(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010751
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】供給システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
B41J2/175 131
B41J2/175 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112219
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山縣 真也
(72)【発明者】
【氏名】深澤 教幸
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA19
2C056EC15
2C056EC64
2C056KD08
(57)【要約】
【課題】記録材の再充填の分野においては、より環境負荷を小さくする。
【解決手段】この供給システムは、複数のプリンターのそれぞれは、各プリンターに供給されるべきインクの種類を特定するためのインク特定情報を保持しており、供給システムは、インク供給装置を備える。インク供給装置は、互いに異なる種類のインクを収容している複数のインク収容部と、それぞれ複数のインク収容部のうちの互いに異なるインク収容部に接続されており、接続されているインク収容部内のインクをプリンターに送出する、複数のインク送出部と、 各プリンターが保持するインク特定情報を読み取る情報読取部と、複数のインク送出部のうち、情報読取部によって読み取られたインク特定情報に応じたインクを収容しているインク収容部に接続されたインク送出部を制御して、インクを送出させる制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリンターにインクを供給する供給システムであって、
前記複数のプリンターのそれぞれは、前記各プリンターに供給されるべきインクの種類を特定するためのインク特定情報を保持しており、
前記供給システムは、インク供給装置を備え、
前記インク供給装置は、
互いに異なる種類のインクを収容している複数のインク収容部と、
それぞれ前記複数のインク収容部のうちの互いに異なるインク収容部に接続されており、接続されている前記インク収容部内のインクを前記プリンターに送出する、複数のインク送出部と、
前記各プリンターが保持する前記インク特定情報を読み取る情報読取部と、
前記複数のインク送出部のうち、前記情報読取部によって読み取られた前記インク特定情報に応じたインクを収容しているインク収容部に接続されたインク送出部を制御して、インクを送出させる制御部と、を備える、供給システム。
【請求項2】
請求項1記載の供給システムであって、
前記インク供給装置および前記複数のプリンターと通信可能に接続された管理サーバーを備え、
前記複数のプリンターのそれぞれは、前記各プリンターが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回った場合には、前記管理サーバーに第1信号を送信し、
前記管理サーバーは、前記第1信号を受信したことを契機として、前記第1信号を送信した前記プリンターを表す情報を含む第2信号を、前記インク供給装置に送信し、
前記インク供給装置は、
情報を出力する出力部を備え、
前記第2信号を受信したことを契機として、前記第1信号を送信した前記プリンターへのインクの供給を促す情報を前記出力部に出力させる、供給システム。
【請求項3】
請求項1記載の供給システムであって、
前記各インク送出部は、インクを検知することができるインク検知部であって、インクを前記プリンターに送出する際に前記プリンター内に挿入されるインク検知部を備え、
前記各インク送出部は、前記インク検知部がインクを検知した場合にインクの送出を止める、供給システム。
【請求項4】
請求項1記載の供給システムであって、
前記複数のプリンターのそれぞれは、前記複数のインク送出部のいずれかと接続されて前記インクを受け入れる受入接続部を備え、
前記複数のインク送出部のそれぞれは、前記複数のプリンターの前記受入接続部のいずれかと接続されて前記インクを送出する送出接続部を備え、
異なる種類のインクを流通させる前記受入接続部と前記送出接続部とは、互いに接続不可能な形状で構成されており、
同一の種類のインクを流通させる前記受入接続部と前記送出接続部とは、互いに接続可能な形状で構成されている、供給システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の供給システムであって、
前記インク供給装置は、前記インク供給装置を人間の身体に固定するための固定具を備える、供給システム。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の供給システムであって、
前記複数のプリンターのそれぞれは、車輪を備え移動されることができる基台に設置されている、供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリンターにインクを供給する供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンターの記録剤収納容器に記録剤を再充填する技術が存在する。特許文献1の技術においては、記録剤収納容器は、ユーザーによってプリンターから取り外されて、インクリフィルステーションにセットされる。インクリフィルステーションは、インクリフィルステーションにセットされた記録剤収納容器が再使用不可能であると判別した場合は、その記録剤収納容器を回収する。一方、インクリフィルステーションにセットされた記録剤収納容器が再使用可能であると判別した場合は、インクリフィルステーションは、記録剤貯蔵部に保管された複数種の記録剤のうちその記録剤収納容器に適合する記録剤を、その記録剤収納容器に再充填する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術において想定されている記録剤収納容器は、(i)プリンターから取り外されるとき、(ii)インクリフィルステーションに取り付けられるとき、そして、(iii)プリンターから取り外された後かつインクリフィルステーションに取り付けられる前の期間において、ユーザーによって取り扱われる。このため、記録剤収納容器は、ユーザーによって乱暴に扱われたり、ユーザーによって意図せずに高所から落とされたりする場合がある。このため、特許文献1の技術において想定されている記録剤収納容器は、破損のリスクが高い。また、特許文献1の技術において想定されている記録剤収納容器については、プリンター本体に比べて、使用に耐える期間が短く設定されている。
【0005】
破損している記録剤収納容器や使用期間が満了した記録剤収納容器は、インクリフィルステーションにおいて再使用不可能であると判別され、回収される。回収された記録剤収納容器は、廃棄されるか、またはマテリアルリサイクルの対象となる。記録材の再充填の分野においては、より環境負荷を小さくできる技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態によれば、複数のプリンターにインクを供給する供給システムが提供される。この供給システムは、前記複数のプリンターのそれぞれは、前記各プリンターに供給されるべきインクの種類を特定するためのインク特定情報を保持しており、前記供給システムは、インク供給装置を備える。前記インク供給装置は、互いに異なる種類のインクを収容している複数のインク収容部と、それぞれ前記複数のインク収容部のうちの互いに異なるインク収容部に接続されており、接続されている前記インク収容部内のインクを前記プリンターに送出する、複数のインク送出部と、前記各プリンターが保持する前記インク特定情報を読み取る情報読取部と、前記複数のインク送出部のうち、前記情報読取部によって読み取られた前記インク特定情報に応じたインクを収容しているインク収容部に接続されたインク送出部を制御して、インクを送出させる制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の供給システム1000の全体構成を示す説明図である。
【
図2】インク供給装置200の送出接続部22iFの端部の形状と、プリンター100Aの受入接続部12jRの端部の形状と、を表す説明図である。
【
図3】送出接続部22iFの構成を示す説明図である。
【
図4】第2実施形態の供給システム1000bの全体構成を示す説明図である。
【
図5】インク供給装置200の送出接続部22iFの先端部の形状と、プリンター100の受入接続部12jRの先端部の形状と、を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.供給システム1000の構成:
図1は、第1実施形態の供給システム1000の全体構成を示す説明図である。供給システム1000は、複数のプリンターにインクを供給する。
図1においては、複数のプリンターとして、3台のプリンター100A,100B,100Cを示す。なお、本明細書において3台のプリンター100A,100B,100Cを区別することなくプリンターに言及する場合には、「プリンター100」と表記する。
【0009】
供給システム1000は、インク供給装置200と、管理サーバー300と、を備える。管理サーバー300は、インク供給装置200、ならびにプリンター100A,100B,100Cと、通信可能に接続されている。
【0010】
プリンター100A,100B,100Cは、それぞれインクを供給されて印刷を行うプリンターである(
図1の中段右部および下段参照)。プリンター100A,100B,100Cは、会社内の異なる部署に設置されている。プリンター100A~100Cは、基台400A~400Cに設置されている。基台400A~400Cは、それぞれ車輪410を備えている。基台400A~400Cは、外力を加えられて、車輪410を回転させ、移動することができる。
【0011】
このような構成とすることにより、基台400A~400Cに設置されたプリンター100A~100Cのそれぞれが、インク供給装置200の設置場所まで移動されることができる(
図1の矢印At1参照)。本実施形態においては、プリンター100が、会社内の各部署から、総務部内のインク供給装置200の設置場所までに移動される。その結果、異なる場所に設置されているプリンター100A~100Cのそれぞれに、インク供給装置200から、インクが供給されることができる。
【0012】
プリンター100A~100Cのそれぞれは、各プリンター100A~100Cに供給されるべきインクの種類を特定するためのインク特定情報Iiを保持している。より具体的には、プリンター100A~100Cは、それぞれプリンター100A~100Cの外殻に、インク特定情報Iiを表す2次元バーコード160を有している。インク特定情報Iiは、プリンター100A~100Cのそれぞれについて、プリンターの機種の情報と、プリンターの個体を識別するための情報と、プリンターが使用しているインクの組み合わせを表す情報と、を含む。以下では、プリンター100A~100Cの構成を説明する際には、プリンター100Aを例に、説明がなされる。
【0013】
プリンター100Aは、m個(mは1以上の整数)のインク収容部111~11mと、m個の受入接続部121R~12mRと、m個のインクセンサー131~13mと、制御部140と、出力部150と、2次元バーコード160と、を備える。
【0014】
インク収容部111~11mは、プリンター100Aにおいて印刷が行われる際に使用されるインクを収容している。インク収容部111~11mは、互いに異なる色のインクを収容している。
【0015】
受入接続部121R~12mRは、それぞれインク収容部111~11mと接続されている。受入接続部121R~12mRのそれぞれは、インク供給装置200が備える複数のインク送出部221~22nのいずれかと接続されて、インクを受け入れる。受入接続部121R~12mRがインク送出部22i(iは1~mの整数)から受け入れたインクは、それぞれインク収容部111~11mに収容される。
【0016】
インクセンサー131~13mは、それぞれプリンター100Aのインク収容部111~11mが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回ったことを、検知することができる。
【0017】
出力部150は、制御部140に制御されて、文字と画像と音声とを含むさまざまな情報を表示する。出力部150は、具体的には、スピーカーを備えた液晶パネルである。
【0018】
制御部140は、プロセッサーであるCPU141と、RAM142と、ROM143と、を備えている(
図1の中段右部参照)。RAM142は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。CPU141は、ROM143または補助記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを、主記憶装置にロードして実行することによって、さまざまな機能を実現する。
【0019】
2次元バーコード160は、インク特定情報Iiを表す。前述のように、インク特定情報Iiは、各プリンター100A~100Cに供給されるべきインクの種類を表す。
【0020】
プリンター100B,100Cは、プリンター100Aとは、異なる機種のプリンターである。ただし、プリンター100B,100Cの各部の機能は、プリンター100Aの各部の機能と同じである。プリンター100A,100B,100Cにおいては、それぞれが使用するインクの組み合わせが、異なっている。
【0021】
インク供給装置200は、プリンター100にインクを供給するための装置である(
図1の中段左部参照)。インク供給装置200は、プリンター100A~100Cにおいて使用されるすべての種類のインクを保持している。インク供給装置200は、会社内の総務部に設置されている。インク供給装置200は、n個(nは2以上かつm以上の整数)のインク収容部211~21nと、n個のインク送出部221~22nと、情報読取部230と、制御部240と、出力部250と、を備える。
【0022】
n個のインク収容部211~21nは、互いに異なる種類のインクを収容している。n個のインク送出部221~22nのそれぞれは、n個のインク収容部211~21nのうちの互いに異なるインク収容部21iに接続され、接続されているインク収容部21i内のインクをプリンター100A~100Cに送出する。インク供給装置200が備えるインク収容部211~21nの数と、インク供給装置200が備えるインク送出部221~22nの数とは、同じである。
【0023】
n個のインク送出部221~22nのそれぞれは、送出接続部22iF(iは、1~nの整数)と、接続チューブ22iT(iは、1~nの整数)と、を備える。送出接続部22iFは、プリンター100A~100Cの受入接続部12jR(jは、1~mの整数)のいずれかと接続されて、インクを送出する。接続チューブ22iTは、送出接続部22iFとインク収容部21iとを接続する。接続チューブ22iTは、柔軟性を有するチューブである。
【0024】
図2は、インク供給装置200の送出接続部22iF(iは、1~nの整数)の端部を正面から見たときの形状と、プリンター100の受入接続部12jR(jは、1~mの整数)の端部を正面から見たときの形状と、を表す説明図である。プリンター100Aとインク供給装置200とにおいて、異なる種類のインクを流通させる受入接続部12jRと送出接続部22iFとは、互いに接続不可能な形状で構成されている。同一の種類のインクを流通させる受入接続部12jRと送出接続部22iFとは、互いに接続可能な形状で構成されている。
【0025】
プリンター100Aの受入接続部121Rと、インク供給装置200の送出接続部221Fとは、同一の種類のインクを流通させる(
図2の上段参照)。プリンター100Aの受入接続部121Rの端部の形状は、円形である。インク供給装置200の送出接続部221Fの端部の形状は、プリンター100Aの受入接続部121R内に挿入できる大きさの円形である。
【0026】
プリンター100Aの受入接続部122Rと、インク供給装置200の送出接続部222Fとは、同一の種類のインクを流通させる(
図2の中段参照)。プリンター100Aの受入接続部122Rの端部の形状は、正三角形である。インク供給装置200の送出接続部222Fの端部の形状は、プリンター100Aの受入接続部122R内に挿入できる大きさの正三角形である。
【0027】
プリンター100Aの受入接続部123Rと、インク供給装置200の送出接続部223Fとは、同一の種類のインクを流通させる(
図2の下段参照)。プリンター100Aの受入接続部123Rの端部の形状は、正五角形である。インク供給装置200の送出接続部223Fの端部の形状は、プリンター100Aの受入接続部123R内に挿入できる大きさの正五角形である。
【0028】
それぞれの送出接続部22iFは、自身とは異なる種類のインクを流通させる受入接続部12jRには、挿入できない端部の形状を有する。
【0029】
このような構成とすることにより、インク供給装置200の送出接続部22iFと、プリンター100の受入接続部12jRとを接続することにより、適切な種類のインクを、インク供給装置200からプリンター100に供給することができる。そして、不適切な種類のインクが、インク供給装置200からプリンター100に供給されることを防止することができる。
【0030】
情報読取部230は、各プリンター100A~100Cが保持するインク特定情報Iiを読み取ることができる。情報読取部230は、具体的には、インク特定情報Iiを表す2次元バーコード160を光学的に読み取ることができるバーコードリーダーである。
【0031】
出力部250は、制御部240に制御されて、文字と画像と音声とを含むさまざまな情報を出力する。出力部250は、具体的には、スピーカーを備えた液晶パネルである。
【0032】
制御部240は、プロセッサーであるCPU241と、RAM242と、ROM243と、を備えている。RAM242は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む(
図1の中段左部参照)。CPU241は、ROM243または補助記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを、主記憶装置にロードして実行することによって、以下で述べる機能を実現する。
【0033】
制御部240は、n個のインク送出部221~22nのうち、情報読取部230によって読み取られたインク特定情報Iiに応じたインクを収容しているインク収容部21iに接続されたインク送出部22iを、制御して、インクを送出させる。制御部240は、情報読取部230によって読み取られたインク特定情報Iiに応じた表示を、出力部250に行う。
【0034】
プリンター100およびインク供給装置200を上記のような構成とすることにより、プリンター100A~100Cが保持しているインク特定情報Iiを使用して、適切なインクがインク供給装置200からプリンター100A~100Cに供給される。そして、プリンター100A~100Cにおいてインクを収容するインク収容部111~11mを、プリンター100A~100Cから取り外すことなく、適切なインクがプリンター100A~100Cに供給される。このため、プリンター100A~100Cにおいてインクを収容するインク収容部111~11mを、プリンター100A~100C本体に比べて短い期間で廃棄またはマテリアルリサイクルの対象とすることなく、プリンター100A~100C全体が、継続的に使用されることができる。このため、環境に対する負荷が低減される。
【0035】
図3は、送出接続部22iF(iは、1~nの整数)の構成を示す説明図である(
図1の左部上段も参照)。送出接続部22iFは、保持部22iHと、ノズル部22iNと、インク検知部22iSと、を備える。
【0036】
保持部22iHは、インク供給装置200から送出接続部22iFを介してプリンター100A~100Cにインクが送出される際に、ユーザーの手によって保持される部位である。保持部22iHは、プリンター100A~100C内に挿入されない。ノズル部22iNは、インク供給装置200から送出接続部22iFを介してプリンター100A~100Cにインクが送出される際に、プリンター100A~100Cの受入接続部12jRに挿入されて、インクを送出する(
図1の上段右部参照)。
【0037】
インク検知部22iSは、送出接続部22iFのノズル部22iNに設けられている。インク検知部22iSは、インク供給装置200から送出接続部22iFを介してプリンター100A~100Cにインクが送出される際に、プリンター100A~100Cの受入接続部12jR(jは、1~mの整数)内に挿入される(
図1の上段右部参照)。インク検知部22iSは、インクを検知することができる。
【0038】
インク検知部22iSは、電気回路をON/OFFすることが出来るスイッチと、そのスイッチに接続されインクに浮くフロートと、を備える。インク供給装置200の各インク送出部221~22nは、インク検知部221S~22nSがインクを検知した場合に、インクの送出を止める。より具体的には、受入接続部12jR内のインクの液位の上昇に応じて、インク検知部22iSのフロートが動かされ、電気回路がOFFされることにより、インク送出部22iによるインクの送出が停止される。
【0039】
このような構成とすることにより、プリンター100A~100Cの受入接続部12jRからインクをあふれさせることなく、プリンター100A~100Cにインクを供給することができる。
【0040】
管理サーバー300は、プロセッサーであるCPU341と、RAM342と、ROM343と、を備えている(
図1の中央部参照)。RAM342は、主記憶装置と補助記憶装置とを含む。CPU341は、ROM343または補助記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを、主記憶装置にロードして実行することによって、以下で説明する機能を実現する。
【0041】
管理サーバー300は、補助記憶装置内に、プリンター100A,100B,100Cのそれぞれが使用するインクの種類の情報を、プリンター100A,100B,100Cを特定する情報と対応づけて、格納している。
【0042】
A2.供給システム1000の動作:
プリンター100A~100Cのそれぞれは、各プリンター100A~100Cが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回った場合には、管理サーバー300にインク供給要求Rsを送信する。インク供給要求Rsは、送信者であるプリンター100にインクを供給すべき旨を表す信号である。より具体的には、インクセンサー131~13mのうちのインクセンサー13jが、インク収容部11jが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回ったことを、検知した場合に、プリンター100の制御部140は、管理サーバー300にインク供給要求Rsを送信する(
図1の上段右部および中段右部参照)。
【0043】
また、制御部140は、インク収容部11jが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回った旨の情報と、インク収容部11jが収容しているインクの供給をインク供給装置200から受けることを促すメッセージを、出力部150に表示する。プリンター100のユーザーは、出力部150の表示を見て、インク供給装置200が設置されている場所までプリンター100を移動させる(
図1の矢印At1参照)。
【0044】
管理サーバー300は、インク供給要求Rsを受信したことを契機として、インク供給要求Rsを送信したプリンター100を表す情報を含む供給指示Isを、インク供給装置200に送信する(
図1の中央部参照)。供給指示Isは、インク供給要求Rsを送信したプリンター100にインクを供給すべき旨を表す信号である。
【0045】
インク供給装置200は、供給指示Isを受信したことを契機として、インク供給要求Rsを送信したプリンター100へのインクの供給を促す情報を出力部250に出力する。より具体的には、インク供給装置200の制御部240は、供給指示Isを受信すると、インク供給要求Rsを送信したプリンター100の情報と、プリンター100へのインクの供給を促すメッセージを、出力部250に表示させる。インク供給装置200のオペレーターは、その表示により、インク供給装置200からのインクの供給を必要とするプリンター100を知ることができる。
【0046】
インク供給装置200のオペレーターは、プリンター100が到着すると、プリンター100に付された2次元バーコード160を情報読取部230で読み取る。インク供給装置200の制御部240は、インク特定情報Iiが表すインクを収容している1以上のインク収容部21iに接続されたインク送出部22iをそれぞれ起動する。インク供給装置200のオペレーターは、起動された1以上のインク送出部22iを使用して、プリンター100のインク収容部11jにインクを供給する。その際、プリンター100の対応する形状を有する受入接続部12jRに、送出接続部22iFのノズル部22iNが挿入される(
図2参照)。
【0047】
このような処理を行うことにより、インク供給装置200のオペレーターが、供給指示Isに起因する出力部250の出力にしたがって、インク供給装置200からプリンター100にインクを供給することにより、プリンター100がインクの不足により印刷ができなくなる前に、そのプリンター100にインクを補充することができる。また、プリンター100が十分な量のインクを収容しているときに、そのプリンター100にインクを補充することを避けることができる。すなわち、プリンター100へのインクの補充の回数を減らすことができる。
【0048】
本実施形態におけるインク供給要求Rsを、「第1信号」とも呼ぶ。供給指示Isを、「第1信号」とも呼ぶ。
【0049】
B.第2実施形態:
上記第1実施形態においては、プリンター100A~100Cが、インク供給装置200の設置場所まで移動されて、インク供給装置200からインクの供給を受ける(
図1の矢印At1参照)。しかし、第2実施形態においては、インク供給装置200bが、プリンター100A~100Cの設置場所まで移動されて、プリンター100A~100Cにインクを供給する。このため、第2実施形態においては、プリンター100A~100Cは、移動可能な基台400A~400Cに設置されていない。また、第2実施形態のインク供給装置200bは、第1実施形態のインク供給装置200が備えていない固定具280を備える。第2実施形態の供給システム1000bの他の点は、第1実施形態の供給システム1000と同じである。
【0050】
図4は、第2実施形態の供給システム1000bの全体構成を示す説明図である。インク供給装置200bは、インク供給装置200bを人間の身体に固定するための固定具280を備えている。より具体的には、固定具280は、オペレーターOPの両肩を保持するための一対のベルトである。インク供給装置200bのオペレーターOPは、固定具280を介して、インク供給装置200bを背負うことができる。インク供給装置200bは、オペレーターOPに背負われることができる重量で設けられている。
【0051】
第1実施形態の供給システム1000と同様に、インク供給装置200bの制御部240は、供給指示Isを受信すると、インク供給要求Rsを送信したプリンター100の情報と、プリンター100へのインクの供給を促すメッセージを、出力部250に表示する。インク供給装置200bのオペレーターは、その表示により、インク供給装置200からのインクの供給を必要とするプリンター100を知ることができる。インク供給装置200bのオペレーターは、インク供給装置200bを背負って、インクの供給を必要とするプリンター100の設置場所に移動する(
図4の矢印At2参照)。
【0052】
インク供給装置200bのオペレーターOPは、プリンター100の設置場所に到着すると、プリンター100に付された2次元バーコード160を情報読取部230で読み取る。インク供給装置200bの制御部240は、インク特定情報Iiが表すインクを収容している1以上のインク収容部21iに接続されたインク送出部22iをそれぞれ起動する。インク供給装置200bのオペレーターOPは、起動されたインク送出部22iを使用して、プリンター100のインク収容部11jにインクを供給する。
【0053】
このような構成とすることにより、インク供給装置200bを固定されたオペレーターOPが、プリンター100の設置場所まで移動して、インク供給装置200からプリンター100にインクを供給することができる。
【0054】
C.第3実施形態:
上記第1実施形態においては、インク供給装置200において、異なる種類のインクを流通させる送出接続部22iF(iは、1~nの整数)は、互いに異なる断面形状を有している(
図2参照)。プリンター100において、異なる種類のインクを流通させる受入接続部12jR(jは、1~mの整数)は、互いに異なる断面形状を有している。そして、同一の種類のインクを流通させる受入接続部12jRと送出接続部22iFとは、同一の断面形状であって大きさが異なる断面形状を有する。第3実施形態においては、受入接続部12jRと送出接続部22iFとは、第1実施形態とは異なる形状を有する。第3実施形態の供給システムの他の点は、第1実施形態の供給システム1000と同じである。
【0055】
図5は、インク供給装置200の送出接続部22iF(iは、1~nの整数)の先端部の形状と、プリンター100の受入接続部12jR(jは、1~mの整数)の先端部の形状と、を表す説明図である。インク供給装置200の送出接続部22iFと、受入接続部12jRとは、互いに嵌合する固定具22iP(iは1~nの整数)と、固定具12jQ(jは、1~mの整数)と、をそれぞれ有する。対応する送出接続部22iFと、受入接続部12jRとは、固定具22iPと、固定具12jQとにより、互いに固定される。
【0056】
インク供給装置200の送出接続部22iF(iは、1~nの整数)の先端部は、中央に正方形の流通口22iOを有する。そして、流通口22iOを囲むように配された7個の正方形の領域を有する。正方形の流通口22iOと、流通口22iOを囲むように配された7個の正方形の領域とは、全体として正方形の外形を有する。7個の正方形の領域のうち、一部の領域RPは他の領域よりも、インクの流通方向について突出している。
図5に示す送出接続部22iFにおいて、他の領域より突出している領域RPにハッチを付して示す。
【0057】
プリンター100の受入接続部12jR(jは、1~mの整数)の先端部は、中央に正方形の流通口12jOを有する。そして、流通口12jOを囲むように配された7個の正方形の領域を有する。正方形の流通口12jOと、流通口12jOを囲むように配された7個の正方形の領域とは、全体として正方形の外形を有する。7個の正方形の領域のうち、一部の領域RRは他の領域よりも、インクの流通方向について後退して凹んでいる。
図5に示す受入接続部12jRにおいて、他の領域より後退して凹んでいる領域RRにハッチを付して示す。
【0058】
同一の種類のインクを流通させる受入接続部12jRと送出接続部22iFとにおいては、受入接続部12jRの後退領域RRと、送出接続部22iFの突出領域RPとは、互いに対応する位置にある。すなわち、受入接続部12jRの後退領域RRは、対応する送出接続部22iFの突出領域RPを受け入れることができるように、構成されている。
【0059】
このような構成としても、異なる種類のインクを流通させる受入接続部12jRと送出接続部22iFとは、互いに接続不可能である。そして、同一の種類のインクを流通させる受入接続部12jRと送出接続部22iFとは、互いに接続可能である。
【0060】
このような構成においても、インク供給装置200の送出接続部22iFと、プリンター100の受入接続部12jRとを接続することにより、適切な種類のインクを、インク供給装置200からプリンター100に供給することができる。そして、不適切な種類のインクが、インク供給装置200からプリンター100に供給されることを防止することができる。
【0061】
D.他の実施形態:
D1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態においては、インクを検知することができるインク検知部22iSは、インクに浮くフロートを備える(
図1の上段右部参照)。しかし、受入接続部12jR内のインクの量を検知するインク検知部22iSは、インクの量を、他の原理にしたがって検知するものであってもよい。たとえば、インクを介した通電量の変化や、光の反射量の変化によって、インクの量が閾値を下回ったことを検知するものであってもよい。
【0062】
(2)上記実施形態においては、インクセンサー13jが、インク収容部11jが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回ったことを、検知した場合には、プリンター100の制御部140は、管理サーバー300にインク供給要求Rsを送信する(
図1の上段右部および中段右部参照)。このあらかじめ定められた閾値は、そのプリンターにおいてあらかじめ想定された量の印刷を行うことができるインク残量に設定されることもできる。また、あらかじめ定められた閾値は、実質的にインクがなくなったことを表す値に設定されることもできる。
【0063】
(3)上記実施形態においては、各プリンター100A~100Cが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回った場合には、管理サーバー300にインク供給要求Rsを送信する(
図1の右部および下段参照)。しかし、プリンター100におけるインク量の閾値が複数設けられており、インクの量がそれぞれの閾値に達するたびに、その旨を告知するための信号が管理サーバー300に送信される態様とすることもできる。また、一定時間が経過するたびに、または、たとえば1ページ分の印刷など、あらかじめ定められた処理が実行されるたびに、各プリンター100がセンサーで検知したそれぞれのインク残量を管理サーバー300に送信し、管理サーバー300が各プリンター100のインク残量を管理する態様とすることもできる。
【0064】
(4)上記実施形態においては、プリンター100A~100Cのそれぞれは、インク特定情報Iiを表す2次元バーコード160を有している(
図1の中段右部参照)。しかし、プリンターは、1次元のバーコード、RFID(Radio Frequency Identification)によるタグ、磁気媒体など、他の手段でインク特定情報Iiを保持していてもよい。インク供給装置200が備える情報読取部230は、それらの媒体に格納された情報を読み取ることができるように構成されることができる。
【0065】
(5)上記実施形態においては、インク特定情報Iiは、プリンター100について、機種の情報と、個体を識別するための情報と、使用しているインクの組み合わせを表す情報と、を含む(
図1の中段右部参照)。しかし、インク特定情報Iiは、たとえば、プリンター100の個体を識別するための情報を含み、使用しているインクの組み合わせを表す情報を含まない態様とすることもできる。そのような態様においては、たとえば、管理サーバー300は、プリンターとそのプリンターが使用するインクの組み合わせとを対応付けた対応情報を、記憶装置に保持していることができる。管理サーバー300は、プリンターからインク供給要求Rsを受信すると、対応情報を参照して、インク供給要求Rsを送信したプリンターが使用するインクの組み合わせの情報を含む供給指示Isを、インク供給装置に送信することができる。
【0066】
また、プリンターの機種と使用されるインクの組み合わせとが、1対1に対応する場合には、インク特定情報Iiは、たとえば、プリンター100の機種を識別するための情報を含み、使用しているインクの組み合わせを表す情報を含まない態様とすることもできる。プリンター100の機種を識別するための情報は、上記の態様におけるプリンター100の個体を識別するための情報と同様に取り扱われることができる。すなわち、インク特定情報は、最終的に、各プリンターに供給されるべきインクの種類を特定することができる情報であればよい。
【0067】
(6)上記実施形態においては、出力部250は、インク供給装置200に設けられている液晶パネルである(
図1の中央部、および
図4の左部参照)。しかし、出力部は、インク供給装置とは独立しており、インク供給装置と無線接続されたタブレット式コンピューター、スマートフォンなど、他の形式で設けられることもできる。
【0068】
(7)上記第2実施形態においては、インク供給装置200bは、固定具280を使用して、オペレーターOPによって背負われる(
図4参照)。そのような態様において、インク供給装置200bは、独自に動力源を保持していてもよいし、たとえば、外部から電力の供給を受けてもよい。
【0069】
(8)上記第1実施形態においては、インク供給装置200は、n個のインク収容部211~21nと、n個のインク送出部221~22nと、を備える。そして、n個のインク送出部221~22nのそれぞれは、n個のインク収容部211~21nのうちの互いに異なるインク収容部21iに接続されている(
図1の上段左部参照)。しかし、インク供給装置は、複数のインク収容部211-21nに接続され、複数のインク収容部211~21nとの接続を切り替えることにより、複数のインク収容部211-21nのうちの任意の一つのインクをプリンターに送出する、一つのインク送出部を備える態様とすることもできる。
【0070】
(9)上記第1実施形態においては、インク供給装置200は、会社の総務部に設置されている。上記第2実施形態においては、インク供給装置200bは、オペレーターOPに背負われることができるように構成されている(
図1の左部、および
図4の左部参照)。しかし、インク供給装置は、他の態様で構成されることもできる。たとえば、インク供給装置が備える一つのインク収容部21i(iは、1~nの整数)に対して、建物内の配管を介して、送出接続部22iFと接続チューブ22iTとの複数の組み合わせが接続され、各送出接続部22iFは、建物内の複数の場所に配置されていてもよい。そのような態様とすれば、インクの補充のためにプリンター100を移動させる距離を小さくすることができる。
【0071】
(10)上記実施形態において、インク供給装置200の制御部240は、管理サーバー300から受信する供給指示Isと、情報読取部230によって読み取られたインク特定情報Iiと、に基づいて、インクを送出することもできる(
図1の中央部および中段右部参照)。このため、(i)インク供給装置200は、管理サーバー300から受信する供給指示Isと、情報読取部230によって読み取られたインク特定情報Iiと、を照合した上で、送出するインクを特定する態様とすることができる。また、(ii)供給システムは、プリンター100A~100Cが保持するインク特定情報Iiがプリンター100A~Cを特定するための情報を含まない態様とすることができる。前者の態様においては、不適切なインクをプリンター100A~100Cに送出するリスクを低減することができる。後者の態様においては、インク特定情報Iiの情報量を低減することができる。
【0072】
(11)上記実施形態においては、インク供給装置200のオペレーターが、プリンター100のインク収容部11jにインクを供給する(
図1の左部、および
図4の左部参照)。しかし、プリンター100のユ-ザーが、インク供給装置200の出力部250の出力にしたがって、インク送出部22iを使用して、プリンター100のインク収容部11jにインクを供給してもよい。
【0073】
(12)上記実施形態においては、1台のインク供給装置200が会社内の異なる部署に設置されているプリンター100A,100B,100Cに、インクを供給する態様について、説明した(
図1参照)。しかし、複数台のインク供給装置が会社内の異なる部署に設置されている複数のプリンターに、インクを供給する態様とすることもできる。複数台のインク供給装置が、複数の会社に設置されている複数のプリンターに、インクを供給する態様とすることもできる。
【0074】
そのような態様においては、管理サーバー300は、プリンターとそのプリンターにインクを供給すべきインク供給装置とを対応付けた対応情報を記憶装置に保持していることができる。管理サーバー300は、プリンターからインク供給要求Rsを受信すると、対応情報を参照して、インク供給要求Rsを送信したプリンターに対応するインク供給装置に、供給指示Isを送信することができる。
【0075】
(13)上記実施形態においては、管理サーバー300は、インク供給装置200、ならびに同じ会社内で利用されているプリンター100A,100B,100Cと、通信可能に接続されている(
図1の中央部参照)。そして、管理サーバー300は、補助記憶装置内に、プリンター100A,100B,100Cのそれぞれが使用するインクの種類の情報を、プリンター100A,100B,100Cを特定する情報と対応づけて、格納している。
【0076】
しかし、管理サーバー300は、異なる会社で利用されている複数のインク供給装置200、ならびにそれらの会社で利用されている複数のプリンター100と接続されていてもよい。そのような態様においては、管理サーバー300は、補助記憶装置内に、それらのプリンター100のそれぞれが使用するインクの種類の情報を、各プリンター100を特定する情報と対応づけて、格納していてもよい。
【0077】
(14)管理サーバー300は、インクのメーカーのコンピューター、またはインクのメーカーの代理店のコンピューターと通信可能に接続されていてもよい。そして、インク供給装置200は、インク供給装置200のインク収容部21iが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回った場合には、管理サーバー300にインク配送要求を送信してもよい。管理サーバー300は、インク配送要求を受信したことを契機として、インク配送要求を送信したインク供給装置200を表す情報を含む配送指示を、インクのメーカーのコンピューター、またはインクのメーカーの代理店のコンピューターに送信する。配送指示は、インク配送要求を送信したインク供給装置200にインクを配送すべき旨を表す信号である。
【0078】
インク供給装置200におけるインク量の閾値は複数設けられており、インクの量がそれぞれの閾値に達するたびに、その旨を告知するための信号が管理サーバー300に送信される態様とすることもできる。また、一定時間が経過するたびに、または、たとえばプリンター100へのインクの供給など、あらかじめ定められた処理が実行されるたびに、インク供給装置200がそれぞれのインク収容部21iのインク残量を管理サーバー300に送信し、管理サーバー300がインク供給装置200のインク残量を管理する態様とすることもできる。
【0079】
インクのメーカーのコンピューターがインク配送要求を受信すると、インクのメーカーは、インク配送要求を送信したインク供給装置200に、インクを発送する。インクのメーカーの代理店のコンピューターがインク配送要求を受信すると、インクのメーカーの代理店は、インク配送要求を送信したインク供給装置200に、インクを発送する。インクについての課金は、インクが発送されるたびに行われてもよいし、サブスクリプション契約に基づいてインクの代金が支払われてもよい。
【0080】
D2.他の実施形態2:
プリンター100A~100Cのそれぞれは、各プリンター100A~100Cが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回った場合には、管理サーバー300にインク供給要求Rsを送信する(
図1の中央部参照)。管理サーバー300は、インク供給要求Rsを受信したことを契機として、インク供給要求Rsを送信したプリンター100を表す情報を含む供給指示Isを、インク供給装置200に送信する。しかし、供給システムは、そのような管理サーバーを備えない態様とすることもできる。そのような態様においても、取り外し可能なインクカートリッジを介さずに、インク供給装置からプリンターにインクを供給することができる。
【0081】
D3.他の実施形態3:
上記実施形態においては、インク供給装置200の各インク送出部221~22nは、インク検知部221S~22nSがインクを検知した場合に、インクの送出を止める(
図3参照)。しかし、インク供給装置はインク検知部を備えず、プリンターが、インク収容部21i内のインクの量があらかじめ定められた閾値に達したことを検知した場合に、インク供給装置に信号を送信して、インク供給装置からのインクの供給を止めさせてもよい。
【0082】
D4.他の実施形態4:
上記実施形態においては、異なる種類のインクを流通させる受入接続部12jRと送出接続部22iFとは、互いに接続不可能な形状で構成されている(
図2参照)。しかし、異なる種類のインクを流通させる受入接続部と送出接続部とが、互いに接続可能な形状で構成されていてもよい。そのような態様においては、同一の種類のインクを流通させる受入接続部と送出接続部とは、同一の色が付されている部分を備えており、異なる種類のインクを流通させる受入接続部と送出接続部とは、異なる色が付されている部分を備えていることが好ましい。
【0083】
このような構成においても、一致する色が付されたインク供給装置200の送出接続部22iFと、プリンター100の受入接続部12jRとを接続することにより、適切な種類のインクを、インク供給装置200からプリンター100に供給することができる。そして、ユーザーに対して色で注意喚起することにより、不適切な種類のインクが、インク供給装置200からプリンター100に供給されることを防止することができる。
【0084】
D5.他の実施形態5:
上記第2実施形態においては、インク供給装置200bは、固定具280を備える(
図4参照)。インク供給装置200bのオペレーターは、インク供給装置200bを背負って、インクの供給を必要とするプリンター100の設置場所に移動する(
図4の矢印At2参照)。しかし、インク供給装置が、移動可能な基台に設置されて、プリンター100A~100Cの設置場所まで移動される態様とすることもできる。また、インク供給装置とプリンターの双方が移動可能に構成されることができる。
【0085】
D6.他の実施形態6:
上記第2実施形態においては、基台400A~400Cは、外力を加えられて、車輪410を回転させ、移動することができる(
図1の下段および右部参照)。しかし、プリンター100は、印刷を実行する際には、車輪を備えない基台上に設置されて使用され、インクを供給する際に、車輪を備える台車に設置されて移動されてもよい。
【0086】
E.他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0087】
(1)本開示の一形態によれば、複数のプリンターにインクを供給する供給システムが提供される。この供給システムは、前記複数のプリンターのそれぞれは、前記各プリンターに供給されるべきインクの種類を特定するためのインク特定情報を保持しており、前記供給システムは、インク供給装置を備える。前記インク供給装置は、互いに異なる種類のインクを収容している複数のインク収容部と、それぞれ前記複数のインク収容部のうちの互いに異なるインク収容部に接続されており、接続されている前記インク収容部内のインクを前記プリンターに送出する、複数のインク送出部と、 前記各プリンターが保持する前記インク特定情報を読み取る情報読取部と、前記複数のインク送出部のうち、前記情報読取部によって読み取られた前記インク特定情報に応じたインクを収容しているインク収容部に接続されたインク送出部を制御して、インクを送出させる制御部と、を備える。
このような態様においては、プリンターが保持しているインク特定情報を使用して、適切なインクがインク供給装置からプリンターに供給される。そして、プリンターにおいてインクを収容する構成を、プリンターから取り外すことなく、適切なインクがプリンターに供給される。このため、プリンターにおいてインクを収容する構成を、プリンター本体に比べて短い期間で廃棄またはマテリアルリサイクルの対象とすることなく、プリンター全体が、継続的に使用されることができる。このため、環境に対する負荷が低減される。
【0088】
(2)上記形態の供給システムにおいて、前記インク供給装置および前記複数のプリンターと通信可能に接続された管理サーバーを備え、前記複数のプリンターのそれぞれは、前記各プリンターが収容しているインクの量があらかじめ定められた閾値を下回った場合には、前記管理サーバーに第1信号を送信し、前記管理サーバーは、前記第1信号を受信したことを契機として、前記第1信号を送信した前記プリンターを表す情報を含む第2信号を、前記インク供給装置に送信し、前記インク供給装置は、情報を出力する出力部を備え、前記第2信号を受信したことを契機として、前記第1信号を送信した前記プリンターへのインクの供給を促す情報を前記出力部に出力させる、態様とすることができる。
このような態様とすれば、インク供給装置のオペレーターは、出力部の出力にしたがって、インク供給装置からプリンターにインクを供給することにより、プリンターがインクの不足により印刷ができなくなる前に、そのプリンターに、インクの量があらかじめ定められた閾値を下回ったインクを、補充することができる。また、プリンターが十分な量のインクを収容しているプリンターにインクを補充することを避けることができる。すなわち、プリンターへのインクの補充の回数を減らすことができる。
【0089】
(3)上記形態の供給システムにおいて、前記各インク送出部は、インクを検知することができるインク検知部であって、インクを前記プリンターに送出する際に前記プリンター内に挿入されるインク検知部を備え、前記各インク送出部は、前記インク検知部がインクを検知した場合にインクの送出を止める、態様とすることができる。
このような態様とすれば、プリンターからインクをあふれさせることなく、プリンターにインクを供給することができる。
【0090】
(4)上記形態の供給システムにおいて、前記複数のプリンターのそれぞれは、前記複数のインク送出部のいずれかと接続されて前記インクを受け入れる受入接続部を備え、前記複数のインク送出部のそれぞれは、前記複数のプリンターの前記受入接続部のいずれかと接続されて前記インクを送出する送出接続部を備え、異なる種類のインクを流通させる前記受入接続部と前記送出接続部とは、互いに接続不可能な形状で構成されており、同一の種類のインクを流通させる前記受入接続部と前記送出接続部とは、互いに接続可能な形状で構成されている、態様とすることができる。
このような態様とすれば、インク供給装置の送出接続部と、プリンターの受入接続部とを接続することにより、適切な種類のインクを、インク供給装置からプリンターに供給することができる。
【0091】
(5)上記形態の供給システムにおいて、前記インク供給装置は、前記インク供給装置を人間の身体に固定するための固定具を備える、態様とすることができる。
このような態様とすれば、インク供給装置を固定された人間が、プリンターの設置場所まで移動して、インク供給装置からプリンターにインクを供給することができる。
【0092】
(6)上記形態の供給システムにおいて、前記複数のプリンターのそれぞれは、車輪を備え移動されることができる基台に設置されている、態様とすることができる。
このような態様とすれば、基台に設置されたプリンターが、インク供給装置の設置場所まで移動されることにより、インク供給装置からプリンターにインクが供給されることができる。
【0093】
本開示は、供給システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、供給システムの製造方法や供給システムの運用方法、消費財の供給方法、それらの方法を実現するコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【符号の説明】
【0094】
100A…プリンター、100B…プリンター、100C…プリンター、111…インク収容部、112…インク収容部、11j…インク収容部、11m…インク収容部、121O…流通口、121Q…固定具、121R…受入接続部、122O…流通口、122Q…固定具、122R…受入接続部、123O…流通口、123Q…固定具、123R…受入接続部、12jR…受入接続部、12mR…受入接続部、131…インクセンサー、132…インクセンサー、133…インクセンサー、13j…インクセンサー、13m…インクセンサー、140…制御部、141…CPU、142…RAM、143…ROM、150…出力部、160…2次元バーコード、200…インク供給装置、200b…インク供給装置、211…インク収容部、212…インク収容部、213…インク収容部、21i…インク収容部、21n…インク収容部、221…インク送出部、221F…送出接続部、221O…流通口、221P…固定具、221T…接続チューブ、222…インク送出部、222F…送出接続部、222O…流通口、222P…固定具、222T…接続チューブ、223…インク送出部、223F…送出接続部、223O…流通口、223P…固定具、223T…接続チューブ、22i…インク送出部、22iF…送出接続部、22iH…保持部、22iN…ノズル部、22iS…インク検知部、22iT…接続チューブ、22n…インク送出部、22nF…送出接続部、22nT…接続チューブ、230…情報読取部、240…制御部、250…出力部、280…固定具、300…管理サーバー、400A…基台、400B…基台、400C…基台、410…車輪、1000…供給システム、1000b…供給システム、At1…プリンターの移動方向、At2…インク供給装置の移動方向、Ii…インク特定情報、Is…供給指示、OP…オペレーター、RP…突出領域、RR…後退領域、Rs…インク供給要求