(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107498
(43)【公開日】2024-08-08
(54)【発明の名称】作業内容分析装置、作業内容分析方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20240801BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240801BHJP
【FI】
G06Q10/063
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099109
(22)【出願日】2024-06-19
(62)【分割の表示】P 2020136965の分割
【原出願日】2020-08-14
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 賢
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁志
(72)【発明者】
【氏名】日下部 峻
(72)【発明者】
【氏名】秋本 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】山本 一貴
(72)【発明者】
【氏名】森下 敏之
(57)【要約】
【課題】 工場等の分析対象領域内の、作業者等の人の密集や密接の状態を、分析対象領域内の各エリア毎に分析する作業内容分析装置、方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、分析対象領域内の人の密集や密接の状態を、前記分析対象領域内の各エリア毎に分析する作業内容分析装置は、前記分析対象領域内の各人の位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する第1のデータベースと、前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、前記各エリア毎に、予め決定された項目の累積値を得る累積部と、前記累積部によって得られた累積値に基づいて、前記分析のために前記各エリアを分類する分類部とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象領域内の人の密集や密接の状態を、前記分析対象領域内の各エリア毎に分析する作業内容分析装置であって、
前記分析対象領域内の各人の位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する第1のデータベースと、
前記第1のデータベースに、前記人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、前記各エリア毎に、予め決定された項目の累積値を得る累積部と、
前記累積部によって得られた累積値に基づいて、前記分析のために前記各エリアを分類する分類部とを備えた、作業内容分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、工場等における作業者の作業内容を、作業者の状態に基づいて分析するための作業内容分析装置、作業内容分析方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、作業の効率化を図るためには、実際の作業に要する時間を計測し、作業手順を分析し、この計測結果および分析結果に基づいて、現状の作業の可視化を図り、手順を標準化し、各作業者が、標準化された手順に従って作業することが一般的である。
【0003】
しかしながら、このような従来の作業手順の分析のために必要な作業時間の計測は、計測員によって、ストップウォッチによってなされている。これでは、人件費が余分にかかってしまう。
【0004】
余分な人件費をかけることなく作業時間を計測するために、IoTを利用することもできる。すなわち、人間系の作業を、IoTによって代替させるという発想である。
【0005】
しかしながら、重厚なIoTは、工場の設備自体の改修を要するために、すでに稼働している工場の設備に後付けで設置することは難しい。
【0006】
このように、作業内容分析を実施しようとしても、そのためのデータ収集のために、余分な人件費がかかり、逆に人件費を削減しようとすれば、設備の改造が必要となるというように、実施することは容易ではない。
【0007】
このため、仕入先の作業効率向上策まで実施する余裕などなく、仕入先の工場の作業効率向上策については、仕入先に任せているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4218669号公報
【特許文献2】特許第5198981号公報
【特許文献3】特許第5107206号公報
【特許文献4】特許第6520029号公報
【特許文献5】特許第6385613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、余分な人件費をかけず、設備の大幅な改造も要することなく、工場等の作業者の作業内容を分析する作業内容分析装置、作業内容分析方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の作業内容分析装置は、分析対象領域内の人の密集や密接の状態を、分析対象領域内の各エリア毎に分析する作業内容分析装置であって、分析対象領域内の各人の位置を表す位置情報を、時間情報とともに、対応する人の識別情報に関連付けて記憶する第1のデータベースと、第1のデータベースに、人の識別情報に関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、各エリア毎に、予め決定された項目の累積値を得る累積部と、累積部によって得られた累積値に基づいて、分析のために各エリアを分類する分類部とを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、作業内容分析装置の他の装置との接続関係の一例を示す概念図である。
【
図3】
図3は、工場内に配置された各エリアの配置例を示す平面図である。
【
図4】
図4は、各作業者のエリア滞在履歴を図式化した例を示す図である。
【
図5】
図5は、(1)各エリアへの全作業者による立入回数の累積値に基づいて各エリアが分類された例を示す図である。
【
図6】
図6は、(2)各エリアへの全作業者による滞在時間の累積値に基づいて各エリアが分類された例を示す図である。
【
図7】
図7は、(3)複数のエリア間の全作業者による移動回数の累積値に基づいて決定された、各エリア同士の相関関係の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、各エリア毎に、滞在した人の数を、時間軸に沿って表示した一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置について説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
【0015】
作業内容分析装置10は、分析対象領域内における人の密集や密接の状態を、分析対象領域内の各エリア毎に分析する装置である。
【0016】
本実施形態では、限定される訳ではないが、分析対象領域が工場であり、人が工場の作業員である例を説明する。
【0017】
作業内容分析装置10の電子回路は、
図1に示すように、バス11によって互いに接続されたCPU12、記録媒体読取部14、通信部15、表示部16(例えば、ディスプレイ)、メモリ20、および記憶装置30を備えている。
【0018】
メモリ20は、作業内容分析装置10を実現するプログラムとして、処理モジュール21、累積モジュール22、分類モジュール23、結果明示モジュール24、および表示制御モジュール25を記憶している。
【0019】
これらプログラムモジュール21~25は、メモリ20に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ20に読み込まれて記憶されたものであってもよい。これらプログラムモジュール21~25は、書き換えできないようになっている。
【0020】
メモリ20には、このようなユーザ書き換え不可能なメモリエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するメモリエリアとして、書込可能データエリア29が確保されている。
【0021】
CPU12は、各プログラムモジュール21~25を実行可能な1つまたは複数のプロセッサの一例であって、各プログラムモジュール21~25に従い回路各部の動作を制御する。
【0022】
図2は、作業内容分析装置の他の装置との接続関係の一例を示す概念図である。
【0023】
各作業者100には、固有のセンサIDが付与された、例えば腕時計タイプの位置センサ110が取り付けられている。
【0024】
位置センサ110は、GPS機能やWiFi機能、あるいはビーコン125を介して、作業者100の位置を測定し、測定した位置情報を、センサIDとともに、通信ネットワーク70を介して作業内容分析装置10に送信する。
【0025】
また、各作業者100には、上記のような位置センサ110の代わりに、あるいは位置センサ110に加えて、カメラ等の映像センサ115が取り付けられていてもよい。映像センサ115にも同様に、固有のセンサIDが付与されている。
【0026】
映像センサ115は、各作業者100の視線上の映像を撮像し、撮像した映像情報を、センサIDとともに、通信ネットワーク70を介して作業内容分析装置10に送信する。
【0027】
記憶装置30は、作業者データベース31、および位置情報データベース32を備えている。
【0028】
作業者データベース31は、各作業者100の作業者ID(例えば、社員番号等)を記憶している。また、各作業者100に取り付けられている位置センサ110や映像センサ115のセンサIDも、対応する作業者100の作業者IDに関連付けて記憶している。
【0029】
位置情報データベース32は、各作業者100の位置情報を、時間情報とともに、作業者100の作業者IDに関連付けて記憶するためのデータベースである。
【0030】
これらデータベース31~32を記憶する記憶装置30は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなる。
【0031】
通信部15は、通信ネットワーク70に接続されており、通信ネットワーク70を介して、位置センサ110から送信される位置情報や、映像センサ115から送信される映像情報を、センサIDとともに受信し、受信した位置情報あるいは映像情報を、センサIDとともに処理モジュール21へ出力する。
【0032】
図2では、一例として、位置センサ110(および/または、映像センサ115)からの位置情報(および/または、映像情報)が、通信ネットワーク70を経由して、ゲートウェイによって実現される通信部15によって受信される例が示されている。
【0033】
通信部15はまた、表示制御モジュール25によって表示部16から表示される分析結果等を、外部端末130から表示させるために、分析結果等の表示に必要なデータを、
図2に示すように、通信ネットワーク70を介して外部端末130へ出力することもできる。
【0034】
処理モジュール21は、通信部15から位置情報およびセンサIDが出力されると、作業者データベース31から、センサIDに関連付けられている作業者IDを取得し、作業者IDを、位置情報およびセンサIDとともに、位置情報データベース32へ出力する。
【0035】
また、処理モジュール21は、通信部15から映像情報およびセンサIDが出力されると、作業者データベース31から、センサIDに関連付けられている作業者IDを取得することに加えて、映像情報から位置情報を、例えばAIにより取得する。そして、同様に、作業者IDを、位置情報およびセンサIDとともに、位置情報データベース32へ出力する。
【0036】
位置情報データベース32は、処理モジュール21から出力された位置情報を、時間情報、作業者ID、およびセンサIDに関連付けて記憶する。位置情報データベース32は、この時間情報として、作業内容分析装置10の内部時計(図示せず)によって計時された時間情報や、作業内容分析装置10が接続している外部システムの時計(計時手段)と同期された時間情報を使うことができる。
【0037】
累積モジュール22は、位置情報データベース32に、作業者IDに関連付けられて記憶された位置情報、および時間情報に基づいて、工場内の各エリア毎に、予め決定された項目の累積値を得る。予め決定された項目の累積値としては、例えば、(1)各エリアへの全作業者による立入回数の累積値、(2)各エリアへの全作業者による滞在時間の累積値、(3)複数のエリア間の全作業者による移動回数の累積値を含む。
【0038】
そのために、累積モジュール22は、全作業者について、位置情報から、エリアを判定する。さらに、この判定結果と、時間情報とに基づいて、各作業者が、どのエリアに滞在していたのかを時系列的に示すエリア滞在履歴を作成する。
【0039】
図3は、工場内に配置された各エリアの配置例を示す平面図である。
【0040】
図3においてA~Iは、工場内に配置されている各エリアを示す。
【0041】
図4は、各作業者のエリア滞在履歴を図式化した例を示す図である。
【0042】
図4において、縦軸はエリアA~Jを表し、横軸は時刻を表す。
【0043】
図4によれば、例えば、作業者Xは午前8時から15分間エリアAに滞在し、その後、即座にエリアCに移動し、エリアCに15分間滞在した後に、即座にエリアEに移動し、エリアEに15分間滞在した後に、エリアFに移動し、エリアEからエリアFへの移動には、約30分間を要し、エリアFに15分間滞在した後に、即座にエリアIに移動したことがわかる。
【0044】
同様に、作業者Y、Z、Wについても、エリア滞在履歴が示されている。
【0045】
このようなエリア滞在履歴によれば、各作業者がどのエリアにどれだけの時間滞在し、その後、どのエリアに移動し、そこでどれだけの時間滞在したのかという行動実態を可視化することができる。
【0046】
このようなエリア滞在履歴に基づいて、累積モジュール22は、(1)各エリアへの全作業者による立入回数の累積値、(2)各エリアへの全作業者による滞在時間の累積値、および(3)複数のエリア間の全作業者による移動回数の累積値を得ることができる。
【0047】
分類モジュール23は、累積モジュール22によって得られた累積値に基づいて、分析のために各エリアを分類する。
【0048】
結果明示モジュール24は、分類モジュール23による分類結果を、所定のエリアによって区分された、工場を示すマップにおける対応するエリアに明示する。
【0049】
表示制御モジュール25は、結果明示モジュール24によって各エリアに分類結果が明示されたマップを、表示部16、および/または、外部端末130の表示画面から表示させる。また、結果明示モジュール24によって明示されたマップのみならず、後述するように、分類モジュール23によって作成される相関図も、表示部16、および/または、外部端末130の表示画面から表示させる。
【0050】
これら、分類モジュール23、結果明示モジュール24、および表示制御モジュール25の構成の詳細を、上記(1)~(3)の例毎に、以下にまとめて説明する。
【0051】
例えば、累積モジュール22によって、(1)各エリアへの全作業者による立入回数の累積値が得られた場合、分類モジュール23は、累積された各エリア毎の立入回数に基づいて、各エリアを分類する。
【0052】
そして、結果明示モジュール24は、分類モジュール23による分類結果を、所定のエリアによって区分された、工場を示すマップにおける対応するエリアに明示する。その一例を
図5に示す。
【0053】
図5は、(1)各エリアへの全作業者による立入回数の累積値に基づいて各エリアが分類された例を示す図である。
【0054】
ここでいう累積値とは、例えば、エリアAに、作業者Xが2回立ち入り、作業者Yが5回立ち入り、作業者Zが3回立ち入り、作業者Wが2回立ち入った場合、12となる。
【0055】
分類モジュール23は、
図5に示す例では、全作業者による立入回数の累積値に応じて、エリアA~Iを、5つのクラスに分類している。この例では、最も立入回数の多いクラス1にエリアGが属し、2番目に立入回数の多いクラス2にエリアE、Hが属し、3番目に立入回数の多いクラス3にエリアA、D、Iが属し、4番目に立入回数の多いクラス4にエリアC、Fが属し、最も立入回数の少ないクラス5にエリアBが属している。
【0056】
図5に示すように、分類モジュール23による分類結果が、結果明示モジュール24によって、工場を示すマップにおける各エリアに異なる凡例で明示される。
【0057】
そして、表示制御モジュール25は、
図5に例示されるようなマップを、表示部16から表示させたり、および/または、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示させる。
【0058】
また、累積モジュール22によって、(2)各エリアへの全作業者による滞在時間の累積値が得られた場合、分類モジュール23は、累積された各エリア毎の滞在時間に基づいて、各エリアを分類する。
【0059】
そして、結果明示モジュール24は、分類モジュール23による分類結果を、所定のエリアによって区分された、工場を示すマップにおける対応するエリアに明示する。その一例を
図6に示す。
【0060】
図6は、(2)各エリアへの全作業者による滞在時間の累積値に基づいて各エリアが分類された例を示す図である。
【0061】
分類モジュール23は、
図6に示す例では、全作業者による滞在時間の累積値に応じて、エリアA~Iを、5つのクラスに分類している。この例では、最も滞在時間の累積値が長いクラス1にエリアDが属し、2番目に滞在時間の累積値が長いクラス2にエリアG、Hが属し、3番目に滞在時間が長いクラス3にエリアA、E、F、H、Iが属し、4番目に滞在時間が長いクラス4にエリアCが属し、最も滞在時間が短いクラス5にエリアBが属している。
【0062】
図6に示すように、分類モジュール23による分類結果が、結果明示モジュール24によって、工場を示すマップにおける各エリアに異なる凡例で明示される。
【0063】
そして、表示制御モジュール25は、
図6に例示されるようなマップを、表示部16から表示させたり、および/または、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示させる。
【0064】
また、累積モジュール22によって、(3)複数のエリア間の全作業者による移動回数の累積値が得られた場合、分類モジュール23は、累積された各エリア間の移動回数に基づいて、各エリア同士の相関関係を決定する。
【0065】
図7は、(3)複数のエリア間の全作業者による移動回数の累積値に基づいて決定された、各エリア同士の相関関係の一例を示す図である。
【0066】
図7において、実線は移動が多いことを示し、破線は移動が少ないことを示し、実線の中でも、太い実線ほど、移動が多く、破線の中でも、太い破線ほど、移動が少ないことを示している。
【0067】
表示制御モジュール25は、
図7に例示されるような相関図を、表示部16から表示させたり、および/または、通信ネットワーク70を介して外部端末130の表示画面から表示させる。
【0068】
次に、以上のように構成した第1の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の動作例について説明する。
【0069】
図8は、第1の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の動作例を示すフローチャートである。
【0070】
各作業者100には、固有のセンサIDが付与された位置センサ110が取り付けられている。また、各作業者100には、位置センサ110の代わりに、あるいは、位置センサ110に加えて、カメラ等の映像センサ115が取り付けられていてもよい。
【0071】
位置センサ110によって測定された、作業者100の位置情報(位置センサ110によるセンシング情報)は、位置センサ110から、センサIDとともに作業内容分析装置10に送信される。映像センサ115によって撮像された映像情報(映像センサ115によるセンシング情報)もまた、映像センサ115から、センサIDとともに、通信ネットワーク70を介して作業内容分析装置10に送信される(S1)。
【0072】
位置センサ110から送信されたセンシング情報である位置情報およびセンサID、映像センサ115から送信されたセンシング情報である映像情報およびセンサIDは、作業内容分析装置10において通信部15によって受信され、通信部15によって、処理モジュール21へ出力される。
【0073】
処理モジュール21では、通信部15から位置情報およびセンサIDが出力されると、作業者データベース31から、センサIDに関連付けられている作業者IDが取得される。同様に、処理モジュール21では、通信部15から映像情報およびセンサIDが出力された場合も、作業者データベース31から、センサIDに関連付けられている作業者IDが取得される(S2)。
【0074】
さらに、処理モジュール21では、ステップS1で送信されたセンシング情報が位置情報であった場合(S3:Yes)には、ステップS2で取得された作業者IDが、位置情報およびセンサIDとともに、位置情報データベース32へ出力され、位置情報が、時間情報、作業者ID、およびセンサIDに関連付けられて、位置情報データベース32に記憶される(S5)。
【0075】
一方、処理モジュール21では、ステップS1で送信されたセンシング情報が映像情報であった場合(S3:No)には、例えばAIによって、映像情報から位置情報が取得される(S4)。その後、ステップS2で取得された作業者IDが、ステップS4で取得された位置情報およびセンサIDとともに、位置情報データベース32へ出力され、位置情報が、時間情報、作業者ID、およびセンサIDに関連付けられて、位置情報データベース32に記憶される(S5)。
【0076】
次に、位置情報データベース32に記憶された情報に基づいて、累積モジュール22によって、全作業者について、位置情報から、エリアが判定される(S6)。さらに、この判定結果と、時間情報とに基づいて、例えば
図4に例示するように、各作業者が、どのエリアに滞在していたのかを時系列的に示すエリア滞在履歴が作成される(S7)。
【0077】
このようなエリア滞在履歴に基づいて、累積モジュール22では、予め決定された項目の累積値が得られる(S8)。予め決定された項目の累積値としては、例えば、(1)各エリアへの全作業者による立入回数の累積値、(2)各エリアへの全作業者による滞在時間の累積値、および(3)複数のエリア間の全作業者による移動回数の累積値を含む。
【0078】
分類モジュール23では、累積モジュール22によって、(1)各エリアへの全作業者による立入回数の累積値、および(2)各エリアへの全作業者による滞在時間の累積値が得られた場合(S9:(1),(2))、得られた累積値に基づいて、分析のために各エリアが分類され、この分類結果が、結果明示モジュール24によって、マップにおける対応するエリアに明示され、その結果である
図5や
図6に例示されるようなマップが、分析結果として、表示制御モジュール25によって、表示部16から、あるいは、通信ネットワーク70を介して、外部端末130の表示画面から表示される(S10)。
【0079】
一方、分類モジュール23では、累積モジュール22によって、(3)複数のエリア間の全作業者による移動回数の累積値が得られた場合(S9:(3))、累積された各エリア間の移動回数に基づいて、各エリア同士の相関関係が決定され、その結果である
図7に例示されるような相関図が、分析結果として、表示制御モジュール25によって、表示部16から、あるいは、通信ネットワーク70を介して、外部端末130の表示画面から表示される(S11)。
【0080】
このように、第1の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置によれば、例えば
図5~
図7に示すような分析結果を得ることができる。そして、これら分析結果を参照することによって、工場等の分析対象領域内の、作業者等の人の密集や密接の状態を、分析対象領域内の各エリア毎に分析することが可能となる。
【0081】
特に、
図5のような分析結果を参照することによって、エリア毎の滞在頻度の高低を把握することができる。
【0082】
また、
図6のような分析結果を参照することによって、エリア毎の滞在時間の長短を把握することができる。
【0083】
例えば、工場全体の生産性を改善するためには、作業者が多く立ち寄る、すなわち、滞在頻度が高く、滞在時間が長いエリアには、よく使われる機械を配置し、一方、作業者があまり立ち寄らない、すなわち、滞在頻度が低い、および/または、滞在時間が短いエリアには、さほど使われることのない機械を配置するなど、レイアウトを見直すことが望ましい。
【0084】
図5および
図6に示す分析結果は、上述したような機械の最適な配置決定の検討のために有効に活用することができる。また、作業者間の無駄な密集や密接を極力生じさせないように、機械を配置するエリアを決定する際の検討のためにも有効に活用することができる。
【0085】
また、
図7のような分析結果を参照することによって、エリア間の移動頻度の大小を把握することができる。
【0086】
したがって、
図5および
図6に、
図7の分析結果も参照することによって、作業者間の移動時における密集や密接も抑えながら、レイアウトを決定する際の検討のためにも有効に活用することが可能となる。
【0087】
例えば、生産性の観点からは、主要製品は直線状に製造ラインを配置し、よく使う機械は製造ライン上に配置することが効率的である。そうすることで、作業者毎におのずと滞在エリアが限定されるので人の密度を減少させることが可能となる。
【0088】
一方、制約条件理論(スループット)の観点からは、ボトルネックになる工程を生産効率の良い機械に入れ替えたり、生産工程を分割したり、人員を増やすことで生産性の改善が可能となる。
【0089】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置について説明する。
【0090】
第2の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の構成は、
図1を用いて説明できるので、以下では、
図1を参照しながら、重複説明をすることなく、第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0091】
すなわち、本実施形態では、累積モジュール22は、位置情報データベース32に、作業者に関連付けて記憶された位置情報および時間情報に基づいて、各エリア毎に、滞在した人の数を、時間毎に累積する。
【0092】
表示制御モジュール25は、累積モジュール22による累積結果に応じて、各エリア毎に、滞在した人の数を、時間軸に沿って表示させる。その一例を
図9に示す。
【0093】
図9は、各エリア毎に、滞在した人の数を、時間軸に沿って表示した一例を示す図である。
【0094】
図9において、縦軸はエリアA~Jを表し、横軸は時刻を表す。
図9によれば、各エリアに、どの時間帯に、どれくらいの時間、何人(1人、2人、または3人以上)の作業者が滞在しているのかが分かる。
【0095】
次に、以上のように構成した第2の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の動作例について説明する。
【0096】
図10は、第2の実施形態の作業内容分析方法が適用された作業内容分析装置の動作例を示すフローチャートである。
【0097】
図10では、
図8と同一の処理については、同じステップ番号を付し、重複説明を避け、異なる内容について説明する。
【0098】
すなわち、本実施形態では、ステップS7の後、位置情報データベース32に記憶された情報に基づいて、累積モジュール22によって、各エリア毎に、滞在した人の数が、時間毎に累積される(S81)。
【0099】
これに応じて、表示制御モジュール25によって、
図9に例示されるように、ステップS81でなされた累積結果が、表示部16あるいは外部端末130の表示画面から表示される(S82)。
【0100】
図9には、各エリア毎に、滞在した人の数が、時間軸に沿って表示されているので、各エリアにおいて、どの時間帯に、どれくらいの時間、何人(1人、2人、または3人以上)の作業者が滞在しているのかが分かる。
【0101】
図9に示すような分析結果によれば、各エリアにおいて、どの時間帯に、作業者が集中する/しないか、集中する時間は長いか/短いかという観点から、時間帯別の作業者の密集や密接の状態を、各エリア毎に把握できる。このような結果もまた、
図5、
図6、および
図7の分析結果とともに、作業者間の移動時における密集や密接も抑えながら、最適なレイアウトを決定する際の検討のために有効に活用することができる。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
10・・作業内容分析装置、11・・バス、12・・CPU、13・・外部記録媒体、14・・記録媒体読取部、15・・通信部、16・・表示部、20・・メモリ、21・・処理モジュール、22・・累積モジュール、23・・分類モジュール、24・・結果明示モジュール、25・・表示制御モジュール、29・・書込可能データエリア、30・・記憶装置、31・・作業者データベース、32・・行動情報データベース、70・・通信ネットワーク、100・・作業者、110・・位置センサ、115・・映像センサ、120・・マイクロコントローラ、125・・ビーコン、130・・外部端末