(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107535
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ロボット用ハンドおよびロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B25J15/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011502
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】518106124
【氏名又は名称】コネクテッドロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊昭
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707ES17
3C707EV23
3C707GS19
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT11
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】 状態を切り換えることができるロボット用ハンド等を提供する。
【解決手段】 ロボット機構に取り付けられるロボット用ハンドであって、ロボット機構に対して固定される固定部材と、固定部材に対して移動可能に取り付けられた移動部材と、を備え、固定部材に対する移動部材の相対的な位置が異なる第1の状態および第2の状態を有し、移動部材を外部の係合部に係合させた状態でロボット機構により固定部材を移動させることにより、第1の状態から第2の状態に移行可能とされる。移動部材が固定部材に対して摺動することにより、第1の状態および第2の状態の間を移行可能とされてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット機構に取り付けられるロボット用ハンドであって、
前記ロボット機構に対して固定される固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能に取り付けられた移動部材と、
を備え、
前記固定部材に対する前記移動部材の相対的な位置が異なる第1の状態および第2の状態を有し、
前記移動部材を外部の係合部に係合させた状態で前記ロボット機構により前記固定部材を移動させることにより、前記第1の状態から前記第2の状態に移行可能とされる、ロボット用ハンド。
【請求項2】
前記移動部材が前記固定部材に対して摺動することにより、前記第1の状態および前記第2の状態の間を移行可能とされる、請求項1に記載のロボット用ハンド。
【請求項3】
前記第1の状態では、前記ロボット用ハンドにより被搬送物が保持され、
前記第2の状態では、前記ロボット用ハンドから前記被搬送物が解放される、請求項1に記載のロボット用ハンド。
【請求項4】
前記第1の状態では、前記被搬送物が前記固定部材により保持され、前記第2の状態に移行する際に、前記被搬送物が前記移動部材に当接して前記被搬送物が前記固定部材から解放される、請求項3に記載のロボット用ハンド。
【請求項5】
前記第1の状態では、前記被搬送物が前記移動部材により保持され、前記第2の状態に移行する際に、前記被搬送物が前記固定部材に当接して前記被搬送物が前記移動部材から解放される、請求項3に記載のロボット用ハンド。
【請求項6】
ロボット機構に取り付けられるロボット用ハンドの状態を制御するロボット制御装置であって、
前記ロボット用ハンドは、
前記ロボット機構に対して固定される固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能に取り付けられた移動部材と、
を備え、
前記固定部材に対する前記移動部材の相対的な位置が異なる第1の状態および第2の状態を有し、
前記ロボット制御装置は、前記移動部材を外部の係合部に係合させた状態で前記固定部材を移動させるように前記ロボット機構を制御することにより、前記ロボット用ハンドの状態を前記第1の状態から前記第2の状態に移行させる、ロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット用ハンドおよびロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットアームに着脱可能とされた種々のロボット用ハンドが開示されている。これらのロボット用ハンドには、様々な作業のそれぞれに適合する形態が与えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単一の形態のロボット用ハンドだけでは行えない作業を行う場合、他のロボット用ハンドを追加し、複数のロボット用ハンドを同時に使用して作業を行うことが考えられる。しかし、ロボット用ハンドの状態を切り換えることができれば、複数のロボット用ハンドを用いずに、このような作業に対応することも可能となる。
【0005】
そこで、1つの側面では、本開示は、状態を切り換えることができるロボット用ハンド等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
ロボット機構に取り付けられるロボット用ハンドであって、
前記ロボット機構に対して固定される固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能に取り付けられた移動部材と、
を備え、
前記固定部材に対する前記移動部材の相対的な位置が異なる第1の状態および第2の状態を有し、
前記移動部材を外部の係合部に係合させた状態で前記ロボット機構により前記固定部材を移動させることにより、前記第1の状態から前記第2の状態に移行可能とされる、ロボット用ハンドが提供される。
【発明の効果】
【0007】
1つの側面では、本開示によれば、状態を切り換えることができるロボット用ハンド等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施例のロボット用ハンドが適用される調理場の構成例を示す斜視図である。
【
図1A】本実施例のロボット用ハンドが適用される調理場の構成例を示す斜視図である。
【
図2】ロボット機構としてのロボットアームを示す斜視図である。
【
図2A】ロボットアームを制御する制御系の構成を示す図である。
【
図3】ロボット用ハンドを先端部の軸方向から視た上面図である。
【
図3B】
図3のIIIb-IIIb線における断面図である。
【
図4】ロボット用ハンドをパテとともに先端部の軸方向から視た上面図である。
【
図4A】ロボット用ハンドおよびパテの正面図である。
【
図5】第1の形態のロボット用ハンドを示す上面図である。
【
図5A】第1の形態のロボット用ハンドを示す正面図である。
【
図6】第2の形態のロボット用ハンドを示す上面図である。
【
図6A】第2の形態のロボット用ハンドを示す正面図である。
【
図7】第3の形態のロボット用ハンドを示す上面図である。
【
図7A】第3の形態のロボット用ハンドを示す正面図である。
【
図8】第4の形態のロボット用ハンドを示す上面図である。
【
図8A】第4の形態のロボット用ハンドを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1および
図1Aは、本実施例のロボット用ハンドが適用される調理場の構成例を示す斜視図、
図1Bは、
図1の一部拡大図、
図1Cは、
図1Aの一部拡大図、
図2は、ロボット機構としてのロボットアームを示す斜視図、
図2Aは、ロボットアームを制御する制御系の構成を示す図である。
【0010】
図1~
図1Cに示す例では、調理場にロボットアーム21が取り付けられた調理台60と、被搬送物としてのパテ5(例えば、ハンバーガーの具材としてのパテ)を加熱調理するための調理装置70とが設置されている。調理台60には、加熱調理前のパテ5を収容するための棚61が設けられている。例えば、棚61に対して、作業員は
図1の奥側(ロボットアーム21の反端側)からアクセスし、加熱調理前のパテ5を棚61に配置することができる。
【0011】
図2に示すように、ロボットアーム21は、複数の回転関節を有する多関節ロボットであり、基端側の基端部21aと、先端側の円柱状の先端部21bとを有し、基端部21aが調理台60のテーブル面に取り付けられる。
【0012】
図2Aに示すように、ロボットアーム21には、各関節を駆動するためのアクチュエータ22が関節ごとに設けられ、これらのアクチュエータ22がロボット制御装置20に接続されて制御される。また、ロボット制御装置20にはカメラ23および画像処理装置23Aが接続され、ロボット制御装置20は、画像処理装置23Aを介してカメラ23から取得される画像に対する画像認識処理を実行し、画像認識の結果に基づいて各アクチュエータ22を制御することができる。カメラ23は、ロボットアーム21の所定の部位、例えばロボットアーム21の先端部21bの近傍に取り付けられる。あるいは、カメラ23は、調理場の所定の位置に設置される。
【0013】
さらに、ロボット制御装置20には、ロボットアーム21の制御に必要なセンサ24と、ロボットアーム21の制御に関連する情報を表示する表示装置25と、オペレータの操作を受け付ける操作部26とが接続されている。
【0014】
なお、ロボットアーム21として、回転関節だけでなく直動関節を有するロボットアームを用いることもできる。
【0015】
ロボットアーム21の先端部21bには、パテ5を搬送するためのロボット用ハンド30が着脱可能とされている。
【0016】
図3は、ロボット用ハンドを先端部の軸方向から視た上面図、
図3Aは、ロボット用ハンドの正面図、
図3Bは、
図3のIIIb-IIIb線における断面図である。なお、
図3~
図3Bでは、ロボット用ハンド30の構成を模式的に示している。
【0017】
図3~
図3Bに示すように、ロボット用ハンド30は、パテ5を運ぶヘラとして機能する面31Aを有する、移動部材としての第1の部材31と、第1の部材31に対して
図3の左右方向に摺動可能に取り付けられた固定部材としての第2の部材32とを有する。
【0018】
第1の部材31には、
図3AにおいてL字状の取付部31aが設けられ、第1の部材31は取付部31aを介してロボットアーム21の先端部21bに固定される。また、
図3における第1の部材31の上下端部には、第2の部材32の摺動方向(
図3の左右方向)に沿って延びるガイド部33を備える。
【0019】
第2の部材32は、ガイド部33を含め第1の部材31により支持されつつ、
図3および
図3Aに示す第1の状態と第2の状態との間で往復移動可能とされている。また、第2の部材32は、ガイド部33と係合することにより、第1の状態と第2の状態との間で移動可能とされつつ、第1の部材31からの脱落が防止される。
図3に示すように、ロボットアーム21の先端部21bの軸方向から視たときに、第2の部材32はコの字形状を呈している。また、
図3Aに示すように、第2の部材32には、
図3Aの下方から切り欠かれて形成された係合部32aが形成されている。なお、係合部32aは、第2の部材32におけるコの字形状の2つの先端(
図3における上下2つの右端)の近傍に、それぞれ形成されている。
【0020】
次に、パテ5を加熱調理する際の手順について説明する。
【0021】
図4は、ロボット用ハンドをパテとともに先端部の軸方向から視た上面図、
図4Aは、ロボット用ハンドおよびパテの正面図である。
【0022】
まず、
図1Bに示すように、ロボット制御装置20によりロボットアーム21を制御して、第1の状態(
図4および
図4Aにおける第1の状態)にあるロボット用ハンド30を棚61に置かれたパテ5の下に差し込むことにより、パテ5を第1の部材31の面31A(
図3B、
図3、
図4、
図4A)上に載せる。パテ5を第1の部材31の面31A上に載せた後、ロボットアーム21を制御して、
図4Aにおける第1の部材31の右端を上方に持ち上げる方向に傾かせることにより、パテ5をその重力によって面31A上で滑らせ、所定の位置まで移動させてもよい。例えば、
図4および
図4Aに示すように、パテ5の側面が第2の部材32に接触する位置まで、
図4および
図4Aにおける左方向にパテ5を移動させてもよい。
【0023】
次に、ロボット制御装置20によりロボットアーム21を制御して、
図1Cおよび
図4Aに示すように、第1の部材31の面31Aをほぼ水平に維持しつつ、調理装置70に設置された鉄板40の縁41(外部の係合部に相当)(
図4A)に第2の部材32の2つの係合部32aを係合させる。なお、
図1A、
図1Cでは、鉄板40が設置される場所を符号「40」として示している。
【0024】
次に、ロボット制御装置20によりロボットアーム21を制御して、第1の部材31を
図4および
図4Aにおける左方向に平行移動させる。このとき、第2の部材32は係合部32aを介して鉄板40の縁41に係合しているため、第1の部材31に対して摺動してその位置を維持する。このため、第1の部材31がロボットアーム21により移動しても、パテ5はその側面が第2の部材32に当接した状態となってパテ5の位置が規制され、パテ5は第1の部材31の面31A上を滑る。そして、第2の状態に至る間に、パテ5は第1の部材31から鉄板40上に落下する。第2の状態では、
図4および
図4Aに示すように、パテ5は鉄板40の上面に載せられた状態となる。
【0025】
パテ5は第1の部材31から鉄板40上に落下した後、ロボット制御装置20によりロボットアーム21を制御して、ロボット用ハンド30を鉄板40の近傍から退避させる。また、ロボットアーム21を制御して、
図3Aにおける第1の部材31の右端を上方に持ち上げる方向に傾かせることにより、第2の部材32をその重力によって第1の部材31に対して摺動させることができる。これにより、ロボット用ハンド30を第1の状態に移行させることができる。ここで、第1の部材31と第2の部材32とをばねで接続し、鉄板40の縁41との間の係合が外れると、第2の部材32がばねの力により戻されて、ロボット用ハンド30を第1の状態に移行させるようにしてもよい。
【0026】
なお、ロボット用ハンド30の振動などに抗して第1の状態を確実に維持したい場合には、例えば、磁力を利用して、強磁性材により構成された第1の部材31と第2の部材32とを固定してもよい。この場合、例えば、
図3Aに示すように、第1の部材31にマグネット34を取り付けてもよい。
【0027】
このように、本実施例によれば、第2の部材32を外部の係合部(縁41)に係合させた状態で第1の部材31を移動させるだけで、ロボット用ハンド30の状態を第1の状態から第2の状態に移行させることができる。このため、ロボット用ハンド30に動力を設けることなく、その状態を切り替えることが可能となる。これにより、複数のロボットアーム21または複数のロボット用ハンドを使用することなく、あるいは、モータやエアシリンダ等のアクチュエータをロボット用ハンド30に設けることなく、パテ5を鉄板40に載せる工程を実行することができる。
【0028】
また、本実施例では、第1の部材31から解放されたパテ5が鉄板40に落下する位置が、実質的に第2の部材32の位置によって規定される。また、ロボット用ハンド30が第1の状態から第2の状態に移行する間、第2の部材32は、鉄板40の縁41に係合されることで、その位置が精度よく規定される。このため、ロボットアーム21によるロボット用ハンド30の複雑な位置制御を要することなく、パテ5を所定の位置(縁41から一定距離だけ離れた位置)に配置することができる。したがって、鉄板40上で焼き上がった(加熱された)パテ5をロボット用ハンド30ですくい上げる工程においても、ロボット用ハンド30の煩雑な位置制御が不要となるなどの利点がある。
【0029】
なお、鉄板40上のパテ5をすくい上げる工程では、棚61に置かれたパテ5をすくい上げるのと同様の工程(
図1B)が適用される。また、鉄板40上からロボット用ハンド30により搬送されたパテ5は、調理台60の領域62(
図1および
図1A)に設置されるトレーに収容される。この場合、領域62のトレーの形状を鉄板40と同様とすることにより、トレーの縁(鉄板40の縁41に相当)に第2の部材32を係合させることができる。このため、鉄板40上にパテ5を載せる上記の工程と同様の工程により、パテ5をトレーに載せることができる。
【0030】
なお、上記のようにロボット用ハンド30はロボットアーム21に対して着脱可能であるから、ロボット用ハンド30を複数個用意し、加熱前のパテ5に接触するロボット用ハンド30と、加熱後のパテ5に接触するロボット用ハンド30とを区別して用いてもよい。この場合、共通のロボットアーム21を使用する場合であっても、適時、ロボット用ハンド30を交換することで、一連の調理作業を行うことが可能である。
【0031】
次に、ロボット用ハンドにおける種々の形態について説明する。
【0032】
図5は、第1の形態のロボット用ハンドを示す上面図、
図5Aは、第1の形態のロボット用ハンドを示す正面図である。
【0033】
第1の形態は、
図1~
図4Aに示した実施例の形態に対応する。
【0034】
第1の形態では、第1の部材131および第2の部材132が、
図5および
図5Aの左右方向に互いに摺動可能に取り付けられている。
【0035】
第1の形態では、第1の部材131がロボット機構に取り付けられる。また、第2の部材132が外部の係合部に係合される。そして、第2の部材132が外部の係合部に係合された状態(第1の状態)から、ロボット機構により第1の部材131を
図5および
図5Aにおいて左方に移動させると、ロボット用ハンドは第2の状態に移行する。
【0036】
また、第2の状態への移行に伴い、第1の部材131上に配置された被搬送物105は、第2の部材132によりその位置が規制されて、第1の部材131から落下する。
【0037】
図6は、第2の形態のロボット用ハンドを示す上面図、
図6Aは、第2の形態のロボット用ハンドを示す正面図である。
【0038】
第2の形態では、第1の形態と異なり、第2の部材132がロボット機構に取り付けられる。また、第1の部材131が外部の係合部に係合される。そして、第1の部材131が外部の係合部に係合された状態(第1の状態)から、ロボット機構により第2の部材132を
図6および
図6Aにおいて右方に移動させると、ロボット用ハンドは第2の状態に移行する。
【0039】
また、第2の状態への移行に伴い、第1の部材131上に配置された被搬送物105は、第2の部材132により
図6および
図6Aにおいて右方に押し込まれて、第1の部材131から落下する。
【0040】
図7は、第3の形態のロボット用ハンドを示す上面図、
図7Aは、第3の形態のロボット用ハンドを示す正面図である。
【0041】
第3の形態では、第1の部材231がガイド233を介して第2の部材232に対し、
図7および
図7Aの左右方向に摺動可能に取り付けられている。
【0042】
第3の形態では、第1の部材231がロボット機構に取り付けられる。また、第2の部材232が外部の係合部に係合される。そして、第2の部材232が外部の係合部に係合された状態(第1の状態)から、ロボット機構により第1の部材231を
図7および
図7Aにおいて右方に移動させると、ロボット用ハンドは第2の状態に移行する。
【0043】
また、第2の状態への移行に伴い、第1の部材231と第2の部材232との間に挟み込まれて保持されていた被搬送物205は、第1の部材231と第2の部材232との間から落下する。すなわち、被搬送物205は、ロボット用ハンドから解放される。第3の形態のロボット用ハンドは、例えば、弾力性を有する被搬送物205に対して適用される。
【0044】
図8は、第4の形態のロボット用ハンドを示す上面図、
図8Aは、第4の形態のロボット用ハンドを示す正面図である。
【0045】
第4の形態では、第1の部材331がガイド333を介して第2の部材332に対し、
図8および
図8Aの左右方向に摺動可能に取り付けられている。
【0046】
第4の形態では、第1の部材331がロボット機構に取り付けられる。また、第2の部材332が外部の係合部に係合される。そして、第2の部材332が外部の係合部に係合された状態(第1の状態)から、ロボット機構により第1の部材331を
図8および
図8Aにおいて右方に移動させると、ロボット用ハンドは第2の状態に移行する。
【0047】
また、第2の状態への移行に伴い、第1の部材331と第2の部材332とにより保持されていた被搬送物305は、第1の部材331と第2の部材332との間に形成される間隙を介して落下する。すなわち、被搬送物305は、ロボット用ハンドから解放される。
【0048】
第1~第4の形態では、固定部材と移動部材とを互いに摺動可能に結合する場合を例示したが、固定部材と移動部材とを互いに回転可能に結合してもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施例によれば、移動部材を外部の係合部(例えば、縁41)に係合させた状態で固定部材を移動させるだけで、ロボット用ハンドの状態を第1の状態から第2の状態に移行させることができる。このため、ロボット用ハンドに動力を設けることなく、その状態を切り替えることが可能となる。これにより、複数のロボットアームまたは複数のロボット用ハンドを使用することなく、あるいは、モータやエアシリンダ等のアクチュエータをロボット用ハンドに設けることなく、様々な作業に対応することができる。
【0050】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形および変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素の全部または複数を組み合わせることも可能である。
【0051】
図1~4Aでは、調理作業への適用について例示したが、本開示のロボット用ハンドの用途や作業の種類は任意である。被搬送物も任意であり、食材に限定されない。
【符号の説明】
【0052】
5 パテ
20 ロボット制御装置
21 ロボットアーム
30 ロボット用ハンド
31 第1の部材
32 第2の部材
41 縁