(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107420
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/54 20060101AFI20240801BHJP
B65H 3/66 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B65H3/54 310B
B65H3/66
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096177
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2023528816の分割
【原出願日】2021-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】森川 修一
(57)【要約】
【課題】複数の種類の媒体を適切に給送することが可能な媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】媒体搬送装置は、開口部又は切り欠き部を有し、媒体の搬送面を形成するガイド部材と、開口部又は切り欠き部内に配置され、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラと対向して配置される分離ローラと、媒体搬送方向に対して、分離ローラの左右に配置された突起部と、を有し、ガイド部材は、媒体搬送方向に対して、給送ローラの左右に位置する凹部を有し、突起部は、媒体が突起部と凹部との間を搬送されるように、開口部もしくは切り欠き部、又は、凹部と対向する位置に配置され、突起部の先端は、給送ローラと分離ローラのニップ部より給送ローラ側に位置する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部又は切り欠き部を有し、媒体の搬送面を形成するガイド部材と、
前記開口部又は前記切り欠き部内に配置され、媒体を給送する給送ローラと、
前記給送ローラと対向して配置される分離部と、
媒体搬送方向に対して、前記分離部の左右に配置された突起部と、を有し、
前記突起部は、前記開口部もしくは前記切り欠き部、又は、媒体搬送方向に対して前記給送ローラの左右に位置する前記ガイド部材の凹部と対向する位置に配置され、
前記突起部の先端は、前記給送ローラと前記分離部のニップ部より前記給送ローラ側に位置する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記突起部は、媒体が前記突起部と前記凹部との間を搬送されるように、前記開口部もしくは前記切り欠き部、又は、前記凹部と対向する位置に配置される、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記突起部は、媒体搬送方向と直交する方向から見て少なくとも一部が前記ニップ部及び前記給送ローラの前記ニップ部より媒体搬送方向の上流側の領域と重なるように配置される、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記給送ローラと対向し且つ前記ニップ部より媒体搬送方向の上流側に配置され、前記給送ローラにより給送される媒体を前記給送ローラ側に押圧する押圧ローラをさらに有する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記押圧ローラは、前記突起部と連動して移動するように設けられている、請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記押圧ローラは、前記突起部と独立して移動するように設けられている、請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
載置台と、
媒体給送前に、前記載置台に載置された媒体と前記給送ローラ及び前記押圧ローラとの接触を制限する第1位置に配置され、媒体給送時に、前記載置台に載置された媒体と前記給送ローラ及び前記押圧ローラとの接触を許容する第2位置に配置される第2ガイド部材と、をさらに有し、
前記押圧ローラは、前記第2ガイド部材が前記第1位置から前記第2位置に移動した時に、前記載置台に載置された媒体の量が所定量以上である場合は、前記給送ローラより前に前記載置台に載置された媒体に接触し、前記載置台に載置された媒体の量が前記所定量未満である場合は、前記給送ローラより後に前記載置台に載置された媒体に接触するように設けられる、請求項4~6の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記給送ローラと対向し且つ前記ニップ部より媒体搬送方向の上流側に配置され、且つ、前記給送ローラにより給送される媒体を前記ニップ部に案内する第2突起部をさらに有する、請求項1~7の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記突起部の前記給送ローラにより給送される媒体と接触する接触面は、前記搬送面の前記凹部より媒体搬送方向の上流側の領域と平行となるように形成される、請求項1~8の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記突起部の前記給送ローラにより給送される媒体と接触する接触面は、R形状を有する、請求項1~9の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
前記突起部は、弾性を有する、請求項1~10の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項12】
前記ガイド部材は、前記凹部より媒体搬送方向と直交する方向の外側に配置され、且つ、給送される媒体の重量に応じて前記搬送面と直交する方向に移動可能に設けられた移動部をさらに有する、請求項1~11の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項13】
前記移動部は、前記搬送面と直交する方向において、前記給送ローラの上面より高い第1位置と、前記給送ローラの上面より低い第2位置との間で移動可能に設けられる、請求項12に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体搬送装置に関し、特に、給送ローラ及び分離ローラを有する媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の媒体を分離しながら搬送し、撮像するスキャナ等の媒体搬送装置では、一般的なPPC(Plain Paper Copier)用紙だけでなく、薄紙、封筒又は綴られた複写紙等の様々な種類の媒体を搬送することが求められている。薄紙はシワ又は破れ等を有している可能性が高く、さらに薄紙の腰は弱いため、媒体として薄紙が搬送される場合、媒体の座屈が発生し、媒体のジャムが発生する可能性が高い。また、封筒又は複写紙のように複数の紙からなる媒体が搬送される場合、分離しようとする力が媒体に加わり、媒体のジャムが発生する可能性がある。一般に、媒体搬送装置は、給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有している。例えば、媒体搬送装置の給送モードを非分離モードに設定することにより、媒体のジャムの発生が防止されるが、利用者は、媒体の種類毎に給送モードを変更しなければならないと、煩わしさを感じてしまい、利用者の利便性が損なわれる。また、複数種類の媒体がまとめて載置台にセットされて順次搬送される場合、媒体の種類毎に給送モードを変更することは困難である。
【0003】
用紙を一枚ずつ凸状のカール状態として分離給紙する給紙手段を備える給紙装置が開示されている(特許文献1を参照)。この給紙装置は、分離給紙される用紙を凸状の方向に反転させるターンガイドと、ターンガイドと給紙手段との間に設けられ凸状の方向に反転させられる用紙を凸状と逆方向のカール状態に修正しつつ案内する案内部材とを備える。
【0004】
給紙手段と、給紙手段から給紙された用紙を搬送する搬送ローラ対と、給紙手段と搬送ローラ対間に配設された給紙下ガイドとを有する給紙搬送装置が開示されている(特許文献2を参照)。この給紙下ガイドは、両端側の用紙ガイド面を中央部のガイド面よりも高位面とした部分を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-179540号公報
【特許文献2】特開平2-305741号公報
【発明の概要】
【0006】
媒体搬送装置では、複数の種類の媒体を適切に給送することが求められている。
【0007】
媒体搬送装置の目的は、複数の種類の媒体を適切に給送することを可能とすることにある。
【0008】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、開口部又は切り欠き部を有し、媒体の搬送面を形成するガイド部材と、開口部又は切り欠き部内に配置され、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラと対向して配置される分離ローラと、媒体搬送方向に対して、分離ローラの左右に配置された突起部と、を有し、ガイド部材は、媒体搬送方向に対して、給送ローラの左右に位置する凹部を有し、突起部は、媒体が突起部と凹部との間を搬送されるように、開口部もしくは切り欠き部、又は、凹部と対向する位置に配置され、突起部の先端は、給送ローラと分離ローラのニップ部より給送ローラ側に位置する。
【0009】
本実施形態によれば、媒体搬送装置は、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となる。
【0010】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
【
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】給送機構120について説明するための模式図である。
【
図4】給送機構120を上方から見た模式図である。
【
図5】給送機構120を下流側から見た模式図である。
【
図6】媒体毎の幅方向A8の長さと座屈荷重の関係を示すグラフである。
【
図8】給送機構120により媒体M1が給送される様子を示す模式図である。
【
図9】給送アーム122等を上流側から見た斜視図である
【
図11】給送アーム122を上流側から見た斜視図である。
【
図12】セットガイド124等について説明するための模式図である。
【
図13】セットガイド124等について説明するための模式図である。
【
図14】セットガイド124等について説明するための模式図である。
【
図15】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図16】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図17】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【
図18】他の突起部222aについて説明するための模式図である。
【
図19】(a)、(b)は、さらに他の突起部322aについて説明するための模式図である。
【
図20】(a)、(b)は、他のガイド部材421について説明するための模式図である。
【
図21】(a)は、他の給送アーム522について説明するための模式図であり、(b)は、さらに他の給送アーム622について説明するための模式図である。
【
図22】さらに他のガイド部材721について説明するための模式図である。
【
図23】さらに他のガイド部材821について説明するための模式図である。
【
図24】さらに他のガイド部材921について説明するための模式図である。
【
図25】他の処理回路250の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、薄紙、厚紙、カード、複写紙又は封筒等である。複写紙は、ノーカーボン紙等の、複数の薄紙が綴じられた媒体である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0014】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0015】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0016】
載置台103は、下側筐体101に係合し、給送及び搬送される媒体を載置する。排出台104は、上側筐体102に係合し、排出された媒体を載置する。なお、排出台104は、下側筐体101に係合してもよい。
【0017】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0018】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、媒体センサ111、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、撮像装置116、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118等を有している。
【0020】
なお、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118は、それぞれ媒体搬送方向A1と直交する幅方向に間隔を空けて並べて配置される。
【0021】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド101aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド102aを形成する。
図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0022】
媒体センサ111は、給送ローラ112及び分離ローラ113より上流側に配置される。媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0023】
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に分離して給送する。分離ローラ113は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112と対向して配置され、媒体給送方向の反対方向に回転する。なお、給送ローラ112が上側筐体102に、分離ローラ113が下側筐体101に設けられ、給送ローラ112は、載置台103に載置された媒体を上側から順に給送してもよい。
【0024】
第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、給送ローラ112より下流側に、相互に対向して配置され、給送ローラ112及び分離ローラ113によって給送された媒体を撮像装置116に搬送する。第1搬送ローラ114は、下側筐体101に設けられ、第2搬送ローラ115は、上側筐体102に、第1搬送ローラ114の上側に設けられる。
【0025】
撮像装置116は、第1搬送ローラ114より下流側に配置され、第1搬送ローラ114によって搬送された媒体を撮像する。撮像装置116は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを含む。第1撮像装置116aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置116aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置116aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0026】
同様に、第2撮像装置116bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置116bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置116bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0027】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0028】
第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118は、撮像装置116より下流側に、相互に対向して配置され、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115によって搬送され、撮像装置116によって撮像された媒体を排出台104に排出する。第1排出ローラ117は、下側筐体101に設けられ、第2排出ローラ118は、上側筐体102に、第1排出ローラ117の上側に設けられる。
【0029】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が
図2の矢印A2の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド101aと上側ガイド102aの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。媒体搬送装置100は、給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有する。給送モードは、利用者により操作装置105又は媒体搬送装置100と通信接続する情報処理装置を用いて設定される。給送モードが分離モードに設定されている場合、分離ローラ113は、媒体給送時、矢印A3の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転する。給送ローラ112及び分離ローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。一方、給送モードが非分離モードに設定されている場合、分離ローラ113は、矢印A3の反対方向、即ち媒体給送方向に回転する。
【0030】
媒体は、下側ガイド101aと上側ガイド102aによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置116aと第2撮像装置116bの間に送り込まれる。撮像装置116により読み取られた媒体は、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0031】
図3は、媒体搬送装置100の給送機構120について説明するための斜視図である。
【0032】
図3に示すように、媒体搬送装置100は、給送機構120として、給送ローラ112及び分離ローラ113に加えて、ガイド部材121及び給送アーム122を有する。
図3に示す例では、媒体搬送装置100は、給送ローラ112及び分離ローラ113を二つずつ有している。
【0033】
ガイド部材121は、板状の部材であり、媒体の搬送面121aを形成するように、下側筐体101の上面に設けられ、下側ガイド101aの一部を形成する。ガイド部材121は、媒体搬送方向と直交する幅方向A8の中央部に開口部121bを有し、開口部121b内に給送ローラ112が配置される。
【0034】
ガイド部材121の搬送面121aは、媒体搬送方向A1に対して給送ローラ112の左右に位置する凹部121cを有する。
図3に示す例では、ガイド部材121は、二つの凹部121cを有している。凹部121cは、搬送面121aの凹部121cより上流側の領域121dに対して、下流側が下方に傾斜するように形成される。
【0035】
給送アーム122は、上側筐体102に設けられ、分離ローラ113より上流側に、且つ、分離ローラ113の近傍に配置される。給送アーム122は、上側筐体102側から下側筐体101側に向けて、即ち分離ローラ113側から給送ローラ112側に向けて延伸する突起部122aを有する。突起部122aは、媒体搬送方向A1に対して分離ローラ113の左右に配置される。特に、突起部122aは、ガイド部材121の開口部121bと対向する位置に配置される。
図3に示す例では、給送アーム122は、二つの突起部122aを有している。
【0036】
図4は、給送機構120を上方から見た模式図である。
【0037】
図4に示すように、凹部121cは、幅方向A8において、中央部であり且つ開口部121bの外側である領域R1に設けられる。また、凹部121cは、媒体搬送方向A1において、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部を含む領域R2に設けられる。
図4に示す例では、凹部121cの上流側の端部P3は、給送ローラ112の上流側の端部より下流側に位置しているが、凹部121cは、媒体搬送方向A1において、給送ローラ112及び分離ローラ113の全体を含む領域に設けられてもよい。
【0038】
図5は、給送機構120を下流側から見た模式図である。
図5では、視認性を高めるために、給送アーム122の突起部122a以外の部分の表示が省略されている。
【0039】
図5に示すように、突起部122aの先端(下側の端部)は、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部より給送ローラ112側(下側)に位置する。給送ローラ112及び分離ローラ113により給送される媒体M1は、給送アーム122の突起部122aと、ガイド部材121の凹部121cとの間を搬送される。
【0040】
突起部122aは、幅方向A8において、給送される媒体M1内で凹部121cと対向する領域を、給送ローラ112及び分離ローラ113と接触する内側領域、並びに、凹部121cより外側領域より下方に押し下げる。これにより、給送される媒体M1は、幅方向A8において波打つように撓むため、媒体搬送装置100は、媒体に腰付けを行うことが可能となり、媒体搬送方向A1に進行する媒体の剛性を向上させることが可能となる。したがって、媒体として、腰の弱い薄紙が搬送される場合でも、媒体搬送装置100は、媒体の座屈の発生を抑制させ、媒体のジャムの発生を抑制させることが可能となる。また、封筒又は複写紙のように複数の紙からなる媒体が搬送される場合でも、媒体は、分離ローラ113による分離力に対向できる剛性を有するようになるため、媒体搬送装置100は、媒体のジャムの発生を抑制させることが可能となる。
【0041】
また、突起部122aは、幅方向A8において、媒体M1内で凹部121cと対向する領域を、給送ローラ112及び分離ローラ113と接触する内側領域より下方に押し下げる。これにより、媒体M1内で給送ローラ112及び分離ローラ113と接触する内側領域と、その外側の領域とで、搬送面121aと直交する高さ方向の位置が変化する。そのため、複数の媒体がまとめて載置台103にセットされて給送される場合に、給送ローラ112と分離ローラ113に挟まれる媒体間の摩擦力が幅方向A8の外側に向かって伝搬しにくくなる。したがって、媒体搬送装置100は、PPC用紙等の通常用紙の分離性能を向上させつつ、薄紙、封筒又は複写紙等の特殊な媒体のジャムの発生を抑制させることが可能となる。
【0042】
また、ガイド部材121の搬送面121aにおいて、凹部121cより幅方向A8の外側の領域は、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部より給送ローラ112側(下側)に位置する。仮に、搬送面121aがニップ部より上側に配置された場合、媒体と給送ローラ112とが接触しにくくなり、媒体の搬送力が低減する。搬送面121aがニップ部より下側に配置されることにより、媒体搬送装置100は、媒体の搬送力の低減を抑制しつつ、媒体に良好に腰付けを行うことが可能となる。
【0043】
また、搬送面121aと直交する高さ方向において、突起部122aの先端と凹部121cとの間には隙間が設けられる。これにより、媒体は、突起部122a及び凹部121cにより阻害されることなく、突起部122aと凹部121cとの間を良好に給送される。
【0044】
なお、給送ローラ112の外側端部から凹部121cの外側端部までの距離W[mm]は、以下の式(1)を満たすように設定されることが好ましい。
W=(Wc-Wr)/2>10[mm] (1)
ここで、Wcは、凹部121cの幅方向A8における両端間の長さ[mm]であり、Wrは、給送ローラ112の幅方向A8における両端間の長さ[mm]である。給送ローラ112の幅方向A8における両端間の長さWrは、媒体搬送装置100がサポートする最小媒体サイズ幅(例えばA8サイズの短手方向の長さ)以下の長さに設定される。
【0045】
また、凹部121cの幅方向A8における両端間の長さWcは、以下の式(2)を満たすように設定されることが好ましい。
(Wm-Wc)/2>10[mm] (2)
ここで、Wmは、主として給送される媒体の最小媒体サイズ幅あり、例えばA5サイズの短手方向の長さ(A6サイズの長手方向の長さ)である148[mm]に設定される。これにより、幅方向A8において、給送される媒体の両端が凹部121cの外側に配置され、媒体の外側領域が、凹部121cと対向する領域より上方に位置するため、媒体搬送装置100は、媒体を良好に撓ませることが可能となる。
【0046】
給送される媒体を座屈させるために必要な座屈荷重T[gf]は、以下の式(3)で算出される。
T=π2×E×M/L2 (3)
ここで、Eは、その媒体のヤング率[GPa]である。Lは、媒体内で荷重がかけられる領域の幅方向A8の長さ[mm]である。Mは、断面2次モーメントである。断面2次モーモントMは、曲げる力に対する部材の変形しにくさを示す断面の特性であり、以下の式(4)で算出される。
M=H3×B/12 (4)
ここで、Hは、その媒体の厚さ[mm]であり、Bは、媒体内で荷重がかけられる領域の媒体搬送方向A1の長さ[mm]である。
【0047】
図6は、媒体毎の幅方向A8の長さと座屈荷重の関係を示すグラフである。
【0048】
図6において、グラフG1は、ヤング率が3[GPa]であるノーカーボン紙の座屈荷重を示し、グラフG2は、ヤング率が2.2[GPa]である薄紙の座屈荷重を示す。
図6の横軸は、各媒体の幅方向A8の長さ[mm]を示し、縦軸は、各媒体の座屈荷重[gf]を示す。
図6に示す各媒体内で荷重がかけられる領域の媒体搬送方向A1の長さは、40[mm]としている。式(3)に示すように、媒体を座屈させるために必要な座屈荷重は、媒体内で荷重がかけられる領域の幅方向A8の長さの二乗に反比例する。
図6に示すように、媒体の幅方向A8の長さが10[mm]以下である場合、媒体を座屈させるために必要な座屈荷重は、急増する。
【0049】
したがって、式(1)に示したように、給送ローラ112の外側端部から凹部121cの外側端部までの距離Wを10[mm]より大きくすることにより、媒体搬送装置100は、十分に小さい座屈荷重で媒体を良好に座屈させることが可能となる。これにより、媒体搬送装置100は、特別な押圧部材を用いることなく、突起部122aと媒体の自重とによって、媒体内で凹部121cと対向する領域を座屈させることが可能となり、媒体に良好に腰付けを行うことが可能となる。
【0050】
また、二つの突起部122aの幅方向A8における両端間の長さWaは、給送ローラ112の幅方向A8における両端間の長さWrより大きく、且つ、媒体搬送装置100がサポートする最小媒体サイズ幅以下の長さに設定される。即ち、二つの突起部122aは、二つの給送ローラ112の外側に、且つ、二つの給送ローラ112の近傍に配置される。これにより、突起部122aは、A5サイズ等の小型用紙についても確実に腰付けを行うことが可能となり、媒体搬送装置100は、小型媒体のジャムの発生を抑制させることが可能となる。
【0051】
図7は、
図4のA-A’断面図である。即ち、
図7は、給送機構120を側方から見た図(幅方向A8から見た図)である。
【0052】
図7に示すように、分離ローラ113は、分離ローラカバー123に支持される。分離ローラカバー123は、ばね又はゴム等の弾性部材(不図示)を介して上側筐体102に取り付けられ、その弾性部材により下方に向けて付勢される。これにより、分離ローラカバー123は、分離ローラ113が給送ローラ112を押圧するように分離ローラ113に付勢力を付与する。
【0053】
給送アーム122は、分離ローラカバー123内に、分離ローラカバー123に対して上下方向に移動可能に格納される。給送アーム122は、ばね又はゴム等の弾性部材(不図示)を介して分離ローラカバー123内に取り付けられ、その弾性部材により、分離ローラカバー123に対して下方に向けて付勢される。
【0054】
給送アーム122の突起部122aの、給送ローラ112により給送される媒体と接触する接触面122bは、ガイド部材121の搬送面121aの凹部121cより媒体搬送方向A1の上流側の領域121dと平行となるように形成される。接触面122bが領域121dと平行であることは、完全に平行であることに限定されず、接触面122bと領域121dのなす角度が所定角度(例えば5°)以下であることを意味する。接触面122bが領域121dと平行に形成されることにより、突起部122aは、ガイド部材121の搬送面121aによって案内された媒体を、下流側に向けてスムーズに案内することができる。
【0055】
仮に、領域121dに対して接触面122bの下流側が沈むように(給送ローラ112側に向かうように)接触面122bが傾いている場合、媒体の搬送に伴って媒体が突起部122aから受ける負荷の大きさが徐々に大きくなり、媒体の搬送力が低減する。また、その場合、媒体が傾いて搬送されたときに、媒体が左右の突起部122aから受ける負荷の大きさが異なるため、媒体の傾きがより増大する。一方、領域121dに対して接触面122bの下流側が浮くように(分離ローラ113側に向かうように)接触面122bが傾いている場合、突起部122aが媒体に腰付けを行うために付与する力が低減する。接触面122bが領域121dと平行となるように設けられることにより、媒体搬送装置100は、媒体の搬送力の低減及び媒体のスキューの発生を抑制しつつ、媒体に良好に腰付けを行うことが可能となる。
【0056】
突起部122aは、媒体搬送方向A1と直交する幅方向A8から見て、少なくとも一部が給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部、及び、給送ローラ112の、そのニップ部より媒体搬送方向A1の上流側の領域と重なるように配置される。即ち、突起部122aの上流側の端部P1は、媒体搬送方向A1において、給送ローラ112の上流側の端部より下流側に、且つ、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部の上流側の端部より上流側に配置される。これにより、給送される媒体には、突起部122aにより、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部の手前から腰付けがなされる。したがって、媒体搬送装置100は、媒体の剛性を向上させることが可能となり、媒体がニップ部に進入する際に媒体のジャムが発生することを抑制できる。また、給送される媒体の先端が上側にカールしている場合でも、カールした部分は突起部122aによって押さえられるため、媒体は、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部に良好に案内される。
【0057】
また、突起部122aの下流側の端部P2は、媒体搬送方向A1において、給送ローラ112の中心O1と分離ローラ113の中心O2を結ぶ直線L1より下流側に、且つ、給送ローラ112の下流側の端部より上流側に配置される。また、端部P2は、媒体搬送方向A1において、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部の下流側の端部の近傍に配置される。特に、端部P2は、媒体搬送方向A1において、そのニップ部の下流側の端部より上流側に配置される。なお、端部P2は、媒体搬送方向A1において、そのニップ部の下流側の端部より下流側に配置されてもよい。一般に、媒体のジャムは、媒体がニップ部に進入する直前からニップ部を通過中の期間に発生しやすい。突起部122aがニップ部の下流側の端部の近傍まで延伸することにより、媒体には、ニップ部の近傍において突起部122aにより腰付けがなされる。したがって、媒体搬送装置100は、媒体の剛性を向上させることが可能となり、媒体がニップ部を通過中に、媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0058】
また、突起部122aは、搬送面121aと直交する高さ方向において、少なくとも一部が給送ローラ112の上端より下側に位置するように配置される。突起部122aの下面は、給送ローラ112の上端より所定距離T1(例えば0.1mm以上且つ5mm以下)以上、下側に位置するように配置される。
【0059】
図8は、給送機構120により媒体M1が給送される様子を示す模式図である。
図8は、給送機構120を側方から見た模式図である。
【0060】
図8に示すように、給送される媒体M1は、幅方向A8における外側部分が突起部122aにより押し下げられることにより、給送ローラ112と対向する部分が、給送ローラ112の表面に沿って延伸する。これにより、媒体M1は、媒体搬送方向A1において、波打つように撓むため、媒体搬送装置100は、媒体M1に腰付けを行うことが可能となり、媒体搬送方向A1に進行する媒体M1の剛性を向上させることが可能となる。したがって、媒体として、薄紙、封筒又は複写紙が搬送される場合でも、媒体搬送装置100は、媒体のジャムの発生を抑制させることが可能となる。
【0061】
図9は、給送アーム122、給送ローラ112及び分離ローラ113を上流側から見た斜視図である。
図10は、
図4のB-B’断面図である。即ち、
図10は、給送機構120を側方から見た図である。
図11は、給送アーム122を上流側から見た斜視図である。
【0062】
図9に示すように、給送アーム122は、押圧ローラ122c及び第2突起部122dをさらに有する。
【0063】
図9及び
図10に示すように、押圧ローラ122cは、給送ローラ112と対向し、且つ、給送ローラ112及び分離ローラ113のニップ部より媒体搬送方向A1の上流側に配置される。押圧ローラ122cは、媒体搬送方向A1において、突起部122aの上流側の端部P1の近傍に配置される。押圧ローラ122cは、給送ローラ112により給送される媒体を、上方から給送ローラ112側に押圧する。
図9及び
図10に示す例では、給送アーム122は、二つの押圧ローラ122cを有している。押圧ローラ122cは、給送ローラ112との間で媒体を挟み込み、給送ローラ112により給送される媒体に搬送力を与える。これにより、媒体搬送装置100は、媒体を良好に給送することが可能となる。
【0064】
押圧ローラ122cは、突起部122aが設けられる給送アーム122に設けられ、突起部122aと連動して移動するように設けられる。これにより、媒体搬送装置100は、給送アーム122及び押圧ローラ122cをシンプルに制御することが可能となり、媒体搬送装置100の開発コストを低減させることが可能となる。また、媒体搬送装置100は、突起部122a及び押圧ローラ122cを一つの部品で構成することにより、装置コスト及び装置重量を低減させることが可能となる。
【0065】
なお、幅方向A8において、媒体の中央部が押圧ローラ122cによって押さえられることにより、媒体の外側部分が浮き上がりやすくなる。しかしながら、媒体の外側部分は、突起部122aによって押さえられるため、媒体搬送装置100は、浮き上がった媒体の側面が分離ローラ113のゴム面に接触して媒体の座屈が発生することを抑制できる。
【0066】
図9及び
図11に示すように、第2突起部122dは、給送ローラ112と対向し、且つ、給送ローラ112及び分離ローラ113のニップ部より媒体搬送方向A1の上流側に配置される。即ち、第2突起部122dは、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部より分離ローラ113側(上側)に位置する。第2突起部122dは、給送ローラ112により給送される媒体を、給送ローラ112及び分離ローラ113のニップ部に案内する。
図9及び
図11に示す例では、給送アーム122は、一つの給送ローラ112に対して、各押圧ローラ122cを幅方向A8において挟むように配置された二つの第2突起部122dを有しており、合計で四つの第2突起部122dを有している。
【0067】
給送される媒体は、第2突起部122dによって、給送ローラ112及び分離ローラ113のニップ部に案内される。特に、給送される媒体が、先端が上側にカールした媒体又は薄紙等である場合であっても、媒体搬送装置100は、媒体をニップ部に、より確実に案内することが可能となる。媒体搬送装置100は、媒体の給送ローラ112と対向する部分の浮き上がりを第2突起部122dで押さえつつ、媒体の給送ローラ112と対向しない部分の浮き上がりを突起部122aで押さえることが可能となる。これにより、媒体搬送装置100は、媒体の先端の浮き上がりの発生をより良好に抑制し、先端が浮き上がった媒体が分離ローラ113により跳ね上げられて、媒体の座屈が発生することを抑制できる。
【0068】
特に、第2突起部122dは、幅方向A8から見て、押圧ローラ122cと重なるように配置される。即ち、媒体搬送方向A1において、第2突起部122dの上流側の端部は、押圧ローラ122cの近傍に配置され、第2突起部122dの下流側の端部は、給送ローラ112及び分離ローラ113のニップ部の近傍に配置される。これにより、第2突起部122dは、押圧ローラ122cによって押圧された媒体を給送ローラ112及び分離ローラ113のニップ部に適切に案内することができる。なお、第2突起部122dの上流側の端部は、押圧ローラ122cより下流側に配置される。または、第2突起部122dの上流側の端部は、押圧ローラ122cより上流側に配置されてもよい。
【0069】
また、押圧ローラ122c及び/又は第2突起部122dは、省略されてもよい。
【0070】
図12は、セットガイド124及びフラップ125について説明するための模式図である。
図12は、媒体給送前の給送機構120を側方から見た図である。
【0071】
図12に示すように、給送機構120は、さらにセットガイド124及びフラップ125を有する。
【0072】
セットガイド124は、第2ガイド部材の一例であり、媒体をセットするためのガイドである。セットガイド124は、媒体搬送方向A1において給送ローラ112及び分離ローラ113と対向する位置に配置される。セットガイド124は、不図示のモータからの駆動力に従って、下方(
図12の矢印A9の方向)に揺動(回転)可能に下側筐体101に設けられる。セットガイド124は、媒体給送前に、載置台103に載置された媒体M2と給送ローラ112及び押圧ローラ122cとの接触を制限する第1位置(
図12における配置位置)に配置され、載置台103に載置された媒体M2の下面を支持する。
【0073】
フラップ125は、媒体給送前に媒体M2が給送ローラ112と分離ローラ113のニップ位置へ進入することを阻止するためのストッパである。フラップ125は、媒体搬送方向A1においてセットガイド124と対向する位置に配置される。フラップ125は、給送アーム122に、下流側(
図12の矢印A10の方向)に揺動(回転)可能に設けられ、不図示のばねにより、上流側(矢印A10の反対方向)に向けて押圧される。フラップ125は、媒体給送前に、第1位置に配置されたセットガイド124と係合し、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ位置への媒体M2の進入を阻止する。フラップ125は給送アーム122と連動するように設けられ、フラップ125がセットガイド124と係合している場合、給送アーム122はフラップ125及びセットガイド124に支持され、給送アーム122の下方への移動が阻止される。そのため、
図12では、給送アーム122は、分離ローラカバー123内に収納されている。
【0074】
図13は、媒体給送中のセットガイド124及びフラップ125について説明するための模式図である。
図13は、媒体給送中の給送機構120を側方から見た図である。
【0075】
図13に示すように、媒体給送開始時に、セットガイド124は、搬送面121aより下方(矢印A9の方向)に揺動する。これにより、セットガイド124は、媒体給送時に、載置台103に載置された媒体M2と給送ローラ112及び押圧ローラ122cとの接触を許容する第2位置(
図13における配置位置)に配置され、載置台103に載置された媒体M2の下面から離間する。
【0076】
セットガイド124が第2位置に配置されることにより、フラップ125とセットガイド124の係合が解除される。これにより、フラップ125は、載置台103に載置された媒体M2の先端に押されて、下流側(矢印A10の方向)に揺動し、媒体M2は、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ位置へ進入可能となる。このように、フラップ125は、セットガイド124が第2位置に配置された場合に、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ位置への媒体M2の進入を許容する。
【0077】
また、上記したように、給送アーム122は、弾性部材により下方に向けて付勢されているため、フラップ125とセットガイド124の係合が解除されることにより、給送アーム122は、下方へ(給送ローラ112側へ)移動する。
図12及び
図13に示す例では、載置台103に載置された媒体M2の量は十分に小さい。この場合、まず、給送ローラ112が、載置台103に載置された媒体M2のうち最も下側に配置された媒体に接触し、その後、押圧ローラ122cが、載置台103に載置された媒体M2のうち最も上側に配置された媒体に接触する。即ち、押圧ローラ122cは、セットガイド124が第1位置から第2位置に移動した時に、載置台103に載置された媒体の量が所定量未満である場合は、給送ローラ112より後に載置台103に載置された媒体に接触するように設けられる。
【0078】
載置台103に載置された媒体の量が小さい場合、押圧ローラ122cが媒体を押圧した状態で給送ローラ112の回転を開始させると、媒体の先端が上方に撓みやすくなり、媒体のジャムが発生しやすい。媒体搬送装置100は、媒体の量が所定量未満である場合に、押圧ローラ122cより先に給送ローラ112を媒体に接触させて媒体の給送を開始させることにより、媒体の先端が上方に撓んで媒体のジャムが発生することを抑制できる。
【0079】
図14は、載置台103に大量の媒体M3が載置されている場合のセットガイド124及びフラップ125について説明するための模式図である。
図14は、載置台103に大量の媒体M3が載置されている場合の媒体給送開始直後の給送機構120を側方から見た図である。
【0080】
上記したように、媒体の給送が開始すると、セットガイド124が第2位置に配置されてフラップ125とセットガイド124の係合が解除され、給送アーム122が下方へ移動する。
図14に示すように、載置台103に大量の媒体M3が載置されている場合、セットガイド124が下がりきる前に、給送アーム122が下がってくる。そのため、給送ローラ112が、載置台103に載置された媒体M3のうち最も下側に配置された媒体に接触する前に、押圧ローラ122cが、載置台103に載置された媒体M3のうち最も上側に配置された媒体に接触する。即ち、押圧ローラ122cは、セットガイド124が第1位置から第2位置に移動した時に、載置台103に載置された媒体の量が所定量以上である場合は、給送ローラ112より前に載置台103に載置された媒体に接触するように設けられる。
【0081】
載置台103に載置された媒体の量が大きい場合、押圧ローラ122cが媒体を押圧した状態で給送ローラ112の回転を開始させることにより、給送ローラ112は、媒体を良好に繰り出すことができる。特に、載置台103に載置された媒体の量が大きい場合、媒体の量が小さい場合と比較して、弾性部材によって、より大きい付勢力が媒体に付与される。例えば弾性部材が圧縮ばねである場合、付勢力の大きさは、ばねの縮み量にばね定数を乗算した乗算値となる。載置台103に載置された媒体の量が大きい場合、ばねの縮み量が大きく、媒体には押圧ローラ122cによって大きい付勢力が付与されるため、給送ローラ112は、媒体を良好に繰り出すことができる。
【0082】
また、載置台103に載置された媒体の量が大きい場合、最も下側に存在する給送対象の媒体の先端は、その上に配置された媒体の重みによって押さえられるため、媒体の先端が上方に撓む可能性が低い。したがって、媒体搬送装置100は、載置台103に載置された媒体の量が大きく、媒体のジャムが発生する可能性が低い場合に、媒体の繰り出し性を優先させて、媒体を良好に給送させることが可能となる。
【0083】
図15は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0084】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0085】
モータ131は、一又は複数のモータを有し、処理回路150からの制御信号によって、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118を回転させて媒体を搬送させる。なお、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115のうちの一方のローラは他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。また、第1排出ローラ117及び第2排出ローラ118のうちの一方のローラは、他方のローラに従動回転する従動ローラでもよい。また、モータ131は、処理回路150からの制御信号によって、第1位置と第2位置の間でセットガイド124を移動させる。
【0086】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース装置を有してもよい。
【0087】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0088】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0089】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、媒体センサ111、撮像装置116、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、媒体センサ111から受信した媒体信号に基づいて、モータ131の駆動制御、撮像装置116の撮像制御等を行い、撮像装置116から入力画像を取得し、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。
【0090】
図16は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0091】
図16に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び画像取得プログラム142等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151及び画像取得部152として機能する。
【0092】
図17は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0093】
以下、
図17に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。なお、
図17に示したフローチャートが実行される前、即ち媒体給送前に、セットガイド124は第1位置に配置されている。
【0094】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置132から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0095】
次に、制御部151は、媒体センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0096】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、モータ131を駆動して、セットガイド124を第1位置から第2位置に移動させる。また、制御部151は、モータ131を駆動して、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118を回転させて、媒体を搬送させる(ステップS103)。
【0097】
次に、制御部151は、撮像装置116に媒体を撮像させて、撮像装置116から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS104)。
【0098】
次に、制御部151は、媒体センサ111から受信する媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS105)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S105の処理を繰り返す。
【0099】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第1排出ローラ117及び/又は第2排出ローラ118を停止させるように、モータ131を制御する。また、制御部151は、セットガイド124を第2位置から第1位置に移動させるように、モータ131を制御し(ステップS106)、一連のステップを終了する。
【0100】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、媒体の搬送面121aの給送ローラ112の周辺領域に凹部121cを設ける。さらに、媒体搬送装置100は、媒体の給送ローラ112より外側の領域を、給送ローラ112と分離ローラ113のニップ部より給送ローラ112側に案内する突起部122aを設ける。これにより、媒体搬送装置100は、薄紙、封筒又は複写紙等の様々な種類の媒体が搬送された場合に、媒体のジャムが発生することを抑制することが可能となった。したがって、媒体搬送装置100は、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0101】
また、媒体搬送装置100は、給送モードが非分離モードに設定されている場合でも、封筒又は複写紙等の綴られた媒体を搬送することが可能となった。これにより、媒体搬送装置100は、複数の封筒又は複写紙等を連続して搬送することが可能となった。また、利用者は、封筒又は複写紙等の綴られた媒体を搬送する場合に、給送モードの設定を変更する必要がなくなり、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0102】
図18は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における突起部222aについて説明するための模式図である。
図18は、給送機構220を下流側から見た模式図である。
図18では、視認性を高めるために、給送アームの突起部222a以外の部分の表示が省略されている。
【0103】
図18に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、給送機構120の代わりに給送機構220を有し、給送機構220は、突起部122aの代わりに突起部222aを有する。突起部222aは、突起部122aと同様の構成を有する。
【0104】
但し、突起部222aの先端(下側の端部)は、丸まった形状を有している。即ち、突起部222aの、給送ローラ112により給送される媒体と接触する接触面は、R形状を有している。これにより、媒体搬送装置は、媒体M4としてノーカーボン紙が給送された場合に、ノーカーボン紙が突起部222aの先端に接触して発色することを抑制できる。さらに、媒体搬送装置は、媒体として封筒又は厚紙等が給送された場合に、突起部222aの先端によって、媒体に縦筋が発生することを抑制できる。
【0105】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、R形状を有する突起部222aを用いる場合も、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0106】
図19(a)、(b)は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における突起部322aについて説明するための模式図である。
図19(a)、(b)は、給送機構320を下流側から見た模式図である。
図19(a)、(b)では、視認性を高めるために、給送アームの突起部322a以外の部分の表示が省略されている。
図19(a)は、薄紙、複写紙等の剛性の低い媒体M5が給送されている様子を示し、
図19(b)は、厚紙等の剛性の高い媒体M6が給送されている様子を示す。
【0107】
図19(a)、(b)に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、給送機構120の代わりに給送機構320を有し、給送機構320は、突起部122aの代わりに突起部322aを有する。突起部322aは、突起部122aと同様の構成を有する。
【0108】
但し、突起部322aは、固定部322e及び可動部322fを含む。固定部322e及び可動部322fは、例えば、金属等の剛性物質で形成される。固定部322eは、給送アームに固定される。可動部322fは、固定部322eに弾性部材322gを介して、幅方向A8の外側(矢印A11の方向)に揺動可能に支持される。弾性部材322gは、ねじりコイルばね等であり、不図示のストッパにより、可動部322fが搬送面121aと略直交する位置(
図19(a)の配置位置)で停止するように、可動部322fに、幅方向A8の内側(矢印A11の反対方向)に向けて力を付与する。
【0109】
図19(a)に示すように、給送される媒体M5の剛性が低い場合、媒体M5は、突起部322aによって撓む。したがって、媒体搬送装置100は、剛性が低い媒体M5に腰付けを行うことが可能となり、媒体搬送方向A1に進行する媒体M5の剛性を向上させることが可能となる。一方、
図19(b)に示すように、給送される媒体M6の剛性が高い場合、突起部322aは、媒体M6によって、幅方向A8の外側(矢印A11の方向)に揺動する。したがって、媒体搬送装置100は、剛性が高い媒体M6を突起部322aによって変形させてしまい、媒体M6を損傷させることを抑制できる。なお、剛性が高い媒体M6については、突起部322aが腰付けを行わなくても、媒体の座屈及びジャムが発生する可能性は十分に低い。
【0110】
このように、突起部322aは、全体として弾性を有する。これにより、媒体搬送装置は、剛性の低い媒体のジャムが発生することを抑制しつつ、剛性の高い媒体の損傷が発生することを抑制できる。
【0111】
なお、突起部322aは、ゴム又は樹脂等の可撓性物質で一体的に形成されてもよい。その場合、突起部322aは、一体で弾性を有する。その場合も、媒体搬送装置は、剛性の低い媒体のジャムが発生することを抑制しつつ、剛性の高い媒体の損傷が発生することを抑制できる。また、突起部322aが一体で形成されることにより、媒体搬送装置は、装置コスト及び装置重量を低減させることが可能となる。
【0112】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、弾性を有する突起部322aを用いる場合も、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0113】
図20(a)、(b)は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置におけるガイド部材421について説明するための模式図である。
図20(a)、(b)は、給送機構420を下流側から見た模式図である。
図20(a)、(b)では、視認性を高めるために、給送アーム122の突起部122a以外の部分の表示が省略されている。
図20(a)は、薄紙、複写紙等の軽い媒体M7が給送されている様子を示し、
図20(b)は、厚紙等の重い媒体M8が給送されている様子を示す。
【0114】
図20(a)、(b)に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、給送機構120の代わりに給送機構420を有し、給送機構420は、ガイド部材121の代わりにガイド部材421を有する。ガイド部材421は、ガイド部材121と同様の構成を有する。
【0115】
但し、ガイド部材421は、媒体搬送方向A1に対して給送ローラ112の左右に位置する凹部421cより媒体搬送方向と直交する幅方向A8の外側に配置された移動部421dを有する。移動部421dと、ガイド部材421の基部との間には、弾性部材421eが設けられる。弾性部材421eは、圧縮コイルばね又はゴム等であり、移動部421dに、上方(矢印A12の方向)に向かう力を付与する。移動部421dは、移動部421d上に存在する媒体の重みによって、弾性部材421eを押し返し、下方へ移動する。即ち、移動部421dは、給送される媒体の重量に応じて搬送面421aと直交する方向に移動可能に設けられる。
【0116】
これにより、薄紙等の重量の小さい媒体M7が給送される時には、移動部421dの配置位置が高くなり、移動部421dの上面と、凹部421cとの間の段差が十分に大きくなる。そのため、媒体搬送装置は、媒体M7に十分に腰付けを行うことが可能となる。一方、厚紙等の重量の大きい媒体M8が給送される時には、移動部421dの配置位置が低くなり、移動部421dの上面と、凹部421cとの間の段差が十分に小さくなる。そのため、媒体搬送装置は、媒体M8が凹部421cによって変形してしまい、媒体M8の損傷が発生することを抑制できる。
【0117】
図20(a)に示すように、弾性部材421eが縮んでいない場合、移動部421dは、給送ローラ112の上面より高い第1位置(
図20(a)に示す配置位置)に配置される。これにより、薄紙等の重量の小さい媒体M7が給送される時には、移動部421dの上面と、凹部421cとの間の段差が十分に大きくなるため、媒体搬送装置は、媒体M7に十分に腰付けを行うことが可能となる。
【0118】
一方、
図20(b)に示すように、弾性部材421eが最も縮んでいる場合、移動部421dは、給送ローラ112の上面より低い第2位置(
図20(b)に示す配置位置)に配置される。これにより、厚紙等の重量の大きい媒体M8が給送される時には、移動部421dの上面に対して給送ローラ112が突出するため、媒体搬送装置は、媒体M8に十分な搬送力を付与して媒体M8を良好に給送することが可能となる。
【0119】
このように、移動部421dは、搬送面421aと直交する方向A12において、給送ローラ112の上面より高い第1位置と、給送ローラ112の上面より低い第2位置との間で移動可能に設けられる。
【0120】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、ガイド部材421を移動可能に設ける場合も、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0121】
図21(a)は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における給送アーム522について説明するための模式図である。
【0122】
図21(a)に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、給送機構120の代わりに給送機構520を有し、給送機構520は、給送アーム122の代わりに給送アーム522を有する。給送アーム522は、給送アーム122と同様の構成を有する。
【0123】
但し、給送アーム522は、突起部522a、押圧ローラ522c及び基部522eを有する。基部522eは、上側筐体102に固定されるように設けられる。突起部522a及び押圧ローラ522cは、それぞれ給送アーム122の突起部122a及び押圧ローラ122cと同様の構成を有する。但し、突起部522aは、第1弾性部材522hを介して基部522eに支持される。第1弾性部材522hは、圧縮コイルばね又はゴム等であり、突起部522aに、下方に向かう力を付与する。また、押圧ローラ522cは、第2弾性部材522iを介して基部522eに支持される。第2弾性部材522iは、圧縮コイルばね又はゴム等であり、押圧ローラ522cに、下方に向かう力を付与する。
【0124】
このように、押圧ローラ522cは、基部522eと突起部522aの間に設けられた第1弾性部材522hとは別の第2弾性部材522iを介して基部522eに支持される。これにより、押圧ローラ522cは、突起部522aと独立して移動するように設けられる。
【0125】
一般に、厚紙等の剛性の高い媒体を良好に搬送するためには、剛性の低い媒体を搬送する場合より大きい搬送力が必要である。押圧ローラが突起部と連動して移動する場合、剛性の高い媒体が搬送されたときに、突起部が媒体によって押し上げられ、それに伴い、押圧ローラが上昇して(浮き上がり)、媒体を押圧する力が低減し、搬送力が低減する。一方、押圧ローラ522cが突起部522aと独立して移動する場合、突起部522aが剛性の高い媒体によって押し上げられても、押圧ローラ522cは上昇せずに媒体を押圧し続ける。したがって、媒体搬送装置は、薄紙等の剛性の低い媒体のジャムが発生することを抑制しつつ、厚紙等の剛性の高い媒体を良好に搬送することができる。
【0126】
また、
図21(a)に示すように、媒体搬送方向A1において、突起部522aは、押圧ローラ522cより下流側に設けられてもよい。押圧ローラが突起部と連動して移動する場合、厚紙等の厚い媒体が搬送された後に続けて薄い媒体が搬送されたときに、先行する媒体の後端によって突起部が押し上げられ、それに伴い、押圧ローラが上昇して、後続する媒体の先端から離れる可能性がある。一方、押圧ローラ522cが突起部522aと独立して移動する場合、先行する媒体によって突起部522aが押し上げられても、押圧ローラ522cは上昇せずに、後続する媒体を押圧し続ける。したがって、媒体搬送装置は、それぞれ厚さの異なる複数の媒体が連続して給送される場合であっても、各媒体を良好に給送することができる。
【0127】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、押圧ローラ522cが突起部522aと独立して移動するように設けられている場合も、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0128】
図21(b)は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における給送アーム622について説明するための模式図である。
【0129】
図21(b)に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、給送機構520の代わりに給送機構620を有し、給送機構620は、給送アーム522の代わりに給送アーム622を有する。給送アーム622は、給送アーム522と同様の構成を有する。
【0130】
但し、給送アーム622は、突起部622a、押圧ローラ622c及び基部622eを有する。基部622eは、上側筐体102に固定されるように設けられる。突起部622a、押圧ローラ622c及び基部622eは、それぞれ給送アーム522の突起部522a、押圧ローラ522c及び基部522eと同様の構成を有する。但し、突起部622aは、第1弾性部材622hを介して基部622eに支持される。第1弾性部材622hは、圧縮コイルばね又はゴム等であり、突起部622aに、下方に向かう力を付与する。また、押圧ローラ622cは、第2弾性部材622iを介して突起部622aを含む部材に支持される。第2弾性部材622iは、圧縮コイルばね又はゴム等であり、押圧ローラ622cに、下方に向かう力を付与する。
【0131】
この場合も、押圧ローラ622cは、突起部622aと独立して移動するように設けられる。したがって、媒体搬送装置は、薄紙等の剛性の低い媒体のジャムが発生することを抑制しつつ、厚紙等の剛性の高い媒体を良好に搬送することができる。また、媒体搬送装置は、それぞれ厚さの異なる複数の媒体が連続して給送される場合であっても、各媒体を良好に搬送することができる。
【0132】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、押圧ローラ622cが突起部622aと独立して移動するように設けられている場合も、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0133】
なお、給送アーム522又は給送アーム622は、第2突起部122dと同様の第2突起部をさらに有してもよい。その場合、第2突起部は、突起部522a又は突起部622aと連動して移動し、押圧ローラ522c又は押圧ローラ622cと独立して移動するように設けられる。
【0134】
図22は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置におけるガイド部材721について説明するための模式図である。
【0135】
図22に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、給送機構120の代わりに給送機構720を有し、給送機構720は、ガイド部材121の代わりにガイド部材721を有する。ガイド部材721は、ガイド部材121と同様の構成を有する。ガイド部材721は、開口部121bと同様の開口部721bを有し、ガイド部材721の搬送面721aは、凹部121cと同様の凹部721cを有する。
【0136】
但し、開口部721bは、開口部121bと比較して小さく、凹部721cは、幅方向A8において、給送ローラ112の近傍まで存在している。そのため、突起部122aは、凹部721cと対向する位置に配置される。
【0137】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、突起部122aが凹部721cと対向する位置に配置される場合も、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0138】
図23は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置におけるガイド部材821について説明するための模式図である。
【0139】
図23に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、給送機構120の代わりに給送機構820を有し、給送機構820は、ガイド部材121の代わりにガイド部材821を有する。ガイド部材821は、ガイド部材121と同様の構成を有する。ガイド部材821の搬送面821aは、凹部121cと同様の凹部821cを有する。
【0140】
但し、ガイド部材821は、開口部121bを有さず、代わりに切り欠き部821bを有する。給送ローラ112は、切り欠き部821b内に配置される、突起部122aは、切り欠き部821bと対向する位置に配置される。
【0141】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、ガイド部材821が切り欠き部821bを有する場合も、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0142】
図24は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置におけるガイド部材921について説明するための模式図である。
【0143】
図24に示すように、本実施形態に係る媒体搬送装置は、給送機構820の代わりに給送機構920を有し、給送機構920は、ガイド部材821の代わりにガイド部材921を有する。ガイド部材921は、ガイド部材821と同様の構成を有する。ガイド部材921は、切り欠き部821bと同様の切り欠き部921bを有し、ガイド部材921の搬送面921aは、凹部821cと同様の凹部921cを有する。
【0144】
但し、切り欠き部921bは、切り欠き部821bと比較して小さく、凹部921cは、幅方向A8において、給送ローラ112の近傍まで存在している。そのため、突起部122aは、凹部921cと対向する位置に配置される。
【0145】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、ガイド部材921が切り欠き部921bを有し、突起部122aが凹部921cと対向する位置に配置される場合も、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【0146】
図25は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路1050の概略構成を示す図である。処理回路1050は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路1050は、制御回路1051及び画像取得回路1052等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0147】
制御回路1051は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路1051は、操作装置105又はインタフェース装置132から操作信号を、媒体センサ111から媒体信号を受信する。制御回路1051は、受信した各情報に基づいてモータ131を制御する。
【0148】
画像取得回路1052は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路1052は、撮像装置116から入力画像を取得し、インタフェース装置132に出力する。
【0149】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路1050を用いる場合においても、複数の種類の媒体を適切に給送することが可能となった。
【符号の説明】
【0150】
100 媒体搬送装置、103 載置台、112 給送ローラ、113 分離ローラ、121、421 ガイド部材、121a 搬送面、121b 開口部、121c、421c 凹部、121b、721b 開口部、122、522、622 給送アーム、122a、222a、322a、522a、622a 突起部、122b 接触面、122c、522c、622c 押圧ローラ、122d 第2突起部、124 セットガイド、421d 移動部、821b、921b 切り欠き部
【手続補正書】
【提出日】2024-06-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台と、
媒体を給送する給送ローラと、
前記載置台に載置された媒体を前記給送ローラ側に押圧するアームと、を有し、
前記アームは、媒体給送開始時に、前記載置台に載置された媒体の量が所定量以上である場合、前記給送ローラより前に前記載置台に載置された媒体に接触するように設けられる、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記アームは、媒体給送開始時に、前記載置台に載置された媒体の量が前記所定量未満である場合、前記給送ローラより後に前記載置台に載置された媒体に接触するように設けられる、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記アームを前記給送ローラ側に押圧する弾性部材をさらに有する、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
媒体給送前に、前記載置台に載置された媒体と前記給送ローラ及び前記アームとの接触を制限する第1位置に配置され、媒体給送時に、前記載置台に載置された媒体と前記給送ローラ及び前記アームとの接触を許容する第2位置に配置されるガイドと、
媒体給送開始時に、前記ガイドを前記第1位置から前記第2位置に移動させる制御部と、をさらに有する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記制御部は、媒体搬送完了後に、前記ガイドを前記第2位置から前記第1位置に移動させる、請求項4に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記給送ローラと対向して配置される分離部と、
前記ガイドが前記第1位置に配置された状態で、前記給送ローラと前記分離部のニップ位置への媒体の進入を阻止するストッパと、
媒体搬送方向に対して、前記分離部の左右に配置された突起部と、をさらに有し、
前記ストッパ及び前記突起部は、前記アームに設けられる、請求項4または5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記ストッパは、前記ガイドが前記第1位置に配置された状態で、前記アームの前記給送ローラ側への移動をさらに阻止する、請求項6に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記アームは、前記載置台に載置された媒体を前記給送ローラ側に押圧する押圧ローラを有する、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記給送ローラと対向して配置される分離部と、
媒体搬送方向に対して、前記分離部の左右に配置された突起部と、をさらに有し、
前記押圧ローラは、前記突起部と連動して移動するように設けられている、請求項8に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記給送ローラと対向して配置される分離部と、
媒体搬送方向に対して、前記分離部の左右に配置された突起部と、をさらに有し、
前記押圧ローラは、前記突起部と独立して移動するように設けられている、請求項8に記載の媒体搬送装置。