(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010741
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240118BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20240118BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240118BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240118BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240118BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20240118BHJP
【FI】
G06T7/00 660Z
G08B21/24
G08B25/00 510M
G08B25/10 D
H04N7/18 D
G06T7/60 180B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112201
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 卓也
(72)【発明者】
【氏名】竹野 唯志
【テーマコード(参考)】
5C054
5C086
5C087
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054HA19
5C086AA21
5C086AA55
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA14
5C086DA33
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA25
5C087AA37
5C087BB18
5C087BB74
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087FF23
5C087GG02
5C087GG08
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA03
5L096FA16
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA05
5L096HA11
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】持ち物にICタグ等の識別手段を取り付けることなく、当該持ち物を落としたことを検出することができる情報処理装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】サーバ装置(情報処理装置)は、カメラ(撮像装置)が撮影した画像を取得する画像取得部と、画像取得部が取得した画像の中から人物を検出する人物検出部と、人物検出部が検出した人物から離脱した物体を検出する物体検出部(異常検出部)と、人物検出部が検出した人物と、物体検出部が検出した物体との距離を算出する距離算出部と、距離算出部が算出した距離が、所定時間以上に亘って閾値以上である場合に、物体は落とし物であると判定する落とし物判定部と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置が撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像の中から人物を検出する人物検出部と、
前記人物検出部が検出した人物から離脱した物体を検出する異常検出部と、
前記人物検出部が検出した人物と、前記異常検出部が検出した物体との距離を算出する距離算出部と、
前記距離算出部が算出した距離が、所定時間以上に亘って閾値以上である場合に、前記物体は落とし物であると判定する落とし物判定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記人物検出部が検出した人物を表す画像と、前記人物から離脱した物体を表す画像と、前記物体の位置とを関連付けて、記憶装置に記憶させる記憶制御部を更に備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記落とし物判定部が落とし物があると判定したことを条件として、報知を行う報知部を更に備える、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶制御部は、
前記落とし物を落とし主に返却されたことを示す情報が入力されたことを条件として、前記記憶装置から、前記落とし物に係る情報を削除する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記人物検出部が検出した人物を表す画像と、前記落とし物の落とし主であると申告した申告者の画像とを比較する画像比較部を更に備えて、
前記落とし物判定部は、前記画像比較部が比較した人物の画像が一致していることを条件として、前記申告者を落とし主であると判定する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
撮像装置が撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像の中から人物を検出する人物検出部と、
前記人物検出部が検出した人物から離脱した物体を検出する異常検出部と、
前記人物検出部が検出した人物と、前記異常検出部が検出した物体との距離を算出する距離算出部と、
前記距離算出部が算出した距離が、所定時間以上に亘って閾値以上である場合に、前記物体は落とし物であると判定する落とし物判定部と、
して機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自身が所持する物品にICタグを取り付けて、当該物品を落とした際に、ICタグからの信号を検出することによって、自身が所持する報知器に報知を行う忘れ物・落とし物・紛失物報知システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような忘れ物・落とし物・紛失物報知システムにあっては、所持する物品のそれぞれにICタグを取り付ける必要があるため、手間がかかっていた。また、ICタグを取り付けていない物品を落とした場合には報知することができなかった。そのため、より簡便に落とし物をしたことを検出することが可能な情報処理装置が望まれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、持ち物にICタグ等の識別手段を取り付けることなく、当該持ち物を落としたことを検出することができる情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報処理装置は、画像取得部と、人物検出部と、異常検出部と、距離算出部と、落とし物判定部とを備える。画像取得部は、撮像装置が撮影した画像を取得する。人物検出部は、画像取得部が取得した画像の中から人物を検出する。異常検出部は、人物検出部が検出した人物から離脱した物体を検出する。距離算出部は、人物検出部が検出した人物と、異常検出部が検出した物体との距離を算出する。落とし物判定部は、距離算出部が算出した距離が、所定時間以上に亘って閾値以上である場合に、物体は落とし物であると判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態の落とし物検出システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態の落とし物検出システムが備えるサーバ装置のハードウエア構成の一例を示すハードウエアブロック図である。
【
図3】
図3は、サーバ装置が行う落とし物検出処理の流れの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、サーバ装置が記憶する画像データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、サーバ装置が記憶する人物データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、サーバ装置が記憶する物体データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、サーバ装置が記憶する落とし物データのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の落とし物検出システムが備えるサーバ装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態のサーバ装置が行う、落とし物検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態のサーバ装置が行う、落とし物返却処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の情報処理装置を落とし物検出システム10に適用した実施の形態について、図面を参照して説明する。落とし物検出システム10は、例えば店舗の内部に設置されて、店内の様子を監視した画像データに基づいて、客が店内で落とし物をしたことを検出するものである。
【0008】
(落とし物検出システムの概略構成)
図1を用いて、落とし物検出システム10の概略構成を説明する。
図1は、実施形態の落とし物検出システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0009】
落とし物検出システム10は、サーバ装置12と、カメラ14と、携帯端末16とを備える。
【0010】
サーバ装置12は、カメラ14が撮影した監視画像I(t)(
図3参照)を時系列で受信する。そして、サーバ装置12は、受信した監視画像I(t)に対して画像処理を行い、落とし物と、当該落とし物をした人物とを検出する。具体的な検出方法について、詳しくは後述する(
図3参照)。なお、サーバ装置12は、本開示における情報処理装置の一例である。
【0011】
カメラ14は、例えば、店舗に少なくとも1台備えられて、店内の様子を時系列で撮影する。なお、カメラ14は複数台が備えられて、店内の様子を死角が生じないように撮影できるのが望ましい。なお、カメラ14の設置位置は、店舗内に限定されるものではなく、店舗の外に設置されてもよい。カメラ14は、本開示における撮像装置の一例である。カメラ14とサーバ装置12は、店内に敷設されたLAN(Local Area Network)13によって接続されており、カメラ14が撮影した画像は、サーバ装置12に送信される。なお、カメラ14とサーバ装置12とは、無線接続されてもよい。
【0012】
携帯端末16は、店舗の店員が所持しており、サーバ装置12が落とし物を検出した際に、落とし物があることを知らせる報知情報を受信する。また、携帯端末16は、報知情報を受信したことを店員に知らせる。携帯端末16は、例えば、スマートフォンやタブレット端末である。
【0013】
(サーバ装置のハードウエア構成)
図2を用いて、サーバ装置12のハードウエア構成を説明する。
図2は、実施形態の落とし物検出システムが備えるサーバ装置のハードウエア構成の一例を示すハードウエアブロック図である。
【0014】
サーバ装置12は、当該サーバ装置12の各部を制御するための制御部21を備える。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)22と、ROM(Read Only Memory)23と、RAM(Random Access Memory)24とを備える。CPU22は、アドレスバス、データバス等の内部バス41を介して、ROM23と、RAM24と接続する。CPU22は、ROM23や記憶部25に記憶された各種プログラムを、RAM24に展開する。CPU22は、RAM24に展開された各種プログラムに従って動作することでサーバ装置12を制御する。即ち、制御部21は、一般的なコンピュータの構成を有する。
【0015】
制御部21は、内部バス41を介して、記憶部25と、表示デバイス42と、操作デバイス43と、カメラコントローラ44と、通信インタフェース45と接続する。
【0016】
記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。また、記憶部25は、電源を切っても記憶情報が保持されるフラッシュメモリ等の不揮発性メモリであってもよい。記憶部25は、制御プログラム26と、画像データ27と、人物データ28と、物体データ29と、落とし物データ30とを記憶する。
【0017】
制御プログラム26は、サーバ装置12の全体の動作を制御するプログラムである。
【0018】
なお、制御プログラム26は、ROM23に予め組み込まれて提供されてもよい。また、制御プログラム26は、制御部21にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、制御プログラム26を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、制御プログラム26を、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0019】
画像データ27は、カメラ14が撮影した監視画像I(t)(
図3参照)を記憶する。なお、画像データ27の詳細なデータ構造について、詳しくは後述する(
図4参照)。
【0020】
人物データ28は、監視画像I(t)から検出された人物を示す人物画像P(t)(
図3参照)を記憶する。なお、人物データ28の詳細なデータ構造について、詳しくは後述する(
図5参照)。
【0021】
物体データ29は、人物画像P(t)から離脱した物体を示す物体画像O(t)(
図3参照)を記憶する。なお、物体データ29の詳細なデータ構造について、詳しくは後述する(
図6参照)。
【0022】
落とし物データ30は、サーバ装置12が検出した落とし物に係る情報を記憶する。なお、落とし物データ30の詳細なデータ構造について、詳しくは後述する(
図7参照)。
【0023】
表示デバイス42は、サーバ装置12が生成した画像情報やテキスト情報を表示する出力装置である。表示デバイス42は、例えば、液晶モニタや有機ELモニタ等である。
【0024】
操作デバイス43は、サーバ装置12の操作者が、サーバ装置12に対して各種操作指示を入力する入力装置である。操作デバイス43は、例えば、タッチパネルやキーボード等である。
【0025】
カメラコントローラ44は、サーバ装置12が、カメラ14が撮影した監視画像I(t)を取得するためのインタフェース装置である。
【0026】
通信インタフェース45は、サーバ装置12と携帯端末16との間の通信を制御するインタフェース装置である。
【0027】
(落とし物検出処理の流れ)
図3を用いて、サーバ装置12が行う落とし物検出処理の流れを説明する。
図3は、サーバ装置が行う落とし物検出処理の流れの一例を示す図である。
【0028】
説明を簡単にするため、1台のカメラ14で、店内の人物を監視している場合を例にあげて説明する。このとき、サーバ装置12が、カメラ14から、
図3に示す4枚の監視画像I(ta)、I(ta+Δt)、I(ta+2Δt)、I(ta+3Δt)を取得したとする。
【0029】
サーバ装置12は、それぞれの監視画像の中から人物を検出する人物検出処理を行う。人物検出処理は、公知の、深層学習を用いた骨格検知手法を用いて行うことができる。具体的には、例えば、姿勢推定(Pose Estimation)と呼ばれる、人物の骨格データを検出する技術を活用することができる。人物検出処理によって、一連の監視画像I(t)の中から人物が検出されて、その位置が特定される。人物の位置は、当該人物または骨格を包含する矩形領域の左上の座標Pa(t)と、右下の座標Pb(t)で表すものとする。このような人物検出処理によって、
図3に示す人物画像P(ta)、P(ta+Δt)、P(ta+2Δt)、P(ta+3Δt)が得られる。
【0030】
更に、サーバ装置12は、監視画像I(t)の中から検出された人物が、同じ人物であるかを判定して、同じ人物の存在位置を追跡する人物追跡処理を行う。人物追跡処理は、例えば、深層学習を用いた画像分類を行うことによって実現することができる。具体的には、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)の畳み込み層などを特徴抽出器として利用することによって、人物の少なくとも1つの特徴量を抽出する。そして、異なる画像から抽出された特徴量同士を、最近傍法等を用いて互いに比較することによって、同一人物であるか否かを判定することができる。
【0031】
次に、サーバ装置12は、追跡された人物から離脱する物体があるかを検出する物体検出処理を行う。物体検出処理は、公知の、深層学習を用いた動作認識によって行うことができる。具体的には、サーバ装置12は、人間が落とし物をした際の動画像と、それ以外の行動をした際の動画像とをそれぞれ機械学習することによって、ネットワークを生成する。このようにして生成されたネットワークに、同一人物を追跡した動画像を入力することによって、人物から物体が離脱したことを認識することができる。このような物体検出処理は、例えば、行動検出手法の一つであるSlow Fastを用いて実現することができる。物体検出処理によって、一連の人物画像P(t)の中から物体が検出されて、その位置が特定される。物体の位置は、当該物体を包含する矩形領域の左上の座標Оa(t)と、右下の座標Оb(t)で表すものとする。このような物体検出処理によって、
図3に示す物体画像О(ta+2Δt)、О(ta+3Δt)が得られる。なお、人物から離脱した物体は、一般に、時間とともにその位置を変化させないから、物体画像О(ta+2Δt)における座標Оa(ta+2Δt)、Оb(ta+2Δt)と、物体画像О(ta+3Δt)における座標Оa(ta+3Δt)、Оb(ta+3Δt)とは等しい。
【0032】
なお、店舗においては、客が1度手に取った商品を商品棚に戻す行動がよく見られる。このような行動は、落とし物をした行動ではないため、識別する必要がある。そのため、1度手に取った商品を商品棚に戻す行動も機械学習しておき、落とし物行動とは識別して認識するようにしてもよい。
【0033】
更に、サーバ装置12は、検出された物体と、当該物体の離脱元である人物との距離を算出する。なお、物体と人物との距離は、例えば、
図3に示すように、物体を包含する矩形領域と、人物を包含する矩形領域との距離d(t)とされる。
図3の例では、時刻t=ta+2Δtにおける距離d(t)よりも、時刻t=ta+3Δtにおける距離d(t)の方が大きくなっている。
【0034】
サーバ装置12は、このようにして算出された距離d(t)が、所定時間に亘って閾値以上である場合に、物体を落とし物であると判定する。
【0035】
(画像データのデータ構造)
図4を用いて、画像データ27のデータ構造を説明する。
図4は、サーバ装置が記憶する画像データのデータ構造の一例を示す図である。
【0036】
画像データ27は、
図4に示すように、カメラ14を一意に特定するカメラIDと、当該カメラIDのカメラ14が撮影した監視画像I(t)と付帯情報とを関連付けて記憶する。
【0037】
付帯情報は、該当するカメラIDのカメラ14の設置位置と、当該カメラ14の観測方向と、画角と、監視画像I(t)の撮影年月日と、撮影時刻と、フレーム番号である。
【0038】
(人物データのデータ構造)
図5を用いて、人物データ28のデータ構造を説明する。
図5は、サーバ装置が記憶する人物データのデータ構造の一例を示す図である。
【0039】
人物データ28は、
図3で説明した処理によって検出された人物を特定する人物IDと、当該人物の検出結果を示す人物画像P(t)と、人物画像P(t)における人物位置である座標Pa(t)、Pb(t)と、付帯情報とを関連付けて記憶する。
【0040】
付帯情報は、人物画像P(t)が検出された監視画像I(t)を撮影したカメラIDと、人物画像P(t)が検出された監視画像I(t)の撮影年月日と、撮影時刻と、フレーム番号である。
【0041】
(物体データのデータ構造)
図6を用いて、物体データ29のデータ構造を説明する。
図6は、サーバ装置が記憶する物体データのデータ構造の一例を示す図である。
【0042】
物体データ29は、
図3で説明した処理によって検出された物体を特定する物体IDと、当該物体の検出結果を示す物体画像O(t)と、物体画像O(t)における物体位置Оa(t)、Оb(t)と、付帯情報とを関連付けて記憶する。
【0043】
付帯情報は、物体の離脱元を示す人物IDと、当該人物IDの人物から離脱物体が検出された監視画像I(t)を撮像したカメラIDと、離脱物体が検出された監視画像I(t)の撮影年月日と、撮影時刻と、フレーム番号である。
【0044】
(落とし物データのデータ構造)
図7を用いて、落とし物データ30のデータ構造を説明する。
図7は、サーバ装置が記憶する落とし物データのデータ構造の一例を示す図である。
【0045】
落とし物データ30は、
図3で説明した処理によって検出された落とし物を特定する落とし物IDと、落とし物であると判定された物体の検出結果を示す物体画像O(t)と、当該物体画像O(t)における物体位置Оa(t)、Оb(t)と、落とし物をしたと判定された人物の検出結果を示す人物画像P(t)と、当該人物画像P(t)における人物位置である座標Pa(t)、Pb(t)と、物体と人物との距離d(t)と、付帯情報とを関連付けて記憶する。
【0046】
付帯情報は、落とし物をした人物を特定する人物IDと、落とし物に対応する物体を特定する物体IDと、落とし物をした人物IDの人物が検出された監視画像I(t)を撮影したカメラ14を特定するカメラIDと、落とし物であると判定する元になる監視画像I(t)の撮影年月日と、撮影時刻と、フレーム番号である。
【0047】
上述したように、画像データ27と、人物データ28と、物体データ29と、落とし物データ30とは、カメラID、人物ID、物体IDを介して互いに関連付けられている。したがって、人物が検出された監視画像I(t)と、物体が検出された監視画像I(t)と、落とし物があると判定された監視画像I(t)とを容易に参照することができる。
【0048】
(サーバ装置の機能構成)
図8を用いて、サーバ装置12の機能構成を説明する。
図8は、実施形態の落とし物検出システムが備えるサーバ装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0049】
サーバ装置12の制御部21は、制御プログラム26をRAM24に展開して動作させることによって、
図8に示す画像取得部51と、人物検出部52と、物体検出部53と、距離算出部54と、落とし物判定部55と、記憶制御部56と、報知制御部57と、画像比較部58と、表示制御部59と、操作制御部60と、通信制御部61とを機能部として実現する。なお、これらの機能の一部または全ては、専用ハードウエアによって実現されてもよい。
【0050】
画像取得部51は、店舗に設置されたカメラ14(撮像装置)が撮影した監視画像I(t)を取得する。
【0051】
人物検出部52は、画像取得部51が取得した監視画像I(t)の中から人物を検出する。また、人物検出部52は、監視画像I(t)とは異なる時刻に撮影された監視画像の中で、先に検出された人物と同一人物を追跡する。
【0052】
物体検出部53は、人物検出部52が検出した人物から離脱した物体を検出する。なお、物体検出部53は、本開示における異常検出部の一例である。
【0053】
距離算出部54は、人物検出部52が検出した人物と、物体検出部53が検出した物体との距離d(t)を算出する。
【0054】
落とし物判定部55は、距離算出部54が算出した距離d(t)が、所定時間以上に亘って閾値以上である場合に、物体検出部53が検出した物体は落とし物であると判定する。
【0055】
記憶制御部56は、人物検出部52が検出した人物を表す画像と、人物から離脱した物体を表す画像と、当該物体の位置とを関連付けて、記憶部25(記憶装置)に記憶させる。
【0056】
報知制御部57は、落とし物判定部55が、落とし物があると判定したことを条件として報知を行う。より具体的には、報知制御部57は、落とし物判定部55が、落とし物があると判定したことを条件として、携帯端末16に対して、落とし物があることを示す情報と、当該落とし物のある位置とを送信する。携帯端末16は、サーバ装置12から、落とし物に係る情報を受信すると、画像表示や音声出力等によって、落とし物がある旨を報知する。また、携帯端末16は、落とし物のある位置を表示する。なお、報知制御部57は、本開示における報知部の一例である。
【0057】
画像比較部58は、落とし物の落とし主が現れた際に、落とし主を撮影した画像と、該当する落とし物に係る人物画像P(t)とを比較することによって、同じ人物であるかを判定する。
【0058】
表示制御部59は、サーバ装置12に接続された表示デバイス42に表示する画像データ等の表示情報を生成する。また、表示制御部59は、生成した表示情報を表示デバイス42に表示させる。
【0059】
操作制御部60は、サーバ装置12に接続された操作デバイス43に対する、操作者の操作情報を取得する。また、操作制御部60は、取得した操作情報を制御部21に受け渡す。
【0060】
通信制御部61は、サーバ装置12と携帯端末16との間の通信を制御する。
【0061】
(サーバ装置が行う落とし物検出処理の流れ)
図9を用いて、サーバ装置12が行う落とし物検出処理の流れを説明する。
図9は、実施形態のサーバ装置が行う、落とし物検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
画像取得部51は、カメラ14から監視画像I(t)を取得する(ステップS11)。
【0063】
記憶制御部56は、取得した監視画像I(t)を、画像データ27として記憶部25に記憶させる(ステップS12)。
【0064】
人物検出部52は、監視画像I(t)に対して人物検出処理を行い、人物を検出したかを判定する(ステップS13)。人物を検出したと判定される(ステップS13:Yes)とステップS14に進む。一方、人物を検出したと判定されない(ステップS13:No)とステップS11に戻る。
【0065】
ステップS13において、人物を検出したと判定されると、人物検出部52は、人物の位置(座標Pa(t)、Pb(t))を特定する(ステップS14)。
【0066】
記憶制御部56は、人物の検出結果と位置とを含む人物画像P(t)を、人物データ28として記憶部25に記憶させる(ステップS15)。
【0067】
物体検出部53は、検出された人物からの物体の離脱を検出する物体検出処理を行い、物体の離脱が検出されたかを判定する(ステップS16)。物体の離脱が検出されたと判定される(ステップS16:Yes)とステップS17に進む。一方、物体の離脱が検出されたと判定されない(ステップS16:No)とステップS11に戻る。
【0068】
ステップS16において、物体の離脱が検出されたと判定されると、記憶制御部56は、物体の検出結果と位置とを含む物体画像O(t)を、物体データ29として記憶部25に記憶させる(ステップS17)。
【0069】
画像取得部51は、カメラ14から監視画像I(t)を取得する(ステップS18)。
【0070】
人物検出部52は、最新の監視画像I(t)の中から、先に検出された人物を追跡する(ステップS19)。
【0071】
距離算出部54は、人物と当該人物から離脱した物体との距離d(t)を算出する(ステップS20)。
【0072】
落とし物判定部55は、距離d(t)が所定時間以上に亘って閾値以上であるかを判定する(ステップS21)。距離d(t)が所定時間以上に亘って閾値以上であると判定される(ステップS21:Yes)とステップS22に進む。一方、距離d(t)が所定時間以上に亘って閾値以上であると判定されない(ステップS21:No)とステップS24に進む。
【0073】
ステップS21において、距離d(t)が所定時間以上に亘って閾値以上であると判定されると、落とし物判定部55は、着目している物体は、当該物体の離脱元である人物の落とし物であると判定する。そして、記憶制御部56は、着目している物体の検出結果と位置とを含む物体画像O(t)と、当該物体の離脱元である人物の検出結果と位置とを含む人物画像P(t)とを、落とし物データ30として記憶部25に記憶させる(ステップS22)。
【0074】
報知制御部57は、携帯端末16に対して、落とし物があることを示す報知を行う(ステップS23)。その後、サーバ装置12は、
図9の処理を終了する。
【0075】
一方、ステップS21において、距離d(t)が所定時間以上に亘って閾値以上であると判定されないと、画像取得部51は、カメラ14から監視画像I(t)を取得する(ステップS24)。
【0076】
人物検出部52は、監視画像I(t)に対して、同一人物を追跡できるかを判定する(ステップS25)。同一人物を追跡できると判定される(ステップS25:Yes)とステップS20に戻る。一方、同一人物を追跡できると判定されない(ステップS25:No)と、サーバ装置12は、
図9の処理を終了する。
【0077】
(サーバ装置が行う落とし物返却処理の流れ)
図10を用いて、サーバ装置12が行う落とし物返却処理の流れを説明する。
図10は、実施形態のサーバ装置が行う、落とし物返却処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0078】
画像取得部51は、申告者の画像を取得する(ステップS31)。
【0079】
画像比較部58は申告者と落とし物の落とし主とは同一人物であるかを判定する(ステップS32)。なお、サーバ装置12の操作者は、申告者の申告に基づいて、落とし物を特定する。そして、特定された落とし物に係る落とし物データ30の中から、落とし物の落とし主である人物画像P(t)を取得する。そして、画像比較部58は、取得した人物画像P(t)と、ステップS31で取得した申告者の画像とを比較する。そして、申告者と落とし物の落とし主とは同一人物であると判定される(ステップS32:Yes)とステップS33に進む。一方、申告者と落とし物の落とし主とは同一人物であると判定されない(ステップS32:No)と、サーバ装置12は、
図10の処理を終了する。
【0080】
ステップS32において、申告者と落とし物の落とし主とは同一人物であると判定されると、操作制御部60は、落とし物の返却を完了した旨の情報入力がなされたかを判定する(ステップS33)。落とし物の返却を完了した旨の情報入力がなされたと判定される(ステップS33:Yes)とステップS34に進む。一方、落とし物の返却を完了した旨の情報入力がなされたと判定されない(ステップS33:No)とステップS33を繰り返す。
【0081】
ステップS33において、落とし物の返却を完了した旨の情報入力がなされたと判定されると、記憶制御部56は、落とし物データ30の中から、返却した落とし物に係るデータを削除する(ステップS34)。なお、このとき、記憶制御部56は、画像データ27、人物データ28、物体データ29の中から、返却した落とし物、および当該落とし物の落とし主に係るデータを削除してもよい。その後、サーバ装置12は、
図10の処理を終了する。
【0082】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態のサーバ装置12(情報処理装置)は、カメラ14(撮像装置)が撮影した監視画像I(t)を取得する画像取得部51と、画像取得部51が取得した画像の中から人物を検出する人物検出部52と、人物検出部52が検出した人物から離脱した物体を検出する物体検出部53(異常検出部)と、人物検出部52が検出した人物と、物体検出部53が検出した物体との距離d(t)を算出する距離算出部54と、距離算出部54が算出した距離d(t)が、所定時間以上に亘って閾値以上である場合に、物体は落とし物であると判定する落とし物判定部55と、を備える。したがって、持ち物にICタグ等の識別手段を取り付けることなく、当該持ち物を落としたことを検出することができる。
【0083】
また、本実施形態のサーバ装置12(情報処理装置)は、人物検出部52が検出した人物を表す人物画像P(t)と、人物から離脱した物体を表す物体画像O(t)と、物体の位置Оa(t)、Оb(t)とを関連付けて、記憶部25(記憶装置)に記憶させる記憶制御部56を更に備える。したがって、人物から離脱した物体が落とし物であるかを、容易かつ確実に判定することができる。
【0084】
また、本実施形態のサーバ装置12(情報処理装置)は、落とし物判定部55が落とし物があると判定したことを条件として、報知を行う報知制御部57(報知部)を更に備える。したがって、落とし物が検出されたことを即座に報知することができる。
【0085】
また、本実施形態のサーバ装置12(情報処理装置)において、記憶制御部56は、落とし物を落とし主に返却されたことを示す情報が入力されたことを条件として、記憶部25(記憶装置)から、落とし物に係る情報を削除する。したがって、記憶装置の記憶内容の管理を、手間をかけずに行うことができる。
【0086】
また、本実施形態のサーバ装置12(情報処理装置)は、人物検出部52が検出した人物を表す画像と、落とし物の落とし主であると申告した申告者の画像とを比較する画像比較部58を更に備えて、落とし物判定部55は、画像比較部58が比較した人物の画像が一致していることを条件として、申告者を落とし主であると判定する。したがって、落とし主であると申告した人物が正しい落とし主であるかを容易かつ確実に判定することができる。
【0087】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
10 落とし物検出システム
12 サーバ装置(情報処理装置)
13 LAN
14 カメラ(撮像装置)
16 携帯端末
21 制御部
25 記憶部(記憶装置)
27 画像データ
28 人物データ
29 物体データ
30 落とし物データ
51 画像取得部
52 人物検出部
53 物体検出部(異常検出部)
54 距離算出部
55 落とし物判定部
56 記憶制御部
57 報知制御部(報知部)
58 画像比較部
59 表示制御部
60 操作制御部
61 通信制御部
d(t) 距離
I(t) 監視画像
O(t) 物体画像
P(t) 人物画像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】