(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010754
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】食品成形装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240118BHJP
【FI】
A23L7/10 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112227
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】山田 大空真
(72)【発明者】
【氏名】片野 詔雄
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE11
4B023LT26
4B023LT33
(57)【要約】
【課題】リフターの駆動モータにかかる負担を軽減できる食品成形装置を提供する。
【解決手段】板状の米飯を柱状に巻き締める巻きユニット6と、往動動作において巻きユニット6を筒状に折り畳むと共に挟圧して板状の米飯を巻き締め、復動動作において巻きユニット6を展開状態にするリフター53と、を備え、リフター53は、対向配置された一対の挟圧部531、532と、一対の挟圧部531、532を連結する連結部533と、を有する、食品成形装置1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の米飯を柱状に巻き締める巻きユニットと、
往動動作において前記巻きユニットを筒状に折り畳むと共に挟圧して前記板状の米飯を巻き締め、復動動作において、前記巻きユニットを展開状態にするリフターと、を備え、
前記リフターは、
対向配置された一対の挟圧部と、
前記一対の挟圧部を連結する連結部と、を有する、
食品成形装置。
【請求項2】
前記リフターを駆動させるリフター駆動モータと、
前記リフター駆動モータによる回転動作を前記リフターの往復動作に変換するカムフォロアと、をさらに備える、
請求項1記載の食品成形装置。
【請求項3】
前記挟圧部に、互いに離間して取り付けられた第1ドグ及び第2ドグと、
前記第1ドグ及び第2ドグを検出するリフターセンサと、をさらに備え、
前記リフターセンサは、
前記リフターの下死点において前記第1ドグを検出し、
前記リフターの上死点と下死点の間において前記第2ドグを検出する、
請求項2記載の食品成形装置。
【請求項4】
前記リフター駆動モータの一回転の中で検出される前記第1ドグと前記第2ドグの検出時間を対比し、相対的に長い時間、検出されているドグを前記第1ドグと判定する第1判定処理部、をさらに備える、
請求項3記載の食品成形装置。
【請求項5】
前記第1ドグの検出時間に基づき、前記第1ドグの検出時間の半分の時点における前記リフターの位置を下死点として判定する第2判定処理部、をさらに備える、
請求項3記載の食品成形装置。
【請求項6】
連続する前記第2ドグの検出時間に挟まれた所定の未検出時間に基づき、当該所定の未検出時間の半分の時点における前記リフターの位置を上死点として判定する第3判定処理部、をさらに備える、
請求項3記載の食品成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米飯を板状に成形した成形物、いわゆるシャリ板を柱状に巻いて成形する食品成形装置が知られている。
【0003】
これまでにも、例えば、板状に成形された食材を柱状に巻いて成形する成形部を備えた食品成形装置であって、巻き締め駆動モータは、食材を巻き締めた状態において当該モータにかかる負荷が所定負荷に達した場合に巻き締め動作を停止する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
シャリ板を柱状に巻き締める動作は、シャリ板の反力を受けるため、巻きユニットを折り畳むリフターの駆動モータに負担がかかる。そこで、リフターの駆動モータにかかる負担を軽減できる食品成形装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、リフターの駆動モータにかかる負担を軽減できる食品成形装置を提供することを目的の一つとする。また、装置の部品点数を減らしてコストダウンを図りつつ、米飯や具材の反力を抑え込み、米飯がしっかりと巻き締められた海苔巻きを作ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る食品成形装置は、板状の米飯を柱状に巻き締める巻きユニットと、往動動作において前記巻きユニットを筒状に折り畳むと共に挟圧して前記板状の米飯を巻き締め、復動動作において、前記巻きユニットを展開状態にするリフターと、を備え、前記リフターは、対向配置された一対の挟圧部と、前記一対の挟圧部を連結する連結部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リフターの駆動モータにかかる負担を軽減できる。また、装置の部品点数を減らしてコストダウンを図りつつ、米飯や具材の反力を抑え込める。その結果、米飯がしっかりと巻き締められた海苔巻きを作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態にかかる食品成形装置を示す外観斜視図である。
【
図2】上記食品成形装置の内部構造を示す要部縦断面図である。
【
図3】上記食品成形装置の巻き締め部を示す外観斜視図である。
【
図4】上記食品成形装置の巻き締め部の分解斜視図である。
【
図5】上記食品成形装置の部分断面図であって、リフターが原点にあり、巻きユニットが展開している状態を示す。
【
図6】上記食品成形装置の部分断面図であって、リフターが上昇し、巻きユニットが折り畳まれている状態を示す。
【
図7】上記食品成形装置の部分断面図であって、リフターが原点にあり、巻きユニットが展開している状態を示す。
【
図8】上記食品成形装置の部分断面図であって、リフターが上昇し、巻きユニットが折り畳まれている状態を示す。
【
図9】上記食品成形装置の巻きユニットの上面側を示す外観斜視図である。
【
図10】上記食品成形装置の巻きユニットの下面側を示す外観斜視図である。
【
図11】上記巻きユニットの変形例の上面側を示す外観斜視図である。
【
図12】上記巻きユニットの変形例の下面側を示す外観斜視図である。
【
図13】上記食品成形装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図14】上記食品成形装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図15】上記食品成形装置による巻き締め動作を示す外観斜視図であって、(a)巻きユニットが展開している状態、(b)巻きユニットが部分的に折り畳まれた状態、(c)巻きユニットが完全に折り畳まれた状態、を示す図である。
【
図16】上記食品成形装置において、上下動するリフターを検出する様子を示す模式図である。
【
図17】上記食品成形装置において、リフターの動作と検出のタイミングの関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかる食品成形装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以降の説明において、食品成形装置1の載置面をxy平面、xy平面に鉛直上向きの方向を+z方向ともいう。また、+z方向に向く面を上面、-z方向に向く面を下面ともいう。さらに、-y方向に向く面を前面、+y方向に向く面を背面ともいう。
【0011】
●食品成形装置1
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこの限りではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る食品成形装置1の外観斜視図であり、
図2は、その内部構造を模式的に示した断面図である。なお、断面図において詳細構造は適宜省略した。
【0012】
図1及び
図2に示すように、食品成形装置1は、ホッパー2と、圧延部3と、切断部4と、巻き締め部5と、巻きユニット6と、操作部14とを備える。なお、後述のとおり、巻きユニット6は巻き締め部5に着脱可能に取り付けられている。この食品成形装置1は、これらの機構により米飯を海苔巻きに成形する。
【0013】
●ホッパー2
ホッパー2は、投入された米飯を貯留すると共に、米飯を圧延部3に供給する。このホッパー2は、
図2に示すように、装置本体の上部に向かって開放され、内部に米飯を貯留する貯留部21と、貯留部21内の米飯を攪拌しながら下流側へ押し流す攪拌部22とを備える。食品成形装置1の上部には、ホッパー2に米飯を供給する保存容器23が着脱自在に設けられている。保存容器23の上端には、着脱可能な蓋23aが配設されている。
【0014】
貯留部21は、装置本体の上から下に向かうにつれて容積が小さくなる漏斗状に形成されている。また、貯留部21は、下流側が後述する圧延部3に向かって開放されている。
攪拌部22は、図示しない駆動手段により回転駆動する2本の攪拌アーム221、222を有する。各攪拌アーム221、222には、所定間隔で複数の攪拌ロッドが取り付けられている。
図2において、攪拌アーム221、222は、左回り(反時計回り)に回転する。
【0015】
●圧延部3
圧延部3は、ホッパー2から供給された米飯を圧延し、板状のシャリ板に成形する。この圧延部3は、
図2に示すように、ホッパー2の下方、即ち下流側に配置されている。
圧延部3は、ホッパー2から供給される米飯を圧延する複数の圧延ローラ30を有する。圧延ローラ30は例えば、上段圧延ローラ対31と下段圧延ローラ対32とを備える。
上段圧延ローラ対31と下段圧延ローラ対32は、互いに平行に配置されている。下段圧延ローラ対32は、上段圧延ローラ対31の下流側(送出側)に配置され、上段圧延ローラ対31にて圧延された米飯をさらに圧延する。
【0016】
上段圧延ローラ対31は、米飯を挟んで前後(
図2では左右)に配置される第1上段圧延ローラ31aと第2上段圧延ローラ31bとを有し、それらが所定間隔をもって互いに対向して配置されている。
【0017】
下段圧延ローラ対32は、米飯を挟んで前後(
図2では左右)に配置される第1下段圧延ローラ32aと第2下段圧延ローラ32bとを有し、それらが所定間隔をもって互いに対向して配置されている。
【0018】
第1上段圧延ローラ31a、第2上段圧延ローラ31b、第1下段圧延ローラ32a及び第2下段圧延ローラ32bは、合成樹脂の成型品からなる。各圧延ローラ30の表面は、多数のリブが所定間隔で軸線方向に沿って平行に設けられた歯車状を呈している。なお、本実施形態に関わらず、各圧延ローラ30に形成されるリブの形状は、互いに異なっていてもよい。
【0019】
なお、食品成形装置1の内部には、上段圧延ローラ対31のローラ間距離を可変とするためのローラ間距離調整部を設けてもよい。ローラ間距離調整部は例えば、装置本体内に回動可能に取り付けられたスイングアームと、一端がスイングアームに連結され、他端が駆動モータに連結されるクランクアームとによって構成できる。駆動モータが一方に回転すると、スイングアームが一の方向に回転して、上段圧延ローラ対31のローラ間距離が拡がり、逆方向に駆動モータを回転させると、スイングアームが一の方向とは逆の方向に回転して、上段圧延ローラ対31のローラ間距離が狭くなる。なお、上段圧延ローラ対31のローラ間距離を調整する機構は、上述の構成には限られず、任意の構成が採用できる。
【0020】
●切断部4
切断部4は、圧延部3から送り出されたシャリ板を所定長さで切断する。この切断部4は、
図2に示すように、下段圧延ローラ対32、即ち圧延部3の排出口下方に設けられている。
切断部4は、ガイド板41とカッター42を備える。ガイド板41は、下段圧延ローラ対32の出口に隣接して設けられている。カッター42は、カッター駆動モータ43(
図13参照)によって駆動し、ガイド板41に向かって進退する。
【0021】
これにより、下段圧延ローラ対32から送り出されたシャリ板は、ガイド板41に沿って移動しながらカッター42による切断位置に運ばれる。カッター42は、シャリ板が所定長さ繰り出された後に、ガイド板41に向かって下方に移動する。その結果、カッター42はシャリ板に押し付けられ、シャリ板が所定長さに切断される。
【0022】
●巻き締め部5
巻き締め部5は、後述する巻きユニット6と共に、切断部4によって切断されたシャリ板を巻き締めて柱状に成形する。この巻き締め部5は、
図3及び
図4に示すように、筐体の前方の下部に水平に配されたベース板51と、ベース板51の上面に沿って前後に水平移動されるスライドトレー52と、リフタ―53とを有する。スライドトレー52の上面には、巻きユニット6が着脱可能に取り付けられる。
【0023】
ベース板51の中央部には、後述するリフター53の上昇に対する逃げ孔51a、51bが前後方向に離れて形成されている。逃げ孔51a、51bはそれぞれ、リフター53の挟圧部531、532の上端面と同様の形状からなり、その開孔面積は、リフター53が上方に突出するのに最小限の大きさにとどめられている。また、スライドトレー52の中央部であって、逃げ孔51a、51bと重なる位置には、前後方向に長さを有するスリット状の逃げ孔52aが形成されている。
【0024】
スライドトレー52は、カッター42の下方に設けられている。スライドトレー52は、食品成形装置1の背面側から前面側に向かって装置本体内を貫通するように水平に設けられている。
図3及び
図4に示すように、スライドトレー52の上面には、巻きユニット6を連結させるための一対の連結部521、522が設けられている。一対の連結部521、522は、略直方体状からなり、スライドトレー52の幅方向に離間して設けられている。一対の連結部521、522の上面にはそれぞれ、巻きユニット6の連結ピン652、662に対応した連結孔521a、522aが形成されている。連結孔521a、522aには、後述する巻きユニット6の連結ピン652、662が嵌め込まれ、これにより巻きユニット6がスライドトレー52上に取り付けられる。なお、巻きユニット6の連結ピン652、662は、連結部521、522の連結孔521a、522aに着脱可能に装着される。これにより巻きユニット6を適宜に交換できる。
【0025】
スライドトレー52は、トレー駆動モータ54(
図13参照)の回転駆動に応じて前後(y方向)に進退する。前後への進退は、圧延ローラ30又はカッター42と連動して行われる。これにより、切断部4で切断されたシャリ板がスライドトレー52に取り付けられた巻きユニット6上に送り出される。なお、スライドトレー52の移動手段は、例えばラックピニオン機構であってもよいし、リニア駆動方式等適宜の構成を採用できる。
スライドトレー52のスライド範囲は、スライドトレー52の前端が食品成形装置1の前端とほぼ一致する前進位置から、切断部4で切断されたシャリ板を巻きユニット6で受け取ることができる後退位置までの範囲である。スライドトレー52の前進位置では、後述のとおり、リフター53の上下動により、巻きユニット6によるシャリ板の巻き締めが行われる。
【0026】
●リフター53
リフター53は、
図2に示すように、ベース板51の下方に配設されている。リフター53はU字状からなり、後方の第1挟圧部531、前方の第2挟圧部532、第1挟圧部531と第2挟圧部532それぞれの下端を前後方向に連結する連結部533で構成される。
【0027】
第1挟圧部531と第2挟圧部532はいずれも、上方に長さを有する棒状の部分であって、対向配置されている。この挟圧部531、532の上端は、
図3及び
図4に示すように、ベース板51とスライドトレー52それぞれに形成された逃げ孔51a,52aを介して上下方向に直進移動するようになっている。リフター53が下限位置(下死点)にあるときは、第1挟圧部531と第2挟圧部532の上端面はベース板51の上面と面一になっている。他方、リフター53が上限位置(上死点)にあるときは、後述のとおり、第1挟圧部531と第2挟圧部532は巻きユニット6を筒状に折り畳むと共に挟圧する。
【0028】
図5乃至
図8に示すように、リフター53の上下方向への移動は、リフター駆動モータ55(
図13参照)から回転駆動を受ける駆動アーム552と駆動ピン553によって制御される。
図5において、リフター駆動モータ55に連結する駆動アーム552は、リフター駆動モータ55との連結部551を中心として、y-z平面上を例えば図示反時計回りに回転する。駆動アーム552の先端には、駆動ピン553が取り付けられている。駆動ピン553は、+x方向に長さを有しており、駆動アーム552の回転に従って回転する。
リフター53の連結部533には、巻きユニット6の進退方向に長さを有するカム溝53aが形成されている。駆動ピン553がカム溝53aに嵌ることにより構成されたカムフォロアによって、リフター駆動モータ55による回転動作がリフター53の直線的な上下方向の往復動作に変換される。
【0029】
リフター53は、後述のとおり、往動動作において、一対の挟圧部531、532により巻きユニット6を筒状に折り畳むと共に挟圧してシャリ板を巻き締める。即ち、リフター53の上端面を構成する第1挟圧部531と第2挟圧部532の上端面はそれぞれ、シャリ板の巻き締め動作において、巻きユニット6の受け部67、68に当接する。リフター53が上昇すると、受け部67、68が従動的に上方へ持ち上げられる。これにより巻きユニット6が折り畳まれると、巻きユニット6に載せられたシャリ板が巻き締められる。
また、リフター53は、復動動作において、折り畳まれていた巻きユニット6を展開状態にする。これにより、巻き締められて成形された海苔巻きを巻きユニット6から取り出せる。
【0030】
なお、リフター53は、第1挟圧部531、第2挟圧部532、及び連結部533が一体をなしている。これにより、リフター駆動モータ55が回転すると、第1挟圧部531と第2挟圧部532は同一のタイミング且つ同一のストロークで上下動する。
【0031】
食品成形装置1は、
図5及び
図6に示すように、上下動するリフター53の位置を検出するリフターセンサ84を備えている。また、リフター53の第1挟圧部531の側面には、第1ドグ5311と第2ドグ5312が上下に離間して設けられている。リフターセンサ84は、例えば近接センサである。また、ドグ5311、5312は、例えば止めネジタイプであり、リフター53の側面の所定の位置に形成されたザグリ部にねじ止めされている。
【0032】
リフターセンサ84とドグ5311、5312の位置関係について、リフターセンサ84は、
図5に示すようにリフター53が下限位置にあるときに、上方の第1ドグ5311を検出可能な位置に設けられている。また、この位置は、
図6に示すようにリフター53が上限位置にあるときに、リフターセンサ84が下方の第2ドグ5312を検出不能な位置であり、第2ドグ5312はリフターセンサ84よりも上方にある。
リフターセンサ84が後述のとおり、ドグ5311、5312を検出することにより、上下動するリフター53の位置や状態を特定できる。
【0033】
●巻きユニット6
図9に示すように、巻きユニット6は、シャリ板を巻き締めるためのユニットであり、スライドトレー52の前後方向への進退に応じて進退する。
この巻きユニット6は、固定プレート60、固定プレート60の両側に回動可能に連結された第1回転プレート61と第2回転プレート62、及び第2回転プレート62に回動可能に連結された第3回転プレート63の合計4枚のプレートを有している。
【0034】
4枚の各プレート60、61、62、63は、例えば金属板からなるベース材の上面にポリプロピレンによる樹脂層を成膜したものである。第3回転プレート63の前側の端縁には、位置決め突起632、633が設けられている。この位置決め突起632、633は、回転プレート63の上面から立ち上がるように形成されており、巻きユニット6に載せる海苔の前側の位置を規制する。なお、本実施形態では、位置決め突起632、633を2つ設けているが、これに限らず適宜の数で形成してもよい。
【0035】
各プレート60、61、62、63の金属板からなるベース材の長手方向の各端部には、上面側に立ち上がった折り曲げ部601、611、621、631がそれぞれ設けられている。
これらの折り曲げ部601、611、621、631は、それぞれを重ね合わせ部分に挿通された連結軸641,642、643により、固定プレート60に対して内側へ単独で回転可能に連結されている。これにより、各プレート60~63はその上面が内側となるように折り畳まれる。
【0036】
図10に示すように、固定プレート60の下面側には、一対の支持板65、66が固着されている。各支持板65、66は、固定プレート60の長さ方向に直交する方向、即ち食品成形装置1の前後方向に長さを有する。その長さは、第3回転プレート63を除いた3枚のプレート60、61、62にまたがる。
各支持板65、66の奥側(+y側)の上面側端部にはそれぞれ、巻きユニット6に載せる海苔の奥側の位置を規制するストッパ651、661(
図9参照)が固着されている。各ストッパ651、661は、それぞれ第1回転プレート61に設けられた貫通孔61a、61bを介して当該第1回転プレート61の上面よりも上方に突出している。
【0037】
各支持板65、66の下面には、固定プレート60との交差部において、先端部が円錐形状の連結ピン652、662が固着されている。
図4に示すように、先端が円錐形状の連結ピン652、662はそれぞれ、スライドトレー52に設けられた連結部521、522の連結孔521a、522aに装着される。これにより、巻きユニット6がスライドトレー52に対して着脱可能に取り付けられる。
【0038】
なお、本実施形態においては、連結ピン652、662は巻きユニット6の下面側に突出しているものとしたが、スライドトレー52とが連結される構成であれば、連結ピン652、662の突出方向は任意である。例えば、連結ピン652、662は巻きユニット6の側面に設けられていてもよい。この場合、例えば適宜の連結孔がスライドトレー52の幅方向両側のリブに設けられ、巻きユニット6の側方に突出した連結ピン652、662はこの連結孔に装着される。また、巻きユニット6が凸型の部位、スライドトレー52が凹型の部位を有するものとしたが、これに限られず、巻きユニット6が凹型の部位、スライドトレー52が凸型の部位を有してもよいし、巻きユニット6とスライドトレー52が連結される適宜の構成が適用できる。
【0039】
また、支持板65の下面には、巻きユニット6の進退方向であって、連結ピン652の前方に棒状のターゲットピン653が固着されている。ターゲットピン653の突出方向も、連結ピン652と同様、下面に限られず任意である。なお、連結ピン652およびターゲットピン653の突出方向は同一であるとよい。当該構成によれば、連結ピン652およびターゲットピン653を1個のユニットセンサ83により検出できるため、配設するセンサ数を節約できる。また、連結ピン652およびターゲットピン653を同一のユニットセンサ83で検出する構成によれば、連結ピン652を検出するセンサとターゲットピン653を検出するセンサとの間にセンサ感度のばらつきが発生しないため、好適である。
【0040】
本実施形態において、連結ピン652とターゲットピン653は、ユニットセンサ83が検出可能な磁場を発生させる。磁場は、連結ピン652とターゲットピン653の内部に磁石を設けたり、連結ピン652とターゲットピン653そのものを磁石にすることで発生させられる。ユニットセンサ83が連結ピン652とターゲットピン653の発する磁場を検出することにより、後述のとおり、ベース板51上におけるスライドトレー52の位置を特定したり、巻きユニット6の種類を特定できる。巻きユニット6の種類の特定は、種類の異なる巻きユニット6ごとに連結ピン652とターゲットピン653の間の距離を変えておき、連結ピン652とターゲットピン653が発する磁場によって連結ピン652とターゲットピン653の間の距離を測ることで可能となる。
【0041】
図10に示すように、第1回転プレート61の下面には、その長さ方向中央部において、リフター53を受ける受け部67が固着されている。この受け部67は、第1回転プレート61の下面から互いに平行に立ち上がった一対の立設片671、672と、一対の立設片671、672の内側に設けられた当接部673とを有する。
【0042】
当接部673は、矩形状の板材をU字形に折曲させた形状からなる。この当接部673は、第1回転プレート61の下面から互いに平行に立ち上がった一対の側片6731、6732と、当該一対の側片6731、6732の下端同士を連結する当接片6733とを有する。
当接片6733の外側の面は、巻き締め動作によって巻きユニット6が折り畳まれるとき、リフター53の挟圧部531が当接する面となる。また、当接片6733は、一対の側片6731の高さに応じて、第1回転プレート61の下面よりも所定長さだけ離れた位置に設けられる。これにより、リフター53によって挟み込まれる部分の巻きユニット6の幅が、リフター53の挟圧部531、532の間の距離に調整される。
【0043】
第3回転プレート63の下面にも、その長さ方向中央部において、下方から突出するリフター53を受ける受け部68が固着されている。この受け部68は、相対向する一対の支持片681、682と、当該一対の支持片681、682の間に支承されたローラ683とを有する。
巻き締め動作においてリフター53が上昇すると、挟圧部532の上端面がローラ683に下方から当接する。
【0044】
後述する巻き締め動作では、リフター53が上昇して受け部67、68を持ち上げると、第1回転プレート61、第2回転プレート62、及び第3回転プレート63は、その上面が内側となるように折り畳まれる。これにより、巻きユニット6が横断面四角形の柱状に折り畳まれ、その内側のシャリ板が当該折り畳まれた巻きユニット6に即した形状に巻き締められる。その結果、シャリ板が海苔巻きに成形される。
【0045】
図11及び
図12は、巻きユニット6とは異なる構造からなる巻きユニット7を示している。
巻きユニット7は、巻きユニット6よりも太い海苔巻き(太巻き)を作るためのものである。逆に言えば、巻きユニット6は巻きユニット7よりも細い海苔巻き(細巻き)を作るためのものである。
この巻きユニット7は上述した巻きユニット6と同様、固定プレート70、固定プレート70の両側に回動可能に連結された第1回転プレート71と第2回転プレート72、及び第2回転プレート72に回動可能に連結された第3回転プレート73の合計4枚のプレートを有している。
【0046】
巻きユニット7では、少なくとも固定プレート70、第2回転プレート72,及び第3回転プレート73の幅が、巻きユニット6の固定プレート60、第2回転プレート62,及び第3回転プレート63の幅よりも広い。これにより、巻きユニット7を用いれば、巻きユニット6に比して太い海苔巻きを作ることができる。
【0047】
第3回転プレート73の前側の端縁には、巻きユニット7に載せる海苔の前側の位置を規制する位置決め突起732、733が形成されている。この位置決め突起732、733は、回転プレート73の上面から立ち上がるように形成されている。
【0048】
各プレート70~73の金属板からなるベース材の長手方向の各両端部には、上面側に立ち上がった折り曲げ部701、711、721、731がそれぞれ設けられている。
これらの折り曲げ部701、711、721、731は、それぞれを重ね合わせ部分に挿通された連結軸741,742、743により、固定プレート70に対して単独で回転可能に連結されている。これにより、各プレート70~73はその上面が内側となるように折り畳まれる。
【0049】
図12に示すように、固定プレート70の下面側には、一対の支持板75、76が固着されている。各支持板75、76は、固定プレート70の長さ方向に直交する方向、即ち食品成形装置1の前後方向に長さを有する。その長さは、第3回転プレート73を除いた3枚のプレート70、71、72にまたがる。
各支持板75、76の奥側の端部にはそれぞれ、ストッパ751、761が固着されている。ストッパ751、761は、それぞれ第1回転プレート71の後端から回り込むようにして当該第1回転プレート71の上面よりも上方に突出し、巻きユニット7に載せる海苔の奥側の位置を規制する。ストッパ751、761と位置決め突起732、733の間の距離が、巻きユニット7上に載せられる海苔の長さとなる。この長さは、巻きユニット6におけるストッパ651、661と位置決め突起632、633の間の距離よりも長い。これにより、巻きユニット7は巻きユニット6に比して太い海苔巻きを作ることができる。
【0050】
各支持板75、76の下面には、固定プレート70との交差部において、先端部が円錐形状の連結ピン752、762が固着されている。巻きユニット6と同様、円錐形状の連結ピン752、762はそれぞれ、スライドトレー52に設けられた連結部521、522の連結孔521a、522aに装着される。これにより、巻きユニット7がスライドトレー52に対して着脱可能に取り付けられる。
また、支持板75の下面には、巻きユニット7の進退方向であって、連結ピン752の前方に棒状のターゲットピン753が固着されている。
【0051】
本実施形態において、連結ピン752とターゲットピン753は、上述した巻きユニット6の連結ピン652及びターゲットピン653と同様、ユニットセンサ83が検出可能な磁場を発生させる。ユニットセンサ83が連結ピン752とターゲットピン753の発する磁場を検出することにより、ベース板51上におけるスライドトレー52の位置を特定したり、巻きユニット7の種類を特定できる。
本実施形態において、連結ピン752とターゲットピン753は、その間の距離が巻きユニット6の連結ピン652とターゲットピン653の間の距離よりも長くなるように設けられている。このように、連結ピン752とターゲットピン753の間の距離を巻きユニット6とは異なる距離にしておくことで、連結ピン752とターゲットピン753が発する磁場によって連結ピン752とターゲットピン753の間の距離を測り、巻きユニット6と巻きユニット7を区別できる。
【0052】
図12に示すように、第1回転プレート71の下面には、その長さ方向中央部において、リフター53を受ける受け部77が固着されている。この受け部77は、第1回転プレート71の下面から互いに平行に立ち上がった一対の立設片771、772と、当該一対の立設片771、772の間に設けられた当接部773とを有する。
【0053】
当接部773は、矩形状の板材をU字形に折曲させた形状からなる。この当接部773は、第1回転プレート71の下面から互いに平行に立ち上がった一対の側片7731、7732と、当該一対の側片7731、7732の下端同士を連結する当接片7733とを有する。当接片7733の外側の面は、巻き締め動作によって巻きユニット7が折り畳まれるとき、リフター53の挟圧部531が当接する面となる。また、当接片7733は、一対の側片6731の高さに応じて、第1回転プレート61の内側よりも所定長さだけ離れた位置に設けられる。これにより、リフター53によって挟み込まれる部分の巻きユニット7の幅が、リフター53の挟圧部531、532の間の距離に調整される。
なお、巻きユニット7は、巻きユニット6よりも太い海苔巻きを作るためのものであり、一対の側片7731、7732の高さは、巻きユニット6の一対の側片6731、6732よりも低い。これにより、当接片7733は、巻きユニット6の当接片6733に比して、第1回転プレート61の下面に近い位置に設けられている。
【0054】
第3回転プレート73の下面にも、その長さ方向中央部において、下方から突出するリフター53を受ける受け部78が固着されている。この受け部78は、相対向する一対の支持片781、782と、一対の支持片781、782の間に支承されたローラ783とを有する。巻き締め動作において、リフター53が上昇すると、挟圧部532の上端面がローラ783に下方から当接する。
【0055】
後述する巻き締め動作では、巻きユニット6の場合と同様、リフター53が上昇して受け部77、78を持ち上げると、第1回転プレート71、第2回転プレート72、及び第3回転プレート73は、その上面が内側となるように折り畳まれる。これにより、巻きユニット6を用いた場合よりも太い海苔巻きが成形される。
【0056】
なお、本実施形態では、巻きユニット6を用いた場合を例にとって構造や動作を説明するが、巻きユニット6と同様にして巻きユニット7を用いることができる。
巻きユニット6と巻きユニット7を任意に選択して用いることで、太さの異なる海苔巻きを作ることができる。また、巻きユニット6、7を交換することによって太さの異なる海苔巻きを作りわけることができるので、食品成形装置1に海苔巻きのサイズに応じた設定を登録したり、海苔巻きのサイズに応じて異なる動作を実行させたりする必要もない。
なお、本説明では2種類の巻きユニットについて説明したが、3種類以上の異なる巻きユニットを用意し、さらに異なる太さの海苔巻きを作ることもできる。
【0057】
●操作部14
操作部14は、食品成形装置1を操作するための操作子であり、操作パネル141とスイッチ142を有する。
操作パネル141は、本実施形態においては食品成形装置1の前面左側に設けられており、米飯の量目やシャリ板の成形数などを設定する各種設定ボタンや表示部、電源スイッチや緊急停止スイッチなどを備える。なお、本実施形態において操作パネル141は液晶画面を備えるものとしたが、本発明の技術的範囲はこれに限られず、例えば7セグメントディスプレイ又は適宜のランプにより構成しもよい。また、操作パネル141は、タッチパネルディスプレイにより構成してもよい。
スイッチ142は、動作の開始や停止を命令するためのものである。例えば、このスイッチ142を押下することで、米飯から海苔巻きに成形する動作の開始を命令できる。
【0058】
●機能ブロック
図13は、食品成形装置1の構成を示すブロック図である。食品成形装置1は、主として、CPU11、ROM12、RAM13、操作部14、センサ部8、ローラ駆動モータ群33、カッター駆動モータ43、トレー駆動モータ54、リフター駆動モータ55により構成されている。
【0059】
CPU11は、食品成形装置1の動作を制御する中央処理装置であり、ROM12からプログラムを読み出して実行することで、そのプログラムに従った食品成形装置1の動作を実現する。ROM12は、読出し専用メモリであり、上記プログラムが格納されている。RAM13は、随時書込み読出しメモリであり、一時データ等を記憶する。
【0060】
センサ部8は、米飯センサ81と、蓋センサ82と、ユニットセンサ83と、リフターセンサ84とを有する。
なお、本実施形態にかかわらず、センサ部8として、貯留部21内の米飯の色を識別する色識別センサなどを設け、米飯の種類を判別できるようにしてもよい。
【0061】
米飯センサ81は、貯留部21の下側の開放端付近において、圧延部3に供給される米飯を検出する。
蓋センサ82は、保存容器23又は蓋23aに設けられるセンサであり、蓋23aにより保存容器23が閉じられていることを検出する。
【0062】
ユニットセンサ83は、スライドトレー52に取り付けられた巻きユニット6の連結ピン652とターゲットピン653を検出する。これにより、連結ピン652とターゲットピン653の位置や距離を特定できる。連結ピン652、752は、第1被検出体の例である。ターゲットピン653、753は、第2被検出体の例である。
【0063】
このユニットセンサ83は、例えば磁気センサであり、連結ピン652とターゲットピン653が発生させる磁場を検出する。ユニットセンサ83は、磁場の強さが所定以上である場合にオン状態となり、所定以下の場合にオフ状態となるセンサである。ユニットセンサ83は、磁界の向き(S/N)や強さを検出できるものでなくてよい。磁界の向きや強さを参照しない構成とすることで、食品成形装置1の生産コストを低減できる。
【0064】
ユニットセンサ83は、ベース板51の下面側であって、スライドトレー52に取り付けられた巻きユニット6の連結ピン652の原点の位置に対応する位置に設けられている。ユニットセンサ83がベース板51の下面側に配設され、ベース板51上の連結ピン652およびターゲットピン653を非接触に検出する構成によれば、ベース板51上面側に構造物が突出しないため、ベース板51上の清拭性がよく、衛生的である。食品成形装置1においては、ベース板51周辺に油、具材および米飯などが付着しやすい。これに対し本願構成によれば、ユニットセンサ83が汚れることがないため、故障や誤検知を防止できる。
【0065】
なお、連結ピン652の原点の位置は、巻き締め動作の開始時(スタンバイ状態)における連結ピン652の位置である。この構成によれば、連結ピン652の検出によりスライドトレー52が原点に存在していることが確認できるため、スライドトレー52の位置を確認するためのセンサが不要であり、コスト低減ができる。また、センサの数を減らすことにより故障の可能性を低減し、信頼性を向上させることができる。
【0066】
リフターセンサ84は、昇降するリフター53のドグ5311、5312を検出する。これにより、リフター53の上下方向における位置を特定できる。
このリフターセンサ84は、例えば金属からなるドグ5311、5312の存在を検出する誘導形近接センサである。
【0067】
ローラ駆動モータ群33は、圧延ローラ30を回転させる駆動機構である。ローラ駆動モータ群33は、例えば上段圧延ローラ対31を駆動する上段駆動モータ331と、下段圧延ローラ対32を駆動する下段駆動モータ332とを有する。ローラ駆動モータ群33は、圧延ローラ30の回転開始及び停止、ならびに回転数を制御する。また、ローラ駆動モータ群33は、圧延ローラ30の回転方向を制御してもよい。上段駆動モータ331は、第1上段圧延ローラ31aと第2上段圧延ローラ31bとを互いに独立して制御してもよい。また、下段駆動モータ332は、第1下段圧延ローラ32aと第2下段圧延ローラ32bとを互いに独立して制御してもよい。ローラ駆動モータ群33を構成するモータは、例えばステッピングモータである。
【0068】
カッター駆動モータ43は、回転運動に応じてカッター42を進退させる駆動機構である。カッター42は、カッター駆動モータ43の回転に応じてガイド板41方向へ前進と後退を繰り返し、ガイド板41上のシャリ板を切断する。
【0069】
トレー駆動モータ54は、回転駆動に応じてスライドトレー52を進退させる駆動機構である。このトレー駆動モータ54が、スライドトレー52の位置を調整、進退させることにより、巻きユニット6上の適切な位置にシャリ板を載せられる。また、トレー駆動モータ54は、巻き締め動作に際し、巻き締め動作を行う位置である前進位置にスライドトレー52を移動させる。
【0070】
リフター駆動モータ55は、回転駆動に応じてリフター53を昇降させる駆動機構である。リフター53の挟圧部531、532は、リフター駆動モータ55の回転に応じてベース板51の上方へ上昇したり、ベース板51の下面へ下降したりする。
【0071】
●機能部
図14に示すように、食品成形装置1は、CPU11等の演算装置、ROM12及びRAM13等の記憶装置により、例えば入出力制御部101、ローラ制御部102、カッター制御部103、トレー制御部104、リフター制御部105、蓋検出部106、米飯検出部107、ユニット検出部108、リフター検出部109、判定処理部110の機能ブロックを構成する。なお、機能部の一部又は全部は、有線又は無線で接続されている上位装置に実現されていてもよい。上位装置は、例えば、サーバやクラウドコンピュータであってよい。
【0072】
入出力制御部101は、操作部14を介して受け付けた命令を取得する機能部である。入出力制御部101は、各種の動作や処理の開始命令又は停止命令などを受け付ける。このほか、入出力制御部101は、成形される板状の米飯の厚さ又は米飯の密度の設定等も受け付ける。また、入出力制御部101は、操作パネル141が有する液晶画面に、適宜の情報を出力する。液晶画面には、例えば食品成形装置1に設定される動作モードが表示される。また、液晶画面には、適宜のエラーメッセージが表示されてもよい。
【0073】
ローラ制御部102は、圧延ローラ30の回転を制御する機能部である。ローラ制御部102は、ローラ駆動モータ群33を制御し、上段圧延ローラ対31と下段圧延ローラ対32とを互いに独立して回転させる。
なお、ローラ制御部102が圧延ローラ30の回転速度を制御することで、シャリ板の密度を変えられる。回転速度は、例えば下段圧延ローラ32a、32bの下段駆動モータ332にかかる負荷トルクに応じて上段圧延ローラ31a、31bの回転数を変更することで実現できる。負荷トルクは、例えばローラ駆動モータ群33が接続されるモータドライバから出力される、負荷に応じたパルス数を計数することにより取得できる。
【0074】
カッター制御部103は、カッター駆動モータ43を制御することにより、カッター42を進退させる機能部である。カッター制御部103は、カッター駆動モータ43を正転又は逆転させる。カッター42は、カッター駆動モータ43の正転又は逆転に応じて前進と後退を繰り返すように構成されている。
【0075】
なお、カッター駆動モータ43の正転及び逆転に応じてカッター42が前進するか後退するかは、当該時点におけるカッター駆動モータ43の回転角度により異なる。例えば、カッター駆動モータ43の正転により前進している時点で当該モータを逆転させると、カッター42は後退する。また、カッター駆動モータ43の正転により後退している時点で当該モータを逆転させると、カッター42は前進する。本実施形態においては、カッター42の前進はカッター42の下降に対応し、カッター42の後退はカッター42の上昇に対応している。排出口から排出されるシャリ板はカッター42の下方に位置しており、カッター42が前進して下降すると、カッター42はシャリ板に押し付けられる。
【0076】
トレー制御部104は、トレー駆動モータ54を制御することにより、スライドトレー52を進退させる機能部である。スライドトレー52は、圧延ローラ30又はカッター42と連動して動作する。
【0077】
リフター制御部105は、リフター駆動モータ55を制御することにより、リフター53を上下動させる機能部である。リフター53が上昇すると巻きユニット6が筒状に折り畳まれ、シャリ板が巻き締められる。リフター53が下降すると、折り畳まれていた巻きユニット6が展開し、シャリ板を巻き締めた海苔巻きを取り出せる。
【0078】
蓋検出部106は、蓋センサ82を介して保存容器23の蓋23aが閉じていることを検出する機能部である。入出力制御部101は、蓋センサ82により蓋23aが閉じていることが検出された場合に、食品成形装置1による成形の開始命令を受け付けてもよい。また、入出力制御部101は、蓋23aが閉じていない場合には、成形の開始命令の入力を禁止又は無効化してもよい。この場合に、入出力制御部101は、液晶画面に蓋23aを閉じるよう促すメッセージを表示してもよい。このような構成によれば、蓋23aを確実に閉じた状態で成形を開始できる。
【0079】
米飯検出部107は、米飯センサ81により、米飯が貯留部21に供給されていることを検出する機能部である。入出力制御部101は、米飯が貯留部21に供給されている場合に、食品成形装置1による成形の開始命令を受け付け、米飯が供給されていない場合には開始命令の入力を禁止又は無効化してもよい。
【0080】
ユニット検出部108は、ユニットセンサ83により巻きユニット6の連結ピン652とターゲットピン653を検出する。トレー制御部104によってスライドトレー52を進退させながら、連結ピン652とターゲットピン653を検出することで、連結ピン652とターゲットピン653の位置や距離を特定できる。
【0081】
また、ユニット検出部108は、連結ピン652を検出することにより、スライドトレー52が原点に位置しているかを判別する。スライドトレー52と巻きユニット6とを連結する連結ピン652を検出する構成によれば、スライドトレー52の位置および巻きユニット6の装着有無を1個のユニットセンサ83により確認できる。
【0082】
ユニット検出部108は、さらに特定した情報に基づいて、巻きユニット6の位置や種類を判別できる。判別動作は、例えば巻きユニット6が設置された時点、エラーからの復帰時点、又は初期設定時点等に行われる他、任意のタイミングおよび頻度で行われてよい。
【0083】
リフター検出部109は、リフターセンサ84により第1ドグ5311と第2ドグ4312を検出する。リフター53を上下動させながら第1ドグ5311と第2ドグ5312を検出することで、リフター53の位置や状態を判別できる。
【0084】
判定処理部110は、リフターセンサ84によって検出されるドグが第1ドグ5311又は第2ドグ5312のいずれであるかを判定する。また、リフターセンサ84によるドグの検出結果に基づき、リフター53の位置を判定する。
【0085】
具体的に、判定処理部110は第1判定処理として、リフター駆動モータ55の一回転の中で検出される第1ドグ5311と第2ドグ5312の検出時間を対比し、相対的に長い時間、検出されているドグを第1ドグ5311と判定する。
また、判定処理部110は第2判定処理として、第1ドグ5311の検出時間に基づき、第1ドグ5311の検出時間の半分の時点におけるリフター53の位置を下死点として判定する。
また、判定処理部110は第3判定処理として、連続する第2ドグ5312の検出時間に挟まれた所定の未検出時間に基づき、当該所定の未検出時間の半分の時点におけるリフター53の位置を上死点として判定する。
【0086】
●米飯の成形動作の概要
食品成形装置1の使用手順と共に、シャリ板の成形動作の概要について説明する。
まず、巻きユニット6をスライドトレー52に取り付けて電源スイッチをいれる。食品成形装置1は、後述するスライドトレー52の検出動作により巻きユニット6の種類と位置を特定し、調整する。
【0087】
使用者は、ホッパー2内に米飯を投入する。また、展開状態にある巻きユニット6のプレート60、61、62、63上に海苔をセットする。使用者は続けてスイッチ142を押下し、食品成形装置1に成形動作の開始を要求する。これに応じて、ホッパー2内の米飯が攪拌アーム221、222によって攪拌されながら、圧延部3へ送り出される。圧延部3が米飯を圧延し、切断部4が圧延された米飯を所定長さで切断すると、シャリ板が巻きユニット6上に送り出される。シャリ板が巻きユニット6上に送り出されるとき、トレー制御部104は、シャリ板が送り出される速度に合わせてスライドトレー52をスライドさせる。これにより、巻きユニット6上にセットされた海苔上にシャリ板が載せられ、使用者はシャリ板上に適宜、具材をトッピングする。そして、使用者が再びスイッチ142を押下すると、食品成形装置1は、シャリ板の巻き締め動作に移る。
【0088】
図15(a)は、巻き締め動作の初期状態を示している。巻きユニット7を構成する4枚のプレート60,61,62,63の上面は同一平面上にあって、巻きユニット6はフラットな展開状態になっている。この時、リフター53は最も下降した位置にあって、巻きユニット6の受け部67、68はそれぞれリフター53の挟圧部531、532の上端面から離れている。
【0089】
図15(b)は、
図15(a)に示した駆動アーム552が初期状態から90度程度回転した状態を示している。この状態では、挟圧部531、532の上端面で受け部67、68が押し上げられている。
図15(a)に示す状態から
図15(b)に示す状態へ移る過程において、第3回転プレート63は、連結軸643(
図9、
図10参照)を中心に反時計方向に回転し、さらに連結軸643を介して第2回転プレート62の前側を引き上げている。これにより、第2回転プレート62は連結軸642を中心に反時計方向に回転している。一方、第1回転プレート61は連結軸641を中心に時計方向に回転している
【0090】
図15(c)は、駆動アーム552が
図15(b)の状態からさらに回転し、初期状態から半回転した状態を示している。第2回転プレート62と第3回転プレート63がさらに反時計方向に、第1回転プレート61はさらに時計方向に回転する。
この結果、第1回転プレート61と第2回転プレート62は固定プレート60に対してほぼ垂直の態様をとる。また、第3回転プレート63は、固定プレート60、第1回転プレート61、及び第2回転プレート62で3方を囲まれた横断面U字形の空間の上部に覆い被さる態様をとる。
このようにして、4枚のプレート60、61、62、63が折り畳まれることによって、内側に横断面四角形の空間が形成される。
【0091】
これにより、シャリ板は4枚のプレート60、61、62、63が形成する形状に合わせて、横断面四角形の柱状に成形される。この状態において、リフター53を構成する一対の挟圧部531、532には、内側から外側に広がるようにシャリ板の反力がかかる。この点、例えば一対の挟圧部531、532が独立した駆動モータによって駆動する場合には、当該駆動モータにシャリ板の反力が回転負荷として加わる。そして、回転負荷が継続的に増加すると、駆動モータは脱調を起こす恐れがある。
これに対して本実施形態では、一対の挟圧部531、532は連結部533によって一体的に構成されているため、シャリ板の応力はリフター53に加わり、リフター駆動モータ55には加わらない。その結果、巻きユニット6は機構的にロックされ、リフター駆動モータ55にも負荷がかからず、駆動力を使い切ることができる。巻きユニット6(7)の種類やサイズに応じた設定をしなくても同じ動作を行うし、リフター駆動モータ55にかかる負荷は変わらないことから、機器の破損も防げる。また、部品点数が減るため、コストダウンも図れる。さらに、米飯や具材の反力をしっかり抑え込むことができるので、米飯がしっかりと巻き締められた海苔巻きが作られる。
【0092】
図15(c)に示す状態から、駆動アーム552が初期状態から180度を超えて回転し始めると、リフター53は、
図15(b)に示す状態を経て、
図15(a)に示す初期状態に復帰する。これにより、巻きユニット6を構成する4枚のプレート60、61、62、63は展開状態に戻り、海苔巻きを取り出せる。
【0093】
●シャリ板の巻き締め動作とリフター53の位置の判定
図16及び
図17を参照して、巻きユニット6に載せられたシャリ板を巻き締める動作について説明する。
なお、
図16は、リフター駆動モータ55によって回転する駆動ピン553の位置とリフターセンサ84によるドグ5311、5312の検出状態の関係を示している。なお、駆動ピン553の位置は、軌跡mとして模式的に示している。また、
図17は、リフター53の状態とリフターセンサ84の検出状態を時系列で示している。図中、T
1-T
9でリフター駆動モータ55は一回転している。
また、リフター駆動モータ55は一方向にのみ回転し、リフター駆動モータ55の一回転により、リフター53は1回上下動して1個のシャリ板を巻き締める。なお、シャリ板は形状の印象に関わらず適宜の助数詞で計数されてよく、1個、2個の他、例えば1枚、2枚と計数されてよい。
【0094】
初期状態において、リフター53はリフターセンサ84により上方の第1ドグ5311が検出される位置であって、リフター53の下死点D1となる位置に停止している(T1)。この位置は、動作の原点である。この状態では挟圧部531、532がベース板51の下面に潜っている。
【0095】
ここで、食品成形装置1がスイッチ142の押下に応じてシャリ板の巻き締め動作の要求を受け付けると、リフター駆動モータ55(
図13参照)から回転駆動を受けた駆動アーム552が回転し、これに応じて駆動ピン553が従動的に回転する。これによりリフター53が上昇し始める。
リフター駆動モータ55が所定以上回転するまで、即ちT
1からT
2までの間に駆動ピン553が動く動作範囲Z1では、第1ドグ5311が検出されている。リフター駆動モータ55が所定以上回転すると、第1ドグ5311がリフターセンサ84の検出領域から外れ、リフターセンサ84はオフになる(T
2)。
【0096】
リフター駆動モータ55がさらに回転してリフター53が上昇すると、第2ドグ5312がリフターセンサ84の検出領域に入り、リフターセンサ84はオンになる(T3)。
T3からさらにリフター駆動モータ55が回転すると、第2ドグ5312がリフターセンサ84の検出領域から外れ、リフターセンサ84は再びオフになる(T4)。即ち、リフターセンサ84は、T3からT4までの間に駆動ピン553が動く動作範囲Z2において、第2ドグ5312を検出する。T4の後、第2ドグ5312は、リフターセンサ84が設けられている位置よりも上方に移動しており、T5においてリフター53は上死点D2に至る。
【0097】
リフター駆動モータ55が回転を続け、リフター53が上死点を超えると、リフター53が下降し始める。これに応じて第2ドグ5312がリフターセンサ84の検出領域に入り、リフターセンサ84はオンになる(T6)。このとき、巻きユニット6は、リフター53による挟圧から徐々に解放され、展開し始める。
【0098】
T6からさらにリフター駆動モータ55が回転すると、第2ドグ5312がリフターセンサ84の検出領域から外れ、リフターセンサ84はオフになる(T7)。このとき、第2ドグ5312は、リフターセンサ84が設けられている位置よりも下方に移動している。
T7の後、第1ドグ5311がリフターセンサ84の検出領域に入ると、リフターセンサ84がオンになる(T8)。T9においてリフター53は原点に復帰する。このまま、リフター駆動モータ55が二回目の回転動作に移ると再びリフター53は上昇し始め、リフターセンサ84はT10に至るまで第1ドグ5311を検出する。なお、リフターセンサ84は、T8からT10に至るまで、リフター53の下死点においても、第1ドグ5311を途切れることなく検出している。
【0099】
このようなリフター53の動作とリフターセンサ84によるドグ5311、5312の検出動作において、リフター駆動モータ55の一回転では、駆動ピン553が動作範囲Z1を移動する距離は、動作範囲Z2を移動する距離よりも長い。その結果、リフター駆動モータ55の一回転の中で検出される第1ドグ5311と第2ドグ5312の検出時間を対比すると、第1ドグ5311がリフターセンサ84の検出領域にある時間は、第2ドグ5312がリフターセンサ84の検出領域にある時間よりも相対的に長い。これにより、判定処理部110は、リフター駆動モータ55の一回転の中で相対的に長い時間、リフターセンサ84によって検出されているドグを第1ドグ5311と判定できる。
【0100】
また、判定処理部110は、第1ドグ5311が継続的に検出された検出時間T8-T10に基づき、第1ドグ5311の検出時間の半分の時点に相当する時点T9にあたる位置をリフター53の下死点、即ちリフター53の原点として判別できる。
【0101】
また、第2ドグ5312はT3において一旦検出された後、T4において一度検出されない状態になり、それから再びT6において検出される。判定処理部110は、連続する第2ドグ5312の検出時間に挟まれた未検出時間T4-T6に基づき、当該未検出時間T4-T6の半分の時点に相当する時点T5におけるリフター53の位置を上死点D2として判別できる。
【0102】
このように、判定処理部110によれば、リフターセンサ84によってドグ5311、5312を検出しながらリフター駆動モータ55を回転させることで、ドグ5311、5312を識別したり、リフター53の位置を判定できる。食品成形装置1は、判定処理部110による処理結果に基づいて、リフター53の位置を調整したり、使用者によって要求された動作を適切に実行できる。
【0103】
なお、リフターセンサ84には量産におけるセンサ感度のばらつきがあり、ドグ5311、5312の個体差により検出範囲も変化する。そのため、リフターセンサ84の感度が高い場合には、リフターセンサ84は広範囲にわたってドグ5311、5312を検出することになり、ドグ5311、5312を検出する検出時間(
図17では、T
1-T
2、T
3-T
4、T
6-T
7、T
8―T
10)は長くなる。逆に、リフターセンサ84の感度が低い場合には、リフターセンサ84によりドグ5311、5312が検出される範囲は狭くなり、ドグ5311、5312を検出する検出時間(
図17では、T
1-T
2、T
3-T
4、T
6-T
7、T
8―T
10)は短くなる。したがって、リフターセンサ84がオン状態の時間又はオフ状態の時間を参照しても、検出対象が第1ドグ5311であるか第2ドグ5312であるかを判別するのは困難な場合がある。
【0104】
ここで、リフターセンサ84によるドグ5311、5312の検出領域は、ドグ5311、5312を中心に上下対称に広がる。そこで、上述のとおりリフターセンサ84のオン状態又はオフ状態の半量の値を用いることで、リフターセンサ84がドグ5311、5312に正対する時点を推定できる。この構成によれば、温湿度等の環境変化やドグ5311、5312の個体差による検出領域の違い、さらにはリフターセンサ84のセンサ感度のばらつきに関わらずリフター53の上死点や下死点を判別できる。
なお、リフターセンサ84は、リフター53によって上下動しているドグ5311、5312を検出するる。そこで、オン状態の検出時間T8-T10の半量の値だけリフター53を下降させて原点に移動させる場合など、リフターセンサ84のオン状態又はオフ状態の半量の値を用いるときには、ヒステリシスを考慮した補正係数を乗じるとよい。これにより、高精度の制御が可能となる。
【符号の説明】
【0105】
1 食品成形装置
2 ホッパー
3 圧延部
4 切断部
5 巻き締め部
53 リフター
531 第1挟圧部
532 第2挟圧部
5311 第1ドグ
5312 第2ドグ
6 巻きユニット
7 巻きユニット