのモータ17が設けられている。駆動軸4の一部は、柔軟性シース5によって覆われている。駆動軸4および柔軟性シース5は、駆動領域16から遠位端部領域8まで延びており、ここでは、好ましくは圧縮可能なロータとして構成されたロータ2が、駆動軸4によって駆動される。圧縮可能なロータ2は、圧縮可能なハウジング3内に配置されている。ロータ2およびハウジング3の圧縮性は、ロータを患者の体内により小さな外形で導入するのに有用である。動作中、ロータ2およびハウジング3は拡張状態にある。ハウジング3は、組織がロータ2に吸い込まれたり、またはロータ2もしくは駆動軸4に絡みつくのを防止するため、例えば腱索などの心臓組織の損傷を防止する。駆動軸4の遠位端部は、遠位ベアリング9内にある。遠位ベアリングは、駆動軸カバー11とポリマー末端部10とを備え、ポリマー末端部は、好ましくは、Pebax(登録商標)または他の可撓性の医療グレードポリマーのような可撓性材料で作製され、好ましくは「記憶」特性、すなわち変形した後に元の形状に戻るような特性を有する。ポリマー末端部は、駆動軸カバー11の一部の周囲に設けられた細長い部分10.1を備える。ポリマー末端部10は、ポンプ配置時に心臓18.1および大動脈弁18.4への損傷を防止するために、ピグテイルチップ10.2をさらに備える。ロータ2および駆動軸4は、遠位端部を離れて近位端部に向かう血液の流れ、すなわち、左心室18.3から大動脈18.2および患者の身体の他の領域への血液の流れがもたらされるように、回転方向4.1に回転することができる。下流管類6は、ロータ2およびロータハウジング3の近位に設けられており、この下流管類は、大動脈弁18.4の近位にある下流開口部6.1を有しているため、血液が下流管類6内で大動脈弁を通過し、その後、大動脈18.2に流れ込むことができるようになっている。下流管類6は、患者の心臓18.1がポンプ動作を続けているときに、大動脈弁18.4によって圧縮され得るように、可撓性材料で作製される。下流管類6は、典型的には、主に回転中のロータ2によって生成される活発な血流により拡張される。
【0126】
図2は、カテーテル装置1の遠位端部領域8を通る断面を示す。遠位ベアリング9は、ピグテイル10.2および細長い部分10.1を有するポリマー末端部10を備える。近位端部では、細長い部分10.1は、駆動軸カバー11の一部の周囲に設けられている。駆動軸4は、遠位ベアリング9へと延び、駆動軸カバー11によって支承されている。下流管類6は、ロータハウジング3に取り付けられ、近位に延びている。下流管類6の近位端部は、柔軟性シース5に取り付けられている。ロータ2と駆動軸カバー11の近位側との間では、心臓への損傷を避けるために駆動軸が保護されるべきである。これは、以下の図面でより詳細に説明するカテーテル装置によって達成される。
【0127】
図3は、カテーテル装置1の端部領域8の拡大部分を示す。特に、駆動軸カバー11を備えた遠位ベアリング9のセクションが示されている。駆動軸カバー11は、ポリマー末端部10の中から、ポリマー末端部10を出て、ロータハウジング3内に延びている。駆動軸4は、駆動軸の中心で軸方向に延びる空洞の周囲をらせん状に走る同軸巻線からなる1つ以上の層で作製される。同軸巻線の巻き方向は、1つの層から次の層へと交互に変わることができる。この構成により、駆動軸の可撓性を向上させることができる。駆動軸の外径は、約0.4~約2mmの範囲である。好ましくは、外径は、0.6mm~1.2mmである。特に好ましくは、外径は、0.8mm~1.0mmである。駆動軸カバー11は、駆動軸4を支承するように設計される。駆動軸カバー11は、駆動軸4が挿入されるルーメンを有するスリーブを備える。スリーブは、好ましくは、平坦なテープ14.1からなるらせん状スリーブ14として設計される。テープは、例えば、MP35N(登録商標)もしくは35NLT(登録商標)またはセラミックで作製され得る。らせん状スリーブ14の内径は、駆動軸4を取り付けても回転可能なままであることができ、一方で駆動軸4とらせん状スリーブ14との間の隙間に多量の血液が入ることができないように選択される。らせん状スリーブ14の内径は、例えば、駆動軸4の外径よりも0.01mm~0.08mm、好ましくは駆動軸4の外径よりも0.01mm~0.05mm大きくなるように選択することができる。らせん状スリーブ14の内径は、0.4mm~2.1mm、好ましくは0.6mm~1.3mm、特に好ましくは0.8mm~1.1mmである。らせん状スリーブ14の厚さは、0.05mm~0.4mmである。このようならせん状スリーブ14は、特にポリマー末端部10から延びる領域において、可撓性をもたらす。好ましくは、駆動軸カバー11の可撓性は、カテーテル装置1の遠位端部領域8が屈曲された場合に、駆動軸のねじれが回避されるようなものである。さらに、駆動軸カバー11の可撓性は、駆動軸4がハウジング3内のセンタリングされたままであり、ロータ2がハウジング3に接触しないようなものである。らせん状スリーブの近位端部、好ましくはらせん状スリーブの両端部は、正面研削されている。さらに、らせん状スリーブの両端部の縁部は、好ましくはR≦2μmのISO1302規格による十点平均粗さを有する、丸みを帯びた滑らかなものである。駆動軸カバー11は、らせん状スリーブ14の一部の周囲に設けられるチューブとして設計され得る熱伝導部13をさらに備え得る。熱伝導チューブまたは熱伝導部13は、ポリマー末端部10よりも高い熱伝導性を有する材料で作製され、特に、1.4441ステンレススチールなどの医療グレードのステンレススチールで作製され得る。熱伝導部13は、チューブとして設計されている場合、ポリマー末端部10の内側にあるらせん状スリーブ14の一部の少なくとも周囲に設けられているが、いくつかの実施形態では、熱伝導部13またはチューブは、ポリマー末端部10から、患者の血液と直接接触するように構成され得るハウジング3内の領域へと延びている。特に、チューブとして設計された熱伝導部13は、ポリマー末端部10から0.5mm~2mm、好ましくは1mm~1.5mm延びることができる。熱伝導部13またはチューブは、0.05mm~0.5mmの厚さを有することができる。熱伝導チューブの内径は、0.5mm~2.6mm、好ましくは0.7mm~1.8mm、特に好ましくは0.9mm~1.6mmであることができる。熱伝導部13またはチューブの外面13”の一部を患者の血液に直接接触させることができるように熱伝導部13またはチューブが構成されている場合、患者の血液に接触させることができる熱伝導部13またはチューブの外面(13”)の領域は、好ましくは滑らかであり、例えば、R≦1.2μmの、ISO1302規格による十点平均粗さを有する。ポリマー末端部内にあり、ポリマー末端部と接触するように構成されている熱伝導部13の外面13”の部分は、好ましくは、例えば、レーザ加工またはローレット切りによって、ISO1302規格による平均表面粗さがR≧0,8μmであるように粗面化される。駆動軸カバー11の近位側には、駆動軸4の周囲にロータハブ2.1を有するロータ2が設けられている。ロータが拡張している動作状態では、ロータハブ2.1は、駆動軸カバーから0.2mm~0.7mmの軸方向距離、好ましくは0.25mm~0.4mmの距離に保たれる。ロータのハブ2.1は、ロータブレード2.2を駆動軸カバー11に近づけることができるように設計される。ハブ2.1は、ロータブレードを遠位方向に0.5mm未満越えて延び、ロータブレードを遠位方向に好ましくは0.1mm未満越えて、またはまったく越えないように延びている。
【0128】
チューブとして設計することができる熱伝導部(13)は、例えば、駆動軸4を支承するための異なる種類のベアリングがあるか、または追加のスリーブがないことが想定される場合には、らせん状スリーブ14とは独立して、ポリマー末端部10の内部に設けることができる。
【0129】
図4aは、カテーテル装置1の遠位端部領域8のセクションの概略図を示す。らせん状スリーブ14の一部は、ポリマー末端部10から延びる。熱伝導部の内面13’は、らせん状スリーブ14と直接接触しており、らせん状スリーブ14を熱伝導部13の内面13’に接着することを容易にするために、粗くてもよい。ポリマー末端部10から延びるらせん状スリーブ14のむき出しの部分は、可撓性が高く、動作中の駆動軸4の強い屈曲運動にも追従する。また、熱伝導チューブ13の一部もポリマー末端部10から延びており、熱伝達を可能としている。本実施形態では、熱が熱伝導チューブ13から血液に直接伝達される。また、熱伝導チューブ13も、遠位ベアリング10の中にさらに延び、少なくともポリマー末端部10の内側にあるすべての領域でらせん状スリーブ14を覆うことができる。代替的実施形態では、熱伝導チューブ13はないが、他のすべての特徴は同じである。
【0130】
図4bは、図4aのカテーテル装置1の遠位端部領域8と同じセクションの概略図を示す。駆動軸カバー11は、らせん状スリーブの外側またはらせん状スリーブの外側の一部の周囲に可撓性チューブ12’をさらに備える。図4bに示す実施形態では、可撓性チューブ12’は、ポリマー末端部10の近位部分の周囲、ポリマー末端部10の外に達する熱伝導部13の外面13”の部分の周囲、およびポリマー末端部10から延びるらせん状スリーブ14の部分の周囲に延びる。熱伝導部の内面13’はらせん状スリーブ14と直接接触しており、らせん状スリーブを熱伝導部13の内面13’に接着するのを容易にするために、粗くてもよい。可撓性チューブは、シュリンクホースとして実装されてもよく、例えば、シリコーン、またはPebax(登録商標)、またはPU、またはPETで作製されてもよい。良好な熱伝導性のために、可撓性チューブは、例えば0.2mm未満、特に0.02mm未満の小さな壁厚を有することができる。本実施形態では、熱が熱伝導チューブ13から可撓性チューブ12’を通って血液に伝達される。可撓性チューブ12’を特徴とする実施形態では、平坦なテープで作製されたリングが、らせん状のスリーブの代わりに、可撓性チューブ12’の内側に設けられてもよい。テープは、例えば、MP35N(登録商標)もしくは35NLT(登録商標)またはセラミックで作製され得、らせん状スリーブと同じ厚さおよび内径を有することができる。リングを備えた可能な実施形態では、リングは互いに離れて配置されている。
【0131】
図5aは、図4bと同じセクションを示しているが、可撓性チューブ12”は異なる構成である。可撓性チューブ12”は、シュリンクホースとして実装されてもよく、例えば、シリコーン、またはPebax(登録商標)、またはPU、またはPETで作製されてもよい。良好な熱伝導性のために、可撓性チューブは、例えば0.2mm未満、特に0.02mm未満の小さな壁厚を有することができる。可撓性チューブ12”は、らせん状スリーブ14の外側に設けられ、熱伝導部13またはチューブの内面13’に沿って、ポリマー末端部10の内部に延びる。ここに示す実施形態では、可撓性チューブ12”は、らせん状スリーブ14の遠位端部までずっと延びている。この構成では、熱伝導部13の外面13”の一部が、カテーテル装置1の患者への挿入時に患者の血液と直接接触するように構成されている。前記部分は平滑であり、例えばISO1302規格による十点平均粗さRはR≦1.2μmである。
【0132】
図5bは、図5aと同様の構成を示しており、可撓性チューブ12”がらせん状スリーブ14の外側に設けられ、熱伝導部13の内面(13’)およびポリマー末端部10の内側に延びている。図5aとは異なり、可撓性チューブ12”は、らせん状スリーブの遠位部分が可撓性チューブ12”によって覆われないように、らせん状スリーブ14の遠位端部まで完全には延びていない。一方、熱伝導部13は、らせん状スリーブ14の遠位端部までさらに延び、そのため、その内面13’の一部がらせん状スリーブ14と直接接触するように構成されている。この構成では、熱伝導部13の内面13’の前記部分は、らせん状スリーブ14の外側に接着することができる。熱伝導部13の内面13’に粗面を設けることが有利である。例えば、ISO1302規格による平均表面粗さがR≧0.8μmである。さらに、熱伝導部13とらせん状スリーブ14の間に接着剤を塗布できるようにするために、チューブとして設計されたときの熱伝導部13は、らせん状スリーブ14の外径よりも0.04mm~0.1mm大きい内径を有することができる。
図6はらせん状スリーブ14を示す。端部は正面研削されており、平滑である。平坦なテープ14.1は、断面が示されている。巻線14.2は、近位から遠位への巻線方向を有し、これは、遠位方向で見たときに、駆動軸4の好ましい回転方向4.1の反対方向である。このようにして、回転部品が損傷を受けたり、らせん状スリーブ14の近位端部で尖ったチップに引っかかったりし得ない。
【0133】
図7は、2つの状態aおよびbにおけるロータ2、ハウジング3およびカニューレ15を示す。ロータ2およびハウジング3は、例えば、柔軟性シース5の近位端部に力を加えることによって、カニューレ15内に移動されるように構成されている。カニューレ内に移動されると、ロータ2’およびハウジング3’は、半径方向に圧縮され、それらの拡張状態2、3からそれらの圧縮状態2’、3’になる。カニューレ15は、カテーテル装置1に係るカニューレであっても、またはカテーテル装置1の患者の体内への挿入を補助するピールアウェイシースであってもよい。拡張状態のハウジング3は、長さ3.1を有する。ハウジング3が圧縮されて圧縮状態3’になると、長さが長さ3.1’へと増加する。長さが変化すると、ハウジング3に取り付けられている遠位ベアリング9の駆動軸4に対する相対的な位置が変化する。駆動軸カバー11は、2つの部品が互いにスライドしながらハウジング3の長さ3.2が変化するとき、駆動軸4の遠位端部が駆動軸カバー11内に残るように設計されている。
【0134】
図8aは、カテーテル装置1の遠位端部領域8の図を示し、カテーテル装置1は、本質的には例えば図1に示されているように設計されている。
【0135】
遠位ベアリング9は、駆動軸4の遠位端部を支承するために設けられる。遠位ベアリング9は、末端部10および駆動軸カバー11を備える。駆動軸カバー11は、ロータ2と末端部10との間に延びる駆動軸4のセクションを覆っている。これにより、駆動軸カバー11は、駆動軸4の前記セクション部分を、このセクションの全長に沿って覆っている。
【0136】
ロータ2の遠位側では、ロータ2、特にロータハブ2.1の半径方向内側の部分が、ロータ2およびロータハブ2.1の半径方向外側の部分に対して軸方向に凹んでおり、駆動軸4を囲む中空空間2.3を形成している。中空空間2.3は、円筒状であり、遠位側に向かって開口している。駆動軸カバー11の近位端部は、中空空間2.3にある。そのため、近位端部で駆動軸カバー11から突出している駆動軸4のセクションは、それを取り囲むロータ2の部分によって保護される。
【0137】
駆動軸カバー11の近位セクション11.1は、部分的に中空空間2.3内にある。近位セクション11.1は、第1の外径を有する。その遠位には、駆動軸カバー11の第2の中央セクション11.2が、第1の直径よりも大きい第2の直径を有する。中央セクション11.2は、それを柔軟にするための1つ以上の開口部11.4を備える。遠位セクション11.3は、中央の柔軟性セクション11.2の遠位に設けられている。遠位セクション11.3は、第2の直径よりも大きい第3の直径を有し、末端部10内に延びている。それにより、遠位セクション11.3の一部は、末端部から遠のく効率的な熱伝達を可能にするために、末端部10の外側に残っている。このバージョンでは、駆動軸カバー11が単一の熱伝導ピースとして設計されているため、熱伝導性が向上している。
【0138】
図8に示すハウジング3、駆動軸4および駆動軸カバー11は、特にロータ2の遠位端部と末端部10の近位端部との間にあるセクションにおいて、カテーテル装置1の屈曲を可能にするように設計されている。駆動軸のねじれを有利に回避することができるため、カテーテル装置の動作中でも安全な屈曲が可能である。
【0139】
駆動軸カバー11は、金属、例えば35NLT(登録商標)および/またはMP35N(登録商標)、および/またはセラミック、および/またはダイヤモンド状炭素コーティングを含む。これは一体成形品から製造され、一体成形品として設計される。
【0140】
また、異なる設計の駆動軸カバーをロータ2の中空空間2.3に延ばすことも可能である。例えば、中空空間にらせん状スリーブが延びた状態で、図4a~図5bに示す駆動軸カバーのうちの1つと組み合わされたロータの中空空間を有することが可能である。この場合、らせん状スリーブの近位端部は、例えば溶接によって閉じたチューブ構造に変更することができ、例えばらせん状スリーブが極端なまたは不測の条件下でロータに接触した場合、ロータを損傷し得る鋭い縁部を避けることができる。
【0141】
図8bは、図8aと同様の構成を示すが、ロータ2の遠位に延びる駆動軸4のセクションは、図8aの場合よりも短く保たれている。これにより、駆動軸4は、駆動軸カバー11の柔軟性セクション11.2の近位で終端する。駆動軸4は、少なくとも、ハウジング3が圧縮されたときに予想される長さ3.2の変化である長さだけ、駆動軸カバー内に延びる(図7a、図7b参照)。このようにして、駆動軸カバーがロータから離れて遠位方向に移動したとき、駆動軸4は圧縮状態で駆動軸カバーから抜けない。この構成により、駆動軸カバーの大きな変形による図示されたセクションの駆動軸4の損傷は、典型的には完全に回避することができる。すると、柔軟性中央セクション11.2の可撓性は、駆動軸4の曲げ特性を考慮しなくても、開口部11.4の設計を通じて(駆動軸カバー11の材料特性と合わせて)調整することができる。
【0142】
図9aは、追加の可撓性チューブ12が駆動軸カバー11の柔軟性中央セクション11.2の周囲に設けられた図8のカテーテル装置1を示す。可撓性チューブ12は、1つ以上の開口部11.4の一部を覆うシュリンクホースとして設計されている。可撓性チューブ12は、ポリマーで作製される。可撓性チューブの厚さは、5μm~100μm、好ましくは10μm~50μmであってもよい。可撓性チューブ12は、柔軟性セクションの可撓性を変化させる。駆動軸4の損傷を回避し、カテーテル装置の安全な動作を確実にするために、可撓性チューブの厚さおよび材料、ならびにその位置および長さは、カテーテル装置1の最適な曲げ特性を得るために、可撓性ハウジング3および駆動軸の曲げ特性に応じて選択される。これにより、可撓性チューブは、駆動軸カバーと駆動軸の間に心臓組織が入るのを回避するのに役立つ。
【0143】
図9aの実施例では、可撓性チューブ12は、さらに少なくとも1つの開口部11.4の遠位部分を覆わないままにし、したがって、中空空間を通って、駆動軸カバー11の内側に沿って、覆われていない開口部11.4を通る流体経路19を提供している。これにより、駆動軸カバー11の内側(駆動軸4が配置されている場所)から外側への血液の流れが可能となる。これにより、装置の目詰まりを防止するのに役立つことができ、冷却機構としても機能することができる。
【0144】
図9bは、図9aの構成と同様の構成を示す。ただし、図9bの場合、可撓性チューブ12は、開口部11.4が設けられている駆動軸カバー11の全部分にわたって延びている。それにもかかわらず、可撓性チューブが開口部11.4を有するセクション全体に沿って延びるこの構成では、例えば可撓性チューブ12に開口部(図示せず)を設けることによって、駆動軸カバー11の内側と可撓性チューブ12の外側との間の流体連通がもたらされ得る。可撓性チューブのこのような開口部は、特定の幾何形状を有することに限定されない。一実施形態では、可撓性チューブ12の開口部は、駆動軸カバー11の1つ以上の開口部11.4の一部分または一部のみが覆われないままになるように選択される。特に、いくつかのスリットが駆動軸カバー11に設けられている場合、スリットのそれぞれを可撓性チューブ12で部分的に覆うことができる。このようにして、駆動軸カバー11の開口部11.4を介して駆動軸カバー11内に心臓組織が入るリスクを低減しながら、所望の曲げ特性および所望の量の流体連通が維持され得る。
【0145】
図9cは、可撓性チューブ12が開口部11.4の全体を覆うように延びているという意味で、図9bの構成と同様の構成を示す。このようにして、開口部11.4は最適な曲げ特性が与えられるように設計することができ、開口部11.4内への組織の吸引を防止するために設計を改める必要はない。駆動軸カバー11、柔軟性中央セクション11.2の開口部11.4の遠位、および可撓性チューブ12の遠位に設けられた追加の通気孔11.5を有することにより、図9aと同様の流体経路19が確立される。この種の構成は、柔軟性セクションの全長に沿って可撓性チューブ12を介して曲げ特性を調整できるというさらなる利点を持つことができる。これにより、可撓性チューブは完全に無傷のままであることができるが、依然として駆動軸カバー11を介した血流が可能となる。通気孔11.5は、それらが配置されている領域が硬いままである、すなわち、通気孔は、開口部11.4とは異なる設計を有することができるように設計され得る。通気孔11.5は、典型的には、特定の形状に限定されない。通気孔11.5は、意図された血流に合わせて最適化することができ、通気孔11.5への組織の吸引を回避するように最適化することができる。
【0146】
図10aは、ここでも図8のカテーテル装置1を示す。ここでは、ロータ2が、中空空間2.3を取り囲む補強要素2.4を備える。補強要素2.4は、ロータ2の材料に埋め込まれ、少なくとも中空空間2.3の全長に沿って延びる中空円筒である。具体的には、図10に示す実施例では、補強要素2.4は、中空空間2.3の約2倍の長さであり、補強要素2.4は、例えば1.8~2.2mmの長さを有する。他の可能な実施形態では、補強要素2.4は、中空空間の長さの一部だけ延びる。補強要素2.4は、動作中のロータハブ2.1の変形を防止または低減するために使用される。補強要素2.4の内面は、代替的実施形態では覆われないままであってもよい(図12参照)。補強要素2.4は、補強要素のロータ2への取り付けを良好にするために、ミクロおよび/またはマクロ構造を備えていてもよい。これらのミクロまたはマクロ構造は、例えば、アンカー構造(図10b参照)または窪みまたは穴、特にロータ2の材料が入り込むことができる貫通穴として設計することができる(図17図20参照)。穴が設けられている場合、穴は、ロータの材料が穴に入ることができるように、例えば少なくとも0.05mmの直径を有していてもよい。補強要素2.3が設けられている場合、駆動軸カバーの外側とロータ2との間にある中空空間2.3内の半径方向の隙間を小さくすることができる。補強要素2.4が設けられない場合、動作中にロータハブ2.1が楕円形になる可能性があるため、半径方向の隙間は、部品間の接触を避けるために大きくする必要があり得る。駆動軸カバー11が、ロータの圧縮中に(図7の文脈で説明したように)中空空間2.3から離れたり引き抜かれた後に、所定の位置に戻ることができるようにするために、ロータ2の圧縮直後に中空空間2.3が存在すべきである。
【0147】
図10bは、補強要素2.4を備えたカテーテル装置1を示す。補強要素2.4は、補強要素2.4の対向する2つの面に、半径方向外側に突出するマクロなアンカー要素2.5を備える。これにより、アンカー要素2.5は、ブレード2.2がロータ2のハブ2.1に取り付けられている領域に配置されている。このようにして、ハブ2.1の直径を越えて、ブレード2.2の材料内に延びるアンカー要素2.5を有することが可能である。アンカー要素2.5は、ロータブレード2.2を損傷することなく、例えば図7bに示すロータ2の圧縮(すなわち、ロータブレード2.2の折り畳み)を依然として可能にするように設計されている。本実施例では、ロータの圧縮を可能にするために、アンカー要素2.5は、ハブ2.1を例えば最大1mmまたは最大0.5mm越えてブレード2.2の中に延びている。アンカー要素2.5は、ロータ2の材料が入り込むことができる1つ以上の凹み、窪みまたはアンダーカットをさらに備えることができる。マクロな突出部は、穴および/または窪みと組み合わせることもできる。
【0148】
図9a~図9cの可撓性チューブ12と、例えば図10a~図10cに示す補強要素2.4とは、本出願によるカテーテル装置の有利な実施形態において当然組み合わせることができる。これらの実施形態は、図8bに示す短い駆動軸4にも対応している。
【0149】
図11は、中空空間2.3の周辺を詳細に示したカテーテル装置1の図を示す。詳細図では、駆動軸カバー11の近位セクション11.1が中空空間2.3に貫入していることが見てとれる。
【0150】
中空空間2.3は、0.9mm~1.1mmの長さlを有する。近位セクション11.1の中空空間への貫入深さpは、0.3mm~0.7mmであり、駆動軸カバー11の近位端部とロータ2との間に、部品間の接触を避けるためのいくらかの空間を残している。
【0151】
これにより、貫入深さpは、例えば図7aおよび図7bに示すハウジング3の延長を許容できるように選択される。特に、ハウジング3が圧縮されると、遠位ベアリング9、ひいては駆動軸カバー11が、ロータ2および駆動軸4に対して遠位方向に変位する。この変位は、例えば、長さ3.2の変化に相当する。貫入深さpは、駆動軸カバー11がロータ2から遠位方向に離れたときに、カテーテル装置の患者への挿入時にも、すなわち、圧縮状態で、駆動軸4が確実に駆動軸カバー11の内部に常に残るように、前記変位よりも大きくなるように選択される。
【0152】
典型的には、軸方向に少なくとも0.3mmおよび最大0.6mmの距離が、軸方向の隙間l-pとして部品間に与えられる。この軸方向の隙間は、ポンプの使用中に予想される曲げ荷重下でのゆとりを確保するためのものである。
【0153】
例えば、ロータ2の楕円化、すなわちロータハブ2.1の楕円化時に部品間の接触を避けるために、ロータ2の中空空間2.3を半径方向に区切る部分と駆動軸カバーの外面との間の半径方向の隙間は、0.07mm~0.13mmである。円筒状の中空空間2.3の直径dをできるだけ小さくすることが有利である。しかし、駆動軸カバー11の近位セクション11.1の内径di1に対する制約が、駆動軸4の直径により課される。したがって、駆動軸カバー11の近位セクション11.1の壁厚wは、できるだけ小さくなるように選択される。この実施例では、壁厚wは0.05mm~0.07mmである。駆動軸4の典型的な直径を考えると、上述の寸法を有するd-w-di1によって与えられる半径方向の隙間を達成するために、中空空間の直径dは、例えば、1.1mm~1.3mmであってもよい。
【0154】
これにより、近位セクション11.1の駆動軸カバーの内径di1は、駆動軸4の外径に応じて選択され、不必要な摩耗および引き裂きなしに駆動軸4の回転を可能にしながら、駆動軸4の良好な支承を提供する。
【0155】
近位セクション11.1の一部は、中空空間2.3の外側のままである。したがって、駆動軸カバー11の直径は、近位セクションの長さに応じて、ロータ2の遠位端部からある距離をおいて、例えば、ロータ2の遠位端部から少なくとも0.3mm離れたところで増大する(図13b参照)。
【0156】
図12は、中空空間の周囲に補強要素2.4を備えたカテーテル装置1のセクションの拡大図を示す。ここでは、補強要素2.4が中空空間2.3を区切っており、補強要素2.4である中空円筒の内側にロータの追加材料を持たない。補強要素は、生体適合性材料で作製される。補強要素はMP35Nおよび/またはニチノールおよび/またはステンレススチールおよび/またはセラミックを含んでもよい。補強要素は、0.04mm~0.07mmの壁厚を有する。補強要素は、ロータの材料とより良く係合するように、窪みを外側に有していてもよい。
【0157】
図13a~図13cは、駆動軸カバー11の3つの異なる図を示す。
【0158】
図13aは、斜視図を示す。最小直径を有する近位セクション11.1、増大する直径を有する中央セクション11.2、および最大直径を有する遠位セクション11.3を見てとることができる。中央セクションは、典型的に柔軟である。柔軟性は、中央セクションに開口部またはスリットを有することによってもたらされ得る(図14図16参照)。それによって、柔軟性中央セクション11.2は、ぐにゃぐにゃであるか、または柔軟性セクション11.2が変形後に元の形状を取り戻すという意味で、記憶効果を備えた可撓性であることができる。視認性を高めるために、図13a~図13cにはスリットが示されていない。スリットのない図13に示すような装置は一体成形品として提供することができ、例えばレーザを用いて駆動軸カバー11を製造するために、一体成形品にスリットを切り込むことができる。
【0159】
スリット11.4は、いわゆるハイポチューブ設計を実現するように配置され得る。そのようなハイポチューブ設計の例は、例えば、図14a~図16bに示されている。
【0160】
末端部10の内側に設けられた遠位セクションでは、窪みが駆動軸カバーの外側に設けられている。このようにして、ポリマーなどの末端部の材料が窪みに入り込み、したがって、遠位セクション11.3と特に安定した接続を形成することができる。
【0161】
図13bでは、概略側面図が示されている。各セクションの外径および長さが見える。近位セクション11.1は、0.9mm~1.1mmの第1の長さlを有する。上述のように近位セクションが中空空間2.3に0.3mm~0.7mm貫入すると、近位セクション11.1の残りの部分は中空空間2.3の外側に残る。近位セクションの長さは、中空空間の外側に残っている近位セクション11.1の残りの部分の長さが、軸方向の隙間の長さと同じになるように選択することができる。外径dは、駆動軸4の直径に応じて、例えば、0.9mm~1.1mmであってもよい。
【0162】
近位セクション11.1の遠位には、中央セクション11.2が設けられている。中央セクション11.2の外径dは、dよりも0.14mm~0.3mm大きい。中央セクション11.2の長さlは、例えば、5mm~8mmであってもよい。
【0163】
遠位セクション11.3は、5~8mmであってもよい長さl、およびdよりも大きい外径dを有する。外径dは、例えば、1.25mm~1.6mmであってもよい。さらに、遠位セクション11.3の外面には、末端部10との強固な接続のために、軸方向および円周方向の溝が実現される。
【0164】
図13cでは、駆動軸カバー11を通る断面が示されており、動作中に駆動軸4が位置する駆動軸カバー11の内部が露出している。駆動軸カバー11の近位端部の内径di1は、その遠位端部の内径di2よりも小さい。これにより、近位セクション11.1と中央セクション11.2との間で、直径が滑らかに段階的に変化し、中央セクション11.2と遠位セクション11.3とを通して、内径が一定に保たれる。di1とdi2との間の直径の差は、0.02mm~0.12mmである。異なる内径間にスムーズな移行があることにより、駆動軸の摩耗を避けるのに役立つ。
【0165】
図14aおよび図14bは、駆動軸カバー11の異なる図を示しており、駆動軸カバー11は、柔軟性中央セクション11.2を有している。
【0166】
図14aは、斜視図を示す。らせん状のスリットとして設計された開口部11.4は、本質的に中央セクション11.2の全長にわたって延びる。スリットは、中央セクション11.2の残りの材料がらせん状スリーブを形成するように、駆動軸カバー11の内側と駆動軸カバー11の外側とをつなぐ。
【0167】
図14bは、対応する側面図を示す。らせん状のスリットは、例えば0.005mm~0.2mm、好ましくは0.025mm~0.1mmの幅sを有することができる。スリットの幅sは、所望の曲げ特性を得るために調整してもよい。また、スリットの幅sは、スリット内を血液が循環できるように選択してもよい。スリットの縁部は、駆動軸、組織、または可撓性チューブの摩耗を避けるために丸みを帯びていてもよい。
【0168】
らせんのピッチも、所望の曲げ特性に応じて選択することができる。したがって、ピッチは、らせんの長さに沿って変化でき、らせんの遠位端部における第1の長さpに関連する第1のピッチと、らせんの近位端部における第2の長さpに関連する第2のピッチとを有し、pは例えばpよりも大きい。駆動軸カバーの実施形態では、ピッチは一定に保たれていてもよい。
【0169】
ピッチは、例えば、0.5mm~0.8mmであり得る。
【0170】
スリットは、レーザを用いて駆動軸カバー11に切り込むことができる。
【0171】
図15aおよび図15bは、図14aおよび図14bと同じ図を示すが、スリットの配置が異なる。図15の場合、柔軟性中央セクション11.2の接線方向に延びるいくつかのスリットが設けられている。実際には、スリットの経路には軸方向成分がなく、すなわち、ピッチなしで円周方向に走っている。しかし、軸方向成分を有する多数のスリットを設けることが可能である。
【0172】
図15に示す構成では、いくつかの組のスリットが中央セクション11.2に設けられ、各組のスリットは、中央セクション11.2の同じ高さに配置され、中央セクションをほぼ半周する2つのスリットを含み、対向する側面に2つのブリッジmを残し、各ブリッジmは、例えば0.05mm~0.2mmの間の幅を有する。スリットの対は、互いに距離rを置いて配置される。
【0173】
一実施形態では、図15のように配置されたスリットの幅は、図14に示すスリットの幅と同じである。しかし、円周方向に配置されているため、スリットは、図14に示すスリットよりも幅広であってもよい。スリットの対は、互いから0.3mm~1mmの間隔で配置され、スリットの対のブリッジmは、スリットの対ごとに異なる角度で配置される。図15の場合、スリットの第1の対では0°および180°、スリットの第2の対では90°および270°など、交互に配置されている。
【0174】
スリットの幅sはらせん状スリットの場合と同じであってもよく、レーザを使って切り込まれてもよい。
【0175】
図15bに示すように、スリット間の材料の幅に対応するスリット間の距離rは、一実施形態では、スリットの幅sよりも大きくてもよい。しかし、スリット間の幅rの材料の変形を通じて、柔軟性中央セクション11.2の屈曲が可能であるように、スリット間の距離rを小さく、例示的実施形態では、スリットの幅よりもさらに小さくすることも可能である。
【0176】
特に、スリット間の幅rの材料を変形させることができるこの種の構成では、同じ高さに3つ以上のスリットを配置することも可能であり、例えば、同じ高さに3つのスリットを配置し、各スリットは円周の3分の1未満にわたり、この場合、例えば、上述する幅の3つのブリッジを有する。この場合、ブリッジの変形ではなく、スリット間の幅rの材料の変形により、柔軟性セクションの屈曲が可能となり得る。もちろん、4つ以上のスリットおよび4つ以上のブリッジ、例えば4つのスリットおよび4つのブリッジを有することも可能である。
【0177】
図16aは、いくつかの開口部11.4を有する柔軟性中央セクション11.2を備えた駆動軸カバー11の斜視図を示す。開口部11.4は、接線方向成分および軸方向成分を有するスリットとして設計される。すべてのスリットは同じピッチを有する。スリットは絡み合ったらせん状セクションであり、各スリットは中央セクションの周囲を240°だけ延び、各スリットは両端部に貫通孔を有する。各々の場合、駆動軸カバーの円周上には、上述した種類の3つのスリットが、互いから120°を起点として同じ高さに設けられる。スリットの幅sは図14および図15の場合と同じであってもよい。各スリットの両端部に設けられた貫通孔は、強い変形時に駆動軸カバーの引き裂きまたは破れを防止するために最適であり得る幾何形状の断面を有する。それらは、例えば、円形または雫形であってもよい。それらは、スリットの幅よりも大きな直径または縁部長を有していてもよく、特にそれらは、例えば0.05mm~2mmの直径または縁部長を有していてもよい。
【0178】
図16bは、駆動軸カバー11の柔軟性中央セクション11.2の一部を示す。これにより、スリット11.4は駆動軸カバーの全周に延び、いくつかのリングまたはセグメントになっている。この設計は、レーザカットの幅の制約の中で、完全な柔軟性を可能にする。図には2つのセグメントが示されている。この断面構造は、軸方向に所定の距離を置いて繰り返すことができ、その結果、示されている種類のセグメントがさらに増える。セグメントは、アンダーカット設計によって一緒に結合される。すなわち、左側のセグメントは凹みを有し、右側のセグメントは左側のセグメントの凹みの中にある突出部を有し、ジグソーパズルのピースと同様に2つのセグメントをつなげている。この種の凹みおよび突出部のいくつかの対がセグメントの円周上に配置されているため、セグメントは互いに対して移動しても外れないようになっている。例えば、少なくとも2つの凹みおよび突出部の対、または少なくとも3つの凹みおよび突出部の対、または少なくとも4つの凹みおよび突出部の対が設けられる。セグメントが前記のようにつながっているが、セグメント間に材料ブリッジは設けられない。
【0179】
スリット11.4は、2つのセグメントの間に遊びを与えるのに十分に幅広であり、セクションを柔軟性にし、より具体的にはセクションをぐにゃぐにゃにする。セクションは、スリット11.4によって与えられる遊びによって制限される最小曲げ半径を有する、すなわち、セグメントが当接するまで、ある程度までしか屈曲できない。
【0180】
駆動軸カバーが屈曲された後に真っ直ぐにするための復元力は、例えば、駆動軸カバー11の柔軟性セクション11.2の周囲に可撓性チューブ12を設けることによってもたらされ得る。
【0181】
図17図20は、補強要素2.4の異なる実施形態を示しており、それぞれの場合に、図a)に表示される側面図および図b)に表示される斜視図を示す。
【0182】
図17図20に示すすべての補強要素2.4は、ロータ2の中空空間2.3の長さに応じて選択される長さlを有していてもよい。長さlは、例えば中空空間2.3の長さの2倍、例えば1.8mm~2.2mmであってもよい。
【0183】
補強要素2.4は、生体適合性材料で作製されてもよい。補強要素2.4は、MP35N、35NLT、ニチノール、ステンレススチール(特に医療グレードのステンレススチール)、およびセラミックのうちの1つ以上を含んでいてもよい。
【0184】
補強要素2.4の内径disは、図17図20に示す各実施形態の場合、少なくとも中空空間2.3の直径に合わせて選択されてもよい。
【0185】
外径dosは、ロータのハブ2.1の外径よりも小さくなるように選択されてもよい。
【0186】
補強要素の壁厚は、それぞれの場合において、例えば、少なくとも0.03mm、好ましくは少なくとも0.04mmおよび/または最大0.08mm、好ましくは最大0.07mmであってもよい。
【0187】
図17aおよび図17bの場合、補強要素はチューブとして設計されており、補強要素の一端近傍に貫通孔を有する。貫通孔は、中空空間2.3の近位にあるロータのセクションに設けられてもよく、貫通孔のない補強要素2.4の部分は、中空空間2.3に沿って延び、特に中空空間を区切っている。すなわち、この場合、貫通孔のない部分の内側が露出したままであってもよい(図12参照)。この場合、disは中空空間2.3の直径と等しい。
【0188】
中空空間2.3の近位に延び得る貫通孔を有するセクションは、ロータの材料によって完全に取り囲まれ得る。ロータの材料は、貫通孔に入り込むことができ、ロータ2と補強要素2.4との間の特に確実な接続を可能にする。貫通孔の断面は円形である。しかし、この特定の幾何形状に限定されない。穴または窪みの断面は円形または多角形であってもよい。穴は、0.03mm~0.5mmの直径を有する。
【0189】
図18aおよび図18bは、補強要素2.4の一実施形態を示し、貫通孔は補強要素2.4の全長に沿って設けられている。この場合、disは、例えば、中空空間2.3の直径よりも大きくなるように選択され得る。すると、補強要素2.3は、ロータ2の材料またはロータハブ2.1によって完全に取り囲まれ得る。すなわち、ロータのハブ2.1に係る材料の薄い層を、中空空間2.3の領域における補強要素2.4の内側に設けることができる(図10参照)。このようにして、補強要素2.4は露出していない。穴は、0.3mm~0.5mmの直径を有する。
【0190】
図19aおよび図19bは、図17に示したものと同様の補強要素2.4の実施形態を示し、すなわち、例えば図10に示した構成で使用するのに好適である。しかし、図19の補強要素2.4に設けられた貫通孔は、より小さく、0.02mm~0.1mmの直径を有する。
【0191】
図20aおよび図20bは、補強要素2.4の一実施形態を示し、補強要素はステント様構造として設計される。ステント様構造は、3つのリングを備え、各端部に1つずつ、中央に1つ設けられている。
【0192】
本出願は、さらに以下の態様に関する。
1.カテーテル装置1であって、
カテーテル装置1の遠位端部領域8に配置されたロータ2、2’と、
カテーテル装置1の駆動領域16からカテーテル装置1の遠位端部領域8まで延びる駆動軸4と、
駆動軸4の遠位端部を支承する遠位ベアリング9と、
を備え、
遠位ベアリング9は、遠位ベアリングから遠のく熱伝達を可能にするように構成された熱伝導部13を備えることを特徴とする、カテーテル装置1。
2.態様1に記載のカテーテル装置であって、熱伝導部13が、駆動軸を取り囲むチューブとして設計されることを特徴とする、カテーテル装置。
3.態様1または2に記載のカテーテル装置1であって、駆動軸4は、駆動軸の軸方向に延びる空洞を備え、駆動軸は、駆動軸の空洞の周囲をらせん状に走る複数の同軸巻線を備え、異なる同軸層内の巻線は反対の巻線方向を有し、駆動軸の外径は約0.4mm~約2mmの範囲にあり、好ましくは、遠位端部領域の駆動軸4の空洞内に部分的に設けられている補強要素を備えることを特徴とする、カテーテル装置1。
4.態様1~3のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、熱伝導部13は、遠位ベアリング9から、流体と接触するように構成された領域に延び、遠位ベアリング9から流体への熱伝達を可能にすることを特徴とする、カテーテル装置1。
5.態様1~4のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、遠位ベアリング9は、ポリマー末端部10を備えるか、または遠位ベアリング9は、ピグテイル10.2として設計された領域を含むポリマー末端部を備えることを特徴とする、カテーテル装置1。
6.態様1~5のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、熱伝導部13が、医療グレードのステンレススチール、好ましくは1.4441ステンレススチールで作製されることを特徴とする、カテーテル装置1。
7.態様1~6のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、チューブとして設計された熱伝導部13の内径は0.5mm~2.6mmであること、および/または熱伝導部13は0.05mm~0.5mmの厚さを有することを特徴とする、カテーテル装置1。
8.態様1~7のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14が、少なくとも部分的にチューブとして設計された熱伝導部13内にあるように、および/またはらせん状スリーブ14の一部が熱伝導部13の内面13’の一部と直接接触するように、駆動軸4の遠位端部をらせん状スリーブ14内に回転可能に設置するために、巻線を有するらせん状スリーブ14が遠位ベアリング9内に配置されることを特徴とする、カテーテル装置1。
9.態様1~8のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14の一部および熱伝導部13の一部が、らせん状スリーブの外側の一部の周囲に設けられた薄い可撓性チューブ12、12’によってのみ分離されるように、駆動軸4の遠位端部をらせん状スリーブ14内に回転可能に設置するために、巻線を有するらせん状スリーブ14が遠位ベアリング9内に配置され、可撓性チューブ12、12’は、好ましくはシュリンクホースとして設計されることを特徴とする、カテーテル装置1。
10.態様8または9に記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14は、平坦なテープ14.1で作製されることを特徴とする、カテーテル装置1。
11.態様1~10のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、熱伝導部13の外面13”の流体と接触するように構成された部分は平滑であり、好ましくはR≦1.2μmの十点平均粗さを有する、熱伝導部13の内面13’は、らせん状スリーブ14を熱伝導部13の内面13’に接着するのを容易にするために粗く、熱伝導部またはチューブ13の内面13’は、好ましくはR≧0.8μmの算術平均表面粗さを有することを特徴とする、カテーテル装置1。
12.態様11に記載のカテーテル装置1であって、熱伝導部またはチューブ13の外面13”の、ポリマー末端部10の内側にあるように構成されたさらなる部分が粗面化され、好ましくはR≧0.8μmの算術平均表面粗さを有することを特徴とする、カテーテル装置1。
13.態様8~12のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14の両端部が正面研削され、両端部のすべての縁部が丸みを帯びた滑らかなものであり、好ましくはR≦2μmの十点平均粗さを有することを特徴とする、カテーテル装置1。
14.態様8~13のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14の内径は0.4mm~2.1mmであること、およびらせん状スリーブの厚さは0.05mm~0.4mmであることを特徴とする、カテーテル装置1。
15.態様8~14のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、ロータ2および駆動軸4は、カテーテル装置1を流体に接触させた場合に近位方向の流体の流れが生じるように回転方向4.1に回転するように構成され、駆動軸に沿って駆動軸の遠位端部に向かって見たときに、らせん状スリーブ14の近位端部かららせん状スリーブ14の遠位端部までのらせん状スリーブ14の巻線方向は、駆動軸4に沿って駆動軸4の遠位端部に向かって見たときに、ロータ2および駆動軸4の回転方向4.1と反対方向であることを特徴とする、カテーテル装置1。
16.態様8~15のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14は、MP35N(登録商標)、35NLT(登録商標)、またはセラミックで作製されることを特徴とする、カテーテル装置1。
17.拡張可能なポンプとして設計された、態様1~16のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、カニューレ15が、ロータ2の近傍にある駆動軸の部分の周囲に設けられること、およびロータ2がハウジング3内に配置され、ハウジング3およびロータ2は、少なくとも部分的にカニューレ15内に移動するように構成され、ハウジング3およびロータ2は、少なくとも、長手方向を横切って延びる半径方向に沿って、拡張状態から圧縮状態に圧縮されることを特徴とする、カテーテル装置1。
18.態様17に記載のカテーテル装置1であって、カテーテルの近位端部における力の印加および/またはハウジング3およびロータ2の圧縮時に、遠位ベアリング9に対する駆動軸4の相対移動が生じ、駆動軸4および遠位ベアリング9は、ハウジング3およびロータ2が圧縮されたときに、駆動軸4の遠位端部が遠位ベアリング9内、またはチューブとして設計された熱伝導部13内、またはらせん状スリーブ14内に留まるように構成されることを特徴とする、カテーテル装置1。
19.態様1~18のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、ロータ2に係るハブ2.1は、カテーテル装置の遠位端部に向かって、ロータブレード2.2を0.5mm未満、好ましくは0.1mm未満越えて延びていることを特徴とする、カテーテル装置1。
20.カテーテル装置1であって、
カテーテル装置1の遠位端部領域に配置されたロータ2と、
カテーテル装置1の駆動領域16からカテーテル装置の遠位端部領域8まで延びる駆動軸4と、
駆動軸の遠位端部を支承する遠位ベアリング9と
を備え
遠位ベアリング9が、駆動軸4の遠位端部をらせん状スリーブ14内に回転可能に設置するように構成された、巻線を有するらせん状スリーブ14を備えることを特徴とする、カテーテル装置1。
21.態様20に記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14は、平坦なテープ14.1で作製されることを特徴とする、カテーテル装置1。
22.態様20または21に記載のカテーテル装置1であって、駆動軸4は、駆動軸4の軸方向に延びる空洞を備え、駆動軸4は、駆動軸4の空洞の周囲をらせん状に走る複数の同軸巻線を備え、異なる同軸層内の巻線は反対の巻線方向を有すること、および駆動軸の外径は約0.4mm~約2mmの範囲にあり、好ましくは、遠位端部領域の駆動軸4の空洞内に部分的に設けられている補強要素を備えることを特徴とする、カテーテル装置1。
23.態様20~22のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14の両端部が正面研削され、両端部のすべての縁部が丸みを帯びた滑らかなものであり、好ましくはR≦2μmの十点平均粗さを有することを特徴とする、カテーテル装置1。
24.態様20~23のいずれか1つに記載のカテーテル装置であって、可撓性チューブ12、12’がらせん状スリーブの外側の一部の周囲に設けられ、可撓性チューブが好ましくはシュリンクホースとして設計されることを特徴とする、カテーテル装置。
25.態様20~24のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、ロータ2および駆動軸4は、カテーテル装置1を流体に接触させた場合に近位に向かう流体の流れが生じるように回転方向4.1に回転するように構成され、駆動軸4に沿って駆動軸の遠位端部に向かって見たときに、らせん状スリーブ14の近位端部かららせん状スリーブ14の遠位端部までのらせん状スリーブ14の巻線方向は、駆動軸に沿って駆動軸の遠位端部に向かって見たときに、ロータ2および駆動軸4の回転方向4.1と反対方向であることを特徴とする、カテーテル装置1。
26.態様20~25のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14は、MP35N(登録商標)、35NLT(登録商標)、またはセラミックで作製されることを特徴とする、カテーテル装置1。
27.態様20~26のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14の内径は0.4mm~2.1mmであること、およびらせん状スリーブは0.05mm~0.4mmの厚さを有することを特徴とする、カテーテル装置1。
28.態様20~27のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、らせん状スリーブ14および/または可撓性チューブ12、12’は、少なくとも部分的に熱伝導部13と接触しており、熱伝導部13は、遠位ベアリング9および/またはらせん状スリーブ14から遠のく熱伝達を可能にするように構成されたことを特徴とする、カテーテル装置1。
29.態様28に記載のカテーテル装置であって、熱伝導部13が、らせん状スリーブ14の一部を取り囲むチューブとして設計されることを特徴とする、カテーテル装置。
30.態様28または29に記載のカテーテル装置であって、熱伝導部またはチューブ13は、遠位ベアリングから、流体と接触するように構成された領域に延び、遠位ベアリング9から流体への熱伝達を可能にすることを特徴とする、カテーテル装置。
31.態様20~30のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、遠位ベアリング9は、ポリマー末端部10を備えるか、または遠位ベアリング9は、ピグテイル10.2として設計された領域を含むポリマー末端部を備えることを特徴とする、カテーテル装置1。
32.態様28~31のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、熱伝導部13の外面13”の流体と接触するように構成された部分は平滑であり、好ましくはR≦1.2μmの十点平均粗さを有し、熱伝導部13の内面13’は、らせん状スリーブ14を熱伝導部13の内面13’に接着するのを容易にするために粗く、熱伝導部またはチューブ13の内面13’は、好ましくはR≧0.8μmの算術平均表面粗さを有することを特徴とする、カテーテル装置1。
33.態様32に記載のカテーテル装置であって、熱伝導部またはチューブ13の外面13”の、ポリマー末端部の内側にあるように構成されたさらなる部分が粗面化され、好ましくはR≧0.8μmの算術平均表面粗さを有することを特徴とする、カテーテル装置。
34.態様28~33のいずれか1つに記載のカテーテル装置であって、チューブとして設計された熱伝導部13の内径は0.5mm~2.6mmであること、および/または熱伝導部は0.05mm~0.5mmの厚さを有することを特徴とする、カテーテル装置。
35.態様28~34のいずれか1つに記載のカテーテル装置であって、熱伝導部13が、医療グレードのステンレススチール、好ましくは1.4441ステンレススチールで作製されることを特徴とする、カテーテル装置。
36.拡張可能なポンプとして設計された、態様20~35のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、カニューレは、駆動軸4の、ロータ2の近傍にある部分の周囲に設けられること、ならびにロータ2がハウジング3内に配置され、ハウジング3およびロータ2は、少なくとも部分的にカニューレ15内に移動するように構成され、ハウジング3およびロータ2は、少なくとも、長手方向を横切って延びる半径方向に沿って、拡張状態から圧縮状態に圧縮されることを特徴とする、カテーテル装置1。
37.態様20~36のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、カテーテルの近位端部における力の印加および/またはハウジングおよびロータの圧縮時に、遠位ベアリング9に対する駆動軸4の相対移動が生じ、駆動軸および遠位ベアリングは、ハウジング3およびロータ2が圧縮されたときに、駆動軸の遠位端部がらせん状スリーブ14内に留まるように構成されることを特徴とする、カテーテル装置1。
38.態様20~37のいずれか1つに記載のカテーテル装置1であって、ロータ2に係るハブ2.1は、カテーテル装置の遠位端部に向かって、ロータブレード2.2を0.5mm未満、好ましくは0.1mm未満越えて延びていることを特徴とする、カテーテル装置1。
39.カテーテル装置1であって、
カテーテル装置1の遠位端部領域に配置されたロータ2と、
カテーテル装置1の駆動領域16からカテーテル装置の遠位端部領域8まで延びる駆動軸4と、
駆動軸の遠位端部を支承する遠位ベアリング9と
を備え、
遠位ベアリング9が、駆動軸4の遠位端部をらせん状スリーブ14内に回転可能に設置するように構成された、巻線を有するらせん状スリーブ14を備え、
らせん状スリーブ14またはらせん状スリーブの外側の部分の周囲に設けられた可撓性チューブ12、12’は、少なくとも部分的に熱伝導部13と接触しており、熱伝導部13は、遠位ベアリング9および/またはらせん状スリーブ14から遠のく熱伝達を可能にするように構成されたことを特徴とする、カテーテル装置1。
【符号の説明】
【0193】
1 カテーテル装置、 2 ロータ、 2’ ロータ(圧縮状態)、 2.1 ハブ、 2.2 ロータブレード、 2.3 中空空間、 2.4 補強要素、 2.5 アンカー要素、 3 ハウジング、 3’ ハウジング(圧縮状態)、 3.1 ハウジングの長さ、 3.1’ ハウジングの長さ(圧縮状態)、 3.2 ハウジングの長さの変化、 4 駆動軸、 4.1 駆動軸の回転方向、 5 柔軟性シース、 6 下流管類、 6.1 下流開口部、 8 遠位端部領域、 9 遠位ベアリング、 10 末端部、 10.1 ポリマー末端部の細長い部分、 10.2 ピグテイル、 11 駆動軸カバー、 11.1 近位セクション、 11.2 中央セクション、 11.3 遠位セクション、 11.4 開口部、 11.5 通気孔、 12 可撓性チューブ、 12’ 可撓性チューブ(外部構成)、 12” 可撓性チューブ(内部構成)、 13 熱伝導部、 13’ 熱伝導部の内面、 13” 熱伝導部の外面、 14 らせん状スリーブ、 14.1 平坦なテープ、 14.2 らせん状スリーブの巻線、 15 カニューレ、 16 駆動領域、 17 モータ、 18.1 心臓、 18.2 大動脈、 18.3 左心室、 18.4 大動脈弁、 19 流体経路
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図14a
図14b
図15a
図15b
図16a
図16b
図17a
図17b
図18a
図18b
図19a
図19b
図20a
図20b
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル装置(1)であって、
- 前記カテーテル装置(1)の駆動領域(16)から前記カテーテル装置(1)の遠位端部領域(8)まで延びる駆動軸(4)と、
前記駆動軸(4)と一緒に回転できるように、前記遠位端部領域(8)において前記駆動軸(4)に取り付けられているロータ(2)と、
- 前記駆動軸(4)の遠位端部を支承し、駆動軸カバー(11)を備える遠位ベアリング(9)であって、前記駆動軸カバー(11)は前記駆動軸(4)のセクションを覆うように構成され、前記セクションは前記ロータ(2)の遠位に延びる、遠位ベアリング(9)と、を備えること
を特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテル装置(1)であって、
前記遠位ベアリング(9)が末端部(10)を備え、
前記駆動軸カバー(11)が、前記ロータ(2)と前記末端部(10)の間に存在する前記駆動軸のセクションに設けられること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項3】
請求項2に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)が、前記ロータ(2)と前記末端部(10)の間に存在する前記駆動軸の前記セクション全体に沿って延びること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項4】
請求項2または3に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)が前記末端部(10)へと延びること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、
前記駆動軸カバー(11)の内径および/または外径が、前記駆動軸カバー(11)の長さに沿って変化し、
前記駆動軸カバー(11)は、特に、外径の異なる2つまたは3つの円筒形セクションを有すること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、
前記駆動軸カバー(11)の内径は、前記駆動軸カバー(11)の近位端部において、前記駆動軸カバー(11)の遠位端部における内径に対して縮小され、前記内径は、好ましくは、少なくとも0.02mmおよび/または最大0.12mm縮小されること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)は、柔軟性セクション(11.2)を備え、前記柔軟性セクション(11.2)は、好ましくは、前記ロータ(2)の遠位端部と前記遠位ベアリング(9)の末端部(10)の近位端部との間に配置されることを特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項8】
請求項7に記載のカテーテル装置(1)であって、前記駆動軸カバー(11)は、最小の外径を有する近位セクション(11.1)と、増大する外径を有し、前記柔軟性セクション(11.2)である中央セクション(11.2)と、最大の外径を有する遠位セクション(11.3)と、を有すること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項9】
請求項7または8に記載のカテーテル装置(1)であって、前記柔軟性セクション(11.2)は、前記柔軟性セクション(11.2)における前記駆動軸カバー(11)に少なくとも1つの開口部(11.4)を有することによって提供されること、
を特徴とする、カテーテル装置(1)。
【請求項10】
請求項9に記載のカテーテル装置(1)であって、前記少なくとも1つの開口部(11.4)は、前記駆動軸カバー(11)の内側と前記駆動軸カバー(11)の外側とをつなぐ貫通開口部であること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項11】
請求項10に記載のカテーテル装置(1)であって、前記少なくとも1つの開口部(11.4)は1つ以上のスリットを備え、前記1つ以上のスリットが、好ましくは、接線方向成分を持つ経路を有すること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項12】
請求項11に記載のカテーテル装置(11)であって、前記1つ以上のスリットの一端又は両端に穴が設けられ、前記穴は、自身が位置するスリットの幅よりも大きい直径を有すること、を特徴とするカテーテル装置(11)。
【請求項13】
請求項11に記載のカテーテル装置(11)であって、
前記スリットは、前記駆動軸カバー(11)を完全に取り囲む閉じた経路を有し、前記経路によって前記駆動軸カバーが複数のセグメントに分断され、
前記複数のセグメントは、好ましくは、1つのセグメントの突出部が隣のセグメントの凹み内に位置することによって互いに接続されること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項14】
請求項7~13のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記柔軟性セクションがハイポチューブとして設計されること、を特徴とするカテーテル装置(1)。
【請求項15】
請求項7~14のいずれか1項に記載のカテーテル装置(1)であって、前記柔軟性セクション(11.2)がぐにゃぐにゃしていること、を特徴とするカテーテル装置(1)。