(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107528
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】集合基板、および集合基板を用いた電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L23/12 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011489
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(72)【発明者】
【氏名】草井 強
(57)【要約】
【課題】第一の電子素子の特性測定を正確かつ安定して行い、製造効率を向上させることのできる集合基板を提供するとともに、製造効率を向上させ、特性を向上させることができる電子部品の製造方法および当該製造方法から得られる電子部品を提供する。
【解決手段】集合基板CBにおいて、第一の電子素子搭載領域には第一の電子素子用の搭載電極12A1,12A2が形成され、他の電子素子搭載領域には他の電子素子用の搭載電極13B1~13B6が形成される。他の電子素子用の搭載電極13B2,13B5は、第一の電子素子用の搭載電極12A1,12A2と各々独立して導通し、残りの他の電子素子用の搭載電極は、実装電極14B1~14B4と各々独立して導通している。一部の搭載電極13B2,13B5と搭載電極13B3、13B6とは連絡電極13A7、13A15によって集合基板で各々導通している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電子素子搭載領域と、他の電子素子搭載領域と、外部と接続される複数の実装電極とを有する単位基板がマトリクス状に一体形成された集合基板であって、
前記第一の電子素子搭載領域には第一の電子素子用の搭載電極が複数形成され、
前記他の電子素子搭載領域には他の電子素子用の搭載電極が複数形成され、
複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち一部の搭載電極は、前記第一の電子素子用の搭載電極と各々独立して導通し、
複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち残りの搭載電極は、前記実装電極と各々独立して導通し、
前記一部の搭載電極と前記残りの搭載電極の一部とは、隣接する単位基板に形成された連絡電極によって集合基板の状態で各々導通接続され、
前記第一の電子素子用の各搭載電極は、前記他の電子素子用の一部の搭載電極並びに前記連絡電極を介して前記実装電極の各々と導通していることを特徴とする集合基板。
【請求項2】
平板からなる基体部と、前記基体部の一方の面に設けられた第一枠部と、前記基体部の他方の面に設けられた第二枠部と、前記第二枠部の端部に設けられ、外部と導電接合される複数の実装電極とを有する単位基板をマトリクス状に一体形成された集合基板であって、
前記基体部の一方の主面であって、前記第一枠部の内側には第一の電子素子用の搭載電極が複数形成され、
前記基体部の他方の主面であって、前記第二枠部の内側には第一の電子素子と導通し処理回路を構成する他の電子素子用の搭載電極が複数形成され、
複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち一部の搭載電極は、前記第一の電子素子用の搭載電極と各々独立して導通し、
複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち残りの搭載電極は、前記実装電極と各々独立して導通し、
前記一部の搭載電極と前記残りの搭載電極の一部とは、隣接する単位基板に形成された連絡電極によって集合基板の状態で各々導通接続され、
前記第一の電子素子用の各搭載電極は、前記他の電子素子用の一部の搭載電極並びに前記連絡電極を介して前記実装電極の各々と導通していることを特徴とする集合基板。
【請求項3】
前記第一の電子素子が圧電振動子であり、前記他の電子素子が前記圧電振動子と発振回路を構成するIC素子である請求項1または2記載の集合基板。
【請求項4】
請求項1に記載の集合基板を用いて電子部品を製造する方法であって、
外部と接続する接続電極を有する第一の電子素子を用意する工程と、
前記集合基板の第一の電子素子用の搭載電極に、前記第一の電子素子の前記接続電極を導電接合する第一の電子素子接合工程と、
前記第一の電子素子接合工程の後に、前記実装電極のうち前記第一の電子素子と導通する実装電極を用いて、前記第一の電子素子の特性を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果に基づいて対応する特性の他の電子素子を、前記他の電子素子用の搭載電極に導電接合する他の電子素子接合工程と、
前記第一の電子素子と前記他の電子素子が接合された集合基板を個別に切り離し、単位基板からなる電子部品を得る分離工程と、
を有する電子部品の製造方法。
【請求項5】
請求項2記載の集合基板を用いて電子部品を製造する方法であって、
外部と接続する接続電極を有する第一の電子素子を用意する工程と、
前記第一の電子素子用の搭載電極に、前記第一の電子素子の前記接続電極を導電接合する第一の電子素子接合工程と、
前記第一の電子素子接合工程の後に、前記第一枠部をリッドにて封止する封止工程と、
前記封止工程の後に、前記実装電極のうち前記第一の電子素子と導通する実装電極を用いて、前記第一の電子素子の特性を測定する測定工程と、
前記測定工程の測定結果に基づいて対応する特性の他の電子素子を、前記他の電子素子用の搭載電極に導電接合する他の電子素子接合工程と、
前記第一の電子素子と前記電子素子が接合された集合基板を個別に切り離し、単位基板からなる電子部品を得る分離工程と、
を有する電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記第一の電子素子が圧電振動子であり、前記他の電子素子が前記圧電振動子と発振回路を構成するIC素子である請求項4または5記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
請求項4に記載の電子部品の製造方法において、前記分離工程の後に、前記他の電子素子に対して前記実装電極を介して電気信号印加によるデータ書き込みまたは特性調整を行ったことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項8】
請求項4に記載の電子部品の製造方法により得られた電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電振動子と発振回路用ICを搭載した圧電発振器等に例示される、電子部品の製造等に用いる集合基板、および当該集合基板を用いた電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器や通信機器のクロック等として圧電発振器等の電子部品の需要が伸びており、これらを効率的に製造する手法が様々に検討されている。例えば特許文献1はシート基板(集合基板)を用い、シート基板の第1の基板領域および複数の第2の基板領域に電子素子を搭載し、当該電子素子を蓋体で閉蓋した後に、隣接する第2の基板領域の蓋体を用いて電子素子に対する信号の入出力を行う構成が開示されている。なお、蓋体は電子素子と導通するよう配線が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、電子素子の特性測定を隣接する第2の基板領域に設けられた蓋体を用いて行うため、検査用プローブの接触する電子素子側の電極の面積を確保することができると考えられる。しかしながら、本方法においては導電材料からなる蓋体並びにこれを封止で用いる金属材料の面積が大きくなり、電子素子の特性測定において無用な浮遊容量が生じることになり、測定精度を大きく低下させてしまうことがあった。このような場合、電子素子の特性バラツキが大きくなったり、製造に係るコストが高くなるという問題点も有していた。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、第一の電子素子の特性測定を正確かつ安定して行い、製造効率を向上させることのできる集合基板を提供するとともに、製造効率を向上させ、また特性を向上させることができる電子部品の製造方法および当該製造方法から得られる電子部品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による集合基板の適用例として、第一の電子素子搭載領域と、他の電子素子搭載領域と、外部と接続される複数の実装電極とを有する単位基板がマトリクス状に一体形成された構成の集合基板をあげることができる。前記第一の電子素子搭載領域には第一の電子素子用の搭載電極が複数形成され、前記他の電子素子搭載領域には他の電子素子用の搭載電極が複数形成される。そして、複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち一部の搭載電極は、前記第一の電子素子用の搭載電極と各々独立して導通し、複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち残りの搭載電極は、前記実装電極と各々独立して導通している。また前記一部の搭載電極と前記残りの搭載電極の一部とは、隣接する単位基板に形成された連絡電極によって集合基板の状態で各々導通接続され、前記第一の電子素子用の各搭載電極は、前記電子素子用の一部の搭載電極並びに前記連絡電極を介して前記実装電極の各々と導通している構成の集合基板である。
【0007】
上記構成によれば、集合基板の状態において、連絡電極の存在により、第一の電子素子用の搭載電極と実装電極の一部が導通した状態とすることができる。このような集合基板の構成により、集合基板の各単位基板各々に第一の電子素子を搭載した状態で、実装電極を用いて各第一の電子素子の特性を安定かつ正確に測定することができ、製造効率の向上を図ることができる。なお、連絡電極は隣接する単位基板の連結部と電気的につながる連結部を複数有する構成である。また、前記連結部は、単位基板における前記連絡電極や連結電極(後述)の周縁部に引き出される部位のことである。
【0008】
また、集合基板を単位基板に分離するにあたっては、集合基板を単位基板に切り離す際に、前記連絡電極も同時に切り離すことになるので、効率的な電極分離(端子分離)を行うことができる。
【0009】
また、上記構成によれば、第一の電子素子に導電材料からなる蓋体(リッド)を必須構成とせず、第一の電子素子が接続電極を有する構成であればよいので、様々な構成の第一の電子素子を用いることができる。なお、前記接続電極とは、第一の電子素子に設けられる外部との接続のための電極である。
【0010】
前記第一の電子素子搭載領域と前記他の電子素子搭載領域は、集合基板において一方の主面と他方の主面に平面視で重なるように厚さ方向に配置してもよいし、一方の主面に並列するように配置してもよい。何れの構成であっても、前記一部の搭載電極と前記残りの搭載電極の一部とは、隣接する単位基板に形成された連絡電極によって集合基板の状態で各々導通接続される。これにより前記第一の電子素子用の各搭載電極は、前記他の電子素子用の一部の搭載電極並びに前記連絡電極を介して前記実装電極の一つと導通している構成とすることができる。
【0011】
集合基板において一方の主面と他方の主面に平面視で重なるように配置する適用例として、平板からなる基体部と、前記基体部の一方の面に設けられた第一枠部と、前記基体部の他方の面に設けられた第二枠部と、前記第二枠部の端部に設けられ、外部と導電接合される複数の実装電極と、を有する単位基板をマトリクス状に一体形成された構成の集合基板をあげることができる。前記基体部の一方の主面であって、前記第一枠部の内側には前記第一の電子素子用の搭載電極が複数形成され、前記基体部の他方の主面であって、前記第二枠部の内側には前記第一の電子素子と導通し機能回路を構成する他の電子素子用の搭載電極が複数形成される。そして複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち一部の搭載電極は、前記第一の電子素子用の搭載電極と各々独立して導通し、複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち残りの搭載電極は、前記実装電極と各々独立して導通している。また前記一部の搭載電極と前記残りの搭載電極の一部とは、隣接する単位基板に形成された連絡電極によって集合基板の状態で各々導通接続され、前記第一の電子素子用の各搭載電極は、前記他の電子素子用の一部の搭載電極並びに前記連絡電極を介して前記実装電極の各々と導通している構成の集合基板である。
【0012】
上記構成によれば、集合基板の状態において、前記基体部の一方の主面であって、前記第一枠部の内側に設けられた前記第一の電子素子用の搭載電極が、前記電子素子用の一部の搭載電極並びに前記連絡電極を介して前記実装電極の一つと導通する構成であるので、第一の電子素子を搭載した状態で、実装電極を用いて各第一の電子素子の特性を測定することができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0013】
なお、第一の電子素子は単位基板から得られる電子部品の機能を発揮するための主要電子素子であり、他の電子素子は第一の電子素子と接続され、前記第一の電子素子からの出力を処理する電子素子である。例えば、第一の電子素子が圧電振動子であり、他の電子素子が前記圧電振動子と発振回路を構成するIC素子を適用してもよい。あるいは第一の電子素子がセンサ素子であり、他の電子素子が前記センサ素子からの出力情報を処理し、検出情報として出力する処理回路を構成するIC素子を適用してもよい。なお、他の電子素子は単数(モノリシック構成)でも良いし、複数(ハイブリッド構成)であってもよい。
【0014】
次に本発明による集合基板を用いた電子部品の製造方法の適用例を示す。
集合基板は、第一の電子素子搭載領域と、他の電子素子搭載領域と、外部と接続される実装電極とを有する単位基板がマトリクス状に一体形成された集合基板であって、前記第一の電子素子搭載領域には第一の電子素子用の搭載電極が複数形成され、前記他の電子素子搭載領域には他の電子素子用の搭載電極が複数形成され、複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち一部の搭載電極は、前記第一の電子素子用の搭載電極と各々独立して導通し、複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち残りの搭載電極は、前記実装電極と各々独立して導通し、前記一部の搭載電極と前記残りの搭載電極の一部とは、隣接する単位基板に形成された連絡電極によって集合基板の状態で各々導通接続され、前記第一の電子素子用の各搭載電極は、前記他の電子素子用の一部の搭載電極並びに前記連絡電極を介して前記実装電極の各々と導通している構成の集合基板を用いる。
【0015】
製造工程としては、外部と接続する接続電極を有する第一の電子素子を用意する工程と、前記集合基板の第一の電子素子用の搭載電極に、前記第一の電子素子の前記接続電極を導電接合する第一の電子素子接合工程と、前記第一の電子素子接合工程の後に、前記実装電極のうち前記第一の電子素子と導通する実装電極を用いて、前記第一の電子素子の特性を測定する測定工程と、前記測定工程の測定結果に基づいて対応する特性の他の電子素子を、前記他の電子素子用の搭載電極に導電接合する電子素子接合工程と、前記第一の電子素子と前記他の電子素子が接合された集合基板を個別に切り離し、単位基板からなる電子部品を得る分離工程と、を有する電子部品の製造方法である。
【0016】
上記製造方法によれば、第一の電子素子用の搭載電極と実装電極の一部が導通した状態の集合基板を用い、前記第一の電子素子接合工程の後に、前記実装電極のうち第一の電子素子と導通する実装電極を用いて、前記第一の電子素子の特性を測定する測定工程と行う。この段階では第一の電子素子用の搭載電極は、他の電子素子用の搭載電極とつながり、さらに前記連絡電極を介して他の電子素子用の前記残りの搭載電極の一部とつながった状態となる。これにより実装電極を用いて各第一の電子素子の特性を安定かつ正確に測定することができ、製造効率の向上を図ることができる。そして測定結果に基づいて対応する他の電子素子を搭載することにより所望の特性の電子部品を得ることができる。あるいは測定結果に基づいて他の電子素子に対して必要なデータ書き込みまたは特性調整値を決定することができる。
【0017】
また、集合基板を単位基板に分離するにあたっては、集合基板を単位基板に切り離す際に、連絡電極も同時に切り離すことになるので、第一の電子素子とつながる搭載電極と効率的な電極分離(端子分離)を行うことができる。これにより実装電極は第一の電子素子単体ではなく、他の電子素子からの端子電極、すなわち電子部品の端子電極として機能することになる。
【0018】
さらに上記構成によれば、第一の電子素子に導電材料からなる蓋体(リッド)を必須構成とせず、第一の電子素子に接続電極を有する構成であればよいので、様々な構成の第一の電子素子を用いることができる。
【0019】
また電子部品の製造方法の他の適用例を示す。
集合基板は、平板からなる基体部と、前記基体部の一方の面に設けられた第一枠部と、前記基体部の他方の面に設けられた第二枠部と、前記第二枠部の端部に設けられ、外部と導電接合される複数の実装電極とを有する単位基板をマトリクス状に一体形成された集合基板であって、前記基体部の一方の主面であって、前記第一枠部の内側には第一の電子素子用の搭載電極が複数形成され、前記基体部の他方の主面であって、前記第二枠部の内側には第一の電子素子と導通し処理回路を構成する他の電子素子用の搭載電極が複数形成され、複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち一部の搭載電極は、前記第一の電子素子用の搭載電極と各々独立して導通し、複数の前記他の電子素子用の搭載電極のうち残りの搭載電極は、前記実装電極と各々独立して導通し、前記一部の搭載電極と前記残りの搭載電極の一部とは、隣接する単位基板に形成された連絡電極によって集合基板の状態で各々導通接続され、前記第一の電子素子用の各搭載電極は、前記他の電子素子用の一部の搭載電極並びに前記連絡電極を介して前記実装電極の各々と導通している構成の集合基板を用いる。
【0020】
製造工程としては、外部と接続する接続電極を有する第一の電子素子を用意する工程と、前記第一の電子素子用の搭載電極に、前記第一の電子素子の接続電極を導電接合する第一の電子素子接合工程と、前記第一の電子素子接合工程の後に、前記第一枠部をリッドにて封止する封止工程と、前記封止工程の後に、前記実装電極のうち第一の電子素子と導通する実装電極を用いて、前記第一の電子素子の特性を測定する測定工程と、前記測定工程の測定結果に基づいて対応する特性の他の電子素子を、前記他の電子素子用の搭載電極に導電接合する他の電子素子接合工程と、前記第一の電子素子と前記他の電子素子が接合された集合基板を個別に切り離し、単位基板からなる電子部品を得る分離工程と、からなる電子部品の製造方法である。
【0021】
上記製造方法によれば、第一の電子素子用の搭載電極と実装電極の一部が導通した状態の集合基板を用い、前記第一枠部の第一の電子素子用の搭載電極に、前記第一の電子素子の接続電極を導電接合する第一の電子素子接合工程と、その後前記第一枠部をリッドにて封止する封止工程を行うことにより、第一の電子素子が搭載された集合基板を得ることができる。
【0022】
この段階では第一の電子素子用の搭載電極は、他の電子素子用の搭載電極とつながり、さらに前記連絡電極を介して他の電子素子用の前記残りの搭載電極の一部とつながった状態となる。この状態で単位基板毎の実装電極を用いて第一の電子素子の特性を安定かつ正確に測定することができる。そしてこの測定結果に基づいて対応する特性の他の電子素子を、前記第二枠部の他の電子素子用の搭載電極に導電接合することにより、適切な他の電子素子を搭載することができる。あるいは測定結果に基づいて他の電子素子に対して必要なデータ書き込みまたは特性調整値を決定することができる。
【0023】
その後集合基板を個別に切り離し、単位基板とすることにより、所望の特性の電子部品を得ることができる。これにより、第一の電子素子の適切な特性測定ができ、また適切な他の電子素子を搭載することができ、結果として電子部品の製造効率を向上させることができる。
【0024】
また、集合基板を単位基板に分離するにあたっては、集合基板を単位基板に切り離す際に、連絡電極も同時に切り離すことになるので、第一の電子素子とつながる搭載電極と効率的な電極分離(端子分離)を行うことができる。これにより実装電極は第一の電子素子単体ではなく他の電子素子からの端子電極、すなわち電子部品の端子電極として機能することになる。
【0025】
さらに上記製造方法によれば、第一の電子素子に導電材料からなる蓋体(リッド)を必須構成とせず、第一の電子素子に接続電極を有する構成であればよいので、様々な構成の第一の電子素子を用いることができる。
【0026】
なお、前述したとおり、第一の電子素子は単位基板から得られる電子部品の機能を発揮するための主要電子素子であり、他の電子素子は第一の電子素子と接続され、前記第一の電子素子からの出力を処理する電子素子である。上記製造方法の各適用例において、例えば、第一の電子素子が圧電振動子であり、他の電子素子が前記圧電振動子と発振回路を構成するIC素子からなり、電子部品として圧電発振器に適用してもよい。あるいは第一の電子素子がセンサ素子であり、他の電子素子が前記センサ素子からの出力情報を処理し、検出情報として出力する処理回路を構成するIC素子からなり、電子部品として計測部品に適用してもよい。なお、他の電子素子は単数(モノリシック構成)でも良いし、複数(ハイブリッド構成)であってもよい。
【0027】
上記圧電発振器に適用した場合の具体例をあげると、圧電振動子用の搭載電極と実装電極の一部が導通した状態の集合基板を用い、製造工程としては、外部と接続する接続電極を有する圧電振動子を用意する工程と、前記集合基板の圧電振動子用の搭載電極に、前記圧電振動子の接続電極を導電接合する圧電振動子接合工程と、前記圧電振動子接合工程の後に、前記実装電極のうち圧電振動子と導通する実装電極を用いて、前記圧電振動子の特性を測定する測定工程と、前記測定工程の測定結果に基づいて対応する特性のIC素子を、前記IC素子用の搭載電極に導電接合するIC素子接合工程と、前記圧電振動子と前記IC素子が接合された集合基板を個別に切り離し、単位基板からなる電子部品を得る分離工程と、からなる電子部品の製造方法である。
【0028】
上記製造方法によれば、圧電振動子用の搭載電極と実装電極の一部が導通した状態の集合基板を用い、圧電振動子が搭載された集合基板を得ることができる。この状態で単位基板毎の実装電極を用いて圧電振動子の特性を測定し、そしてこの測定結果に基づいて対応する特性のIC素子を、前記第二枠部のIC素子用の搭載電極に導電接合することにより、適切なIC素子を搭載することができ、所望の特性の圧電発振器を得ることができる。また、圧電振動子に対して適切な特性測定を行い、また適切なIC素子を搭載することにより製造効率を向上させることができる。またデータ書き込みにより特性調整のできるIC素子を搭載電極に導電接合し、圧電振動子の特性測定結果に基づいて、IC素子へのデータ書き込み等による特性調整を行ってもよい。
【0029】
また、集合基板を単位基板に分離するにあたっては、集合基板を単位基板に切り離す際に、連絡電極も同時に切り離すことになるので、圧電振動子とつながる搭載電極と効率的な電極分離(端子分離)を行うことができる。これにより実装電極は圧電振動子単体ではなく圧電発振器としての端子機能を有する。
【0030】
さらに上記構成によれば、圧電振動子に導電材料からなる蓋体(リッド)を必須構成とせず、圧電振動子に接続電極を有する構成であればよい。従って圧電振動子の封止構成は、例えば金属製のリッド(導電性)を用いた金属ろうを用いた封止構成や、セラミック製のリッド(絶縁性)を用いたガラスろうを用いた封止構成等、様々な構成の圧電振動子を用いることができる。また、圧電振動子はそれ自体で気密封止された構成を用いてもよく、外部と接続電極を有する構成であればよい。
【0031】
さらに上記各電子部品の製造方法において、前述したとおり前記分離工程の後に、前記他の電子素子(IC等)に対して前記実装電極を介して電気信号印加によるデータ書き込みまたは特性調整を行ってもよい。例えば第一の電子素子が圧電振動子であり、他の電子素子が前記圧電振動子と発振回路を構成するIC素子である場合、圧電振動子の特性結果に基づいてIC素子にデータ書き込み等による特性調整を行ってもよい。
【0032】
上記製造方法によれば、電子部品各々に対して所望の機能を持たせたり、特性調整を行うことができるので、製品品質を向上させることができる。また、上記製造方法により得られた電子部品は製造効率が向上し、また特性も向上させることができる。
【0033】
また上記各製造方法により得られた電子部品は製造効率が向上し、また特性も向上させることができる。
【発明の効果】
【0034】
以上のように本発明によれば、第一の電子素子の特性測定を正確かつ安定して行い、製造効率を向上させることのできる集合基板を提供するとともに、製造効率を向上させるとともに、特性を向上させることができる電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】第一の実施形態を示す本発明の実施形態に係る集合基板の断面構成並びにこの集合基板を用いた電子部品の製造方法を示す図である。
【
図2】第一の実施形態に用いる集合基板の第一枠層上面を示す平面図である。
【
図3】第一の実施形態に用いる集合基板の第一基体層上面を示す平面図である。
【
図4】第一の実施形態に用いる集合基板の第二基体層上面を示す平面図である。
【
図5】第一の実施形態に用いる集合基板の第二基体層下面を示す平面図である。
【
図6】第一の実施形態に用いる集合基板の第二枠層下面を示す平面図である。
【
図7】第一の実施形態に用いる集合基板の第二基体層に第二枠層を重ねた状態の各々の下面を示す平面図である。
【
図8】第一の実施形態に用いる単位基板の第一枠部上面を示す平面図である。
【
図9】第一の実施形態に用いる単位基板の第一基体部上面を示す平面図である。
【
図10】第一の実施形態に用いる単位基板の第一基体部に第一枠部を重ねた状態の各々の上面を示す平面図である。
【
図11】第一の実施形態に用いる単位基板の第二基体部上面を示す平面図である。
【
図12】第一の実施形態に用いる単位基板の第二基体部下面を示す平面図である。
【
図13】第一の実施形態に用いる単位基板の第二枠部下面を示す平面図である。
【
図14】第一の実施形態に用いる単位基板の第二基体部に第二枠部を重ねた状態の各々の下面を示す平面図である。
【
図15】第一の実施形態おいて単位基板に第一の電子素子(圧電振動子)および他の電子素子(IC素子)を接合した状態を示す
図10および
図14のA-A断面図である。
【
図16】第二の実施形態に用いる集合基板の基体層上面を示す平面図である。
【
図17】第二の実施形態に用いる集合基板の基体層下面を示す平面図である。
【
図18】第二の実施形態に用いる単位基板の第一枠部上面を示す平面図である。
【
図19】第二の実施形態に用いる単位基板の基体部上面を示す平面図である。
【
図20】第二の実施形態に用いる単位基板の基体部下面を示す平面図である。
【
図21】第二の実施形態に用いる単位基板の第二枠部下面を示す平面図である。
【
図22】第二の実施形態に用いる単位基板の基体部に第二枠部を重ねた状態の各々の下面を示す平面図である。
【
図23】第二の実施形態おいて、単位基板に第一の電子素子(圧電振動子)および他の電子素子(IC素子)を接合した状態(電子部品)を示す
図21のB-B断面図である。
【
図24】本発明に適用できる電子部品の他の構成例を示す断面図である。
【
図25】本発明に適用できる電子部品の他の構成例を示す断面図である。
【
図26】本発明に適用できる電子部品の他の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
第1の実施形態
第1の実施形態として、電子部品として圧電発振器を、第一の電子素子として圧電振動子、他の電子素子として発振回路を含むIC素子を、それぞれ例にとり説明する。圧電振動子、および圧電振動子と接続される発振回路を含むIC素子は圧電発振器の構成部材である。
【0037】
図1は集合基板と前記集合基板に搭載される圧電振動子とIC素子の概要について説明する断面図である。
図2乃至
図7は集合基板の層構成を示す平面図である。
図8乃至
図14は単位基板の層構成を示す平面図である。
図15は単位基板からなる圧電発振器の内部構成を示す断面図である。図面は例示であり、各部の形状は模式的なものである。また図中、同様の構成については符号を付していないものもある。なお、
図1乃至
図7の点線表部分が集合基板から単位基板に分離される部分である。
【0038】
《集合基板と集合基板に搭載される圧電振動子とIC素子の説明》
集合基板CBは複数の単位基板UBを得るためのセラミックスからなる基板であり、全体として平面で見て長辺と短辺を有する長方形状である。また集合基板CBは第一枠層L1と第一基体層L2と第二基体層L3と第二枠層L4とがセラミックス積層技術により一体形成された構成である。
【0039】
前記単位基板UBは平面で見て長辺と短辺を有する長方形状であり、集合基板CBにマトリクス状に一体的に形成されている。そして、各単位基板UBは第一枠部11と第一基体部12と第二基体部13と第二枠部14を積層して一体化された構成である。第一枠部11には中央部分を含んで貫通部11A3が形成されており、第二枠部14には中央部分を含んで貫通部14B5が形成されている。前記第一枠部11と前記第二枠部14は、相互に上下方向に凹形状が背面で対向する構成として形成されており、このような構成により第一凹部10と第二凹部40が形成されている。
【0040】
第一枠部10の上面には、貫通部11A3の周囲に封止用金属膜11A1が形成され、また第二枠部40の側壁部上面には、長方形の貫通部の角部に実装電極14B1、14B2,14B3、14B4が形成されている。
【0041】
前記第一凹部10の内底面すなわち第一基体部上面には搭載電極12A1、12A2が所定の間隔を隔てて形成されている。これら搭載電極12A1、12A2には第一の電子素子である圧電振動子2が導電接合される。また前記第二枠部40の内底面すなわち第二基体部の下面には搭載電極13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6が2列に並んで形成されている。これら搭載電極13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6には他の電子素子であるIC素子3が導電接合される。圧電振動子2およびIC素子3の構成については後述する。
【0042】
《集合基板の各層の説明》
図2は集合基板CBの第一枠層L1の上面L1Aを示す平面図を示している。
第一枠層L1は全体として長方形で、この中に第一枠部11がマトリクス状に一体的に形成された構成である。また各第一枠部11に平面で見て長方形の貫通部11A3が設けられているとともに、1つの角部にはビア11A2が形成されている。このような構成により、第一枠層L1は長方形の貫通部11A3並びにビア11A2が各々マトリクス状に形成される。
【0043】
集合基板CBは最終的には平面で見て長方形の単位基板UBに分離されるが、前記単位基板UB毎の外周と前記貫通部11A3の外周部分の間には周状に封止用金属膜11A1が形成されている。また各単位基板UBの右上部であって、前記封止用金属膜11A1と重なる位置には、前記ビア11A2が形成されている。
【0044】
第一枠層L1の主構成材料はセラミックスからなり、その表面に、封止用金属膜11A1と表裏貫通したビア11A2が形成されている。セラミックスの材料は例えばアルミナを用い、封止用金属膜11A1は例えばセラミックスに接してタングステン(W)層が形成され、その上部にニッケル(Ni)層、金(Au)層の順で形成された多層構成である。タングステン(W)の形成はセラミックスと焼成により行い、ニッケル(Ni)層、金(Au)層の形成はメッキにより行う。なお、これら金属膜の一部形成をメッキに代えて真空蒸着法等のPVD法により行ってもよい。
【0045】
またビア11A2は、前記セラミックスを上下に貫通した小さな貫通孔に金属材料が充填された上下導通機能を有する構成体である。ビアの金属材料はタングステン(W)層を母材として、その上端と下端にはニッケル(Ni)層、金(Au)層がメッキ等の手法により形成される。
【0046】
図3は集合基板CBの第一基体層L2の上面L2Aを示す平面図を示している。
第一基体層L2も全体として長方形で、前記第一枠層と同じ外形形状並びに外形サイズを有している。前記第一基体層L2のなかに第一基体部12がマトリクス状に一体的に形成されている。
【0047】
各第一基体部12の上面には、搭載電極12A1と、前記搭載電極12A1につながる引出電極12A11と、前記引出電極12A11につながるビア12A12からなる電極パターンが形成され、また搭載電極12A2と、前記搭載電極12A2につながる引出電極12A21と、前記引出電極12A21につながるビア12A22からなる電極パターンが形成される。
【0048】
これら搭載電極12A1がつながる電極パターンと搭載電極12A2がつながる電極パターンとは、単位基板UBの長辺に平行で、単位基板UBの短辺方向の中心を通る線(中心線)に対して線対称に配置されている。なお、これら電極パターン構成は、例えば搭載電極が長辺方向に並ぶ構成等、上記実施形態に限定されるものではない。
【0049】
また、第一枠層L1と第一基体層L2を積層した際、ビア12A7と前記ビア11A2とが重畳し、両者が導通可能な状態で相互に配置されている。
【0050】
第一基体層L2の主構成材料は第一枠層L1と同様にセラミックスからなり、その表面に前記電極パターンおよび表裏貫通したビアが形成されている。セラミックスの材料は例えばアルミナを用い、電極パターン(搭載電極、引出電極、ビア)は例えばセラミックスに接してタングステン(W)層が形成され、その上部にニッケル(Ni)層、金(Au)層の順で形成された多層構成である。タングステン(W)の形成はセラミックスと焼成により行い、ニッケル(Ni)層、金(Au)層の形成はメッキにより行う。なお、これら金属膜の一部形成をメッキに代えて真空蒸着法等のPVD法により行ってもよい。
【0051】
またビア12A7は、前記セラミックスを上下に貫通した小さな貫通孔に金属材料が充填された上下導通機能を有する構成体である。ビアの金属材料はタングステン(W)層を母材として、その上端と下端にはニッケル(Ni)層、金(Au)層がメッキあるいは真空蒸着法等の手法にて形成される。
【0052】
図4は集合基板CBの第二基体層L3の上面L3Aを示す平面図を示している。
第二基体層L3も全体として長方形で、前記第一基体層と同じ外形形状並びに外形サイズを有している。前記第二基体層L3のなかに第二基体部13がマトリクス状に一体的に形成されている。
【0053】
各第二基体部の上面には、連結電極13A1、13A2、13A3、13A4、13A5、13A6と、これら連結電極につながる電極が形成されている。
図4並びに
図11を参照して説明すると、連結電極13A1は第二基体部13の左側最上部に形成され、連結部13A11とビア13A12、そして連絡電極13A15を構成する連結部13A13と13A14につながっている。なお、連結部13A11は短辺方向の中央部分にまで伸長して形成されている。
【0054】
また連結電極13A2は連結電極13A1の下方であって、長辺方向の中央部分に形成され、連結部13A21とビア13A22がつながって形成されている。
【0055】
連結電極13A3は連結電極13A2の下方であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、連結部13A31とビア13A32がつながって形成されている。
【0056】
連結電極13A4は連結電極13A3の右側(他方の短辺端)であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、連結部13A41とビア13A42がつながって形成されている。なお、連結部13A41は短辺方向の中央部分にまで伸長して形成されている。
【0057】
また連結電極13A5は連結電極13A4の上方であって、長辺方向の中央部分に形成され、連結部13A51とビア13A52がつながって形成されている。
【0058】
連結電極13A6は連結電極13A5の上方であって、長辺方向の最上部近傍に形成され、連結部13A61とビア13A62がつながって形成されている。
【0059】
さらに連結電極13A4と13A5間には連絡電極13A7が形成されて、連絡部13A71,13A72が相互につながって形成されている。なお、上記各連絡部は単位基板の端面まで延出され、集合基板状態では隣接する単位基板の連結部とつながっている。
【0060】
すなわち集合基板の状態では、連結部13A13は隣接する単位基板の連結部13A61とつながり、連結部13A14は隣接する単位基板の連結部13A51とつながり、連結部13A21は隣接する単位基板の連結部13A71とつながり、連結部13A31は隣接する単位基板の連結部13A72とつながっている。上記説明は
図4に記載したC1、C2領域参照。
【0061】
図5は集合基板CBの第二基体層L3の下面を示す平面図を示している。
各第二基体部の下面には、搭載電極13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6と、これら搭載電極につながる電極が形成されている。
図5並びに
図12を参照して説明すると、搭載電極13B1は第二基体部の左側最上部に形成され、引出電極13B11とビア13B12につながって形成されている。なお前記ビア13B12は上面からつながるビア13A12と同じであり、これにより搭載電極13B1は上面側の連結電極13A1と導通している。
【0062】
搭載電極13B2は搭載電極13B1の下方であって、長辺方向の中央部分に形成され、ビア13B22とつながっている。なお前記ビア13B22は上面からつながるビア13A22と同じであり、搭載電極13B2は上面側の連結電極13A2と導通している。
【0063】
搭載電極13B3は搭載電極13B2の下方であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、引出電極13B31とビア13B32につながって形成されている。なお前記ビア13B32は上面からつながるビア13A32と同じであり、搭載電極13B3は上面側の連結電極13A3と導通している。
【0064】
搭載電極13B4は搭載電極13B3の右側(他方の短辺端)であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、引出電極13B41とビア13B42につながって形成されている。なお前記ビア13B42は上面からつながるビア13A42と同じであり、搭載電極13B4は上面側の連結電極13A4と導通している。
【0065】
また搭載電極13B5は搭載電極13B4の上方であって、長辺方向の中央部分に形成され、ビア13B52とつながっている。なお前記ビア13B52は上面からつながるビア13A52と同じであり、搭載電極13B5は上面側の連結電極13A5と導通している。
【0066】
また搭載電極13B6は搭載電極13B5の上方であって、長辺方向の最上部に形成され、引出電極13B61とビア13B62につながっている。なお前記ビア13B62は上面からつながるビア13A62と同じであり、搭載電極13B6は上面側の連結電極13A6と導通している。
【0067】
第二基体層L3の主構成材料はセラミックスからなり、その表面に搭載電極や引出電極、連結電極、ビアが形成されている。セラミックスの材料は第一枠層L1や第一基体層L2と同じく、例えばアルミナを用い、上記各電極は例えばセラミックスに接してタングステン(W)層が形成され、その上部にニッケル(Ni)層、金(Au)層の順で形成された多層構成である。タングステンの形成はセラミックスと焼成により行い、ニッケル(Ni)層、金(Au)層の形成はメッキにより行う。なお、これら金属膜の一部形成をメッキに代えて真空蒸着法等のPVD法により行ってもよい。
【0068】
またビアは、前記セラミックスを上下に貫通した小さな貫通孔に金属材料が充填された上下導通機能を有する構成体である。ビアの金属材料はタングステン(W)層を母材として、その上端と下端にはニッケル(Ni)層、金(Au)層がメッキあるいは真空蒸着法等の手法にて形成される。
【0069】
図6は集合基板CBの第二枠層L4の下面L4Bを示す平面図を示している。
第二枠層L4は全体として長方形で、この中に第二枠部14がマトリクス状に一体的に形成される構成である。また各第二枠部14には平面で見て長方形の貫通部14B5が設けられているとともに、4つの角部には実装電極14B1、14B2、14B3、14B4が形成されている。
【0070】
ところで、集合基板で圧電振動子(第一の電子素子)の特性を測定する前は、金属膜のメッキ形成の関係で実装電極14B1は隣接する単位基板の実装電極14B2と金属膜の一体形成でつながっており、また実装電極14B4は隣接する単位基板の実装電極14B3と金属膜の一体形成でつながっている。なおこれら一体形成でのつながりは圧電振動子の特性を測定する際には切断(電気的に分離)している必要がある。
【0071】
図7は集合基板CBにおいて、第二基体層L3に第二枠層L4を重ねた状態の各々の下面L3BとL4Bを示している。第二枠層の貫通部14B5から第二基体層に形成された搭載電極13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6が露出するとともに、第二枠層の実装電極14B1、14B2、14B3、14B4が単位基板の四隅に形成されている。これら実装電極14B1、14B2、14B3、14B4は各々ビア14B12、14B22、14B32、14B42を経由して各々搭載電極13B1、13B3、13B4、13B6と導通している。
【0072】
集合基板CBの状態では連絡電極および連結部の接続関係により、第一基体層上側の搭載電極12A1は、ビア12A12を介して連結電極13A2につながり、前記連結電極13A2は連絡電極13A7の連結部13A71と連結部13A72を介して連結電極13A3につながる。そして、連結電極13A3は、ビア13A32およびビア13B32とビア14B22を介して第二枠層下側の実装電極14B2につながっている。
【0073】
また第一基体層上側の搭載電極12A2は、ビア12A22を介して連結電極13A5につながり、前記連結電極13A5は連絡電極13A15の連結部13A13と連結部13A14を介して連結電極13A6につながる。そして、連結電極13A6は、ビア13A62およびビア13B62とビア14B42を介して第二枠層下側の実装電極14B4につながっている。
【0074】
以上の接続関係により、集合基板CBの状態では、搭載電極12A1は実装電極14B2につながり、搭載電極12A2は実装電極14B4につながっている。すなわち、集合基板CBの状態では、実装電極14B2と実装電極14B4は圧電振動子の端子電極として機能する。
【0075】
また、集合基板CBを個々の単位基板UBに切り離した際は、上記搭載電極12A1と実装電極14B2の接続が切断され、また搭載電極12A2と実装電極14B4の接続も切断され、実装電極14B1,14B2,14B3,14B4はIC素子3の端子電極として機能する。
【0076】
《単位基板の各層の説明》
次に単位基板UBにおいて、各層(部)の構成並びに積層した構成について説明する。
図8は第一枠部11の上面を示す平面図である。前述のとおり、各第一枠部11に平面で見て長方形の貫通部11A3が設けられているとともに、1つの角部にはビア11A2が形成されている。単位基板UB毎の外周すなわち第一枠部の外周と前記貫通部11A3の外周部分の間の第一枠部上面11Aには周状に封止用金属膜11A1が形成されている。また第一枠部の右上部であって、封止用金属膜11A1と重なる位置には、ビア11A2が形成されている。
【0077】
図9は第一基体部12の上面12Aを示す平面図である。前述のとおり、第一基体部の上面には、搭載電極12A1と、前記搭載電極12A1につながる引出電極12A11と、前記引出電極12A11につながるビア12A12からなる電極パターンが形成され、また搭載電極12A2と、前記搭載電極12A2につながる引出電極12A21と、前記引出電極12A21につながるビア12A22からなる電極パターンが形成される。
【0078】
これら搭載電極12A1がつながる電極パターンと搭載電極12A2がつながる電極パターンとは、長辺に平行で短辺方向の中心を通る線(中心線)に対して線対称に配置されている。なお、これら電極パターン構成は、例えば搭載電極が長辺方向に並ぶ構成等、上記実施形態に限定されるものではない。
【0079】
図10は、第一基体部12上に第一枠部11を積層した状態の上面の平面図であり、圧電振動子2を搭載した状態も点線で表示している。前記積層状態において、搭載電極12A1,12A2が露出し、これら搭載電極に圧電振動子2の接続電極23が、後述の導電性接合材等により導電接合される。なお、積層状態において前記ビア11A2とビア11A7とが重畳し、両者が導通している。
【0080】
また点線により励振電極21および接続電極の形成された圧電振動子2を図示している。この例示では気密封止を別途リッドにて行うので、励振電極の形成された圧電振動片を搭載電極に接合する例を示しているが、別途容器に気密封止された圧電振動子を搭載電極に接合した構成であってもよい。
【0081】
図11は第二基体部13の上面13Aを示す平面図である。前述のとおり、第二基体部の上面には、連結電極13A1、13A2、13A3、13A4、13A5、13A6と、これら連結電極につながる電極が形成されている。
【0082】
連結電極13A1は第二基体部13の左側最上部に形成され、連結部13A11とビア13A12、そして連結部13A13、13A14につながっている。なお、連結部13A11は短辺方向の中央部分にまで伸長して形成されている。また連結電極13A2は連結電極13A1の下方であって、長辺方向の中央部分に形成され、連結部13A21とビア13A22がつながって形成されている。連結電極13A3は連結電極13A2の下方であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、連結部13A31とビア13A32がつながって形成されている。
【0083】
連結電極13A4は連結電極13A3の右側(他方の短辺端)であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、連結部13A41とビア13A42がつながって形成されている。なお、連結部13A41は短辺方向の中央部分にまで伸長して形成されている。また連結電極13A5は連結電極13A4の上方であって、長辺方向の中央部分に形成され、連結部13A51とビア13A52がつながって形成されている。連結電極13A6は連結電極13A5の上方であって、長辺方向の最上部近傍に形成され、連結部13A61とビア13A62がつながって形成されている。
【0084】
さらに連結電極13A4と13A5間には連絡電極13A7が形成されて、連結部13A71,13A72が相互につながって形成されている。なお、上記各連絡部は単位基板の端面まで延出され、集合基板状態では隣接する単位基板の連結部とつながっている。
【0085】
すなわち集合基板の状態では、連結部13A13は隣接する単位基板の連結部13A61とつながり、連結部13A14は隣接する単位基板の連結部13A51とつながり、連結部13A21は隣接する単位基板の連結部13A71とつながり、連結部13A31は隣接する単位基板の連結部13A72とつながっている。しかしながら、単位基板に分離した後は、連結電極13A7や各連結部は電子部品の端子機能としては不要な構成となる。
【0086】
図12は第二基体部13の下面13Bを示す平面図である。前述のとおり、第二基体部の下面には、搭載電極13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6と、これら搭載電極につながる電極が形成されている。
【0087】
搭載電極13B1は第二基体部の左側最上部に形成され、引出電極13B11とビア13B12につながって形成されている。なお前記ビア13B12は上面からつながるビア13A12と同じであり、これにより搭載電極13B1は上面側の連結電極13A1と導通している。
【0088】
搭載電極13B2は搭載電極13B1の下方であって、長辺方向の中央部分に形成され、ビア13B22とつながっている。なお前記ビア13B22は上面からつながるビア13A22と同じであり、搭載電極13B2は上面側の連結電極13A2と導通している。
【0089】
搭載電極13B3は搭載電極13B2の下方であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、引出電極13B31とビア13B32につながって形成されている。なお前記ビア13B32は上面からつながるビア13A32と同じであり、搭載電極13B3は上面側の連結電極13A3と導通している。
【0090】
搭載電極13B4は搭載電極13B3の右側(他方の短辺端)であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、引出電極13B41とビア13B42につながって形成されている。なお前記ビア13B42は上面からつながるビア13A42と同じであり、搭載電極13B4は上面側の連結電極13A4と導通している。
【0091】
また搭載電極13B5は搭載電極13B4の上方であって、長辺方向の中央部分に形成され、ビア13B52とつながっている。なお前記ビア13B52は上面からつながるビア13A52と同じであり、搭載電極13B5は上面側の連結電極13A5と導通している。
【0092】
また搭載電極13B6は搭載電極13B5の上方であって、長辺方向の最上部に形成され、引出電極13B61、ビア13B62とつながっている。なお前記ビア13B62は上面からつながるビア13A62と同じであり、搭載電極13B6は上面側の連結電極13A6と導通している。
【0093】
図13は第二枠部14の下面を示す平面図である。前述のとおり、第二枠部14には平面で見て長方形の貫通部14B5が設けられているとともに、4つの角部には実装電極14B1、14B2、14B3、14B4が形成されている。
【0094】
実装電極14B1はビア14B12とつながり、ビア14B12は上面側に貫通してつながっている。実装電極14B2はビア14B22とつながり、ビア14B22は上面側に貫通してつながっている。実装電極14B3はビア14B32とつながり、ビア14B32は上面側に貫通してつながっている。さらに実装電極14B4はビア14B42とつながり、ビア14B42は上面側に貫通してつながっている。
【0095】
図14は単位基板UBにおいて、第二基体部13に第二枠部14を重ねた状態の各々の下面13Bと14Bを示している。第二枠部の貫通部14B5(開口領域)から第二基体部に形成された搭載電極13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6が露出するとともに、第二枠部の実装電極14B1、14B2、14B3、14B4が単位基板の四隅に形成され、これら実装電極14B1、14B2、14B3、14B4は各々ビア14B12、14B22、14B32、14B42を経由して各々搭載電極13B1、13B3、13B4、13B6と導通している。なお、各搭載電極上に電子部品であるIC素子3が搭載された状態を点線にて表示している。
【0096】
《圧電発振器および集合基板を用いた圧電発振器の製造方法の説明》
図15は完成した圧電発振器EDの断面図で、
図10および
図14に示したA-A断面を示している。圧電発振器(第一の電子素子)EDは断面で見てH形のセラミックスからなる容器1と、第一凹部10に搭載された圧電振動子(第一の電子素子)2と、第二凹部40に搭載されたIC素子(他の電子素子)3と、第一凹部10を気密封止するリッド4とからなる。
【0097】
圧電振動子2は、例えば、圧電振動片として矩形平板状のATカット水晶板を用い、その表裏面に励振電極21,22が対向して形成され、また引出電極21a,22a(不図示)と接続電極(不図示)が形成される。前記励振電極や引出電極の金属材料の例としては、水晶板に接して下地金属膜としてCrまたはTiが用いられ、前記下地金属膜の上層に上層金属膜としてAuが用いられているが、これら金属材料以外の構成であってもよい。これら金属膜形成は、真空蒸着法やスパッタリング法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法により形成される。なお、本実施形態では圧電振動片として、ATカット水晶板の例を挙げたが、ATカット水晶板以外にSCカットなど他の種類の水晶板を用いてもよい。また、圧電振動片の形状は平面視矩形の板状のものだけに限らず、例えば音叉形状など他の形状であってもよい。
【0098】
圧電振動子2は搭載電極12A1,12A2に導電性接合材Sにより導電接合され、リッド4により第一凹部10を気密封止されている。なお、導電性接合材として、導電性の接着剤や金属製のバンプを用いてもよい。IC素子3は搭載電極13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6にフェイスダウンボンディング技術により導電接合されている。圧電発振器EDの実装電極14B1,14B2,14B3,14B4は、例えば入出力端子、電源端子、アース端子等として機能する。
【0099】
続いて上述した集合基板を用いた圧電発振器(電子部品)の製造方法について、図面とともに説明する。集合基板CBの第二枠層L4は、実装電極14B2と14B1および実装電極14B3と14B4が金属膜でつながった状態の場合、事前に両者の境界領域(
図6において一部を記号Cで例示)をレーザービーム等のエネルギービームによって電気的に切断しておく。また縦方向の分割ラインには、後述の集合基板の分割時の起点とするための細溝SLが形成されている。なお、この細溝SLは集合基板の分割方法(例えばダイシング等)によっては設けなくてもよい場合もある。また予め励振電極が形成された圧電振動子2、IC素子3、リッド4を必要数用意しておく。
【0100】
まず集合基板CBの搭載電極12A1,12A2に導電性接合材Sをディスペンサ等により所定量供給する。この導電性接合材Sに引出電極21a,21b(不図示)が接合するように圧電振動子を片持ち保持状態で搭載電極12A1,12A2に搭載する。集合基板すべての第一凹部10内に圧電振動子を搭載した後、導電性接合材Sを硬化させるため加熱処理を所定時間行う。これにより、圧電振動子2が搭載電極12A1,12A2に電気的機械的に接合される。
【0101】
次に前記第一凹部10をリッドにて気密封止する。本実施の形態においては、封止用金属膜11A1に金属ろう材としてAuSnろう材を用いている。真空雰囲気(減圧状態)あるいは不活性ガス雰囲気の環境で封止用金属膜11A1上にリッド4を搭載し、加熱炉にてろう材を溶融後硬化させ、気密封止を行う。なお、リッド3はコバール(Kovar)を基体とする平面視矩形状の金属性の平板体であり、前記封止用金属膜11A1はリッド側に予め形成した構成であってもよい。
【0102】
またリッドによる気密封止の他の方法として、シーム溶接法やガラスろう接法をあげることができるが、ガラスろう接法の場合、リッドの材料にセラミックス等の絶縁材料を用いることも可能である。
【0103】
気密封止完了後は、前述したように、搭載電極12A1は実装電極14B2につながり、搭載電極12A2は実装電極14B4につながっている。すなわち、単位基板毎の実装電極14B2と実装電極14B4は圧電振動子の端子電極として利用できる。
次に、集合基板CBにおいて単位基板UB毎に圧電振動子の特性を測定する。測定にあたっては上述した単位基板UBの実装電極14B2と実装電極14B4に測定端子(不図示)を接触させ、その単位基板UBに搭載された圧電振動子2の特性を測定する。
【0104】
測定されたデータは図示していないが、測定装置を介してメモリに格納され、圧電振動子毎の特性判定、例えば良品、不良品の判定、あるいは第二凹部に搭載されるIC素子3の選択やIC素子3へのデータ書き込み内容(特性調整情報)を単位基板毎(圧電発振器毎)に決定する。なお、IC素子はデータ書き込み型の同一の素子を用い、データ書き込み内容(特性調整情報)を決定してもよい。
【0105】
次に第二凹部40毎にIC素子3を搭載電極13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6にフェイスダウンボンディング技術により導電接合する。このIC素子の搭載においては、圧電振動子は所定の特性を有さない不良品のものにおいては、対応する第二凹部にIC素子を搭載しないという製造上の制御を行う。この制御により集合基板を用いた製造効率並びに製造歩留まりを向上させている。なお、このIC素子3の搭載は、後述の集合基板CBから単位基板UBに分離した後に行ってもよい。
【0106】
その後、集合基板CBから単位基板UBに分離する。分離は前記細溝SLを起点とした破断(ブレイク)またはダイシングにより行い、この分離により独立した圧電発振器が得られる。その後必要に応じて、IC素子3に対し実装電極を介して電気信号印加によるデータ書き込みまたは特性調整を行ってもよい。
【0107】
第2の実施形態
0106~0133まで第2の実施形態の説明 基体層(中間層)が一層の例
第2の実施形態として、電子部品として圧電発振器を、第一の電子素子として圧電振動子2、他の電子素子として発振回路を含むIC素子3を、それぞれ例にとり説明する。本実施の形態においては、容器6の構成が3層の積層構成であり、第一枠体層L1と基体層L6と第二枠体層L4とからなり、また圧電振動子7の構成が第1の実施形態と異なり、圧電振動子7自体が気密封止された構成となっている。
【0108】
図16は集合基板の基体層L6の上面L6Aの平面図であり、
図17は集合基板の基体層L6の下面L6Bの平面図である。
図18乃至
図22は単位基板の層構成を示す平面図である。
図23は本実施形態により製造された圧電発振器の断面図である。なお、第一枠層L1と第二枠層L4は第一の実施形態と同様の構成である。
【0109】
第一枠層L1は全体として平面で見て長方形で、基体層L6、第二枠層L4と同じ外形形状並びに外形サイズを有している。前記基体層L1のなかに第一枠部61がマトリクス状に一体的に形成されている。
【0110】
基体層L6は全体として平面で見て長方形で、前記第一枠層L1と同じ外形形状並びに外形サイズを有している。前記基体層L6のなかに基体部62がマトリクス状に一体的に形成されている。
【0111】
図16および
図19に示すように、各基体部62の上面62Aには、搭載電極62A1と、前記搭載電極62A1につながる引出電極62A11と、前記引出電極62A11につながるビア62A12からなる電極パターンが形成され、また搭載電極62A2と、前記搭載電極62A2につながる引出電極62A21と、前記引出電極62A21につながるビア62A22からなる電極パターンが形成される。
【0112】
これら搭載電極62A1がつながる電極パターンと搭載電極62A2がつながる電極パターンとは、短辺に平行で長辺方向の中心を通る線(中心線)に対して線対称に配置されている。なお、これら電極パターン構成は、例えば搭載電極が長辺方向に並ぶ構成等、上記実施形態に限定されるものではない。
【0113】
図17および
図20に示すように、基体部の下面には、搭載電極62B1、62B2、62B3、62B4、62B5、62B6と、これら搭載電極に連結部、ビア等の各電極がつながって一体形成されている。これら搭載電極には圧電発振器として組み立てた際に、前記IC素子(他の電子素子)3が搭載される。
【0114】
搭載電極62B1は基体部62の、
図17で長方形の点線Dで示す領域において左側最上部に形成され、集合基板の状態では隣接する基体部の連結部と電気的につながる連結部62B11,62B13,62B14とつながっている。なお、連結部62B13、62B14は連絡電極62B15によりつながっている。また、搭載電極62B2は搭載電極62B1の下方であって、点線Dで示す領域における長辺方向の中央部分に形成され、連結部62B21とビア62B22とつながっている。集合基板の状態では隣接する基体部の連結部62B71とつながっている。
【0115】
搭載電極62B3は搭載電極62B2の下方であって、長辺方向の最下部近傍に形成され、連結部62B31とつながっている。集合基板の状態では連結部62B21は隣接する基体部の連絡電極62B7を介して連結部62B31とつながっている。また、搭載電極62B4は搭載電極62B3の右側(他方の短辺端)であって、点線Dで示す領域における長辺方向の最下部近傍に形成され、連結部62B41とつながっている。集合基板の状態では連結部62B41は隣接する基体部の連結部62B11と電気的につながっている。
【0116】
搭載電極62B5は搭載電極62B4の上方であって、点線Dで示す領域における長辺方向の中央部分に形成され、連結部62B51とつながっている。集合基板の状態では連結部62B51は隣接する基体部の連結部62B14とつながっている。また、搭載電極62B6は搭載電極62B5の上方であって、点線Dで示す領域における長辺方向の最上部に形成され、連結部62B61とビア62B61につながっている。集合基板の状態では連結部62B61は隣接する基体部の連結部62B13とつながっている。
【0117】
搭載電極62B4と62B5間には連結部62B71,62B72を有する連絡電極62B7が形成されており、集合基板の状態では連結部62B21と62B31をつないでいる。また、連結部62B13,62B14を有する連絡電極62B15は、集合基板の状態では連結部62B51と62B61をつないでいる。
【0118】
なお、搭載電極62B2にはビア62B22が形成され、上面のビア62A12につながり、連結部62B51とつながっている。搭載電極62B5にはビア62B52が形成され、上面のビア62A22につながっている。また、搭載電極62B6はビア62B62とつながっている。
【0119】
第二枠層L4は全体として平面で見て長方形で、第一枠層、基体層と同じ外形形状並びに外形サイズを有している。前記基体層L4のなかに第二枠部63がマトリクス状に一体的に形成されている。
【0120】
第一枠層L1と基体層L6を積層した際、ビア61A2とビア62A7とが重畳し、両者が導通可能な状態で相互に配置されている。また基体層L6と第二枠層L4とを積層した際、第二枠層の各ビア63B12,63B22,63B32,63B42は搭載電極62B1、62B3,62B4,62B6(ビア62B62)と導通可能な状態で相互に対向配置されている。なお、基体層L6のビア62A12とビア62A22は各々ビア62B22と62B52と表裏でつながっている。
【0121】
図21は第二枠部63の下面を示す平面図である。前述のとおり、第二枠部63には中央部分を含んで平面で見て長方形の貫通部63B5が設けられているとともに、4つの角部には実装電極63B1、63B2、63B3、63B4が形成されている。
【0122】
実装電極63B1はビア63B12とつながり、基体部の下面の搭載電極62B1につながっている。実装電極63B2はビア63B22とつながり、基体部の下面の搭載電極62B3につながっている。また、実装電極63B3はビア63B32とつながり、基体部の下面の搭載電極62B4につながっている。さらに、実装電極63B4はビア63B42とつながり、基体部の下面の搭載電極62B6につながっている。
【0123】
図22は単位基板UBにおいて、基体部62に第二枠部63を重ねた状態の各々の下面62Bと63Bを示している。第二枠部の貫通部63B5(開口領域)から基体部に形成された搭載電極62B1、62B2、62B3、62B4、62B5、62B6が露出するとともに、第二枠部の実装電極63B1、63B2、63B3、63B4が単位基板UBの四隅に形成された構成となる。なお、圧電発振器として組み立てた際には、各搭載電極上にIC素子3(点線にて表示)が搭載される。
【0124】
前記第一枠層L1、前記基体層L6、前記第二枠層L4の主構成材料はセラミックスからなり、その表面に前記電極パターンおよび表裏貫通したビアが形成されている。セラミックスの材料は例えばアルミナを用い、電極パターン(搭載電極、引出電極、ビア)は例えばセラミックスに接してタングステン(W)層が形成され、その上部にニッケル(Ni)層、金(Au)層の順で形成された多層構成である。タングステン(W)の形成はセラミックスと焼成により行い、ニッケル(Ni)層、金(Au)層の形成はメッキにより行う。なお、これら金属膜の一部形成をメッキに代えて真空蒸着法等のPVD法により行ってもよい。
【0125】
また各ビアは、前記セラミックスを上下に貫通した小さな貫通孔に金属材料が充填された上下導通機能を有する構成体である。ビアの金属材料はタングステン(W)層を母材として、その上端と下端にはニッケル(Ni)層、金(Au)層がメッキあるいは真空蒸着法等の手法にて形成される。
【0126】
《圧電発振器および集合基板を用いた圧電発振器の製造方法の説明》
図23は完成した圧電発振器EDの断面図で、
図22に示したB-B断面を示している。圧電発振器EDは断面で見てH形のセラミックスからなる容器6と、第一凹部60に搭載された圧電振動子(第一の電子素子)20と、第二凹部40に搭載されたIC素子(他の電子素子)3と、前記第一凹部60を気密封止するリッド4とからなる。
【0127】
圧電振動子2は、本実施の形態においては、圧電振動子20自体が気密封止された構成を採用している。詳細に図示はしていないが、外周に枠体を設け一体的に形成した励振電極の形成された水晶振動板を、上下から平板状の絶縁板で気密封止した構成である。圧電振動子20からは外部との接続電極(不図示)が形成されている。
【0128】
前記圧電振動子2を上述した集合基板に搭載する圧電発振器(電子部品)の製造方法について説明する。集合基板CBの第二枠層L4は、実装電極63B1と63B2および実装電極63B3と63B4が金属膜でつながった状態の場合、事前に両者を電気的に切断しておく。また縦方向の分割ラインには、後述の集合基板の分割時の起点とするための細溝SLが形成されている。なお、この細溝SLは集合基板の分割方法(例えばダイシング等)によっては設けなくてもよい。また予め圧電振動子2、IC素子3、リッド4を必要数用意しておく。
【0129】
まず集合基板CBに対して、各搭載電極62A1,62A2に導電性接合材Sをディスペンサ等により所定量供給する。この導電性接合材Sに圧電振動子の接続電極(不図示)が接合するように圧電振動子60を両持ち保持状態(長辺方向両端部で保持)で搭載電極62A1,62A2に搭載する。集合基板すべての第一凹部60に圧電振動子20を搭載した後、導電性接合材Sを硬化させるため加熱処理を所定時間行う。これにより、圧電振動子20が搭載電極62A1,62A2に電気的機械的に接合される。
【0130】
次に前記第一凹部60をリッドにて気密封止する。本実施の形態においては、圧電振動子20の状態で気密封止されているが、リッドで気密封止することにより二重の気密封止構成となる。本実施の形態において気密封止はAuSnろう材によるろう材封止構成を用いているが、シーム溶接法やガラスろう接法により気密封止を行ってもよい。ガラスろう接法の場合、リッドの材料をセラミックス等の絶縁材料を用いることも可能である。
【0131】
気密封止完了後は、前述したように、搭載電極62A1は実装電極63B4につながり、搭載電極62A2は実装電極63B2につながっている。すなわち、単位基板毎の実装電極63B2と実装電極63B4は圧電振動子の端子電極として利用できる。
【0132】
次に、集合基板CBにおいて単位基板UB毎に圧電振動子の特性を測定する。測定にあたっては上述した単位基板UBの実装電極14B2と実装電極14B4に測定端子(不図示)を接触させ、その単位基板UBに搭載された圧電振動子2の特性を測定する。
【0133】
測定されたデータは図示していないが、測定装置を介してメモリに格納され、圧電振動子毎の特性判定、例えば良品、不良品の判定、あるいは第二凹部に搭載されるIC素子3の選択やIC素子3へのデータ書き込み内容(特性調整情報)を単位基板毎(圧電発振器毎)に決定する。なお、IC素子はデータ書き込み型の同一の素子を用い、データ書き込み内容(特性調整情報)を決定してもよい。
【0134】
次に第二凹部40毎にIC素子3を搭載電極62B1、62B2、62B3、62B4、62B5、62B6にフェイスダウンボンディング技術により導電接合する。なお、フェイスダウンボンディング技術に代えて、ワイヤボンディング技術により導電接合を行ってもよい。
【0135】
このIC素子の搭載においては、圧電振動子は所定の特性を有さない不良品のものにおいては、対応する第二凹部にIC素子を搭載しないという製造上の制御を行う。この制御により集合基板を用いた製造効率並びに製造歩留まりを向上させている。なお、このIC素子3の搭載は、後述の集合基板CBから単位基板UBに分離した後に行ってもよい。
【0136】
その後、集合基板CBから単位基板UBに分離する。分離はダイシングや前記細溝SLを起点とした破断(ブレイク)により行い、この分離により独立した圧電発振器が得られる。その後必要に応じて、IC素子3に対し実装電極を介して電気信号印加によるデータ書き込みまたは特性調整を行ってもよい。
【0137】
その他の実施形態
上記実施の形態においては、電子部品として第一の電子素子と他の電子素子を上下方向に搭載する圧電発振器を例示したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば
図24に示すように、1つの容器71に圧電振動子(第一の電子素子)72とIC素子(他の電子素子)73を並列に配置し、リッド74により気密封止をした構成に適用してもよい。このような構成においても1つの単位基板は隣接する単位基板に連絡電極(連結部)を形成し、集合基板の状態で前記連絡電極(連結部)を介して、搭載された圧電振動子(第一の電子素子)の特性を測定し、その後IC素子(他の電子素子)を搭載し、単位基板に切り離したのち電子部品としての特性を調整する等を行ってもよい。
【0138】
図25においては、圧電振動子(第一の電子素子)82とIC素子等(他の電子素子)83,84の収納部(凹部)81A,81Bがそれぞれ用意された容器81を示している。収納部81A,81Bは各々リッド85A,85Bにより気密封止される。ここでは他の電子素子は、複数用いている構成を例示しているが、このような構成にも本発明は適用できる。
【0139】
さらに
図26に示すように、平板状の電子素子用の搭載基板91に第一の電子素子92と他の電子素子93を搭載し、これを樹脂材94により被覆(樹脂モールド)した構成に適用することもできる。具体的には例えば所定の配線パターンが形成された搭載基板91(例えばガラスエポキシ樹脂基板)からなる集合基板に第一の電子素子92を複数個導電接合する。この状態で、搭載基板91の下面に設けた実装電極を介して第一の電子素子毎の特性を測定し、その後他の電子素子92を搭載基板に第一の電子素子と一対で搭載して、単位基板に切り離したのち電子部品としての特性を調整する等を行ってもよい。
【0140】
さらに、第一の電子素子として、MEMS素子(Micro Electro Mechanical Systems)を用い、他の電子素子としてMEMS素子に対応したIC素子を用いてもよい。
【0141】
ところで、電子部品の例として、圧電発振器を例示したが、他の電子部品であってもよい。例えばセンサモジュールに適用してもよく、具体的には第一の電子素子として、圧力、温度等のセンサ素子を用い、他の電子素子としてセンサ情報処理回路素子に適用してもよい。集合基板の各単位基板領域に設けられたセンサ素子(第一の電子素子)搭載電極にセンサ素子を導電接合し、各単位基板毎の実装電極を用いてセンサ素子の特性を測定する。その後、各センサ素子に対応したセンサ情報処理回路素子(他の電子素子)を集合基板に搭載し、単位基板に切り離したのちセンサモジュール(電子部品)としての特性を調整する等を行ってもよい。
【0142】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0143】
集合基板および圧電発振器等の電子部品の量産に適用できる。
【符号の説明】
【0144】
ED 圧電発振器(電子部品)
1、6、71、81,91 容器
2、20 圧電振動子(第一の電子素子)
21,22 励振電極
3 IC素子(他の電子素子)
4 リッド
L1 第一枠層
L2 第一基体層
L3 第二基体層
L4 第二枠層
L6 基体層
11、61 第一枠部
12 第一基体部
12A1、12A2、13B1、13B2、13B3、13B4、13B5、13B6、62B1、62B2、62B3、62B4、62B5、62B6 搭載電極
13 第二基体部
13A7、13A15、62B7、62B15 連絡電極
13A11、13A13、13A14、13A21、13A31、13A41、13A51、13A61、13A71、13A72、62B11、62B13、62B14、62B21、62B31、62B51、62B61、62B71、62B72 連結部
14、63 第二枠部
14B1、14B2,14B3,14B4、63B1、63B3、63B4 実装電極
62 基体部