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  • 特開-X線分析装置 図1
  • 特開-X線分析装置 図2
  • 特開-X線分析装置 図3
  • 特開-X線分析装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107407
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】X線分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/223 20060101AFI20240801BHJP
   G01N 23/2204 20180101ALI20240801BHJP
【FI】
G01N23/223
G01N23/2204
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024095686
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2022532907の分割
【原出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森久 祐司
(72)【発明者】
【氏名】タンタラカーン クリアンカモル
(72)【発明者】
【氏名】小林 寛治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 桂次郎
(57)【要約】
【課題】試料の載置部からの落下を抑制可能なX線分析装置を提供すること。
【解決手段】試料Sを収容する試料容器10と、試料容器10を載置可能な載置部24と、試料Sに対して載置部24の下方からX線を照射するX線照射源と、試料Sから発生する蛍光X線を載置部の下方で検出する検出器と、載置部24に載置されており、試料容器10を収容するホルダー50と、を備え、載置部24には、開口部24hが設けられており、試料容器10は、試料Sを包囲するとともに下方に開口する形状を有する容器本体12と、容器本体12の開口を閉塞するとともに試料Sを支持する容器フィルム14と、を有し、ホルダー50は、開口部24hよりも大きな外形を有しかつ試料容器10を包囲するとともに、下方に開口する形状を有する包囲筒52と、包囲筒52の開口を閉塞するホルダーフィルム54と、を有する、X線分析装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容する試料容器と、
前記試料容器を載置可能な載置部と、
前記試料容器内の前記試料に対して前記載置部の下方からX線を照射するX線照射源と、
前記試料から発生する蛍光X線を前記載置部の下方で検出する検出器と、
前記載置部に載置されており、前記試料容器を収容するホルダーと、を備え、
前記載置部には、前記X線照射源から照射されたX線を通過させるための開口部が設けられており、
前記試料容器は、
前記試料を包囲するとともに下方に開口する形状を有する容器本体と、
前記容器本体の開口を閉塞するとともに前記試料を支持する容器フィルムと、を有し、
前記ホルダーは、
前記開口部よりも大きな外形を有しかつ前記試料容器を包囲するとともに、下方に開口する形状を有する包囲筒と、
前記包囲筒の開口を閉塞するホルダーフィルムと、を有し、
前記容器フィルムは、前記ホルダーフィルムと接触している、X線分析装置。
【請求項2】
前記ホルダーフィルムは、前記包囲筒の下端部に溶着されている、請求項1に記載のX線分析装置。
【請求項3】
前記ホルダーは、前記包囲筒の周囲に取り付けられた挟持リングをさらに有し、
前記挟持リングは、当該挟持リングの内周面と前記包囲筒の外周面との間に前記ホルダーフィルムの縁部を挟持している、請求項1に記載のX線分析装置。
【請求項4】
前記包囲筒の内周面は、前記載置部に近づくにしたがって次第に縮径し、
前記包囲筒の高さは、前記試料容器の高さよりも大きい、請求項1から3のいずれかに記載のX線分析装置。
【請求項5】
前記容器本体の外形は、前記開口部よりも大きい、請求項1から4のいずれかに記載のX線分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、X線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線を照射された試料から発生する蛍光X線を分析するX線分析装置が知られている。例えば、特開2018-63196号公報には、試料を載置可能な載置部を有する筐体部と、載置部に設けられた開口部を通じて試料にX線を照射するX線管球と、試料から発生する蛍光X線を検出する検出器と、を備えるX線分析装置が開示されている。X線管球及び検出器は、載置部の下方に配置されている。試料は、フィルムを介して載置部に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-63196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2018-63196号公報に記載されるようなX線分析装置では、フィルムの破損等によって試料の一部が開口部を通じて落下し、それが検出器に付着する場合がある。この場合、分析精度が低下する懸念がある。
【0005】
本発明の目的は、試料の載置部からの落下を抑制可能なX線分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、試料を収容する試料容器と、前記試料容器を載置可能な載置部と、前記試料容器内の前記試料に対して前記載置部の下方からX線を照射するX線照射源と、前記試料から発生する蛍光X線を前記載置部の下方で検出する検出器と、前記載置部に載置されており、前記試料容器を収容するホルダーと、を備え、前記載置部には、前記X線照射源から照射されたX線を通過させるための開口部が設けられており、前記試料容器は、前記試料を包囲するとともに下方に開口する形状を有する容器本体と、前記容器本体の開口を閉塞するとともに前記試料を支持する容器フィルムと、を有し、前記ホルダーは、前記開口部よりも大きな外形を有しかつ前記試料容器を包囲するとともに、下方に開口する形状を有する包囲筒と、前記包囲筒の開口を閉塞するホルダーフィルムと、を有する、X線分析装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
このX線分析装置では、試料を支持する容器フィルムの下方にさらにホルダーフィルムが配置されているため、容器フィルムが破損等した場合においても、試料の載置部からの落下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態のX線分析装置の構成を概略的に示す図である。
図2】試料容器及びホルダーの近傍の拡大図である。
図3】ホルダーの変形例を概略的に示す断面図である。
図4】試料容器の変形例を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態のX線分析装置の構成を概略的に示す図である。図1に示されるように、X線分析装置1は、試料容器10と、ケース20と、X線照射源30と、検出器40と、ホルダー50と、を備えている。
【0011】
試料容器10は、試料Sを収容する容器である。図2に示されるように、試料容器10は、容器本体12と、容器フィルム14と、を有している。
【0012】
容器本体12は、試料Sを包囲するとともに下方に開口する形状を有している。容器本体12は、例えば、ポリプロピレン(PP)からなる。
【0013】
容器フィルム14は、容器本体12の開口12a(図2を参照)を閉塞するとともに、試料Sを支持している。本実施形態では、容器フィルム14は、ポリプロピレンからなる。容器フィルム14は、容器本体12の下端部に溶着されている。なお、容器フィルム14は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等で形成されてもよい。
【0014】
ケース20は、試料容器10等を収容している。ケース20は、金属からなる。図1に示されるように、ケース20は、収容部22と、載置部24と、蓋部26と、を有している。
【0015】
収容部22は、ケース20の下部で構成されている。収容部22は、X線照射源30及び検出器40を収容している。収容部22は、上方に開口する形状を有している。
【0016】
載置部24は、収容部22の上端部に接続されている。載置部24は、試料容器10が載置される部位である。載置部24には、X線照射源30から照射されるX線を通過させるための開口部24hが設けられている。開口部24hは、容器本体12の外形よりも小さく設定される。換言すれば、容器本体12の外形は、開口部24hよりも大きい。
【0017】
蓋部26は、試料容器10を包囲している。蓋部26の下端部は、載置部24の外縁部に接続されている。
【0018】
X線照射源30は、収容部22に収容されている。X線照射源30は、試料容器10内に配置された試料Sに対して載置部24の下方からX線を照射する。X線照射源30として、例えば、X線管球が挙げられる。
【0019】
検出器40は、収容部22に収容されている。検出器40は、X線照射源30から照射されたX線を受けた試料Sから発生する蛍光X線を載置部24の下方で検出する。試料Sの分析精度を高める観点から、検出器40は、開口部24hの近傍に配置されることが好ましい。
【0020】
ホルダー50は、載置部24に載置されており、試料容器10を収容している。ホルダー50は、載置部24から取外し可能に構成されている。図2に示されるように、ホルダー50は、包囲筒52と、ホルダーフィルム54と、を有している。
【0021】
包囲筒52は、開口部24hよりも大きな外形を有している。包囲筒52は、試料容器10を包囲するとともに、下方に開口する形状を有している。本実施形態では、包囲筒52は、円筒状に形成されている。包囲筒52は、例えば、ポリプロピレンからなる。包囲筒52の高さは、試料容器10の高さよりも大きい。包囲筒52は、図示略の位置決め機構によって、開口部24hに対する位置が決定されている。包囲筒52の内周面52Sは、載置部24に近づくにしたがって次第に縮径していてもよい。このようにすれば、包囲筒52の上方から包囲筒52内に試料容器10を配置する際に試料容器10が所定の位置に案内される。
【0022】
ホルダーフィルム54は、包囲筒52の開口52a(図2を参照)を閉塞している。つまり、開口部24hの上方には、2枚のフィルム(容器フィルム14及びホルダーフィルム54)が積層されている。ホルダーフィルム54は、例えば、ポリプロピレンからなる。ホルダーフィルム54は、包囲筒52の下端部に溶着されている。ホルダーフィルム54の厚みは、容器フィルム14の厚みと同程度である。例えば、ホルダーフィルム54の厚みは、容器フィルム14の厚みの0.5倍以上2倍以下に設定されることが好ましい。なお、ホルダーフィルム54は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等で形成されてもよい。
【0023】
以上に説明したように、本実施形態のX線分析装置1では、試料Sを支持する容器フィルム14の下方にさらにホルダーフィルム54が配置されているため、容器フィルム14が破損等した場合においても、試料Sの載置部24からの落下が抑制される。このため、検出器40の汚れ等が抑制される。
【0024】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0025】
例えば、図3に示されるように、ホルダー50は、挟持リング56をさらに有していてもよい。この例では、ホルダーフィルム54の外形は、包囲筒52の外形よりも大きく設定されている。挟持リング56は、当該挟持リング56の内周面と包囲筒52の外周面との間にホルダーフィルム54の縁部を挟持している。
【0026】
また、図4に示されるように、試料容器10は、挟持リング16をさらに有していてもよい。この例では、容器フィルム14の外形は、容器本体12の外形よりも大きく設定されている。挟持リング16は、当該挟持リング16の内周面と容器本体12の外周面との間に容器フィルム14の縁部を挟持している。
【0027】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0028】
(第1項)一態様に係る前記X線分析装置は、試料を収容する試料容器と、前記試料容器を載置可能な載置部と、前記試料容器内の前記試料に対して前記載置部の下方からX線を照射するX線照射源と、前記試料から発生する蛍光X線を前記載置部の下方で検出する検出器と、前記載置部に載置されており、前記試料容器を収容するホルダーと、を備え、前記載置部には、前記X線照射源から照射されたX線を通過させるための開口部が設けられており、前記試料容器は、前記試料を包囲するとともに下方に開口する形状を有する容器本体と、前記容器本体の開口を閉塞するとともに前記試料を支持する容器フィルムと、を有し、前記ホルダーは、前記開口部よりも大きな外形を有しかつ前記試料容器を包囲するとともに、下方に開口する形状を有する包囲筒と、前記包囲筒の開口を閉塞するホルダーフィルムと、を有する。
【0029】
このX線分析装置では、試料を支持する容器フィルムの下方にさらにホルダーフィルムが配置されているため、容器フィルムが破損等した場合においても、試料の載置部からの落下が抑制される。
【0030】
(第2項)第1項に記載のX線分析装置において、前記ホルダーフィルムは、前記包囲筒の下端部に溶着されていてもよい。
【0031】
この態様では、ホルダーフィルムの包囲筒への取付作業が省略される。
【0032】
(第3項)第1項に記載のX線分析装置において、前記ホルダーは、前記包囲筒の周囲に取り付けられた挟持リングをさらに有し、前記挟持リングは、当該挟持リングの内周面と前記包囲筒の外周面との間に前記ホルダーフィルムの縁部を挟持していてもよい。
【0033】
この態様では、包囲筒に対する溶着が困難な材料(例えば、包囲筒を構成する材料とは異なる材料)からなるホルダーフィルムを包囲筒に取り付けることが可能となる。
【0034】
(第4項)第1項から第3項のいずれかに記載のX線分析装置において、前記ホルダーは、前記載置部から取外し可能に構成されていることが好ましい。
【0035】
このようにすれば、X線照射源や検出器を傷付けることなく、ホルダーフィルムの洗浄やホルダー自体の交換等が可能となる。
【0036】
(第5項)第1項から第4項のいずれかに記載のX線分析装置において、前記容器本体の外形は、前記開口部よりも大きいことが好ましい。
【0037】
このようにすれば、包囲筒にホルダーフィルムが取り付けられていない場合においても、試料容器を載置部に載置することによって試料の分析が可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1 X線分析装置、10 試料容器、12 容器本体、14 容器フィルム、16 挟持リング、20 ケース、22 収容部、24 載置部、24h 開口部、26 蓋部、30 X線照射源、40 検出器、50 ホルダー、52 包囲筒、54 ホルダーフィルム、56 挟持リング、S 試料。
図1
図2
図3
図4