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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107467
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】茶葉の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/06 20060101AFI20240801BHJP
   A23F 3/20 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A23F3/06 301B
A23F3/20
A23F3/06 301F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097569
(22)【出願日】2024-06-17
(62)【分割の表示】P 2020073881の分割
【原出願日】2020-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000104375
【氏名又は名称】カワサキ機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 宏文
(72)【発明者】
【氏名】高木 徳明
(72)【発明者】
【氏名】栗田 宏樹
(57)【要約】
【課題】製造工程を増加させることなく茶葉中のカフェイン成分を溶出させることができる茶葉の製造方法を提供する。
【解決手段】茶葉中のカフェイン成分を溶出してカフェインを低減する茶葉の製造方法であって、茶葉を水に濡らす工程と、蒸し機における茶葉を収容し得る胴部及び当該胴部に収容された茶葉を攪拌する攪拌手段の回転動作により茶葉を攪拌しつつ蒸す蒸し工程S1と、蒸し工程S1で蒸された茶葉を冷却する冷却工程S2と、冷却工程S2で冷却された茶葉を脱水する脱水工程S4とを含むものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉中のカフェイン成分を溶出してカフェインを低減する茶葉の製造方法であって、
茶葉を水に濡らす工程と、
蒸し機における茶葉を収容し得る胴部及び当該胴部に収容された茶葉を攪拌する攪拌手段の回転動作により茶葉を攪拌しつつ蒸す蒸し工程と、
前記蒸し工程で蒸された茶葉を冷却する冷却工程と、
前記冷却工程で冷却された茶葉を脱水する脱水工程と、
を含むことを特徴とする茶葉の製造方法。
【請求項2】
前記冷却工程で冷却された茶葉に打圧を加える打圧工程を含むことを特徴とする請求項1記載の茶葉の製造方法。
【請求項3】
前記脱水工程は、搬送手段で搬送される過程の茶葉を加圧して脱水する脱水機により行われることを特徴とする請求項1記載の茶葉の製造方法。
【請求項4】
前記脱水機は、前記搬送手段上の茶葉に対して所定の荷重を付与して加圧し得るローラを有するとともに、前記茶葉に付与する荷重又は前記ローラ及び搬送手段の速度比を任意に調整して脱水することを特徴とする請求項3記載の茶葉の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉中のカフェイン成分を溶出してカフェインを低減する茶葉の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紅茶品種の茶葉や夏に収穫する茶葉(夏茶)等を緑茶の製造方法で加工した場合、苦渋味が強く、色がくすんだ製品となってしまうことがある。これは、紅茶品種の茶葉や夏茶等は、カフェインやカテキン等の苦渋み成分が多く、また葉肉が比較的厚いためと考えられるが、カフェイン等の苦渋み成分を溶出するために、例えば特許文献1にて開示された技術を用いることができる。かかる従来技術によれば、湯がき工程を有することにより、茶葉のカフェイン量を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-110797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、湯がき工程を有することにより、苦渋み成分を溶出してカフェイン量を調整することができるものの、湯がきのための専用工程が別個に必要とされ、製造工程が増加してしまうため、設備導入費用が多大になってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、設備導入費用を抑えながら効率よく茶葉中のカフェイン成分を溶出させることができる茶葉の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、茶葉中のカフェイン成分を溶出してカフェインを低減する茶葉の製造方法であって、茶葉を水に濡らす工程と、蒸し機における茶葉を収容し得る胴部及び当該胴部に収容された茶葉を攪拌する攪拌手段の回転動作により茶葉を攪拌しつつ蒸す蒸し工程と、前記蒸し工程で蒸された茶葉を冷却する冷却工程と、前記冷却工程で冷却された茶葉を脱水する脱水工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の茶葉の製造方法において、前記冷却工程で冷却された茶葉に打圧を加える打圧工程を含むことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の茶葉の製造方法において、前記脱水工程は、搬送手段で搬送される過程の茶葉を加圧して脱水する脱水機により行われることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の茶葉の製造方法において、前記脱水機は、前記搬送手段上の茶葉に対して所定の荷重を付与して加圧し得るローラを有するとともに、前記茶葉に付与する荷重又は前記ローラ及び搬送手段の速度比を任意に調整して脱水することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、設備導入費用を抑えながら効率よく茶葉中のカフェイン成分を溶出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る茶葉の製造方法を示すフローチャート
図2】本発明の実施形態に係る茶葉の製造システムを示すブロック図
図3】同茶葉の製造システムに適用された蒸機を示す平面図
図4】同蒸機を示す側面図
図5】同蒸機の内部構成を示す縦断面図
図6】同茶葉の製造システムに適用された打圧機を示す平面図
図7】同打圧機の内部構成を示す縦断面図
図8】同茶葉の製造システムに適用された脱水機を示す平面図
図9】同脱水機を示す側面図
図10】同脱水機におけるメッシュベルト及びローラによる脱水作用を説明するための模式図
図11】同脱水機を蒸工程と乾燥工程との間に設置した状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る茶葉の製造方法は、カフェイン等の茶葉中の成分を溶出することができる方法であり、図1に示すように、茶葉を蒸して酵素を失活させる蒸し工程S1、蒸し工程S1で蒸された茶葉を冷却する冷却工程S2、茶葉を打圧して柔らかくする打圧工程S3、乾燥工程S5が行われる前において茶葉を加圧して脱水する脱水工程S4及び茶葉を乾燥する乾燥工程S5を有する。
【0013】
また、本実施形態に係る茶葉の製造システムは、図2に示すように、蒸し工程S1を行う蒸機1と、冷却工程S2を行う冷却機2と、打圧工程S3を行う打圧機3と、脱水工程S4を行う脱水機4と、乾燥工程S5を行う乾燥機5とを有するものである。
【0014】
本実施形態に係る蒸機1は、給葉機から投入された生葉を、撹拌しながら蒸気と混合して蒸すことにより酵素を失活させ得るもので、図3~5に示すように、投入部6と、胴部7と、羽根状部材8(撹拌手段)とを有して構成されている。なお、床面に固定フレームF1が固定されるとともに、当該固定フレームF1に対して揺動可能に連結された可動フレームF2には、投入部6及び胴部7が配設されている。そして、可動フレームF1を固定フレームF1に対して揺動させることにより、投入部6及び胴部7が所定角度傾斜し得るよう構成されている。
【0015】
投入部6は、可動フレームF2に固定されるとともに、茶葉を投入可能な投入口6a及び蒸気供給手段Kと接続されて内部の収容空間に蒸気を供給可能な供給口6bが形成されている。胴部7は、投入部6の一端に連結されるとともに、投入口6aから投入された茶葉を収容し得る筒状部材から成り、可動フレームF2上において軸線周りに回転可能とされている。また、本実施形態に係る胴部7は、蒸気を通過させ得る網目状の部材で構成されている。羽根状部材8(撹拌手段)は、胴部7内の茶葉を掻き上げて攪拌するもので、投入部6及び胴部7の内部において軸線方向に延設された軸部材L1に複数形成されている。
【0016】
しかるに、蒸気供給手段Kから供給された蒸気は、配管H1を介して一対の配管H2を流れ、供給口6bから投入部6の内部に噴出されることとなる。そして、胴部7を投入部6に対して回転させつつ軸部材L1を回転駆動させることにより羽根状部材8を回転させた後、投入口6aから茶葉を投入することにより、投入された茶葉が胴部7及び羽根状部材8の回転動作により撹拌されるとともに、供給口6bから供給された蒸気により蒸されることとなる。このように、蒸気で蒸された茶葉は、羽根状部材8により撹拌されつつ回転する胴部7内を通過して排出口Nから排出される。
【0017】
ここで、本実施形態においては、投入口6aから胴部7に投入される茶葉が水に濡れた状態とされている。例えば、蒸し工程S1が行われる前において、茶葉を水に濡らす浸漬工程を行うようにすることができる。当該浸漬工程は、投入口6aに投入する茶葉に対して、洗浄機を使用して水(冷水又は熱水)による洗浄を行う工程として、茶葉の洗浄を兼ねて水に濡らすようにしてもよく、或いはシャワー水を茶葉に噴射又は噴霧することにより、茶葉を十分に水に濡らす工程とすることができる。また、冷水又は熱水が収容された水槽に茶葉を浸漬した後、その濡れた茶葉を投入口6aに投入するようにしてもよい。
【0018】
このように、胴部7に投入される前の茶葉が水に濡れた状態とされているので、胴部7及び羽根状部材8の回転動作により茶葉が撹拌されつつ蒸される過程において、茶葉中のカフェイン等の任意の成分を溶出することができる。すなわち、本実施形態に係る蒸機1によれば、胴部7を通過する過程において、水に濡れた状態の茶葉を蒸して酵素を失活させつつカフェイン等の茶葉中の成分を溶出することができるのである。
【0019】
さらに、本実施形態に係る蒸機1においては、胴部7に投入される前の茶葉が水に濡れた状態とされているが、胴部7内に水(熱水)を供給して茶葉を水に濡らすようにしてもよい。この場合、胴部7内に水を供給するシャワー等の供給手段を具備させるのが好ましく、これにより、胴部7を通過する過程において、茶葉を蒸して酵素を失活させつつ水に濡れた状態とし、カフェイン等の茶葉中の成分を溶出することができる。なお、胴部7の外部から水をかけて茶葉を濡らすようにしてもよい。
【0020】
特に、胴部7内に供給する水は、10~100℃(特に好ましくは85℃以上)、20~180秒(特に好ましくは60秒以上)蒸すのが好ましい。このような条件とすることにより、カフェイン等の茶葉内の成分を良好に溶出させることができ、茶葉の蒸し作用と成分の溶出作用との両者を効果的に行わせることができる。
【0021】
冷却機2は、蒸機1の排出口Nから排出された茶葉に対して冷水を噴出又は噴霧することにより、蒸機1によって溶出したカフェイン等の成分を洗い流しつつ冷却し得るものとされている。かかる冷却機2は、冷水の噴出又は噴霧に代えて、冷風を茶葉に当てるようにして冷却のみをし得るものとしてもよく、冷水や冷風を茶葉に当てつつ茶葉を蒸機1から打圧機3に搬送させるようにしてもよい。
【0022】
打圧機3は、茶葉に打圧を加えることにより、茶葉を柔らかくし、芯水を浮き上がらせて乾燥工程S5の揉み込みを良好とし、乾燥効率を向上させるためのもので、図6、7に示すように、投入部9と、胴部10と、羽根状部材11と、スクリュー状部材12とを有して構成されている。なお、床面に固定フレームF3が固定されるとともに、当該固定フレームF3に対して揺動可能に連結された可動フレームF4には、投入部9及び胴部10が配設されている。そして、可動フレームF4を固定フレームF3に対して揺動させることにより、投入部9及び胴部10が所定角度傾斜し得るよう構成されている。
【0023】
投入部9は、可動フレームF4に固定されるとともに、茶葉を投入可能な投入口9aが形成されている。胴部10は、投入部9の一端に連結されるとともに、投入口9aから投入された茶葉を収容し得る筒状部材から成り、可動フレームF4上において軸線周りに回転可能とされている。また、本実施形態に係る胴部10は、内周面に複数のダク(凹凸形状)が形成されている。
【0024】
羽根状部材11は、胴部10内の茶葉を掻き上げて攪拌するもので、投入部9及び胴部10の内部において軸線方向に延設された軸部材L2に複数形成されている。また、軸部材L2における投入部9側には、スクリュー状部材12が形成されており、投入口9aから投入された茶葉がスクリュー状部材12により胴部10の内部に向かって搬送され得るよう構成されている。
【0025】
そして、胴部10を投入部9に対して回転させつつ軸部材L2を回転駆動させることにより羽根状部材8及びスクリュー状部材12を回転させた後、投入口9aから茶葉を投入することにより、投入された茶葉が胴部10及び羽根状部材11の回転動作により撹拌されるとともに、茶葉に打撃を加えて打圧することができる。すなわち、羽根状部材11は、茶葉に打撃を加えて打圧し得るよう構成されており、投入部9内の茶葉(蒸葉)は、スクリュー状部材12により胴部10内に搬送されるとともに、羽根状部材11により撹拌されつつ打圧されるようになっている。
【0026】
脱水機4は、水に濡れて蒸機1により酵素が失活された茶葉を加圧して脱水するもので、乾燥工程S5が行われる前において茶葉を加圧して脱水可能とされている。具体的には、本実施形態に係る脱水機4は、乾燥工程S5に茶葉を搬送する過程で脱水し得るもので、図8、9に示すように、蒸機1で酵素が失活された茶葉を乾燥機5に搬送するメッシュベルト13(搬送手段)と、該メッシュベルト13で搬送される過程の茶葉を加圧して脱水するローラ14(加圧手段)とを具備している。
【0027】
メッシュベルト13は、駆動プーリP1及び従動プーリP2に対して無端状に懸架されたメッシュ状(網目状)の搬送体から成り、メインフレームF5に配設されている。そして、駆動プーリP1を駆動させることにより、メッシュベルト13を当該駆動プーリP1及び従動プーリP2の間において移動させることができるので、投入部16から茶葉をメッシュベルト13上に載置することにより、搬出部17まで茶葉を搬送可能とされている。
【0028】
メインフレームF5の上方の位置(本実施形態においては2箇所)には、複数のサブフレームF6が連結して配設されており、それぞれのサブフレームF6には、加圧手段としてのローラ14と、ローラ14を回転駆動するためのモータMと、錘15とが取り付けられている。ローラ14は、サブフレームF6に形成された軸L3を中心として回転可能とされており、図10に示すように、メッシュベルト13がa方向に移動する場合、軸L3を中心としてb方向に回転し得るよう構成されている。
【0029】
また、サブフレームF6は、軸L4を中心としてメインフレームF5に対して揺動可能とされており、当該サブフレームF6の揺動角度を任意に調整することによって、ローラ14とメッシュベルト13の搬送面との間の離間寸法tを調整可能とされている。さらに、錘15は、その自重によってローラ14を加圧し、当該ローラ14を介してメッシュベルト13上の茶葉に対して加圧して脱水し得るものとされている。なお、メインフレームF5の下方には、茶葉を脱水した際に生じた水を受けるための受け板18が取り付けられている。
【0030】
したがって、メッシュベルト13により茶葉を搬送する際、モータMを駆動させてローラ14を回転させることにより、搬送過程の茶葉に対して所定の荷重を付与して加圧することができ、その加圧力により茶葉内の水分を外部に放出させて脱水することができる。また、ローラ14とメッシュベルト13の搬送面との間の離間寸法tを任意調整し、又は錘15の重さや取り付け位置を任意設定することにより、茶葉に付与する荷重を任意に調整することができる。
【0031】
加えて、メッシュベルト13の移動速度とローラ14の回転速度との比率を任意変更することにより、茶葉に付与する荷重を任意に調整することができる。このように、脱水時において、茶葉に付与する荷重又はローラ14及びメッシュベルト13(搬送手段)の速度比を任意に調整することにより、茶葉の破砕程度及び溶出する成分の量を調整することができ、目的に応じた任意の成分を有する茶葉を得ることができる。なお、ローラ14の回転面にローレット加工等を施し、茶葉に対する破砕程度を大きくするようにしてもよい。
【0032】
そして、例えば図11に示すように、メインフレームF5の下方に脚部Hを取り付け、所定角度傾斜させるとともに、搬入部16側に蒸し工程S1及び冷却工程S2を経た茶葉を搬送する搬送装置A、搬出部17側に乾燥工程S5に茶葉を搬送する搬送装置Bを配設することができる。これにより、搬送装置Aにより搬送された茶葉を搬送装置Bに向かって搬送する過程において、脱水機4により脱水することができ、カフェイン等の成分を溶出することができる。
【0033】
乾燥工程S5で使用される乾燥機5は、普通煎茶ライン、碾茶ライン、CTCやミンチ製法などの緑茶製造ラインで使用される種々乾燥装置から成る。かかる乾燥工程S5は、緑茶乾燥設備であれば限定されない。
【0034】
本実施形態によれば、蒸し工程S1は、水に濡れた状態の茶葉を蒸しつつ茶葉中の成分を溶出するものとされ、蒸機1は、投入口6aから投入された茶葉を収容し得る筒状部材から成り、軸線周りに回転可能な胴部7と、該胴部7内の茶葉を掻き上げて攪拌する羽根状部材8(攪拌手段)とを具備するとともに、胴部7は、水に濡れた状態の茶葉を蒸しつつ茶葉中の成分を溶出するので、製造工程を増加させることなくカフェイン等の茶葉中の任意の成分を溶出させることができる。
【0035】
また、蒸し工程S1が行われる前において、茶葉を水に濡らす浸漬工程が行われるものとすることができ、その場合、蒸機1は、胴部7に投入される前の茶葉が水に濡れた状態とされたので、蒸し工程S1または蒸機1に投入する前に十分に茶葉を水に濡らすことができるとともに、茶葉の表面を洗浄することができる。さらに、蒸し工程が行われている過程で茶葉を水に濡らすことができ、その場合、蒸機1は、胴部7内に水(熱水)を供給して茶葉を水に濡らすので、蒸し工程S1の過程で茶葉を水に濡らして茶葉中の任意の成分を溶出させることができる。
【0036】
またさらに、乾燥工程S5が行われる前において、茶葉を加圧して脱水する脱水工程S4が行われるものとされ、水に濡れて蒸機1により酵素が失活された茶葉を加圧して脱水する脱水機4を具備したので、脱水により茶葉中の任意の成分をより確実且つ十分に溶出させることができるとともに、乾燥工程S5または乾燥機5において茶葉をより早く乾燥することができる。しかるに、脱水工程S4によって、カフェイン等の成分の溶出と共に水分を絞り出すことができるので、含有成分の調整と乾燥工程S5の乾燥の効率化とを併せて行わせることができる。
【0037】
特に、本実施形態に係る脱水工程S4は、乾燥工程S5に茶葉を搬送する過程で脱水が行われるものとされ、脱水機4は、蒸機1で酵素が失活された茶葉を乾燥機5に搬送するメッシュベルト13(搬送手段)と、該メッシュベルト13(搬送手段)で搬送される過程の茶葉を加圧して脱水するローラ14(加圧手段)とを具備したので、茶葉を搬送しつつ脱水することができ、茶葉の製造をより効率的に行わせることができる。
【0038】
また、本実施形態に係る加圧手段は、メッシュローラ13(搬送手段)上の茶葉に対して所定の荷重を付与して加圧し得るローラ14から成るとともに、当該茶葉に付与する荷重を任意に調整可能とされたので、製品に応じて溶出する成分量を任意に調整することができる。なお、本実施形態においては、カフェインを溶出してカフェイン成分の含有量を低下させることを目的としているが、カテキン等、他の成分を溶出することを目的としてもよい。
【0039】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば脱水工程S4で使用される脱水機4に代えて、遠心力を利用して脱水する遠心脱水機としてもよく、或いは、2つの回転ローラを所定寸法離間して配設し、その離間部に茶葉を送り込んで脱水するものとしてもよい。また、本実施形態においては、打圧工程S3を経た後、脱水工程S4が行われるものとされているが、打圧工程S3を行わないものとしてもよい。なお、茶葉の品種は限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
茶葉を水に濡らす工程と、蒸し工程と、冷却工程と、脱水工程とを含む茶葉の製造方法であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 蒸機
2 冷却機
3 打圧機
4 脱水機
5 乾燥機
6 投入部
6a 投入口
6b 供給口
7 胴部
8 羽根状部材(攪拌手段)
9 投入部
9a 投入口
10胴部
11 羽根状部材
12 スクリュー状部材
13 メッシュベルト(搬送手段)
14 ローラ(加圧手段)
15 錘
16 投入部
17 排出部
18 受け板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11