IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社寺岡精工の特許一覧

特開2024-107470精算システム、監視端末、およびプログラム
<>
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図1
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図2
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図3
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図4
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図5
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図6
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図7
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図8
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図9
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図10
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図11
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図12
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図13
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図14
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図15
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図16
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図17
  • 特開-精算システム、監視端末、およびプログラム 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107470
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】精算システム、監視端末、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
G07G1/12 331A
G07G1/12 321K
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097668
(22)【出願日】2024-06-17
(62)【分割の表示】P 2020082661の分割
【原出願日】2020-05-08
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】金子 知樹
(72)【発明者】
【氏名】馬場 智幸
(72)【発明者】
【氏名】藤村 辰也
(57)【要約】
【課題】好適な精算を行うこと。
【解決手段】精算システムは、第1の装置と、第2の装置とを有する。第1の装置は、顧客が購入する商品の精算を前記顧客の操作で行う。第2の装置は、店員が操作する装置である。第1の装置は、決済手段と、報知手段とを備える。決済手段は、予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う。報知手段は、前記決済手段による前記決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、その旨を示す報知を前記第2の装置に行わせる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店員の操作で商品を登録する登録装置と、前記登録装置によって登録された商品の精算を顧客の操作で行う複数の精算装置とを有する精算システムにおいて、
前記精算装置は、
予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う決済手段と、
前記決済手段による前記決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、前記不足を示す不足情報を前記登録装置へ送信する送信手段と、
を備え、
前記登録装置は、
複数の前記精算装置のうち、いずれかの前記精算装置から送信された前記不足情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、前記不足を示す報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする精算システム。
【請求項2】
前記登録装置は、前記精算装置の現在の状態に応じた状態画像を表示する表示手段を備え、
前記報知手段は、前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、当該不足情報の送信元の前記状態を示す前記状態画像に対応する領域に、前記報知を示す報知画像を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の精算システム。
【請求項3】
前記報知手段は、商品の登録中に前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、商品の登録場面における前記状態画像に対応する領域に前記報知画像を表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の精算システム。
【請求項4】
店員の操作で商品を登録する登録装置と、前記登録装置によって登録された商品の精算を顧客の操作で行う複数の精算装置とを有する精算システムにおける前記登録装置として第1のコンピュータを機能させ、前記精算装置として第2のコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記第2のコンピュータを、
予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う決済手段、
前記決済手段による前記決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、前記不足を示す不足情報を前記登録装置へ送信する送信手段、
として機能させ、
前記第1のコンピュータを、
複数の前記精算装置のうち、いずれかの前記精算装置から送信された前記不足情報を受信する受信手段、
前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、前記不足を示す報知を行う報知手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精算システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、店員が登録装置で商品を登録し、登録された商品の精算を、精算装置で顧客が自ら行う、いわゆるセルフレジが普及している(例えば、下記特許文献1参照。)。このようなセルフレジにおいて、精算装置では、予め金額が記憶されたプリペイドカード(電子マネー)を用いて電子決済を行うことが可能である。電子決済では、例えば、顧客はスキャナにプリペイドカードをかざすだけで決済が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-102856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、顧客はプリペイドカードをスキャナにかざしているため、仮に、支払い金額に対して、プリペイドカードに記憶されている残額が不足していた場合でも、顧客は支払いが完了したものと誤認識してしまい、その場から立ち去ろうとしてしまうことがある。これにより、料金を回収できないおそれがあるほか、精算が未完了であることによって精算装置に生じるエラーを解除させたりするといった店員の作業負荷が生じてしまうおそれがある。このため、従来技術では、好適な精算を行うことができないことがある、という問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、好適な精算を行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である精算システムは、店員の操作で商品を登録する登録装置と、前記登録装置によって登録された商品の精算を顧客の操作で行う複数の精算装置とを有する精算システムにおいて、前記精算装置は、予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う決済手段と、前記決済手段による前記決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、前記不足を示す不足情報を前記登録装置へ送信する送信手段と、を備え、前記登録装置は、複数の前記精算装置のうち、いずれかの前記精算装置から送信された前記不足情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、前記不足を示す報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とする精算システムである。
【0007】
また、上述した課題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、店員の操作で商品を登録する登録装置と、前記登録装置によって登録された商品の精算を顧客の操作で行う複数の精算装置とを有する精算システムにおける前記登録装置として第1のコンピュータを機能させ、前記精算装置として第2のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記第2のコンピュータを、予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う決済手段、前記決済手段による前記決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、前記不足を示す不足情報を前記登録装置へ送信する送信手段、として機能させ、前記第1のコンピュータを、複数の前記精算装置のうち、いずれかの前記精算装置から送信された前記不足情報を受信する受信手段、前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、前記不足を示す報知を行う報知手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るPOS(Point Of Sales)システムのネットワーク構成図である。
図2】POS端末20の設置例を示す図である。
図3】POS端末20の外観例を示す図である。
図4】POS端末20の構成例を示す図である。
図5】通常モードの動作の概略を説明する模式図である。
図6】会計専用モードの動作の概略を説明する模式図である。
図7】フルセルフモードの動作の概略を説明する模式図である。
図8】精算POS端末20Bが行う精算処理の一例を示すフローチャートである。
図9】登録POS端末20Aが行う不足情報を受信した際の処理の一例を示すフローチャートである。
図10】精算POS端末20Bの客側表示部205に表示される画面の一例を示す説明図である。
図11】精算POS端末20Bの客側表示部205に表示される画面の一例を示す説明図である。
図12】登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される画面の一例を示す説明図である。
図13】登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される画面の一例を示す説明図である。
図14】登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される画面の一例を示す説明図である。
図15】精算POS端末20Bの客側表示部205に表示される画面の一例を示す説明図である。
図16】登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される画面の一例を示す説明図である。
図17】精算POS端末20Bの客側表示部205に表示される画面の他の一例を示す説明図である。
図18】登録POS端末20Aにおいて表示される残額不足報知の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るPOS(Point Of Sales)システムのネットワーク構成図である。図1に示すPOSシステム1は、3台のPOS端末20-1、POS端末20-2、POS端末20-3と、ストアコントローラ(ストアコンピュータ、管理装置)10と、監視端末11とを備える。以下、POS端末20-1、20-2、20-3について特に区別しない場合には、POS端末20と称する。ストアコントローラ10と、監視端末11と、POS端末20とは、LAN55を介して通信可能に接続されている。なお、POSシステム1において、POS端末20の台数は、3台であるが、1台でもよいし、4台以上でもよい。
【0010】
POSシステム1は、スーパーマーケット、ホームセンター、コンビニエンスストア、各種用品店など、種々の店舗に導入可能である。ストアコントローラ10は、店舗内の商品の品目や価格、在庫状況、販売履歴、入出金記録などの各種の情報を記録する。監視端末11は、POS端末20の状況(動作モード、処理状況等)を表示したり、POS端末20を制御したりする。POS端末20は、商品の登録および精算を行うレジスタ装置である。
【0011】
なお、POSシステム1は、店員が所持する携帯端末を備えていてもよい。携帯端末は、POS端末20の状況(動作モード、処理状況等)を表示したり、POS端末20を制御したりすることが可能である。また、携帯端末は、POS端末20から店員を呼び出す旨の情報を受信して、その旨を表示したりすることも可能である。
【0012】
図2は、POS端末20の設置例を示す図である。図2(A)は、POS端末20を客側から見た斜視図である。図2(B)は、POS端末20を店員側から見た斜視図である。図2(A)に示すように客側から見てPOS端末20の右側にカウンタが置かれている。なお、カウンタは、図示では省略しているが、図2(A)の客側から見てPOS端末20の左側にも置かれる。すなわち、カウンタは、POS端末20の両側に置かれる。カウンタは、買い物かごを載置することが可能である。
【0013】
また、POS端末20は、サインポール220を備える。サインポール220は、発光部を備える。サインポール220の発光部は、例えば、ランプやLED(light emitting diode)であり、所定の色や、所定の点滅態様で点灯可能である。サインポール220の点灯態様により、使用中であることを示したり、警告を示したりする。サインポール220は、POS端末20の最も高い位置に設けられており、POS端末20の周囲にいない店員にも点灯態様を認識させることが可能である。
【0014】
次に、図3および図4を用いて、POS端末20の構成について説明する。
図3は、POS端末20の外観例を示す図である。図3(A)は、POS端末20を客側から見た正面図である。図3(B)は、POS端末20を店員側から見た正面図である。図4は、POS端末20の構成例を示す図である。図3および図4において、同一部分には同一符号を付している。
【0015】
以下、図3を参照しつつ、図4に示したPOS端末20の構成例を説明する。POS端末20は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、ハードディスク204と、客側表示部205と、客側スキャナ部206と、カード決済部208と、釣銭機209と、店員側表示部210と、キー操作部211と、店員側スキャナ部212と、印刷部213と、音声出力部214と、通信部215と、サインポール216とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能である。
【0016】
CPU201は、中央演算処理装置であり、ROM202に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより、POS端末20の動作を制御する。各種プログラムは、本実施形態に係る精算プログラムを含む。
ROM202は、読み出し専用メモリであり、プログラムをはじめとしてCPU201が利用する各種の情報を記憶する。
【0017】
RAM203は、読み出しや書き込みが可能なメモリであり、種々の情報を記憶する。例えば、RAM203は、外部から取得した情報(例えば、ストアコントローラ10から取得した商品マスタ等)や、処理において生成した情報を記憶する。この情報は、例えば、商品を登録する登録処理において生成した登録情報(登録データ)や、登録した商品(買上商品)を精算(決済)する精算処理において生成した精算情報などである。
【0018】
ハードディスク204は、種々の情報を記憶する。ハードディスク204は、例えば、ROM202に代えて、CPU201が実行するプログラム等を記憶してもよい。また、RAM203に代えて、外部から取得した情報や、処理において生成した情報を記憶してもよい。
【0019】
客側表示部205は、顧客用のタッチディスプレイである。客側表示部205は、顧客に種々の情報を表示するとともに、顧客から種々の入力を受け付ける。
客側スキャナ部206は、顧客用のスキャナ部であり、各種の情報を光学的に読み取る。例えば、客側スキャナ部206は、商品に付されているバーコード(商品コード等)や、お会計券(登録商標)に印刷されているコード(バーコード、2次元コード等)を光学的に読み取る。客側スキャナ部206は、上記に加えて、品券類(商品券、クーポン券、優待券)や、各種カード(例えば、会員カード、ポイントカード等)に印刷されているコード(バーコード、2次元コード等)を読み取ってもよい。なお、商品の登録は、客側スキャナ部206によるコードの読み取りによる登録に限らない。例えば、客側表示部205に、商品に対応するプリセットキー(商品を注文するボタン)を表示し、当該プリセットキーが顧客によって操作(押下)されることによって、商品の登録を行うことも可能である。
【0020】
カード決済部208は、各種カードによる決済機構である。各種カードは、クレジットカード、電子マネーであるプリペイドカード、ポイントカードなどである。プリペイドカードには、金額(残額)が記憶(チャージ)されている。カード決済部208は、カード認識部(読取部)や表示部や操作部を備える。カード認識部は、各種カードの情報を磁気的又は電気的に読み取る。読み取られた情報は、買上商品の精算に用いられる。なお、カード認識部は、例えば、ポイントカードの保有ポイントを使用する場合など、今回の買上商品の精算において使用する情報を認識することも可能である。また、カード認識部は、例えば、ポイントカードにポイントを付与する場合など、今回の買上商品の精算に使用しない情報を認識することも可能である。
【0021】
なお、本実施形態のカード決済部208は、カード認識部、表示部、および操作部を備えるが、これに限らず、少なくともカード認識部を備えるものであればよい。また、カード認識部は、非接触型のカード(ICカード)や、接触型のカード(ICカード、磁気カード)に対応するものである。
【0022】
釣銭機209(現金決済部)は、現金による決済機構であり、紙幣や硬貨の投入口、紙幣や硬貨の排出口を有する。釣銭機209は、投入口への投入金額を算出し、投入金額と買上金額の差分である釣銭金額を算出し、釣り銭を排出口から排出する。釣銭機209は、客側に向けられており、顧客から各種操作や現金の投入を受け付ける。なお、釣銭機209は、投入口に投入された紙幣や硬貨を検出するセンサを有する。当該センサは、投入口に紙幣や硬貨が投入された旨の検出や、金種別の枚数の検出などを行う。カード決済部208と、釣銭機209とによって、精算部が形成される。
【0023】
店員側表示部210は、店員用のタッチディスプレイである。店員側表示部210は、店員に種々の情報を表示するとともに、店員から種々の入力を受け付ける。
【0024】
キー操作部211は、各種のキー(ハードウェアキー、ボタン)から構成される。キー操作部211は、店員から種々の入力を受け付ける。具体的には、キー操作部211は、モード切替えボタン211aと、一括切替えボタン211bと、会計専用モード切替えボタン211cとを含む。モード切替えボタン211aは、動作モードを切り替えるためのボタンである。また、一括切替えボタン211bは、特定のPOS端末20(例えば、店長等がログインしているPOS端末20等)において操作されることにより、各POS端末20の動作モードを一括して切り替えるためのボタンである。会計専用モード切替えボタン211cは、後述する「会計専用モード(セミセルフモード)」に切り替えるためのボタンである。
【0025】
モード切替えボタン211aは、押下するごとに予め定めた順番で移行先のモードを切替えることが可能なボタンである。この順番は、例えば、通常モード→フルセルフ→会計専用モード→通常モード→…のように予め設定されている。このため、通常モードから、会計専用モードに切り替えるには、店員はモード切替えボタン211aを2回押す必要がある。
【0026】
なお、モードを切り替えるためのボタンは、モード切替えボタン211aのようなハードキー(メカキー)に限らず、店員側表示部210に表示される選択ボタン(ソフトキー)であってもよい。この選択ボタンは、例えば、移行先のモードに対応する複数のボタンが表示されたものでもよい。具体的には、現在のモードが通常モードであれば、会計専用モードに移行させるためのボタンと、フルセルフモードに移行させるためのボタンとが表示されるようにしてもよい。これにより、ワンタッチでモードを移行させることが可能である。すなわち、店員がボタンを複数回押下する必要がなく、移行させたいモードのボタンを一回押下すれば済むことになる。
【0027】
ただし、店員側表示部210に表示される選択ボタンは、モード切替えボタン211aの場合と同様に、一のボタンとし、押下するごとに予め定めた順番で移行先のモードに切替え可能なボタンとしてもよい。
【0028】
また、モードを切り替えるためのボタンは、原則、店員側表示部210に表示されるが、これに限らず、客側表示部205に表示されてもよい。例えば、明らかに店員が客側にいると判断できる場合には、客側表示部205に当該ボタン表示させることも可能である。なお、店員が明らかに客側にいる状況とは、客側スキャナ部206を用いて、店員専用のメンテナンス画面に遷移した場合や、客側表示部205の操作によって店員専用のメンテナンス画面に遷移した場合などが挙げられる。
【0029】
店員側スキャナ部212は、店員用のスキャナ部であり、各種の情報を光学的に読み取る。例えば、店員側スキャナ部212は、商品に付されているバーコードや、店員の名札に付された店員コードを光学的に読み取る。店員側スキャナ部212は、上記に加えて、お会計券に印刷されているコードや、品券類や、各種カードに印刷されているコードを読み取ってもよい。
【0030】
なお、商品の登録は、店員側スキャナ部212によるコードの読み取りによる登録に限らない。例えば、キー操作部211に、商品に対応するキー(例えば、スポーツ新聞に対応するキー等)を配置し、当該キーが店員に操作(押下)されることによって、商品の登録が行われてもよい。また、店員側表示部210に、商品に対応するプリセットキーを表示し、当該プリセットキーが店員に操作されることによって、商品の登録を行うことも可能である。
【0031】
印刷部213は、各種媒体(レシート、お会計券等)を印刷して出力する。印刷部213は、媒体発行口の方向を変更可能である。具体的には、印刷部213は、回転自在な機構を有し、媒体発行口が店員側から客側に向くように、また、客側から店員側に向くように構成されている。なお、媒体発行口の向きは、手動で変更可能であってもよいし、動作モードが切り替わることに応じて自動で変更可能であってもよい。なお、印刷部213は、印刷発行口の向きの正誤を検出するセンサを備えていてもよい。以下において、動作モードが切り替わることを、動作モードが移行する、という場合がある。
【0032】
音声出力部214は、音声を出力する。例えば、音声出力部214は、音声ガイダンスや警告音などを出力する。音声ガイダンスや警告音は、例えば、商品の登録や精算に係るものである。
通信部215は、他の装置(ストアコントローラ10、監視端末11、および他のPOS端末20)と情報を送受信するインタフェースである。
【0033】
(各動作モードの概要)
続いて、POS端末20の動作モードについて説明する。POS端末20は、複数の動作モードを有する。複数の動作モードは、通常業務中の動作モード(登録処理および精算処理に係る動作モード)である。複数の動作モードは、通常モードと、会計専用モードと、フルセルフモードとである。POS端末20は、複数の動作モードのうち、一の動作モードに制御される。
【0034】
なお、動作モードは、上記のモードのほかにも、集計モードや、メンテナンスモードや、トレーニングモードなどがある。集計モードは、売上や在高等を集計、照会等するモードである。メンテナンスモードは、店員や保守員等が設定作業や保守作業を行う際のモードである。トレーニングモードは、新人がトレーニングを行う際のモードである。
【0035】
以下、主に、通常モード、会計専用モード、およびフルセルフモードの各モードについて詳細に説明する。なお、以下において、会計専用モードおよびフルセルフモードを、まとめて「セルフモード」という場合がある。
【0036】
(通常モード)
通常モードは、店員側の商品の登録(以下「商品登録」という場合がある。)を有効とし、客側の商品登録を無効とした動作モードである。すなわち、通常モードは、客側の登録処理を実行せずに、店員側の登録処理を実行する動作モードである。店員側の商品登録では、店員側スキャナ部212、店員側表示部210、およびキー操作部211を用いて、買上商品の登録が行われる。
【0037】
また、通常モードでは、貨幣(紙幣および硬貨)の投入や各種カードの読み取りなど、精算が可能である。具体的には、通常モードでは、例えば、現金による精算の操作(釣銭機209への貨幣の投入)を受け付けることが可能である。以下において、通常モードにおける精算を「対面精算」という場合がある。
【0038】
また、通常モードでは、他のPOS端末20への登録情報の送信が可能である。他のPOS端末20への登録情報の送信とは、登録処理において生成された登録情報を、精算処理を実行可能な他のPOS端末20に送信することである。なお、登録情報は、POS端末20から直接他のPOS端末20へ送信されることとしてもよいし、ストアコントローラ10や監視端末11などの他の装置を経由して間接的に他のPOS端末20へ送信されることとしてもよい。なお、以下の説明において、各装置間の情報の送信に関して、特に詳述しないが、登録情報の送信と同様に、直接の送信としてもよいし、間接的な送信としてもよい。
【0039】
また、通常モードでは、お会計券の発行が可能である。お会計券の発行とは、登録処理において生成した登録情報等をコード化し、印刷媒体(お会計券)に印刷して出力することである。他のPOS端末20は、お会計券のコードを読み取ることにより、精算処理を行うことが可能である。
【0040】
また、通常モードでは、他のPOS端末20からの登録情報の受信も可能である。すなわち、通常モードでは、他のPOS端末20において生成された登録情報に基づいて精算処理を実行することが可能である。なお、POS端末20は、通常モードにおいて、登録情報を受信すると、会計専用モード(セミセルフモード)に移行してもよい。同様に、POS端末20は、通常モードにおいて、お会計券のコードを読み取ると、会計専用モードに移行してもよい。また、会計専用モードに移行して精算処理が完了した後には、自動的にまたは店員の許可に応じて、会計専用モードから通常モードに復帰してもよい。また、会計専用モードに移行して精算処理が完了した後も、そのまま会計専用モードを保持してもよい。なお、通常モードでは、他のPOS端末20からの登録情報の受信を無効としてもよいし、お会計券の読み取りを無効にしてもよいし、これらの両方を無効にしてもよい。
【0041】
(通常モードの動作)
図5は、通常モードの動作の概略を説明する模式図である。具体的には、図5は、通常モードおける処理の流れや人(店員、顧客)の動作を表した模式図である。図5の上段に示すように、通常モードにおいて、POS端末20は、店員側スキャナ部212、店員側表示部210、キー操作部211を用いた店員の操作を受け付けて、顧客の買上商品を登録する。
【0042】
店員による買上商品の登録が完了すると、POS端末20は、買上商品の合計金額などを客側表示部205に表示する。そして、図5の下段に示すように、顧客は、客側表示部205に表示される買上商品の合計金額を確認し、精算を行う。具体的には、顧客は、釣銭機209へ現金を投入して、または、カード決済部208を操作して、精算を行う。このように、通常モードにおいて、POS端末20は、顧客の操作によって、精算処理を実行することが可能である。また、POS端末20は、登録処理が完了する前に、顧客から決済種別(支払方法)の選択を受け付けることが可能である。
【0043】
POS端末20は、店員による登録処理が完了する前(合計金額が確定する前)に、釣銭機209への現金の投入を受け付けるようにしてもよい。なお、POS端末20は、店員による登録処理が完了する前には、現金の投入を受け付けないようにしてもよい。
【0044】
なお、通常モードにおいて、POS端末20は、顧客による精算が完了する前でも(お釣りが取り出されたり、レシートが出力されたりする前でも)、次の顧客の買上商品を登録可能である。つまり、POS端末20は、自端末における精算処理中に、次客の買上商品を登録することが可能である(図5の下段)。また、店員は、顧客による精算中に不在であってもよい(図5の下段)。つまり、当該顧客の精算中には、店員は、当該顧客の応対を終えてもよい。
【0045】
また、POS端末20は、お釣りがある場合には、お釣りが取り出された後に、レシートを発行してもよい。具体的には、POS端末20は、釣銭および釣札を検出するセンサを設け、釣銭および釣札の払出しを制御した後、当該センサによって釣銭および釣札が取り出されたことが検出された場合に、印刷部213によるレシートの発行を制御してもよい。これにより、お釣りの取り忘れを防止することができる。なお、他の動作モードにおいても、同様に、お釣りが取り出された後にレシートを発行するようにしてもよい。
【0046】
ここで、通常モードにおいて、電子マネー(プリペイドカード)によって精算が行われる場合がある。電子マネーによる精算では、買上金額に対して残額が不足している場合がある。この場合、電子マネーを使用した際の不足分を現金やクレジットカードで精算を行うことも可能であるし、電子マネーを使用せずに、現金やクレジットカードなどの他の決済種別に変更して精算を行うことも可能である。電子マネーを使用した際の不足がある場合、後述する会計専用モードでは、その旨を示す報知(以下「不足報知」という場合がある)が行われる。通常モードでは、対面精算が行われるため、すなわち、店員が近くにいることから、当該店員による監視が働くため、支払いが完了していないにもかかわらず、顧客がその場から立ち去ってしまうことは、考えにくい。このため、通常モードでは、不足報知が行われない。
【0047】
(会計専用モード)
会計専用モードは、他のPOS端末20からの登録情報の受信、お会計券の読み取り、貨幣の投入を有効とし、店員側および客側の商品登録を無効とした動作モードである。他のPOS端末20からの登録情報の受信は、他のPOS端末20の登録処理において生成された登録情報を受信する機能である。なお、登録情報は、直接他のPOS端末20から受信されることとしてもよいし、ストアコントローラ10や監視端末11などの他の装置を経由して間接的に他のPOS端末20から受信されることとしてもよい。なお、以下の説明において、各装置間の情報の受信に関して、特に詳述しないが、登録情報の受信と同様に、直接の受信としてもよいし、間接的な受信としてもよい。
【0048】
お会計券の読み取りは、お会計券に印刷されているコードを読み取ることや、コード化されている情報を読み取ることである。会計専用モードは、自端末においては登録処理を実行せず、専ら、他のPOS端末20において生成された登録情報に基づいて精算処理を実行する動作モードである。なお、会計専用モードは、登録処理を実行しない動作モードであるため、すなわち、登録情報を生成しないため、他のPOS端末20への登録情報の送信も、お会計券の発行についても無効とした動作モードである。
【0049】
(会計専用モードの動作)
図6は、会計専用モードの動作の概略を説明する模式図である。図6では、POS端末20-1を通常モードとし、POS端末20-2、20-3を会計専用モードとした場合について説明する。
【0050】
図6の上段に示すように、通常モードのPOS端末20-1では、図5の上段と同様に、店員側で顧客の買上商品が登録される。また、POS端末20-1において店員による商品登録が行われている場合、POS端末20-2、20-3は、待機状態にある。
【0051】
店員による登録処理が完了した場合、POS端末20-1は、会計専用モードに制御されているPOS端末20-2に登録情報を送信する。例えば、POS端末20-1は、精算処理を実行させるPOS端末20(図6の例ではPOS端末20-2、POS端末20-3のいずれか一方)の指定を店員から受け付ける。あるいは、POS端末20-1は、精算処理を実行させるPOS端末20-2、20-3に読み取らせるお会計券の発行を受け付けてもよい。
【0052】
会計専用モードに制御されているPOS端末20-2は、POS端末20-1から登録情報を受信すると、または、お会計券のコードを読み取ると、買上商品の合計金額などを客側表示部205に表示する。そして、図6の下段に示すように、顧客は、POS端末20-2に移動し、POS端末20-2の客側表示部205に表示される買上商品の合計金額を確認して精算を行う。具体的には、顧客は、POS端末20-2の釣銭機209へ現金を投入し、または、カード決済部208を操作して、精算を行う。
【0053】
なお、POS端末20-1は、他のPOS端末20-2を指定した後は、次客の買上商品を登録することが可能である(図6の下段)。また、店員は、他のPOS端末20-2を指定した後は不在であってもよい。
【0054】
また、会計専用モードにおける電子マネーによる精算においても、買上金額に対して残額が不足している場合がある。この場合、店員がすぐ近くにいないことから、当該店員による監視が働きにくいため、支払いが完了していないにもかかわらず、顧客がその場から立ち去ってしまうおそれがある。このため、会計専用モードでは、買上金額に対して残額が不足している場合、商品の登録が行われるPOS端末20-1において、不足報知が行われる。
【0055】
(フルセルフモード)
フルセルフモードは、客側の商品登録を有効とした動作モードである。すなわち、フルセルフモードは、客側における登録処理を前提とした動作モードである。客側の商品登録では、客側スキャナ部206、客側表示部205を用いて、買上商品の登録が行われる。
【0056】
なお、フルセルフモードは、店員側の商品登録も有効とすることが可能である。つまり、フルセルフモードは、客側における登録処理を前提としつつ、店員側における登録処理も許容する動作モードである。なお、客側および店員側のいずれの側においても登録処理が行われている状態をダブルスキャンモードと称する場合がある。なお、フルセルフモードにおいて、店員側の商品登録を無効としてもよい。
【0057】
また、フルセルフモードは、自端末における精算処理を行うことが可能な動作モードである。具体的には、フルセルフモードは、貨幣の投入を有効とし、他のPOS端末20への登録情報の送信と、お会計券の発行とを無効とした動作モードである。
【0058】
また、フルセルフモードは、会計専用モードと同様、他のPOS端末20からの登録情報の受信も、お会計券の読み取りも、いずれも有効とした動作モードである。つまり、会計専用モードと同様、フルセルフモードでは、他のPOS端末20において生成された登録情報に基づいて精算処理を実行可能である。
【0059】
なお、POS端末20は、フルセルフモードにおいて、登録情報を受信すると、会計専用モード(セミセルフモード)に移行してもよい。同様に、POS端末20は、フルセルフモードにおいて、お会計券のコードを読み取ると、会計専用モードに移行してもよい。また、会計専用モードに移行して精算処理が完了した後には、自動的に、会計専用モードからフルセルフモードに復帰してもよい。また、会計専用モードに移行して精算処理が完了した後も、そのまま会計専用モードを保持してもよい。なお、フルセルフモードでは、他のPOS端末20からの登録情報の受信を無効としてもよいし、お会計券の読み取りを無効にしてもよいし、これらの両方を無効にしてもよい。
【0060】
(フルセルフモードの動作)
図7は、フルセルフモードの動作の概略を説明する模式図である。図7の上段に示すように、フルセルフモードにおいて、POS端末20は、客側表示部205および客側スキャナ部206を用いた顧客の操作を受け付けて、顧客自身で買上商品を登録する。
【0061】
顧客による買上商品の登録が完了すると、POS端末20は、買上商品の合計金額などを客側表示部205に表示する。そして、図7の下段に示すように、顧客は、客側表示部205に表示される買上商品の合計金額を確認し、精算を行う(図7の下段)。具体的には、顧客は、釣銭機209へ現金を投入し、または、カード決済部208を操作して、精算を行う。このように、POS端末20は、フルセルフモードでは、顧客の操作によって、登録処理および精算処理が行われる。
【0062】
なお、フルセルフモードは、客側において登録処理も精算処理も行われるが、フルセルフモードにおけるダブルスキャンモードでは、店員側にて商品をスキャンしたり、店員側にて各種の情報を表示したりすることが可能である。ダブルスキャンモードでは、店員が近くにいることから、撮像画面の表示の制御を、フルセルフモードのときの制御と異なる制御としてもよい。具体的には、例えば、ダブルスキャンモードでは、登録時に撮像画面を表示しないようにし、精算時に撮像画面を表示してもよい。また、ダブルスキャンモードにおける撮像画面の表示面積を、フルセルフモードにおける撮像画面の表示面積とは異なる表示面積(例えば、小さい表示面積)としてもよい。
【0063】
また、フルセルフモードにおける電子マネーによる精算においても、買上金額に対して残額が不足している場合がある。この場合、店員がすぐ近くにいないことから、当該店員による監視が働きにくいため、支払いが完了していないにもかかわらず、顧客がその場から立ち去ってしまうおそれがある。このため、フルセルフモードでは、買上金額に対して残額が不足している場合、店員が存在する他のPOS端末20や監視端末11において、不足報知が行われる。なお、ダブルスキャンモードでは、店員が近くにいることから、当該店員による監視が働くため、不足報知を行わないようにしてもよい。
【0064】
なお、以下に、通常モードにおける制限モードと登録専用モードについて補足しておく。
【0065】
(通常モードにおける制限モード)
通常モードにおける制限モードは、他のPOS端末20への登録情報の送信と、お会計券の発行とを無効にした動作モードである。すなわち、制限モードは、他のPOS端末20に精算処理を実行させる機能を制限した動作モードであり、すなわち、対面精算のみを有効にした動作モードである。
【0066】
(通常モードにおける登録専用モード)
通常モードにおける登録専用モードは、店員側の商品登録、他のPOS端末20への登録情報の送信、お会計券の発行を有効とし、客側の商品登録、貨幣の投入、他のPOS端末20からの登録情報の受信、お会計券の読み取りを無効にした動作モードである。つまり、登録専用モードは、専ら、自端末において登録処理を実行し、他のPOS端末20に精算処理を実行させる動作モードであり、すなわち、対面精算の無効にした動作モードである。
【0067】
(各種機能について)
なお、上述した説明では、POS端末20は、動作モードに応じて、POS端末20が備える各種機能(店員側の商品登録、客側の商品登録、貨幣の投入、お会計券の読み取りなど)のそれぞれについて、有効または無効が異なる旨を説明した。換言すれば、上述した説明では、POS端末20は、POS端末20が備える全ての機能のうち一部の機能を無効とすることに応じて動作モードが設定される旨を説明した。
【0068】
ただし、POS端末20は、動作モードごとに実行可能な機能が異なっていればよい。すなわち、POS端末20は、必ずしも、全部の機能を備えていなくてもよい。例えば、POS端末20は、動作モードごとに必要となる機能を実現するためのプログラムを外部の装置(例えば、ストアコントローラ10、監視端末11、店外のサーバなど)から取得して実行可能な状態とするとともに、動作モードごとに不要な機能を実現するためのプログラムを保持する場合には当該プログラムを実行不能な状態(例えば消去すること)としてもよい。
【0069】
なお、不要な機能を実現するためのプログラムを実行不能な状態とした後に、必要な機能を実現するためのプログラムを取得して実行可能な状態としてもよい。また、例えば、POS端末20は、動作モードの切り替えに際し、移行先の動作モードに関わらず、一旦、全部のプログラムを実行不能な状態とした後に、当該動作モードにおいて必要となる機能を実現するためのプログラムを外部から取得して実行可能な状態としてもよい。つまり、POS端末20の構成としては、動作モードに応じて、元々具備する各種の機能のうちの一部を無効にするといったものであってもよいし、動作モードに応じて、必要な機能のみを適宜を具備させるといったものであってもよい。
【0070】
(POS端末20が行う処理)
次に、図8および図9を用いて、POS端末20が行う処理について説明する。以下の処理では、POS端末20-1が通常モードに制御されており、POS端末20-2およびPOS端末20-3が会計専用モードに制御されているものとして説明する。また、以下では、通常モードに制御されているPOS端末20-1を「登録POS端末20A」と称する場合があり、また、会計専用モードに制御されているPOS端末20-2およびPOS端末20-3を「精算POS端末20B」と称する場合がある。また、登録POS端末20Aと精算POS端末20Bとは、登録POS端末20Aを操作する店員が、精算POS端末20Bを操作する顧客に対して、声掛けができる程度の距離(数メートル程度)しか離れていないものとする。
【0071】
(精算POS端末20Bの処理)
図8は、精算POS端末20Bが行う精算処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、精算POS端末20Bは、精算開始であるか否かを判断する(ステップS801)。精算開始は、例えば、登録POS端末20Aから登録情報を受信することや、お会計券のコードを読み取ることである。精算POS端末20Bは、精算開始となるまで待機する(ステップS801:NO)。精算開始であると判断すると(ステップS801:YES)、精算POS端末20Bは、図10(A)の決済種別選択ボタン1002において、顧客によって選択された決済種別がプリペイドであるか否かを判断する(ステップS802)。
【0072】
顧客によって選択された決済種別がプリペイドではない場合(ステップS802:NO)、すなわち、現金やクレジットカードの決済種別が選択された場合、精算POS端末20Bは、選択された決済種別に応じた決済処理を行い(ステップS803)、一連の処理を終了する。一方、顧客によって選択された決済種別がプリペイドである場合(ステップS802:YES)、精算POS端末20Bは、プリペイド(プリペイドカード)の読み取り(スキャン)を行う(ステップS804)。そして、精算POS端末20Bは、買上金額に対してプリペイドの残額が不足しているか否かを判断する(ステップS805)。
【0073】
ステップS805において、残額が不足していない場合(ステップS805:NO)、精算POS端末20Bは、プリペイドの決済種別に応じた決済処理を行い(ステップS803)、一連の処理を終了する。一方、残額が不足している場合(ステップS805:YES)、精算POS端末20Bは、図10(B)に示す残額不足通知画面1010を表示するとともに、残額が不足している旨を示す不足情報を、店員による登録が行われる登録POS端末20Aへ送信する(ステップS806)。
【0074】
そして、精算POS端末20Bは、他の端末装置(例えば、登録POS端末20A)において店員によって選択される決済種別を示す決済種別情報を、当該他の端末装置から受信したか否かを判断する(ステップS807)。精算POS端末20Bは、決済種別情報を受信するまで待機する(ステップS807:NO)。一方、決済種別情報を受信すると(ステップS808:YES)、精算POS端末20Bは、決済種別情報が示す支払方法で残額の支払を受け付けて精算処理を行う(ステップS808)。
【0075】
そして、精算POS端末20Bは、例えば図11(A)に示すプリペイドの金額入力画面1100を表示して、精算に係る操作(精算操作)を受け付けたか否かを判断する(ステップS809)。精算POS端末20Bは、精算に係る操作を受け付けるまで待機する(ステップS09:NO)。精算に係る操作を受け付けると(ステップS809:YES)、精算POS端末20Bは、精算の開始を示す精算開始情報を登録POS端末20A送信する(ステップS810)。
【0076】
そして、精算POS端末20Bは、精算が完了したか否かを判断する(ステップS811)。精算POS端末20Bは、精算が完了するまで待機する(ステップS811:NO)。精算が完了すると(ステップS811:YES)、精算POS端末20Bは、精算が完了した旨を示す精算完了情報を登録POS端末20Aへ送信し(ステップS812)、一連の処理を終了する。
【0077】
なお、POS端末20は、フルセルフモード中においても、図8に示した処理と同様の処理を行うことが可能である。具体的に説明すると、フルセルフモードにおいて、ステップS801における精算開始の処理は、精算開始を示すボタンが押下されることである。また、フルセルフモードのPOS端末20が送信する各種情報の送信先や、受信する各種情報の送信元は、店員が近くに存在する他のPOS端末20や、監視端末11である。
【0078】
(登録POS端末20Aの処理)
図9は、登録POS端末20Aが行う不足情報を受信した際の処理の一例を示すフローチャートである。図9において、登録POS端末20Aは、店員による商品の登録処理を行っている状態や、登録処理を待機している状態にあるものとする。図9に示すように、登録POS端末20Aは、精算POS端末20Bから、不足情報を受信したか否かを判断する(ステップS801)。登録POS端末20Aは、不足情報を受信するまで待機する(ステップS901:NO)。一方で、不足情報を受信すると(ステップS901:YES)、登録POS端末20Aは、精算POS端末20Bにおいて顧客のプリペイドの残額が不足していることに関する報知(例えば、図12(B)の残額不足報知1220)を行う(ステップS902)。
【0079】
そして、登録POS端末20Aは、例えば図13(A)に示す決済種別選択ボタン1301を表示して、店員から決済種別を受け付ける(ステップS903)。なお、登録POS端末20Aと精算POS端末20Bとは、数メートル程度しか離れていないため、ステップS903において、店員は、顧客に決済種別を直接尋ね、顧客の回答に応じた決済種別を選択する。
【0080】
そして、登録POS端末20Aは、受け付けた決済種別を示す決済種別情報を精算POS端末20Bへ送信する(ステップS904)。そして、登録POS端末20Aは、精算POS端末20Bから、精算の開始を示す精算開始情報を受信したか否かを判断する(ステップS905)。登録POS端末20Aは、精算開始情報を受信するまで待機する(ステップS905:NO)。一方で、精算開始情報を受信すると(ステップS905:YES)、登録POS端末20Aは、顧客が支払い中である旨を報知(例えば、図13(B)の支払中報知1310)する(ステップS906)。
【0081】
次に、登録POS端末20Aは、精算POS端末20Bから、精算が完了した旨を示す精算完了情報を受信したか否かを判断する(ステップS907)。登録POS端末20Aは、精算完了情報を受信するまで待機する(ステップS907:NO)。一方で、精算完了情報を受信すると(ステップS907:YES)、登録POS端末20Aは、支払いが完了した旨を報知(例えば、図14(A)の支払完了報知1400)し(ステップS908)、一連の処理を終了する。
【0082】
(精算POS端末20Bに客側表示部205に表示される画面)
図10および図11は、精算POS端末20Bの客側表示部205に表示される画面の一例を示す説明図である。図10(A)は、精算POS端末20Bにおける精算開始時の画面を示す。図10(A)に示すように、精算POS端末20Bの客側表示部205には、精算開始画面1000が表示されている。精算開始画面1000は、合計金額表示1001と、決済種別選択ボタン1002(1002a、1002b、1002c)と、店員呼出ボタン1003とを含む。
【0083】
合計金額表示1001は、買上金額を示しており、すなわち、顧客が支払う金額を示している。決済種別選択ボタン1002は、決済種別の選択を受け付ける。具体的には、決済種別選択ボタン1002は、現金選択ボタン1002aと、クレジット選択ボタン1002bと、プリペイド選択ボタン1002cとを含む。現金選択ボタン1002aは、現金による精算を顧客から受け付けるボタンである。クレジット選択ボタン1002bは、クレジットカードによる精算を顧客から受け付けるボタンである。プリペイド選択ボタン1002cは、プリペイドによる精算を顧客から受け付けるボタンである。なお、決済種別選択ボタン1002は、ポイントカードによる精算を受け付けるボタンなど、決済可能な他の決済種別のボタンが表示されていてもよい。
【0084】
店員呼出ボタン1003は、例えば、操作に手間取った顧客や、店員に確認したいことがある顧客などが店員を呼び出すためのボタンである。図10(A)において、例えば、顧客がプリペイド選択ボタン1002cを押下し、精算POS端末20Bにプリペイドカードを読み取らせたとする。そして、プリペイドカードの残額が不足していた場合には、図10(B)に示す画面に遷移する。なお、プリペイドカードの残額が不足していない場合は、そのまま、支払いが完了し、レシートが発行可能になる。
【0085】
図10(B)に示すように、精算POS端末20Bの客側表示部205には、残額不足通知画面1010が表示されている。また、このとき、精算POS端末20Bは、登録POS端末20Aへ不足情報を送信する。
【0086】
残額不足通知画面1010は、買上金額に対してプリペイドの残額が不足している旨と、顧客に待機を要請する旨とを通知する画面である。ここで、登録POS端末20Aと、精算POS端末20Bとは、数メートル程度しか離れていないため、例えば、店員は、顧客に決済種別を直接尋ね、当該顧客の回答に応じた決済種別を選択する(図13参照)。登録POS端末20Aにおいて、店員が決済種別(例えば、プリペイド)を選択すると、図11(A)に示す画面に遷移する。
【0087】
図11(A)に示すように、精算POS端末20Bの客側表示部205には、プリペイドの金額入力画面1100が表示されている。金額入力画面1100において、顧客がテンキーボタン1101を操作し、プリペイドで支払う金額を入力すると、入力に応じた金額が金額表示欄1102に表示される。なお、金額入力画面1100において、顧客の操作を受け付けた際に、精算POS端末20Bは、精算開始情報を、登録POS端末20Aへ送信する。
【0088】
また、金額入力画面には、残額の決済種別の選択を顧客から受け付ける決済種別選択ボタン1103が表示されている。決済種別選択ボタン1103は、現金ボタン1103aと、チャージボタン1103bと、他の決済種別ボタン1103cとを含む。現金ボタン1103aは、現金での決済を受け付けるボタンである。チャージボタン1103bは、プリペイドカードにチャージし、チャージした額を用いて決済を受け付けるボタンである。他の決済種別ボタン1101cは、クレジットカード等の他の決済種別での決済を受け付けるボタンである。図11(A)において、例えば、顧客が現金ボタン1103aを押下すると、図11(B)に示す画面に遷移する。
【0089】
なお、チャージボタン1103bが押下されると、プリペイドカードにチャージを行うことが可能になるとともに、チャージされたプリペイドカードによって決済を行うことが可能になる。また、他の決済種別ボタン1101cが押下されると、クレジットカードやポイントカードで決済を行うことが可能になる。
【0090】
図11(B)に示すように、精算POS端末20Bの客側表示部205には、現金の投入を促す現金投入催促画面1110が表示されている。現金投入催促画面1110において、投入金額表示1111は、顧客が釣銭機209の投入口に投入した金額を示す。精算POS端末20Bは、不足額以上の金額が投入されると、レシート発行ボタンを表示し、レシート発行ボタンが押下されると、精算処理を終了する。
【0091】
(登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される画面)
図12図13および図14は、登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される画面の一例を示す説明図である。図12(A)は、登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される登録中の画面を示す。図12(A)において、登録商品表示1201は、店員が直近に登録した商品を示す。登録商品一覧表示1202は、店員が登録した商品の一覧を示す。合計金額表示1203は、店員が登録した商品の合計金額を示す。
【0092】
プリセットキー1204は、複数の商品を示す表示であり、それぞれ店員の押下によって対応する商品の登録を受け付けるキーである。プリセットキー1204は、野菜、果物、精肉など、種類に応じた表示が可能である。図12(A)において、プリセットキー1204は、野菜の種別を示しているが、店員の操作に応じて、果物や精肉など他の種別の表示に切り替えることが可能である。
【0093】
モード表示1205は、POS端末20-2の現在のモード(例えば、会計専用モード)を示す。モード表示1206は、POS端末20-3の現在のモード(例えば、会計専用モード)を示す。
【0094】
小計ボタン1207は、商品登録の終了を受け付けるボタンである。全ての商品の登録が完了すると、店員が小計ボタン1207を押下する。お会計券ボタン1208は、印刷部213からお会計券を発行させるためのボタンである。他のPOS端末20で精算を行う場合には、店員は、お会計券ボタン1208を押下する。
【0095】
レジ指定ボタン1209およびレジ指定ボタン1210は、登録情報の送信先となるPOS端末20を指定するためのボタンである。レジ指定ボタン1209は、登録情報の送信先として、POS端末20-2の指定を受け付ける。レジ指定ボタン1209が押下されると、POS端末20-2で精算が行われることになる。レジ指定ボタン1210は、登録情報の送信先として、POS端末20-3の指定を受け付ける。レジ指定ボタン1210が押下されると、POS端末20-3で精算が行われることになる。
【0096】
図12(A)に示す登録中の画面を表示している際に、精算POS端末20B(POS端末20-2)から不足情報を受信すると、図12(B)に示す画面に遷移する。なお、不足情報は、精算POS端末20Bにおいて、買上金額に対してプリペイドの残額が不足している場合に、精算POS端末20Bが送信する情報である。
【0097】
図12(B)に示すように、登録POS端末20Aの店員側表示部210には、精算POS端末20B(POS端末20-2)において、買上金額に対してプリペイドの残額が不足している旨を示す残額不足報知1220が表示されている。なお、登録POS端末20Aは、残額不足報知1220を表示する際に、音声を伴ってもよい。具体的には、登録POS端末20Aは、例えば、プリペイドの残額が不足している旨や、プリペイドの残額不足を検出した精算POS端末20B(POS端末20-2)を音声で報知してもよい。また、登録POS端末20Aは、音声のみによって当該報知を行ってもよい。
【0098】
また、残額不足報知1220は、店員に伝えやすくするという観点から、目立つ態様であることが望ましい。例えば、残額不足報知1220は、モード表示1205や、レジ指定ボタン1209などよりも、表示領域の大きい表示となっている。また、残額不足報知1220は、点滅する態様であってもよいし、反転する態様(背景を黒にした白抜きの態様)、色が変わる態様であってもよい。このように、残額不足報知1220を目立つ態様とすることにより、店員に、精算POS端末20Bへの対応や、精算POS端末20Bに対する注意喚起を、より促すことができる。
【0099】
図12(B)において、店員が残額不足報知1220を押下すると、図13(A)に示す画面に遷移する。なお、登録POS端末20Aは、残額不足報知1220を表示してから、一定時間経過後に図13(A)に示す画面に遷移してもよいし、残額不足報知1220を表示せずに、図13(A)に示す画面を表示してもよい。
【0100】
なお、残額不足報知1220が押下された場合に、登録POS端末20Aは、図13(A)に示す画面に遷移せずに、一時的に商品の登録を中断してもよい。具体的には、残額不足報知1220が押下された場合に、登録POS端末20Aは、次客の商品登録の(継続)を中断(禁止)してもよい。このような中断を行うことにより、当該中断中に、店員が精算POS端末20Bに向かい、精算に係る顧客の操作をサポートすることができる。
【0101】
当該中断の解除条件は、店員による確認が行われたことであり、具体的には、確認ボタン(所定のボタン)が押下されたことや、精算POS端末20Bにおいて店員が店員モードに設定するなどの店員の操作が行われたことや、残高不足が解消されて決済が完了したことなどである。また、当該解除条件は、これら確認ボタンの押下などのうち、一または複数が満たされることとしてもよい。このように、当該解除条件を、確認ボタンの押下や、精算装置における店員の操作が行われることとすることにより、商品の登録に係る効率が低減することを抑えつつ、精算POS端末20Bにおける支払いを完了させることができる。また、残高不足が解消されて決済が完了することを当該中断の解除条件とすることにより、精算POS端末20Bにおける精算をより確実に完了させることができる。
【0102】
また、図12(B)において、残額不足報知1220が押下された場合に、店員が残額不足を確認したことが明らかであることから、登録POS端末20Aは、残額不足報知1220を非表示としてもよい。また、残額不足報知1220を非表示とした場合、一定時間経過しても、支払いが完了しないときには、残額不足報知1220を再度表示するようにしてもよい。
【0103】
また、図12(B)において、残額不足報知1220が押下されることによって画面が遷移することとしているが、残額不足報知1220の押下に限らない。例えば、残高不足の精算POS端末20Bに対応する、モード表示1205やレジ指定ボタン1209が押下されることによって画面が遷移するようにしてもよい。
【0104】
図13(A)に示すように、登録POS端末20Aの店員側表示部210には、決済種別選択画面1300が表示されている。決済種別選択画面1300には、プリペイドカードの残額不足が生じた旨と、当該残額不足を検出した精算POS端末20Bと、買上金額と、プリペイドカードの残額と、決済種別選択ボタン1301(1301a、1301b、1301c)とが表示されている。
【0105】
決済種別選択ボタン1301は、現金選択ボタン1301aと、クレジット選択ボタン1301bと、プリペイド選択ボタン1301cとを含む。現金選択ボタン1301aは、現金による精算を店員から受け付けるボタンである。クレジット選択ボタン1301bは、クレジットカードによる精算を店員から受け付けるボタンである。プリペイド選択ボタン1301cは、プリペイドによる精算を店員から受け付けるボタンである。図13(A)において、店員が顧客に決済種別を直接尋ね、顧客の回答に応じた決済種別として、プリペイド選択ボタン1301cを押下すると、図13(B)に示す画面に遷移する。
【0106】
図13(A)に示すように、店員が決済種別を選択することにより、顧客に客側表示部205等の操作部を触らせないようにすることができる。これにより、不特定多数の顧客が客側表示部205等の操作部を触れる機会を抑えることができるため、新型コロナウィルスをはじめとする感染症の対策に効果的である。
【0107】
図13(B)に示すように、登録POS端末20Aの店員側表示部210には、精算POS端末20Bにおいて支払いが行われていることを示す支払中報知1310が表示されている。この支払中報知1310は、精算POS端末20Bにおいて支払いが完了するまで、表示される。なお、精算POS端末20Bにおいて顧客が支払いを完了すると、その旨を示す精算完了情報が、精算POS端末20Bから登録POS端末20Aへ送信される。登録POS端末20Aは、精算完了情報を受信すると、図14(A)に示す画面に遷移する。
【0108】
図14(A)に示すように、登録POS端末20Aの店員側表示部210には、精算POS端末20Bにおいて支払いが完了した旨を示す支払完了報知1400が表示されている。登録POS端末20Aは、一定時間、支払完了報知1400を表示すると、図14(B)に示すように、支払完了報知1400を消去して、一連の報知を終了する。なお、登録POS端末20Aは、支払完了報知1400が押下されると、支払完了報知1400を消去するようにしてもよい。
【0109】
なお、登録POS端末20Aは、支払中報知1310や支払完了報知1400を表示する際に、音声を伴ってもよい。また、登録POS端末20Aは、音声のみによって、これらの報知を行ってもよい。
【0110】
(本実施形態に係るPOSシステムの機能的構成)
次に、本実施形態に係るPOSシステムの機能的構成について説明する。本実施形態に係るPOSシステム1は、精算システムの一例である。POSシステム1は、第1の装置と、第2の装置とを備える。第1の装置は、顧客が購入する商品の精算を、顧客の操作で行う。第1の装置は、少なくとも精算を行う機能を有している装置であればよい。本実施形態において、第1の装置は、会計専用モードのPOS端末20や、フルセルフモードのPOS端末20である。以下、第1の装置を精算POS端末20Bという。
【0111】
精算POS端末20Bは、決済部と、第1報知部とを備える。決済部は、予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う。金銭的価値は、例えば、金額であるが、ポイントであってもよい。決済媒体は、例えば、電子カードなどの電子媒体であるが、磁気カードなどの磁気媒体であってもよい。本実施形態において、決済媒体は、電子マネーを記憶することが可能なプリペイドカードとしている。なお、電子媒体は、プリペイドカードに限らず、電子マネーを記憶することが可能な携帯端末であってもよい。決済媒体を用いた決済は、現金を用いた決済とは異なる決済である。
【0112】
第1報知部は、決済部による決済において、決済媒体に記憶されている金銭的価値(残額)が支払い金額に対して不足している場合、その旨を示す報知を第2の装置に行わせる。具体的には、第1報知部は、第2の装置に不足情報を送信することにより、第2の装置に報知を行わせる。
【0113】
第2の装置は、店員が操作する装置である。第2の装置は、例えば、店員の操作によって商品を登録する装置であり、具体的には、通常モードのPOS端末20(登録POS端末20A)である。ただし、第2の装置は、監視端末11でもよいし、店員が所持する携帯端末など、他の装置であってもよい。以下、第2の装置を登録POS端末20Aという。
【0114】
登録POS端末20Aは、第2報知部と、第2受付部と、送信部とを備える。第2報知部は、精算POS端末20Bの第1報知部の指示に基づいて、決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している旨を報知する。具体的には、第2報知部は、精算POS端末20Bによって送信された不足情報に基づいて報知(以下「不足報知」という。)を行う。第2報知部による報知は、表示および音声のうち、少なくともいずれか一方を含んでいればよい。
【0115】
また、第2受付部は、第2報知部による不足報知が行われる際に、決済種別の選択を受け付ける。第2受付部が決済種別の選択を受け付けるタイミングは、第2報知部による不足報知と同じタイミングでもよいし、第2報知部による不足報知よりも後のタイミングでもよい。受け付ける決済種別は、現金、クレジットカード、プリペイドカード、ポイントカードなどの精算可能な全ての決済種別を含む。なお、本実施形態において、第2受付部は、例えば、図13(A)に示した決済種別選択ボタン1301を表示して、決済種別の選択を受け付ける。送信部は、第2受付部によって受け付けられた決済種別を示す種別情報を精算POS端末20Bへ送信する。
【0116】
精算POS端末20Bにおいて、決済部は、登録POS端末20Aによって送信された種別情報に応じた決済を行う。例えば、登録POS端末20Aにおいて現金の決済種別が受け付けられた場合、精算POS端末20Bは、現金の投入を促す画面を表示する。また、登録POS端末20Aにおいてプリペイドカードの決済種別が受け付けられた場合、精算POS端末20Bは、プリペイドカードで支払う金額を受け付ける画面を表示するとともに、不足分についての決済種別の選択画面を表示する。この選択画面は、現金で支払うか、プリペイドカードに別途チャージさせて支払うか、クレジットカードで支払うかを選択する画面である。決済部は、不足分について、顧客から受け付けた決済種別で決済を行う。
【0117】
また、精算POS端末20Bにおいて、第1報知部は、支払い状況に関する報知を登録POS端末20Aに行わせる。具体的には、第1報知部は、支払い状況に関する情報を登録POS端末20Aへ送信することにより、当該報知を行わせる。支払い状況に関する情報は、例えば、不足情報や、精算の開始を示す精算開始情報や、精算が完了した旨を示す精算完了情報などを含む。登録POS端末20Aにおいて、第2報知部は、支払い状況に関する情報に基づいて報知を行う。具体的には、第2報知部は、不足情報を受信すると、不足報知を行う(例えば、図12(B)の残額不足報知1220)。また、第2報知部は、精算開始情報を受信すると、支払い中である旨を報知する(例えば、図13(B)の支払中報知1310)。また、第2報知部は、精算完了情報を受信すると、支払いが完了した旨を報知する(例えば、図14(A)の支払完了報知1400)。
【0118】
以上説明した、実施形態に係るPOSシステム1は、精算POS端末20Bにおいて、プリペイドカードの残額が不足している場合に、その旨を示す報知(図12(B)の残額不足報知1220)を登録POS端末20Aに行わせるようにした。これにより、プリペイドカードに記憶されている残額が支払い金額に対して不足していることを店員に認識させることができる。このため、支払いが完了したものと顧客が誤認識し、その場から立ち去ろうとしても、顧客に対する声掛けを店員に促すことができる。したがって、支払いに係る料金を回収できるとともに、残額不足によって精算装置に生じたエラーを解除させたりするといった店員の作業負荷が生じることを抑えることができる。よって、本実施形態に係るPOSシステム1によれば、好適な精算を行うことができる。
【0119】
また、本実施形態に係るPOSシステム1は、登録POS端末20Aを、店員の操作によって商品を登録するPOS端末20(通常モードのPOS端末20-1)とした。したがって、POS端末20-1を通常モードとし、POS端末20-2およびPOS端末20-3を会計専用モードとした場合におけるPOSシステム1において、好適な精算を行うことができる。
【0120】
また、本実施形態では、登録POS端末20Aにおいて、不足報知を行う際に、決済種別の選択を受け付けるようにし、受け付けた決済種別に応じた決済を精算POS端末20Bで行うようにした。これにより、店員の操作に応じた決済種別によって、精算POS端末20Bで再度精算を行わせることができる。したがって、より好適な精算を行うことができる。
【0121】
また、本実施形態では、精算POS端末20Bは、登録POS端末20Aに支払い状況に関する報知を行わせるようにした。したがって、登録POS端末20Aにおいて、精算中における顧客の状況に応じた報知(残額不足の報知、支払い中であることの報知、支払完了の報知)を行うことができる。したがって、登録POS端末20Aにおいて商品を登録している店員は、精算POS端末20Bにおける顧客の支払い状況を把握することができる。したがって、より好適な精算を行うことができる。
【0122】
なお、本実施形態に係るPOSシステム1において、精算POS端末20Bおよび登録POS端末20Aは、モードを切り替えることが可能な装置であるが、これに限らず、モードを切り替えることが不可能な装置であってもよい。例えば、POSシステム1は、店員が商品を登録する専用の登録装置と、顧客が精算を行う専用の精算装置とを有するものとすることも可能である。
【0123】
(実施形態の変形例)
以下に、実施形態の変形例について説明する。なお、以下の各変形例では、上述した実施形態で説明した内容については、同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0124】
(変形例1)
上述した実施形態では、店員の操作に応じて、決済種別の選択を受け付ける構成について説明した。このような構成に加えて、または、このような構成に代えて、変形例1では、顧客の操作に応じて、決済種別の選択を受け付ける構成について説明する。
【0125】
まず、変形例1の機能的構成について説明する。変形例1において、精算POS端末20Bは、さらに、第1受付部を備える。第1受付部は、電子媒体に記憶されている残額が支払い金額に対して不足している場合、当該残額を用いて精算を行うか否かの選択を受け付ける。すなわち、第1の装置は、電子媒体に記憶されている残額が支払い金額に対して不足している場合、不足情報を登録POS端末20Aへ送信するのみならず、上記選択を受け付ける。
【0126】
また、選択部は、電子媒体に記憶されている残額が支払い金額に対して不足している場合、顧客から決済種別の選択を受け付ける。選択可能な決済種別は、現金、クレジットカード、プリペイドカード、ポイントカードなどの精算可能な全ての決済種別を含む。
【0127】
精算POS端末20Bの第1報知部は、選択部によって決済種別が選択された場合、支払いが行われている旨を登録POS端末20Aに報知させる。具体的には、第1報知部は、その旨を示す選択情報を登録POS端末20Aへ送信することにより、登録POS端末20Aに、支払いが行われている旨を報知させる(例えば、図16(B)の支払中報知1310)。
【0128】
また、精算POS端末20Bにおいて、選択部は、残額が支払い金額に対して不足している場合に、残額を用いて精算を行うか否かの選択を顧客から受け付ける。決済部は、選択部によって、残額を用いて精算を行うことが選択された場合に、残額を用いた決済を行う。不足額は、現金で決済してもよいし、プリペイドカードへのチャージを受け付けて決済してもよいし、クレジットカードで決済を受け付けてもよい。
【0129】
(変形例1において客側表示部205に表示される画面)
図15は、精算POS端末20Bの客側表示部205に表示される画面の一例を示す説明図である。図15(A)は、顧客が図10(A)に示したプリペイド選択ボタン1002cを押下し、精算POS端末20Bにプリペイドカードを読み取らせた際に、プリペイドカードの残額が不足していた場合に表示される画面である。
【0130】
図15(A)に示すように、客側表示部205には、残額不足通知画面1500が表示されている。残額不足通知画面1500は、買上金額に対してプリペイドの残額が不足している旨と、不足額と、決済種別選択ボタン1501(1501a、1501b)とが表示されている。決済種別選択ボタン1501は、変更ボタン1501aと、プリペイド選択ボタン1501bとを含む。
【0131】
変更ボタン1501aは、プリペイドカードを除いた決済種別への変更を受け付けるボタンである。変更ボタン1501aが押下されると、精算POS端末20Bは、プリペイドカードの残額など、保持していたカード情報をクリアする。プリペイド選択ボタン1501bは、引き続きプリペイドカードでの支払いを行うことを受け付けるボタンである。図15(A)において、プリペイド選択ボタン1501bが押下されると、図15(B)に示す画面に遷移する。
【0132】
図15(B)は、図11(A)と同様の画面である。図15(B)において、プリペイドで支払う金額を入力し、顧客が現金ボタン1103aを押下すると、図11(B)に示す画面に遷移し、現金による不足額の支払いが行われる。
【0133】
なお、図15(B)においても、図15(A)に示した画面と同様に、不足額を表示するようにしてもよい。また、チャージは、100円単位や、1000円単位といった、設定に応じた単位で行われることがある。このため、例えば、100円単位でチャージが行われる場合、図15においては不足額が580円であることから、チャージ額が600円以上必要である旨を表示するようにしてもよい。また、例えば、1000円単位でチャージが行われる場合、図15においては不足額が580円であることから、チャージ額が1000円以上必要である旨を表示するようにしてもよい。
【0134】
さらに、図15(B)に示す画面において、決済種別選択ボタン1103を精算POS端末20Bに表示させず、決済種別選択ボタン1103に相当するボタンを登録POS端末20Aに表示させて、店員による選択を受け付けるようにしてもよい。これにより、不特定多数の顧客が客側表示部205等の操作部を触れる機会を抑えることができるため、新型コロナウィルスをはじめとする感染症の対策に効果的である。
【0135】
図16は、登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される画面の一例を示す説明図である。図16(A)は、登録POS端末20Aが精算POS端末20B(POS端末20-2)から不足情報を受信した際に、登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示される残額不足報知1220を示す。精算POS端末20Bで決済種別選択ボタン1501が押下されると、精算開始情報が精算POS端末20Bから送信される。図16(A)に示す画面において、登録POS端末20Aが精算開始情報を受信すると、登録POS端末20Aの店員側表示部210には図16(B)に示す画面が表示される。
【0136】
図16(B)に示す画面は、図13(B)に示す画面と同様の画面であり、支払中報知1310が表示されている。図16(B)に示す支払中報知1310は、精算POS端末20Bにおいて支払いが完了するまで表示される。精算POS端末20Bにおいて支払いが完了すると、登録POS端末20Aの店員側表示部210には、支払いが完了した旨を示す支払完了報知1400(図14(A)参照)が一定時間表示される。
【0137】
変形例1によれば、精算POS端末20Bにおいて、プリペイドの残額が不足している場合に、登録POS端末20Aにおいて残額不足報知1220(図16(A)の)を行うとともに、精算POS端末20Bにおいて顧客から決済種別の選択を受け付ける決済種別選択ボタン1501(図15(A))を表示するようにした。これにより、プリペイドの残額が不足していることを店員に認識させることができるとともに、顧客によって精算を迅速に完了させることができる。また、登録POS端末20Aと、精算POS端末20Bとの距離が、店員が直接顧客に声掛けできない程度に離れている場合でも、顧客の操作によって精算を完了させることができる。特に、フルセルフモードでは、会計専用モードの場合に比べて店員が顧客の近くにいない可能性が高いため、変形例1の構成によれば、フルセルフモードにおいて有効である。このように、変形例1に係るPOSシステム1によれば、好適な精算を行うことができる。
【0138】
また、変形例1では、精算POS端末20Bにおいて決済種別の選択を受け付けた場合、その旨を示す選択情報(精算開始情報)を登録POS端末20Aへ送信し、登録POS端末20Aでは、当該選択情報を受信することにより、支払中報知1310(例えば、図13(B)の)を行うようにした。これにより、登録POS端末20Aにおいて商品を登録している店員は、精算POS端末20Bにおける顧客の支払い状況を把握することができる。したがって、より好適な精算を行うことができる。
【0139】
また、変形例1では、精算POS端末20Bにおいて、プリペイドカードの残額が支払い金額に対して不足している場合に、残額を用いて精算を行うか否かの選択を顧客から受け付け、残額を用いて決済を行うことを可能にした。したがって、顧客の選択に応じた決済を行うことができる。
【0140】
(変形例1の他の表示例)
図17は、精算POS端末20Bの客側表示部205に表示される画面の他の一例を示す説明図である。図17に示す画面は、図15(A)に示した画面と比較して、プリペイド選択ボタン1501bに代えて、全額使用ボタン1501cが表示されている点で異なる。全額使用ボタン1501cは、プリペイドカードの残額を全て使い切ることを受け付けるボタンである。全額使用ボタン1501cが押下されると、プリペイドカードの残額を全て使い切り、不足分を現金で受け付けて、精算を行うことが可能である。
【0141】
(変形例2)
上述した実施形態では、プリペイドカードの残額が不足している場合に、登録POS端末20Aにおいて残額不足報知1220(図12(B)参照)を行う構成について説明した。このような構成に加えて、または、このような構成に代えて、変形例2では、プリペイドカードの残額が不足している場合に、精算POS端末20Bのサインポール216の点灯により、プリペイドカードの残額が不足していることを報知する構成について説明する。
【0142】
変形例2において、精算POS端末20Bの第1報知部は、決済部による決済において、プリペイドカードに記憶されている残額が支払い金額に対して不足している場合、その旨を示す報知を、自装置のサインポール216に行わせる。
【0143】
具体的には、精算POS端末20Bは、決済においてプリペイドカードに記憶されている残額が支払い金額に対して不足している場合に、サインポール216を所定の点灯態様(第1の点灯態様)で点灯させる。これにより、周辺の店員に対して、プリペイドカードの残額が不足している旨を報知することができる。
【0144】
また、精算POS端末20Bは、図8のステップS809において、精算操作を受け付けた際に、サインポール216の第1の点灯態様を終了させてもよい。また、このとき、精算POS端末20Bは、支払中であることを示す点灯態様(第2の点灯態様)に切り替えてもよい。これにより、周辺の店員に対して、支払いの操作が行われていることを報知することができる。
【0145】
精算POS端末20Bは、図8のステップS811において精算処理が完了した際に、サインポール216の第1の点灯態様または第2の点灯態様を終了させてもよい。また、このとき、精算POS端末20Bは、精算が完了したことを示す点灯態様(第3の点灯態様)に切り替えてもよい。これにより、周辺の店員に対して、支払いが完了したことを報知することができる。
【0146】
(変形例3)
変形例3では、登録POS端末20Aにおいて表示される残額不足報知1220(図12(B)参照)の他の例について説明する。
図18は、登録POS端末20Aにおいて表示される残額不足報知の他の例を示す説明図である。なお、変形例3では、登録POS端末20Aを、商品の登録専用の端末とし、精算POS端末20Bを、精算専用の端末とする。
【0147】
図18に示すように、登録POS端末20Aの店員側表示部210に表示されている画面は、レジ指定ボタン1801、1802と、釣銭不足報知1811と、残額不足報知1812とを含む。レジ指定ボタン1801およびレジ指定ボタン1802は、登録情報の送信先となる精算POS端末20Bを指定するためのボタンである。レジ指定ボタン1801が押下されると、2番レジを示す精算POS端末20Bに登録情報が送信されて、2番レジで精算が行われることになる。レジ指定ボタン1802が押下されると、3番レジを示す精算POS端末20Bに登録情報が送信されて、3番レジで精算が行われることになる。
【0148】
レジ指定ボタン1801の上には、釣銭不足報知1811と、残額不足報知1812とが表示されている。釣銭不足報知1811は、釣銭(貨幣)の枚数が所定枚数以下となったニアエンド状態であることを報知する表示である。残額不足報知1812は、買上金額に対してプリペイドカードの残額が不足している旨を報知する表示である。図18に示す例では、2番レジにおいて、釣銭がニアエンド状態となり、且つ、プリペイドカードの残額が不足している状態であることを示している。
【0149】
なお、図18において、釣銭のニアエンド状態のときと、プリペイドカードの残額不足状態とのうち、いずれか一方の状態であるときには、釣銭不足報知1811と、残額不足報知1812とのうち、対応する一方のみを表示してもよいし、両方を表示してもよい。両方を表示する場合、当該状態に対応する一方を目立つ態様にして表示すればよい。
【0150】
変形例3によれば、商品の登録専用の端末と、精算専用の端末とを用いたPOSシステムにおいて、精算専用の端末でプリペイドカードに記憶されている残額が支払い金額に対して不足していることを店員に認識させることができる。よって、好適な精算を行うことができる。
【0151】
以下、実施形態総括を記載する。
[技術分野] 精算システム、およびプログラム
本発明は、精算システム、およびプログラムに関する。
[背景技術]
近年、店員が登録装置で商品を登録し、登録された商品の精算を、精算装置で顧客が自ら行う、いわゆるセルフレジが普及している(例えば、下記特許文献1参照。)。このようなセルフレジにおいて、精算装置では、予め金額が記憶されたプリペイドカード(電子マネー)を用いて電子決済を行うことが可能である。電子決済では、顧客はスキャナにプリペイドカードをかざすだけで決済が完了する。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2017-102856号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
しかしながら、従来技術では、顧客はプリペイドカードをスキャナにかざしているため、仮に、支払い金額に対して、プリペイドカードに記憶されている残額が不足していた場合でも、顧客は支払いが完了したものと誤認識してしまい、その場から立ち去ろうとしてしまうことがある。これにより、料金を回収できないおそれがあるほか、精算が未完了であることによって精算装置に生じるエラーを解除させたりするといった店員の作業負荷が生じてしまうおそれがある。このため、従来技術では、好適な精算を行うことができないことがある、という問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、好適な精算を行うことができる技術を提供することにある。
[課題を解決するための手段]
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である精算システムは、顧客が購入する商品の精算を前記顧客の操作で行う第1の装置と、店員が操作する第2の装置とを有する精算システムにおいて、前記第1の装置は、予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う決済手段と、前記決済手段による前記決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、その旨を示す報知を前記第2の装置に行わせる報知手段と、を備える、ことを特徴とする精算システムである。
上記構成によれば、決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足していることを店員に認識させることができる。このため、支払いが完了したものと顧客が誤認識し、その場から立ち去ろうとしても、顧客に対する声掛けを店員に促すことができる。したがって、支払いに係る料金を回収できるとともに、残額不足によって第1の装置に生じたエラーを解除させたりするといった店員の作業負荷が生じることを抑えることができる。よって、本実施形態によれば、好適な精算を行うことができる。
上記構成において、前記第2の装置は、店員の操作によって前記商品を登録する装置としてもよい。
上記構成によれば、店員が商品を登録する第2の装置と、顧客が精算を行う第1の装置とを備えた精算システムにおいて、好適な精算を行うことができる。
上記構成において、前記第2の装置は、前記報知を行う際に、店員から決済種別の選択を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた前記決済種別を示す種別情報を前記第1の装置へ送信する送信手段を備え、前記決済手段は、前記第2の装置によって送信された前記種別情報に応じた決済を行ようにしてもよい。
上記構成によれば、店員の操作に応じた決済種別によって、第1の装置で再度精算を行わせることができる。したがって、より好適な精算を行うことができる。
上記構成において、前記報知手段は、支払い状況に関する報知を前記第2の装置に行わせるようにしてもよい。
上記構成によれば、支払中における顧客の状況に応じた報知(残額不足の報知、支払い中であることの報知、支払完了の報知)を行うことができる。したがって、第2の装置において商品を登録している店員は、第1の装置における顧客の支払い状況を把握することができる。したがって、より好適な精算を行うことができる。
上述した課題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、顧客が購入する商品の精算を前記顧客の操作で行う第1の装置と、店員が操作する第2の装置とを有する精算システムに用いられる、前記第1の装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う決済手段と、前記決済手段による前記決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、その旨を示す報知を前記第2の装置に行わせる報知手段と、して機能させることを特徴とするプログラムである。
上記構成によれば、決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足していることを店員に認識させることができる。このため、支払いが完了したものと顧客が誤認識し、その場から立ち去ろうとしても、顧客に対する声掛けを店員に促すことができる。したがって、支払いに係る料金を回収できるとともに、残額不足によって第1の装置に生じたエラーを解除させたりするといった店員の作業負荷が生じることを抑えることができる。よって、本実施形態によれば、好適な精算を行うことができる。
また、上記構成において、前記第1の装置は、決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、前記顧客から決済種別の選択を受け付ける選択手段をさらに備えていてもよい。
上記構成によれば、決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足していることを店員に認識させることができるとともに、顧客によって決済を迅速に完了させることができる。
また、上記構成において、前記報知手段は、前記選択手段によって前記決済種別が選択された場合、支払いが行われている旨の報知を第2の装置に行わせるようにしてもよい。
上記構成によれば、第2の装置において商品を登録している店員は、第1の装置における顧客の支払い状況を把握することができる。したがって、より好適な精算を行うことができる。
また、上記構成において、前記選択手段は、前記金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合に、前記金銭的価値を用いて精算を行うか否かの選択を前記顧客から受け付け、前記決済手段は、前記選択手段によって、前記金銭的価値を用いて精算を行うことが選択された場合に、前記金銭的価値を用いて決済を行ってもよい。
上記構成によれば、顧客の選択に応じた決済を行うことができる。
【0152】
なお、上述した説明では、決済部と、第1報知部と、第1受付部と、第2報知部と、第2受付部と、送信部とは、複数のPOS端末20に具備される構成について説明した。これらの機能部は、他のコンピュータ装置に具備されていてもよい。例えば、これらの機能部は、ストアコントローラ10に具備されていてもよいし、監視端末11に具備されていてもよいし、これら以外のコンピュータ装置に具備されていてもよい。また、これらの機能部が具備されるコンピュータ装置は、1台であることに限らず、複数台であってもよい。例えば、これらの機能部の一部の機能部を一のコンピュータ装置が具備し、他の機能部を他のコンピュータ装置が具備していてもよい。
【0153】
なお、以上に説明したPOSシステム1およびPOS端末20を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0154】
1…POSシステム
10…ストアコントローラ
11…監視端末
20…POS端末
201…CPU
202…ROM
203…RAM
204…ハードディスク
205…客側表示部
206…客側スキャナ部
208…カード決済部
209…釣銭機
210…店員側表示部
211…キー操作部
212…店員側スキャナ部
213…印刷部
214…音声出力部
215…通信部
216…サインポール
1220…残額不足報知
1310…支払中報知
1400…支払完了報知
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
品の精算を顧客の操作で行う精算装置と、前記精算装置の状況を表示する表示部を備える監視端末とを有する精算システムにおいて、
前記精算装置は、
予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いて決済を行う決済手段と、
前記決済手段による前記決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、前記不足を示す不足情報を前記監視端末へ送信する送信手段と、
を備え、
前記監視端末は、
記精算装置から送信された前記不足情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、前記不足を示す報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする精算システム。
【請求項2】
店員の操作で商品を登録する登録装置を有し、
前記精算装置は、前記登録装置によって登録された商品の精算を顧客の操作で行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の精算システム。
【請求項3】
商品の精算を顧客の操作で行う精算装置と、前記精算装置の状況を表示する表示部を備える監視端末とを有する精算システムの前記監視端末であって、
予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いた決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、前記不足を示す不足情報を前記精算装置から受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、前記不足を示す報知を行う報知手段と、
を備えることを特徴とする監視端末。
【請求項4】
商品の精算を顧客の操作で行う精算装置と、前記精算装置の状況を表示する表示部を備える監視端末とを有する精算システムの前記監視端末としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
予め金銭的価値が記憶された決済媒体を用いた決済において、前記決済媒体に記憶されている金銭的価値が支払い金額に対して不足している場合、前記不足を示す不足情報を前記精算装置から受信する受信手段、
前記受信手段によって前記不足情報が受信されると、前記不足を示す報知を行う報知手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、精算システム、監視端末、およびプログラムに関する。