(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010752
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】台秤本体から立設する表示器を備えた台秤
(51)【国際特許分類】
G01G 23/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01G23/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112222
(22)【出願日】2022-07-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】橘 正樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 裕次郎
(57)【要約】
【課題】一人でも組立てが容易な構造をもつ台秤を提供する。
【解決手段】上側骨組体と、下側骨組体と、前記上側骨組体と前記下側骨組体の間に介在する荷重検出機構とを有する台秤本体と、前記荷重検出機構で検出された結果を表示する、前記台秤本体から立設する表示器と、前記表示器を支持する支柱とを備え、前記支柱は、水平部と、前記水平部から連続して上方へ延びる鉛直部とを有し、前記鉛直部の上端部には前記表示器が支持され、前記水平部の端部は前記下側骨組体の側面に組付けられており、前記水平部の端部には、前記下側骨組体の側面に懸吊支持される支持部が設けられている台秤を提供する。支持部の懸吊支持により、支柱を仮置きすることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側骨組体と、下側骨組体と、前記上側骨組体と前記下側骨組体の間に介在する荷重検出機構とを有する台秤本体と、
前記荷重検出機構で検出された結果を表示する、前記台秤本体から立設する表示器と、
前記表示器を支持する支柱と、
を備え、
前記支柱は、水平部と、前記水平部から連続して上方へ延びる鉛直部とを有し、
前記鉛直部の上端部には前記表示器が支持され、前記水平部の端部は前記下側骨組体の側面に組付けられており、
前記水平部の端部には、前記下側骨組体の前記側面に懸吊支持される支持部が設けられている、
ことを特徴とする台秤。
【請求項2】
前記支持部は金属平板で構成され、前記水平部の端部に鉛直に固定されており、
前記金属平板の上部は、折り返されて形成された折り返し部となっており、
前記下側骨組体の少なくとも側面の一部を構成する鉛直面に、前記折り返し部が係合して懸吊支持されると共に当接することにより、前記支柱は前記下側骨組体に懸吊支持される、
ことを特徴とする請求項1に記載の台秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、台秤本体から立設する表示器を備える台秤に関し、特に、台秤本体への表示器の組付けが容易な構造を持つ台秤に関する。
【背景技術】
【0002】
台秤は、体重測定や物流センターなど、様々なシーンで幅広く使用されている。計量結果は、台秤本体に備えられた表示器に表示される。使用者に見やすいように、表示器が台秤本体から立設して設けられる台秤がある(例えば特許文献1)。特許文献1では、表示器を支持する支柱は、下部が水平に構成され、途中で上方へ向かって屈曲しており、下方端部が台秤本体の側面に固定され、上方端部に表示器が備えられている。下側骨組体からまっすぐな支柱を垂直に立てて設けると、支柱を立てる分だけ計量領域が小さくなってしまったり、床面に接する追加部品によりコストが増大してしまう問題が解消され、上側骨組体と下側骨組体を同等に構成できるという利点がある。
【0003】
近年では、このような台秤は宅配便で使用者に届けられるため、コンパクトにまとめて包装する点から、少なくとも台秤本体から突出する表示器を含む支柱は取り外されており、受け取った使用者側で組立てなければならない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の台秤を組立てる場合、屈曲する支柱を台秤本体の側面に固定するため、一方の手で支柱の上部を支えつつ、もう一方の手で、支柱の下方端部を固定部品で台秤本体に取付けねばならず、一人では組立てが難しい。支柱の底面に床面に当接する補助脚を設けると、コストが増加してしまう。作業性とコストの両方の観点から、補助部品を追加すること無く、一人で組立てできることが好ましい。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、一人でも組立てが容易な構造を持つ台秤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するため、本開示のある態様における台秤は、上側骨組体と、下側骨組体と、前記上側骨組体と前記下側骨組体の間に介在する荷重検出機構とを有する台秤本体と、 前記荷重検出機構で検出された結果を表示する、前記台秤本体から立設する表示器と、前記表示器を支持する支柱と、を備え、前記支柱は、水平部と、前記水平部から連続して上方へ延びる鉛直部とを有し、前記鉛直部の上端部には前記表示器が支持され、前記水平部の端部は前記下側骨組体の側面に組付けられており、前記水平部の端部には、前記下側骨組体の前記側面に懸吊支持される支持部が設けられているように構成した。
【0008】
この態様によれば、支持部によって支柱が懸吊支持されるため、支柱を仮置きすることができる。支柱そのものを台秤の側面に押し付けて支持しながら固定部材で固定する必要がなく、懸吊支持されている支柱を固定部材で固定できるため、一人でも支柱を台秤本体に組付けること容易となる。
【0009】
また、ある態様では、前記支持部は金属平板で構成され、前記水平部の端部に鉛直に固定されており、前記金属平板の上部は、折り返されて形成された折り返し部となっており、前記下側骨組体の少なくとも側面の一部を構成する鉛直面に、前記折り返し部が係合して懸吊支持されると共に当接することにより、前記支柱は前記下側骨組体に懸吊支持されるように構成した。
【0010】
この態様によれば、支持部で懸吊支持されるとともに当接するため、支柱が安定して保持される。また、位置合わせのために、鉛直に配置された平板をレールとして、支柱を懸吊されたままの状態で左右にスライドさせることができる。一人でも位置調整が容易であり、正位置に配置してから固定部材で固定できる。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、一人でも組立が容易な構造を持つ台秤が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の構成の好適な実施形態に係る台秤の正面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の構成の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0014】
(実施形態)
本開示の構成に係る好ましい実施形態を図面に従って説明する。
図1は実施形態に係る台秤1の正面斜視図である。
図2は台秤1の側面図である。
図3は、台秤1の分解斜視図である。
【0015】
図1および
図2に示すように、台秤1は立設する表示器を備える台秤である。台秤1は、荷重測定部である台秤本体2と、台秤本体2の側面から上方に伸びる支柱6と、支柱6の上端部に支持され、計量結果を表示する表示器7から主として構成される。
【0016】
図3に示すように、台秤本体2は、一対に構成される上側骨組体40および下側骨組体50と、上側骨組体40と下側骨組体50の間に介装された荷重検出機構であるロードセル20と、下側骨組体50の下方四隅に取付けられた水平状態を保つための高さ調節用の調節脚8と、上側骨組体40の上方に被せられる計量皿5とを備える。
【0017】
上側骨組体40は、同一長さの金属製L字部材が2本平行に配置された横かん部41,41と、金属製の角柱パイプから構成され、横かん部41,41の間を繋ぐように2本平行に配置された縦かん部42,42から主として構成されている。L字部材は、断面形状が長手方向のどの位置で切断しても同じL字形状となる 延伸部材である。
【0018】
L字部材からなる横かん部41,41は、水平面41bおよび鉛直面41cから成り、水平面41bが上面に、鉛直配置される鉛直面41cが外側面となるように配置される。上側骨組体40の上面となる水平面41bの両端部には、貫通孔である取付孔41a,41aが設けられている。
【0019】
縦かん部42,42は、横かん部41,41の各端部には配置されず、取付孔41a,41aを避けて、横かん部41の端部より少し内側寄りに配置されている。このため、上側骨組体40は、平面視ローマ数字II型に形成されている。縦かん部42,42は、端部が横かん部41の水平面41bおよび鉛直面41cに当接するように配置され、横かん部41,41と溶接により一体化されている。
【0020】
下側骨組体50は、上側骨組体40と同部材および同長さで構成され、回転させると概略同構成となる。即ち、下側骨組体50は、横かん部41と長さ、かつ同じ金属製のL字部材が二本平行に配置された横かん部51,51と、縦かん部42と同じ長さ、かつ同じ金属製の角柱パイプから構成され、横かん部51,51の間を繋ぐように二本平行に配置された縦かん部52,52から主として構成されている。
【0021】
L字部材から構成される横かん部51,51は、水平面51bおよび鉛直面51cから成り、水平面51bが底面に、鉛直面41cが外側面となるように配置される。縦かん部51の底面となる水平面51bの両端部には、取付孔51a,51aが設けられている。
【0022】
上側骨組体40と同様に、縦かん部52,52は、横かん部51,51の各端部には配置されず、取付孔51a,51aを避けて、横かん部51の端部より少し内側寄りに配置されている。このため、下側骨組体50は、上側骨組体40と略同形の平面視ローマ数字II型に形成されている。縦かん部52,52は、端部が横かん部51の水平面51bおよび鉛直面51cに当接するように配置され、縦かん部51,51と溶接により一体化されている。
【0023】
角柱パイプで構成される縦かん部52,42の端部開口部が、横かん部51,41で封止され、角柱パイプ内へのごみや虫の進入が抑制される。専用の封止部材を設ける必要が無く、部品点数削減により、製造コストと組立効率が向上する。
【0024】
ロードセル20は、外形が横長の直方体をなす起歪体に歪ゲージを貼り付けて構成されている。一方の端部上面が荷重印加部21とされており、他方の端部下面が固定部22とされている。計量時には、歪ゲージが検出した歪量が、電気的に計測され荷重値に変換される。
【0025】
上側骨組体40には、ロードセル20の荷重印加部21が固定される固定板43が、縦かん部42,42を繋ぐように、縦かん部42の中央からやや前方よりの位置で溶接一体化している。同様に、下側骨組体50には、ロードセル20の固定部22が載置される固定板53が、縦かん部52,52を繋ぐように、縦かん部52の中央からやや後方寄りの位置で溶接一体化されている。
【0026】
固定板43,53を含め、上側骨組体40および下側骨組体50は、上下をひっくり返すと略一致する同構成となっている。上下共通の部材を用いているため、上下で部品が兼用でき、量産に好適となっている。
【0027】
ロードセル20は、固定部22が下側骨組体50の固定板53に下側固定部材25で固定され、荷重印加部21が上側骨組体40の固定板43に上側固定部材24で固定されることで、上側骨組体40および下側骨組体50の間に介装される。
【0028】
計量皿5は、上面視矩形に構成された、扁平形状の無底の箱体である。
【0029】
上側骨組体40の横かん部41,41の合計四つの取付孔41aには、計量皿5の裏面と接触する樹脂製の緩衝部材9がそれぞれ取付けられる。そして、その緩衝部材9の上から、上側骨組体40を覆うように、計量皿5が載せられる。
【0030】
下側骨組体50の縦かん部52,52の上面両端部には、ストッパー30が設けられている。ストッパー30は六角ボルトであり、縦かん部52の上面両端部に設けられた図示しないネジ穴に螺合して、頭部が上方に突出するように配置されている。ストッパー30の上面は、配置された計量皿5の下面より僅か下方となるように、螺合により高さを調整されている。計量皿5に大きな荷重がかかった場合、計量皿5を支持する縦かん部42の底面がストッパー30の上面に当接するため、ロードセル20が過度に変形して破損することが防止される。
【0031】
調節脚8は、雄ネジ部(取付部)を有する六角ボルトの頭部に樹脂製の脚部が一体成形されて構成されている。
【0032】
下側骨組体50の横かん部51,51の合計四つの取付孔51aには、バーリング加工およびタップ加工が施されており、取付孔51aは調節脚8の雄ネジ部が螺合可能なネジ孔となっている。
【0033】
調節脚8が取付孔51aに頭部を下方に突出させて螺合される。調節脚8は回転により突出長が調整可能となっている。台秤本体2には不図示の水平器が設けられており、作業者が水平器を見ながら、調節脚8を回転させて高さを調節することで、台秤本体2を水平状態にすることができる。
【0034】
表示器7は、例えば液晶ディスプレイなどの表示画面と操作スイッチを備え、設定や条件を入力すると共に、秤量結果などを表示する操作端末となっている。表示器7の内部には、様々な演算処理を行うための制御部や電源(電池など)も設けられている。表示器7と台秤本体2とは、図示しないケーブルで接続されており、電源が供給されると共に、ロードセル20の検出値がケーブルを介して表示器7の制御部に出力され、演算処置にて荷重値に変換されて、表示画面に表示される。表示器7からのデータ出力は、有線/無線のどちらでも通信可能に構成されている。
【0035】
支柱6の上端部には、先端が二股に分かれたY字の表示器支持部63が設けられている。表示器7が表示器支持部63の両先端部で挟持され、ボルト状の軸体64,64が表示器7の左右側方に中心軸を一致させて締結されることで、表示器7が上下方向に揺動可能に軸支される。
【0036】
下側骨組体50の側面に、支柱6が支柱固定部材67で取付けられ、上端部に表示器7が設けられた支柱6が台秤本体2に立設する。
【0037】
(支柱6の構造)
支柱6の構造および取付方法について、図面を用いて詳しく説明する。
図4(A)は、支柱6の斜視図である。
図4(B)は支柱6の側面図である。
図4(C)は支柱6の正面図である。
【0038】
図4に示すように、支柱6は、角柱パイプで構成される支柱本体61、支柱本体61の下方端部に設けられる支持部62を備える。
【0039】
支柱本体61は途中で略90度に緩やかに湾曲しており、水平に構成される水平部61aと、水平部61aから連続して上方へ湾曲し、起立して鉛直になる鉛直部61bを有する。
【0040】
水平部61aの端部に支持部62が設けられている。鉛直部61bの端部(上端部)は表示器支持部63(
図3参照)が設けられており、表示器支持部63に表示器7が水平軸に対して揺動可能に支持される。
【0041】
支持部62は小さな金属製の平板で構成され、上方は折り返されてフック状に構成される折り返し部62cとなっている。このため、支持部62は、側面視逆J形状となっている。支持部62の折り返し部62c以外の部分を平板部62bと称する。
【0042】
支柱本体61の端面が、支持部62の平板面の中央に配置され、溶接により支持部62と一体化している。このとき、折り返し部62cは支持部62の表面側に折り返されており、支柱本体61は支持部62の裏面側に溶接される。支持部62は水平部61aの端面に、水平部61aの延伸方向に直交して配置されており、フランジのように構成される。
【0043】
支持部62の中央には比較的大きな貫通孔として挿通孔62eが設けられている。挿通孔62eは、中空部材である角柱パイプで構成される支柱本体61の中空部と連通する。図示しないケーブルが、支柱6内を挿通し、台秤本体2と表示器7とに接続される。
【0044】
挿通孔62eの左右の両側に、支柱6を固定する支柱固定部材67が挿通する組付孔62dが形成されている。支柱固定部材67は鍔付きボルトであり、組付孔62dは支柱固定部材67の雄ネジ部の直径よりも一回り大きく形成される貫通孔である。
【0045】
支持部62は、支柱6が下側骨組体50、詳しくは横かん部51の鉛直面51cに懸吊支持されるために設けられている。折り返し部62cは、鉛直面51cの板厚に対応して形成されている。
【0046】
折り返し部62cが鉛直面51cに上から掛けられると、折り返し部62cの内側の空間に鉛直面51cの上部が嵌って係合する。さらに平板部62bが鉛直面51cに当接して、懸吊支持された状態となり、そのままの姿勢が保持される。即ち、支柱本体61の水平部61aは略水平に、鉛直部61bは略鉛直に保たれたまま、支柱6全体が下側骨組体50の側面に懸吊支持される。支柱6は安定して支持されるため、作業者が支柱6を懸吊させた後に手を離しても、支柱6が傾くことも脱落することもない。
【0047】
これにより、作業者が支柱6を台秤本体2へ組付けるときには、支柱固定部材67を締結させる前に、支柱6を鉛直面51cに仮置きすることができる。従来は、作業者は支柱を持ち上げて支持しながら固定部材で台秤の側面下方に固定させる必要があり、一人での組付け作業は困難だった。台秤1は、表示器7が設けられた支柱6の台秤本体2への組付け作業が一人でも容易な構成となっている。
【0048】
(支柱6の取付け)
支柱6の台秤本体2への取付方法を、
図5および
図3を用いて説明する。
図5は、支柱6の台秤本体2への取付け工程を示す。
【0049】
支柱6は、台秤本体2が組立てられた状態で取付けられる。このとき、表示器7は支柱6に取付けられており、計量皿5は台秤本体2から取り外されていると好ましい。
【0050】
支柱6は下側骨組体50の背面側に設けられた横かん部51の鉛直面51cの中央に取付けられる。
【0051】
ここで
図3に戻って説明すると、下側骨組体50の背面側に配置された横かん部51の鉛直面51cの中央には挿通孔51eが形成されている。挿通孔51eは、台秤本体2と表示器7とを接続する、支柱6の中空内を挿通するケーブル(不図示)が挿通するための孔で、比較的大きく形成される。さらに鉛直面51cには、挿通孔51eの左右に、挿通孔51eから同距離だけ離間してネジ孔51d,51dが形成されている。ネジ孔51dは支柱固定部材67が螺合可能であるように構成されている。
【0052】
鉛直面51cの挿通孔51eおよびネジ孔51d,51dは、それぞれ支持部62の挿通孔51eおよび組付孔62d、62dに対応して設けられており、それぞれの孔中心が一致する間隔で形成されている。
【0053】
支柱6を組付ける際には、まず
図3および
図5(A)に示すように、鉛直面51cの中央に設けられた挿通孔51eを目印にして、支持部62の挿通孔62eが挿通孔51eに対向するように、支柱6を配置する。ケーブルが挿通するために大きく形成された挿通孔51eは、最初に支柱6を配置する際の目印となる。挿通孔62eが挿通孔51eに対向配置されると、ネジ孔51d,51dと組付孔62d,62d同士も対向配置される。
【0054】
次に、
図5(B)に示すように、支持部62の折り返し部62cを、下側骨組体50の背面側に配置された横かん部51の鉛直面51cの中央に引っ掛けるように上から嵌め込む。折り返し部62c内側の空間に鉛直面51cが係合するとともに、平板部62bが鉛直面51cの表面に当接し、支柱6は安定して懸吊支持される。
【0055】
懸吊された支柱6が台秤本体2の中央(正位置)に配置されていると、ネジ孔51dが組付孔62dと完全に連通する。正位置からずれて支柱6が配置されると、ネジ孔51dの少なくとも一部が平板部62bに塞がれ、組付孔62dとは完全に連通することがなく、配置ずれを確認できる。配置ずれが生じていた場合、支柱6を懸吊させたまま鉛直面51c上をスライドさせ、ネジ孔51dと組付孔62dが完全に連通するように微調整する。
【0056】
最後に、
図5(C)に示すように、外側から、支柱固定部材67の雄ネジ部を組付孔62dに挿通させて、ネジ孔51dに支柱固定部材67を締結させ、支柱6を共締めして固定する。
【0057】
(作用効果)
上記のように構成される台秤1は、支柱6が台秤本体2の側面に懸吊支持されるため、支柱6が保持された状態で、支柱固定部材67で固定でき、作業者が一人でも組立てが容易な構成となっている。
【0058】
支柱6の端部に支持部62を設けることで懸吊されるため、支柱本体61は延出部材を90度に曲げるだけの単純構造とすることができ、製造コストを抑制できる。本実施形態においては、支柱本体61を構成する角柱パイプは、縦かん部52,42に用いた角柱パイプと同じ角柱パイプを用いており、製造コストをより抑制できる。
【0059】
金属平板で構成される支持部62の上部を180度に折り曲げて折り返し部62cが形成されており、支柱6はL字部材の鉛直平板部材である鉛直面51cに懸吊支持されるとともに、懸吊支持された状態で鉛直面51cをレールとしてスライド可能であるため、位置調整が容易である。
【0060】
また、折り返し部62cが鉛直面51cに係合し、支持部62(平板部62b)の表面と鉛直面51cの表面とが面同士で当接するため、支持の安定性が高い。
【0061】
折り返し部62cは鉛直面51cに引っ掛けられるだけではなく、鉛直面51cが折り返し部62cの内側に入り込んで両者が嵌合する構成となっている。作業者が手を離しても懸吊保持が維持され、作業性が良いことに加え、支柱固定部材67が多少緩んだとしても、仮に支柱固定部材67が外れてしまったとしても、支柱6が脱落することがなく、安全性が高い。
【0062】
支持部62に設けられた組付孔62dの方が、鉛直面51cに設けられたネジ孔51dよりも大きく形成され、支持部62は鍔付きボルトである支柱固定部材67で共締めにより固定されることから、多少配置がずれても許容される構成となっている。仮置きにより支柱6の配置を確認してからネジ止めでき、作業性が良い。
【0063】
従来のように、支柱がフランジ面でネジ固定される場合、支柱の全荷重をネジで支持する必要があることから、ネジ径も大きくなる傾向があった。十分な締結力を確保するため、ネジが締結されるネジ孔には、バーリング加工やボルトの溶接などの追加加工が必要となっていた。
【0064】
これに対し、本構成においては、支柱6が懸吊支持されるため、支柱固定部材67にかかる荷重は比較的小さく、支柱固定部材67のネジ径は比較的小さいものとすることができる。ネジ径の縮小と共にピッチも小さくなることから、より薄い被締結部材でも噛むネジ山の数が増えて十分な締結力を持つことになる。このため、支柱固定部材67の締結される鉛直面51cに追加加工なし(タップ加工のみ)でネジ孔51dを形成できる。支柱固定部材67はネジ孔51dに螺合するだけで、支柱6を共締めして保持するのに十分な締結力を持つ。このように、本構成においては、ネジ径の小さな固定部材を支柱固定部材67に選択でき、ネジ孔への追加加工が不要となり、製造コストを抑制できる。また支持部62は折り返しだけで形成され、鉛直に配置される平板材の上端部に 支持される構成で、台秤本体2側にレールや係合部を設ける必要もない。
【0065】
以上、本発明の好ましい実施形態や変形例について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1 :台秤
2 :台秤本体
6 :支柱
7 :表示器
40 :上側骨組体
50 :下側骨組体
51c :鉛直面
61a :水平部
61b :鉛直部
62 :支持部
62c :折り返し部